説明

画像表示装置及びプログラム

【課題】見栄えの良い画像を簡易に得て表示することである。
【解決手段】画像表示装置1は、画像を表示する表示部14と、メモリカードM等から読み込んだ元画像から例えばフォーカス位置を含む被写体画像を特定し、当該被写体画像のフォーカス位置又は重心位置を、前記元画像を縦横に3分割したときの3分割線の交点に合わせる加工を前記元画像に施し、当該加工を施した画像を表示部14に表示させるCPU11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラで撮影した写真画像を鑑賞用に表示するデジタルフォトフレーム等の表示装置が知られている。
【0003】
また、上記表示装置として、撮影した写真画像をそのまま表示するだけでなく、当該写真画像を絵画調に変換して表示する表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、写真画像における被写体の配置について、好ましいとされる構図が幾つか知られている。代表的なものは、3分割構図である。これは、概略、画面を縦横に3分割した仮想の線を引き、この線の交点付近に見せたい被写体を配置すると、バランスが良く見えて見映えが良くなったり、視線を誘導して被写体を目立たせたり、することができて、撮影意図が伝わり易いとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−98987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の表示装置は、元の写真画像を同じ構図のまま絵画調に変形するものであった。一般の撮影者が撮影した写真画像は、好ましい構図になっておらず、何の意図で撮った写真なのかが分からない、あるいは撮影意図が伝わらないような、見映えのしない写真になっていることが多い。このため、上記従来の表示装置に表示する画像も好ましい構図にならないため、見栄えのしない画像となるおそれがあった。
【0007】
本発明の課題は、見栄えの良い画像を簡易に得て表示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明の画像表示装置は、
画像を表示する表示部と、
外部より供給されて読み込まれた元画像から主要な被写体画像を特定し、当該被写体画像のフォーカス位置又は重心位置を、前記元画像を縦横に3分割したときの3分割線の交点に合わせる加工を前記元画像に施し、当該加工を施した画像を前記表示部に表示させる制御部と、を備える画像。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像表示装置において、
前記制御部は、前記特定された被写体画像のフォーカス位置又は重心位置が3分割線の交点に位置する前記元画像のトリミング範囲を設定し、当該トリミング範囲で前記元画像をトリミングし、当該トリミングした画像を前記元画像の大きさに拡大し、当該拡大した画像を前記表示部に表示させる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像表示装置において、
前記制御部は、前記特定された被写体画像を前記元画像から抽出し、当該抽出した被写体画像を、そのフォーカス位置又は重心位置が前記元画像の3分割線の交点になる位置に移動して貼り付け、当該被写体画像を抽出した前記元画像の空白領域を補間し、当該補間した画像を前記表示部に表示させる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像表示装置において、
前記制御部は、前記被写体画像のフォーカス位置又は重心位置を元画像の3分割線の交点に合わせた画像をアート変換し、当該アート変換した画像を前記表示部に表示させる。
【0012】
請求項5に記載の発明のプログラムは、
コンピュータを、
画像を表示する表示部、
外部より供給されて読み込まれた元画像から主要な被写体画像を特定し、当該被写体画像のフォーカス位置又は重心位置を、前記元画像を縦横に3分割したときの3分割線の交点に合わせる加工を前記元画像に施し、当該加工を施した画像を前記表示部に表示させる制御部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、好ましい構図で見栄えの良い画像を簡易に得て表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態の画像表示装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】画像表示処理を示すフローチャートである。
【図3】画像表示処理の第1の画像変換表示処理を示すフローチャートである。
【図4】元画像を示す図である。
【図5】(a)は、第1の実施の形態の3分割構図の3分割線及びフォーカス位置を有する元画像を示す図である。(b)は、トリミング後の画像を示す図である。(c)は、拡大後の画像を示す図である。(d)は、第1の実施の形態のアート変換後の画像を示す図である。
【図6】第1の実施の形態の3分割線及び複数のフォーカス位置を有する元画像を示す図である。
【図7】第2の画像変換表示処理を示すフローチャートである。
【図8】(a)は、第2の実施の形態の3分割構図の3分割線及びフォーカス位置を有する元画像を示す図である。(b)は、被写体画像移動及び貼り付け後の画像を示す図である。(c)は、補間後の画像を示す図である。(d)は、第2の実施の形態のアート変換後の画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明に係る好適な第1及び第2実施の形態を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1〜図6を参照して本発明に係る第1の実施の形態を説明する。先ず、図1を参照して本実施の形態の画像表示装置1の装置構成を説明する。図1に、本実施の形態の画像表示装置1の機能構成を示す。
【0017】
画像表示装置1は、デジタルカメラで撮影された写真画像等の画像を表示するデジタルフォトフレームである。図1に示すように、画像表示装置1は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11と、操作部12と、RAM(Random Access Memory)13と、表示部14と、ROM(Read Only Memory)15と、I/F(InterFace)部16と、フラッシュメモリ17と、メディアコントローラ18と、を備える。画像表示装置1の各部は、バス19を介して接続されている。
【0018】
CPU11は、画像表示装置1の各部を制御する。CPU11は、ROM15に記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムをRAM13に展開し、RAM13に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0019】
CPU11は、ROM15に記憶されている画像表示プログラム151に従い、元画像から主要な被写体画像を特定し、当該特定された被写体画像のフォーカス位置又は重心位置が3分割線の交点に位置するトリミング範囲を設定し、当該トリミング範囲で前記元画像をトリミングし元画像の大きさに拡大し、当該拡大した画像をアート変換して表示部14にスライドショー表示させる。
【0020】
操作部12は、方向キー、決定キー、各種機能キー等の各種キーを含む操作パネルであり、ユーザから押下入力された各キーの操作信号をCPU11に出力する。また、操作部12は、リモートコントローラである構成や、表示部14に一体的に設けられたタッチパネルのタッチパッドを含む構成としてもよい。
【0021】
RAM13は、情報を一時的に格納する揮発性のメモリであり、実行される各種プログラムやこれら各種プログラムに係るデータ等を格納するワークエリアを有する。
【0022】
表示部14は、各種画面及び画像を表示する表示部である。表示部14は、駆動回路141と、表示パネル142と、を有する。駆動回路141は、表示パネル142の各画素に印加する駆動電圧を制御する回路であり、CPU11の指示に従い表示パネル142を駆動制御する。表示パネル142は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示パネルであり、駆動回路141の駆動制御に応じて各種表示を行う。
【0023】
ROM15は、各種プログラム、各種データが記憶される読み出し専用の半導体メモリである。ROM15には、画像表示プログラム151が記憶されている。
【0024】
I/F部16は、通信ケーブルを介して通信ネットワーク又は外部機器に有線接続されるUSB(Universal Serial Bus)等のネットワークインタフェースである。画像表示装置1(CPU11)は、I/F部16を介して、I/F部16に接続されたLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク上のPC(Personal Computer)等の外部機器、又はI/F部16に直接接続された外部機器と通信を行う。なお、画像表示装置1は、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)等の無線通信部や、IrDA(Infrared Data Association)等の赤外線通信部等を備える構成としてもよい。
【0025】
フラッシュメモリ17は、各種データ等の情報が読み出し及び書き込み可能な半導体メモリである。
【0026】
メディアコントローラ18は、SD(Secure Digital)カード等のメモリカード(メディア)Mを挿入するスロットを有し、CPU11の指示に従い、当該スロットに挿入されたメモリカードMの情報の読み出し及び書き込みを行う。
【0027】
次に、図2〜図6を参照して、画像表示装置1の動作を説明する。図2に、画像表示処理を示す。図3に、画像表示処理の第1の画像変換表示処理を示す。図4に、元画像31を示す。図5(a)に、本実施の形態の3分割構図の3分割線313及びフォーカス位置312を有する元画像31aを示す。図5(b)に、トリミング後の画像32を示す。図5(c)に、拡大後の画像33を示す。図5(d)に、本実施の形態のアート変換後の画像34を示す。図6に、本実施の形態の3分割線313及び複数のフォーカス位置312bを有する元画像31bを示す。
【0028】
画像表示装置1では、画像表示処理が実行される。画像表示処理の実行前に、デジタルカメラで被写体が撮影され、当該撮影された被写体及び背景を有する写真画像(以下、元画像という)の画像データが少なくとも1つメモリカードMに記憶されているものとする。画像表示処理は、元画像をスライドショー表示する処理である。この元画像の画像データが記憶されているメモリカードMがメディアコントローラ18のスロットに挿入されているものとする。
【0029】
また、予め、操作部12を介するユーザの設定入力に応じて、第1の画像変換表示処理を実行するか否かが設定され、その設定情報がフラッシュメモリ17に記憶されているものとする。第1の画像変換表示処理は、元画像を3分割構図に変換し、アート変換して表示する処理である。この設定情報は、全画像(画像データ)について第1の画像変換表示処理を実行するか否かの設定情報、又は画像(画像データ)毎に第1の画像変換表示処理を実行するか否かの設定情報である。
【0030】
画像表示装置1において、例えば、操作部12を介してユーザから画像表示処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、CPU11は、ROM15から読み出されて適宜RAM13に展開された画像表示プログラム151との協働で、画像表示処理を実行する。
【0031】
図2に示すように、先ず、CPU11は、メディアコントローラ18により、メモリカードMから表示対象としての全元画像の画像データを読み出しRAM13に格納する(ステップS1)。ステップS1では、操作部12を介するユーザの入力により、メモリカードMに記憶された全画像データのうち、表示対象の任意の画像データを選択できる構成としてもよい。さらに、ステップS1では、例えば、予めI/F部16を介して外部機器から受信された画像データがフラッシュメモリ17に記憶されており、フラッシュメモリ17から表示対象の画像データを読み出すこととしてもよい。
【0032】
そして、CPU11は、操作部12を介してユーザから画像表示処理の終了指示が入力され、画像表示処理を終了するか否かを判別する(ステップS2)。画像表示処理を終了する場合(ステップS2;YES)、画像表示処理が終了される。
【0033】
画像表示処理を終了しない場合(ステップS2;NO)、CPU11は、初期設定された又はステップS8で選択されたスライドショーの表示順の次の1つの元画像の画像データをRAM13から読み込み開始する(ステップS3)。そして、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されている設定情報を参照し、この設定情報に応じて、ステップS3で読み込み開始された画像データについて画像変換処理を実行するか否かを判別する(ステップS4)。画像変換処理を実行する場合(ステップS4;YES)、CPU11は、第1の画像変換表示処理を実行する(ステップS5)。第1の画像変換表示処理は、詳細に後述される。
【0034】
画像変換処理を実行しない場合(ステップS4;NO)、CPU11は、ステップS3の画像データ読み込みを完了し、当該読み込んだ画像データの画像をそのまま表示部14に表示する(ステップS6)。
【0035】
そして、CPU11は、ステップS5又はS6の画像表示開始時から、予め設定された所定時間(例えば、30秒)経過したか否かを判別する(ステップS7)。所定時間経過していない場合(ステップS7;NO)、ステップS7に移行される。所定時間経過した場合(ステップS7;YES)、CPU11は、RAM13に記憶されている画像データのうち、スライドショーの表示順に、次に表示する画像データを選択し(ステップS8)、ステップS2に移行される。
【0036】
図3を参照して、画像表示処理のステップS5の第1の画像変換表示処理を説明する。先ず、CPU11は、ステップS3の画像データ読み込みを完了する(ステップS11)。そして、CPU11は、ステップS11で読み込んだ画像データの画像について、フォーカス位置の近傍に、フォーカス位置を含み、周囲(背景)から分離された主要な被写体の画像領域(以下、被写体画像とする)を抽出可能であるか(特定できるか)否かを判別する(ステップS12)。
【0037】
例えば、図4に示すように、被写体として花が撮影され、被写体画像311を含み、風景が背景画像となっている元画像31について考える。デジタルカメラでの撮影において、撮影者は、通常、撮影したい被写体にフォーカス(焦点)を合わせて撮影する。このフォーカスを合わせた元画像上の座標位置(フォーカス位置)の情報は、デジタルカメラにより画像データ(画像ファイル)に付加情報(EXIF(Exchangeable image file format)情報等)として記録される。
【0038】
従って、ステップS12において、フォーカス位置の情報が画像データに含まれる場合に、CPU11は、そのフォーカス位置の情報を参照して、フォーカス位置の近傍にある被写体画像を撮影者が撮影しようとした特定の被写体と判断することができる。被写体画像の抽出は、周知の被写体画像領域抽出方法を用いて行われる。例えば、コントラストを用いた被写体画像領域抽出方法がある。被写体のコントラスト値は、背景のコントラスト値よりも大きくなるという特性がある。また、被写体のコントラスト値は、非合焦時で低く合焦時で高くなるという特性がある。これらの特性により、コントラスト値が所定閾値よりも大きい領域を元画像から被写体画像として抽出する被写体画像領域抽出方法がある。
【0039】
また、色を用いた被写体画像領域抽出方法がある。例えば、被写体が人の顔である場合に、肌色領域を元画像から被写体画像として抽出する被写体画像領域抽出方法がある。また、被写体が人の顔以外である場合に、画像データ(画像ファイル)に含まれる撮影時の付加情報のフォーカス位置の情報を参照し、当該フォーカス位置を注目領域として色成分の度数分布を作成し、注目領域における主要色成分を少なくとも1つ設定し、元画像を主要色成分の範囲で分類し、その分類結果に応じて、被写体画像を元画像から抽出する被写体画像領域抽出方法がある。
【0040】
例えば、図5(a)に示すように、CPU11は、周知の被写体画像領域抽出方法により被写体画像311が抽出可能であり、抽出可能である被写体画像311の重心位置がフォーカス位置312の近傍(所定距離内)にあるので、その被写体を、撮影者が撮影しようとした特定の被写体であると判断することができる。
【0041】
また、フォーカス位置の情報が画像データに含まれる場合がある。例えば、図6に示すように、フォーカス位置の情報として、3つのフォーカス位置312bが画像データに含まれる場合に、CPU11は、元画像31bにおいて、3つのフォーカス位置312bから1つの代表のフォーカス位置を算出する。例えば、3つのフォーカス位置312bの中心位置を1つの代表のフォーカス位置として算出したり、3つのフォーカス位置312bを含む被写体画像311を抽出し、被写体画像311の重心位置を1つの代表のフォーカス位置として算出したりする。
【0042】
また、ステップS12において、フォーカス位置の情報が画像データに含まれない場合に、CPU11は、元画像の中で高いコントラストの領域を抽出して、その領域の重心位置をフォーカス位置と判断し、その近傍にある被写体画像を、撮影者が撮影しようとした特定の被写体であると判断することができる。
【0043】
例えば、図5(a)において、CPU11は、コントラストが所定値以上の領域の重心位置であるフォーカス位置312を算出し、周知の被写体画像領域抽出方法により被写体画像311を抽出し、抽出した被写体画像311がフォーカス位置312の近傍にあるので、その被写体画像311を、撮影者が撮影しようとした特定の被写体であると判断することができる。なお、ステップS12では、被写体画像を実際に抽出しなくてもよい。
【0044】
フォーカス位置の近傍に被写体画像を抽出可能である(特定できた)場合(ステップS12;YES)、CPU11は、元画像の3分割構図の縦横の3分割線を算出し、ステップS11で抽出可能となった(特定された)被写体画像のフォーカス位置又は重心位置(フォーカス位置が被写体画像内に無い場合)が、算出した3分割線の交点近傍にあるか否かを判別する(ステップS13)。例えば、図5(a)の元画像31において、CPU11は、被写体画像311のフォーカス位置又は重心位置が、3分割線313の右下の交点3131の近傍(所定距離内)にあると判別する。
【0045】
被写体画像のフォーカス位置又は重心位置が3分割線の交点近傍にない場合(ステップS13;NO)、CPU11は、ステップS11で抽出可能となった被写体画像のフォーカス位置又は重心位置が3分割線の交点に位置する元画像のトリミング範囲を設定する(ステップS14)。例えば、図5(b)に示すように、CPU11は、元画像31a内で、被写体画像311のフォーカス位置312が3分割線323の右下の交点3231になる画像32をトリミング範囲として設定する。
【0046】
トリミング範囲としては、元画像31aのできるだけ広い範囲を生かして残すことが好ましい。このため、3分割線323の右下の交点3231を、被写体画像311のフォーカス位置又は重心位置の移動先として選択している。但し、この構成に限定されるものではなく、例えば、操作部12を介するユーザの操作入力により、3分割線の4つの交点のうち、被写体画像のフォーカス位置又は重心位置を合わせる先の1つの交点を選択する構成としてもよい。
【0047】
そして、CPU11は、ステップS14で設定したトリミング範囲で元画像のトリミングを実行し、元画像より小さなトリミング範囲の画像を取得する(ステップS15)。そして、CPU11は、ステップS15で取得したトリミング範囲の画像の大きさを、元画像の大きさに拡大し、拡大したトリミング範囲の画像を取得する(ステップS16)。例えば、図5(c)に示すように、CPU11は、トリミング範囲の画像32を拡大して、元画像と同じ大きさの画像33を取得する。画像33は、拡大後の被写体画像311及び3分割線333を含む。被写体画像311のフォーカス位置312が、3分割線333の右下の交点3331に位置している。
【0048】
そして、CPU11は、ステップS16で拡大した画像にアート変換を実行する(施す)(ステップS17)。アート変換とは、元画像を、点描画風、色鉛筆画風、刺繍画風、油絵風、ポスター画風、ちぎり画風及び水彩画風等の少なくとも一つの画風に加工することである。アート変換の具体的な方法は、例えば、アドビシステム社のフォトショップ(登録商標)等が有するアート変換機能に用いられる方法を用いて実現できる。
【0049】
点描画風への画像変換では、例えば、画像を構成する線又は塗り潰しが、連続していない点の集合に変換される。色鉛筆画風への画像変換では、例えば、画像を構成する塗り潰しが網目状に変換されると共に、網目部分が背景色に変換される。なお、背景色は、例えば、画用紙の色として一般的な色であると良い。刺繍画風への画像変換では、例えば、画像を構成する線又は塗り潰しが、連続していない線の集合に変換される。線の集合で刺繍糸が表されるためである。例えば、図5(d)に示すように、CPU11は、図5(c)の画像33をアート変換して画像34を生成する。
【0050】
そして、CPU11は、ステップS17でアート変換した画像を表示部14に表示し(ステップS18)、第1の画像変換表示処理を終了する。フォーカス位置の近傍に被写体画像を抽出可能でない(特定できない)場合(ステップS12;NO)、又は被写体画像のフォーカス位置又は重心位置が3分割線の交点近傍にある場合(ステップS13;YES)、CPU11は、元画像の画像データを用いて、元画像をそのまま表示部14に表示し(ステップS19)、画像変換処理を終了する。
【0051】
以上、本実施の形態によれば、画像表示装置1は、元画像から被写体画像を特定し、当該特定された被写体画像のフォーカス位置又は重心位置が3分割線の交点に位置する前記元画像のトリミング範囲を設定し、当該トリミング範囲で前記元画像をトリミングし、当該トリミングした画像を拡大し、当該拡大した画像を表示部14に表示させる。このため、被写体画像のフォーカス位置又は重心位置が3分割線の交点に位置する好ましい構図で見栄えの良い画像を簡易に得て表示できる。
【0052】
また、画像表示装置1は、被写体画像のフォーカス位置又は重心位置が元画像の3分割線の交点に位置する前記拡大後の画像をアート変換し、当該アート変換した画像を表示部14に表示させる。このため、さらに見栄えの良い画像を表示できる。
【0053】
(第2の実施の形態)
図7及び図8を参照して、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。図7に、第2の画像変換表示処理を示す。図8(a)に、本実施の形態の3分割構図の3分割線413及びフォーカス位置412を有する元画像41を示す。図8(b)に、被写体画像421移動及び貼り付け後の画像42を示す。図8(c)に、補間後の画像43を示す。図8(d)に、本実施の形態のアート変換後の画像44を示す。
【0054】
本実施の形態の装置として、第1の実施の形態と同様に画像表示装置1を用いる。但し、画像表示装置1のROM15には、図2の画像表示処理のステップS5として、図3の第1の画像変換表示処理に替えて、図7の第2の画像変換表示処理とした画像表示プログラム151が記憶されているものとする。
【0055】
図7及び図8を参照して、画像表示装置1の動作を説明する。上述のように、図3の第1の画像変換表示処理を図7の第2の画像変換表示処理に替えた動作となるので、画像表示処理における第2の画像変換表示処理のみを説明する。
【0056】
図7に示すように、画像表示処理のステップS5として第2の画像変換表示処理が実行される。ステップS21〜S23は、図3のステップS11〜S13と同様である。 被写体画像のフォーカス位置又は重心位置が3分割線の交点近傍にない場合(ステップS23;NO)、CPU11は、ステップS21で抽出可能となった(特定された)被写体画像を元画像から抽出する(ステップS24)。例えば、図8(a)に示すように、CPU11は、被写体画像411、フォーカス位置412及び3分割線413を含む元画像41内から、周知の被写体画像領域抽出方法により被写体画像411を抽出する。
【0057】
ステップS24において、抽出可能な被写体画像が複数ある場合、例えば、一番面積が大きい画像領域等、最も主要な被写体であると推定される画像領域を抽出する。
【0058】
そして、CPU11は、ステップS24で抽出した被写体画像を、そのフォーカス位置又は重心位置が元画像中の縦横の3分割線の交点になる位置に移動して貼り付ける(ステップS25)。CPU11は、被写体画像のフォーカス位置又は重心位置を貼り付ける交点を、3分割線の4つの交点のうちから1つ選択する。例えば、後述する補間処理を簡単にするため、被写体画像のフォーカス位置又は重心位置が最も近い1つの交点を選択したり、操作部12を介するユーザの選択入力に応じた1つの交点を選択したりする。例えば、図8(b)に示すように、CPU11は、被写体画像411を抽出して被写体画像421とし、被写体画像421のフォーカス位置を、3分割線413の右下の交点4231に移動して貼り付けて画像42とする。被写体画像421を抽出した領域が空白領域424となっている。
【0059】
そして、CPU11は、ステップS25の被写体画像の移動及び貼り付け後の画像において、被写体画像を抽出した空白領域を補間する(ステップS26)。被写体画像移動後の空白領域の補間処理は、周知の空白領域補間処理により行われる。例えば、特開平9−259252号公報(信学会論文誌86/1 vol.1.J69-D No.1 pp.91-97)に記載のように、空白領域周囲の画素値を参照し、空白領域周囲から薄い皮を張っていく要領で周囲から中央に向かって空白領域を埋めていく方法がある。しかし、これに限定されるものではない。例えば、図8(c)に示すように、CPU11は、被写体画像421移動及び貼り付け後の画像42の空白領域424を補間して補間領域434とする。
【0060】
ステップS27,S28,S29は、順に、図3のステップS17,S18,S19と同様である。例えば、図8(d)に示すように、CPU11は、図8(c)の画像43をアート変換して画像44を生成する。画像44では、補間領域434が目立っていない。
【0061】
以上、本実施の形態によれば、画像表示装置1は、被写体画像を元画像から抽出し、当該抽出した被写体画像を、そのフォーカス位置又は重心位置が前記元画像の3分割線の交点になる位置に移動して貼り付け、当該被写体画像を貼り付けた画像の空白領域を補間し、当該補間した画像を表示部14に表示させる。このため、被写体画像のフォーカス位置又は重心位置が3分割線の交点に位置する好ましい構図で見栄えの良い画像を簡易に得て表示できる。
【0062】
また、画像表示装置1は、被写体画像のフォーカス位置又は重心位置を元画像の3分割線の交点に合わせた空白領域補間後の画像をアート変換し、当該アート変換した画像を表示部14に表示させる。このため、さらに見栄えの良い画像を表示できるとともに、アート変換により被写体画像を抽出した空白領域をさらに補間できる。よって、ステップS26の空白領域を補間する処理を簡略化することができる。
【0063】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてROM15を使用した例を開示したが、この例に限定されない。
その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0064】
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る画像表示装置及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0065】
例えば、上記各実施の形態では、被写体画像のフォーカス位置又は重心位置を3分割線の交点に合わせる構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、被写体画像の任意の位置を3分割線の交点に合わせる構成としてもよい。また、被写体画像の位置を3分割線の交点近傍に合わせる構成としてもよい。
【0066】
また、上記各実施の形態における画像表示装置の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0067】
1 画像表示装置
11 CPU
12 操作部
13 RAM
14 表示部
15 ROM
16 I/F部
17 フラッシュメモリ
18 メディアコントローラ
19 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
外部より供給されて読み込まれた元画像から主要な被写体画像を特定し、当該被写体画像のフォーカス位置又は重心位置を、前記元画像を縦横に3分割したときの3分割線の交点に合わせる加工を前記元画像に施し、当該加工を施した画像を前記表示部に表示させる制御部と、を備える画像表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記特定された被写体画像のフォーカス位置又は重心位置が3分割線の交点に位置する前記元画像のトリミング範囲を設定し、当該トリミング範囲で前記元画像をトリミングし、当該トリミングした画像を前記元画像の大きさに拡大し、当該拡大した画像を前記表示部に表示させる請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記特定された被写体画像を前記元画像から抽出し、当該抽出した被写体画像を、そのフォーカス位置又は重心位置が前記元画像の3分割線の交点になる位置に移動して貼り付け、当該被写体画像を抽出した前記元画像の空白領域を補間し、当該補間した画像を前記表示部に表示させる請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記被写体画像のフォーカス位置又は重心位置を元画像の3分割線の交点に合わせた画像をアート変換し、当該アート変換した画像を前記表示部に表示させる請求項1から3のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
コンピュータを、
画像を表示する表示部、
外部より供給されて読み込まれた元画像から主要な被写体画像を特定し、当該被写体画像のフォーカス位置又は重心位置を、前記元画像を縦横に3分割したときの3分割線の交点に合わせる加工を前記元画像に施し、当該加工を施した画像を前記表示部に表示させる制御部、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−73422(P2012−73422A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218233(P2010−218233)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】