説明

画像表示装置

【課題】筐体の防水構造に従来よりも高いシール性を得ることが出来る画像表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る画像表示装置は、ベゼル81とバックキャビネット82とを互いに接合固定してなる筐体と、該筐体の内部に収容された画像表示ユニット1と、画像表示ユニット1の画像表示面を覆って設置され外周部がベゼル81の開口縁部とバックキャビネット82の外周縁部との間に挟持された保護パネル2と、保護パネル2の背面外周部とバックキャビネット82の外周縁部との対向面間に介在するループ状のガスケット80とを具え、該ガスケット80は、その内部に1或いは複数の空洞80aを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水構造を有する画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像表示装置においては、例えば図8に示す如く、筐体(92)の内部に、画像表示面(90)を有する画像表示ユニット(9)が収容されており、筐体(92)の前面開口部を透明ガラス製の保護パネル(91)によって塞ぐことにより、画像表示面(90)を保護することが行なわれている。
【0003】
又、筐体(92)の前面開口部と保護パネル(91)との対向面間には、防水シートやガスケット等を介在させて、防水を図ることが提案されている(特許文献1)。
【0004】
例えば筐体(92)の前面開口部と保護パネル(91)との対向面間にリング状のガスケットを介在させた画像表示装置においては、複数本のビスの締結力により筐体(92)と保護パネル(91)の間でガスケットを挟圧して、筐体(92)とガスケットとを密着させると共に、保護パネル(91)とガスケットとを密着させて、筐体(92)の防水を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−309268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、筐体(92)の前面開口部と保護パネル(91)との対向面間にリング状のガスケットを介在させた画像表示装置においては、複数本のビスを十分に締め付けてガスケットを挟圧し、ガスケットの弾性反発力によって、ガスケットの表面を筐体(92)及び保護パネル(91)に強く圧着させる必要があるが、ガスケットの弾性反発力は、ビスによる締結部に近い位置では締結部に作用して、締結部によって受け止められるのに対し、ビスによる締結部から遠い位置では筐体(92)に作用して、筐体(92)によって受け止められることになる。
【0007】
ここで、筐体(92)を合成樹脂から形成した場合、筐体(92)は外力によって変形し易いため、ビスによる締結部から遠い位置では、ガスケットの弾性反発力によって筐体(92)が大きく変形することになる。
この結果、ビスによる締結部から遠い位置では、ガスケットと筐体(92)との間の圧着力が小さくなり、シール性が低下する問題がある。
【0008】
そこで本発明の目的は、筐体の防水構造に従来よりも高いシール性を得ることが出来る画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像表示装置は、
ベゼル(81)とバックキャビネット(82)とを互いに接合固定してなる筐体(8)と、
前記筐体(8)の内部に収容された画像表示ユニット(1)と、
前記ベゼル(81)とバックキャビネット(82)との間に介在し、画像表示ユニット(1)の画像表示面(10)を包囲してループ状に延びる、弾性材料からなるガスケット(80)
とを具え、前記ガスケット(80)は、その内部に1或いは複数の空洞(80a)を有している。
【0010】
より具体的には、本発明に係る画像表示装置は、
ベゼル(81)とバックキャビネット(82)とを互いに接合固定してなる筐体(8)と、
前記筐体(8)の内部に収容された画像表示ユニット(1)と、
前記画像表示ユニット(1)の画像表示面(10)を覆って前記筐体(8)の前面開口部に設置され、外周部が前記ベゼル(81)の開口縁部(83)と前記バックキャビネット(82)の外周縁部(84)との間に挟持された透光性の保護パネル(2)と、
前記保護パネル(2)の背面外周部とバックキャビネット(82)の外周縁部(84)との対向面間、及び/又は、前記保護パネル(2)の前面外周部とベゼル(81)の開口縁部(83)との対向面間に介在し、前記画像表示ユニット(1)の画像表示面(10)を包囲してループ状に延びる、弾性材料からなるガスケット(80)
とを具えている。
【0011】
ここで、ベゼル(81)の開口縁部とバックキャビネット(82)の外周縁部とは、該外周縁部の長手方向に沿う複数箇所にて、ビス(85)により互いに締結されている。
又、ガスケット(80)は、その内部に1或いは複数の空洞(80a)を有している。例えば、複数の空洞(80a)は、ガスケット(80)の長手方向とは直交する任意断面の複数箇所に分散すると共に、ガスケット(80)の長手方向の複数箇所に分散している。
【0012】
上記本発明の画像表示装置によれば、ガスケット(80)は、その内部に1或いは複数の空洞(80a)を有しているので、ガスケット(80)が挟圧力によって圧縮されたとき、空洞(80a)が圧潰されることによって、空洞(80a)を有しない中実のガスケットよりも広い範囲で柔軟な弾性を発揮する。
【0013】
従って、ベゼル(81)とバックキャビネット(82)を合成樹脂から形成した場合においても、ビスによる締結部からの距離に拘わらず、ガスケット(80)は長手方向に均一な弾性反発力を発揮する。
この結果、ガスケット(80)はベゼル(81)やバックキャビネット(82)に対して均一な圧着力で密接し、高いシール性が発揮される。
【0014】
具体的態様において、前記ガスケット(80)は、保護パネル(2)の背面外周部とバックキャビネット(82)の外周縁部(84)との対向面間に介在し、前記保護パネル(2)の前面外周部とベゼル(81)の開口縁部(83)とは互いに当接している。
【0015】
該具体的態様によれば、保護パネル(2)の前面外周部とベゼル(81)の開口縁部(83)との間からベゼル(81)の内側に水が浸入したとしても、水の浸入経路にはガスケットによるシール構造は存在しないので、浸入した水は、保護パネル(2)の前面外周部とベゼル(81)の開口縁部(83)との間に形成される隙間(排水経路)から再びベゼル(81)の外側へ排出されることになる。
従って、ベゼル(81)の内側に水が溜まることはなく、これによって結露が防止される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る画像表示装置によれば、筐体の防水構造に従来よりも高いシール性を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である画像表示装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、該画像表示装置の縦断面図である。
【図3】図3は、該画像表示装置のシール構造を示す分解斜視図である。
【図4】図4は、該画像表示装置のシール部の断面図である。
【図5】図5は、ガスケットの圧縮前の拡大断面図である。
【図6】図6は、ガスケットの圧縮状態の拡大断面図である。
【図7】図7は、画像表示ユニットにボンディング層を介して保護パネルを接合するボンディング工程を示す図である。
【図8】図8は、従来の画像表示装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の一実施形態である画像表示装置は、図1に示す如く、合成樹脂製のベゼル(81)とバックキャビネット(82)を互いに接合固定してなる筐体(8)を具え、該筐体(8)の前面開口部から画像表示面(10)が視認可能となっている。
【0019】
筐体(8)の内部には、図2に示す如く、画像表示面(10)を有する液晶表示パネルを内蔵した画像表示ユニット(1)が収容され、筐体(8)の前面開口部は透明ガラス製の保護パネル(2)によって塞がれている。
尚、保護パネル(2)は強化ガラスを用いて厚さ2.5mm〜6mmに形成されている。
【0020】
又、画像表示ユニット(1)の画像表示面(10)と保護パネル(2)の背面との間には、図4に示す如く、光硬化性樹脂を硬化させてなるボンディング層(3)が、隙間無く介在している。
【0021】
光硬化性樹脂としては、例えば紫外線硬化性を有するアクリル系接着樹脂を用いることが出来る。この場合、図7(a)の如く、画像表示ユニット(1)の表面に光硬化性樹脂(31)を塗布した後、光硬化性樹脂(31)の表面に保護パネル(2)を重ね合わせる。そして、この状態で、図7(b)の如く保護パネル(2)の表面側から紫外線を照射して、光硬化性樹脂(31)を硬化させる(例えばWO2009/011366号公報参照)。
【0022】
これによって、ボンディング層(3)は画像表示ユニット(1)の画像表示面(10)と保護パネル(2)の背面に密着して、画像表示ユニット(1)の前面にボンディング層(3)を介して保護パネル(2)が接合されることになる。
【0023】
図2〜図4に示す如く、保護パネル(2)の背面外周部とバックキャビネット(82)の外周縁部(84)との対向面間には、シリコンゴムからなるループ状のガスケット(80)が介在している。
ガスケット(80)の内部には、図5に示す如く、ガスケット(80)の長手方向とは直交する任意断面において複数箇所に分散すると共にガスケット(80)の長手方向の複数箇所に分散する、複数の空洞(80a)が形成されている。
【0024】
そして、図4の如く、ガスケット(80)の外側にて、バックキャビネット(82)の外周縁部(84)とベゼル(81)の開口縁部(83)とが、開口縁部(83)の長手方向に沿う複数箇所にて、互いに複数本のビス(85)により締結され、これによってバックキャビネット(82)とベゼル(81)とが互いに接合固定されると共に、ビス(85)の締め付け力によってガスケット(80)が強く挟圧されている。
尚、1本のビス(85)の締め付け力は例えば15kgf・cmに設定される。
【0025】
この結果、ガスケット(80)は、図6に示す様に、保護パネル(2)とバックキャビネット(82)の間で圧縮され、扁平な形状に弾性変形することになる。この弾性変形に伴って、ガスケット(80)の内部に形成されている複数の空洞(80a)は、圧縮方向に圧潰される。
このガスケット(80)の弾性反発力によって、ガスケット(80)の表面はバックキャビネット(82)の内面に圧接されると共に、保護パネル(2)の背面に圧接され、バックキャビネット(82)と保護パネル(2)の間に高いシール性が得られることになる。
【0026】
又、保護パネル(2)は、ガスケット(80)を介してバックキャビネット(82)とベゼル(81)との間に挟持され、筐体(8)の開口部に確実に保持されることなる。
【0027】
図2及び図3に示す如く、バックキャビネット(82)の背面には、ガスケット(88)を介して背面蓋(86)が接合固定され、更に背面蓋(86)の背面にはカバー(87)が取り付けられている。
【0028】
上記画像表示装置においては、ガスケット(80)の内部に複数の空洞(80a)が形成されているので、図6の如くガスケット(80)が挟圧力によって圧縮されたとき、空洞(80a)が扁平形状に圧潰されることによって、空洞(80a)を有しない中実のガスケットよりも広い範囲で柔軟な弾性を発揮する。
【0029】
従って、ガスケット(80)は、ビス(85)による締結部からの距離に拘わらず、長手方向に均一な弾性反発力を発揮し、これによって、ベゼル(81)とバックキャビネット(82)は、ビス(85)による締結部からの距離に拘わらず、均一に弾性変形することになる。
この結果、ガスケット(80)はベゼル(81)やバックキャビネット(82)に対して均一な圧着力で密接し、高いシール性が発揮される。
【0030】
上記画像表示装置によれば、ガスケット(80)が発揮する高いシール性によって完全な防水が図られるので、筐体(8)の内部に雨水が浸入する虞はない。従って、屋外での長期間の使用に耐えることが出来る。
【0031】
又、画像表示パネル(5)と保護パネル(2)の間の空間にボンディング層(3)が充填されているので、画像表示パネル(5)から放出される熱がボンディング層(3)を経て効率的に保護パネル(2)に伝わり、保護パネル(2)の表面から外部へ放散されるので、放熱性が良好である。
【0032】
更に又、上記画像表示装置によれば、ベゼル(81)とバックキャビネット(82)の間に保護パネル(2)を挟持する構造によって、保護パネル(2)の重量を確実に支えることが出来る。
ここで、保護パネル(2)は、ガスケット(80)を介してベゼル(81)とバックキャビネット(82)の間に挟持されているので、ガスケット(80)が発揮する緩衝作用により、保護パネル(2)に無理な外力が作用することはない。これによって保護パネル(2)の破損を防止することが出来る。
【0033】
本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、ガスケット(80)の空洞(80a)は、複数箇所に分散させる形態に限らず、ガスケット(80)の中心部を全長に亘って延びる1本の空洞を形成する形態を採用することも可能である。
【0034】
又、保護パネル(2)の前面外周部とベゼル(81)の開口縁部(83)との当接面間には、ベゼル(81)の内側に浸入した水を排出するための排水経路(例えば溝)を形成することにより、ベゼル(81)の内側に水が溜まることを防止することも可能である。
【0035】
又、ガスケット(80)は、保護パネル(2)とバックキャビネット(82)の間のみならず、保護パネル(2)とベゼル(81)の間にも介在させる構成を採用することも可能である。
更に又、ガスケット(80)は画面の全周を包囲するループ状に限らず、例えば四辺の内の下辺において少なくとも一部が欠落したループ形状を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
(1) 画像表示ユニット
(10) 画像表示面
(2) 保護パネル
(3) ボンディング層
(8) 筐体
(80) ガスケット
(80a) 空洞
(81) ベゼル
(82) バックキャビネット
(83) 開口縁部
(84) 外周縁部
(85) ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベゼルとバックキャビネットとを互いに接合固定してなる筐体と、
前記筐体の内部に収容された画像表示ユニットと、
前記ベゼルとバックキャビネットとの間に介在し、画像表示ユニットの画像表示面を包囲して延びる、弾性材料からなるガスケット
とを具え、前記ガスケットは、その内部に1或いは複数の空洞を有していることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
ベゼルとバックキャビネットとを互いに接合固定してなる筐体と、
前記筐体の内部に収容された画像表示ユニットと、
前記画像表示ユニットの画像表示面を覆って前記筐体の前面開口部に設置され、外周部が前記ベゼルの開口縁部と前記バックキャビネットの外周縁部との間に挟持された透光性の保護パネルと、
前記保護パネルの背面外周部とバックキャビネットの外周縁部との対向面間、及び/又は、前記保護パネルの前面外周部とベゼルの開口縁部との対向面間に介在し、前記画像表示ユニットの画像表示面を包囲して延びる、弾性材料からなるガスケット
とを具え、前記ガスケットは、その内部に1或いは複数の空洞を有していることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
前記ガスケットは、保護パネルの背面外周部とバックキャビネットの外周縁部との対向面間に介在し、前記保護パネルの前面外周部とベゼルの開口縁部とは互いに当接している請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記ベゼルの開口縁部と前記バックキャビネットの外周縁部とが、該外周縁部の長手方向に沿う複数箇所にて、ビスにより互いに締結されている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記ベゼルとバックキャビネットは合成樹脂製である請求項1乃至請求項4の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記ガスケットには、その内部に、その長手方向とは直交する任意断面の複数箇所に分散させると共にその長手方向の複数箇所に分散させて、複数の空洞が形成されている請求項1乃至請求項5の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記ガスケットには、その中心部に、その全長に亘って延びる1或いは複数本の空洞が形成されている請求項1乃至請求項5の何れかに記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−93672(P2012−93672A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243007(P2010−243007)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506399941)三洋科技中心(深▲セン▼)有限公司 (35)
【Fターム(参考)】