説明

画像記録再生装置

【課題】 ワイド画角を見ながら、遠くにいる所望の画角に合わせる際に、ワイド画角の大きさを自動で調整することができる自動画角調整アシスト機能を有する画像記録再生装置において、遠くの動いている被写体を撮影する場合において、いち早く画角を合わせられることにある。
【解決手段】 自動画角調整アシスト機能を有する画像記録再生装置において、所望の画角Ateleのサイズ(S103)と、被写体の動きを検出した結果(S105)と、装置の動きを検出した結果(S106)とに基づいて、ワイド画角Awideの大きさを算出し、調整する手段を有する(S107、S108)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動画角調整アシスト機能を備えた画像記録再生装置に関し、特にユーザが被写体の状態を確認しながら画角を合わせる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動画角調整アシスト機能としては、複数の撮像レンズを有し、ワイド画角に固定した撮像レンズからの情報を表示部に表示することで、ユーザが動きの激しい遠くにいる被写体を追い易くしたうえで、回転軸を中心に回転可能にした一方の撮像レンズで、所望の画角に調整する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-244369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、ワイド画角に固定した撮像レンズからの情報を表示部に表示しておくことで、回転可能な撮像レンズを用いて、動きの激しい遠くにいる被写体を所望の画角に収めることは可能である。
【0005】
しかしながら、ワイド画角は固定した状態になるので、被写体が遠くで激しく動いている場合は、被写体の焦点が合っているか、こちらを向いているかなどの、被写体の状態を確認することは難しい。
【0006】
その結果、シャッターチャンスを逃してしまったり、撮影した画像の被写体に焦点が合っていなかったり、目をつぶっていたりと、所望の状態でないことが起こる。
【0007】
さらには、撮像レンズを回転可能な構成にする必要があるため、画像記録再生装置の低コスト化や小型化といった課題を解決することはできない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、動きの激しい遠くにいる被写体を撮影したい場合に、被写体の状態を確認しながら所望の画角に調整して撮影することができる自動画角調整アシスト機能を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
複数の撮像レンズを有する画像記録再生装置であって、
第1の撮像レンズで所望の画角に調整する画角調整手段と、
前記画角調整手段で調整した画角よりワイド画角に、若しくは、前記画角調整手段で調整した画角に設定する第2の撮像レンズで取得した画像と、該第1の撮像レンズで取得した画像とを表示する表示手段と、
該第1の撮像レンズで取得した画像における主被写体の動きを検出する主被写体動き検出手段と、
前記画像記録再生装置自体の動きを検出する装置動き検出手段を備え、
前記画角調整手段と、前記主被写体動き検出手段と、前記装置動き検出手段との結果に基づいて、前記第2の表示手段で表示するワイド画角を調整するワイド画角調整手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自動画角調整アシスト機能を有する画像記録再生装置において、ユーザが、ワイド画角に調整した第2の撮像レンズの情報を表示部に表示させた画像を確認しながら、第1の撮像レンズを用いて、遠くにいる被写体を所望の画角に調整する際に、第2の撮像レンズで取得しているワイド画角を自動で調整する。従って、動きの激しい遠くにいる被写体を所望の画角に合わせながら、被写体の状態を確認してシャッターをきることができる。
【0011】
その結果、遠くの激しく動いている被写体に対しても、被写体を外すことなく所望の画角に容易に調整することができるだけでなく、被写体の状態を確認しながら、シャッターをきることができる。従って、シャッターチャンスを逃してしまったり、撮影した画像の被写体に焦点が合っていなかったり、目をつぶっていたりと、所望の状態でないということがなくなる。
【0012】
さらには、撮像レンズを回転可能な構成にする必要がないため、低コストで小型な画像記録再生装置を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係るキャリブレーションのフローチャート
【図2】本発明の実施例に係るブロック図
【図3】実施例における第2の撮像レンズを調整する前のイメージ図
【図4】実施例における第2の撮像レンズを調整した後のイメージ図
【図5】実施例における動きMを検出する際のイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施例>
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施例について詳細に説明する。図2は、本発明を実施するためのブロック図である。図2に示すように、CPU(中央演算装置)100、ズームレバー200、第1の撮像レンズ300、第2の撮像レンズ400、表示部500、加速度センサ600、シャッターボタン700を備えている。尚、CPU100は、画像情報処理部101、被写体動き検出部102、ワイド画角調整部103、装置動き検出部104とから成る。また、図示しないが、CPU100はコンテンツ管理装置の動作を制御する演算処理装置であり、全てのブロックと接続されており各種プログラムを制御している。
【0015】
図1は、本発明の実施例に係るフローチャートである。撮影が開始される(S100)と、ワイド画角調整部103が、第2の撮像レンズ400を、画像記録再生装置で最もワイドな画角であるワイド画角Awide0になるように調整し、得られた画像情報を表示部500に表示する(S101)。あわせて、第1の撮像レンズで得られた画像情報に対応する画角を表示部500に表示する(S102)。
【0016】
ここで、図3に示すように、撮影者はズームレバー200を操作することで、第1の撮像レンズ300を所望の画角Ateleに調整する(S103)。図3は、第2の撮像レンズを調整する前のイメージ図であり、破線は、第1の撮像レンズ300で得られた所望の画角Atele、実線は、第2の撮像レンズ400で得られたワイド画角Awide0を示している。このイメージ図では中央の走っている被写体を遠くから撮影しようとしているため、所望の画角Ateleまでズームして、画角を合わせようとすると、被写体の動きや手ぶれなどによって、すぐに画角から外れて見失ってしまう。さらには、図3の状態で撮影しようとすると、被写体が下を向いていないか、眼を瞑っていないかなどの状態を確認することが難しく、理想の画像を記録することができない。
【0017】
撮影者によって、所望の画角Ateleに調整されると、ワイド画角調整部103において、所望の画角Ateleのサイズを検出する(S104)。そして、所望の画角Ateleと、ワイド画角Awideのサイズを比較する(S105)。
【0018】
具体的には、以下の式を用いて比較演算する。但し、係数Bは1以上である。
【0019】
係数B × 所望の画角Atele ≦ ワイド画角Awide
例えば、係数Bが2である場合は、所望の画角Ateleがワイド画角Awideに比べて1/2以下のサイズであれば、続いて、被写体動き検出部102において、被写体の動きMを検出する(S106)。一方、所望の画角Ateleがワイド画角Awideに比べて1/2以下のサイズでなければ、撮影者は被写体が所望の状態であることを確認して、シャッターボタン700を押すことで、画像情報処理部101が、第1の撮像レンズ300からの画像を取得し画像の記録処理を行う(S111)。
【0020】
ここで、被写体の動きMを検出する方法について説明する。被写体動き検出部102は、第1の撮像レンズ300からの画像情報の中で、画角の中央にいる主被写体であると思われる被写体の、ある時刻t0における位置(xt0、yt0)と、ある時刻t1における位置(xt1、yt1)とを得る。
【0021】
そして、以上の情報をもとに、以下の式を用いて被写体の動きMをx方向、y方向それぞれで検出する。
【0022】
=(xt1−xt0)/(t1−t0
=(yt1−yt0)/(t1−t0
図5に示すように、時刻t0における主被写体の位置は、所望の画角Ateleの左下を0とすると、(xt0、yt0)=(16.0、14.0)となる。また、時刻t1における被写体の位置は、所望の画角Ateleの左下を0とすると、(xt1、yt1)=(7.0、12.0)となり、t=1、t=4であるとして上式にあてはめると、
=(xt1−xt0)/(t1−t0)=( 7.0−16.0)/(4−1)=−3.0
=(yt1−yt0)/(t1−t0)=(12.0−14.0)/(4−1)=−0.7
となる。尚、単位時間ごとに被写体の動きを検出する方法としては、例えば、所望の画角Atele内を分割して、時刻tにおける、分割したエリア毎の輝度レベルを抑えておく。そして、時刻tまでフレーム毎に輝度レベルを検出し、輝度レベルの変化量とベクトル変化を演算することで、被写体の位置を把握する。
【0023】
次に、画像記録再生装置自体の動きSを検出する(S107)。装置動き検出部104は、加速度センサ600からの情報をもとに、単位時間当たりの装置の動きSを検出する。ここでいう加速度センサとは、ダイヤフラムの位置変化をピエゾ抵抗素子によって検出ピエゾ抵抗型や、梁構造で支えられた微小な可動部でのわずかな位置変化を静電容量の変化として検出する静電容量型であり、3軸を検知することが可能である。
【0024】
ここでは、画像記録再生装置が、撮影者から見て、左下に動いた場合をマイナス方向、一方、右上に動いた場合をプラス方向として、単位時間あたりの動き量Sをx方向、y方向それぞれで検出する。今回は、S=−1.0、S=1.2であるとする。
【0025】
次に、ワイド画角調整部103は、被写体の動きMおよび、装置の動きSの値から、ワイド画角Awideの調整値を算出する(S108)。まず、x方向、y方向それぞれで、被写体の動きM、装置の動きSの合計の動き量MSを算出する。但し、装置の動きSに関しては、どちらの方向に動くかは予想できないので、被写体の動きM、装置の動きS共に、符号については考慮せず加算する。
【0026】
MS=M+S=|-3.0|+|-1.0|=4.0
MS=M+S=|-0.7|+|1.2 |=1.9
次に、被写体の動きや、装置の動き(手ぶれ)によって、所定時間T後の被写体の移動量MTをx方向、y方向それぞれで算出する。ここでは、所定時間T=4秒とする。
【0027】
MT=MS×T=4.0×4.0=-16.0
MT=MS×T=1.9×4.0=7.4
以上の結果から、ワイド画角Awideは、所望の画角Ateleより、x方向に16.0、y方向に7.4大きく設定すれば良いことになる。ここで、所望の画角Ateleは、x方向=32.0、y方向=18.0であることから、ワイド画角Awideは、x方向=32.0+16.0×2=64.0、y方向=18.0+5.2×2=28.4以上に設定する。すなわち、図4に示すように、移動量の大きいx方向に合わせて、ワイド画角Awideは、x方向=64.0、y方向=36.0の大きさ調整し、得られた画像情報を表示部500に表示する(S109)。
【0028】
結果、被写体は4秒の間、ワイド画角内Awide内に収まっている。そのため、撮影者は、4秒の間に被写体を所望の画角Atele内に収めるように、画像記録再生装置を動かして調整することができる。
【0029】
次に、所望の画角であるかを判断し(S110)、所望の画角である場合は、撮影者は被写体が所望の状態であることを確認して、シャッターボタン700を押すことで、画像情報処理部101が、第1の撮像レンズ300からの画像を取得し画像の記録処理を行い(S111)、撮影が終了する(S112)。
【0030】
ここで、本発明の実施例における、被写体動き検出部102では、第1の撮像レンズ300からの画像情報を用いて、被写体の動きを検出しているが、フレームレートを上げた画像から動きを検出してもよい。フレームレートを上げた画像を用いて動きを検出することで、動き検出の精度を増すことができ、より正確にワイド画角Awideを調整することができる。
【0031】
また、ワイド画角調整部103では、ワイド画角Awideを算出しているが、所望の画角Ateleに基づいて、固定した比で、ワイド画角Awideを設定してもよい。例えば、ワイド画角Awideは、所望の画角Ateleの2倍とすることで、被写体の動きや装置の動きを検出する処理がなくなるので、CPU100で行う演算処理を低減できる効果がある。
【0032】
また、ワイド画角調整部103では、ワイド画角Awideを算出しているが、所望の画角Ateleのズーム位置が、所定のズーム位置よりワイド側であった場合、表示部500に第2の撮像レンズ400からの画像を表示せず、第1の撮像レンズ300からの画像を表示してもよい。例えば、被写体の動きや、装置の動き(手ぶれ)によって、所定時間Tの間に、被写体が所望の画角Ateleから外れないような値であれば、ワイド画角Awideを表示する必要はなく、より被写体の状態を確認しやすい状態で撮影できる効果がある。
【0033】
また、表示部500では、第1の撮像レンズ300で得られた画像を、所望の画角Ateleとしてだけを表示するが、だけではなく、第1の撮像レンズ300で得られた画像自体を表示してもよい。第1の撮像レンズ300で得られた画像自体を表示することで、撮影者が、より画質の良い画像で、被写体の状態を確認することができる効果がある。
【0034】
その結果、遠くの激しく動いている被写体に対しても、被写体を外すことなく所望の画角に容易に調整することができるだけでなく、被写体の状態を確認しながら、シャッターをきることができる。従って、シャッターチャンスを逃してしまったり、撮影した画像の被写体に焦点が合っていなかったり、目をつぶっていたりと、所望の状態でないということがなくなる。
【0035】
さらには、撮像レンズを回転可能な構成にする必要がないため、低コストで小型な画像記録再生装置を作ることができる。
【0036】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0037】
また、上述の実施形態の機能を実現する自動画角調整アシスト機能を、画像を記録を行う全ての装置に適応する場合も本発明に含む。
【符号の説明】
【0038】
100.CPU
101.画像情報処理部
102.被写体動き検出部
103.ワイド画角調整部
104.装置動き検出部
200.ズームレバー
300.第1の撮像レンズ
400.第2の撮像レンズ
500.表示部
600.加速度センサ
700.シャッターボタン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像レンズを有する画像記録再生装置であって、
第1の撮像レンズで所定の画角に調整する画角調整手段と、
前記画角調整手段で調整した画角よりワイド画角に、若しくは、前記画角調整手段で調整した画角に設定する第2の撮像レンズで取得した画像と、該第1の撮像レンズで取得した画像とを表示する表示手段と、
該第1の撮像レンズで取得した画像における主被写体の動きを検出する主被写体動き検出手段と、
前記画像記録再生装置自体の動きを検出する装置動き検出手段を備え、
前記画角調整手段と、前記主被写体動き検出手段と、前記装置動き検出手段との結果に基づいて、前記第2の表示手段で表示するワイド画角を調整するワイド画角調整手段を有することを特徴とする画像記録再生装置。
【請求項2】
前記ワイド画角調整手段は、
前記ワイド画角を、前記主被写体動き検出手段の結果に比例して、ワイド方向に画角調整することを特徴とする請求項1に記載の画像記録再生装置。
【請求項3】
前記ワイド画角調整手段は、
前記ワイド画角を、前記装置動き検出手段の結果に比例して、ワイド方向に画角調整することを特徴とする請求項1に記載の画像記録再生装置。
【請求項4】
前記ワイド画角調整手段は、
前記ワイド画角を、前記主被写体動き検出手段と、前記装置動き検出手段との結果に基づいて、所定時間内に主被写体がワイド画角から外れないように調整することを特徴とする請求項1に記載の画像記録再生装置。
【請求項5】
前記主被写体動き検出手段は、
該第1の撮像レンズで取得する画像のフレームレートを上げた画像情報を用いて、主被写体の動きを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像記録再生装置。
【請求項6】
前記ワイド画角調整手段は、
前記ワイド画角と、前記所定の画角との比を所定の比率に固定することを特徴とする請求項1に記載の画像記録再生装置。
【請求項7】
前記ワイド画角調整手段は、
前記所定の画角のズーム位置に基づいて、前記ワイド画角を表示するか否かを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像記録再生装置。
【請求項8】
前記表示手段は、
前記表示部に表示した前記第2の撮像レンズで取得した画像に対して、前記所定の画角内に、前記第1の撮像レンズで取得した画像をインポーズさせて表示することを特徴とする請求項1に記載の画像記録再生装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−81057(P2013−81057A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219777(P2011−219777)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】