説明

画像記録装置

【課題】 画像が記録された記録媒体に対して、再度、印刷を実行する画像記録装置において、その設置スペースを小さくしながら、記録媒体の搬送不良を容易に解消することが可能な画像記録装置を提供する。
【解決手段】 第2搬送機構8は、各々、駆動ローラ84と、従動ローラ83と、搬送ベルト82とを備える搬送ユニット81を列設した構成を有する。各駆動ローラ84は、一方向クラッチを介して駆動モータと接続されている。各搬送ユニット81は、透光板85を備える。各搬送ユニット81は、リンク機構およびガスばねの作用により、搬送位置とメンテナンス位置との間で開閉可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、記録媒体の表面と裏面に対して画像を記録する両面印刷のように、画像が記録された記録媒体に対して、再度、印刷を実行する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な輪転印刷機においては、反転胴を利用して印刷用紙を反転させることにより、印刷用紙の表面と裏面に対して画像を印刷する構成が採用されている。また、近年においては、インクジェット式の画像記録ユニットを利用して搬送手段により搬送される記録媒体上にインクを吐出すること等により、多品種少量生産を可能とした画像記録装置も提案されている。そして、このような画像記録装置においても、記録媒体の表面と裏面に対して画像を記録する構成が採用される(特許文献1乃至特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−89204号公報
【特許文献2】特開2006−103969号公報
【特許文献3】特開2003−207954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような両面印刷を実行するためには、画像記録部において印刷が終了した印刷用紙を、再度、印刷部に搬送する必要がある。このとき、例えば、インクジェット式の画像記録ユニットを複数個列設して多色印刷を実行する場合等においては、印刷が終了した印刷用紙を再度印刷部に搬送するための搬送機構の搬送系路が比較的長くなることから、この搬送機構を画像記録部の上方に配置した場合に、画像記録装置全体の設置スペースを小さくすることができる。
【0005】
しかしながら、搬送系路が長い搬送機構が画像記録部の上方に配置された場合には、その搬送系路中において印刷用紙の紙詰まりが発生した場合には、搬送機構から搬送不良を生じた印刷用紙を取り除くことが困難であるという問題がある。
【0006】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、画像が記録された記録媒体に対して、再度、印刷を実行する画像記録装置において、その設置スペースを小さくしながら、記録媒体の搬送不良を容易に解消することが可能な画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、記録媒体を搬送する第1搬送機構と、前記第1搬送機構に記録媒体を供給する記録媒体供給部と、前記第1搬送機構により搬送される記録媒体に画像を記録する画像記録部と、前記画像記録部により画像が記録された記録媒体を、前記画像記録部の上方を通過させて、再度、前記記録媒体供給部に搬送することにより、当該記録媒体に再度印刷を実行するための第2搬送機構とを備え、前記第2搬送機構は、各々ベルト搬送機構を備えた複数の搬送ユニットを列設した構成を有するとともに、前記各搬送ユニットを、記録媒体を搬送する搬送位置と、前記搬送位置から下降したメンテナンス位置との間で移動させる移動機構を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記各搬送ユニットは、前記ベルト搬送機構の下方に透光板を備える。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記各搬送ユニットの上部には、搬送ユニットを覆う上蓋が配置されるとともに、前記搬送ユニットの上部には、搬送ユニットに向けて光を照射するライトが配設される。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の発明において、前記搬送ユニットにおけるベルト搬送機構による記録媒体の搬送速度を、前記各搬送ユニットのうち前記記録媒体供給部に近い搬送ユニットほど高速とした。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記ベルト搬送機構は、駆動ローラと、従動ローラと、これらの駆動ローラおよび従動ローラに巻回されたベルトとを備えるとともに、前記駆動ローラは、一方向クラッチを介して駆動モータと接続される。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記駆動ローラと前記従動ローラとの距離は、前記第2搬送機構により搬送される記録媒体の搬送ピッチより大きい。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ベルト搬送機構は、駆動ローラと、従動ローラと、これらの駆動ローラおよび従動ローラに巻回されたベルトとを備え、前記ベルト搬送機構による記録媒体の搬送速度を、前記各搬送ユニットのうち前記記録媒体供給部に近い搬送ユニットほど高速とするとともに、前記駆動ローラは、一方向クラッチを介して駆動モータと接続される。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記駆動ローラと前記従動ローラとの距離は、前記第2搬送機構により搬送される記録媒体の搬送ピッチより大きい。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、画像記録部により画像が記録された記録媒体を、画像記録部の上方を通過させて、再度、前記記録媒体供給部に搬送することにより、画像記録装置全体の設置スペースを小さくすることができる。そして、各搬送ユニットを、記録媒体を搬送する搬送位置と、この搬送位置から下降したメンテナンス位置との間で個別に移動させる移動機構を備えることから、記録媒体の搬送不良を容易に解消することが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、ベルト搬送機構の下方に透光板を備えることから、第2搬送機構における各搬送ユニットから粉塵が画像記録部に落下することを防止できる。また、記録媒体の搬送不良が生じたときには、第2搬送機構のうちの搬送不良が生じた搬送ユニットを容易に特定することができることから、その搬送ユニットのみをメンテナンス位置に移動させることにより、記録媒体の搬送不良を容易に解消することが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、上蓋の下方において搬送ユニットに向けて光を照射するライトが配設されることから、搬送不良が生じた搬送ユニットをより容易に特定することが可能となる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、搬送ユニットにおけるベルト搬送機構による記録媒体の搬送速度を記録媒体供給部に近い搬送ユニットほど高速としたことから、第2搬送機構の搬送系路が比較的長い場合においても、記録媒体の搬送不良を防止して、記録媒体を好適に搬送することが可能となる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、駆動ローラが一方向クラッチを介して駆動モータと接続されることから、各搬送ユニットにおけるベルト搬送機構による記録媒体の搬送速度に差違があった場合においても、記録媒体をスムースに搬送することが可能となる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、駆動ローラと従動ローラとの距離が第2搬送機構により搬送される記録媒体の搬送ピッチより大きいことから、記録媒体が3個以上の搬送ユニットにより同時に搬送されることを防止することができる。このため、複数の記録媒体を連続して、搬送速度に差がある複数の搬送ユニットにより搬送した場合においても、搬送不良を生ずることなく、記録媒体を好適に搬送することが可能となる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、搬送ユニットにおけるベルト搬送機構による記録媒体の搬送速度を記録媒体供給部に近い搬送ユニットほど高速としたことから、第2搬送機構の搬送系路が比較的長い場合においても、記録媒体の搬送不良を防止して、記録媒体を好適に搬送することが可能となる。このときに、駆動ローラが一方向クラッチを介して駆動モータと接続されることから、各搬送ユニットにおけるベルト搬送機構による記録媒体の搬送速度に差違があった場合においても、記録媒体をスムースに搬送することが可能となる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、駆動ローラと従動ローラとの距離が第2搬送機構により搬送される記録媒体の搬送ピッチより大きいことから、記録媒体が3個以上の搬送ユニットにより同時に搬送されることを防止することができる。このため、複数の記録媒体を連続して、搬送速度に差がある複数の搬送ユニットにより搬送した場合においても、搬送不良を生ずることなく、記録媒体を好適に搬送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明に係る画像記録装置の側面概要図である。
【図2】第2搬送機構8の概要を示す側面図である。
【図3】第2搬送機構8の概要を示す平面図である。
【図4】第2搬送機構の要部を下方から見た斜視図である。
【図5】第2搬送機構の要部を下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はこの発明に係る画像記録装置の側面概要図である。
【0025】
この画像記録装置は、テーブル1上に吸着孔を利用して吸着保持された記録媒体としての印刷用紙に画像の記録を行うものであり、給紙部2と、排紙部4と、一定間隔で配置された10個のテーブル1(図1においては、その一部のみを図示している)を周回軌道に沿って移動させるテーブル移動機構5と、このテーブル移動機構5により移動するテーブル1上の印刷用紙に画像を記録する画像記録部3と、タッチパネル式の入出力部を有するGUI(Graphical User Interface)6と、印刷用紙を反転する反転部7と、反転部7で反転された印刷用紙を給紙部2に搬送する第2搬送機構8とを備える。
【0026】
給紙部2は、サッカー部40と、流し部50とから構成される。サッカー部40は、重畳された多数の印刷用紙をその上部から吸着保持し、一枚ずつ流し部に供給するためのものである。また、流し部50は、サッカー部40から供給された印刷用紙を、周回軌道に沿って移動するテーブル1に供給するためのものである。
【0027】
画像記録部3は、テーブル移動機構5により一方向に走行するテーブル1の上面に吸着保持された印刷用紙に対し、インクジェット方式で画像を記録するものである。この画像記録部3は、前処理剤塗布ヘッド21と、4個の記録ヘッド22、23、24、25と、5個のヒータ26、28、29、30、31と、この発明の検出部として機能するスキャナ32とを備える。
【0028】
前処理剤塗布ヘッド21は、4個の記録ヘッド22、23、24、25により画像を記録する前に、印刷用紙に透明な前処理剤を塗布するものである。この前処理剤としては、例えば、グロス系の印刷用紙や光沢系の印刷用紙を使用したときに、インクの印刷用紙への付着性を向上させるためのアンカーコートが使用される。
【0029】
4個の記録ヘッドは、ブラックインク用の記録ヘッド22と、シアンインク用の記録ヘッド23と、マゼンタインク用の記録ヘッド24と、イエローインク用の記録ヘッド25である。これらの記録ヘッド22、23、24、25は、一方向に移動するテーブル1の上方に配設されている。そして、これらの記録ヘッド22、23、24、25は、テーブル1の移動方向と直交する方向に列設された多数のインクジェットノズルを備え、これらのインクジェットノズルから印刷用紙上にインクを吐出して画像を記録する。
【0030】
5個のヒータは、プレヒート用のヒータ26と、中間ヒート用のヒータ28、29、30と、メインヒート用のヒータ31とである。これらのヒータ26、28、29、30、31は、印刷用紙に熱風を吹き付ける構成となっている。また、スキャナ32は、ライン状のCCDカメラを備え、印刷用紙のサイズを測定するとともに記録された画像全体やパッチの濃度を測定する構成となっている。
【0031】
テーブル移動機構5は、無端状搬送機構を備える。この無端状搬送機構は、一対のスプロケット46に巻回されたチェーン44を有する。そして、一方のスプロケット46の側方にはスプロケット47が付設されており、このスプロケット47は、モータの駆動により回転する駆動スプロケット48および従動スプロケット49と、チェーン51により連結されている。このため、チェーン44は、駆動スプロケット48の駆動により、一対のスプロケット46に巻回された状態で回動する。
【0032】
このテーブル移動機構5は、上述した無端状搬送機構により10個のテーブル1を周回軌道に沿って高速で移動させるとともに、画像の記録時にはこれらのテーブル1を無端状搬送機構から切り離して、リニアモータ機構61により精度よく一方向に移動させる構成となっている。そして、このときテーブル1は、リニアガイドのレールにより案内される。
【0033】
なお、テーブル1の走行経路の下方には、上述した吸着ファン55が配設されている。また、テーブル1は中空状の構造を有する。そして、テーブル1の表面にはテーブル1の中空部と連通する吸着孔が形成されている。このため、吸着ファン55から排気を行うことにより、テーブル1の表面に供給された印刷用紙をこの吸着孔を介してテーブル1上に吸着保持することが可能となる。
【0034】
なお、上述したテーブル1およびテーブル移動機構5は、画像の記録時に記録媒体である印刷用紙を搬送する、この発明に係る第1搬送機構として機能する。
【0035】
排紙部4は、印刷用紙をその外周部に巻回してテーブル1から分離する排紙胴77と、排紙胴77から受け取った印刷用紙を搬送するためのコンベア73、76を備える。この排紙部4は、排紙胴77から受け取った印刷用紙を、コンベア73、76を介して、図示を省略したストッカー部に排出する。
【0036】
この排紙部4の上方に配置された反転部7は、排紙部4上において印刷用紙をスイッチバック式に反転して、複数の搬送ユニット81からなる第2搬送機構8により、給紙部2に再度搬送するためのものである。
【0037】
次に、上記の構成を有する画像記録装置により、印刷用紙の両面に画像の記録を行う画像記録動作について説明する。
【0038】
印刷用紙の両面に画像の記録を行うときには、無端搬送機構により周回軌道に沿って移動する10個のテーブル1のうち、1番目のテーブル1に対して流し部50から1枚目の印刷用紙供給され、この印刷用紙が1番目のテーブル1上に装着される。この印刷用紙に対して、画像記録部3における記録ヘッド22、23、24、25により画像が記録される。さらに、サッカー部40において次の印刷用紙の供給の準備がなされる。この2枚目の印刷用紙は、1枚目の印刷用紙が装着された1番目のテーブル1の次のテーブル1をとばして、3番目のテーブル1に装着される。
【0039】
引き続き画像の記録動作を継続すると、1枚目の印刷用紙は、反転部7に搬送される。また、3番目のテーブル1に装着された印刷用紙には、画像記録部3における記録ヘッド22、23、24、25により画像が記録される。さらに、5番目のテーブル1には、3枚目の印刷用紙が装着される。
【0040】
さらに画像の記録動作を継続すると、1枚目の印刷用紙は、第2搬送機構8により流し部50に向けて搬送される。また、2枚目の印刷用紙は、反転部7に搬送される。また、3枚目の印刷用紙は5番目のテーブル1に装着されて搬送される。4枚目の印刷用紙は、7番目のテーブル1に装着されて搬送され、画像記録部3における記録ヘッド22、23、24、25により画像が記録される。さらに、5枚目の印刷用紙がサッカー部40より供給される。
【0041】
さらに画像の記録動作を継続すると、6枚目の印刷用紙は1番目のテーブル1に装着されて搬送され、画像記録部3における記録ヘッド22、23、24、25により画像が記録される。さらに、サッカー部40において7枚目の印刷用紙の供給の準備がなされる。この7枚目の印刷用紙は、6枚目の印刷用紙が装着された1番目のテーブル1の次のテーブル1をとばして、3番目のテーブル1に装着されることになる。そして、6枚目の印刷用紙が装着された1番目のテーブル1と7枚目の印刷用紙が装着される3番目のテーブル1との間の2番目のテーブル1に、表面の画像の記録が終了した1枚目の印刷用紙が装着される。
【0042】
さらに画像の記録動作を継続すると、その表面に対する画像の記録が終了した印刷用紙と画像を記録していない印刷用紙が、交互にテーブル1に装着され、画像記録部3により印刷用紙の表面への画像の記録と印刷用紙の裏面への画像の記録とが、交互に実行される。そして、その両面への画像の記録が完了した1枚目の印刷用紙は、排紙部4のストッカー部に排出される。
【0043】
この状態においては、第2搬送機構8により搬送される印刷用紙は、その表面にのみ画像の記録が行われた印刷用紙である。このため、第2搬送機構8により搬送される印刷用紙の搬送ピッチは、画像記録部3において画像が記録されるときの印刷用紙の搬送ピッチの倍となっている。
【0044】
次に、この発明の特徴部分である第2搬送機構8の構成について説明する。図2は第2搬送機構8の概要を示す側面図であり、図3はその平面図である。また、図4および図5は、第2搬送機構の要部を下方から見た斜視図である。なお、図4は搬送ユニット81が搬送位置に配置された状態を示し、図5は搬送ユニット81がメンテナンス位置に配置された状態を示している。
【0045】
この第2搬送機構8は、上述した図1や、図2および図3に示すように、各々ベルト搬送機構を備えた複数の搬送ユニット81を列設した構成を有する。このベルト搬送機構は各々、駆動ローラ84と、従動ローラ83と、これらの駆動ローラ84および従動ローラ83に巻回された搬送ベルト82とを備える。そして、各駆動ローラ84は、一方向クラッチ86を介して駆動モータ87と接続されている。なお、この搬送機構の上方には、搬送すべき印刷用紙を搬送ベルト82に押圧するための図示を省略した複数のガイドボールが配設されている。
【0046】
また、各搬送ユニット81は、ベルト搬送機構の下方に、透光板85を備えている。この透光板85は、ガラスや、透光性樹脂から構成される。また、図2に示すように、各搬送ユニット81の上方には、搬送ユニット81内に粉塵が侵入することを防止するための上蓋94が配設されている。そして、この上蓋94の下面には、各搬送ユニット81に向けて光を照射するためのLED等のライト95が配設されている。
【0047】
これらの、ベルト搬送機構と透光板85とは、枠体99(図4および図5参照)により支持されている。そして、枠体99に支持されたベルト搬送機構や透光板85から成る4個の搬送ユニット81は、リンク機構92およびガスばね91の作用により、装置本体を構成するフレーム96に対して、図4に示す搬送位置と、図5に示すメンテナンス位置との間で開閉可能となっている。
【0048】
すなわち、図4および図5に示すように、枠体99に支持されたベルト搬送機構や透光板85かから成る搬送ユニット81は、リンク機構92を介してフレーム96と連結されている。この搬送ユニット81が図4に示す搬送位置にある状態から、オペレータがハンドル93を回転させることにより、搬送ユニット81は、図5に示すメンテナンス位置まで下降する。この下降時には、ガスばね91の作用により、その下降速度が制限される。
【0049】
ここで、搬送位置とは、図4に示すように、駆動ローラ84と従動ローラ83と搬送ベルト82からなる搬送機構により、印刷用紙を搬送するための位置である。また、メンテナンス位置とは、各搬送ユニット81において印刷用紙の搬送不良が発生した場合に、その印刷用紙を取り除いて搬送ユニット81のメンテナンスを行うための位置である。
【0050】
各搬送ユニット81におけるベルト搬送機構の搬送速度は、各搬送ユニット81のうち給紙部2に近い搬送ユニット81ほど高速で、反転部7に近い搬送ユニット81ほど低速となるように、各搬送モータ87の回転速度が設定されている。このため、搬送ユニット81により順次搬送される印刷用紙は、搬送が進むにつれて順次高速となる状態で搬送される。そして、上述したように、各駆動ローラ84は、一方向クラッチ86を介して駆動モータ87と接続されている。このため、第2搬送機構8の搬送系路が比較的長い場合においても、印刷用紙の搬送不良を防止して、印刷用紙を好適に搬送することが可能となる。
【0051】
なお、ベルト搬送機構を構成する駆動ローラ84と従動ローラ83との距離は、第2搬送機構8により搬送される記録媒体の搬送ピッチより大きくなるように設定されている。ここで、上述したように、第2搬送機構8により搬送される印刷用紙の搬送ピッチは、画像記録部3において画像が記録されるときの印刷用紙の搬送ピッチの倍となっている。このため、ベルト搬送機構を構成する駆動ローラ84と従動ローラ83との距離は、印刷用紙の最大長さより大きくした場合には、ベルト搬送機構を構成する駆動ローラ84と従動ローラ83との距離を、第2搬送機構8により搬送される記録媒体の搬送ピッチより大きく設定することができる。
【0052】
このように、ベルト搬送機構を構成する駆動ローラ84と従動ローラ83との距離を、第2搬送機構8により搬送される記録媒体の搬送ピッチより大きくなるように設定した場合には、印刷用紙が3個以上の搬送ユニット81により同時に搬送されることを防止することができる。このため、複数の印刷用紙を連続して、搬送速度に差がある複数の搬送ユニット81により搬送した場合においても、搬送不良を生ずることなく、印刷用紙を好適に搬送することが可能となる。
【0053】
このような第2搬送機構8により印刷用紙を搬送した場合に、何らかの原因で印刷用紙に搬送不良が発生し、印刷用紙が第2搬送機構8内で停滞した場合、各搬送ユニット81の下面は透光板85から構成されていることから、4個の搬送ユニット81のうちのどの搬送ユニット81の位置で印刷用紙が停滞しているかを確認することができる。なお、搬送ユニット81内に粉塵が侵入することを防止するための上蓋94が配設されており、通常は印刷用紙の確認は容易ではないが、この発明に係る画像記録装置においては、この上蓋94の下面に各搬送ユニット81に向けて光を照射するためのライト95が配設されていることから、印刷用紙の停滞をより容易に確認することが可能となる。
【0054】
そして、印刷用紙がどの搬送ユニット81において停滞しているかの確認ができれば、その搬送ユニット81のみを、図4に示す搬送位置から図5に示すメンテナンス位置まで移動させることにより、容易に、その搬送不良の解消を図ることが可能となる。
【0055】
なお、上述した実施形態においては、印刷用紙の両面に画像を記録する両面印刷機にこの発明を適用した場合について説明したが、追い刷りを行う印刷機等にこの発明を適用してもよい。
【0056】
また、上述した実施形態においては、インクジェット方式で画像を記録する画像記録装置にこの発明を適用しているが、電子写真方式や、オフセット印刷方式等の、その他の各種の画像記録装置にこの発明を適用してもよい。
【0057】
さらに、印刷用紙以外の記録媒体に画像を記録する画像記録装置にこの発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 テーブル
2 給紙部
3 画像記録部
4 排紙部
5 テーブル移動機構
6 GUI
7 反転部
8 第2搬送機構
21 前処理剤塗布ヘッド
22 記録ヘッド
23 記録ヘッド
24 記録ヘッド
25 記録ヘッド
32 スキャナ
40 サッカー部
44 チェーン
46 スプロケット
47 スプロケット
48 駆動スプロケット
50 流し部
51 チェーン
55 吸着ファン
61 リニアモータ機構
77 排紙胴
81 搬送ユニット
82 搬送ベルト
83 従動ローラ
84 駆動ローラ
85 透光板
86 一方向クラッチ
87 駆動モータ
91 ガスばね
92 リンク機構
93 ハンドル
95 ライト
96 フレーム
99 枠体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する第1搬送機構と、
前記第1搬送機構に記録媒体を供給する記録媒体供給部と、
前記第1搬送機構により搬送される記録媒体に画像を記録する画像記録部と、
前記画像記録部により画像が記録された記録媒体を、前記画像記録部の上方を通過させて、再度、前記記録媒体供給部に搬送することにより、当該記録媒体に再度印刷を実行するための第2搬送機構とを備え、
前記第2搬送機構は、各々ベルト搬送機構を備えた複数の搬送ユニットを列設した構成を有するとともに、
前記各搬送ユニットを、記録媒体を搬送する搬送位置と、前記搬送位置から下降したメンテナンス位置との間で移動させる移動機構を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像記録装置において、
前記各搬送ユニットは、前記ベルト搬送機構の下方に透光板を備える画像記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像記録装置において、
前記各搬送ユニットの上部には、搬送ユニットを覆う上蓋が配置されるとともに、
前記搬送ユニットの上部には、搬送ユニットに向けて光を照射するライトが配設される画像記録装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の画像記録装置において、
前記搬送ユニットにおけるベルト搬送機構による記録媒体の搬送速度を、前記各搬送ユニットのうち前記記録媒体供給部に近い搬送ユニットほど高速とした画像記録装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像記録装置において、
前記ベルト搬送機構は、駆動ローラと、従動ローラと、これらの駆動ローラおよび従動ローラに巻回されたベルトとを備えるとともに、
前記駆動ローラは、一方向クラッチを介して駆動モータと接続される画像記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像記録装置において、
前記駆動ローラと前記従動ローラとの距離は、前記第2搬送機構により搬送される記録媒体の搬送ピッチより大きい画像記録装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像記録装置において、
前記ベルト搬送機構は、駆動ローラと、従動ローラと、これらの駆動ローラおよび従動ローラに巻回されたベルトとを備え、
前記ベルト搬送機構による記録媒体の搬送速度を、前記各搬送ユニットのうち前記記録媒体供給部に近い搬送ユニットほど高速とするとともに、
前記駆動ローラは、一方向クラッチを介して駆動モータと接続される画像記録装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像記録装置において、
前記駆動ローラと前記従動ローラとの距離は、前記第2搬送機構により搬送される記録媒体の搬送ピッチより大きい画像記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−68457(P2011−68457A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220517(P2009−220517)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】