説明

画像記録装置

【課題】剛性の高い被搬送媒体を挿入口に挿入する際に、挿入口を確認しづらく、ユーザにとって操作性が良くないといった虞があった。
【解決手段】画像記録後の用紙を支持し、排紙トレイ22の前方の先端から突出する補助トレイ23のストッパ部233の回動方向先端に補助コロ236が設けられている。補助コロ236は、メディアトレイ71の挿入向き70A及び排出向きの両向きに回動可能である。ユーザはメディアトレイ71を挿入口81に挿入する際、メディアトレイ71を補助コロ236に支持させつつ、挿入向き70Aに挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送媒体を外部から挿入させて、被搬送媒体を内部に搬送して画像を記録することが出来る画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
剛性の高い被搬送媒体、例えば薄型形状でシートに比べて折り曲げ困難な被搬送媒体を外部から挿入させて、当該被搬送媒体を内部に搬送させて、画像を記録することが出来る画像記録装置がある。このような画像記録装置の一例として、CDやDVDなどの被記録媒体或いは当該被記録媒体を載置可能であってトレイなどの剛性の高い被搬送媒体を搬送させて、当該被記録媒体に画像を記録する画像記録装置がある。剛性の高い被搬送媒体は、画像記録装置の装置手前側に設けられた挿入口に挿入され、画像記録装置内を搬送される。
【0003】
特許文献1に記載の画像記録装置は、装置奥側の給紙トレイから給紙された用紙は、搬送ローラ対によって記録部に搬送され、記録された用紙を正転駆動する排出ローラ対によって、用紙の搬送経路の下側であり、装置手前側の排出スタッカ上に排出することが記載されている。なお、排出スタッカは、装置奥側の第1排出スタッカと、当該第1排出スタッカよりも装置手前側の第2排出スタッカから構成されている。また、第1排出スタッカには、CD−Rを載置可能なトレイを挿入するために、奥行き方向に沿って貫通した挿入口が設けられている。
【0004】
特許文献1に記載の画像記録装置において、操作部を介して、CD−Rに対する印刷開始の指令がなされると、第1排出スタッカの挿入口が、用紙の搬送経路と一致する高さになるまで上昇しつつ、当該第1排出スタッカが、第2排出スタッカを乗り越えるようにして装置手前側に移動する。そして、ユーザが、トレイを第1排出スタッカの挿入口を経て、第1排出スタッカの装置奥側に配置される排出ローラ対によって挟持されるまで挿入する。その後、排出ローラ対が逆転駆動することにより、トレイが画像記録装置内に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−277002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の画像記録装置などの多くの画像記録装置では、トレイを挿入口に挿入する際、通常ユーザは画像記録装置の上方から挿入口を確認して挿入する。この場合、ユーザは本来の挿入口よりも、小さい挿入口を目視することになるので、挿入口が確認しづらくなる。さらに、トレイを挿入口に挿入する際の高さの位置決めが存在しないため、ユーザにとってトレイを挿入する際に操作性が悪くなるといった虞があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、剛性の高い被搬送媒体を装置内に挿入する際に、ユーザの操作性を向上することができる画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、請求項1記載に記載の画像記録装置は、シート状の第1被搬送媒体を収容可能な収容部と、前記第1搬送媒体及び、前記第1被搬送媒体よりも剛性の大きい第2被搬送媒体に画像を記録する記録手段と、前記記録手段による記録中に前記第1被搬送媒体及び前記第2被搬送媒体が搬送される搬送経路と、前記搬送経路において、記録された第1被搬送媒体及び第2被搬送媒体を排出する向きである排出向きと、前記第2被搬送媒体を前記排出向きとは反対の挿入向きとに搬送可能な搬送手段と、前記搬送手段の挿入向きの上流側に位置し、前記第2被搬送媒体が搬送手段に向かって挿入向きに挿入される挿入口と、前記挿入口を介して挿入向きに挿入される前記第2被搬送媒体の上下方向の下面と当接する当接部が設けられ、前記当接部から挿入向き上流側へ前記収容部に収容される最大大きさの第1被搬送媒体の長さ以上離れた位置に位置し、前記第2被搬送媒体を下から支持する支持部を有する支持手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の画像記録装置は、前記支持手段は、排出向きの上流側から下流側に向かうにつれて、上下方向に上昇するように支持部へと延び、前記第2被搬送媒体が前記排出向きに搬送される場合に前記第2被搬送媒体の排出向きの先端部とが当接する案内部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項3記載の画像記録装置は、前記案内部の上端と下端との間に、前記当接部の上下方向の位置が設定されることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項4記載の画像記録装置は、前記支持手段は、前記第2被搬送媒体の排出向き及び挿入向きに回転可能な回転体を備え、前記回転体の頂点を支持部とすることを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項5記載の画像記録装置は、前記挿入口の下方に設けられ、排出された前記第1被搬送媒体を載置可能な載置部とを備え、前記支持手段は、前記載置部の挿入向きの上流側に設けられ、更に前記支持手段は、排出された前記第1被搬送媒体が排出向きに搬送される場合に前記第1被搬送媒体の排出向きの先端部が当接する受部を備えることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項6記載の画像記録装置は、前記受部と前記案内部とが、第1被搬送媒体及び第2被搬送媒体の搬送方向と上下方向と直交する左右方向に並列に設けられており、
前記第2被搬送媒体の排出向きの下流側の先端部には、前記案内部と当接し、前記案内部の搬送方向の長さよりも長い突起部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、第2被搬送媒体を挿入口に挿入する際に、挿入方向である第2向きの上流側において、第2被搬送媒体を支持部を有する支持手段によって支持するので、支持部が挿入口の上下方向における高さの位置決めとなる。したがって、ユーザは位置決めである支持部によって第2被搬送媒体を支持されながら挿入することが可能になるので、操作性が向上するといった効果を奏することができる。
【0015】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明が奏する効果に加え、案内部が支持部へと上方に延びているので、第2被搬送媒体の先端が排出時に支持部よりも下方に位置していたとしても、その排出動作を妨げることなく、円滑に動作するといった効果を奏する。
【0016】
また、請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明が奏する効果に加え、案内部の上端と下端との間に当接部の上下方向の位置が設定されることで、第2被搬送媒体を排出する際に、第2被搬送媒体が自重でその排出方向の先端が自重により垂れ下がったとしても、第2被搬送媒体の排出動作を妨げることなく円滑に動作する、と共に第2被搬送媒体を排出動作の完了時には、第2被搬送媒体が当接部よりも高い位置で支持するのことができるので、第2被搬送媒体の落下を防止することができるといった効果を奏する。
【0017】
また、請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明が奏する効果に加え、回転体が第2被搬送媒体の排出動作及び挿入動作時に、排出向き及び挿入向きに回転するので、第2被搬送媒体の両動作を妨げることなく、より円滑に動作するといった効果を奏する。
【0018】
また、請求項5記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明が奏する効果に加え、載置部の上下方向の位置は挿入口よりも下方であるので、第2被搬送媒体を載置部に載置したままの状態にしたとしても、第2被搬送媒体の挿入動作及び排出動作を可能にすることができるといった効果を奏する。
【0019】
また、請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明が奏する効果に加え、受部と案内部とが左右方向に並列に並べて設けられることで、受部と案内部とが上下で重なった状態で設けられる場合と比較すると、定められた高さ内で、案内部の高さを十分に得ることが出来る。さらに、第2被搬送媒体に案内部と当接する突起部を設けたので、定められた高さ内で、第1被搬送媒体の当接と、第2被搬送媒体の当接とを実現できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】複合機10の外観の斜視図を示した図面である。
【図2】プリンタ部11の内部構造を横断面で示した図面である。
【図3】メディアトレイ71の斜視図を示した図面である。
【図4】トレイ体20の斜視図を示した図面である。
【図5】排紙トレイ22に収容される補助トレイ23が支持姿勢をとる際の斜視図を示した図面である。
【図6】(a)は画像記録後の用紙が排紙トレイ22に向かう状態を表した図面であり、(b)は画像記録後の用紙が第2ローラ対59による挟持から開放され、排紙トレイ上に載置される状態を表す図である。
【図7】(a)はユーザによって補助コロ236にメディアトレイ71が載置された状態を表す図面であり、(b)はユーザによってメディアトレイ71が挿入口81に挿入される状態を表す図面であり、(c)はユーザによって挿入口81に挿入されたメディアトレイ71が第2ローラ対59に挟持された状態を表す図面である。
【図8】(a)は第2ローラ対59によって排出されるメディアトレイ71の排出向き70Bにおける先端が補助コロ236に当接した状態を表す図面であり、(b)はメディアトレイ71が補助コロ236を乗り越えた状態を表す図面であり、(c)はメディアトレイ71の排出動作が完了した状態を表す図面であり、(d)は排紙トレイ22上に用紙がある場合に、メディアトレイ71を用いている状態を表す図面である。
【図9】(a)は傾斜面242を有するストッパ部233の斜視図を示す図であり、(b)は傾斜面242にメディアトレイ71の突起部72が近づいていく様子を示した図であり、(c)は排紙された用紙がストッパ部233に当接した状態を表す図であり、(d)は、第2ローラ対59によって排出されるメディアトレイ71の突起部72が傾斜面242に当接した状態を表す図であり、(e)は、メディアトレイ71が支持部240を乗り越えた状態を表す図である。
【図10】(a)及び(b)は傾斜面252を有するストッパ部233の斜視図を示す図面であり、(c)は排紙された用紙がストッパ部233に当接した状態を表す図面であり、(d)は第2ローラ対59によって排出されるメディアトレイ71の排出向き70Bにおける先端が傾斜面252に当接した状態を表す図面であり、(e)はメディアトレイ71が支持部250を乗り越えた状態を表す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、開口12が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8を定義し、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9を定義する。
【0022】
[第1実施形態]
<複合機10>
図1に示されるように、本発明の画像記録装置の一例である複合機10は、概ね薄型の直方体に形成されており、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
【0023】
プリンタ部11は、筐体13を有する。筐体13の前側には、開口12が形成されており、給紙トレイ21(本発明の収容部の一例)及び排紙トレイ22(本発明の載置部の一例)を有するトレイ体20が、前記開口12から前後方向8に挿抜可能である。給紙トレイ21には、所望のサイズの用紙(本発明の第1被搬送媒体の一例)が載置される。また、排紙トレイ22には、プリンタ部11による画像記録済みの用紙が排出される。
【0024】
<プリンタ部11>
図2に示されるように、プリンタ部11は、給紙トレイ21から用紙をピックアップして給送する給送部14と、給送部14によって給送された用紙にインク滴を吐出して用紙に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24(本発明の記録手段の一例)などを備えている。なお、図2では、トレイ体20の前方側(紙面右側)の図示が省略されている。また、記録部24はインクジェット方式に限られず、電子写真方式などの種々の記録方式のものが適用可能である。
【0025】
複合機10は、主にコンピュータなどの外部機器(不図示)に接続された状態で使用される。プリンタ部11は、外部機器から受信した印刷データなどに基づいて、用紙に画像を記録する。また、複合機10は、用紙よりも厚みがあって剛性の強い媒体、例えばCD−ROMやDVD−ROMメディアなどの記録メディアの盤面上に記録部24によって画像を記録する機能を有する。
【0026】
複合機10に装着された給紙トレイ21の奥側には、分離傾斜板211が配設されている。分離傾斜板211は、給紙トレイ21の前後方向8における後端部において左右方向9(図2の紙面に垂直な方向)に渡って後方斜め上方に延設されている。分離傾斜板211は、給紙トレイ21から繰り出された用紙を分離して上下方向7において上方へ案内する。
【0027】
分離傾斜板211の上方には、搬送経路65が形成されている。搬送経路65は、分離傾斜板211の上側から上方且つ複合機10の正面側へ曲がって、装置の背面側から正面側に延出され、さらに第1ローラ対58による挟持位置、記録部24の下側、及び第2ローラ対59による挟持位置を通過して排紙トレイ22へ通じている。
【0028】
用紙は、搬送経路65を搬送向き65A(図2において矢印付きの二点鎖線で示される向き)に案内される。つまり、給紙トレイ21から繰り出された用紙は、搬送経路65により下方から上方へUターンするように案内されて記録部24に至る。当該用紙は、記録部24により画像記録が行われた後、排紙トレイ22に排出される。また、搬送経路65は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって区画されている。
【0029】
<給送部14>
給紙トレイ21の上側には、給紙ローラ15が設けられている。給紙ローラ15は、給紙トレイ21に接離可能に上下動する給紙アーム16の前端で軸支されている。給紙ローラ15は、複数のギアが噛合されてなる駆動伝達機構17によって、給紙用モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ15は、給紙トレイ21上に積載された用紙を1枚ずつ分離してUターン経路64(図2の一点鎖線)を介して、直線状の搬送経路65(図2の二点鎖線であり、本発明の搬送経路の一例)へ供給する。詳細には、給紙ローラ15が給紙トレイ21上の用紙に圧接して、その状態で、給紙ローラ15が回転することにより、給紙ローラ15のローラ面と用紙との間の摩擦力で最上位置の用紙が分離傾斜板211へ送り出される。当該用紙は、その前端が分離傾斜板211に当接して上方へ案内され、搬送経路65へ送り込まれる。
【0030】
<記録部24>
記録部24は、記録ヘッド38を搭載して主走査方向(図2の紙面に垂直な方向)へ往復移動するキャリッジ40を備えている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクが供給される。記録ヘッド38は、その下面に設けられたノズル39から、各インクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ40が主走査方向へ往復動することにより、記録ヘッド38が用紙に対して走査され、記録部24の下方に記録部24と対向して設けられているプラテン42上を搬送される用紙に画像が記録される。プラテン42は用紙を支持し、用紙と記録部24との間の間隔を規定する。
【0031】
<第1ローラ対58及び第2ローラ対59>
記録部24の搬送向き65Aの上流側には、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61よりなる第1ローラ対58が設けられている。ピンチローラ61は、図示しないバネなどの弾性部材によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。第1ローラ対58は、給紙トレイ21から給送され搬送経路65を搬送されてきた用紙を挟持してプラテン42上へ送る。
【0032】
また、記録部24の搬送向き65Aの下流側には、第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63よりなる第2ローラ対59(本発明の搬送手段の一例)が設けられている。ピンチローラ61と同様、拍車ローラ63は第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2ローラ対59は、記録部24によって画像を記録された用紙を挟持して、搬送向き65A(図2の二点鎖線で示された矢印)に沿って下流側(排紙トレイ22側)へ搬送する。
【0033】
第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、不図示の搬送用モータから駆動伝達機構を介して回転駆動力が伝達されて回転される。駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されており、搬送用モータが正転または逆転の一方(本実施形態では正転とする。)に回転された場合に、用紙及び後述するメディアトレイ71を搬送向き65Aに搬送させ、搬送用モータが正転または逆転の他方(本実施形態では逆転とする。)に回転された場合に、用紙及びメディアトレイ71を搬送向き65Aと逆向きに搬送させる。
【0034】
<第1ローラ対58、第2ローラ対59及びプラテン42の姿勢変化>
第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、一対のローラが互いに当接する当接姿勢と、一対のローラが互いに離間する離間姿勢とに姿勢変化可能である。第1ローラ対58及び第2ローラ対59が当接姿勢をとっている場合、用紙の挟持が可能であり、用紙を搬送経路65に沿って搬送させる。一方、第1ローラ対58及び第2ローラ対59が離間姿勢をとっている場合、各ローラ対の一対のローラ間の間隔は、メディアトレイ71を挟持するのに適した間隔となる。よって、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、離間姿勢をとっている場合にメディアトレイ71の挟持が可能であり、メディアトレイ71を搬送経路65に沿って搬送させる。本実施形態においては、第1ローラ対58及び第2ローラ対59の下側のローラであるピンチローラ61及び第2搬送ローラ62が下方へ移動することによって、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、当接姿勢から離間姿勢へ姿勢変化される。
【0035】
また、プラテン42も下方に移動可能である。プラテン42が下方に移動していない場合、プラテン42と記録部24の間の間隔は、用紙が記録部24の下方を通過可能な間隔である。一方、プラテン42が下方に移動している場合、当該間隔は、メディアトレイ71が記録部24の下方を通過可能な間隔である。
【0036】
ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42の下方への移動は、例えば、ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42の各々の下方に設けられた偏心カム140及び支持部材141によって実行される。偏心カム140は、左右方向9を軸方向として複合機10の筐体13を構成するフレーム(不図示)に回転自在に支持されている。偏心カム140は、軸142からの径が周期的に変化する円盤である。
【0037】
本実施形態では、偏心カム140は、不図示のモータから駆動伝達されて回転される。偏心カム140が回転されると、その周面が支持部材141に対して摺動される。偏心カム140の周面は、軸142からの径が周期的に変化するので、この変化によって支持部材141が上下方向7へ移動する。支持部材141の上下方向7への移動によって、ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42が上下方向7へ移動される。
【0038】
なお、図2において、離間姿勢時のピンチローラ61、第2搬送ローラ62、プラテン42、偏心カム140及び支持部材141の位置は、破線で示されている。
【0039】
なお、複合機10は、プラテン42が下方に移動する代わりに記録部24が上方に移動することによって、プラテン42と記録部24の間の間隔を変更可能な構成であってもよい。また、第1ローラ対58及び第2ローラ対59の姿勢変化は、ピンチローラ61及び第2搬送ローラ62の下方への移動による方法に限らない。例えば、当該姿勢変化は、第1搬送ローラ60及び拍車ローラ63の上方への移動によって行われてもよい。
【0040】
<メディアトレイ71>
上述したように、複合機10は、CD−ROMやDVD−ROMメディアなどの記録メディアの盤面上に画像を記録する機能を有する。記録メディアの盤面上に画像が記録される場合、記録メディアがメディアトレイ71に載置される(本発明では、記録メディアがメディアトレイ71に載置されたものを第2被搬送媒体とする)。なお、本実施形態では、メディアトレイ71に記録メディアが載置される場合について説明するが、メディアトレイ71に記録メディア以外の媒体、例えば用紙が載置されてもよい。
【0041】
図3(a)に示されるように、メディアトレイ71は、樹脂製で上下方向7の厚さが数ミリ(例えば2mm〜3mm)である。また、メディアトレイ71は、搬送方向(前後方向8)及び幅方向(左右方向9)の長さが厚さ(上下方向7)よりも長く、搬送方向の長さが幅方向の長さよりも長い。つまり、メディアトレイ71は、薄型の直方体の樹脂板である。メディアトレイ71の上面68には、円形状の凹みであって記録メディアが載置されるメディア載置部69が設けられている。なお、図3(b)に示されるように、メディアトレイ71において、前後方向8において前方先端及び左右方向9において中央部に突起部72(本発明の突起部の一例)を設けてもよい。また、突起部72の上下方向7の下面と、メディアトレイ71の下面とは、少なくとも同一高さに設定されている。この突起部72を設ける場合についての実施形態は後述する(第2実施形態参照)。
【0042】
図2に示されるように、メディアトレイ71は複合機10のユーザによって、複合機10の開口12の挿入口81(本発明の挿入口の一例)から搬送経路65に沿って、搬送向き65Aと逆向きである挿入向き70Aに挿入される。なお、挿入口81は離間姿勢時における第2搬送ローラ62、拍車ローラ63との間の空間である。この場合、メディアトレイ71は、直接第2搬送ローラ62と、拍車ローラ63との間に挿入され、メディアトレイ71の下面は、第2搬送ローラ62(本発明の当接部の一例)と当接する。また、挿入口81は、メディアトレイ71を挿入する際にメディアトレイ71の挿入を案内し、開口12に設けられるトレイガイドによって構成されていても良い。この場合、メディアトレイ71を挿入する際は、当該メディアトレイ71の下面をトレイガイドの上面を摺接させながら挿入する。
【0043】
<メディアトレイ71を用いた場合の記録動作>
メディアトレイ71の挿入が図示しないセンサにより検出されると、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62が逆転駆動されるとともに、ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42が下方へ移動される。これにより、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、当接姿勢から離間姿勢へ姿勢変化される。
【0044】
挿入されたメディアトレイ71が第2ローラ対59に挟持されると、メディアトレイ71は第2ローラ対59によって搬送向き65Aとは逆向きに搬送される。これにより、メディアトレイ71は、記録部24を介して、搬送向き65Aの下流側から第1ローラ対58に挟持される。第1ローラ対58及び第2ローラ対59に挟持されたメディアトレイ71は、紙の搬送向き65Aの更に上流側に案内される。
【0045】
これにより、メディアトレイ71に載置された記録メディアは、記録部24より用紙の搬送向き65Aの上流側に位置される。すると、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62の駆動が一旦停止され、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62の回転方向が逆転から正転に切り換えられる。これにより、メディアトレイ71が搬送向き65Aに搬送され、メディアトレイ71に載置された記録メディアがプラテン42上を通る。プラテン42上に搬送された記録メディアに対して、記録ヘッド38からインク滴が吐出される。これにより、記録メディアの盤面上に画像が記録される。その後、メディアトレイ71は搬送向き65Aに装置外へと排出される。
【0046】
<給紙トレイ21>
給紙トレイ21は、図4及び図5に示されるように用紙が載置可能な矩形板状の底210と、分離傾斜板211と、前壁212と、左右の側壁213と、を備えており、上部が開口する箱状に形成されている。
【0047】
左右の側壁213の前後方向8の後端部付近において、左右方向9に延びる分離傾斜板211は、上述(図2参照)した通り給紙トレイ21に載置される用紙を給送部14によって給送する際に、搬送経路65に案内する機能を有している。
【0048】
<排紙トレイ22>
排紙トレイ22は、図4及び図5に示されるように、第2ローラ対59から排出される用紙を支持可能な矩形板状の基部220と、基部220の前端部から給紙トレイ21側に突出し、給紙トレイ21の前壁212と当接する前壁222と、左右の側壁223と、を備えている。前壁222は、給紙トレイ21の前壁212によって下方から支持され、また、給紙トレイ21の前壁212と左右方向9において略同一の幅寸法で形成されている。
【0049】
排紙トレイ22は、図5における基部220の上面である排紙載置面221において第2ローラ対59によって排出された画像記録済みの用紙を支持する。また、排紙トレイ22は、給紙トレイ21の蓋として機能する。排紙トレイ22によって給紙トレイ21への埃の侵入や、給紙トレイ21又は複合機10の運搬時に用紙や載置面等が傷つくことを防止することができる。
【0050】
画像記録後の用紙を排出する第2ローラ対59は、前後方向8におけるトレイ体20の中央部上方に配置されており、基部220の後端は、左右の側壁213の後端部と、前後方向8における中央部との間に設けられている。したがって、図2に示されるように、トレイ体20が複合機10に装着された状態において、排紙トレイ22の基部220の後端部は、第2ローラ対59の下方に位置しており、第2ローラ対59から排出された画像記録後の用紙を排紙トレイ22で受けることができる。
【0051】
排紙トレイ22の前壁222は、上下方向7における下端は給紙トレイ21の前壁212の上端に当接する。排紙トレイ22は、給紙トレイ21の前壁212により前壁222が支持されることで保持される。
【0052】
<補助トレイ23>
補助トレイ23は、基部230とストッパ部233(本発明の支持手段の一例)とを備えており、排紙トレイ22に収容された図4の収容姿勢と、排紙トレイ22の前後方向8における前方の先端から基部230が突出した図5の支持姿勢と、にスライドにより移動する。補助トレイ23は、支持姿勢において、第2ローラ対59から排出された画像記録後の用紙を排紙トレイ22と共に支持する。補助トレイ23は、収容姿勢において、排紙トレイ22の基部220の左右方向9における中央部の下方に収容されている。
【0053】
基部230は、図5のような支持姿勢において排出された用紙を支持する支持面231を有している。また、支持面231の前後方向8の前方にはストッパ部233を収容する収容凹部232が設けられる。
【0054】
ストッパ部233は、収容凹部232に収容されている収容姿勢、基部230から上下方向7及び前後方向8の上前方へ起立した姿勢である起立姿勢と、により姿勢変化する。なお、ストッパ部233は、基部230の前後方向8における先端付近において回動可能に取り付けられており、収容姿勢と起立姿勢とに姿勢変化する際は、回動方向233Aに回動する。
【0055】
さらにストッパ部233は、支持部材234と、補助コロ236(本発明の回転体の一例)とを有する。ストッパ部233のうち、支持部材234が基部230に回動可能に取り付けられる。また、支持部材234は回動方向233Aにおける回動先端において、補助コロ236を回転可能に支持している。
【0056】
ストッパ部233の起立姿勢において、第2ローラ対59から排出された画像記録後の用紙の搬送向き65Aにおける先端が補助コロ236に当接することで、排紙トレイ22及び補助トレイ23からの用紙の脱落を防止する。
【0057】
また、補助トレイ23が支持姿勢をとる状態においては、給紙トレイ21に収容される前後方向8の最大長さの用紙が排出されたとしても、該用紙が、補助コロ236の頂点を乗り越えないように、補助トレイ23の長さが設定されている。
【0058】
<補助コロ236>
支持部材234の回動方向233Aにおける回動先端には、回転中心236C(図6で示される2つの一点鎖線の交点)を中心にして正逆回転可能(図7及び図8参照)な補助コロ236が設置される。補助コロ236には、左右方向9において所定深さを有する軸穴237が設けられている。また、支持部材234はその回動先端付近に軸235が設けられる。この軸235が軸穴237に挿通されることで、支持部材234の回動先端において、補助コロ236が支持される。また、補助コロ236はメディアトレイ71を支持部236T(本発明の支持部の一例)(図7参照)において支持する機能(当機能については後述する)を有している。第1実施形態においては、支持部236Tは補助コロ236の頂点である。
【0059】
さらに補助コロ236は、その回転中心236Cの上下方向7において上側に、メディアトレイ71の排出時に当該メディアトレイ71を排出向き70Bに案内する案内部236X(本発明の案内部の一例)(図8参照)と、その回転中心236Cの上下方向7において下側に、用紙と当接する用紙受部236Y(本発明の受部の一例)(図6参照)と、を有している。なお、図7及び図8の点線に示されるように、補助コロ236の上下方向7における高さは、第2搬送ローラ62の頂点の上下方向における高さが、支持部236T(補助コロ236の頂点)よりも下側であり、補助コロ236の回転中心236Cよりも上側であるような位置決め範囲に設定される。この位置決め範囲は、案内部236Xの上端と下端との間の範囲でもある。
【0060】
<用紙の排出動作>
以下に、図6(a)及び(b)を用いて、複合機10によって画像記録済みの用紙を搬送向き65Aに搬送する際の排紙トレイ22及び補助トレイ23の作用について説明する。
【0061】
図6(a)に示されるように、記録部24によって記録された用紙は、第1ローラ対58または第2ローラ対59によって挟持された状態のまま、各ローラ対が回転することによって、搬送向き65Aに搬送される。図6(b)に示されるように、第2ローラ対59による挟持から開放された用紙は、第2ローラ対の回転による搬送向き65Aへ進む向きの惰性により、さらに搬送向き65Aの下流側へと搬送される。やがて用紙は搬送向き65Aにおける先端が補助コロ236の用紙受部236Yに当接し、その惰性力を減少させられる。そして、用紙がその自重により第2搬送ローラ62の頂点よりも上下方向7において下方の位置へ落下し、排紙トレイ22上に積み重なっていく。
【0062】
<メディアトレイ71の挿入動作>
以下に、図7(a)、(b)及び(c)を用いて、複合機10によって、メディアトレイ71に載置されるCD−ROMやDVD−ROMなどの盤面上に画像が記録される際に、ユーザによるメディアトレイ71の挿入動作について、説明する。
【0063】
図7(a)に示されるように、メディアトレイ71を複合機10に挿入口81に挿入する際、まず、メディアトレイ71を前後方向8において装置前方に設けられる補助コロ236の支持部236Tの上に一旦載置する。その後、図7(b)に示されるように、装置前方に設けられる補助コロ236上に載置されたメディアトレイ71を、挿入口81を目標にして挿入向き70Aに挿入する。挿入向き70Aとは、補助コロ236の支持部236Tから挿入口81へと向かう向きであって、搬送向き65Aと逆の向きである。この際、補助コロ236は軸235に回動可能に支持されているので、メディアトレイ71が挿入されるのを補助する向き236Aに回転させられる。また、位置決め範囲に、上下方向7における補助コロ236の高さが設定されていることで、支持部236Tがメディアトレイ71を挿入口81に挿入する際の上下方向7における高さの位置決めとなる。
【0064】
そして図7(c)に示されるように、メディアトレイ71が挿入口81を介してさらに挿入方向70Aに挿入され、第2ローラ対59に挟持された段階で、メディアトレイ71の挿入が完了する。
【0065】
このように、メディアトレイ71を複合機10の挿入口81に挿入する際、挿入方向70Aの手前側(前後方向8において前方)において、支持部236Tによって、メディアトレイ71が支持される。また、支持部236Tはメディアトレイ71を挿入口81に挿入する際の上下方向7における高さの位置決めである。これにより、挿入口81の高さが容易に把握できることで、ユーザがメディアトレイ71を挿入し易くなり、ユーザの操作性が向上するといった効果を奏する。
【0066】
さらに、メディアトレイ71を複合機10の挿入口81に挿入する際は、補助コロ236が挿入向きに回転するので、挿入動作が円滑になるといった効果を奏する。
【0067】
<メディアトレイ71の排出動作>
以下に、図8(a)、図8(b)及び図8(c)を用いて、複合機10によって、メディアトレイ71に載置されるCD−ROMやDVD−ROMなどの盤面上に画像が記録された際に、複合機10によるメディアトレイ71の排出動作について、説明する。
【0068】
図8(a)に示されるように、画像記録後のメディアトレイ71が第2ローラ対59のみによって挟持されて排出向き70Bに搬送されると、メディアトレイ71の排出向き70Bにおける先端(本発明の先端部の一例)が補助コロ236の案内部236Xにおいて当接する。排出向き70Bとは、挿入向き70Aと逆の向きであって、搬送向き65Aと同一の向きである。
【0069】
次に、図8(b)に示されるように、メディアトレイ71が第2ローラ対59によって更に搬送されると、メディアトレイの排出向き70Bの先端が補助コロ236の案内部236Xを介して支持部236T上を乗り越える。この際、補助コロ236は軸235に回動可能に支持されているので、メディアトレイ71が排出されるのを補助する向き236Bに回転させられる。
【0070】
そして、図8(c)に示されるように、やがてメディアトレイ71が案内部236Xを介して支持部236Tを乗り越えた状態で、さらに、メディアトレイ71の挿入完了時の位置になるまで第2ローラ対59が所定量回転すると、第2ローラ対は回転を終了してメディアトレイ71の排出動作を完了する。排出動作の完了時には、メディアトレイ71は、第2ローラ対59と、支持部236Tとによって支持される。
【0071】
上述した通り、メディアトレイ71の排出動作時においても、補助コロ236がメディアトレイ71の排出を補助するように回転するので、円滑に排出動作がされるといった効果を奏する。
【0072】
また、補助コロ236の上下方向7における高さは、第2搬送ローラ62の頂点の上下方向7における高さが、支持部236T(補助コロ236の頂点)よりも下側であり、補助コロ236の回転中心236Cよりも上側であるような位置決め範囲に設定される。この位置決め範囲は、案内部236Xの上下方向における高さと同一である。これにより、図8(a)に示されるようにメディアトレイ71の排出時に、案内部236Xに第2被搬送媒体が排出向き70Bの先端が自重により下方に垂れ下がった状態で当接したとしても、排出動作を妨げることなく、且つ、メディアトレイ71の排出動作の完了時に、第2ローラ対59だけでなく、第2搬送ローラ62の頂点よりも上下方向7における高さが高い支持部236T(案内部236Xの上端)によってメディアトレイ71を支持するので、メディアトレイ71が排出動作完了時に落下することを防止することができるといった効果を奏する。
【0073】
また、補助コロ236の頂点に、メディアトレイ71を支持する支持部236Tを設けたことにより、排紙トレイ22上に用紙が存在する場合においても、メディアトレイ71を用いた被記録媒体の印刷が可能となる(図8(c)参照)。これは、排出された用紙は、メディアトレイ71が挿入動作及び排出動作時において通過する経路(支持部236Tと当接姿勢における第2搬送ローラ62の頂点とを結ぶ経路)よりも、下側に載置されるためである。なお、給紙トレイ21に収容される前後方向8の最大長さの用紙が排紙トレイ22に排出されたとしても、該用紙が、ストッパ部233を乗り越えないように補助トレイ23の長さが設定されている。
【0074】
したがって、メディアトレイ71が通過する経路が排出される用紙の載置位置よりも上側に位置しているので、用紙を排紙トレイ22上に排出したままの状態においても、メディアトレイ71を用いて、CD−ROMやDVD−ROMなどの盤面上に記録が可能である。
【0075】
なお、本実施形態では、補助コロ236が、軸235によって回動可能に支持されているが、この限りで無く、補助コロ236が軸235を有しており、ストッパ部233に軸穴237を設けてもよい。また、補助コロ236は回動可能でなくてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、給紙トレイ21及び排紙トレイ22が一体となってトレイ体20を構成しているが、給紙トレイ21及び排紙トレイ22は、一体でなく、それぞれ別々のものとして構成されていてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、挿入口81から挿入向き70Aへと挿入して記録される被記録媒体の例として、メディアトレイ71に載置される記録メディアを挙げたが、この限りでない。厚紙や、カードなどのように、用紙に対して剛性が大きい被記録媒体でも良く、これら剛性の大きい被記録媒体を記録に用いる場合は、直接、当該被記録媒体を挿入口81に挿入してもよい。
【0078】
また、本実施形態では、メディアトレイ71が挿入口81から排出向き70Bへと排出される際に、支持姿勢としてストッパ部233は固定されているが、メディアトレイ71の排出向き70Bの先端が排出時にストッパ部233を当接して押すことで、ストッパ部233がさらに排出向き70Bに回動させるようにしてもよい。この場合、ストッパ部233が排出向き70Bに倒れ、メディアトレイ71を補助コロ236によって下方から支持する。
【0079】
[他の実施形態]
上述した第1実施形態では、ストッパ部233においてメディアトレイ71を支持する一例として補助コロ236を設けた場合を説明したが、この限りではなく、本発明の趣旨を超えない範囲で種々改良が可能である。以下、第2実施形態及び第3実施形態を用いて説明する。
【0080】
[第2実施形態]
以下に、第2実施形態として傾斜面242を有するストッパ部233を使用した場合について、図9を用いて説明する。なお、同一部材のものは同一符号を用いている。また、第2実施形態においては、メディアトレイ71は、図3(b)に示されるように、その前後方向8において前方先端及び左右方向9において中央部に突起部72が設けられている。図9(a)及び(b)に示されるように、本実施形態のストッパ部233は、支持部材234と、用紙受部241と、傾斜面242と、支持部240と、を有している。
【0081】
用紙受部241は、支持部材234によって上下方向7において下方から支持されており、左右方向9において間隔を空けて2つ設けられている。また用紙受部241は、排紙された用紙の搬送向き65Aの先端と当接することで、用紙の惰性を減少させる。
【0082】
傾斜面242は、左右方向9において、2つの用紙受部241の間に設けられており、上下方向7の下側から上側へと位置するにつれて、前後方向8の前方から後方へと傾斜している。また、傾斜面242の左右方向9における幅は、メディアトレイ71の突起部72の左右方向9における幅よりも、大きく設定されている。また、傾斜面242の上下方向7の下側端部である傾斜始点242Aと、上側端部である傾斜終点242Bとの間の前後方向8における長さは、メディアトレイ71の突起部72の前後方向8における長さよりも短く設定されている。また、傾斜面242の上側端部である傾斜終点242Bは、用紙受部241の用紙と当接する面よりも前後方向8において後方に位置しており、用紙受部241の高さと同一高さである。
【0083】
なお、傾斜面242の上下方向7における高さは、第2搬送ローラ62の頂点の上下方向7における高さが、傾斜始点242Aよりも上側であり、傾斜終点242Bよりも下側であるような位置決め範囲に設定される(図9(d)、(e)の点線参照)。さらに、傾斜始点242Aの上下方向7における高さは、メディアトレイ71が後述する支持部240によって支持されない状態において、メディアトレイ71の自重によって排出向き70Bの先端が垂れ下がった位置よりも下側である必要がある。
【0084】
支持部240は、用紙受部241の上下方向7の上面であり、メディアトレイ71の挿入動作及び排出動作時に、メディアトレイ71の下面を支持する。
【0085】
図9(c)に示されるように、第2ローラ対59によって排紙された用紙は、惰性力によって、第2ローラ対59による挟持から開放された後においても、搬送向き65Aに進む。そして、用紙の搬送向き65Aにおける用紙の先端が用紙受部241に当接することで、惰性力が減少し、用紙自身の自重により落下し、排紙トレイ22上に積み重なるように載置されていく。
【0086】
図9(d)に示されるように、画像記録後のメディアトレイ71が第2ローラ対59のみによって挟持されて排出向き70Bに搬送されると、メディアトレイ71の排出向き70Bにおける突起部72が傾斜面242において当接する。
【0087】
その後、図9(e)に示されるように、メディアトレイ71が第2ローラ対59によって更に搬送されると、メディアトレイの排出向き70Bの突起部72と傾斜面242とが当接することで、突起部72が上下方向7において支持部240まで上昇し、当該メディアトレイ71が支持部240によって下面から支持されつつ、ストッパ部233を乗り越えていく。なお、挿入動作時には、メディアトレイ71の下面を支持部236Tの上に載せながら挿入方向70Aに挿入する。
【0088】
このようにストッパ部233には、左右方向9の中央部に設けられ、上下方向7の下側から上側へと位置するにつれて前後方向8の前方から後方へと傾斜しており、メディアトレイ71の突起部72と当接する傾斜面242を設けている。さらに、用紙受部241が傾斜面の左右に並列に設けられている。このようにすることで、用紙受部241と傾斜面242とが上下で重なった状態で設けられる場合と比較すると、定められた高さ内で、傾斜面242の高さを十分に得ることが出来る。さらに、メディアトレイ71に、傾斜面242と当接する突起部を設けたので、定められた高さ内で、用紙の当接と、メディアトレイ71の当接とをより確実に実現できるといった効果を奏する。
【0089】
第2実施形態においては、傾斜面242は、ストッパ233部に1つだけ設けられている場合を説明したが、この限りでなく、複数個設けられていてもよい。また、傾斜面242の数に応じて、メディアトレイ71の突起部72を複数個用意しても良い。
【0090】
第2実施形態においては、傾斜面242は、ストッパ部233の左右方向9の中央部分に設けられているが、この限りでなく、左右方向9の中央部分から外れた位置に配置されていてもよい。
【0091】
第2実施形態においては、支持部240は平面であるが、この限りでなく、曲面に加工したり、また支持部240に補助コロを設けても良い。
【0092】
[第3実施形態]
以下に、第3実施形態として傾斜面252を有するストッパ部233を使用した場合について、図10を用いて説明する。なお、同一部材のものは、同一符号を用いている。第3実施形態の第2実施形態に対する変更点は、第2実施形態の傾斜面252をストッパ部233の左右方向9の全幅において設けたこと、用紙受部251と支持部材234との間に溝部251A設けられていることが主な点である。
【0093】
図10(a)及び(b)に示されるように、本第3実施形態のストッパ部233は、支持部材234と、用紙受部251と、傾斜面252と、支持部250と、を有している。
【0094】
用紙受部251は、支持部材234によって支持されており、前後方向8の後方に突出するように設けられている。また、用紙受部251は排出された用紙の搬送向き65Aの先端が、用紙受部251に当接することで、用紙の惰性を減少させるために設けられる。また、用紙受部251が後方に突出しているので、用紙受部251と、支持部材234とが交差する部分には、溝部251Aが形成される。溝部251Aは排出された用紙が、例えば、用紙受部251に当接せずに、支持部材234上に落下して、支持部材234上を滑りながら前後方向8において前進して当該溝部251Aに侵入し当接することで、用紙の惰性を減少させるために設けられる。
【0095】
傾斜面252は、用紙受部251の上下方向7の上側端部(傾斜始点252A)から前後方向8の前方に向かって、上昇するように傾斜して設けられている。また、傾斜面252の上下方向7における高さは、第2搬送ローラ62の頂点の上下方向における高さが傾斜始点252Aよりも上側であり、傾斜終点252Bよりも下側であるような位置決め範囲に設定される(図10(d)、(e)の点線参照)。さらに、傾斜始点252Aの上下方向7における高さは、メディアトレイ71が後述する支持部250によって支持されない状態において、メディアトレイ71の自重によって排出向き70Bの先端が垂れ下がった位置よりも下側である必要がある。
【0096】
支持部250は、傾斜面252の傾斜終点252Bの後方に、当該傾斜終点252Bと上下方向7の同じ高さに平面として設けられており、メディアトレイ71の挿入動作及び排出動作時に、メディアトレイ71を下面から支持する。
【0097】
図10(c)に示されるように、第2ローラ対59によって排紙された用紙は、惰性力によって、第2ローラ対59による挟持から抜けた後においても、搬送向き65Aに進む。そして、用紙の搬送向き65Aにおける用紙の先端が、用紙受部251に当接し、及び支持部材234上を滑りながら前後方向8において前進して溝部251Aに侵入し当接することで、惰性力が減少し、用紙自身の自重により、排紙トレイ22上に積み重なるように載置されていく。なお、傾斜面252の上下方向7における高さは、及び傾斜始点252Aの高さは、第2実施形態と同様である。
【0098】
図10(d)に示されるように、画像記録後のメディアトレイ71が第2ローラ対59のみによって挟持されて排出向き70Bに搬送されると、メディアトレイ71の排出方向70Bにおける先端が傾斜面252において当接する。
【0099】
その後、図10(e)に示されるように、メディアトレイ71が第2ローラ対59によって更に搬送されると、メディアトレイ71の排出向き70Bの先端と傾斜面252とが当接することで、メディアトレイ71の排出向き70Bの先端が上下方向7において傾斜面252を介して支持部250まで上昇し、当該メディアトレイ71が支持部250によって下面から支持されるようにして、支持部250を乗り越えていく。なお、挿入動作時には、メディアトレイ71の下面を支持部250の上に載せながら挿入方向70Aに挿入する。
【0100】
本第3実施形態は、支持部250は平面であるが、この限りでなく。曲面に加工したり、また支持部250に補助コロを設けても良い。
【符号の説明】
【0101】
10 複合機
11 プリンタ部
12 開口
20 トレイ体
21 給紙トレイ
22 排紙トレイ
23 補助トレイ
233 ストッパ部
236 補助コロ
236C 回転中心
236T 支持部
236X 案内部
236Y 用紙受部
240 支持部
241 用紙受部
242 傾斜面
250 支持部
251 用紙受部
252 傾斜面
59 第2ローラ対
62 第2搬送ローラ
71 メディアトレイ
72 突起部
81 挿入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の第1被搬送媒体を収容可能な収容部と、
前記第1搬送媒体及び、前記第1被搬送媒体よりも剛性の大きい第2被搬送媒体に画像を記録する記録手段と、
前記記録手段による記録中に前記第1被搬送媒体及び前記第2被搬送媒体が搬送される搬送経路と、
前記搬送経路において、記録された第1被搬送媒体及び第2被搬送媒体を排出する向きである排出向きと、前記第2被搬送媒体を前記排出向きとは反対の挿入向きとに搬送可能な搬送手段と、
前記搬送手段の挿入向きの上流側に位置し、前記第2被搬送媒体が搬送手段に向かって挿入向きに挿入される挿入口と、
前記挿入口を介して挿入向きに挿入される前記第2被搬送媒体の上下方向の下面と当接する当接部が設けられ、
前記当接部から挿入向き上流側へ前記収容部に収容される最大大きさの第1被搬送媒体の長さ以上離れた位置に位置し、前記第2被搬送媒体を下から支持する支持部を有する支持手段と、を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記支持手段は、
排出向きの上流側から下流側に向かうにつれて、上下方向に上昇するように支持部へと延び、前記第2被搬送媒体が前記排出向きに搬送される場合に前記第2被搬送媒体の排出向きの先端部とが当接する案内部と、を備えたことを特徴とする請求項1に画像記録装置。
【請求項3】
前記案内部の上端と下端との間に、前記当接部の上下方向の位置が設定されることを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記支持手段は、
前記第2被搬送媒体の排出向き及び挿入向きに回転可能な回転体を備え、
前記回転体の頂点を支持部とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記挿入口の下方に設けられ、排出された前記第1被搬送媒体を載置可能な載置部とを備え、
前記支持手段は、前記載置部の挿入向きの上流側に設けられ、
更に前記支持手段は、排出された前記第1被搬送媒体が排出向きに搬送される場合に前記第1被搬送媒体の排出向きの先端部が当接する受部を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記受部と前記案内部とが、第1被搬送媒体及び第2被搬送媒体の搬送方向と上下方向と直交する左右方向に並列に設けられており、
前記第2被搬送媒体の排出向きの下流側の先端部には、前記案内部と当接し、前記案内部の搬送方向の長さよりも長い突起部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−131090(P2012−131090A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284116(P2010−284116)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】