説明

画像診断装置

【課題】画像品質の向上と、効率的なイメージングの実施を実現する。
【解決手段】加速度センサ4を、被検体の撮影領域に装着し、その被検体の体動によって撮影領域が移動する際の加速度を検知して、加速度データを得る。そして、その加速度センサ4によって得られた加速度データに基づいて、制御部30がスキャン部2とデータ処理部31との動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像診断装置に関する。特に、被検体の撮影領域をイメージング(imaging)するイメージング部と、このイメージング部の動作を操作する操作部とを有する画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置などの画像診断装置は、被検体のスライス(slice)面をイメージングし、スライス画像を生成する。このような画像診断装置は、医療用途、産業用途などのさまざまな分野において利用されている。
【0003】
たとえば、磁気共鳴イメージング装置を用いてスライス画像を撮像する際においては、まず、静磁場が形成された撮像空間内に、生体である被検体を収容し、その被検体内のプロトン(proton)のスピンの方向を、静磁場の方向へ整列させて、磁化ベクトルを得た状態にする。その後、共鳴周波数の電磁波であるRFパルスをRFコイルから被検体に送信することにより、核磁気共鳴現象を発生させて、その被検体のプロトンの磁化ベクトルを変化させる。そして、その磁化ベクトルが元の磁化ベクトルへ戻る際に生ずる磁気共鳴信号を受信し、その受信した磁気共鳴信号に基づいて、スライス画像を生成する。そして、このスライス画像を表示後、その表示されたスライス画像が観察されて、診断が実施される。
【0004】
この画像診断装置においては、上記のようなイメージングを実施するイメージング部の動作について、制御部が制御するように構成されている。たとえば、被検体の撮影領域についてスキャンを実施する際に、その被検体において体動が発生した場合には、スライス画像に体動アーチファクトが発生する場合があるため、その体動に同期したスキャンを実施してイメージングするように、制御部がイメージング部の動作を制御している(たとえば、特許文献1,特許文献2参照)。
【0005】
具体的には、被検体において腹部など周期的な呼吸運動が行われる部位についてイメージングをする場合には、その呼吸運動による体動データを検出後、その体動データに基づいて、その呼吸運動に同期するように、スキャンを実施する。呼吸に同期してスキャンを複数回実施する際には、たとえば、ベローズ(bellows)を被検体の腹部に装着し、その腹部の動きを計測することによって、呼吸運動による体動データを得る。そして、その体動データの波形において、安定している波形位置でトリガー信号を生じさせることによって、スキャンを実施する。たとえば、その呼吸の波形における位相が、予め定めた閾値よりも大きくなった後に、再度、その閾値よりも小さくなった際に、上記のトリガーを生じさせて、上記のように、スキャンを実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−158762号公報
【特許文献2】特開2003−305019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記においては、高精度な体動データを得ることが困難であるため、画像品質が低下する場合があった。また、上記の方法においては、たとえば、被検体の頸部や食道などの部位についてイメージングを実施する場合に、嚥下運動や、くしゃみなどのように、周期的でない体動が発生した際には、その画像に体動アーチファクトが生じ、画像品質が低下する不具合が発生する場合があった。
【0008】
したがって、本発明は、体動アーチファクトの発生を抑制し、画像品質を向上可能な画像診断装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被検体の撮影領域をイメージングするイメージング部と、前記イメージング部の動作を制御する制御部とを有する画像診断装置であって、前記被検体の撮影領域に装着され、当該被検体の体動によって前記撮影領域が移動する際の加速度を検知し、加速度データを得る加速度センサを、さらに有し、前記制御部は、前記加速度センサによって得られた加速度データに基づいて、前記イメージング部の動作を制御する。
【0010】
好適には、前記イメージング部は、前記撮影領域についてスキャンを実施するスキャン部と、前記スキャン部が前記スキャンを実施することによって得られるローデータに基づいて、前記撮影領域について画像を生成する画像生成部とを含む。
【0011】
好適には、前記制御部は、前記スキャン部が前記被検体の撮影領域からローデータを繰返し取得するように前記スキャンを繰り返し実施した後に、当該繰返し取得されたローデータから前記画像生成部が前記画像を生成するように、前記スキャン部と前記画像生成部とのそれぞれの動作を制御し、前記加速度センサは、前記スキャン部が前記スキャンを実施する際に、前記被検体の体動の加速度を検知し、加速度データを生成するように構成されている。
【0012】
好適には、前記制御部は、前記スキャン部が前記スキャンを繰返し実施する際に前記加速度センサによって生成された加速度データに基づいて、当該スキャンの実施にて取得されたローデータを選択した後に、当該選択したローデータに基づいて、前記画像を生成するように、前記画像生成部の動作を制御する。
【0013】
好適には、前記制御部は、前記スキャン部が前記スキャンを繰り返し実施する際に前記加速度センサによって生成された加速度データに基づいて、当該スキャンを繰返し実施することを停止するように、前記スキャン部の動作を制御する。
【0014】
好適には、前記イメージング部は、前記被検体に情報を提供する情報提供部を、さらに有し、前記制御部は、前記加速度センサによって生成された加速度データに基づいて、前記情報提供部の動作を制御する。
【0015】
好適には、前記情報提供部は、音声を出力することによって、前記被検体に情報を提供するように構成されており、前記制御部は、前記加速度センサによって生成された加速度データに基づいて、前記情報提供部が音声を出力するように、前記情報提供部の動作を制御する。
【0016】
好適には、前記スキャン部は、静磁場が形成された撮像空間において、前記撮影領域から磁気共鳴信号を前記ローデータとして取得するスキャンを実施するように構成されており、前記画像生成部は、前記ローデータとして取得された磁気共鳴信号に基づいて、前記画像として磁気共鳴画像を生成するように構成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、体動アーチファクトの発生を抑制し、画像品質を向上可能な画像診断装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明にかかる実施形態1において、磁気共鳴イメージング装置1の構成を示す構成図である。
【図2】図2は、本発明にかかる実施形態1において、被検体SUの撮影領域をイメージングする際の動作を示すフロー図である。
【図3】図3は、本発明にかかる実施形態2において、磁気共鳴イメージング装置1の構成を示す構成図である。
【図4】図4は、本発明にかかる実施形態2において、被検体SUの撮影領域をイメージングする際の動作を示すフロー図である。
【図5】図5は、本発明にかかる実施形態3において、被検体SUの撮影領域をイメージングする際の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
(装置構成)
図1は、本発明にかかる実施形態1において、磁気共鳴イメージング装置1の構成を示す構成図である。
【0020】
図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、スキャン部2と、操作コンソール部3と、加速度センサ4とを有している。ここで、スキャン部2は、図1に示すように、静磁場マグネット部12と、勾配コイル部13と、RFコイル部14と、被検体移動部15と、RF駆動部22と、勾配駆動部23と、データ収集部24とを有している。また、操作コンソール部3は、図1に示すように、制御部30と、データ処理部31と、操作部32と、表示部33と、記憶部34とを有している。
【0021】
ここで、磁気共鳴イメージング装置1において、スキャン部2は、操作コンソール部3から出力される制御信号に基づいて、被検体SUの撮影領域についてスキャンを実施する。具体的には、スキャン部2は、たとえば、円筒形状になるように形成されており、その中心部分の円柱状の空間を撮像空間Bとして、被検体SUを収容する。そして、スキャン部2は、被検体SUの撮影領域についてスキャンを実施する際には、静磁場マグネット部12によって静磁場が形成された撮像空間B内において、被検体移動部15において載置された被検体SUの撮影領域内のスピンを励起するようにRFコイル部14がRFパルスを送信すると共に、そのRFパルスが送信された被検体SUの撮影領域に勾配コイル部13が勾配磁場を印加する。そして、被検体SUの撮影領域において発生する磁気共鳴信号をRFコイル部14が受信する。また、詳細については後述するが、本実施形態においては、スキャン部2は、被検体SUの撮影領域から磁気共鳴信号を繰返して収集するように、スキャンを繰返し時間TRごとに繰り返し実施する。
【0022】
また、磁気共鳴イメージング装置1において、操作コンソール部3は、スキャン部2が被検体SUの撮影領域についてスキャンを実施するように操作した後に、そのスキャンを実施することによって収集した磁気共鳴信号に基づいて、被検体SUの撮影領域について磁気共鳴画像を生成すると共に、その生成した磁気共鳴画像を表示画面に表示するように構成されている。詳細については後述するが、本実施形態においては、操作コンソール部3は、上記のように、スキャン部2が被検体SUの撮影領域からローデータを取得するようにスキャンを繰り返し実施した後に、その取得されたローデータから、被検体SUの撮影領域について画像を生成する。
【0023】
また、磁気共鳴イメージング装置1において、加速度センサ4は、被検体SUの撮影領域に装着され、その被検体SUの体動によって撮影領域が移動する際の加速度を検知し、加速度データを生成するように構成されている。詳細については後述するが、本実施形態においては、加速度センサ4は、スキャン部2がスキャンを繰返し時間TRごとに繰返して実施する際に、この加速度データを生成する。
【0024】
スキャン部2の各構成要素について、順次、説明する。
【0025】
静磁場マグネット部12は、超伝導磁石(図示なし)を含み、被検体SUが収容される撮像空間Bに静磁場を形成するように構成されている。ここでは、静磁場マグネット部12は、被検体移動部15において載置されている被検体SUの体軸方向(z方向)に沿うように、静磁場を形成する。すなわち、水平磁場型である。なお、この他に、静磁場マグネット部12は、垂直磁場型であって、一対の永久磁石が対面する方向に沿って静磁場を形成する場合であってもよい。
【0026】
勾配コイル部13は、静磁場マグネット部12によって静磁場が形成された撮像空間Bに勾配磁場を印加し、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号に空間位置情報を付加するように構成されている。ここでは、勾配コイル部13は、x方向とy方向とz方向との互いに直交する3軸方向のそれぞれに対応するように、3系統からなる。これらは、イメージング条件に応じて、周波数エンコード方向と位相エンコード方向とスライス選択方向とのそれぞれに勾配磁場を印加するように、勾配パルスを送信する。具体的には、勾配コイル部13は、被検体SUのスライス選択方向に勾配磁場を印加し、RFコイル部14がRFパルスを送信することによって励起させる被検体SUのスライスを選択する。また、勾配コイル部13は、被検体SUの位相エンコード方向に勾配磁場を印加し、RFパルスにより励起されたスライスからの磁気共鳴信号を位相エンコードする。そして、勾配コイル部13は、被検体SUの周波数エンコード方向に勾配磁場を印加し、RFパルスにより励起されたスライスからの磁気共鳴信号を周波数エンコードする。
【0027】
RFコイル部14は、静磁場が形成される撮像空間B内において、電磁波であるRFパルスを送信して高周波磁場を形成することによって、その撮像空間Bに収容されている被検体SUの撮影領域のプロトンのスピンを励起するように構成されている。また、RFコイル部14は、そのスピンが励起された撮影領域内において発生する電磁波を、磁気共鳴信号として受信するように構成されている。RFコイル部14は、図1に示すように、たとえば、送信コイル14aと、受信コイル14bとを有する。ここで、送信コイル14aは、たとえば、バードケージ(birdcage)型のボディコイル(Body coil)であり、被検体SUの撮影領域を囲むように配置されており、RFパルスを送信する。一方、受信コイル14bは、表面コイルであり、磁気共鳴信号を受信する。
【0028】
被検体移動部15は、図1に示すように、クレードル15aとクレードル移動部15bとを有しており、操作コンソール部3から出力される制御信号に基づいて、撮像空間Bの内部と外部との間において、クレードル移動部15bがクレードル15aを移動するように構成されている。ここで、クレードル15aは、被検体SUが載置される載置面を備えたテーブルであり、図1に示すように、クレードル移動部15bによって、水平方向xzと上下方向yとのそれぞれの方向に移動され、静磁場が形成される撮像空間Bに搬出入される。クレードル移動部15bは、クレードル15aを移動させ、外部から撮像空間Bの内部へ収容させる。クレードル移動部15bは、たとえば、ローラー式駆動機構を備えており、アクチュエータによりローラーを駆動させてクレードル15aを水平方向xzに移動する。また、クレードル移動部15bは、たとえば、アーム式駆動機構を備えており、交差した2本のアーム間の角度を可変することにより、クレードル15aを上下方向yに移動する。
【0029】
RF駆動部22は、RFコイル部14を駆動させて撮像空間B内にRFパルスを送信させて、撮像空間Bに高周波磁場を形成するように構成されている。具体的には、RF駆動部22は、操作コンソール部3から出力される制御信号に基づいて、ゲート変調器(図示なし)を用いてRF発振器(図示なし)からの信号を所定のタイミングおよび所定の包絡線の信号に変調した後に、そのゲート変調器により変調された信号を、RF電力増幅器(図示なし)によって増幅してRFコイル部14に出力し、RFパルスを送信させる。
【0030】
勾配駆動部23は、操作コンソール部3からの制御信号に基づいて、勾配パルスを勾配コイル部13に印加して駆動させ、静磁場が形成されている撮像空間B内に勾配磁場を形成するように構成されている。ここでは、勾配駆動部23は、3系統の勾配コイル部13に対応して3系統の駆動回路(図示なし)を有する。
【0031】
データ収集部24は、操作コンソール部3からの制御信号に基づいて、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号を収集するように構成されている。ここでは、データ収集部24は、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号をRF駆動部22のRF発振器(図示なし)の出力を参照信号として位相検波器(図示なし)が位相検波する。その後、A/D変換器(図示なし)を用いて、このアナログ信号である磁気共鳴信号をデジタル信号に変換して出力する。
【0032】
操作コンソール部3の各構成要素について、順次、説明する。
【0033】
制御部30は、コンピュータと、コンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムを記憶するメモリとを有しており、各部を制御する。ここでは、制御部30は、オペレータによって操作部32に入力された操作データに基づいて、被検体移動部15とRF駆動部22と勾配駆動部23とデータ収集部24とのそれぞれに制御信号を出力することによって、スキャンを実行させる。また、これと共に、データ処理部31と表示部33と記憶部34とへ、制御信号を出力し、制御を行う。
【0034】
詳細については後述するが、制御部30は、加速度センサ4によって生成された加速度データに基づいて、スキャン部2とデータ処理部31との動作を制御するように構成されている。ここでは、制御部30は、スキャン部2が被検体SUの撮影領域からローデータを繰返し取得するようにスキャンを繰り返し実施した後に、その繰返し取得されたローデータから、データ処理部31が、被検体の撮影領域について画像を生成するように、スキャン部2とデータ処理部31とのそれぞれの動作を制御する。本実施形態においては、制御部30は、スキャン部2がスキャンを繰返し実施する際に加速度センサ4によって生成された加速度データに基づいて、そのスキャンの実施にて取得されたローデータを選択した後に、その選択したローデータに基づいて、被検体SUの撮影領域について、画像を生成するように、データ処理部31の動作を制御する。
【0035】
データ処理部31は、コンピュータと、そのコンピュータを用いて所定のデータ処理を実行するプログラムを記憶するメモリとを有しており、制御部30から出力された制御信号に基づいて、データ処理を実施する。ここでは、データ処理部31は、操作部32においてオペレータによって入力された指令に基づいて、被検体SUについてスキャンを実施する際のスキャン条件を設定する。そして、データ処理部31は、上記にて設定されたスキャン条件に対応するように、スキャン部2がスキャンを実行することによって収集された磁気共鳴信号をローデータとし、その被検体SUの撮影領域について磁気共鳴画像を生成する。具体的には、スキャン部2が被検体SUの撮影領域からローデータを繰返し取得するようにスキャンを繰り返し実施するように、スキャン条件を設定する。そして、そのスキャンの実施において繰返し取得されたローデータから、被検体SUの撮影領域について画像を生成する。たとえば、スキャンの実施によってデータ収集部24が収集した磁気共鳴信号をデジタル信号として取得し、そのデジタル信号に変換された磁気共鳴信号に対して画像再構成処理を実施して、被検体SUの撮影領域について磁気共鳴画像を生成する。たとえば、k空間に対応するように収集された磁気共鳴信号を、逆フーリエ変換することによって、この磁気共鳴画像を再構成する。そして、その生成した磁気共鳴画像の画像データを表示部33に出力する。
【0036】
本実施形態においては、データ処理部31は、加速度センサ4によって生成された加速度データに基づいて、動作を実行するように構成されている。具体的には、データ処理部31は、スキャン部2がスキャンを繰返し実施する際に加速度センサ4によって生成された加速度データに基づいて、そのスキャンの実施にて取得された磁気共鳴信号をローデータとして選択した後に、その選択したローデータに基づいて、被検体SUの撮影領域について、画像を生成する。
【0037】
操作部32は、キーボードやポインティングデバイスなどの操作デバイスにより構成されている。操作部32は、オペレータによって操作データが入力され、その操作データを制御部30に出力する。
【0038】
表示部33は、LCD(Liquid Crystal Display),CRT(Cathode Ray Tube)などの表示デバイスにより構成されており、制御部30から出力される制御信号に基づいて、表示画面に画像を表示する。たとえば、表示部33は、スキャンが実施される前においては、オペレータによって操作部32に操作データが入力される入力項目を示す操作画像を、表示画面に表示する。また、表示部33は、スキャンが実施された後においては、そのスキャンの実施にて収集された磁気共鳴信号に基づいてデータ処理部31において生成された磁気共鳴画像を、表示画面に表示する。
【0039】
記憶部34は、メモリにより構成されており、各種データを記憶している。記憶部34は、その記憶されたデータが必要に応じて制御部30によってアクセスされる。
【0040】
(動作)
以下より、上記の本発明にかかる実施形態の磁気共鳴イメージング装置1に関する動作について説明する。
【0041】
図2は、本発明にかかる実施形態1において、被検体SUの撮影領域をイメージングする際の動作を示すフロー図である。
【0042】
被検体SUの撮影領域についてイメージングをする際には、図2に示すように、加速度センサ4を被検体SUに装着する(S11)。
【0043】
本実施形態においては、人体である被検体SUにおいて頚椎を含む撮影領域についてイメージングを実施するため、図1に示すように、被検体SUにおいて頚椎を含む撮影領域において、嚥下運動が行われる喉仏に対応する部分に、加速度センサ4を装着する。
【0044】
つぎに、図2に示すように、被検体SUの撮影領域についてスキャンを実施する(S21)。
【0045】
ここでは、スキャン部2が被検体SUの撮影領域についてスキャンを実施する。
【0046】
本実施形態においては、被検体SUにおいて頚椎を含む撮影領域についてスキャンを繰返し時間TRごとに実施することによって、k空間における複数のビューに対応するように、磁気共鳴信号を繰返し収集する。たとえば、グラディエントエコー法によって、このスキャンを実施する。
【0047】
このスキャンを実施する際には、上記のスキャンの実施の間に、被検体SUの嚥下運動によって喉仏が体動する際の加速度を、加速度センサ4が検知し、加速度データを得る。
【0048】
そして、そのスキャンの実施において繰返し収集された磁気共鳴信号を、加速度センサ4によって得られた加速度データに基づいて、磁気共鳴信号をローデータとして選択するか否かを、データ処理部31が判断する。
【0049】
ここでは、嚥下運動によって喉仏が移動する際の加速度データについて積分するデータ処理を実施することによって、喉仏の変位を算出する。
【0050】
そして、その算出した変位が、予め定めた変位範囲内である場合には、そのスキャンの実施の際に収集されたビューの磁気共鳴信号を、ローデータとして選択して保存する。一方で、その予め定めた変位範囲外である場合には、その際に収集されたビューの磁気共鳴信号を、ローデータとして選択せずに消去する。つまり、スキャンの実施の際に、嚥下運動によって、喉仏が、予め定めた変位範囲を超えるように移動した場合においては、その際に得たビューの磁気共鳴信号を、ローデータとして選択せず、これに対して、嚥下運動がなく、喉仏が移動しない場合や、その予め定めた変位範囲内にて移動する場合においては、その際に得たビューの磁気共鳴信号を、ローデータとして選択する。
【0051】
そして、磁気共鳴信号がローデータとして選択せずに消去されたビューについては、再度、被検体SUの撮影領域についてスキャンを実施し、そのビューに対応する磁気共鳴信号を収集するように、制御部30が制御する。すなわち、ローデータとして選択しなかったビューの位相エンコードステップに対応して、再度、スキャンを実施するように、制御部30がスキャン部2を制御する。この場合においても、上記のように、算出した喉仏の変位が、予め定めた変位範囲内である場合に、そのスキャンの実施の際に収集したビューの磁気共鳴信号をローデータとして選択して保存する。
【0052】
このようにすることによって、k空間における複数のビューに対応するように、磁気共鳴信号を収集する。
【0053】
つぎに、図2に示すように、スライス画像の生成を行う(S31)。
【0054】
ここでは、上記のようにしてk空間における複数のビューに対応するように収集された磁気共鳴信号に基づいて、データ処理部31が被検体SUの撮影領域についてスライス画像を生成する。本実施形態においては、上記のように、スキャンを繰返し実施する際に加速度センサ4によって生成された加速度データに基づいて、ローデータとして選択された磁気共鳴信号に基づいて、スライス画像を再構成する。そして、その再構成したスライス画像に関する画像データを、表示部33に出力し、表示部33がスライス画像を表示する。
【0055】
以上のように、本実施形態においては、加速度センサ4が、被検体の撮影領域に装着され、その被検体の体動によって撮影領域が移動する際の加速度を検知し、加速度データを得る。そして、その加速度センサ4によって得られた加速度データに基づいて、制御部30がスキャン部2とデータ処理部31との動作を制御する。このように、本実施形態は、加速度センサ4を用いて加速度データを体動データとして得ており、高精度に被検体SUの体動を検知できるので、画像品質を向上させることができる。また、本実施形態のように、被検体の頚椎などの部位についてイメージングを実施する場合に、嚥下運動のように、周期的でない体動が発生した際に、その画像に体動アーチファクトが生じることを防止できるため、画像品質を向上させることができる。
【0056】
<実施形態2>
以下より、本発明にかかる実施形態2について説明する。
【0057】
(装置構成)
図3は、本発明にかかる実施形態2において、磁気共鳴イメージング装置1の構成を示す構成図である。
【0058】
図3に示すように、本実施形態においては、実施形態1に対して、スキャン部2が情報提供部16をさらに有している。この点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。したがって、重複する箇所については、その記載を省略する。
【0059】
スキャン部2において、情報提供部16は、スピーカーを含むように構成されており、そのスピーカーから音声を出力することによって、被検体SUに音声情報を提供するように構成されている。詳細については後述するが、本実施形態においては、情報提供部16は、加速度センサ4によって生成された加速度データに基づいて、音声を出力するように構成されている。
【0060】
そして、操作コンソール3において、制御部30は、加速度センサ4によって生成された加速度データに基づいて、情報提供部16が音声を出力する動作を制御するように構成されている。
【0061】
(動作)
以下より、上記の本発明にかかる実施形態の磁気共鳴イメージング装置1に関する動作について説明する。
【0062】
図4は、本発明にかかる実施形態2において、被検体SUの撮影領域をイメージングする際の動作を示すフロー図である。
【0063】
本実施形態においては、図4に示すように、被検体SUが呼吸運動を停止するように、息止めをさせた状態において、第1のスキャンを実施する。そして、息止め状態を解除させた後に、再度、息止めをさせた状態において、第2のスキャンを実施する。そして、この第1のスキャンおよび第2のスキャンの実施にて得られた磁気共鳴信号に基づいて、画像を生成する。
【0064】
上記のように被検体SUの撮影領域についてイメージングをする際には、まず、図4に示すように、加速度センサ4を被検体SUに装着する(S11)。
【0065】
本実施形態においては、人体である被検体SUにおいて腹部を含む撮影領域についてイメージングを実施するため、被検体SUにおいて腹部を含む撮影領域に、加速度センサ4を装着する。
【0066】
つぎに、図4に示すように、被検体SUの撮影領域について第1のスキャンを実施する(S21a)。
【0067】
ここでは、上記のように、被検体SUに息止めをさせた状態において、被検体SUにて腹部を含む撮影領域について第1のスキャンを実施し、k空間における複数のビューに対応するように、磁気共鳴信号を繰返し収集する。たとえば、グラディエントエコー法によって、この第1のスキャンを実施する。
【0068】
この第1のスキャンを実施する間においては、被検体SUの腹部が体動した際の加速度を、加速度センサ4が検知し、加速度データを得る。
【0069】
つぎに、図4に示すように、被検体SUの撮影領域について第2のスキャンを実施する(S21b)。
【0070】
ここでは、上記のように、再度、被検体SUに息止めをさせた状態において、被検体SUにて腹部を含む撮影領域について第2のスキャンを実施し、k空間における複数のビューに対応するように、磁気共鳴信号を繰返し収集する。たとえば、第1のスキャンの場合と同様に、グラディエントエコー法によって、この第2のスキャンを実施する。
【0071】
この第2のスキャンを実施する際においても、被検体SUの腹部が体動した際の加速度を、加速度センサ4が検知し、加速度データを得る。
【0072】
そして、第1のスキャンの実施の際に得られた加速度データと、第2のスキャンの実施の際に得られた加速度データとに基づいて、被検体SUの位置の適否について、判断を行う。
【0073】
ここでは、呼吸運動によって腹部が移動する際の加速度データについて積分するデータ処理を実施することによって、第1のスキャンの実施の際および第2のスキャンの実施の際の両者について、腹部の変位を算出する。
【0074】
そして、その算出した変位の差分値が、予め定めた範囲内である場合には、被検体SUの撮影領域の位置が適正であると判断する。
【0075】
一方で、その予め定めた範囲外である場合には、被検体SUの撮影領域の位置が適正でないと判断する。そして、被検体SUの撮影領域の位置が適正になるように、被検体SUに指示する情報を、情報提供部16が音声を出力することによって提供する。そして、適正な位置になったことを確認して、この第2のスキャンを実施する。
【0076】
つぎに、図4に示すように、スライス画像の生成を行う(S31)。
【0077】
ここでは、上記のようにして第1のスキャンの実施にて収集された磁気共鳴信号に基づいて、データ処理部31が被検体SUの撮影領域について第1のスライス画像を生成する。また、第2のスキャンの実施にて収集された磁気共鳴信号に基づいて、データ処理部31が被検体SUの撮影領域について第2のスライス画像を生成する。そして、その再構成した第1のスライス画像および第2のスライス画像に関する画像データを、表示部33に出力し、表示部33が表示する。
【0078】
以上のように、本実施形態においては、実施形態1と同様に、加速度センサ4が、被検体の撮影領域に装着され、その被検体の体動によって撮影領域が移動する際の加速度を検知し、加速度データを得る。そして、その加速度センサ4によって得られた加速度データに基づいて、制御部30がスキャン部2とデータ処理部31との動作を制御する。このように、本実施形態は、加速度センサ4を用いて加速度データを体動データとして得ており、高精度に被検体SUの体動を検知できるので、画像品質を向上させることができる。また、本実施形態のように、被検体の腹部などの部位について複数回イメージングを実施する際に、その複数回のイメージングにおいて周期的でない体動が発生した場合であっても、被検体の位置の適否について、高精度に判断可能であるので、効率的にイメージングを実施することができる。
【0079】
<実施形態3>
以下より、本発明にかかる実施形態3について説明する。
【0080】
図5は、本発明にかかる実施形態3において、被検体SUの撮影領域をイメージングする際の動作を示すフロー図である。
【0081】
本実施形態は、被検体SUの撮影領域をイメージングする際の動作の一部が実施形態1と異なる。この点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。したがって、重複する箇所については、その記載を省略する。
【0082】
図5に示すように、本実施形態においては、まず、加速度センサ4を被検体SUに装着する(S11)。
【0083】
本実施形態においては、実施形態1と同様に、被検体SUにおいて頚椎を含む撮影領域において、嚥下運動が行われる喉仏に対応する部分に、加速度センサ4を装着する。
【0084】
つぎに、図5に示すように、被検体SUの撮影領域についてスキャンを実施する(S21a)。
【0085】
ここでは、実施形態1と同様に、被検体SUにおいて頚椎を含む撮影領域についてスキャンを繰返し時間TRごとに実施することによって、k空間における複数のビューに対応するように、磁気共鳴信号を繰返し収集する。
【0086】
このスキャンを実施する際には、上記のスキャンの実施の間に、被検体SUの嚥下運動によって喉仏が体動する際の加速度を、加速度センサ4が検知し、加速度データを得る。
【0087】
つぎに、図5に示すように、スキャンの実施の停止の要否について判断する(S21b)。
【0088】
ここでは、スキャンを繰り返し実施する際に、加速度センサ4によって生成された加速度データに基づいて、そのスキャンが繰返し実施されることを停止するか否かを、データ処理部31が判断する。
【0089】
具体的には、嚥下運動によって喉仏が移動する際の加速度データについて積分するデータ処理を実施することによって、喉仏の変位を算出する。
【0090】
そして、その算出した喉仏の変位が、予め定めた変位範囲内である場合には、スキャンの実施の停止が不要である(No)と判断する。
【0091】
この場合(No)には、図5に示すように、スライス画像の生成を行う(S31)。
【0092】
ここでは、実施形態1と同様に、上記のようにしてスキャンの実施にて収集された磁気共鳴信号に基づいて、データ処理部31が被検体SUの撮影領域についてスライス画像を生成する。
【0093】
一方で、その算出した喉仏の変位が、予め定めた変位範囲外である場合には、スキャンの実施の停止が必要である(Yes)と判断する。
【0094】
この場合(Yes)には、スキャンを停止する(S41)。
【0095】
ここでは、繰返し実施されているスキャンを停止するように、制御部30がスキャン部2の動作を制御する。
【0096】
以上のように、本実施形態においては、実施形態1と同様に、加速度センサ4を用いて加速度データを体動データとして得ており、高精度に被検体SUの体動を検知できる。このため、本実施形態は、効率的にイメージングを実施することができる。
【0097】
なお、上記の実施形態において、磁気共鳴イメージング装置1は、本発明のイメージング装置に相当する。また、上記の実施形態において、スキャン部2は、本発明のスキャン部に相当する。また、上記の実施形態において、加速度センサ4は、本発明の加速度センサに相当する。また、上記の実施形態において、情報提供部16は、本発明の情報提供部に相当する。また、上記の実施形態において、制御部30は、本発明の制御部に相当する。また、上記の実施形態において、データ処理部31は、本発明の画像生成部に相当する。
【0098】
また、本発明の実施に際しては、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例を採用することができる。
【0099】
たとえば、上記の実施形態においては、被検体SUにおいて頚椎または腹部についてイメージングする場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、膝など他の部位についてイメージングする場合に、適用することができる。
【0100】
また、上記の実施形態においては、磁気共鳴イメージング装置においてイメージングを実施する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、X線CT装置において、被検体についてイメージングする場合に、適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1:磁気共鳴イメージング装置、2:スキャン部(スキャン部)、3:操作コンソール部、4:加速度センサ(加速度センサ)、12:静磁場マグネット部、13:勾配コイル部、14:RFコイル部、15:被検体移動部、15a:クレードル部、15b:クレードル移動部、16:情報提供部(情報提供部)、22:RF駆動部、23:勾配駆動部、24:データ収集部、30:制御部(制御部)、31:データ処理部(画像生成部)、32:操作部、33:表示部、34:記憶部、B:撮像空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の撮影領域をイメージングするイメージング部と、
前記イメージング部の動作を制御する制御部と
を有する画像診断装置であって、
前記被検体の撮影領域に装着され、当該被検体の体動によって前記撮影領域が移動する際の加速度を検知し、加速度データを得る加速度センサ
を、さらに有し、
前記制御部は、前記加速度センサによって得られた加速度データに基づいて、前記イメージング部の動作を制御する
画像診断装置。
【請求項2】
前記イメージング部は、
前記撮影領域についてスキャンを実施するスキャン部と、
前記スキャン部が前記スキャンを実施することによって得られるローデータに基づいて、前記撮影領域について画像を生成する画像生成部と
を含む、
請求項1に記載の画像診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記スキャン部が前記被検体の撮影領域からローデータを繰返し取得するように前記スキャンを繰り返し実施した後に、当該繰返し取得されたローデータから前記画像生成部が前記画像を生成するように、前記スキャン部と前記画像生成部とのそれぞれの動作を制御し、
前記加速度センサは、前記スキャン部が前記スキャンを実施する際に、前記被検体の体動の加速度を検知し、加速度データを生成するように構成されている、
請求項2に記載の画像診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記スキャン部が前記スキャンを繰返し実施する際に前記加速度センサによって生成された加速度データに基づいて、当該スキャンの実施にて取得されたローデータを選択した後に、当該選択したローデータに基づいて、前記画像を生成するように、前記画像生成部の動作を制御する、
請求項3に記載の画像診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記スキャン部が前記スキャンを繰り返し実施する際に前記加速度センサによって生成された加速度データに基づいて、当該スキャンを繰返し実施することを停止するように、前記スキャン部の動作を制御する、
請求項3または5のいずれかに記載の画像診断装置。
【請求項6】
前記イメージング部は、
前記被検体に情報を提供する情報提供部
を、さらに有し、
前記制御部は、前記加速度センサによって生成された加速度データに基づいて、前記情報提供部の動作を制御する、
請求項1から4のいずれかに記載の画像診断装置。
【請求項7】
前記情報提供部は、音声を出力することによって、前記被検体に情報を提供するように構成されており、
前記制御部は、前記加速度センサによって生成された加速度データに基づいて、前記情報提供部が音声を出力するように、前記情報提供部の動作を制御する、
請求項5に記載の画像診断装置。
【請求項8】
前記スキャン部は、静磁場が形成された撮像空間において、前記撮影領域から磁気共鳴信号を前記ローデータとして取得するスキャンを実施するように構成されており、
前記画像生成部は、前記ローデータとして取得された磁気共鳴信号に基づいて、前記画像として磁気共鳴画像を生成するように構成されている、
請求項1から7のいずれかに記載の画像診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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