説明

画像読み取り用ライン光源及び導光ユニット

【課題】 長手方向に照明の均一性を得ることができると共に蛍光される光の変換効率を高めることで発光強度の大きな画像読み取り用ライン光源及び導光ユニットを得る。
【解決手段】 青色光を発生するLED光源1と、このLED光源1を端部に配置し、内部に入射した青色光を長軸方向に沿って反射させながら伝搬させる棒状の導光体3と、この導光体3と所定の隙間を設けて導光体3を取り囲むと共に長軸方向に沿って長溝で構成した開口部を設けた反射板6と、この反射板6の導光体3側に設けられ、青色光を吸収して励起された蛍光を放出する蛍光体層5とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、読み取り対象物(被照射体)に光を照射し、読み取り対象物からの透過光や反射光をライン状に配置された光センサで読み取らせることで読み取り対象物上に形成された画像、文字、パターンなどを電子情報化する複写機やスキャナー等の画像読み取り機器に使用される画像読み取り用ライン光源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙媒体などに印刷形成された画像、文字、パターンなどの情報を電子化するときに用いられる複写機、スキャナー等の機器においては、キセノン(Xe)ランプなどの線状光源で読み取り対象物を照明するものが多い。例えば、特開2002−190919号公報段落〔0020〕(特許文献1参照)には、蛍光体非塗布部(帯状光投射部)13a、13bを残して蛍光体膜とした、キセノンガスを放電媒体とするアパーチャ形の蛍光ランプ12a、12bが開示されている。
【0003】
また、線状光源としてXeランプの代わりに青色光や紫外光を発するLEDを用いた光源が普及している。例えば、特開2000−127505号公報段落〔0023〕(特許文献2参照)には、LED26から放出された青色光36を受けて、蛍光ストリップ30、32と非蛍光ストリップ34をガラス又はプラスチック材料で構成した透明な棒レンズ28から複合「白色」光38を発生させる光源アセンブリ18が開示されている。
【0004】
特開2004−85824号公報段落〔0014〕(特許文献3参照)には、紫外線発光のLED11の上方に数タイプの発光色をブレンドした蛍光体13を塗布した透明板(ガラス板等)12が配置され、LED11から発した紫外光UVが蛍光体13に当たって可視光を発光する長尺光源(線状光源)10が開示されている。
【0005】
特開平10−79835号公報段落〔0015〕(特許文献4参照)には、光源1の管内面に塗付されている蛍光体5により紫外線4から変換された可視光6と、光源1の開口部2から直接放射された紫外線4aを蛍光体10と反射膜11からなる蛍光部材9により変換された可視光6aとからなる合成可視光を原稿7に照射する照明装置が開示されている。
【0006】
特開2006−67197号公報段落〔0062〕(特許文献5参照)には、外筒部としての反射シート18の内面に蛍光体43が印刷されたパターン、又はカバー15の内面に蛍光体44が印刷されたパターンを導光体と接するように貼り付け又は覆うライン光源が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−190919号公報(段落〔0020〕)
【特許文献2】特開2000−127505号公報(段落〔0023〕)
【特許文献3】特開2004−85824号公報(段落〔0014〕、第2図)
【特許文献4】特開平10−79835号公報(段落〔0015〕、第1図)
【特許文献5】特開2006−67197号公報(段落〔0062〕)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、Xeガスの放電で発生した紫外光でガラス管内壁面に形成した蛍光体層を励起して蛍光させるためにXeランプに数kVの高電圧を印加するので高電圧を生成するための電源回路が必要であるという課題がある。また、放電現象を利用していることにより発熱が大きく、ランプの温度上昇に伴い蛍光体の発光効率や輝度が低下し、時間と共に輝度が大きく変化してしまうという課題もあった。
【0009】
特許文献2に記載のものは、青色のLEDを使用するので低電圧で動作が可能であるものの、ハウジング14の内部に入っているキャリッジユニット16の一部を構成する棒状の光源アセンブリ18の蛍光ストリップ30、32については言及されているが、ハウジング14やキャリッジユニット16などの周辺部材との取り合わせについては触れていない。
【0010】
特許文献3に記載のものは、紫外発光のLED11の上方に蛍光体13を塗布した透明板(ガラス板等)12が配置されるので、光の照射方向に可視光(VR)と紫外線(UV)とが複合され、紫外線の強度が大きい場合には、読み取り対象物に対する紫外線のスペクトラム比率が高くなり、紫外線の強度が小さい場合には、蛍光の変換効率を悪くなるという課題がある。また、LED11を長手方向(読み取り幅方向)の長さに合わせてアレー状に多数配列するので経時変化などで個々のLED11の光変換効率に差が生じ均一な照明が困難になるという課題があった。
【0011】
特許文献4に記載のものは、光源1の管内面に蛍光体5が塗布されるので、副走査方向と直交する領域に塗布された蛍光体5の塗布厚のばらつきがあり、均一性を確保することが困難であるという課題がある。また、長筒状の光源1が筐体フレームに保持されることに関する詳細については触れられていない。
【0012】
特許文献5に記載のものは、外筒部としての反射シート18の内面に蛍光体43が印刷されたパターン又はカバー15の内面に蛍光体44が印刷されたパターンを導光体と接するように貼り付け又は覆うので、蛍光体層の厚みを十分に確保できないため蛍光体43、44の発光効率が低下するという課題がある。
【0013】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、長尺の光源を形成した場合にも長手方向に照明の均一性を得ることができると共に蛍光される光の変換効率を高めることで発光強度の大きな画像読み取り用ライン光源及び導光ユニットを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明の画像読み取り用ライン光源は、発光素子と、この発光素子を端部に配置し、内部に入射した前記発光素子からの光を長軸方向に沿って反射させながら伝搬させる棒状の導光体と、この導光体と所定の隙間を設けて前記導光体を取り囲み長軸方向に沿って設けた反射板と、この反射板の前記導光体側に設けられ、前記発光素子からの光を吸収して励起された蛍光を放出する蛍光体層とを備えたものである。
【0015】
請求項2に係る発明の画像読み取り用ライン光源は、前記反射板は、前記導光体と所定の隙間を設けて前記導光体を取り囲むと共に長軸方向に沿って長溝で構成した開口部を有し、前記長溝で形成した前記開口部のそれぞれの端部と隙間を空けて対向する前記導光体の外周面に、前記長軸方向に沿ってライン状に設けた細幅の光反射パターンとを備えた請求項1に記載のものである。
【0016】
請求項3に係る発明の画像読み取り用ライン光源は、前記発光素子からの光が前記導光体を伝搬する過程において、前記蛍光体層は、前記導光体の表面から出射した前記発光素子からの光を捕捉し、前記発光素子からの光を反射させると共に前記発光素子からの光とは異なる光学波長の光に変換された2種以上の複合光を生成し、前記蛍光体層で生成された光を前記導光体の内部を透過させて前記発光素子からの光を含む前記複合光を被照射体に照射する請求項1に記載のものである。
【0017】
請求項4に係る発明の画像読み取り用ライン光源は、前記発光素子からの光が前記導光体を伝搬する過程において、前記蛍光体層は、前記光反射パターンで散乱又は正反射して前記導光体の表面から出射した前記発光素子からの光を捕捉し、前記発光素子からの光を反射させると共に前記発光素子からの光とは異なる光学波長の光に変換された2種以上の複合光を生成し、前記蛍光体層で生成された光を前記導光体の内部を透過させて前記開口部から前記発光素子からの光を含む前記複合光を被照射体に照射する請求項2に記載のものである。
【0018】
請求項5に係る発明の導光ユニットは、端部から内部に入射した入射光を長軸方向に沿って反射させながら伝搬させる棒状の導光体と、この導光体と所定の隙間を設けて前記導光体を取り囲み長軸方向に沿って設けた反射板と、この反射板の前記導光体側に設けられ、前記入射光を吸収して励起された蛍光を放出する蛍光体層とを備えたものである。
【0019】
請求項6に係る発明の導光ユニットは、前記反射板は、前記導光体と所定の隙間を設けて前記導光体を取り囲むと共に長軸方向に沿って長溝で構成した開口部を有し、前記長溝で形成した前記開口部のそれぞれの端部と隙間を空けて対向する前記導光体の外周面に、前記長軸方向に沿ってライン状に設けた細幅の光反射パターンとを備えた請求項5に記載のものである。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、長尺の光源を形成した場合にも長手方向に照明の均一性を得ることができると共に蛍光される光の変換効率を高めることで発光強度の大きな画像読み取り用ライン光源及び導光ユニットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の側面断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の構成を説明する展開斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の断面図である。
【図5】この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の光路を説明する側面図である。
【図6】この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の光路を説明する断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の導光体ケースを変更した展開斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の導光体ケースを変更した断面図である。
【図9】蛍光体の厚みと発光輝度との関係を説明する図である。
【図10】この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の照明発光特性を説明する図である。
【図11】この発明の実施の形態2による画像読み取り用ライン光源の側面断面図である。
【図12】この発明の実施の形態2による画像読み取り用ライン光源の斜視図である。
【図13】この発明の実施の形態2による画像読み取り用ライン光源に搭載する紫外線カットフィルタの特性を説明する図である。
【図14】この発明の実施の形態1又は2による画像読み取り用ライン光源の反射パターンのサイズを説明する断面図であり、図14(a)は細幅サイズ、図14(b)は広幅サイズを示す。
【図15】この発明の実施の形態1又は2による画像読み取り用ライン光源の反射パターンの位置を説明する断面図であり、図15(a)は端部付近、図15(b)は中央部付近を示す。
【図16】この発明の実施の形態3による画像読み取り用ライン光源の蛍光体層の位置を説明する断面図であり、図16(a)は端部付近、図16(b)は中央部付近を示す。
【図17】この発明の実施の形態3による画像読み取り用ライン光源の蛍光体層の領域を説明する断面図であり、図17(a)は端部付近、図17(b)は中央部付近を示す。
【図18】この発明の実施の形態4による画像読み取り用ライン光源の断面図であり、図18(a)は端部付近、図18(b)は中央部付近を示す。
【図19】この発明の実施の形態5による画像読み取り用ライン光源の断面図であり、図19(a)は端部付近、図19(b)は中央部付近を示す。
【図20】この発明の実施の形態5による画像読み取り用ライン光源の反射パターンを付加した断面図であり、図20(a)は端部付近、図20(b)は中央部付近を示す。
【図21】この発明の実施の形態6による画像読み取り用ライン光源の断面図であり、図21(a)は端部付近、図21(b)は中央部付近を示す。
【図22】この発明の実施の形態6による画像読み取り用ライン光源の反射パターンを付加した断面図であり、図22(a)は端部付近、図22(b)は中央部付近を示す。
【図23】この発明の実施の形態7による画像読み取り用ライン光源の断面図であり、図23(a)は端部付近、図23(b)は中央部付近を示す。
【図24】この発明の実施の形態7による画像読み取り用ライン光源の反射パターンを付加した断面図であり、図24(a)は端部付近、図24(b)は中央部付近を示す。
【図25】この発明の実施の形態8による画像読み取り用ライン光源の中央部付近の断面図である。
【図26】この発明の実施の形態8による画像読み取り用ライン光源の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源について図1〜図4を用いて説明する。図1は、この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の側面断面図である。図2は、この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の斜視図である。図3は、この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の構成を説明する展開斜視図である。図4は、この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の図3端部から見た断面図である。
【0023】
LED光源1は青色光を発光するLED発光素子を用いた波長が約430nm〜470nm程度の光源である。LED回路2は、エポキシ材などの基板2aにLED光源1を載置すると共に外部からの電源をLED光源1に供給するコネクタ2bとからなる。導光体3は透明なソーダガラス、透明な樹脂、又は透過率が80%程度の透明サファイアなど、屈折率(n)が1.5以上を有する部材を棒状に成形加工したもので、端部を鏡面処理し、この端部からLED光源1の光を入射させ、内部に入射した青色光を長手方向(長軸方向)に沿って導光する。この導光体3の内部を長軸方向に通過する光の経路を導光路と呼び、導光体3の長軸方向と直交する方向を通過する光の経路を横断路(透過路)と呼ぶ。
【0024】
図4に示す一例では、円柱状の導光体3の外周面に対して0.1mm程度の所定の隙間(d)を隔てて内周面に蛍光体層(蛍光体)5を塗布した白色の反射板(導光体ケース)6が導光体3を取り囲むように設置される。すなわち、導光体3の外周面と反射板6の内周面とは長軸方向の読み取り領域(有効読取幅)に対して中心軸を同一とする同心円状に構成される。
【0025】
反射板6には、長軸方向に沿って長軸方向と直交する方向に一定幅の長溝を形成することで光を被照射体に出射する取り出し口となる開口部6aを設けている。この開口部6aの端部を長溝端部と呼ぶ。それぞれの長溝端部と所定の隙間を空けて対向する導光体3の外周面には、長軸方向に沿ってシルク印刷用の白色の光反射部材又は導光体3に直接切溝で形成したレンチキュラーレンズやプリズムパターンを用いて光反射パターン4が互いに平行して形成される。したがって、導光体3の導光路を通過する青色光の一部は光反射パターン4で散乱又は正反射して導光体3の内部の横断路を透過して導光体3の表面から出射し、反射板6の蛍光体層5で捕捉される。
【0026】
反射板6の内面には、約50μmの厚み(t)の蛍光体層5が塗布される。この蛍光体層5には、波長が約600nm程度の赤色発光する蛍光体と波長が525nm程度の緑色発光する蛍光体とが混合して塗布され、この蛍光体層5で青色光を捕捉し、一部の青色光は反射し、導光体3の内部を横断して開口部6aから被照射体に照射される。その他の青色光は蛍光体層5で吸収され励起された蛍光を放出する。すなわち、蛍光体層5は青色光とは異なる波長の光に変換された2種の複合光を生成する。
【0027】
生成された蛍光は導光体3の内部を横断して開口部6aから複合光として被照射体に照射される。したがって青色光、赤色光、緑色光が混合した擬似白色光が被照射体に照明される。なお、導光体3は図3に示すように反射板6の両端部と中央部に設けた突起部6bで固定される。
【0028】
ライン光源(画像読み取り用ライン光源)は、中空部を有するホルダー7の中空部の一端側にLED回路2の基板2aに載置したLED光源1を収納し、他端側に導光体3を組み込んだ反射板6の端部を挿入することで構成される。図1では、ホルダー7は反射板6の両端側に設けられ、LED光源1から照射される青色光は導光体3の両側から入射する。
【0029】
次にLED光源1とホルダー7との関係について説明する。導光体3の端部に設けられる青色発光のLED光源1を搭載するLED回路2は、その保持機構であるホルダー7で固定され、LED回路2は導光体3や反射板6に対して導光体3の端部で光が通過する照射軸を中心とする光学位置が一致するように取り付けられ、LED回路2には単数又は複数の青色LEDが配置される。またホルダー7の構造によりLED光源1は導光体3の端部に対して所定の間隔を保持し、LED光源1から出射する青色光が安定して導光体3の内部に取り込まれるように構成される。
【0030】
また、ホルダー7は導光体3や反射板6の位置ずれを防止するために図1に示す2段の嵌め合わせの差込構造を持ち、導光体3の両端部で位置決めを行う構造としている。さらに、導光体3に対するホルダー7の嵌め合わせは例えば導光体3の直径が4mmでは、2mm以上の深さとし、LED光源1から入射される青色光が導光体3の表面に対して全反射角よりも小さな角度で入射した光だけが導光体3の内部へ入射するようにし、ホルダー7の外部においてはLED光源1の直接光が照明光として直接関与しない構造としている。
【0031】
次にライン光源の動作について図5及び図6を用いて説明する。図5は、この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の光路を説明する側面図である。図6は、この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の光路を説明する断面図である。
【0032】
LED光源1から発せられた光は透明材料により形成された円柱状の導光体3の内部を他端側に向かって導光される過程において、導光体3に設けられた光反射パターン4で光は散乱又は正反射され、蛍光体層5へ照射される。蛍光体層5で発光した蛍光と蛍光体層5で反射された青色光が混色し、導光体3を経由して反射板6の開口部6aから原稿などの被照射体に向かって蛍光と青色光とが照射される。
【0033】
導光体3は外部空間より高い屈折率を保有しているので導光体3の端部から入射された光は鏡面状態の導光体3の表面に到達したとき、全反射角よりも大きな角度で入射し、表面で全反射されることにより導光体3内部の導光路を伝搬する。
【0034】
一部の光は光反射パターン4で反射し、反射角が変更され、全反射角より小さな角度で導光体3の表面から外部へ放射される。この光は反射板6の内面に塗布された蛍光体層5に照射される。反射板6は、反射板6の導光体3側にある反射板6の内面に形成される蛍光体層5の支持基板としての役目を担う。
【0035】
導光体3の外周面と反射板6内周面とは所定の隙間(ギャップ)を有しており、この隙間を一定にすることにより、導光体3に対する位置の安定性を確保する。また、図3及び図4に示すように反射板6は両端部及び中央部の3箇所の内面に約0.1mmの高さの導光体3との接触面積が小さい突起部6bを有しており、この突起部6bと導光体3とが密接することにより、反射板6の内面に形成されている蛍光体層5と導光体3との間に所定の隙間(d>t)を維持する。
【0036】
蛍光体層5は、赤色や緑色(黄緑色)などの蛍光波長を持つ染料又は顔料で形成され、導光体3の光反射パターン4に対向する反射板6の内面に主体的に形成される。導光体3から蛍光体層5へ照射される青色光は、蛍光体層5からの蛍光と蛍光体層5の表面で反射した青色光の拡散反射光が合わさって導光体3の横断路を透過して反射板6の開口部6aより放射され、被照射体に対して白色光による照明を行う。
【0037】
なお、実施の形態1では、反射板6の突起部6bは反射板6の両端部及び中央部に設けたが図7及び図8に示すように長軸方向に一様に連続的に設けても良い。すなわち、導光体3と蛍光体層5が塗布された反射板6との隙間を維持する機構として、実施の形態1では長軸方向に所定間隔の突起6bを反射板6の内面に形成したが、反射板6の長軸方向に三角柱や半円柱状の突起6cを連続的にライン状に形成することで反射板6の突起部6bとし、導光体3と蛍光体層5との位置関係を保持する機構としても良い。この場合には、反射板6の短軸断面形状が長軸方向に亘って同一になるので反射板6の成形加工が容易になる。
【0038】
図9は、蛍光体の厚みと発光輝度との関係を説明する図である。蛍光体層5は約50μmの膜厚としたが、図9に示すように、青色光を照射した際に発光強度が飽和する厚みで蛍光体層5を形成することにより蛍光を生成する変換効率を向上させて、省エネ化を図ると共に蛍光体層5の膜厚のばらつきによる発光強度が不均一になることを防止することができる。
【0039】
図10は、この発明の実施の形態1による画像読み取り用ライン光源の照明発光特性を説明する図である。図10では、450nm程度のピーク波長と、約500〜630nmに亘る蛍光体で発光した複合光とが合わさり白色光を呈する。
【0040】
以上の構造を持つ画像読み取り用ライン光源では、蛍光体層5で反射した青色光と蛍光体層5で生成された複合光は混色し、導光体3の内部を透過し、反射板6の開口部6aから被照射体に白色の照明光を与える。さらに導光体3が円柱状の形状をしているので、蛍光体層5の表面で反射した反射光や生成された蛍光は導光体3で集光され、そのレンズ効果により、被照射体に対する照明照度を向上させるという効果がある。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態1では、青色LEDを用いたライン光源の構成について説明したが、実施の形態2では、紫外線LEDを用いたライン光源の構成について図11及び図12を用いて説明する。図11は、この発明の実施の形態2による画像読み取り用ライン光源の側面断面図である。図12は、この発明の実施の形態2による画像読み取り用ライン光源の斜視図である。
【0042】
LED光源11は紫外線を発光するLED発光素子を用いた波長が約350nm〜380nmまでの光源である。LED回路2は、エポキシ材などの基板2aにLED光源11を載置すると共に外部からの電源をLED光源11に供給するコネクタ2bとからなる。導光体3は透明なソーダガラス、透明な樹脂、又は透過率が80%程度の透明サファイアなど、屈折率(n)が1.5以上を有する部材を棒状に成形加工したもので、端部を鏡面処理し、この端部からLED光源11の光を入射させ、内部に入射した紫外光(紫外線)を長手方向(長軸方向)に沿って導光する。この導光体3の内部を長軸方向に通過する光の経路を導光路と呼び、導光体3の長軸方向と直交する方向を通過する光の経路を横断路(透過路)と呼ぶ。
【0043】
円柱状の導光体3の外周面に対して0.1mm程度の所定の隙間を隔てて内周面に蛍光体を塗布した白色の反射板(導光体ケース)6が導光体3を取り囲むように設置される構成については実施の形態1で説明したものと同一なので詳細説明を省略する。
【0044】
反射板6には、長軸方向に沿って長軸方向と直交する方向に一定幅の長溝を形成することで光を被照射体に出射する取り出し口となる開口部6aを設けている。この開口部6aの端部を長溝端部と呼ぶ。それぞれの長溝端部と所定の隙間を空けて対向する導光体3の外周面には、長軸方向に沿ってシルク印刷用の白色の光反射部材又は導光体3に直接切溝で形成したレンチキュラーレンズやプリズムパターンを用いて光反射パターン4が互いに平行して形成される。したがって、導光体3の導光路を通過する紫外光の一部は光反射パターン4で散乱又は正反射して導光体3の内部の横断路を透過して導光体3の表面から出射し、反射板6の蛍光体層51で捕捉される。
【0045】
反射板6の内面には、約50μmの厚み(t)の蛍光体層51が塗布される。この蛍光体層51には、波長が約600nm程度の赤色発光する蛍光体、波長が525nm程度の緑色発光する蛍光体、及び波長が450nm程度の青色発光させる蛍光体が混合して塗布され、この蛍光体層51で紫外光を捕捉し、一部の紫外光は反射し、導光体3の内部を横断して開口部6aから被照射体に照射される。その他の紫外光は蛍光体層51で吸収され励起された蛍光を放出する。すなわち、蛍光体層51は紫外光と異なる波長の光に変換された3種の複合光を生成する。
【0046】
生成された蛍光は導光体3の内部を横断して開口部6aから複合光として被照射体に照射される。したがって青色光、赤色光、緑色光が混合した擬似白色光が被照射体に照明される。
【0047】
ライン光源(画像読み取り用ライン光源)は、中空部を有するホルダー7の中空部の一端側にLED回路2の基板2aに載置したLED光源11を収納し、他端側に導光体3を組み込んだ反射板6の端部を挿入することで構成される。図11では、ホルダー7は反射板6の両端側に設けられ、LED光源11から照射される紫外光は導光体3の両側から入射する。なお、LED光源11とホルダー7との関係及びライン光源の動作については、実施の形態1で説明したものと同一なので説明を省略する。図11及び図12中、図1及び図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0048】
実施の形態2では、紫外光が被照射体に入射しないように光反射パターン4に挟まれた導光体3の外周面に長軸方向に沿って反射板6の開口部6aからライン状に出射する紫外光を遮光する紫外線遮光パターン(紫外線カットフィルタ)8を設けている。すなわち、光反射パターン4に挟まれた導光体3の外周面に長軸方向に沿って反射板6の開口部6aからライン状に出射する紫外光を遮光する紫外線遮光パターン8を設けている。紫外線カットフィルタ8は、図13に示すように遮断波長が約430nm付近にあり、430nm以下の短波長側の波長をカットし、青色光を含む長波長側の光を透過させるフィルタ材料を導光体3に塗布又は蒸着して用いる。
【0049】
このようにして蛍光体層51などで反射された紫外光は照明光としては不要であるため紫外線カットフィルタ8を透過した蛍光の可視光のみが被照射体に照射される。本実施形態2では実施形態1で説明した青色LEDを用いた図10に示す発光スペクトルに対して、青色発光成分に強い発光ピークが無い発光スペクトルを得ることが可能となる。すなわち可視光領域でフラットな発光スペクトルを持つ照明となる。
【0050】
以上から実施の形態2に係る画像読み取り用ライン光源では、開口部6aに到達した紫外光は紫外線カットフィルタ8で遮光され、蛍光体層51で生成された複合光は導光体3の内部を透過して反射板6の開口部6aから被照射体に白色の照明光を与える。さらに導光体3が円柱状の形状をしているので、蛍光体層5で生成した蛍光は導光体3で集光され、そのレンズ効果により、被照射体に対する照明照度を向上させるという効果もある。
【0051】
実施の形態1及び2では、光反射パターン4の幅について言及しなかったが、光反射パターン4の幅は、図14(a)に示すようにW1=0.2mm程度の細幅から図14(b)に示すようにW2=0.3mm程度の比較的広い細幅のパターンが適当である。
【0052】
実施の形態1及び2では光反射パターン4の位置は、長溝で形成した開口部6aのそれぞれの端部と隙間を空けて対向する導光体3の外周面に設けるようにしたが、光反射パターン4は図15(a)及び図15(b)に示すように一部が開口部6a側に入り込んでいても実施の形態1及び2で説明したものと同様な効果を奏する。
【0053】
実施の形態3.
図16は、この発明の実施の形態3による画像読み取り用ライン光源の蛍光体層の位置を説明する断面図であり、図16(a)は端部付近、図16(b)は中央部付近を示す。図17は、この発明の実施の形態3による画像読み取り用ライン光源の蛍光体層の領域を説明する断面図であり、図17(a)は端部付近、図17(b)は中央部付近を示す。
【0054】
実施の形態1では、反射板6の内面全域に蛍光体層5を塗布したが実施の形態3では、長軸方向に沿って長軸方向と直交する方向に一定幅の蛍光体層5を複数個ライン状に設け、隣接する蛍光体層5間にスリット部を設ける。また少なくとも蛍光体層5が塗布されない反射板6の内面表面領域を黒色などの光吸収材で遮光することにより、青色光を吸収し、図10に示す青色LED発光成分の発光輝度を軽減することで蛍光体層発光成分の輝度に近づけることができる。すなわち、導光体ケース(反射板)6に黒色プラスチィック樹脂を適用することで白色発光スペクトルの輝度調節が可能である。
【0055】
実施の形態1では、反射板6の内面全域に蛍光体層を塗布したが、図17に示すように蛍光体層5の塗布領域は反射板6の内面全域に限らず、開口部6aと対向する反射板6の領域を主体に2mm幅で3ライン程度の蛍光体層5を設け、黒色の導光体ケース6を用いることにより、青色LED発光成分の発光輝度をさらに軽減することができる。
【0056】
実施の形態4.
実施の形態1では、円柱状の導光体を用いたライン光源の構成について説明したが、実施の形態4では、短軸側断面が楕円状の導光体を用いたライン光源の構成について図18を用いて説明する。図18は、この発明の実施の形態4による画像読み取り用ライン光源の断面図であり、図18(a)は端部付近、図18(b)は中央部付近を示す。
【0057】
短軸側断面が楕円状の棒状導光体31の外周面に対して0.1mm程度の所定の隙間を隔てて内周面に蛍光体を塗布した白色の反射板(導光体ケース)61が導光体31を取り囲むように設置される構成以外は実施の形態1で説明したものと同一なので説明を省略する。
【0058】
反射板61には、長軸方向に沿って長軸方向と直交する方向に一定幅の長溝を形成することで光を被照射体に出射する取り出し口となる開口部61aを設けている。この開口部61aの端部を長溝端部と呼ぶ。それぞれの長溝端部と所定の隙間を空けて対向する導光体31の外周面には、長軸方向に沿ってシルク印刷用の白色の光反射部材又は導光体3に直接切溝で形成したレンチキュラーレンズやプリズムパターンを用いて光反射パターン4が互いに平行して形成される。したがって、導光体31の導光路を通過する青色光の一部は光反射パターン4で散乱又は正反射して導光体31の内部の横断路を透過して導光体31の表面から出射し、反射板61の蛍光体層5で捕捉される。
【0059】
反射板61の内面には、約50μmの厚み(t)の蛍光体層5が塗布される。この蛍光体層5には、波長が約600nm程度の赤色発光する蛍光体と波長が525nm程度の緑色発光する蛍光体とが混合して塗布され、この蛍光体層5で青色光を捕捉し、一部の青色光は反射し、導光体31の内部を横断して開口部61aから被照射体に照射される。その他の青色光は蛍光体層5で吸収され励起された蛍光を放出する。すなわち、蛍光体層5は青色光とは異なる波長の光に変換された2種の複合光を生成する。
【0060】
生成された蛍光は導光体31の内部を横断して開口部61aから複合光として被照射体に照射される。したがって青色光、赤色光、緑色光が混合した擬似白色光が被照射体に照明される。なお、LED光源とホルダーとの関係及びライン光源の動作については、実施の形態1で説明したものと同一なので説明を省略する。図18中、図4と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0061】
以上の構造を持つ画像読み取り用ライン光源では、蛍光体層5で反射した青色光と蛍光体層5で生成された複合光は混色し、導光体31の内部を透過し、反射板61の開口部61aから被照射体に白色の照明光を与える。さらに導光体31の断面が楕円状の形状をしているので、蛍光体層5の表面で反射した反射光や生成された蛍光は導光体31で集光され、そのレンズ効果により、被照射体に対する照明照度を向上させるという効果があると共に断面が楕円状であるので楕円形の長軸方向に多数のLED光源を搭載できる利点がある。
【0062】
実施の形態5.
実施の形態1では、円柱状の導光体を用いたライン光源の構成について説明したが、実施の形態5では、短軸側断面が楕円状の導光体に切り欠き部を設けたライン光源の構成について図19及び図20を用いて説明する。図19は、この発明の実施の形態5による画像読み取り用ライン光源の断面図であり、図19(a)は端部付近、図19(b)は中央部付近を示す。図20は、この発明の実施の形態5による画像読み取り用ライン光源の反射パターンを付加した断面図であり、図20(a)は端部付近、図20(b)は中央部付近を示す。
【0063】
図19において、短軸側断面が楕円状の棒状導光体32の一部に切り欠き部62cを設け、この切り欠き部62cの両側に長軸方向に沿って光反射パターン4を設け、切り欠き部62cを除く導光体32の外周面に対して0.1mm程度の所定の隙間を隔てて内周面に蛍光体層5を塗布した白色の反射板(導光体ケース)62が導光体32を取り囲むように設置される構成以外は実施の形態1で説明したものと同一なので説明を省略する。
【0064】
反射板62には、長軸方向に沿って長軸方向と直交する方向に一定幅の長溝を形成することで光を被照射体に出射する取り出し口となる開口部62aを設けている。この開口部62aの端部を長溝端部と呼ぶ。それぞれの長溝端部と離間して対向する導光体32の外周面の切り欠き部62cには、長軸方向に沿ってシルク印刷用の白色の光反射部材又は導光体32に直接切溝で形成したレンチキュラーレンズやプリズムパターンを用いて光反射パターン4が互いに平行して形成される。したがって、導光体32の導光路を通過する青色光の一部は光反射パターン4で散乱又は正反射して導光体32の内部の横断路を透過して導光体32の表面から出射し、反射板62の蛍光体層5で捕捉される。
【0065】
反射板62の内面には、約50μmの厚み(t)の蛍光体層5が塗布される。この蛍光体層5には、波長が約600nm程度の赤色発光する蛍光体と波長が525nm程度の緑色発光する蛍光体とが混合して塗布され、この蛍光体層5で青色光を捕捉し、一部の青色光は反射し、導光体32の内部を横断して開口部62aから被照射体に照射される。その他の青色光は蛍光体層5で吸収され励起された蛍光を放出する。すなわち、蛍光体層5は青色光とは異なる波長の光に変換された2種の複合光を生成する。
【0066】
生成された蛍光は導光体32の内部を横断して開口部62aから複合光として被照射体に照射される。したがって青色光、赤色光、緑色光が混合した擬似白色光が被照射体に照明される。なお、LED光源とホルダーとの関係及びライン光源の動作については、実施の形態1で説明したものと同一なので説明を省略する。図19中、図4と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0067】
以上の構造を持つ画像読み取り用ライン光源では、蛍光体層5で反射した青色光と蛍光体層5で生成された複合光は混色し、導光体32の内部を透過し、反射板62の開口部62aから被照射体に白色の照明光を与える。さらに導光体32の断面が楕円状の形状をしているので、蛍光体層5の表面で反射した反射光や生成された蛍光は導光体32で集光され、そのレンズ効果により、被照射体に対する照明照度を向上させるという効果があると共に導光体32の短軸側断面が楕円状であるので楕円形の長軸方向に多数のLED光源を搭載できる利点がある。また、図20に示すように導光体32の開口部62a側に設置した光反射パターン4と対向する導光体32の外周面に光反射パターン41を付加することにより開口部62aから出射する青色光の照射量を多くすることができる。また、導光体32の外周面に設置した光反射パターン41の設置位置を変更することにより、青色光の出射量を調節することもできる。
【0068】
実施の形態6.
実施の形態1では、円柱状の導光体を用いたライン光源の構成について説明したが、実施の形態6では、短軸側断面が5角形の導光体に切り欠き部を設けたライン光源の構成について図21及び図22を用いて説明する。図21は、この発明の実施の形態6による画像読み取り用ライン光源の断面図であり、図21(a)は端部付近、図21(b)は中央部付近を示す。図22は、この発明の実施の形態6による画像読み取り用ライン光源の反射パターンを付加した断面図であり、図22(a)は端部付近、図22(b)は中央部付近を示す。
【0069】
図21において、短軸側断面が5角形の棒状導光体33の一部に切り欠き部63cを設け、この切り欠き部63cの両側に長軸方向に沿って光反射パターン4を設け、切り欠き部63cを除く導光体33の外周面に対して0.1mm程度の所定の隙間を隔てて内周面に蛍光体層5を塗布した白色の反射板(導光体ケース)63が導光体33を取り囲むように設置される構成以外は実施の形態1で説明したものと同一なので説明を省略する。
【0070】
反射板63には、長軸方向に沿って長軸方向と直交する方向に一定幅の長溝を形成することで光を被照射体に出射する取り出し口となる開口部63aを設けている。この開口部63aの端部を長溝端部と呼ぶ。それぞれの長溝端部と離間して対向する導光体33の外周面の切り欠き部63cには、長軸方向に沿ってシルク印刷用の白色の光反射部材又は導光体33に直接切溝で形成したレンチキュラーレンズやプリズムパターンを用いて光反射パターン4が互いに平行して形成される。したがって、導光体33の導光路を通過する青色光の一部は光反射パターン4で散乱又は正反射して導光体33の内部の横断路を透過して導光体33の表面から出射し、反射板63の蛍光体層5で捕捉される。
【0071】
反射板63の内面には、約50μmの厚み(t)の蛍光体層5が塗布される。この蛍光体層5には、波長が約600nm程度の赤色発光する蛍光体と波長が525nm程度の緑色発光する蛍光体とが混合して塗布され、この蛍光体層5で青色光を捕捉し、一部の青色光は反射し、導光体33の内部を横断して開口部63aから被照射体に照射される。その他の青色光は蛍光体層5で吸収され励起された蛍光を放出する。すなわち、蛍光体層5は青色光とは異なる波長の光に変換された2種の複合光を生成する。
【0072】
生成された蛍光は導光体33の内部を横断して開口部63aから複合光として被照射体に照射される。したがって青色光、赤色光、緑色光が混合した擬似白色光が被照射体に照明される。なお、LED光源とホルダーとの関係及びライン光源の動作については、実施の形態1で説明したものと同一なので説明を省略する。図21中、図4と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0073】
以上の構造を持つ画像読み取り用ライン光源では、蛍光体層5で反射した青色光と蛍光体層5で生成された複合光は混色し、導光体33の内部を透過し、反射板63の開口部63aから被照射体に白色の照明光を与える。本実施の形態6では、導光体33の切り欠き部63cが光の出射面となる。また、図22に示すように導光体33の開口部63a側に設置した反射パターン4と対向する導光体33の外周面に光反射パターン41を付加することにより開口部63aから出射する青色光の照射量を多くすることができる。また、導光体33の外周面に設置した反射パターン41の設置位置を変更することにより、青色光の出射量を調節することもできる。
【0074】
実施の形態7.
実施の形態6では、短軸側断面が5角形の導光体の切り欠き部に光反射パターンを設けたが実施の形態7では、切り欠き部以外の導光体の表面に光反射パターンを設けたライン光源の構成について図23及び図24を用いて説明する。図23は、この発明の実施の形態7による画像読み取り用ライン光源の断面図であり、図23(a)は端部付近、図23(b)は中央部付近を示す。図24は、この発明の実施の形態7による画像読み取り用ライン光源の反射パターンを付加した断面図であり、図24(a)は端部付近、図24(b)は中央部付近を示す。
【0075】
図23において、短軸側断面が5角形の棒状導光体33の一部に切り欠き部63cを設け、この切り欠き部63cの外側に位置する導光体33の長軸方向に沿って導光体33に光反射パターン4を設け、切り欠き部63cを除く導光体33の外周面に対して0.1mm程度の所定の隙間を隔てて内周面に蛍光体を塗布した白色の反射板(導光体ケース)63が導光体33を取り囲むように設置される構成以外は実施の形態1で説明したものと同一なので説明を省略する。
【0076】
反射板63には、長軸方向に沿って長軸方向と直交する方向に一定幅の長溝を形成することで光を被照射体に出射する取り出し口となる開口部63aを設けている。この開口部63aの端部を長溝端部と呼ぶ。それぞれの長溝端部と離間して対向する導光体33の外周面の切り欠き部63cと隣接する導光体33の辺には、切り欠き部63cに近接して長軸方向に沿ってシルク印刷用の白色の光反射部材又は導光体33に直接切溝で形成したレンチキュラーレンズやプリズムパターンを用いて光反射パターン4が互いに平行して形成される。したがって、導光体33の導光路を通過する青色光の一部は光反射パターン4で散乱又は正反射して導光体33の内部の横断路を透過して導光体33の表面から出射し、反射板63の蛍光体層5で捕捉される。
【0077】
反射板63の内面には、約50μmの厚み(t)の蛍光体層5が塗布される。この蛍光体層5には、波長が約600nm程度の赤色発光する蛍光体と波長が525nm程度の緑色発光する蛍光体とが混合して塗布され、この蛍光体層5で青色光を捕捉し、一部の青色光は反射し、導光体33の内部を横断して開口部63aから被照射体に照射される。その他の青色光は蛍光体層5で吸収され励起された蛍光を放出する。すなわち、蛍光体層5は青色光とは異なる波長の光に変換された2種の複合光を生成する。
【0078】
生成された蛍光は導光体33の内部を横断して開口部63aから複合光として被照射体に照射される。したがって青色光、赤色光、緑色光が混合した擬似白色光が被照射体に照明される。なお、LED光源とホルダーとの関係及びライン光源の動作については、実施の形態1で説明したものと同一なので説明を省略する。図23中、図21と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0079】
以上の構造を持つ画像読み取り用ライン光源では、蛍光体層5で反射した青色光と蛍光体層5で生成された複合光は混色し、導光体33の内部を透過し、反射板63の開口部63aから被照射体に白色の照明光を与える。本実施の形態7では、導光体33の切り欠き部63cが光の出射面となるものの光反射パターン4から透過して開口部63aに漏れる青色光を軽減すると共に導光体33の切り欠き部63cから出射する光の出射領域の面積を増加せせることができる。また、図24に示すように導光体33の開口部63a側に設置した光反射パターン4と対向する導光体33の外周面に光反射パターン41を付加することにより開口部63aから出射する青色光の照射量を多くすることができる。また、導光体33の外周面に設置した反射パターン41の設置位置を変更することにより、青色光の出射量を調節することもできる。
【0080】
実施の形態8.
実施の形態7では、短軸側断面が5角形の導光体の切欠き部の外側に光反射パターンを設けたが実施の形態8では、導光体の切り欠き部を面取り(C面取り)したライン光源の構成について図25及び図26を用いて説明する。図25は、この発明の実施の形態8による画像読み取り用ライン光源の中央部付近の断面図である。図26は、この発明の実施の形態8による画像読み取り用ライン光源の側面断面図である。
【0081】
図25において、短軸側断面が四角形の棒状導光体34の一部に切り欠き部64cを設け、この切り欠き部64cの外側に位置する導光体34の長軸方向に沿って導光体34に光反射パターン4を設け、切り欠き部64cを除く導光体34の外周面に対して0.1mm程度の所定の隙間を隔てて内周面に蛍光体を塗布した白色の反射板(導光体ケース)64が導光体34を取り囲むように設置される構成以外は実施の形態1で説明したものに準ずるので説明を省略する。
【0082】
反射板64には、長軸方向に沿って長軸方向と直交する方向に一定幅の長溝を形成することで光を被照射体に出射する取り出し口となる開口部64aを設けている。この開口部64aの端部を長溝端部と呼ぶ。それぞれの長溝端部と所定の隙間を空けて対向する導光体34の外周面の切り欠き部64cと隣接する導光体34の辺には、切り欠き部64cに近接して長軸方向に沿ってシルク印刷用の白色の光反射部材又は導光体34に直接切溝で形成したレンチキュラーレンズやプリズムパターンを用いて光反射パターン4が互いに平行して形成される。したがって、導光体34の導光路を通過する青色光の一部は光反射パターン4で散乱又は正反射して導光体34の内部の横断路を透過して導光体34の表面から出射し、反射板64の蛍光体層5で捕捉される。
【0083】
反射板64の内面には、約50μmの厚み(t)の蛍光体層5が塗布される。この蛍光体層5には、波長が約600nm程度の赤色発光する蛍光体と波長が525nm程度の緑色発光する蛍光体とが混合して塗布され、この蛍光体層5で青色光を捕捉し、一部の青色光は反射し、導光体34の内部を横断して開口部64aから被照射体に照射される。その他の青色光は蛍光体層5で吸収され励起された蛍光を放出する。すなわち、蛍光体層5は青色光とは異なる波長の光に変換された2種の複合光を生成する。
【0084】
生成された蛍光は導光体34の内部を横断して開口部64aから複合光として被照射体に照射される。したがって青色光、赤色光、緑色光が混合した擬似白色光が被照射体に照明される。なお、LED光源とホルダーとの関係及びライン光源の動作については、実施の形態1で説明したものと同一なので説明を省略する。図25中、図4と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0085】
以上の構造を持つ画像読み取り用ライン光源では、蛍光体層5で反射した青色光と蛍光体層5で生成された複合光は混色し、導光体34の内部を透過し、反射板64の開口部64aから被照射体に白色の照明光を与える。本実施の形態8では、導光体34の切り欠き部64cが光の出射面となり、切り欠き部64cは導光体34の一部を面取りしている。
【0086】
図26は、図25に示す断面領域を長軸方向から見たライン光源の側面断面図であり、導光体34の面取り部(切り欠き部)64cから集中させて白色光を被照射体に照射することにより、照明照度の大きいライン光源を得ることができる利点がある。
【0087】
実施の形態3〜8では、主として青色LEDを用いたライン光源で説明したが、実施の形態2で説明した紫外線LEDを用いたライン光源であってもLED光源とホルダーとの関係及び光源の動作については同一である。
【0088】
なお、実施の形態1〜8において蛍光体層5、51は蛍光材料を混合(ブレンド)したもので説明したが、蛍光体層5、51を分割形成し、それぞれの蛍光体層5、51を単色発光させても良く、蛍光体材料は赤色発光、緑色発光、青色発光を主体で説明したが、これらの発光色に限るものではなく、橙色や黄緑発光色などの蛍光体材料を用いて画像読み取り用ライン光源を構成しても良い。
【符号の説明】
【0089】
1・・LED光源(青色LED)
2・・LED回路 2a・・基板 2b・・コネクタ(外部端子)
3・・導光体(円柱導光体)
4・・光反射パターン(導光体反射パターン)
5・・蛍光体層
6・・反射板(導光体ケース) 6a・・開口部 6b・・突起部 6c・・突起部
7・・ホルダー
8・・紫外光カットフィルタ(紫外線カットパターン)
11・・LED光源(紫外線光源)
31・・導光体(楕円状導光体) 32・・導光体(楕円状導光体)
33・・導光体(5角柱導光体) 34・・導光体(四角柱面取り導光体)
41・・光反射パターン
51・・蛍光体層
61・・反射板(導光体ケース)
61a・・開口部 61b・・突起部
62・・反射板(導光体ケース)
62a・・開口部 62b・・突起部 62c・・切り欠き部(導光体の切り欠き部)
63・・反射板(導光体ケース)
63a・・開口部 63b・・突起部 63c・・切り欠き部(導光体の切り欠き部)
64・・反射板(導光体ケース)
64a・・開口部 64b・・突起部 64c・・面取り部(導光体の切り欠き部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、この発光素子を端部に配置し、内部に入射した前記発光素子からの光を長軸方向に沿って反射させながら伝搬させる棒状の導光体と、この導光体と所定の隙間を設けて前記導光体を取り囲み長軸方向に沿って設けた反射板と、この反射板の前記導光体側に設けられ、前記発光素子からの光を吸収して励起された蛍光を放出する蛍光体層とを備えた画像読み取り用ライン光源。
【請求項2】
前記反射板は、前記導光体と所定の隙間を設けて前記導光体を取り囲むと共に長軸方向に沿って長溝で構成した開口部を有し、前記長溝で形成した前記開口部のそれぞれの端部と隙間を空けて対向する前記導光体の外周面に、前記長軸方向に沿ってライン状に設けた細幅の光反射パターンとを備えた請求項1に記載の画像読み取り用ライン光源。
【請求項3】
前記発光素子からの光が前記導光体を伝搬する過程において、前記蛍光体層は、前記導光体の表面から出射した前記発光素子からの光を捕捉し、前記発光素子からの光を反射させると共に前記発光素子からの光とは異なる光学波長の光に変換された2種以上の複合光を生成し、前記蛍光体層で生成された光を前記導光体の内部を透過させて前記発光素子からの光を含む前記複合光を被照射体に照射する請求項1に記載の画像読み取り用ライン光源。
【請求項4】
前記発光素子からの光が前記導光体を伝搬する過程において、前記蛍光体層は、前記光反射パターンで散乱又は正反射して前記導光体の表面から出射した前記発光素子からの光を捕捉し、前記発光素子からの光を反射させると共に前記発光素子からの光とは異なる光学波長の光に変換された2種以上の複合光を生成し、前記蛍光体層で生成された光を前記導光体の内部を透過させて前記開口部から前記発光素子からの光を含む前記複合光を被照射体に照射する請求項2に記載の画像読み取り用ライン光源。
【請求項5】
端部から内部に入射した入射光を長軸方向に沿って反射させながら伝搬させる棒状の導光体と、この導光体と所定の隙間を設けて前記導光体を取り囲み長軸方向に沿って設けた反射板と、この反射板の前記導光体側に設けられ、前記入射光を吸収して励起された蛍光を放出する蛍光体層とを備えた導光ユニット。
【請求項6】
前記反射板は、前記導光体と所定の隙間を設けて前記導光体を取り囲むと共に長軸方向に沿って長溝で構成した開口部を有し、前記長溝で形成した前記開口部のそれぞれの端部と隙間を空けて対向する前記導光体の外周面に、前記長軸方向に沿ってライン状に設けた細幅の光反射パターンとを備えた請求項5に記載の導光ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2012−253815(P2012−253815A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187829(P2012−187829)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【分割の表示】特願2010−200803(P2010−200803)の分割
【原出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】