説明

画像読み取り装置及び画像形成装置

【課題】本発明は、原稿等の搬送媒体の幅サイズを簡単な構成で正確に検出する画像読み取り装置及び画像形成装置に関する。
【解決手段】画像読み取り装置1は、複数枚の原稿を保持するとともに原稿を搬送方向にガイドする一対の原稿ガイド板7a、7bと、原稿の搬送可能な最大幅よりも幅方向外方であって搬送方向下流側の所定の支点である支点ピン12a、12bを回動中心として回動可能な可動アーム11a、11bとを、連結ピン10a、1bとガイド孔13a、13bで連結するとともに、該可動アーム11a、11bの支点ピン12a、12bを回動中心として回動させて原稿ガイド板7a、7bを幅方向に移動させ、可動アーム11a、11bの回動位置をイメージセンサ2で検出して、イメージセンサ2の検出結果に基づいて原稿ガイド板7a、7bの保持する原稿の幅サイズを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置及び画像形成装置に関し、詳細には、原稿、用紙等の搬送媒体の任意の幅サイズを簡単かつ正確に検出する画像読み取り装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読み取り装置においては、原稿サイズを設定するのに、手動入力方法が用いられていたが、ユーザの負担が大きいため、原稿サイズを検知する専用のセンサ(サイズ検知センサ)を複数設け、原稿挿入時に、それらのサイズ検知センサのうち、ONするサイズ検知センサに基づいて原稿のサイズを自動的に検知する技術が既に用いられている。
【0003】
ところが、複数のサイズ検知センサを使用して原稿サイズを自動検知する方法は、サイズ検知センサの配置位置と数により検知可能な原稿サイズの種類が限られてしまい、該サイズ検知センサの配置位置と数によって検知可能な原稿サイズ以外は、検知することができない。また、原稿サイズを細かく検知しようとすると、より多数のサイズ検知センサを設置する必要があり、画像読み取り装置が大掛かりになるとともに、ハーネスの這い回しが困難になる等の問題があった。
【0004】
そして、従来、図16に示すようなサイズ検知センサを使用することなく、不定形サイズの原稿を検知する画像読み取り装置100が提案されている(特許文献1参照)。この画像読み取り装置100は、イメージセンサ101に搬送される原稿102の搬送方向両側面をガイドする原稿ガイド板103a、103bの先端部をイメージセンサ101の読み取り可能範囲の一部を遮光する状態で配置し、原稿ガイド板103a、103bの遮光部がイメージセンサ101の光を遮る位置を検知することにより、原稿サイズを検知する。なお、図16において、104は、原稿挿入センサ、105は、前ローラ、106は、後ローラであり、原稿搬送方向が矢印で示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、イメージセンサ101の光路の一部を遮光する原稿ガイド板103a、103bの遮光部は、図17に示すように、シェーディングデータ取得用の白基準板(白色ローラ)107とコンタクトガラス108の間に挿入される必要がある。したがって、イメージセンサ101の光路の一部を遮光する原稿ガイド板103a、103bの厚さd1と、白基準板107とコンタクトガラス108の間の距離d2とは、d1<d2を満たす必要があり、原稿102をセットするたびに、コンタクトガラス108の表面を原稿ガイド板103a、103bが傷つけたりすることなく、原稿102の幅方向に移動調整を行う機構が必要となる。その結果、機構が複雑で、高価なものになるだけでなく、読み取り画像の画像品質が悪化するおそれがあるという問題があった。
【0006】
すなわち、距離d2が大きくなると、白基準板107の読み取り高さと原稿102の読み取り高さの差が大きくなり、イメージセンサ101のレンズの焦点位置からのずれが大きくなるため、照明深度特性による影響で、原稿画像の読み取り精度が悪化するおそれがある。そのため、距離d2は、通紙する原稿102の紙厚さ程度に小さくする必要があるが、その場合、d1<d2という制限から原稿ガイド板103a、103bの厚さd1も小さくする必要がある。ところが、原稿ガイド板103a、103bの厚さd1が小さくなると、原稿ガイド板103a、103bの強度が十分に保てなくなる可能性があり、原稿ガイド板103a、103bによってイメージセンサ101のコンタクトガラス108を傷つけるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、搬送媒体の任意サイズの幅を安価かつ簡単な構成で高精度に検出する画像読み取り装置及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、複数枚の搬送媒体を保持するとともに該搬送媒体の搬送方向と直交する幅方向の大きさに応じて該幅方向に移動して該搬送媒体の幅方向両端に接触して該搬送媒体を該搬送方向にガイドする一対の媒体ガイド手段と、該搬送媒体の搬送可能な最大幅よりも幅方向外方であって搬送方向下流側の所定の支点を回動中心として回動可能な可動アームとを、連結手段で連結するとともに、該可動アームの該支点を回動中心とする回動によって該媒体ガイド手段を幅方向に移動させ、該支点の近傍であって該支点よりも搬送方向上流側に配設された検出光出射手段から可動アーム方向に検出光を出射してその反射光を光電変換することで媒体ガイド手段の幅方向への移動によって回動する該可動アームの回動位置を回動位置検出手段で検出して、該回動位置検出手段の検出結果に基づいて媒体ガイド手段の保持する搬送媒体の幅サイズを幅サイズ検出手段によって検出することを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、前記連結手段が、前記可動アームの前記ガイド手段との連結部分において該可動アームの前記支点方向に所定長さにわたって形成された所定幅のガイド孔と、前記媒体ガイド手段に取り付けられ前記可動アームの前記ガイド孔内を移動可能に貫通するピンと、を備えていることを特徴としていてもよい。
【0010】
さらに、本発明は、前記搬送媒体である原稿に読み取り光を照射して、原稿からの反射光を光電変換して該原稿の画像を読み取る読み取り手段を備えた画像読み取り装置であって、前記検出光出射手段及び前記回動位置検出手段が、前記検出光として前記読み取り光を出射する前記読み取り手段であり、前記支点が、前記読み取り手段よりも原稿搬送方向下流側であって、前記幅方向において、該読み取り手段の最大幅原稿の読み取り範囲よりも前記幅方向外側であって該読み取り手段の読み取り可能範囲内に配設され、前記可動アームが、前記読み取り手段の読み取り可能範囲内であって前記最大幅原稿の読み取り範囲よりも前記幅方向外側の所定範囲を可動範囲として該可動範囲内で移動することを特徴としていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、搬送媒体の任意サイズの幅を安価かつ簡単な構成で高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施例を適用した画像読み取り装置の要部上面図。
【図2】図1の画像読み取り装置の左側面図。
【図3】図1の画像読み取り装置の下面図。
【図4】図1の画像読み取り装置の上面部分拡大図。
【図5】図1の画像読み取り装置の原稿ガイド板の移動状態を示す要部下面図。
【図6】図1の画像読み取り装置による原稿幅検知処理の説明図。
【図7】図1の画像読み取り装置の要部ブロック構成図。
【図8】イメージセンサによる可動アーム検知処理時のタイミングチャート。
【図9】原稿幅検知処理を伴う原稿読み取り開始時の処理を示すフローチャート。
【図10】原稿幅検知処理を伴う原稿読み取り開始時の他の処理を示すフローチャート。
【図11】原稿幅検知処理を示すフローチャート。
【図12】第2実施例の画像読み取り装置の要部上面図。
【図13】図12の画像読み取り装置の側面部分拡大図。
【図14】図12の画像読み取り装置の下面部分拡大図。
【図15】第2実施例におけるイメージセンサによる可動アーム検知処理時のタイミングチャート。
【図16】従来の画像読み取り装置の概略平面図。
【図17】図16の画像読み取り装置の要部側面図。s
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0014】
図1〜図11は、本発明の画像読み取り装置及び画像形成装置の第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像読み取り装置及び画像形成装置の第1実施例を適用した画像読み取り装置1の要部上面図である。
【0015】
図1において、画像読み取り装置1は、イメージセンサ(読み取り手段、検出光出射手段、回動位置検出手段)2の上面に、図1の左側面図である図2に示すように、コンタクトガラス3が配設されており、コンタクトガラス3の上方所定の距離d1の位置には、イメージセンサ2の有効読み取り範囲Wよりも広い所定の範囲にわたって白基準板4が配設されている。イメージセンサ2は、図示しないが、光源であるLED(Light Emitting Diode)、レンズ、光電変換素子であるCCD(Charge Coupled Device )素子等で構成されている。イメージセンサ2は、原稿の読み取り前に、白基準板4を読み取って、原稿読み取り時のシェーディング補正用の白基準データを取得する。イメージセンサ2は、原稿が読み取り位置を通過する際に、LEDにより原稿に読み取り光を照射して、その反射光をレンズによりCCD素子に集束し、CCD素子により光電変換して原稿の画像を読み取る。なお、光電変換素子としては、CCDに限るものではなく、安価なCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)を用いてもよい。
【0016】
白基準板4は、画像読み取り装置1による原稿読み取り時の上記シェーディング補正用の白基準データを提供する。白基準板4は、その主走査方向Gaの長さが、画像読み取り装置1の製品仕様上の最大読み取り幅(最大幅、最大幅原稿読み取り範囲)Wよりも長く、かつ、イメージセンサ2の有効読み取り範囲(読み取り可能範囲)よりも短い。
【0017】
画像読み取り装置1は、上述のように、イメージセンサ2上に距離d1(例えば、d1=0.3mm)を空けて白基準板4が配設されているため、このイメージセンサ2と白基準板4との間を通過する状態で、原稿が搬送方向Gsに搬送され、白基準板4との間のイメージセンサ2上を搬送される原稿の画像をイメージセンサ2によって読み取る。
【0018】
画像読み取り装置1は、イメージセンサ2に直交する方向を原稿の搬送方向Gsとして、該搬送方向Gsのイメージセンサ2の手前側に、イメージセンサ2に平行に上ローラ軸5と下ローラ軸6(図2参照)が配設されており、図2に示すように、上ローラ軸5及び下ローラ軸6には、それぞれ相対向する位置に複数の搬送ローラ5a、6aが配設されていて、原稿を白基準板4下側のイメージセンサ2上に搬送する。なお、図示しないが、画像読み取り装置1は、イメージセンサ2の搬送方向Gsの下流側にも、搬送ローラが配置されており、この下流側の搬送ローラは、イメージセンサ2で画像の読み取られた原稿を図示しない排紙トレイ上に排出する。
【0019】
画像読み取り装置1は、搬送ローラ5aを挟んで、イメージセンサ2と反対側の原稿の搬送方向Gsにおける上流側には、複数枚の原稿の載置される原稿台(図示略)が配設されており、該原稿台上の原稿の搬送方向Gsと直交する幅方向(主走査方向Ga)の両側面をガイドする一対の原稿ガイド板(媒体ガイド手段)7a、7bが配設されている。原稿ガイド板7a、7bは、原稿の載置される底板8a、8bと原稿の幅方向(主走査方向Ga)の側面をガイドする側板9a、9bを備えており、原稿ガイド板7a、7bは、側板9a、9bに連結ピン(ピン)10a、10bを介して、所定の厚さd2を有する可動アーム11a、11b(11bは、図示略)に連結されている。可動アーム11a、11bは、原稿ガイド板7a、7bとは反対側の端部が、イメージセンサ2を挟んで原稿搬送方向Gsにおける下流側のイメージセンサ2の両側端部付近において、支点ピン(支点)12a、12bによって原稿の幅方向(主走査方向Ga)に回動可能に支持されている。可動アーム11a、11bは、所定幅Waを有しており、可動アーム11a、11bには、可動アーム11a、11bと原稿ガイド板7a、7bを連結する連結ピン10a、10bの貫通するガイド孔13a、13bが可動アーム11a、11bの長手方向に所定長さで延在する状態で形成されている。すなわち、原稿の幅に応じて原稿ガイド板7a、7bが主走査方向Gaに移動するために、図4に示すように、可動アーム11a、11bが同期して、支点ピン12a、12bを回動中心として主走査方向Gaに回動し、可動アーム11a、11bの回動に応じて、連結ピン10a、10bがガイド孔13a、13b内を移動することで、原稿ガイド板7a、7bが原稿の幅に応じて、主走査方向Gaに移動する。すなわち、ガイド孔13a、13bは、可動アーム11a、11bと原稿ガイド板7a、7bを連結する連結ピン10a、10bが貫通することで、原稿ガイド板7a、7bの主走査方向Gaへの移動に応じて移動する可動アーム11a、11bの移動方向を制限するとともに、その移動量を一意に決定する連結手段として機能している。
【0020】
原稿ガイド板7a、7bは、側板9a、9bが原稿の幅方向(主走査方向Ga)の両端をガイドすることで、原稿が搬送される方向を図1に示す搬送方向Gsに規制する。
【0021】
そして、可動アーム11a、11bは、画像読み取り装置1の製品上における最大読み取り幅W以下の任意の幅サイズを有する原稿の該幅サイズに合わせて、図4に示す原稿ガイド移動範囲Xの範囲内で、原稿ガイド7a、7bが主走査方向Gaに移動操作されると、図1、図3、図4及び図5に示すように、支点ピン12a、12bを中心に回動範囲内で回動し、イメージセンサ2上に位置する可動アーム11a、11bは、イメージセンサ2の最大読み取り幅Wよりも外側で、かつ、白基準板4よりも外側であって、さらに、イメージセンサ2の有効読み取り範囲内において、主走査方向Gaに移動する。したがって、可動アーム11a、11bは、白基準板4と干渉しない範囲のイメージセンサ2の有効読み取り範囲を回動範囲として回動するため、可動アーム11a、11bの厚さd2及びコンタクトガラス3と白基準板4との距離d1との間には、何らの規制はなく、本実施例では、可動アーム11a、11bは、例えば、3mmの厚さd2のものが用いられている。可動アーム11a、11bは、少なくとも図3に示すイメージセンサ2側の面が、白色に施されており、この白色の可動アーム11a、11bが、イメージセンサ2端部の可動範囲の上方を遮光する状態で主走査方向Gaに移動する。イメージセンサ2は、可動アーム11a、11bによって遮光されない部分を黒レベルに近い値として読み取るため、図3に示すように、この可動アーム11a、11bの主走査方向Gaにおける白色部分の位置と幅を読み取り、この白色の中心である可動アーム11a、11bの主走査方向中心をアーム中心画素APとして検出する。この可動アーム11a、11bのアーム中心画素APは、可動アーム11a、11bが上記原稿ガイド移動範囲Xを移動するのに対応して、図3に示すアーム検出範囲(可動範囲)Axの範囲内で移動する。画像読み取り装置1は、図5に示すように、イメージセンサ2の検出する可動アーム11a、11bのアーム中心画素APが、イメージセンサ2の端部から何画素(n画素)目であるかを検出することで、可動アーム11a、11bの回動角度を検出し、可動アーム11a、11bの回動角度に基づいて、原稿ガイド板7a、7bにセットされている原稿の幅サイズを検出する。この原稿幅サイズの検出処理については、後で詳細に説明する。
【0022】
そして、上述のように、原稿ガイド板7a、7bが、原稿ガイド移動範囲Xだけ変動すると、連結ピン10a、10b、支点ピン12a、12b及びガイド孔13a、13bによって可動アーム11a、11bも回動するが、このとき、可動アーム11a、11bは、支点ピン12a、12bを支点として回転するように変動するため、原稿ガイド板7a、7bが最大読み取り幅Wの範囲内でどのように変動しても、支点となる支点ピン12a、12bを超えて主走査方向Gaの外方に広がることが無く、画像読み取り装置1が大型になることはない。
【0023】
すなわち、画像読み取り装置1における原稿ガイド板7a、7bにセットされる原稿のサイズによる可動アーム11a、11bの回動変化は、図6に示すように、イメージセンサ2と支点ピン12a、12bとの間の距離をM1、イメージセンサ2と連結ピン10a、10bとの間の直線距離をM2とし、支点ピン12a、12bの位置をT、連結ピン10a、10bの位置をP、Qで表すと、図3に示したように、サイズ検知の際には、可動アーム11a、11bの中点を検知するので、図6には、可動アーム11a、11bをアームの中心線PTまたは中心線QTで表わすと、点Rが、イメージセンサ2が検知するアームの中心点、すなわち、アーム中心画素APである。
【0024】
このとき、原稿サイズが変化して、連結ピン10a、10b(すなわち、原稿ガイド板7a、7b)がXだけ変動したとすると、可動アーム11a、11bは、PTからQTに変化し、アーム中心画素APは、点Rから点Sに移動する。そして、点T、点S及び点Rで形成される三角形TSR(△TSR)と点T、点Q及び点Pで形成される三角形TQP(△TQP)は、相似の関係にあるので、RS間の距離Yは、次式(1)で表すことができる。
【0025】
(M1+M2):X=M1:Y・・・(1)
(1)式から連結ピン10a、10bの相対的な移動距離Xを求めると、次式(2)のようになる。
【0026】
X=(M1+M2)×Y/M1・・・(2)
ここで、U−R間距離M3rを、最小読み取り原稿幅を示しているときの可動アーム11a、11bのアーム中心画素APである点Rとイメージセンサ2の端部Uとの距離、M3sを、原稿ガイド板7a、7bが移動距離Xだけ変化した後の点Sと点Uとの距離とすると、イメージセンサ2の検知する可動アーム11a、11bの移動距離Yの値は、距離M3rと距離M3sとの差で表される。
【0027】
したがって、式(2)は、次式(3)のように変形することができる。
【0028】
X=(M1+M2)×(M3r−M3s)/M1・・・(3)
このとき、距離M3rは、画像読み取り装置1の設計または製造の段階でその値が決められるので、イメージセンサ2で距離M3sを検知することによって、アーム中心画素APの移動距離Yが分かり、原稿サイズ(2×X)を検知することができる。
【0029】
そして、図5に示すイメージセンサ2の端部位置Uからアーム中心画素APまでの画素数nと距離M3rの関係は、次式(4)で表される。
【0030】
M3r=n×D・・・(4)
ただし、Dは、主走査の読み取り画素密度(mm)である。
【0031】
例えば、M1=50mm、M2=250mmとし、600dpiのイメージセンサ2でY=M3r−M3sが1画素(=0.0423mm)変化したときの変化量Xを、(3)式から求めると、X=0.25mmとなる。したがって、この場合、0.25mm単位で、原稿サイズを検知することができる。
【0032】
また、例えば、原稿サイズがA4縦(210mm)からA0ノビ(914mm)まで変化する場合に、可動アーム11a、11bの移動量がどの程度であるかによって、この場合のイメージセンサ2の必要な検出長さが分かる。すなわち、原稿サイズがA4縦(210mm)からA0ノビ(914mm)まで変化する場合、連結ピン10a、10bの移動距離Xは、X=(914−210)/2=352mmとなり、M1=50mm、M2=250mmとすると、可動アーム11a、11bの移動距離Yは、Y=M3r−M3s=58.67mmとなる。したがって、イメージセンサ2の最大読み取り幅は、最大原稿幅より少なくとも58.67mm以上あればA4縦からA0ノビの原稿のサイズを検知することができる。
【0033】
また、画像読み取り装置1は、図1に示すように、搬送ローラ5aの原稿搬送方向Gs上流側には、原稿挿入センサ14が配設されており、原稿挿入センサ14は、原稿ガイド板7a、7bからイメージセンサ2方向に搬送される原稿の先端を検出する。
【0034】
そして、画像読み取り装置1は、図7に示すようにブロック構成されており、読み取り部20、画像処理部21及びCPU(Central Processing Unit )22等を備えているとともに、画像読み取り装置1として必要な各部、例えば、操作表示部、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を備えている。読み取り部20は、上記イメージセンサ2、A/D変換部23、メモリ24等を備えており、画像処理部21は、アーム中点検知部25等を備えている。
【0035】
CPU(制御手段、幅サイズ検出手段)22は、ROM内の基本プログラムや本発明の搬送媒体幅検知プログラムに基づいてRAMをワークメモリとして利用して画像読み取り装置1の各部を制御して、画像読み取り装置1としての基本処理を実行するとともに、本発明の搬送媒体幅検知処理を実行する。
【0036】
読み取り部20は、イメージセンサ2が、光電変換したアナログの電気信号をA/D変換部23に出力し、A/D変換部23は、CPU22の制御下で、イメージセンサ2から入力されるアナログの電気信号をデジタル信号に変換してメモリ24に保管する。メモリ24は、A/D変換部23でデジタル変換されたデジタル信号を保管する。
【0037】
画像処理部21は、CPU22の制御下で、読み取り部20の読み取った原稿の画像データに対して種々の画像処理を施すとともに、アーム中点検知部25によって上記可動アーム11a、11bのアーム中心画素APの検出を行う。すなわち、アーム中点検知部25は、イメージセンサ2の端部からアーム中心画素APまでの距離M3を検出し、検出した距離M3をCPU22に出力する。
【0038】
CPU22は、アーム中点検知部25からの距離M3のデータから原稿サイズを算出し、決定する。
【0039】
なお、本実施例の画像読み取り装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の搬送媒体幅検知方法を実行する搬送媒体幅検知プログラムを読み込んでROM等に導入することで、後述する任意サイズの搬送媒体(原稿、用紙等)を正確にかつ安価に検知する搬送媒体検知方法を実行する画像読み取り装置として構築されている。この搬送媒体プ幅検知ログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0040】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像読み取り装置1は、原稿のサイズを、小型で安価な構成で正確に検出する。
【0041】
画像読み取り装置1は、主走査方向Gaに一対配置されて任意サイズの原稿の載置される原稿ガイド板7a、7bが、それぞれ原稿搬送方向Gsにおいて、イメージセンサ2を挟んで配設されている可動アーム11a、11bによって主走査方向Gaに移動可能に支持されており、可動アーム11a、11bは、イメージセンサ2よりも原稿搬送方向Gsの下流側において、支点ピン12a、12bによって回動可能に支持されている。そして、可動アーム11a、11bは、支点ピン12a、12bとは反対側の端部部分に形成されているガイド孔13a、13bを貫通する連結ピン10a、10bによって原稿ガイド板7a、7bと連結されている。
【0042】
したがって、原稿ガイド板7a、7b上に、任意の原稿が載置されて、原稿ガイド板7a、7bの側板9a、9bが原稿の幅方向(主走査方向Ga)の側面に押しつけられて原稿ガイド板7a、7bの主走査方向Gaの位置調整が行われると、該原稿の幅サイズ(主走査方向Gaのサイズ:以下、単に、原稿幅サイズという。)に応じて、支点ピン12a、12bを中心とする可動アーム11a、11bの回動角度が決定され、可動アーム11a、11bは、該回動角度に応じた位置でイメージセンサ2の光路上を通過する。
【0043】
そして、イメージセンサ2は、画像読み取り装置1にセット可能な最大原稿幅サイズの原稿がセットされたときの原稿ガイド移動範囲Xの範囲内で、すなわち、イメージセンサ2の最大読み取り幅Wよりも外側であって、かつ、白基準板4よりも外側であって、さらに、イメージセンサ2の有効読み取り範囲(読み取り可能範囲)内を主走査方向Gaに移動する。すなわち、可動アーム11a、11bは、白基準板4と干渉しない範囲のイメージセンサ2の光路上において、原稿の幅サイズに応じて主走査方向Gaに移動する。
【0044】
画像読み取り装置1は、この可動アーム11a、11bの主走査方向Gaの白色部分の位置と幅を読み取り、この白色の中心である可動アーム11a、11bの主走査方向Gaの中心をアーム中心画素APとして検出する。この可動アーム11a、11bのアーム中心画素APは、可動アーム11a、11bが上記原稿ガイド移動範囲Xを移動するのに対応して、図3に示したアーム検出範囲(可動範囲)Axの範囲内で移動する。画像読み取り装置1は、図5に示したように、イメージセンサ2の検出する可動アーム11a、11bのアーム中心画素APが、イメージセンサ2の端部から何画素(n画素)目であるかを検出することで、可動アーム11a、11bの回動角度を検出し、可動アーム11a、11bの回動角度に基づいて、原稿ガイド板7a、7bにセットされている原稿の幅サイズを検出する。
【0045】
すなわち、画像読み取り装置1は、図8に示すように、イメージセンサ2の1ラインの読み取りトリガSHIの立ち下がりにより、画像処理のための1画素クロックCLKで1画素ずつ1ライン分の読み取りをイメージセンサ2によって行って、A/D変換部23によってデジタル変換した後に、メモリ24に格納する。
【0046】
図8において、読み取り値(検出値)Dtが、メモリ24に格納されるイメージセンサ2の読み取ったデジタルデータであり、画像処理部21のアーム中点検知部25は、読み取り値Dtと予め設定された閾値Vthを比較して、読み取り値が閾値Vthよりも大きくなるときの画素とその画素幅である画素数を検出する。図8では、アーム中点検知部25は、読み取りトリガSHが立ち下がったときから閾値Vthを超えるn1画素とn2画素を検出して、CPU22に出力する。CPU22は、このn1画素とn2画素からアーム中点であるアーム中心画素APまでの画素数nを、次式(5)により求める。
【0047】
n=n1+n2/2・・・(5)
このとき、CPU22は、閾値Vthより大きい画素が、予め設定されたアーム判定連続画素数n3以上となるときの画素をn2画素として採用する。すなわち、イメージセンサ2の出力するアナログデータを変換した読み取り値Dtは、ゴミ等を検知したりノイズが発生することがあるため、一定画素以上の幅であることを示すアーム判定連続画素数n3以上であることを検知することで、ゴミ等の誤検出の影響を除去する。そこで、可動アーム11a、11bは、イメージセンサ2のアーム判定連続画素数n3以上の範囲を覆うアーム幅を有している。
【0048】
そして、画像読み取り装置1は、原稿読み取り開始時に、図9に示すように、原稿幅検知処理を伴う原稿読み取り開始時の処理を行う。すなわち、画像読み取り装置1のCPU22は、原稿挿入センサ14が原稿の先端を検出してONしたかチェックし(ステップS101)、原稿挿入センサ14が原稿先端を検出してONすると、後で詳細に説明する原稿幅検知処理を行い(ステップS102)、原稿幅検知処理が完了すると、画像読み取り装置1の図示しない操作表示部の原稿読み取り開始ボタンが押されたかチェックする(ステップS103)。
【0049】
ステップS103で、所定の時間内に原稿読み取り開始ボタンが押されないときには、CPU22は、ステップS101に戻って、上記同様の処理を行う(ステップS101〜S103)。
【0050】
ステップS103で、原稿読み取り開始ボタンが押されると、CPU22は、画像領域を確定して、通常の原稿読み取りを開始する(ステップS104)。
【0051】
なお、原稿読み取り開始処理を伴う原稿読み取り開始時の処理としては、上記図9に示した手順に限るものではなく、例えば、図10に示すような手順で処理してもよい。
【0052】
すなわち、CPU22は、まず、操作表示部の原稿読み取り開始ボタンが押されたかチェックし(ステップS201)、原稿読み取り開始ボタンが押されると、原稿幅検知処理を実行し(ステップS202)、原稿幅検知処理が完了すると、画像領域の確定を行って、通常の原稿読み取り処理を開始する(ステップS203)。
【0053】
そして、CPU22は、図9のステップS102及び図10のステップS202の原稿幅検知処理を、図11に示すように実行する。すなわち、CPU22は、原稿幅検知処理に移行すると、図11に示すように、少なくとも、イメージセンサ2における最大原稿幅外であってイメージセンサ2の読み取り可能範囲上をスキャンさせ(ステップS301)、該スキャンによる読み取り画素位置をカウントするカウンタのカウント値iをリセット(i=0)し(ステップS302)、該読み取り画素位置カウンタのカウント値iを「1」だけインクリメント(i=i+1)して(ステップS303)、イメージセンサ2によるi画素目の読み取り値V(i)が予め設定されている閾値Vth以上であるか否かチェックする(ステップS304)。
【0054】
ステップS304で、読み取り値V(i)が閾値Vthよりも下回っていると、CPU22は、可動アーム11a、11bを検出していないと判断して、ステップS303に戻って、読み取り画素位置カウンタのカウント値iを「1」だけインクリメントして、該i画素目の読み取り値V(i)のチェックから上記同様に処理し(ステップS303〜S304)、ステップS304で、i画素目の読み取り値V(i)が予め設定されている閾値Vth以上であると、CPU22は、該閾値Vth以上の画素が連続する連続画素の開始画素位置n1として画素位置iを設定してメモリ等に記憶して(ステップS306)、カウント値iを「1」だけインクリメント(i=i+1)して(ステップS306)、i画素目の読み取り値V(i)が閾値Vth未満であるかチェックする(ステップS307)。
【0055】
ステップS307で、i画素目の読み取り値V(i)が閾値Vth未満でないとき、すなわち、閾値Vth以上であると、CPU22は、ステップS306に戻って、上記同様に、カウント値iをインクリメントして、読み取り値V(i)が閾値Vth未満であるかをチェックする処理を繰り返し行って、読み取り値V(i)以上の連続する画素数をカウントする(ステップS306、S307)。
【0056】
ステップS307で、i画素目の読み取り値V(i)が閾値Vth未満であると、CPU22は、読み取り値V(i)が閾値Vth以上である連続画素数n2を、次式(6)により算出する(ステップS308)。
【0057】
n2=i−n1・・・(6)
CPU22は、連続画素数n2を算出すると、該連続画素数n2が該閾値Vth以上の連続画素が可動アーム11a、11bであるか否かを判定するために予め設定されたアーム判定連続画素数n3よりも画素数が多いか否かにより連続画素数n2が回動アーム11a、11bの幅Waに対応しているか否かを判定し(ステップS309)、連続画素数n2がアーム判定連続画素数n3以下であると、該閾値Vth以上の連続画素n2は可動アーム11a、11bの画素ではないと判断して、ステップS303に戻って、上記同様の処理を行う(ステップS303〜S309)。
【0058】
したがって、図8におけるn1画素領域の画素数の少ないゴミやノイズ等による立ち上がり画素を可動アーム11a、11bの画素と判定することを防止することができる。
【0059】
ステップS309で、連続画素数n2がアーム判定連続画素数n3を超えていると、CPU22は、連続画素n2が可動アーム11a、11bの画素であると判断して、アーム中点検知部25に、アーム中点であるアーム中心画素APまでの画素数nを、上記式(5)によって算出させ(ステップS310)、可動アーム11a、11bの移動距離Yと原稿ガイド板7a、7bの移動距離Xを上記式(1)から式(3)に基づいて算出して(ステップS311)、原稿サイズを決定する(ステップS312)。
【0060】
なお、上記原稿幅検知処理においては、基本的には、イメージセンサ2によって、少なくとも、イメージセンサ2における両端の最大原稿幅よりも外側であってイメージセンサ2の読み取り可能範囲内を、読み取って、原稿幅を検知しているが、イメージセンサの一方側の最大原稿幅よりも外側であってイメージセンサ2の読み取り可能範囲内をイメージセンサ2によって読み取って原稿幅を検知してもよい。すなわち、原稿ガイド板7a、7bは、セットされる原稿の両サイドを、原稿を中心として対照的に移動してガイドするため、片方の原稿ガイド板7aまたは原稿ガイド板7bを支持する可動アーム11aまたは可動アーム11bに基づいて原稿サイズを検知することができる。
【0061】
このように、本実施例の画像読み取り装置1は、複数枚の搬送媒体である原稿を保持するとともに原稿の搬送方向Gsと直交する幅方向の大きさに応じて該幅方向(主走査方向)Gaに移動して原稿の幅方向両端に接触して原稿を搬送方向にガイドする一対の原稿ガイド板7a、7bと、原稿の搬送可能な最大幅よりも幅方向外方であって搬送方向下流側の所定の支点である支点ピン12a、12bを回動中心として回動可能な可動アーム11a、11bとを、連結手段としての連結ピン10a、1bとガイド孔13a、13bで連結するとともに、該可動アーム11a、11bの支点ピン12a、12bを回動中心とする回動によって原稿ガイド板7a、7bを幅方向に移動させ、支点ピン12a、12bの近傍であって該支点ピン12a、12bよりも搬送方向上流側に配設され可動アーム11a、11b方向に読み取り光(検出光)を出射してその反射光を光電変換することで原稿ガイド板7a、7bの幅方向への移動によって回動する可動アーム11a、11bの回動位置を回動位置検出手段としてのイメージセンサ2で検出して、幅サイズ検出手段であるCPU22によって、イメージセンサ2の検出結果に基づいて原稿ガイド板7a、7bの保持する原稿の幅サイズを検出している。
【0062】
したがって、簡単な構成でかつ安価に、原稿幅サイズを検出することができる。
【0063】
また、本実施例の画像読み取り装置1は、可動アーム11a、11bと原稿ガイド板7a、7bとの連結を、該連結部分において該可動アーム11a、11bの支点ピン12a、12b方向に所定長さにわたって形成された所定幅のガイド孔13a、13bと、原稿ガイド板7a、7bに取り付けられ可動アーム11a、11bのガイド孔13a、13b内を移動可能に該ガイド孔13a、13bを貫通する連結ピン10a、10bとで行っている。
【0064】
したがって、簡単な構成で、原稿ガイド板7a、7bを原稿幅に応じて、可動アーム11a、11bの回動によって幅方向に移動させることができ、該可動アーム11a、11bの回動を検出することで、簡単かつ高精度に原稿幅サイズを検出することができる。
【0065】
さらに、本実施例の画像読み取り装置1は、可動アーム11a、11bの回動位置をイメージセンサ2により行うとともに、支点ピン12a、12bを、イメージセンサ2よりも原稿搬送方向下流側であって、幅方向において、イメージセンサ2の最大幅原稿の読み取り範囲よりも幅方向外側であってイメージセンサ2の読み取り可能範囲内に配設し、可動アーム11a、11bが、イメージセンサ2の読み取り可能範囲内であって最大幅原稿の読み取り範囲よりも幅方向外側の所定範囲を可動範囲として該可動範囲内で移動するようにしている。
【0066】
したがって、可動アーム11a、11bの回動位置を検出するのに、イメージセンサ2を利用することができるとともに、イメージセンサ2の原稿の読み取りに利用しない範囲を利用して可動アーム11a、11bの回動位置を検出することができ、より一層安価にかつ正確に原稿幅サイズを検出することができる。
【0067】
また、本実施例の画像読み取り装置1は、イメージセンサ1の最大幅原稿の読み取り範囲よりも長く、かつ、原稿ガイド板7a、7bが最小幅原稿を保持するときの可動アーム11a、11bをイメージセンサ2が検出する位置よりも短い長さを有しイメージセンサ2側の面が白色に施されて白基準データを提供する白基準板4が、イメージセンサ2の読み取り光の出射方向に該イメージセンサ2と所定間隔d1だけ空けて配設されている。
【0068】
したがって、可動アーム11a、11bとの干渉の影響を受けることなく、白基準板4を適切な位置に配置することができ、読み取り画像の画像品質を向上させることができる。
【0069】
さらに、本実施例の画像読み取り装置1は、可動アーム11a、11bが、イメージセンサ2からの読み取り光の照射される面が、少なくとも可動アーム11a、11bの可動範囲の背景をイメージセンサ2が検出する読み取り値Dtとは異なる読み取り値Dtを提供する状態に表面処理されている。
【0070】
したがって、イメージセンサ2によって可動アーム11a、11bの回動位置を確実かつ正確に検出することができ、原稿幅サイズの検出精度を向上させることができる。
【0071】
また、本実施例の画像読み取り装置1は、可動アーム11a、11bのイメージセンサ2からの読み取り光の照射される面が、イメージセンサ2の出力する画素信号として所定数の画素信号となる幅方向長さを有している。
【0072】
したがって、イメージセンサ2によって可動アーム11a、11bの回動位置を確実かつ正確に検出することができ、原稿幅サイズの検出精度を向上させることができる。
【0073】
さらに、本実施例の画像読み取り装置1は、原稿ガイド板7a、7bに原稿が搬送方向の所定位置まで挿入されていることを検知する原稿挿入センサ14が配設されており、CPU22が、原稿ガイド板7a、7bに原稿が所定位置まで挿入されたことを原稿挿入センサ14が検出すると、イメージセンサ2に可動アーム11a、11bを検出させて原稿の幅サイズの検出を行っている。
【0074】
したがって、原稿の読み取りに先立って、正確に原稿幅サイズを検出することができる。
【0075】
また、本実施例の画像読み取り装置1は、操作表示部のキー操作によって、動作開始指示である読み取り開始が指示操作されると、CPU22がイメージセンサ2に可動アーム11a、11bの検出を行わせて原稿の幅サイズの検出を行っている。
【0076】
したがって、原稿の読み取りに先立って、正確に原稿幅サイズを検出することができる。
【実施例2】
【0077】
図12〜図15は、本発明の画像読み取り装置及び画像形成装置の第2実施例を示す図であり、図12は、本発明の画像読み取り装置及び画像形成装置の第2実施例を適用した画像読み取り装置30の要部上面図である。
【0078】
なお、本実施例は、上記第1実施例の画像読み取り装置1と同様の画像読み取り装置に適用したものであり、本実施例の説明においては、上記第1実施例の画像読み取り装置1と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その説明を簡略化または省略するとともに、図示しない部分についても、同一の符号を用いて説明する。
【0079】
図1において、画像読み取り装置30は、第1実施例の画像読み取り装置1と同様の白基準板4が、イメージセンサ2の上方所定距離d1の位置に配設されており、さらに、白基準板4の主走査方向Gaの両方外側におけるイメージセンサ2の上方のうち、少なくともイメージセンサ2の有効読み取り範囲にわたって、第2白基準板4aと第2白基準板4bが配設されている。なお、図12においては、第2白基準板4bについては、図示していないが、第2白基準板4bは、第2白基準板4aと反対側に同様に配設されている。
【0080】
第2白基準板4a、4bは、図12のA−A矢視断面図である図13に示すように、イメージセンサ2上方所定の距離d3を空けて配設されており、第2白基準板4a、4bとイメージセンサ2との距離d3は、図13に示すように、白基準板4とイメージセンサ2との距離d1よりも大きく、さらに、可動アーム11a、11bの厚さd2よりも所定量大きく設定されている。
【0081】
そして、画像読み取り装置30は、原稿ガイド板7a、7bを移動可能に支持する可動アーム11a、11bが、第2白基準板4a、4bとイメージセンサ2との間を通過して、原稿ガイド板7a、7bの移動に応じて、支点ピン12a、12bを中心として、回動する。
【0082】
したがって、可動アーム11a、11bの厚さd2とイメージセンサ2と第2白基準板4a、4bとの間の距離d3とは、次式(6)の関係がある。
【0083】
d2<d3・・・(6)
この可動アーム11a、11bのイメージセンサ2側の面(下面)は、図14に示すように、その全面に白色に施されているとともに、可動アーム11a、11bの少なくともイメージセンサ2の上方に位置する部分において、長手方向に所定長さを有し、幅方向に所定幅Wbを有する黒ライン31が施されている。
【0084】
すなわち、可動アーム11a、11bは、イメージセンサ2の有効読み取り範囲において、第2白基準板4a、4bの白色をバックにして、可動アーム11a、11bの白色に施された面に、幅Wbの黒色の黒ライン31が施されている状態となっている。
【0085】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像読み取り装置30は、可動アーム11a、11bの黒ライン31をイメージセンサ2で検出することによって、原稿ガイド板7a、7bにセットされた原稿サイズを検出する。
【0086】
すなわち、画像読み取り装置30は、上記第1実施例と同様に、原稿読み取り開始時の処理において、原稿幅検知処理を行い、この原稿検知処理を、図11と同様に実行する。この原稿検知処理において、イメージセンサ2は、例えば、図15に示すような読み取り値Dtを出力する。
【0087】
図15において、n1画素領域は、可動アーム11a、11bのうち、可動アーム11aがイメージセンサ2の読み取り開始側に位置するものとすると、イメージセンサ2の有効読み取り範囲の読み取り開始側の側端から可動アーム11aの黒ライン31の読み取り開始側側端までの領域であり、n2画素領域は、可動アーム11aの黒ライン31の読み取り開始側側端から該黒ライン31の読み取り開始側とは反対側の側端までの領域(黒ライン31の幅)である。
【0088】
n1画素領域において、読み取り値Dtの立ち下がっている画素は、例えば、ゴミ等によるものであり、n2画素領域の開始手前で、読み取り値Dtが立ち上がっている画素領域及びn2画素領域の後の読み取り値Dtが立ち上がっている画素領域は、可動アーム11aの白色の施されている面の読み取り画素領域を示している。
【0089】
なお、図15において、n1画素領域の第2白基準板4aの読み取り値Dtが、可動アーム11aの読み取り値Dtよりも小さいのは、可動アーム11a、11bの厚さd2とイメージセンサと第2白基準板4a、4bとの距離d3との間に、式(6)の関係があるため、第2白基準板4a、4bは、イメージセンサ2との距離が可動アーム11a、11bよりも大きく、その距離の差分だけ、読み取り値Dtが小さくなっている。
【0090】
そこで、CPU22は、イメージセンサ2の出力するデータから、n1画素領域の画素数n1とn2画素領域の画素数n2からアーム中点であるアーム中心画素APまでの画素数nを、上記同様に、アーム中点検知部25に式(5)に基づいて算出させる。
【0091】
このように、可動アーム11a、11bの白色の下地に、黒ライン31が施されるという2色が施されているため、黒ライン31の幅を明確かつ確実に検出することができ、可動アーム11a、11bのアーム中心画素APの位置を正確に検出することができる。
【0092】
なお、本実施例においても、第1実施例の場合と同様に、可動アーム11あまたは可動アーム11bの一方の位置に基づいて、原稿サイズを検知するようにしてもよい。
【0093】
このように、本実施例の画像読み取り装置1は、イメージセンサ2からの読み取り光の出射方向において可動アーム11a、11bの該出射方向の厚さd2よりも所定量大きい所定間隔(距離)d3を空けて、イメージセンサ2側の面が白色に施されて白基準データを提供する第2白基準板4aが、イメージセンサ2の最大幅原稿の読み取り範囲よりも幅方向外側であってイメージセンサ2の読み取り可能範囲において、少なくとも可動アーム11a、11bの可動範囲を覆う領域にわたって配設されている。
【0094】
したがって、第2白基準板4aを背景として可動アーム11a、11bを検出することができ、可動アーム11a、11bをより一層正確に検出することができ、原稿幅サイズの検出精度を向上させることができる。
【0095】
また、本実施例の画像読み取り装置1は、可動アーム11a、11bのイメージセンサ2からの読み取り光の照射される面が、幅方向において、白色の地色に黒色の黒ライン31が施されている。
【0096】
したがって、黒ライン31をイメージセンサ2で検出ことにより、可動アーム11a、11bの回動位置を確実かつ正確に検出することができ、原稿幅サイズの検出精度をより一層向上させることができる。
【0097】
さらに、本実施例の画像読み取り装置1は、可動アーム11a、11bのイメージセンサ2からの読み取り光の照射される面の中央部である黒ライン31が、イメージセンサ2の出力する画素信号として所定数の画素信号となる幅方向長さを有している。
【0098】
したがって、黒ライン31をイメージセンサ2で検出ことにより、可動アーム11a、11bの回動位置を確実かつ正確に検出することができ、原稿幅サイズの検出精度を向上させることができる。
【0099】
なお、上記各実施例においては、画像読み取り装置1、30に適用した場合について説明したが、本発明は、プリンタ装置、複合装置、ファクシミリ装置等の画像形成用の用紙を搬送媒体として搬送する画像形成装置においても、同様に適用することができる。
【0100】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、原稿や用紙等の搬送媒体の任意サイズの幅を安価かつ正確に検出して搬送するスキャナ装置、複合装置、プリンタ装置等の画像読み取り装置及び画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 画像読み取り装置
2 イメージセンサ
3 コンタクトガラス
4 白基準板
5 上ローラ軸
5a 搬送ローラ
6 下ローラ軸
6b 搬送ローラ
7a、7b 原稿ガイド板
8a、8b 底板
9a、9b 側板
10a、10b 連結ピン
11a、11b 可動アーム
12a、12b 支点ピン
13a、13b ガイド孔
14 原稿挿入センサ
20 読み取り部
21 画像処理部
22 CPU
23 A/D変換部
24 メモリ
25 アーム中点検知部
Ga 主走査方向
Gs 原稿搬送方向
ha 幅
30 画像読み取り装置
31 黒ライン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】
【特許文献1】特開平6−303394号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の搬送媒体を保持するとともに該搬送媒体の搬送方向と直交する幅方向の大きさに応じて該幅方向に移動して該搬送媒体の幅方向両端に接触して該搬送媒体を該搬送方向にガイドする一対の媒体ガイド手段と、
前記媒体ガイド手段の保持する前記搬送媒体を1枚ずつ前記搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送媒体の搬送可能な最大幅よりも前記幅方向外方であって前記搬送方向下流側の所定の支点を回動中心として回動可能な可動アームと、
前記媒体ガイド手段と前記可動アームを連結するとともに該可動アームの前記支点を回動中心とする回動によって該媒体ガイド手段を前記幅方向に移動させる連結手段と、
前記支点の近傍であって該支点よりも前記搬送方向上流側に配設され前記可動アーム方向に検出光を出射する検出光出射手段と、
前記検出光の前記可動アームでの反射光を光電変換して前記媒体ガイド手段の前記幅方向への移動によって回動する該可動アームの回動位置を検出する回動位置検出手段と、
前記回動位置検出手段の検出結果に基づいて前記媒体ガイド手段の保持する前記搬送媒体の幅サイズを検出する幅サイズ検出手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記連結手段は、
前記可動アームの前記媒体ガイド手段との連結部分において該可動アームの前記支点方向に所定長さにわたって形成された所定幅のガイド孔と、
前記媒体ガイド手段に取り付けられ前記可動アームの前記ガイド孔内を移動可能に該ガイド孔を貫通するピンと、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、
前記搬送媒体である原稿に読み取り光を照射して、原稿からの反射光を光電変換して該原稿の画像を読み取る読み取り手段を備えた画像読み取り装置であり、
前記検出光出射手段及び前記回動位置検出手段は、前記検出光として前記読み取り光を出射する前記読み取り手段であり、
前記支点は、前記読み取り手段よりも原稿搬送方向下流側であって、前記幅方向において、該読み取り手段の最大幅原稿の読み取り範囲よりも前記幅方向外側であって該読み取り手段の読み取り可能範囲内に配設され、
前記可動アームは、前記読み取り手段の読み取り可能範囲内であって前記最大幅原稿の読み取り範囲よりも前記幅方向外側の所定範囲を可動範囲として該可動範囲内で移動することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、前記読み取り手段の前記最大幅原稿の読み取り範囲よりも長く、かつ、前記媒体ガイド手段が最小幅原稿を保持するときの前記可動アームを該読み取り手段が検出する位置よりも短い長さを有し前記読み取り手段側の面が白色に施されて白基準データを提供する白基準板が、該読み取り手段の前記読み取り光の出射方向に該読み取り手段と所定間隔空けて配設されていることを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理装置は、前記読み取り手段からの前記読み取り光の出射方向において前記可動アームの該出射方向の厚さよりも所定量大きい所定間隔を空けて、該読み取り手段側の面が白色に施されて白基準データを提供する第2白基準板が、該読み取り手段の最大幅原稿の読み取り範囲よりも前記幅方向外側であって該読み取り手段の読み取り可能範囲において、少なくとも前記可動アームの可動範囲を覆う領域にわたって配設されていることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、前記搬送媒体である用紙に画像を形成する画像形成手段を備えた画像形成装置であり、前記媒体ガイド手段に保持されて前記搬送手段によって搬送されてくる該用紙に、前記回動位置検出手段の検出結果に基づいて前記幅サイズ検出手段が検出した該用紙の幅サイズに応じて前記画像形成手段で画像形成することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像読み取り装置を備えた画像形成装置であって、該画像読み取り装置として、請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置を搭載していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記可動アームは、前記検出光出射手段からの前記検出光の照射される面が、少なくとも該可動アームの前記可動範囲の背景を前記回動位置検出手段が検出する検出値とは異なる検出値を提供する状態に表面処理されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像処理装置または画像形成装置。
【請求項9】
前記可動アームは、前記検出光出射手段からの前記検出光の照射される面が、前記幅方向において、その中央部と両端部とで異なる色が施されていることを特徴とする請求項8記載の画像処理装置または画像形成装置。
【請求項10】
前記可動アームは、前記検出光出射手段からの前記検出光の照射される面、または、該面の前記中央部が、該回動位置検出手段の出力する画素信号として所定数の画素信号となる前記幅方向長さを有していることを特徴とする請求項8または請求項9記載の画像処理装置または画像形成装置。
【請求項11】
前記画像処理装置または前記画像形成装置は、
前記媒体ガイド手段に前記搬送媒体が前記搬送方向の所定位置まで挿入されていることを検知する挿入検出手段と、
前記挿入検出手段が、前記媒体ガイド手段に前記搬送媒体が前記所定位置まで挿入されたことを検出すると、前記回動位置検出手段及び前記幅サイズ検出手段に該搬送媒体の幅サイズの検出を行わせる制御手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載画像処理装置または画像形成装置。
【請求項12】
前記画像処理装置または前記画像形成装置は、
画像処理動作の開始を指示する動作開始指示手段と、
前記動作開始指示手段から動作開始指示があると、前記回動位置検出手段及び前記幅サイズ検出手段に該搬送媒体の幅サイズの検出を行わせる制御手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載画像処理装置または画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−160230(P2011−160230A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20692(P2010−20692)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】