説明

画像読み取り装置

【課題】移動する読み取り部に接続された接続ケーブルの劣化を抑制する。
【解決手段】画像読み取り装置1は、下部筐体21および上部枠体51と、上部枠体51に取り付けられた原稿台52とを備えており、その内部には、副走査方向SSに往復移動することで原稿台52に積載された原稿の画像を読み取る読み取りユニット22が設けられている。また、画像読み取り装置1は、一端側が下部筐体21に取り付けられ、他端側が読み取りユニット22に取り付けられるフレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)と、FFCと原稿台52との間に配置される保護フィルムとを有するケーブルユニット25を、さらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公報記載の従来技術として、本体の上部に配置されていて、コンタクトガラス上に置かれた原稿を結像ユニットを搭載したキャリッジで走査して読み取る手段であって、結像ユニットの読取信号や、キャリッジの駆動電力を本体側との間で授受する媒体としてのフレキシブルケーブルを有し、フレキシブルケーブルの一端は本体側に、他端側はキャリッジにそれぞれ固定されていて、走査に伴ってフレキシブルケーブルがコンタクトガラスと本体との間にてわん曲されつつ移動されるよう構成された画像入力装置において、フレキシブルケーブルのわん曲部がコンタクトガラスに接触するのを防止するために、フレキシブルケーブルの複数個所に固定された軸と、この軸の両端に読取幅より広いスパンで回転自在に取付けられたコロとを設けたものが存在する(特許文献1参照)。
【0003】
また、他の公報記載の従来技術として、原稿台ガラス上に載置した原稿を、その主走査方向に光学ユニットを往復運動させることにより光走査して画像情報を読み取るための光走査光学系と、光学ユニットと装置本体とを電気的に接続し、光学ユニットへの給電及び制御信号入力を行うためのフレキシブルで帯状の接続ケーブルとを備えた画像読取装置において、接続ケーブルの表面を、原稿台ガラスに対する摩擦係数が低く、柔軟性のある材料で被覆したものが存在する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−34838号公報
【特許文献2】特開平6−22101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、移動する読み取り部に接続された接続ケーブルの劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、上部には原稿を積載する原稿台が設けられ、内部には空間が形成される筐体と、前記筐体の内部で往復方向に移動するように配置され、前記原稿台に積載された前記原稿の画像を、移動に伴って読み取る読み取り部と、帯状の形状を有するとともに長手方向に沿って複数の電線が設けられ、長手方向の一端側が前記筐体に取り付けられるとともに他端側が前記読み取り部に取り付けられ、当該筐体の内部において前記原稿台に向かって凸となるように屈曲し、当該読み取り部の移動に伴って屈曲状態が変化する接続ケーブルと、帯状の形状を有し、前記筐体の内部において前記接続ケーブルに沿い且つ前記原稿台と前記接続ケーブルとの間に位置するように設けられるとともに長手方向の一方の端部が前記読み取り部に取り付けられ、当該原稿台から当該接続ケーブルを保護する保護部材とを含む画像読み取り装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記接続ケーブルは、金属にて構成され、前記複数の電線を遮へいする遮へい層をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置である。
請求項3記載の発明は、前記接続ケーブルに対し前記保護部材にたるみが生じるように、当該保護部材における長手方向の他方の端部が当該接続ケーブルに取り付けられることを特徴とする請求項1または2記載の画像読み取り装置である。
【0008】
請求項4記載の発明は、上部には原稿を積載する原稿台が設けられ、内部には空間が形成される筐体と、前記筐体の内部で往復方向に移動するように配置され、前記原稿台に積載された前記原稿の画像を、移動に伴って読み取る読み取り部と、帯状の形状を有するとともに長手方向に沿って複数の電線が設けられ、長手方向の一端側が前記筐体に取り付けられるとともに他端側が前記読み取り部に取り付けられ、当該筐体の内部において前記原稿台に向かって凸となるように屈曲し、当該読み取り部の移動に伴って屈曲状態が変化する接続ケーブルと、帯状の形状を有し、前記原稿台と前記接続ケーブルにおいて前記凸となる面との間に位置するように長手方向の両端部が当該接続ケーブルに取り付けられ、当該接続ケーブルとともに屈曲する屈曲部材とを含む画像読み取り装置である。
【0009】
請求項5記載の発明は、前記接続ケーブルは、金属にて構成され、前記複数の電線を遮へいする遮へい層をさらに含むことを特徴とする請求項4記載の画像読み取り装置である。
請求項6記載の発明は、前記接続ケーブルに対し前記屈曲部材にたるみが生じるように、当該屈曲部材における長手方向の両端部を当該接続ケーブルに取り付けることを特徴とする請求項4または5記載の画像読み取り装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、移動する読み取り部に接続された接続ケーブルの劣化を抑制することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、接続ケーブルにおける電磁障害の発生を抑制することができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、移動する読み取り部に接続された接続ケーブルの劣化をさらに抑制することができる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、移動する読み取り部に接続された接続ケーブルの劣化を抑制することができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、接続ケーブルにおける電磁障害の発生を抑制することができる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、移動する読み取り部に接続された接続ケーブルの劣化をさらに抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態における画像読み取り装置の構成の一例を示す側面図である。
【図2】読み取りユニットに設けられる読み取り光学系の構成の一例を示した図である。
【図3】ケーブルユニットの構成の一例を示した図である。
【図4】フレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)の断面構成の一例を示した図である。
【図5】読み取り部の構成の一例を示す斜視図である。
【図6】読み取りユニットに設けられた下部筐体に対する、ケーブルユニットの一端側の取り付けを説明するための図である。
【図7】読み取り部に設けられた読み取りユニットに対する、ケーブルユニットの他端側の取り付けを説明するための斜視図である。
【図8】読み取り部に設けられた読み取りユニットに対する、ケーブルユニットの他端側の取り付けを説明するための側面図である。
【図9】読み取り動作におけるケーブルユニットの挙動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像読み取り装置1の構成の一例を示す側面図である。なお、図1は、画像読み取り装置1をフロント側からみた図である。
この画像読み取り装置1は、固定された原稿の画像を読み取るための機構が設けられた本体部10と、本体部10に対して開閉自在に取り付けられ、閉じられた際に本体部10に原稿を固定する原稿固定部材60とを備える。また、本体部10は、原稿の画像を読み取る読み取り部20と、原稿を積載する原稿積載部50とを有している。
【0013】
これらのうち、読み取り部20は、底面および壁面を有し図中上方に向かう部位に開口が形成された下部筐体21と、下部筐体21の内側に配置される読み取りユニット22と、下部筐体21の内側において読み取りユニット22を副走査方向SSおよびその逆方向に案内するガイドシャフト23と、読み取りユニット22をガイドシャフト23に沿って移動させる駆動モータ24とを備えている。また、読み取り部20は、一端側が下部筐体21に取り付けられるとともに他端側が読み取りユニット22に取り付けられ、読み取りユニット22との間で電力や信号のやりとりを行うケーブルユニット25とを備えている。ここで、読み取り部の一例としての読み取りユニット22の副走査方向SSの下流側端部には、読み取りユニット22に設けられる受光側基板36b(詳細は後述する)が位置している。そして、読み取り部20において、読み取りユニット22は、通常、図1に示す基準位置P1に位置しており、原稿の読み取り動作に伴って副走査方向SSに向けて移動することで副走査方向SSの最下流側となる終了位置P2に到達し、その後基準位置P1まで戻る。なお、以下の説明においては、図中手前側から奥側に向かう方向を主走査方向FSと呼ぶ。
【0014】
一方、原稿積載部50は、額縁状の形状を有し、下部筐体21に設けられた開口に対峙して取り付けられることで、下部筐体21とともに筐体を構成する上部枠体51と、上部枠体51の中央部に取り付けられるとともに原稿の積載に用いられる原稿台52とを有している。原稿台52は、可視光に対する光透過性を有するガラス材で構成されており、読み取り部20に設けられた読み取りユニット22の移動範囲をカバーするように配置されている。
【0015】
図2は、読み取りユニット22に設けられる読み取り光学系30の構成の一例を示す図である。
この読み取り光学系30は、可視光を発光する発光部31と、発光部31から出力される光を原稿台52側および後述する反射体33に導く導光体32と、発光部31から導光体32を介して出力された光の一部を、原稿台52側に向けて反射する反射体33とを備えている。また、読み取り光学系30は、発光部31から出力され、原稿台52を介して原稿Mに照射され、この原稿Mから反射して原稿台52を通過した反射光を、順次反射する第1ミラー34a、第2ミラー34b、第3ミラー34c、第4ミラー34dおよび第5ミラー34eを備えている。さらに、読み取り光学系30は、第5ミラー34eにて反射された光を集光するレンズ35と、レンズ35にて集光されることで結像された光を受光する受光部36とを備えている。本実施の形態の読み取り光学系30では、原稿Mからの反射光の経路を交差させる所謂折り畳み光学系を用いることで、読み取りユニット22の小型化を図っている。
【0016】
発光部31は、複数の発光素子(例えばLED(Light Emitting Diode))を主走査方向FSに並べて配置した発光素子列31aと、発光素子列31aが実装されるとともに読み取りユニット22に固定される発光側基板31bとを有する。
【0017】
また、受光部36は、複数の受光素子を主走査方向FSに並べて配置した受光素子列(例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ)36aと、受光素子列36aが実装されるとともに読み取りユニット22に固定される受光側基板36bとを有する。この受光側基板36bは、図1にも示したように、読み取りユニット22における副走査方向SSの下流側端部に位置している。
【0018】
図3は、ケーブルユニット25の構成の一例を示した図である。ここで、図3(a)はケーブルユニット25の側面図を示しており、図3(b)は図3(a)に示すIIIB方向からみたケーブルユニット25の上面図を示している。
【0019】
このケーブルユニット25は、複数の信号線を並べて配置するとともに各信号線を絶縁することで帯状に形成された接続ケーブルの一例としてのフレキシブル・フラット・ケーブル(Flexible Flat Cable:以下ではFFCと称する)25aと、FFC25aの一端側に取り付けられて外部との電気的な接続に用いられる第1コネクタ25bと、FFC25aの他端側に取り付けられて読み取りユニット22との電気的な接続に用いられる第2コネクタ25cとを備えている。また、ケーブルユニット25は、帯状の形状を有し、FFC25aの一方の面に対向して配置される保護フィルム25dと、保護フィルム25dの長手方向の一端側と他端側とをFFC25aの一方の面に接着する2つの両面テープ25eとをさらに備えている。
【0020】
ケーブルユニット25において、保護部材あるいは屈曲部材の一例としての保護フィルム25dは、FFC25aにおいて第2コネクタ25cが取り付けられる側に偏倚して配置されている。また、ケーブルユニット25では、両面テープ25eを用いてFFC25aに保護フィルム25dを取り付けた状態で、保護フィルム25dにたるみ(湾曲)が生じるようになっている。さらに、ケーブルユニット25において、保護フィルム25dの幅はFFC25aの幅よりも大きく設定されており、保護フィルム25dの幅方向両端の位置がFFC25aの幅方向両端の位置よりも外側となるように、FFC25aに対する保護フィルム25dの取り付けがなされている。そして、本実施の形態において、保護フィルム25dとしては、例えばポリエチレン・テレフタレート(PET)からなり、その厚さが188μmに設定されたフィルム材料(東レ社製ルミラー)を用いている。ただし、これに限られるものではなく、保護フィルム25dとしてポリ・カーボネート(PC)等を用いてもかまわない。
【0021】
図4は、図3(a)におけるIV−IV断面図すなわちFFC25aの断面構成の一例を示した図である。
本実施の形態で用いたFFC25aは、表面および裏面を有するケーブル本体251と、ケーブル本体251の表面側および裏面側にそれぞれ積層される遮へい層252と、各遮へい層252にそれぞれ積層される保護層253とを有している。ここで、各遮へい層252は、ケーブル本体251の表裏面にそれぞれ接着されており、各保護層253は、各遮へい層252にそれぞれ接着されている。また、ケーブル本体251は、並べて配置された複数の電線の一例としての複数の信号線2511と、複数の信号線2511を相互に絶縁する絶縁層2512とを有している。そして、絶縁層2512は、絶縁性を有し複数の信号線2511の周囲に形成される接着剤層2512aと、接着剤層2512aの表面側および裏面側にそれぞれ積層されるフィルム層2512bとを備えている。
【0022】
これらのうち、複数の信号線2511は例えば銅で構成され、フィルム層2512bおよび保護層253は例えばPETで構成され、遮へい層252は例えばアルミニウムで構成されている。このように、本実施の形態のFFC25aには、遮へい層252を用いて、電磁妨害(EMI:Electro Magnetic Interference)を抑制するためのシールド加工が施されている。
【0023】
図5は、読み取り部20の構成の一例を示す斜視図である。また、図6は、読み取りユニット22に設けられた下部筐体21に対する、ケーブルユニット25の一端側(第1コネクタ25b側)の取り付けを説明するための図である。さらに、図7は、読み取り部20に設けられた読み取りユニット22に対する、ケーブルユニット25の他端側(第2コネクタ25c側)の取り付けを説明するための斜視図である。さらにまた、図8は、読み取り部20に設けられた読み取りユニット22に対する、ケーブルユニット25の他端側(第2コネクタ25c側)の取り付けを説明するための側面図である。なお、図1におけるフロント側は、図5における奥側に対応している。したがって、図5に示す読み取りユニット22は、図1に示す基準位置P1に位置していることになる。そして、図6〜図8は、読み取り部20を、それぞれ図1におけるフロント側からみたものに対応している。
【0024】
本実施の形態において、ガイドシャフト23は、下部筐体21の内部且つリア側(図5においては手前側)に、副走査方向SSに沿って配置されており、その両端が下部筐体21に固定されている。また、下部筐体21の内部且つガイドシャフト23よりもリア側であって、副走査方向SSの下流側に、駆動モータ24が取り付けられている。そして、下部筐体21のリア側且つ外側の端面には、画像読み取り装置1と外部に設けられた機器とを電気的に接続するためのインタフェース部26が取り付けられている。
【0025】
また、ケーブルユニット25は、下部筐体21の内部且つフロント側(図5においては奥側)に、副走査方向SSに沿って配置されている。そして、ケーブルユニット25に設けられた第1コネクタ25bは、下部筐体21の内部且つフロント側であって、副走査方向SSの下流側端部に配置されている。これに対し、ケーブルユニット25に設けられた第2コネクタ25cは、下部筐体21の内側に配置された読み取りユニット22のフロント側且つ副走査方向SSの下流側に取り付けられている。なお、第1コネクタ25bは、図示しない接続機構等を介して、インタフェース部26と電気的に接続される。
【0026】
さらに、読み取りユニット22は、図2に示す読み取り光学系30を内蔵し、フロント側における副走査方向SSの下流側に切欠部41aが形成されたユニット本体41を有している。そして、読み取りユニット22において、ユニット本体41に設けられた切欠部41aからみて副走査方向SSの下流側には、読み取り光学系30に設けられた受光側基板36bの一部が、リア側からフロント側に向かい突出して配置されている。
【0027】
読み取り部20において、ケーブルユニット25を構成するFFC25aは、長手方向中央部にて折り曲げられてた折り曲げ部を有している。そして、保護フィルム25dは、FFC25aに対し、折り曲げ部から第1コネクタ25b側に向かう部位には取り付けられておらず、折り曲げ部から第2コネクタ25cに向かう部位に取り付けられている。
【0028】
また、FFC25aのうち、折り曲げ部から第1コネクタ25b側に向かう部位は、下部筐体21の底面に沿って副走査方向SSに向かった後、下部筐体21の内部且つ副走査方向SSの下流側端部において、上方に向けてS字状に湾曲して配置されている。そして、FFC25aにおける第1コネクタ25b側の端部は、下部筐体21のフロント側の内壁面から下部筐体21内に向け突出して形成された保持部21aによって保持されることで、下部筐体21に固定される。これにより、第1コネクタ25bは、接続端子の形成面が副走査方向SSの下流側を向いている。なお、FFC25aに設けられた折り曲げ部は、図示しない留め具によって下部筐体21の底面に固定されている。
【0029】
一方、FFC25aのうち、折り曲げ部から第2コネクタ25cに向かう部位は、下部筐体21の底面に沿って副走査方向SSに向かった後、U字状に湾曲して上方且つ副走査方向SSとは逆方向に向かい、S字状に湾曲しつつ読み取りユニット22に設けられた受光側基板36bの下方を通過し、その後さらにU字状に湾曲して上方且つ副走査方向SSに向かうように配置される。そして、このS字状の湾曲部位において、FFC25aの上方を向く面(画像読み取り装置1を構成した場合に原稿台52(図1参照)と対向する側の面)に、保護フィルム25dが取り付けられている。なお、FFC25aおよび保護フィルム25dによって形成されるこのS字状の湾曲部位は、読み取りユニット22が副走査方向SSまたはその逆方向に移動する際に変形する。FFC25aにおける第2コネクタ25c側の端部は、U字状の湾曲部位の手前で、ユニット本体41における切欠部41aの内壁面から下部筐体21のフロント側の内壁面に向け突出して形成された固定部41bによって挟み込まれることで、読み取りユニット22に固定される。そして、第2コネクタ25cは、読み取りユニット22に取り付けられた受光側基板36bにおいて、副走査方向SSの上流側に位置する面に形成されたコネクタに接続されている。なお、固定部41bの内部には、例えばフェライト等からなるコアが、FFC25aを囲むように取り付けられている。
【0030】
本実施の形態では、FFC25aのうち、折り曲げ部から第1コネクタ25b側に向かう部位が下部筐体21に固定されているのに対し、折り曲げ部から第2コネクタ25c側に向かう部位は、下部筐体21に対する読み取りユニット22の移動に伴って移動する際にその一部が変形するようになっている。そこで、以下の説明においては、FFC25aのうち、折り曲げ部から第1コネクタ25b側に向かう部位を固定部位と呼び、折り曲げ部から第2コネクタ25c側に向かう部位を可動部位と呼ぶことにする。
【0031】
また、固定部41bには、FFC25aとともに、保護フィルム25dにおける第2コネクタ25c側の端部(図3において左側となる両面テープ25eの貼り付け部位)も挟み込まれるようになっている。したがって、固定部41bからみて副走査方向SSの下流側には、FFC25aおよび保護フィルム25dが存在する一方、固定部41bからみて副走査方向SSの上流側には、FFC25aのみが存在していることになる。これに対し、保護フィルム25dにおける第1コネクタ25b側の端部は、両面テープ25eによってFFC25aの可動部位に取り付けられるものの、特に他の部材による固定は行われていない。
【0032】
では、図1に示す画像読み取り装置1による原稿M(図2参照)の読み取り動作について説明する。
画像読み取り装置1に設けられた原稿固定部材60が開けられ、本体部10の原稿積載部50に設けられた原稿台52上に原稿Mがセットされた後、原稿固定部材60が閉じられる。その後、読み取り開始の指示を受け付けることで、原稿Mの読み取り動作が開始される。
【0033】
読み取り動作の開始に伴い、読み取りユニット22には、ケーブルユニット25に設けられたFFC25a等を介して、発光部31に設けられた発光素子列31aを発光させるための電力が供給される。また、読み取り動作の開始に伴って駆動モータ24が回転を開始し、基準位置P1から終了位置P2に向かい、副走査方向SSに沿って読み取りユニット22が移動していく。
【0034】
この間、読み取りユニット22に設けられた発光部31から出力される光は、導光体32を通って直接あるいは反射体33を介して原稿台52上の原稿Mに照射される。そして、原稿Mからの反射光が、第1ミラー34a〜第5ミラー34eおよびレンズ35を介して、受光素子列36aに結像される。受光素子列36aは、上述したように主走査方向FSに沿って伸びる1次元のセンサ群で構成されており、副走査方向SSの1ライン毎に、主走査方向FSの1ライン分の受光データを出力する。
【0035】
このため、読み取りユニット22が基準位置P1を出発して終了位置P2に到達するまでの間、予め決められた周期を単位として、受光素子列36aが主走査方向FSの1ライン分の受光データを順次出力することにより、原稿M1枚分の読み取りデータが得られる。そして、受光素子列36aから出力される読み取りデータは、受光側基板36bを介してケーブルユニット25に設けられたFFC25aに伝達され、FFC25aからさらに図示しない接続機構およびインタフェース部26を介して外部の機器に伝達される。ここで、本実施の形態のFFC25aには遮へい層252が設けられていることから、FFC25aの外部で発生したノイズが信号線2511にて伝送される信号に重畳されにくくなっており、また、FFC25aの内部に設けられた信号線2511で発生したノイズが外部に放出されにくくなっている。
【0036】
図9は、上述した読み取り動作におけるケーブルユニット25の挙動を説明するための図である。なお、図9には、ケーブルユニット25のうち、FFC25aの可動部位およびFFC25aの可動部位に取り付けられた保護フィルム25dを、抜き出して示している。
【0037】
読み取りユニット22が基準位置P1に配置された状態において、FFC25aの可動部位には湾曲が生じており、FFC25aの可動部位は、自身が有する弾性により、上方すなわち原稿台52の形成部位に向かって突出しようとしている。本実施の形態では、FFC25aの他端側を、読み取りユニット22に設けられた受光側基板36bの下方を通るように引き回している。このため、FFC25aの他端側を、受光側基板36bの上方を通るように引き回す場合に比べて、FFC25aの可動部位における湾曲半径が小さくなりやすく、FFC25aの可動部位を上方に向けて突出させようとする力が大きくなりやすい。
【0038】
ここで、本実施の形態では、FFC25aの可動部位の上方に保護フィルム25dを配置しているため、原稿台52の下面に対し、FFC25aではなく、保護フィルム25dが接触する。また、本実施の形態では、図3を用いて説明したように、FFC25aと保護フィルム25dとを、保護フィルム25dの長手方向両端部を除いて密着させないようにしており、保護フィルム25dにたるみが生じるようにFFC25aへの取り付けを行っている。このため、読み取りユニット22が基準位置P1に配置され、FFC25aによって保護フィルム25dが原稿台52に接触した状態で、FFC25aと保護フィルム25dとの間には、一部に隙間が形成される。
【0039】
次に、読み取り動作の開始に伴い、読み取りユニット22が、基準位置P1から終了位置P2に向かい、副走査方向SSに沿って移動を開始する。このとき、FFC25aの固定部位は下部筐体21に固定されているのに対し、FFC25aの可動部位は、読み取りユニット22によって押されることにより、徐々に変形していく。より具体的に説明すると、FFC25aの可動部位は、読み取りユニット22の副走査方向SSへの移動に伴い、FFC25aの折り曲げ部を支点として、FFC25aの固定部位に順次重なっていくように変形する。
【0040】
読み取りユニット22が基準位置P1から副走査方向SSに移動し始めてから、基準位置P1および終了位置P2の中央部に到達するまでの間、FFC25aの可動部位には、上方に向けて突出させようとする力がかかり続ける。したがって、この間は、FFC25aの可動部位によって押された保護フィルム25dが、接触部位をずらしながら原稿台52に接触し続ける。また、保護フィルム25dの第1コネクタ25b側の端部(一端側)がFFC25aに貼り付けられていることから、保護フィルム25dの一端側は、読み取りユニット22の移動に伴い、FFC25aの可動部位とともにFFC25aの固定部位に順次重なっていく。そして、この間、原稿台52と接触する保護フィルム25dには、これら両者の間に働く摩擦力により、副走査方向SSとは逆方向に向かう力がかかる。
【0041】
ここで、保護フィルム25dを設けないケーブルユニット25を用いた場合には、FFC25aの可動部位が、原稿台52に直に接触することになる。そして、この状態で読み取りユニット22を副走査方向SSに沿って移動させると、原稿台52と接触するFFC25aの可動部位に、これら両者の間に働く摩擦力により、副走査方向SSとは逆方向に向かう力がかかることになる。
【0042】
FFC25aの可動部位にかかる力は、結果として、読み取りユニット22のユニット本体41に設けられた固定部41bによる固定位置にかかる。すると、この部位においてFFC25aにしわが生じたり、この部位において信号線2511の断線が生じたりする懸念がある。特に、本実施の形態のように、FFC25aが金属箔で構成された遮へい層252を有している場合には、この部位においてしわが発生しやすい。
【0043】
これに対し、本実施の形態では、原稿台52と接触する保護フィルム25dの背面側では、FFC25aの可動部位と保護フィルム25dとを接着させないようにしている。また、本実施の形態では、保護フィルム25dにおいて力がかかる方向の下流側となる他端側(第2コネクタ25c側)を、FFC25aの可動部位とともに、読み取りユニット22のユニット本体41に設けられた固定部41bに固定している。このため、原稿台52から保護フィルム25dが受けた力が、FFC25aの可動部位にかかりにくくなる。
【0044】
なお、読み取りユニット22が基準位置P1および終了位置P2の中央部に到達した後、FFC25aの可動部位によって押される保護フィルム25dは原稿台52に接触しなくなる。そして、読み取りユニット22が終了位置P2に到達すると、FFC25aの可動部位および保護フィルム25dが、読み取りユニット22の下方に回り込んだ状態となる。
【符号の説明】
【0045】
1…画像読み取り装置、10…本体部、20…読み取り部、21…下部筐体、21a…保持部、22…読み取りユニット、23…ガイドシャフト、24…駆動モータ、25…ケーブルユニット、25a…フレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)、25b…第1コネクタ、25c…第2コネクタ、26…インタフェース部、30…読み取り光学系、36…受光部、36a…受光素子列、36b…受光側基板、41…ユニット本体、41a…切欠部、41b…固定部、50…原稿積載部、51…上部枠体、52…原稿台、60…原稿固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部には原稿を積載する原稿台が設けられ、内部には空間が形成される筐体と、
前記筐体の内部で往復方向に移動するように配置され、前記原稿台に積載された前記原稿の画像を、移動に伴って読み取る読み取り部と、
帯状の形状を有するとともに長手方向に沿って複数の電線が設けられ、長手方向の一端側が前記筐体に取り付けられるとともに他端側が前記読み取り部に取り付けられ、当該筐体の内部において前記原稿台に向かって凸となるように屈曲し、当該読み取り部の移動に伴って屈曲状態が変化する接続ケーブルと、
帯状の形状を有し、前記筐体の内部において前記接続ケーブルに沿い且つ前記原稿台と前記接続ケーブルとの間に位置するように設けられるとともに長手方向の一方の端部が前記読み取り部に取り付けられ、当該原稿台から当該接続ケーブルを保護する保護部材と
を含む画像読み取り装置。
【請求項2】
前記接続ケーブルは、金属にて構成され、前記複数の電線を遮へいする遮へい層をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記接続ケーブルに対し前記保護部材にたるみが生じるように、当該保護部材における長手方向の他方の端部が当該接続ケーブルに取り付けられることを特徴とする請求項1または2記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
上部には原稿を積載する原稿台が設けられ、内部には空間が形成される筐体と、
前記筐体の内部で往復方向に移動するように配置され、前記原稿台に積載された前記原稿の画像を、移動に伴って読み取る読み取り部と、
帯状の形状を有するとともに長手方向に沿って複数の電線が設けられ、長手方向の一端側が前記筐体に取り付けられるとともに他端側が前記読み取り部に取り付けられ、当該筐体の内部において前記原稿台に向かって凸となるように屈曲し、当該読み取り部の移動に伴って屈曲状態が変化する接続ケーブルと、
帯状の形状を有し、前記原稿台と前記接続ケーブルにおいて前記凸となる面との間に位置するように長手方向の両端部が当該接続ケーブルに取り付けられ、当該接続ケーブルとともに屈曲する屈曲部材と
を含む画像読み取り装置。
【請求項5】
前記接続ケーブルは、金属にて構成され、前記複数の電線を遮へいする遮へい層をさらに含むことを特徴とする請求項4記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
前記接続ケーブルに対し前記屈曲部材にたるみが生じるように、当該屈曲部材における長手方向の両端部を当該接続ケーブルに取り付けることを特徴とする請求項4または5記載の画像読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−108424(P2012−108424A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258851(P2010−258851)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】