説明

画像読取装置、画像読取装置の制御方法、および画像読取装置の制御プログラム

【課題】使い勝手の良い画像読取装置、画像読取装置の制御方法、および画像読取装置の制御プログラムを提供する。
【解決手段】画像読取装置としての画像形成装置は、配置台に配置された原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付ける操作パネル400と、操作パネル400にて指示を受け付ける前後で、配置台に配置された原稿の幅を検出するガイド位置検出部材254とを備えている。画像形成装置のCPU251は、指示を受け付ける前にガイド位置検出部材254が検出した原稿の幅からの、指示を受け付けた後でガイド位置検出部材254が検出した原稿の幅の変化を検出し、幅の変化を検出した場合に、幅の変化の状況に基づいて原稿のサイズを決定する。画像形成装置は、決定したサイズの原稿の画像として、配置台から搬送された原稿の画像を読み取る画像読込み装置300をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置、画像読取装置の制御方法、および画像読取装置の制御プログラムに関し、より特定的には、配置台に配置された原稿の幅を検出する画像読取装置、画像読取装置の制御方法、および画像読取装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multifunction Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機などの画像形成装置や、スキャナー装置などの画像読取装置には、ADF(Auto Document Feeder)などの自動原稿搬送装置を搭載したものがある。ADFを搭載した画像読取装置によれば、ADFの原稿トレイ上に原稿にセットしておけば、複数の原稿を1枚ずつ搬送してその原稿の画像を自動的に画像読取部で読み取らせることができる。ADFを搭載した画像読取装置においては、画像読取部の上部において開閉可能とされた原稿押えカバーにADFが内蔵されている。
【0003】
原稿トレイの上面には、原稿トレイにセットされた原稿の幅方向(原稿の搬送方向に対して垂直な方向)の端部を規制する2つの規制板が設けられている。2つの規制板は原稿の幅方向に沿って移動可能である。画像読取装置は、規制板の間隔に基づいて原稿トレイにセットされた原稿のサイズを検出し、検出したサイズで原稿の画像を読み取る。
【0004】
従来の画像読取装置に関する技術は、たとえば下記特許文献1〜3に開示されている。下記特許文献1は、原稿を積載するための積載台と、積載台に積載された原稿のサイズを識別するための第1の検知手段と、原稿を搬送中に原稿のサイズを識別するための第2の検知手段を有する搬送装置と、移動している原稿の画像情報を読み取ることが可能なスキャナーユニットを有する画像読取装置とを備えた画像形成装置を開示している。画像読取装置は、第1の検知手段および第2の検知手段によって得られる原稿サイズ情報を基にしてスキャナーユニットを移動し、移動した位置において原稿の画像情報を読み取る。
【0005】
下記特許文献2は、原稿台に載置された原稿の読み取りが、原稿サイズが指定されない状態で要求された場合において、プラテン原稿サイズ検知部により原稿サイズが検知されているときは、その検知サイズに応じた読取サイズでの読み取りを行う原稿読取装置を開示している。この原稿読取装置は、プラテン原稿サイズ検知部により原稿サイズが検知されていないときは、原稿サイズ指定要求画面を操作パネルにて表示させ、ユーザーによって指定された原稿サイズに応じた読取サイズでの読み取りを行う。
【0006】
下記特許文献3は、用紙サイズを設定可能な複数の用紙給紙段と、原稿サイズを検知する原稿サイズ検知手段と、原稿サイズと一致する用紙サイズが設定されている給紙段から給紙する自動用紙選択手段と、原稿サイズおよび用紙サイズに基づいて原稿の端面および用紙の端面を一致させるよう複写を行う複写手段とを備えた複写装置を開示している。この複写装置は、原稿サイズ検知手段で検知可能な原稿サイズを強制的に変更させるための異なる原稿サイズを、検知可能な原稿サイズに対応付けて予め設定可能な原稿サイズ設定変更手段と、原稿サイズ検知手段によって原稿サイズが検知されたとき、検知された原稿サイズに対応付けて設定されている異なる原稿サイズを参照し、原稿サイズを、検知されたサイズから異なる原稿サイズに変更する動作原稿サイズ変更手段とをさらに備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4261736号(特開2001−339548号公報)
【特許文献2】特開2001−320553号公報
【特許文献3】特許第3986699号(特開2000−103536号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の原稿読取装置では、実際の原稿のサイズとは異なるサイズで原稿を検出すること(原稿サイズの不一致)により、読み取りエラーが発生することがあった。その結果、画像読取装置の使い勝手が悪いという問題があった。
【0009】
原稿の画像の読み取りの実行指示をしようとするユーザーは、通常、原稿トレイの2つの規制板の間隔を用紙の幅よりも予め大きく広げた状態とし、原稿をセットした後で2つの規制板の間隔を用紙の幅に合わせて狭め、プリントを開始するプリントボタンを押下する。原稿の画像の読み取りを急いでいる場合、ユーザーは、原稿トレイに原稿をセットした後で、2つの規制板の間隔を狭める動作よりも早く(または2つの規制板の間隔を狭める動作と同時に)、プリントボタンを押下することがある。この場合、画像読取装置は、間隔が狭くなる前の規制板の間隔に基づいて原稿のサイズを検出し、実際の原稿のサイズよりも大きいサイズで原稿を検出することがあった。
【0010】
また、枚数の多い原稿が原稿トレイにセットされた場合に、1ページずつ原稿がADF内に搬送される際に、原稿トレイにセットされた原稿が、搬送される原稿から力を受け、原稿トレイ上に置ける原稿の位置がずれて規制板を外側へ動かす(規制板の間隔を広げる)ことがあった。この場合、画像読取装置は、間隔が広がった後の規制板の間隔に基づいて原稿のサイズを検出し、実際の原稿のサイズよりも大きいサイズで原稿を検出することがあった。
【0011】
上述のように、プリントボタンを押下するタイミングや、原稿のセット方法などによっては、正しい原稿サイズを検出していない状態で原稿の読み取りが行われ、その結果、実際の原稿サイズとのサイズ不一致により読み取りエラーなどが発生することがあった。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、使い勝手の良い画像読取装置、画像読取装置の制御方法、および画像読取装置の制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一の局面に従う画像読取装置は、配置台に配置された原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付ける受付手段と、受付手段にて指示を受け付ける前に、配置台に配置された原稿の幅を検出する第1の幅検出手段と、受付手段にて指示を受け付けた後で、配置台に配置された原稿の幅を検出する第2の幅検出手段と、第1の幅検出手段にて検出した原稿の幅からの、第2の幅検出手段にて検出した原稿の幅の変化を検出する幅変化検出手段と、幅変化検出手段にて幅の変化を検出した場合に、幅変化検出手段にて検出した幅の変化の状況に基づいて原稿のサイズを決定する決定手段と、決定手段にて決定したサイズの原稿の画像として、配置台から搬送された原稿の画像を読み取る画像読取手段とを備える。
【0014】
上記画像読取装置において好ましくは、幅変化検出手段にて幅の減少を検出した場合、決定手段は、第1の幅検出手段にて検出した幅に基づかず、第2の幅検出手段にて検出した幅に基づいて原稿のサイズを決定する。
【0015】
上記画像読取装置において好ましくは、幅変化検出手段にて幅の増加を検出した場合、決定手段は、第2の幅検出手段にて検出した幅に基づかず、第1の幅検出手段にて検出した幅に基づいて原稿のサイズを決定する。
【0016】
上記画像読取装置において好ましくは、第2の幅検出手段は、受付手段にて指示を受け付けてから所定時間経過後に、配置台に配置された原稿の幅を検出する。
【0017】
上記画像読取装置において好ましくは、原稿の搬送方向に沿って配置台に配置された複数のセンサーの各々における原稿の検出状態に基づいて、配置台に配置された原稿の長さを検出する第1の長さ検出手段をさらに備え、第2の幅検出手段は、複数のセンサーのうち少なくとも一つが原稿の後端を検出した場合に、配置台に配置された原稿の幅を検出する。
【0018】
上記画像読取装置において好ましくは、配置台から画像読取手段へ搬送されている原稿の長さを検出する第2の長さ検出手段をさらに備え、幅変化検出手段にて幅の増加を検出した場合、決定手段は、第2の長さ検出手段にて検出した長さにさらに基づいて原稿のサイズを決定する。
【0019】
上記画像読取装置において好ましくは、第2の長さ検出手段は、配置台から画像読取手段へ搬送されている原稿の通過を検出する検出センサーにおける原稿の検出状態に基づいて、原稿の長さを検出する。
【0020】
本発明の他の局面に従う画像読取装置の制御方法は、配置台に配置された原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付ける受付ステップと、受付ステップにて指示を受け付ける前に、配置台に配置された原稿の幅を検出する第1の幅検出ステップと、受付ステップにて指示を受け付けた後で、配置台に配置された原稿の幅を検出する第2の幅検出ステップと、第1の幅検出ステップにて検出した原稿の幅からの、第2の幅検出ステップにて検出した原稿の幅の変化を検出する幅変化検出ステップと、幅変化検出ステップにて幅の変化を検出した場合に、幅変化検出ステップにて検出した幅の変化の状況に基づいて原稿のサイズを決定する決定ステップと、決定ステップにて決定したサイズの原稿の画像として、配置台から搬送された原稿の画像を読み取る画像読取ステップとを備える。
【0021】
本発明のさらに他の局面に従う画像読取装置の制御プログラムは、配置台に配置された原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付ける受付ステップと、受付ステップにて指示を受け付ける前に、配置台に配置された原稿の幅を検出する第1の幅検出ステップと、受付ステップにて指示を受け付けた後で、配置台に配置された原稿の幅を検出する第2の幅検出ステップと、第1の幅検出ステップにて検出した原稿の幅からの、第2の幅検出ステップにて検出した原稿の幅の変化を検出する幅変化検出ステップと、幅変化検出ステップにて幅の変化を検出した場合に、幅変化検出ステップにて検出した幅の変化の状況に基づいて原稿のサイズを決定する決定ステップと、決定ステップにて決定したサイズの原稿の画像として、配置台から搬送された原稿の画像を読み取る画像読取ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、使い勝手の良い画像読取装置、画像読取装置の制御方法、および画像読取装置の制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の概観を示す図である。
【図2】画像形成装置1における画像読取装置の部分の構成を示す断面図である。
【図3】原稿トレイ100に原稿がセットされていない場合のアクチュエーター270a、270b、および270cの構成を示す断面図である。
【図4】原稿幅検出部280および通紙中原稿幅検出部290の構成を模式的に示す図である。
【図5】操作パネル400の構成の一例を示す図である。
【図6】操作パネル400のLCD410に表示される画面の一例を示す図である。
【図7】自動原稿送り装置200、画像読込み装置300、および操作パネル400の制御ブロック図である。
【図8】原稿トレイ100にセットされた原稿の状態の一例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置1の読取動作を示すフローチャートである。
【図10】図9のステップS1の処理のサブルーチンである。
【図11】図9のステップS2の処理のサブルーチンである。
【図12】原稿トレイ100にセットされた原稿の状態の他の例を示す図である。
【図13】図9のステップS2の処理のサブルーチンの変形例である。
【図14】図13のステップS137の処理のサブルーチンである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0025】
以下の実施の形態においては、画像読取装置が画像形成装置である場合について説明する。画像形成装置は、たとえば、スキャナー機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンターとしての機能、データ通信機能、およびサーバ機能を備えたMFPや、ファクシミリ装置、または複写機などを含む。画像読取装置は、原稿の画像を読み取り可能なものであればよく、画像形成装置の他、スキャナーなどであってもよい。
【0026】
[第1の実施の形態]
始めに、本実施の形態における画像形成装置の構成について説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の概観を示す図である。
【0028】
図1を参照して、本実施の形態における画像形成装置1は、MFPであり、自動原稿送り装置(ADF)200と、画像読込み装置300(画像読取手段の一例)と、操作パネル400とを主に備えている。画像形成装置1の上部には、原稿押えカバー150が開閉自在に設けられており、原稿押えカバー150からは原稿トレイ100(配置台の一例)が突出している。自動原稿送り装置200は、原稿押えカバー150に内蔵されている。画像読込み装置300は、原稿押えカバー150の下部に設けられている。操作パネル400は、原稿押えカバー150の下部であって、画像形成装置の前面に設けられている。
【0029】
図2は、画像形成装置1における画像読取装置の部分の構成を示す断面図である。図2〜図4において、矢印Aは、原稿の搬送方向(給紙方向)を示している。
【0030】
図2を参照して、自動原稿送り装置200は、原稿押えカバー150が閉じた状態で、原稿の画像を読み取る指示を操作パネル400が受け付けると、原稿トレイ100上に配置された原稿Dを搬送経路Rに沿って画像読込み装置300へ搬送し、排紙トレイ103へ排出する。画像読込み装置300は、自動原稿送り装置200によって搬送されてきた原稿の画像を読み取る。
【0031】
自動原稿送り装置200は、給紙ローラー201と、分離ローラー(分離部)202と、レジストローラー203と、読取前ローラー204と、読取後ローラー205と、排紙ローラー206と、分離後センサー220と、レジスト前センサー221と、読取前センサー222と、排紙センサー223とを含んでいる。
【0032】
給紙ローラー201、分離ローラー202、レジストローラー203、読取前ローラー204、読取後ローラー205、および排紙ローラー206は、原稿の搬送経路Rに沿って設けられている。原稿トレイ100に配置された原稿Dは、給紙ローラー201で給紙され、給紙された原稿は分離ローラー202でさばかれて1枚ずつレジストローラー203に搬送される。レジストローラー203へ搬送された原稿は、停止しているレジストローラー203にその先端が突き当てられる。原稿の先端がレジストローラー203に到達した後も、原稿は給紙ローラー201および分離ローラー202によって所定量搬送され、それにより原稿の斜行が補正される。斜行が補正された後、レジストローラー203によって搬送が開始され、原稿は読取位置305まで搬送され、その画像が読み取られる。読取位置305を通過後の原稿は、読取後ローラー205および排紙ローラー206によって搬送され、排紙トレイ103へ排出する。
【0033】
分離後センサー220は、分離ローラー202の下流側における原稿の通紙を検出することにより、原稿の重送を監視する。レジスト前センサー221はレジストローラー203の上流側における原稿の通紙を検出する。読取前センサー222は読取前ローラー204の上流側における原稿の通紙を検出する。排紙センサー223は排紙ローラー206の下流側における原稿の通紙を検出することにより、原稿の排出を監視する。
【0034】
画像読込み装置(スキャナー)300は、露光ユニット301と、ミラー群302と、レンズ303と、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ304と、画像処理部310とを含んでいる。露光ユニット301は、読取位置305を通過する原稿を露光する。原稿からの反射光は、ミラー群302およびレンズ303を通してCCDイメージセンサ304が受光する。画像処理部310は、CCDイメージセンサ304が受光した反射光に基づいて読み取った原稿の画像データを作成する。
【0035】
自動原稿送り装置200は、原稿トレイ100に配置された原稿の給紙方向に沿った長さ(以降、原稿の長さと呼ぶことがある)を検出する原稿長さ検出部270をさらに含んでいる。原稿長さ検出部270は、原稿トレイ100上に載置された原稿の長さを検出する3つのアクチュエーター270a、270b、および270cを含んでいる。アクチュエーター270a、270b、および270cの各々は、矢印Aで示す原稿の搬送方向に沿って、原稿トレイ100における原稿の幅方向の中央部に設けられている。アクチュエーター270aは、3つのアクチュエーターのうち給紙ローラー201に最も近い側に設けられている。アクチュエーター270bは、アクチュエーター270aとアクチュエーター270cとの間に設けられている。アクチュエーター270cは、3つのアクチュエーターのうち給紙ローラー201から最も離れた側に設けられている。
【0036】
原稿長さ検出部270は、アクチュエーター270a、207b、および270cの各々における原稿の検出状態に基づいて、原稿トレイ100に配置された原稿の長さを検出する。具体的には、アクチュエーター270aのみが押下され、アクチュエーター270aのセンサー出力がオンした場合には、原稿長さ検出部270は、短い原稿が原稿トレイ100にセットされたことを検出する。アクチュエーター270aおよび270bが押下され、アクチュエーター270aおよび270bのセンサー出力がオンした場合には、原稿長さ検出部270は、中程度の長さの原稿が原稿トレイ100にセットされたことを検出する。アクチュエーター270a、270b、および270cの全てが押下され、全てのアクチュエーター270a、270b、および270cのセンサー出力がオンした場合には、原稿長さ検出部270は、長い原稿が原稿トレイ100にセットされたことを検出する。原稿長さ検出部270は、少なくとも1つのアクチュエーターのセンサー出力がオンした場合に、原稿トレイ100に原稿がセットされたことを検出する。
【0037】
図3は、原稿トレイ100に原稿がセットされていない場合のアクチュエーター270a、270b、および270cの構成を示す断面図である。
【0038】
図3を参照して、原稿トレイ100に原稿がセットされていない場合は、全てのアクチュエーター270a、270b、および270cが原稿トレイ100上に突出し、全てのアクチュエーター270a、270b、および270cのセンサー出力がオフとなる。したがって、全てのアクチュエーター270a、207b、および270cのセンサー出力がオフの場合には、原稿長さ検出部270は、原稿トレイ100に原稿がセットされていないと判断する。
【0039】
図4は、原稿幅検出部280および通紙中原稿幅検出部290の構成を模式的に示す図である。
【0040】
図4を参照して、自動原稿送り装置200は、原稿トレイ100にセットされた原稿の、給紙方向に対して垂直な方向の長さ(以降、原稿の幅と呼ぶことがある)を検出する原稿幅検出部280をさらに含んでいる。原稿幅検出部280は、ガイド板(規制板)281aおよび281bと、ピニオン282と、ラック283aおよび283bとを含んでいる。
【0041】
ガイド板281aおよび281bは、原稿トレイ100における給紙側の両側部に設けられている。ガイド板281aおよび281bの各々は、原稿の幅方向の端面(側面)に当接することにより、原稿を原稿トレイ100上において位置決めする。ガイド板281aおよび281bの各々は、矢印Aで示す原稿の給紙方向に沿って直線状の平面形状で構成されている。ガイド板281aおよび281bの各々は、原稿の幅方向に沿って延在するラック283aおよび283bのそれぞれの端部に取り付けられている。ラック283aおよび283bは、原稿の給紙方向に所定の間隔を空けて、互いに平行に延在している。ピニオン282は、原稿トレイ100における幅方向の中央部に設けられており、ラック283aおよびラック283bと噛み合っている。
【0042】
ユーザーは、原稿トレイ100に原稿をセットする際、ガイド板281aとガイド板281bとの間隔を広げて、これらの間に原稿を載置する。そしてユーザーは、たとえばガイド板281aをスライドさせて原稿の図4中左側の端面に当接させる。これによって、ガイド板281aに取り付けられたラック283aがガイド板281aと同じ方向にスライドしてピニオン282が回転する。ピニオン282の回転によって、ラック283bは、ラック283aのスライド方向とは反対方向にスライドし、ガイド板281bが、原稿の図4中右側の端面に当接する。その結果、原稿は、その両端面がガイド板281aおよび281bによって位置決めされる。原稿幅検出部280は、原稿の幅方向を規制するガイド板281aおよび281bの位置により原稿の幅を検出する。
【0043】
したがって画像形成装置1は、原稿長さ検出部270の検出結果と、原稿幅検出部280の検出結果とから、原稿トレイ100に配置された原稿のサイズを判定することが可能である。
【0044】
自動原稿送り装置200は、原稿トレイ100から給紙された原稿(通紙中の原稿)の幅を検出する通紙中原稿幅検出部290をさらに含んでいる。通紙中原稿幅検出部290は、給紙された原稿を検出する複数のセンサー290a、290b、290c、および290dを含んでいる。複数のセンサー290a、290b、290c、および290dの各々は、たとえば分離ローラー202の下流側において、ガイド板281bの端部に対応する位置の付近に設けられており、原稿の幅方向に沿って並んでいる。
【0045】
幅の異なる複数の原稿を通紙する場合、給紙される原稿の各々は、たとえば図4中左側のガイド板281aに位置合わせされた状態で、搬送経路R内へ搬送される。搬送される原稿の幅に応じてセンサー290a、290b、290c、および290dの各々のオンオフ状態は変化する。通紙中原稿幅検出部290は、ガイド板281aの端面位置(トレイ上の最大幅サイズ)と、センサー290a、290b、290c、および290dの各々の出力とに基づいて、通紙中の原稿の幅を検出する。
【0046】
自動原稿送り装置200は、さらに、搬送経路R内に配置されたセンサー(たとえば読取前センサー222)を利用して通紙中の原稿の長さを検出することが可能である。自動原稿送り装置200は、たとえば読取前センサー222が原稿を検出した時間に基づいて原稿の長さを検出する。
【0047】
したがって画像形成装置1は、通紙中原稿幅検出部290の検出結果と、読取前センサー222の検出結果とから、通紙中の原稿のサイズを判定することが可能である。
【0048】
図5は、操作パネル400の構成の一例を示す図である。
【0049】
図5を参照して、操作パネル400は、タッチパネル付のLCD(Liquid Crystal Display)410と、各種キー群とを含んでいる。各種キー群は、原稿トレイ100に配置された原稿の読込み動作(読み取り動作)の開始の指示を受け付けるスタートキー401と、原稿の読み込み動作を停止するストップキー402と、画像形成装置1(機械)の設定モードをすべて初期モードにするパネルリセットキー403と、割り込みモードをセット(通常時)または解除(割り込みモード時)する割り込みキー404と、数値入力した値の初期化を行うクリアキー405と、各種数値の入力をするテンキー406と、トータルチェックモード(各種カウンタを表示するモード)や、ユーザー設定モード(ユーザーの好みに応じて機械の各種設定を変更するモード)や、管理者モード(特定のユーザーのみに許可された更に詳細な機械の設定を行うモード)などの特殊モードに入る画面に遷移するユーティリティキー407と、設定されている各モードを一覧表示する設定確認キー408と、LCD410の画面の拡大表示と通常表示を切り替える拡大表示キー409と、画像形成装置1の(機械)の電源オンオフを行なう電源スイッチ411とを含んでいる。
【0050】
図6は、操作パネル400のLCD410に表示される画面の一例を示す図である。
【0051】
図6を参照して、原稿トレイ100上に原稿が載置された場合、LCD410には、原稿をカラー読み取りするかモノクロ読み取りするかを設定するボタンDP1と、原稿の種類(文字原稿、写真原稿、文字写真混在原稿)を設定するボタンDP2と、原稿の読取倍率を設定するボタンDP3と、2枚の原稿を1面分の画像として読込むためのボタンDP4とが表示される。ボタンDP1〜DP4の上部には、原稿トレイ100にセットされている原稿のサイズを表す表示DP5と、読み取った原稿画像を蓄積する画像メモリ(図示無し)の残量を表す表示DP6とが表示される。
【0052】
図6の画面では、原稿をカラー読み取りするかモノクロ読み取りするかの設定として、原稿がカラーかモノクロかを自動的に判別するモードが設定されている。原稿の種類として、文字写真混載モードが設定されている。原稿の読取倍率として、1.000倍が設定されている。2枚の原稿を1面分の画面として読込む設定(2in1)が有効になっている。原稿トレイ100にセットされている原稿がA4サイズであることが表示されている。さらに、画像メモリの残量が100%であることが表示されている。
【0053】
図7は、自動原稿送り装置200、画像読込み装置300、および操作パネル400の制御ブロック図である。
【0054】
図7を参照して、自動原稿送り装置200を制御するCPU251、画像読込み装置300を制御するCPU351、操作パネル(操作パネルユニット)400を制御するCPU451の各々は、互いに通信可能なように接続されている。CPU251、CPU351、およびCPU451の各々は、相互の通信を通じて、自動原稿送り装置200、画像読込み装置300、および操作パネル400の間で各種の制御情報をやりとりする。
【0055】
自動原稿送り装置200は、CPU251と、モーター駆動IC(Integrated Circuit)252と、駆動パルスモーター253と、ガイド位置検出部材254(第1および第2の幅検出手段の一例)と、原稿トレイ上長さ検出部材255(第1の長さ検出手段の一例)と、主走査方向サイズ検出部材256と、副走査方向サイズ検出部材257(第2の長さ検出手段の一例)とを含んでいる。CPU251は、自動原稿送り装置200全体を制御し、指示された動作モードに従い原稿搬送動作を行う。CPU251には、駆動パルスモーター253およびそれを駆動するモーター駆動IC252が接続されている。駆動パルスモーター253は、CPU251によってφ0〜φ2の励磁信号を入力されることで駆動される。上述の原稿の読取倍率に応じて原稿搬送速度を可変する場合、CPU251はこの励磁信号の周波数を、設定された原稿の読取倍率に応じた周波数にする。またCPU251には、ガイド位置検出部材254と、原稿トレイ上長さ検出部材255と、主走査方向サイズ検出部材256と、副走査方向サイズ検出部材257との各々が接続されている。ガイド位置検出部材254は、原稿幅検出部280と接続されており、ガイド板281aおよび281b(原稿規制板)の位置を検出する。原稿トレイ上長さ検出部材255は、原稿長さ検出部270と接続されており、原稿トレイ100上の原稿の長さを検出する。主走査方向サイズ検出部材256は、通紙中原稿幅検出部290に接続されており、給紙された原稿(通紙中の原稿)の幅(主走査方向の長さ)を検出する。副走査方向サイズ検出部材257は、たとえば読取前センサー222(検出センサーの一例)における原稿の検出状態に基づいて、通紙中の原稿の長さを検出する。副走査方向サイズ検出部材257は、読取前センサー222以外のセンサーであって、原稿トレイ100から画像読込み装置300へ搬送されている原稿の通過を検出するセンサーにおける原稿の検出状態に基づいて、通紙中の原稿の長さを検出してもよい。
【0056】
画像読込み装置300は、CPU351と、モーター駆動IC352および353と、駆動パルスモーター354および355と、画像処理部310とを含んでいる。CPU351は、画像読込み装置300全体を制御する。CPU351には、駆動パルスモーター354およびそれを駆動するモーター駆動IC352が接続されている。駆動パルスモーター354は、露光ユニット301、ミラー群302を含む読取スライダーユニットを読み取り位置へ移動させるよう駆動する。モーター駆動IC352は駆動パルスモーター354を制御する。同様に、駆動パルスモーター355は、レンズ303を移動させる。モーター駆動IC353は駆動パルスモーター355を制御する。またCPU351は、画像処理部310と接続されており、画像処理部310への各種設定や、画像処理部310からの画像データ取得などを行う。
【0057】
操作パネル400は、操作パネル400全体を制御するCPU451と、タッチパネルを含んだLCD(液晶ディスプレイユニット)410と、その他の操作キー452とを含んでいる。
【0058】
続いて、本実施の形態における画像形成装置1の読取動作について説明する。
【0059】
画像形成装置1は、原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付ける前(以降、スタート前と呼ぶことがある)に、ガイド位置検出部材254にて検出した原稿の幅からの、原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付けた後(以降、スタート後と呼ぶことがある)で、ガイド位置検出部材254にて検出した原稿の幅の変化を検出する。画像形成装置1は、幅の変化を検出した場合に、幅の変化の状況に基づいて原稿のサイズを決定する。
【0060】
図8は、原稿トレイ100にセットされた原稿の状態の一例を示す図である。
【0061】
図8を参照して、ユーザーが画像形成装置1を用いて原稿の画像の読み取りを行う場合に、以下の方法で原稿をセットすることがある。ユーザーは、(a)に示すように、ガイド板281aおよび281bの幅(間隔)W1を実際の原稿の幅Wよりも広げた状態(W1>Wの状態)で原稿Dをセットする。原稿は幅Wおよび長さLを有している。次にユーザーは、スタートキー401を押下して原稿Dの画像の読み取りの実行指示を行ってから、矢印C1で示すように、ガイド板281aおよび281bの幅W1を実際の原稿の幅Wまで狭める。(b)は、ガイド板281aおよび281bの幅W1が原稿の幅に合わせられた状態(W1=Wの状態)を示している。
【0062】
原稿トレイ100に原稿Dがセットされると、原稿Dが原稿長さ検出部270(原稿検知センサー)により検出され、ガイド位置検出部材254による検出結果と、原稿トレイ上長さ検出部材255による検出結果とから、原稿Dのサイズが検出される。ユーザーが上述の方法で原稿をセットする場合、(a)の状態では、ガイド板281aおよび281bの幅W1が原稿の幅Wよりも広いため、ガイド位置検出部材254は原稿Dの幅を正確に検出することはできない。一方、(b)の状態では、ガイド板281aおよび281bの幅W1が原稿の幅Wに合わせられているため、ガイド位置検出部材254は原稿Dの幅を正確に検出することができる。
【0063】
したがって、スタート後にガイド位置検出部材254が検出した原稿Dの幅が、スタート前にガイド位置検出部材254で検出した原稿Dの幅よりも減少した場合、画像形成装置1は、スタート前にガイド位置検出部材254が検出した原稿Dの幅に基づかず、スタート後にガイド位置検出部材254が検出した原稿Dの幅に基づいて、原稿Dのサイズを決定する。
【0064】
上記の例示とは別に、ユーザーが画像形成装置1を用いて原稿の画像の読み取りを行う場合に、(b)に示すように、ガイド板281aおよび281bの幅W1を原稿Dの幅に合わせた状態(W1=Wの状態)で原稿の画像の読み取りの実行指示を行った場合でも、その後、(a)に示すように、幅W1が実際の原稿Dの幅Wよりも広がった状態(W1>Wの状態)となることがある。たとえば、自動原稿送り装置200によって原稿Dが給紙される際にスキューが発生した場合には、スキューが発生した原稿Dの側面(端面)により押圧されて、ガイド板281aおよび281は幅W1が広がる方向へ移動する。
【0065】
したがって、スタート後にガイド位置検出部材254が検出した原稿Dの幅が、スタート前にガイド位置検出部材254で検出した原稿Dの幅よりも増加した場合、画像形成装置1は、スタート後にガイド位置検出部材254が検出した原稿Dの幅に基づかず、スタート前にガイド位置検出部材254が検出した原稿Dの幅に基づいて、原稿Dのサイズを決定する。
【0066】
図9は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置1の読取動作を示すフローチャートである。
【0067】
図9を参照して、自動原稿送り装置200のCPU251は、原稿トレイ100に原稿がセットされたことを原稿長さ検出部270にて検出すると、ガイド位置検出部材254および原稿トレイ上長さ検出部材255(またはガイド位置検出部材254のみ)によって、原稿のサイズを検出する(S1)。続いてCPU251は、スタート前後でのガイド位置検出部材254が検出した原稿の幅の変化の状況に基づいて、原稿のサイズを決定する(S2)。次に画像読込み装置300のCPU351は、決定したサイズの原稿の画像として、原稿トレイ100から自動原稿送り装置200によって搬送された原稿の画像を画像読込み装置300で読み取り(S3)、処理を終了する。
【0068】
図10は、図9のステップS1の処理のサブルーチンである。
【0069】
図10を参照して、図9のステップS1の処理において、CPU251は、原稿トレイ上長さ検出部材255を用いて、原稿トレイ100に原稿がセットされたか否かを判別する(S101)。ステップS101において、原稿がセットされたと判別した場合(S101でYES)、CPU251は、ガイド位置検出部材254および原稿トレイ上長さ検出部材255によって、原稿トレイ100にセットされた原稿のサイズを検出する(S102)。
【0070】
ステップS102における原稿のサイズの検出は、ガイド板281aおよび281bの位置情報と、アクチュエーター270a、270b、および270cのセンサーのオンオフ情報との組み合わせに基づいて行われる。原稿はユーザーによってセットされるため、上述の位置情報およびオンオフ情報を用いて、ガイド位置検出部材254および原稿トレイ上長さ検出部材255がリアルタイムでサイズを検出する場合には、検出したサイズが頻繁に変化するおそれがある。操作パネル400の表示DP5(図6)には通常、検出したサイズが表示されるため、操作パネル400に表示されるサイズが頻繁に変化する事態は、ユーザーにとって煩わしい。一方、上述の位置情報およびオンオフ情報が完全に変化しなくなった後で、ガイド位置検出部材254および原稿トレイ上長さ検出部材255がサイズを検出する場合には、原稿をセットしたにもかかわらず操作パネル400には検出したサイズが表示されないため、ユーザーに違和感を与えるおそれがある。そこでS102の処理においては、上述の位置情報およびオンオフ情報が所定時間変化しなかった場合に、サイズが検出されることが好ましい。
【0071】
次にCPU251は、原稿のサイズの検出が完了したか否かを判別する(S103)。ステップS103において、原稿のサイズの検出が完了したと判別した場合(S103でYES)、CPU251は、ガイド位置検出部材254および原稿トレイ上長さ検出部材255が検出した原稿のサイズを、通信によって画像読込み装置300や操作パネル400に通知する(S105)。次にCPU251は、操作パネル400を通じて読み取りの実行開始の指示を受け付けたか否かを判別する(S107)。
【0072】
ステップS107において、指示を受け付けないと判別した場合(S107でNO)、操作パネル400からの読み取りの実行開始の指示を受け付けるまでは、CPU251は、ステップS102からステップS107の処理を繰り返し、最新の情報からサイズが検出される。これにより、図8(a)に示すような原稿のセットをユーザーが行った場合にも、サイズを正確に検出することができる。
【0073】
一方で、上述の位置情報およびオンオフ情報が所定時間変化しなかった場合に原稿のサイズを検出するときは、ガイド板281aおよび281bの幅W1を原稿の幅Wに合わせてすぐに原稿の画像の読み取りの実行指示がされると、原稿のサイズが正しく判定できないことがある。このような場合にサイズの誤検出を防止するために、以下の処理が実行される。
【0074】
ステップS107において、指示を受け付けたと判別した場合(S107でYES)、CPU251は、タイマーに時間をセットして、原稿サイズの変化を再検出するまでの時間の計測を開始し(S109)、リターンする。ステップS109においてタイマーにセットする時間は、原稿トレイ上長さ検出部材255が検出可能な定型原稿の中で、最も長さ方向の値が小さい定型原稿が原稿トレイ100から給紙される場合に、その定型原稿における後端(原稿の搬送方向に沿った最も下流側の端部)の位置が、直近のアクチュエーター270a(長さセンサー)を通過するまでの時間であることが好ましい。つまり、原稿の読み取りの実行開始の指示を受け付けてからアクチュエーター270aのセンサーの状態が変化する前までの時間がタイマーに設定されることが好ましい。
【0075】
図11は、図9のステップS2の処理のサブルーチンである。
【0076】
図11を参照して、図9のステップS2の処理において、CPU251は、図10のステップS109においてタイマーによる時間の計測が完了したか否かを判別する(S131)。ステップS131において、時間の計測が完了したと判別した場合(S131でYES)、CPU251は、ガイド板281aおよび281bのその時の位置情報に基づいて、ガイド位置検出部材254によって、原稿トレイ100にセットされた原稿の幅を再検出する(S133)。ステップS133において、CPU251は、操作パネル400を通じて読み取りの実行開始の指示を受け付けてから所定時間経過後に、原稿の幅を再検出する。次にCPU251は、再検出した原稿の幅が、原稿の読み取りの実行開始の指示を受ける前に検出した(図10のステップS102において検出した)原稿の幅から変化したか否かを判別する(S135)。
【0077】
ステップS135において、原稿の幅が変化したと判別した場合(S135でYES)、原稿の幅の変化は大サイズから小サイズへの変化であったか否かを判別する(S137)。ステップS137において、大サイズから小サイズへの変化であったと判別した場合(S137でYES)、再検出した幅(スタート後に検出した幅)に基づく原稿のサイズを、画像読込み装置300や操作パネル400に通知し(S139)、リターンする。図8(a)に示す状態で原稿の画像の読み取りの実行指示が行われ、その後に図8(b)に示す状態に変わった場合などに、この処理により原稿の幅を正しく検出することができる。
【0078】
ステップS135において、原稿の幅が変化しないと判別した場合(S135でNO)、またはステップS137において、原稿の幅の変化は小サイズから大サイズへの変化であったと判別した場合(S137でNO)、CPU251は、最初に検出した幅(スタート前に検出した幅)に基づく原稿のサイズを、画像読込み装置300や操作パネル400に通知し(S141)、リターンする。図8(b)に示す状態で原稿の画像の読み取りの実行指示が行われ、その後原稿にスキューが発生することにより図8(a)に示す状態に変わった場合などに、この処理により原稿の幅を正しく検出することができる。
【0079】
なお、画像形成装置1の上述の動作においては、タイマーによる時間の計測が完了した時に原稿の幅を再検出する場合について説明したが、原稿の幅の再検出は、読み取りの実行開始の指示を受け付けた後の任意のタイミングで行われればよい。たとえば、アクチュエーター270a、270b、および270cのセンサーのうち一つが原稿の後端を検出した場合に、原稿の幅の再検出が行われてもよい。
【0080】
[第2の実施の形態]
本実施の形態においては、図9のステップS2の処理の変形例について説明する。
【0081】
図12は、原稿トレイ100にセットされた原稿の状態の他の例を示す図である。
【0082】
図12を参照して、ユーザーが画像形成装置を用いて原稿の画像の読み取りを行う場合に、以下の方法で原稿をセットすることがある。ユーザーは、(a)に示すように、原稿トレイ100に原稿Dをセットし、ガイド板281aおよび281bの幅W1を強い力で狭めてから、原稿Dの画像の読み取りの実行指示を行う。原稿Dは、たとえば薄紙などのたわみやすい材質よりなっている。すると、ガイド板281aおよび281bからの押圧力により原稿Dがたわみ、ガイド板281aおよび281bの幅W1が実際の原稿Dの幅Wよりも狭い状態(W1<Wの状態)となる。その結果、実際の原稿の幅Wに対応した位置までガイド板281aおよび281bが戻らない状態で原稿Dが給紙される。原稿Dの給紙が開始すると、原稿Dからガイド板281aおよび281bが受ける力により、(b)に示すように、幅W1がわずかに広がる。しかし、幅W1は幅Wとは異なる状態(W1≠Wの状態)となる。その結果、スタート前後の各々でガイド位置検出部材254が検出した原稿Dの幅は、いずれも実際の原稿のWとは異なる。
【0083】
本実施の形態の画像形成装置1は、上述の場合にサイズの誤検出を防止するために、ガイド位置検出部材254による原稿の幅の検出結果が小サイズから大サイズに変化した場合に、副走査方向サイズ検出部材257によって通紙中の原稿(実際に搬送している原稿)の長さを検出し、その検出結果にさらに基づいて原稿Dのサイズを検出する。
【0084】
原稿が定型のサイズである場合(定型原稿である場合)、原稿の長さおよび幅のうち少なくとも一方が分かれば、原稿のサイズを検出することができる。したがって、検出した原稿の長さに対応するサイズとして、副走査方向サイズ検出部材258は原稿のサイズを検出することができる。原稿のサイズの検出精度を高めるために、画像形成装置1は、さらに主走査方向サイズ検出部材256による通紙中の原稿の幅の検出結果に基づいて、原稿Dのサイズを検出してもよい。
【0085】
副走査方向サイズ検出部材257による原稿の長さの検出結果に基づいて原稿Dのサイズを検出する場合、画像読込み装置300が原稿の画像の読み取りを開始するまでに原稿のサイズが決定しない場合があり得る。このため、原稿読込み装置300は、副走査方向サイズ検出部材257が検出し得る最大の幅に対応するサイズの原稿の領域で読み取りを実施し、原稿のサイズが決定した後で、決定した原稿のサイズに応じた領域の画像のみを採用してもよい。
【0086】
図13は、図9のステップS2の処理のサブルーチンの変形例である。
【0087】
図13を参照して、この処理は、ステップS137において、原稿の幅の変化は小サイズから大サイズへの変化であったと判別した場合(S137でNO)に、ステップS145の処理を行う点において、図11に示す第1の実施の形態における処理とは異なっている。
【0088】
ステップS145において、CPU251は、原稿のサイズを検知するモードを、原稿トレイ100にセットされた原稿の幅を検出するモードから通紙中の原稿の長さを検出するモード(通紙方向長さ検出モード)へ切り替え(S145)、リターンする。
【0089】
図14は、図13のステップS137の処理のサブルーチンである。
【0090】
図14を参照して、ステップS137の処理において、CPU251は、読取前センサー222がオンしたか(読取前センサー222に原稿が到達したか)否かを判別する(S151)。ステップS151において、読取前センサー222がオンしたと判別した場合(S151でYES)、CPU251は、副走査方向サイズ検出部材257にて通紙中の原稿の長さ(通紙方向長さ)を検出する(S153)。
【0091】
ステップS153において、副走査方向サイズ検出部材257は、たとえば自動原稿送り装置200内の各ローラーを駆動する駆動パルスモーター253(搬送モーター)に入力されるパルスをカウントする。駆動パルスモーター253では、入力される1パルスあたり搬送される原稿の距離が予め決まっているため、副走査方向サイズ検出部材257は、カウントしたパルス数から原稿の長さを検出することができる。
【0092】
続いてCPU251は、読取前センサー222がオフしたか(読取前センサー222から原稿が離れたか)否かを判別する(S155)。ステップS155において、読取前センサー222がオフしたと判別した場合(S155でYES)、副走査方向サイズ検出部材257は、カウント値に基づいて通紙中の原稿の長さを検出する。CPU251は、副走査方向サイズ検出部材257が検出した通紙中の原稿の長さ(通紙方向長さ)と、原稿の画像の読み取りの実行指示を受け付けた前後でガイド位置検出部材254が検出した原稿の幅(規制板位置情報)と、原稿の画像の読み取りの実行指示を受け付ける前に原稿トレイ上長さ検出部材255が検出した原稿の長さ(トレイ上センサー情報)とに基づいて、原稿サイズを検出する(S157)。ステップS157においてCPU251は、最も適切な定型原稿のサイズを特定する。その後、CPU251は、検出した原稿のサイズを画像読込み装置300や操作パネル400に通知し(S159)、リターンする。
【0093】
[実施の形態の効果]
上述の実施の形態の画像形成装置1によれば、原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付けた前後の原稿の幅の変化の状況に基づいて原稿のサイズを決定するので、実際のサイズではない誤ったサイズでの原稿の読み込みを回避することができる。その結果、ユーザーに煩わしさを感じさせず、使い勝手のよい画像形成装置1を提供することができる。
【0094】
また、原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付けた前後で、原稿の幅の減少を検出した場合に、原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付けた後に検出した幅に基づいて原稿のサイズを決定することにより、原稿の画像の読み取りの開始の指示を受けた後にガイド板の幅が原稿の幅に合わせられた場合にも、原稿のサイズを正確に検出することができる。
【0095】
また、原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付けた前後で、原稿の幅の増加を検出した場合に、原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付ける前に検出した幅に基づいて原稿のサイズを決定することにより、原稿が給紙される際にスキューが発生した場合にも、原稿のサイズを正確に検出することができる。
【0096】
さらに、原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付けた前後で、原稿の幅の増加を検出した場合に、画像読取装置へ搬送されている原稿の長さを検出し、検出した長さにさらに基づいて原稿のサイズを決定することで、原稿が薄紙などよりなる場合にも、原稿のサイズを正確に検出することができる。
【0097】
[その他]
上述の実施の形態は適宜組み合わせることができる。たとえば、操作パネル400において原稿の種類(または材質)として薄紙が選択された場合には、第2の実施の形態の処理を実行し、それ以外の原稿の種類が選択された場合には、第1の実施の形態の処理を実行してもよい。このように、検知した原稿の幅が変化した場合に、原稿の種類によって処理を切り替えることで、原稿のサイズの検出をより適切に行うことができる。
【0098】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行なっても、ハードウェア回路を用いて行なってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピュータにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0099】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0100】
1 画像形成装置
100 原稿トレイ
103 排紙トレイ
150 原稿押えカバー
200 自動原稿送り装置
201 給紙ローラー
202 分離ローラー
203 レジストローラー
204 読取前ローラー
205 読取後ローラー
206 排紙ローラー
220 分離後センサー
221 レジスト前センサー
222 読取前センサー
223 排紙センサー
251,351,451 CPU
252,352,353 モーター駆動IC
253,354,355 駆動パルスモーター
254 ガイド位置検出部材
255 原稿トレイ上長さ検出部材
256 主走査方向サイズ検出部材
257 副走査方向サイズ検出部材
270 原稿長さ検出部
270a,270b,270c アクチュエーター
280 原稿幅検出部
281a,281b ガイド板
282 ピニオン
283a,283b ラック
290 通紙中原稿幅検出部
290a,290b,290c,290d センサー
300 画像読込み装置
301 露光ユニット
302 ミラー群
303 レンズ
304 イメージセンサ
305 読取位置
310 画像処理部
400 操作パネル
401 スタートキー
402 ストップキー
403 パネルリセットキー
404 割り込みキー
405 クリアキー
406 テンキー
407 ユーティリティキー
408 設定確認キー
409 拡大表示キー
410 LCD
411 電源スイッチ
452 操作キー
D 原稿
DP1〜DP4 ボタン
DP5,DP6 表示
L 原稿の長さ
R 搬送経路
W 原稿の幅
W1 ガイド板の幅(間隔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配置台に配置された原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付ける受付手段と、
前記受付手段にて指示を受け付ける前に、前記配置台に配置された原稿の幅を検出する第1の幅検出手段と、
前記受付手段にて指示を受け付けた後で、前記配置台に配置された原稿の幅を検出する第2の幅検出手段と、
前記第1の幅検出手段にて検出した原稿の幅からの、前記第2の幅検出手段にて検出した原稿の幅の変化を検出する幅変化検出手段と、
前記幅変化検出手段にて幅の変化を検出した場合に、前記幅変化検出手段にて検出した幅の変化の状況に基づいて原稿のサイズを決定する決定手段と、
前記決定手段にて決定したサイズの原稿の画像として、前記配置台から搬送された原稿の画像を読み取る画像読取手段とを備えた、画像読取装置。
【請求項2】
前記幅変化検出手段にて幅の減少を検出した場合、前記決定手段は、前記第1の幅検出手段にて検出した幅に基づかず、前記第2の幅検出手段にて検出した幅に基づいて原稿のサイズを決定する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記幅変化検出手段にて幅の増加を検出した場合、前記決定手段は、前記第2の幅検出手段にて検出した幅に基づかず、前記第1の幅検出手段にて検出した幅に基づいて原稿のサイズを決定する、請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第2の幅検出手段は、前記受付手段にて指示を受け付けてから所定時間経過後に、前記配置台に配置された原稿の幅を検出する、請求項1〜3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項5】
原稿の搬送方向に沿って前記配置台に配置された複数のセンサーの各々における原稿の検出状態に基づいて、前記配置台に配置された原稿の長さを検出する第1の長さ検出手段をさらに備え、
前記第2の幅検出手段は、前記複数のセンサーのうち少なくとも一つが原稿の後端を検出した場合に、前記配置台に配置された原稿の幅を検出する、請求項1〜3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記配置台から前記画像読取手段へ搬送されている原稿の長さを検出する第2の長さ検出手段をさらに備え、
前記幅変化検出手段にて幅の増加を検出した場合、前記決定手段は、前記第2の長さ検出手段にて検出した長さにさらに基づいて原稿のサイズを決定する、請求項1〜5のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記第2の長さ検出手段は、前記配置台から前記画像読取手段へ搬送されている原稿の通過を検出する検出センサーにおける原稿の検出状態に基づいて、原稿の長さを検出する、請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
配置台に配置された原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにて指示を受け付ける前に、前記配置台に配置された原稿の幅を検出する第1の幅検出ステップと、
前記受付ステップにて指示を受け付けた後で、前記配置台に配置された原稿の幅を検出する第2の幅検出ステップと、
前記第1の幅検出ステップにて検出した原稿の幅からの、前記第2の幅検出ステップにて検出した原稿の幅の変化を検出する幅変化検出ステップと、
前記幅変化検出ステップにて幅の変化を検出した場合に、前記幅変化検出ステップにて検出した幅の変化の状況に基づいて原稿のサイズを決定する決定ステップと、
前記決定ステップにて決定したサイズの原稿の画像として、前記配置台から搬送された原稿の画像を読み取る画像読取ステップとを備えた、画像読取装置の制御方法。
【請求項9】
配置台に配置された原稿の画像の読み取りの開始の指示を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにて指示を受け付ける前に、前記配置台に配置された原稿の幅を検出する第1の幅検出ステップと、
前記受付ステップにて指示を受け付けた後で、前記配置台に配置された原稿の幅を検出する第2の幅検出ステップと、
前記第1の幅検出ステップにて検出した原稿の幅からの、前記第2の幅検出ステップにて検出した原稿の幅の変化を検出する幅変化検出ステップと、
前記幅変化検出ステップにて幅の変化を検出した場合に、前記幅変化検出ステップにて検出した幅の変化の状況に基づいて原稿のサイズを決定する決定ステップと、
前記決定ステップにて決定したサイズの原稿の画像として、前記配置台から搬送された原稿の画像を読み取る画像読取ステップとをコンピュータに実行させる、画像読取装置の制御プログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図1】
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【図8】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−31115(P2013−31115A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167388(P2011−167388)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】