説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】読取信号の異常を確実に検出可能な画像読取装置および画像形成装置を提供すること。
【解決手段】コンタクトガラス上の原稿画像を読み取り画像データを取得する読取制御部104と、画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部108と、取得した画像データに対して画像処理部108による画像処理を実施する区間を決めるための読取信号を生成する信号生成部109と、正常動作時の読取信号の波形情報を管理信号として保持し、当該管理信号と信号生成部109が生成した読取信号とを比較し、その比較結果に基づいて読取信号の異常を検出する信号管理部110と、信号管理部110による検出結果に基づいて画像処理の続行の可否を制御する読取制御部104と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、スキャナ、プリンタ、またはこれらの機能を持つ複合機等の各装置が備える画像読取装置において異常が発生した場合、各装置では、異常箇所や異常原因を自装置に表示する処理やネットワークで接続された端末へ通知する処理が一般的に行われている。たとえば、特許文献1および特許文献2では、装置の各部を制御する制御部が、装置各部の状態を読み取り、異常が検出された場合にその異常を通知する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記に示されるような従来の技術にあっては、発生した異常を正確に検出することができない、という問題があった。たとえば、従来の画像読取装置は、自装置で生成する読取信号(読み取った画像データから画像処理を実施する区間を決めるための信号)の状態を監視しているわけではないため、読取信号に異常が発生していてもその異常を検出することができない場合がある。この場合の一例として、読取信号が生成または出力されない異常を検出することができない場合、読み取った画像データの処理を行う画像処理部では、画像処理を開始することができず、画像処理の実行指示を待ち続ける状態になる、と考えられる。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、読取信号の異常を確実に検出可能な画像読取装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、コンタクトガラス上の原稿画像を読み取り画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、前記取得した画像データに対して前記画像処理手段による画像処理を実施する区間を決めるための読取信号を生成する信号生成手段と、正常動作時の読取信号の波形情報を管理信号として保持し、当該管理信号と前記信号生成手段が生成した読取信号とを比較し、その比較結果に基づいて読取信号の異常を検出する信号管理手段と、前記信号管理手段による検出結果に基づいて画像処理の続行の可否を制御する読取制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、正常読取動作時の読取信号の波形情報を管理信号として保持し、この管理信号と現在の読取信号を比較し、その比較結果に基づいて読取信号に異常が発生したかどうかを判断する構成としたので、読取信号の異常を確実に検出できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、この実施の形態にかかるシートスルー型の画像読取装置を用いた複合機の構成例を示す説明図である。
【図2】図2は、この実施の形態にかかる画像読取装置の操作パネルの構成例を示す説明図である。
【図3】図3は、この実施の形態にかかるフラットベット型の画像読取装置を用いた複合機の構成例を示す説明図である。
【図4】図4は、この実施の形態にかかる画像読取装置のシステムの構成例を示すブロック図である。
【図5】図5は、圧板読取モードにおける動作を示すタイムチャートである。
【図6】図6は、シートスルーDF読取モードにおける動作を示すタイムチャートである。
【図7】図7は、フラットベッドDF読取モードにおける動作を示すタイムチャートである。
【図8】図8は、この実施の形態にかかる画像読取装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像読取装置および画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
【0009】
図1は、本発明にかかるシートスルー型の画像読取装置を備える複合機の構成例を示す説明図である。この複合機は、画像読取装置1と、シートスルーDF2と、を備える。一例として、複写機,スキャナ等の機能を有する複合機とするが、これに限定するものではなく、複写機やスキャナ等であってもよい。
【0010】
画像読取装置1は、圧板読取用コンタクトガラス10と、露光ランプ11と、第1ミラー12と、キャリッジ13と、第2ミラー第3ミラー14と、ステッピングモータによる駆動モータ15と、レンズ16と、CCD(charge coupled device;電荷結合素子)17と、シートスルーDF用コンタクトガラス18と、を備える。
【0011】
シートスルーDF2は、シートスルー原稿台20と、シートスルー給紙ローラ21と、ガイドローラ22と、排紙ローラ23と、原稿回収台24と、を備える。
【0012】
画像読取装置1において、圧板読取用コンタクトガラス10は、装置上部に備える原稿を置く場所である。露光ランプ11と第1ミラー12はキャリッジ13に固定されている。キャリッジ13と第2ミラー第3ミラー14は、駆動モータ15によって、圧板読取用コンタクトガラス10に沿って平行移動して光学走査しながら原稿画像を照射して得られる反射光をCCD17に導く。CCD17は、レンズ16を介して結像される原稿画像を読み取り、画像データに光電変換する。シートスルーDF用コンタクトガラス18は、シートスルーDF読取モードで動作するときに使用する。この部分から、シートスルーDF2によって搬送されてくる原稿を読み取る。
【0013】
シートスルーDF2では、シートスルー原稿台20に置かれた原稿が、シートスルー給送ローラ21およびガイドローラ22によって、シートスルーDF用コンタクトガラス18上の所定の位置に給送される。シートスルーDF用コンタクトガラス18上の所定の位置に給送された原稿は、ガイドローラ22によって搬送されながら、画像読取装置1により読み取られる。読み取りが終了した原稿は、ガイドローラ22および排紙ローラ23によって、原稿回収台24へ排紙される。
【0014】
また、画像読取装置1は、操作パネル3を備える。図2は、操作パネル3の構成例を示す図である。操作パネル3は、オペレーションパネル30を備える。オペレーションパネル30は、複写枚数等の設定や異常発生時の警告表示を行うパネル表示部を備える。
【0015】
図3は、本発明にかかるフラットベット型の画像読取装置を備える複合機の構成例を示す説明図である。この複合機は、画像読取装置1と、フラットベッドDF4と、を備える。
【0016】
フラットベッドDF4は、フラットベッド原稿台40と、フラットベッド給紙ローラ41と、搬送ベルト42と、排紙トレイ43と、を備える。
【0017】
フラットベッドDF4では、フラットベッド原稿台40に置かれた原稿が、フラットベッド給紙ローラ41および搬送ベルト42によって、圧板読取用コンタクトガラス10上の所定の位置に給送される。ここで、画像読取装置1により読み取られる。読み取りが終了した原稿は、搬送ベルト42によって、排紙トレイ43へ排紙される。
【0018】
図4は、画像読取装置1のシステム構成例を示すブロック図である。画像読取装置1は、操作部101と、パネル表示部102と、ネットワーク通信部103と、読取制御部104と、ランプ制御部105と、キャリッジ制御部106と、DF制御部107と、画像処理部108と、信号生成部109と、信号管理部110と、を備える。
【0019】
操作部101は、ユーザからの操作要求を受け付ける。パネル表示部102は、複写枚数等の設定や異常発生時の警告表示を行う。ネットワーク通信部103は、ネットワークを介した通信を行う。また、設定に応じて、ネットワークのユーザに異常発生を警告する。読取制御部104は、ランプ制御部105,キャリッジ制御部106,読取モードに応じてDF制御部107を制御し、原稿画像から光電変換された画像データを取得する。ランプ制御部105は、露光ランプ11を制御する。
【0020】
キャリッジ制御部106は、キャリッジ13を制御するため、駆動モータ15の動作を制御する。DF制御部107は、シートスルーDF2またはフラットベッドDF4の自動原稿給送動作を制御する。画像処理部108は、光電変換された画像データに対して各種画像処理を実施する。信号生成部109は、画像処理の実行区間を決める読取信号を生成(以下「アサート」とする)および消滅(以下「ネゲート」とする)させる。信号管理部110は、信号生成部109からの読取信号と自装置で管理する管理信号との比較を行い、読取信号の異常を検出する。
【0021】
また、画像読取装置1が画像を読み取る動作モードとして、キャリッジ13が圧板読取用コンタクトガラス10上の移動しない原稿の下を移動することで原稿を読み取る圧板読取モード(図1の複合機および図3の複合機)、シートスルーDF2を使用し、キャリッジ13をシートスルーDF読取位置に固定して、シートスルーDF2によって移動される原稿を読み取るシートスルーDF読取モード(図1の複合機)、フラットベッドDF4を使用し、上記2つのモードの制御を組み合わせたフラットベッドDF読取モード(図3の複合機)、の3モードがある。
【0022】
以下、それぞれの動作モードについて説明する。まず、圧板読取モードにおける画像読取動作について説明する。操作部101上のプリントキーが押下されると、操作部101は画像読取要求を生成および出力し、圧板読取用コンタクトガラス10に画像面を下にして置かれた原稿に対する画像読取動作を開始する。
【0023】
画像読取要求を受けた読取制御部104は、ランプ制御部105およびキャリッジ制御部106を制御して、原稿画像を照射してCCD17に結像して光電変換された画像データを取得する。信号生成部109は、キャリッジ制御部106が生成するキャリッジ13を動作させるための駆動モータ15を制御するときのパルスカウントを基準として、キャリッジ13が原稿先端に到達した際に読取信号をアサートし、キャリッジ13が原稿後端に到達した際に読取信号をネゲートする。
【0024】
画像処理部108は、光電変換された画像データから、信号生成部109による読取信号がアサートされている区間の画像データを切り出し、各種画像処理(たとえば、光学歪みを補正するシェーディング補正、ドット補正、スキャナガンマ補正、フィルタ処理など)を実施する。
【0025】
図5は、圧板読取モードにおける動作を示すタイムチャートである。このタイムチャートは、駆動モータ15と、読取信号と、管理信号から構成される。図5の駆動モータ15は、キャリッジ制御部106の制御により、キャリッジ13を移動させるための駆動モータ15が駆動している時間を表す。読取信号は、信号生成部109が出力する読取信号を表す。管理信号は、信号管理部110が自装置内で管理する管理信号を表す。信号生成部109は、駆動モータ15が駆動してから所定の時間経過後、読取信号をアサートする。正常動作時において、読取信号と管理信号の波形は一致している。
【0026】
なお、読取制御部104は、動作中の複写枚数等の情報をパネル表示部102に表示する。また、読取制御部104は、ネットワーク通信部103を通じてネットワーク接続先の端末との通信を実施する。異常が発生した場合、読取制御部104は、異常が発生したことを示す警告の具体的な処理として、パネル表示部102へ表示するか、ネットワーク通信部103を通じてネットワーク接続先の端末へ通知する。またはそれら両方の処理を行う。
【0027】
つぎに、シートスルーDF読取モードにおける画像読取動作について説明する。操作部101上のプリントキーが押下されると、操作部101は画像読取要求を生成および出力し、画像読取要求を受けた読取制御部104が、DF制御部107を制御して、シートスルーDF2にある原稿を所定の位置に給送させる。
【0028】
画像読取要求を受けた読取制御部104は、ランプ制御部105,キャリッジ制御部106,DF制御部107を制御して、原稿から光電変換された画像データを取得する。信号生成部109は、DF制御部107が生成するシートスルーDF2制御時のパルスカウントを基準として、原稿先端がシートスルーDF用コンタクトガラス18上の所定の位置に到達した際に読取信号をアサートし、原稿後端がシートスルーDF用コンタクトガラス18上の所定の位置に到達した際に読取信号をネゲートする。
【0029】
画像処理部108は、光電変換された画像データから、信号生成部109による読取信号がアサートされている区間の画像データを切り出し、各種画像処理を実施する。DF制御部107は、シートスルーDF2を制御して、読み取りが終了した原稿を排紙する。
【0030】
図6は、シートスルーDF読取モードにおける動作を示すタイムチャートである。このタイムチャートは、シートスルーDF2と、駆動モータ15と、読取信号と、管理信号から構成される。図6のシートスルーDF2は、DF制御部107の制御により、シートスルーDF2が給紙、搬送および排紙している時間を表す。信号生成部109は、シートスルーDF2が搬送を開始してから所定の時間経過後、読取信号をアサートする。正常動作時において、読取信号と管理信号の波形は一致している。
【0031】
なお、パネル表示部102とネットワーク通信部103の動作については、圧板読取モードのときと同様である。
【0032】
つぎに、フラットベッドDF読取モードにおける画像読取動作について説明する。操作部101上のプリントキーが押下されると、操作部101は画像読取要求を生成および出力し、画像読取要求を受けた読取制御部104が、DF制御部107を制御して、フラットベッドDF4にある原稿を所定の位置に給送させる。
【0033】
画像読取要求を受けた読取制御部104は、ランプ制御部105およびキャリッジ制御部106を制御して、原稿から光電変換された画像データを取得する。信号生成部109は、キャリッジ制御部106が生成するキャリッジ13を動作させるための駆動モータ15制御時のパルスカウントを基準として、キャリッジ13が原稿先端に到達した際に読取信号をアサートし、キャリッジ13が原稿後端に到達した際に読取信号をネゲートする。
【0034】
画像処理部108は、光電変換された画像データから、信号生成部109による読取信号がアサートされている区間の画像データを切り出し、各種画像処理(シェーディング補正、スキャナガンマ補正など)を実施する。読取信号がネゲートした際、読取制御部104からの要求により、DF制御部107は、フラットベッドDF4を制御して、読み取りが終了した原稿を排紙する。
【0035】
図7は、フラットベッドDF読取モードにおける動作を示すタイムチャートである。このタイムチャートは、フラットベッドDF4と、駆動モータ15と、読取信号と、管理信号から構成される。図7のフラットベッドDF4は、DF制御部107の制御により、フラットベッドDF4が給紙および排紙している時間を表す。信号生成部109は、駆動モータ15が駆動してから所定の時間経過後に、読取信号をアサートする。また、フラットベッドDF4は、読取信号がネゲートするタイミングで、読み取った原稿を排紙する。正常動作時において、読取信号と管理信号の波形は一致している。
【0036】
なお、パネル表示部102とネットワーク通信部103の動作については、圧板読取モードのときと同様である。
【0037】
つぎに、上述した画像読取装置1の構成および動作に基づいて、この実施の形態にかかる画像読取装置1の特徴的な動作について図8に示すフローチャートを参照し、説明する。なお、この動作は図1あるいは図3に示す画像読取装置1において行なわれ、読取制御部104(図4参照)によって統括的に実行される。図8において、まず、操作部101のスタートボタン(不図示)の押下により読み取りを開始し、読取制御部104からの通知により、その読取モード(圧板読取モード、シートスルーDF読取モード、フラットベッドDF読取モードの何れか)を認識する(ステップS101)。続いて、あらかじめ信号管理部110に保持されている正常読み取り時の管理信号を取得し(ステップS102)、さら、信号生成部109により生成されるこの読み取り時の読取信号を取得する(ステップS103)。続いて、駆動モータ15が動作している駆動区間であるか否かを判断する(ステップS104)。ここで駆動区間であると判断(Yes)した場合、さらに上記管理信号と読取信号とを比較して両者が同じであるか否かを判断する(ステップS105)。ここで管理信号と読取信号とが同じであれば(判断Yes)、読み取り動作を続行してこの読み取り動作が終了したか否かを判断して(ステップS106)、読み取りが終了した時点でこの一連の動作を終了する。その後、この読み取った画像データを記録紙に画像形成する処理を実行する。なお、シートスルーDF読取モードの場合、キャリッジ13を固定して原稿が移動しながら読取動作を行なうので、上記ステップS104の処理はスルーとする。
【0038】
一方、上記ステップS105において管理信号と読取信号とが一致していないと判断(No)した場合、当該読取信号が異常であると検出して(ステップS107)、読み取り動作を中断し(ステップS108)、所定の異常処理(具体例は後述する)を実行する(ステップS109)。
【0039】
上述した動作についてさらに詳述する。上記で説明した各読取モードにおいて、画像読取動作中に読取異常が発生し読取信号に異常が発生した場合に、信号管理部110が、読取信号の異常を検出することを特徴とする。読取信号の異常が検出できることによって、適切な画像処理を行うことができる。たとえば、読取信号の異常発生の通知を受けた読取制御部104は、駆動モータ15またはシートスルーDF2の動作状況に基づいて、画像処理部108に対して適切に画像処理の中断または続行の指示を行うことが可能となる。
【0040】
以下、信号管理部110が読取信号の異常を検出し、読取制御部104が適切に画像処理の中断または続行の指示を行う方法を、読取動作モード毎に具体的に説明する。まず、圧板読取モードにおいて、読取信号の異常を検出し、適切に画像処理の中断または続行の指示を行う場合について説明する。
【0041】
信号管理部110では、読取制御部104からの通知により、現在の読取モードが圧板読取モードであることを認識する。また、信号管理部110は、信号生成部109が生成すべき理想的な圧板読取モード時の読取信号の波形の情報を予め有しており、これを圧板読取モード時の管理信号として、信号生成部109から出力される圧板読取モード時の読取信号と比較し、その比較結果が一致しない場合に読取信号に異常が発生したと判断する。
【0042】
信号管理部110は、上記比較による判断の結果、読取信号の異常を検出した場合、その旨を読取制御部104へ通知する。読取制御部104は、この通知を受け取ることによって、画像処理部108に対して画像処理の中断または続行を指示する。
【0043】
たとえば、読取制御部104は、駆動モータ15が駆動している区間では、キャリッジ制御部106によるキャリッジ13の制御が行われているため画像読取動作中であると判断し、読取信号の異常を検出した旨の通知を受け取った場合であっても、画像処理部108に対して画像処理の続行を指示する。
【0044】
一方、読取制御部104にて上記比較結果が一致しない旨の通知を受け取った後の、駆動モータ15が駆動していない区間については、キャリッジ制御部106はキャリッジ13を動作させず、また、信号生成部109は読取信号をアサートしていない。そこで、読取制御部104は、上記駆動モータ15が駆動していない区間では、読取信号が発生していないとみなし、画像処理部108において画像処理を行うことはないと判断して、画像処理部108に対して処理の中断を指示する。
【0045】
上記のように、本実施の形態の画像読取装置1は、管理信号と読取信号を比較し、その比較結果に基づいて読取信号に異常が発生したかどうかを判断する構成としたので、適切に画像処理の中断または続行の指示を行うことが可能となる。また、適切な指示を行うことにより、従来技術の問題点として記述した、画像処理の実行指示を待ち続ける状態を回避することができる。ただし、画像処理部108の処理を中断することにより、出力画像に異常が発生する場合がある。
【0046】
そして、読取制御部104では、読取信号の異常を検出した旨の通知を受け取った場合、読取異常が発生したことを示す警告および出力画像の異常の有無の情報を、パネル表示部102へ表示するか、ネットワーク通信部103を通じてネットワーク接続先の端末へ通知する。または、その両方の処理を行う。このように、読取制御部104が、画像処理の中断を指示した後、異常発生時の警告を行うことにより、ユーザは、画像読取装置1に異常が発生したこと、および出力画像の異常の有無、を認識することができる。
【0047】
なお、信号管理部110は、読取信号と管理信号が一致している場合には、その旨を読取制御部104へ通知する。このとき、読取制御部104は、正常動作時と同様のため、特別な処理は行わない。
【0048】
つぎに、シートスルーDF読取モードにおいて、読取信号の異常を検出し、適切に画像処理の中断または続行の指示を行う場合について説明する。
【0049】
信号管理部110では、読取制御部104からの通知により、現在の読取モードがシートスルーDF読取モードであることを認識する。また、信号管理部110は、信号生成部109が生成すべき理想的なシートスルーDF読取モード時の読取信号の波形の情報を予め有しており、これをシートスルーDF読取モード時の管理信号として、信号生成部109から出力されるシートスルーDF読取モード時の読取信号と比較し、その比較結果が一致しない場合に読取信号に異常が発生したと判断する。
【0050】
信号管理部110は、上記比較による判断の結果、読取信号の異常を検出した場合、その旨を読取制御部104へ通知する。読取制御部104は、この通知を受け取ることによって、画像処理部108に対して画像処理の中断を指示する。
【0051】
たとえば、読取制御部104は、シートスルーDF2が搬送または排送している区間では、画像読取動作中であると判断し、読取信号の異常を検出した旨の通知を受け取った場合であっても、画像処理部108に対して画像処理の続行を指示する。
【0052】
一方、読取制御部104にて上記比較結果が一致しない旨の通知を受け取った後の、シートスルーDF2が搬送または排送していない区間については、信号生成部109は読取信号をアサートしていない。そこで、読取制御部104は、上記シートスルーDF2が搬送または排送していない区間では、読取信号が発生していないとみなし、画像処理部108において画像処理を行うことはないと判断して、画像処理部108に対して処理の中断を指示する。
【0053】
上記のように、シートスルーDF読取モードにおいても、本実施の形態の画像読取装置1は、管理信号と読取信号を比較し、その比較結果に基づいて読取信号に異常が発生したかどうかを判断する構成としたので、適切に画像処理の中断または続行の指示を行うことが可能となる。また、適切な指示を行うことにより、従来技術の問題点として記述した、画像処理の実行指示を待ち続ける状態を回避することができる。ただし、画像処理部108の処理を中断することにより、出力画像に異常が発生する場合がある。
【0054】
また、異常発生時の警告等の処理は、圧板読取モードのときと同様である。また、読取信号と管理信号が一致している場合の処理も、圧板読取モードのときと同様である。
【0055】
つぎに、フラットベッドDF読取モードにおいて、読取信号の異常を検出し、適切に画像処理の中断または続行の指示を行う場合について説明する。
【0056】
信号管理部110では、読取制御部104からの通知により、現在の読取モードがフラットベッドDF読取モードであることを認識する。また、信号管理部110は、信号生成部109が生成すべき理想的なフラットベッドDF読取モード時の読取信号の波形の情報を予め有しており、これをフラットベッドDF読取モード時の管理信号として、信号生成部109から出力されるフラットベッドDF読取モード時の読取信号と比較し、その比較結果が一致しない場合に読取信号に異常が発生したと判断する。
【0057】
信号管理部110は、上記比較による判断の結果、読取信号の異常を検出した場合、その旨を読取制御部104へ通知する。読取制御部104は、この通知を受け取ることによって、画像処理部108に対して画像処理の中断を指示する。
【0058】
たとえば、読取制御部104は、駆動モータ15が駆動している区間では、キャリッジ制御部106によるキャリッジ13の制御が行われているため画像読取動作中であると判断し、読取信号の異常を検出した旨の通知を受け取った場合であっても、画像処理部108に対して画像処理の続行を指示する。その後、読取制御部104の制御により、DF制御部107は原稿を排紙する。
【0059】
一方、読取制御部104にて上記比較結果が一致しない旨の通知を受け取った後の、駆動モータ15が駆動していない区間については、キャリッジ制御部106はキャリッジ13を動作させず、また、信号生成部109は読取信号をアサートしていない。そこで、読取制御部104は、上記駆動モータ15が駆動していない区間では、読取信号が発生していないとみなし、画像処理部108において画像処理を行うことは無いと判断して、画像処理部108に対して処理の中断を指示する。その後、読取制御部104の制御により、DF制御部107は原稿を排紙する。
【0060】
上記のように、フラットベッドDF読取モードにおいても、本実施の形態の画像読取装置1は、管理信号と読取信号を比較し、その比較結果に基づいて読取信号に異常が発生したかどうかを判断する構成としたので、適切に画像処理の中断または続行の指示を行うことが可能となる。また、適切な指示を行うことにより、従来技術の問題点として記述した、画像処理の実行指示を待ち続ける状態を回避することができる。ただし、画像処理部108の処理を中断することにより、出力画像に異常が発生する場合がある。
【0061】
また、異常発生時の警告等の処理は、圧板読取モードのときと同様である。また、読取信号と管理信号が一致している場合の処理も、圧板読取モードのときと同様である。
【0062】
このように、本実施の形態にかかる画像読取装置によれば、信号生成部から出力される読取信号と、自装置で管理する正常動作時の読取信号の情報である管理信号とを比較することとした。これにより、読取信号と管理信号が一致していないときは読取信号に異常が発生したと判断して、読取信号の異常を検出することが可能となる。また、読取信号の異常を検出した場合には、駆動モータまたはシートスルーDFの動作状況に基づいて、適切に画像処理の中断または続行を指示することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明にかかる画像読取装置および画像形成装置は、モノクロおよびカラーのデジタルスキャナやデジタル複写機、ファクシミリ装置、複合機などの画像読取装置および当該画像読取装置を備える画像形成装置に有用であり、特に、原稿読取時における異常発生を検出する装置、システムなどに適している。
【符号の説明】
【0064】
1 画像読取装置
10 圧板読取用コンタクトガラス
11 露光ランプ
12 第1ミラー
13 キャリッジ
14 第2ミラー第3ミラー
15 駆動モータ
16 レンズ
17 CCD
18 シートスルーDF用コンタクトガラス
2 シートスルーDF
20 シートスルー原稿台
21 シートスルー給紙ローラ
22 ガイドローラ
23 排紙ローラ
24 原稿回収台
3 操作パネル
30 オペレーションパネル
4 フラットベッドDF
40 フラットベッド原稿台
41 フラットベッド給紙ローラ
42 搬送ベルト
43 排紙トレイ
101 操作部
102 パネル表示部
103 ネットワーク通信部
104 読取制御部
105 ランプ制御部
106 キャリッジ制御部
107 DF制御部
108 画像処理部
109 信号生成部
110 信号管理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特許第3849905号公報
【特許文献2】特開2004−343621号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトガラス上の原稿画像を読み取り画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、
前記取得した画像データに対して前記画像処理手段による画像処理を実施する区間を決めるための読取信号を生成する信号生成手段と、
正常動作時の読取信号の波形情報を管理信号として保持し、当該管理信号と前記信号生成手段が生成した読取信号とを比較し、その比較結果に基づいて読取信号の異常を検出する信号管理手段と、
前記信号管理手段による検出結果に基づいて画像処理の続行の可否を制御する読取制御手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
コンタクトガラス上の原稿画像を読み取り画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、前記取得した画像データに対して前記画像処理手段による画像処理を実施する区間を決めるための読取信号を生成する信号生成手段と、正常動作時の読取信号の波形情報を管理信号として保持し、当該管理信号と前記信号生成手段が生成した読取信号とを比較し、その比較結果に基づいて読取信号の異常を検出する信号管理手段と、前記信号管理手段による検出結果に基づいて画像処理の続行の可否を制御する読取制御手段と、を有する画像読取装置を備える画像形成装置であって、
前記画像読取装置は、原稿画像を読み取るための読取手段を有するキャリッジとこのキャリッジを前記コンタクトガラスに沿って光学走査するための駆動モータを備え、
前記コンタクトガラスに手動で原稿を載置して原稿画像を読み取る圧板読取モードで動作している場合、
前記信号管理手段は、前記駆動モータが動作している区間において、前記管理信号と前記信号生成手段が生成した読取信号とを比較することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記読取制御手段は、
前記信号管理手段から読取信号の異常を検出した旨の通知を受け取った場合、
前記駆動モータが動作している区間については前記画像処理手段に対して画像処理の続行を指示し、当該駆動モータが停止している区間については前記画像処理部手段に対して画像処理の中断を指示することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
原稿をコンタクトガラスの所定位置に搬送するフラットベット型原稿搬送装置と、前記コンタクトガラス上の所定位置に搬送し配置された原稿の画像を読み取り画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、前記取得した画像データに対して前記画像処理手段による画像処理を実施する区間を決めるための読取信号を生成する信号生成手段と、正常動作時の読取信号の波形情報を管理信号として保持し、当該管理信号と前記信号生成手段が生成した読取信号とを比較し、その比較結果に基づいて読取信号の異常を検出する信号管理手段と、前記信号管理手段による検出結果に基づいて画像処理の続行の可否を制御する読取制御手段と、を有する画像読取装置と、を備える画像形成装置であって、
前記画像読取装置は、原稿画像を読み取るための読取手段を有するキャリッジとこのキャリッジを前記コンタクトガラスに沿って光学走査するための駆動モータを備え、
前記フラットベット型原稿搬送装置を用いた自動読取モードで動作している場合、
前記信号管理手段は、前記駆動モータが動作している区間において、前記管理信号と前記信号生成手段が生成した読取信号とを比較することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記読取制御手段は、
前記信号管理手段から読取信号の異常を検出した旨の通知を受け取った場合、
前記駆動モータが動作している区間については前記画像処理手段に対して画像処理の続行を指示し、当該駆動モータが停止している区間については前記画像処理手段に対して画像処理の中断を指示することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記読取制御手段は、前記画像処理手段に対して指示を行った後、さらに、原稿を自動供給する前記フラットベット型原稿搬送装置に対して原稿の排紙を指示することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
原稿をコンタクトガラス上に自動搬送するシートスルー型原稿搬送装置と、前記コンタクトガラス上に搬送される原稿の画像を読み取り画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、前記取得した画像データに対して前記画像処理手段による画像処理を実施する区間を決めるための読取信号を生成する信号生成手段と、正常動作時の読取信号の波形情報を管理信号として保持し、当該管理信号と前記信号生成手段が生成した読取信号とを比較し、その比較結果に基づいて読取信号の異常を検出する信号管理手段と、前記信号管理手段による検出結果に基づいて画像処理の続行の可否を制御する読取制御手段と、を有する画像読取装置と、を備える画像形成装置であって、
前記シートスルー型原稿搬送装置を用いた自動読取モードで動作している場合、
前記信号管理手段は、前記シートスルー型原稿搬送装置が原稿を搬送または排送している区間において、前記管理信号と前記信号生成手段が生成した読取信号とを比較することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記読取制御手段は、
前記信号管理手段から読取信号の異常を検出した旨の通知を受け取った場合、
原稿を自動搬送する前記シートスルー型原稿搬送装置が搬送または排紙している区間については前記画像処理手段に対して画像処理の続行を指示し、当該自動原稿搬送装置が搬送または排紙していない区間については前記画像処理手段に対して画像処理の中断を指示することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
さらに、異常が発生したことおよび出力画像の異常の有無を表示させる表示制御手段を備えることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項10】
さらに、異常が発生したことおよび出力画像の異常の有無をネットワークに接続された端末へ通知するネットワーク通信手段を備えることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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