説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】搬送される原稿の厚みに応じて間隔が調整可能な読取ガイドの間隔調整機能を損なうことなく、光学系を収納するハウジング部材のシール性を向上させることが可能な画像読取装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像読取部20は、読取フレーム420、読取ガイド422、およびシール機構421を備えている。シール機構421は、読取フレーム420および読取ガイド422の隙間を覆うように構成される。シール機構421は、読取ガイド422のスライド方向に平行に立設されるリブ442、およびリブ442に先端が触れるように配置される可撓性を有する防塵シート440を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される原稿の厚みに応じて原稿搬送路の両側に配置された読取ガイド部の間隔を調整可能な画像読取装置およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送される原稿を読み取る原稿読取位置には、原稿に当接しつつ原稿の搬送を案内するように構成されたコンタクトガラスが配置される。このコンタクトガラスは、通常、光学系を収納するハウジングに安定的に支持されている。
【0003】
このような構成において、コンタクトガラスとハウジングにおけるガラス支持部との隙間を介して塵埃がハウジング内に進入し、進入した塵埃がハウジング内の光学系に付着することがあった。光学系に塵埃が付着した場合には、その塵埃の影響が読取画像において黒筋となって現れるといった不都合がある。
【0004】
そこで、従来技術の中には、コンタクトガラスの下面とコンタクトガラス支持部間に防塵用の可撓性部材を介在させ、この可撓性部材からコンタクトガラスへの押圧力によるコンタクトガラスの浮きを防ぐ規制部を通紙ガイド部の一部に設けるように構成された読取装置が存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−180994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成を採用していたとしても、搬送される原稿の厚みに応じてその間隔が調整可能な読取ガイド部においては、読取ガイド部を移動させる機構部からハウジング内に塵埃が進入することがあった。
【0007】
搬送される原稿の厚みに応じてその間隔を調整する機構は、固定普通紙とカードの両方での読取精度を良好に保つために重要ではあるが、ハウジングにおいて移動のストローク分の隙間が発生し易くなるという問題があった。
【0008】
塵埃の進入を防止するためには、ハウジングのシール性を向上させる必要があるが、シール性を向上させる機構によって、ハウジングを構成する部材の円滑な移動が妨げられることになると、読取ガイド部の間隔の調整が適正に行われなくなってしまったり、読取ガイド部に原稿が引っ掛かって斜め送りが発生したりするという不具合が発生することがあった。
【0009】
この発明の目的は、搬送される原稿の厚みに応じて間隔が調整可能な読取ガイドの間隔調整機能を損なうことなく、光学系を収納するハウジング部材のシール性を向上させることが可能な画像読取装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る画像読取装置は、搬送される原稿の厚みに応じて原稿搬送路の両側に配置された読取ガイドの間隔を調整可能に構成される。この画像読取装置は、読取フレーム部材、読取ガイド部材、およびシール機構を備えている。
【0011】
読取フレーム部材は、原稿読取装置に固定されており、光学系を支持するように構成される。
【0012】
読取ガイド部材は、読取フレーム部材と相まって光学系を収納するハウジング部材を構成する。この読取ガイド部材は、読取位置に搬送される原稿を案内するとともに読取ガラスを支持するように構成される。さらに読取ガイド部材は、読取フレーム部材に対してスライド可能な状態に支持されている。
【0013】
シール機構は、読取フレーム部材および読取ガイド部材の隙間を覆うように構成される。このシール機構は、読取ガイド部材の昇降方向に平行に立設されるリブ、およびリブに先端が触れるように配置される可撓性を有する防塵シートを有する。防塵シートの例としては、厚みが0.1mm程度のウレタンシートが挙げられる。
【0014】
この構成においては、読取フレーム部材または読取ガイド部材のいずれか一方に配置されたリブと、他方に配置された防塵シートとが当接することにより、読取フレーム部材および読取ガイド部材の隙間が覆われる。
【0015】
リブは読取ガイド部材の昇降方向に平行に立設され、かつ、可撓性を有する防塵シートの先端をリブに触れさせる構成によってハウジング部材をシールしているため、防塵シートとリブとの間の摩擦によって読取ガイド部材のスライド動作が妨げられにくい。このため、読取ガイド部材の円滑なスライド動作を阻害することなく、読取フレーム部材および読取ガイド部材によって構成されるハウジング部材のシール性を向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、搬送される原稿の厚みに応じて間隔が調整可能な読取ガイドの間隔調整機能を損なうことなく、光学系を収納するハウジング部材のシール性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】原稿読取部の概略構成を示す図である。
【図3】第1の読取ガイド部および第2の読取ガイド部の近傍の概略構成を示す図である。
【図4】第2の読取ガイド部の構成を示す図である。
【図5】第2の読取ガイド部の構成を示す図である。
【図6】第2の読取ガイド部の動作を示す図である。
【図7】第2の読取ガイド部の動作およびシール部の状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の概略を示す図である。画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色および単色の画像を形成するもので、原稿読取部20および画像形成部10を備えている。
【0019】
原稿読取部20は、搬送される原稿の両面の画像を同時に読み取ることが可能に構成されている。原稿読取部20は、原稿が載置される透明ガラスからなる手置きの原稿が載置される原稿載置台22が設けられ、原稿載置台22の上側には自動原稿処理装置24が取り付けられている。自動原稿処理装置24は、給紙トレイ26上の原稿を、原稿搬送路36を介して、普通紙の原稿を排出するための第1の排紙部28または厚手の原稿(カード、封筒等)を排出するための第2の排紙部30まで順次的に搬送するように構成されている。
【0020】
原稿搬送路36の両側には、搬送される原稿の第1の面の画像、または原稿載置台22上の原稿の画像を読み取るように構成された第1の読取部32、および搬送される原稿の第2の面の画像を読み取るように構成された第2の読取部34が設けられる。ここでは、第1の読取部32および第2の読取部34はCCDを含む縮小光学系からなる構成を採用しているが、CISを採用したものであっても良い。なお、原稿読取部20の構成の詳細については後述する。
【0021】
原稿読取部20の下方には画像形成部10が配置される。画像形成部10は、光走査装置210、現像器102、感光体ドラム103、クリーナユニット104、帯電器105、中間転写ベルトユニット106、定着ユニット107、給紙カセット181、排紙部191等を有して構成されている。
【0022】
この画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像器102、感光体ドラム103、帯電器105、クリーナユニット104は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらによって4つの画像ステーションが構成されている。
【0023】
帯電器105は、感光体ドラム103の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
【0024】
光走査装置210は、入力された画像データに基づいて感光体ドラム103の表面に静電潜像を形成するように構成される。光走査装置210の詳細については後述する。
【0025】
現像器102はそれぞれの感光体ドラム103上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化するものである。またクリーナユニット104は、現像・画像転写後における感光体ドラム103上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
【0026】
感光体ドラム103の上方に配置されている中間転写ベルトユニット106は、中間転写ベルト161、中間転写ベルト駆動ローラ162、中間転写ベルト従動ローラ163、中間転写ローラ164、および中間転写ベルトクリーニングユニット165を備えている。上記中間転写ローラ164は、YMCK用の各色に対応して4本設けられている。
【0027】
中間転写ベルト駆動ローラ162、中間転写ベルト従動ローラ163、および中間転写ローラ164は、中間転写ベルト161を張架して回転駆動させる。また各中間転写ローラ164は、感光体ドラム103のトナー像を、中間転写ベルト161上に転写するための転写バイアスを与える。
【0028】
中間転写ベルト161は、各感光体ドラム103に接触するように設けられている、そして、感光体ドラム103に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト161に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト161上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。中間転写ベルト161は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0029】
感光体ドラム103から中間転写ベルト161へのトナー像の転写は、中間転写ベルト161の裏側に接触している中間転写ローラ164によって行われる。中間転写ローラ164には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ164は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト161に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0030】
上述の様に各感光体ドラム103上で各色相に応じて顕像化された静電像は中間転写ベルト161で積層される。このように、積層された画像情報は中間転写ベルト161の回転によって、後述の用紙と中間転写ベルト161の接触位置に配置される転写ローラ110によって用紙上に転写される。
【0031】
このとき、中間転写ベルト161と転写ローラ110は所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ110にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ110は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ110もしくは中間転写ベルト駆動ローラ162の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)が用いられる。
【0032】
また、上記のように、感光体ドラム103に接触することにより中間転写ベルト161に付着したトナー、もしくは転写ローラ110によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト161上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット165によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット165には、中間転写ベルト161に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト161は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ163で支持されている。
【0033】
給紙カセット181は、画像形成に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、画像形成部10の光走査装置210の下側に設けられている。また手差し給紙カセット182にも画像形成に使用するシートを置くことができる。また、画像形成部10の上方に設けられている排紙部191は、印刷済みのシートをフェイスダウンで集積するためのトレイである。
【0034】
また画像形成部10には、給紙カセット181および手差し給紙カセット182のシートを転写ローラ110や定着ユニット107を経由させて排紙部191に送るための、略垂直形状の用紙搬送路200が設けられている。給紙カセット181ないし手差し給紙カセット182から排紙部191までの用紙搬送路200の近傍には、ピックアップローラ111A,111B、複数の搬送ローラ112A〜112D,レジストローラ113、転写ローラ110、定着ユニット107等が配されている。
【0035】
搬送ローラ112A〜112Dは、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路200に沿って複数設けられている。またピックアップローラ111Aは、給紙カセット181の端部近傍に備えられ、給紙カセット181からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路200に供給する。同様にまたピックアップローラ111Bは、手差し給紙カセット182の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット182からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路200に供給する。
【0036】
また、レジストローラ113は、用紙搬送路200を搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム103上のトナー像の先端とシートの先端を合わせるタイミングでシートを転写ローラ110に搬送する機能を有している。
【0037】
定着ユニット107は、ヒートローラ171および加圧ローラ172を備えており、ヒートローラ171および加圧ローラ172は、シートを挟んで回転するようになっている。またヒートローラ171は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ172とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。またヒートローラ171を外部から加熱するための外部加熱ベルト173が設けられている。
【0038】
次にシート搬送経路を詳細に説明する。上述のように、画像形成装置には予めシートを収納する給紙カセット181、および手差し給紙カセット182が設けられている。これら給紙カセット181,182からシートを給紙するために、各々ピックアップローラ111A,111Bが配置され、シートを1枚ずつ搬送路200に導くようになっている。
【0039】
各給紙カセット181,182から搬送されるシートは用紙搬送路200の搬送ローラ112Aによってレジストローラ113まで搬送され、シートの先端と中間転写ベルト161上の画像情報の先端を整合するタイミングで転写ローラ110に搬送され、シート上に画像情報が書き込まれる。その後、シートは定着ユニット107を通過することによってシート上の未定着トナーが熱で溶融・固着され、その後に配された搬送ローラ112Bを経て排紙部191上に排出される。
【0040】
上記の搬送経路は、シートに対する片面印字要求のときのものであるが、これに対して両面印字要求の時は、上記のように片面印字が終了し定着ユニット107を通過したシートの後端が最終の搬送ローラ112Bで把持されたときに、搬送ローラ112Bが逆回転することによってシートを搬送ローラ112C,112Dに導く。そしてその後レジストローラ113を経てシート裏面に印字が行われた後にシートが排紙部191に排出される。
【0041】
続いて、図2を用いて、原稿読取部20の構成を説明する。同図に示すように、原稿搬送路36は、給紙トレイ26から原稿ガイド38までの間において、下方向に傾斜するように直線状に構成される(同図中では左下がりに傾斜。)。ここで、原稿ガイド38は遥動可能に支持されている。原稿ガイド38の下流には、搬送される原稿を第1の排紙部28または第2の排紙部30のいずれかに案内するように構成された進路切換部材39が配置される。この実施形態では、進路切換部材39は、カード等の厚手の原稿(例えば厚み0.6mm以上)を第2の排紙部30に案内し、厚手の原稿以外の原稿(例えば厚み0.6mm未満)を第1の排紙部28に案内するように構成されている。進路切換部材39によって第1の排紙部28に案内される原稿は、原稿搬送路36における横U字状を呈する箇所を経由して第1の排紙部28まで搬送される。
【0042】
原稿搬送路36における原稿ガイド38の上流には、原稿搬送路36と略平行になるように傾斜して配置された第1の読取ガイド部40および第2の読取ガイド部42が設けられる。第1の読取ガイド部40および第2の読取ガイド部42は、原稿搬送路36を挟んで配置されており、第1の読取部32および第2の読取部34によって読み取られる搬送原稿を安定させるように構成される。
【0043】
続いて、図3(A)および図3(B)を用いて、第1の読取ガイド部40および第2の読取ガイド部42の近傍の構成を説明する。第1の読取ガイド部40および第2の読取ガイド部42は、第1の読取位置50および第2の読取位置52にて画像が読み取られる原稿を案内するように構成される。第1の読取ガイド部40および第2の読取ガイド部42は、原稿搬送路36を挟んで互いに対向するように配置されるとともに、互いの隙間を搬送される原稿の厚みに応じて変更可能に構成されている。この実施形態では、第1の読取ガイド部40および第2の読取ガイド部42の隙間が、0.6mmから1.3mm程度の範囲で変化するように構成されるが、第1の読取ガイド部40および第2の読取ガイド部42の隙間の可変範囲はこれに限定されるものではない。
【0044】
第1の読取ガイド部40は、原稿の第1の面に対向するように配置されたガラス等の透明な板状部材によって構成される第1のガイド部材400、および第1のガイド部材400を支持するように構成されたガイド支持部材402を備える。
【0045】
第2の読取ガイド部42は、原稿読取部20内のフレームに固定される読取フレーム420、および読取フレーム420に昇降可能な状態で吊り下げられるように構成された読取ガイド422を備える。読取フレーム420および読取ガイド422が相まって内部に光学系を収容するハウジング部材が構成される。読取フレーム420は、一方に開放面が形成されており、この開放面が読取ガイド422によって閉塞される。読取フレーム420は、光を通過させるための開口424を有しており、この開口424の全周にわたってモルトプレーンが設けられている。
【0046】
続いて、図4(A)〜図4(D)、および図5(A)〜図5(D)を用いて、第2の読取ガイド部42の構成を説明する。読取フレーム420には、LEDが搭載されたLED基板426、LED基板426の周囲に配置された導光板428、および光を原稿読取位置に反射させるためのリフレクタ430等の光学系が設けられる。
【0047】
読取ガイド422は、長さ方向の一端部が段付きビス432を介して読取フレーム420に支持される。読取ガイド422の他端部は、読取フレーム420の側壁434に形成された係合孔436と読取ガイド422に設けられた係止片438との係合によって支持される。
【0048】
段付きビス432の平皿部と読取ガイド422との間には所定の大きさの空隙が設けられており、この空隙の大きさによって読取ガイド422の昇降可能範囲が決定される。一方で、係止片438が挿通される係合孔436には、上記空隙に対応する高さが設定されているため、読取ガイド422の長さ方向の両端部において同一の昇降可能範囲が設定される。
【0049】
上述の構成では、読取ガイド422の長さ方向の一端部のみに段付きビス432を設ける構成を採用したが、両端部を段付きビス432によって支持することも可能である。ただし、読取ガイド422の装着および取り外しの作業性を考慮すると、読取ガイド422の長さ方向の一端部にのみ段付きビス432を設ける構成が好ましいと言える。
【0050】
続いて、図6(A)および図6(B)を用いて、第1の読取ガイド部40および第2の読取ガイド部42の動作を説明する。図6(A)は、厚みが約0.1〜0.2mm程度の普通紙原稿を搬送する場合の第1の読取ガイド部40および第2の読取ガイド部42の状態を示しており、図6(B)は、厚みが約0.8mm程度のカード原稿を搬送する場合の第1の読取ガイド部40および第2の読取ガイド部42の状態を示している。
【0051】
図6(A)に示すように、第1の読取ガイド部40および第2の読取ガイド部42の隙間は、原稿の表面および裏面を同時に読み取る場合、焦点距離の安定化のため、約0.6mm程度に小さくしている。このため、厚みが約0.1〜0.2mm程度の普通紙原稿を搬送する場合に、原稿の表面および裏面のいずれの面の画像についてもピンボケが軽減されている。
【0052】
また、図6(B)に示すように、厚みが約0.6を超える原稿が通過するときには、第2の読取ガイド部42は、原稿から受ける力により上方に持ち上げられ、原稿搬送路36から離間する。このとき、読取ガイド422の一端部は段付きビス432に案内されつつ上昇するとともに、読取ガイド422の他端部の係止片438が係合孔436に案内されつつ上昇するため、読取ガイド422は平行状態を保ちつつ上方へスライドする。その結果、第1の読取ガイド部40および第2の読取ガイド部42の間の隙間が拡がる。
【0053】
この実施形態では、第1の読取ガイド部40および第2の読取ガイド部42の隙間が最大1.3mm程度まで拡がるように構成されるため、例えば厚み0.8mm程度のカード状の原稿が搬送される場合であっても好適に搬送させつつその両面の画像を読み取ることが可能になっている。
【0054】
しかも、読取フレーム420と読取ガイド422とはシール機構421によってシールされているため、読取フレーム420および読取ガイド422内に塵埃が進入しにくくなっている。
【0055】
シール機構421は、読取ガイド422の全周にわたって形成されたリブ442、および読取フレーム420の全周にわたって配置された薄く柔軟性のある防塵シート440を備える。リブ442は、読取ガイド422における読取フレーム420との対向面から垂直に立ち上がるように設けられている。つまり、リブ442は、読取ガイド422の昇降方向に平行になるように設けられている。
【0056】
防塵シート440は、厚みが0.1mm程度のウレタンシートによって構成されており、その先端がリブ442に触れるように配置されている。この実施形態では、防塵シート440として、日本マタイ株式会社製のウレタンシート「マタイ製 URS 表面マットタイプ」が用いられる。防塵シート440は、ウレタンフォームからなるシート取り付け部材444を介して読取フレーム420に取り付けられている。このように、防塵シート440を同じ素材からなるシート取り付け部材444を介して取り付けることにより、線膨張を一定化してシートの波打ちを防止する効果が得られる。なお、ここでは、両面テープによって防塵シート440を取り付けているが、防塵シート440の取り付け手法はこれに限定されるものではない。
【0057】
以上の構成によれば、図7(A)および図7(B)に示すように、読取ガイド422が昇降する場合においても、シール機構421によって読取ガイド422および読取フレーム420内のシール性が維持される。
【0058】
また、読取ガイド422が昇降する場合に、防塵シート440の先端に僅かに曲げの力が働くのみで、防塵シート440とリブ442との間に大きな摩擦が生じることがない。このため、読取ガイド422が昇降動作を阻害することなく、防塵効果が得られる。
【0059】
さらに、通常の厚みをもつ普通紙原稿の焦点距離を確保した上で、カード原稿等の厚紙原稿の両面を読み取るときにも焦点距離を安定的に確保することによって、どのような厚みの原稿が搬送される場合であっても、ピンボケさせることなく両面の原稿を同時に読み取ることが可能になる。
【0060】
また、カード原稿等の厚紙原稿については、原稿搬送路36における湾曲部分を通過させることなく、原稿搬送路36における直線状の部分のみを経由させて第2の排紙部30に排出していることから、搬送不良等の不具合が発生しにくい。
【0061】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
32−第1の読取部
34−第2の読取部
40−第1の読取ガイド部
42−第2の読取ガイド部
50−第1の読取位置
52−第2の読取位置
400−第1のガイド部材
402−ガイド支持部材
420−読取フレーム
422−読取ガイド
432−段付ビス
436−係合孔
438−係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される原稿の厚みに応じて原稿搬送路の両側に配置された読取ガイドの間隔を調整可能な画像読取装置であって、
原稿読取装置に固定された読取フレーム部材であって、光学系を支持するように構成された読取フレーム部材と、
前記読取フレーム部材と相まって前記光学系を収納するハウジング部材を構成する読取ガイド部材であって、読取位置に搬送される原稿を案内するとともに読取ガラスを支持するように構成され、かつ、前記読取フレーム部材に対してスライド可能な状態に支持される読取ガイド部材と、
前記読取フレーム部材および前記読取ガイド部材の隙間を覆うように構成されたシール機構と、
を備え、
前記シール機構は、前記読取ガイド部材のスライド方向に平行に立設されるリブ、および前記リブに先端が触れるように配置される可撓性を有する防塵シートを有する画像読取装置。
【請求項2】
前記シール機構の前記防塵シートは、前記リブに対して垂直な方向から前記リブに当接するように配置される請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記読取ガイド部材は、搬送される原稿から作用する力に応じて原稿搬送路から離間するように前記読取フレームに支持された請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記シール機構の前記リブは、前記読取ガイド部材の全周にわたって形成される一方で、前記シール機構の前記防塵シートは、前記読取フレーム部材の全周にわたって配置された請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記防塵シートは、ウレタンシートであるとともに、ウレタンフォームからなるシート支持部を介して前記読取フレーム部材に取り付けられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像読取装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−39207(P2012−39207A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175132(P2010−175132)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】