説明

画像読取装置及び画像読取プログラム

【課題】往路移動時の部分読取データに基づく部分画像と、復路移動時の部分読取データに基づく部分画像との副走査方向におけるずれを軽減する技術を開示する。
【解決手段】コピー機1は、制御ユニット50を有し、制御ユニット50は、移動機構20により読取デバイス13を往路移動させて一の単位領域H1の部分読取データを取得し、読取デバイス13を復路移動させて他の単位領域の部分読取データを取得する読取制御処理と、一の部分画像の位置情報、及び、他の部分画像の位置情報を取得する位置情報取得処理と、その取得された一の部分画像の位置情報及び他の部分画像の位置情報に基づき、一の部分画像と他の部分画像との副走査方向におけるずれ量を減少させる補正を行う画像補正処理と、を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取デバイスを原稿に対して相対的に移動させつつ、当該読取デバイスにより原稿の画像を読み取る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読取装置は、読取デバイスを原稿に対して一方向に移動させつつ原稿画像全体を一度に読み取って読取データを生成する構成である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−261648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対して、本願出願人は、読取デバイスを原稿に対して往復移動させつつ原稿画像を部分的に順次読み取って読取データを生成する画像読取装置について既に出願した(特願2010−267510号)。具体的には、当該画像読取装置では、読取領域を読取デバイスの移動方向に直交する方向において分割して形成された複数の単位領域が設定されている。そして、画像読取装置は、読取デバイスに、往路と復路とで互いに異なる単位領域内の原稿画像を読み取って、単位領域ごとの部分読取データを順次生成する。
【0005】
ところが、このような画像読取装置では、読取デバイスの往路移動と復路移動とで、例えば読取デバイスの移動機構のバックラッシュにより、読取デバイスの移動開始時点からの読取タイミングがずれることがある。その結果、往路移動時の部分読取データに基づく部分画像と、復路移動時の部分読取データに基づく部分画像とが副走査方向において互いにずれてしまうことがある。
【0006】
本明細書では、往路移動時の部分読取データに基づく部分画像と、復路移動時の部分読取データに基づく部分画像との副走査方向におけるずれを軽減する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される画像読取装置は、読取領域を有し、当該読取領域上に原稿が載置される原稿載置部と、前記読取領域上に載置された原稿の画像を読み取る読取デバイスと、前記読取デバイスを、当該読取デバイスの主走査方向とは異なる副走査方向に往復移動させる移動機構と、前記移動機構により前記読取デバイスを往路移動させ、前記読取領域を前記主走査方向において分割して形成された複数の単位領域のうち、一の単位領域の部分読取データを前記読取デバイスから取得し、前記移動機構により前記読取デバイスを復路移動させ、前記一の単位領域と隣接する他の単位領域の部分読取データを前記読取デバイスから取得する読取制御部と、前記一の単位領域の部分読取データに基づく一の部分画像の位置情報、及び、前記他の単位領域の部分読取データに基づく他の部分画像の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報取得部によって取得された前記一の部分画像の位置情報及び前記他の部分画像の位置情報に基づき、前記一の部分画像と前記他の部分画像との前記副走査方向におけるずれ量を減少させる補正を行う画像補正部と、を備える。
【0008】
上記画像読取装置では、前記位置情報取得部は、前記部分読取データに基づき、前記読取デバイスの移動方向における前記一の部分画像のエッジと、前記移動方向における前記他の部分画像のエッジとを検出し、その検出結果に基づき前記一の部分画像の位置情報及び前記他の部分画像の位置情報を取得してもよい。
【0009】
上記画像読取装置では、前記位置情報取得部は、前記往路移動方向における前記原稿のエッジの位置情報を取得し、前記往路移動期間では、前記原稿のエッジの位置情報に基づき、前記往路移動方向において、前記原稿の前側部分の読取時に、前記一の部分画像の前エッジを検出する処理を開始し、前記復路移動期間では、前記原稿のエッジの位置情報に基づき、前記復路方向において、前記原稿の前側部分の読取時に、前記他の部分画像の前エッジを検出する処理を開始してもよい。
【0010】
上記画像読取装置では、前記位置情報取得部は、前記往路移動期間では、当該往路移動方向における前記原稿の全長に亘って読み取っている間、前記往路移動方向における前記一の部分画像の前エッジを検出する処理を継続し、前記復路移動期間では、前記一の部分画像の前エッジの検出結果に応じて、前記復路移動方向における前記他の部分画像の後エッジを検出する処理の開始タイミングを変更してもよい。
【0011】
上記画像読取装置では、前記複数の単位領域には、前記一の単位領域である第1単位領域、前記他の単位領域である第2単位領域の他に、当該第2単位領域に隣接する第3単位領域が含まれ、前記読取制御部は、前記移動機構により前記読取デバイスを往路移動させて前記第3単位領域の部分読取データを取得し、前記位置情報取得部は、前記第1単位領域の前記往路移動期間における前記前エッジの検出結果に基づき、往路移動方向において、前記第3単位領域の部分画像の前エッジを検出する処理の開始タイミングを決定してもよい。
【0012】
上記画像読取装置では、前記位置情報取得部は、前記一の単位領域と前記他の単位領域との境界線と、前記エッジの近似直線との交点情報を、前記一の部分画像の位置情報として取得し、前記境界線と、前記エッジの近似直線との交点情報を、前記他の部分画像の位置情報として取得してもよい。
【0013】
上記画像読取装置では、前記画像補正部は、前記他の部分画像について前記一の部分画像の位置に近付ける補正を行う構成であり、前記部分画像をシートに印刷する印刷機構と、前記読取制御部が前記他の単位領域の部分読取データを取得し終わる前に、前記印刷機構に、前記一の部分画像の印刷を開始させる印刷制御部と、を備える構成でもよい。
【0014】
なお、この発明は、制御装置、画像読取方法、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、往路移動時の部分読取データに基づく部分画像と、復路移動時の部分読取データに基づく部分画像との副走査方向におけるずれを軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1に係るコピー機の概略構成を示す側面図
【図2】画像読取ユニットの上面図及び断面図
【図3】読取デバイスの側面図
【図4】読取領域の上面図
【図5】コピー機の電気的構成を示すブロック図
【図6】往路読取処理を示すフローチャート
【図7】復路読取処理を示すフローチャート
【図8】印刷処理を示すフローチャート
【図9】読取画像の補正前後の位置関係を示す模式図
【図10】実施形態2の往路読取処理を示すフローチャート
【図11】復路読取処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
実施形態1について、図1から図9を参照しつつ説明する。
【0018】
1.コピー機の外観構成
図1は、コピー機1の概略構成を示す側面図である。コピー機1は、画像読取装置の一例であって、画像読取ユニット2、印刷ユニット3及び操作ユニット4を備える。なお、以下の説明では、図1の紙面左側をコピー機1の前側とし、紙面上側をコピー機1の上側とし、紙面手前側をコピー機1の右側とする。
【0019】
(画像読取ユニットの構成)
コピー機1は、装置本体11を備えており、画像読取ユニット2は、その装置本体11の上部に設けられている。画像読取ユニット2は、原稿Mが載せられる原稿載置部12と、原稿載置部12に載せられた原稿Mの画像を読み取る読取デバイス13を有する。読取デバイス13は画像読取部の一例である。
【0020】
図2は、画像読取ユニット2の上面図、及び、その上面図のX−X破断面における断面図である。原稿載置部12は、枠体14、光透過部材15、原稿カバー16(図1参照)、白基準板17,18、及び、黒基準板19を有する。枠体14は、矩形状の開口部14Aが形成されており、この開口部14Aに光透過部材15が嵌められている。即ち、枠体14と光透過部材15とは隣接している。光透過部材15は、例えば透明なガラス板からなるプラテンガラスであり、この光透過部材15の表面領域内に、読取領域Hが設定されており、この読取領域H内に、原稿Mが読取対象面を下に向けた状態で載せられる。
【0021】
原稿カバー16は、その一端が、装置本体11に回動可能に設けられており、光透過部材15の表面を覆う閉じ位置と、当該表面から退避した開き位置(図1参照)とに変位させることができる。光透過部材15の左側には、白基準板18が配置され、当該白基準板18の左側に黒基準板19が隣接配置され、当該黒基準板19の左側に白基準板17が隣接配置されている。
【0022】
読取デバイス13は、CIS(Contact Image Sensor)を有する構成であり、複数の読取素子が前後方向、即ち主走査方向に沿って並んで配置されているとともに、その近傍に複数の光源が前後方向に沿って並んで配置されている。読取デバイス13は、移動機構20(図1参照)によって、白基準板17等及び光透過部材15の下側を、左右方向、換言すれば副走査方向に沿って往復移動可能である。
【0023】
具体的には、移動機構20は、左右方向に延びるガイド軸21及び図示しないモータを有し、このモータの駆動力により、読取デバイス13を、ガイド軸21に沿って、図2中の第1位置L1と第2位置L2との間を移動させることができる。以下、読取デバイス13が第1位置L1から第2位置L2に移動することを往路移動といい、読取デバイス13が第2位置L2から第1位置L1に移動することを復路移動という。読取デバイス13は、往路移動及び復路移動のいずれに移動しながらでも原稿Mを読み取ることができる。
【0024】
第1位置L1は、白基準板17と黒基準板19との境界部に対応する位置に設定されている。なお、後述するように、当該境界部は、読取デバイス13の左右方向における位置を検出するための基準マークQ1として機能する。また、白基準板18と黒基準板19との境界部は、読取デバイス13の前後方向における位置を検出するための基準マークQ2として機能する。
【0025】
また、第2位置L2は、読取領域Hから右方向に第1距離ΔLだけ移動した位置に設定されている。この第1距離ΔLは、読取デバイス13が往路移動しながら原稿Mを読み取る場合に、その読取の終了時点から読取デバイス13が停止するまでに必要な時間と、読取デバイス13の移動速度とに基づいて決定されている。
【0026】
図3に、読取デバイス13の右側面図であり、図4は、読取領域Hの上面図である。図3に示すように、読取デバイス13が有する複数のセンサは、前後方向において4個のグループG1〜G4に分割されている。各グループG1〜G4のセンサ群は、読取デバイス13が往路移動または復路移動する過程で、読取領域Hのうち当該グループの直下に位置する領域の画像のみを読み取る。以下、各グループの直下に位置する領域を、単位領域H1〜H4という。なお、図4の紙面下方向に向く矢印は、各グループGの主走査ラインを例示したものであり、白抜き矢印は、各単位領域H1〜H4の画像読取時における読取デバイス13の移動方向を示す。
【0027】
(印刷ユニットの構成)
印刷ユニット3は、図1に示すように、装置本体11の下部に設けられている。インクジェット方式または電子写真方式により、画像読取ユニット2が出力する印刷用読取データに基づく画像をシートNに印刷する。具体的には、印刷ユニット3は、トレイ30、搬送機構31、及び、印刷機構32を有する。32トレイ30は、複数のシートNを積層して収容することができる。
【0028】
搬送機構31は、供給ローラ33、搬送ローラ34を有し、図示しないモータによってこれらのローラ33,34を回転駆動する。供給ローラ33は、トレイ30に収容されたシートNを1枚ずつ搬送ローラ34側に送り出す。搬送ローラ34は、その送り出されたシートNを前方の印刷機構32へと搬送する。印刷機能32は、シートNを前方に送り出しつつ当該シートNに画像を印刷していく。ここで、図1,2に示すように、読取デバイス13の移動方向と、印刷機構32でのシート3の搬送方向とが相違するため、原稿Mの画像に対し、読取デバイス13の副走査方向と、印刷機構32によるシートNへの印刷方向とが相違する。同図に例示した構成では、両方向が互いに略直交している。
【0029】
(操作ユニットの構成)
画像読取ユニット2の前側には、操作ユニット4が設けられている。操作ユニット4は、操作パネル40、及び、図示しない表示装置を有する。操作パネル40は、複数のボタンを有し、ユーザにより各種の指示や設定の入力操作が可能である。表示装置は、ディスプレイやランプ等を有し、各種の設定画面や装置の動作状態等を表示することが可能である。
【0030】
2.コピー機の電気的構成
図5は、コピー機1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。コピー機1は、コピー機1の各部を制御する制御ユニット50を備える。制御ユニット50は、CPU51、ROM52、RAM53を有しており、これらがバス54を介して接続されているとともに、このバス54に読取デバイス13、印刷機構32、操作パネル40、移動機構20及び搬送機構31などが接続されている。
【0031】
ROM52には、後述するコピー処理など、コピー機1の各種動作を実行するためのプログラムが記憶されており、CPU51は、ROM52から読み出したプログラムに従って読取制御部、位置情報取得部、画像補正部等として機能し、各部の制御を行う。RAM53は、読取デバイス13から出力された読取データを記憶するバッファや、読取データから印刷データを生成する際の作業領域などとして使用される。
【0032】
3.コピー処理
図6は往路読取処理を示すフローチャートであり、図7は復路読取処理を示すフローチャートであり、図8は印刷処理を示すフローチャートである。これらの処理を実行するためのプログラムは、画像読取プログラムの一例である。また、図9は、往路読取処理及び復路読取処理で読み取られた読取画像の補正前後の位置関係を示す模式図である。同図中の符号P1〜P4は、読取デバイス13が、各単位領域H1〜H4内で読み取った原稿Mの部分画像である。
【0033】
原稿Mの画像をコピーする場合における制御ユニット50、具体的にはCPU51の制御内容について図6〜図9を参照しつつ説明する。ユーザが、原稿載置部12上に原稿Mを載せて、原稿カバー16を開き位置から閉じ位置にし、操作ユニット4にてコピー指示の入力操作をすると、CPU51は、上記プログラムを読み出してコピー処理を実行する。具体的には、制御ユニット50は、図6,7に示す往路読取処理及び復路読取処理と、図8に示す印刷処理とを並列的に実行する。
【0034】
(往路読取処理)
CPU51は、コピー処理を開始すると、まず往復カウント値Kを1に初期化し、図6に示す往路読取処理を実行する。往路読取処理では、CPU51は、移動機構20により読取デバイス13に往路動作を開始させる(S11)。そして、CPU51は、読取デバイス13から出力される白基準板17の読取データに基づきシェーディング補正等に必要な白基準データをRAM53に記憶し、黒基準板19の読取データに基づきシェーディング補正等に必要な黒基準データをRAM53に記憶する。
【0035】
また、CPU51は、読取デバイス13からの読取データに基づき上記基準マークQ1、Q2を検出したかどうかを判断する(S12)。CPU51は、基準マークQ1、Q2を検出すると(S12:YES)、その検出結果に基づき読取デバイス13の左右方向及び前後方向における現在位置を把握することができる。CPU51は、例えば内蔵タイマにより、基準マークQ1の検出時点から時間をカウントし始めて、そのカウント時間が第1基準時間に達したと判断すると(S13:YES)、読取デバイス13が、白基準板18と読取領域Hとの間の第3位置L3(図2参照)に到達したとみなす。
【0036】
そして、CPU51は、読取デバイス13のグループG1のセンサ群からの読取データを取得し始める(S14)。但し、CPU51は、次のS15のエッジ検索処理で原稿Mの左エッジを検出するまでは、取得した読取データを、一時的にはRAM53に記憶するが、印刷処理に使用する印刷用読取データとしては使用することなく、破棄したり、後続の読取データを上書きしたりしていく。なお、CPU51は、グループG1の読取データの取得中、他のグループG(K=2〜4)のセンサ群も投受光動作をさせつつ、同グループからの読取データを取得対象外としてもよいし、同グループのセンサ群の投受光動作自体をオフしてもよい。
【0037】
CPU51は、上記読取データの取得を開始した後、単位領域H1内において、原稿M、または、当該原稿Mの画像の左エッジを検出する処理を実行する(S15)。左エッジは、往路移動方向における原稿M等の後エッジである。具体的には、CPU51は、グループG1からの読取データに基づき、読取画像の濃度、または、各センサでの受光量が所定値以上変化する、読取画像上の位置を検出する。そして、CPU51は、その検出位置を、左エッジの位置とし、その位置情報を、単位領域H1内における左エッジデータとしてRAM53に登録し、本検出処理を終了する。なお、この検出処理には、様々な公知技術を利用することができる。
【0038】
CPU51は、上記検出処理を終了すると、上記左エッジデータに基づき、部分画像P1の左エッジの基準座標Y1を決定し、左エッジの位置情報としてRAM53に記憶する(S16)。このとき、CPU51は、位置情報取得処理を実行するコンピュータの一例であり、制御ユニット50は、位置情報取得部の一例である。
【0039】
具体的には、CPU51は、上記左エッジデータを参照して、グループG1のセンサごとの読取データに基づき検出された複数の左エッジ点Zの位置を、例えば最小2乗法等により直線近似する。そして、CPU51は、その近似直線W1上の点を基準座標Y1として決定する。これにより、複数の左エッジ点が左右方向においてばらつく場合でも、そのばらつきを抑制する位置に基準座標Y1を決定することができる。より具体的には、図9に示すように、CPU51は、近似直線W1と、部分画像P1の後辺W2との交点を、基準座標Y1として決定することが好ましい。後辺W2は、往路移動方向における部分画像P1の左辺である。なお、例えば、CPU51が、近似直線W1の中点を、基準座標Y1として決定する構成でもよい。
【0040】
CPU51は、基準座標Y1を決定すると、グループG1からの読取データを、基準座標Y1を基準とする印刷用読取データとして、RAM53に記憶し始める(S17)。即ち、CPU51は、読取デバイス13に、単位領域H1内の画像を読み取らせる読取制御処理を開始する。このとき、:CPU51は、読取制御処理を実行するコンピュータの一例であり、制御ユニット50は、読取制御部の一例である。
【0041】
CPU51は、読取制御処理を続行しつつ、基準マークQ1の検出時点からのカウント時間が第2基準時間に達したかどうかを判断する(S18)。CPU51は、当該カウント時間が第2基準時間に達したと判断すると(S18:YES)、読取デバイス13が第4位置L4に到達したとみなす。ここで、図2に示すように、この第4位置L4は、読取領域Hに載置された原稿Mの右エッジよりも所定距離だけ左寄りの位置に設定される。CPU51は、例えばコピー処理の実行前に、原稿Mの右エッジの位置情報を取得し、当該位置情報に基づき上記第2基準時間を設定する。なお、原稿Mの右エッジは、往路移動方向からみた場合における原稿Mの前エッジである。
【0042】
具体的には、CPU51は、例えばコピー処理の前に、プレスキャン処理により読取デバイス13に往路動作及び復路動作の少なくとも一方を実行させつつ、原稿Mの読取データから原稿Mの右エッジの位置情報を取得する。なお、CPU51が、原稿Mのサイズを検出するサイズセンサが検出したサイズ情報や、ユーザが操作ユニット4にて入力した原稿Mのサイズ情報に基づき原稿Mの右エッジの位置情報を取得する構成でもよい。
【0043】
CPU51は、カウント時間が第2基準時間に達したと判断すると(S18:YES)、単位領域H1内において、原稿M、または、当該原稿Mの画像の右エッジを検出する処理を実行する(S19)。即ち、CPU51は、原稿Mの右側部分の画像読取時に、右エッジを検出する処理を開始する。具体的には、CPU51は、グループG1からの読取データに基づき、読取画像の濃度、または、各センサでの受光量が所定値以上変化する、読取画像上の位置を検出する。そして、CPU51は、その検出位置を、右エッジの位置として仮決めし、その位置情報を、単位領域H1内における右エッジデータとしてRAM53に仮登録する。CPU51は、複数の仮登録した右エッジデータが複数存在する場合には、最後に仮登録した右エッジデータを本登録し、本検出処理を終了する。
【0044】
CPU51は、上記検出処理を終了すると、上記右エッジデータに基づき、部分画像P1の右エッジの基準座標Y2を決定し、右エッジの位置情報としてRAM53に記憶する(S20)。具体的には、CPU51は、上記右エッジデータを参照して、グループG1のセンサごとの読取データに基づき検出された複数の右エッジ点の位置を、例えば最小2乗法等により直線近似する。そして、CPU51は、その近似直線W3上の点を基準座標Y2として決定する。より具体的には、図9に示すように、CPU51は、近似直線W3と、部分画像P1の前辺W4との交点を、基準座標Y2として決定することが好ましい。前辺W4は、往路移動方向における部分画像P1の右辺である。なお、例えば、CPU51が、近似直線W3の中点を、基準座標Y2として決定する構成でもよい。
【0045】
CPU51は、基準座標Y2を決定すると、上記読取制御処理を終了し(S21)、その後、上記カウント時間が、その読取制御処理の終了時点から第3基準時間だけ増加したと判断すると(S22:YES)読取デバイス13の往路移動を停止させ(S23)、本往路読取処理を終了する。部分画像P1の右エッジを検出して直ぐに読取デバイス13の往路移動を停止すると、読取デバイス13の機械的振動等により読取データに悪影響を及ぼすおそれがある。このため、部分画像P1の右エッジを検出して直ぐに読取デバイス13の往路移動を停止することを避けることが好ましい。
【0046】
CPU51は、本往路読取処理を終了すると、往復カウント値Kが所定の上限値、本実施形態では4であるかどうかを判断し、4であれば復路読取処理に移行せずに画像読取に関する処理を終了し、読取デバイス13を、白基準板17等の下側の初期位置に戻す。CPU51は、往復カウント値Kが4未満であると判断した場合には、往復カウント値Kに1を加算し、復路読取処理に移行する。
【0047】
(復路読取処理)
図7に示すように、復路読取処理では、CPU51は、移動機構20により読取デバイス13に復路動作を開始させる(S31)と同時に、カウント時間をゼロに初期化してカウントを再開する(S32)。
【0048】
ここで、図9に示すように、往路移動時の部分画像P1、P3と、復路移動時の部分画像P2、P4とが副走査方向において互いにずれてしまうことがある。この位置ずれの要因の例は次の通りである。例えば、移動機構20のバックラッシュにより、カウント時間の再開タイミングに対して、復路動作の開始タイミングが遅れることにより位置ずれが生じることがある。また、読取デバイス13と移動機構20との連結部分の遊び等により、図2の断面図に示すように、往路動作と復路動作とでは読取デバイス13の姿勢が変位し、その結果、読取デバイス13が同じ位置にあっても、読取領域H上の読取位置がずれることにより位置ずれが生じることがある。
【0049】
CPU51は、カウント時間が第4基準時間に達したと判断すると(S33:YES)、読取デバイス13が第5位置L5(図2参照)に到達したとみなす。ここで、図2に示すように、この第5位置L5は、第2位置L2と読取領域Hとの間の位置に設定される。CPU51は、上記コピー処理の実行前に取得した原稿Mの右エッジの位置情報と、第2位置とに基づき第4基準時間を設定する。
【0050】
CPU51は、読取デバイス13が第5位置L5に到達したとみなすと、読取デバイス13のグループG2のセンサ群からの読取データを取得し始める(S34)。S34の処理と上記図6のS14の処理とは、対象のグループ及び単位領域が異なるのみで、これ以外は同じである。CPU51は、上記読取データの取得を開始した後、単位領域H2内において、原稿M等の右エッジを検出する処理を実行する(S35)。右エッジは、復路移動方向における原稿M等の後エッジである。S35の処理と上記図6のS15の処理とは、対象のグループ、単位領域及びエッジが異なるのみで、これ以外は同じである。
【0051】
CPU51は、上記検出処理を終了すると、当該検出処理でRAM53に登録された右エッジデータに基づき、部分画像P2の右エッジの基準座標Y3を決定し、右エッジの位置情報としてRAM53に記憶する(S36)。具体的には、CPU51は、上記右エッジデータを参照して、グループG2のセンサごとの読取データに基づき検出された複数の右エッジ点の位置を、例えば最小2乗法等により直線近似する。そして、CPU51は、その近似直線上の点を基準座標Y3として決定する。より具体的には、図9に示すように、CPU51は、近似直線W5と、部分画像P2の後辺W6との交点を、基準座標Y3として決定することが好ましい。後辺W6は、復路移動方向における部分画像P2の右辺である。なお、例えば、CPU51が、近似直線W5の中点を、基準座標Y3として決定する構成でもよい。
【0052】
CPU51は、基準座標Y3を決定すると、グループG2からの読取データを、基準座標Y3を基準とする印刷用読取データとして、RAM53に記憶し始める(S37)。即ち、CPU51は、読取デバイス13に、単位領域H2内の画像を読み取らせる読取制御処理を開始する。
【0053】
CPU51は、読取制御処理を続行しつつ、上記カウント時間が第5基準時間に達したかどうかを判断する(S38)。CPU51は、当該カウント時間が第5基準時間に達したと判断すると(S38:YES)、読取デバイス13が第6位置L6に到達したとみなす。ここで、図2に示すように、この第6位置L6は、原稿Mの左エッジよりも所定距離だけ右寄りの位置に設定される。CPU51は、上述したコピー処理の実行前に取得した原稿Mの右エッジの位置情報を取得し、当該位置情報に基づき上記第5基準時間を設定する。
【0054】
CPU51は、カウント時間が第5基準時間に達したと判断すると(S38:YES)、単位領域H2内において、原稿M等の左エッジを検出する処理を実行する(S39)。左エッジは、復路移動方向における原稿M等の前エッジである。S39の処理と上記図6のS19の処理とは、対象のグループ、単位領域及びエッジが異なるのみで、これ以外は同じである。
【0055】
CPU51は、上記検出処理を終了すると、その検出処理でRAM53に記憶された左エッジデータに基づき、部分画像P2の左エッジの基準座標Y4を決定し、左エッジの位置情報としてRAM53に記憶する(S40)。具体的には、CPU51は、上記左エッジデータを参照して、グループG2のセンサごとの読取データに基づき検出された複数の左エッジ点の位置を、例えば最小2乗法等により直線近似する。そして、CPU51は、その近似直線W7上の点を基準座標Y4として決定する。より具体的には、図9に示すように、CPU51は、近似直線W7と、部分画像P2の前辺W8との交点を、基準座標Y4として決定することが好ましい。前辺W8は、復路移動方向における部分画像P2の左辺である。なお、例えば、CPU51が、近似直線W7の中点を、基準座標Y4として決定する構成でもよい。
【0056】
CPU51は、基準座標Y4を決定すると、上記読取制御処理を終了し(S41)、読取デバイス13の読取データに基づき、当該読取デバイス13を、基準マークQ1の検出位置にまで移動させた後に、読取デバイス13の復路移動を停止させ(S42)、本復路読取処理を終了する。
【0057】
CPU51は、本復路読取処理を終了すると、往復カウント値Kが4であるかどうかを判断し、4であれば往路読取処理に移行せずに画像読取に関する処理を終了し、読取デバイス13を初期位置に戻す。一方、CPU51は、往復カウント値Kが4未満であると判断した場合には、往復カウント値Kに1を加算し、往路読取処理に移行する。
【0058】
その後、CPU51は、単位領域H3について往路読取処理を実行し、その際、近似直線W9と部分画像P3の後辺W10との交点を基準座標Y5とし、近似直線W11と部分画像P3の前辺W12との交点を基準座標Y6とする。次に、CPU51は、単位領域H4について復路読取処理を実行し、その際、近似直線W13と部分画像P4の後辺W14との交点を基準座標Y7とし、近似直線W15と部分画像P4の前辺W16との交点を基準座標Y8とする。以下、各部分画像P1〜P4の印刷用読取データ及び基準座標Y1〜Y8の位置情報とをまとめて読取情報ということがある。
【0059】
(印刷処理)
図8に示すように、印刷処理では、CPU51は、まず印刷カウント値Cを1に初期化し(S51)、部分画像P1の全読取情報の記憶が終了するまで待機状態になる(S52:NO)。そして、CPU51は、部分画像P1の全読取情報の記憶が終了すると(S52:YES)、部分画像P1の読取情報に基づき印刷データを生成し、当該印刷データに基づき部分画像P1の印刷処理を開始する(S53)。
【0060】
ここで、前述したように、コピー機1では、原稿Mの画像に対し、読取デバイス13の副走査方向と、印刷機構32によるシートNへの印刷方向とが相違する。しかし、CPU51は、上記往路読取処理及び復路読取処理により、読取デバイス13に往路動作と復路動作とを繰り返させて、4つの部分画像P1〜P4を順番に読み取らせる。このため、CPU51は、原稿Mの全画像の読取情報が記憶されるまで待つことなく、部分画像P1の読取情報の記憶が終了すれば、原稿Mの画像の印刷を部分的に開始することができる。即ち、原稿Mの画像の読取開始から、当該原稿Mの画像の印刷開始までの時間を短縮することができる。
【0061】
具体的には、CPU51は、部分画像P2の印刷用読取データの記憶を完了する前に、印刷機構32に、シートNへの部分画像P1の印刷を開始させることができる。しかも、RAM53内には、同時期に1つの部分画像の読取情報を記憶する領域を確保すれば済むため、RAM53として、比較的に記憶容量の小さい安価なメモリを利用することができる。
【0062】
CPU51は、部分画像P1の印刷処理を開始すると、印刷カウント値Cに1加算し(S54)、部分画像P2の全読取情報の記憶が終了するのを待つ(S55:NO)。そして、CPU51は、部分画像P2の全読取情報の記憶が終了すると(S55:YES)、部分画像P2の読取情報に基づき、当該部分画像P2について画像補正処理を実行する(S56)。このとき、CPU51は、画像補正処理を実行するコンピュータの一例であり、制御ユニット50は、画像補正部の一例である。具体的には、CPU51は、図9に示すように、部分画像P2について、その基準座標Y3を部分画像P1の基準座標Y2に略一致させる補正を行う。そして、CPU51は、補正後の読取情報に基づき印刷データを生成し、当該印刷データに基づき部分画像P2の印刷処理を開始する(S57)。これにより、シートN上に、部分画像P1とエッジが略一致した部分画像P2を印刷することができる。このとき、CPU51は、印刷制御処理を実行するコンピュータの一例であり、制御ユニット50は、印刷制御部の一例である。
【0063】
CPU51は、印刷カウント値Cが上限値、具体的には4でなければ(S58:NO)、S54に戻り、印刷カウント値Cが4であれば(S58:YES),本印刷処理を終了する。CPU51は、部分画像P3、P4についてもS55〜S57の処理を実行することにより、全ての部分画像P1〜P4を、互いのエッジが略一致した状態でシートNに印刷することができる。
【0064】
4.本実施形態の効果
本実施形態によれば、制御ユニット50により、一の単位領域の読取データに基づく一の部分画像と、他の単位領域の読取データに基づく他の部分画像との副走査方向におけるずれ量を少なくする画像補正処理が実行される。これにより、全ての部分画像P1〜P4を、互いのエッジが略一致した状態でシートNに印刷することができる。
【0065】
また、制御ユニット50により、左右方向における一の部分画像のエッジと他の部分画像のエッジとが検出され、その検出結果に基づき部分画像の位置情報が取得される。これにより、例えば移動機構20の経年変化や周囲環境変化によって上記ずれ量が変化しても、その変化に応じて部分画像同士のずれ量を精度よく減少させることができる。
【0066】
往路移動方向における部分画像P1、P3の前エッジの検出処理は、当該部分画像の後側部分の読取時に開始され、復路移動方向における部分画像P2、P4の前エッジの検出処理は、当該部分画像の後側部分の読取時に開始される。従って、部分画像の読取期間全長に亘ってエッジの検出処理を行う必要はない。
【0067】
<実施形態2>
図10,11は実施形態2を示す。実施形態1との相違は、画像読取に関する処理にあり、その他の点は実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
【0068】
図10は本実施形態の往路読取処理を示すフローチャートであり、図11は復路読取処理を示すフローチャートである。上記実施形態1では、原稿Mのサイズや右エッジの位置の正確な情報を予め取得できる場合に実行可能な構成を説明した。これに対し、本実施形態では、例えば原稿Mが非定形サイズである場合など、原稿Mのサイズや右エッジの位置の正確な情報を取得できない場合でも実行可能な構成である。
【0069】
具体的には、図10に示すように、最初の単位領域H1に対する往路読取処理では、CPU51は、S14で読取データの取得を開始した後、単位領域H1内において、原稿M、または、当該原稿Mの画像のエッジを検出する処理を開始する(S71)。なお、エッジの検出方法は、上記実施形態1のS15と同じである。CPU51は、最初にエッジを検出すると(S72:YES)、その検出位置を、左エッジの位置とし、その位置情報を、単位領域H1内における左エッジデータとしてRAM53に登録し(S73)、S16に進む。なお、このとき、原稿Mのサイズやエッジの正確な位置情報を取得していないため、CPU51は、エッジの検出処理を中止せずに続行する。
【0070】
CPU51は、上記左エッジを検出した後、新たなにエッジを検出すると(S74:YES)、そのエッジデータをRAM53に仮登録し(S75)、読取デバイス13からの読取データに基づき当該読取デバイス13が、読取領域Hの右エッジの検出位置に到達したかどうかを判断する(S76)。具体的には、例えばRAM53には、読取デバイス13が基準マークQ1の検出位置から読取領域Hの右エッジの検出位置に達するまでの移動時間が記憶されている。この移動時間は、例えば読取領域Hの左右方向における長さと読取デバイス13の移動速度とに基づき算出することが好ましい。CPU51は、基準マークQ1の検出時点からのカウント時間が当該移動時間に達したかどうかにより、読取デバイス13が、読取領域Hの右エッジの検出位置に到達したかどうかを判断する。
【0071】
CPU51は、読取デバイス13が、読取領域Hの右エッジの検出位置に到達していないと判断すれば(S76:NO)、S74に戻り、エッジの検出処理を続行する。一方、CPU51は、読取デバイス13が、読取領域Hの右エッジの検出位置に到達したと判断すれば(S76:YES)、仮登録されたエッジデータが複数ある場合には、最後に登録されたエッジデータを、原稿M等の右エッジデータとして本登録し、この本登録した右エッジデータに基づき、部分画像P1の右エッジの基準座標Y2を決定し、右エッジの位置情報としてRAM53に記憶する(S77)。なお、基準座標Y2の決定方法は、上記実施形態1のS20と同様である。
【0072】
CPU51は、上記読取制御処理を終了すると(S21)、カウント時間が、その読取制御処理の終了時点から第3基準時間だけ増加したと判断すると(S22:YES)読取デバイス13の往路移動を停止させ(S23)、本往路読取処理を終了する。
【0073】
図11に示すように、単位領域H2に対する復路読取処理では、CPU51は、カウント時間をゼロに初期化してカウントを再開した後(S32)、読取デバイス13が、原稿M等の右エッジの検出位置よりも右寄りの所定位置に達したかどうかを判断する(S81)。具体的には、既に、往路読取処理において原稿M等の右エッジデータがRAM53に記憶されている。このため、CPU51は、予め、S42での読取デバイス13の停止位置と原稿Mの右エッジの検出位置までの距離、読取デバイス13の移動速度、及び、上記第3基準時間に基づき、読取デバイス13が、停止位置から上記所定位置に到達するまでの第6基準時間を算出することができる。CPU51は、カウント時間が第6基準時間に達したかどうかに基づき、読取デバイス13が上記所定位置に到達したかどうかを判断する。
【0074】
CPU51は、読取デバイス13が上記所定位置に到達したと判断すれば(S81:YES)、読取データの取得を開始する(S34)。ここで、既に、往路読取処理において原稿M等の左エッジデータがRAM53に記憶されている。このため、CPU51は、S42での読取デバイス13の停止位置と原稿Mの左エッジの検出位置までの距離、読取デバイス13の移動速度に基づき、読取デバイス13が、原稿M等の左エッジよりも右寄りの位置に到達するまでの第7基準時間を算出することができる。従って、CPU51は、カウント時間が第7基準時間に達したかどうかに基づき読取デバイス13が上記右寄りの上記位置に到達したかどうかを判断することができる。そこで、CPU51は、カウント時間が第7基準時間に達したと判断した場合に(S82:YES)、エッジの検出処理を開始すれば、原稿M等の左エッジを検出することができる。
【0075】
これ以後の処理は、上記実施形態1の図6、図8と同じである。即ち、CPU51は、既に、単位領域H1に対する往路読取処理で取得した原稿M等の左エッジデータや右エッジデータに基づき、原稿M等のサイズやエッジの正確な情報を取得している。このため、CPU51は、当該情報に基づき、第2基準時間、第4基準時間、及び、第5基準時間を算出し、単位領域H3に対して図6に示す往路読取処理を実行し、単位領域H4に対して図7に示す復路読取処理を実行することができる。
【0076】
本実施形態によれば、予め、原稿M等のサイズやエッジの正確な位置情報を取得することなく、部分画像のエッジの検出を行うことができる。また、単位領域H1に対する往路読取処理で取得した原稿Mのサイズやエッジの情報を利用することにより、第2単位領域に対する復路読取処理において単位領域H2の全長に亘ってエッジの検出処理を続行することなく、部分画像P2の左エッジを検出する処理の開始タイミングを決定することができる。また、第3単位領域に対する往路読取処理において単位領域H3の全長に亘ってエッジの検出処理を続行することなく、部分画像P3の右エッジを検出する処理の開始タイミングを決定することができる。更に、第4単位領域に対する復路読取処理において単位領域H4の全長に亘ってエッジの検出処理を続行することなく、部分画像P4の左エッジを検出する処理の開始タイミングを決定することができる。
【0077】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0078】
(1)上記実施形態では、画像読取装置の一例として、画像読取機能及び印刷機能を有するコピー機1を例に挙げた。しかし、画像読取装置は、少なくとも画像読取機能を有すればよく、画像読取機能のみを有するスキャナ装置単体や、画像読取機能に加えて、印刷機能、ファクシミリ機能、画像表示機能、ネットワーク機能等の少なくともいずれか1つの機能を有する複合機でもよい。
【0079】
スキャナ装置単体の具体例としては、上記実施形態のコピー機1のうち、印刷ユニット3など、印刷機能に関する要素を備えない構成が挙げられる。この構成の場合、制御ユニット50は、上記印刷処理を実行せずに、各部分画像P1〜P4の印刷用読取データに基づき、各部分画像P1〜P4のエッジを一致させる補正処理をし、その補正後の画像データを、外部の画像形成装置に出力する構成が好ましい。画像形成装置には、印刷装置や、パーソナルコンピュータ等の表示装置等が含まれる。
【0080】
(2)上記実施形態では、画像読取装置の一例として、原稿Mの画像に対し、読取デバイス13の副走査方向と、印刷機構32によるシートNへの印刷方向とが相違するコピー機1を挙げた。しかし、画像読取装置は、これに限らず、原稿Mの画像に対し副走査方向と印刷方向とが略一致する構成でもよい。この構成の場合、印刷機構32とシートNとを前後方向において相対的に移動させる移動機構を備え、両者を相対的に往復移動させつつ各部分画像をシートNに印刷する構成が好ましい。
【0081】
(3)上記実施形態では、読取デバイスの一例として、CISを有する構成を例に挙げた。しかし、読取デバイスは、これに限らず、例えばCCD(Charge Coupled Drive Image Sensor)を有する構成でもよい。
【0082】
(4)上記実施形態では、読取領域Hは固定であった。しかし、例えば図6の画像読取処理の前に、プレスキャン処理により読取デバイス13に往路動作及び復路動作の少なくとも一方を実行させつつ原稿Mの画像の読取データに基づき原稿サイズを算出し、この算出された原稿サイズに応じて読取領域Hを広くしたり狭くしたりしてもよい。また、原稿Mのサイズを検出するサイズセンサが検出したサイズ情報や、ユーザが操作ユニット4にて入力した原稿Mのサイズ情報に応じて読取領域Hを広くしたり狭くしたりしてもよい。
【0083】
(5)上記実施形態では、読取領域Hが、4つの単位領域に分割された例を説明した。しかし、読取領域Hが、2,3、または5個以上に分割された構成でもよい。
【0084】
(6)上記実施形態では、画像読取プログラムの一例として、RAM28に記憶されたものを挙げた。しかし、画像読取プログラムは、これに限らず、ハードディスク装置、フラッシュメモリ(登録商標)などの不揮発性メモリや、CD−Rなどの記憶媒体などに記憶されたものでもよい。
【0085】
(7)上記実施形態では、CPU51は、複数のエッジ点の近似直線と、部分画像の側辺との交点を、基準座標として決定した。しかし、CPU51が、単に部分画像の側辺上の点を基準座標として決定したり、複数のエッジ点のうち、左右方向の両端に位置する2つのエッジ点の中心位置を基準座標して決定してもよい。
【0086】
(8)上記実施形態では、CPU51は、画像補正処理において、部分画像P1の右エッジと、部分画像P2の右エッジとを略一致させた。しかし、CPU51が、部分画像P1の左エッジと、部分画像P2の左エッジとを略一致させてもよい。同様に、CPU51が、部分画像P2の右エッジと、部分画像P3の右エッジとを略一致させ、部分画像P3の左エッジと、部分画像P4の左エッジとを略一致させてもよい。また、往路方向を左方向とし、復路方向を右方向としてもよい。
【0087】
(9)上記実施形態では、CPU51は、画像補正処理において、部分画像同士のエッジを一致させた。しかし、CPU51が、各部分画像の左右方向における中心点を算出し、部分画像同士の中心点を一致させる構成でもよい。
【0088】
(10)上記実施形態では、制御ユニット50は、1つのCPU26等を備える構成とした。しかし、制御ユニット50は、複数のCPUを備える構成や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハード回路を備える構成や、ハード回路及びCPUの両方を備える構成でもよい。例えば上記読取制御処理、位置情報取得処理、画像補正処理、印刷制御処理のうち少なくとも2つを別々のCPUやハード回路で実行する構成でもよい。
【符号の説明】
【0089】
1:コピー機 3:印刷ユニット 12:原稿載置部 13:読取デバイス 20:移動機構 32:印刷機構 50:制御ユニット 51:CPU H:読取領域 H1〜H4:単位領域 P1〜P4:部分画像 M:原稿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取領域を有し、当該読取領域上に原稿が載置される原稿載置部と、
前記読取領域上に載置された原稿の画像を読み取る読取デバイスと、
前記読取デバイスを、当該読取デバイスの主走査方向とは異なる副走査方向に往復移動させる移動機構と、
前記移動機構により前記読取デバイスを往路移動させ、前記読取領域を前記主走査方向において分割して形成された複数の単位領域のうち、一の単位領域の部分読取データを前記読取デバイスから取得し、前記移動機構により前記読取デバイスを復路移動させ、前記一の単位領域と隣接する他の単位領域の部分読取データを前記読取デバイスから取得する読取制御部と、
前記一の単位領域の部分読取データに基づく一の部分画像の位置情報、及び、前記他の単位領域の部分読取データに基づく他の部分画像の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部によって取得された前記一の部分画像の位置情報及び前記他の部分画像の位置情報に基づき、前記一の部分画像と前記他の部分画像との前記副走査方向におけるずれ量を減少させる補正を行う画像補正部と、を備える画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記位置情報取得部は、前記部分読取データに基づき、前記読取デバイスの移動方向における前記一の部分画像のエッジと、前記移動方向における前記他の部分画像のエッジとを検出し、その検出結果に基づき前記一の部分画像の位置情報及び前記他の部分画像の位置情報を取得する、画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記位置情報取得部は、前記往路移動方向における前記原稿のエッジの位置情報を取得し、前記往路移動期間では、前記原稿のエッジの位置情報に基づき、前記往路移動方向において、前記原稿の前側部分の読取時に、前記一の部分画像の前エッジを検出する処理を開始し、前記復路移動期間では、前記原稿のエッジの位置情報に基づき、前記復路方向において、前記原稿の前側部分の読取時に、前記他の部分画像の前エッジを検出する処理を開始する、画像読取装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記位置情報取得部は、前記往路移動期間では、当該往路移動方向における前記原稿の全長に亘って読み取っている間、前記往路移動方向における前記一の部分画像の前エッジを検出する処理を継続し、前記復路移動期間では、前記一の部分画像の前エッジの検出結果に応じて、前記復路移動方向における前記他の部分画像の後エッジを検出する処理の開始タイミングを変更する、画像読取装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像読取装置であって、
前記複数の単位領域には、前記一の単位領域である第1単位領域、前記他の単位領域である第2単位領域の他に、当該第2単位領域に隣接する第3単位領域が含まれ、
前記読取制御部は、前記移動機構により前記読取デバイスを往路移動させて前記第3単位領域の部分読取データを取得し、
前記位置情報取得部は、前記第1単位領域の前記往路移動期間における前記前エッジの検出結果に基づき、往路移動方向において、前記第3単位領域の部分画像の前エッジを検出する処理の開始タイミングを決定する、画像読取装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
前記位置情報取得部は、前記一の単位領域と前記他の単位領域との境界線と、前記エッジの近似直線との交点情報を、前記一の部分画像の位置情報として取得し、前記境界線と、前記エッジの近似直線との交点情報を、前記他の部分画像の位置情報として取得する、画像読取装置。
【請求項7】
請求項1〜6に記載の画像読取装置であって、
前記画像補正部は、前記他の部分画像について前記一の部分画像の位置に近付ける補正を行う構成であり、
前記部分画像をシートに印刷する印刷機構と、
前記読取制御部が前記他の単位領域の部分読取データを取得し終わる前に、前記印刷機構に、前記一の部分画像の印刷を開始させる印刷制御部と、を備える画像読取装置。
【請求項8】
読取領域上に載置された原稿の画像を読み取る読取デバイスと、前記読取デバイスを、当該読取デバイスの主走査方向とは異なる副走査方向に往復移動させる移動機構とを備える画像読取装置が有するコンピュータに、
前記移動機構により前記読取デバイスを往路移動させ、前記読取領域を前記主走査方向において分割して形成された複数の単位領域のうち、一の単位領域の部分読取データを前記読取デバイスから取得し、前記移動機構により前記読取デバイスを復路移動させ、前記一の単位領域と隣接する他の単位領域の部分読取データを前記読取デバイスから取得する読取制御処理と、
前記一の単位領域の部分読取データに基づく一の部分画像の位置情報、及び、前記他の単位領域の部分読取データに基づく他の部分画像の位置情報を取得する位置情報取得処理と、
前記位置情報取得処理にて取得された前記一の部分画像の位置情報及び前記他の部分画像の位置情報に基づき、前記一の部分画像と前記他の部分画像との前記副走査方向におけるずれ量を減少させる補正を行う画像補正処理と、を実行させる画像読取プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−26812(P2013−26812A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159545(P2011−159545)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】