説明

画像読取装置

【課題】 ランプ冷却のための手段において、ファンへの依存度を低減すること。
【解決手段】 従来ランプの冷却をファンのみに頼っていたが、熱伝導性物質を介してランプと第1ミラー台や装置のフレームと接続することによってランプの冷却を行うことで、ファン依存度を低減し、騒音や消費電力を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置における主に照明系の冷却機構に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像読取装置は、読み取る原稿と画像読取装置の読み取り部を相対的に動かすことによって画像を読み取っている。というのは、高解像度読み取り、および装置の小型化のために、一次元センサを採用しているからである。従って、画像の読み取り方式は、原稿を動かすか、読み取り部を動かすかの二種類に分けられ、また、原稿を自動で画像読取装置の読み取り面に導くか、手動で置くかの二種類の合計四種類の組み合わせができる。しかし、読み取り部を止めておいて手動で原稿を動かす方式は忠実な読み取りができないことが多いことから、この方式を除いた三種類が現在 多く採用されている方式である。各方式について、以下で簡単に説明する。
【0003】
まず、はじめに、画像読み取り面に原稿を手動で置き、読み取り部を動かして画像を読み取る方式(以下、本方式を「固定読み方式」と称する)について図2を参照しながら説明する。オペレータは原稿を抑えるためのADF:自動原稿供給装置501(圧板が付いたものもある)を開け、読み取る原稿505を原稿読み取り面に置き、読み取り開始の指令をすることによって、原稿の主走査方向508を読み取りセンサ506によって一次元的に読み取りつつ、主走査方向に直行した副走査方向507に走査することによって原稿全体の画像を読み取る。
【0004】
次に自動で原稿を供給し、原稿を一度停止させて読み取り部を動かすことによって画像を読み取る方式(以下、本方式を「ADF固定読み方式」と称する)について図3を参照しながら説明する。オペレータはADFに原稿を載置し(図3−(a))、読み取り開始の指令をすることによって、原稿はADFによって導かれ(図3−(b))、固定読みと同じように原稿読み取り部に原稿が置かれ、原稿の主走査方向を読み取りセンサによって一次元的に読み取りつつ、主走査方向に直行した副走査方向に走査することによって原稿全体の画像を読み取る(図3−(c))。
【0005】
第三に自動で原稿を供給し、読み取り部を固定して原稿を動かしながら画像を読み取る方式(以下、本方式を「流し読み方式」と称する)について図4を参照しながら説明する。オペレータはADFに原稿を載置し(図4−(a))、読み取り開始の指令をすると、読み取り側が所定の位置に移動して停止し、主走査方向を読み取りセンサを一次元的に読み取り(図4−(b))、ADFがそれと直行する副走査方向に原稿を移動させることによって原稿全体の画像を読み取る(図4−(c))。
【0006】
上記三方式に関し、固定読み方式は、原稿を読み取り面にオペレータが確認して置くことができるため、原稿の位置合わせミスが低減できることや、ADFの紙送り速度ムラに対して読み取り部の走査ムラは小さいことから高精度に画像を読み取ることができる利点がある。反面、原稿を読み取り面に置いて、読み取り部が画像読取装置の副走査方向を往復する運動が含まれることから、多くの原稿を連続して読み取るときには時間がかかる難点がある。
【0007】
ADF固定読み方式は、オペレータが原稿を読み取り面に置いたり、交換したりする作業を自動的に行うものであり、多くの原稿を連続して読み取るときには固定読み方式に比べて大幅に時間を短縮できる利点がある。一方、原稿の位置合わせに関して、精度・ばらつきは固定読み方式よりもやや劣る。
【0008】
流し読み方式は、ADF固定読み方式と同様にして、オペレータによる原稿の載置・交換作業を省くことができるので、多くの原稿を連続して読み取るときには時間を短縮することができる。さらに、ADF固定読み方式は原稿を給紙した後に画像読み取り部が装置内を往復運動するのに対して、本方式は原稿を給紙すると同時に画像を読み取るため、ADF固定読み方式に比べてさらに読み取り時間を短縮できる利点がある。しかしながら、ADF固定読み方式と同様にして、原稿位置あわせに関して精度・ばらつきが固定方式よりもやや劣ることに加えて、原稿を動かしながら画像を読み取るため、画質は読み取り部の副走査方向の走査能力には若干劣るADFの原稿搬送能力に依存し、一歩譲る面がある。
【0009】
実際の画像読取装置は、固定読み方式を標準的に備え、自動的に原稿を供給する方式を二方式から選択し、「固定読み方式+ADF固定読み方式」もしくは「固定読み方式+流し読み方式」としている場合が多い。最近の趨勢としては、読み取り枚数を向上させる観点から、「固定読み方式+流し読み方式」を採用する画像読取装置が増えてきている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−59531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した画像読取装置に於いて、原稿処理速度を高速化していくと、単位原稿あたりの光照射時間が減少する傾向にあり、これを補うため、照明ランプ光量を増加させることで必要光量を得ようとしてきた。さらに、読み取り枚数を上げるために、原稿間を狭めて給紙するため、照明ランプは連続点灯を強いられるようになってきた。これらがあいまって、照明ランプの温度上昇は従来に増して厳しくなる一方であった。
【0011】
このような問題に対して、例えば、画像読取装置に冷却ファンを設置し、装置内に強制対流を起こして冷却する手法が広く用いられている(図1参照)。
【0012】
しかしながら照明ランプの光量増加や連続点灯によってファンの冷却能力を上げざるをえなくなり、その結果、騒音悪化、消費電力増加の一途をたどっている。
【0013】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、ランプ冷却のための手段において、ファンへの依存度を低減できるような構成を提案することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明においては、画像読取装置において、ランプとそれを固定する部材(第1ミラー台)や画像読取装置のフレームなどに熱伝導物質を介して熱結合させることによって、熱源に対する熱容量を増加させ、温度上昇を低減させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に依れば、画像読取装置において、ランプを熱伝導物質を介してランプを固定する部材やフレームに熱結合させることによって温度上昇を抑制することができる。その結果、ファンによる冷却の依存度を下げることができ、騒音や消費電力を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に図面を参照して、この発明の好適な形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
【実施例1】
【0017】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0018】
まず始めに以下の説明で用いる第1ミラーユニットについて簡単に説明する。図5(a)は図1に示す第1ミラーユニット504を詳しく描いた図であり、図5(b)は(a)を上方から見た図である。ランプ601は両端のホルダ604A、604Bによって第1ミラー台602に固定されている。それに対向するように第1ミラー台602には、原稿面に直接届かない光を原稿面に戻すための反射笠603が固定されている。
【0019】
図6は第1の実施例を説明する説明図である。ランプの温度を抑制するために、ランプと第1ミラー台を熱伝導物質で熱結合させている(請求項1)。
【0020】
熱源のランプに対して熱伝導物質を介して第1ミラーユニットを接続させることによってランプ熱源に対する熱の負荷を増大させ(熱容量を増加させ)、温度上昇を抑制するものである。
【実施例2】
【0021】
図7を用いて第二の実施例について説明する。
【0022】
第1ミラーユニット625が、ある所定の位置に移動すると、画像読取装置のフレームに接続された熱伝導物質とランプが接触することによって、ランプの熱を熱伝導物質を介してフレームに逃がす構造である(請求項2)。
【0023】
流し読み方式で原稿を読み取るときには、ランプが連続点灯し、温度上昇が大きいことから、第1ミラー台が流し読み位置に移動したときにランプと熱伝導物質が接触する構造は非常に適する(請求項5)。
【0024】
流し読みに限らず固定読みの場合でも第1ミラーユニットが動きうる箇所に熱伝導物質を配することによってランプ冷却の効果を得ることができる。そして、例えば、ランプの点灯時間(請求項6)や第1ミラーユニットの走査速度(請求項7)毎に熱伝導物質に接触する時間を調整することで、効率的な冷却効果を得ることができる。
【0025】
本方式は、熱伝導性物質をフレーム側に取りつけることによって第1ミラーユニットが実施例1に対して軽くなり、第1ミラーユニット駆動のための負荷が低減されていることが特徴である。
【実施例3】
【0026】
図8を用いて第三の実施例について説明する。
【0027】
図8は、図6のランプと第1ミラー台に接続された熱伝導物質が、第1ミラーユニットがある所定の位置に移動したときにフレームに接続するような構造をとっている(請求項3)。
【0028】
本方式はランプと第1ミラーユニットは常に熱伝導物質で接続されているので常時ランプの温度抑制効果が得られ、かつ温度上昇が著しい場合には、さらにフレームにも接続して温度を抑制する構造になっている。
【0029】
流し読み方式で原稿を読み取るときには、ランプが連続点灯し、温度上昇が大きいことから、第1ミラー台が流し読み位置に移動したときにランプと熱伝導物質が接触する構造は非常に適する(請求項5)。
【0030】
流し読みに限らず固定読みの場合でも第1ミラーユニットが動きうる箇所に熱伝導物質を配することによってランプ冷却の効果を得ることができる。そして、例えば、ランプの点灯時間(請求項6)や第1ミラーユニットの走査速度(請求項7)毎に熱伝導物質に接触する時間を調整することで、効率的な冷却効果を得ることができる。
【実施例4】
【0031】
図9を用いて第四の実施例について説明する。
【0032】
図6はランプが常に熱伝導性物質を介して第1ミラー台に接続されているのに対して図9はフレームに接続される(請求項8、9)。多くの場合、フレームは第1ミラー台よりも熱容量が大きいために冷却の効果は大きい。しかし、ミラー台は原稿を読み取るために装置内を動くために伸縮可能な熱伝導物質を用いてランプとフレームを接続している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ファンによる強制冷却。
【図2】画像読取装置(固定読み方式の動作)。
【図3】ADF固定読み方式。
【図4】流し読み方式。
【図5】第1ミラー台の構造。
【図6】第1の実施例。
【図7】第2の実施例。
【図8】第3の実施例。
【図9】第4の実施例。
【符号の説明】
【0034】
491 冷却ファン
501 圧板、自動原稿供給装置(ADF)
502 画像読取装置本体
503 第二ミラーユニット
504 第一ミラーユニット
505 原稿
506 読み取りセンサ
507 副走査方向
508 主走査方向
601 ランプ
602 第1ミラー台
603 反射笠
604A、604B ランプホルダ
605 第1ミラーユニット
611 ランプ
612 第1ミラー台
613 反射笠
614 熱伝導物質
615 第1ミラーユニット
621 ランプ
622 第1ミラー台
623 反射笠
625 第一ミラーユニット
626 フレーム
627 原稿台ガラス
628 熱伝導物質
631 ランプ
632 第一ミラー台
633 反射笠
635 第1ミラーユニット
636 フレーム
637 原稿台ガラス
638 熱伝導物質
641 ランプ
642 第1ミラー台
643 反射笠
645 第1ミラー台
646 フレーム
647 原稿台ガラス
648 熱伝導物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプによって原稿を照明し、その反射光をセンスすることによって原稿の像を読み取る画像読取装置において、
ランプとそれに近接する部品とを熱伝導性の物質によって接続することを特徴とする。
【請求項2】
ランプによって原稿を照明し、その反射光をセンスすることによって原稿の像を読み取る画像読取装置において、
ランプを搭載する画像読取部がある所定の位置に移動すると装置のフレームに接続された熱伝導物質にランプが接触することを特徴とする。
【請求項3】
ランプによって原稿を照明し、その反射光をセンスすることによって原稿の像を読み取る画像読取装置において、
ランプとそれに近接する部品とを熱伝導性の物質によって接続し、かつ、その物質と熱的に結合された熱伝導性の物質が所定の位置に移動するとフレームに接触することを特徴とする。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の画像装置であり、記載の熱伝導物質は伸縮可能であることを特徴とする。
【請求項5】
請求項2乃至3に記載の画像読取装置であり、その画像読取装置は流し読み方式を採用し、前記所定の位置とは、流し読み方式で画像を読み取るときの流し読み位置であることを特徴とする。
【請求項6】
請求項2乃至3に記載の画像読取装置であり、ランプの点灯時間をもとにランプと熱伝導物質が接触する時間を決定することを特徴とする。
【請求項7】
請求項2乃至3に記載の画像読取装置であり、画像を読み取る走査速度によってランプと熱伝導物質が接触する時間を決定することを特徴とする。
【請求項8】
ランプによって原稿を照明し、その反射光をセンスすることによって原稿の像を読み取る画像読取装置において、
ランプとそれに近接する部品と、画像読取装置のフレームとを伸縮可能な熱伝導性物質で接続したことを特徴とする。
【請求項9】
ランプによって原稿を照明し、その反射光をセンスすることによって原稿の像を読み取る画像読取装置において、
ランプと、画像読取装置のフレームとを伸縮可能な熱伝導性物質で接続したことを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−191450(P2006−191450A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−2515(P2005−2515)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】