説明

画像読取装置

【課題】冷陰極管の無駄な点灯を軽減し長寿命化、省エネルギー化をなし得る画像読取装置を提供する。
【解決手段】冷陰極管5aを画像読取用の光源とする画像読取部1(11)と、所定時間を計時するタイマ部10aとを備えた画像読取装置Aにおいて、該装置の側面には、人体を検知する人体検知センサSが取り付けられており、上記冷陰極管が消灯している際に、上記人体検知センサが人体を検知すると、上記冷陰極管を点灯するとともに、上記タイマ部の作動を開始して上記所定時間を計時し、上記所定時間内は上記冷陰極管の点灯を保持する制御手段を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置やコピー機、或いは複合機等の画像読取装置であって、詳しくは画像読取用の光源として冷陰極管を備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ファクシミリ装置やコピー機、或いは複合機等の画像読取装置では、原稿を照射して読み取るための光源として、蛍光灯と比べて比較的寿命が長く輝度が高い冷陰極管(CFL)が用いられている。
しかしながら、冷陰極管は駆動用のインバータ回路を介して点灯する構成とし、消灯状態から冷陰極管の照度が所定値に達するまで、立ち上がり時間を要するという問題がある。またこの立ち上がり時間は、低温環境下では更に長くなる傾向にあり、立ち上がり時間を待たなければならないという使い勝手の悪さが問題となっていた。
そこでこの問題を解消するために、冷陰極管を点灯させ続けることが考えられるが、この場合、冷陰極管の照度は累計点灯時間に比例して低下していくため、冷陰極管の寿命は消灯制御されているものに比べて、短くなってしまう。また画像読取装置が、ファクシミリ機能を有している場合は、常時受信待機をしているため、該装置の電源を完全にオフにすることができず、消費電力を低減し省エネルギー化を図ることができなかった。
【0003】
下記特許文献1には、原稿が載置されるプラテンのプラテンカバーが閉じられてから所定時間が経過すると光源が消灯する画像読取装置が記載されており、これによれば、該装置の消費電力を少なくし、光源の長寿命化を図ることができる。
【特許文献1】特開2006−13834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1は、プラテンカバーの開閉が光源の消灯のトリガとなっているため、所謂フラットベッドスキャナ(FBS)機能を有する画像読取装置には有効であるが、フラットベッドスキャナ機能だけでなく、自動原稿送り装置(ADF)の機能と備えたものの場合は、プラテンカバーを開閉することなく画像の読取が可能であるので、上記効果を奏し得ないという問題点が残っていた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、使い勝手がよく、冷陰極管の無駄な点灯を軽減し長寿命化及び装置の省エネルギー化をなし得る画像読取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像読取装置は、冷陰極管を画像読取用の光源とする画像読取部と、所定時間を計時するタイマ部とを備え、該装置の側面には、人体を検知する人体検知センサが取り付けられており、上記冷陰極管が消灯している際に、上記人体検知センサが人体を検知すると、上記冷陰極管を点灯するとともに、上記タイマ部の作動を開始して上記所定時間を計時し、上記所定時間内は上記冷陰極管の点灯を保持する制御手段を備えていることを特徴とする。人体検知センサは、赤外線センサ等の公知の人体検知センサを用いることができる。
【0007】
本発明において、前記制御手段は、前記タイマ部における前記所定時間が経過すると、前記冷陰極管を消灯することを特徴とし、また前記制御手段は、前記人体検知センサにおいて、人体を検知する毎に、前記タイマ部における前記所定時間の計時をリセットすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像読取装置によれば、該装置の側面には、人体を検知する人体検知センサが取り付けられているので、人体の検知を適切に行いやすく、また、冷陰極管が消灯している際に、上記人体検知センサが人体を検知すると、冷陰極管を点灯するとともに、タイマ部の作動を開始して所定時間を計時し、所定時間内は冷陰極管の点灯を保持する制御手段を備えているので、人体を検知すると該装置を使用する可能性があるとして、冷陰極管を点灯するので、いざユーザが使用する際に冷陰極管が所定の照度に達するまで待つことがなく、使い勝手のよいものとすることができる。
【0009】
また本発明の制御手段は、タイマ部における所定時間が経過すると、冷陰極管を消灯するので、人体検知センサが所定時間の間、人体を検知しない場合は、ユーザがいないとして冷陰極管を自動的に消灯することにより、無駄な冷陰極管の点灯を防ぎ、冷陰極管の長寿命化を図ることができるとともに、冷陰極管を消灯することにより、装置の消費電力を軽減して省エネルギー化を図ることができる。
【0010】
更に本発明の制御手段は、人体検知センサにおいて、人体を検知する毎に、タイマ部における所定時間の計時をリセットし、リセットと同時に計時が再度開始するので、ユーザがいて使用する可能性があるにもかかわらず、冷陰極管が自動的に消灯してしまうことがなく、使い勝手のよいものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明の画像読取装置を備えた複合機の概略的縦断面図、図2(a)は同画像読取装置の画像読取部の模式的説明図、図2(b)は図2(a)におけるX部の拡大図、図3は同画像読取装置の制御ブロック図、図4は同画像読取装置における冷陰極管の点灯制御のフローチャート図である。
【0012】
図1の画像読取装置Aは、複写機能、ファクシミリ機能及びプリンタ機能を備えた所謂複合機を示しているが、複写機能の専用機であっても良い。図1における画像読取装置Aは、上方より画像読取部1、画像記録部2及び記録紙(用紙)の給紙部3がこの順序で高さ方向に積層された状態で構成されている。画像読取部1は、後述する光学式画像走査読取装置5(図2参照)を収納する読取装置筐体1aと、該読取装置筐体1aの上に開閉可能に装着された原稿押圧板1bとより構成される。原稿押圧板1bの上面には、原稿自動送り(ADF)用の原稿供給トレイ1c及びADF原稿の排出トレイ1dが上下に重なるよう設けられている。読取装置筐体1aの一側部には、画像読取装置Aの各機能を操作する為の操作パネル1eが形成され、この操作パネル1eの形成部側が本画像読取装置Aの前面側とされる。
【0013】
画像記録部2は、その記録部筐体2a内に電子写真方式等の記録装置及び記録紙の搬送装置(いずれも不図示)を内蔵し、給紙部3から1枚ずつ繰出された記録紙に、入力された画像情報に基づく画像の記録がなされる。画像記録がなされた記録紙は、記録部筐体2aの上面と読取装置筐体1aの下面との間に形成された記録紙の排出部2bに逐次排出堆積される。
そして画像記録部2の前面側側面には、人体を検知する赤外線センサ等、公知のセンサで構成される人体検知センサSが取り付けられている。該人体検知センサSの取り付け位置は、図例に限定されるものでなく、例えば画像読取部1の左右いずれかの側面に取り付けてもよく、要は画像読取装置A周辺の人の動線密度の高いところに向くよう取り付けられていればよい。図例のように画像読取装置Aの正面側側面に取り付ければ、画像読取装置A周辺の人体を検知しやすく望ましい。
【0014】
記録紙の給紙部3は、2段の記録紙給紙カセット4,4を備えているが、オプションユニットとして更にその段数を増やすことができるよう構成することも可能である。これら給紙カセット4は、画像読取装置Aの前面側より抜差し可能(所謂フロントローディング)とされ、装置の省スペース化が図られている。上記給紙カセット4における本体ケース(不図示)の前面側には把手部4aが形成され、抜差しが可能とされる。
【0015】
次に図2(a)、(b)に基づき画像読取部1において、どのようにして原稿の読み取りがなされるかについて説明する。図2(a)に示すように、画像読取部1は、読取装置筐体1aと、該読取装置筐体1aの上に開閉可能に装着された原稿押圧板1bとより構成される。読取装置筐体1aに収容されている画像走査読取装置5は、図2(b)に示すように、インバータ回路(不図示)を介して駆動する冷陰極管5aと、複数のミラー5b・・・と、集光レンズ5cと、CCD(電荷結合素子)5dとよりなり、これらがユニット化されている。そして該画像走査読取装置5は、キャリッジ(不図示)上に搭載され、白抜矢示方向に往復水平移動する走査体である。尚、ここでは3枚のミラー5bで構成されたものを示しているがこれに限定されるものではない。
【0016】
まず読取装置筐体1aの上面のプラテンガラス2ba上に置かれた原稿D1を読み取る場合(FBSの場合)は、画像走査読取装置5は、待機位置P1からP2位置へプラテンガラス2baの下面を平行に走行する。この走行の間、冷陰極管5aからの照射光は、原稿D1によって反射され、更に所定位置に配された各ミラー5bによって反射を繰り返し、集光レンズ5cで集光されCCD5dに入光する(1点鎖線の光路参照)。CCD5dではその受け取った光の情報を画像処理部(不図示)へ電気的に受け渡し、画像処理部でそれをデジタル信号化することにより、原稿D1の画情報を読み取っている。
【0017】
また、ADF原稿D2を読み取る場合は、画像走査読取装置5がP3位置に移動してこの位置で静止し、ADF用の原稿給紙トレイ1c上に置かれたADF原稿D2がADF装置6により矢印のように給送される間、冷陰極管5aからの照射光は、ADF原稿D2によって反射され、所定位置に配された各ミラー5bによって反射を繰り返し、集光レンズ5cで集光されCCD5dに入光する(1点鎖線の光路参照)。CCD5dではその受け取った光の情報を画像処理部(不図示)へ電気的に受け渡し、画像処理部はそれをデジタル信号化することにより、ADF原稿D2の画情報を読み取っている。そして読み取られたADF原稿D2は、排出トレイ1dに排出される。
【0018】
図3は、原稿読取装置Aの内部構成を示すブロック図である。
10はCPU等で構成され、以下の各部を制御する制御部、10aは予め設定された所定時間を計時するタイマ部、11(1)はセットされた原稿から画情報を読み取る画像読取部、12(1e)は液晶ディスプレイ、LED、各種操作キー等を備え、各機能を操作する操作表示部、13は画情報の符号化、復号をするコーデック、14は信号線N(通信ケーブル)を介してパソコンなどの外部情報端末を接続し、その外部情報端末との間で信号を伝送するための外部インターフェース部、Sは上述の人体検知センサ、15は各種データを記憶するためのRAM、16は制御プログラムなどを予め記憶したROM、17は電話回線Lにダイヤル信号を送出し、電話回線Lに対する接続制御を行うNCU、18はファクシミリ通信を行うために信号の変調と復調を行うモデムである。なお、通信手段は、この構成には限定されず、モデム18やNCU17などを備えずに、DSU(不図示)を介して、ISDN回線(デジタル回線)等に接続される構成であってもよい。また上記タイマ部10aの所定時間は、操作表示部12(操作パネル1e)で操作することにより、ユーザ側で使用頻度等に応じて設定変更するものとしてもよい。
【0019】
画像読取装置Aは、冷陰極管5aが消灯している際に、画像記録部2の前側面に取り付けられた人体検知センサSが人体を検知すると、冷陰極管5aを自動的に点灯するとともに、タイマ部10aの作動を開始して所定時間を計時し、所定時間内は冷陰極管5aの点灯を保持する制御手段を備えている。
これによれば、人体を検知すると該装置を使用する可能性があるとみなして、冷陰極管5aを自動的に点灯するので、いざユーザが使用する際に冷陰極管5aが所定の照度に達するまで待つことなく、使い勝手のよいものとすることができる。
【0020】
またタイマ部10aにおける所定時間が経過すると、自動的に冷陰極管5aを消灯する制御手段を備えている。
これによれば、人体検知センサSが所定時間の間、人体を検知しない場合は、ユーザがいないとして冷陰極管5aを自動的に消灯することにより、無駄な冷陰極管5aの点灯を防ぎ、冷陰極管5aの長寿命化を図ることができるとともに、冷陰極管5aを消灯することによって、装置の消費電力を軽減し、省エネルギー化を図ることができる。
【0021】
更に、人体検知センサSにおいて、人体を検知する毎に、タイマ部10aにおける所定時間の計時をリセットする制御手段を備えている。
これによれば、人体を検知する毎に計時が開始されるから、ユーザがいて使用する可能性があるにもかかわらず、人体検知後の所定の計時時間が経過し、冷陰極管5aが自動的に消灯してしまうことがなく、使い勝手のよいものとすることができる。
【0022】
図4は上記一連の動作の一例をフローチャート(100〜106)に示したものである。
冷陰極管5aが消灯している状態で、人体検知センサSが人体を検知すると(100)、冷陰極管5aを自動的に点灯し(101)、タイマ部10aにおける計時を開始する(102)。タイマ部10aが所定時間を計時している間に、人体検知センサSが人体を検知すると、タイマ部10aでは所定時間の計時をリセットして(106)、再び始めから所定時間の計時を行う(102)。人体検知センサSによって人体が検知されることなく、タイマ部10aにおける所定時間が経過すると、自動的に冷陰極管5aを消灯する(105)。
【0023】
これによれば、画像読取部1において読み取りが行われたか等にかかわらず、冷陰極管5aの点灯制御がなされるので、冷陰極管5aを備えていれば、ADF機能、FBS機能等、画像読取部1の読み取り機能を問わず、あらゆる画像読取装置に採用することができる。
また、設置環境や使用頻度に左右されず、人体の検知があるか否かをトリガとして冷陰極管5aの点灯制御がなされるので、使い勝手のよいものとすることができる。
更に、例えば夜間やオフィスの休日等において、人体の検知がなければ、自動的に冷陰極管5aを消灯させた状態とできるので、冷陰極管5aの長寿命化が図れるとともに、ファクシミリ受信待機のため、画像読取装置Aの電源を完全にオフにすることができなくても、消費電力を低減し省エネルギー化を図ることができる。
【0024】
尚、冷陰極管5aを含む画像走査読取装置5の構成は、図2に示すものに限定されるものではなく、図1に示す装置本体の構成もこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の画像読取装置を備えた複合機の概略的縦断面図である。
【図2】(a)は同画像読取装置の画像読取部の模式的説明図、(b)は図2(a)のX部の拡大図である。
【図3】同画像読取装置の制御ブロック図である。
【図4】同画像読取装置における冷陰極管の点灯制御のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0026】
A 画像読取装置(複合機)
1(11) 画像読取部
10a タイマ部
S 人体検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷陰極管を画像読取用の光源とする画像読取部と、所定時間を計時するタイマ部とを備えた画像読取装置において、
該装置の側面には、人体を検知する人体検知センサが取り付けられており、
上記冷陰極管が消灯している際に、上記人体検知センサが人体を検知すると、上記冷陰極管を点灯するとともに、上記タイマ部の作動を開始して上記所定時間を計時し、上記所定時間内は上記冷陰極管の点灯を保持する制御手段を備えていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御手段は、前記タイマ部における前記所定時間が経過すると、前記冷陰極管を消灯することを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記制御手段は、前記人体検知センサにおいて、人体を検知する毎に、前記タイマ部における前記所定時間の計時をリセットすることを特徴とする画像読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−252572(P2008−252572A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91795(P2007−91795)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】