説明

画像読取装置

【課題】
従来の画像読取装置において、画像読取を開始するまでには情報処理部のOS(オペレーティングシステム)の起動と、画像読取装置の制御プログラムの該OS上での起動が必要であった。OSの起動には時間がかかるため、ユーザは画像読取可能になるまで待機する必要があった。
【解決手段】
情報処理部がOS及び制御プログラムの起動処理を行っている期間に、ユーザを待たせることなく画像取得部が画像読取を行うようにした。これにより、OS及び制御プログラムの起動処理の完了後に、すみやかに画像を外部装置へ転送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿から画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークスキャナと呼ばれる、読取った画像データをネットワーク経由でサーバやクライアントPC等に転送する画像読取装置が普及してきている。ネットワークスキャナは画像を読取るための画像読取部と、画像読取部へ解像度や用紙サイズ等の画像読取設定についての読取指示,画像読取部が読取った画像データの画像処理,サーバやクライアントPCに画像データを転送する等の情報処理を行う情報処理部で構成されている。
【0003】
従来のネットワークスキャナにおいて、情報処理部でのOS(オペレーティングシステム)の起動処理が終わった後、当該OS上でOSのアプリケーションとして画像読取装置を制御するための各種のプログラムを実行するまでは、画像読取が開始できる状態にはならなかった。情報処理部でのOSの起動処理にはある程度の時間がかかるため、電源を投入してから画像読取可能になるまでに時間待ちをすることが必要であった。
【0004】
そのため、OSの起動時間に起因する待ち時間の短縮案としてOSの起動時間そのものを短縮するため、通常にOSを立ち上げる電源ONボタンの他に、高速にOSを立ち上げるクイックボタンを設けた装置がある。クイックボタンが押された場合は、OS起動に最低限必要な処理以外の処理(各デバイスの初期化処理等)をスキップすることでOSの起動時間を短縮している(例えば特許文献1参照)。
【0005】
OSの起動時間に起因する待ち時間の、別の短縮方法を採用した装置として、基本OSの他に機能限定した専用の簡易OSをインストールしておき、ユーザが簡易OSを選択することで待ち時間を短縮できるようにした装置がある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−252329
【特許文献2】特開2007−323670
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示されているような起動時間の短縮方法では必要最少限のデバイス以外のデバイスの起動処理等を省くだけであり、ハードディスク等の記憶装置にインストールされたOSの起動時間を省くことができないため、起動処理にかかる時間の短縮の効果は限定される。
【0008】
また、ネットワークスキャナのような組込みOSで制御される機器では、当該機器が有していないデバイスに対するOS内の不要な処理ルーチンが予め削られているため、OSの起動時間を短縮する余地はほとんどない。
【0009】
更に、電源ONボタンとクイックボタンとの二つのボタンを設け、2種類のOSを選択的に起動する装置では、コストアップが問題となる。
【0010】
また、特許文献2に開示されているような機能の限定された簡易OSを用いることで、OSの起動時間を短縮する方法は、ネットワークスキャナのような情報処理部による高度の処理を必要とする機器においては、簡易OSが機能を全うできないため、採用することはできない。
【0011】
また、OSを2種類用意する方法では、大容量のハードディスク等の記憶装置が必要となるため、さらにコストが増加してしまう。
【0012】
本発明は、この点に着目してなされたものであり、起動時の待ち時間を短くすることができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の画像読取装置は、画像の読取を行うことにより画像データを取得する画像読取手段と、前記画像読取手段から前記画像データを受信し、外部に送信する情報処理手段を有する画像読取装置であって、前記画像読取装置の起動時に、前記情報処理手段にてオペレーティングシステムの起動処理を行うとともに、該オペレーティングシステムの起動処理を行っている間に、前記画像読取手段による画像読取を並行して実行可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上述したように本発明の画像読取装置は、情報処理手段のOSの起動処理と並行して画像読取を行うため、ユーザはOSの起動処理の完了を待つことなく画像読取を開始させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明の第1の実施形態の画像読取装置における起動時の動作を説明するフローチャートである。
【図1B】本発明の第1の実施形態の画像読取装置における起動時の動作を説明するフローチャートである。
【図2】本発明の第1、第2の実施形態の画像読取装置における画像読取装置の電気的接続を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の画像読取装置におけるスプラッシュ画面の一例を示す図である。
【図4】本発明の第3、第4の実施形態の画像読取装置における起動時の動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第3、第4の実施形態の画像読取装置における画像読取装置の電気的接続を示すブロック図である。
【図6】本発明の画像読取装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図1A、図1B、図2〜6に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の第1の実施形態における起動時の動作を説明するフローチャート、図2は本発明の第1の実施形態における画像読取装置の電気的接続を示すブロック図である。第1の実施形態における画像読取装置の外観は、本発明の後述の第3、第4の実施形態における画像読取装置の外観の斜視図である図6から、ユーザ識別センサ535を除去したものと同等である。
【0018】
本実施形態の画像読取装置201の内部構成は、画像読取手段である画像取得部202と情報処理手段である情報処理部203とが別々のユニットであり、両者がUSB等の規格に準拠した内部のI/Fを介して接続されているようになっている。
【0019】
まず、画像取得部202について説明する。画像取得主制御部206は例えばCPU等の制御用素子により制御を実行する制御部である。画像取得主制御部206は画像読取センサ光源208,画像読取センサ209,A/D変換器210を制御し画像データを取得して、SDRAM211へ画像データを一時格納し、またSDRAM211へ格納された画像データをIF制御部217へ転送する画像制御部216と、上述のIF制御部217を備えており、情報処理部203の情報処理主制御部218と画像データや制御コマンド等の通信を行うとともに、ROM207に格納されたプログラムに基づき、画像制御部216,I/F制御部217や,後述の給紙モータ213,搬送モータ214,画像読取位置検知センサ215を制御する。
【0020】
ROM207は画像取得主制御部206の制御用のプログラムを格納したメモリである。原稿に光源208から照射された光は、原稿で反射されて画像読取センサ209へ入射し、アナログの画像信号に変換される。A/D変換器210は画像読取センサ209から送られてきたアナログの画像信号をデジタル画像データに変換し、画像制御部216に画像データを送る。
【0021】
SDRAM211は画像制御部216が取得した画像データを記憶する記憶手段及び、画像取得主制御部206のプログラムの一部を一時格納ため等の作業用メモリとして働く。給紙モータ213からは原稿を給紙する駆動力が供給される。搬送モータ214からは原稿を搬送する駆動力が供給される。画像読取位置検知センサ215を用いて原稿の先端や後端を検知して、画像読取のタイミングを取ることが可能である。
【0022】
次に、情報処理部203について説明する。情報処理主制御部218はパーソナルコンピュータ等の情報処理装置に用いられる汎用のOSによって制御されるマイクロコンピュータの主制御部である。メモリモジュール219は情報処理主制御部218の作業用領域となるSO−DIMM等のモジュールである。ROM220は情報処理主制御部218の起動プログラムを記憶したメモリである。記憶装置制御ユニット(外部装置接続手段)221は情報処理主制御部218と後述の記憶装置222間の入出力データを制御するためのユニットである。記憶装置222はOSやアプリケーションプログラム等を記録する、HDDや大容量ROM等の記憶装置である。
【0023】
LAN制御部(ローカルエリアネットワーク接続手段)223は後述のLAN(ローカルエリアネットワーク)236を介して、サーバコンピュータ,クライアントコンピュータ等の不図示の外部装置へ画像データ,制御コマンド等のデータ通信を行うための制御を実行する。
【0024】
電源SW226は画像読取装置201を起動するためのスイッチである。操作入力装置225はタッチパネル等のユーザ操作を入力するための入力装置である。操作入力制御ユニット228は操作入力装置225におけるユーザによる機能設定や入力操作に応じた入力信号データを情報処理主制御部218へ送信するユニットである。表示装置230はLCD等であり各種表示を行う。表示制御ユニット229は情報処理主制御部218より出力された画像表示信号に基づき、表示装置230に出力画像を表示させるための駆動信号を出力する。
【0025】
LAN236はサーバコンピュータ,クライアントコンピュータ等の不図示の外部装置へ接続するためのネットワークである。外部メディア237は画像データを記録するためのリムーバブルディスクやUSBメモリ等の着脱可能な記憶メディアである。
【0026】
以下に起動時の動作について図1のフローチャートに基づき説明する。まず、情報処理部203の動作について説明する。
【0027】
ユーザが電源SW226を押下することにより電源が投入されると、画像読取装置201の情報処理主制御部218はステップS101にてROM220に記憶した起動プログラムに基づき、OS等のプログラムを記憶装置222からメモリモジュール219にロードする。またロードしたOSの起動処理を実行する。これに並行して、画像取得主制御部206はステップS151にてROM207に記憶されている所定のプログラムをロードして起動させることで、ステップS152〜S158までの処理を実行する。
【0028】
上記ステップS101でのOS起動が完了した後、ステップS102にて情報処理主制御部218はOSのアプリケーションプログラムとして、画像読取処理のための読取処理プログラムや外部へ画像を転送する処理のための転送プログラム等の制御プログラムを起動させる。
【0029】
ステップS102にて制御プログラム起動後、ステップS103にて情報処理主制御部218は画像取得主制御部206から送信された後述の画像読取完了通知を受信するまで待つ。画像読取完了通知を受信すると(ステップS103にてYES)、ステップS104にて情報処理主制御部218は画像読取主制御部206に対し、読取画像データを転送するように指示を行う。
【0030】
ステップS104にて情報処理主制御部218が画像読取主制御部206に対し、読取画像データの転送指示を行うとともに送信された読取画像データの受信を行う。画像取得部主制御部206から送信された全ての読取画像データの受信を完了したと情報処理主制御部218が判断すると(ステップS105にてYES)、ステップS106にて情報処理主制御部218は受信した読取画像データにエッジ強調処理や画像圧縮等の画像処理を行うとともに、LAN制御部223,LAN236を介しての不図示の外部装置への送信又は、外部メディア237への読取画像データの送信を実行する。
【0031】
ステップS106における画像処理及び画像転送の実行後、ステップS107にて情報処理主制御部218はユーザが操作パネル部204にあるタッチパネル等の操作入力装置225により画像読取装置201に対し画像読取要求を行うまで待つ。ステップS107にて情報処理主制御部218にユーザから画像読取要求が行われると、ステップS108にて情報処理主制御部218は画像取得部206に対し、画像読取を実行するように指示を行う。
【0032】
ステップS108にて情報処理主制御部218が画像読取指示を行うと、ステップS109にて情報処理主制御部218は画像取得部主制御部206から送信された読取画像データの受信が完了されるまで待つ。ステップS109にて情報処理主制御部218が画像取得部主制御部206から送信された読取画像データの受信を完了すると、再度ステップS106にて情報処理主制御部218は画像処理及び画像転送を行い、ステップS107にて情報処理主制御部218はユーザから画像読取要求が行われるのを待つ。
【0033】
次に、画像取得部202の動作について説明する。ユーザが電源SW226を押下することにより画像読取装置201に電源が投入され、ステップS151にて画像取得主制御部206はROM207に記憶された制御プログラムを起動させる。なお、このとき情報処理主制御部218は前述したようにステップS101にてOSを起動させる処理を並行して行っている。
【0034】
画像取得主制御部206の制御プログラム起動の後、該制御プログラムを実行することでステップS152にて画像取得主制御部206は給紙モータ213,搬送モータ214,画像読取センサ光源208,A/D変換器210等を駆動して画像読取を開始し、読取画像データをSDRAM211に一時保管する。この自動読取処理において、原稿台上に載置された原稿束は全て読み取っておくことが好適である。
【0035】
なお、この自動読取処理における解像度やカラー/白黒/誤差拡散/カラー白黒自動判別等の読取モードの選択,片面/両面/自動(白紙をスキップする)の読取面選択,A4/A5/自動サイズ等の読取サイズの選択のような各種の画像読取条件設定情報をROM207に記憶できるように構成し、それに基づき画像読取を行うことが好適である。または、白黒、300dpi、片面読取、A4のような最も使用頻度の高い画像読取条件で自動読取処理を行うようにしてもよい。
【0036】
また、ユーザが以前の読取処理プログラムの起動時に任意に設定を行った画像読取設定値,読取処理プログラム上で最後に画像読取を行ったときの画像読取設定値,読取処理プログラムのデフォルトの画像読取設定値,読取処理プログラムで最も多用された画像読取設定値等のいずれを自動読取処理に使用してもよい。また、最大の解像度/最大の読取サイズ/カラー/両面のようにデータ量が最も多くなる画像読取設定値でスキャンを行い、不要なデータの削除やデータ量の低減を後で行ってもよい。
【0037】
ステップS152にて画像読取主制御部206が各部分を制御して画像読取処理を行う。次に、画像読取主制御部206は給紙モータ213,搬送モータ214が駆動し続けた状態で画像読取検知センサ215が原稿を一定時間検知できなかった場合(ステップS153aにてYES)、ステップS153bで給紙モータ213,搬送モータ214,画像読取センサ光源208,A/D変換器210の駆動を停止して画像読取を完了するとともに、読取完了を情報処理主制御部218に通知する。
【0038】
ステップS154にて画像読取主制御部206は情報処理主制御部218から読取画像データの転送指示があるまで待つ。ステップS154にて画像読取主制御部206が情報処理主制御部218から読取画像データの転送指示を受信すると、ステップS155にて画像読取主制御部206はSDRAM211に一時保管していた読取画像データを情報処理主制御部218へ転送する。
【0039】
ステップS155にて画像読取主制御部206が読取画像データを情報処理主制御部218へ転送後、ステップS156にて画像読取主制御部206は情報処理主制御部218から画像読取を開始する指示を待つ。ステップS156にて画像読取主制御部206が情報処理主制御部218から画像読取指示を受信すると、ステップS157にて画像読取主制御部206は給紙モータ213,搬送モータ214,画像読取センサ光源208,A/D変換器210を駆動して画像読取を開始し、読取画像データをSDRAM211に一時保管する。
【0040】
ステップS157にて画像読取主制御部206の制御により画像読取を開始させた後、ステップS158aにて画像読取主制御部206は給紙モータ213,搬送モータ214が駆動し続けた状態で画像読取検知センサ215が原稿を一定時間検知できなかった場合、ステップS158bにて給紙モータ213,搬送モータ214,画像読取センサ光源208,A/D変換器210の駆動を停止し画像読取を完了するとともに、読取画像データを情報処理装置218へ転送し、再びステップS156に戻って画像読取主制御部206は情報処理主制御部218からの画像読取を開始する指示を待つ。
【0041】
以上のように本実施の形態では、情報処理部がOSプログラム及び各種の制御用のプログラムの起動処理を行っている期間に画像取得部が画像読取を行っておくので、OS及び読取処理プログラム等の起動を完了した時点で、すみやかに画像を外部装置へ転送することができる。このように構成されているので、ユーザはOS等の起動にかかる時間を待つことなく、画像読取を開始させることができる。上記に加え、本実施の形態では外部に送信する情報処理手段として、ローカルエリアネットワークとのデータ通信を行うローカルエリアネットワーク接続手段及び外部装置とデータ通信を行う外部装置接続手段の少なくとも一方を備えているため、容易に画像を外部装置へ転送することができる。
【実施例2】
【0042】
第2の実施形態は上記第1の実施形態の構成に加え、OSや読取処理プログラム等の起動が完了するまでの期間に表示するスプラッシュ画面と呼ばれる起動画面の中に画像読取を行う際の読取設定を表示するように構成している。図3は本発明の第2の実施形態におけるスプラッシュ画面を例示する図である。このスプラッシュ画面を表示させる制御は、ROM220に記憶されている所定のプログラムを、情報処理主制御部218がロードして起動させることにより実行される。なお表示装置を画像取得主制御部206が制御するように変更しスプラッシュ画面を表示させるようにしてもよい。この場合、画像取得主制御部206がROM207に記憶されている所定のプログラムをロードして起動させて、スプラッシュ画面を表示させてもよいし、ステップS152〜S158までの処理を実行するプログラムがスプラッシュ画面を表示する機能を有していてもよい。
【0043】
以上のように本実施の形態では、情報処理部がOS及び読取処理プログラム等の制御プログラムの起動処理を行っている際に表示されるスプラッシュ画面に、画像読取部が上記起動処理中に実行する画像読取処理の読取設定情報を表示するようにしている。このように構成したので、OS及び読取処理プログラム等の起動処理中に実行される読取処理の設定情報をユーザが確認でき、画像読取処理の利便性をより向上させることができる。
【実施例3】
【0044】
第3の実施形態は上記第1,2の実施形態の構成に加え、ユーザの識別のためのユーザ識別手段を備えた画像読取装置である。
【0045】
図4は本発明の第3の実施形態における画像読取装置の実行する、ユーザ認証処理を含む動作を説明するフローチャート、図5は本発明の第3の実施形態における画像読取装置の電気的構成を示すブロック図、図6は本発明の第3の実施形態における画像読取装置の外形斜視図である。
【0046】
本実施形態の画像読取装置501の構成は、第1、第2の実施形態の構成に加え、ユーザ認証部505を追加したものである。
【0047】
ユーザ識別手段の一部としてのユーザ識別センサ535は反射光又は静電容量により指紋等の生体情報の読取を行い、アナログのユーザ識別信号を出力する。ユーザ識別手段の一部としてのユーザ識別センサ制御ユニット532はユーザ識別センサ535の制御及びユーザ識別センサ535から出力されたユーザ識別信号をデジタルのユーザ識別データに変換し、ユーザ認証制御部531にユーザ識別データを送信する。
【0048】
ユーザ認証制御部531は、上記ユーザ識別データを予めROM533に格納しておいた登録済みのユーザ識別データと照合し、照合結果を情報処理主制御部218へ送信する認証処理を行う。
【0049】
また、新規ユーザの登録の際にはユーザ識別センサ制御ユニット532が出力したユーザ識別データを、または不図示の外部装置からLAN236,LAN制御部223,情報処理主制御部218を介して送信されてきたユーザ識別データを、または情報処理主制御部218を介して外部装置へ送信されたユーザ識別データを、新規ユーザのユーザ識別データとしてROM533に格納する。
【0050】
ROM533はユーザ認証制御部531の制御プログラム及び登録済みユーザのユーザ識別データを格納するためのメモリである。RAM534は取得されユーザ認証制御部531に送信されたユーザ識別データ及びユーザ認証制御部531のプログラムの一部を一時格納しておくためのメモリである。
【0051】
ユーザ識別に関連する情報処理部の処理は、例えば第1の実施形態における図1のフローチャートの、ステップS103とステップS104の間に追加して行われる。また、ユーザ識別に関連する画像取得部の処理はステップS153とステップS156の間に追加して行われる。上記以外のフローについては第1の実施形態と同様である。
【0052】
まず、情報処理部203の動作について図4に基づいて説明する。ステップS103にて情報処理主制御部218が画像読取主制御部206から画像読取完了通知を受信すると、ステップS501にて情報処理主制御部218はユーザ認証制御部531からユーザ識別データの照合結果を受信するのを待つ。なお、ユーザ認証制御部531から送信されるユーザ識別データの照合結果は、以下の処理で生成されるものである。
【0053】
ユーザがユーザ識別センサ535に指等を押し当てると、ユーザ識別センサ535は反射光又は静電容量によりユーザ識別のための例えば指紋等の身体的特徴の読取を行い、ユーザ識別センサ制御ユニット532へアナログ信号であるユーザ識別信号を送信する。その後、送信されたユーザ識別信号はユーザ識別センサ制御ユニット532にてアナログ信号からデジタルデータに変換され、ユーザ認証制御部531へ送信される。ユーザ認証制御部531はRAM534へユーザ識別データを格納し、予めユーザ等によってROM533への登録が行われていたユーザのユーザ識別データと照合し、一致したか否かの照合結果を情報処理主制御部218へ送信する。
【0054】
ステップS501にて情報処理主制御部218がユーザ認証制御部531からユーザ識別データの照合結果を受信すると、ステップS502にて情報処理主制御部218は、ユーザ認証制御部531から送られてきたユーザ識別データが登録済みのユーザのユーザ識別データと一致したか否かを判定する。情報処理主制御部218へユーザ認証制御部531から送られてきたユーザ識別データの照合結果が登録済みのユーザのユーザ識別データと一致であった場合(ステップS502にてYES)、ステップS104にて情報処理主制御部218は画像読取主制御部206に対し、読取画像データを転送するように指示を行う。
【0055】
情報処理主制御部218へユーザ認証制御部531から送られてきたユーザ識別データの照合結果が不一致であった場合(ステップS502にてNO)、ステップS503にて情報処理主制御部218は画像読取主制御部206に対し、SDRAM211に一時保管してあった、読取画像データを破棄するよう指示を行う。それとともに、ユーザ識別データの照合結果が不一致であることをユーザに通知するエラーを操作パネル部204に表示する。
【0056】
続いてステップS503にて、情報処理主制御部218が画像読取主制御部206に対し、SDRAM211に一時保管してあった読取画像データを破棄するよう指示を行い、操作パネル部204へのエラー表示を指示する。そして、ステップS504にて情報処理主制御部218は、読取画像データの破棄が完了した旨の画像読取主制御部206からの通知を受信するまで待つ。
【0057】
ステップS504にて情報処理主制御部218が画像読取主制御部206から読取画像データの破棄完了通知を受信すると、ステップS505に進み、情報処理主制御部218は、ユーザ認証制御部531からユーザ識別識別データの照合結果を受信するまで待つ。
【0058】
ステップS505にてユーザ識別データの照合結果を受信すると、ステップS506にて情報処理制御部218はユーザ認証制御部531から送られてきたユーザ識別データの照合結果が一致か否かを判定する。
【0059】
ステップS506にて情報処理主制御部218へユーザ認証制御部531から送られてきたユーザ識別データ照合結果が一致であった場合、ステップS107にて情報処理主制御部218はユーザが操作パネル部204にある操作入力装置225により画像読取装置201に対し画像読取要求を行うまで待つ。
【0060】
ステップS506にて情報処理主制御部218へユーザ認証制御部531から送られてきたユーザ識別データの照合結果が不一致であった場合、ステップS507にて情報処理主制御部218は操作パネル部204に、ユーザ識別データの照合の不一致をユーザに通知するためのエラーを表示する。
【0061】
ステップS507にて情報処理主制御部218が、ユーザ識別データの照合結果が不一致であることをユーザに通知するエラーを操作パネル部204へ表示する。その後、ステップS505にて情報処理主制御部218はユーザ認証制御部531から送信されるユーザ識別データの照合結果を受信するまで待つ。
【0062】
次に、画像取得部202の動作について説明する。ステップS153にて画像読取主制御部206が画像読取完了後、ステップS551にて画像読取主制御部206は情報処理主制御部218から読取画像データから破棄指示があったかを判定する。
【0063】
ステップS551にて画像読取主制御部206は情報処理主制御部218から読取画像データを破棄する指示があった場合、ステップS553にて画像読取主制御部206はSDRAM211に一時保管してあった、読取画像データを廃棄する。ステップS553にて画像読取主制御部206が読取画像データを廃棄後、ステップS554にて画像読取主制御部206は情報処理主制御部218に読取画像データの廃棄が完了したことを通知する。
【0064】
ステップS554にて画像読取主制御部206が情報処理主制御部218に読取画像データの廃棄が完了すると、ステップS156にて画像読取主制御部206は情報処理主制御部218から画像読取を開始する指示を待つ。
【0065】
ステップS551にて画像読取主制御部206は情報処理主制御部218から読取画像データを破棄する指示がなかった場合、ステップS552にて画像読取主制御部206は情報処理主制御部218から読取画像データの転送指示があったかを判定する。
【0066】
ステップS552にて画像読取主制御部206が情報処理主制御部218から読取画像データの転送指示がなかった場合、ステップS551にて画像読取主制御部206は情報処理主制御部218から読取画像データから破棄指示があったかを判定する。
【0067】
ステップS552にて画像読取主制御部206が情報処理主制御部218から読取画像データの転送指示がされている場合、ステップS155にて画像読取主制御部206はSDRAM211に一時保管していた読取画像データを情報処理主制御部218へ転送する。
【0068】
以上のように本実施の形態では、情報処理部でOS及びアプリケーションプログラムの起動処理を行っている間に、画像取得部では画像読取を行い、OS及びアプリケーションプログラムの起動処理の完了後にユーザ認証を完了すれば、即座に画像を外部装置へ転送することができるようになっている。また、ユーザ認証処理において使用の許可されているユーザであると判断できなかった場合は、起動処理中に読み取った画像は破棄され外部へ送信できないので、セキュリティを確保することができる。
【0069】
なお、上述の画像読取装置201は主制御部とは別にユーザ認証部505を有しているが、ユーザ認証部またはユーザ認証部の一部ブロックの機能を代替可能な処理を画像読取主制御部206または情報処理主制御部218で行うことも可能である。また、外部に接続される端末装置にユーザ認証部を設けてもよい。
【0070】
また、上述のユーザ認証部ではセンサを用いて生体情報を取得してユーザ認証を行ったが、スイッチ等の入力装置を用いてユーザ認証を行うことも可能である。
【実施例4】
【0071】
第4の実施形態は上記第3の実施形態でのユーザ認証部505を指紋に基づく情報,静脈に基づく情報,網膜に基づく情報,声に基づく情報のうちのいずれかの認識、又はそれらの認識の任意の組合せによる認証を行うようにしたものである。
【0072】
以上のように本実施の形態では、ユーザ認証のためのユーザ識別データとして指紋,静脈,網膜,声等の生体に基づく情報を用いるので、一般的な個人識別情報であるパスワードに比べ、ユーザは個人識別情報の入力作業が煩わしくなく、パスワードを覚える必要もない。さらに、ユーザのパスワード等の入力作業を他人が盗み見て不正に使用することができないため、セキュリティを確保する効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0073】
201・・・画像読取装置
202・・・画像取得部
203・・・情報処理部
206・・・画像取得主制御部
207・・・ROM
208・・・光源
209・・・画像読取センサ
210・・・A/D変換器
211・・・SDRAM
213・・・給紙モータ
214・・・搬送モータ
215・・・画像読取位置検知センサ
218・・・情報処理主制御部
219・・・メモリモジュール
220・・・ROM
221・・・記憶装置制御ユニット
222・・・記憶装置
223・・・LAN制御部
226・・・電源SW
225・・・操作入力装置
228・・・操作入力制御ユニット
229・・・表示制御ユニット
230・・・表示装置
236・・・LAN
237・・・外部メディア
531・・・ユーザ認証制御部
532・・・ユーザ識別センサ制御ユニット
533・・・ROM
534・・・RAM
535・・・ユーザ識別センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の読取を行うことにより画像データを取得する画像読取手段と、
前記画像読取手段の取得した前記画像データを送信する情報処理手段を有する画像読取装置であって、
前記画像読取装置の起動時に、前記情報処理手段にてオペレーティングシステムの起動処理を行うとともに、該オペレーティングシステムの起動処理を行っている間に、前記画像読取手段による画像読取を並行して実行可能であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記画像読取装置は、前記オペレーティングシステムの起動処理中に前記情報処理手段にて実行されるアプリケーションを記憶する記憶手段と、
前記アプリケーションを前記記憶手段から読み出して実行する実行手段と、
前記実行手段により前記アプリケーションが実行されたとき、起動画面を表示する表示手段を備え、
前記起動画面には前記画像読取手段の設定情報を表示することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像読取装置は、該画像読取装置を操作するユーザを識別するためのユーザ識別手段を備え、
前記情報処理手段は前記オペレーティングシステムの起動処理を行った後に、前記ユーザ識別手段を用いてユーザを認証する処理を実行し、ユーザの認証ができなかった場合は、前記オペレーティングシステムの起動処理を行っていた期間に前記画像読取手段により取得した画像データを廃棄することを特徴とする請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記ユーザ識別手段は、ユーザの指紋,静脈,網膜,声のうち少なくとも1つを認識することによりユーザを識別することを特徴とする請求項3記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記情報処理手段は、ローカルエリアネットワークとのデータ通信を行うローカルエリアネットワーク接続手段及び外部装置とデータ通信を行う外部装置接続手段の少なくとも一方を備え、
前記オペレーティングシステムの起動処理を行っていた期間に、前記画像読取手段により読取られた前記画像データを、前記オペレーティングシステムの起動処理を行った後に、前記ローカルエリアネットワーク接続手段又は前記外部装置接続手段を介して外部へ出力可能であることを特徴とする
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像読取装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−199551(P2011−199551A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63573(P2010−63573)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】