説明

画像読取装置

【課題】使用場所に関する制約を少なくすることができる画像読取装置を提供すること。
【解決手段】画像読取装置1−1は、読み取られた読取画像を表示する表示部12を有する表示ユニット10と、表示ユニットを着脱可能に載置する載置部21aと、読取媒体を読み取る読取部と、読取部によって生成された読取画像データを表示ユニットに出力するデータ送信部とを有する画像読取ユニット20と、を備えている。表示ユニットは、ユーザーが操作することで動作を指示する操作部を備えていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PCに接続されて用いられる画像読取装置が知られている。この場合、画像読取装置は、PCの周辺に設置される。
【0003】
特許文献1には、画面表示を行う表示装置を装置本体の一部に取り付けたプリンタの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−55501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像読取装置の使用場所に関する制約を少なくできることが望まれている。例えば、PCに接続された状態で画像を読取る画像読取装置では、使用場所はPCの周辺に制約される。使用場所に関する制約を少なくすることができれば、画像読取装置の利便性を向上させることができる。
【0006】
本発明の目的は、使用場所に関する制約を少なくすることができる画像読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像読取装置は、読み取られた読取画像を表示する表示部を有する表示ユニットと、前記表示ユニットを着脱可能に載置する載置部と、読取媒体を読み取る読取部と、前記読取部によって生成された読取画像データを前記表示ユニットに出力するデータ送信部とを有する画像読取ユニットと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記画像読取装置において、前記表示ユニットは、ユーザーが操作することで動作を指示する操作部を備えることが好ましい。
【0009】
上記画像読取装置において、前記表示部は、前面にタッチパネルを有するディスプレーであり、前記タッチパネルが前記操作部として機能することが好ましい。
【0010】
上記画像読取装置において、前記画像読取ユニットは、前記読取媒体を挿入する給紙口を、前記表示部よりも前面側に備えることが好ましい。
【0011】
上記画像読取装置において、前記画像読取ユニットは、前記読取媒体が排出される排紙口を、前記表示部よりも前面側に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる画像読取装置は、読み取られた読取画像を表示する表示部を有する表示ユニットと、表示ユニットを着脱可能に載置する載置部と、読取媒体を読み取る読取部と、読取部によって生成された読取画像データを表示ユニットに出力するデータ送信部とを有する画像読取ユニットと、を備える。本発明にかかる画像読取装置は、表示ユニットを備えることで、使用場所に関する制約を少なくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態にかかる画像読取装置の表示ユニット取外し時を示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態にかかる画像読取装置の表示ユニット接続時を示す斜視図である。
【図3】図3は、実施形態にかかる画像読取装置の断面図である。
【図4】図4は、実施形態にかかる画像読取装置のブロック図である。
【図5】図5は、実施形態にかかる画像読取装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、原稿が積載されていないときのカメラ画像の一例を示す図である。
【図7】図7は、原稿が積載されているときのカメラ画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態にかかる画像読取装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
(実施形態)
図1から図7を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、画像読取装置に関する。図1は、本発明の実施形態にかかる画像読取装置の表示ユニット取外し時を示す斜視図、図2は、実施形態にかかる画像読取装置の表示ユニット接続時を示す斜視図、図3は、実施形態にかかる画像読取装置の断面図、図4は、実施形態にかかる画像読取装置のブロック図、図5は、実施形態にかかる画像読取装置の動作を示すフローチャートである。
【0016】
会社事務所のような環境で画像読取装置を用いる場合、通常、自席のデスクに、自身が使用するPCとそれに接続する画像読取装置をセットして事務処理を行う。しかしながら、家庭内での画像読取装置の利用を考えた場合、PCに接続して画像読取装置をセットするのでは利用用途が限られてしまう。家庭内では、誰もが画像読取装置を利用できるようにできることが望ましい。PCコーナーなどの決められた場所に原稿を持って行ってスキャナ処理するのではなく、TPOに応じて、リビングやキッチン、書斎など多彩な場所でスキャンできることが好ましい。
【0017】
また、通常の紙送りができないものや、動かすことのできないものをスキャンできたり、読取った画像を、PCコーナーで活用するだけでなく、リビングやキッチン、書斎など家庭内の多彩な場所で活用できたりすれば、画像読取装置の用途を広げることができる。
【0018】
本実施形態の画像読取装置1−1は、以下に説明するように、単に紙文書をスキャンするだけでなく、多様な媒体/被写体から画像の読取りを行うことができると共に、読取った画像を多用な形態で利用することができる。本実施形態の画像読取装置1−1によれば、事務所等だけでなく、家庭内においてもユーザーに対して多彩な使い方を提供することができる。
【0019】
図1に示す本実施形態にかかる画像読取装置1−1は、スキャナ機能を備えたベースユニットとしての画像読取ユニット20と、画像読取ユニット20に対して着脱可能な表示ユニット10とを備える。表示ユニット10の形状は、タッチパネル付きLCD12を有した薄い平面パネル状の形状である。読取画像データを表示可能でかつタッチパネルで操作できる表示ユニット10を備えることで、画像読取ユニット20はPCと接続して使用する必要がない。これにより、ユーザーは画像読取装置1−1をスキャンしたい場所に手軽に持ち運んで使用することができる。
【0020】
図2に示すように、表示ユニット10は、パネル状であって、画像読取ユニット20に載置された状態で読取媒体を積載する読取媒体積載台となる。本実施形態では、表示ユニット10は、画像読取ユニット20による媒体読取時に画像読取ユニット20に給紙する読取媒体を積載するホッパとして機能する。表示ユニット10がホッパを兼ねるため、画像読取装置1−1がシンプルな構造となる。また、表示ユニット10は、ホッパとして使用しないとき、すなわち読取媒体を積載しないときには、そのままの形でフォトスタンドのような表示装置として用いることができる。
【0021】
また、表示ユニット10は、画像読取ユニット20から取り外された状態で単独で表示装置として機能することができる。そのため、スキャンに必要なスキャナ機能は画像読取ユニット20に残したまま、表示ユニット10をコンパクトな状態で必要な場所まで持ち運んで利用することができる。例えば、表示ユニット10だけをキッチンに持ち込み、雑誌から取り込んだレシピを表示させておくなど、多彩な利用方法が可能となる。なお、表示ユニット10を立てておく場合には、スタンド等の支持部材によって表示ユニット10を保持するようにすればよい。また、表示ユニット10が自立できるように、表示ユニット10がスタンド等の支持部材を有していてもよい。例えば、本体11に、本体11を支持する可動式のスタンド等が配置されてもよい。
【0022】
表示ユニット10は、小型のカメラ15を備えている。このカメラ15によって、画像読取ユニット20を持ち運びしにくい場所でのスキャンや、画像読取ユニット20のスキャナでは搬送できない媒体のスキャンが可能となる。これにより、画像読取ユニット20では読取れない原稿等についても容易に画像を取り込むことが可能である。
【0023】
再び図1を参照して、画像読取ユニット20は、略直方体の形状の筐体21を有する。画像読取ユニット20の幅方向は、直方体の長手方向となっている。以下の説明において、特に記載のない限り、幅方向および前後方向とは、それぞれ画像読取ユニット20の幅方向および前後方向を示す。筐体21の上面には、上部開口部21aが形成されている。上部開口部21aは、矩形であり、幅方向の長さは、対応可能な読取媒体の最大幅に基づいて設定されている。この上部開口部21aは、表示ユニット10を着脱可能に載置する載置部であると共に、媒体が挿入される給紙口として機能する。筐体21の前面には、排紙口21bが形成されている。排紙口21bは、矩形であり、その幅方向の長さは、上部開口部21aの幅方向の長さと同様である。
【0024】
表示ユニット10の本体11の形状は、矩形の四隅を丸めた平板の形状である。本体11の一方の面には、タッチパネル付きLCD12が配置されている。タッチパネル付きLCD12は、矩形であり、その長手方向は表示ユニット10の長手方向と一致している。本体11におけるタッチパネル付きLCD12の近傍には、小型のカメラ15が設けられている。カメラ15は、タッチパネル付きLCD12よりも長手方向の一方側に配置されている。カメラ15は、複数の受光素子を有する二次元イメージセンサおよびレンズを備えるものである。
【0025】
表示ユニット10は、縦長の姿勢で画像読取ユニット20の上部開口部21aに挿入される。言い換えると、表示ユニット10は、本体11の一対の短辺11bが上下方向において互いに対向し、一対の長辺11aが幅方向において互いに対向する姿勢で画像読取ユニット20にセットされる。表示ユニット10は、カメラ15がタッチパネル付きLCD12よりも下側に位置するように上部開口部21aに挿入される。画像読取ユニット20の内部には、挿入された表示ユニット10を固定する図示しない固定部が設けられている。固定部は、例えば、上部開口部21aから挿入された表示ユニット10の下部と嵌合して表示ユニット10を保持するスロット等とすることができる。なお、固定部はこれには限定されず、表示ユニット10を所定の位置に保持することができる機構であればよい。
【0026】
図2に示すように、上部開口部21aに挿入され、固定部によって固定された表示ユニット10は、カメラ15が上部開口部21aの高さ位置となっている。これにより、後述するようにカメラ15の撮像結果に基づいて読取媒体を検出することができる。以下の説明において、表示ユニット10が画像読取ユニット20の上部開口部21aに挿入されて固定された状態、すなわち表示ユニット10が画像読取ユニット20に載置され、表示ユニット10と画像読取ユニット20とが接続された状態を単に「接続状態」あるいは「接続時」と記載する。また、表示ユニット10と画像読取ユニット20とが分離された状態を単に「分離状態」あるいは「分離時」と記載する。
【0027】
図3に示すように、表示ユニット10は、タッチパネル付きLCD12およびカメラ15に加えて、バッテリ13および制御部14を備える。接続状態において、タッチパネル付きLCD12は表示ユニット10の前面に、バッテリ13および制御部14は表示ユニット10の背面側に配置されている。つまり、表示ユニット10において、タッチパネル付きLCD12を有する表示面が、読取媒体が積載される積載面となる。タッチパネル付きLCD12は、画像表示部12aおよび操作入力部12bを有する。画像表示部12aは、液晶ディスプレーであり、読み取られた読取画像を表示する表示部に相当する。また、操作入力部12bは、画像表示部12aの前面に実装されたタッチパネルである。操作入力部12bは、ユーザーが操作することで動作を指示する操作部に相当する。タッチパネル付きLCD12によれば、表示ユニット10の前面において、画像表示部12aと操作入力部12bとを同じ領域に配置することができるため、表示ユニット10の前面側の略全面を画像表示部とすることができる。タッチパネル付きLCD12の画像表示部12aは、フラットであり、読取媒体を積載する積載面として好適である。
【0028】
表示ユニット10は、画像読取ユニット20に装着された状態において、上側に向かうほど後側へ向かう傾斜を有する。つまり、ホッパとして画像読取ユニット20に固定された状態において、表示ユニット10は、タッチパネル付きLCD12が斜め上方を向くように傾斜している。
【0029】
カメラ15は、載置部に載置された表示ユニット10における読取媒体を積載する積載面側、すなわちタッチパネル付きLCD12側に配置されている。カメラ15は、表示ユニット10の内部に前側を向いて配置されており、積載面を介して表示ユニット10の外部、言い換えるとタッチパネル付きLCD12の前方を撮像する。
【0030】
本実施形態の操作入力部12bは、タッチパネルであるため、積載面が凹凸を有しないフラットな形状である。このため、積載面へ読取媒体をセットする際に読取媒体をスムーズに積載することができる。
【0031】
鉛直方向からの表示ユニット10の傾斜角θは、ホッパとして表示ユニット10に原稿をセット可能で、かつユーザーが画像表示部12aを見るにも適した角度である。傾斜角θは、例えば、10度から45度の間の角度とすることができる。なお、傾斜角θが可変とされてもよい。例えば、画像読取ユニット20の固定部は、表示ユニット10を保持したままで傾斜角θを変化させることができる機構を有していてもよい。このようにすれば、ユーザーは画像表示部12aを見やすい角度や、操作入力部12bを操作しやすい角度に表示ユニット10の傾斜角θを調節することができ、画像読取装置1−1の操作性が向上する。
【0032】
画像読取ユニット20は、筐体21の内部にスキャナ部22を備える。スキャナ部22は、用紙搬送機構およびイメージセンサを有するものである。スキャナ部22は、上流側搬送ローラ23、下流側搬送ローラ24および撮像部25を有する。上流側搬送ローラ23および下流側搬送ローラ24は、モータ等によって回転駆動される駆動ローラおよび従動ローラを有しており、駆動ローラと従動ローラとの間に読取媒体を挟んで回転することにより読取媒体を搬送するものである。上流側搬送ローラ23は、搬送方向Y1における撮像部25よりも上流側に、下流側搬送ローラ24は、搬送方向Y1における撮像部25よりも下流側にそれぞれ配置されている。
【0033】
表示ユニット10に積載された読取媒体は、表示ユニット10の表示面によって上流側搬送ローラ23に案内され、上流側搬送ローラ23および下流側搬送ローラ24によって搬送方向Y1に搬送される。撮像部25は、搬送方向Y1に搬送される読取媒体を撮像して画像データを生成するものであり、読取媒体を読み取る読取部に相当する。撮像部25は、例えば、複数の受光素子を備えたCIS(Contact Image Sensor)を備えている。撮像部25において、複数の受光素子は、搬送方向Y1と直交する主走査方向にライン上に配列されている。撮像部25は、各受光素子から出力された露光ごとの撮像画像信号から、主走査方向ごとのラインデータを生成し、出力する。
【0034】
図4に示すように、表示ユニット10の制御部14は、CPU17およびI/F16を有する。制御部14には、画像表示部12a、操作入力部12b、カメラ15、メモリ18およびバッテリ13が接続されている。画像読取ユニット20は、スキャナ部22、I/F26および電源部27を有する。なお、表示ユニット10だけでなく、画像読取ユニット20もメモリを備えるようにしてもよい。I/F26は、表示ユニット10のI/F16と対応するものであり、I/F16およびI/F26を介して表示ユニット10と画像読取ユニット20との間の通信や電力の供給がなされる。電源部27は、AC電源からの電力を画像読取装置1−1の各部に供給する。具体的には、電源部27はスキャナ部22に電力を供給する。また、接続状態では、電源部27は、I/F26およびI/F16を介して表示ユニット10の各部に電力を供給することができる。接続状態では、電源部27から供給される電力により、バッテリ13が充電される。また、分離時には、表示ユニット10はバッテリ13を電力源として動作する。電源部27は、ACアダプタのように独立した形態のものとされてもよい。
【0035】
接続時には、制御部14は、表示ユニット10および画像読取ユニット20を含む画像読取装置1−1全体の制御を行う。接続状態において、制御部14は、I/F16およびI/F26を介してスキャナ部22と通信可能に接続されている。I/F16とI/F26との接続は、接触式でも非接触式でもよい。例えば、接触式では、表示ユニット10が画像読取ユニット20の固定部にセットされることでコネクタが接続するものとすることができる。非接触式では、表示ユニット10が画像読取ユニット20の固定部にセットされたことを検知して通信を開始するものとすることができる。なお、非接触式の通信I/Fとする場合、非接触充電によりバッテリ13を充電するようにすればよい。制御部14は、表示ユニット10に積載された原稿を読取る場合、スキャナ部22を作動させる。制御部14は、上流側搬送ローラ23および下流側搬送ローラ24を回転駆動して原稿を搬送させると共に、撮像部25に連続的に撮像を行わせて原稿を読み取らせる。撮像部25により生成された読取画像データは、I/F26を介して制御部14に出力される。I/F26は、撮像部25によって生成された読取画像データを表示ユニット10に出力するデータ送信部に相当する。
【0036】
制御部14は、撮像部25から送られた読取画像データに対して画像処理を施し、画像表示部12aに表示する。また、制御部14は、読取画像データをメモリ18に保存することができる。メモリ18には、読取画像データ以外のデータも保存可能である。また、表示ユニット10には、画像編集ソフト等の各種アプリケーションが搭載されている。制御部14は、操作入力部12bに対するユーザーの操作に基づいて、アプリケーションを作動させる。また、制御部14は、アプリケーションを起動した後で、そのアプリケーション上で撮像部25から送られた読取画像データを利用可能とすることもできる。また、表示ユニット10は、PCとの通信や、記憶媒体を介して、PCと情報をやり取りできるようにされていてもよい。
【0037】
次に、図5を参照して、本実施形態の動作について説明する。図5に示す制御フローは、例えば、所定の間隔で繰り返し実行される。
【0038】
まず、ステップS1では、制御部14により、ユニット接続が検出されているか否かが判定される。制御部14は、画像読取装置1−1において接続状態であるか否かを判定し、接続状態であると判定した場合にステップS1で肯定判定を行う。ステップS1の判定は、例えば、表示ユニット10が画像読取ユニット20に載置されたことを検出するセンサの検出結果に基づいてなされる。ステップS1の判定の結果、ユニット接続が検出されていると判定された場合(ステップS1−Y)にはステップS2に進み、そうでない場合(ステップS1−N)にはステップS1の判定を繰り返す。
【0039】
ステップS2では、制御部14により、充電が開始される。制御部14は、電源部27からの電力をバッテリ13に供給し、バッテリ13の充電を行う。ステップS2が実行されると、ステップS3に進む。また、制御部14は、バッテリ13の充電状態を定期的にモニタしており、バッテリ13が満充電となると、ステップS6およびステップS7を実行する。
【0040】
ステップS3では、制御部14により、カメラ輝度差が、設定値よりも小であるか否かが判定される。本実施形態では、カメラ15は、撮像した画像データに基づいて原稿が積載されているか否かを判定できるように配置されている。具体的には、図3に示すように、接続状態において、カメラ15の上部が画像読取ユニット20の外部にあり、カメラ15の下部が画像読取ユニット20の内部にある。つまり、接続状態では、カメラ15が有する複数の受光素子において、一部の受光素子は筐体21の外部を、他の一部の受光素子が筐体21の内部を撮像する。これにより、以下に説明するように、表示ユニット10に原稿が積載されているときのカメラ画像と、積載されていないときのカメラ画像とで画像輝度のコントラストが変化する。
【0041】
図6は、表示ユニット10に原稿が積載されていないときにカメラ15によって撮像されたカメラ画像の一例を示す図である。図7は、表示ユニット10に原稿が積載されているときにカメラ15によって撮像されたカメラ画像の一例を示す図である。表示ユニット10に原稿が積載されていない場合、カメラ15の前方は遮蔽されない。この場合、カメラ15の撮像した画像では、図6に示すように、画像下部、すなわち画像読取ユニット20の筐体内部に隠れた部分の画像輝度は低い。一方、筐体外部を撮像した画像上部の画像輝度は高いため画像上部と画像下部とのコントラストが大きい。つまり、カメラ15の出力する画像データにおいて、一部の受光素子が撮像した領域である画像上部と、他の一部の受光素子が撮像した領域である画像下部との明暗差が大きい。
【0042】
これに対して、表示ユニット10に原稿が積載されている場合、カメラ15の全体が原稿に覆われる。よって、図7に示すように、カメラ15の撮像した画像において、画像上部と画像下部との画像輝度の差は、表示ユニット10に原稿が積載されていない場合の画像輝度の差よりも小さなものとなる。本実施形態では、このカメラ画像における画像上部と画像下部との輝度のコントラストに基づいて原稿の有無が判定される。制御部14は、カメラ画像における上部の輝度と下部の輝度との差が、予め定められた設定値よりも小さい場合に、原稿が表示ユニット10に積載されているとしてステップS3で肯定判定を行う。なお、カメラ画像における上部の輝度と下部の輝度との差に代えて、上部の輝度と下部の輝度との比などに基づいて判定が行われてもよい。ステップS3の判定の結果、カメラ輝度差が、設定値よりも小であると判定された場合(ステップS3−Y)にはステップS4に進み、そうでない場合(ステップS3−N)にはステップS3の判定が繰り返される。
【0043】
ステップS4では、制御部14により、原稿のスキャンが開始される。制御部14は、スキャナ部22に原稿の搬送および読取を行わせる。このように、本実施形態では、画像読取装置1−1は、カメラ15の撮像結果に基づいて接続状態の表示ユニット10に積載された読取媒体を検出すると、読取媒体の読取を開始する。
【0044】
次に、ステップS5では、制御部14により、読取画像の保存がなされる。制御部14は、ステップS4で読取られてスキャナ部22から出力された読取画像をメモリ18に保存する。ステップS5が実行されると、本制御フローは終了する。
【0045】
なお、バッテリ13の充電状態が満充電となってステップS6に移行すると、ステップS6では、制御部14により、バッテリ13の充電が終了される。制御部14は、バッテリ13への電力の供給を停止する。
【0046】
次に、ステップS7では、制御部14により、終了が通知される。制御部14は、バッテリ13の充電が終了したことをユーザーに通知する。制御部14は、例えば、画像表示部12aに充電終了を示す文字やマークを表示することで充電終了を通知する。ステップS7が実行されると、本制御フローは終了する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の画像読取装置1−1によれば、表示ユニット10が読取媒体を積載する読取媒体積載台を兼ねる。これにより、画像読取装置1−1のコンパクト化が可能となる。原稿が積載された状態では画像表示部12aの一部が原稿によって覆われることはあるものの、積載された原稿の読込が終了して表示ユニット10に積載された原稿がなくなると、ユーザーは画像表示部12aの全体を見ることができる。よって、読取終了後に読取画像データを画像表示部12aに表示させるようにすれば、ユーザーは読取結果を確認することができる。
【0048】
また、表示ユニット10は、画像読取ユニット20と分離して持ち運ぶことができる。表示ユニット10は、カメラ15を備えており、このカメラ15でスキャンを行うことができる。カメラ15によれば、画像読取ユニット20では搬送できない原稿のスキャン、例えば、立体物のスキャンやコルクボード上の原稿のスキャンなどが可能となる。なお、表示ユニット10においてカメラ15の向きが回転できるようにされてもよい。例えば、カメラ15が、画像表示部12aが配置された表面側を向いて撮像できるだけでなく、裏面側を向いて撮像できるように回転可能とされてもよい。カメラ15を裏面側に向けて撮像することができれば、ユーザーはカメラ15が現在撮像している画像を画像表示部12aで確認しながらスキャンさせることができる。
【0049】
なお、カメラ15の撮像結果に基づく画像読取装置1−1の制御は、読取媒体の検出時に読取を開始することには限定されない。カメラ15の撮像結果に基づいて、表示ユニット10あるいは画像読取ユニット20の少なくともいずれか一方が制御されるようにすればよい。また、カメラ15の配置は、接続時に画像読取ユニット20の筐体21に半分隠れる位置には限定されない。例えば、本実施形態では、表示ユニット10の内部にカメラ15が配置されたが、これには限定されず、画像読取装置1−1が、接続状態において表示ユニット10の積載面に対向するカメラを備えていてもよい。このようなカメラは、画像読取ユニット20に設けられてもよく、表示ユニット10に接続されていてもよい。積載面を撮像するカメラの撮像結果に基づいて、積載面に読取媒体が積載されているか否かを判定するようにしてもよい。
【0050】
また、カメラ15は、接続時にその全体が筐体21の外部に出た状態となるように表示ユニット10に配置されてもよい。例えば、カメラ15は、接続状態において、画像表示部12aと対向する位置にいる人物の顔を撮像できるように配置されることができる。これにより、カメラ15の撮像結果に基づいて、ユーザーを認識し、予め設定されたユーザー情報に基づいて認識したユーザーに応じて表示ユニット10や画像読取ユニット20を制御することが可能である。画像データに基づくユーザーの認識方法は、公知の方法によることができる。ユーザーを認識して、画像読取装置1−1においてユーザーに応じた動作をさせるようにすれば、操作性が向上する。例えば、ユーザー毎に予め設定されたフォルダを自動選定し、読取画像データの保存先をこのフォルダとすれば、ユーザーにとって画像データの管理が容易となる。ユーザーに応じた動作は、これには限定されず、例えば、ユーザー毎に異なるスキャン設定でスキャンを行うようにしてもよい。
【0051】
また、ユーザーがカメラ15に近づいた場合に、表示ユニット10を鏡として機能させてもよい。ユーザーの顔を撮像したカメラ画像を左右反転させて画像表示部12aに表示させれば、表示ユニット10を鏡として機能させることができる。例えば、カメラ15によって撮像されるカメラ画像において、ユーザーの顔の大きさが一定以上である場合に、鏡として機能させるようにすればよい。
【0052】
なお、本実施形態では、画像表示部12aが液晶ディスプレー、操作入力部12bが液晶ディスプレーに実装されたタッチパネルであったが、これには限定されない。表示ユニット10は、画像表示部12aとして液晶ディスプレーとは異なる表示部を備えてもよい。また、操作入力部12bは、タッチパネル以外の操作入力部、たとえばボタン等であってもよい。なお、読取媒体積載台としては、積載面に突出部を有しないことが好ましい。このため、操作入力部12bは、積載面から突出するものでないことが好ましい。
【0053】
本実施形態では、表示ユニット10がホッパとして機能したが、これに代えて、表示ユニット10が排出された原稿を積載するスタッカーとされてもよい。つまり、表示ユニット10は、画像読取ユニット20に給紙する読取媒体あるいは画像読取ユニット20から排出される読取媒体のいずれを積載するものであってもよい。
【0054】
なお、表示ユニット10は、姿勢に応じて異なる動作をするものであってもよい。本実施形態では、接続状態において、表示ユニット10は長手方向を縦に置く縦置きの姿勢となる。例えば、縦置きの姿勢では、表示ユニット10を画像読取装置1−1のコントローラとして機能させ、横置きの姿勢では、携帯情報端末装置として機能させるようにしてもよい。また、姿勢に代えて、画像読取ユニット20と接続されているか、言い換えると画像読取ユニット20と通信可能であるか否かによって表示ユニット10の機能が切替えられてもよい。
【0055】
本実施形態では、表示ユニット10をホッパとしてセットする際に、表示ユニット10が画像読取ユニット20の上部開口部21aに挿入されたが、これには限定されず、表示ユニット10は、着脱可能に画像読取ユニット20に載置されていればよい。例えば、表示ユニット10が挿入される開口部は、画像読取ユニット20の上面に形成されるものには限定されず、画像読取ユニット20の前面や背面に形成されてもよい。また、表示ユニット10が載置される載置部は、開口部には限らず、筐体21の外面に設けられたホルダ等であってもよい。例えば、筐体21の外面に表示ユニット10が載置され、表示ユニット10に積載された読取媒体が、表示ユニット10によって給紙口に案内されるようにしてもよい。
【0056】
また、表示ユニット10に、伸縮可能な積載台が設けられてもよい。例えば、表示ユニット10の面積が原稿サイズに比して小さい場合に、スライド式の積載台を引き出してサイズを調節できるようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように、本発明にかかる画像読取装置は、使用場所に関する制約を少なくするのに適している。
【符号の説明】
【0058】
1−1 画像読取装置
10 表示ユニット
12 タッチパネル付きLCD
12a 画像表示部
12b 操作入力部
14 制御部
15 カメラ
17 CPU
20 画像読取ユニット
21 筐体
22 スキャナ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取られた読取画像を表示する表示部を有する表示ユニットと、
前記表示ユニットを着脱可能に載置する載置部と、読取媒体を読み取る読取部と、前記読取部によって生成された読取画像データを前記表示ユニットに出力するデータ送信部とを有する画像読取ユニットと、
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記表示ユニットは、ユーザーが操作することで動作を指示する操作部を備える
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記表示部は、前面にタッチパネルを有するディスプレーであり、前記タッチパネルが前記操作部として機能する
請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記画像読取ユニットは、前記読取媒体を挿入する給紙口を、前記表示部よりも前面側に備える
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記画像読取ユニットは、前記読取媒体が排出される排紙口を、前記表示部よりも前面側に備える
請求項1に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−178888(P2012−178888A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−138913(P2012−138913)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【分割の表示】特願2010−125149(P2010−125149)の分割
【原出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】