説明

画像読取装置

【課題】 画像読取装置において、被読取物が立体物である場合におけるカブリ等の画質低下を低コストで低減する。
【解決手段】 画像読取装置において、原稿カバーのカバー平面上の所定位置にマークが設けられ、マーク特定部43は、画像読取部15により読み取られた画像内でそのマークのマーク画像を検出し、マーク画像の濃度および/または位置を特定する。そして、色補正部44は、画像読取部15により読み取られた画像を、マーク画像の濃度に応じて補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル複合機は、一般に、コンタクトガラス上に載置された原稿等の被読取物の画像を読み取る画像読取部、画像読取部により得られた画像データに所定の画像処理を施す画像処理部、画像処理部により画像処理が施された画像データに基づく画像を記録用紙等に印刷する印刷部などを備えている。
【0003】
画像読取装置の被読取物は通常シート状の原稿であるので、画像読取装置の原稿カバーは、シート状の原稿をコンタクトガラスに密着させるために平板形状を有する。
【0004】
このため、被読取物が厚みの大きい立体物である場合、原稿カバーにより被読取物が充分に覆われず、読み取られた画像において被読取物画像の周囲の背景にカブリが発生する。
【0005】
ある画像読取装置では、原稿カバーが、コンタクトガラス上に載置された立体状の被読取物を収容する収容空間を有し、これにより、立体状の被読取物の画像を読み取る場合でも、背景にカブリが発生しないようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−343802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような収容空間のある原稿カバーは、構造が複雑であるので生産コストが高くなるとともに、被読取物のサイズが収容空間のサイズに制限されてしまう可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、被読取物が立体物である場合におけるカブリ等の画質低下を低コストで低減することができる画像読取装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0010】
本発明に係る画像読取装置は、被読取物を載置される透明な載置台と、載置台に載置された被読取物を覆うカバー平面上の所定位置にマークを有する原稿カバーと、載置台に載置された被読取物およびカバー平面の画像を読み取る画像読取部と、画像読取部により読み取られた画像内でマークのマーク画像を検出し、マーク画像の濃度および/または位置を特定するマーク特定部とを備える。
【0011】
これにより、原稿カバーにマークを設けることでマーク画像の濃度および/または位置から画像処理でカブリ等の画質低下を低減できる。したがって、被読取物が立体物である場合におけるカブリ等の画質低下を低コストで低減することができる。
【0012】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の画像読取装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像読取装置は、画像読取部により読み取られた画像をマーク画像の濃度および/または位置に応じて補正する画像補正部をさらに備える。
【0013】
これにより、マーク画像の濃度および/または位置に応じた画像処理でカブリ等の画質低下が低減される。
【0014】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の画像読取装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像補正部は、画像読取部により読み取られた画像に対して、所定の低輝度領域の輝度を増加させる。
【0015】
これにより、カブリにより低輝度領域として読み取られた部分の輝度が増加され、カブリが軽減される。
【0016】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の画像読取装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像補正部は、画像読取部により読み取られた画像におけるマーク画像を除去する。
【0017】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の画像読取装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像読取装置は、色補正テーブルを記憶する記憶装置をさらに備える。そして、画像補正部は、色補正テーブルをマーク画像の濃度および/または位置に応じて補正し、補正された色補正テーブルで画像読取部により読み取られた画像の色変換を行う。
【0018】
これにより、画像読取において通常行われる色補正において上述の画像補正を行うことで、色補正と画像補正とを別々に行うより、処理時間が短くなる。
【0019】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の画像読取装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像読取装置は、マーク画像の位置の、基準位置からのズレ量に基づいて、原稿カバーのズレを検出するカバーズレ検出部をさらに備える。
【0020】
これにより、マーク画像の位置が基準位置になるように原稿カバーがユーザー等により正しく配置されるため、マーク画像の濃度および位置が正確に検出される。
【0021】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の画像読取装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、カバーズレ検出部は、載置台上で被読取物が検知されていないときに、原稿カバーのズレを検出する。
【0022】
これにより、カバー平面が載置台に密着した状態でマーク画像が検出されるため、マーク画像のズレ量を正確に測定できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、画像読取装置において、被読取物が立体物である場合におけるカブリ等の画質低下を低コストで低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の内部構成を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の斜視図である。
【図3】図3は、図1および図2における原稿カバーを示す平面図である。
【図4】図4は、図1に示す画像読取装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、コンタクトガラスからある特定のマークまでの距離とマーク画像の濃度との関係(マーク画像の濃度特性)の一例を示す図である。
【図6】図6は、コンタクトガラスからカバー平面上のある位置までの距離とその意図におけるカバー平面の画像の濃度との関係(カバー平面の画像の濃度特性)の一例を示す図である。
【図7】図7は、図1、図2および図3に示す画像読取装置による画像読取処理を説明するフローチャートである。
【図8】図8は、図1、図2および図3に示す画像読取装置による原稿カバーのズレ検出処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の内部構成を示す側面図である。図1に示す画像読取装置は、スキャナー、複写機、デジタル複合機などといった装置である。
【0027】
図1において、コンタクトガラス1は、当該画像読取装置本体の上面に設置され、画像読取時に原稿などの被読取物を載置される透明な載置台である。
【0028】
また、キャリッジ2は、図示せぬ駆動源によって副走査方向に移動可能に設置されている。キャリッジ2は、光源11とミラー12とを有する。光源11は、主走査方向に沿って配置され、例えば配列された複数の発光ダイオードで光を出射する。光源11から出射された光は、キャリッジ2の位置に応じて、コンタクトガラス1上に載置された原稿などの被読取物などで反射する。ミラー12は、被読取物などからの反射光を反射する。
【0029】
また、キャリッジ3は、図示せぬ駆動源によってキャリッジ2とともに副走査方向に移動可能に設置されている。キャリッジ3は、ミラー13,14を有する。ミラー13,14は、キャリッジ2のミラー12からの光を2度反射して副走査方向に沿って出射する。
【0030】
結像レンズ4は、ミラー14からの光をイメージセンサー5に結像させる。
【0031】
イメージセンサー5は、主走査方向に配列された所定の画素数の受光素子を有する一次元イメージセンサーであり、ラインごとに、その画素数の画素についての受光量に対応する電気信号を出力する。イメージセンサー5としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)が使用される。
【0032】
キャリッジ2,3、結像レンズ4、イメージセンサー5、光源11、ミラー12、ミラー13,14により、コンタクトガラス1に載置された被読取物および原稿カバー7のカバー平面の画像を読み取る画像読取部15が構成されている。画像読取部15によりコンタクトガラス1上の所定の矩形領域での画像が読み取られる。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の斜視図である。図3は、図1および図2における原稿カバー7を示す平面図である。
【0034】
図1、図2、および図3に示すように、原稿カバー7は、コンタクトガラス1に載置された被読取物を覆う白色のカバー平面21上の所定位置に複数のマーク22を有し、被読取物が載置されていないときにコンタクトガラス1に面接触可能なように、回動端7a付近を軸として回動自在に設置されている略平板状の部材である。原稿カバー7は、シート状原稿などの被読取物をコンタクトガラス1に密着させるとともに、画像読取時に環境光がコンタクトガラス1から装置内部へ入射することを防ぐ。
【0035】
マーク22は、カバー平面21の色以外の所定の色(例えば黒)および所定の形状(円、四角など)を有し、カバー平面21に印刷されたものであったり、カバー平面21の色以外の所定の色および所定の形状のシールを接着したものであったりする。なお、マーク22の数および配列パターンは、図2および図3に示す場合に限定されない。
【0036】
図4は、図1に示す画像読取装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0037】
図4において、原稿検知センサー31は、コンタクトガラス1の下の複数の位置に配置され、コンタクトガラス1上に載置される原稿などを光学的に検出するセンサーである。
【0038】
ユーザーインターフェイス32は、ユーザー操作を検出するボタンスイッチ、タッチパネルなどの入力装置と、ユーザーに対して各種情報を表示する液晶ディスプレイなどの表示装置とを有する。
【0039】
印刷部33は、画像データに基づく画像を、電子写真方式などで記録用紙などに印刷する内部装置である。
【0040】
画像処理装置34は、画像読取部15により読み取られた画像に対して画像処理を行う装置である。画像処理装置34は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、制御プログラムに従って動作するコンピューターなどで実現される。
【0041】
記憶装置35は、ハードディスク、不揮発性メモリーなどの不揮発性の記憶装置であって、各種データや制御プログラムを記憶する。記憶装置35には、デフォルト色補正テーブル51が予め記憶されている。
【0042】
デフォルト色補正テーブル51は、被読取物がシート状原稿である場合に、画像読取部15により読み取られた画像に対して適用される色補正テーブルである。
【0043】
画像処理装置34は、制御部41、被読取物種別特定部42、マーク特定部43、色補正部44、出力画像生成部45、およびカバーズレ検出部46を有する。
【0044】
制御部41は、画像読取部15およびユーザーインターフェイス32の制御などを行い、画像読取部15の出力から、量子化されたビットマップの画像データを取得する。
【0045】
被読取物種別特定部42は、原稿検知センサー31の出力、および/または画像読取部15により読み取られた画像内でのマーク22の画像の位置に基づいて、コンタクトガラス1上における被読取物の有無、被読取物の種別(立体物およびシート状原稿のいずれか)、被読取物のサイズなどを特定する。
【0046】
なお、原稿検知センサー31の出力に基づいて被読取物の有無、被読取物の種別、被読取物のサイズなどを特定する場合には、原稿カバー7が閉じられたときに、被読取物種別特定部42は、原稿検知センサー31の出力に基づき、それらを特定するようにしてもよい。
【0047】
マーク特定部43は、画像読取部15により読み取られた画像内でマークのマーク画像を検出し、マーク画像の濃度および/または位置を特定する。
【0048】
さらに、この実施の形態では、マーク特定部43は、マーク画像の濃度および/または位置に基づいて、原稿カバー7の静止角度(全閉状態を0度としたときの開き角)を特定する。具体的には、マーク特定部43は、マーク22の形状および色、マーク画像の濃度特性、カバー平面21の画像の濃度特性などに基づいて、画像読取部15により読み取られた画像内でマーク画像を検出するとともに、マーク画像の濃度および/または位置から、原稿カバー7の静止角度を特定する。
【0049】
図5は、コンタクトガラス1からある特定のマーク22までの距離とマーク画像の濃度との関係(マーク画像の濃度特性)の一例を示す図である。図6は、コンタクトガラス1からカバー平面21上のある位置までの距離とその意図におけるカバー平面21の画像の濃度との関係(カバー平面21の画像の濃度特性)の一例を示す図である。
【0050】
つまり、図5および図6に示す濃度特性から、マーク特定部43は、各マーク22の、コンタクトガラス1からの距離を特定し、その距離およびカバー平面21上のマーク22の位置に基づいて、原稿カバー7の静止角度を特定する。
【0051】
図2および図3に示すようにマーク22が複数設けられており、画像読取部15により読み取られた画像内で複数のマーク画像が発見された場合、マーク特定部43は、各マーク画像について静止角度を特定し、発見された複数のマーク画像についての静止角度の平均値を、原稿カバー7の静止角度とする。
【0052】
色補正部44は、画像読取部15により読み取られた画像に対して色補正(CMYKの各色の補正)を行う。また、色補正部44は、画像読取部15により読み取られた画像をマーク画像の濃度および/または位置に応じて補正する。この実施の形態では、色補正部44は、画像読取部15により読み取られた画像を、上述の原稿カバー7の静止角度に応じて補正する。これにより、色補正部44は、画像読取部15により読み取られた画像を、間接的にマーク画像の濃度および/または位置に応じて補正することになる。なお、これにより、色補正部44は、画像読取部15により読み取られた画像を、直接的にマーク画像の濃度および/または位置に応じて補正するようにしても勿論よい。
【0053】
また、この実施の形態では、色補正部44は、このとき、画像読取部15により読み取られた画像に対して、所定の低輝度領域の輝度を増加させる。つまり、この低輝度領域の広さ、および輝度の増加量が、原稿カバー7の静止角度に応じて調整される。
【0054】
なお、色補正部44は、このとき、色補正における「地肌飛ばし」の閾値を調整するようにしてもよい。つまり、「地肌飛ばし」の閾値が、原稿カバー7の静止角度に応じて調整される。
【0055】
さらに、この実施の形態では、色補正部44は、デフォルト色補正テーブル51をマーク画像の濃度および/または位置に応じて補正し、補正された色補正テーブルで、画像読取部15により読み取られた画像の色変換を行うことで上述の画像補正を行う。なお、この実施の形態では、色補正部44は、デフォルト色補正テーブル51を、上述の原稿カバー7の静止角度に応じて補正する。これにより、色補正部44は、デフォルト色補正テーブル51を、間接的にマーク画像の濃度および/または位置に応じて補正することになる。なお、これにより、色補正部44は、デフォルト色補正テーブル51を、直接的にマーク画像の濃度および/または位置に応じて補正するようにしても勿論よい。
【0056】
出力画像生成部45は、色補正部44による色補正後の画像から所定の形式の画像データを生成し出力する。コピーを実行する場合、出力画像生成部45は、色補正部44による色補正後の画像に対して各種画像処理を施して、印刷部33により処理可能な形式の画像データを生成して印刷部33に供給し、その画像データに基づく印刷を実行させるようにしてもよい。このときの画像処理には、文字領域への微分フィルターなどによるエッジ強調処理、網点領域への積分フィルターなどによる平滑化処理、文字領域の鮮明化や網点領域のモアレ・ノイズ軽減などの各種領域に対する適応処理、UCR(Under Color Removal)処理などが適宜含まれる。
【0057】
カバーズレ検出部46は、マーク特定部43により得られるマーク画像の位置の、基準位置からのズレ量に基づいて、原稿カバー7のズレを検出する。この実施の形態では、カバーズレ検出部46は、原稿検知センサー31によりコンタクトガラス1上に原稿などの被読取物が検知されていないときに、原稿カバー7のズレを検出する。
【0058】
次に、上記画像読取装置の動作について説明する。
【0059】
ここでは、被読取物(シート状原稿、立体物など)の画像読取処理と原稿カバーのズレ検出処理について説明する。
【0060】
(1)画像読取処理
【0061】
図7は、図1、図2および図3に示す画像読取装置による画像読取処理を説明するフローチャートである。
【0062】
ユーザーは、コピーまたは画像スキャンを行う場合、被読取物をコンタクトガラス1上に載置した後、コピーまたは画像スキャンのためのユーザー操作をユーザーインターフェイス32に対して行う。
【0063】
被読取物がシート状原稿(例えば、A4サイズの1枚の紙)である場合、そのシート状の原稿は、コンタクトガラス1に密着するとともに、原稿カバー7は、シート状の原稿、あるいはシート状の原稿とコンタクトガラス1に密着する。このとき、原稿カバー7の静止角度はほぼ0度になる。
【0064】
一方、被読取物が立体物である場合、原稿カバー7は、立体物に接触するものの、立体物およびコンタクトガラス1に密着せず、開いた状態となる。このとき、原稿カバー7の静止角度は、立体物の形状に応じた角度となる。
【0065】
そして、上述のユーザー操作がユーザーインターフェイス32により検出されると、制御部41は、まず、画像読取部15を制御して画像読取を実行させ、画像データを取得する(ステップS1)。
【0066】
次に、被読取物種別特定部42は、原稿検知センサー31の出力に基づいて、被読取物の種別(立体物およびシート状原稿のいずれか)を特定する(ステップS2)。
【0067】
なお、このとき、マーク特定部43が、画像読取部15により読み取られた画像内でのマーク22のマーク画像の濃度および位置を特定し、被読取物種別特定部42は、そのマーク画像の濃度および位置から被読取物の種別を特定するようにしてもよい。
【0068】
制御部41は、被読取物種別特定部42により特定された被読取物の種別がシート状原稿であるか否かを判定し(ステップS3)、被読取物の種別がシート状原稿である場合には、画像読取部15により読み取られた画像に対するデフォルト色補正テーブル51による色補正を色補正部44に実行させる(ステップS4)。
【0069】
一方、被読取物の種別がシート状原稿ではない場合(つまり、被読取物の種別が立体物である場合)、制御部41は、まず、マーク特定部43に、画像読取部15により読み取られた画像内でのマーク22のマーク画像の濃度および位置を特定させる(ステップS5)。マーク特定部43は、マーク画像の濃度および位置を特定し、マーク画像の濃度および位置から原稿カバー7の静止角度を特定する。
【0070】
なお、ステップS2においてマーク特定部43が、画像読取部15により読み取られた画像内でのマーク22のマーク画像の濃度および位置を既に特定している場合には、ステップS5の処理は不要である。ただし、ステップS5では、マーク特定部43は、マーク画像の濃度および位置から原稿カバー7の静止角度を特定する。
【0071】
色補正部44は、デフォルト色補正テーブル51を読み出し、そのデフォルト色補正テーブル51を上述の原稿カバー7の静止角度に応じて補正して、カスタム色補正テーブルを生成し(ステップS6)、そのカスタム色補正テーブルで、画像読取部15により読み取られた画像に対する色補正を行う(ステップS7)。このとき、色補正部44は、デフォルト色補正テーブル51より所定の低輝度領域の輝度が増加されるようにカスタム色補正テーブルを生成する。低輝度領域の輝度が増加されることで、この色補正において、カブリ部分の輝度が高くなる。
【0072】
その後、出力画像生成部45が、ステップS4またはステップS7での色補正後の画像に対して所定の画像処理を実行し、その画像処理後の画像を例えば印刷部33に出力する。
【0073】
このように、被読取物の種別に応じて異なる画像処理を実行することで、立体物の画像読取の際のカブリなどの画質低下を抑制する。
【0074】
(2)原稿カバー7のズレ検出処理
【0075】
原稿カバー7の位置にズレが生じると、検出されるマーク画像の位置に誤差が生じるので、上述の画像読取処理を正確に行うために、原稿カバー7のズレ検出処理が適宜実行される。図8は、図1、図2および図3に示す画像読取装置による原稿カバー7のズレ検出処理を説明するフローチャートである。
【0076】
ユーザーは、プレスキャンのためのユーザー操作をユーザーインターフェイス32に対して行う。
【0077】
上述のユーザー操作がユーザーインターフェイス32により検出されると、制御部41は、まず、画像読取部15を制御して画像読取を実行させ、画像データを取得する(ステップS21)。
【0078】
次に、被読取物種別特定部42は、原稿検知センサー31の出力などに基づいて、被読取物がコンタクトガラス1に載置されているか否かを判定する(ステップS22)。
【0079】
被読取物がコンタクトガラス1に載置されていない場合、マーク特定部43は、画像読取部15により読み取られた画像内でのマーク画像の位置を特定する(ステップS23)。次に、カバーズレ検出部46は、特定されたマーク画像のズレ量を特定する。ここでは、カバーズレ検出部46は、特定されたマーク画像の位置と、そのマーク画像の基準位置との間の距離を、主走査方向および副走査方向について特定する(ステップS24)。なお、マーク画像の基準位置は原稿カバー7のズレがない状態で予め測定され、その基準位置のデータが予めカバーズレ検出部46に保持されている。
【0080】
そして、カバーズレ検出部46は、ステップS24で特定されたズレ量が所定の条件を満足するほど大きいか否かを判定する(ステップS25)。
【0081】
例えば、主走査方向におけるマーク画像の位置と基準位置との間の距離をXとし、副走査方向におけるマーク画像の位置と基準位置との間の距離をYとした場合、上述の条件は、X+Y>A(ただし、Aは所定の閾値)とされる。
【0082】
そのズレ量が所定の条件を満足する場合、カバーズレ検出部46は、ユーザーインターフェイス32に、原稿カバー7にズレが生じていることを示す警告メッセージを表示させる(ステップS26)。そのズレ量が所定の条件を満足しない場合、カバーズレ検出部46は、その警告メッセージを表示させずに処理を終了する。
【0083】
なお、ステップS22において被読取物がコンタクトガラス1に載置されていると判定された場合には、上述の原稿カバー7のズレ検出処理を実行しない。
【0084】
このように、被読取物が載置されていないときにカバー平面21上のマーク22が読み取られ、そのマーク22についてのマーク画像の位置に基づいて、原稿カバー7のズレが検出され、ユーザーに報知される。ユーザーは、上述の警告メッセージに気付くと、原稿カバー7の位置を正しい位置に戻す。これにより、原稿カバー7の傾斜などが発生せず、画像読取時の画質劣化が抑制されるとともに、マーク画像の濃度および/または位置に基づく上述の画像補正が正確に実行される。
【0085】
以上のように、上記実施の形態によれば、原稿カバー7のカバー平面21上の所定位置にマーク22が設けられ、マーク特定部43は、画像読取部15により読み取られた画像内でマーク22のマーク画像を検出し、マーク画像の濃度および/または位置を特定する。そして、色補正部44は、画像読取部15により読み取られた画像をマーク画像の濃度および/または位置に応じて補正する。
【0086】
これにより、原稿カバー7にマーク22を設けることでマーク画像の濃度および/または位置から画像処理でカブリ等の画質低下を低減できる。したがって、被読取物が立体物である場合におけるカブリ等の画質低下を低コストで低減することができる。ひいては、読み取られた画像の印刷時に、カブリ部分のトナー消費を低減することができる。
【0087】
また、上記実施の形態によれば、カバーズレ検出部46は、上述のマーク画像の位置の、基準位置からのズレ量に基づいて、原稿カバー7のズレを検出する
【0088】
これにより、マーク画像の位置が基準位置になるように原稿カバー7がユーザーにより正しく配置されるため、マーク画像の濃度および位置が正確に検出される。
【0089】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0090】
例えば、上記実施の形態において、色補正部44または出力画像生成部45は、マーク画像を除去するようにしてもよい。
【0091】
また、上記実施の形態において、コンタクトガラス1において被読取物が載置されない領域に対応する、カバー平面21上の位置にマーク22を設け、画像読取部15により、定形サイズの画像より大きいサイズで、マーク22の画像を含むように画像読取を実行し、色補正部44および出力画像生成部45では、マーク22の画像を含まないその定形サイズの画像に対する処理を行うようにしてもよい。
【0092】
また、上記実施の形態において、マーク22の色を、印刷部33において印刷可能な色領域に含まれない色としてもよい。これにより、コピー時に、マーク22の画像が印刷物に含まれない。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、例えば、スキャナー、複写機、デジタル複合機などに適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 コンタクトガラス(載置台の一例)
7 原稿カバー
15 画像読取部
21 カバー平面
22 マーク
31 原稿感知センサー(センサーの一例)
35 記憶装置
43 マーク特定部
44 色補正部(画像補正部の一例)
46 カバーズレ検出部
51 デフォルト色補正テーブル(色補正テーブルの一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被読取物を載置される透明な載置台と、
前記載置台に載置された前記被読取物を覆うカバー平面上の所定位置にマークを有する原稿カバーと、
前記載置台に載置された前記被読取物および前記カバー平面の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部により読み取られた画像内で前記マークのマーク画像を検出し、前記マーク画像の濃度および/または位置を特定するマーク特定部と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記画像読取部により読み取られた画像を前記マーク画像の濃度および/または位置に応じて補正する画像補正部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像補正部は、前記画像読取部により読み取られた画像に対して、所定の低輝度領域の輝度を増加させることを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記画像補正部は、前記画像読取部により読み取られた画像における前記マーク画像を除去することを特徴とする請求項2または請求項3記載の画像読取装置。
【請求項5】
色補正テーブルを記憶する記憶装置をさらに備え、
前記画像補正部は、前記色補正テーブルを前記マーク画像の濃度および/または位置に応じて補正し、補正された前記色補正テーブルで前記画像読取部により読み取られた画像の色変換を行うこと、
を特徴とする請求項2または請求項3記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記マーク画像の位置の、基準位置からのズレ量に基づいて、前記原稿カバーのズレを検出するカバーズレ検出部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記カバーズレ検出部は、前記載置台上で前記被読取物が検知されていないときに、前記原稿カバーのズレを検出することを特徴とする請求項6記載の画像読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−115616(P2013−115616A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260122(P2011−260122)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】