説明

画像読取装置

【課題】原稿台の汚れ検知動作にかかる時間を減少させ、原稿読み取り開始前に原稿台の汚れ検知を行う場合においても、読み取り動作の開始に必要な時間を短縮することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】原稿を原稿台上で移動させながら画像を読み取ることが可能な画像読取装置において、読取手段により原稿台の汚れを検知するための汚れ検知手段を備え、前記汚れ検知手段は、読取手段を原稿台の検知領域内の所定位置に移動させて停止した状態で原稿台の汚れを検知する停止検知モードと、読取手段を移動させながら原稿台の検知領域の汚れの有無を検知する移動検知モードとを有し、汚れ検知に際して最初に移動検知モードによる汚れ検知を実行し、その検知結果により停止検知モードによる汚れ検知を省略し、又は前記停止検知モードによる汚れ検知領域を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を原稿台上で移動させながら画像を読み取る画像読取装置に関し、さらに詳しくは前記原稿台の汚れのない位置で読取手段による原稿読み取りを行うにあたり、前記汚れのない位置の検知を迅速に設定し得る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等にあっては原稿を読み取って記録シートに画像を形成するが、原稿を読み取る方法として、原稿台ガラス上に原稿をセットし、読取センサをスキャンさせて原稿画像を読み取る方法のほかに、いわゆる流し読みモードといわれる方法がある。この流し読みモードは、読取センサを所定の読み取り位置に移動させた後に停止させ、原稿搬送手段によって原稿台ガラス上を搬送される原稿を前記読取センサによって読み取るものであり、原稿を一定方向に移動するだけでよいので、大量の原稿を連続して読み取ることができる。
【0003】
しかし、前記流し読みモードで原稿を読み取る場合、原稿台ガラス上の読み取り位置にゴミ等が付着して汚れがあると、その位置で停止している読取センサで移動する原稿を読み取った画像には、黒スジが発生することになる。
【0004】
そのため、原稿を流し読みモードで読み取る場合には、原稿台ガラス上の汚れを検知し、その結果に応じて読み取り位置を変更し、原稿台ガラス上の汚れがある位置が読み取り位置にならないようにして黒スジの発生を回避している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−144901
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の原稿台ガラスの汚れ検知は、読取センサを原稿台ガラスに対向する所定の位置に移動させて停止させ、その位置の原稿台ガラスの汚れ検知を行う。この汚れ検知動作を決められた読み取り位置に移動して行う。このため、従来の汚れ検知は読取センサの移動と停止を繰り返すものであった。
【0007】
しかし、上記読取センサの移動と停止の繰り返しには時間が大きくかかるという課題がある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、原稿台の汚れ検知動作にかかる時間を減少させ、原稿読み取り開始前に原稿台の汚れ検知を行う場合においても、読み取り動作の開始に必要な時間を短縮することができる画像読取装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、原稿を原稿台上で移動させながら画像を読み取ることが可能な画像読取装置において、原稿を前記原稿台上で搬送させるための原稿搬送手段と、前記原稿台上を搬送される原稿に前記原稿台を通して光照射し、その反射光により原稿を読み取る読取手段と、前記読取手段を移動させるための移動手段と、前記読取手段により前記原稿台の汚れを検知するための汚れ検知手段と、を備え、前記汚れ検知手段は、前記読取手段を原稿台の検知領域内の所定位置に移動させて停止した状態で前記原稿台の汚れを検知する停止検知モードと、前記読取手段を移動させながら前記原稿台の検知領域内の汚れの有無を検知する移動検知モードとを有し、前記汚れ検知手段は、汚れ検知に際して最初に前記移動検知モードによる汚れの有無の検知を実行し、その検知結果により前記停止検知モードによる汚れ検知を省略し、又は前記停止検知モードによる汚れ検知領域を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあってはによれば、原稿台上の汚れを検知するにあたって読取手段を移動させながら原稿台の検知領域の汚れを検知する。そして、例えば移動検知モードによる汚れ検知レベルが閾値より小さい場合は停止検知モードによる汚れ検知を省略することにより読み取り動作開始時における原稿台の汚れ検知動作を簡略化することができる。このため、原稿読み取り開始までの時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の全体構成図である。
【図2】汚れ検知における停止検知モードの動作説明図である。
【図3】汚れ検知における移動検知モードの動作説明図である。
【図4】ゴミ検知回路を含む制御系の構成例を示すブロック図。
【図5】汚れ検知手順を示すフローチャートである。
【図6】汚れ検知領域を複数に分割して行う場合の説明図である。
【図7】第2実施形態に係る汚れ検知手順を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態に係る汚れ検知手順を示すフローチャートである。
【図9】第4実施形態に係る汚れ検知手順を示すフローチャートである。
【図10】第5実施形態に係る汚れ検知手順を示すフローチャートである。
【図11】第5実施形態に係る汚れ検知領域を複数に分割して行う場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の一実施形態に係る画像読取装置について、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
〔第1実施形態〕
<画像読取装置の全体構成>
図1は本実施形態に係る画像読取装置を含む画像形成装置全体の断面図である。本実施形態の画像形成装置Aは、装置本体の上部に画像読取装置100が配置され、その下部に画像記録装置200が配置された複写機である。すなわち、画像読取装置100にセットした原稿を読み取り、その読み取り情報に基づいて装置下部にセットしたカセット201から搬送ローラ対によってシートを電子写真方式を用いた画像記録部202へ搬送してトナー画像を形成し、定着部203においてトナー定着した後に装置外へと排出するものである。
【0014】
画像読取装置100は、原稿を原稿台ガラス101上で移動させながら画像を読み取る、いわゆる流し読みが可能であって、そのために原稿を原稿台ガラス上で搬送するための原稿搬送手段を有している。この搬送手段は、原稿載置トレイ102に複数枚の原稿をセットし、読み取り開始スイッチ(不図示)を入れると、給送ローラ対103によって原稿載置トレイ102上の原稿を1枚ずつ分離給送し、その原稿を搬送ローラ104により、搬送路105に沿って搬送して排出トレイ106上に排出する。その間に、原稿は原稿台ガラス101上の読み取り位置を搬送され、該位置で停止している読取手段によって画像が読み取られる。
【0015】
原稿を読み取る読取手段は、原稿台ガラス上を搬送される原稿に下方から原稿台ガラス101を通して光照射し、その反射光により原稿に記載された画像を光学的に読み取るものである。この読取手段は、原稿に光照射するための光源と、原稿の反射光を読取センサに導光する光学系、前記反射光に基づいて原稿画像を光学的に読み取る読取センサを備えた読取ユニット107を有している。この読取ユニット107は、モータ108により回動するベルト109で構成された移動手段に連結しており、モータ108の駆動によって原稿台ガラス101に沿って移動可能に設けられている。
【0016】
また、読取ユニット107の移動領域の一方側端部付近には、読み取り開始までの位置検出の基準を出すために読取ユニット107のホームポジションを判断するホームポジションセンサ110が設けられている。
【0017】
本実施形態の画像読取装置100は、上記構成により、原稿読み取りモードとして原稿を原稿台ガラス101上に載置して読取ユニット107を移動させながら読み取るモードのほかに、読取ユニット107を所定の読み取り位置に移動させてその位置で停止させ、原稿台ガラス101上を搬送される原稿を読み取る流し読みモードを備えている。
【0018】
また、上記流し読みモードで原稿を読み取るに際して、原稿台ガラス101の汚れを検知する汚れ検知手段が設けられている。
【0019】
<原稿台の汚れ検知手段>
次に原稿台の汚れ検知手段について説明する。汚れ検知手段は、原稿を流し読みするときに、原稿読み取り位置における原稿台ガラス101が汚れているか否かを検知するものである。なお、ここで原稿台ガラスの汚れとは、原稿台ガラス101が直接汚れている場合のほか、原稿台ガラス101にゴミ等が付着している場合も含む意味である。
【0020】
本実施形態の汚れ検知手段は、読取ユニット107を原稿台ガラス101の汚れ検知領域内の所定位置に移動させて停止した状態で原稿台ガラスの汚れを検知する停止検知モードに加え、読取ユニット107を移動させながら原稿台ガラス101の検知領域の汚れの有無を検知する移動検知モードを有する。
【0021】
検知領域は、読取ユニット107がホームポジションセンサ110によって検知されたホームポジションを基準として、原稿が搬送される原稿台ガラス101と対向する所定領域であり、前記検知領域の一方端側にホームポジションが設定され、他方端側に読取ユニット107の待機位置が設定されている。すなわち、読取ユニット107がホームポジションから待機位置へ移動する間に原稿台ガラスの汚れ検知を行うものである。
【0022】
前記停止検知モードによる汚れ検知は、汚れ検知領域内で設定した複数箇所において原稿台ガラスが汚れているか否かを検知するするものである。例えば、図2に示すように、読取ユニット107を汚れ検知開始位置から汚れ検知位置Aに移動させて停止させ、読取センサによって読み取った汚れ検知レベルが予め設定した閾値(一定値)以上か否かで汚れの有無を検知する。次に読取ユニット107を汚れ検知位置Bに移動させて停止させ、同様の汚れ検知を実行し、さらには汚れ検知位置Cに移動させて停止させ、同様の汚れ検知を実行する。このようにして複数箇所で実行した汚れ検知結果に基づいて汚れ検知レベルが閾値よりも小さい位置、あるいは汚れ検知レベルが最も低い位置を流し読み位置に設定する。
【0023】
上記停止検知モードは、読取ユニットを停止させた状態でピンポイントで汚れ検知を行うために、汚れ検知結果が高精度で得られるが、読取ユニット107を検知位置へ移動・停止を繰り返すために汚れ検知に時間がかかる。例えば、本実施形態の場合では一カ所で500ms程度の時間を要し、3カ所の汚れ検知を行うと1500ms程度の時間がかかる。
【0024】
一方、前記移動検知モードによる汚れ検知は、読取ユニット107を汚れ検知領域内で移動させながら原稿台ガラス101が汚れているか否かを検知するものである。例えば、図3に示すように、読取ユニット107を汚れ検知開始位置から検知終了位置まで一定速度で移動させ、その間に読取センサによって読み取った汚れ検知レベルが予め設定した閾値以上か否かで汚れの有無を検知する。
【0025】
上記移動検知モードは、読取ユニット107を移動させながら汚れ検知を行うために、停止検知モードのような高精度な汚れ検知はできない。すなわち、移動検知モードにあっては、検知領域内において汚れ検知レベルが閾値以上か否か(汚れの有無)は検知できるが、検知領域内のどの位置にゴミ等が付着しているのか、正確な位置を検知することはできない。しかし、読取ユニット107を移動させながら汚れ検知を行うために、検知時間は停止検知モードよりも短くなる。例えば、本実施形態の場合では500ms程度の時間で検知が行われ、前述した停止検知モードに比べるとおよそ1秒程度の短縮になる。
【0026】
本実施形態の汚れ検知手段は、図4に示すような制御構成となっている。なお、図4は汚れ検知手段を含めた画像形成装置の制御構成のブロック図である。
【0027】
図4において、画像読取装置の制御系は、リニアイメージセンサ501、アンプ502、A/D変換器503、シェーディング補正回路504、汚れ検知回路520、CPU512を備えている。
【0028】
更に、汚れ検知回路520は、フィルタ回路505、2値化回路506、加算回路507、ラインメモリ508、コンパレータ509、AND回路510、汚れ検知結果保持回路511、読取ユニットの駆動部、読取ユニットの位置を判断するホームポジションセンサを備えている。
【0029】
リニアイメージセンサ501は、原稿照明ランプにより照明された原稿の反射光をミラー及びレンズを介して結像し、原稿の反射光を電気信号に光電変換する。アンプ502は、リニアイメージセンサ501の出力信号を増幅する。A/D変換器503は、アンプ502から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。シェーディング補正回路504は、A/D変換器503の出力信号に対し公知のシェーディング補正処理を行う。
【0030】
CPU512は、本制御系の各部を統括制御する中央処理装置であり、汚れ検知回路520の汚れ検知結果保持回路511の出力に基づき汚れ検知結果を判断する制御、ラインメモリ508に格納されているデータを汚れ判定レベルと比較する制御などを行う。
【0031】
上記制御は、読取ユニットの駆動部により読取ユニットを駆動しながら行われ、またホームポジションセンサの検出から導き出された所定の位置で行われる。
【0032】
汚れ検知回路520は、原稿台ガラス301上に汚れが付着しているか否かを検知する汚れ検知処理を行う回路である。汚れ検知回路520において、フィルタ回路505は、シェーディング補正後の画像信号に対して高周波成分を強調するなどの処理を行う。
【0033】
2値化回路506は、原稿台ガラス上に付着した汚れの影響(黒スジ)を検知しやすくするための前処理を行うものであり、フィルタ回路505から出力される画像信号を白/黒に2値化する。
【0034】
加算回路507は、2値化回路506の出力信号とラインメモリ508の出力信号とを加算し、加算結果をラインメモリ508に供給する。ラインメモリ508は、所定ライン分の読取画像データを記憶する。
【0035】
コンパレータ509は、加算回路507の出力信号のレベル(入力端Xのレベル)と汚れ判定レベル(入力端Nのレベル)とを比較し、N≦Xの場合にAND回路510に信号を出力する。
【0036】
AND回路510は、コンパレータ509の出力信号と主走査の有効画像区間信号との論理積をとり、論理積に基づく信号を汚れ検知結果保持回路511に出力する。
【0037】
汚れ検知結果保持回路511は、AND回路510の出力信号に基づき、即ち、1画素でも汚れ検知結果が汚れありとなった場合(原稿台ガラス上に汚れが付着している場合)に、その汚れ検知結果を保持するための回路である。
【0038】
次に、前記汚れ検知回路520の動作について説明する。フィルタ回路505は、シェーディング補正後の画像信号に対して高周波成分を強調するなどの処理を行い、2値化回路506は、汚れの影響(黒スジ)を検知しやすくするための前処理を行う。
【0039】
次に、加算回路507、ラインメモリ508により、所定のライン分だけ主走査方向の同一アドレスの2値化画像信号を累積加算する(以後、この動作をサンプリング加算と呼ぶ)。流し読みガラスの汚れにより、読み取り画像に黒線が発生した場合、この黒線の発生位置では、黒画素率が100%となる。
【0040】
一方、検知領域内にごく僅かな点として存在した汚れの影響は、サンプリングライン数の割合に応じて、低い黒画素率になり、全く汚れが存在していなければ黒画素率は0%となる。
【0041】
このラインメモリ508の格納内容を参照し、黒画素率Xが汚れ判定レベルN(閾値)以上の場合に、汚れ検知の領域内に汚れがあると判定することができる。判定レベルNよりも小さい場合には汚れがある可能性は低いものと判断し、汚れが無いと判定することができる。
【0042】
従って、汚れ検知における所定領域内でのサンプリングライン数から、汚れ判定レベルを適切な値に設定することで、汚れ検知領域の範囲内で大まかに汚れを検知することができる。
【0043】
CPU512は、汚れ検知結果保持回路511の出力を監視することで、汚れ検知結果を知ることができる。また、CPU512は、この汚れ検知結果のデータを用いて、各部材を駆動制御する。
【0044】
<汚れ検知制御>
次に上記汚れ検知手段により原稿台ガラス101の汚れを検知する手順について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0045】
電源投入時などの画像読取装置100が読み取り待機状態に移行した際に、読取ユニット107は初期位置に移動して待機している。この状態から原稿流し読みモードによる読み取りスイッチが入ると、流し読み位置を決定するために原稿台ガラス101の汚れ検知を実行する。
【0046】
これは、図5に示すように、待機位置にある読取ユニット107がホームポジション位置に移動し、これをホームポジションセンサ110が検知した時点から所定距離移動して汚れ検知開始位置へと移動する(S101)。
【0047】
これは読取ユニット移動開始後、ホームポジションセンサ110がオフ検出の段階で、読取ユニット107の移動距離のカウントを開始し、汚れ検知領域までの距離や初期化終了後の動作待機位置までの判断を行う。
【0048】
読取ユニット107が汚れ検知開始位置に至った時点から、移動検知モードによる汚れ検知を開始する(S102)。具体的には、前述した汚れ検知回路520を駆動させ、汚れ検知のサンプリング加算動作を開始する。そして、そのまま読取ユニット107の動作を継続し、読取ユニット107が汚れ検知領域の終了位置に到達した段階で(S103)、汚れ検知回路でのサンプリング加算動作を停止し、移動検知モードによる汚れ検知を終了する(S104)。その後、読取ユニット107自体は所定の動作待機位置に到達した段階で動作を停止させる(S105)。
【0049】
サンプリング加算動作の結果、汚れ判定レベルNに対して汚れ検知領域内の黒画素率Xより汚れの有無を判別し(S106)、X<Nの場合、すなわち検知領域内の黒画素率が汚れ判定レベルより小さい場合は汚れ検知領域内に汚れがないものと判断する。そして、領域内に汚れがないと判断したときは、汚れ検知動作スキップフラグをセットし、このフラグがセットされていた場合には以降の汚れ検知動作を省略する。
【0050】
また、N≦Xの場合、すなわち汚れ判定レベルNに対して汚れ検知領域内の黒画素率Xが上回っていた場合、汚れ検知領域内に汚れが有るものと判断し、汚れ検知動作スキップフラグをクリアし、このフラグがクリアされたいた場合には、汚れ検知領域内において高精度で汚れ検知が可能な停止検知モードによる汚れ検知を実行する(S107)。
【0051】
一般的に原稿台ガラスにゴミ等が付着していることは少ない。したがって、汚れ検知に際して最初に移動検知モードによる汚れ検知を実行し、その検知結果により原稿台ガラスに汚れがないと判断した場合には、時間のかかる停止モードによる汚れ検知を省略して予め設定してある流し読み位置に読取ユニットを移動させる。これにより、原稿の流し読みを開始するまでの時間を短縮することができる。
【0052】
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態に係る原稿台ガラスの汚れ検知について図6及び図7を参照して説明する。なお、本実施形態の装置の基本構成は前述した実施形態と同一であるため重複する説明は省略する。
【0053】
本実施形態の汚れ検知は、図6に示すように、原稿台ガラス101の汚れ検知領域を複数の領域(本実施形態にあってはA〜Eの5領域)に分割して移動検知モードで汚れ検知を実行し、汚れを検知レベルが閾値よりも小さい領域があるときは、その領域について停止検知モードによる汚れ検知を実行するものである。
【0054】
本実施形態の汚れ検知動作を図7のフローチャートを参照して説明する。待機位置にある読取ユニット107をホームポジションから汚れ検知開始位置に移動させ、検知領域内を移動検知モードによって汚れ検知し、検知後に読取ユニット107を待機位置で停止する(S201〜S205)。本実施形態では前記移動検知モードによる汚れ検知に際して、各領域A〜Eごとの汚れ検知結果(データA〜E)をメモリに格納する。
【0055】
サンプリング加算動作の結果、各領域ごとに汚れ判定レベルNに対しての汚れ検知領域内の黒画素率Xより汚れの有無を判別し(S206)、N≦Xの場合には汚れ検知領域内に汚れがあるものと判断し、その領域に対して汚れありフラグをセットする(S207)。
【0056】
一方、X<Nの場合には汚れ検知領域内に汚れがないものと判断し、その領域に対して汚れありフラグをクリアする(S208)。
【0057】
そして、読み取り動作開始時に各領域ごとの汚れありフラグのチェックを行い(S209)、汚れありフラグがセットされていない領域が一つでもあれば、汚れありフラグがセットされている領域を除外し、汚れありフラグがセットされていない領域のみ停止検知モードによる汚れ検知を実行する(S210)。
【0058】
一方、全ての領域に汚れありフラグがセットいる場合には、全ての領域に対して停止検知モードによる汚れ検知動作を実行する(S211)。
【0059】
上記のように、原稿台上の汚れ検知をするに際して、検知領域を複数の領域に分けて最初に移動検知モードによる汚れ検知を実行し、検知レベルが閾値よりも小さい領域があるときは、その領域(例えば図6の場合ならば領域D、E)についてのみ停止検知モードによる汚れ検知を実行する。これにより、時間のかかる停止検知モードにより汚れ検知する領域が全領域を実行する場合に比べて少なくなり、原稿の流し読みを開始するまでの時間を短縮することができる。
【0060】
〔第3実施形態〕
次に第3実施形態に係る原稿台ガラスの汚れ検知について図8を参照して説明する。なお、本実施形態の装置の基本構成も前述した実施形態と同一であるため重複する説明は省略する。
【0061】
本実施形態の汚れ検知は、図8に示すように、原稿台ガラス101の汚れ検知領域を複数の領域に分割して移動検知モードで汚れ検知を実行し、汚れを検知レベルが閾値よりも小さい領域が複数あるときは、その領域のなかで検知レベルが最も低い領域について停止検知モードを実行するものである。
【0062】
本実施形態の汚れ検知動作を図8のフローチャートを参照して説明する。待機位置にある読取ユニット107をホームポジションから汚れ検知開始位置に移動させ、検知領域内を移動検知モードによって汚れ検知し、検知後に読取ユニット107を待機位置で停止する(S301〜S305)。本実施形態では前記移動検知モードによる汚れ検知に際して、各領域A〜Eごとの汚れ検知結果(データA〜E)をメモリに格納する。ここまでは前述した第2実施形態と同じである。
【0063】
サンプリング加算動作の結果、各領域ごとに汚れ判定レベルNに対しての汚れ検知領域内の黒画素率Xより汚れの有無を判別し、X<N、かつサンプリング加算データA〜Eで最も黒画素率Xが低い領域に対して、流し読み位置フラグをセットする(S306)。なお、全ての領域に対してN≦Xとなった場合には流し読み位置フラグをセットしない。
【0064】
そして、読み取り動作開始時に流し読み位置フラグのチェックを行い(S307)、流し読み位置フラグがセットされていればその領域で停止検知モードによる汚れ検知を実行する(S308)。一方、流し読み位置フラグがセットされていなければ、全ての領域に対して停止検知モードによる汚れ検知動作を実行する(S309)。
【0065】
上記のように、原稿台の汚れ検知をするに際して、検知領域を複数の領域に分けて最初に移動検知モードによる汚れ検知を実行し、検知レベルが閾値よりも小さい領域が複数あるときは、そのなかで最も検知レベルが低い領域(例えば図6の場合ならば領域E)について停止検知モードによる汚れ検知を実行する。これにより、時間のかかる停止検知モードにより汚れ検知する領域が全領域を実行する場合に比べて少なくなり、原稿の流し読みを開始するまでの時間を短縮することができる。
【0066】
〔第4実施形態〕
次に第4実施形態に係る原稿台ガラスの汚れ検知について図9を参照して説明する。なお、本実施形態の装置の基本構成も前述した実施形態と同一であるため重複する説明は省略する。
【0067】
本実施形態の汚れ検知は、図9に示すように、原稿台ガラス101の汚れ検知領域を複数の領域に分割して移動検知モードで汚れ検知を実行し、汚れを検知レベルが閾値よりも小さい領域が複数あるときは、その領域のなかで読取ユニットの待機位置から最も近い領域について停止検知モードを実行するものである。
【0068】
本実施形態の汚れ検知動作を図9のフローチャートを参照して説明する。待機位置にある読取ユニット107をホームポジションから汚れ検知開始位置に移動させ、検知領域内を移動検知モードによって汚れ検知し、検知後に読取ユニット107を待機位置で停止する(S401〜S405)。本実施形態では前記移動検知モードによる汚れ検知に際して、各領域A〜Eごとの汚れ検知結果(データA〜E)をメモリに格納する。ここまでは前述した第2実施形態と同じである。
【0069】
サンプリング加算動作の結果、各領域ごとに汚れ判定レベルNに対しての汚れ検知領域内の黒画素率Xより汚れの有無を判別し、X<N、かつサンプリング加算データA〜Eで読取ユニットの待機位置に最も近い領域に対して、流し読み位置フラグをセットする(S406)。なお、全ての領域に対してN≦Xとなった場合には流し読み位置フラグをセットしない。
【0070】
そして、読み取り動作開始時に流し読み位置フラグのチェックを行い(S407)、流し読み位置フラグがセットされていればその領域で停止検知モードによる汚れ検知を実行する(S408)。一方、流し読み位置フラグがセットされていなければ、全ての領域に対して停止検知モードによる汚れ検知動作を実行する(S409)。
【0071】
上記のように、原稿台の汚れ検知をするに際して、検知領域を複数の領域に分けて最初に移動検知モードによる汚れ検知を実行し、検知レベルが閾値よりも小さい領域が複数あるときは、そのなかで読取ユニットの待機位置に最も近い領域について停止検知モードによる汚れ検知を実行する。これにより、待機位置にある読取ユニットが停止検知モードによる汚れ検知をする領域に移動する時間を短縮することができ、結果として原稿の流し読みを開始するまでの時間を短縮することができる。
【0072】
〔第5実施形態〕
次に第5実施形態に係る原稿台ガラスの汚れ検知について図10及び図11を参照して説明する。なお、本実施形態の装置の基本構成も前述した実施形態と同一であるため重複する説明は省略する。
【0073】
本実施形態の汚れ検知は、図10に示すように、原稿台ガラス101の汚れ検知領域を複数の領域に分割して移動検知モードで汚れ検知を実行し、汚れ検知レベルがすべての領域で閾値以上の場合、汚れ検知レベルが最も低い領域について複数箇所で前記停止検知モードを実行して汚れ検知レベルが最も低い位置を原稿を読み取る位置として設定するものである。
【0074】
本実施形態の汚れ検知動作を図10のフローチャートを参照して説明する。待機位置にある読取ユニット107をホームポジションから汚れ検知開始位置に移動させ、検知領域内を移動検知モードによって汚れ検知し、検知後に読取ユニット107を待機位置で停止する(S501〜S505)。本実施形態では前記移動検知モードによる汚れ検知に際して、各領域A〜Eごとの汚れ検知結果(データA〜E)をメモリに格納する。ここまでは前述した第2実施形態と同じである。
【0075】
サンプリング加算動作の結果、各領域ごとに汚れ検知領域内の黒画素率Xより汚れの有無を判別し、その中で最もレベルが低い領域、例えば図11の場合ならば領域Gを検出する(S506)。そして、領域Gにおける黒画素率Xと汚れ判定レベルNとを比較し、X<Nならば流し読み位置フラグをセットし(S508)、N≦Xならば汚れ検知フラグをセットする。流し読み動作開始時に上記フラグのチェックを行い、流し読み位置フラグがセットされている場合にはそのままその位置で読み取り動作を行い、汚れ検知の動作を省略する。
【0076】
一方、汚れ検知フラグがセットされている場合には、図11に示すように、領域G内の複数の定位置H、I、Jで停止検知モードによる汚れ検知を実行する(S509)。そして、黒画素率Xが一番低い位置に流し読み位置フラグをセットする(S510)。
【0077】
上記のように、移動検知モードによる汚れ検知で全ての領域の黒画素率Xが閾値以上であったときは、その中でも最も汚れレベルが低い位置を流し読み位置に設定する。これにより、流し読みに最も適した位置を効率的に決定することができ、結果として原稿の流し読みを開始するまでの時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0078】
A …画像形成装置
100 …画像読取装置
101 …原稿台ガラス
102 …原稿載置トレイ
103 …給送ローラ対
104 …搬送ローラ
105 …搬送路
106 …排出トレイ
107 …読取ユニット
108 …モータ
109 …ベルト
110 …ホームポジションセンサ
200 …画像記録装置
201 …カセット
202 …画像記録部
203 …定着部
501 …リニアイメージセンサ
502 …アンプ
503 …A/D変換器
504 …シェーディング補正回路
505 …フィルタ回路
506 …2値化回路
507 …加算回路
508 …ラインメモリ
509 …コンパレータ
510 …AND回路
511 …汚れ検知結果保持回路
512 …CPU
520 …汚れ検知回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を原稿台上で移動させながら画像を読み取ることが可能な画像読取装置において、
原稿を前記原稿台上で搬送させるための原稿搬送手段と、
前記原稿台上を搬送される原稿に前記原稿台を通して光照射し、その反射光により原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段を移動させるための移動手段と、
前記読取手段により前記原稿台の汚れを検知するための汚れ検知手段と、
を備え、
前記汚れ検知手段は、前記読取手段を原稿台の検知領域内の所定位置に移動させて停止した状態で前記原稿台の汚れを検知する停止検知モードと、前記読取手段を移動させながら前記原稿台の検知領域内の汚れの有無を検知する移動検知モードとを有し、
前記汚れ検知手段は、汚れ検知に際して最初に前記移動検知モードによる汚れの有無の検知を実行し、その検知結果により前記停止検知モードによる汚れ検知を省略し、又は前記停止検知モードによる汚れ検知領域を決定することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記汚れ検知手段は、前記移動検知モードにより原稿台の汚れを検知レベルが閾値以上のときは、前記停止検知モードによる汚れ検知を実行し、前記移動検知モードによる原稿台の汚れ検知レベルが前記閾値より小さいときは前記停止検知モードによる汚れ検知を実行しないことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記移動検知モードによる原稿台の汚れ検知は、前記検知領域を複数の領域に分けて実行し、
前記移動検知モードによる原稿台の汚れを検知レベルが閾値より小さい領域があるときは、その領域について前記停止検知モードによる汚れ検知を実行することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記移動検知モードによる原稿台の汚れ検知は、前記検知領域を複数の領域に分けて実行し、
前記移動検知モードによる原稿台の汚れを検知レベルが閾値より小さい領域が複数あるときは、前記移動検知モードによる汚れ検知レベルが最も低い領域について前記停止検知モードを実行することを特徴とする請求項3記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記移動検知モードによる原稿台の汚れ検知は、前記検知領域を複数の領域に分けて実行し、
前記移動検知モードによる原稿台の汚れを検知レベルが閾値よりも小さい領域が複数あるときは、前記読取手段の待機位置に最も近い領域について前記停止検知モードによる汚れ検知を実行することを特徴とする請求項3記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記移動検知モードによる原稿台の汚れ検知は、前記検知領域を複数の領域に分けて実行し、
前記移動検知モードによる原稿台の汚れ検知レベルがすべての領域で閾値以上の場合、前記移動検知モードによる汚れ検知レベルが最も低い領域について複数箇所で前記停止検知モードを実行し、前記停止検知モードによる汚れ検知レベルが最も低い位置を原稿を読み取る位置として設定することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−78058(P2013−78058A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217916(P2011−217916)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】