説明

画像送信装置、システム、方法およびプログラム

【課題】イメージスキャナーによって読み取られて遠隔地から送信される画像データを受
信して処理する効率を高めつつデータ通信量を抑制する。
【解決手段】イメージスキャナーによって原稿から読み取られた画像データを取得する画
像取得手段と、前記画像データの読み取りが予め決められた要件を満たすか否かを前記画
像データの解析によって判定するとともに、前記画像データの読み取りが予め決められた
要件を満たないと判定された場合、前記画像データの送信を中止する判定手段と、前記画
像データの読み取りが予め決められた要件を満たすと判定された場合、前記画像データに
対して縮小を含む圧縮処理を施すとともに、前記圧縮処理が施された前記画像データを送
信する加工送信手段と、を備える画像送信装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像送信装置、システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、イメージスキャナーとデータサーバーとが離れて設置されている場合
にスキャン作業の負担を軽減するための技術が開示されている。また従来、イメージスキ
ャナーによって読み取られた画像データを処理する作業を軽減するための技術として、O
MR(Optical Mark Recognition)やOCR(Optical Character Recognition)が知ら
れている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−251849号公報
【特許文献2】特開2008−167314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
帳票や解答用紙といった定型書類をイメージスキャナーで読み取り、画像データを遠隔
地のサーバーに送信して処理する場合、作業効率を上げるためには、適切な原稿から適切
な条件で読み取られた画像データだけがサーバーに送信されなければならない。しかし、
イメージスキャナー側の作業を正しく遂行させる有効な手段は従来ない。また、イメージ
スキャナーとデータサーバーとが離れた場所に設置されている場合、ネットワークトラフ
ィックや送信コストも考慮する必要がある。
【0005】
本発明は、イメージスキャナーによって読み取られて遠隔地から送信される画像データ
を受信して処理する効率を高めつつデータ通信量を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)前記目的を達成するための画像送信装置は、イメージスキャナーによって原稿か
ら読み取られた画像データを取得する画像取得手段と、前記画像データの読み取りが予め
決められた要件を満たすか否かを前記画像データの解析によって判定するとともに、前記
画像データの読み取りが予め決められた要件を満たないと判定された場合、前記画像デー
タの送信を中止する判定手段と、前記画像データの読み取りが予め決められた要件を満た
すと判定された場合、前記画像データに対して縮小を含む圧縮処理を施すとともに、前記
圧縮処理が施された前記画像データを送信する加工送信手段と、を備える。
【0007】
本発明によると、イメージスキャナーによって原稿から読み取られた画像データを送信
する前に、画像データに対して縮小を含む圧縮処理を施すためにデータ通信量を抑制する
ことができる。またイメージスキャナーによって原稿から読み取られた画像データを送信
する前に画像データを解析し、画像データの読み取りが予め決められた要件を満たしてい
ない場合には画像データの送信を中止するため、無駄なデータ通信を抑制するとともに、
受信側の作業負担や無駄なデータ処理の発生を抑制できる。そして、画像データの解析後
に画像データに対して縮小を含む圧縮処理を施すため、解析精度を落とすことなく、予め
決められた要件を満たして読み取られた画像データのみを送信することができる。なお、
本明細書において「圧縮処理」は、符号の数学的な変換によりデータ量を減らす情報源符
号化に限らず、データが表す画像の内容変更を伴う縮小や切り捨て(クリッピング)など
の処理を含むより広い概念を持つ用語として用いる。
【0008】
(2)前記目的を達成するための画像送信装置は、予め決められた領域を予め決められ
た解像度において前記イメージスキャナーに読み取らせる読み取り制御手段をさらに備え
てもよい。
この場合、十分な解析精度が得られる解像度で原稿全体から画像データを読み取ること
が保証されるとともに、原稿や解析に応じた解像度や領域を設定する操作が不要になるた
め、原稿を読み取る作業の効率が上がる。
【0009】
(3)例えば原稿用紙にバーコードや文字によって認証情報を付すことによって原稿用
紙の使用者や原稿用紙自体の認証をする利用形態を想定すると、前記目的を達成するため
の画像送信装置において、前記画像データの解析は、OCRまたはOMRと、前記OCR
または前記OMRによって認識された情報の照合または解析とを含んでもよい。
この場合、承認されていない使用者によって画像データの不正な送信が行われたり、承
認されていない誤った原稿用紙を用いて画像データが送信されたり、予定されていない組
み合わせで文字やマークが記載された原稿から読み取られた画像データが送信されること
によって、無駄なデータ通信が発生することを未然に防止できる。
【0010】
なお、本発明は、前記した画像送信装置の他にも、画像送信システムや画像送信方法や
画像送信プログラムの発明としてもプログラムの記録媒体としても特定可能である。むろ
ん、その記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、
今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、請求
項に記載された動作の順序は、技術的な阻害要因がない限りにおいて記載順に限定されず
、同時に実行されても良いし、記載順の逆順に実行されても良いし、連続した順序で実行
されなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態にかかるブロック図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるブロック図である
【図3】本発明の実施形態にかかるシーケンスチャートである。
【図4】本発明の実施形態にかかる平面図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる画像データの内容を示す図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる画像データの内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。各図において対応する構
成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
1.概要
はじめに本発明による画像送信装置の一実施形態としてのPC(Personal Computer)
をクライアント端末とする画像送信システムの全体構成について説明する。この画像送信
システムは、インターネット通信回線または電話回線を介して予め決められた情報を遠隔
地間で送受信するために構成される。予め決められた少なくとも一部の情報は遠隔地間に
おいて画像データとして送受信される。したがってこの画像送信システムは、図1に示す
ように、原稿から画像データを読み取るためのイメージスキャナー13およびファクシミ
リ24と、イメージスキャナー13にUSBやLANを介して接続されたクライアントP
C1と、クライアントPC1にインターネット通信回線20を介して接続されファクシミ
リ24に電話回線25を介して接続されるポスティングサーバー21と、ポスティングサ
ーバー21に専用回線を介して接続されたゲートウェイ22と、ゲートウェイ22にLA
Nを介して接続された受信データサーバー23とを備えている。
【0013】
この画像送信システムは図4に示すような原稿としての答案紙50を生徒に作成させ、
多数の答案紙50を通信回線を用いて一カ所に集約して採点するために利用される。答案
紙50は予め決められた答案用紙に解答を記入し、生徒認証のための識別ラベル56を答
案用紙に貼付することによって作成される。答案用紙には、氏名記入枠55、解答記入枠
58,59,60、OMRのためのコーナーマーク51,52,53等が印刷されている
。生徒は、作成した答案紙50をイメージスキャナー13またはファクシミリ24を用い
て読み取らせ、インターネット通信回線20または電話回線25を通じて受信データサー
バー23に答案紙50の画像データを送信することができる。
【0014】
2.構成
本発明の一実施形態としてのクライアントPC1は、図2に示す答案送信プログラム1
00を実行することによって画像送信装置として機能する。クライアントPC1は、答案
送信プログラム100、スキャナー制御プログラム200、OS等の各種のコンピュータ
ープログラムが格納されているハードディスク装置(HDD)8、答案送信プログラム1
00、スキャナー制御プログラム200、OS等がロードされるRAM2、答案送信プロ
グラム100、スキャナー制御プログラム200、OS等を実行するCPU3、起動プロ
グラムが格納されているROM6、これらを接続するためのインターフェース(I/F)
5等を備える。インターフェース5には、クライアントPC1を操作するためのディスプ
レイ19、マウス11、キーボード12の他、イメージスキャナー13と、データをイン
ターネット通信回線20に送信するためのモデム14とが接続される。
【0015】
画像送信プログラムとしての答案送信プログラム100は、図4に示すように設問に対
する解答が手書きされた答案紙50からイメージスキャナー13で画像データを読み取っ
て受信データサーバー23に送信するためのアプリケーションプログラムである。答案送
信プログラム100は、UI(User Interface)モジュール101、解析前加工モジュー
ル103、解析判定モジュール104、加工送信モジュール105等によって構成されて
いる。
【0016】
UIモジュール101は、GUI(Graphical User Interface)を構成し、ディスプレ
イ10、マウス11およびキーボード12を介してユーザーの指示を受け付け、ユーザー
の指示に応じた処理を起動するためのプログラム部品である。またUIモジュール101
は、読み取り制御手段及び画像取得手段としてCPU3を機能させ、ユーザーによる答案
送信指示に応じてスキャナー制御プログラム200と通信を開始し、イメージスキャナー
13によって原稿から読み取られた画像データをRAM2の所定領域に格納させる機能を
実現する。解析前加工モジュール103は、画像解析のために画像データを加工するため
のプログラム部品である。解析判定モジュール104は、判定手段としてCPU3を機能
させ、解析前加工モジュール103によって加工された画像データを解析し、画像データ
の読み取りが予め決められた要件を満たすか否かを判定するプログラム部品である。加工
送信モジュール105は、CPU3を加工送信手段として機能させ、画像データの読み取
りが予め決められた要件を満たすと判定された場合に、解析前加工モジュール103によ
って加工された画像データに対してさらに圧縮処理を施し、モデム14を制御することに
よって、圧縮処理が施された画像データをモデム14を介してインターネット通信回線2
0に送信するためのプログラム部品である。
【0017】
スキャナー制御プログラム200は、TWAINを介して他のコンピュータープログラ
ムと通信し、イメージスキャナー13を制御して画像データを原稿から読み取らせるため
のコンピュータープログラムである。スキャナー制御プログラム200は、TWAINを
介して他のコンピュータープログラムと通信し、イメージスキャナー13を制御して画像
データを原稿から読み取らせるための制御モジュール201、UIモジュール202等に
よって構成されている。UIモジュール202は、読み取り領域、解像度、階調等の読み
取り条件をユーザーに設定させるためのGUIを構成し、設定された読み取り条件を制御
モジュール201に引き渡すプログラム部品である。
【0018】
3.画像送信方法
次に上述したように構成されたクライアントPC1によって実現される画像送信方法に
ついて図3を参照しながら説明する。
はじめに答案送信プログラム100のUIモジュール101が構成するGUIを介して
ユーザーによる答案送信の指示を受け付ける(S100)。答案送信の指示は、例えば答
案送信プログラム100の起動直後にイメージスキャナー13の操作を誘導するメッセー
ジとともに送信開始ボタンを配列したウィンドウを表示し、その送信開始ボタンをユーザ
ーに選択させることによって受け付ける。イメージスキャナー13の操作を誘導するメッ
セージとしては、例えば「スキャナーに答案をセットして送信開始ボタンをクリックして
ください。」と表示すればよい。
【0019】
答案送信の指示が受け付けられると、UIモジュール101はスキャナー制御プログラ
ム200と通信することによって、スキャナー制御プログラム200がTWAINの"U
I Suppress"に対応しているか否かや、イメージスキャナー13の最大の読み
取り領域サイズを判定する。"UI Suppress"とは、スキャナー制御プログラム
200を介してアプリケーションプログラムが直接イメージスキャナーを制御するための
APIである。"UI Suppress"を利用すると、スキャナー制御プログラム20
0によって構成されるGUIを表示させることなく、アプリケーションプログラムが自動
的に読み取り領域や解像度や階調を設定した上で読み取り開始を指示することができる。
【0020】
スキャナー制御プログラム200がTWAINの"UI Suppress"に対応して
いる場合、UIモジュール101によって、予め決められた解像度と読み取り領域と階調
(本実施形態では400dpi、レター、二値とする。)がスキャナー制御プログラム2
00に設定されるとともに読み取り開始がスキャナー制御プログラム200に要求される
。すると、答案送信プログラム100によって設定された読み取り条件に従ってイメージ
スキャナー13によって原稿から画像データが読み取られ、読み取られた画像データがク
ライアントPC1によって取得される(S202)。このとき設定される解像度は予め決
められた形態で表記された認証番号をOCRによって照合したり、予め決められた形態で
表記されたマークをOMRによって解析したりする際にOCRまたはOMRが確実に成功
する程度(200dpiより高いことが好ましい。)に設定される。またこのとき設定さ
れる読み取り領域は、予め決められた原稿用紙よりも1段階程度大きく設定することが好
ましい。例えば予め決められた原稿用紙が"B5"である場合に読み取り領域として"A4"
を設定したり、予め決められた原稿用紙が"A4"である場合に読み取り領域として"レタ
ー"を設定することが好ましい。原稿用紙よりも大きな読み取り領域を設定すると、原稿
用紙が傾いてイメージスキャナーに載置された場合でも原稿の内容を欠かさず読み取るこ
とができる確率が高まる。本実施形態においては、このとき設定される階調はファクシミ
リのG3規格に合わせて二値としているが、送信前に階調値を変換することを前提として
グレースケールにしてもよいし、カラーG3規格に合わせた24bitカラーにしてもよ
い。
【0021】
スキャナー制御プログラム200がTWAINの"UI Suppress"に対応して
いない場合、答案送信プログラム100のUIモジュール101はスキャナー制御プログ
ラム200によってイメージスキャナー13の操作ウィンドウを表示させる。この操作ウ
ィンドウにおいてユーザーによって解像度と読み取り領域と階調とを設定させる(S20
1)。このとき解像度等の読み取り条件はユーザーが任意に設定できるため、スキャナー
制御プログラム200がTWAINの"UI Suppress"に対応していない場合に
は、答案送信プログラム100が読み取り条件を制御することはできない。スキャナー制
御プログラム200によって表示されたイメージスキャナー13の操作ウィンドウにおい
てユーザーから読み取り開始が要求されると、ユーザーによって設定された読み取り条件
に従ってイメージスキャナー13によって原稿から画像データが読み取られ、読み取られ
た画像データをクライアントPC1が取得する(S202)。
【0022】
イメージスキャナー13によって原稿から読み取られた画像データをクライアントPC
1が取得すると、解析判定モジュール104によって画像データの階調が二値であるか否
かが判定される(S103)。画像データの階調が二値でない場合、画像データの階調が
二値に変換される(S104)。
【0023】
次に、解析判定モジュール104によって画像データの縁余白の内側サイズが検出され
る(S105)。縁余白の内側サイズとは、画像データの最も外側に表れている文字や図
形に外接し画像データの4辺のいずれかと各辺が平行な矩形のサイズである。例えば図4
に示す答案紙50から図5に示す画像データが読み取られている場合、検出されるのは矩
形75のサイズである。図5に示す画像データは、図4に示す答案紙50がイメージスキ
ャナー13の原稿ガイドの2辺に対して2点が接触するように傾いて載置された状態にお
いて、答案紙50よりも1段階大きな領域から読み取られたものとして示されている。
【0024】
次に、画像データの縁余白の内側サイズ(画素数×画素数)が予め決められた合格範囲
にあるか否かが解析判定モジュール104によって判定される(S106)。画像データ
の縁余白の内側サイズ(画素数×画素数)が予め決められた合格範囲にない場合、UIモ
ジュール101によってエラー処理が実行される(S116)。画像データの縁余白の内
側サイズに対する合格範囲は、図4に示す矩形61のサイズ(mm×mm)、すなわち予
め決められた答案用紙の縁余白の内側サイズに対応させる。答案送信プログラム100に
よって読み取り条件が設定される場合、画像データ自体のサイズは一定になる。このため
、答案送信プログラム100によって読み取り条件が設定される場合に対しては、画像デ
ータの縁余白の内側サイズの合格範囲は、矩形61のサイズに応じて、通常起こり得る答
案紙50の傾きを許容できる程度に狭く設定すればよい。ユーザーによって読み取り条件
が設定される場合に対しては、任意の解像度と読み取り領域が設定されるため、画像デー
タ自体のサイズには、解像度と読み取り領域の組み合わせの数分の種類があることになる
。そのうち、予め決められた原稿用紙の全体から画像データを読み取ることができる範囲
において設定できる解像度と読み取り領域の組み合わせのそれぞれについて、矩形61の
サイズに応じて合格範囲を設定すればよい。このように合格範囲を設定すると、答案紙5
0の全体から画像データが読み取られていない場合や、予め決められた答案用紙でない紙
から画像データが読み取られている場合には、この段階(S106)で画像データの送信
を中止することができる。エラー処理(S116)としては、例えば答案紙の誤りや読み
取り条件の誤りや正しい読み取り条件をユーザーに報知するメッセージを表示すればよい

【0025】
画像データの縁余白の内側サイズが予め決められた合格範囲にある場合、画像データの
縁余白を切り捨てるクリッピングが解析判定モジュール104によって実行される(S1
08)。このとき、矩形75の各辺から所定量だけ各辺が外側に位置する矩形領域を切り
抜くことで、後の回転処理によって周辺の文字や図形が欠けることを防止する。
【0026】
次に解析判定モジュール104によって、縁余白が切り捨てられた画像データ70が、
答案紙50の矩形61から所定量だけ外側に四辺が位置する矩形領域を400dpiで読
み取ったサイズに縮小または拡大される(S110)。
【0027】
次に解析判定モジュール104によって、答案紙50の矩形61から所定量だけ外側に
四辺が位置する矩形領域を400dpiで読み取ったサイズに統一された画像データが解
析され、3つのコーナーマーク51,52,53が所定の領域71,72,73,74に
おいて読み取られているか否かが判定される(S111)。領域71,72,73,74
は、答案用紙のコーナーマーク51,52,53の位置に応じて予め決められる。領域7
1,72,73,74の大きさは、答案紙50が傾いた状態でイメージスキャナー13に
よって読み取られることを考慮して、コーナーマーク51,52,53に対して大きく設
定される。コーナーマーク51,52,53の検出は、領域71,72,73,74にお
いてパターンマッチングを実行すればよい。3つのコーナーマーク51,52,53が所
定の領域71,72,73,74において読み取られていない場合、画像データの送信が
中止され、エラー処理(S116)が実行される。3つのコーナーマーク51,52,5
3が所定の領域71,72,73,74において読み取られていない場合には、予め決め
られた答案用紙でない紙を用いて答案紙が作成されていたり、答案用紙の裏面が読み取ら
れているなど、画像データが不適切に読み取られているからである。
【0028】
次に、3つのコーナーマーク51,52,53が検出された画像データに対し、解析判
定モジュール104によって回転補正が施される(S112)。具体的には、3つのコー
ナーマーク51,52,53が領域72,73,74において検出された場合には、答案
紙50が上下逆向きで読み取られているため、180度回転させればよい。さらに3つの
コーナーマーク51,52,53が領域71,72,73に現れている状態において、コ
ーナーマーク51,52が水平方向に整列するように画像データを回転させる。この段階
まで処理されると、すべての画像データは、サイズ(画素数×画素数)が統一され、予め
決められた答案用紙が用いられた答案紙が一定の倍率と配置で二値で表れたものになって
いる。例えば図5に示すように読み取られた画像データ70がこの段階まで処理されると
、図6に示す画像データ80になる。
【0029】
次に解析判定モジュール104によって、識別ラベル56に対応する領域81に表れて
いる生徒コードがOCRによって認識され、予め答案送信プログラム100に登録された
生徒コードとOCRによって認識された生徒コードとが照合される(S113)。予め答
案送信プログラム100に登録された生徒コードとOCRによって認識された生徒コード
とが一致しない場合、画像データの送信を中止し、エラー処理を実行する(S116)。
【0030】
予め答案送信プログラム100に登録された生徒コードとOCRによって認識された生
徒コードとが一致する場合、回転補正が施された画像データ70が、加工送信モジュール
105によって、答案紙50の全体が200dpiで読み取られるサイズに縮小されるこ
とによってデータ量が圧縮され、画像データがTIFFフォーマットに成形される(S1
14)。これにより、答案送信システムのゲートウェイ22を介して受信データサーバー
23が受信する画像データのフォーマットを、ファクシミリ24によって読み取られたか
イメージスキャナー13によって読み取られたかに関わらず、統一することができる。
【0031】
最後に、TIFFフォーマットに成形された画像データは、加工送信モジュール105
によってインターネット通信回線20を介してポスティングサーバー21に送信される(
S115)。ポスティングサーバー21に送信された画像データは、ポスティングサーバ
ー21によって専用回線を介して受信データサーバー23に送信される。
【0032】
以上説明した本発明の実施形態によると、画像データが予め決められた要件を満たして
読み取られたものであるか否かを大きなサイズ(画素数×画素数)の画像データの解析結
果に基づいて正確に判定することができるとともに、受信データサーバー23に送信され
るデータ通信量を抑制することができる。そして、画像データの読み取りが予め決められ
た要件を満たしていない場合には画像データの送信を中止するため、無駄なデータ通信を
抑制するとともに、受信側の作業負担や無駄なデータ処理の発生を抑制できる。さらに、
送信前に画像データを回転補正したり、サイズや階調等のフォーマットをファクシミリ形
式に成形するため、受信データサーバー23でのデータ保存やOCRやOMRといった様
々な処理を統一的に実行することが可能になるため、答案通信システム全体での処理効率
が向上する。また、イメージスキャナー13が"UI Suppress"に対応している
場合には、原稿や解析に応じた解像度や領域を設定する操作が不要になるため、原稿を読
み取る作業の効率が上がる。
【0033】
4.他の実施形態
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の
要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば画像データの解析後、送信前にデータ量を圧縮するために可逆符号化処理や不可
逆符号化処理を画像データに施してもよい。また解析はカラー画像データやグレースケー
ル画像データに対して行い、解析後に二値化等の階調変換によってデータ量を圧縮しても
よい。
【0034】
また、画像データの送信可否を判定するために、画像データに対するOCRやOMRに
よって、文字コード、バーコード、マトリックス型二次元コード等の認証情報を解析した
り、指定外の組み合わせでチェックボックスがマーキングされた無効解答が読み取られて
いないかを解析してもよい。
【0035】
また、イメージスキャナーと送信機能を備えたクライアント端末と、ポスティングサー
バーの両方に、画像データの解析機能と、画像データの送信可否の判定機能と、画像デー
タの圧縮機能と、画像データの送信機能とを持たせることによって解析処理の負担を分散
させてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1:クライアントPC、2:RAM、3:CPU、5:インターフェース、6:ROM、
8:ハードディスク装置、10:ディスプレイ、11:マウス、12:キーボード、13
:イメージスキャナー、14:モデム、19:ディスプレイ、20:インターネット通信
回線、21:ポスティングサーバー、22:ゲートウェイ、23:受信データサーバー、
24:ファクシミリ、25:電話回線、50:答案紙、51:コーナーマーク、52:コ
ーナーマーク、53:コーナーマーク、55:氏名記入枠、56:識別ラベル、58:解
答記入枠、59:解答記入枠、60:解答記入枠、61:矩形、70:画像データ、71
:領域、72:領域、73:領域、74:領域、75:矩形、80:画像データ、81:
領域、100:答案送信プログラム、101:UIモジュール、103:解析前加工モジ
ュール、104:解析判定モジュール、105:加工送信モジュール、105:解析判定
モジュール、200:スキャナー制御プログラム、201:制御モジュール、202:U
Iモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージスキャナーによって原稿から読み取られた画像データを取得する画像取得手段
と、
前記画像データの読み取りが予め決められた要件を満たすか否かを前記画像データの解
析によって判定するとともに、前記画像データの読み取りが予め決められた要件を満たな
いと判定された場合、前記画像データの送信を中止する判定手段と、
前記画像データの読み取りが予め決められた要件を満たすと判定された場合、前記画像
データに対して縮小を含む圧縮処理を施すとともに、前記圧縮処理が施された前記画像デ
ータを送信する加工送信手段と、
を備える画像送信装置。
【請求項2】
予め決められた領域を予め決められた解像度において前記イメージスキャナーに読み取
らせる読み取り制御手段をさらに備える、
請求項1に記載の画像送信装置。
【請求項3】
前記画像データの解析は、OCRまたはOMRと、前記OCRまたは前記OMRによっ
て認識された情報の照合または解析とを含む、
請求項1または2に記載の画像送信装置。
【請求項4】
イメージスキャナーと、
前記イメージスキャナーによって原稿から読み取られた画像データを取得する画像取得
手段と、
前記画像データの読み取りが予め決められた要件を満たすか否かを前記画像データの解
析によって判定し、前記画像データの読み取りが予め決められた要件を満たないと判定さ
れた場合、前記画像データの送信を中止する判定手段と、
前記画像データの読み取りが予め決められた要件を満たすと判定された場合、前記画像
データに対して縮小を含む圧縮処理を施すとともに、前記圧縮処理が施された前記画像デ
ータを送信する加工送信手段と、
を備える画像送信システム。
【請求項5】
イメージスキャナーによって原稿から読み取られた画像データを取得し、
前記画像データの読み取りが予め決められた要件を満たすか否かを前記画像データの解
析によって判定するとともに、前記画像データの読み取りが予め決められた要件を満たな
いと判定された場合、前記画像データの送信を中止し、
前記画像データの読み取りが予め決められた要件を満たすと判定された場合、前記画像
データに対して縮小を含む圧縮処理を施すとともに、前記圧縮処理が施された前記画像デ
ータを送信する、
ことを含む画像送信方法。
【請求項6】
イメージスキャナーによって原稿から読み取られた画像データを取得する画像取得手段
と、
前記画像データの読み取りが予め決められた要件を満たすか否かを前記画像データの解
析によって判定するとともに、前記画像データの読み取りが予め決められた要件を満たな
いと判定された場合、前記画像データの送信を中止する判定手段と、
前記画像データの読み取りが予め決められた要件を満たすと判定された場合、前記画像
データに対して縮小を含む圧縮処理を施すとともに、前記圧縮処理が施された前記画像デ
ータを送信する加工送信手段と、
としてコンピューターを機能させる画像送信プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−130056(P2011−130056A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284882(P2009−284882)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】