説明

画像通信装置及びその制御方法

【課題】通常の動作中に生成した通信履歴情報と、制御ユニットへの電力供給を遮断している状態で生成した通信履歴情報との整合性を確保する画像通信装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の画像通信装置は、外部装置との間で通信する通信ユニットに対して電力を供給し、制御ユニットに対する電力供給を停止するモードにおいて、通信ごとの通信履歴情報を通信ユニット内で管理する。その際、当該通信履歴情報に対して、通信ユニットにおいて固有の識別情報を付与する。さらに、制御ユニットへの電力供給を遮断する際、もしくは制御ユニットへの電力供給するモードへ復帰する際に、制御ユニットで管理する履歴情報との整合性を確保すべく制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像通信装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタル複合機(MFP)等の画像通信装置では、性能の維持や機能の向上のために、何らかの保守管理(メンテナンス)作業が必要となる場合がある。メンテナンス作業には、例えば、各機能部の点検や必要な部品の交換等が含まれる。このようなメンテナンス作業は、通常、MFPの故障を防止するために、MFPの電源を一時的に停止した状態で行われる。このため、メンテナンス作業中のMFPでは、例えば、業務上、常にFAXやEメールなどの通信が可能な状態とすることが望ましい場合においても、通信が実行不可能となる不都合が生じる。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献1には、FAX通信機能を含む画像通信装置の機能の一部に障害が発生した場合に、障害が検知された機能のみを無効にすることにより、機能全体を停止させることなくメンテナンス作業を行うことが可能な手法が提案されている。当該手法によれば、画像通信装置に対するメンテナンス作業中に、各ユニットに対する電力供給を停止しても、FAX通信等を行う通信ユニットに対して電力供給を継続することにより、当該作業中もFAX通信の送受信が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−264455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術には、以下のような問題がある。例えば、電力供給が停止された何れかのユニット内で管理されているFAXやEメールなどの通信の通信履歴情報と、メンテナンス作業中に通信ユニットでFAXやEメールなどの通信を行った場合に生成される通信履歴情報との整合性を確保できなくなってしまう問題がある。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものである。このために、例えばメンテナンス作業を行うために、通常状態で通信履歴情報を管理しているユニットへの電力供給を遮断し、通信ユニットに対しては電力供給を継続した状態にし、この状態において生成した通信履歴情報と、通常の動作中に生成した通信履歴情報との整合性を確保することが可能な画像通信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、画像通信装置として実現できる。画像通信装置は、記憶手段が設けられ、記憶手段で通信履歴情報を管理する制御ユニットと、記憶手段が設けられ、ネットワークを介して接続された外部装置との間で通信を行う通信ユニットと、各ユニットに対して電力を供給する電源ユニットとを備える画像通信装置であって、電源ユニットは、第1のモードにおいて制御ユニットと通信ユニットとに電力を供給し、第2のモードにおいて制御ユニットへの電力供給を遮断し、かつ、通信ユニットに電力を供給する電力供給手段を備え、通信ユニットは、通信ごとの通信履歴情報を生成する生成手段と、第2のモードにおいて、通信ユニットにおいて固有の識別情報を通信履歴情報に付与する付与手段と、第2のモードにおいて、通信ユニットの記憶手段に通信履歴情報を格納する手段とを備え、制御ユニットは、第2のモードから第1のモードへ移行する場合に、通信ユニットの記憶手段に格納された通信履歴情報を取得する取得手段と、第2のモードから第1のモードへ移行する場合に、取得手段で取得された通信履歴情報に付与された識別情報を、制御ユニットにおいて固有の識別情報なるように変更する変更手段と、変更された識別情報が付与された通信履歴情報を制御ユニットの記憶手段に格納する手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、通常の動作中に生成した通信履歴情報と、通常状態で通信履歴情報を管理しているユニットが停止している状態で生成した通信履歴情報との整合性を確保することが可能な画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係るMFP10のシステム構成例を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係るメンテナンスモードにおけるMFP10の電源供給状態の一例を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係るMFP10における通信履歴情報の一例を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係るMFP10におけるメンテナンスモードの間に保存される通信履歴情報及び付与される通し番号の一例を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係るMFP10におけるメンテナンスモードの間に保存される通信履歴情報及び付与される通し番号の一例を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係るメンテナンスモード移行処理及び復帰処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態に係るメンテナンスモード移行処理及び復帰処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される実施形態は、本発明の上位概念、中位概念及び下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の実施形態によって限定されるわけではない。
【0011】
[第1の実施形態]
以下では、図1乃至図4、及び図6を参照して、本発明における第1の実施形態について説明する。本実施形態では、画像通信装置の一例として、デジタル複合機(MFP:Multi Function Peripheral)について説明する。
【0012】
<画像通信装置の構成>
まず、図1を参照して、MFP10の構成例及びその基本的な動作について説明する。MFP10は、ネットワーク(LAN:Local Area Network)12を介してPC(ホストコンピュータ)11と接続される。一般的に、MFP10は、LAN12に常時接続され、他のMFP(図示せず)、PC11、及びサーバ(図示せず)とともにLAN12上で運用される。また、MFP10には、通信ユニット(FAXユニット)500が備えられ、公衆回線である電話網13を介して外部装置である相手端末14と相互に接続される。これにより、MFP10は、G3やG4方式等によるFAX通信を行うことが可能である。
【0013】
MFP10は、画像データの入出力機能を有する。MFP10は、読取機能により原稿上の画像を画像データとして入力できる。また、MFP10は、PC11や他のMFPからLAN12や電話網13を介して画像データを受信することにより、画像データを入力できる。一方で、MFP10は、画像データの出力機能として、入力した画像データを用いて記録材(用紙)に対して画像形成(印刷)を行うことができる。また、MFP10は、入力した画像データをデジタルデータとしてHDD103等に保存し、又はLAN12や電話網13を介して他の機器へ転送できる。
【0014】
コントローラ(制御)ユニット100は、画像入力デバイスであるスキャナユニット200、操作パネルユニット300、画像出力デバイスであるプリンタユニット400、及びFAXユニット500と接続され、これらのユニットを制御する。制御ユニット100内部の各ユニットは内部バスで接続されて、内部バスを介して互いにデータを伝達する。
【0015】
SOC(System On Chip)101は、システム全体を制御するプロセッサ及びASIC(特定用用途向けIC)を内蔵する。ASICは、RAMコントローラ、バスコントローラ、DMAコントローラ、I/Oポートコントローラ、HDDコントローラ、タイマ、割り込み処理、画像処理回路等の、MFPのシステム動作に必要な機能を有する。RAM102は、SOC101のシステムワークメモリ、画像データを一時記憶するための画像メモリとして用いられる。ROM106は、ブートROMであり、システムのブートプログラムを格納する。HDD103は、システムソフトウェア、画像データ、設定値等を格納する。ここで、システムソフトウェアは、コピー、スキャン、プリンタ、FAX等の機能を実現するためのプログラムであり、SOC101によってRAM102上に展開され、実行される。画像処理部105は、画像データの入出力の際に、画像データの符号化、復号化、ラスタライズ、回転、多値と2値との変換、変倍等の画像処理を行う。LANC109は、LAN12と接続され、画像データの入出力、及び機器制御に関する情報の入出力を行う。また、LANC109は、LAN12上のPC11、他のMFP、サーバとの間で、画像データの送受信を行うことが可能である。
【0016】
操作パネルI/F108は、操作パネルユニット300が接続されるインタフェースである。制御ユニット100は、操作パネルI/F108を介して、操作パネル301に表示する画像データを操作パネル制御部302に対して出力する。操作パネル301は、ボタン、テンキー、タッチパネル等の入力装置を備える。ユーザはこれらを操作して、数値の入力やコピー処理の開始等の指示をMFP10に対して与えることができる。操作パネル301を介して入力された指示は、操作パネルI/F108を介してSOC101へ送信される。SOC101は、受信した指示に基づいて、機器全体の設定や機能の実行を指示する。SOC101の制御により、例えば、印刷、複写(コピー)、スキャン、FAX送信処理といった機能がMFP10上で実現される。
【0017】
プリンタI/F104は、プリンタユニット400が接続されるインタフェースである。プリンタI/F104は、プリンタユニット400のプリンタ制御部401との間で、プリンタ402の状態情報の取得及びプリンタ402への命令の送出等の通信を行う。また、プリンタI/F104は、画像データに関して同期系/非同期系の変換を行い、プリンタユニット400へ印刷データを送信する。
【0018】
スキャナI/F107は、スキャナユニット200が接続されるインタフェースである。スキャナI/F107は、スキャナユニット200のスキャナ制御部201との間で、スキャナ204の状態情報の取得及びスキャナ204への命令の送出等の通信を行う。また、スキャナI/F107は、画像データに関して同期系/非同期系の変換を行い、スキャナ204で読み取ったデータをSOC101へ送信する。
【0019】
スキャナユニット200は、スキャナ制御部201、画像処理部202、スキャナ用モータ203、及びスキャナ204を備える。スキャナ204は、原稿を光学的に読み取り(スキャン)、スキャナ用モータ203は、自動原稿送り装置や原稿台内のスキャナ装置を駆動する。また、スキャナ制御部201は、画像処理部202、スキャナ用モータ203、及びスキャナ204の動作を制御する。画像処理部202は、例えば、スキャナ204で読み取った画像データに対するA/D変換やシェーディング処理といった画像処理を実行する。画像処理が施された画像データは、スキャナ制御部201を介して制御ユニット100へ転送される。
【0020】
MFP10は、ユーザからのスキャン指示に応じてスキャン機能を実行する。ユーザが原稿をMFP10にセットし、操作パネル301やPC11を介してスキャン指示を行うと、当該指示がSOC101へ伝達される。SOC101は、スキャナI/F107を介してスキャナ制御部201へ所定の命令を送信し、これによりスキャナ204で原稿の読み取りが開始される。読み取られた画像データは、画像処理部202で所定の画像処理が施された後に、スキャナI/F107を介してHDD103へ格納又はPC11へ送信される。
【0021】
また、MFP10は、ユーザからのコピー指示に応じてコピー機能を実行する。ユーザが原稿をMFP10にセットし、操作パネル301やPC11を介してコピー指示を行うと、当該指示がSOC101へ伝達される。SOC101は、スキャナI/F107を介してスキャナ制御部201へ所定の命令を送信し、これによりスキャナ204で原稿の読み取りが実行される。読み取られた画像データは、画像処理部202で所定の画像処理が施された後に、スキャナI/F107を介してHDD103へ格納される。さらに、SOC101は、HDD103の画像データに対して、画像処理部105において所定の画像処理を施した後に、プリンタI/F104を介してプリンタユニット400へ送信する。プリンタ制御部401は、受信した画像データを用いてプリンタ402で用紙へ印刷する。
【0022】
なお、印刷枚数に応じた課金処理のために、カウンタ値を不揮発性メモリ111に保存する。不揮発性メモリの回路素子は、電源の遮断後も記憶内容を保持し続けることが可能な素子であればよく、例えば、SSD(半導体ディスク)、HDD、FRAM、フラッシュメモリ、EEPROM等の不揮発性メモリが使用され得る。また、不揮発性メモリの代わりに、電池等によりバックアップされたSRAM等も使用され得る。後述するFAXユニットの不揮発性メモリ505も同様の何れかの回路素子により実現できる。
【0023】
電源ユニット600は、各ユニットに対してその動作に必要な電力を供給する。電源ユニット600は、電源コンセント(100V、200V等)等の電源15から供給される電力信号に対してAC−DC変換、DC−DC変換を行う。さらに、各ユニットとの間で送受信する制御信号や電源スイッチ602及びメンテナンス用スイッチ603の操作に基づいて、各ユニットへ電力の供給及び遮断を行う。図1の点線の各矢印は、電力供給ラインを示している。矢印611はFAXユニット500、矢印612は制御ユニット100、矢印613はプリンタユニット400、矢印614は操作パネルユニット300、及び矢印615はスキャナユニット200に対する電源入力である。ここで、MFP10では、一例として、スキャナユニット200及び操作パネルユニット300に対して、電源ユニット600から制御ユニット100を介して電力が供給されている。なお、プリンタユニット400に対しては、必要に応じて交流電源(AC)が供給される。
【0024】
電源制御部601は、MFP10の状態に応じて電力の供給及び遮断の制御を行う。例えば、電源制御部601は、制御ユニット100からSOC101のI/Oポートを介して送受信する制御信号622に基づいて電源のON、OFFを制御する。また、プリンタユニット400及びFAXユニット500との間で送受信する制御信号621、623に基づいて、電源のON、OFFを制御することも可能である。なお、電源制御部601は、これらの制御信号を利用して、使用中でないユニットや回路に対する電力供給のみを遮断した省電力状態へ移行し、又は当該省電力状態から復帰する制御を実現できる。また、電源制御部601は、後述する保守管理モード(メンテナンスモード)へ移行し、又は当該モードから復帰する場合にも、それらの制御信号を利用して電力供給を制御する。
【0025】
FAXユニット500は、制御ユニット100のSOC101の制御に応じて、電話網13に接続された相手端末14との間でFAX通信の送信及び受信を行う。制御ユニット100とFAXユニット500との間では、通信I/F110、501を介して命令及び応答の送受信が可能である。これにより、制御ユニット100及びFAXユニット500は、互いの状態を確認することが可能である。なお、ここでは、FAXユニット500は、電話網13に接続された相手端末14との間でFAX通信の送信及び受信を行うユニットとして説明したがこれに限らない。コントローラユニット100にあるLANC109と同様の機能をFAXユニットに内蔵することで、LAN12上のPC11、他のMFP、サーバとの間で、画像データの送受信を行うように構成してもよい。
【0026】
SOC508は、制御ユニット100のSOC101と同等の機能を有する。なお、生産性向上のため、SOC508は、SOC101より機能が制限されていたり、又は処理能力が低いものであってもよい。SOC508は、内部にCPUを備え、ROM106からプログラムを読み出して当該CPUで実行することにより、通信の動作を制御する。また、RAM507は、SOC508のワーク領域や画像データを一時的に格納する領域として使用される。なお、RAM507は、停電時に画像データが消滅することを防止するために、2次電池等により通電されていてもよい。以下の説明においては、説明の簡略化のためにFAX通信の例について説明するが、これに限らない。Eメール、FTPなど異なるプロトコル通信を行う場合でも同様である。
【0027】
(FAX通信の制御)
ユーザーが原稿をMFP10にセットし、操作パネル301やPC11を介してFAX送信指示を行うと、当該指示がSOC101へ送られる。SOC101は、スキャナI/F107を介してスキャナ制御部201へ所定の命令を送信し、これによりスキャナ204で原稿の読み取りが実行される。読み取られた画像データは、画像処理部202で所定の画像処理が施された後に、スキャナI/F107を介してHDD103へ格納される。さらに、SOC101は、HDD103の画像データを通信I/F110を介してFAXユニット500の通信I/F501へ転送する。FAXユニット500のSOC508は、当該画像データをRAM507へ格納する。SOC508は、当該画像データを用いて、FAX送信を実行する。
【0028】
FAX送信の際に、SOC508は、モデム503及びNCU(Network Control Unit)504を制御することにより、相手端末14の電話番号に基づいて発呼する。SOC508は、電話網13を介して相手端末14に対して呼を接続した後に、ITU−T勧告T.30、V.34、V.17等に基づくFAX通信を実行する。具体的には、SOC508は、RAM507に蓄積した画像データをモデム503へ転送し、モデム503において、当該画像データを用いて変復調を実行する。これにより、相手端末14との間でFAX通信による画像伝送が行われる。
【0029】
一方で、FAX受信の際に、MFP10の電話番号を用いた相手端末14からの発呼によって、電話網13からNCU504に呼出信号が入力される。NCU504は、当該呼出信号を検知した旨をSOC508へ通知する。これに対して、SOC508は、モデム503、NCU504を制御することにより、相手端末14からFAX受信を行う。受信された画像データは、モデム503及びSOC508を介してJBIG、MMR、MR、MH等の符号化データのままRAM507へ蓄積される。さらに、当該画像データは、通信I/F501を介して通信I/F120へ転送され、HDD103へ格納される。なお、転送の間に符号化データのエラーチェック等が実行されてもよい。SOC101は、HDD103の符号化データを復号し、画像処理部105において所定の画像処理を施した後に、プリンタI/F116を介して当該データをプリンタユニット400へ送信する。プリンタ制御部401は、受信した画像データを用いてプリンタ402で用紙に印刷する。
【0030】
(通信履歴情報の生成)
ここで、SOC508は、FAX通信における送受信の際に、FAXユニット500において通信ごとに通信履歴情報を生成する。当該通信履歴情報は、通常、メモリ容量の制限に起因してFAXユニット500内のメモリで管理することが難しいため、大容量のHDD103等で管理される。即ち、FAXユニット500で生成された通信履歴情報は、RAM507に一時的に保存された後に、制御ユニット100へ転送され、HDD103へ格納される。図3に示すように、通信履歴情報には、例えば、通信開始時刻、相手先アドレス(相手先の電話番号)、通信モード、通信枚数、及び通信結果の各情報が含まれる。ここで、通信開始時刻は、RTC(Real Time Clock)502において取得される情報であり、通信結果は、通信の成否を示す情報である。また、相手先の電話番号は、FAX通信におけるDIS、DCS信号に含まれる。通信モードは、送信又は受信を示す情報である。なお、通信履歴情報には、通信時間を示す情報等のその他の情報が含まれていてもよい。
【0031】
MFP10は、通信履歴情報の管理の利便性の向上のために、図3に示すように、通信ごとの通信履歴情報に対して、通信回数を示す通し番号を付与する。SOC101は、後述する通常モードにおいて、FAX通信の送受信を行った場合に、FAXユニット500から転送された通信履歴情報をHDD103へ格納する際に、当該通信履歴情報に対して通し番号を付与して格納する。具体的には、SOC101は、HDD103に既に記憶されている通信履歴情報に付与された通し番号に基づいて、新たに格納する通信履歴情報に付与する通し番号を生成する。例えば、既にHDD103に記憶されている通信履歴情報における最新の通し番号が「5000」である場合、新たに格納する通信履歴情報に付与する通し番号として「5001」を生成する。通し番号は、例えば、図3に示すように、送信用及び受信用で別々に生成及び付与されてもよい。MFP10は、送信用及び受信用の、通信ごとの通信履歴情報を生成するとともに、MFP10の管理者に対して必要に応じて参照可能とすることができる。これにより、例えば、通信履歴情報をMFP10におけるセキュリティ管理やFAX通信に関連する費用の管理及び調査に利用可能にすることができる。
【0032】
FAXユニット500で、Eメール通信を行う場合について説明する。この場合、コントローラユニット100にあるLANC109と同様の機能をFAXユニットに内蔵することで、LAN12上のPC11、他のMFP、サーバとの間で、画像データの送受信を行うことができる。Eメール送信の際には、SOC508は、FAXユニットに内蔵されたLANC109と同様の機能を実行するLANコントロールユニット(不図示)を制御することにより、相手端末14のメールアドレス又はIPアドレスに基づいて送信する。SOC508は、LAN12を介して不図示のメールサーバやPC11に、SMTPなどのプロトコルに従って、Eメール通信を実行する。具体的には、SOC508は、RAM507に蓄積した画像データをLANコントロールユニットへ転送し、モデム503において、当該画像データを用いて変復調を実行する。これにより、PC11との間でEメール通信による画像伝送が行われる。
【0033】
一方で、Eメール受信の際に、SOC508は、POPサーバ(不図示)にMFP10宛のEメールの有無を問い合わせる。SOC508は、MFP10宛のEメールがある場合は、LANコントロールユニット(不図示)を制御することにより、Eメール受信を行う。受信されたEメールは、RAM507へ蓄積される。さらに、当該Eメールデータは、通信I/F501を介して通信I/F120へ転送され、HDD103へ格納される。なお、転送の間に符号化データのエラーチェック等が実行されてもよい。SOC101は、HDD103の符号化データを復号し、画像処理部105において所定の画像処理を施した後に、プリンタI/F116を介して当該データをプリンタユニット400へ送信する。プリンタ制御部401は、受信したEメールデータを用いてプリンタ402で用紙に印刷する。
【0034】
なお、Eメールの送信及び受信に関連する通信履歴情報は、FAX通信の場合と同様に管理される。
【0035】
<画像通信装置の動作モード>
次に、本実施形態に係るMFP10における動作モードについて図2を参照して説明する。MFP10は、通常の動作モード(通常モード)において、電源ユニット600以外の全てのユニット(図1及び図2において、例えば、制御ユニット100、スキャナユニット200、操作パネルユニット300、プリンタユニット400、及びFAXユニット500)に対して、電源ユニット600から電力を供給する。MFP10においては、性能の維持や機能の向上のために、例えば、プリンタユニット400の点検、及び制御ユニット100のRAM102、ROM106等の部品の交換といった保守管理(メンテナンス)作業が必要な場合がある。その場合、MFP10の保守管理を担当するサービスマン等の操作者がMFP10に対して何らかのメンテナンス作業を行うためには、MFP10の電源を一時的に停止する必要がある。本実施形態に係るMFP10は、メンテナンスの際に、電源の停止によってFAX通信が実行不可能となる不都合を防止するために、メンテナンス用の動作モードである保守管理モード(メンテナンスモード)を有する。ここでは、保守管理モードとして説明するがこれに限らない。コントローラユニット100への電源供給を遮断し、FAXユニット500への電源供給を維持しているモードであればよい。なお、本実施形態において、通常モードは第1のモードに相当し、メンテナンスモードは第2のモードに相当する。
【0036】
図2において、斜線部はメンテナンスモードにおいて通電されている部分を示している。図2に示すように、メンテナンスモードへ移行中のMFP10では、電源ユニット600からFAXユニット500にのみ電力が供給され、他のユニットに対する電力の供給は停止される。通常モードで動作中のMFP10をメンテナンスモードに移行させるために、例えば、図1に示すように、電源制御部601に接続されたメンテナンス用スイッチ603をMFP10に対して設ければよい。本実施形態に係るMFP10は、メンテナンス用スイッチ603が操作者によって操作されると、通常モードからメンテナンスモードへ移行する。また、メンテナンスモードにおいて、メンテナンス用スイッチ603又は電源スイッチ602が操作されると、MFP10は、メンテナンスモードから通常モードへ復帰する。このように、本実施形態に係るMFP10は、FAXユニット500に対して電源の供給を継続したまま、通常モードからメンテナンスモードへの移行、及びメンテナンスモードから通常モードへの復帰を行うことを特徴とする。これにより、FAXユニット500は、メンテナンス中においても継続してFAX通信の送受信を行うことができる。さらに、FAXユニットにLANC109の機能を内蔵した場合は、メンテナンス中において継続してEメール通信などLAN経由の通信を行うこともできる。
【0037】
なお、上述の移行処理及び復帰処理は、操作パネル301に設けられた何れかの入力装置を介した操作に基づいて実行可能としてもよい。あるいは、メンテナンス用スイッチ603が、操作パネル301に設けられていてもよい。これらの場合、電源制御部601は、メンテナンスモードにおいて、FAXユニット500に加えて操作パネルユニット300に対しても電力を供給すればよい。
【0038】
上述のように、MFP10は、FAX通信の送受信を行う場合に、FAXユニット500において通信履歴情報を生成する。通常モードにおいて、MFP10は、生成した通信履歴情報を制御ユニット100のHDD103に保存する。その際に、制御ユニット100は、当該履歴情報に対して、制御ユニット100において固有の通し番号を付与して管理する。一方で、メンテナンスモードにおいて、MFP10は、電源ユニット600から制御ユニット100に対する電力供給を停止するため、通信履歴情報をHDD103に保存することができない。このため、本実施形態に係るMFP10は、メンテナンスモードにおいて生成した通信履歴情報を、FAXユニット500の内部メモリである不揮発性メモリ505に一時的に格納する。その後、MFP10は、メンテナンスモードから通常モードへ復帰する際に、不揮発性メモリ505に格納された通信履歴情報をHDD103へ転送して格納する。当該処理により、HDD103で管理している通信履歴情報から、メンテナンスモードにおいて生成した通信履歴情報が欠落することを防止する。これにより、本実施形態に係るMFP10は、メンテナンスモードへの移行前、及びメンテナンスモードの間の通信履歴情報の整合性を確保する。なお、通信履歴情報の一時保存用の内部メモリとして、不揮発性メモリ505の代わりにRAM507を使用してもよい。なお、ここで、当該内部メモリは一時記憶手段に相当する。
【0039】
また、上述のメンテナンスモードの処理では、特に通し番号の管理が問題となる。メンテナンスモードにおいて、FAXユニット500は、生成した通信履歴情報を不揮発性メモリ505で一時的に管理するために、当該通信履歴情報に対して通し番号を付与する必要がある。その際に、FAXユニット500は、電力供給が停止されたHDD103に格納された通信履歴情報の最新の通し番号を参照することはできない。このため、本実施形態では、FAXユニット500は、生成した通信履歴情報に対して、FAXユニット500において固有の通し番号を一時的に付与する。その場合、メンテナンスモードの間にFAXユニット500において通信履歴情報に対して付与した通し番号と、HDD103に記憶された通信履歴情報の通し番号との整合性が確保できなくなる問題が生じる。そこで、本実施形態に係るMFP10では、メンテナンスモードから通常モードへ復帰する際に、HDD103に格納している通信履歴情報の通し番号と連続した値となるように、不揮発性メモリ505からHDD103へ転送した通信履歴情報の通し番号を変更する。以下では、上述の処理についてより詳細に説明する。
【0040】
<メンテナンスモード移行処理及び復帰処理>
次に、図6を参照して、本実施形態に係るMFP10における通常モードからメンテナンスモードへの移行処理、及びメンテナンスモードから通常モードへの復帰処理の手順について説明する。図6において、S101〜S108は制御ユニット100、S151〜S155はFAXユニット500における処理手順を示し、これらの処理は、それぞれのSOC101、508の制御により実行される。なお、図6の破線は、制御ユニット100とFAXユニット500との間で送受信される制御信号及びデータの流れを示している。
【0041】
(通常モードからメンテナンスモードへの移行)
まず、処理の開始に際し、MFP10は通常モードで動作中とする。S101で、SOC101は、操作者によって通常モードからメンテナンスモードへの移行指示がなされたか否かを判定する。当該指示は、例えば、操作パネル301又はメンテナンス用スイッチ603の操作を介して操作者によって入力される。SOC101は、これらの入力を検出した場合、メンテナンスモードへの移行指示がなされたと判定する。S101で、SOC101は、移行指示がなされていないと判定した場合、通常モードを継続し、当該判定処理を繰り返す。一方で、移行指示がなされたと判定した場合、S102へ移行する。
【0042】
S102で、SOC101は、メンテナンスモードへ移行するとともに、FAXユニット500に対してメンテナンスモードへの移行命令を送信する。ここで、SOC101は、MFP10上で何らかのジョブ(コピー、スキャン、印刷、FAX通信等)を実行中の場合、当該ジョブの実行完了を待ってから、メンテナンスモードへの移行を開始してもよい。その場合、SOC101は、当該ジョブの完了後に、メンテナンスモードへの移行及びFAXユニット500に対する移行命令の送信を行う。あるいは、SOC101は、当該ジョブを強制的に終了させてメンテナンスモードへ移行してもよい。
【0043】
S102で、SOC101は、メンテナンスモードへ移行する際に、制御信号622を使用して電源制御部601を制御し、図2に示すように、FAXユニット500以外の各ユニットに対する電源ユニット600からの電力供給を停止する制御を行う。その後、S103へ移行する。
【0044】
なお、メンテナンスモードの間にタイマ送信や同報送信を実行する場合には、SOC101は、制御ユニット100からFAXユニット500へ送信画像データ及び宛先データ等を送信し、RAM507へ予め格納してもよい。また、SOC101は、メンテナンスモードからの復帰の際に、電源OFF状態からの起動ではなくメンテナンスモードからの復帰であることを示す情報を、何れかの記憶部に記憶させてもよい。例えば、SOC101は、メンテナンスモードへの移行の際に、メンテナンスモードへ移行中であることを示すフラグを不揮発性の記憶部(不揮発性メモリ111又はHDD103)に保存してもよい。あるいは、当該フラグを電源制御部601内の不揮発性メモリ(図示せず)に保存してもよい。
【0045】
MFP10がメンテナンスモードへ移行すると、S103において、操作者によってMFP10に対して上述の何らかのメンテナンス作業が実行される。当該処理は、S104で、操作者によってメンテナンスモードからの復帰指示がなされるまで継続される。
【0046】
ここで、FAXユニット500における処理について説明する。通常モードで動作中のFAXユニットにおいて、SOC508は、S151で、制御ユニット100からメンテナンス移行命令を受信したか否かを繰り返し判定する。ここで、SOC508は、メンテナンスモード移行命令を受信していないと判定した場合、通常モードの動作を継続し、当該判定処理を繰り返す。一方で、制御ユニット100からメンテナンス移行命令を受信したと判定した場合、S152へ移行する。
【0047】
S152で、SOC508は、メンテナンスモードへ移行する。その際に、SOC508は、後述する通信履歴情報に付与する通し番号を適当な初期値(例えば、0)で初期化する。なお、当該初期値は、FAXユニット500だけでなく、制御ユニット100においても既知の値である。その後、S153へ移行する。S153で、SOC508は、制御ユニット100と通信を行わず、独自の制御によってFAX通信の送受信動作を実行する。即ち、SOC508は、電源制御部601からの電力供給によって、メンテナンスモードにおいても継続してFAX通信を実行する。
【0048】
SOC508は、FAX送信を行う場合、メンテナンスモードへの移行前に制御ユニット100からRAM507へ格納された画像データを、指定された宛先に送信する。一方で、FAX受信を行う場合、受信した画像データと送受信ごとの通信履歴情報を、不揮発性メモリ505に保存する。ここで、SOC508は、FAX通信の送受信ごとの通信履歴情報を不揮発性メモリ505に一時的に格納する。その際、当該通信履歴情報に対して、FAXユニット500固有の通し番号を通信履歴情報に対して付与して保存する。なお、当該格納処理は、一時格納手段による処理に相当する。
【0049】
ここで、図4は、FAX送信用及び受信用で別々に、通信履歴情報に通し番号を付与して管理し、初期値としてそれぞれ0を設定した場合を示している。また、図4では、通し番号0に対応する通信履歴情報の各項目に対しても0を設定し、不揮発性メモリ505に予め格納した場合を示している。この場合、SOC508は、新たなFAX送信又は受信が生じるごとに、不揮発性メモリ505に格納された最新の通し番号を参照して、当該通し番号を+1増加させた整数値を順に通信履歴情報に付与すればよい。ここでは通信ユニット500が、通し番号を付与して管理するする例について説明したがこれに限らない。一定の規則によって識別情報を発行するように構成されておればよい。ここでは、FAX送信用及び受信用で別々に、通信履歴情報に通し番号を付与して管理する例について説明したが、これに限らない。メンテナンスモード中に実行した通信を、通信ごとにアルファベットなどの文字列を用いて、識別できるようにしてもよい。あるいは乱数などを用いて通信ごとに識別できるようにしてもよい。ここでは、SOC508は、メンテナンスモード中に実行した個々の通信を識別できるように、電源OFF状態になっているSOC101の制御と無関係に識別情報を付与できればよい。また、制御ユニット100も、一定の規則によって識別情報を発行するように構成してもよい。(その場合、例えばSOC101が識別情報発行手段として機能する。)その際、通信ユニット500でも同じ規則に従って識別情報を発行するように構成してもよい。
【0050】
その後、SOC508は、S154で、制御ユニット100からメンテナンスモードから通常モードへ復帰する旨の命令を受信したか否かを繰り返し判定する。ここで、SOC508は、メンテナンスモード復帰命令を受信していないと判定した場合、S153のメンテナンスモードの動作を継続し、当該判定処理を繰り返す。一方で、制御ユニット100からメンテナンス復帰命令を受信したと判定した場合、S155へ移行する。なお、使用可能なメモリの容量が不足した場合、SOC508は、通信中の相手端末に対してエラーを示す信号を送信し、FAX通信を中止してもよい。また、その場合、その後の送受信を禁止してもよい。
【0051】
また、MFP10は、メンテナンスモードの間にFAX通信の送受信が行われた場合に、そのこと示す情報をユーザや操作者に通知する処理を実行してもよい。当該処理として、例えば、MFP10のFAXユニット500又は電源ユニット600に対してスピーカやLEDを設け、スピーカの鳴動やLEDの点滅させればよい。これにより、メンテナンスモードの間にFAX通信が行われたことをユーザが容易に確認することができるので、利便性を向上させることができる。
【0052】
また、FAXユニット500の外部I/F509に対してUSBメモリ、フラッシュメモリ等の記憶媒体を接続し、受信した画像データを当該記憶媒体へ保存できるようにしてもよい。あるいは、外部I/F509にUSBケーブル等の通信ケーブルを接続し、受信した画像データをPC等の外部機器に保存できるようにしてもよい。その結果、メンテナンスの所要時間が長期化しそうな場合等において、上述のようにFAXユニット500のメモリ容量の不足によりFAX通信が中止されることを回避できる。
【0053】
(メンテナンスモードから通常モードへの復帰)
ここで、再び制御ユニット100における処理の説明に戻る。なお、S104及びS105においては、制御ユニット100に対する電源供給は停止されているので、電源制御部601の制御により処理が実行される。S104で、電源制御部601は、操作者によってメンテナンスモードから通常モードへの復帰指示がなされたか否かを判定する。当該指示は、操作パネル301、電源スイッチ602又はメンテナンス用スイッチ603の操作を介して操作者によって入力される。S104で、SOC101は、復帰指示がなされていないと判定した場合、S103へ戻ってメンテナンスモードを継続する。一方で、復帰指示がなされたと判定した場合、S105へ移行する。S105で、電源制御部601は、メンテナンスモードから通常モードへ復帰するために、FAXユニット500以外の各ユニットに対して電力供給を再開する。これにより、制御ユニット100による制御も再開する。その後、S106へ移行する。
【0054】
なお、SOC101は、制御ユニット100に対する電源供給が再開された場合に、上述のS102で不揮発性メモリ111等に記憶したフラグを参照することにより、電源OFF状態からの起動、又はメンテナンスモードからの復帰の何れかを判定してもよい。その場合、SOC101は、電源OFF状態からの復帰と判定した場合には、FAXユニット500を通信I/F110を介して初期化する。一方で、メンテナンスモードからの復帰と判定した場合には、FAXユニット500の初期化は行わない。
【0055】
S106で、SOC101は、FAXユニット500ユニットに対して、通信I/F110を介してメンテナンスモードから復帰すべき旨の命令を送信する。その後、S107へ移行し、SOC101は、メンテナンスモードの間のFAX送受信に関する通信履歴情報及び受信した画像データが、FAXユニット500から受信されるまで待機する。
【0056】
上述のメンテナンスモード復帰命令を受信すると、FAXユニット500のSOC508は、S154からS155へ制御を移行する。S155で、SOC508は、メンテナンスモードから通常モードへの復帰する処理を開始する。具体的には、SOC508は、メンテナンスモードにおいて不揮発性メモリ505に一時的に格納した通信履歴情報と受信データとを制御ユニット100へ送信する。SOC508は、当該情報の送信後に、不揮発性メモリ505に格納した当該情報を削除し、メモリ領域を解放する。通常モードに復帰すると、FAXユニット500は、再び制御ユニット100の制御に基づいてFAX通信を行う。
【0057】
一方で、制御ユニット100においてSOC101は、S107で、FAXユニット500から通信履歴情報と受信データとを受信したか否かを判定する。ここで、当該通信履歴情報と受信データとを受信していないと判定した場合、当該判定処理を繰り返す。一方で、それらのデータを受信したと判定した場合、S108へ移行する。
【0058】
S108で、SOC101は、受信した通信履歴情報の通し番号と、メンテナンスモードへの移行前にHDD103へ格納された通信履歴情報の通し番号との整合性を確保するために、受信した通信履歴情報の通し番号を変更する。具体的には、両方の通し番号が連続した値となるように、受信した通信履歴情報の通し番号を変更する。さらに、SOC101は、メンテナンスモードにおいて受信した画像データをプリンタ402で印刷する制御を行う。
【0059】
例えば、HDD103に格納されている送信用の通信履歴情報に付与された最新の通し番号が4999である場合、受信した通信履歴情報の通し番号を、5000から始まる連続した値となるように変更すればよい。ここで、SOC101は、図4に示す送信用の通信履歴情報を受信した場合には、初期値0から連続する通し番号1〜3の通信履歴情報となっているので、それらの通し番号を5001〜5003へ変更すればよい。また、受信用の通信履歴情報の通し番号についても同様の変更処理を実行する。これらの処理により、通し番号の変更後の通信履歴情報は、図3に示すようなデータとなる。その後、SOC101は、受信した各通信履歴情報と、それらに付与された変更後の通し番号とをHDD103へ格納する。以上の処理により、制御ユニット100及びFAXユニット500を含むMFP10は通常モードに復帰し、当該モードによる動作を継続する。
【0060】
なお、FAXユニット500から受信した通信履歴情報に付与された送信用又は受信用の通し番号が0のままである場合には、これはメンテナンスモードにおいてFAX通信の送信又は受信が行われなかったことを意味する。さらに、SOC101は、受信した画像データを、電力供給を開始されたプリンタ402から印刷してもよく、併せて通信履歴情報をFAX通信結果レポートとして印刷してもよい。また、通信履歴情報を印刷するか否かを、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
【0061】
ここでは、FAX通信について説明したがこれに限らない。FAXユニットにLANC109の機能を内蔵した場合は、LANを介した通信にも適用できる。
【0062】
また、ここでは、メンテナンスモードへの移行前にHDD103へ格納された通信履歴情報の通し番号との整合性を確保するために、受信した通信履歴情報の通し番号を変更する例について説明したがこれに限らない。メンテナンスモードにおいて、FAXユニット500によって付与されたアルファベットや乱数などで示される固有の識別情報を、SOC101で管理する管理形式に従った固有の識別情報に変更できるようにすればよい。
【0063】
さらに、S155で、SOC508が、メンテナンスモードにおいて実行した通信履歴情報と受信データとを制御ユニット100へ送信することによって、制御ユニット100が通信履歴情報を受信する例について説明したがこれに限らない。メンテナンスモードから復帰したSOC101が、メンテナンスモードにおいて実行した通信履歴情報を読み出すことによって受信するようにしてもよい。
【0064】
さらに、ここでは、通常モードとメンテナンスモード(保守管理モード)について説明したが、これに限らない。通信履歴情報を管理しているユニットと通信ユニットがともに動作しているモードと、通信履歴情報を管理しているユニットが停止し通信ユニットが動作している状態との2つの状態のそれぞれにおいて、本実施形態の制御が適用されればよい。即ち、その場合、通常モードを「通信履歴情報を管理しているユニットと通信ユニットがともに動作している状態」と読み替え、メンテナンスモードを「通信履歴情報を管理しているユニットが停止し通信ユニットが動作している状態」と読み替えればよい。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る画像通信装置は、外部装置との間で通信する通信ユニットに電力を供給し、制御ユニットに対する電力供給を停止するモードにおいて、通信ごとの通信履歴情報を通信ユニット内で一時的に管理する。その際、当該通信履歴情報に対して、通信ユニットにおいて固有の識別情報を付与する。さらに、保守管理モードから通常モードへ復帰する際に、制御ユニットは当該通信履歴情報を取得するとともに、制御ユニットの記憶装置で管理する通信履歴情報の識別情報となるように通信履歴情報の識別情報を変更して当該記憶装置へ格納する。これにより、通常の動作中に生成し、制御ユニットの記憶装置で管理する通信履歴情報から、制御ユニットに対する電力供給を停止するモードにおいて生成した通信履歴情報が欠落することを防止し、通信履歴情報の整合性を確保することができる。また、当該記憶装置で管理する通信履歴情報の通し番号と、制御ユニットに対する電力供給を停止するモードにおいて生成した通信履歴情報に付与した通し番号との整合性を確保することができる。
【0066】
[第2の実施形態]
次に、図5及び図7を参照し、本発明における第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る画像通信装置は、第1の実施形態の変形例として、通常モードからメンテナンスモードへ移行する際に、制御ユニットから通信ユニットへ、制御ユニットで管理する通信履歴情報における最新の識別情報を予め通知することを特徴とする。以下では、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。ここでは、通し番号について説明するが、これに限らない。制御ユニットが、一定の規則によって識別情報を発行するように構成されており、通信ユニットでも同じ規則に従って識別情報を発行するように構成されていればよい。
【0067】
(通常モードからメンテナンスモードへの移行)
図7において、S201はS101と同様である。S202で、SOC101は、メンテナンスモードへ移行するとともに、FAXユニット500に対してメンテナンスモードへの移行命令を送信する。さらに、SOC101は、HDD103に格納している通信履歴情報の最新の通し番号をFAXユニット500に対して通知する。メンテナンスモードへの移行する処理として、SOC101は、S102と同様、電源制御部601を制御し、FAXユニット500以外の各ユニットに対する電源ユニット600からの電力供給を停止する制御を行う。その後、S203へ移行する。なお、S203及びS204は、S103及びS104と同様である。
【0068】
一方で、FAXユニット500において、SOC508は、S251で、制御ユニット100からメンテナンス移行命令を受信したか否かを繰り返し判定する。ここで、SOC508は、メンテナンスモード移行命令を受信していないと判定した場合、通常モードの動作を継続し、当該判定処理を繰り返す。一方で、制御ユニット100からメンテナンス移行命令を受信したと判定した場合、S252へ移行する。その際、併せて制御ユニット100からHDD103で管理されている最新の通し番号が通知される。
【0069】
S252で、SOC508は、メンテナンスモードへ移行する。その際に、SOC508は、通信履歴情報に付与する通し番号を、通知された通し番号を用いて初期化する。その後、S253へ移行する。S253及びS254は、S153及びS154と同様である。ここで、S251で通知された送信用及び受信用の通し番号を「249」及び「4999」とすると、FAXユニット500では、例えば図5に示す通信履歴情報が生成される。図5に示すように、各通信履歴情報には、通知された通し番号に基づいて、連続した整数値が通し番号として各通信履歴情報に付与される。
【0070】
(メンテナンスモードから通常モードへの復帰)
制御ユニット100において、S205〜S207は、S105〜S107と同様である。また、FAXユニット500において、S255は、S155と同様である。S208で、SOC101は、FAXユニット500から受信した通信履歴情報と画像データとを、HDD103へ格納する。ここで、本実施形態では、第1の実施形態のように、受信した通信履歴情報に付与された通し番号を変更する必要はない。これは、メンテナンスモードにおいて、FAXユニット500では、制御ユニット100から予め通知された値に基づいて、HDD103の通信履歴情報に付与された通し番号と連続する値を、生成した通信履歴情報に付与しているためである。以上の処理により、制御ユニット100及びFAXユニット500を含むMFP10は通常モードに復帰し、当該モードによる動作を継続する。
【0071】
以上説明したように、本実施形態に係る画像通信装置は、通常モードから制御ユニットに対する電力供給を停止するモードへ移行する際に、制御ユニットから通信ユニットに対して、制御ユニットで管理する通信履歴情報の最新の識別情報を通知する。通信ユニットは、制御ユニットに対する電力供給を停止するモードにおいて、生成した通信履歴情報に対して、通知された当該識別情報に基づいて新しい識別情報を付与する。さらに、制御ユニットに対する電力供給を停止するモードから通常モードへ復帰する際に、制ユニットは、通信ユニットから転送される通信履歴情報を、付与された識別情報を変更することなく記憶装置へ格納する。これにより、本実施形態に係る画像通信装置は、第1の実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0072】
[その他の実施形態]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶手段が設けられ、当該記憶手段で通信履歴情報を管理する制御ユニットと、
記憶手段が設けられ、ネットワークを介して接続された外部装置との間で通信を行う通信ユニットと、
各ユニットに対して電力を供給する電源ユニットと
を備える画像通信装置であって、
前記電源ユニットは、
第1のモードにおいて前記制御ユニットと前記通信ユニットとに電力を供給し、第2のモードにおいて前記制御ユニットへの電力供給を遮断し、かつ、前記通信ユニットに電力を供給する電力供給手段を備え、
前記通信ユニットは、
通信ごとの通信履歴情報を生成する生成手段と、
前記第2のモードにおいて、前記通信ユニットにおいて固有の識別情報を前記通信履歴情報に付与する付与手段と、
前記第2のモードにおいて、前記通信ユニットの記憶手段に前記通信履歴情報を格納する手段とを備え、
前記制御ユニットは、
前記第2のモードから前記第1のモードへ移行する場合に、前記通信ユニットの記憶手段に格納された前記通信履歴情報を取得する取得手段と、
前記第2のモードから前記第1のモードへ移行する場合に、前記取得手段で取得された前記通信履歴情報に付与された識別情報を、前記制御ユニットにおいて固有の識別情報となるように変更する変更手段と、
前記変更された識別情報が付与された前記通信履歴情報を前記制御ユニットの記憶手段に格納する手段と
を備えることを特徴とする画像通信装置。
【請求項2】
記憶手段が設けられ、当該記憶手段で通信履歴情報を管理する制御ユニットと、
記憶手段が設けられ、ネットワークを介して接続された外部装置との間で通信を行う通信ユニットと、
各ユニットに対して電力を供給する電源ユニットと
を備える画像通信装置であって、
前記電源ユニットは、
第1のモードにおいて前記制御ユニットと前記通信ユニットとに電力を供給し、第2のモードにおいて前記制御ユニットへの電力供給を遮断し、かつ、前記通信ユニットに電力を供給する電力供給手段を備え、
前記通信ユニットは、
通信ごとの通信履歴情報を生成する生成手段と、
前記第2のモードにおいて、前記制御ユニットから通知された識別情報に基づいて、識別情報を前記通信履歴情報に付与する付与手段と、
前記第2のモードにおいて、前記通信履歴情報を前記通信ユニットの記憶手段に格納する手段とを備え、
前記制御ユニットは、
前記第1のモードから前記第2のモードへ移行する場合に、前記制御ユニットの記憶手段に格納された前記通信履歴情報に付与された、前記制御ユニットにおいて固有の識別情報のうち、最新の識別情報を前記通信ユニットに通知する通知手段と、
前記第2のモードから前記第1のモードへ移行する場合に、前記通信ユニットの記憶手段に格納された前記通信履歴情報を取得する取得手段と、
前記第2のモードから前記第1のモードへ移行する場合に、前記取得手段で取得した前記通信履歴情報を、前記制御ユニットの記憶手段に格納する手段と
を備えることを特徴とする画像通信装置。
【請求項3】
前記付与手段は、所定の規則に従って前記識別情報を発行することを特徴とする請求項1または2に記載の画像通信装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、所定の規則に従って前記識別情報を発行する識別情報発行手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像通信装置。
【請求項5】
前記識別情報は、通し番号であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像通信装置。
【請求項6】
前記通信ユニット又は前記電源ユニットは、
前記第2のモードにおいて、前記通信ユニットにおいて前記外部装置との間で通信が行われたことを示す情報をユーザに通知する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像通信装置。
【請求項7】
記憶手段が設けられ、当該記憶手段で通信履歴情報を管理する制御ユニットと、
記憶手段が設けられ、ネットワークを介して接続された外部装置との間で通信を行う通信ユニットと、
各ユニットに対して電力を供給する電源ユニットと
を備える画像通信装置の制御方法であって、
前記電源ユニットが、
第1のモードにおいて前記制御ユニットと前記通信ユニットとに電力を供給し、第2のモードにおいて前記制御ユニットへの電力供給を遮断し、かつ、前記通信ユニットに電力を供給する電力供給工程を実行し、
前記通信ユニットが、
通信ごとの通信履歴情報を生成する生成工程と、
前記第2のモードにおいて、前記通信ユニットにおいて固有の識別情報を前記通信履歴情報に付与する付与工程と、
前記第2のモードにおいて、前記通信ユニットの記憶手段に前記通信履歴情報を格納する工程とを実行し、
前記制御ユニットが、
前記第2のモードから前記第1のモードへ移行する場合に、前記通信ユニットの記憶手段に格納された前記通信履歴情報を取得する取得工程と、
前記第2のモードから前記第1のモードへ移行する場合に、前記取得工程で取得された前記通信履歴情報に付与された識別情報を、前記制御ユニットにおいて固有の識別情報となるように変更する変更工程と、
前記変更された識別情報が付与された前記通信履歴情報を前記制御ユニットの記憶手段に格納する工程と
を実行することを特徴とする画像通信装置の制御方法。
【請求項8】
記憶手段が設けられ、当該記憶手段で通信履歴情報を管理する制御ユニットと、
記憶手段が設けられ、ネットワークを介して接続された外部装置との間で通信を行う通信ユニットと、
各ユニットに対して電力を供給する電源ユニットと
を備える画像通信装置の制御方法であって、
前記電源ユニットが、
第1のモードにおいて前記制御ユニットと前記通信ユニットとに電力を供給し、第2のモードにおいて前記制御ユニットへの電力供給を遮断し、かつ、前記通信ユニットに電力を供給する電力供給工程を実行し、
前記通信ユニットが、
通信ごとの通信履歴情報を生成する生成工程と、
前記第2のモードにおいて、前記制御ユニットから通知された識別情報に基づいて、識別情報を前記通信履歴情報に付与する付与工程と、
前記第2のモードにおいて、前記通信履歴情報を前記通信ユニットの記憶手段に格納する工程とを備え、
前記制御ユニットが、
前記第1のモードから前記第2のモードへ移行する場合に、前記制御ユニットの記憶手段に格納された前記通信履歴情報に付与された、前記制御ユニットにおいて固有の識別情報のうち、最新の識別情報を前記通信ユニットに通知する通知工程と、
前記第2のモードから前記第1のモードへ移行する場合に、前記通信ユニットの記憶手段に格納された前記通信履歴情報を取得する取得工程と、
前記第2のモードから前記第1のモードへ移行する場合に、前記取得工程で取得した前記通信履歴情報を、前記制御ユニットの記憶手段に格納する工程と
を実行することを特徴とする画像通信装置の制御方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の画像通信装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−55242(P2011−55242A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202101(P2009−202101)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】