説明

画面角度調整装置及びカメラ

【課題】液晶モニタの画面中の画像が外光の反射によって見難くなったときに、簡単に反射を回避することが可能な画面角度調整装を提供する。
【解決手段】ホルダ4に液晶モニタ3を保持させ、液晶モニタ3の画面を露出させる開口5aを有するカバー5を、カメラ本体10の筐体10aの外面にホルダ4を介在させて装着した。液晶モニタ3に力を加えることによって液晶モニタ3の画面の向きを変えられるように、ホルダ4を弾性的に支持するコイルスプリング6をホルダ4と筐体10aの外面との間に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は液晶モニタの画面角度調整装置及びそれを備えたカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像部とカメラ本体部とがスイバル機構によって回転可能に連結されているデジタルカメラが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
撮像部は撮影レンズと光学ファインダとを有する。
【0004】
カメラ本体部の背面には液晶モニタが設けられている。
【特許文献1】特開2005−134614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のデジタルカメラでは光学ファインダを覗く代わりに液晶モニタを見ながら撮影を行うことができる。
【0006】
液晶モニタを見ながら撮影するとき、太陽光や電灯等の光が液晶モニタの画面で反射して眼に入り、液晶モニタの画面に映し出された被写体の画像が非常に見難くなったり、或は全く見えなくなったりすることがある。
【0007】
このとき、撮像部に対してカメラ本体部を僅かに回転させて液晶モニタの画面角度を変えると、反射光が眼に入らなくなり、液晶モニタの画面に映し出された被写体の画像が見えるようになる。
【0008】
しかし、カメラ本体部を回転させるには、一方の手で撮像部をしっかり保持し、他方の手でスイバル機構の摩擦力に打ち勝つようにカメラ本体部に回転力を加えなくてはならない。
【0009】
このため、液晶モニタの画面で外光の反射が生じた場合、シャッターチャンスを逃したり、或いはフレーミングが崩れたりすることがあるという問題があった。
【0010】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は液晶モニタの画面中の画像が外光の反射によって見難くなったときに、簡単に反射を回避することが可能な画面角度調整装置及びカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため請求項1の発明の画面角度調整装置は、液晶モニタを保持するホルダと、前記液晶モニタの画面を露出させる開口を有し、電子機器筐体の外面に前記ホルダを介在させて装着されるカバーと、前記ホルダを支持するとともに、前記液晶モニタの画面の向きを変えるための弾性部材とを備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の画面角度調整装置において、前記弾性部材の弾力に抗して前記液晶モニタを前記電子機器筐体側へ押すための押圧凸部が前記カバーに設けられた孔から外部へ突出していることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の画面角度調整装置において、前記液晶モニタの画面の向きを変えたときの状態を維持する維持手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の画面角度調整装置において、前記弾性部材は、ばね又はゴムであることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明のカメラは、請求項1〜4のいずれか1項記載の画面角度調整装置を備えていること特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、液晶モニタの画面中の画像が外光の反射によって見難くなったときに、簡単に反射を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1はこの発明の第1実施形態に係るカメラの分解斜視図である。
【0019】
図1に示すように、このカメラはカメラ本体(電子機器)10Aと画面角度調整装置1と液晶モニタ3とを備える。
【0020】
カメラ本体10Aの筐体(電子機器筐体)10aの背面の角部には4つの凹部10bが形成されている。
【0021】
画面角度調整装置1はホルダ4とカバー5と4つのコイルスプリング(弾性部材)6とを有する。
【0022】
ホルダ4は金属板であり、液晶モニタ3を保持する。液晶モニタ3の画面にはカメラ本体10Aに内蔵された撮像素子(図示せず)で取得した画像が表示される。
【0023】
カバー5は液晶モニタ3の画面を露出させる開口5aを有し、カメラ本体10Aの背面にホルダ4を介在させて装着される。
【0024】
コイルスプリング6の一端はホルダ4に溶接され、他端は筐体10aの凹部10bに保持される。コイルスプリング6は圧縮ばねであり、液晶モニタ3の画面の向きを変えられるように、コイルスプリング6の伸縮方向へ移動可能にホルダ4を支持する。
【0025】
液晶モニタ3が開口5aを通じて指で押されていないとき、ホルダ4はカバー5に密着している。
【0026】
なお、コイルスプリング6の一端が筐体10aに溶接され、他端がホルダ4に当接する構成であってもよい。
【0027】
次に、この実施形態の動作について説明する。
【0028】
まず、被写体にカメラの撮影レンズを向け、フレーミングする。液晶モニタ3に太陽光等の外光が反射して液晶モニタ3の画面上の画像が殆ど見えない場合、開口5aを通じて指で例えば液晶モニタ3の上縁を押圧する。そうすると、上2つのコイルスプリング6,6が縮み、液晶モニタ3の上縁側が沈み込み、液晶モニタ3の画面が上を向き、液晶モニタ3の画面の角度が変わり、液晶モニタ3の画面上での外光の反射を回避できる。液晶モニタ3の画面上に生じた外光の反射(全反射)を回避するには、その画面の傾きを2.5°変えればよい。
【0029】
なお、液晶モニタ3の上縁を押圧す代わりに、例えば、液晶モニタ3の右側縁を指で押圧すれば、ホルダ4の右側に配置されたコイルスプリング6,6が縮み、液晶モニタ3の画面は右側を向く。同様にして、指一本で簡単に液晶モニタ3の画面を下に向けたり、或は左に向けたりすることができる。
【0030】
以上のように、第1実施形態によれば、被写体を撮影するときに液晶モニタ3の画面で外光が反射しても、その反射を容易に回避することができる。
【0031】
また、従来のように、セパレートにする必要がないので、小型、軽量化が容易であり、更に、構成が簡単であるので、製造コストを低減することができる。
【0032】
図2はこの発明の第2実施形態に係るカメラを示し、同図(a)は同カメラの背面図、同図(b)は同図(a)のB−Bに沿う断面を示す概念図である。
【0033】
第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、主な相違部分についてだけ説明する。
【0034】
第1実施形態では液晶モニタ3を直接指で押圧するようにしたが、第2実施形態では液晶モニタ3に触らずに液晶モニタ3を押圧できるようにした。
【0035】
そのために、図2(a),(b)に示すように、ホルダ204の周縁部の4箇所にボタン(押圧凸部)204aを設けた。
【0036】
カバー205にはボタン204aを通すための孔205aを形成した。
【0037】
第2実施形態では、ボタン204aを指で押圧することによって液晶モニタ3を間接的に押圧することができる。
【0038】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、指の押圧によって液晶モニタ3の画面が汚れたり、傷ついたりすることを防止することができる。
【0039】
図3はこの発明の第3実施形態に係るカメラの断面を示す概念図である。
【0040】
第1実施形態では、液晶モニタ3を指で押圧したあと、液晶モニタ3から指を離すと液晶モニタ3は元の位置に戻るが、第3実施形態では、戻らないようにした。そのために、第3実施形態では、係止板307が備えられている。係止板307の周縁部の4箇所には係合部307aが形成されている。係合部307aはL字状である。係合部307aのホルダ304側端面には保持穴307bが形成されている。保持穴307bにはコイルスプリング308が保持されている。コイルスプリング308の先端にはボール309が固定されている。
【0041】
ホルダ304には、係合部307aと対向するように係合部304bが形成されている。係合部304bの係合部307a側端面には2つの凹部304c,304dが形成されている。
【0042】
上述の係合部304bと係合部307aとコイルスプリング308とボール309とで、液晶モニタ3の画面の向きを維持する維持機構が構成されている。
【0043】
カバー305の孔305aから突出したホルダ304のボタン304aが指で押されていないとき、ボール309は凹部304cに係合している。
【0044】
ボタン304aを指で押圧すると、スプリング6が縮んでホルダ304が傾く。このとき、ボール309は係合部304bに対して相対的に移動し、凹部304cを抜け出し、凹部304dに入る。これにより、ホルダ304は傾いた状態で係止され、ボタン304aから指を離してもホルダ304は元の状態に戻らない。
【0045】
ホルダ304を元の状態に戻すには、ボタン304aを引っ張って、ボール309と凹部304dとの係合を解けばよい。
【0046】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、ボタン304aを押圧した後、ボタン304aから指を離しても、液晶モニタ3が傾斜した状態を保つことができる。このようにボタン304aを指で押し続ける必要がないので、撮影を一層行いやすくすることができる。
【0047】
なお、上述の実施形態ではコイルスプリング6をホルダ4,204,304と筐体10aとの間に配置したが、これに限られず、例えば、コイルスプリング6の一端をホルダ4,204,304に固定し、コイルスプリング6の他端をカバー5,205,305に固定するようにしてもよい。この場合、コイルスプリング6は伸張コイルを用いるとよい。
【0048】
また、上述の実施形態では、弾性部材としてコイルスプリング6を用いたが、コイルスプリング6の代わりに板ばねを用いてもよく、或はゴム、スポンジ等を用いてもよい。
【0049】
また、この発明をビデオカメラ及びその画面角度調整装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態に係るカメラの分解斜視図である。
【図2】図2はこの発明の第2実施形態に係るカメラを示す図である。
【図3】図3はこの発明の第3実施形態に係るカメラの断面を示す概念図である。
【符号の説明】
【0051】
3:液晶モニタ、4,204,304:ホルダ、204a,304a:ボタン(押圧凸部)、5,205,305:カバー、205a,305a:孔、304b:係合部(維持手段)、307a:係止部(維持手段)、308:コイルスプリング(維持手段)、309:ボール(維持手段)、10A:カメラ本体(電子機器)、10a:筐体(電子機器筐体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶モニタを保持するホルダと、
前記液晶モニタの画面を露出させる開口を有し、電子機器筐体の外面に前記ホルダを介在させて装着されるカバーと、
前記ホルダを支持するとともに、前記液晶モニタの画面の向きを変えるための弾性部材と
を備えていることを特徴とする画面角度調整装置。
【請求項2】
前記弾性部材の弾力に抗して前記液晶モニタを前記電子機器筐体側へ押すための押圧凸部が前記カバーに設けられた孔から外部へ突出していることを特徴とする請求項1記載の画面角度調整装置。
【請求項3】
前記液晶モニタの画面の向きを変えたときの状態を維持する維持手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の画面角度調整装置。
【請求項4】
前記弾性部材は、ばね又はゴムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の画面角度調整装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の画面角度調整装置を備えていることを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−28616(P2008−28616A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197956(P2006−197956)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】