説明

界面活性剤を使用することなく支持体をカーテンコーティングする方法

【課題】表面活性剤/界面活性剤なしで安定なカーテンを形成し、かつガス、脂肪、可塑剤及び油に対して良好なバリヤー作用を有する被覆を生じるカーテンコーティング法を提供することである。
【解決手段】1又は複数のヒドロキシル基含有ポリマーをバインダーとして含むコーティング液を、カーテンコーティング法を用いて塗布することにより、単層又は多層で支持体を被覆する方法により解決され、この場合、該コーティング液は、界面活性剤(表面活性剤)を含有することなく、かつ少なくとも1種の有機溶剤を多量に含有することで、100℃未満の沸点を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体をヒドロキシル基含有ポリマー、例えばポリビニルアルコール又はポリビニルブチラールを含有する単層又は多層で、界面活性剤(Tenside)又は表面活性剤(Suefactant)を使用することなくカーテンコーティング法により被覆する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
支持体、例えば紙又はボール箱の被覆は、工業的に印画紙、インクジェット印刷用紙、グラファイト紙又は食品包装材を製造するためにおこなう。
【0003】
紙の被覆は、製紙工業においては、高いウェブ速度(Papierbahngeschwindigkeiten)下で、一定の厚さで大きい面を塗布しなければならない。これについては特に、塗布工具が支持体に触れない非接触方法が適している。
【0004】
非接触方法は、例えばスロット−ダイ−コーティング法、スプレーコーティング法又はカーテンコーティング法である。カーテンコーティング法は、特に高いウェブ速度の際に使用され、かつ、より高い質で均一な塗膜厚を供給する。カーテンコーティング法は、例えばUS2003/0188839 A1、US 2006/0099410 A1又はUS 2003/0194501 A1に記載されている。
【0005】
カーテンコーティング法の質は、多くにおいて、液体カーテン(「カーテン」)の一定性に依存する。この際、カーテンの厚さ又は液体の濃度の僅かな変動のみが許され、さもなければ塗膜における欠陥を有する結果となる。さらにカーテンは中断してはならず、この場合、コーティングに使用される液体の粘度の一定性に関して高い要求が生じる。
【0006】
粘度に加えて、使用されたコーティング液の動的表面張力が重要である。あまりにも高い表面張力の場合には、カーテンが全く形成されないか、あるいは、カーテンが不安定であり、液滴を形成するまでに裂けてしまう。
【0007】
これらの影響を回避するために、使用されたコーティング液の動的表面張力は、慎重に調節しなければならない。これは一般には、表面活性物質、いわゆる表面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤(例えばグリコール、ポリグリコール又はアルキレングリコール)又はイオン性界面活性剤の使用により実施される。表面活性剤を含むカーテンコーティング法は、例えばWO 03/0160645又はUS 2003/0188839又はUS 2006/0009941中で開示されている。
【0008】
例えば、油又は脂肪に対するバリヤー作用を有していなければならないコーティングを製造する場合に、表面活性剤の使用は不利であり、それというのも表面活性剤は疎水性の部分を有し、それによって、すべての非極性材料に対するバリヤー作用が減少するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US2003/0188839 A1
【特許文献2】US 2006/0099410 A1
【特許文献3】US 2003/0194501 A1
【特許文献4】WO 03/0160645
【特許文献5】US 2006/0009941
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって本発明の課題は、表面活性剤/界面活性剤なしで安定なカーテンを形成し、かつガス、脂肪、可塑剤及び油に対して良好なバリヤー作用を有する被覆を生じる、カーテンコーティング法を提供することである。
【0011】
驚くべきことに、例えば脂肪及び油に対する良好なバリヤー作用を有する被覆が、カーテンコーティング法を用いて、溶剤含有コーティング液の使用下で表面活性剤を用いることなく製造可能であることが見出された。コーティング液中で使用された有機溶剤は、さらにコーティングの乾燥を顕著に改善させる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって本発明の対象は、1又は複数のヒドロキシル基含有ポリマーをバインダーとして含有するコーティング液を、カーテンコーティング法を用いて塗布することにより、単層又は多層で支持体を被覆する方法に関し、その際、該コーティング液は、界面活性剤(表面活性剤)を含有することなく、かつ少なくとも1種の有機溶剤を多量に含有するものであって、その結果、該コーティング液は、100℃未満の沸点を示す。
【0013】
加えて有機溶剤の使用によって、被覆の後の乾燥を顕著に簡素化する。
【0014】
有機溶剤として、好ましくは、水と完全に又は広範囲に混和可能なすべての有機化合物を使用することができる。有機溶剤の使用、場合によっては水との混合物の形での使用によって、コーティング液は100℃を下回り、好ましくは90℃を下回り、殊に好ましくは80℃を下回り、かつ特に70℃を下回る沸点を有する。50℃を下回るコーティング液の沸点は、安全性の面から回避すべきである。
【0015】
使用可能な溶剤として、アルコール、例えば1〜5個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、殊にメタノール、エタノール、n/i−プロパノール、n/i−ブタノール、エステル、例えば酢酸エステル、エーテル、例えばジエチルエーテル及び/又はケトン、例えばアセトン、ジメチルケトン又はメチル−エチレン−ケトンが挙げられる。
【0016】
経済的及び環境的観点から、エタノールの使用が好ましい。
【0017】
本発明により使用されたコーティング液は、少なくとも10質量%、好ましくは20、30、40、50、60、70、80又は90質量%の溶剤を有する。適した粘度又は表面張力の調節のために、複数の異なるアルコールを、場合によっては水の使用下で互いに混合させて、かつ溶剤として使用することが必要であってもよい。
【0018】
表面活性剤又は界面活性剤としては、水系の動的表面張力において少ない影響を有する以下のすべての物質であると理解される。通常のカーテンコーティング法において、特にイオン性界面活性剤又は非イオン性の界面活性剤を使用する。非イオン性の界面活性剤は、例えばグリコール、ポリグリコール又はアルキレングリコール、例えばSurfynol−又はEnvirogem系列のもの、エトキシ化及び非エトキシ化2,4,7,9−テトラメチル−5−デシル−4,7−ジオール、オキシラン、1,4−ジメチル−1,4−ビス(2−メチルプロピル)−2−ブチル−1,4−ジエチルエーテル、1,3−ペンタジオール、トリメチルペンタジオール、グリセリン、Triton X100、Terstolである。イオン性界面活性剤は、例えばポリアクリル酸のナトリウム塩、4級化アルキルアンモニウム塩(例えば、ヘキサデカトリメチルアンモニウムクロリド)、ベタイン又は脂肪酸金属塩、ジカルボン酸の脂肪族エステル又はラウリルスルフェートである。
【0019】
安定なカーテンを形成するために、本発明による方法において使用されたコーティング液が、最大50mN/m、特に40mN/m未満の動的表面張力(マッハ角(Mach angle))を有することは有利である。
【0020】
マッハ角は、P.M. Schweizer、"Measurement of the DynamicSurface Tension with the Mach Angle Method"、Polytype Technical Report 2006 又は"Waves ib a liquid curtain"、Lin, S.P. and Roberts, G; Journal of Fluid Mechanics, Vol. 112, P.443-457に記載されているように測定した。
【0021】
この方法の理論的根拠は、Antoniades, M.G, Godwin, R., 及びLin, S. P., 1980により、 A new method of measuring dynamic surface tension, Journal of Colloid and Interface Science, 77(2), S.583及びBrown, D.R., 1961, "A study of the behaviour of a thin sheet of moving liquid"in Journal of Fluid Mechanics, 10, S 297に記載されている。Mach angle に関する適した測定方法の概要は、Y.M. Tricot, 1997, "Surfactants: static and dynamic surface tension", Kapitel 4, "Liquid Film Coating"S.F. Kistler and P.M. Schweizer, Chapman & Hall, New Yorkに記載されている。
【0022】
本発明による方法は、特に、ガス、例えば窒素、CO、希ガス又は酸素、油、脂肪又は可塑剤、例えばグリセリン、ジオクチルフタレート又はジイソノニルフタレートに対するバリヤー作用を有する少なくとも1つの(部分)層を備えた被覆を製造するのに使用する。
【0023】
本発明による方法を用いて、ガス、油又は脂肪に対して優れたバリヤー作用を有する被覆を製造することができ、その結果、本発明によって被覆された支持体を、食品用包装材、例えばビザカートン又は飲料、動物飼料、化粧品、洗剤、化学薬品、潤滑剤又は油添加物、例えば機械部品のための包装材として使用することができる。
【0024】
バリヤー作用は、TAPPI T 559キット試験及び/又はTAPPI T 454キット試験にしたがって測定することができる、好ましくは、少なくとも1個の本発明により製造された層は、TAPPI T 559キット試験によれば5を上回る、殊に好ましくは6〜12及び特に好ましくは7〜12のバリヤーを示す。
【0025】
二者択一的に又は付加的に、少なくとも1個の本発明により製造された層は、TAPPI T 454 キット試験によれば950を上回る、殊に好ましくは1050を上回る、特に好ましくは1100を上回るバリヤーを示す。TAPPI T 454 キット試験において、通常、1800を上回る値はもはや測定されないが、本発明による方法においては3000のバリヤー作用を達成することができる。
【0026】
本発明による方法によれば、さらにCopp-Ungerによる0.40g/mを下回る、殊に好ましくは0.30g/mを下回るか又は0.20g/mを下回るバリヤーを有する層を、支持体上に塗布することができる。これとは無関係に、付加的に少なくとも1個の層が、Copp-Wasserによる14.0g/mを下回る、殊に好ましくは12.0g/mを下回る油又は脂肪に対するバリヤーを示す。Copp-Unger又はCopp-Wasserによるバリヤーは、DIN EM 20535によれば、23℃及び50%RHでの材料の条件付けにしたがって測定する。
【0027】
TAPPI T 454及び/又はTAPPI T 559キット試験又はCopp-Unger又はCopp-Wasserによるバリヤー作用は、個々の層(すなわち、個々の塗膜)にあてはまり、かつ複数回の塗布、例えば2層又は3層によって顕著に増加させることができる。
【0028】
塗布された層又はこれに関して使用されたコーティング液は、ヒドロキシル基含有ポリマーに加えて他のバインダー及びバリヤー形成剤並びに場合による顔料、例えばチョーク、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、二酸化チタン、ケイ酸又は酸化アルミニウムを含有していてもよい。
【0029】
付加的なバインダー、例えばスチレン−ブタジエン、スチレン−アクリレート、純粋なアクリレート、ビニルアセテート、ビニルアセテートコポリマー又はポリウレタンをベースとするラテックスを使用することが可能である。さらに、塗布された層又はこれに関して使用されたコーティング液は、通常、製紙の際に使用される添加剤、例えば光学的明色化剤、消泡剤、場合によってはさらに架橋剤、レオロジー添加剤又は可塑剤を含有していてもよい。
【0030】
コーティング液中のヒドロキシル基含有ポリマーの量は広範囲で変動してもよく、かつ、達成しようとする粘度、使用された溶剤、含水量、顔料量及び被覆装置の工程パラメータ、例えばウェブ速度又はカーテンの厚さに依存する。これらのパラメータは、機械に依存し、かつ定められた試験によって測定される。
【0031】
被覆は、本発明によれば、1個又は複数個の、殊に、2、3又は4個の部分層で被覆することができる。該層、すなわち、これに関して使用されたコーティング液は、同一又は別個の組成を有していてもよく、すなわち、その都度、異なるヒドロキシル基含有ポリマーを含んでいてもよい。被覆が複数個の部分層から構成される場合には、被覆の少なくとも1個の層が、要求されるバリヤー作用を示すものでなければならない。
【0032】
本発明によるカーテンコーティング法の範囲内において、多層構造の場合には、バリヤー作用を有する層を支持体上に直接的に塗布することができ、かつ、同一の作業工程で、例えば、印刷可能な顔料を含有する他の層を提供することができる。
【0033】
市販の表面サイズ剤、例えばスチレン−マレイン酸無水物、改質化澱粉、スチレン−アクリレート−ラテックス又は純粋なアクリレート−ラテックスをベースとするものの第1塗装に引き続いて、ヒドロキシル基含有ポリマーをベースとする塗装を実施することが考えられる。
【0034】
本発明による方法のための好ましい支持体は、紙、ボール箱又はポリマーシートから成る被覆すべき表面からなるもの、あるいは、これを有するものである。殊に適しているのは、単位面積当たりの質量10〜100g/mを有する紙又はボール紙(Karton)から成る支持体であるか、あるいは、特に単位面積当たりの質量100g/mを上回る厚紙(Katonpapier)から成る支持体である。
【0035】
さらに本発明による方法を用いて、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、PET、PVC、ポリカーボネート、ポリアミド等から成るポリマー表面を被覆することも可能である。このようにして製造された材料は、シートの形で、包装材分野、特に食品の包装において使用することができる。
【0036】
本発明による方法において、ヒドロキシル基含有ポリマーとして、例えば澱粉、改質化澱粉、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシ−又はシリル基で改質化されたポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール/ビニルアセテート−コポリマー、ポリビニルアセタール、特にポリビニルブチラール又は部分アセタール化エチレン/ビニルアルコール/ビニルアセテート−コポリマーを使用することができる。
【0037】
ポリビニルアセタールとして、ポリビニルアルコール又はエチレン/ビニルアルコール/ビニルアセタールコポリマーと、2〜10個の炭素原子を有する1個又は複数個のアルデヒド、例えばバレルアルデヒド、アセトアルデヒド及び/又はブチルアルデヒドとの反応生成物が示される。アセタール化度、残アセテート含量及びポリビニルアルコール含量は、コーティング液の達成しようとする適用又は粘度にしたがって調整することができる。特に好ましくは、ポリビニルブチラール又はポリビニル−コ−(ブチルアルデヒド/アセトアルデヒド)アセタールを使用する。
【0038】
本発明による方法において使用されるポリビニルアルコールは、ポリビニルアセテートの完全又は部分的な加水分解によって製造され、したがってビニルアルコール単位に加えてビニルアセテート単位を有する。
【0039】
疎水性物質、例えば脂肪又は油に対してあるいはさらにガスに対しての特に良好なバリヤー作用を達成しようとする場合には、90〜99.9モル%の加水分解度を有するポリビニルアルコールが好ましい。
【0040】
本発明により使用されたポリビニルアルコールは、さらにカルボキシ−、チオ−又はシリル基によって改質化することができる。この種のコポリマーは、Kuraray Co. JapanからK−、M−及びR−ポリマー等の商品名で入手可能である。
【0041】
本発明により使用されたエチレン/ビニルアルコール−コポリマーは、ポリビニルアルコールと同様に、エチレン/ビニルアセテート−コポリマーの加水分解によって製造され、かつ同様にさらにビニルアセテート単位を有していてもよい。エチレン基の量は1〜約50モル%、特に1〜15モル%である。加水分解度に関しては、ポリビニルアルコールについて説明されたものがあてはまる。
【0042】
本発明による方法を用いて、ヒドロキシル基含有ポリマーを含む単層又は多層を、支持体上に塗布することができる。該層は、ヒドロキシル基含有ポリマーの種類、厚さ又は使用された添加剤、例えば顔料等において異なる。したがって支持体は、例えば、その都度異なるヒドロキシル基含有ポリマーを含む複数の塗膜(層)で被覆することができる。異なるヒドロキシル基含有ポリマーは、例えば異なる加水分解度、重合度又はアセタール化度合いを示し、及び/又は、置換又はコモノマーによって化学的に区別される。
【0043】
本発明によって使用されたコーティング液は、充填剤又は顔料なしで、好ましくは5〜2000mPa.sの粘度を、5〜30質量%の固体含量で有する。
【0044】
コーティング液の塗布後に、これを例えば赤外線乾燥器、熱風乾燥器等によってさらに乾燥させることができる。コーティング液の溶剤量により、場合によっては溶剤に関する再利用可能性を備えた相当する安全−及び吸収装置を顧慮する。
【0045】
カーテンコーティング法の実施のための適した工程パラメータ又は工具、特に複数の部分層を備えた被覆の塗布に関しては、例えばUS 2003/0194501に開示されている。本発明による方法において、以下の工程パラメータを選択する:
−顔料なしで溶液/分散液の粘度 50〜500mPa.s、
−全塗布量(単層及び付加的に多層) 1〜20g/m
−2個の塗膜の場合:塗布量 第1層 1〜5g/m、第2層 1〜10g/m
−支持体(紙)の速度 300〜1000m/分、
−溶液/分散液の固体含量 顔料なしの場合5〜30質量%、顔料ありの場合10〜65質量%
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】それぞれ9質量%のポリマー濃度を有する第2表の被覆又は第1表の溶液の90℃での乾燥時間(分)を示す図
【実施例】
【0047】
第1表による組成の溶液を製造し、かつその動的表面張力について試験した。
【0048】
【表1】

【0049】
第2表は、4g/mの塗布量(乾燥)を有する原紙(40g/m)上における被覆のバリヤー特性を示し、この場合、これは、第1表によるコーティング液を用いて得られる。比較例1及び実施例3及び4は、カーテンコーティング法を用いて、比較例2は、より高い粘度に基づいてドクターブレードを用いて塗布する。
【0050】
【表2】

バリヤーデータの評価:
KIT−値:この値が高ければ高いほど、バリヤーは改善される。
Cobb-Unger:ひまし油の吸収量。この値が低ければ低いほど、バリヤーは改善される。
Cobb-Wasser:10秒以内の水の吸収量。この値が低ければ低いほど、バリヤーは改善される。
DIN53116:特定条件下での着色パーム核油の浸透性。工程IIは工程IIIよりも厳密である。浸透性が少なければ少ないほどよい。
【0051】
図1は、それぞれ9質量%のポリマー濃度を有する第2表の被覆又は第1表の溶液の90℃での乾燥時間(分)を示す。乾燥は、元の溶液量に対して溶液100%から9%の乾燥恒量(Trockenkonstanz)までを示した。
【0052】
ダイヤ又は三角で標された曲線は、それぞれ実施例3又は4の溶液の乾燥挙動に相当し、この場合、「+」又は「x」で標された曲線は、比較例1の溶液の乾燥挙動に相当するか、あるいは、実施例4(70:30 水:エタノール)に対する比較例としての溶剤を含有しない水中9質量%のExceval HR3010溶液についての乾燥挙動に相当する。Exceval HR3010は、水中で溶剤を用いることなく、例4(70:30 水:エタノール)に対する比較例である。
【0053】
表面活性剤の使用は、バリヤー作用を顕著に劣化させることが示された。
【0054】
これとは対照的に本発明による方法による被覆は、良好なバリヤー作用と同時に顕著に短縮された乾燥時間を達成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンコーティング法を用いて、1又は複数のヒドロキシル基含有ポリマーをバインダーとして含むコーティング液の塗布により、単層又は多層で支持体を被覆する方法において、該コーティング液が界面活性剤(表面活性剤)を含有することなく、かつ少なくとも1種の有機溶剤を多量に含有することで、該コーティング液が100℃未満の沸点を有することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
ヒドロキシル基含有ポリマーとして、澱粉、セルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシ基又はシリル基で改質化されたポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール、ビニルアセテート−コポリマー、ポリビニルアセタール又は部分アセタール化エチレン/ビニルアルコール/ビニルアセテート−コポリマーを使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コーティング液が、最大50mN/mの動的表面張力を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1個の層が、油、ガス、可塑剤又は脂肪を通さないバリヤー作用を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1個の層が、TAPPI T 559キット試験による5より大きいバリヤーを示す、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1個の層が、Cobb-Ungerによる0.40g/m未満のバリヤーを示す、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1個の層が、Cobb-Wasserによる14.0g/m未満のバリヤーを示す、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
支持体が、紙、ボール紙又はポリマーから成る被覆すべき表面を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
有機溶剤として、1〜4個の炭素原子を有するアルコール、エステル、エーテル又はケトンを使用する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
コーティング液が、少なくとも1種の有機溶剤を少なくとも10質量%含有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−104987(P2010−104987A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−245124(P2009−245124)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【出願人】(507052393)クラレイ ユーロップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (29)
【氏名又は名称原語表記】Kuraray Europe GmbH
【住所又は居所原語表記】Brueningstrasse 50, D−65926 Frankfurt , Germany
【Fターム(参考)】