説明

界面活性剤含有粒子の製造方法

【課題】ベース粒子にノニオン界面活性剤を噴霧して界面活性剤含有粒子を製造する方法において、ベース粒子の界面活性剤濃度が低い場合に、界面活性剤含有粒子の良好な溶解性が得られるようにする。
【解決手段】界面活性剤の含有量が5〜25質量%であるベース粒子に対して、噴霧時のノニオン界面活性剤の液滴径を150μm以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は界面活性剤含有粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粒状洗剤を構成する界面活性剤含有粒子の製造方法として、界面活性剤を含有するベース粒子を造粒し、これに液状のノニオン界面活性剤を噴霧する方法が知られている(例えば、下記特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−154648号公報
【特許文献2】特開2000−109899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、界面活性剤を含有するベース粒子にノニオン界面活性剤を噴霧することにより、界面活性剤含有粒子の溶解性の向上が図られている。
ところが、近年の環境への負荷低減等の要望により、ベース粒子中の界面活性剤濃度を低くすると、ノニオン界面活性剤の噴霧条件によっては、良好な溶解性が得られない場合があることを知見した。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、ベース粒子にノニオン界面活性剤を噴霧して界面活性剤含有粒子を製造する方法において、ベース粒子の界面活性剤濃度が低い場合に、界面活性剤含有粒子の良好な溶解性が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、ノニオン界面活性剤の噴霧条件について鋭意研究を重ねた結果、ベース粒子の界面活性剤濃度が低い場合、そのベース粒子に噴霧するノニオン界面活性剤の液滴径が、得られる界面活性剤含有粒子の溶解性に大きく影響し、該液滴径を小さくすることにより溶解性が改善できることを見出して、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明の界面活性剤含有粒子の製造方法は、界面活性剤を含有するベース粒子の表面に、ノニオン界面活性剤を噴霧する工程を有する界面活性剤含有粒子の製造方法であって、前記ベース粒子中の界面活性剤の含有量が5〜25質量%であり、前記噴霧時のノニオン界面活性剤の液滴径が150μm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、ベース粒子の界面活性剤濃度が低くて環境への負荷を低減できるとともに、溶解性が良好な界面活性剤含有粒子が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[ベース粒子]
ベース粒子は界面活性剤を含有する粒状のものである。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれを配合してもよく、1種又は2種以上を併用することができる。
ベース粒子中の界面活性剤の合計量は5〜25質量%である。25質量%より多い範囲では、ノニオン界面活性剤の液滴径に関係なく、界面活性剤含有粒子の良好な溶解性が得られる。このため、ベース粒子中の界面活性剤の含有量が25質量%以下の範囲において、本発明による効果が顕著に表れる。界面活性剤の含有量が少ないほぼ環境負荷を低減するうえで好ましい。
ベース粒子中の界面活性剤が5質量%以上であると界面活性剤含有粒子の良好な溶解性が得られやすい。より好ましい範囲は10〜25質量%であり、さらに好ましい範囲は15〜25質量%である。
【0010】
ベース粒子には、必要に応じて無機ビルダー、有機ビルダー、蛍光剤、ポリマー類、ケーキング防止剤、還元剤、金属イオン捕捉剤、pH調整剤等、洗剤の構成成分として公知の成分を適宜配合することができる。
ベース粒子の製造方法は、特に制限はなく、公知の製造方法により製造できる。例えば、スラリー調製工程、噴霧乾燥工程、捏和工程、粉砕工程等を経て製造する方法を用いることができる。
ベース粒子の平均粒子径は200〜700μmが好ましい。なお、本明細書における平均粒子径は以下の方法により測定することができる。
【0011】
(平均粒子径の測定方法)
目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μm、の9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行なった。分級操作は、受け皿に目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1680μmの篩の上から100g/回の噴霧乾燥粒子サンプルを入れ、蓋をしてロータップ型ふるい振盪機((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、温度25℃、相対湿度40%の雰囲気条件化で、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収する操作を行った。
この操作を繰り返すことによって1410〜1680μm(1410μm.on)、1190〜1410μm(1190μm.on)、1000〜1190μm(1000μm.on)、1000〜710μm(710μm.on)500〜710μm(500μm.on)、350〜500μm(350μm.on)、250〜350μm(250μm.on)、149〜250μm(149μm.on)、最小〜149μm(149μm.pass)の各粒子径の分級サンプルを得、重量頻度(%)を算出した。
次に、算出した重量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、またaμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの重量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の重量頻度をd%として、下式(1)によって平均粒子径(重量50%)を求めた。
【0012】
【数1】

【0013】
[ノニオン界面活性剤]
ベース粒子に噴霧されるノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル;ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル;脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルアルコキシレート等が挙げられる。
【0014】
ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルとしては、炭素数が8〜40の飽和若しくは不飽和のアルコールに、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)又はブチレンオキサイド(BO)が平均3〜35モル付加したものが好ましい。EOもしくはPOが単独で又はこれらが混合して3〜35モル付加したものがより好ましく、5〜30モル付加したものがさらに好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテルとしては、炭素数が8〜12のアルキルフェノール又はアルケニルフェノールにエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)又はブチレンオキサイド(BO)が平均5〜25モル付加したものが好ましい。EOもしくはPOが単独で又はこれらが混合して5〜25モル付加したものがより好ましく、8〜20モル付加したものがさらに好ましい。
脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルアルコキシレートとしては、平均炭素数が8〜40の飽和又は不飽和脂肪酸メチルエステルに、エチレンオキサイド(EO)もしくはプロピレンオキサイド(PO)が単独で又はこれらが混合して平均5〜30モル付加したものが好ましい。
ノニオン界面活性剤は、所望の液滴径が得られるように、必要に応じて加温した状態で、または水に溶解した状態で用いてもよい。
加温して用いる場合、ノニオン界面活性剤の液温は高すぎると、粘度が下がり微粒化し過ぎて噴霧圧が上がる場合がある。安定した噴霧圧で運転するため、95℃以下の範囲が好ましい。ノニオン界面活性剤水溶液の状態で用いる場合、ノニオン界面活性剤の濃度が低すぎると多量に噴霧しなければならず、ノズル変更により微粒化が悪化する場合があるため70質量%以上が好ましい。
【0015】
[噴霧工程]
ベース粒子へのノニオン界面活性剤の噴霧は、容器回転式円筒型混合機内にベース粒子を投入し、該混合機を駆動させながら、該混合機内に設けた噴霧ノズルから行う。噴霧位置は、混合機の内壁面にノニオン界面活性剤が直接当たらないように設定される。
混合機は回分式装置及び連続式装置のいずれかに限定されるものではなく、混合機内のバッフルの枚数及び形状等のいずれも特に限定されない。また適宜コーティング剤を入れることもできる。
【0016】
例えば、以下の容器回転式円筒型混合機を好適に用いることができる。
<回分式装置>
(1)円筒型の混合槽が回転することにより混合を行う回分式のミキサーとしては、例えば、ロッキングミキサー(愛知電気商事社製)、ドリアコーター(パウレック社製)、ロータリー型混合機(明和工業社製)、ドラムミキサー(杉山重工社製)などが挙げられる。
(2)二重円錐型の混合槽が回転することにより混合を行う形式のミキサーとしては、例えば、W型混合機(セイシン企業社製)、ダブルコーンミキサー(ASR社製)などが挙げられる。
<連続式装置>
(1)円筒型の混合槽が回転することにより混合を行う連続式のミキサーとしては、例えば、ロッキングミキサー(愛知電気商事株式会社製)、ドリアコーター(株式会社パウレック製)などが挙げられる。
【0017】
噴霧時のノニオン界面活性剤の液滴径は150μm以下である。この範囲であれば、ベース粒子中の界面活性剤の含有量が5〜25質量%の範囲において、噴霧後の界面活性剤含有粒子の良好な溶解性が得られる。液滴径が小さい方が界面活性剤含有粒子の溶解性が向上しやすい。より好ましい液滴径は100μm以下である。下限は特に限定されないが、実現しやすい点では30μm以上が好ましい。
ノニオン界面活性剤の液滴径は、レーザー式粒子径測定装置により測定することができる。レーザー式粒子径測定装置としては、例えば、東日コンピュータアプリケーションズ製のLDSA−1400A(製品名)が用いられる。
【0018】
噴霧時のノニオン界面活性剤の液滴径は、噴霧量、噴霧圧力、噴霧ノズルのオリフィス径、ノニオン界面活性剤の動粘度によって制御可能である。ノニオン界面活性剤の動粘度は、濃度、温度によって調整できる。
噴霧量は、少なすぎるとノニオン界面活性剤を噴霧したことによる効果が充分に得られず、多すぎると界面活性剤含有粒子が水分と接触したときにゲル化しやすくなる。したがって、噴霧後に得られる界面活性剤含有粒子の全体を100質量%とするとき、そのうちの1〜3質量%が噴霧されたノニオン界面活性剤であることが好ましい。
噴霧圧力は、高すぎると装置の耐圧性への問題が生じる場合があり、低すぎると微粒化が悪化する場合があるため、0.2〜2.0MPaの範囲内で設定することが好ましい。その他の条件が一定であれば、噴霧圧力が高くなるほど液滴径は小さくなる。
噴霧ノズルのオリフィス径は、大きすぎても、小さすぎても所望の液滴径が得られ難いため、0.4〜1.0mmφが好ましい。
ノニオン界面活性剤の動粘度は、高すぎても、低すぎても所望の液滴径が得られ難いため、0.01〜0.04m/sが好ましい。
【0019】
噴霧ノズルとしては、特に制限はなく、既存のものから適宜選択することができる。
例えば、ガスと液体を混合して噴霧する二流体ノズル、比較的高い圧力をかけて噴霧する加圧ノズル、などが挙げられる。二流体ノズルとしては、例えば、BIMVシリーズ、BIMV.Sシリーズ(いずれもいけうち社製)などが挙げられる。加圧ノズルとしては、例えば、Kシリーズ、KBシリーズ、VVシリーズ、VVPシリーズ、VEシリーズ(いずれもいけうち社製)などが挙げられる。
【0020】
本発明による作用機序は明らかではないが、以下のことが推測される。すなわち、ベース粒子中の界面活性剤は、溶解性低下の原因となる炭酸ナトリウムの水和結晶等の成長を抑制するとともに、ベース粒子が水と接触したときに、界面活性剤が存在する部位から崩壊、分散しやすいため溶解性の向上に寄与する。したがって、ベース粒子中における界面活性剤の含有量が低いと溶解性が悪くなると考えられる。
またベース粒子中に噴霧されたノニオン界面活性剤は、ベース粒子中の界面活性剤との相溶性により粒子内部に含浸し、溶解性の向上に寄与する。したがって、ベース粒子中における界面活性剤の含有量が低いと、該相溶性が低くなるため、噴霧されたノニオン界面活性剤が粒子内部に含浸し難くなるが、噴霧されるノニオン界面活性剤の液滴径を小さくすると、ベース粒子とノニオン界面活性剤との接触面積が増え、これによってノニオン界面活性剤が粒子内部に含浸されやすくなり、粒子全体の溶解性が向上すると考えられる。
【実施例】
【0021】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、特に断りのない限り「%」は「質量%」である。
[製造例1〜5:ベース粒子B1〜B5の製造]
表1の組成に従い、下記の製造工程でベース粒子B1〜B5を製造した。
【0022】
【表1】

【0023】
表1に示す原料は以下の通りである。
・LAS:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ライオン(株)製、ライポンLH−200)(AV値(LAS−Hを1g中和するに要する水酸化カリウムのmg数)=180.0)を後述の水性スラリー中で48質量%水酸化カリウム溶液で中和したもの。)。なお、表1中の配合量は、LAS−K塩としての配合量を示す。
・石鹸:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製、純分:67%、タイター:40〜45℃、脂肪酸組成:C12:11.7%、C14:0.4%、C16:29.2%、C18F0(ステアリン酸):0.7%、C18F1(オレイン酸):56.8%、C18F2(リノール酸):1.2%、分子量:289)。
・MES:炭素数14〜18のアルキル基を持つα−スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム塩(ライオン(株)製、純分63%)。
・ノニオン界面活性剤:CO−1214(P&G Chemicals製、炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(ライオン(株)製、純分90%)。
・ゼオライト:A型ゼオライト、商品名:シルトンB(水澤化学(株)製、純分80%)。
・MA剤:アクリル酸/マレイン酸コポリマー塩、商品名:アクアリックTL−400(純分40質量%水溶液)。
・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子(株)製)。
・炭酸ナトリウム:粒灰(ソーダアッシュジャパン(株)製)。
・亜硫酸ナトリウム:無水亜硫酸曹達(神州化学(株)製)。
・硫酸ナトリウム:中性無水芒硝A0(四国化成(株)製)。
・蛍光剤:チノパールCBS−X(チバ・ジャパン社製)。
【0024】
まず、表1に示す組成の内、ノニオン界面活性剤と、MESと、後述の粉砕助剤としてのゼオライトとを除く、残りの成分を混合して固形分62%の水性スラリー(調製温度80℃、撹拌時間17分)を調製した。得られた水性スラリーを噴霧乾燥して、水分5.5%の噴霧乾燥粒子を調製した。
次いで、得られた噴霧乾燥粒子と、ノニオン界面活性剤と、MESと少量の水道水(東京都江戸川区)を連続ニーダー(栗本鉄工所社製、製品名:KRC−S4型)に投入し、温度55〜60℃で連続的に混練した(ニーダーの回転数135rpm、ジャケット温度:ジャケット入り口5℃、出口25℃、ジャケットに通水して冷却)。
次いで、得られた混練物をペレッター(不二パウダル社製、製品名:EXD−100型、ダイス孔径10mmφ、ペレッター(カッター)のカッター周速は5m/s)に、定量フィーダを用いて連続的に供給し、押出してペレットを形成した。
続いて、フィッツミル(ホソカワミクロン社製、製品名:DKA−6型)を3段直列に配置(スクリーン径:3段上から6mm、4mm、2mm、粉砕機回転数:4700rpm)し、得られたペレットと、粉砕助剤としてのゼオライト6.5質量%を15℃の冷風とともに導入して破砕造粒することにより、ベース粒子B1〜B5を得た。
得られたベース粒子中における界面活性剤の合計の含有量および平均粒子径は表1の通りである。
【0025】
[実施例1〜8、参考例1および比較例1,2]
製造例1〜5で得られたベース粒子B1〜B5を用い、表2に示す製造条件で界面活性剤含有粒子を製造した。すなわち、連続式の容器回転式円筒型混合機内にベース粒子を約15kg/minで投入した。容器回転式円筒型混合機としては直径0.7m、長さ1.4m、傾斜角3.0°、出口堰高さ0.15mの仕様のものを使用した。内部混合羽根は高さ0.1m、長さ1.4mの平羽根を90°毎に4枚取り付けた。また、回転数はフルード数Fr=0.2になるように調整した。
【0026】
前記容器回転式円筒型混合機におけるフルード数(Fr)は、下記数式(2)で表すことができる。
Fr=V/(R×g) ・・・(2)
[ただし、前記数式(2)中、Vは、容器回転式円筒型混合機における最外周の周速(m/s)を表す。Rは、容器回転式円筒型混合機における最外周の回転中心からの半径(m)を表す。gは、重力加速度(m/s)を表す。]
【0027】
投入したベース粒子が混合機の出口より排出される量が一定となった時点で、混合機内に設けた噴霧ノズルからノニオン界面活性剤の噴霧を開始した。噴霧位置は、直接壁面に液体原料があたらないように設定した。
噴霧するノニオン界面活性剤(噴霧ノニオン)としては、表1に記載のノニオン界面活性剤と同じものを用いた。噴霧量は、噴霧後に得られる界面活性剤含有粒子中における噴霧ノニオンの含有量が表2に示す割合(単位:質量%)となるように設定した。
噴霧圧力、噴霧ノズルのオリフィス径、ノニオン界面活性剤の動粘度(液温)等を調節することによって、噴霧ノニオンの液滴径を表2に示す通りに制御した。
例えば実施例1では、いけうち社製Kシリーズの空円錐ノズル、K008、オリフィス径0.5mmφ、噴霧角度80°を使用し、ノニオン界面活性剤の液温を75℃とし、噴霧圧力を0.45MPaとすることで、所定の噴霧量(流量)0.3L/minにおいて目標液滴径150μmが得られた。
【0028】
[評価]
ノニオン界面活性剤の噴霧を開始してから20分後に、容器回転式円筒型混合機から連続的に排出される界面活性剤含有粒子をサンプリングし、その溶解性の指標として布付着性を下記の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
二槽式洗濯機(三菱電機社製、製品名:CW−C30A1−H)に、5℃の水道水30Lを注入し、綿肌シャツ7枚、ポリエステルシャツ2枚及びアクリルシャツ2枚で浴比20倍に調整し、これらの衣類を折り畳んで水面に浮かべた。浮かべた衣類の中心に界面活性剤含有粒子30gを乗せ、衣類ごと5分間浸漬させた後、弱水流で5分間撹拌した。排水後、1分間脱水し、衣類上の溶け残りと洗濯機中にある溶け残りを拾い出したものを、70℃恒温槽で充分乾燥させ、溶け残り量を下記の評価基準に基づいて評価した。家庭における使用性を考慮すると、実用上はB以上の評価が好ましい。
<評価基準>
A:溶け残りなし。
B:若干溶け残りがあるが払い落とせばきれいに落ちる。
C:溶け残りに1mm程度の小さな塊が含まれ、払ってもかすかに白く残る。
D:溶け残りに1mm程度の小さな塊が無数に存在し、払っても目立つ程白く残る。
E:凝集した溶け残りが存在し、再洗濯が必要。
【0029】
【表2】

【0030】
表2の結果に示されるように、実施例1〜7は、界面活性剤の含有量が10〜25質量%のベース粒子に、液滴径100〜150μmでノニオン界面活性剤を噴霧した例であり、得られた界面活性剤含有粒子の布付着性の評価はいずれもB以上で、溶解性に優れていた。
一方、比較例1、2は実施例2,3と液滴径だけが異なっており、他の製造条件は同じであるが、液滴径が100μmの実施例3は布付着性がA、150μmの実施例2はBであるのに対して、液滴径が200μmの比較例1は布付着性がD、250μmの比較例2はEと、界面活性剤含有粒子の溶解性が劣っていた。
なお、参考例1はベース粒子の界面活性剤の含有量が30質量%と多いため、噴霧ノニオンの液滴径が250μmと大きくても界面活性剤含有粒子の溶解性は良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤を含有するベース粒子の表面に、ノニオン界面活性剤を噴霧する工程を有する界面活性剤含有粒子の製造方法であって、
前記ベース粒子中の界面活性剤の含有量が5〜25質量%であり、前記噴霧時のノニオン界面活性剤の液滴径が150μm以下であることを特徴とする界面活性剤含有粒子の製造方法。

【公開番号】特開2010−174065(P2010−174065A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15511(P2009−15511)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】