説明

界面活性剤

【課題】
乳化体に経時や温度変化、剪断に対する優れた安定性を付与するとともに、乳化体を添加する対象液が水性液体又は油性液体のいずれであっても乳化体の粒子径がほとんど変化しない界面活性剤を提供することである。
【解決手段】
活性水素含有変性シリコーン(a1)と架橋剤(a2)との架橋反応体(A)を含有してなり、架橋反応体(A)の粘度(25℃)が500〜100,000,000mPa・sであることを特徴とする界面活性剤を用いる。活性水素含有変性シリコーン(a1)は水酸基、アミノ基、カルボキシ基及び/又はメルカプト基を含有する変性シリコーンであることが好ましい。架橋剤(a2)はエポキシ基、イソシアナト基及びビニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する架橋剤であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤に関する。さらに詳しくは、シリコーン組成物にシリコーンと共に配合して使用される界面活性剤として好適な界面活性剤に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン用の界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーンが知られている(特許文献1及び2)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−86437号公報
【特許文献2】特開平06−145524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の界面活性剤を使用した乳化体では、経時や温度変化、剪断に対する安定性が不十分であるという問題がある。また、乳化体を対象液に添加すると、対象液が水性液体であるか、油性液体であるかによって、乳化体の乳化安定性が変化するために乳化体の粒子径が変化し、乳化体の性能自体が変化するという問題がある。
すなわち、本発明の目的は、このような欠点を解決し、乳化体に経時や温度変化、剪断に対する優れた安定性を付与するとともに、乳化体を添加する対象液が水性液体又は油性液体のいずれであっても乳化体の粒子径がほとんど変化しない界面活性剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者はこのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果本発明に達した。すなわち、本発明の界面活性剤の特徴は、活性水素含有変性シリコーン(a1)と架橋剤(a2)との架橋反応体(A)を含有してなり、架橋反応体(A)の粘度が500〜100,000,000mPa・sである点を要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の界面活性剤を使用すると、経時や温度変化、剪断に対する安定性に優れた乳化体を容易に得ることができる。また、本発明の界面活性剤を用いると、これを含む乳化体を添加する対象液が水性液体又は油性液体のいずれであっても乳化体の粒子径がほとんど変化しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
活性水素含有変性シリコーン(a1)としては、架橋剤(a2)と反応し得る活性水素を含有する変性シリコーンであれば制限なく使用でき、水酸基、アミノ基、カルボキシ基及び/又はメルカプト基を含有する変性シリコーンが含まれる。活性水素含有変性シリコーン(a1)には、水酸基、アミノ基(イミド化されているアミノ基を含む。)、カルボキシ基及び/又はメルカプト基以外の官能基(たとえば、炭素数2〜23のアシルアミノ基、炭素数2〜22のアルキルオキシカルボニル基、炭素数8〜10のアラルキルオキシカルボニル基、炭素数2〜23のアルキル基、炭素数8〜10のアラルキル基、フェニル基、炭素数1〜22のクロロアルキル基、炭素数1〜22のフロロアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜22のアルコキシ基、炭素数2〜23のアシロキシ基、エポキシ基、イソシアナト基及びビニル基等)を含有してもよい。
【0008】
活性水素含有変性シリコーン(a1)は、シリコーンの変性に用いた有機基の置換位置により、側鎖型、両末端型、片末端型及び側鎖両末端型に分類でき、これらのいずれも使用できる。
【0009】
このような活性水素含有変性シリコーン(a1)としては、ポリエーテル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン又はメルカプト変性シリコーン等が含まれる。
【0010】
ポリエーテル変性シリコーンとしては、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品等が挙げられる。
<側鎖型>
KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−6191、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017及びX−22−2516(以上、信越化学工業株式会社製);FZ2110、FZ2166、FZ2164、FZ2191、FZ7001、FZ2120、FZ2130、FZ2101、FZ7002、FZ2123、FZ2104、FZ2105、FZ2118、FZ2161、FZ2162、SF8428、SH3771、BY16−036及びBY16−027(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製);TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452、TSF4460、TSF4441、TSF4453及びTSF4450(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)等。
【0011】
<両末端型>
X−22−4952、X−22−4272、X−22−6266(以上、信越化学工業株式会社製);FZ2203、FZ2207、FZ2208及びFZ2154(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)等。
【0012】
<片末端型>
FZ2122及びFZ720(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)等。
【0013】
カルビノール変性シリコーンとしては、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品等が挙げられる。
<側鎖型>
X−22−4039及びX−22−4015(以上、信越化学工業株式会社製);SF8428(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製);TSF4750(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)等。
【0014】
<両末端型>
X−22−160AS、KF−6001、KF−6002及びKF−6003(以上、信越化学工業株式会社製);BY16−201、BY16−004及びSF8427(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製);TSF4751(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)等。
【0015】
フェノール変性シリコーンとしては、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品等が挙げられる。
<両末端型>
X−22−1821(以上、信越化学工業株式会社製);BY16−799、BY16−150S(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製等)等。
【0016】
アミノ変性シリコーンとしては、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品等が挙げられる。
<側鎖型>
KF−868、KF−865、KF−864、KF−859、KF−393、KF−860、KF880、KF−8004、KF−8002、KF−8005、KF−867、X−22−3820W、KF−869及びKF−861(以上、信越化学工業株式会社製);FZ3707、FZ3504、BY16−205、FZ3760、FZ3705、BY16−209、FZ3710、SF8417、BY16−849、BY16−850、BY16−879B、BY16−892、FZ3501、FZ3785、BY16−872、BY16−213、BY16−203、BY16−898及びBY16−890(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製);TSF4702、TSF4703、TSF4704、TSF4705及びTSF4706(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)等。
【0017】
<両末端型>
PAM−E、KF−8010、X−22−161A、X−22−161B、KF−8012、KF−8008及びX−22−1660B−3(以上、信越化学工業株式会社製);BY16−871、BY16−853C及びBY16−853U(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)等。
【0018】
<片末端型>
TSF4700及びTSF4701(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)等。
【0019】
カルボキシ変性シリコーンとしては、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品等が挙げられる。
<側鎖型>
X−22−3701E(以上、信越化学工業株式会社製);BY16−880(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)等。
【0020】
<両末端型>
X−22−162C(以上、信越化学工業株式会社製);BY16−750(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製);TSF4770(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)等。
【0021】
<側鎖両末端型>
XF42−A9248(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)等。
【0022】
メルカプト変性シリコーンとしては、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品等が挙げられる。
<側鎖型>
KF−2001及びKF−2004(以上、信越化学工業株式会社製);BX16−838A(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)等。
【0023】
<両末端型>
X−22−167B(以上、信越化学工業株式会社製)等。
【0024】
これら活性水素含有変性シリコーン(a1)のうち、乳化体の安定性等の観点から、水酸基を含有する変性シリコーンが好ましく、さらに好ましくはポリエーテル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン及びこれらの混合、特に好ましくはポリエーテル変性シリコーンである。
【0025】
架橋剤(a2)としては、活性水素含有変性シリコーン(a1)と反応し得る架橋性官能基を有する架橋剤であれば制限なく使用でき、エポキシ基、イソシアナト基及びビニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する架橋剤が含まれる。
【0026】
架橋性官能基の数には制限はないが、2〜6が好ましく、さらに好ましくは2〜4、特に好ましくは2〜3、最も好ましくは2である。
【0027】
このような架橋剤(a2)としては、エポキシ基含有ポリシロキサン、エポキシ基含有芳香族化合物、エポキシ基含有複素環化合物、エポキシ基含有脂環式化合物、エポキシ基含有脂肪族化合物、イソシアナト基含有脂肪族化合物、イソシアナト基含有芳香族化合物、イソシアナト基含有脂環式化合物、ビニル基含有ポリシロキサン、ビニル基含有芳香族化合物、ビニル基含有複素環化合物、ビニル基含有脂環式化合物及びビニル基含有脂肪族化合物が含まれる。
【0028】
エポキシ基含有ポリシロキサン、エポキシ基含有芳香族化合物、エポキシ基含有複素環化合物、エポキシ基含有脂環式化合物及びエポキシ基含有脂肪族化合物としては、公知{「シリコーンハンドブック」、伊藤邦雄編、株式会社日刊工業新聞社、1990年発行」、特開2008−007668号公報、特開平9−263635号公報又は「エポキシ樹脂」、橋本邦之編、株式会社日刊工業新聞社、昭和44年発行等}の化合物等を使用できる。
【0029】
イソシアナト基含有脂肪族化合物、イソシアナト基含有芳香族化合物及びイソシアナト基含有脂環式化合物としては、公知{国際公開パンフレットWO2005/056691号等}の化合物等を使用できる。
【0030】
ビニル基含有ポリシロキサン、ビニル基含有芳香族化合物、ビニル基含有複素環化合物、ビニル基含有脂環式化合物及びビニル基含有脂肪族化合物としては、公知{「シリコーンハンドブック」、伊藤邦雄編、株式会社日刊工業新聞社、1990年発行、特開2004−352946号公報、特開2005−154609号公報又は特開2007−264462号公報等}の化合物等を使用できる。
【0031】
エポキシ基含有ポリシロキサンとしては、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品等が挙げられる。
<エポキシ基を2個含有するポリシロキサン>
X−22−163、KF−105、X−22−163A、X−22−163B、X−22−163C、X−22−169AS、X−22−169B(以上、信越化学工業株式会社製);BY16−855D(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製);TSL9906、TSL9946及びTSL9986(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)等。
【0032】
<エポキシ基を3個以上含有するポリシロキサン>
X−22−343、KF−101、KF−1001、X−22−2000、X−22−2046、KF−102、X−22−4741、KF−1002、X−22−3000T及びX−22−9002(以上、信越化学工業株式会社製);FZ−3720、BY16−839、SF8411、SF8413、SF8421、BY16−876、FZ−3736及びBY16−855D(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製);YF3965、XF42−A4439、TSF4730、XF42−A4438、XC96−A4462、XC96−A4463、XC96−A4464及びXF42−A5041(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)等。
【0033】
エポキシ基含有芳香族化合物、エポキシ基含有複素環化合物、エポキシ基含有脂環式化合物及びエポキシ基含有脂肪族化合物としては、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品等が挙げられる。
【0034】
<エポキシ基含有芳香族化合物>
DER431、DER331J及びDER661J(以上、ダウケミカル社製)、エピクロン800(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、アラルダイトEPN1138(以上、チバガイギー社製、「アラルダイト」はハンツマン アドバンスト マテリアルズ(スウィッツァーランド)ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの登録商標である。)、エピコート154、1001及びエピコート828(以上、油化シェルエポキシ株式会社製、「エピコート」はリソリューション リサーチ ネーデルランド ベスローテン フエンノートシャップの登録商標である。)等。
【0035】
<エポキシ基含有複素環化合物>
チッソノックス207X(以上、チッソ株式会社製)等。
【0036】
<エポキシ基含有脂環式化合物>
シラキュアー6100及びERL2256(以上、ユニオンカーバイド社製、「CYRACURE」はユニオン カ―バイド ケミカルズ アンド プラスチツクス テクノロジ― コ―ポレ―シヨンの登録商標である。)、アラルダイトCY−175(以上、チバガイギー社製)、チッソノックス090及びチッソノックス301(以上、チッソ株式会社製)、セロキサイド2021P及びエポリードGT401(以上、ダイセル化学工業株式会社製、「セロキサイド」は同社の登録商標である。)等。
【0037】
<エポキシ基含有脂肪族化合物>
DER732及び736(以上、ダウケミカル社製)、デナコールEX−211、212、313、411、521、611、811、830及び931(以上、ナガセケムテックス株式会社製、「デナコール」は長瀬産業株式会社の登録商標である。)等。
【0038】
イソシアナト基含有脂肪族化合物、イソシアナト基含有芳香族化合物及びイソシアナト基含有脂環式化合物としては、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品等が挙げられる。
【0039】
<イソシアナト基含有脂肪族化合物>
タケネート700(以上、三井化学ポリウレタン株式会社製、「タケネート」は三井武田ケミカル株式会社の登録商標である。)、デュラネート24A−100、TKA−100、P301−75E、D101及びTLA−100(以上、旭化成ケミカルズ株式会社製、「デュラネート」は同社の登録商標である。)等。
【0040】
<イソシアナト基含有芳香族化合物>
コロネートT−80、65、100、ミリオネートMT及びMR(以上、日本ポリウレタン工業株式会社製、「コロネート」は同社の登録商標である。)、コスモネートT−80、65、100、PH、LK、LL及びタケネート500(以上、三井化学ポリウレタン株式会社製、「コスモネート」は三井化学株式会社の登録商標である。)等。
【0041】
<イソシアナト基含有脂環式化合物>
タケネート600(以上、三井化学ポリウレタン株式会社製)等。
【0042】
ビニル基含有ポリシロキサンとしては、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品等が挙げられる。
<ビニル基を2個含有するポリシロキサン>
X−22−164、X−22−164AS、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C及びX−22−164E(以上、信越化学工業株式会社製)TSL9706、TSL9648、TSL9686及びXF40−A1987(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)。
【0043】
ビニル基含有芳香族化合物、ビニル基含有複素環化合物、ビニル基含有脂環式化合物及びビニル基含有脂肪族化合物としては、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品等が挙げられる。
【0044】
<ビニル基含有芳香族化合物>
NKエステルA−BPE−30、A−B1206PE及びBPE−1300N(以上、新中村化学工業株式会社製)、ブレンマ−PDBE−1300及びPDBP−600(以上、日油株式会社製、「ブレンマー」は同社の登録商標である。)、ジビニルベンゼン(以上、新日鉄化学株式会社製)等。
【0045】
<ビニル基含有複素環化合物>
NKエステルA−DCP及びNKエステルDCP(以上、新中村化学工業株式会社製)等。
【0046】
<ビニル基含有脂環式化合物>
NKエステルA−9300(以上、新中村化学工業株式会社製)、1,3-シクロヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン、1,3-シクロオクタジエン及び1,5-シクロオクタジエン(以上、ナカライテスク株式会社製)等。
【0047】
<ビニル基含有脂肪族化合物>
NKエステルA−1000、A−DOD、A−IBD−2E、A−NPG、701A、APG−700、ブレンマ−ADE−400、ADP−400、A−TMPT、A−TMPT−3EO、A−TMM−3、ATM−35E、A−DPH、23G、IND、NPG、1206PE、9PG及びTMPT(以上、新中村化学工業株式会社製)、ブレンマ−PDE−600、PDP−400、PDT−800、NDMA、PDC及びADE−600(以上、日油株式会社製)、2−メチル−1,3−ブタジエン(以上、ナカライテスク株式会社)等。
【0048】
これら架橋剤(a2)のうち、エポキシ基又はイソシアナト基を含有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくはエポキシ基を含有する架橋剤、特に好ましくはエポキシ基含有ポリシロキサンである。
【0049】
活性水素含有変性シリコーン(a1)の活性水素含有官能基当量(α)と架橋官能基当量(β)との官能基当量比(α/β)に限定はないが、1/(0.05〜20)が好ましく、さらに好ましくは1/(0.1〜10)、特に好ましくは1/(0.5〜2)である。
【0050】
なお、活性水素含有官能基当量(α)とは、活性水素1モル当たりの活性水素含有変性シリコーン(a1)の重量(g/モル)を意味する。
また、架橋官能基当量(β)とは、架橋性官能基(エポキシ基、イソシアナト基及びビニル基等)1モル当たりの架橋剤の重量(g/モル)を意味する。
【0051】
活性水素含有変性シリコーン(a1)及び架橋剤(a2)は、それぞれ、1種で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0052】
架橋反応体(A)は、活性水素含有変性シリコーン(a1)及び架橋剤(a2)以外に、エポキシ基、イソシアナト基又はビニル基を1個含有する単官能反応性化合物(a3)を反応させてもよい。
【0053】
エポキシ基、イソシアナト基又はビニル基を1個含有する単官能反応性化合物(a3)としては、公知{特開2008−032989、特開2004−155801又は特開2007−264462号公報等}の化合物等が挙げられる。単官能反応性化合物(a3)は、1種でもよいし、2種以上の混合で用いてもよい。
【0054】
エポキシ基、イソシアナト基又はビニル基を1個含有する単官能反応性化合物(a3)を使用する場合、この使用量(重量%)は、架橋剤(a2)の重量に基づいて、0.01〜50が好ましく、さらに好ましくは0.05〜45、特に好ましくは0.1〜40である。
【0055】
架橋反応体(A)の粘度(mPa・s;25℃、JIS K7117−1:1999)は、架橋反応体のゲル化防止と本発明の界面活性剤を使用した乳化剤を用いる乳化体の安定性等の観点から、500〜100,000,000が好ましく、さらに好ましくは5,000〜50,000,000、特に好ましくは50,000〜10,000,000である。
【0056】
架橋反応体(A)の粘度を上記範囲とするには、(1)活性水素含有変性シリコーン(a1)の活性水素含有官能基当量(α)と架橋官能基当量(β)との官能基当量比(α/β)を上記の範囲内とすること{官能基当量比(α/β)を大きくすると、粘度が低くなる傾向がある。}、(2)単官能反応性化合物(a3)を上記の範囲内で使用すること{単官能反応性化合物(a3)を多く用いると、粘度が低くなる傾向がある。}、(3)架橋剤(a2)のうち、50重量%以上を架橋性官能基が2個の架橋剤を使用すること{架橋性官能基が3個以上の架橋剤の含有量が増えると、粘度が高くなる傾向がある。}等の方法が挙げられる。
【0057】
架橋反応体(A)は、公知の方法により、活性水素含有変性シリコーン(a1)、架橋剤(a2)及び必要により単官能反応性化合物(a3)を反応させて製造することができる。
【0058】
架橋剤(a2)がエポキシ基を含有する架橋剤の場合、反応温度(℃)は、0〜130が好ましく、さらに好ましくは10〜100、特に好ましくは20〜90である。反応雰囲気としては、乾燥した不活性気体(窒素ガス、二酸化炭素ガス及びアルゴンガス等)雰囲気下又は真空下が好ましい。反応終点は架橋反応体(A)の粘度が所定値になった時点とする。反応時間は、0.5〜10時間程度が好ましい。
【0059】
活性水素含有変性シリコーン(a1)、架橋剤(a2)のうちエポキシ基を有するもの及び単官能反応性化合物(a3)の反応には、反応触媒が使用できる。反応触媒としては公知のものが使用でき、第三級アミン{ジメチルベンジルアミン、ジメチルフェニルアミン、トリ(ヘキシル)アミン、トリ(アミル)アミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンカデカン等}、第四級アンモニウム塩{テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリプロピルベンジルアンモニウムクロライド等}、イミダゾール化合物{2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、シアノエチルイミダゾール等}、イミダゾール化合物とトリメリット酸又はイソシアヌル酸との塩、ホスフィン化合物{トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等}、ホスホニウム塩{テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾラート、テトラブチルホスホニウムブロマイド等}、有機金属錯体{ジブチル錫ジラウレイト、ブロキシアミノチタネート等}、ハロゲン化合物{三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム及び塩化錫等}等が挙げられる。
【0060】
反応触媒を使用する場合、この添加量(重量%)は、活性水素含有変性シリコーン(a1)、架橋剤(a2)及び単官能反応性化合物(a3)の全重量に基づいて、0.001〜5.0が好ましく、さらに好ましくは0.01〜3.0、特に好ましくは0.05〜1.0である。反応触媒は、反応初期に加えてもよいし、反応中を含めて分割して添加してもよい。また、1種でも、2種以上の混合で用いてもよい。
【0061】
活性水素含有変性シリコーン(a1)、架橋剤(a2)のうちエポキシ基を有するもの及び単官能反応性化合物(a3)の反応には、溶剤を使用することができる。
【0062】
溶剤としては、活性水素を持たず、かつ、活性水素含有変性シリコーン(a1)、架橋剤(a2)及び単官能反応性化合物(a3)を溶解するものであれば制限なく使用できる。このような溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン及びキシレン等)、脂肪族溶剤(石油エーテル及びn−ヘキサン等)、脂環式溶剤(シクロヘキサン、シクロヘキサノン及びデカリン等)、ハロゲン溶剤(クロロホルム、四塩化炭素、エチレンジクロライド及びクロルベンゼン等)、エーテル溶剤(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等)、エステル溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル及び酢酸ペンチル等)及びケトン溶剤(メチルエチルケトン、ジエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)等が挙げられる。
【0063】
溶剤を用いる場合、この使用量(重量%)は、活性水素含有変性シリコーン(a1)、架橋剤(a2)及び単官能反応性化合物(a3)を溶解できる範囲内であればよく、活性水素含有変性シリコーン(a1)、架橋剤(a2)及び単官能反応性化合物(a3)の合計重量に基づいて、20〜800が好ましく、さらに好ましくは40〜700、特に好ましくは50〜600である。溶剤は、反応初期に加えてもよいし、反応中を含めて分割して添加してもよい。また、1種又は2種以上の混合で用いてもよい。
【0064】
溶剤を用いた場合、反応後に溶剤を除去することが好ましい。溶剤の除去方法としては、加熱留去及び減圧留去等が適用できる。加熱留去する条件としては、不活性気体等の雰囲気下で50〜200℃、減圧留去する条件としては、不活性気体等の雰囲気下で26.6〜0.7MPaの減圧下にて50〜200℃にて蒸留する条件等が適用できる。
【0065】
架橋剤(a2)がイソシアナト基を含有する架橋剤の場合、反応温度(℃)は、0〜130が好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜110である。反応雰囲気としては、乾燥した不活性気体(窒素ガス、二酸化炭素ガス及びアルゴンガス等)雰囲気下又は真空下が好ましい。反応終点は架橋反応体(A)の粘度が所定値になった時点とする。反応時間は、0.5〜10時間程度が好ましい。
【0066】
活性水素含有変性シリコーン(a1)、架橋剤(a2)のうちイソシアナト基を含有するもの及び単官能反応性化合物(a3)の反応には、反応触媒が使用できる。反応触媒としては公知のものが使用でき、アミン触媒{トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘプタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルホリン及びベンジルトリエチルアンモニウムハイドロオキサイド等}及び金属触媒{塩化第1スズ、塩化第2スズ、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、ジブチルチンジラウレート、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸カリウム及び三塩化アンチモン等}等が挙げられる。
【0067】
反応触媒を使用する場合、この添加量(重量%)は、活性水素含有変性シリコーン(a1)、架橋剤(a2)のうちイソシアナト基を含有するもの及び単官能反応性化合物(a3)の全重量に基づいて、0.001〜5.0が好ましく、さらに好ましくは0.01〜3.0、特に好ましくは0.05〜1.0である。反応触媒は、反応初期に加えてもよいし、反応中を含めて分割して添加してもよい。また、1種又は2種以上の混合で用いてもよい。
【0068】
活性水素含有変性シリコーン(a1)、架橋剤(a2)のうちイソシアナト基を含有するもの及び単官能反応性化合物(a3)の反応には、溶剤を使用することができる。
溶剤の種類、好ましい範囲、使用方法及び溶剤の除去方法は、上記の場合と同じである。
【0069】
架橋剤(a2)がビニル基を含有する架橋剤の場合、反応温度(℃)は、0〜130が好ましく、さらに好ましくは10〜100、特に好ましくは20〜90である。反応雰囲気としては、乾燥した不活性気体(窒素ガス、二酸化炭素ガス及びアルゴンガス等)雰囲気下又は真空下が好ましい。反応終点は架橋反応体(A)の粘度が所定値になった時点とする。反応時間は、0.5〜10時間程度が好ましい。
【0070】
活性水素含有変性シリコーン(a1)、架橋剤(a2)のうちビニル基を含有するもの及び単官能反応性化合物(a3)の反応には、反応触媒が使用できる。反応触媒としては公知のものが使用でき、アミン触媒{トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘプタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルホリン及びベンジルトリエチルアンモニウムハイドロオキサイド等}及びホスフィン触媒{トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等}等が挙げられる。
【0071】
反応触媒を使用する場合、この添加量(重量%)は、活性水素含有変性シリコーン(a1)、架橋剤(a2)のうちビニル基を含有するもの及び単官能反応性化合物(a3)の全重量に基づいて、0.001〜5.0が好ましく、さらに好ましくは0.01〜3.0、特に好ましくは0.05〜1.0である。反応触媒は、反応初期に加えてもよいし、反応中を含めて分割して添加してもよい。また、1種又は2種以上の混合で用いてもよい。
【0072】
活性水素含有変性シリコーン(a1)、架橋剤(a2)のうちビニル基を含有するもの及び単官能反応性化合物(a3)の反応には、溶剤を使用することができる。溶剤の種類、好ましい範囲、使用方法及び溶剤の除去方法は、上記の場合と同じである。
【0073】
本発明の界面活性剤には、架橋反応体(A)以外に、他の成分{脂肪酸及びこの塩、アミド、動植物油、炭化水素油、疎水性シリカ、並びに親水性シリカの他、増粘剤、防黴剤、防腐剤、防錆剤、酸化防止剤及び皮張り防止剤等(たとえば、特開2004−305882号公報に記載されたもの等)、溶媒(水及び上記の溶剤等)、本発明の界面活性剤以外の界面活性剤(非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤;「新界面活性剤入門、藤本武彦著、三洋化成工業株式会社、昭和56年発行」に記載されたもの等)}を含有することができる。
他の成分を含有する場合、これらの含有量(重量%)は、架橋反応体(A)の重量に基づいて、0.01〜50が好ましく、さらに好ましくは0.05〜20、特に好ましくは0.08〜15である。
【0074】
本発明の界面活性剤は、各種用途に界面活性剤として用いることができるが、シリコーンと共に用いる界面活性剤として好適である。すなわち、本発明の界面活性剤は、シリコーンと共に用いてシリコーン組成物とすることが適している。
【0075】
シリコーンとしては、ポリアルキルシロキサン{ジメチルポリシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン及びメチルフェニルポリシロキサン等}等が含まれる。これらのうち、ポリジメチルシロキサンが好ましい。シリコーンは、線状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。
【0076】
シリコーンの動粘度(mm/s;25℃、JIS K2283:2000)は、10〜1,000,000が好ましく、さらに好ましくは50〜300,000、特に好ましくは100〜100,000である。
シリコーンは、単一の動粘度をもつものでもよく、動粘度の異なるものの混合物でもよい。
【0077】
シリコーンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品等が挙げられる。
KF96−10cs、KF96−20cs、KF96−30cs、KF96−50cs、KF96−100cs、KF96−200cs、KF96−300cs、KF96−350cs、KF96−500cs、KF96−1、000cs、KF96−3,000cs、KF96−5,000cs、KF96H−6,0000cs、KF96H−1万cs、KF96H−12,500cs、KF96H−3万cs、KF96H−5万cs、KF96H−6万cs、KF96H−10万cs、KF96H−30万cs、KF96H−50万cs及び100万cs(以上、信越化学工業株式会社製);SH200−10cs、SH200−20cs、SH200−50cs、SH200−100cs、SH200−200cs、SH200−350cs、SH200−500cs、SH200−1、000cs、SH200−3,000cs、SH200−5,000cs、SH200H−1万cs、SH200H−1.25万cs、SH200H−3万cs、SH200H−6万cs、SH200H−10万cs及びSH200H−100万cs(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製);並びにTSF451−10、TSF451−20、TSF451−30、TSF451−50、TSF451−100、TSF451−200、TSF451−300、TSF451−350、TSF451−500、TSF451−1000、TSF451−1500、TSF451−2000、TSF451−3000、TSF451−5000、TSF451−6000、TSF451H−1M、TSF451H−12500、TSF451H−2M、TTSF451H−3M、TSF451H−5M、TSF451H−6M、TSF451H−10M、TSF451H−30M、TSF451H−50M及びTSF451H−100M(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)(ハイフンの後の数字は動粘度を表す。但し、1Mは1万を表す。)。
【0078】
本発明の界面活性剤をシリコーンと共に用いてシリコーン組成物とする場合、本発明の界面活性剤の含有量(重量%)は、シリコーンの重量に基づいて、0.2〜500が好ましく、さらに好ましくは0.5〜300、特に好ましくは1〜200である。
【0079】
本発明のシリコーン組成物には、本発明の界面活性剤以外の界面活性剤(非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤;「新界面活性剤入門、藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行」に記載されたもの等)を含有することができる。
【0080】
本発明の界面活性剤以外の界面活性剤を用いる場合、本発明の界面活性剤以外の界面活性剤の含有量(重量%)は、架橋反応体(A)の重量に基づいて、0.1〜500が好ましく、さらに好ましくは1〜400、特に好ましくは5〜300である。
【0081】
本発明のシリコーン組成物には、他の成分{上記と同様のもの等}を含有することができる。他の成分を添加する場合、これらの含有量(重量%)は、架橋反応体(A)の重量に基づいて、0.01〜50が好ましく、さらに好ましくは0.05〜20、特に好ましくは0.08〜15である。
【0082】
本発明のシリコーン組成物は、任意の混合手段(へらや、プロペラ型攪拌機、プラネタリーミキサー、ホバートミキサー、ホモジナイザー、ニーダー、ドラムローラー又は3本ロール機等の装置)で均質に混合して調製される。
【0083】
本発明のシリコーン組成物は、水に配合することにより乳化体とすることができる。
【0084】
水としては、蒸留水、イオン交換水、水道水、工業用水、井戸水、涌き水、河川水及び雨水等が使用できるが、イオン交換水、水道水及び工業用水等の軟水が好ましい。
【0085】
本発明の乳化体において、水の含有量(重量%)は、シリコーンの重量に基づいて、10〜2000が好ましく、さらに好ましくは30〜1500、特に好ましくは50〜1000である。
【0086】
乳化体には、乳化体中のエマルション粒子の粒子径を調整するために、本発明の界面活性剤以外の界面活性剤(上記と同様のもの等)を含むことができる。
本発明の界面活性剤及び/又はこれ以外の界面活性剤は、乳化前に加えてもよいし、乳化中及び乳化後に分割して添加してもよい。
【0087】
本発明の界面活性剤以外の界面活性剤を含む場合、この含有量(重量%)は、架橋反応体(A)の重量に基づいて、0.1〜500が好ましく、さらに好ましくは1〜400、特に好ましくは10〜300である。
【0088】
乳化体には、乳化体の分離防止のため、公知の増粘剤や分散剤のような高分子化合物{特開平06−039207号公報、特開2003−292415号公報、特開平8−053504号公報又は特開2004−073909号公報等に記載された高分子化合物(カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等の繊維系エーテル、アクリル変性ポリマー、ポリビニルアルコール又はアルギン酸ナトリウム等)}等を含有することができる。
【0089】
このような高分子化合物を含有する場合、乳化体の分離防止及び取り扱いの観点から、この含有量(重量%)は、シリコーンの重量に基づいて、0.1〜200が好ましく、さらに好ましくは0.5〜150、特に好ましくは1〜100である。
【0090】
本発明の乳化体には、さらに他の成分{上記と同様のもの等}を含有することができる。他の成分を含有する場合、この含有量(重量%)は、架橋反応体(A)の重量に基づいて、0.01〜50が好ましく、さらに好ましくは0.05〜20、特に好ましくは0.08〜15である。
【0091】
本発明のシリコーン組成物を含有してなる乳化体は、(1)本発明の界面活性剤及びシリコーンを混合した後、水を添加しながら攪拌混合してエマルション化する方法、(2)本発明の界面活性剤及び水の混合物に、シリコーンを添加しながら攪拌混合してエマルション化する方法、(3)本発明の界面活性剤、シリコーン及び水を混合した後、攪拌混合してエマルション化する方法、又は(4)本発明の界面活性剤、シリコーン及び一部の水を混合して高濃度エマルションを調整した後、これに残りの水を添加しながら攪拌混合してエマルション化する方法等により製造できる。
【0092】
攪拌混合できる装置としては、プロペラ型攪拌機、ディゾルバー、ホモミキサー、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、ニーダー、ラインミキサー、ガウリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザ−、ナノマイザー、ディスパーソニック、ウルトラジェッター、コーレスミキサー、ディスパーミル、ディスクキャビテーションミキサー、ステイターローラー、サンドグラインダー、アジテーターミル、コロイドミル及びアトライター等が挙げられる。これらの装置のうち、プロペラ型攪拌機、ホモミキサー、超音波分散機、ガウリンホモジナイザー、コーレスミキサー及びコロイドミルが好ましく、さらに好ましくはガウリンホモジナイザー、プロペラ型攪拌機、ホモジナイザー及びホモミキサー、特に好ましくはガウリンホモジナイザー及びホモミキサーである。
【0093】
本発明の乳化体中のエマルション粒子の体積平均粒子径(μm)は、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.4〜30、特に好ましくは0.7〜20である。この範囲であると、乳化体の製品安定性がさらに良好となる。
なお、体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分析計[例えば、Leeds&Northrup Co.製Microtrac Model No.9320−X100(レーザー光波長:780nm)]を用い、電気伝導度0.1mS/m以下の水に、測定試料濃度0.1重量%となるように測定試料を添加して、測定温度25±10℃で測定される(レーザー回折式粒度分布測定法により50%積算体積平均粒子径)。なお、循環液(水)の屈折率1.33、エマルション粒子の屈折率1.46を用いる。
【0094】
本発明のシリコーン組成物を含有してなる乳化体は経時や温度変化、剪断に対して安定であり、乳化体を添加する対象液が水性液体又は油性液体のいずれであっても乳化体の粒子径が変化しないため、油性液体でも水性液体にも幅広く適用できる。本発明の乳化体は、たとえば、合成樹脂製造時用、各種油剤内添用、又は各種排水用の抑泡剤、金属、ゴム、プラスチック又はシェルモールド等の離型剤、電線の芯線の引抜きやアイロン掛けの際の潤滑剤、ゴム、プラスチック製品あるいは家具等の艶出剤、光沢剤、化粧料、繊維に撥水性や柔軟性等を付与するための繊維処理剤又は塗料等の用途にも使用することができる。これらのうち、抑泡剤としての使用が好適である。
【0095】
乳化体を添加する対象液について、水性液体とは1%水溶液の外観が均一であり透過率が90%以上である物質及び/又は水を50%より多く含む液体を意味する。一方、油性液体とは、1%水溶液の外観が均一であり透過率が90%未満である物質及び/又は水を50%以下しか含まない液体を意味する。
【0096】
本発明の乳化体を抑泡剤に用いる場合、乳化体の含有量(重量%)は、抑泡剤の重量に基づいて、0.2〜100が好ましく、さらに好ましくは1〜100、特に好ましくは5〜100である。
【0097】
本発明の乳化体を抑泡剤に用いる場合、シリカの微粒子を含むことが望ましい。シリカを含むと、抑泡剤としての効果がさらに向上する。
【0098】
シリカとしては公知のもの{特開2006−087966号公報等に記載されたシリカ等)}等が使用できる。
本発明の抑泡剤にシリカの微粒子を含む場合、シリカの微粒子の含有量(重量%)は、シリコーンの重量に基づいて、0.1〜30が好ましく、さらに好ましくは0.5〜25、特に好ましくは1〜20である。
【0099】
本発明の抑泡剤には、さらに他の成分{上記と同様のもの等}を含有することができる。他の成分を含有する場合、これらの含有量(重量%)は、シリコーン組成物の重量に基づいて、0.01〜50が好ましく、さらに好ましくは0.05〜20、特に好ましくは0.08〜15である。
【0100】
本発明の乳化体を含有する抑泡剤は、経時や温度変化、剪断に対しても、含有する本発明の乳化体の粒子径が変化しないため抑泡効果に変化がなく、乳化体を添加する対象液が水性液体又は油性液体のいずれであっても乳化体の粒子径が変化しないため、水性液体でも油性液体に適用しても抑泡効果を発現できる。
【0101】
本発明の抑泡剤は、水性液体でも油性液体にも適用でき、消泡剤、脱泡剤及び破泡剤等が用いられる用途等で制限無く使用することができる。本発明の抑泡剤は、たとえば、合成樹脂製造工程(モノマーストリッピング用等)、抄造工程、漂白工程、染色工程、精練工程及び発酵工程等の発泡を伴う生産工程、またそれらの排水処理工程等に利用でき、洗剤、切削油、塗料、高分子溶液、セメント混和剤、農薬及び医薬品等の製品やその加工品へ添加する抑泡剤としても好適である。
【0102】
本発明の抑泡剤は、発泡が予想される生産ラインへ予め添加しておいてもよいし、発泡してから添加してもよく、製品や加工品に添加してもよい。また、本発明の抑泡剤は、液状の形態のままで使用してもよいし、シリカ等の粉体に担持させて粉状で使用してもよい。
【0103】
本発明の抑泡剤の使用量(重量%)は、発泡液体の種類、温度、濃度及び処理量等(発泡の程度等)により適宜増減することができるが、発泡液体の重量に基づいて、0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.05〜5、特に好ましくは0.1〜2である。
【実施例】
【0104】
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0105】
<架橋反応体(A)の粘度>
粘度は、ブルックフィールドデジタル粘度計(粘度計型式HBDV−III Ultra)により(25±1℃、ローター回転数0.1RPM)測定した。
【0106】
<乳化体の体積平均粒子径(μm)>
乳化体の体積平均粒子径(D50)は、レーザー回折式粒度分析計{Leeds&Northrup Co.製Microtrac Model No.9320−X100(レーザー光波長:780nm}を用いて、循環液:電気伝導度0.1mS/m以下の水、測定試料濃度:1%(循環液で希釈)、FLOW:60%(循環液装置MAX100%に対する値)、POWER:40、測定温度:25±10℃で、30秒間循環させて測定した。なお、体積平均粒子径(D50)は循環液の屈折率1.33、乳化体粒子の屈折率1.46を使用して日機装製データ処理装置により計算した。
【0107】
<実施例1>
温度計、窒素導入管及び撹拌機を装着した耐圧反応装置に、活性水素含有変性シリコーン(a11){ポリエーテル変性シリコーン、SH3771、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製、官能基当量800g/モル}786.0部を入れ、装置内を26.6〜0.7MPa、80〜90℃として3時間脱水し、水分を0.03%(カールフィッシャー水分計、MKA−510、京都電子工業株式会社)とした後、60℃に冷却し、トルエン1200部及び三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体5.0部を加えて混合物を得た。次いで、60℃で、この混合物に、架橋剤(a21){エポイキシ基含有ポリシロキサン、TSL9906、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製、官能基当量181g/モル}214.0部を1時間かけて加え(α/β=1/1.20)、引き続き、密閉下で60〜70℃で反応させ、架橋剤(a21)の滴下終了から約3時間目に、粘度をモニター{内容物の一部をサンプリングし、50%水酸化ナトリウム水溶液をサンプリングの重量に対して0.5%加えて混合し、100〜120℃で減圧乾燥を行い粘度測定用サンプルを得て、粘度測定を行った。}したところ、粘度3,000,000mPa・sであった。架橋剤(a21)の滴下終了から約3.5時間目に、内容物の重量に対して50%水酸化ナトリウム水溶液を0.5%加えて混合した後、装置内を26.6〜0.7MPa、100〜120℃として4時間脱溶剤を行い、粘度4,000,000mPa・sの架橋反応体(A1)を得た。そしてこの架橋反応体(A1)をそのまま本発明の界面活性剤(1)とした。
【0108】
<実施例2>
「活性水素含有変性シリコーン(a11)786.0部」を活性水素含有変性シリコーン(a12){ポリエーテル変性シリコーン、X−22−6266、信越化学工業株式会社製、官能基当量1200g/モル}846.0部」に変更したこと、及び架橋剤(a21)の使用量を「214.0部(α/β=1/1.20)」から「154.0部(α/β=1/1.20)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度1,000,000mPa・sの架橋反応体(A2)を得た。そしてこの架橋反応体(A2)をそのまま本発明の界面活性剤(2)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は800,000mPa・sであった。
【0109】
<実施例3>
「活性水素含有変性シリコーン(a11)786.0部」を「活性水素含有変性シリコーン(a13){カルビノール変性シリコーン、SF8428、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製、官能基当量1600g/モル}880.0部」に変更したこと、及び架橋剤(a21)の使用量を「214.0部(α/β=1/1.20)」から「120.0部(α/β=1/1.20)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度2,000,000mPa・sの架橋反応体(A3)を得た。そしてこの架橋反応体(A3)をそのまま本発明の界面活性剤(3)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は1,5000,000mPa・sであった。
【0110】
<実施例4>
「活性水素含有変性シリコーン(a11)786.0部」を「活性水素含有変性シリコーン(a11)407.5部及び活性水素含有変性シリコーン(a12)407.5部」に変更したこと、及び架橋剤(a21)の使用量を「214.0部(α/β=1/1.20)」から「185.0部(α/β=1/1.20)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度2,500,000mPa・sの架橋反応体(A4)を得た。そしてこの架橋反応体(A4)をそのまま本発明の界面活性剤(4)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は2,000,000mPa・sであった。
【0111】
<実施例5>
「活性水素含有変性シリコーン(a11)786.0部」を「活性水素含有変性シリコーン(a11)415.5部及び活性水素含有変性シリコーン(a13)415.5部に変更したこと、及び架橋剤(a21)の使用量を「214.0部(α/β=1/1.20)」から「169.0部(α/β=1/1.20)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度3,000,000mPa・sの架橋反応体(A5)を得た。そしてこの架橋反応体(A5)をそのまま本発明の界面活性剤(5)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は2,000,000mPa・sであった。
【0112】
<実施例6>
「活性水素含有変性シリコーン(a11)786.0部」を「活性水素含有変性シリコーン(a14){フェノール変性シリコーン、BY16−150S、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製、官能基当量1550g/モル}863.0部」に変更したこと、及び架橋剤(a21)の使用量を「214.0部(α/β=1/1.20)」から「137.0部(α/β=1/1.36)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度500,000mPa・sの架橋反応体(A6)を得た。そしてこの架橋反応体(A6)をそのまま本発明の界面活性剤(6)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は400,000mPa・sであった。
【0113】
<実施例7>
「活性水素含有変性シリコーン(a11)786.0部」を「活性水素含有変性シリコーン(a15){アミノ変性シリコーン、KF−864、信越化学工業株式会社製、官能基当量3800g/モル}946.0部に変更したこと、及び架橋剤(a21)の使用量を「214.0部(α/β=1/1.20)」から「54.0部(α/β=1/1.20)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度3,000,000mPa・sの架橋反応体(A7)を得た。そしてこの架橋反応体(A7)をそのまま本発明の界面活性剤(7)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は2,500,000mPa・sであった。
【0114】
<実施例8>
「活性水素含有変性シリコーン(a11)786.0部」を「活性水素含有変性シリコーン(a16){カルボキシ変性シリコーン、X−22−3701E、信越化学工業株式会社製、官能基当量4000g/モル}948.5部」に変更したこと、及び架橋剤(a21)の使用量を「214.0部(α/β=1/1.20)」から「51.5部(α/β=1/1.20)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度2,000,000mPa・sの架橋反応体(A8)を得た。そしてこの架橋反応体(A8)をそのまま本発明の界面活性剤(8)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は1,800,000mPa・sであった。
【0115】
<実施例9>
「活性水素含有変性シリコーン(a11)786.0部」を「活性水素含有変性シリコーン(a17){メルカプト変性シリコーン、KF−2001、信越化学工業株式会社製、官能基当量1900g/モル}897.0部」に変更したこと、及び架橋剤(a21)の使用量を「214.0部(α/β=1/1.20)」から「103部(α/β=1/1.20)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度2,000,000mPa・sの架橋反応体(A9)を得た。そしてこの架橋反応体(A9)をそのまま本発明の界面活性剤(9)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は1,500,000mPa・sであった。
【0116】
<実施例10>
活性水素含有変性シリコーン(a11)の使用量を「786.0部」から「526.0部」に変更したこと、及び「架橋剤(a21)214.0部」を「架橋剤(a22){エポキシ基含有脂肪族化合物、EX−931、ナガセケムテックス株式会社製、官能基当量471g/モル}474.0部(α/β=1/1.53)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度1,000,000mPa・sの架橋反応体(A10)を得た。そしてこの架橋反応体(A10)をそのまま本発明の界面活性剤(10)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は800,000mPa・sであった。
【0117】
<実施例11>
活性水素含有変性シリコーン(a11)の使用量を「786.0部」から「674.0部」に変更したこと、及び架橋剤(a21)214.0部」を「架橋剤(a23){エポキシ基含有ポリシロキサン、KF−101、信越化学工業株式会社製、官能基当量350g/モル}326.0部(α/β=1/1.11)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度50,000,000mPa・sの架橋反応体(A11)を得た。そしてこの架橋反応体(A11)をそのまま本発明の界面活性剤(11)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は40,000,000mPa・sであった。
【0118】
<実施例12>
活性水素含有変性シリコーン(a11)の使用量を「786.0部」から「895.0部」に変更したこと、架橋剤(a21)214.0部」を「架橋剤(a24){ヘキサメチレンジイソシアネート、タケネート700、三井化学ポリウレタン株式会社製、官能基当量84g/モル、「タケネート」は三井武田ケミカル株式会社の登録商標である。}105.0部(α/β=1/1.12)」に変更したこと、「三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体5.0部」を「ジブチルチンジラウレート5.0部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度1,000,000mPa・sの架橋反応体(A12)を得た。そしてこの架橋反応体(A12)をそのまま本発明の界面活性剤(12)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は900,000mPa・sであった。
【0119】
<実施例13>
「活性水素含有変性シリコーン(a11)786.0部」を「活性水素含有変性シリコーン(a18){メルカプト変性シリコーン、KF−2001、信越化学工業株式会社製、官能基当量1900g/モル}885.0部」に変更したこと、「架橋剤(a21)214.0部」を架橋剤(a25){ビニル基含有ポリシロキサン、X−22−164、信越化学工業株式会社製、官能基当量190g/モル}115.0部(α/β=1/1.30)」に変更したこと、及び「三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体5.0部」を「トリフェニルホスフィン5.0部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度50,000mPa・sの架橋反応体(A13)を得た。そしてこの架橋反応体(A13)をそのまま本発明の界面活性剤(13)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は40,000mPa・sであった。
【0120】
<実施例14>
活性水素含有変性シリコーン(a11)の量を「786.0部」から「898.0部」に変更したこと、及び架橋剤(a21)の量を「214.0部(α/β=1/1.20)」から「102.0部(α/β=1/0.50)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度50,000mPa・sの架橋反応体(A14)を得た。そしてこの架橋反応体(A14)をそのまま本発明の界面活性剤(14)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は40,000mPa・sであった。
【0121】
<実施例15>
活性水素含有変性シリコーン(a11)の量を「786.0部」から「306.0部」に変更したこと、及び架橋剤(a21)の量を「214.0部(α/β=1/1.20)」から「694.0部(α/β=1/10.00)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度50,000,000mPa・sの架橋反応体(A15)を得た。そしてこの架橋反応体(A15)をそのまま本発明の界面活性剤(15)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は40,000,000mPa・sであった。
【0122】
<実施例16>
活性水素含有変性シリコーン(a11)の量を「786.0部」から「978.0部」に変更したこと、及び架橋剤(a21)の量を「214.0部(α/β=1/1.20)」から「22.0部(α/β=1/0.10)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度5,000mPa・sの架橋反応体(A16)を得た。そしてこの架橋反応体(A16)をそのまま本発明の界面活性剤(16)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は4,000mPa・sであった。
【0123】
<実施例17>
活性水素含有変性シリコーン(a11)の量を「786.0部」から「688.0部」に変更したこと、及び架橋剤(a21)の量を「214.0部(α/β=1/1.20)」から「312.0部(α/β=1/2.00)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、粘度10,000,000mPa・sの架橋反応体(A17)を得た。そしてこの架橋反応体(A17)をそのまま本発明の界面活性剤(17)とした。なお、約3時間目の粘度をモニターにおいて、粘度測定用サンプルの粘度は8,000,000mPa・sであった。
【0124】
<実施例18>
動粘度10000mm/sのシリコーンオイル{信越化学工業株式会社製、KF96−1万cs}100部、実施例1で得た界面活性剤(1)50部、ポリプロピレングリコール{サンニックスPP−1000、三洋化成工業株式会社製、「サンニックス」は同社の登録商標である。}100部及びポリエーテル変性シリコーン{KF−6028、信越化学工業株式会社製}50部を、プラネタリーミキサーで撹拌混合してシリコーン組成物(1)を得た。次いで、シリコーン組成物(1)を撹拌混合しながら、5%アクリル系増粘剤水溶液{SNシックナー630、サンノプコ株式会社製、SNシックナー630を約5%水溶液とし、10%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH8に調整して5%アクリル系増粘剤水溶液を得た。}700部を0.5時間かけて滴下しながら乳化させ、次いで、ガウリンホモジナイザー{マントンガウリン、ガウリン社製、温度:30〜40℃、圧力:9MPa、循環せずに1パス}を通して、本発明の乳化体(1)を得た。乳化体(1)の体積平均粒子径(D50)は2.0μmであった。
【0125】
<実施例19〜34>
「界面活性剤(1)」を「界面活性剤(2)〜(17)のいずれか」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、本発明の乳化体(2)〜(17)を得た。乳化体(2)〜(17)の体積平均粒子径(D50)は表1に記載した。
【0126】
<実施例35>
「動粘度10000mm/sのシリコーンオイル{信越化学工業株式会社製、KF96−1万cs}100部」を、「シリコーンコンパウンド{疎水性シリカ(日本シリカ株式会社製、Nipsil SS−50)10部と動粘度1000mm/sのシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、KF96−1000cs)90部とから構成されるコンパウンド}100部に変更したこと以外、実施例18と同様にして、本発明の乳化体(18){本発明の抑泡剤(1)}を得た。乳化体(18)の体積平均粒子径(D50)は3.5μmであった。
【0127】
<実施例36>
「動粘度10000mm/sのシリコーンオイル{信越化学工業株式会社製、KF96−1万cs}100部」を、「シリコーンコンパウンド{疎水性シリカ(日本シリカ株式会社製、Nipsil SS−50)10部と動粘度1000mm/sのシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、KF96−1000cs)90部とから構成されるコンパウンド}100部に変更したこと、及び「界面活性剤(1)」を「界面活性剤(4)」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、本発明の乳化体(19){本発明の抑泡剤(2)}を得た。乳化体(19)の体積平均粒子径(D50)は2.5μmであった。
【0128】
<実施例37>
「動粘度10000mm/sのシリコーンオイル{信越化学工業株式会社製、KF96−1万cs}100部」を、「シリコーンコンパウンド{疎水性シリカ(日本シリカ株式会社製、Nipsil SS−50)10部と動粘度1000mm/sのシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、KF96−1000cs)90部とから構成されるコンパウンド}100部に変更したこと、及び「界面活性剤(1)}を「界面活性剤(5)」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、本発明の乳化体(20){本発明の抑泡剤(3)}を得た。乳化体(20)の体積平均粒子径(D50)は2.0μmであった。
【0129】
<比較例1>
界面活性剤(1)の使用量を「50部」から「0.0部」に変更したこと、及びポリエーテル変性シリコーン(KF−6028、信越化学工業株式会社製)の使用量を「50部」から「100部」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、比較用の乳化体(H1)を得た。乳化体(H1)の体積平均粒子径(D50)は0.9μmであった。
【0130】
<比較例2>
界面活性剤(1)の使用量を「50部」から「0.0部」に変更したこと、及び「ポリエーテル変性シリコーン(KF−6028、信越化学工業株式会社製)50部」を「ポリエーテル変性シリコーン(X−22−6191、信越化学工業株式会社製)100部」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、比較用の乳化体(H2)を得た。乳化体(H2)の体積平均粒子径(D50)は0.8μmであった。
【0131】
<比較例3>
界面活性剤(1)の使用量を「50部」から「0.0部」に変更したこと、及び「ポリエーテル変性シリコーン(KF−6028、信越化学工業株式会社製)50部」を「ポリエーテル変性シリコーン(KF−945、信越化学工業株式会社製)100部」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、比較用の乳化体(H3)を得た。乳化体(H3)の体積平均粒子径(D50)は1μmであった。
【0132】
<比較例4>
界面活性剤(1)の使用量を「50部」から「0.0部」に変更したこと、及び「ポリエーテル変性シリコーン(KF−6028、信越化学工業株式会社製)50部」を「ポリエーテル変性シリコーン(X22−4515、信越化学工業株式会社製)100部」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、比較用の乳化体(H4)を得た。乳化体(H4)の体積平均粒子径(D50)は2μmであった。
【0133】
<比較例5>
「動粘度10000mm/sのシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、KF96−1万cs)100部」を「シリコーンコンパウンド{疎水性シリカ(日本シリカ株式会社製、Nipsil SS−50)10部と動粘度1000mm/sのシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、KF96−1000cs)90部とから構成されるコンパウンド}100部」に変更したこと、界面活性剤(1)の使用量を「50部」から「0.0部」に変更したこと、及びポリエーテル変性シリコーン(KF−6028、信越化学工業株式会社製)の使用量を「50部」から「100部」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、比較用の乳化体(H5){比較用の抑泡剤(H1)}を得た。乳化体(H5)の体積平均粒子径(D50)は2.0μmであった。
【0134】
実施例18〜37で得た乳化体(1)〜(20)及び比較例1〜5で得た乳化体(H1)〜(H5)について、乳化安定性、剪断安定性、経時・温度安定性及び抑泡性を評価し、これらの結果を表1及び2に示した。
【0135】
<乳化安定性>
測定試料{乳化体}を25℃及び50℃で30日間静置した後、この乳化体をイオン交換水で20倍に希釈して、体積平均粒子径(D50m)を測定し、次式から、乳化体の製造直後の体積平均粒子径(D50)と体積平均粒子経(D50m)との比を求め、これを乳化安定性とした。この値が1に近いほど乳化安定性は良好である。

(乳化安定性)=D50m/D50
【0136】
<乳化体の剪断安定性>
測定試料{乳化体}を卓上ホモミキサー{株式会社エスエムテー製ハイフレックスディスパーサーHG−92}(4000rpm)にて5分間攪拌した後、この乳化体の体積平均粒子径(D50s)を測定し、次式から乳化体の製造直後の体積平均粒子径(D50)と体積平均粒子経(D50s)との比を求め、これを剪断安定性とした。この値が1に近いほど剪断安定性は良好である。

(剪断安定性)=D50s/D50
【0137】
<経時・温度安定性>
イオン交換水75部、水酸化ナトリウム(純度99%以上)0.005部及び非イオン性界面活性剤{ナロアクティーCL−70、三洋化成工業株式会社製、「ナローアクティ」は同社の登録商標である。}25部を均一混合して、pH10の水性液体を調製した。
【0138】
鉱物油{コスモピュアスピンRC、コスモ石油ルブリカンツ株式会社製}60部、ポリエチレングリコールモノオレイン酸エステル{イオネットMO600、三洋化成工業株式会社製、「イオネット」は同社の登録商標である。}12部及びオレイン酸ジエタノールアミン塩24部を均一混合して油性液体を調製した。
【0139】
測定試料{乳化体}を水性液体で5%となるように希釈し、25℃及び50℃で30日間静置した後、この希釈液をイオン交換水で20倍に希釈して、体積平均粒子径(D50t)を測定し、次式から乳化体の製造直後の体積平均粒子径(D50)と体積平均粒子経(D50t)との比を求め、これを経時・温度安定性とした。この値が1に近いほど経時・温度安定性は良好である。

(経時・温度安定性)=D50t/D50
【0140】
「水性液体」を「油性液体」に変更したこと以外、上記と同様にして、経時・温度安定性を評価した。
【0141】
<抑泡性評価>
(1)水性液体の抑泡性試験液の調整
測定試料{乳化体}を水性液体で5%となるように希釈し、25℃及び50℃で30日間静置した後、この希釈液をイオン交換水で100倍に希釈して、抑泡性試験液を調製した。
【0142】
(2)油性液体の抑泡性試験液の調整
測定試料{乳化体}を油性液体で0.5%となるように希釈し、25℃及び50℃で30日間静置した後、この希釈液をイオン交換水で20倍に希釈して、抑泡性試験液を調製した。
【0143】
(3)抑泡性試験
抑泡性試験装置(図1)の円筒型のガラス製透明容器(10、高さ30cm、直径10cm)に25℃に温度調整した抑泡性試験液500mlを入れた後、ポンプ(20)でガラス製透明容器の底部(12)から試験液を循環しながら、ガラス製透明容器の上部{試験液出口(40)の高さはガラス製容器の開口部(11)から2cm}から落下させることにより試験液を発泡させ、15分後の泡面の高さ(cm)を目盛り(30)から読み取った。泡面の高さが小さいほど抑泡性が良好である。なお、水性液体では試験液を800ml/分で循環させ、油性液体では試験液を1500ml/分で循環させた。
また、「抑泡性試験液」を「水性液体」又は「油性液体」に変更したこと以外、上記と同様にして、ブランクについての泡面の高さを読み取った。
【0144】
【表1】



【0145】
【表2】





表中、OVは、最大高さの目盛り(250cm)を超えたことを意味する。
【0146】
表1の結果から明らかなように、実施例18〜37で得た乳化体(1)〜(20)と、比較例1〜5で得た乳化体(H1)〜(H5)との間に、乳化安定性の差異は大きくはなかった。しかし、実施例18〜37で得た乳化体(1)〜(20)はいずれも剪断安定性及び経時・温度安定性に優れていたのに対し、比較例1〜5で得た乳化体(H1)〜(H5)は剪断安定性又は経時・温度安定性に劣るものであった。また、本発明の乳化体(1)〜(20)は、比較用の乳化体(H1)〜(H5)に比較して、抑泡性に優れていた。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】実施例において抑泡性試験を行うための抑泡性試験装置を模式的に示した斜視図である。
【符号の説明】
【0148】
10 ガラス製透明容器
11 ガラス製透明容器の開口部
12 ガラス製透明容器の底部
20 ポンプ
30 目盛り
40 試験液出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性水素含有変性シリコーン(a1)と架橋剤(a2)との架橋反応体(A)を含有してなり、架橋反応体(A)の粘度(25℃)が500〜100,000,000mPa・sであることを特徴とする界面活性剤。
【請求項2】
活性水素含有変性シリコーン(a1)が水酸基、アミノ基、カルボキシ基及び/又はメルカプト基を含有する変性シリコーンである請求項1に記載の界面活性剤。
【請求項3】
活性水素含有変性シリコーン(a1)がポリエーテル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン又はメルカプト変性シリコーンである請求項1又は2に記載の界面活性剤。
【請求項4】
架橋剤(a2)がエポキシ基、イソシアナト基及びビニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する架橋剤である請求項1〜3のいずれかに記載の界面活性剤。
【請求項5】
架橋剤(a2)が、エポキシ基含有ポリシロキサン、エポキシ基含有芳香族化合物、エポキシ基含有複素環化合物、エポキシ基含有脂環式化合物、エポキシ基含有脂肪族化合物、イソシアナト基含有脂肪族化合物、イソシアナト基含有芳香族化合物、イソシアナト基含有脂環式化合物、ビニル基含有ポリシロキサン、ビニル基含有芳香族化合物、ビニル基含有複素環化合物、ビニル基含有脂環式化合物又はビニル基含有脂肪族化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の界面活性剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の界面活性剤とシリコーンとを含有してなるシリコーン組成物。
【請求項7】
請求項6に記載のシリコーン組成物を含有してなる乳化体。
【請求項8】
請求項7に記載の乳化体を含有してなる抑泡剤。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−262080(P2009−262080A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116345(P2008−116345)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】