説明

留め具

【課題】 フランジ部に軟質材を安定して一体成形できると共に、フランジ部の柔軟性を十分に確保して取付孔にガタ付きなくしっかりと固定でき、かつ、取付孔に対するシール性を維持することができる、留め具を提供する。
【解決手段】 取付孔3の表側に配置されるフランジ部21と、フランジ部21の裏面側に一体成形されると共に、取付孔3の表側に当接する軟質材35と、フランジ部21の裏面側から延出され、取付孔3の裏側周縁に係合する脚部30とを備え、フランジ部21は、脚部30の外周に位置する薄肉部24と、この薄肉部24の外周に位置する厚肉部25とを有し、前記軟質材35は、フランジ部21の厚肉部25の裏面側にあって、脚部30の外周から離れた位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のパネル等に形成された取付孔に挿入されて固定される留め具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のパネル等の被取付部材に所定の取付部材を取付ける際には、取付孔の表側に係合するフランジ部及び取付孔の裏側に係合する脚部を備える留め具が用いられている。また、取付部材がリヤコンビランプ等の電気部品などの場合、取付孔からの水分の侵入を防止するために、フランジ部の裏側に弾性エラストマー等の軟質材を配置し、これを取付孔の表側周縁に密接させて、取付孔のシール性を高めることが行われている。
【0003】
軟質材を備えた留め具として下記特許文献1には、中央にスクリュー挿通孔が形成されると共に、一定肉厚で円板状に広がるフランジ体と、同フランジ体の裏面側外周に二色成形で一体形成された円形リング体(「軟質材」に相当)と、前記フランジ体の裏面側から立設した有底筒状の挿入体(「脚部」に相当)と、同挿入体の外周に形成された複数の山型突部とを有するスクリューグロメットが開示されている。
【0004】
そして、スクリューグロメットの挿入体を取付孔に挿入して、フランジ体裏側の円形リング体を取付孔の表側周縁に当接させると共に、前記スクリュー挿通孔を通して、スクリューを挿入体内に挿入することにより、挿入体が押し広げられて、その外周に設けられた山型突部が取付孔の裏側に係合して、スクリューグロメットが取付孔に取付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平4−35612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のスクリューグロメットにおけるフランジ体は、一定肉厚で形成されていて比較的剛性が高いので、円形リング体が安定して成形される。一方、一定肉厚で形成されたフランジ体は柔軟性に乏しく、取付孔が形成された部材の厚さにバラツキがある場合や、取付孔の表側周縁に凹凸や傾き等がある場合に、十分に適応することができず、グロメットがガタ付いて取付孔にしっかりと固定されなかったり、円形リング体と取付孔表面との間に隙間が生じてシール性が低下したりすることがあった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、フランジ部に軟質材を安定して一体成形できると共に、フランジ部の柔軟性を十分に確保して、取付孔にガタ付きなくしっかりと固定でき、かつ、取付孔に対するシール性を維持することができる、留め具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、取付孔の表側に配置されるフランジ部と、同フランジ部の裏面側に一体成形されると共に、前記取付孔の表側周縁に当接する軟質材と、前記フランジ部の裏面側から延出され、前記取付孔の裏側周縁に係合する脚部とを備え、前記フランジ部は、前記脚部の外周に位置する薄肉部と、この薄肉部の外周に位置する厚肉部とを有し、前記軟質材は、前記フランジ部の厚肉部の裏面側にあって、前記脚部の外周から離れた位置に設けられていることを特徴とする留め具を提供する。
【0009】
本発明においては、前記軟質材は、前記厚肉部の外周寄りの部分に配置され、かつ、同厚肉部よりも幅狭に形成されていることが好ましい。
【0010】
本発明においては、所定部材に係合する頭部及び該頭部から延出する軸部を有するピンを更に備え、前記フランジ部は、前記ピンの軸部を挿通させる開口部を有し、前記脚部は、前記フランジ部の開口部に連通すると共に、前記ピンの軸部を収容するピン収容空間と、前記軸部に係合して前記ピンを抜け止め保持する係合部とを有していることが好ましい。
【0011】
本発明においては、前記ピンの頭部は、前記フランジ部の表面側に当接するピンフランジ部を有していることが好ましい。
【0012】
本発明においては、前記ピンフランジ部の外径は、前記フランジ部の薄肉部の外径よりも大きく、かつ、前記軟質材の内径よりも小さく形成されていることが好ましい。
【0013】
本発明においては、前記脚部は、前記ピン収容空間を有する有底筒状をなしていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、取付孔に対して脚部を挿入することにより、取付孔の表側周縁に軟質材が当接すると共に、取付孔の裏側周縁に脚部が係合して、取付孔にクリップを取付けることができる。
【0015】
そして、フランジ部は、脚部外周に設けられた薄肉部によって柔軟性が付与され、厚肉部の裏面側に設けられた軟質材と相まって、取付孔が形成された部材の厚さにバラツキがあっても、その厚さのバラツキを吸収して、取付孔にガタ付きなく留め具を取付けることができ、また、取付孔の表側周縁に凹凸や傾き等があっても、それらに適合するように変形して密接するため、取付孔の表面に対するシール性を向上させることができる。
【0016】
また、軟質材を、フランジ部の厚肉部に一体成形する際、厚肉部の剛性によって軟質材を安定して保持することができ、フランジ部を成形した後に続いて軟質材を成形する場合、厚肉部の温度低下がゆっくりなされるので、次に射出成形する軟質材を接合しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の留め具の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同留め具を構成するグロメットを、裏面側から見た場合の斜視図である。
【図3】同グロメットの断面図である。
【図4】同グロメットを取付孔に取付けた状態の断面図である。
【図5】本発明の留め具を用いて、被取付部材に取付部材を取付けた状態の説明図である。
【図6】グロメットを、板厚にバラツキがある被取付部材の取付孔に取付けた状態の断面図である
【図7】本発明の留め具の他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1〜6を参照して、本発明の留め具の一実施形態について説明する。
【0019】
図5に示すように、この留め具10は、例えば、リヤコンビランプ等の電気部品や、ガーニッシュやトリムボード等のカバー部材などの取付部材5を、自動車のパネル等の被取付部材1に取付ける際に用いられるもので、特に水密構造を必要とされるリヤコンビランプ等をパネルに取付ける際に好適に用いることができる。
【0020】
図1に示すように、この実施形態における留め具10は、前記被取付部材1に形成された取付孔3に挿入固定されるグロメット20を有しており、更に、このグロメット20に抜け止め保持されると共に、前記取付部材5に係合固定されるピン40を備えている。
【0021】
まず、グロメット20について説明する。このグロメット20は、前記被取付部材1に形成された取付孔3の表側に配置されるフランジ部21と、同フランジ部21の裏面側に一体成形されると共に、取付孔3の表側に当接する軟質材35と、前記フランジ部21の裏面側から延出され、取付孔3の裏側に係合する脚部30とを有している。
【0022】
図1に示すように、前記フランジ部21は、所定方向に長く伸びると共に、その長さ方向両端が円弧状に丸みを帯びた長板状をなしている。このフランジ部21の中央には、長さ方向両端が円弧形の長孔状をなすと共に、後述するピン40の軸部43を挿通させる開口部22が形成されている。
【0023】
図3を併せて参照すると、フランジ部21には、長孔状の開口部22の裏側周縁から脚部30が延設されており、同開口部22の表側周縁からフランジ部外延に向けて所定深さの凹部23が広がっている。この凹部23は、開口部22に相似する両端円弧形の長溝状をなし、前記脚部30の外径よりも大きな内径で形成されている。この凹部23によって、フランジ部21の開口部内周から脚部外周の所定範囲が肉薄とされ(図3参照)、フランジ部21に、脚部30の外周に位置する薄肉部24と、この薄肉部24の外周に位置する厚肉部25とが形成されるようになっている。このようにフランジ部21に薄肉部24及び厚肉部25を設けることにより、フランジ部21に適度な柔軟性と剛性とが付与されるようになっている。また、厚肉部25の表側周縁には、厚肉部25を外方に向けて次第に肉薄とするテーパ面26が形成されている。
【0024】
なお、この実施形態では、フランジ部21の表面側に凹部23を設けることにより薄肉部24及び厚肉部25を形成したが、この態様に限定されず、例えば、脚部30外周を囲む環状の凹溝をフランジ部21の裏面側や表面側に設けて、薄肉部24及び厚肉部25を形成してもよい。
【0025】
一方、脚部30は、長孔状の開口部22の裏側周縁から延出する周壁及びその先端に連結される底壁からなる有底筒状に形成されており、その内部は、前記開口部22に連通すると共に、ピン40の軸部43を収容するピン収容空間31をなしている(図5参照)。
【0026】
また、脚部30の周壁の長辺側の内面には、長辺方向に沿って伸びる突条をなす一対の係合部32,32が対向して突設されており(図3参照)、これらがピン40の後述する係合凹部43aに嵌合して、ピン40をスライド可能に抜け止め保持するようになっている。一方、脚部30の周壁の長辺側の外面には、一対の係合爪33,33がそれぞれ突設されており、これらが前記被取付部材1の取付孔3の裏側周縁に係合するようになっている(図5参照)。
【0027】
フランジ部21の裏面側に配置される軟質材35は、この実施形態の場合、フランジ部21の外周形状に対応して、所定方向に長く伸びると共に、長さ方向両端が円弧形の長形リング状をなしている。
【0028】
この軟質材35は、フランジ部21の厚肉部25の裏面側にあって、前記脚部30の外周から離れた位置に設けられている。その結果、留め具10が取付孔3に挿入固定され、軟質材35が取付孔3の表側周縁に当接したときに、図4に示すように、脚部30と軟質材35との間に所定隙間Sが形成され、フランジ部21が撓み変形しやすくなっている。
【0029】
更に、この実施形態における軟質材35は、前記厚肉部25の外周寄りの部分に配置されており、かつ、図3に示すように、その幅W1が、前記フランジ部21の厚肉部25の幅W2よりも狭く形成されている。
【0030】
そして、軟質材35は、ウレタンゴムや、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のエラストマーなどからなり、前記フランジ部21の裏面側に、インサート成形や二色成形等により一体成形されるようになっている。なお、エラストマーとしては、合成樹脂からなるフランジ部21に対して接着性を有する材質であることが好ましい。
【0031】
次に、上記グロメット20に抜け止め保持されるピン40について説明する。図1及び図5を参照すると、このピン40は、リヤコンビランプ等の取付部材5に形成された枠状の取付台座7に係合する頭部41と、この頭部41の裏側から延出する軸部43とを有している。
【0032】
前記頭部41は、前記取付台座7の底部に形成されたスロット7aに挿入される首部41aと、同首部41aの上端に連結され、前記スロット7aの表側周縁に係合する円板状の取付フランジ部41bと、前記首部41aの下端に連結され、前記スロット7aの裏側周縁に係合すると共に、前記グロメット20のフランジ部21の表面側に当接する円板状のピンフランジ部41cとを有している。図5に示すように、ピンフランジ部41cの外径D1は、前記フランジ部21の薄肉部24の外径D2よりも大きく、かつ、前記軟質材35の内径D3よりも小さく形成されている。
【0033】
前記軸部43は、前記ピンフランジ部41cの裏側中央から所定長さで円柱状に延出しており、その軸方向途中に所定形状にくびれた係合凹部43aが形成されている。この係合凹部43aに、前記グロメット20の突条をなした一対の係合部32,32がそれぞれ嵌合して、下方の拡径部43bが係合部32,32に係合し、グロメット20の脚部30内にピン40が抜け止め保持される。なお、グロメット20の脚部30は、フランジ部21に形成された長孔状の開口部22に対応して長箱状をなしているので、円柱状の軸部43がスライド可能に保持されるようになっており、リヤコンビランプ等の取付部材5の位置を調整可能となっている。
【0034】
次に上記構成からなる留め具10の使用方法について説明する。
【0035】
まず、リヤコンビランプ等の取付部材5に形成された取付台座7のスロット7aに、ピン40の首部41aを挿入して、スロット7aの表裏周縁に取付フランジ部41b及びピンフランジ部41cを係合させて、取付台座7にピン40の頭部41を取付ける。
【0036】
また、パネル等の被取付部材1に形成された取付孔3にもグロメット20を取付ける。すなわち、両端円弧形の長孔状をなした取付孔3に、その表側からグロメット20の脚部30を挿入することにより、取付孔3の表側周縁に、フランジ部21の裏面側に配置された軟質材35が弾性的に当接すると共に、取付孔3の裏側周縁に、脚部30の一対の係合爪33,33の各係合段部33a,33aがそれぞれ係合して、取付孔3にグロメット20が取付けられるようになっている(図4参照)。
【0037】
このとき、被取付部材1の板厚T(図4参照)が、軟質材35の下端と、脚部30の係合爪33の係合段部33aの係合部との距離L(図3参照)よりも大きい場合には、フランジ部21が変形して板厚吸収がなされるようになっている。
【0038】
そして、この留め具10におけるフランジ部21は、薄肉部24により柔軟性が付与されているので、被取付部材1の板厚Tが厚い場合は、軟質材35が押し潰されて縮み変形すると共に、フランジ部21の周縁部が取付孔3表側から離れる方向に反り返るようにスムーズに撓み変形し、その結果、被取付部材1の板厚変化に柔軟に対応して、取付孔3にガタ付きなく、しっかりとグロメット20を取付けることができる。
【0039】
また、図6に示すように、取付孔3が形成された被取付部材1の板厚Tにバラツキがあったり、取付孔3の周縁に凹凸があったりしても、厚肉部25裏側の軟質材35と相まって、柔軟性を有するフランジ部21が撓み変形することによって、厚さのバラツキや凹凸を吸収して、取付孔3にガタ付きなくグロメット20を取付けることができる。
【0040】
更に、上記のような被取付部材1の板厚変動や、板厚バラツキ、更には、取付孔3の表側周縁に凹凸や傾き等があっても、それらに適合するようにフランジ部21が撓み変形して、フランジ部21裏側の軟質材35が取付孔3の表側周縁に確実に密接するようになっているので、取付孔3の表面に対するシール性を向上させることができる。
【0041】
また、この実施形態においては、軟質材35は、フランジ部21の厚肉部25の外周寄りの部分に配置され、かつ、その幅W1が、前記フランジ部21の厚肉部25の幅W2よりも狭く形成されている(図3参照)。そのため、図4に示すように、脚部30が取付孔3の裏側に係合すると共に軟質材35が取付孔3の表側に当接して、フランジ部21が軟質材35を支点として撓むときに、その支点がフランジ部21の外周側になるので、脚部30外周と軟質材35との距離をより長く確保して、フランジ部21をより撓み変形させやすくすることできる。
【0042】
更に、この実施形態においては、脚部30は、ピン収容空間31を有する有底筒状をなしているので、水分が脚部30の外側から内側に入らないようにすることができ、上述したようなリヤコンビランプ等の電気部品を、取付孔3に固定するときに好適となる。
【0043】
また、この留め具10においては、軟質材35はフランジ部21の厚肉部25の裏面側にあって、脚部30の外周から離れた位置に設けられている。したがって、フランジ部21の厚肉部25に軟質材35をインサート成形等によって一体成形する際に、厚肉部25の剛性によって軟質材35を安定して保持することができる。また、二色成形等によってフランジ部21を成形した後に続いて軟質材35を成形する場合、厚肉部25の温度低下がゆっくりなされるので、次に射出成形する軟質材35を接合しやすくすることができる。
【0044】
上記のようにして、被取付部材1の取付孔3にグロメット20を取付けた後、取付部材5に取付けられたピン40の軸部43を、グロメット20の開口部22を通して脚部30内のピン収容空間31に挿入していく。すると、脚部30内の突条の係合部32,32が、ピン40の係合凹部43aにそれぞれ嵌合すると共に、ピン40のピンフランジ部41cがフランジ部21表面側の凹部23周縁に当接して、グロメット20にピン40が抜け止め保持される。その結果、図5に示すように、留め具10を介して被取付部材1に取付部材5を取付けることができる。
【0045】
このように、この実施形態においては、留め具10として、グロメット20にピン40を更に追加したことにより、ピン40の頭部41をリヤコンビランプ等の取付部材5に係合させた状態で、このピン40の軸部43を脚部30に挿入してピン収容空間31に収容すると共に、脚部30の係合部32に軸部43を係合させて抜け止め保持することで、取付孔3が形成された被取付部材1に、ピン40を介して取付部材5を取付けることができる。この場合、ピン40の挿入姿勢により脚部30が傾いたとしても、フランジ部21が撓みやすくなっているため、軟質材35が被取付部材1の表面から浮き上がることを防止して、そのシール性を維持することができる。
【0046】
また、この実施形態においては、ピン40の頭部41は、グロメット20のフランジ部21の表側に当接するピンフランジ部41cを有している。そのため、図5に示すように、フランジ部21をピンフランジ部41cで押圧できるので、グロメット20を被取付部材1に対して組付けた段階において、係合爪33の係合が不十分で半掛りになっている場合でも、グロメット20にピン40を挿入して強く押込むことにより、軟質材35を圧縮させると共にフランジ部を撓ませて、グロメット20の係合爪33の係合段部33aを確実に、取付孔3の裏側周縁に係合させることができる。
【0047】
更に、この実施形態においては、図5に示すように、ピン40のピンフランジ部41cの外径D1は、フランジ部21の薄肉部24の外径D2よりも大きくかつ軟質材35の内径D3よりも小さく形成されている。その結果、ピン40を脚部30に抜け止め保持すると、ピン40のピンフランジ部41cが、フランジ部21の厚肉部25の表面側に当接するので、軟質材35をより効果的に押圧できる。また、ピン40の押圧力が軟質材35を支点として、厚肉部25を被取付部材1側へ傾けるように作用するので、フランジ部21を効果的に撓ませて、係合爪33の半掛り状態をより確実に修正できる。
【0048】
図7には、本発明の留め具の他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0049】
この実施形態の留め具10Aは、前記実施形態の留め具10と比べて、脚部の構造が異なっている。すなわち、この留め具10Aの脚部30Aは、円板状のフランジ部21の裏面中央から延出した柱状のステム部36と、同ステム部36の先端から前記フランジ部21に向かって碇足状に広がり、取付孔3の裏側周縁に係合する一対の係合片37,37とから構成されている。また、フランジ部21の表面中央には、円形状の凹部23が形成されており、これによりフランジ部21に薄肉部24及び厚肉部25が形成されている。
【0050】
そして、この実施形態における留め具10Aによっても、薄肉部24及び厚肉部25を設けたことにより、フランジ部21に適度な柔軟性と剛性とを付与することができるので、板厚変動に対応して取付孔3にガタ付きなく取付けたり、取付孔3のシール性を向上させたり等といった前記実施形態の留め具10と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0051】
3 取付孔
10,10A 留め具
21 フランジ部
22 開口部
24 薄肉部
25 厚肉部
30,30A 脚部
31 ピン収容空間
32,32 係合部
35 軟質材
40 ピン
41 頭部
41c ピンフランジ部
43 軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付孔の表側に配置されるフランジ部と、同フランジ部の裏面側に一体成形されると共に、前記取付孔の表側周縁に当接する軟質材と、前記フランジ部の裏面側から延出され、前記取付孔の裏側周縁に係合する脚部とを備え、
前記フランジ部は、前記脚部の外周に位置する薄肉部と、この薄肉部の外周に位置する厚肉部とを有し、
前記軟質材は、前記フランジ部の厚肉部の裏面側にあって、前記脚部の外周から離れた位置に設けられていることを特徴とする留め具。
【請求項2】
前記軟質材は、前記厚肉部の外周寄りの部分に配置され、かつ、同厚肉部よりも幅狭に形成されている請求項1記載の留め具。
【請求項3】
所定部材に係合する頭部及び該頭部から延出する軸部を有するピンを更に備え、
前記フランジ部は、前記ピンの軸部を挿通させる開口部を有し、
前記脚部は、前記フランジ部の開口部に連通すると共に、前記ピンの軸部を収容するピン収容空間と、前記軸部に係合して前記ピンを抜け止め保持する係合部とを有している請求項1又は2記載の留め具。
【請求項4】
前記ピンの頭部は、前記フランジ部の表面側に当接するピンフランジ部を有している請求項3記載の留め具。
【請求項5】
前記ピンフランジ部の外径は、前記フランジ部の薄肉部の外径よりも大きく、かつ、前記軟質材の内径よりも小さく形成されている請求項4記載の留め具。
【請求項6】
前記脚部は、前記ピン収容空間を有する有底筒状をなしている請求項3〜5のいずれか1つに記載の留め具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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