説明

畝成形機

【課題】 ロータリ耕耘装置の後方に、該ロータリ耕耘装置で耕耘された土で畝を成形する畝成形具を備えると共に、走行体の後部に装着されて圃場を移動しながら該圃場に畝を成形する畝成形機において、既成形畝に一部オーバーラップさせながら該既成形畝に隣接する畝を成形する際に、該既成形畝の、崩された側の上面及び側面を修復することができる畝成形機を提供する。
【解決手段】 既成形畝R2に一部オーバーラップさせながら該既成形畝R2に隣接する畝R1を成形する際に、前記既成形畝R2の、崩された側の上面Ra及び側面Rbを修復する補助畝成形具19を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の走行体の後方に装着されて圃場を移動しながら該圃場に畝を成形する畝成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリ耕耘装置の後方に、該ロータリ耕耘装置で耕耘された土で畝を成形する畝成形具を備えると共に、トラクタの後方に装着されて圃場を移動しながら該圃場に畝を成形する畝成形機がある(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平10−84707号公報
【特許文献2】実公平1−42967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の畝成形機によって圃場に畝を成形する場合、図10(a)に示すように、圃場の端部に、一条分の畝を成形する余地がない場合において、圃場の一番端の畝R1(区画された圃場の最終列の畝)を成形する際に、該最終列の畝R1に隣接する既成形畝R2に一部オーバーラップさせて最終列の畝R1を成形することが行われる。
また、圃場の端が湾曲している場合においても、図10(b)に示すように、圃場の最終列の畝R1を成形する際に、該最終列の畝R1を、これに隣接する既成形畝R2に一部オーバーラップさせて成形することが行われる。
【0004】
これらの場合、圃場の最終列の畝R1に隣接する既成形畝R2の一部を、トラクタの車輪やロータリ耕耘装置で崩すこととなると共に、該最終列の畝R1に隣接する既成形畝R2の上面Raに、トラクタの車輪やロータリ耕耘装置の伝動ケース等によって左右方向外方に押しやられた土で盛り上がった部分(図10(a),(b)において斜線部分Wで示す部分、平らでない部分)ができ、該圃場の最終列の畝R1に隣接する畝R2の上面Raの苗植付け面積が少なくなるという問題がある。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、既成形畝に一部オーバーラップさせながら該既成形畝に隣接する畝を成形する際に、該既成形畝の、崩された側の上面及び側面を修復することができる畝成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、ロータリ耕耘装置の後方に、該ロータリ耕耘装置で耕耘された土で畝を成形する畝成形具を備えると共に、走行体の後部に装着されて圃場を移動しながら該圃場に畝を成形する畝成形機において、
既成形畝に一部オーバーラップさせながら該既成形畝に隣接する畝を成形する際に、前記既成形畝の、崩された側の上面及び側面を修復する補助畝成形具を設けたことを特徴とする。
また、補助畝成形具は、畝の上面を成形する上面成形具と、畝の側面を形成する側面成形具とを備え、上面成形具は側面成形具の前部に土を送るべく、前傾状で且つ左右方向内方に行くに従って後方に移行するように傾斜しているのがよい。
【0006】
また、上面成形具は、畝の上面に接地して該上面を均す均し板を備え、この均し板はゴム板で形成されていると共に左右方向外方に行くに従って弾性力が強くなるように形成されているのがよい。
また、側面成形具の前部壁は、左右方向内方に行くに従って前方に移行する傾斜状に形成されていると共に側面成形具の後部壁にて畝の側面を形成するよう構成されているのがよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、既成形畝に一部オーバーラップさせながら該既成形畝に隣接する畝を成形する際に、前記既成形畝の、崩された側の上面及び側面を修復することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1、2において、1はトラクタ等の走行体の後部に装着されて圃場を移動しながら畝Rを成形する畝成形機である。
なお、以下の説明において、左右方向内方とは畝成形機1の左右方向の端部側から左右方向中央側に向かう方向をいい、左右方向外方とは畝成形機1の左右方向の中央側から左右方向の端部側に向かう方向をいう。
この畝成形機1は、前部のロータリ耕耘装置2と、後部の畝成形装置3とを備えている。
【0009】
ロータリ耕耘装置2は、三点リンク機構等を介してトラクタに昇降自在に装着されるロータリ機枠4と、このロータリ機枠4の下部に設けられたロータリ耕耘部5と、このロータリ耕耘部5の上方を覆う上部カバー6と、ロータリ耕耘部5の後部の左右各側面を覆う左右の側部カバー7とを備えている。
ロータリ機枠4は、本実施の形態では、図6に示すように、左右方向中央のギヤケース8からサポートアーム9を左右に突設し、左側のサポートアーム9の端部に伝動ケース10の上端側を連結すると共に右側のサポートアーム9の端部にサイドフレーム11の上部側を連結して背面視門型状に形成されている。
【0010】
ギヤケース8の上部には、前後二股状に形成されたトップマスト12が固定され、このトップマスト12の前部の上部側には、三点リンク機構のトップリンクの後端側が連結される(又は三点リンク機構の後端側にヒッチフレームが設けられる場合は、該ヒッチフレーム上部のフック部分に係合する)トップリンクピン13が設けられている。
また、左右の各サポートアーム9には、連結ブラケット14が固定され、この連結ブラケット14の前部には、三点リンク機構の左右のロワーリンクの後端側が連結される(又は三点リンク機構の後端側にヒッチフレームが設けられる場合は、該ヒッチフレーム下部の左右両側の連結具が連結される)ロワーリンクピン15が設けられている。
【0011】
一般的に、トラクタの車体は、エンジン、クラッチハウジング、ミッションケースを連結してなり、このトラクタ車体の後部上には、単動型の油圧シリンダからなる作業機昇降用の油圧装置が設けられ、この油圧装置には、左右のリフトアームが上下揺動自在に設けられ、左右の各リフトアームは三点リンク機構の左右の各ロワーリンクにリフトロッドを介して連動連結され、油圧装置に圧油を供給することによりリフトアームが上方に揺動してロワーリンクが上方揺動し、これによりロータリ耕耘装置2(畝成形機1)が持ち上げられ、油圧装置から圧油がドレンされることにより、自重によってロータリ耕耘装置2(畝成形機1)が下降するよう構成されている。
【0012】
ロータリ耕耘部5は、図2、図6に示すように、伝動ケース10とサイドフレーム11との下部間に左右方向の軸心回りに回動自在に支架された爪軸16と、この爪軸16に取り付けられた多数の耕耘爪17とから構成されている。
前記爪軸16には、トラクタのPTO軸から、伝動軸→PIC軸20→ギヤケース8内のベベルギヤ伝動機構→左側サポートアーム9内の伝動軸→伝動ケース10内の動力伝達機構を経て回転動力が伝達されて該爪軸16が、図2の矢視A方向に回動して耕起した土を後方に放擲して砕土するよう構成されている。
【0013】
また、ロータリ耕耘部5は耕起した土を左右方向中央側に寄せる爪配列とされている。
上部カバー6は、ロータリ耕耘部5の上方に、伝動ケース10とサイドフレーム11とにわたるように設けられ、ロータリ機枠4に固定されている。
左右の各側部カバー7は、ロータリ耕耘部5の側方に配置された上側カバー7Aと、下側カバー7Bとから構成されている。
図1〜図5、図7に示すように、畝成形装置3は、本畝成形具18と補助畝成形具19とを備えている。
【0014】
本畝成形具18はロータリ耕耘部5の後方に配置されていて該ロータリ耕耘部5によって耕耘された耕土によって圃場に畝Rを形成するものである。
補助畝成形具19は、本畝成形具18の側方に配置され、既成形畝R2に一部オーバーラップさせながら該既成形畝R2に隣接する畝R1を成形する際に、該既成形畝R2に機械又は人手で苗の植え付けができるように、該既成形畝R2の、崩れた側の上面Ra及び側面Rbを修復するものである。
したがって、既成形畝R2に一部オーバーラップさせないで該既成形畝R2に隣接する畝R1を形成するときは、補助畝成形具19は取り外して本畝成形具18のみで畝Rを成形し、既成形畝R2に一部オーバーラップさせながら該既成形畝R2に隣接する畝R1を成形する際に、補助畝成形具19を取り付ける。
【0015】
本実施形態では、本畝成形具18は、前部側に耕土を左右方向中央側に移動案内する左右一対の案内板21と、畝Rの左右側面Rbを成形する左右一対の側面板22と、畝Rの上面Raを成形する上面板23とを備えており、左右の側面板22は左右方向内方に行くに従って上方に移行する傾斜状に設けられており、左右の側面板22と上面板23とで耕土を押し固めることにより断面台形状の畝Rを形成する。
なお、本畝成形具18(及び補助畝成形具19)は、他の断面形状の畝を形成するものであってもよい。
【0016】
左右の側面板22は左右方向で同じ側にある案内板21に固定されている。
左右の案内板21の上端側には、左右の案内板21にわたる支軸24が設けられ、この支軸24に上面板23の前端部が左右方向の軸心回りに回動自在に枢支されていて、該上面板23の後部側が上下揺動自在とされている。
一方、本畝成形具18の後方で且つ側面板22及び上面板23の上方側には、該本畝成形具18の左右方向にわたる各パイプからなる横枠材25が配置され、この横枠材25に連結フレーム26を介して左右の案内板21が連結されている。
【0017】
左右の各連結フレーム26は横枠材25から下方に延びる縦枠材26Aと、この縦枠材26Aから前方に延びて案内板21背面に固定された前後方向枠材26Bとから主構成されている。
横枠材25には後下方に延設された左右一対の後支持ブラケット27が設けられ、各後支持ブラケット27には、上面板23の後部側を下方に弾圧する弾下装置28が設けられ、該弾下装置28によって畝Rの上面Raに適度な押し付け力を付与して畝Rを締め付けている。
【0018】
また、横枠材25には、前方に延設された左右一対の前支持ブラケット29が設けられ、各前支持ブラケット29の前部にはボス部30が設けられ、各ボス部30は、左右の各サポートアーム9から後方に延設された左右のリンク31の後端側のボス部32に上下方向の軸心回りに回動自在に枢支連結されている。
左右の各リンク31の前端側のボス部33は、サポートアーム9に固定された枢支プレート34に上下方向の軸心回りに回動自在に枢支連結されている。
したがって、左右のリンク31を前部の枢支部分を中心として左右に揺動させることにより、本畝成形具18が左右に移動可能とされている。
【0019】
また、一方のリンク31には油圧シリンダ36のシリンダ本体のボトム側が枢支連結され、他方のリンク31には油圧シリンダ36のピストンロッドの先端側が枢支連結されており、この油圧シリンダ36は、一方のリンク31から他方のリンク31にかけて左右方向に対して斜めに掛け渡されている。
そして、この油圧シリンダ36を伸縮させることにより、本畝成形具18が、その左右方向の中央がロータリ機枠4の左右方向の中央とほぼ一致する中央位置から左右一方又は他方にオフセット可能とされている。
【0020】
また、左右の案内板21は、左右方向で同じ側にある側部カバー7の後端側の内方側に位置しており、本畝成形具18は、左右の側部カバー7間で左右移動可能とされている。
左右の各案内板21の下端側には、該下端から後方に延出されたゲージ体37が設けられている。
このゲージ体37は、前端が案内板21下端に設けられた枢支部38に左右方向の軸心を有する枢軸39を介して回動自在に枢支連結され、後部側が上下揺動可能とされ、高さ調整装置40によって上下揺動操作される。
【0021】
畝成形作業を行う際には、一般的に、トラクタに設けられた作業機昇降用の油圧装置は、該油圧装置から圧油がドレンされる状態とされていて、畝成形機1は自重で下降する状態であり、前記ゲージ体37が接地することにより、該ゲージ体37によって畝成形機1の機体荷重が支持されて、耕耘深さと本畝成形具18の高さが決定され、ゲージ体37を上下に揺動調整することにより、耕耘深さと本畝成形具18の高さが変更可能とされている。
前記ゲージ体37は、図4に示すように、厚板材によって前後方向に長い平面視略矩形状に形成されており、左右方向の内側縁37aは側面板22の下縁に近接して隣接し、左右方向の外側縁37bは案内板21の左右方向外端の近傍に位置している。
【0022】
したがって、畝Rを形成する際に、このゲージ体37によって畝溝B(畝Rと該畝Rに隣接する畝Rとの間の溝)が形成される。
また、ゲージ体37は案内板21に取り付けられているので、本畝成形具18と一緒に左右に移動する。
本畝成形具18の側面板22の左右間隔は、上方に突出する畝Rを形成するためにロータリ耕耘部5の左右幅よりも狭幅となり、本畝成形具18の側面板22の左右両側が畝溝Bとなるが、本畝成形具18がロータリ機枠4に対して固定状であると、畝溝Bの左右幅が広くなり、圃場の畝成形可能面積が狭くなる。
【0023】
これに対して、本実施の形態では、本畝成形具18はゲージ体37と共に左右移動可能であるので、既成形畝R2に隣接する畝R1を形成する際において、本畝成形具18を既成形畝R2側にオフセットすることにより、ゲージ体37を既成形畝R2の形成時にできた畝溝Bにオーバーラップさせることができ、これによって畝溝Bを狭くすることができ、圃場の畝成形可能面積を広くすることができる。
また、ゲージ体37が圃場を転動する車輪によって形成されていると、畝溝Bに車輪の轍が形成されるが、ゲージ体37を板材によって形成することにより、畝溝Bの底面が平坦状の畝溝Bを形成することができる。
【0024】
案内板21の左右方向外端側には、側板41が上下方向にわたって設けられ、この側板41は、案内板21に固着された取付板42にボルトによって着脱自在に取り付けられている。
この側板41はゲージ体37の前部の左右方向外側方に位置していて、ゲージ体37の枢支部分に土が入ってくるのを防止している。
なお、側板41を取り外すことにより、ゲージ体37を枢支する枢軸39が左右方向外方側から取付け・取外し可能とされている。
【0025】
また、ゲージ体37の後部側には、ゲージ体37上に入ってきた土を左右方向外方に排除する土排除板43が設けられている。
この土排除板43の基部43aは、ゲージ体37の上面後部側に固着された取付板44に取付軸45を介して上下方向の軸心回りに回動自在に取り付けられていると共に、土排除板43の基部43aを貫通して取付板44に螺合された取付ボルト46によって固定されている。
また、土排除板43の基部43aに設けられた、前記取付ボルト46が挿通するボルト挿通孔47は、取付軸45を中心とする円弧状に形成されていて、土排除板43の取付角度が調整可能とされている。
【0026】
図1、図2、図8及び図9に示すように、前記高さ調整装置40は、本畝成形具18の上方側において左右方向に配置されていて左右のゲージ体37にわたる長さに形成された昇降部材48と、この昇降部材48をロータリ機枠4に対して昇降自在に支持する左右一対の支持アーム49と、前記昇降部材48を昇降させる昇降操作装置59と、昇降部材48の左右両側に配置されていて昇降部材48と左右のゲージ体37とを連結する左右一対の連結部材51とを備えている。
昇降部材48は左右方向の軸心を有する四角筒状に形成され、左右の支持アーム49は左右のサポートアーム9に固定された連結ブラケット14の後端側に枢軸52を介して左右方向の軸心回りに回動自在に枢支連結され、左右支持アーム49の後端側は昇降部材48に固定されている。
【0027】
したがって、左右の支持アーム49が前部の枢軸52回りに上下に揺動することにより、昇降部材48がロータリ機枠4に対して昇降(上下動)する。
昇降操作装置59は、長さ方向伸縮自在な伸縮杆53と、伸縮杆53の長さを調整するハンドル54とを備え、伸縮杆53は、その長さ方向の一端側がトップマスト12の後部の上部側に左右方向の軸心回りに回動自在に取り付けられていると共に長さ方向の他端側が昇降部材48に設けられたブラケット55に左右方向の軸心回りに回動自在に取り付けられている。
【0028】
そして、ハンドル54によって伸縮杆53を伸縮させてその長さを調整することにより、昇降部材48が昇降操作される。
左右の連結部材51はゲージ体37の上方に上下方向に配置され、上下端部に前後一対のブラケット56が固定されていると共に、上下の、前後ブラケット56間に筒部材57が前後方向の軸心回りに回動自在に設けられている。
また、昇降部材48には四角筒状の取付部材58が外嵌固定され、この取付部材58の下面側に固定された左右一対のブラケット59間に筒部材60が左右方向の軸心回りに回動自在に設けられ、この筒部材60に連結部材51上部の筒部材57が固着されており、これによって、連結部材51の上部側が昇降部材48に対して前後軸回りに回動自在で且つ左右軸回りに回動自在に取り付けられている。
【0029】
また、ゲージ体37の後部側上面には、左右一対のブラケット61が固定され、このブラケット61間に筒部材62が左右方向の軸心回りに回動自在に設けられ、この筒部材62に連結部材51下部の筒部材57が固着されており、これによって、連結部材51の下部側がゲージ体37に対して前後軸回りに回動自在で且つ左右軸回りに回動自在に取り付けられている。
以上の構成により、昇降操作装置59によって昇降部材48を昇降させると、連結部材51が上下動してゲージ体37の後部が上下に揺動し、耕耘深さと本畝成形具18の高さが調整可能とされている。
【0030】
また、前記構成のものにあっては、ゲージ体37が本畝成形具18と共に左右に移動した場合に、連結部材51が左右に揺動することによりゲージ体37の左右移動が許容されるようになっている。
なお、ゲージ体37を、該ゲージ体37の枢支部分や連結部材51の連結部分等のガタによって、本畝成形具18に対して左右に移動可能とし、畝溝B形成部分に部分的に左右に関して傾斜している部分がある場合に、ゲージ体37が地面に沿って自身で移動調整して追従するように構成してもよい。
【0031】
この場合、ゲージ体37と、該ゲージ体37に隣接する部材との間隔を、ゲージ体37の前記傾斜に追従する左右移動を許容するのに十分な間隔とする。
図1〜図5、図7に示すように、前記補助畝成形具19は、ゲージ体37の左右方向外側方に配置され、崩された既成形畝R2の上面Raを成形(修復)する上面成形具66と、崩された既成形畝R2の側面Rbを成形(修復)する側面成形具67と、ゲージ体37に設けられた取付部68に着脱自在に取り付けられる被取付部69とを備えている。
上面成形具66は、ゴム板からなる均し板66Aと、該上面成形具66を側面成形具67に取り付けるための金属製の帯板材からなるステー66Bと、前記均し板66Aの上面前部側に重ね合わされた金属製のプレート66Cとを備えている。
【0032】
ステー66Bは均し板66Aの下面側に配置された当て板部71と、該当て板部71から下方側に延出するように折曲された取付部72とからL字形に形成されており、このステー66Bの取付部72は側面成形具67の前部壁67Aの外側面に重合されて側面成形具67に固定されている。
均し板66Aの前部は、前記プレート66Cと、ステー66Bの当て板部71とで挟み込まれると共に当て板部71,均し板66A及びプレート66Cを貫通するボルト75及び該ボルト75に螺合されたナット76によってステー66Bに取り付けられている。
【0033】
上面成形具66(均し板66A及びプレート66C)は、全体的に、前方に行くに従って上方に移行する傾斜状(前傾状)とされると共に、左右方向内方に行くに従って後方に移行する傾斜状となるように側面成形具67の前部壁67Aに取り付けられていて、トラクタの車輪やロータリ耕耘装置2の伝動ケース10等によって左右方向外方に押しやられた既成形畝R2の土を左右方向内方に(側面成形具67の前部側に)案内する(戻す)ことができるよう構成されている(図5(a)中、矢視D方向は前後方向を示している)。
ステー66Bの取付部72は、該取付部72と、側面成形具67の前部壁67Aとを貫通するボルト73及び該ボルト73に螺合されたナット74によって側面成形具67の前部壁67Aに取付固定されている。
【0034】
本実施形態では、ステー66Bの取付部72を1本のボルト73によって取付固定しているので、上面成形具66(均し板66A及びプレート66C)の上下方向に対する取付角度を調整することができる。
また、前記ボルト73を挿通すべく取付部72に形成されたボルト挿通孔77は取付部72の長手方向に長い長孔に形成されており、ボルト73・ナット74の締結を緩めることにより、均し板66Aの上下位置が調整可能とされている(上面成形具66の高さが調整可能とされている)。
【0035】
したがって、ゲージ体37の後部を上下に位置調整した場合に、補助畝成形具19の上面成形具66の上下位置を調整することにより、該補助畝成形具19の上面成形具66の高さを本畝成形具18の上面板23の高さに一致させることができる(又は、修復する畝Rの上面Raに対する押付け力を調整することができる)。
なお、本実施形態では、プレート66Cの後部側(均し板66Aの取付部分より後方側)は、前部側に比して上下方向に対して急斜面となるように屈曲されている。
また、均し板66Aの後部側はプレート66Cから後方に延出状とされており、また、プレート66Cの後縁は均し板66Aの後縁に対し、左右方向外方に行くに従ってプレート66C後縁と均し板66A後縁との間隔が狭くなるように、傾斜状とされている(左右方向外方に行くに従って均し板66Aのプレート66Cからの延出量が少なくなるように構成されている)。
【0036】
したがって、均し板66Aの、プレート66Cから後方に延出された部分は、左右方向外方に行くに従って弾性力が強くなており(左右方向外方に行くに従って弾性変形が、しにくくなっており)、左右方向外方に押しやられた既成形畝R2の土を左右方向内方に良好に送ることができ、左右方向に関して土を略均等に配分することができるように構成されている。
側面成形具67は、金属製の板材からなり、その後部壁67Bは、前後方向に関しては前後方向に沿っており、且つ、左右方向に関しては左右方向外方に行くに従って上方に移行する傾斜状とされている。
【0037】
また、側面成形具67の後部壁67Bは、ゲージ体37の左右方向外側縁近傍位置から前記傾斜方向に延出されており、この側面成形具67の後部壁67Bによって、既成形畝R2の崩された側の畝側面Rbが、本畝成形具18の側面板22で形成された畝側面Rbと同様の畝側面Rbとなるように修復される。
また、側面成形具67の前部壁67Aは、左右方向内方に行くに従って前方に移行する傾斜状に形成されていて、側面成形具67の前部側に(側面成形具67の後部壁67Bの前方側に)土を溜めることができる空間を形成しており、この空間に、トラクタの車輪やロータリ耕耘装置2の伝動ケース10等によって左右外方に押しやられた既成形畝R2の土を上面成形具66によって案内し、この案内された土を側面成形具67の後部壁67Bによって畝側面Rbを形成する。
【0038】
これによって、崩された既成形畝R2の畝側面Rbの仕上げがうまくいく。
また、案内板21の左右方向外端側に設けられた前記側板41の後部側は、後方に行くに従って左右方向外方に移行する傾斜状となるように屈曲され、この側板41の後部側の内側に側面成形具67の前部壁67Aの左右方向内方側が位置しており、側面成形具67の前方側の左右方向内方寄りの土が側面成形具67の前部壁67Aの左右方向外方側へと良好に案内される。
ゲージ体37に設けられた取付部68は、ゲージ体37上面の前部側で左右方向外側寄りに配置されており、該取付部68は案内板21の左右方向外端側に設けられた前記側板41の左右方向内方側に位置している。
【0039】
これによって、補助畝成形具19を取り付けずに通常の畝R成形作業をする際に、ゲージ体37上の取付部68の配置部分に土が入ってくるのを防止している。
また、取付部68は上壁68aと左右側壁68bとから下向き開放状のコ字形に形成され、側壁68b下端側がゲージ体37上面に固着されている。
また、側壁68bが後方に行くに従って左右方向外方に移行する傾斜状となるように前後方向に対して傾斜させて配置されている。
また、取付部68の上壁68上面の後端側には、断面L字形の当接部材78が立設されている。
【0040】
被取付部69は、厚板材で形成され、側面成形具67の左右方向内側面側の下端側に配置されている。
この被取付部69の後部側の左右方向外側縁は、側面成形具67の後部壁67Bの下縁側に沿うように形成されて該側面成形具67の後部壁67Bに接当されていて、被取付部69の後部側が側面成形具67の後部壁67Bの下端に溶接固定されている。
また、側面成形具67の後部壁67Bの前端下部側には板材からなる補強部材79が溶接によって固定されており、この補強部材79は被取付部69にも溶接により連結されている。
【0041】
前記被取付部69の前部側は、前方に行くに従って左右方向内方に移行する傾斜方向に延出する差込部80とされている。
被取付部69の中途部には、前記取付部68に設けられた当接部材78に接当する断面L字形の当接部材81が立設されている。
そして、被取付部69の差込部80をゲージ体37上の取付部68に後方側から当接部材81が取付部側の当接部材78に接当するまで差し込むことにより、側面成形具67がゲージ体37に取り付けられる。
【0042】
この側面成形具67をゲージ体37に取り付けた状態で被取付部69はゲージ体37上に載置されている。
また、補助畝成形具19によって既成形畝R2を修復(成形)する際には、上面成形具66及び側面成形具67は土からの荷重により(土からの反力により)押圧され、この押圧力によって差込部80と取付部68内面との間に摩擦抵抗が作用すること、また、被取付部69の差込部80は取付部68に対して前方行くに従って左右方向内方に移行する傾斜方向に差し込まれ、畝Rの修復作業時において差込部80の抜脱方向には、畝側面Rbがあることから、作業時においては、差込部80が取付部68から抜けることはなく、差込部80が取付部68から抜けるのを防止するための抜止め手段は不要である。
【0043】
したがって、補助畝成形具19の取付け・取外しは、取付部68に対して差込部80を差込み・抜脱するだけなので、補助畝成形具19の着脱を容易に行うことができる。
しかしながら、当接部材78,81同士を締結するボルト・ナット等の抜止め手段を設けてもかまわない。
前記構成の補助畝成形具19にあっては、側面成形具67が、上面成形具66を設けるためにゲージ体37に立設された支持体とされている。
既成形畝R2の、崩された側の上面Raを修復する上面成形具66を設けるにあたって、例えば、本畝成形具18やロータリ耕耘装置2等の遠い所から延出させたブラケットに上面成形具66を設けたのでは、土からの反力によって上面成形具67が上方側に逃げ、所望の押え力を発揮させることが困難であるが、上面成形具66を、前記ゲージ体37に立設された支持体(側面成形具67)に設けることにより、上面成形具66の支持がしっかりと行え、所望の押え力を十分に確保することができる。
【0044】
本実施形態では、前記取付部68は左右の各ゲージ体37に設けられ、補助畝成形具19は左側のゲージ体37に取り付けられる左側用の補助畝成形具19と、右側のゲージ体37に取り付けられる右側用の補助畝成形具19とが用意される。
また、本実施形態では、補助畝成形具19はゲージ体37に着脱自在に設けられているが、補助畝成形具19を畝Rの上面Ra及び側面Rbを修復可能な作業位置と、該作業位置から退避した非作業位置とに位置変更できるように支持装置によって支持するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】作業中の畝成形機を左斜め後方から見た斜視図である。
【図2】一部を断面及び破断した畝成形機の側面概略構成図である。
【図3】補助畝成形具の斜視図である。
【図4】(a)は補助畝成形具の側面成形具の取付部分の平面図、(b)は(a)のY−Y線矢示図、(c)は(a)のX−X線矢示断面図である。
【図5】(a)は補助畝成形具の上面成形具の取付部分の平面図、(b)は(a)上面成形具の側面断面図、(c)は上面成形具のステー及び均し板の取付状態を示す断面図である。
【図6】ロータリ耕耘装置の概略構成図である。
【図7】畝成形装置の概略構成図である。
【図8】ゲージ体の高さ調整装置の概略側面図である。
【図9】ゲージ体の高さ調整装置の概略構成図である。
【図10】圃場の最終の畝を隣接畝にオーバーラップさせて形成した状態を示し、畝の一部を断面で表した圃場の平面図である。
【符号の説明】
【0046】
2 ロータリ耕耘装置
18 本畝成形具
19 補助畝成形具
66 上面成形具
66A 均し板
67 側面成形具
67A 前部壁
67B 後部壁
R 畝
Ra 畝の上面
Rb 畝の側面
R1 既成形畝に隣接して成形される畝
R2 既成形畝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリ耕耘装置(2)の後方に、該ロータリ耕耘装置(2)で耕耘された土で畝(R)を成形する畝成形具(18)を備えると共に、走行体の後部に装着されて圃場を移動しながら該圃場に畝(R)を成形する畝成形機において、
既成形畝(R2)に一部オーバーラップさせながら該既成形畝(R2)に隣接する畝(R1)を成形する際に、前記既成形畝(R2)の、崩された側の上面(Ra)及び側面(Rb)を修復する補助畝成形具(19)を設けたことを特徴とする畝成形機。
【請求項2】
補助畝成形具(19)は、畝(R)の上面(Ra)を成形する上面成形具(66)と、畝(R)の側面(Rb)を形成する側面成形具(67)とを備え、上面成形具(66)は側面成形具(67)の前部に土を送るべく、前傾状で且つ左右方向内方に行くに従って後方に移行するように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の畝成形機。
【請求項3】
上面成形具(66)は、畝(R)の上面(Ra)に接地して該上面(Ra)を均す均し板(66A)を備え、この均し板(66A)はゴム板で形成されていると共に左右方向外方に行くに従って弾性力が強くなるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の畝成形機。
【請求項4】
側面成形具(67)の前部壁(67A)は、左右方向内方に行くに従って前方に移行する傾斜状に形成されていると共に側面成形具(67)の後部壁(67B)にて畝(R)の側面(Rb)を形成するよう構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の畝成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−77689(P2009−77689A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251088(P2007−251088)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】