説明

畝立て装置

【課題】畝立てを行う畝立て体を折り畳み式とすることで容易に耕耘作業と畝立て作業の容易な転換を可能とした畝立て装置を提供する。
【解決手段】耕耘部Rを備えたロータリ耕耘機Kの後部に設けられ、耕耘部Rで耕耘された土を畝立て体7で押し分けて畝立て作業を行う畝立て装置であって、耕耘部Rの略上半分を覆うロータリカバー2の後端縁部2aにヒンジ6を介して擺動可能に矩形状の整地板3を取り付け、整地板3の内面3cに複数の培土板から成る畝立て体7をヒンジ8を介して整地板の内面3c内に折り重なるように折り畳み可能とするとともに各培土板を整地板3に折り畳み状態で固定する折畳固定手段を設け、整地板の内面3cに畝立てする畝の形状に応じた任意の形状の培土板を任意の位置に略直立して固定可能とする直立固定手段を設ける。整地板3を略水平状態で固定可能な支持固定部5を抵抗棒4と前記整地板の外面3dとの間に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耕耘作業機に装着され、耕耘ロータリで掻き起こした土をその後方で押し整えて畝立てする畝立て装置に関する。
【背景技術】
【0002】
耕耘機は元来、耕耘ロータリで土を掻き起こす耕耘作業を行う装置であるが、同時に畝立て作業も行えるようにした装置が各種提案され実施されている。
例えば下記特許文献1には、作業機本体の耕耘ロータリの後方に畝形成体を配置して、該ロータリで耕耘された土を畝盛りするとともに畝の側面を形成する畝形成作業機が開示されている。しかしこの畝形成作業機では、畝形成体の重量が大きく且つ連結構造が複雑となっているため、耕耘作業と畝立て作業との切り換えを行うときの畝形成体の交換が大変困難であった。
一方、近年ではロータリの後部に設けられている耕耘作業機を安定操作するための抵抗棒を利用して、該抵抗棒に畝立て用の培土器を着脱可能とした畝立て装置が実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−139102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、使用される培土器は、土から受けるの強圧に抗するために金属で形成された大きな重量物であり、上記畝立て装置の培土器の着脱作業は培土器を持ち上げ作業などを人が行うものであるため、特に頻繁に耕耘機作業と畝立て作業を変更しようとするとその労力の負担は大きく、また畝立て作業をするときにも多大な労力を要していた。
さらに、その装置で形成される畝は画一的なものが多く、容易に多様な形状の畝を形成できるものではなかった。
【0005】
そこで本発明は、畝立て作業を行うための畝立て装置を、着脱作業をなくして耕耘作業と畝立て作業の転換を容易に行えるようにし、その作業の切り換えに要する労力を大幅に軽減させ、さらには多様な形状の畝の形成を可能とする畝立て装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の畝立て装置は、請求項1に記載の発明にあっては、爪回転で耕耘作業を行う耕耘部を備えたロータリ耕耘機の後部に設けられ、該耕耘部で耕耘された土を畝立て体で押し分けて畝立て作業を行う畝立て装置であって、前記耕耘部の略上半分を覆うロータリカバーの水平状の後端縁部に、ヒンジを介して前後に擺動可能に矩形状の整地板を取り付ける。
そして、該整地板の内面に複数の培土板から成る畝立て体を配して、各培土板をヒンジを介して該整地板の内面内に折り重なるように折り畳みに可能且つ該整地板の内面に畝立てする畝の形状に応じた任意の形状の培土板を任意の位置に略直立可能に装着する。
さらに、前記各培土板と前記整地板との間に、前記整地板の内面に各培土板を折り畳み状態で固定する折畳固定手段と、該整地板の内面に各培土板を略直立状態で固定する直立固定手段とを設け、前記整地板を略水平状態で固定可能な支持固定部を、前記ロータリ耕耘機本体と、前記ロータリカバーと、ロータリカバーの後部中央に立設した耕耘深さを決める抵抗棒とのうちのいずれかと前記整地板の外面の一部との間に設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明にあっては、上記発明において、前記折畳固定手段を、整地板と培土板とをネジ止め、ピン止め又はフック止めによって固定可能としたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記直立固定手段を、整地板と培土板とをネジ止め、ピン止め又はフック止めによって固定可能としたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記整地板と培土板とを前記直立固定手段により、水平となったときの整地板の内面に各培土板を中央部で閉じ且つ後ろ開き状態且つ下窄まり状態に略直立させて固定可能としたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記整地板内面の基端縁部の中央には中央培土板を設けるとともに該中央培土板の両側に側部培土板を設け、整地板と培土板とを前記直立固定手段により、水平となったときの整地板の内面に、側部培土板を中央部で閉じ且つ後ろ開き状態且つ下窄まり状態に略直立させて固定可能としたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記整地板内面の基端縁部の中央部にはヒンジを介して折り畳み可能とする中央培土板を設け、該中央培土板の両側部にはヒンジを介して折り畳み可能とする側部連結培土板を設け、整地板と培土板とを前記直立固定手段により、水平となったときの整地板の内面に、略直立させた前記中央培土板の両側部にから前記側部連結培土板を後ろ開き状態且つ下窄まり状態に略直立させて固定可能としたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記整地板内面に、中央に間隔を置いて両側に培土板を設け、整地板と培土板とを前記直立固定手段により、水平となったときの整地板の内面に両側の培土板を前開き状態且つハ字形に下開き状態に固定可能としたことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記ロータリカバーと整地板の基端縁部との間にヒンジ軸の抜き刺しで分離及び結合を可能とする着脱型のヒンジを使用し、ロータリカバーへ整地板を着脱可能としたことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記整地板の基端縁部を整地板本体から分割し、該整地板の基端縁部から分離された整地板本体をネジ、ピン又はフック等の着脱固定手段を介して、ロータリカバーに固定された整地板の基端縁部へ整地板本体を着脱可能としたことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記整地板の末端縁部に沿って該整地板にネジ、ピン又はフック等の着脱固定手段により着脱及び固定可能な板状アタッチメントを備えるとともに該板状アタッチメントの先端辺縁の形状を、山形、波形、溝形等任意の畝の天場の断面形状を形取った形状としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の該畝立て装置は、ヒンジで整地板内に重なるように開閉可能に折り畳まれた各培土板が、耕耘作業をするときには、前記整地板の内面に折り畳んで固定されてロータリの回転に支障なく耕耘機作業を行うことが可能となる。
そして、畝立て作業を行うときには、抵抗棒などに対して整地板を略水平に固定するとともに前記整地板の内面に各培土板を開いて略直立状態に固定した畝立て体で、作業機の前進に伴い、ロータリで耕耘して柔らかくなった土を両側に押し分けて畝立て作業を行うことが可能となる。
このように前記畝立て体の培土板を前記整地板の内面に折り畳み式とすることで、各培土板を折り畳んでの耕耘作業と、各培土板を開いての畝立て作業とが簡単に切り換え可能となる。またこの切り換え作業は、折り畳み可能とする複数の培土板から成るので従来の培土器に較べて全体のコンパクト化と軽量化が可能となり、多大な労力を要した培土器の取り付け作業がなくなり、この結果大幅な労力の軽減が可能となる。
【0017】
請求項2に記載の発明にあっては、培土板の折畳固定手段によって整地板の内側に培土板が重なるようにコンパクトに折り畳んで固定することが可能となる。
そして、耕耘作業をするときには、培土板が整地板内に重なるように折り畳まれるのでロータリの回転に支障なく耕耘機作業を行うことが可能となる。
【0018】
請求項3に記載の発明にあっては、整地板の内面に略直立して固定する培土板の直立固定手段によって、前記整地板の内側に各培土板を容易に略直立して固定することが可能となる。そして、水平となったときの整地板の内面に各培土板を開いて固定した前記畝立て体によって、ロータリで耕耘して柔らかくなった土の畝立て作業が可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明にあっては、水平となったときの整地板の内面に複数の培土板を開いて前記整地板の内面に略直立させ、各培土板を中央部で閉じ且つ後ろ開き状態且つ下窄まり状態に略直立させて、培土器状に固定した畝立て体を得ることが可能となる。
【0020】
請求項5に記載の発明にあっては、整地板内面の基端縁部中央に設けた中央培土板とその両側の側部培土板を開いて、水平となったときの整地板の内面に、側部培土板を中央部で閉じ且つ後ろ開き状態且つ下窄まり状態に略直立させた畝立て体を得ることが可能となる。
【0021】
請求項6に記載の発明にあっては、整地板の内面の基端縁部の中央部にはヒンジを介して折り畳み可能に設けた中央培土板と該中央培土板の両側部のヒンジを介して折り畳み可能とする側部連結培土板とが、水平となったときの整地板の内面に、略直立させた前記中央培土板の両側部に前記側部連結培土板を後ろ開き状態且つ下窄まり状態に略直立させた畝立て体を得ることが可能となる。
【0022】
請求項7に記載の発明にあっては、整地板の内面に、中央に間隔を置いて両側に設けた各培土板を、水平となったときの整地板の内面に両側の培土板を前開き状態且つハ字形に下開き状態に開いて前記整地板の内面に略直立して整地板の内面の両側に分かれた畝立て体が得られる。この形態では中央に盛り上がった畝を形成することが可能となる。
【0023】
請求項8に記載の発明にあっては、前記ロータリカバーと整地板の基端縁部との間に設けた着脱型ヒンジで、ロータリカバーと整地板とが着脱可能となる。このため、該整地板に各種形状に形成された畝立て体を用意しておくことき、これを着脱交換することで、目的の形状の畝を容易に形成可能となる。
【0024】
請求項9に記載の発明にあっては、整地板の基端縁部を整地板本体から着脱及び固定することが可能となり、該整地板に各種形状に形成された畝立て体を多種用意しておき、その中から選択したものを使用して目的の形状の畝を容易に形成することが可能となる。
【0025】
請求項10に記載の発明にあっては、整地板に装着する各種形状の板状アタッチメントの中から1つを選択して取り付けることで、山形や、溝付き等の任意形状の畝の天場を、畝立て作業と同時進行して形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の使用状態を示す側面図である。
【図2】別の形態の本発明の使用状態を示す側面図である。
【図3】培土板を畳んだ状態を示す要部の(イ)が底面図、(ロ)が正面図、(ハ)が側面図である。
【図4】培土板を立てた状態を示す要部の(イ)が底面図、(ロ)が正面図、(ハ)が側面図である。
【図5】(イ)が整地板の外面を示す平面図、(ロ)が支持固定部の側面図である。
【図6】別の形態の培土板を畳んだ状態を示す要部の(イ)が底面図、(ロ)が正面図、(ハ)が側面図である。
【図7】別の形態の要部の斜め下から見た斜視図である。
【図8】図7の形態の培土板を畳んだ状態を示す要部の(イ)が底面図、(ロ)が正面図、(ハ)が側面図である。
【図9】図7の形態の培土板を立てた状態を示す要部の(イ)が底面図、(ロ)が正面図、(ハ)が側面図である。
【図10】板状アタッチメントの平面図である。
【図11】別の板状アタッチメントの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ロータリ耕耘機Kは、駆動車輪Tが回転されて進行するとき、図1及び図2に示すように、耕耘部Rが回転軸を前記駆動車輪Tの最下部より若干の高い位置hにまで土の中に沈められて、耕耘爪1を回転で土を深く耕耘し、固い土が解されて柔らかくなる。このときロータリカバー2の後部2a中央に立設した下端部に設けた略水平なプレートで耕耘部Rの耕耘爪1の届く深さが決められる。即ち抵抗棒4の高さ調節により耕耘の深さHが決まることとなる。
本発明の畝立て装置は、このような耕耘爪1の回転で耕耘作業を行う耕耘部Rを備え、前部に原動機で駆動される駆動車輪Tを有する歩行型のロータリ耕耘機Kの後部に設けて、該耕耘部Rで深さH程の柔らかく耕耕された土を、畝立て体7で両側方に押し分けて左右対称斜面に形成された畝を形成(畝立て)できるようにすることを目的とする。
【0028】
本発明は、前記耕耘部Rの略上半分を覆うロータリカバー2の水平状の後端縁部2aに、ヒンジ6を介して前後擺動可能に矩形状の整地板3を取り付ける。
そして、例えば図3及び4に示す形態では、該整地板3の内面3cに、複数の培土板9、10、11から成る畝立て体7を、ヒンジ8を介して、該整地板3の内面3c内に折り重なるように折り畳みに可能とするとともに各培土板9、10、11を前記整地板3に折り畳み状態で固定する折畳固定手段14、15を設け、且つ、該整地板3の内面3cに略直立して培土器状に固定可能とする直立固定手段18、19を設ける。
【0029】
そして、図1及び図2に示すように、前記整地板3を略水平状態で固定可能な支持固定部5を、前記ロータリカバー2の後部中央に立設した耕耘深さを決める抵抗棒4と、前記整地板3の外面3dの一部との間に着脱固定可能に設ける。
図5の(イ)は前記整地板3の外面3dを示し、(ロ)は支持固定部5を示している。支持固定部5の基端部は整地板3の外面3dに設けた連結孔部に先端に設けた差込部が連結され、末端部は抵抗棒4の中間部位に設けた連結孔部に末端部に設けたフランジ付き差込部が大きい孔から差し込まれ、該大きい孔と繋がる小さい孔に移動されて抜けないように連結されるものであることを示している。
また前記支持固定部5は、図示しないが、前記ロータリ耕耘機K本体と前記整地板3の外面3dの一部との間に設けることもでき、また前記ロータリカバー2と前記整地板3の外面3dの一部との間に設けることも可能である。それらのいずれの態様でも、前記整地板3をロータリ耕耘機K本体に対して略水平状態に固定できるようにする。
【0030】
なお、前記支持固定部5を外して前記整地板3をロータリ耕耘機K本体に対して略水平状態に固定させず、前記整地板3の内面3c内に折り重なるように折り畳んだ各培土板9、10、11を前記整地板3に折畳固定手段14,15で固定した場合には、前記整地板3の先端3bが土に当たって前記ロータリカバー2の後ろで自由に上下に擺動しつつ耕耘した土を上から粗く均すこととなる。
前記整地板3の末端部3bの辺は直線的でも良いが下に向け(内側に向けて)少し折曲げて波型に形成すると土を熊手のように掻き均すことができ、また該整地板3の内面3cに折り重なった各培土板を覆うように隠せるので好ましい。
なお、図3に示す該整地板3の内面3cに設けた突起26は各培土板を内から当てて抑える振れ止めである。
【0031】
前記整地板3の末端部3bの辺縁は、図5に示すように、波状などに直接形成しても良いが、図10及び図11に示すように、整地板3の末端縁3bに沿って整地板3の末端縁3bに設けた孔にネジ50や、ピン又はフック等の着脱固定手段により着脱及び固定可能な板状アタッチメント49を備えることができる。
該板状アタッチメント49の先端辺縁の形状は、畝の天場の山形、波形、溝形等の任意の断面形状を形取った形状とすることで、各種の畝の天場の形状に形成することが可能となる。
例えば、図10に示す板状アタッチメントの態様では、中央が凹んだ形状部分51で畝の天場を山形に形成するもので、畝両側の下向き傾斜面で水はけが良くなり、畝を崩れ難くすることができるようになる。さらに畝の天場の表面積を拡張できるので畝の天場に当たる日射量を増大させることが可能となり、その結果、畝の温度が高まって農作物の成長の促進が可能となる。
また、図11に示す板状アタッチメントの態様は、二列溝形成用板状アタッチメントであり、これは間隔置いて突出した2つの突起部分52で畝の天場に二列の溝を形成でき、種を播くときに種の位置決めがこの溝で容易に行えるようになる。
【0032】
また本発明の前記畝立て体7は複数枚の培土板から成り、各種形態が可能であるが、以下の両側寄せ型(図4、図6)と中央寄せ型(図7)の形態が可能である。いずれの形態でも、複数の培土板を整地板3の内面3cから食み出さないように、コンパクトに折り畳みができて、且つ整地板3の内面3cに畝立てする畝の形状に応じた任意の形状の培土板を任意の位置に略直立して固定可能とするものである。
【0033】
次に本装置を構成する前記畝立て体7の形態を説明する。
該畝立て体7は、例えば図3に示す形態が可能である。
この形態では、整地板3の基端縁部3aの中央部にヒンジ8を介して折り畳み可能とする基端部を台底部とした台形の中央培土板9と、該中央培土板9の両側部にヒンジ12、13を介して開閉可能に設けられた略台形の左右の側部連結培土板10、11と、前記側部連結培土板10、11と前記整地板3の内面3cとを略直立状態で固定可能とする直立固定手段18、19とを設ける。
そして、前記各培土板9、10、11の先端部には、内側に約90度折り曲げた屈曲部9a、10a、11aを設ければ、土を押し分けてできる畝溝底部を平らに均す機能を付加することができる。
この形態では、図1及び図4に示すように、水平となったときの整地板3の内面3cに、側部連結培土板10、11を中央部で閉じ且つ後ろ開き状態且つ下窄まり状態に略直立させて培土器状に固定可能となる。
【0034】
この畝立て体7の形態をさらに詳述すると、図3に示すように、該整地板3の内面3c内に各培土板を折り重なるように折り畳んだ状態において、前記畝立て体5の折畳固定手段14、15は、側部連結培土板10、11と前記整地板3の内面3cとに設けられ、前記整地板3の内面3cにはピン止め部22、23を備えた突起板20、21が突設され、その突起板20、21に対応して前記側部連結培土板10、11には貫通孔16、17がピン止め部22、23を表面から突出できるように設けられる。そして前記側部連結培土板10、11の表から突き出ている前記ピン止め部22、23にピン24、25を刺して、該整地板3の内面3c内に前記側部連結培土板10、11が固定され、この固定でヒンジ12、13で繋がっている中央培土板9も固定され、この結果、該整地板3の内面3c内に全ての培土板9、10、11が整地板3と重なって固定される。
【0035】
また、図4に示すように、前記整地板3の内面3cに各培土板9、10、11を略直立にした状態において、中央培土板9は前記整地板3の基端部3aにヒンジ8で繋がっており、前記整地板3に対して中央培土板9の先端9aを斜めに後ろに傾斜させて(内側に倒して)立てたとき、ヒンジ12、13を介して前記側部連結培土板10、11がヒンジ12、13から両側方から後ろ向きに傾斜させて(ハ字形に開いて)前記側部連結培土板10、11の上辺が前記整地板3の内面3cに接するように形成されるとともに前記突起板20、21に斜めに設けられたピン止め部22、23が前記畝立て体7の直立固定手段18、19に形成された貫通孔から突出するように設ける。そして、前記側部連結培土板10、11から突き出たピン止め部22、23にピン24、25を差し込んで前記側部培土板10、11の上辺部と前記整地板3の内面3cとが固定される。
【0036】
このように前記整地板3の内面3cと前記側部連結培土板10、11とがピン24、25で簡単に固定され、また中央培土板9の基端部がヒンジ8で繋がり、さらに前記側部連結培土板10、11の側部と中央培土板9の側部がヒンジ12、13で繋がって培土板の全体が培土器状に一体となって固定される。
なお、前記各培土板9、10、11の先端部には、内側に約90度折り曲げた屈曲部9a、10a、11aを設ければ、土を押し分けてできる畝溝底部を平らに均す機能を付加することができる。
【0037】
また、前記畝立て体7は、上記形態とは別に図6に示す形態も可能である。
この形態は、図6に示すように、中央培土板27とその両側の側部培土板28、29にヒンジ8、30、31を介して、該整地板3の内面3c内に折り重なるように各培土板を折り畳みに可能とするとともに、各培土板27、28、29を前記整地板3に折り畳み状態で固定する折畳固定手段38を設け、且つ、該整地板3の内面3cに略直立して培土器状に固定可能とする直立固定手段を設ける。
【0038】
前記直立固定手段は、中央培土板27の側部の一部を突出させて内側に折り曲げた屈曲部32、33を設け、この屈曲部32、33にネジ挿通孔34、35を設けるとともに側部培土板28、29には対応したネジ孔36、37を設けた形態が可能である。この直立固定手段は、各培土板27、28、29をそれぞれ略直立させた状態で各培土板の側面部分のネジ孔36、37を屈曲部32、33にそれぞれネジ挿通孔34、35に重ねて固定ネジ(図省略)を締めることで相互に連結させ、水平となったときの整地板3の内面3cに、側部培土板28、29を中央部で閉じ且つ後ろ開き状態且つ下窄まり状態に略直立させて培土器状に固定可能となる。
またこの形態でも前記各培土板27、28、29の先端部には、内側に約90度折り曲げた屈曲部27a、28a、29aを設けて、土を押し分けてできる畝溝底部を平らに均す機能を付加すると良い。
【0039】
またさらに、前記畝立て体7は上記図3及び図6に示す形態とは別に図7に示す形態も可能である。
この形態では、前記畝立て体7は、図7に示すように、整地板3の内面3cに、中央に間隔を置いて両側に各培土板39、40を設け、水平となったときの整地板3の内面3cに両側の培土板39、40を前開き状態且つハ字形に下開き状態に固定可能とする。
【0040】
そして整地板3の内面3c内に各培土板39、40を内側に折り重なるように折り畳んだ状態では、図8に示すように、整地板3の内面3cの両側に中央に間隔を置き、基端部側に開いたハ字形にヒンジ41、42を設けて、両側に各培土板39、40を設け、前記整地板3の基端部3a寄りに折り畳み状態で固定する折畳固定手段38を設ける。
この折畳固定手段38では、プレート38bを止めたネジ38aを緩め、回転させて両側の各培土板39、40の末端側がプレート38bと整地板3の内面3cに挟み、再度ネジを締めると、プレート38bに押えられ、各培土板39、40が折り畳まれて整地板3の内面3cに折り畳まれて固定される。
【0041】
また、図7及び図9に示すように、整地板3を水平にしたときには、前記折畳固定手段38のネジ38aを緩めて整地板3の内面3cから両側の培土板39、40を前開き状態且つハ字形に下開き状態に略直立させて固定できるようにする。
その略直立させて固定する直立固定手段は、培土板39、40の基端部をL字形に屈曲させ、その屈曲コーナー部をヒンジ41、42で整地板3の内面3cに擺動可能に連結し、略直立させたとき培土板39、40の屈曲部39a、40aが整地板3の内面3cに当接した状態で、屈曲部39a、40a寄りに整地板3に設けた開口部45、48に差し込んだU字形フック44、46を屈曲部39a、40aに掛け、該U字形フック44、46に設けた固定ネジ43、47で整地板3と屈曲部39a、40aとを締め付けて固定可能とした構造とする。
【0042】
上記図3及び図6に示した形態の畝立て体7では畝は溝部分が形成されるが、前記図7に示す形態の畝立て体7では中央に盛り上がった畝を形成することが可能となる。
そして、中央に盛り上がった畝を形成するに際し、図10に示す山形形成用の板状アタッチメントを使用すれば中央が凹んだ形状部分51で盛り上がった畝の天場を山形に形成でき、また、図11に示す二列溝形成用板状アタッチメントを使用すれば、盛り上がった畝の天場に二列の溝を形成することが可能となる。
【0043】
また本発明では、前記ロータリカバーと整地板の基端縁部との間に設けたヒンジ6をヒンジ軸の抜き刺しで分離及び結合を可能とする着脱型ヒンジ(図省略)を使用し、ロータリカバー2へ整地板3を着脱可能とすることができる。
また、整地板3の基端縁部3aを整地板本体から分離可能とし、該整地板3の基端縁部3aに分離れた整地板本体とをネジ、ピン又はフック等の着脱固定手段により着脱及び固定可能とすることも可能である。この場合、前記ロータリカバー2とヒンジ6で連結されている整地板の部分を一定の幅で分離して分離した整地板本体を一旦切り離し、その分離部分に、表裏を挟む板を固定し、再度分離部分を戻して密着させて、前記表裏を挟む板で両側を挟んだ状態でボルト締め固定する等の着脱固定手段を用いることが可能である。
このように本発明では、多様な形状の畝を形成することが可能となり且つ各種形状の畝が得られる整地板3及び畝立て体7を用意しておけば、それらのうちの1つを選択して使用でき、畝の形状を容易に切り換えて形成することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、前記ロータリ耕耘機Kは歩行形の耕耘機に限らず耕耘部Rを有するものであればトラクターなど搭乗形の耕耘機でも利用が可能である。
【符号の説明】
【0045】
R 耕耘部
K ロータリ耕耘機
T 駆動車輪
1 耕耘爪
2 ロータリカバー
2a ロータリカバーの後端縁部
3 平面状の整地板
3a 整地板の基端部
3b 整地板の末端部
3c 整地板の内面
3d 整地板の外面
4 抵抗棒
5 支持固定部
6 整地板開閉のヒンジ
7 畝立て体
8 中央培土板用のヒンジ
9 中央培土板
9a 屈曲部
10 左側の側部連結培土板
10a 側部連結培土板の屈曲部
11 右側の側部連結培土板
11a 側部連結培土板の屈曲部
12 左側ヒンジ
13 右側ヒンジ
14 折畳固定手段
15 折畳固定手段
16 貫通孔
17 貫通孔
18 直立固定手段
19 直立固定手段
20 突起板
21 突起板
22 ピン止め部
23 ピン止め部
24 ピン
25 ピン
26 突起
27 培土板
28 培土板
29 培土板
30 ヒンジ
31 ヒンジ
32 屈曲部
33 屈曲部
34 ネジ挿通孔
35 ネジ挿通孔
36 ネジ孔
37 ネジ孔
38 折畳固定手段
39 培土板
39a 屈曲部
40 培土板
40a 屈曲部
41 ヒンジ
42 ヒンジ
43 固定ネジ
44 U字形フック
45 開口部
46 U字形フック
47 固定ネジ
48 開口部
49 板状アタッチメント
50 固定ネジ
51 中央が凹んだ形状部分
52 突起部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪回転で耕耘作業を行う耕耘部を備えたロータリ耕耘機の後部に設けられ、該耕耘部で耕耘された土を畝立て体で押し分けて畝立て作業を行う畝立て装置であって、
前記耕耘部の略上半分を覆うロータリカバーの水平状の後端縁部に、ヒンジを介して前後に擺動可能に矩形状の整地板を取り付け、
該整地板の内面に複数の培土板から成る畝立て体を配して、各培土板をヒンジを介して該整地板の内面内に折り重なるように折り畳み可能且つ該整地板の内面に畝立てする畝の形状に応じた任意の形状の培土板を任意の位置に略直立可能に装着し、
前記各培土板と前記整地板との間に、前記整地板の内面に各培土板を折り畳み状態で固定する折畳固定手段と、該整地板の内面に各培土板を略直立状態で固定する直立固定手段とを設け、
前記整地板を略水平状態で固定可能な支持固定部を、前記ロータリ耕耘機本体と、前記ロータリカバーと、ロータリカバーの後部中央に立設した耕耘深さを決める抵抗棒とのうちのいずれかと前記整地板の外面の一部との間に設けたことを特徴とする畝立て装置。
【請求項2】
折畳固定手段を、整地板と培土板とをネジ止め、ピン止め又はフック止めによって固定可能としたことを特徴とする請求項1に記載の畝立て装置。
【請求項3】
直立固定手段を、整地板と培土板とをネジ止め、ピン止め又はフック止めによって固定可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の畝立て装置。
【請求項4】
整地板と培土板とを直立固定手段により、水平となったときの整地板の内面に各培土板を中央部で閉じ且つ後ろ開き状態且つ下窄まり状態に略直立させて固定可能としたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれかに記載の畝立て装置。
【請求項5】
整地板内面の基端縁部の中央には中央培土板を設けるとともに該中央培土板の両側に側部培土板を設け、整地板と培土板とを直立固定手段により、水平となったときの整地板の内面に、各培土板を中央部で閉じ且つ後ろ開き状態且つ下窄まり状態に略直立させて固定可能としたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれかに記載の畝立て装置。
【請求項6】
整地板内面の基端縁部の中央部にはヒンジを介して折り畳み可能とする中央培土板を設け、該中央培土板の両側部にはヒンジを介して折り畳み可能とする側部連結培土板を設け、整地板と培土板とを直立固定手段により、水平となったときの整地板の内面に、略直立させた前記中央培土板の両側部に前記側部連結培土板を後ろ開き状態且つ下窄まり状態に略直立させて固定可能としたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれかに記載の畝立て装置。
【請求項7】
整地板内面に、中央に間隔を置いて両側に培土板を設け、整地板と培土板とを直立固定手段により、水平となったときの整地板の内面に両側の培土板を前開き状態且つハ字形に下開き状態に固定可能としたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれかに記載の畝立て装置。
【請求項8】
ロータリカバーと整地板の基端縁部との間にヒンジ軸の抜き刺しで分離及び結合を可能とする着脱型のヒンジを使用し、ロータリカバーへ整地板を着脱可能としたことを特徴とする請求項1から7のうちいずれかに記載の畝立て装置。
【請求項9】
整地板の基端縁部を整地板本体から分割し、該整地板の基端縁部から分離された整地板本体をネジ、ピン又はフック等の着脱固定手段を介して、ロータリカバーに固定された整地板の基端縁部へ整地板本体を着脱可能としたことを特徴とする請求項1から7のうちいずれかに記載の畝立て装置。
【請求項10】
整地板の末端縁部に沿って該整地板にネジ、ピン又はフック等の着脱固定手段により着脱及び固定可能な板状アタッチメントを備えるとともに該板状アタッチメントの先端辺縁の形状を、山形、波形、溝形等任意の畝の天場の断面形状を形取った形状としたことを特徴とする請求項1から9のうちいずれかに記載の畝立て装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−75424(P2012−75424A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226223(P2010−226223)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000157153)関東農機株式会社 (13)
【Fターム(参考)】