説明

畦形成機

【課題】様々な高さの畦の上面を形成するための畦形成機の取り扱いを簡易にする。
【解決手段】畦形成機101は、機枠102と、畦上面削土装置151とを備えて新畦305を形成する装置である。畦上面削土装置151は、機枠102に設けられ畦301の上面304を削る。畦上面削土装置151に備わる第1フレーム153a及び第2フレーム153bは、機枠102に連結され、いずれも機枠102を構成する支軸139を中心に回動自在である。削土ロータは、第2フレーム153bの回動先端側に設けられる。機枠102と第1フレーム153aとは、これらに掛け渡される伸縮自在の調整ロッド158により位置調整がなされる。第1フレーム153aと第2フレーム153bとには、連結ロッド159が架け渡される。連結ロッド159に装着されたスプリングは、第1フレーム153aと第2フレーム153bとを離反させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旧畦を修復して新畦を形成する畦形成機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、盛土部と畦形成部とを備え、盛土部を駆動して旧畦上に土を盛り上げ、畦形成部を駆動して盛り土を上から締め固めることで、旧畦上に新畦を形成する畦形成機が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の畦塗り機1は、旧畦Kの上部(天場)を切り崩す天場処理部50に作用した力(衝撃)を一定の弾性力で受ける緩衝機構81を備えた第1支持部材82と、この第1支持部材82に対して長さ調整自在の第2支持部材84と、を備える。そして、特許文献1には、第1支持部材82に備わる弾性体(圧縮ばね81a)の緩衝機能の調整をせずに第2支持部材84の長さ調整のみを行えば、様々な高さの旧畦Kの天場に対して天場処理部50による整畦が可能になる、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−304615号公報(段落0029、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、畦形成機に備わる畦形成部は、円錐台状をなし新畦の傾斜面を形成するディスク部(特許文献1でいうところの多面体ドラム73)と、円筒状をなしディスク部の円錐台の先端側から突出して新畦の上面を形成する円筒部(特許文献1でいうところの円筒部75)とを備える。そして、近年、様々な高さの新畦に簡易に対応できるよう、ディスク部に対して円筒部を着脱自在とし、様々な径の円筒部をディスク部に装着可能とした畦形成機も開発されてきている。
【0006】
ここで、特許文献1に記載の畦塗り機1では、天場処理部50の位置を調整するために、円筒状の第1支持部材82に第2支持部材84を挿通し、第1支持部材82に設けられた挿通孔82aと第2支持部材84に形成された複数の長さ調整孔84aの一との位置合わせをして、この長さ調整孔84aと挿通孔82aとに連結ピン86を装着する。しかしながら、天場処理部50の重量は大きく、これに連結した第1支持部材82と第2支持部材84とを動かして調整孔84aと挿通孔82aとを位置合わせすることは、作業者にとって大きな負担となる。
【0007】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、様々な高さの畦の上面を形成するための畦形成機の取り扱いを簡易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る畦形成機は、機枠と、前記機枠に設けられ旧畦の上面を削る削土部と、を備え、前記削土部は、前記機枠に回動自在に連結される第1フレームと、前記第1フレームの回動軸と同心で前記機枠又は前記第1フレームに回動自在に連結される第2フレームと、前記第2フレームの回動先端側に設けられ前記旧畦の上面を削る削土ロータと、前記機枠と前記第1フレームとに掛け渡される伸縮自在の位置調整部と、前記第1フレームと前記第2フレームとに架け渡される連結部と、前記連結部に設けられ、前記第1フレームと前記第2フレームとを離反させる方向に押す弾性部と、を含む。
【0009】
本発明の請求項2に係る畦形成機は、上記請求項1に係る畦形成機において、前記連結部は、前記第2フレームに回動自在に連結され前記第1フレームにスライド自在に保持される連結ロッドであり、前記弾性部は、前記連結ロッドに装着されるスプリングであり、前記連結ロッドに装着される保持位置調整部材を更に備え、前記第1フレームと前記スプリングと前記保持位置調整部材との前記連結ロッドからの抜け止めをする抜止部を更に備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、旧畦の上面から削土ロータが受ける衝撃の吸収能力を変えることなく削土ロータを上下に動かすことができ、したがって、様々な高さの畦の上面を形成するための畦形成機の取り扱いを簡易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】畦形成機の平面図である。
【図2】畦形成機の側面図である。
【図3】小径円筒部に代えて大径円筒部を取り付けた状態の畦形成機の側面図である。
【図4】畦上面削土装置の側面図である。
【図5】畦上面削土装置の側面断面図である。
【図6】連結ロッドの側面図である。
【図7】保持位置調整部材(カラー)をロッド保持部よりも下方に装着した状態の連結ロッドの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の一形態を、図1ないし図7に基づいて説明する。図1は、畦形成機101の平面図である。なお、図1では、畦形成機101の一部を破断させて示している。畦形成機101は、トラクタ501(走行機)の後方に連結されて用いられる。トラクタ501は、畦301が設けられている地面302上を、畦301の傾斜面303に沿って走行する。以下、トラクタ501の走行方向前方側(図1における右側)を、単に「走行方向前方側」と呼ぶことがある。また、トラクタ501の走行方向後方側(図1における左側)を、単に「走行方向後方側」と呼ぶことがある。
【0013】
畦形成機101は、機枠102を備える。機枠102は、装着フレーム103と第1連結フレーム109と第2連結フレーム110とを含む。装着フレーム103は、畦形成機101における走行方向前方側の端部に設けられ、トラクタ501の後方に連結される。装着フレーム103は、トラクタ501の三点リンク機構502に連結されるトップブラケット104及びロアピン105,106を備える。また、装着フレーム103は、その走行方向後方側に、略鉛直方向に延びる第1軸107を有する。
【0014】
第1連結フレーム109は、第1軸107を介して装着フレーム103に取り付けられ、第1軸107を中心に水平面内で旋回自在になっている。第2連結フレーム110は、略鉛直方向に延びる第2軸111を介して第1連結フレーム109に取り付けられ、第2軸111を中心に水平面内で旋回自在となっている。ここで、装着フレーム103と第1連結フレーム109とは、伸縮自在の第1シリンダ112によって連結される。また、第1連結フレーム109と第2連結フレーム110とは、伸縮自在の第2シリンダ113によって連結される。さらに装着フレーム103と第2連結フレーム110とは、屈曲自在のリンク機構103aにより連結される。これにより、第2連結フレーム110は、トラクタ501の走行方向に対して直交する方向に向けられ、トラクタ501に対する作業部121(次に述べる)の走行方向側方側へのオフセット量が調整される。
【0015】
図2は、畦形成機101の側面図である。なお、図2は、上方カバー155、ゲージ輪161、ハンドル162及び調整ロッド163を省略して示している。以下、図1及び図2を参照して説明する。畦形成機101は、作業部121を備える。作業部121は、トラクタ501の走行方向後方側かつ側方に位置し、畦形成装置131、盛土装置141、削土部としての畦上面削土装置151及びゲージ輪161を有する。
【0016】
畦形成装置131は、機枠102の進行方向後方側の端部に取り付けられる。畦形成装置131は、畦形成装置回転軸132と、ディスク部133と、小径円筒部134と、カバー135と、可動ケース136と、調整ロッド137と、ハンドル138と、を備える。畦形成装置回転軸132は、第2連結フレーム110よりも走行方向後方側に位置し、可動ケース136(後述)から延出して走行方向に直交し水平に延び、その軸回り方向に回転自在となっている。ディスク部133は、円錐台状をなし、畦形成装置回転軸132に取り付けられる。ディスク部133の表面には、複数の金属板が貼り付けられる。ディスク部133の円錐台の先端側は、畦301の傾斜面303に向けられる。小径円筒部134は、円筒状をなし、ディスク部133の円錐台の先端側に着脱自在に取り付けられる。畦形成装置回転軸132が回転すると、ディスク部133は、盛土装置141(後述)や畦上面削土装置151(後述)によって畦301に盛り上げられた土を締固めて、新畦305の傾斜面306を形成する。また、畦形成装置回転軸132が回転すると、小径円筒部134は、盛土装置141(後述)や畦上面削土装置151(後述)によって畦301に盛り上げられた土を締固めて、新畦305の上面307を形成する。カバー135は、ディスク部133の上方に位置し、作業員がディスク部133に接触することを防ぐ。
【0017】
可動ケース136は、動力伝達部116(後述)に含まれ入力軸114からの駆動力を伝達する駆動チェーン等を内部に収納し、畦形成装置回転軸132と支軸139とを連結する。ここで、支軸139は、第2連結フレーム110の一部をなし畦形成機101の走行方向に対して直交する方向に延びる長尺の部材である。そして、可動ケース136は、この支軸139の軸回り方向に回動自在となっている。このため、畦形成装置131は、上下に変位自在となっている。
【0018】
調整ロッド137は、ハンドル138を回すことにより所望の長さに伸縮されるものである。調整ロッド137は、一例として、端部に雄ネジ部を形成する雄ネジロッドと、端面に雌ネジ孔が開口した雌ネジロッドとを螺合させて構成される。そして、調整ロッド137の一方の端部は、第2連結フレーム110に連結する。また、この調整ロッド137の他方の端部は、畦形成装置回転軸132よりも走行方向後方側で可動ケース136に連結する。ハンドル138は、調整ロッド137の他方の端部から走行方向後方側に突出する。
【0019】
盛土装置141は、畦形成装置131に対し走行方向前方側に位置する。盛土装置141は、盛土装置回転軸142と、複数の掘削刃143と、カバー144と、固定ケース145と、を備える。盛土装置回転軸142は、畦形成装置回転軸132と平行に延び、固定ケース145(後述)から延出して第2連結フレーム110よりも進行方向前方側に位置し、その軸回り方向に回転自在となっている。掘削刃143は、盛土装置回転軸142から放射して延び、その先端が畦301の傾斜面303側に屈曲している。盛土装置回転軸142が回転すると、掘削刃143は、掘削する畦301の傾斜面303及びその近傍の地面302を掘削し、掘削した土を畦301の傾斜面303及び畦301の上面304に飛散させる。カバー144は、掘削刃143の上方に設置され、掘削刃143による土の飛散を防止して畦301へ誘導したり、作業員が掘削刃143に接触することを防いだりする。
【0020】
固定ケース145は、支軸139から下方かつ走行方向前方側に延びる長尺をなし、動力伝達部116(後述)に含まれ入力軸114からの駆動力を伝達する駆動チェーン等を内部に収納する。固定ケース145は、支軸139に固定され、支軸139の軸回り方向に回動しない。固定ケース145の先端部には、盛土装置回転軸142が取り付けられる。盛土装置回転軸142は、それ自身の軸回り方向に回転自在となっている。
【0021】
畦上面削土装置151は、第2連結フレーム110に取り付けられて畦形成装置131と盛土装置141との間に位置し、複数の掘削刃154aを備え、トラクタ501の走行に伴って畦301の上面304を削る。畦上面削土装置151については、図4及び図5に基づいて後述する。
【0022】
畦形成機101は、入力軸114を備える。入力軸114は、トラクタ501に備わるPTO軸(図示せず)に連結される。入力軸114には、トラクタ501からの駆動力が入力される。入力軸114は、ユニバーサルジョイント115、ベベルギア(図示せず)、スプロケット(図示せず)、チェーン(図示せず)等より構成される動力伝達部116を介し、畦形成装置131、盛土装置141及び畦上面削土装置151のそれぞれに連結される。そして、入力軸114に駆動力が入力されると、その駆動力は畦形成装置131の畦形成装置回転軸132、盛土装置141の盛土装置回転軸142及び畦上面削土装置151の畦上面削土装置回転軸152に伝達される。これにより、畦形成装置131のディスク部133及び小径円筒部134、盛土装置141の掘削刃143、畦上面削土装置151の掘削刃154aのいずれも、図2において時計回りとなる方向に回転する。このとき、畦形成装置131のディスク部133及び小径円筒部134、盛土装置141の掘削刃143、畦上面削土装置151の掘削刃154aは、動力伝達部116の構成によって所望の回転速度比をなすように予め設定されている。
【0023】
ゲージ輪161は、金属製の円錐板であり、畦形成装置131の近傍で、この畦形成装置131における畦301とは反対側に配置される。ゲージ輪161は、調整ロッド137と同様の構造を有し可動ケース136に取り付けられハンドル162を回すことにより所望の長さに伸縮できる長尺の調整ロッド163を操作することにより、畦形成装置131に対して上下に変位する。そして、このゲージ輪161の外周部が地面302に刺さり込むことで、地面302に対する畦形成装置131の高さが調整される。さらに、このゲージ輪161は、畦301からの成形圧を受けとめて、トラクタ501に牽引される畦形成機101の走行の直進性を維持する。
【0024】
図3は、小径円筒部134に代えて大径円筒部134aを取り付けた状態の畦形成機101の側面図である。なお、図3は、上方カバー155、ゲージ輪161、ハンドル162及び調整ロッド163を省略して示している。以下、図2及び図3を参照して説明する。前述したように、畦形成装置131において、小径円筒部134は、ディスク部133の円錐台の先端側に取り付けられ、このディスク部133に対し着脱自在となっている。このため、図3に示すように、ディスク部133の円錐台の先端側には、小径円筒部134よりも径が大きい大径円筒部134aを取り付けることができる。このため、本実施の形態では、ハンドル138を操作するまでもなく、ディスク部133に対して小径円筒部134と大径円筒部134aとの付け替えを行うことで、新たに形成しようとする新畦305の上面307の高さhの二段階切替を容易に行うことができる。そして、本実施の形態では、畦上面削土装置151が、畦上面削土装置151の掘削刃154aの下端の高さ位置の二段階切替を容易に行うことができ、小径円筒部134と大径円筒部134aとの付け替えによって設定された新畦305の上面307の高さhに素早くに対応できるようになっている。
【0025】
図4は、畦上面削土装置151の側面図である。図5は、畦上面削土装置151の側面断面図である。なお、図4及び図5は、上方カバー155を省略して示している。図1、図4及び図5を参照して、畦上面削土装置151について説明する。畦上面削土装置151は、畦上面削土装置回転軸152と、第1フレーム153aと、第2フレーム153bと、削土ロータ154と、上方カバー155と、位置調整部としての調整ロッド158と、調整ロッドハンドル158dと、連結部としての連結ロッド159とを備える。畦上面削土装置回転軸152は、畦形成装置回転軸132と平行に延び、その軸回り方向に回転自在となっている。畦上面削土装置回転軸152の途中には、クラッチ部152aが設けられていて、入力軸114から畦上面削土装置151への駆動力の伝達及び切断の切り替えができるようになっている。
【0026】
第1フレーム153aは、支軸139を介して第2連結フレーム110に取り付けられ、この支軸139の軸回り方向に回動自在となっている。第1フレーム153aは、調整ロッド158と回動自在に連結するための第1突部153aaと、連結ロッド159と回動自在に連結するための第2突部153abとを形成する。第1突部153aa及び第2突部153abのいずれも、第1フレーム153aから上方に突出する。第1フレーム153aが支軸139の軸回り方向に回動すると、この動きに伴って第1突部153aaも第2突部153abも回動する。
【0027】
第2フレーム153bは、支軸139と同心に第1フレーム153a側に設けられた第2支軸139aを介して第2連結フレーム110に取り付けられ、この第2支軸139aの軸回り方向に回動自在となっている。つまり、側面視において、支軸139を回動軸として、第1フレーム153aも第2フレーム153bも回動する。第2フレーム153bは、長尺のケース状に形成されていて、動力伝達部116に含まれ入力軸114からの駆動力を掘削刃取付軸154b(後述)に伝達する駆動チェーン等を内部に収納する。また、第2フレーム153bの回動先端側には、連結ロッド159と回動自在に連結するための第3突部153baが形成される。この第3突部153baは、第2フレーム153bから上方に突出している。
【0028】
削土ロータ154は、第2フレーム153bの回動先端側に設けられ、複数の掘削刃154aと、掘削刃取付軸154bとを有する。掘削刃取付軸154bは、畦上面削土装置回転軸152と平行に設けられる。そして、入力軸114からの駆動力によって畦上面削土装置回転軸152がその軸回り方向に回転すると、その回転力は第2フレーム153b内の駆動チェーン等によって掘削刃取付軸154bに伝達され、掘削刃取付軸154bはその軸回り方向に回転する。掘削刃154aは、掘削刃取付軸154bから放射状に延び、その先端が屈曲している。畦上面削土装置回転軸152が回転すると、掘削刃取付軸154bが回転し、掘削刃154aが畦301の上面304を掘削する。
【0029】
上方カバー155は、掘削刃154aの上方に設置される。上方カバー155は、掘削刃154aによる土の飛散を防止したり、作業員が掘削刃154aに接触することを防ぐ。
【0030】
調整ロッド158は、畦形成装置131に備わる調整ロッド137と同様の構造を有し、機枠102を構成する第2連結フレーム110と畦上面削土装置151を構成する第1フレーム153aとに掛け渡される。詳細に述べると、調整ロッド158は、端部に雄ネジ部158aaを形成する雄ネジロッド158aと、端面に雌ネジ孔158bが開口した雌ネジロッド158cとを螺合させて構成される。雌ネジロッド158cの端部は、第1突部153aaに回動自在に連結する。雄ネジロッド158aの端部は、第2連結フレーム110に回動自在に連結する。雄ネジロッド158aは、雄ネジロッド158aから延出して上方に突出する。作業者が雄ネジロッド158aを回すと、雌ネジロッド158cに対して雄ネジロッド158aがその軸心方向にスライド移動し、調整ロッド158の長さが伸縮される。
【0031】
図6は、連結ロッド159の側面図である。なお、図6は、連結ロッド159の一部を破断して示している。連結ロッド159は、第1フレーム153aと第2フレーム153bとに架け渡される。連結ロッド159は、断面円形状の長尺の棒体である。連結ロッド159の一方の第1端部159aには、この連結ロッド159の長さ方向に並ぶ複数の貫通孔159bが設けられる。そして、これらの貫通孔159bの一にピン体159cを挿通することで、スプリング159dの圧縮力が変化する。なお、ピン体159cは着脱自在であり、このピン体159cを挿通する貫通孔159bの選び方によって、スプリング159dの付勢力を調整することができる。つまり、削土ロータ154の押圧力が調整される。
【0032】
第1フレーム153aに形成される第2突部153abには、ロッド保持部153acが設けられる。ロッド保持部153acは、連結ロッド159を挿通させることができる短筒形状をなしている。ロッド保持部153acに連結ロッド159を挿通させて、第1フレーム153aは連結ロッド159をスライド自在に保持する。
【0033】
連結ロッド159には、弾性部としてのスプリング159dが装着される。スプリング159dは、ロッド保持部153acと第3突部153baとの間に配置される。スプリング159dとロッド保持部153acとの間、及び、スプリング159dとピン体159cとの間のそれぞれには、スプリング159dの端部を受け止める座金(図示せず)が配置される。スプリング159dは、第1フレーム153aと第2フレーム153bとを互いに離反させる方向に押す。
【0034】
連結ロッド159には、保持位置調整部材としてのカラー159eも装着される。カラー159eは、円筒形状をなしている。カラー159eの長さは、削土ロータ154の上下位置切換え寸法によって決定される。連結ロッド159に装着されたカラー159eは、連結ロッド159に対し摺動自在となる。
【0035】
連結ロッド159において第1端部159aとは反対側の第2端部159fには、抜止部159gが設けられる。抜止部159gは、連結ロッド159の第2端部159fを軸心に直交する方向に貫通する抜止孔159hと、この抜止孔159hに挿通される抜止ピン159iとを含む。抜止ピン159iは、スプリング159dと第1フレーム153aのロッド保持部153acとカラー159eとが連結ロッド159に装着された状態で抜止孔159hに挿通され、これらが連結ロッド159から抜け落ちるのを防ぐ。
【0036】
図1、図2及び図4を参照する。上記のように構成される畦形成機101を用いて畦301を整えて新畦305を形成する場合、作業者が調整ロッドハンドル158dを操作すると、調整ロッド158が伸縮して、第1フレーム153aが支軸139の軸回り方向に回動し、削土ロータ154が上下に変位する。このとき、第1フレーム153aに形成された第1突部153aa及び第2突部153abは第1フレーム153aの回動とともに動き、連結ロッド159によって連結された第2フレーム153bも回動させて削土ロータ154を上下に動かし、畦301の上面304に対する削土ロータ154の押圧力を調整する。ここで、調整ロッド158に対する操作による第2フレーム153bの回動の角度範囲をAとする(図6及び図7参照)。
【0037】
図2、図3及び図6を参照する。さらに、本実施の形態の畦形成機101は、形成したい新畦305の上面304の高さに応じた円筒部(小径円筒部134または大径円筒部134a)をディスク部133に装着することができるものである。このときに、作業者は、ハンドル138を操作して畦形成装置131のディスク部133及び円筒部(小径円筒部134または大径円筒部134a)を高さ位置の微調整を行うことができる。そして、この作業とともに、作業者は、以下のようにして、畦上面削土装置151の掘削刃154aの下端の高さ設定を行う。
【0038】
畦上面削土装置151の掘削刃154aの下端の高さ設定について説明する。作業者は、予め、複数の貫通孔159bの中から選択した一の貫通孔159bにピン体159cを挿通する。続いて、作業者は、連結ロッド159の上方から座金(図示せず)を装着し、続いてスプリング159dを装着し、座金を介してスプリング159dの下端部分をピン体159cに受け止めさせる。
【0039】
ここで、ディスク部133に小径円筒部134が装着されている場合(図2参照)について考える。この場合、作業者は、連結ロッド159をロッド保持部153acに挿通し、その後にカラー159eを連結ロッド159に装着し、抜止ピン159iを抜止孔159hに挿通する。
【0040】
図7は、保持位置調整部材(カラー159e)をロッド保持部153acよりも下方に装着した状態の連結ロッド159の側面図である。また、ディスク部133に大径円筒部134aが装着されている場合(図3参照)について考える。この場合、作業者は、連結ロッド159の上方からスプリング159dを装着した後に、カラー159eを連結ロッド159に装着し、その後に連結ロッド159をロッド保持部153acに挿通して、抜止ピン159iを抜止孔159h(図6参照)に挿通する。
【0041】
図6及び図7を参照する。ディスク部133に装着されていた小径円筒部134を大径円筒部134aに切り替えた場合、作業者は、抜止ピン159iを抜止孔159hから抜き、カラー159e及びロッド保持部153acを連結ロッド159から取り外す。続いて、作業者は、連結ロッド159にカラー159eを装着し、続いて、ロッド保持部153acを装着して、抜止ピン159iを抜止孔159hに挿通する。これにより、第2フレーム153bは、角度Bだけ下方に回動する(図6→図7)。
【0042】
つまり、小径円筒部134と大径円筒部134aとの切り替えに際して、連結ロッド159に対するカラー159eの装着手順を入れ替えるだけで、削土ロータ154の高さ位置が一気に大きく変更されるので、新しく形成しようとする新畦305の上面307の高さ位置への対応が容易に行える。このとき、連結ロッド159に対するカラー159eとロッド保持部153acとの装着手順が変わってもスプリング159dの長さは変わらず、従って、削土ロータ154が畦301の上面304から受ける衝撃の吸収性能が変わらない。この後、作業者は、調整ロッド158を操作して、スプリング159dの付勢力の微調整を行うことができる。
【0043】
このように、本実施の形態の畦形成機101によれば、ディスク部133に装着する円筒部(小径円筒部134または大径円筒部134a)の二段階切替に応じてカラー159eとロッド保持部153acとの装着手順を変えるだけで、畦301の上面304から削土ロータ154が受ける衝撃の吸収能力を変えずに削土ロータ154の高さ位置の二段階切替を行うことができる。
【0044】
作業者は、このようにして畦形成装置131及び畦上面削土装置151について設定を行って形成したい新畦305の上面307の高さ設定を行った後に、トラクタ501に乗って畦301に沿って運転し、盛土装置141及び畦上面削土装置151を駆動して畦301に土を盛り、畦形成装置131を駆動して新畦305を形成する。このとき、ディスク部133は新畦305の傾斜面306を形成し、円筒部(小径円筒部134または大径円筒部134a)は新畦305の上面307を形成する。
【符号の説明】
【0045】
101 畦形成機
102 機枠
139 支軸(回動軸)
151 畦上面削土装置(削土部)
153a 第1フレーム
153b 第2フレーム
154 削土ロータ
158 調整ロッド(位置調整部)
159 連結ロッド(連結部)
159d スプリング(弾性部)
159e カラー(保持位置調整部材)
159g 抜止部
301 畦(旧畦)
303 上面(旧畦の上面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠と、
前記機枠に設けられ旧畦の上面を削る削土部と、
を備え、
前記削土部は、
前記機枠に回動自在に連結される第1フレームと、
前記第1フレームの回動軸と同心で前記機枠又は前記第1フレームに回動自在に連結される第2フレームと、
前記第2フレームの回動先端側に設けられ前記旧畦の上面を削る削土ロータと、
前記機枠と前記第1フレームとに掛け渡される伸縮自在の位置調整部と、
前記第1フレームと前記第2フレームとに架け渡される連結部と、
前記連結部に設けられ、前記第1フレームと前記第2フレームとを離反させる方向に押す弾性部と、
を含む、畦形成機。
【請求項2】
前記連結部は、前記第2フレームに回動自在に連結され前記第1フレームにスライド自在に保持される連結ロッドであり、
前記弾性部は、前記連結ロッドに装着されるスプリングであり、
前記連結ロッドに装着される保持位置調整部材を更に備え、
前記第1フレームと前記スプリングと前記保持位置調整部材との前記連結ロッドからの抜け止めをする抜止部を更に備える、
請求項1記載の畦形成機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−211943(P2011−211943A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82108(P2010−82108)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【Fターム(参考)】