説明

番組編集送出システム

【課題】編集用元素材を編集し、編集済素材として送出した場合には、編集に使用した編集用元素材が失われるケースが多く、再編集する場合には、当該編集用元素材が存在しないことがあった。
【解決手段】編集用元素材をランダムアクセス可能な放送素材記録装置に保存し、放送素材記録装置に保存された編集用元素材を編集する編集機と、編集した編集済素材を放送素材記録装置から送出する番組編集送出システムにおいて、プロジェクトデータから編集済素材と編集用元素材との関係を抜き出した情報である元素材情報データを作成し、再び編集する場合には、編集済素材とプロジェクトデータと元素材情報データとを使用して編集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編集機によって編集され、記録装置に保存された編集済素材を放送する番組編集送出システムに係り、特に、放送済等の理由で記録装置から不用となった編集済素材を再利用するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の番組編集送出システムの一例を図1〜図3によって説明する(特許文献1参照。)。
なお、各図の説明において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、できるだけ説明の重複を避けるため、説明を省略する。
【0003】
図1は、従来の番組編集送出システムの構成の一例を示すブロック図である。101は映像データ再生装置、102は編集機、103は放送素材記録装置(ビデオサーバ)、104は制御装置、105はデータベースである。放送素材記録装置103は、ランダムアクセス可能な記録装置である。
図1の番組編集送出システムでは、番組編集に関しては、編集機102が内部に保有するソフトウエアに従って処理動作を実行する。また番組送出に関しては、制御装置104が内部に保有するソフトウエアに従って処理動作を実行する。また、システム全体の制御は、制御装置104が処理動作を実行する。
図1において、映像データ再生装置101は、セットされた映像記録媒体から、映像記録媒体に記録されている編集用元素材を再生し、再生したデータ(編集用元素材)D1を放送素材記録装置103に出力する。放送素材記録装置103は入力された編集用元素材を保存する。なお、本明細書における映像データとは、映像若しくは音声の少なくともいずれか1つである。
編集機102は、図示しない表示部、キーボード、ポインティングデバイス、または操作器等を具備し、編集者がGUI( Graphical User Interface )操作等の手段で、放送素材記録装置103に保存された編集用元素材の編集を行う。
なお、映像データ再生装置101が、映像記録媒体から、再生したデータ(編集用元素材)D1を放送素材記録装置103に出力する場合に、編集機102を介して、放送素材記録装置103に出力しても良い。
【0004】
図1に示す従来の番組編集送出システムでは、編集機102は、放送素材記録装置103に保存された編集用元素材から1つ以上の編集用元素材D0を読み出し、編集を行う。
編集が完了した場合には、編集機102は、編集完了通知D5を制御装置104に出力すると共に、編集結果映像(編集済素材及びプロジェクトデータ)D4を、直接、放送素材記録装置103に出力する。放送素材記録装置103は、入力された編集結果映像D4を、送出するための編集済素材として保存する。
また、編集機102は、編集が完了した場合には、プレイリストに必要なロール情報D6をデータベース105に出力する。データベース105は、入力されたロール情報を書き込み保存する。
さらに制御装置104は、放送素材記録装置103とデータベース105を制御して、放送素材記録装置103から編集済素材を読み出し、読み出した編集済素材を放送する番組として送出する。即ち、制御装置104は、データベース105から、番組送出すべきプレイリストD2を読み出し、読み出したプレイリストD2に基づいて、送出制御データD3を放送素材記録装置103に出力する。放送素材記録装置103は、制御装置104から入力された送出制御データD3に基づいて、保存していた編集済素材を選択して、選択した編集済素材を番組として送出する。
【0005】
図2は、番組内のロールが個別に編集された場合のデータフォーマットの模式図である。201は編集機102で編集された編集済素材、202は編集された編集済素材の編集結果から作成されたロール情報、203は編集済素材の編集結果から作成されたプレイリストである。図1を参照しながら、図2のデータフォーマットについて説明する。
図2において、編集機102で個々に編集された、3つの編集済素材201を説明する。編集済素材201は、それぞれ、ロール番号R01、ロール番号R02、及びロール番号R03の3つである。
それぞれの編集済素材201は、それぞれ、素材長が保存される。素材長は、時間[h]:分[min]:秒[s]が保存される。例えば、ロール番号R01の素材長が1[min](00:01:00で示す)、ロール番号R02の素材長が1.5[min](00:01:30で示す)、ロール番号R03の素材長が30[s](00:00:30で示す)である。
編集機102は、これらの編集済素材201を放送素材記録装置103に出力すると共に、それらのロール情報202(図1におけるD6)をデータベース105に出力する。
データベース105は、入力されたロール情報202に、CM( commercial message )情報(CM01、CM02、等)を挿入したプレイリスト203を作成し、保存する。保存されたプレイリスト203は、放送時刻(送出時刻)が近づくと、プレイリストD2として制御装置104に出力される。
【0006】
図3は、番組内のロールが全体で1ロールに編集された場合のデータフォーマットを説明するための模式図である。301は編集済素材R01、302と304は黒味部分、303は編集済素材R02、305は編集済素材R03、302’と304’はCM素材である。図3に示すロール(図3の最下段に示す)は、編集済素材(R01)301、CM素材(CM01)302’、編集済素材(R02)302、CM素材(CM02)304’、編集済素材(R02)305で構成されている。
図1と図2を参照しながら図3について説明する。
図3において、図1でも説明したように、編集機102は、プレイリスト203に必要なロール情報202(データD6)のデータベース105への書き込みを行っている。
【0007】
例えば、図2に示したように、番組内のロールがそれぞれ個々の映像素材として編集されている場合には、送出素材の割り付けは、番組内の個々のイベントデータに対して1つの編集結果という形となる。そのため、編集機102は、この場合には、それぞれのロール201の素材長(デュレーション)情報をデータベース105に送信する。
そして、データベース105では、送信された各ロールの素材長情報を基に、間にCM素材等の別素材を挟むことによりプレイリスト203が作成される。間に挿入される別素材の素材長は、白由に決めることができる。本方式では送出素材の割り付けを個々のイベントに対して行う際に個々のイベントのデュレーションも更新し、自動的にプレイリストに反映可能な状態とする。
【0008】
また例えば、図3に示したように、番組内の複数のロールが全て1素材として編集されている場合には、送出素材の割り付けは番組内の全イベントデータに対して、1つの編集済素材ということになる。
即ち、図3の最下段に示されたロールである。このような場合には、編集機102は、個々のロールの開始点(IN点)及び素材長(デュレーション)の情報をデータベース105に送信する。そして、データベース105では、送信された各ロールの開始点情報及び素材長情報を基に、黒味部分302及び304に指定された長さのCM素材等を挟むことにより、プレイリスト203が作成される。
即ち、図3の一番上の段と一番下の段で示すように、黒味部分302の替りにCM素材302’が挿入され、黒味部分304の替りにCM素材304’が挿入されている。
【0009】
即ち、放送に供するために、編集用元素材を、ランダムアクセス可能な放送素材記録装置に保存し、当該収録素材を編集機によって編集し、プレイリストに従って放送を行う番組編集送出システムにおいて、編集時に作成される個々のロール情報又は連続したロール情報を番組情報として反映し、送出時のプレイリストとして利用可能としている。しかし編集後には、編集用元素材が存在せず、編集中に含まれる編集用のデータ(以下、プロジェクトデータと称する)と編集済素材しか放送素材記録装置に存在しないことが頻繁に発生する。
【0010】
上述のように、従来の番組編集送出システムでは、編集用元素材(編集前の素材)を編集した後は、編集後の素材(編集済素材)とそのプロジェクトデータをアーカイブするだけで、編集用元素材が残らない場合があった。このため、編集用元素材を再度利用することができず、再度利用したい場合には、アーカイブされていた編集用済素材をロードして編集していた。
これは、編集途中では作成されるプロジェクトデータ及び編集途中の素材をアーカイブしていないことに起因する。さらに、編集途中のプロジェクトデータ及び編集途中の素材がアーカイブされていたとしても、編集に使用される編集用元素材が放送素材記録装置に残されていないことに起因する。
このように、編集に使用した編集用元素材が放送素材記録装置に残されていない場合には、同じ編集用元素材を使って再編集ができない。
即ち、従来は、編集後の編集済素材を使用することは可能であるが、編集用元素材を再利用することができないことがあった。
【0011】
図4は、従来の番組編集送出システムの、編集におけるアーカイブ処理とロード処理の様子を模式的に示した図である。401は編集用元素材格納エリア、402は編集用元素材A、403は編集用元素材B、404は編集用元素材C、405はプロジェクトデータ格納エリア、406は編集用元素材Aの情報、407は編集用元素材Bの情報、408は編集用元素材Cの情報、409は編集済素材格納エリア、410は編集済素材X、411はアーカイブエリア、412はアーカイブされた編集済素材X、413は新たな編集用元素材X’である。編集用元素材格納エリア401、プロジェクトデータ格納エリア405、編集済素材格納エリア409、及びアーカイブエリア411は、それぞれ、放送素材記録装置内のデータエリアである。
図4における放送素材記録装置の編集用元素材格納エリア401には、複数の編集用元素材が、予め格納されている。しかし、図4においては、3つの編集用元素材A、B、及びCだけを図示している。
【0012】
図4において、編集用元素材格納エリア401に格納された3つの編集用元素材A402、B403、及びC404を用いて編集が行なわれた場合の番組編集送出システムにおける編集処理の一例を説明する(図1〜図3参照)。
編集者が、編集機102を用いて、編集用元素材A402、編集用元素材B403、編集用元素材C404を使用して編集を行うと、プロジェクトデータ格納エリア405の情報として、編集用元素材Aの情報406、編集用元素材Bの情報407、及び編集用元素材Cの情報408が作成される。
ここで、編集用元素材の情報は、それぞれ、編集用元素材格納エリア401内に格納された編集用元素材をそれぞれ参照する。即ち、編集用元素材Aの情報406は、編集用元素材A402を参照し、編集用元素材Bの情報407は、編集用元素材B403を参照し、編集用元素材Cの情報408は、編集用元素材C404を参照する。
【0013】
編集が完了すると、放送素材記録装置103の編集済素材格納エリア409内に編集済素材X410として保存され、放送に使用される。
放送(送出)が完了した編集済素材X410には、アーカイブ指示が出される。編集済素材X410は、アーカイブ指示によりアーカイブエリア411に移動され、アーカイブされた編集済素材X412として保存される。
編集済素材X412を再利用する場合には、ロード指示により、アーカイブエリア411から、編集用元素材格納エリア401にコピーされ、新たな編集用元素材X’413となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−205990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
編集済素材を編集過程から再編集を行うために、放送素材記録装置から、プロジェクトデータを含めてロードすることがある。
この場合に問題となるのは、上述のように、プロジェクトデータに含まれる編集用元素材の情報に対応する編集用元素材が、放送素材記録装置内に存在しないケースが頻繁に発生することである。この理由は、編集済素材がアーカイブされる場合には、編集用元素材も不用となるケースが多いことに起因する。このため、編集用元素材が削除されていると考えられ、編集のプロジェクトデータをロードしたとしても編集用元素材が無いために編集を再開できない。
【0016】
図5の例によって上記問題を説明する。図5は、従来の編集用元素材の一部が存在する場合の、プロジェクトデータと元素材情報データの関係を模式的に示した図である。501は編集用元素材格納エリア、509は編集済素材格納エリア、511はアーカイブエリア、551は編集済素材と共に編集済素材格納エリア509に保存されたプロジェクトデータ、552はアーカイブエリア511に保存されたプロジェクトデータ、553は編集用元素材格納エリア501に保存されたプロジェクトデータである。なお、編集用元素材格納エリア501、編集済素材格納エリア509、及びアーカイブエリア511は、放送用素材記録装置(図1の放送用素材記録装置103参照)内に設けられる。
図5において、放送用素材記録装置は、編集済素材格納エリア509に編集済素材410と共に保存されたプロジェクトデータ551を、編集済素材X412と共にアーカイブし、プロジェクトデータ552としてアーカイブエリア511に保存する。アーカイブされた編集済素材412を編集用元素材413としてロードする場合には、対応するプロジェクトデータ552をロードし、プロジェクトデータ553として編集用元素材格納エリア501に保存する。この場合に、ロードされたプロジェクトデータ553が参照している編集用元素材A402、編集用元素材B403、及び編集用元素材C404が既にアーカイブ済で、編集用元素材格納エリア501に存在しない場合、プロジェクトデータに対応する素材が存在しないため、再編集(編集の再開)ができない。
【0017】
本発明は、上記のような問題に鑑み、ロードされたプロジェクトデータと編集済素材から編集に必要な情報を再構成し、編集用元素材が存在しない状態で編集を再開することが可能な番組編集送出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明の番組編集送出システムは、編集用元素材を保存する放送素材記録装置と、該保存された編集用元素材を編集し編集済素材、プロジェクトデータ、及びロール情報を作成する編集機と、該ロール情報を基にプレイリストを作成するデータベースと、該データベースが作成した該プレイリストに基づいて、前記放送素材記録装置に保存された前記編集済素材を送出する番組編集送出システムにおいて、前記編集機は、前記プロジェクトデータから前記編集済素材と前記編集用元素材との関係を抜き出した情報である元素材情報データを作成し、前記放送素材記録装置は、該作成された元素材情報データを格納し、該元素材情報データと前記編集済素材と前記プロジェクトデータとに基づいて編集を行うものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、編集済素材をアーカイブし、ロードして再編集を行う番組編集送出システムにおいて、従来は、プロジェクトデータに対応する編集用元素材が全て揃っていなければ、編集済素材の再編集が不可能であったのに対して、プロジェクトデータと編集済素材があれば編集済素材の再編集を行うことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の番組編集送出システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】番組内のロールが個別に編集された場合のデータフォーマットの模式図である。
【図3】番組内のロールが全体で1ロールに編集された場合のデータフォーマットを説明するための模式図である。
【図4】従来の番組編集送出システムの編集におけるアーカイブ処理とロード処理の様子の一例を模式的に示した図である。
【図5】従来の編集用元素材の一部が存在する場合の、プロジェクトデータと元素材情報データの関係を模式的に示した図である。
【図6】本発明の番組編集送出システムの一実施例のプロジェクトデータと元素材情報データの関係を模式的に示した図である。
【図7】本発明の番組編集送出システムの一実施例のプロジェクトデータと元素材情報データの関係を模式的に示した図である。
【図8】本発明の番組編集送出システムの一実施例のプロジェクトデータと元素材情報データの関係を模式的に示した図である。
【図9】本発明の番組編集送出システムの構成の一実施例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、編集機によって編集され、ランダムアクセス可能な放送素材記録装置に保存された編集済素材を放送素材記録装置から出力される編集済素材を放送する番組編集送出システムにおいて、放送済などで放送素材記録装置から不用となった編集済素材を、記録装置にアーカイブし、再び必要となった際にロードして再利用するシステムである。
以下に本発明の一実施形態を図面等を用いて説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
【0022】
図6を用いて、本発明の番組編集送出システムにおける編集用元素材の一部が存在する場合の、プロジェクトデータと元素材情報データの関係の一実施形態を説明する。図6は、本発明の番組編集送出システムの一実施例のプロジェクトデータと元素材情報データの関係を模式的に示した図である。601は編集用元素材格納エリア、609は編集済素材格納エリア、611はアーカイブエリア、651は編集済素材と共に編集済素材格納エリア609に保存された元素材情報データ、652はアーカイブエリア611に保存された元素材情報データ、653は編集用元素材格納エリア601に保存された元素材情報データである。
【0023】
図6において示すように、編集機102は、編集が完了して編集済素材を作成する際に、プロジェクトデータ551と共に元素材情報データ651を編集済素材格納エリア609に保存する。元素材情報データ651の内容は、プロジェクトデータ551から編集済素材X410と編集用元素材A406、B407、及びC408の関係だけを抜き出した内容である。例えば、その内容は、編集済素材X410と編集用元素材A406、B407、及びC408とをそれぞれ順番に関連付けるためのデータ(例えば、ポインタデータ)である。
編集済素材X410をアーカイブする際には、アーカイブされたプロジェクトデータ552と共に元素材情報データ651をアーカイブし、元素材情報データ652としてアーカイブエリア611に編集済素材X412として保存する。
【0024】
アーカイブされた編集済素材X412を、編集用元素材X’413としてロードするときには、対応するプロジェクトデータ552をロードし、プロジェクトデータ553として保存する。この際に対応する元素材情報データ652を同時にロードし、元素材情報データ653として編集用元素材格納エリア601に保存する。
【0025】
プロジェクトデータ553を参照して編集を再開するときには、元素材情報データ653が存在するか否かを確認する。元素材情報データ653が存在する場合には、元素材情報データ653として保存された元素材情報により編集用元素材の情報を読み替え、編集用元素材Aの代わりにロードされた編集済素材X’413の一部を、編集用元素材B403の代わりにロードされた編集済素材X’413の一部を、編集用元素材C404の代わりにロードされた編集済素材X’413の一部を参照する。これにより、編集用元素材が存在しなくても、編集済素材の再編集若しくは編集中の素材の編集の再開が可能となる。
【0026】
図7を用いて、本発明の番組編集送出システムにおけるプロジェクトデータと元素材情報データの関係の一実施形態を説明する。図7は、本発明の番組編集送出システムの一実施例のプロジェクトデータと元素材情報データの関係を模式的に示した図である。701は編集用元素材格納エリア、721はプロジェクトデータ、722は元素材情報データである。
図7において、編集者の編集機の操作に対応して、編集用元素材格納エリア701に格納された3つの編集用元素材A702、B703、及びC704が編集され、プロジェクトデータ格納エリア405の情報として、編集用元素材Aの情報406、編集用元素材Bの情報407、及び編集用元素材Cの情報408が作成されるまでは、図4と同様である。
【0027】
プロジェクトデータ721には、使用している編集用元素材A402、編集用元素材B403、編集用元素材C404に対して、編集済素材X410上での位置(TC)、編集用元素材A402、編集用元素材B403、及び編集用元素材C404上でのそれぞれの開始位置(開始点:IN)、編集用元素材上での終了位置(終了点:OUT)の情報、及びそれ以外に編集に必要な情報が含まれる。なお、終了位置(OUT)の替わりに素材長を用い、開始位置と組み合わせても良い。また、開始位置(IN)の替わりに素材長を用い、終了位置と組み合わせても良い。
元素材情報データ722には、プロジェクトデータ721の内容のうち、使用している編集用元素材A402、編集用元素材B403、編集用元素材C404に対して、編集済素材上での位置(TC)、編集用元素材上での開始位置(IN)、編集用元素材上での終了位置(OUT)の情報のみが含まれる。
【0028】
次に、図8によって、本発明の番組編集送出システムにおいて、編集用元素材の一部が既にロード済であった場合のプロジェクトデータと元素材情報データの関係の一実施形態を説明する。図8は、本発明の番組編集送出システムの一実施例のプロジェクトデータと元素材情報データの関係を模式的に示した図である。801は編集用元素材格納エリア、853はプロジェクトデータである。
【0029】
図8において、放送素材記録装置のプロジェクトデータ格納エリアからロードされたプロジェクトデータ653を参照して編集を再開するときに、プロジェクトデータ653に含まれる編集用元素材A、B、及びCが、編集用元素材格納エリア801に存在するか否かの確認を行う。
編集用元素材格納エリア801に編集用元素材A、B、及びCが存在する場合には、そのまま編集用元素材格納エリア801内の編集用元素材A、B、及びCを参照して、編集者は、編集機を操作して編集を行うことができる。
【0030】
なお、編集用元素材格納エリア801に編集用元素材A、B、及びCが存在しない場合には、プロジェクトデータ653を参照し、プロジェクトデータ653のIN、OUTの情報をもとに、ロードされた新たな編集用元素材X’413を参照する。
【0031】
上述の実施例によれば、編集用元素材が存在する場合には編集用元素材を参照し、編集用元素材が存在しない場合にはロードされたプロジェクトデータを参照して編集を再開することができる。
【0032】
図9を用いて、本発明の番組編集送出システムの一実施例の構成について説明する。図9は、本発明の番組編集送出システムの構成の一実施例を示すブロック図である。902は編集機、903は放送素材記録装置(ビデオサーバ)である。また、放送素材記録装置903において、981は編集用元素材格納エリア、985はプロジェクトデータ格納エリア、989は編集済素材格納エリア、991はアーカイブエリアである。図9の実施例は、図1の構成に比べて、編集機102の替りに編集機902を設け、放送素材記録装置103の替りに放送素材記録装置903を設け、放送素材記録装置903内に、編集用元素材格納エリア981、編集済素材格納エリア989、アーカイブエリア991に加え、プロジェクトデータ格納エリア985を設けたものである。
図9において、映像データ再生装置101は、セットされた映像記録媒体から、映像記録媒体に記録されている編集用元素材を再生し、再生したデータD1を放送素材記録装置903に出力する。なお、本明細書における映像データとは、少なくとも映像若しくは音声のいずれか1つである。
編集機は、図示しない表示部、キーボード、ポインティングデバイス、または操作器等を具備し、編集者がGUI( Graphical User Interface )操作等で編集を行う。
【0033】
図9に示す本発明の一実施形態の番組編集送出システムでは、編集機902は、編集が完了した場合には、編集完了通知D5を制御装置104に出力すると共に、編集結果映像(編集済素材及びプロジェクトデータ)D4を、放送素材記録装置903に出力する。放送素材記録装置903は、入力された編集結果映像D4を、送出するための編集済素材として保存する。
編集機902は、編集済素材を作成する場合には、プロジェクトデータ551と共に元素材情報データ(D99)651を作成し、放送素材記録装置903に出力する。元素材情報データ651は、編集済素材格納エリア989に保存される(図6参照)。このとき、編集機902は、プレイリストに必要なロール情報D6をデータベース105に出力する。データベース105は、入力されたロール情報を書き込み保存する。
【0034】
なお、制御装置104は、図1と同様に、放送素材記録装置903とデータベース105制御して、放送素材記録装置903から編集済素材を読み出し、読み出した編集済素材を放送する番組として送出を行う。即ち、制御装置104は、データベース105から、番組送出すべきプレイリストD2を読み出し、読み出したプレイリストD2に基づいて、送出制御データD3を放送素材記録装置903に出力する。放送素材記録装置903は、制御装置104から入力された送出制御データD3に基づいて、保存していた編集済素材を選択して、選択した編集済素材を番組として送出する。
【0035】
また、編集機902は、編集途中においても、所定のタイミングで、若しくは所定の操作終了毎に、編集済データとして、プロジェクトデータ551と共に元素材情報データ651を編集済素材格納エリア989に保存する。
この場合の元素材情報データ651の内容は、編集が完了した場合と同様である。また、編集途中の場合の編集済素材X410をアーカイブする際にも、編集が完了した場合と同様である。
【0036】
放送素材である編集用元素材を編集し、送出した場合には、編集に使用した編集用元素材が失われるケースが多く、再編集する場合には、元の編集用元素材が存在しないことがあった。
そこで、本発明の一実施形態は、プロジェクトデータから編集済素材と編集用元素材との関係を抜き出した情報である元素材情報データを作成し、再び編集する場合には、編集済素材とプロジェクトデータと元素材情報データとを使用して編集するようにした。
この結果、編集用元素材が存在しない場合には、保存された元素材情報データを基に編集済素材を参照して、編集用元素材を再編集可能とすることが可能となった。
【符号の説明】
【0037】
101:映像データ再生装置、 102:編集機、 103:放送素材記録装置、 104:制御装置、 105:データベース、 201:編集済素材、 202:ロール情報、 203:プレイリスト、 301、303、305:編集済素材、 302、304:黒味部分、 302’、304’:CM素材、 401:編集用元素材格納エリア、 402:編集用元素材A、 403:編集用元素材B、 404:編集用元素材B、 405:プロジェクトデータ格納エリア、 406:編集用元素材Aの情報、 407:編集用元素材Bの情報、 408:編集用元素材Cの情報、 409:編集済素材格納エリア、 410:編集済素材X、 411:アーカイブエリア、 412:アーカイブされた編集済素材X’、 413:新たな編集用元素材、 501:編集用元素材格納エリア、 509:編集済素材格納エリア、 511:アーカイブエリア、 551、552、553:プロジェクトデータ、 601:編集用元素材格納エリア、 609:編集済素材格納エリア、 611:アーカイブエリア、 651、652、653:元素材情報データ、 701:編集用元素材格納エリア、 721:プロジェクトデータ、 722:元素材情報データ、 801:編集用元素材格納エリア、 853:プロジェクトデータ、 902:編集機、 903:放送素材記録装置、 981:編集用元素材格納エリア、 985:プロジェクトデータ格納エリア、 989:編集済素材格納エリア、 991:アーカイブエリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編集用元素材を保存する放送素材記録装置と、該保存された編集用元素材を編集し編集済素材、プロジェクトデータ、及びロール情報を作成する編集機と、該ロール情報を基にプレイリストを作成するデータベースと、該データベースが作成した該プレイリストに基づいて、前記放送素材記録装置に保存された前記編集済素材を送出する番組編集送出システムにおいて、
前記編集機は、前記プロジェクトデータから前記編集済素材と前記編集用元素材との関係を抜き出した情報である元素材情報データを作成し、
前記放送素材記録装置は、該作成された元素材情報データを格納し、
該元素材情報データと前記編集済素材と前記プロジェクトデータとに基づいて編集を行うことを特徴とする番組編集送出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−34218(P2012−34218A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172536(P2010−172536)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】