説明

異なる注射剤を収容可能な容器

【課題】第一の容器内に充填されている第一の薬液と、第二の容器内に充填されている第二の薬液または粉末状の薬剤とを、互いに混ざらない一時的な分離状態を保ち、第一の薬液と第二の薬液または粉末状の薬剤とを混合または溶解させる必要があるときには、第一の容器に力を加えてセパレータを第二の容器内に押し込むことで、皮下注射用の注射用薬液の混合作業が完了することができる容器を提供する。
【解決手段】第一の容器40と、第二の容器54と、セパレータ60とを備え、第一の容器は上部面41と下部面42との間に互いに連通する中空円筒体であり、前記第二の容器は上部面51が開口状をなし下部面52が封止面をなしている中空円筒体であって、セパレータは第二の容器内に嵌入されるとともに、第一の容器の下段部が第二の容器の上段部内に嵌入される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は「異なる注射剤を収容可能な容器」に関し、とりわけ二種類以上の異なる注射用薬液を、まず同じ容器内に充填するとともに互いが混ざり合わないような一時的な分離状態を保ち、皮下注射治療用として混ぜ合わせる必要があるときには、注射針を道具とすることなく、この同じ容器にて異なる薬剤の混合を完了するものであり、全過程において無菌で作業して薬剤が汚染されることを回避するのみならず、医療従事者が注射針でけがをする危険性を排除することができる。
【背景技術】
【0002】
図1ないし図3に示すように、これは医療現場で現在、注射用薬液処方剤に使用される容器構造であって、容器本体10と、栓20と、キャップ30とからなり、このうち、当該容器本体10は中空円筒体であって、その上面中央には瓶口11が設けられるとともに、その内部の中空収容室12に連通しており、瓶口11寄りの外縁面には内側に収縮しているネック部13が凹設されている。当該栓20は無害の高密度弾性ゴム材質製であって、その上面21の外径は容器本体10の瓶口11の外径と同じであり、しかも底部中央には突出部22が下向きに凸設されており、当該突出部22は容器本体10の瓶口11内に嵌入することができる。当該キャップ30は金属薄板をプレス成形した円形中空体であって、その上部縁面には別途、プラスチック材質を射出成型した安全キャップ31が被さるように取り付けられている。注射用薬液処方剤Rを容器本体10の中空収容室12に充填した後、まず栓20の突出部22を容器本体10の瓶口11内に嵌入して、さらにキャップ30を栓20上に被せるとともに、その底縁周囲の末端を内側に折り曲げて容器本体10のネック部13に密着させたとき、栓20は力を受けて容器本体10の瓶口11を完全に密封して、ひいては中空収容室12内の注射用薬液処方剤Rは容器本体10の外に全く漏れ出さないようになる(図3に示すとおり)。
【0003】
日本の武田製薬社(Takeda Pharmaceutical Company Limited)が生産する、乳がんおよび前立腺がんを治療する皮下注射製剤(化学名5−oxo−prolyl−histidyl−tryptophyl−seryl−tyrosyl−D−leucyl−arginyl−N−ethyl−prolinamide monoacetate)を例にとると、これは黄白色の粉末であり、正式の医師が処方箋を出した後、初めて注射方式で乳がんまたは前立腺がんの患者に施薬するものであって、注射前にまず当該粉末状の酢酸リュープロレリン(Leuprorelin acetate)薬剤を薬液中に溶かした後でなければ、注射器で皮下注射を行うことはできないため、その販売されるパッケージには、粉末状の酢酸リュープロレリン薬剤が容器本体10に充填封入されている以外に、薬剤溶液が充填されているアンプル瓶が別に添付されている。混合作業の手順は図4ないし図9に示すとおりである。a.まず、指でアンプル瓶1の頭部を握って、力を加えて折る(図4に示すとおり)、b.次に注射針3をアンプル瓶1内に挿入して、その内部に充填されている薬剤溶液R1をシリンジ2内に吸入する(図5に示すとおり)、c.続いて、容器本体10の安全キャップ31のうちのいずれかの縁に指を引っ掛けて、さらに上向きに力を加えてキャップ30を外す(図6に示すとおり)、d.そして注射針3を栓20に刺入して容器本体10の中空収容室12内に挿入するとともに、シリンジ2内の薬剤溶液R1をすべて中空収容室12に吐出して、当該中空収容室12内の粉末状の酢酸リュープロレリン薬剤Sを溶解させる(図7に示すとおり)、e.その後注射針3を容器本体10の外に抜き出して、容器本体10を数回振って十分に混ぜ合わせることで、注射用薬液M1として完全に溶解される(図8に示すとおり)、f.最後に、再度注射針3を当該容器本体10に挿入し当該注射用薬液M1を吸入して、患者への皮下注射を行うことができるようになる(図9に示すとおり)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した作業過程中から分かるように、手順bおよびcではいずれも注射針3およびシリンジ2を薬剤溶解の作業道具としていることから、医療従事者それぞれの注意力および熟練度の違いにより、外部の異物または細菌が薬剤溶液R1または粉末状の酢酸リュープロレリン薬剤Sに混入して汚染されてしまう危険性があり、もし些かでも不注意があれば、全過程において無菌作業の要求を達成できなくなる以外に、手順bおよびdの作業過程においても、医療従事者が注射針でけがをする恐れがある。
【0005】
さらに、当該薬剤溶液R1が充填されているアンプル瓶1および粉末状の酢酸リュープロレリン薬剤Sが充填されている容器本体10において、その両者の製造時期は決して同一ではなく、薬品メーカが計画した製造時期に製造されているため、各々の有効期限も異なりうる。よって医療機関が購入して保管するときには両者の有効期限を別に管理しなければならず、場合によっては、医療従事者が混ぜ合わせて溶解させる作業の前に、有効期限内であるか否かを特に肉眼にて識別しなければならない。もし期限が過ぎていた場合には、この皮下注射の注射用薬液M1は有効期限が過ぎているために、治療効果がなくなる。
【0006】
また図10ないし図12に示すように、その他疾病を治療するある混合型注射用製剤において、第一の薬液R2および第二の薬液R3は二つの容器本体10aおよび10b内にそれぞれ充填されており、皮下注射前の混合作業の手順は次のとおりである。a.まず注射針3を、第一の薬液R2が充填されている容器本体10aの中空収容室12a内に挿入するとともに、当該第一の薬液R2のすべてをシリンジ2内に吸入し、その後容器本体10a(図10に示すとおり)から抜き出し、b.再度注射針3を容器本体10bの中空収容室12b内に挿入するとともに、シリンジ2内の第一の薬液R2をすべて吐出して、さらに容器本体10b(図11に示すとおり)から抜き出して、振ることでこの第一の薬液R2と第二の薬液R3とを中空収容室12b内で十分に混ぜ合わせて注射用薬液M2を得て(図12に示すとおり)、c.最後に再度注射針3を容器本体10bの中空収容室12b内に挿入することで、当該注射用薬液M2を吸入して患者への皮下注射を行うことができるようになる。前記作業過程においても注射針3およびシリンジ2を二種類の薬液を混合する道具としていることから、医療従事者それぞれの注意力および熟練度の違いにより、不注意にて注射針3が外部の異物に触れたり、細菌が付着することで第一の薬液R2または第二の薬液R3が汚染してしまう危険性がある。
【0007】
さらには、当該第一の薬液R2および第二の薬液R3はいずれも単独で各々の容器本体10aおよび10b内に充填されており、しかも当該容器本体10aおよび10bの各々の瓶口11aおよび11b上には、各々一つの栓20およびキャップ30を使用しなければならないので、医療機関で購入する際には栓20およびキャップ30の費用も支払うことになり、これを毎日・毎年の全世界での使用量の合計を計算していくと、その総支出額は膨大となってしまう。また、使用後に発生する栓20およびキャップ30の廃棄量についても環境保護において余分な負担が発生してしまう。
【0008】
よって、上記した従来の各々の欠点を如何に解決するかということは、緩怠が許されるものではなく、本発明者はこれに鑑みて積極的に研究を行い、ついに本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主な目的は、第一の容器と、第二の容器と、セパレータとを備えた「異なる注射剤を収容可能な容器」を提供するものであり、前記第一の容器は上部面と下部面との間に互いに連通する中空円筒体であり、前記第二の容器は上部面が開口状をなし下部面が封止面をなしている中空円筒体であって、前記セパレータは第二の容器内に嵌入されるとともに、前記第一の容器の下段部が第二の容器の上段部内に嵌入されている。セパレータで仕切ることにより、第一の容器内に充填されている第一の薬液と、第二の容器内に充填されている第二の薬液または粉末状の薬剤とを、互いに混ざらない一時的な分離状態を保ち、第一の薬液と第二の薬液または粉末状の薬剤とを混合または溶解させる必要があるときには、第一の容器に力を加えてセパレータを第二の容器内に押し込むことで、皮下注射用の注射用薬液の混合作業が完了するものであり、その作業過程において注射針およびシリンジを、薬剤を混合する道具とする必要はなく、全過程にて無菌で作業する要求を達成して薬剤が汚染されることを回避し、さらには医療従事者が注射針でけがをする危険性を排除することができる。
【0010】
本発明の他の目的は、第一の容器と第二の容器との間が、間隔をおいて断裂部を有する安全リングで連結固定されているので、第一の薬液および第二の薬液または粉末状の薬剤をそれぞれ充填した後には、従来の栓およびキャップ組のみで封止の効果を達成できるので、栓およびキャップの使用量およびその支出コストを低減するとともに、環境保護における負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来の注射用薬液容器の立体分解図である。
【図2】従来の注射用薬液容器の組み立て図である。
【図3】図2における3−3断面線での断面図である。
【図4】薬液が充填されている従来のアンプル瓶である。
【図5】注射針でアンプル瓶内の薬液を吸引するときの概略図である。
【図6】従来の粉末状薬剤容器のキャップを開けるときの概略図である。
【図7】従来における注射薬液を混合・溶解する作業の概略図(一)である。
【図8】従来における注射薬液を混合・溶解する作業の概略図(二)である。
【図9】従来における注射薬液を混合・溶解する作業の概略図(三)である。
【図10】従来における注射薬液を混合・溶解する作業の概略図(四)である。
【図11】従来における注射薬液を混合・溶解する作業の概略図(五)である。
【図12】従来における混合後の注射用薬液を注射針で吸入するときの概略図である。
【図13】本発明の立体分解図である。
【図14】図13における14−14断面線での断面図である。
【図15】図13における15−15断面線での断面図である。
【図16】図13における16−16断面線での断面図である。
【図17】本発明の組み立て、および薬液を充填する作業の概略図(一)である。
【図18】本発明の組み立て、および薬液を充填する作業の概略図(二)である。
【図19】本発明の組み立て、および薬液を充填する作業の概略図(三)である。
【図20】本発明の組み立て、および薬液を充填する作業の概略図(四)である。
【図21】本発明の組み立て、および薬液を充填する作業の概略図(五)である。
【図22】本発明の取り扱い使用作業の概略図(一)である。
【図23】本発明の取り扱い使用作業の概略図(二)である。
【図24】本発明の取り扱い使用作業の概略図(三)である。
【図25】本発明の取り扱い使用作業の概略図(四)である。
【図26】本発明の取り扱い使用作業の概略図(五)である。
【図27】本発明におけるセパレータの他の実施例の断面概略図である。
【図28】本発明における他の実施例の組み立て断面概略図である。
【図29】本発明の他の実施例におけるシールリングの断面概略図である。
【図30】本発明における第二の容器の他の実施例の断面概略図である。
【図31】図30における30−30断面線での断面図である。
【図32】本発明における第二の容器の他の実施例の組み立て断面図である。
【図33】本発明におけるセパレータのさらに他の実施例の断面概略図である。
【図34】本発明におけるセパレータのさらに他の実施例および第二の容器の組み立て断面図である。
【図35】本発明のさらに他の実施例の分解断面概略図である。
【図36】本発明のさらに他の実施例の組み立て断面概略図である。
【図37】本発明のまたさらに他の実施例における第三の容器の断面概略図である。
【図38】本発明のまたさらに他の実施例における第二のセパレータの概略図である。
【図39】本発明のまたさらに他の実施例における立体組み立て図である。
【図40】図39における40−40断面線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図13ないし図16および図21に示すものを参照されたい。本発明の「異なる注射剤を収容可能な容器」は第一の容器40と、第二の容器50と、セパレータ60とを備えている。
【0013】
第一の容器40は上部面41と、下部面42と、側面43とを有している中空円筒体であり、前記上部面41と下部面42との間は前記側面43で囲まれるように一体に連接されており、しかもその両者の間の内部は第一の収容室44が互いに連通して形成されており、このうち、前記第一の収容室44と上部面41との接続部の開口部45は栓20の嵌入用とされるものであり、そして上部面41の側面43寄りには内側に収縮しているネック部46がさらに凹設されており、キャップ30を栓20に被嵌した後、さらにその底縁周囲末端を内側に折り曲げて前記第一の容器40のネック部46上に密着させ、栓20は前記第一の収容室44の開口部45上を完全に密封することができ(図21に示すとおり)、また、前記側面43の中段位置にはストッパフランジ47が周回するように凸設されており、しかもストッパフランジ47と下部面42との間の側面43上には位置決めフランジ48がさらに周回するように凸設されている。
【0014】
第二の容器50は、上部面51と、下部面52と、側面53とを有しており、前記上部面51は開口状をなし、前記下部面52は封止面をなしており、しかも前記上部面51と下部面52との間は側面53で囲まれるように中空円筒体として連接されているうえ、内部には第二の収容室54が形成されており、そして前記第二の収容室54の内径は第一の容器40の側面43の外径よりも概ね大きくなっており、このうち、前記上部面51上には間隔をおいて断裂部を有する安全リング55がさらに周回するように設けられており、かつ上部面51寄りの第二の収容室54の壁面にはストッパフランジ56がさらに周回するように凸設されており、そして前記ストッパフランジ56と下部面52との間に介在している第二の収容室54の壁面にはリング状係止部57がさらに凸設されているとともに、前記リング状係止部57の中央には係止溝58がさらに凹設されている。
【0015】
セパレータ60もまた上部面61と、下部面62と、側面63とを有しており、前記上部面61と下部面62との間は前記側面63で囲まれるように一体に連接されており、このうち、前記上部面61および側面63はシリコーン材質のソフトラバー層64で被覆されており、しかも側面63上に位置するソフトラバー層64にはフランジ部65が外側に向けてさらに周回するように凸設されている。
【0016】
図17ないし図21に示すように、本発明の組み立ておよび充填の手順は以下のとおりである。
【0017】
a.第一の薬液R2を第二の容器50の第二の収容室54内に充填する(図17に示すとおり)。
【0018】
b.セパレータ60の下部面62を第二の容器50の下部面52に向けて力を加えて、さらにセパレータ60の側面63を第二の収容室54の内の壁面上のリング状係止部57内に嵌入するが、このとき、前記セパレータ60中における側面63の外表面のソフトラバー層64のフランジ部65は、前記リング状係止部57の係止溝58と互いに密着して漏れ防止の作用をもたらす(図18に示すとおり)。
【0019】
c.第一の容器40の下部面42を第二の容器50の上部面51から貫通するようにセパレータ60の上部面61に当接させるが、このとき、第一の容器40の側面43上の位置決めフランジ48が、第二の容器50中における第二の収容室54の内の壁面上のストッパフランジ56と互いにしっかりと係着した状態となる(図19および図21中における左側拡大図に示すとおり)。
【0020】
d.続いて、第二の薬液R3を第一の容器40の開口部45から第一の収容室44内に充填するが、このとき、第一の容器40の下部面42はセパレータ60中における上部面61上のソフトラバー層64に完全に接合しているので、第一の収容室44の外部に漏れ出ることはない(図20中における右側拡大図に示すとおり)。
【0021】
e.最後に、順次、栓20を第一の容器40の上部面41の開口部45内に嵌入するとともに、キャップ30を栓20に被嵌し、さらにその底縁周囲末端を内側に折り曲げて前記第一の容器40のネック部46上に密着させることで、充填・パッキング組み立ての全過程が完了する(図21に示すとおり)。
【0022】
さらに、図22ないし図26に示すように、皮下注射を行う場合、まず第二の容器50の上部面51の安全リング55を切り離すと、第一の容器40の側面43上のストッパフランジ47と第二の容器50の上部面51との間に、前記安全リング55の高さに相当する空間隙間ができる(図22に示すとおり)。このとき、キャップ30に力を加えて押下すると、第一の容器40の下部面42がセパレータ60を押し動かして、前記セパレータ60の側面63が第二の容器50中における第二の収容室54のリング状係止部57から外れて(図23に示すとおり)、さらには完全に外れた後に全体が第二の容器50の54内に落下し、かつこれに伴い第一の収容室44内に充填されていた第二の薬液R3が、第二の収容室54内に充填されていた第一の薬液R2と混ざり合う(図24に示すとおり)。第一の薬液R2と第二の薬液R3とが注射用薬液M2として十分にそして完全に混ざり合った後、指をキャップ30上の安全キャップ31のいずれかの縁に引っ掛けて、上向きに力を加えてキャップ30を外し(図25に示すとおり)、そして注射針3を栓20に刺入し第一の容器40の第一の収容室44内に挿入して、注射用薬液M2を吸引することで、皮下注射の準備ができる(図26に示すとおり)。
【0023】
上記第一の薬液R2および第二の薬液R3は同時に第二の容器50および第一の容器40内に充填され、その両者の薬剤の有効期限は同日となることから、一方が期限切れになっているが、他方はまだ期限が来ていないという不具合はなくなるため、薬剤の期限切れにより破棄しなければならないという意味のない無駄を完全になくすことができると同時に、医療機関でのこの部分におけるコストの損失を抑えて、さらには将来的に採用したいという要望を高めることができる。さらには、前記第一の薬液R2と第二の薬液R3との混合作業過程はいずれも第一の容器40および第二の容器50内部で行われるため、全過程において無菌作業の要求を達成して、薬剤が汚染されることも回避でき、しかも注射針・シリンジまたはその他器具を、薬剤を混合する道具とする必要はなくなる。したがって、医療従事者が注射針でけがをするという危険性は根絶され、従来の薬剤混合の作業方式に比べても、高い安全性を備えている。
【0024】
図27に示すように、セパレータ60の他の実施例において、前記セパレータ60の上部面61上のソフトラバー層64の縁の最も外側には、さらに縁突起66が上向きに周回するように凸設されており(図27中における拡大図に示すとおり)、これは第一の容器40の下部面42がセパレータ60のソフトラバー層64に接合した後、より一層密着して漏れ防止の作用と効果をもたらす。
【0025】
図28および図29に示すように、本発明の他の実施例おいて、前記第一の容器40の下部面42上には、無害の軟質シリコーンラバー製のシールリング70がさらに嵌設されており、しかも前記シールリング70の軸方向リング体上面には、第一の容器40の下部面42を嵌入させるための溝71が凹設されるとともに、セパレータ60の上部面61上に接合した後、より一層密着して漏れ防止の効果をもたらす(図28中における拡大図に示すとおり)。
【0026】
さらに図30ないし図32に示すように、本発明における第二の容器50の他の実施例において、第二の容器50におけるリング状係止部57の底面位置寄りの第二の収容室54の壁面上には、複数のストッパ59が凸設されており、かつ前記複数のストッパ59が配列されている位置範囲は、円周の1/4に満たない範囲である(図31に示すように)。第一の容器40の下部面42が力を受けてセパレータ60の上部面61を押下したとき、この複数のストッパ59とセパレータ60の下部面62とが互いに接触する位置にて、前記セパレータ60における対向する側にあたかも持ち上げて開くような力の支点が生じるので(図32に示すように)、セパレータ60がリング状係止部57での係止から簡単にスムーズに解放されるようになる。
【0027】
また図33および図34に示すように、本発明におけるセパレータ60のさらに他の実施例において、前記セパレータ60の下部面62上にはさらに円形凹部67が内向きに凹設されており、前記円形凹部67の空間が、セパレータ60の側面63と第二の容器50のリング状係止部57とを互いに係合または外す動作において、弾性的に内側に縮む作用空間を提供しており、作業のさらなる省力効果をもたらす。
【0028】
図35および図36に示すように、本発明のさらに他の実施例において、第一の容器40の側面43上には雄ねじ49が、そして第二の容器50の第二の収容室54の対向する壁面には雌ねじ541がそれぞれ設けられており、第一の薬液R2と第二の薬液R3との混合作業時に、前記雄ねじ49と雌ねじ541の両者の螺合作用により、作業のさらなる省力効果を達成する。
【0029】
続いて図37ないし図40に示すように、本発明のまたさらに他の実施例において、第三の容器80と、第2のセパレータ90とをさらに備えており、前記第三の容器80は中空円筒体であって、上部面81と、下部面82と、側面83とを備えており、前記上部面81と下部面82との間は前記側面83で囲まれるように一体に連接されており、しかもその両者の間の内部は第三の収容室84が互いに連通して形成されており、そして前記第三の収容室84の内径は第一の容器40の側面43の外径よりも概ね大きくなっており、しかも前記第三の容器80の側面83の外径は第二の容器50の第二の収容室54の内径よりも概ね小さくなっている。このうち、前記上部面81上には間隔をおいて断裂部を有する安全リング85が周回するように設けられており、かつ上部面81寄りの第三の収容室84の壁面にはストッパフランジ86がさらに周回するように凸設されており、そして前記ストッパフランジ86と下部面82との間に介在している第三の収容室84の壁面上には、リング状係止部87がさらに周回するように凸設されるとともに、前記リング状係止部87の中央には係止溝871が凹設されている。また前記側面83の中段位置にはストッパフランジ88が周回するように凸設され、しかも前記ストッパフランジ88と下部面82との間の側面83上には、位置決めフランジ89がさらに周回するように凸設されている。前記第2のセパレータ90もまた上部面91と、下部面92と、側面93とを備えており、前記上部面91と下部面92との間は前記側面93で囲まれるように一体に連接されており、このうち、前記上部面91および側面93はシリコーン材質のソフトラバー層94で被覆されており、しかも側面93に位置するソフトラバー層94ではフランジ部95が外側に向けてさらに周回するように凸設されている。
【0030】
上記本発明のさらに他の実施例の組み立ておよび薬剤を充填する方式は前記した本発明と同じであるので別途説明しないが、第三の容器80の第三の収容室84に第三の薬液R4をさらに充填できることにより、三種類の異なる薬液を同じ容器内に充填することができ、しかも従来の栓20およびキャップ30組を使用するだけでパッキングを完了する効果が達成できるので、栓20およびキャップ30の使用量を節約する上でより経済的で、しかも環境保護における負担をより軽減することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 アンプル瓶
2 シリンジ
3 注射針
10、10a、10b 容器本体
11、11a、11b 瓶口
12、12a、12b 中空収容室
13 ネック部
20 栓
21 上面
22 突出部
30 キャップ
31 安全キャップ
40 第一の容器
41 上部面
42 下部面
43 側面
44 第一の収容室
45 開口部
46 ネック部
47 ストッパフランジ
48 位置決めフランジ
49 雄ねじ
50 第二の容器
51 上部面
52 下部面
53 側面
54 第二の収容室
541 雌ねじ
55 安全リング
56 ストッパフランジ
57 リング状係止部
58 係止溝
59 ストッパ
60 セパレータ
61 上部面
62 下部面
63 側面
64 ソフトラバー層
65 フランジ部
70 シールリング
71 溝
80 第三の容器
81 上部面
82 下部面
83 側面
84 第三の収容室
85 安全リング
86 ストッパフランジ
87 リング状係止部
871 係止溝
88 ストッパフランジ
89 位置決めフランジ
90 第2のセパレータ
91 上部面
92 下部面
93 側面
94 ソフトラバー層
95 フランジ部
M1、M2 注射用薬液
R 注射用薬液処方剤
R1 薬剤溶液
R2 第一の薬液
R3 第二の薬液
R4 第三の薬液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部面と、下部面と、側面とを有している中空円筒体であり、前記上部面と下部面との間は前記側面で囲まれるように一体に連接されており、しかもその両者の間の内部は第一の収容室が互いに連通して形成されており、前記上部面の側面寄りには内側に収縮しているネック部が凹設されており、また、前記側面の中段位置にはストッパフランジが周回するように凸設されており、しかも前記ストッパフランジと前記下部面との間の側面上には位置決めフランジがさらに周回するように凸設されている第一の容器と、
上部面と、下部面と、側面とを有しており、前記上部面は開口状をなし、前記下部面は封止面をなしており、しかも前記上部面と下部面との間は側面で囲まれるように中空円筒体として連接されているうえ、内部には第二の収容室が形成されており、前記第二の収容室の内径は第一の容器の側面の外径よりも概ね大きくなっており、このうち、前記上部面上には間隔をおいて断裂部を有する安全リング55がさらに設けられており、かつ上部面寄りの第二の収容室の壁面にはストッパフランジがさらに周回するように凸設されており、そして前記ストッパフランジと下部面との間に介在されている第二の収容室の壁面にはリング状係止部がさらに周回するように凸設されているとともに、前記リング状係止部の中央には係止溝がさらに凹設されている第二の容器と、
上部面と、下部面と、側面とを有しており、前記上部面と下部面との間は前記側面で囲まれるように一体に連接されており、このうち、前記上部面および側面はシリコーン材質のソフトラバー層で被覆されており、しかも側面上に位置するソフトラバー層にはフランジ部が外側に向けてさらに周回するように凸設されているセパレータと、を備えたことを特徴とする異なる注射剤を収容可能な容器。
【請求項2】
前記セパレータの上部面上のソフトラバー層の縁の最も外側には、さらに縁突起が上向きに周回するように凸設されていることを特徴とする請求項1に記載の異なる注射剤を収容可能な容器。
【請求項3】
前記セパレータの下部面上にはさらに円形凹部が内向きに凹設されていることを特徴とする請求項1に記載の異なる注射剤を収容可能な容器。
【請求項4】
前記第一の容器の下部面上には、無害の軟質シリコーンラバー製のシールリングがさらに嵌設されており、しかも前記シールリングの軸方向リング体上面には溝71が凹設されていることを特徴とする請求項1に記載の異なる注射剤を収容可能な容器。
【請求項5】
前記第二の容器におけるリング状係止部の底面位置寄りの第二の収容室の壁面上には、複数のストッパがさらに凸設されており、かつ前記複数のストッパが配列されている位置範囲は、円周の1/4に満たない範囲であることを特徴とする請求項1に記載の異なる注射剤を収容可能な容器。
【請求項6】
前記第一の容器の側面上には雄ねじがさらに設けられ、そして第二の容器の第二の収容室の対向する壁面には雌ねじがさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の異なる注射剤を収容可能な容器。
【請求項7】
第三の容器と、第2のセパレータとをさらに備えており、前記第三の容器は中空円筒体であって、上部面と、下部面と、側面とを備えており、前記上部面と下部面との間は前記側面で囲まれるように一体に連接されており、しかもその両者の間の内部は第三の収容室が互いに連通して形成されており、そして前記第三の収容室の内径は第一の容器の側面の外径よりも概ね大きくなっており、しかも前記第三の容器の側面の外径は第二の容器の第二の収容室の内径よりも概ね小さくなっており、このうち、前記上部面上には間隔をおいて断裂部を有する安全リングが周回するように設けられており、かつ上部面寄りの第三の収容室の壁面にはストッパフランジがさらに周回するように凸設されており、そして前記ストッパフランジと下部面との間に介在している第三の収容室の壁面上には、リング状係止部がさらに周回するように凸設されるとともに、前記リング状係止部の中央には係止溝がさらに凹設されており、また前記側面の中段位置にはストッパフランジが周回するように凸設され、しかも前記ストッパフランジと下部面との間の側面上には、位置決めフランジがさらに周回するように凸設されており、
前記第2のセパレータもまた上部面と、下部面と、側面とを備えており、前記上部面と下部面との間は前記側面で囲まれるように一体に連接されており、このうち、前記上部面および側面はシリコーン材質のソフトラバー層で被覆されており、しかも側面に位置するソフトラバー層ではフランジ部が外側に向けてさらに周回するように凸設されていることを特徴とする請求項1に記載の異なる注射剤を収容可能な容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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