異材分離型包装容器
【課題】液体の収容室と固体の収容室の液体を固体に確実に含浸、混合させることができ、開封、混合、含浸、被包装物の取り出し及び使用等を簡易に行うことができる異材分離型包装容器を提供する。
【解決手段】液体を収容可能な液体収容部と、該液体を含浸させ、若しくは溶解させる固体を収容可能な固体収容部とが連設されることによって包装容器本体が構成され、前記液体収容部は連設部を介して前記固体収容部側へ折り曲げ可能であり、少なくとも前記液体収容部の開口部には透過性シートが設けられているとともに、該液体収容部の開口部と前記固体収容部の開口部を覆うようなカバーシートが包装容器本体の表面に貼着され、該カバーシートを剥離し、前記液体収容部を前記固体収容部側へ折り曲げた際に、前記液体収容部の開口部と固体収容部の開口部が対面し、前記透過性シートを介して液体収容部内の液体が固体収容部側へ供給されるように構成されている。
【解決手段】液体を収容可能な液体収容部と、該液体を含浸させ、若しくは溶解させる固体を収容可能な固体収容部とが連設されることによって包装容器本体が構成され、前記液体収容部は連設部を介して前記固体収容部側へ折り曲げ可能であり、少なくとも前記液体収容部の開口部には透過性シートが設けられているとともに、該液体収容部の開口部と前記固体収容部の開口部を覆うようなカバーシートが包装容器本体の表面に貼着され、該カバーシートを剥離し、前記液体収容部を前記固体収容部側へ折り曲げた際に、前記液体収容部の開口部と固体収容部の開口部が対面し、前記透過性シートを介して液体収容部内の液体が固体収容部側へ供給されるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異材分離型包装容器、さらに詳しくは、たとえば液体とその液体を含浸させる担体とをそれぞれ分離した状態で収容し、使用時において液体を担体に含浸させることができるように構成された分離型の包装容器、或いは液体と粉末とをそれぞれ分離した状態で収容し、使用時において液体と粉末とを混合させることができるように構成された分離型の包装容器等、液体と、担体、粉末等の固体とを別々の収容室に分離して収容した異材分離型包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、市販の薬剤や洗剤等は、そのほとんどが工場出荷前に予め調合されている。そのような調合は、たとえば液体を粉末に混合する等によってなされる。しかし、原料の種類によっては、混合することによって、時間経過とともに有効成分の分解、変色、劣化等が生じるために、長期間の安定性を確保し難いものもある。そこで、このような場合には、液体と粉末とをそれぞれ分離した状態で包装容器に収容することが望まれる。
【0003】
一方、顔面を拭い、冷やす等の目的で使用されるパッド、フェイスマスク、パフ等の不織布や織布で構成された担体に、薬液等の液体を含浸させることがあるが、当初からこのような担体に薬液等の液体を含浸させた状態で包装すると、分解、変色、劣化等が生じるために商品として販売することが困難な場合がある。そして、このような場合にも、液体と担体とをそれぞれ分離した状態で収容しうるような包装形態のものが要求される。
【0004】
そこで、このような点に鑑み、たとえば下記特許文献1のような特許出願がなされている。この特許文献1に記載された包装袋は、外周囲がシールされた包装袋の内部が外圧により剥離可能な剥離接着部で2室に分割され、一方の室にはタブレット形状に折り畳まれたフェイスパックマスクが収納され、他方の室にはこのフェイスパックマスクに過不足なく含浸させる量の化粧水が収納されて、外圧により剥離接着部が剥離されたときに、他方の室の化粧水が一方の室のフェイスパックマスクに含浸されるようにしたものである。
【0005】
この特許文献1の包装袋のより具体的な構成は、当該特許文献1の明細書の段落[0014]にも記載されているように、「上下両シートフィルム5A,5Bの内面側の間に、接着テープ5Cが長さ方向Lのほぼ中間位置で幅方向Wに跨るように配置した状態で、両シートフィルム5A,5Bの内面側同士を重ね合わせる」ことによって、「両シートフィルム5A,5Bが剥離接着部6で水密(気密)に接着されるように」構成されたものである。そして、剥離接着部6に一定以上の空気圧を加えることによって、いずれか一方又は両方のシートフィルム5A,5Bから剥離して隙間をあけることで、他方の室の化粧水が一方の室のフェイスパックマスクに含浸されるようにされている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に係る発明は、上述のように両シートフィルム5A,5B間に設けられた剥離接着部6一定以上の空気圧を加え、その剥離接着部6をいずれか一方又は両方のシートフィルム5A,5Bから剥離して隙間をあけることで、化粧水をフェイスパックマスクの室側へ侵入させてフェイスパックマスクに含浸させるようにしたものであるため、剥離接着部6において一定以上の空気圧が有効に作用しない場合には、剥離接着部6において隙間が生じることがなく、化粧水がフェイスパックマスクの室側へ侵入しないおそれがある。
【0007】
実際、上記のような剥離接着部6は、上述のように上下両シートフィルム5A,5Bの内面側の間に、接着テープ5Cを幅方向に跨るように配置し、両シートフィルム5A,5Bの内面側同士を重ね合わせることで構成されたものであるため、接着テープ5Cと両シートフィルム5A,5Bとの接着力が強すぎる場合には、空気圧が有効に作用せず、隙間が生じない確率が結構高い。その一方で、接着テープ5Cと両シートフィルム5A,5Bとの接着力が弱すぎると、目的とする使用時の前に化粧水がフェイスパックマスクの室側へ不用意に侵入するおそれがある。
【0008】
そこで、このような特許文献1の改良技術として、たとえば下記特許文献2のような特許出願がなされている。この特許文献2に記載された発明は、一種の容易に混合可能な剤型分室包装袋構造において、フィルム室及び被せシートを含み、フィルム室はその上に二つの分離した収容空間を設け、それぞれの空間は同じ方向に開放し、被せシートは前記フィルム室に開放可能な表面側を設け、フィルム室収容空間にそれぞれ独立した封止空間を形成し、且つ少なくとも一つの収容空間は他の収容空間に向かって、次第に縮小する流動経路を設け、この流動経路の末端部が二つの収容空間に近い場所に強度の弱い、剥離接着部を形成する構造としたものである。
【0009】
より具体的な構成として、当該特許文献2の明細書の段落[0011]にも記載されているように、「流体物4の収容空間12に圧力を加えて、内部の流体物4に適切な圧力を加え、剥離接着部22に圧迫する」ことによって、剥離接着部22が貫通され、固形物3を収容する収容空間11に流体物4が流れ込んだ後、固形物3に流体物4を混合、含浸されることとなる。そして、この特許文献2の包装袋の構造では、特許文献1の包装袋のように、上下両シートフィルムの内面側の間に接着テープを配置して剥離接着部を形成しているわけではないので、特許文献1に比べると剥離接着部の構造は簡易化されている。
【0010】
しかしながら、この特許文献2においても、流体物の収容空間に圧力を加えて、内部の流体物に適切な圧力を加え、剥離接着部を圧迫することで剥離接着部を貫通させ、それによって固形物を収容する収容空間に流体物を流し込むようにしているので、外圧を利用する点では特許文献1と共通している。従って、剥離接着部において収容空間に加わる圧力が内部の流体物に有効に作用しない場合には、剥離接着部が貫通せず、固形物を収容する収容空間に流体物が好適に流れ込まないおそれがある。
【0011】
また、剥離接着部が貫通させるためには、方向を定めてから相応の圧力をかける必要があり、その際にシートの薄い部分や他のシールの弱い部分から内容物が零れだすおそれがあるという問題がある。
【0012】
【特許文献1】特開2002−12273号公報
【特許文献2】実用新案登録第3119760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、上記従来の技術のように、液体の収容室と固体の収容室との2つの収容室の境界部分の連通状態に左右されることがなく、液体を固体に確実に含浸、混合させることができ、また液体と固体との含浸、混合のために強い力を要することがなく、包材に破袋等を生じさせることがなく、開封、混合、含浸、被包装物の取り出し及び使用等の一連の操作を簡易に行うことができる異材分離型包装容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、液体を収容可能な液体収容部4を有する液体収容部形成体5と、該液体を含浸させ、若しくは該液体によって溶解させる固体を収容可能な固体収容部6を有する固体収容部形成体7とが連設部8を介して連設されることによって包装容器本体1が構成され、前記液体収容部形成体5は連設部8を介して前記固体収容部形成体7側へ折り曲げ可能であり、少なくとも前記液体収容部4の開口部9には透過性シート3が設けられているとともに、該液体収容部4の開口部9と前記固体収容部6の開口部10を覆うようなカバーシート2が包装容器本体1の表面に貼着され、該カバーシート2を包装容器本体1から剥離し、前記液体収容部形成体5を前記固体収容部形成体7側へ折り曲げた際に、前記液体収容部4の開口部9と固体収容部6の開口部10が対面し、前記透過性シート3を介して液体収容部4内の液体が固体収容部6側へ供給されるように構成されていることを特徴とする異材分離型包装容器を提供するものである。
【0015】
カバーシートとしては、たとえば合成樹脂製フィルムにアルミニウムをラミネートし、或いは異材質の合成樹脂製フィルムをラミネートしたラミネートフィルムのようなものが用いられる。また、透過性シートとしては、たとえば多数の細孔が穿設された合成樹脂製フィルムのようなものが用いられる。透過性シートは、好ましくはカバーシートの裏面側の全面にラミネートされているとともに、該カバーシートを包装容器本体から剥離した状態で、透過性シートが液体収容部の開口部に残存するように構成されている。カバーシートは、好ましくは、熱シールによって包装容器本体1の表面に貼着される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の異材分離型包装容器は、上述のような構成からなるため、液体収容部と固体収容部との2つの収容部の境界部分の連通状態に左右されることがなく、液体を固体に確実に含浸させ、或いは液体と固体とを確実に混合させることができ、また液体と固体との含浸、混合のために強い力を要することがなく、包材に破袋等を生じさせることがなく、開封、混合、含浸、被包装物の取り出し及び使用等の一連の操作を簡易に行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、一実施形態の異材分離型包装容器について図面に従って説明する。一実施形態の異材分離型包装容器は、図1乃至図7に示すように、包装容器本体1と、カバーシート2と、透過性シート3とで構成されている。
【0018】
包装容器本体1は、液体を収容可能な液体収容部4を具備する液体収容部形成体5と、その液体収容部4に収容される液体を含浸させる担体等の固体を収容可能な固体収容部6を具備する固体収容部形成体7とで構成されている。液体収容部形成体5と固体収容部形成体7とは、ともに平面略円形状に形成され、連設部8を介して連設されている。そして、液体収容部形成体5、固体収容部形成体7、及び連設部8は、1枚の合成樹脂シートによって全体が一体形成されている。また液体収容部4と固体収容部5とは、図1及び図2に示すように平面略眉形に形成され、それぞれ液体収容部形成体5と固体収容部形成体7とにおいて2個ずつ形成されている。
【0019】
液体収容部4と固体収容部6とのそれぞれの上面には開口部9、10がそれぞれ形成されている。液体収容部形成体5と固体収容部形成体7とを連設している連設部8には、図2乃至4に示すように、該液体収容部形成体5を固体収容部形成体7側へ折り曲げ可能とするためのヒンジ部11が形成されている。また、液体収容部形成体5と固体収容部形成体7との外側端部には、相互に係合しうるフック部12、13が形成されている。
【0020】
液体収容部4に収容される液体としては、たとえば化粧水や消毒液のような薬液や、粉末等の固体を溶解させる水や溶剤等のものを用いることができる。また固体収容部6に収容される固体としては、上記薬液のような液体を含浸させる担体、たとえば顔面に当接させて顔を拭い、或いは冷やす目的で使用されるようなパッド、若しくはフェイスマスク、パフ等の、不織布や織布等で構成された担体のようなものを用いることができる。また固体収容部6に収容される固体として、液体に溶解させることができる粉末のようなものを用いることもできる。この場合は、たとえば薬剤用や洗剤用の粉末が固体として用いられ、その粉末を溶解させる水や溶剤等が液体として用いられる。尚、上記のような担体を使用する場合、その担体に粉末を担持させることも可能である。たとえば担体として顔面に当接させるパッドを用いる場合、ビタミンCや糖誘導体等の粉末を担持させることができる。
この場合には、結果として、担体と粉末との双方が固体収容部6に収容されることとなる。
本実施形態においては、担体に粉末を担持させて、担体と粉末との双方が固体収容部6に収容される場合について説明する。
【0021】
包装容器本体1は、その全体が合成樹脂で構成されている。合成樹脂としては、たとえばポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートのようなものが用いられる。ポリプロピレンとしては、たとえば無延伸ポリプロピレンが用いられ、ポリエチレンテレフタレートとしては、非晶質のポリエチレンテレフタレートが用いられる。
【0022】
カバーシート2は、合成樹脂製フィルムにアルミニウムをラミネートし、或いは異材質の合成樹脂製フィルムをラミネートしたようなラミネートフィルムで構成され、図1に示すように、前記包装容器本体1の液体収容部4の開口部9を閉じる平面略円形の液体収容部カバー部14と、固体収容部6の開口部10を閉じる固体収容部カバー部15とが連設部16を介して連設された構成からなる。
【0023】
カバーシート2は、液体収容部4の開口部9に沿う略眉形の周縁部17、17に熱シールされているとともに、固体収容部6の略円形の外周縁部18に熱シールされている。この熱シールされた液体収容部4の開口部9の周縁部17と、固体収容部6の略円形の外周縁部18以外の部分においては、カバーシート2は、単に包装容器本体1の上面に接合されただけの状態となっている。
【0024】
そして、前記カバーシート2の一端側は、該カバーシート2を包装容器本体1から剥離する剥離起点部19として形成され、他端側は、剥離終点部20として形成されている。
【0025】
透過性シート3は、合成樹脂製フィルムに多数の細孔が形成されたものであり、図6に示すように前記カバーシート2の裏面側にラミネートされている。この透過性シート3は、カバーシート2とともに、前記液体収容部4の開口部9に沿う略眉形の周縁部17、17、及び前記固体収容部6の略円形の外周縁部18に熱シールされている。そして、液体収容部4の開口部9に沿う略眉形の周縁部17、17に熱シールされた位置においては、カバーシート2の剥離後において透過性シート3のみが液体収容部4の開口部9の上部に残存するように、透過性シート3の周縁部17、17に対するシール強度が強い状態とされている。一方、固体収容部6の略円形の外周縁部18に熱シールされた位置においては、透過性シート3の外周縁部18に対するシール強度は、前記周縁部17、17に対するシール強度よりも弱い状態とされている。従って、固体収容部6の略円形の外周縁部18に熱シールされた位置においては、カバーシート2が剥離されるのに伴って、透過性シート3も剥離されることとなる。
【0026】
そして、このようにカバーシート2が包装容器本体1の上面に接合され、液体収容部4の開口部9に沿う略眉形の周縁部17、17に透過性シート3を介してカバーシート2が熱シールされ、且つ固体収容部6の略円形の外周縁部18に透過性シート3を介してカバーシート2が熱シールされた状態において、液体収容部4内には液体21が収容され、固体収容部6内には前記液体収容部4内の液体を含浸させる担体22が収容されている。この担体22は、固体収容部6の形状に沿うように、略眉形に形成されている。また、この担体22には、前記液体と混合させる粉末が担持されている。
【0027】
次に、このような構成からなる異材分離型包装容器を使用する場合には、先ず、固体収容部カバー部15側に形成されたカバーシート2の剥離起点部19を把持し、図8に示すように、カバーシート2を捲り上げる。このとき、カバーシート2は、上述のように、液体収容部4の開口部9に沿う周縁部17、17と、固体収容部5の外周縁部18との位置で熱シールされているが、それ以外の位置ではカバーシート2が包装容器本体1の上面に接合されているだけの状態であるので、カバーシート2の剥離起点部19を把持することによって、カバーシート2を容易に捲り上げることができる。
【0028】
そして、カバーシート2の剥離終点部20までを捲り上げたときに、図9に示すように、カバーシート2の全体を包装容器本体1から離脱させることができる。このとき、液体収容部4の開口部9に沿う周縁部においては透過性シート3のシール強度が強い状態とされているので、カバーシート2の全体を包装容器本体1から離脱させた状態において、透過性シート3のみが液体収容部4の開口部9の上部に残存し、図10及び図11に示すように液体収容部4の開口部9が透過性シート3によって閉じられた状態となっている。
これに対して、固体収容部6の外周縁部18に熱シールされた位置においては、透過性シート3の外周縁部18に対するシール強度が前記周縁部17、17に対するシール強度よりも弱い状態とされているので、カバーシート2の全体を包装容器本体1から離脱させると、それに伴って、透過性シート3も剥離されることとなり、固体収容部6の開口部10は、図12に示すように完全な開口状態とされる。すなわち、液体収容部4の周縁部17と固体収容部6の外周縁部18とのそれぞれに対する透過性シート3のシール強度の強弱によって、カバーシート2を包装容器本体1から剥離した状態で透過性シート3は液体収容部4の開口部9のみに残存することとなるのである。
【0029】
さらにこの状態から、液体収容部形成体5を、ヒンジ部11を介して図13の矢印方向に回動させ、図13及び図14のように液体収容部形成体5を固体収容部形成体7に重ね合わせる。そして、液体収容部形成体5を固体収容部形成体7側へ軽く押圧する。また、液体収容部形成体5のフック部12と、固体収容部形成体7のフック部13とを相互に係合させることで、液体収容部形成体5と固体収容部形成体7との重ね合わせ状態が維持されることとなる。
【0030】
この場合において、液体収容部形成体5の液体収容部4の開口部9の端縁には、上記のように多数の細孔が穿設された透過性シート3が熱シールされて、該透過性シート3によって液体収容部4の開口部9が閉じられているため、液体収容部4内に収容されている液体は、該液体収容部4から一気に固体収容部6に溢れ出ることがなく、透過性シート3を介して液体が少量ずつ固体収容部6内へ供給されることとなる。
【0031】
その一方で、固体収容部6の開口部10は完全な開口状態とされているので、透過性シート3を介して液体収容部4から少量ずつ供給される液体は、固体収容部6内へ確実に滴下し、液体は毛細管現象によって確実に該固体収容部6内に収容されている担体22に含浸されることとなる。
【0032】
この場合、担体22には、粉末が担持されているため、液体収容部4から供給される薬液等の液体が粉末を好適に溶解させ、粉末を溶解させた薬液等の液体が担体22に含浸されることとなる。
【0033】
このように、粉末を溶解させた液体が担体22に含浸された後、液体収容部形成体5を
固体収容部形成体7から離間させ、元の位置まで回動させる。その状態では、固体収容部
6の開口部10の開口状態が維持されているので、固体収容部6内の担体22を容易に取り出すことができ、たとえば顔面の目の周囲に塗布するパッドとして使用することができる。特に、このパッドは、上述のように略眉形に形成されているので、目の周囲に沿って当接させ易く、顔面の目の周囲に塗布するパッドとして好適に使用することができる。
【0034】
以上のように、本実施形態では、連設部8を介して液体収容部形成体5を固体収容部形成体7側に折り曲げるとともに、液体収容部4の開口部9と固体収容部6の開口部10とを対面させ、透過性シート3を介して液体収容部4内の液体を固体収容部6側へ供給することとしたため、従来のように外側からの強い力によって液体収容部と固体収容部との境界部分を剥離させて連通状態とさせるような作業を必要とせず、液体を担体に確実に含浸させることができ、また担体に担持された粉末を確実に溶解させることができる。
【0035】
また、外側から強い力を加えるわけではないので、包装容器本体1、カバーシート2、透過性シート3等の包装容器を構成する各包材に破袋等を生じさせることがない。また、包装容器の開封から、担体への液体の含浸、さらには液体と粉末との混合等の一連の操作を簡易に行うことができる。
【0036】
尚、上記実施形態では、包装容器本体1が、無延伸ポリプロピレン等のポリプロピレンや、非晶質等のポリエチレンテレフタレート等で構成されていたが、包装容器本体1の材質は該実施形態に限定されるものではなく、他の合成樹脂を用いることも可能である。また、たとえば合成樹脂製のシートにアルミニウムをラミネートしたようなものを用いることも可能である。
【0037】
また、該実施形態では、カバーシート2として、合成樹脂製フィルムにアルミニウムをラミネートし、或いは異材質の合成樹脂製フィルムをラミネートしたようなラミネートフィルムを用いたが、カバーシート2の材質も該実施形態に限定されるものではなく、ラミネートしていない単層の合成樹脂製フィルムを用いることも可能である。
【0038】
さらに、上記実施形態では、液体収容部形成体5と固体収容部形成体7とがともに平面略円形状に形成されていたが、液体収容部形成体5と固体収容部形成体7の形状は該実施形態に限定されるものではなく、たとえば四角形状や三角形状等に形成されていてもよく、その形状は問わない。
【0039】
また上記実施形態では、液体収容部4と固体収容部6とが、平面略眉形に形成されていたが、液体収容部4と固体収容部6との形状も上記実施形態に限定されるものではなく、たとえば円形等の任意の形状に形成することができ、収容する担体の形状に応じて任意に変更することができる。たとえば目の周囲に当接するパッドを担体として使用する場合には、その担体がたとえば平面略眉形に形成され、その担体の形状に応じて固体収容部6が平面略眉形に形成されることとなる。
さらに、上記実施形態では、液体収容部4と固体収容部6とが、それぞれ液体収容部形成体5と固体収容部形成体7とにおいて2個ずつ形成されていたが、液体収容部形成体5や固体収容部形成体7に形成される液体収容部4、固体収容部6の個数も該実施形態に限定されるものではなく、たとえば1個ずつ形成されていてもよく、或いは3個以上ずつ形成されていてもよい。
【0040】
さらに上記実施形態では、カバーシート2が、液体収容部4の開口部9に沿う略眉形の周縁部17、17に熱シールされているとともに、固体収容部6の略円形の外周縁部18に熱シールされていたが、この熱シールされる位置も上記実施形態に限定されるものではない。またシールの手段も熱シールに限らず、たとえば超音波シールのような手段を採用することも可能である。
【0041】
さらに上記実施形態では、液体として化粧水や消毒液のような薬液を使用する場合について説明したが、これ以外の液体に使用することも可能である。また該実施形態では、担体として、薬液を含浸させる不織布製パッドのようなものを用いる場合について説明したが、担体の種類も該実施形態に限定されない。
【0042】
さらに上記実施形態では、担体に担持させる粉末として、ビタミンCや糖誘導体等の粉末を用いたが、これ以外の粉末を担持させることも可能である。また、上記実施形態では、粉末を担体に担持させて固体収容部6内に収容する場合、すなわち、担体と粉末との双方を固体収容部6内に収容する場合について説明したが、これに限らず、粉末を担持させずに担体のみを固体収容部6内に収容することも可能である。ただし、上記実施形態のように粉末を担体に担持させることによって、液体が担体に含浸されるとともに粉末が液体に溶解され、結果として、粉末が溶解した液体が担体に好適に含浸されるという効果がある。
【0043】
さらに、担体を収容せず、粉末のみを固体収容部6内に収容することも可能である。この場合には、上述のように液体収容部4内に収容されている液体が透過性シート3を介して固体収容部6内へ供給されることで、粉末が液体に徐々に溶解し、液体収容部4内の液体がすべて固体収容部6内へ供給されることで、粉末は液体に好適に供給されることとなる。
このように、固体収容部6内に粉末を収容して粉末を液体に溶解させる場合においても、
連設部8を介して液体収容部形成体5を固体収容部形成体7側に折り曲げるとともに、液体収容部4の開口部9と固体収容部6の開口部10とを対面させ、透過性シート3を介して液体収容部4内の液体が固体収容部6側へ供給されるので、従来のように外側からの強い力によって液体収容部と固体収容部との境界部分を剥離させて連通状態とさせるような作業を必要とせず、粉末を液体に確実に溶解させることができるのである。
さらに、粉末以外の固形物を収容することも可能である。この場合、その固形物は、上記のような液体を含浸させ、或いは粉末を担持させるようなものでなく、単に液体で溶解することのできるようなものであってもよい。いずれにしても、固体収容部6内に収容される固体の種類は問うものではない。
【0044】
さらに、本発明の包装容器の用途も、上述のような化粧品用、医薬品用、食品用等の他、これら以外の用途に使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一実施形態としての異材分離型包装容器を示す平面図。
【図2】同底面図。
【図3】同側面図。
【図4】図1のA−A線拡大断面図。
【図5】図1のB−B線拡大断面図。
【図6】図5の要部拡大断面図。
【図7】図1のC−C線拡大断面図。
【図8】カバーシートを包装容器本体から剥離する直後の断面図。
【図9】カバーシートの剥離後の断面図。
【図10】カバーシート剥離後の液体収容部近傍の断面図。
【図11】図10の要部拡大断面図。
【図12】カバーシート剥離後の固体収容部近傍の断面図。
【図13】固体収容部形成体を液体収容部形成体に重ね合わせた状態を示す概略側面図。
【図14】同重ね合わせた状態の概略断面図。
【符号の説明】
【0046】
1…包装容器本体 2…カバーシート
3…透過性シート 4…液体収容部
5…液体収容部形成体 6…固体収容部
7…固体収容部形成体 8…連設部
9…開口部 10…開口部
11…ヒンジ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、異材分離型包装容器、さらに詳しくは、たとえば液体とその液体を含浸させる担体とをそれぞれ分離した状態で収容し、使用時において液体を担体に含浸させることができるように構成された分離型の包装容器、或いは液体と粉末とをそれぞれ分離した状態で収容し、使用時において液体と粉末とを混合させることができるように構成された分離型の包装容器等、液体と、担体、粉末等の固体とを別々の収容室に分離して収容した異材分離型包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、市販の薬剤や洗剤等は、そのほとんどが工場出荷前に予め調合されている。そのような調合は、たとえば液体を粉末に混合する等によってなされる。しかし、原料の種類によっては、混合することによって、時間経過とともに有効成分の分解、変色、劣化等が生じるために、長期間の安定性を確保し難いものもある。そこで、このような場合には、液体と粉末とをそれぞれ分離した状態で包装容器に収容することが望まれる。
【0003】
一方、顔面を拭い、冷やす等の目的で使用されるパッド、フェイスマスク、パフ等の不織布や織布で構成された担体に、薬液等の液体を含浸させることがあるが、当初からこのような担体に薬液等の液体を含浸させた状態で包装すると、分解、変色、劣化等が生じるために商品として販売することが困難な場合がある。そして、このような場合にも、液体と担体とをそれぞれ分離した状態で収容しうるような包装形態のものが要求される。
【0004】
そこで、このような点に鑑み、たとえば下記特許文献1のような特許出願がなされている。この特許文献1に記載された包装袋は、外周囲がシールされた包装袋の内部が外圧により剥離可能な剥離接着部で2室に分割され、一方の室にはタブレット形状に折り畳まれたフェイスパックマスクが収納され、他方の室にはこのフェイスパックマスクに過不足なく含浸させる量の化粧水が収納されて、外圧により剥離接着部が剥離されたときに、他方の室の化粧水が一方の室のフェイスパックマスクに含浸されるようにしたものである。
【0005】
この特許文献1の包装袋のより具体的な構成は、当該特許文献1の明細書の段落[0014]にも記載されているように、「上下両シートフィルム5A,5Bの内面側の間に、接着テープ5Cが長さ方向Lのほぼ中間位置で幅方向Wに跨るように配置した状態で、両シートフィルム5A,5Bの内面側同士を重ね合わせる」ことによって、「両シートフィルム5A,5Bが剥離接着部6で水密(気密)に接着されるように」構成されたものである。そして、剥離接着部6に一定以上の空気圧を加えることによって、いずれか一方又は両方のシートフィルム5A,5Bから剥離して隙間をあけることで、他方の室の化粧水が一方の室のフェイスパックマスクに含浸されるようにされている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に係る発明は、上述のように両シートフィルム5A,5B間に設けられた剥離接着部6一定以上の空気圧を加え、その剥離接着部6をいずれか一方又は両方のシートフィルム5A,5Bから剥離して隙間をあけることで、化粧水をフェイスパックマスクの室側へ侵入させてフェイスパックマスクに含浸させるようにしたものであるため、剥離接着部6において一定以上の空気圧が有効に作用しない場合には、剥離接着部6において隙間が生じることがなく、化粧水がフェイスパックマスクの室側へ侵入しないおそれがある。
【0007】
実際、上記のような剥離接着部6は、上述のように上下両シートフィルム5A,5Bの内面側の間に、接着テープ5Cを幅方向に跨るように配置し、両シートフィルム5A,5Bの内面側同士を重ね合わせることで構成されたものであるため、接着テープ5Cと両シートフィルム5A,5Bとの接着力が強すぎる場合には、空気圧が有効に作用せず、隙間が生じない確率が結構高い。その一方で、接着テープ5Cと両シートフィルム5A,5Bとの接着力が弱すぎると、目的とする使用時の前に化粧水がフェイスパックマスクの室側へ不用意に侵入するおそれがある。
【0008】
そこで、このような特許文献1の改良技術として、たとえば下記特許文献2のような特許出願がなされている。この特許文献2に記載された発明は、一種の容易に混合可能な剤型分室包装袋構造において、フィルム室及び被せシートを含み、フィルム室はその上に二つの分離した収容空間を設け、それぞれの空間は同じ方向に開放し、被せシートは前記フィルム室に開放可能な表面側を設け、フィルム室収容空間にそれぞれ独立した封止空間を形成し、且つ少なくとも一つの収容空間は他の収容空間に向かって、次第に縮小する流動経路を設け、この流動経路の末端部が二つの収容空間に近い場所に強度の弱い、剥離接着部を形成する構造としたものである。
【0009】
より具体的な構成として、当該特許文献2の明細書の段落[0011]にも記載されているように、「流体物4の収容空間12に圧力を加えて、内部の流体物4に適切な圧力を加え、剥離接着部22に圧迫する」ことによって、剥離接着部22が貫通され、固形物3を収容する収容空間11に流体物4が流れ込んだ後、固形物3に流体物4を混合、含浸されることとなる。そして、この特許文献2の包装袋の構造では、特許文献1の包装袋のように、上下両シートフィルムの内面側の間に接着テープを配置して剥離接着部を形成しているわけではないので、特許文献1に比べると剥離接着部の構造は簡易化されている。
【0010】
しかしながら、この特許文献2においても、流体物の収容空間に圧力を加えて、内部の流体物に適切な圧力を加え、剥離接着部を圧迫することで剥離接着部を貫通させ、それによって固形物を収容する収容空間に流体物を流し込むようにしているので、外圧を利用する点では特許文献1と共通している。従って、剥離接着部において収容空間に加わる圧力が内部の流体物に有効に作用しない場合には、剥離接着部が貫通せず、固形物を収容する収容空間に流体物が好適に流れ込まないおそれがある。
【0011】
また、剥離接着部が貫通させるためには、方向を定めてから相応の圧力をかける必要があり、その際にシートの薄い部分や他のシールの弱い部分から内容物が零れだすおそれがあるという問題がある。
【0012】
【特許文献1】特開2002−12273号公報
【特許文献2】実用新案登録第3119760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、上記従来の技術のように、液体の収容室と固体の収容室との2つの収容室の境界部分の連通状態に左右されることがなく、液体を固体に確実に含浸、混合させることができ、また液体と固体との含浸、混合のために強い力を要することがなく、包材に破袋等を生じさせることがなく、開封、混合、含浸、被包装物の取り出し及び使用等の一連の操作を簡易に行うことができる異材分離型包装容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、液体を収容可能な液体収容部4を有する液体収容部形成体5と、該液体を含浸させ、若しくは該液体によって溶解させる固体を収容可能な固体収容部6を有する固体収容部形成体7とが連設部8を介して連設されることによって包装容器本体1が構成され、前記液体収容部形成体5は連設部8を介して前記固体収容部形成体7側へ折り曲げ可能であり、少なくとも前記液体収容部4の開口部9には透過性シート3が設けられているとともに、該液体収容部4の開口部9と前記固体収容部6の開口部10を覆うようなカバーシート2が包装容器本体1の表面に貼着され、該カバーシート2を包装容器本体1から剥離し、前記液体収容部形成体5を前記固体収容部形成体7側へ折り曲げた際に、前記液体収容部4の開口部9と固体収容部6の開口部10が対面し、前記透過性シート3を介して液体収容部4内の液体が固体収容部6側へ供給されるように構成されていることを特徴とする異材分離型包装容器を提供するものである。
【0015】
カバーシートとしては、たとえば合成樹脂製フィルムにアルミニウムをラミネートし、或いは異材質の合成樹脂製フィルムをラミネートしたラミネートフィルムのようなものが用いられる。また、透過性シートとしては、たとえば多数の細孔が穿設された合成樹脂製フィルムのようなものが用いられる。透過性シートは、好ましくはカバーシートの裏面側の全面にラミネートされているとともに、該カバーシートを包装容器本体から剥離した状態で、透過性シートが液体収容部の開口部に残存するように構成されている。カバーシートは、好ましくは、熱シールによって包装容器本体1の表面に貼着される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の異材分離型包装容器は、上述のような構成からなるため、液体収容部と固体収容部との2つの収容部の境界部分の連通状態に左右されることがなく、液体を固体に確実に含浸させ、或いは液体と固体とを確実に混合させることができ、また液体と固体との含浸、混合のために強い力を要することがなく、包材に破袋等を生じさせることがなく、開封、混合、含浸、被包装物の取り出し及び使用等の一連の操作を簡易に行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、一実施形態の異材分離型包装容器について図面に従って説明する。一実施形態の異材分離型包装容器は、図1乃至図7に示すように、包装容器本体1と、カバーシート2と、透過性シート3とで構成されている。
【0018】
包装容器本体1は、液体を収容可能な液体収容部4を具備する液体収容部形成体5と、その液体収容部4に収容される液体を含浸させる担体等の固体を収容可能な固体収容部6を具備する固体収容部形成体7とで構成されている。液体収容部形成体5と固体収容部形成体7とは、ともに平面略円形状に形成され、連設部8を介して連設されている。そして、液体収容部形成体5、固体収容部形成体7、及び連設部8は、1枚の合成樹脂シートによって全体が一体形成されている。また液体収容部4と固体収容部5とは、図1及び図2に示すように平面略眉形に形成され、それぞれ液体収容部形成体5と固体収容部形成体7とにおいて2個ずつ形成されている。
【0019】
液体収容部4と固体収容部6とのそれぞれの上面には開口部9、10がそれぞれ形成されている。液体収容部形成体5と固体収容部形成体7とを連設している連設部8には、図2乃至4に示すように、該液体収容部形成体5を固体収容部形成体7側へ折り曲げ可能とするためのヒンジ部11が形成されている。また、液体収容部形成体5と固体収容部形成体7との外側端部には、相互に係合しうるフック部12、13が形成されている。
【0020】
液体収容部4に収容される液体としては、たとえば化粧水や消毒液のような薬液や、粉末等の固体を溶解させる水や溶剤等のものを用いることができる。また固体収容部6に収容される固体としては、上記薬液のような液体を含浸させる担体、たとえば顔面に当接させて顔を拭い、或いは冷やす目的で使用されるようなパッド、若しくはフェイスマスク、パフ等の、不織布や織布等で構成された担体のようなものを用いることができる。また固体収容部6に収容される固体として、液体に溶解させることができる粉末のようなものを用いることもできる。この場合は、たとえば薬剤用や洗剤用の粉末が固体として用いられ、その粉末を溶解させる水や溶剤等が液体として用いられる。尚、上記のような担体を使用する場合、その担体に粉末を担持させることも可能である。たとえば担体として顔面に当接させるパッドを用いる場合、ビタミンCや糖誘導体等の粉末を担持させることができる。
この場合には、結果として、担体と粉末との双方が固体収容部6に収容されることとなる。
本実施形態においては、担体に粉末を担持させて、担体と粉末との双方が固体収容部6に収容される場合について説明する。
【0021】
包装容器本体1は、その全体が合成樹脂で構成されている。合成樹脂としては、たとえばポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートのようなものが用いられる。ポリプロピレンとしては、たとえば無延伸ポリプロピレンが用いられ、ポリエチレンテレフタレートとしては、非晶質のポリエチレンテレフタレートが用いられる。
【0022】
カバーシート2は、合成樹脂製フィルムにアルミニウムをラミネートし、或いは異材質の合成樹脂製フィルムをラミネートしたようなラミネートフィルムで構成され、図1に示すように、前記包装容器本体1の液体収容部4の開口部9を閉じる平面略円形の液体収容部カバー部14と、固体収容部6の開口部10を閉じる固体収容部カバー部15とが連設部16を介して連設された構成からなる。
【0023】
カバーシート2は、液体収容部4の開口部9に沿う略眉形の周縁部17、17に熱シールされているとともに、固体収容部6の略円形の外周縁部18に熱シールされている。この熱シールされた液体収容部4の開口部9の周縁部17と、固体収容部6の略円形の外周縁部18以外の部分においては、カバーシート2は、単に包装容器本体1の上面に接合されただけの状態となっている。
【0024】
そして、前記カバーシート2の一端側は、該カバーシート2を包装容器本体1から剥離する剥離起点部19として形成され、他端側は、剥離終点部20として形成されている。
【0025】
透過性シート3は、合成樹脂製フィルムに多数の細孔が形成されたものであり、図6に示すように前記カバーシート2の裏面側にラミネートされている。この透過性シート3は、カバーシート2とともに、前記液体収容部4の開口部9に沿う略眉形の周縁部17、17、及び前記固体収容部6の略円形の外周縁部18に熱シールされている。そして、液体収容部4の開口部9に沿う略眉形の周縁部17、17に熱シールされた位置においては、カバーシート2の剥離後において透過性シート3のみが液体収容部4の開口部9の上部に残存するように、透過性シート3の周縁部17、17に対するシール強度が強い状態とされている。一方、固体収容部6の略円形の外周縁部18に熱シールされた位置においては、透過性シート3の外周縁部18に対するシール強度は、前記周縁部17、17に対するシール強度よりも弱い状態とされている。従って、固体収容部6の略円形の外周縁部18に熱シールされた位置においては、カバーシート2が剥離されるのに伴って、透過性シート3も剥離されることとなる。
【0026】
そして、このようにカバーシート2が包装容器本体1の上面に接合され、液体収容部4の開口部9に沿う略眉形の周縁部17、17に透過性シート3を介してカバーシート2が熱シールされ、且つ固体収容部6の略円形の外周縁部18に透過性シート3を介してカバーシート2が熱シールされた状態において、液体収容部4内には液体21が収容され、固体収容部6内には前記液体収容部4内の液体を含浸させる担体22が収容されている。この担体22は、固体収容部6の形状に沿うように、略眉形に形成されている。また、この担体22には、前記液体と混合させる粉末が担持されている。
【0027】
次に、このような構成からなる異材分離型包装容器を使用する場合には、先ず、固体収容部カバー部15側に形成されたカバーシート2の剥離起点部19を把持し、図8に示すように、カバーシート2を捲り上げる。このとき、カバーシート2は、上述のように、液体収容部4の開口部9に沿う周縁部17、17と、固体収容部5の外周縁部18との位置で熱シールされているが、それ以外の位置ではカバーシート2が包装容器本体1の上面に接合されているだけの状態であるので、カバーシート2の剥離起点部19を把持することによって、カバーシート2を容易に捲り上げることができる。
【0028】
そして、カバーシート2の剥離終点部20までを捲り上げたときに、図9に示すように、カバーシート2の全体を包装容器本体1から離脱させることができる。このとき、液体収容部4の開口部9に沿う周縁部においては透過性シート3のシール強度が強い状態とされているので、カバーシート2の全体を包装容器本体1から離脱させた状態において、透過性シート3のみが液体収容部4の開口部9の上部に残存し、図10及び図11に示すように液体収容部4の開口部9が透過性シート3によって閉じられた状態となっている。
これに対して、固体収容部6の外周縁部18に熱シールされた位置においては、透過性シート3の外周縁部18に対するシール強度が前記周縁部17、17に対するシール強度よりも弱い状態とされているので、カバーシート2の全体を包装容器本体1から離脱させると、それに伴って、透過性シート3も剥離されることとなり、固体収容部6の開口部10は、図12に示すように完全な開口状態とされる。すなわち、液体収容部4の周縁部17と固体収容部6の外周縁部18とのそれぞれに対する透過性シート3のシール強度の強弱によって、カバーシート2を包装容器本体1から剥離した状態で透過性シート3は液体収容部4の開口部9のみに残存することとなるのである。
【0029】
さらにこの状態から、液体収容部形成体5を、ヒンジ部11を介して図13の矢印方向に回動させ、図13及び図14のように液体収容部形成体5を固体収容部形成体7に重ね合わせる。そして、液体収容部形成体5を固体収容部形成体7側へ軽く押圧する。また、液体収容部形成体5のフック部12と、固体収容部形成体7のフック部13とを相互に係合させることで、液体収容部形成体5と固体収容部形成体7との重ね合わせ状態が維持されることとなる。
【0030】
この場合において、液体収容部形成体5の液体収容部4の開口部9の端縁には、上記のように多数の細孔が穿設された透過性シート3が熱シールされて、該透過性シート3によって液体収容部4の開口部9が閉じられているため、液体収容部4内に収容されている液体は、該液体収容部4から一気に固体収容部6に溢れ出ることがなく、透過性シート3を介して液体が少量ずつ固体収容部6内へ供給されることとなる。
【0031】
その一方で、固体収容部6の開口部10は完全な開口状態とされているので、透過性シート3を介して液体収容部4から少量ずつ供給される液体は、固体収容部6内へ確実に滴下し、液体は毛細管現象によって確実に該固体収容部6内に収容されている担体22に含浸されることとなる。
【0032】
この場合、担体22には、粉末が担持されているため、液体収容部4から供給される薬液等の液体が粉末を好適に溶解させ、粉末を溶解させた薬液等の液体が担体22に含浸されることとなる。
【0033】
このように、粉末を溶解させた液体が担体22に含浸された後、液体収容部形成体5を
固体収容部形成体7から離間させ、元の位置まで回動させる。その状態では、固体収容部
6の開口部10の開口状態が維持されているので、固体収容部6内の担体22を容易に取り出すことができ、たとえば顔面の目の周囲に塗布するパッドとして使用することができる。特に、このパッドは、上述のように略眉形に形成されているので、目の周囲に沿って当接させ易く、顔面の目の周囲に塗布するパッドとして好適に使用することができる。
【0034】
以上のように、本実施形態では、連設部8を介して液体収容部形成体5を固体収容部形成体7側に折り曲げるとともに、液体収容部4の開口部9と固体収容部6の開口部10とを対面させ、透過性シート3を介して液体収容部4内の液体を固体収容部6側へ供給することとしたため、従来のように外側からの強い力によって液体収容部と固体収容部との境界部分を剥離させて連通状態とさせるような作業を必要とせず、液体を担体に確実に含浸させることができ、また担体に担持された粉末を確実に溶解させることができる。
【0035】
また、外側から強い力を加えるわけではないので、包装容器本体1、カバーシート2、透過性シート3等の包装容器を構成する各包材に破袋等を生じさせることがない。また、包装容器の開封から、担体への液体の含浸、さらには液体と粉末との混合等の一連の操作を簡易に行うことができる。
【0036】
尚、上記実施形態では、包装容器本体1が、無延伸ポリプロピレン等のポリプロピレンや、非晶質等のポリエチレンテレフタレート等で構成されていたが、包装容器本体1の材質は該実施形態に限定されるものではなく、他の合成樹脂を用いることも可能である。また、たとえば合成樹脂製のシートにアルミニウムをラミネートしたようなものを用いることも可能である。
【0037】
また、該実施形態では、カバーシート2として、合成樹脂製フィルムにアルミニウムをラミネートし、或いは異材質の合成樹脂製フィルムをラミネートしたようなラミネートフィルムを用いたが、カバーシート2の材質も該実施形態に限定されるものではなく、ラミネートしていない単層の合成樹脂製フィルムを用いることも可能である。
【0038】
さらに、上記実施形態では、液体収容部形成体5と固体収容部形成体7とがともに平面略円形状に形成されていたが、液体収容部形成体5と固体収容部形成体7の形状は該実施形態に限定されるものではなく、たとえば四角形状や三角形状等に形成されていてもよく、その形状は問わない。
【0039】
また上記実施形態では、液体収容部4と固体収容部6とが、平面略眉形に形成されていたが、液体収容部4と固体収容部6との形状も上記実施形態に限定されるものではなく、たとえば円形等の任意の形状に形成することができ、収容する担体の形状に応じて任意に変更することができる。たとえば目の周囲に当接するパッドを担体として使用する場合には、その担体がたとえば平面略眉形に形成され、その担体の形状に応じて固体収容部6が平面略眉形に形成されることとなる。
さらに、上記実施形態では、液体収容部4と固体収容部6とが、それぞれ液体収容部形成体5と固体収容部形成体7とにおいて2個ずつ形成されていたが、液体収容部形成体5や固体収容部形成体7に形成される液体収容部4、固体収容部6の個数も該実施形態に限定されるものではなく、たとえば1個ずつ形成されていてもよく、或いは3個以上ずつ形成されていてもよい。
【0040】
さらに上記実施形態では、カバーシート2が、液体収容部4の開口部9に沿う略眉形の周縁部17、17に熱シールされているとともに、固体収容部6の略円形の外周縁部18に熱シールされていたが、この熱シールされる位置も上記実施形態に限定されるものではない。またシールの手段も熱シールに限らず、たとえば超音波シールのような手段を採用することも可能である。
【0041】
さらに上記実施形態では、液体として化粧水や消毒液のような薬液を使用する場合について説明したが、これ以外の液体に使用することも可能である。また該実施形態では、担体として、薬液を含浸させる不織布製パッドのようなものを用いる場合について説明したが、担体の種類も該実施形態に限定されない。
【0042】
さらに上記実施形態では、担体に担持させる粉末として、ビタミンCや糖誘導体等の粉末を用いたが、これ以外の粉末を担持させることも可能である。また、上記実施形態では、粉末を担体に担持させて固体収容部6内に収容する場合、すなわち、担体と粉末との双方を固体収容部6内に収容する場合について説明したが、これに限らず、粉末を担持させずに担体のみを固体収容部6内に収容することも可能である。ただし、上記実施形態のように粉末を担体に担持させることによって、液体が担体に含浸されるとともに粉末が液体に溶解され、結果として、粉末が溶解した液体が担体に好適に含浸されるという効果がある。
【0043】
さらに、担体を収容せず、粉末のみを固体収容部6内に収容することも可能である。この場合には、上述のように液体収容部4内に収容されている液体が透過性シート3を介して固体収容部6内へ供給されることで、粉末が液体に徐々に溶解し、液体収容部4内の液体がすべて固体収容部6内へ供給されることで、粉末は液体に好適に供給されることとなる。
このように、固体収容部6内に粉末を収容して粉末を液体に溶解させる場合においても、
連設部8を介して液体収容部形成体5を固体収容部形成体7側に折り曲げるとともに、液体収容部4の開口部9と固体収容部6の開口部10とを対面させ、透過性シート3を介して液体収容部4内の液体が固体収容部6側へ供給されるので、従来のように外側からの強い力によって液体収容部と固体収容部との境界部分を剥離させて連通状態とさせるような作業を必要とせず、粉末を液体に確実に溶解させることができるのである。
さらに、粉末以外の固形物を収容することも可能である。この場合、その固形物は、上記のような液体を含浸させ、或いは粉末を担持させるようなものでなく、単に液体で溶解することのできるようなものであってもよい。いずれにしても、固体収容部6内に収容される固体の種類は問うものではない。
【0044】
さらに、本発明の包装容器の用途も、上述のような化粧品用、医薬品用、食品用等の他、これら以外の用途に使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一実施形態としての異材分離型包装容器を示す平面図。
【図2】同底面図。
【図3】同側面図。
【図4】図1のA−A線拡大断面図。
【図5】図1のB−B線拡大断面図。
【図6】図5の要部拡大断面図。
【図7】図1のC−C線拡大断面図。
【図8】カバーシートを包装容器本体から剥離する直後の断面図。
【図9】カバーシートの剥離後の断面図。
【図10】カバーシート剥離後の液体収容部近傍の断面図。
【図11】図10の要部拡大断面図。
【図12】カバーシート剥離後の固体収容部近傍の断面図。
【図13】固体収容部形成体を液体収容部形成体に重ね合わせた状態を示す概略側面図。
【図14】同重ね合わせた状態の概略断面図。
【符号の説明】
【0046】
1…包装容器本体 2…カバーシート
3…透過性シート 4…液体収容部
5…液体収容部形成体 6…固体収容部
7…固体収容部形成体 8…連設部
9…開口部 10…開口部
11…ヒンジ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容可能な液体収容部(4)を有する液体収容部形成体(5)と、該液体を含浸させ、若しくは該液体によって溶解させる固体を収容可能な固体収容部(6)を有する固体収容部形成体(7)とが連設部(8)を介して連設されることによって包装容器本体(1)が構成され、前記液体収容部形成体(5)は連設部(8)を介して前記固体収容部形成体(7)側へ折り曲げ可能であり、少なくとも前記液体収容部(4)の開口部(9)には透過性シート(3)が設けられているとともに、該液体収容部(4)の開口部(9)と前記固体収容部(6)の開口部(10)を覆うようなカバーシート(2)が包装容器本体(1)の表面に貼着され、該カバーシート(2)を包装容器本体(1)から剥離し、前記液体収容部形成体(5)を前記固体収容部形成体(7)側へ折り曲げた際に、前記液体収容部(4)の開口部(9)と固体収容部(6)の開口部(10)が対面し、前記透過性シート(3)を介して液体収容部(4)内の液体が固体収容部(6)側へ供給されるように構成されていることを特徴とする異材分離型包装容器。
【請求項2】
カバーシート(2)が、合成樹脂製フィルムにアルミニウムをラミネートし、又は異材質の合成樹脂製フィルムをラミネートしたラミネートフィルムで構成されている請求項1記載の異材分離型包装容器。
【請求項3】
透過性シート(3)が、多数の細孔が穿設された合成樹脂製フィルムで構成されている請求項1又は2記載の異材分離型包装容器。
【請求項4】
透過性シート(3)が、カバーシート(2)の裏面側の全面にラミネートされているとともに、該カバーシート(2)を包装容器本体(1)から剥離した状態で、透過性シート(3)が液体収容部(4)の開口部(9)に残存するように構成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の異材分離型包装容器。
【請求項5】
カバーシート(2)が、熱シールによって包装容器本体(1)の表面に貼着されている請求項1乃至4のいずれかに記載の異材分離型包装容器。
【請求項1】
液体を収容可能な液体収容部(4)を有する液体収容部形成体(5)と、該液体を含浸させ、若しくは該液体によって溶解させる固体を収容可能な固体収容部(6)を有する固体収容部形成体(7)とが連設部(8)を介して連設されることによって包装容器本体(1)が構成され、前記液体収容部形成体(5)は連設部(8)を介して前記固体収容部形成体(7)側へ折り曲げ可能であり、少なくとも前記液体収容部(4)の開口部(9)には透過性シート(3)が設けられているとともに、該液体収容部(4)の開口部(9)と前記固体収容部(6)の開口部(10)を覆うようなカバーシート(2)が包装容器本体(1)の表面に貼着され、該カバーシート(2)を包装容器本体(1)から剥離し、前記液体収容部形成体(5)を前記固体収容部形成体(7)側へ折り曲げた際に、前記液体収容部(4)の開口部(9)と固体収容部(6)の開口部(10)が対面し、前記透過性シート(3)を介して液体収容部(4)内の液体が固体収容部(6)側へ供給されるように構成されていることを特徴とする異材分離型包装容器。
【請求項2】
カバーシート(2)が、合成樹脂製フィルムにアルミニウムをラミネートし、又は異材質の合成樹脂製フィルムをラミネートしたラミネートフィルムで構成されている請求項1記載の異材分離型包装容器。
【請求項3】
透過性シート(3)が、多数の細孔が穿設された合成樹脂製フィルムで構成されている請求項1又は2記載の異材分離型包装容器。
【請求項4】
透過性シート(3)が、カバーシート(2)の裏面側の全面にラミネートされているとともに、該カバーシート(2)を包装容器本体(1)から剥離した状態で、透過性シート(3)が液体収容部(4)の開口部(9)に残存するように構成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の異材分離型包装容器。
【請求項5】
カバーシート(2)が、熱シールによって包装容器本体(1)の表面に貼着されている請求項1乃至4のいずれかに記載の異材分離型包装容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−102046(P2009−102046A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276255(P2007−276255)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000129057)株式会社カナエ (39)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000129057)株式会社カナエ (39)
【Fターム(参考)】
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