説明

異物検査装置

【課題】X線照射部や制御用基板の冷却を良好に行うことができる異物検査装置の提供。
【解決手段】被検査物2にX線3を照射するX線照射部4とX線3を検知するX線検知部5とX線照射部4を隠蔽する隠蔽箱体8とを備え、隠蔽箱体8には、隠蔽箱体8内に空気を導入する導入用開口部9及び隠蔽箱体8内から空気を導出する導出用開口部10を設けた異物検査装置であって、導入用開口部9及び導出用開口部10を隠蔽箱体8の背面部13に夫々設け、この背面部13と前記X線照射部4との間に、導入側流通部14と導出側流通部15とを仕切り形成する仕切り体16を設け、隠蔽箱体8の内部に設けられる複数の制御用基板17を隠蔽箱体8の内周壁面及び仕切り体16に添設状態で分散配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から例えば特許文献1に開示されるような、搬送コンベアにより搬送される被検査物にX線を照射すると共にこの被検査物を透過した透過X線を検知して異物の混入を検査する異物検査装置が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−308413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、異物検査装置のX線照射部は作動時に高温となり、また、X線照射部やモニタや画像処理部等を制御する制御用基板からも少なからず発熱が生じるため、これらのより効率的な冷却が要望されているのが現状である。
【0005】
本発明は、上述のような現状に鑑み鋭意研究の結果完成したものであり、X線照射部や制御用基板の冷却を良好に行うことができるのは勿論、隠蔽箱体の低背化・小型化を図ることも可能な極めて実用性に秀れた異物検査装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
搬送機構1により搬送される被検査物2に上方からX線3を照射するX線照射部4と、このX線照射部4と対向状態に設けられ前記被検査物2を透過したX線3を検知するX線検知部5と、前記X線照射部4から前記被検査物2に照射されるX線3が外部に漏れないように前記搬送機構1の一部を覆う左右側面に前記被検査物2が通過可能な開口部6を夫々有するカバー体7と、このカバー体7の上方に設けられる前記X線照射部4を隠蔽する隠蔽箱体8とを備え、前記隠蔽箱体8には、少なくともいずれか一方に送風機構が設けられる前記隠蔽箱体8内に空気を導入する導入用開口部9及び前記隠蔽箱体8内から空気を導出する導出用開口部10を設けて、前記隠蔽箱体8内の空気を循環してこの隠蔽箱体8内を冷却し得るように構成した異物検査装置であって、前記導入用開口部9及び前記導出用開口部10を前記隠蔽箱体8の左右側面部11・12に設けずにこの隠蔽箱体8の背面部13に夫々設け、この背面部13と前記X線照射部4との間に、主に前記導入用開口部9から前記X線照射部4へ向かって空気が流通する導入側流通部14と主に前記X線照射部4から前記導出用開口部10へ向かって空気が流通する導出側流通部15とを仕切り形成する仕切り体16を設け、前記隠蔽箱体8の内部に設けられる複数の制御用基板17を、前記送風機構と前記導入用開口部9と前記導出用開口部10と前記仕切り体16とで形成される空気流を阻害しないようにこの空気流の周縁部位置となる前記隠蔽箱体8の天面部18,底面部19,左右側面部11・12,正面部24若しくは背面部13または前記仕切り体16に添設状態で分散配設したことを特徴とする異物検査装置に係るものである。
【0008】
また、搬送機構1により搬送される被検査物2に上方からX線3を照射するX線照射部4と、このX線照射部4と対向状態に設けられ前記被検査物2を透過したX線3を検知するX線検知部5と、前記X線照射部4から前記被検査物2に照射されるX線3が外部に漏れないように前記搬送機構1の一部を覆う左右側面に前記被検査物2が通過可能な開口部6を夫々有するカバー体7と、このカバー体7の上方に設けられる前記X線照射部4を隠蔽する隠蔽箱体8とを備え、前記隠蔽箱体8には、少なくともいずれか一方に送風機構が設けられる前記隠蔽箱体8内に空気を導入する導入用開口部9及び前記隠蔽箱体8内から空気を導出する導出用開口部10を設けて、前記隠蔽箱体8内の空気を循環してこの隠蔽箱体8内を冷却し得るように構成した異物検査装置であって、前記導入用開口部9及び前記導出用開口部10を前記隠蔽箱体8の左右側面部11・12に設けずにこの隠蔽箱体8の背面部13に夫々設け、この背面部13と前記X線照射部4との間に、主に前記導入用開口部9から前記X線照射部4へ向かって空気が流通する導入側流通部14と主に前記X線照射部4から前記導出用開口部10へ向かって空気が流通する導出側流通部15とを仕切り形成する仕切り体16を設け、前記X線照射部4に被嵌せしめられる冷却用筒部20の一端側に前記導入側流通部14を流通する空気をこの冷却用筒部20内に導入して前記導出側流通部15側へ導出する中継用送風部21を設け、前記送風機構と前記導入用開口部9と前記導出用開口部10と前記中継用送風部21と前記仕切り体16とで形成される空気流を阻害しないようにこの空気流の周縁部位置となる前記隠蔽箱体8の天面部18,底面部19,左右側面部11・12,正面部24若しくは背面部13または前記仕切り体16に添設状態で分散配設したことを特徴とする異物検査装置に係るものである。
【0009】
また、前記制御用基板17は、前記隠蔽箱体8の天面部18及び底面部19並びに前記仕切り体16に添設状態で配設したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の異物検査装置に係るものである。
【0010】
また、前記X線照射部4は前記隠蔽箱体8内にして正面部24寄り位置に設け、前記導入用開口部9を前記背面部13の一側寄り位置に設け、前記導出用開口部10を前記背面部13の他側寄り位置に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の異物検査装置に係るものである。
【0011】
また、前記X線照射部4の外周面に冷却用のフィン22を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の異物検査装置に係るものである。
【0012】
また、前記制御用基板17は、同一箇所に積層状態に設けずに単層状態で分散配設したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の異物検査装置に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、X線照射部や制御用基板の冷却を良好に行うことができるのは勿論、隠蔽箱体の低背化・小型化を図ることも可能な極めて実用性に秀れた異物検査装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0015】
送風機構により導入用開口部9から導入されて導入側流通部14を流通しX線照射部4を介して導出側流通部15を流通し導出用開口部10から導出される空気流を生じさせると、この空気流によりX線照射部4及び制御用基板17の冷却が促進される。
【0016】
具体的には、前記空気流により導入用開口部9から導入される空気(冷気)が良好にX線照射部4へと送られ、このX線照射部4の熱により加熱された空気(暖気)は導出用開口部10から導出され、且つ、制御用基板17が前記空気流を阻害しないようにこの空気流の周縁部位置となる隠蔽箱体8の内周壁面や仕切り体16に分散配設されることで(空気流に沿った熱源配置とすることで)、前記空気流を阻害せずこの制御用基板17からの放熱も空気流に乗って循環排出される。
【0017】
従って、本発明によれば、隠蔽箱体8内にX線照射部4及び制御用基板17を効率的に冷却可能な空気流を送風機構と導入用開口部9と導出用開口部10と仕切り体16とで形成することができ、隠蔽箱体8内の冷却を極めて効率的に行うことが可能となる。
【0018】
また、搬送機構1により搬送される被検査物2が通過するカバー体7の開口部6上には導入用開口部9及び導出用開口部10が存在せず、よって、この導入用開口部9及び導出用開口部10に溜まった塵埃等の異物が搬送機構1上に落下して被検査物2へ付着したり、開口部6から内部に侵入したりすることが可及的に阻止されることになり、それだけ清掃等のメンテナンスが容易化する。
【0019】
また、例えば、前記X線照射部4は前記隠蔽箱体8内にして正面部24寄り位置に設け、前記導入用開口部9を前記背面部13の一側寄り位置に設け、前記導出用開口部10を前記背面部13の他側寄り位置に設けた場合には、前記空気流を隠蔽箱体8内の略全域に行き渡らせることが可能となり、一層効率的な冷却が可能となる。
【0020】
また、例えば、前記X線照射部4に被嵌せしめられる冷却用筒部20の一端側に前記導入側流通部14を流通する空気をこの冷却用筒部20内に導入して前記導出側流通部15側へ導出する中継用送風部21を設けた場合には、X線照射部4を一層良好に冷却可能となり、更に前記空気流を一層容易且つ確実に発生させることが可能となる。
【実施例】
【0021】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0022】
本実施例は、図1に図示したように、搬送機構1により搬送される被検査物2に上方からX線3を照射するX線照射部4と、このX線照射部4と対向状態に設けられ前記被検査物2を透過したX線3を検知するX線検知部5と、前記X線照射部4から前記被検査物2に照射されるX線3が外部に漏れないように前記搬送機構1の一部を覆う左右側面に前記被検査物2が通過可能な開口部6を夫々有するカバー体7と、このカバー体7の上方に設けられる前記X線照射部4を隠蔽する隠蔽箱体8とを備え、前記隠蔽箱体8には、少なくともいずれか一方に送風機構が設けられる前記隠蔽箱体8内に空気を導入する導入用開口部9及び前記隠蔽箱体8内から空気を導出する導出用開口部10を設けて、前記隠蔽箱体8内の空気を循環してこの隠蔽箱体8内を冷却し得るように構成した異物検査装置であって、前記導入用開口部9及び前記導出用開口部10を前記隠蔽箱体8の左右側面部11・12に設けずにこの隠蔽箱体8の背面部13に夫々設け、この背面部13と前記X線照射部4との間に、主に前記導入用開口部9から前記X線照射部4へ向かって空気が流通する導入側流通部14と主に前記X線照射部4から前記導出用開口部10へ向かって空気が流通する導出側流通部15とを仕切り形成する仕切り体16を設け、前記X線照射部4に被嵌せしめられる冷却用筒部20の一端側に前記導入側流通部14を流通する空気をこの冷却用筒部20内に導入して前記導出側流通部15側へ導出する中継用送風部21を設け、前記送風機構と前記導入用開口部9と前記導出用開口部10と前記中継用送風部21と前記仕切り体16とで形成される空気流を阻害しないようにこの空気流の周縁部位置となる前記隠蔽箱体8の天面部18,底面部19,左右側面部11・12若しくは背面部13または前記仕切り体16に添設状態で分散配設したものである。
【0023】
本実施例は、X線照射部4として、一般的な高電圧発生装置が内蔵された高電力(数百ワット)で駆動するX線生成装置ではなく、この高電圧発生装置を内蔵せず隠蔽箱体8の外部に設けてこの高電圧発生装置とケーブルを介して接続される低電力(数十ワット)で駆動するものを採用している。
【0024】
従って、高電圧発生装置を隠蔽箱体8内に設ける必要がなく、また、より低電力で駆動するものであるためX線生成装置本体も小形化し、それだけ隠蔽箱体8を低背化・小型化することが可能となる。
【0025】
また、高電力で駆動するX線生成装置を用いる場合には、このX線生成装置の上部に冷却用のヒートシンクを設けると共にこのヒートシンクからの放熱を促進するファンをヒートシンクの上部に設ける必要があり、この点においても隠蔽箱体8の高背化は避けられなかったが、本実施例においては、上述したようにより低電力で駆動するX線生成装置を採用したため、後記の冷却構造で十分対応可能でヒートシンクを上部に設ける必要がなく、それだけ低背化・小型化を図ることが可能となる。
【0026】
各部を具体的に説明する。
【0027】
図3に図示したように、X線照射部4は断面視略円形状の円筒体で、下部に内部で生成したX線3が通過可能な通過部を備えた構成であり、このX線照射部4の下方位置には前記通過部を通過したX線4を、隠蔽箱体8の底面部19及びカバー体7の上面に形成したスリット部へと導くX線ガイド体23を設けている。
【0028】
従って、X線照射部4で生成されたX線3は、通過部を通過してX線ガイド体23を介してスリット部から搬送機構1(コンベア)上に被検査物1の搬送方向に直交する方向に広がるような略扇状で照射される(図2参照)。尚、図中、符号35は本実施例の搬送機構1に連設される他の装置の搬送機構である。
【0029】
搬送機構1は、左右一対の駆動ローラ25に無端状のベルト26を掛け回して成るものであり、このベルト26の搬送面と非搬送面との間にして搬送機構1の長手方向略中央位置には、X線照射部4から照射されるX線3を検知するラインセンサを有するX線検知部5を設けている。このX線検知部5で検知された透過X線情報は画像処理部を介して隠蔽箱体8の正面部24に設けられるモニタ27に表示される。図中、符号28は操作用のタッチパネル、30は搬送機構1,カバー体7及び隠蔽箱体8等を支持する脚部である。
【0030】
また、搬送機構1の一部を覆うカバー体7は、その正面部が下方に開き回動可能に構成され、このカバー体7の上面には隠蔽箱体8の底面部19が載置重合せしめられている。また、カバー体7の開口部6の開口形状は扇状に照射されるX線3の断面に沿うような台形状に構成し、開口部6には遮蔽用の暖簾体29を設け、X線3の漏出が可及的に生じないように構成している。
【0031】
隠蔽箱体8は、カバー体7の上面に固定される基部31と、この基部31に対して上方に開き回動可能に構成された蓋部32とで構成している。基部31はトレイ状であり、蓋部32を閉じると基部31の周壁の外側に蓋部32の側周壁面が位置するように構成している。この基部31の載置面が底面部19に設定されている。
【0032】
以下、本実施例の冷却構造を具体的に説明する。
【0033】
隠蔽箱体8の背面部13には、夫々送風機構(回転羽根体とこの回転羽根体を回転可能に支持するケース体とから成るファン34)が取り付けられた導入用開口部9及び導出用開口部10が略同じ高さ位置に並設状態に設けられている。
【0034】
導入用開口部9に取り付けられるファン34は外気(冷気)を取り込む向きで回転羽根体の回転軸が略水平となるように取り付けられ、導出用開口部10に取り付けられるファン34は内気(暖気)を外部に送り出す向きで回転羽根体の回転軸が略水平となるように取り付けられている。
【0035】
また、この導入用開口部9は背面部13の一側寄り位置(図4中左側寄り位置)に設け、導出用開口部10は背面部13の他側寄り位置(図4中右側寄り位置)に設けている。
【0036】
また、X線照射部4はその長手方向が背面部13の面方向と略平行となるように隠蔽箱体8の正面部24寄り位置に設けている。具体的には、背面部13と正面部24との中間位置よりX線照射部4の正面部24側端部が正面部24側に位置するように設けている。
【0037】
また、仕切り体16は薄板状であり、隠蔽箱体8の背面部13とX線照射部4との間に略直線状に立設状態に設けている。従って、上記空気流は平面視略U字状を描く水平流となる。
【0038】
また、本実施例の仕切り体16は、隠蔽箱体8内を一側と他側とに完全に仕切るものではなく、仕切り体16の上方及び下方には、隠蔽箱体8の天面部及び底面部との間に若干の隙間が設けられる形状であるが、この仕切り体16が存在することで上記空気流の向きが明確となれば、厳密に仕切るものでなくとも特に問題はない。
【0039】
また、仕切り体16の高さは後記冷却用筒部20の上面位置と略同じ高さに設定し、この冷却用筒部20の上面位置と仕切り体16の上端とが隠蔽箱体8の蓋部32の天面部18(に設けた制御用基板17)と僅かの間隔をおいて対向するように構成している。
【0040】
従って、導入用開口部9から導入される空気は図4中左側に形成される導入側流通部14を通り正面部24側のX線照射部4へと送られ、図4中右側に形成される導出側流通部15を通り外部へと導出されることになる。
【0041】
よって、この導入側流通部14,X線照射部4及び導出側流通部15を通過する空気流は隠蔽箱体8の内周壁面及び仕切り体16の左右両側面に沿うように生じ隠蔽箱体8の内部の略全域をカバーできることになる。即ち、隠蔽箱体8の内周壁面及び仕切り体16に添設状態で分散配設される制御用基板17は上記空気流に沿った配置構成となり、良好に冷却されることになる。
【0042】
また、X線照射部4の外周面にはこのX線照射部4の長さと略同じ長さ(実際には僅かに短い長さ)の冷却用のフィン22を設けている。このフィン22は少なくともX線照射部4の上面及び側面に設けるのが好ましい。本実施例では、円筒状のX線照射部4の外周面にして側面視において約8時位置から約4時位置に渡ってフィン22を設けている。
【0043】
X線照射部4には前記フィン22と僅かな間隔をおいて冷却用筒部20が被嵌されている。尚、X線ガイド体23は冷却用筒部20の下面を貫通してX線照射部4の下部に直結されている。
【0044】
この冷却用筒部20の一端側(導入側流通部14側)には、図5に図示したように冷却用筒部20内に導入側流通部14を流通する空気を強制的に送り込み導出側流通部15へと送り出す中継用送風部21(上記導入用開口部9等に設けたものと同様のもので、回転羽根体の回転軸が略水平のファン34)を導入用開口部9等と略同じ高さ位置に設けている。導入用開口部9,導出用開口部10及び中継用送風部21は、天面部18及び底面部19に設ける制御用基板17の冷却も良好に行うために、遮蔽箱体8の高さ方向略中央位置に設けるのが望ましい。また、フィン22と冷却用筒部20の内面との間隙は1〜2cm程度に設定するのが好ましい。また、冷却用筒部20は本実施例においては角筒状に設定しているが円筒状としても良い。
【0045】
従って、X線照射部4は冷却用筒部20とフィン22と中継用送風部21とにより極めて良好に冷却されることになり、中継用送風部21により上記空気流が一層明確に形成されることになる。
【0046】
また、本実施例の制御用基板17は、例えばX線照射部4やモニタ27やタッチパネル28や画像処理部等を制御するものであり、前記隠蔽箱体8の天面部18及び底面部19並びに前記仕切り体16に添設状態で配設している。
【0047】
尚、本実施例においては、天面部18に設けたのはモニタを制御する機能を有するモニタ制御用基板、底面部19の図4中左側に設けたのは搬送機構1に連設される他の装置の搬送機構制御及び搬送機構1に連設される画像処理により異物混入が確認された製品を除去する機構制御用の基板、底面部19の図4中右側に設けたのはX線生成装置制御用の基板、仕切り体16に設けたのはX線生成装置を駆動するための電源を供給する電源制御用の基板である。尚、本実施例においては仕切り体16に設けられる制御用基板17は金網状のケース33内に設けているが、ケース33に設けない構成としても良い。
【0048】
また、本実施例においては、制御用基板17を隠蔽箱体8の左右側面部11・12や背面部13には設けていないが、左右側面部11・12等に設けた構成としても良いし、モニタ27やタッチパネル28やスイッチ等が設けられるため好ましくはないが、正面部24に設けた構成としても良い。
【0049】
また、本実施例においては、制御用基板17は、同一箇所に積層状態に設けずに単層状態で(一枚ずつ)分散配設している。即ち、制御用基板17が上記空気流を阻害しない該空気流の周縁部位置(空気流の外縁位置)に分散配設され、積層した基板により空気流が阻害されることもなく且つこれらの基板17の表面上を空気流が通過し、良好に放熱が行われることになる。
【0050】
本実施例は上述のように構成したから、送風機構により導入用開口部9から導入されて導入側流通部14を流通しX線照射部4を介して導出側流通部15を流通し導出用開口部10から導出される空気流を生じさせると、この空気流によりX線照射部4及び制御用基板17の冷却が促進される。
【0051】
具体的には、前記空気流により導入用開口部9から導入される空気(冷気)が良好にX線照射部4へと送られ、このX線照射部4の熱により加熱された空気(暖気)は導出用開口部10から導出され、且つ、制御用基板17が前記空気流を阻害しないようにこの空気流の周縁部位置となる隠蔽箱体8の内周壁面や仕切り体16に分散配設されることで(空気流に沿った熱源配置とすることで)、前記空気流を阻害せずこの制御用基板17からの放熱も空気流に乗って循環排出される。
【0052】
従って、本実施例によれば、隠蔽箱体8内にX線照射部4及び制御用基板17を効率的に冷却可能な空気流を送風機構と導入用開口部9と導出用開口部10と仕切り体16とで形成することができ、隠蔽箱体8内の冷却を極めて効率的に行うことが可能となる。
【0053】
また、搬送機構1により搬送される被検査物2が通過するカバー体7の開口部6上には導入用開口部9及び導出用開口部10が存在せず、よって、この導入用開口部9及び導出用開口部10に溜まった塵埃等の異物が搬送機構1上に落下して被検査物2へ付着したり、開口部6から内部に侵入したりすることが可及的に阻止されることになり、それだけ清掃等のメンテナンスが容易化する。
【0054】
また、前記X線照射部4は前記隠蔽箱体8内にして正面部24寄り位置に設け、前記導入用開口部9を前記背面部13の一側寄り位置に設け、前記導出用開口部10を前記背面部13の他側寄り位置に設けたから、前記空気流を隠蔽箱体8内の略全域に行き渡らせることが可能となり、一層効率的な冷却が可能となる。
【0055】
また、前記X線照射部4に被嵌せしめられる冷却用筒部20の一端側に前記導入側流通部14を流通する空気をこの冷却用筒部20内に導入して前記導出側流通部15側へ導出する中継用送風部21を設けたから、X線照射部4を一層良好に冷却可能となり、更に前記空気流を一層容易且つ確実に発生させることが可能となる。
【0056】
更に、X線照射部4として上記X線生成部を採用したから、それだけ隠蔽箱体8の低背化・小型化を図ることが可能となり、例えば図6(a),(b)に図示したように、カバー体7・7’や脚部30・30’は略同じ高さで、従来の隠蔽箱体8’に比し隠蔽箱体8の高さを半分程度にすることが可能となり、軽量且つ小型で非常に扱い易く転倒等もし難い安定性に秀れたものとなる。
【0057】
よって、本実施例は、X線照射部や制御用基板の冷却を良好に行うことができるのは勿論、隠蔽箱体の低背化・小型化を図ることも可能な極めて実用性に秀れた異物検査装置となる。
【0058】
本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施例の概略説明斜視図である。
【図2】本実施例の検査部の概略説明斜視図である。
【図3】本実施例の要部の拡大概略説明斜視図である。
【図4】本実施例の要部の概略説明平面図である。
【図5】本実施例のX線照射部の導入側流通部側の拡大概略説明斜視図である。
【図6】本実施例(a)及び従来例(b)を比較する概略説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 搬送機構
2 被検査物
3 X線
4 X線照射部
5 X線検知部
6 開口部
7 カバー体
8 隠蔽箱体
9 導入用開口部
10 導出用開口部
11 (左)側面部
12 (右)側面部
13 背面部
14 導入側流通部
15 導出側流通部
16 仕切り体
17 制御用基板
18 天面部
19 底面部
20 冷却用筒部
21 中継用送風部
22 フィン
24 正面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送機構により搬送される被検査物に上方からX線を照射するX線照射部と、このX線照射部と対向状態に設けられ前記被検査物を透過したX線を検知するX線検知部と、前記X線照射部から前記被検査物に照射されるX線が外部に漏れないように前記搬送機構の一部を覆う左右側面に前記被検査物が通過可能な開口部を夫々有するカバー体と、このカバー体の上方に設けられる前記X線照射部を隠蔽する隠蔽箱体とを備え、前記隠蔽箱体には、少なくともいずれか一方に送風機構が設けられる前記隠蔽箱体内に空気を導入する導入用開口部及び前記隠蔽箱体内から空気を導出する導出用開口部を設けて、前記隠蔽箱体内の空気を循環してこの隠蔽箱体内を冷却し得るように構成した異物検査装置であって、前記導入用開口部及び前記導出用開口部を前記隠蔽箱体の左右側面部に設けずにこの隠蔽箱体の背面部に夫々設け、この背面部と前記X線照射部との間に、主に前記導入用開口部から前記X線照射部へ向かって空気が流通する導入側流通部と主に前記X線照射部から前記導出用開口部へ向かって空気が流通する導出側流通部とを仕切り形成する仕切り体を設け、前記隠蔽箱体の内部に設けられる複数の制御用基板を、前記送風機構と前記導入用開口部と前記導出用開口部と前記仕切り体とで形成される空気流を阻害しないようにこの空気流の周縁部位置となる前記隠蔽箱体の天面部,底面部,左右側面部,正面部若しくは背面部または前記仕切り体に添設状態で分散配設したことを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】
搬送機構により搬送される被検査物に上方からX線を照射するX線照射部と、このX線照射部と対向状態に設けられ前記被検査物を透過したX線を検知するX線検知部と、前記X線照射部から前記被検査物に照射されるX線が外部に漏れないように前記搬送機構の一部を覆う左右側面に前記被検査物が通過可能な開口部を夫々有するカバー体と、このカバー体の上方に設けられる前記X線照射部を隠蔽する隠蔽箱体とを備え、前記隠蔽箱体には、少なくともいずれか一方に送風機構が設けられる前記隠蔽箱体内に空気を導入する導入用開口部及び前記隠蔽箱体内から空気を導出する導出用開口部を設けて、前記隠蔽箱体内の空気を循環してこの隠蔽箱体内を冷却し得るように構成した異物検査装置であって、前記導入用開口部及び前記導出用開口部を前記隠蔽箱体の左右側面部に設けずにこの隠蔽箱体の背面部に夫々設け、この背面部と前記X線照射部との間に、主に前記導入用開口部から前記X線照射部へ向かって空気が流通する導入側流通部と主に前記X線照射部から前記導出用開口部へ向かって空気が流通する導出側流通部とを仕切り形成する仕切り体を設け、前記X線照射部に被嵌せしめられる冷却用筒部の一端側に前記導入側流通部を流通する空気をこの冷却用筒部内に導入して前記導出側流通部側へ導出する中継用送風部を設け、前記送風機構と前記導入用開口部と前記導出用開口部と前記中継用送風部と前記仕切り体とで形成される空気流を阻害しないようにこの空気流の周縁部位置となる前記隠蔽箱体の天面部,底面部,左右側面部,正面部若しくは背面部または前記仕切り体に添設状態で分散配設したことを特徴とする異物検査装置。
【請求項3】
前記制御用基板は、前記隠蔽箱体の天面部及び底面部並びに前記仕切り体に添設状態で配設したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の異物検査装置。
【請求項4】
前記X線照射部は前記隠蔽箱体内にして正面部寄り位置に設け、前記導入用開口部を前記背面部の一側寄り位置に設け、前記導出用開口部を前記背面部の他側寄り位置に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の異物検査装置。
【請求項5】
前記X線照射部の外周面に冷却用のフィンを設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の異物検査装置。
【請求項6】
前記制御用基板は、同一箇所に積層状態に設けずに単層状態で分散配設したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の異物検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−270876(P2009−270876A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120206(P2008−120206)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(598105802)株式会社 システムスクエア (8)
【Fターム(参考)】