説明

異物除去具

【課題】異物を的確に除去することができると共に、異物除去の効率を高めた異物除去具を提供する。
【解決手段】この異物除去具110は、所定の圧力を有した圧縮空気を搬送する管体21と、管体21の先端に備えられ圧縮空気を噴射するノズル20と、を備え、ノズル20には少なくとも1つの噴射口26を備え、噴射方向28が管体20の軸27に対して所定の角度(β)になるように噴射口26を構成するものである(図3(b)参照)。また、管体21の先端に備えられたノズル20に対して反対側には、圧縮空気を管体21に供給したり、停止するための弁を操作するコック22が取り付けられ、その入口に空気供給ホース23が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物除去具に関し、さらに詳しくは、清掃対象物に堆積した異物を圧縮空気により除去する異物除去具の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火力発電所に備えられている発電機には、LNGを燃料としてガスタービンを駆動するタイプと、LNGをボイラで燃焼させて蒸気タービンを駆動するタイプと、石炭を微粉炭にして燃焼させ、ボイラにより高圧蒸気を発生して蒸気タービンを駆動するタイプがある。ガスタービンやボイラから排出される排熱ガスは非常に高温なため、そのまま大気中に放出すると危険なばかりでなく、エネルギの有効活用の点でも逆行することになる。そこで、排熱ガスを有効利用して熱交換器により水を温め、温められた水をボイラで加熱して高圧蒸気を発生して蒸気タービンを駆動することにより、少ない燃料で所定の蒸気圧力を得てエネルギを節約するようにしている。
熱交換器には水を流す多くのフィンチューブがあり、そのフィンチューブに排熱ガスを吹き付けて熱交換をしているが、排熱ガスの中には脱硝装置では除去しきれない灰状の異物が含まれており、その異物がフィンチューブに付着して熱交換の効率を低下させる大きな要因となっていた。そこで、従来から、長いパイプの先端に取り付けたノズルから圧縮空気を噴射してこの異物を除去していた。
【0003】
また、ノズルの従来技術として特許文献1には、管継手とノズルパイプとOリングとスペーサと袋ナットとを備え、袋ナットの内周に形成した雌ネジ部を管継手のパイプ取付け部の外周に形成した雄ネジ部に螺合して締め付けることにより、スペーサがOリングを介してノズルパイプの基端に形成したフレアー部を管継手のパイプ取付け部の先端に向って押し付け、ノズルパイプのフレアー部を管継手のパイプ取付け部の端面に密着させ、管継手のパイプ取付け部の端面とノズルパイプのフレアー部との間からの圧縮空気の漏れを防ぐエアガン用極細フレキシブルノズルについて開示されている。
【特許文献1】特開2006−35168公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のノズルによる方法は、フィンチューブ間の隙間にノズルを差し込みながら除去していたが、圧縮空気がノズルの先端からノズルの軸方向に沿って噴射する構造を採っていたため、ノズルを隙間内に挿入可能な方向とは異なる方向に付着した異物を的確に除去することができず、手間と多くの時間を要するといった問題がある。
また、特許文献1に開示されている従来技術は、管継手のパイプ取付け部の端面とノズルパイプのフレアー部との間からの圧縮空気の漏れを防ぐことはできるが、圧縮空気がノズルの先端からその軸方向に沿って噴射される構造であるため、上記と同じ問題を有していた。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、管体の先端にノズルを設け、このノズルに設けた噴射口から噴射される圧縮空気の噴射方向が、管体の軸方向(挿入可能方向)に対して所定の角度ずれるように形成することにより、ノズル挿入方向とは異なる周辺位置に付着した異物を的確に除去することができると共に、異物除去の効率を高めた異物除去具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、清掃対象物に堆積した異物を除去する異物除去具であって、所定の圧力を有した圧縮空気を搬送する管体と、該管体の先端に備えられ前記圧縮空気を噴射するノズルと、を備え、前記ノズルに少なくとも1つの噴射口を備え、前記圧縮空気の噴射方向が前記管体の軸方向に対して所定の角度ずれるように前記噴射口を構成したことを特徴とする。
本発明の異物除去具は、管体と管体の先端に取り付けたノズルとを備えて構成されている。そして、ノズルには少なくとも1つの噴射口を備え、圧縮空気の噴射方向が管体の軸方向に対して所定の角度ずれるように噴射口を構成したものである。これにより、清掃対象物が奥行き方向に配列されていて、且つ全体の角度を上下に移動できない場合においても、ノズルをその清掃対象物に沿わせるようにするだけで、圧縮空気が最適な位置に当たって異物を効率よく除去することができる。
【0007】
請求項2は、前記管体の適所に少なくとも1つの噴射口を備えたことを特徴とする。
本発明は圧縮空気の噴射口が先端のノズルだけでなく、管体の適所に備えるものである。これにより、清掃対象物が奥行き方向に配列されている場合、ノズルを清掃対象物に挿入しながら異物を除去するばかりでなく、挿入後も管体の噴射口から噴射した圧縮空気により、残った異物を更に除去することができる。
【0008】
請求項3は、前記所定の角度は、前記管体の軸に対して略45度であることを特徴とする。
ノズルに備えた噴射口が、管体の軸方向と同じでは清掃能力は余り高くならない。即ち、清掃対象物が奥行き方向に配列されていて、且つ全体の角度を上下に移動できない場合において、ノズル先端の角度も余り変化させられないため、清掃範囲が限定されてしまう。そこで本発明では、管体の軸方向に対して噴射方向が略45度になるように噴射口を構成するものである。これにより、清掃対象物に対して広範囲に圧縮空気を噴射することができる。
【0009】
請求項4は、前記ノズルの噴射口を少なくとも2つ備える場合、各噴射口を結ぶ直線が前記管体の軸と直交するように配置することを特徴とする。
清掃対象物が奥行き方向に配列されていて、且つ上下にある場合、その間にノズルを挿入して清掃を行なう。このときノズルの噴射口を少なくとも2つ備え、その位置が対向するように配置されることが好ましい。これにより、1回のノズルの挿入で上下にある清掃対象物の異物を同時に除去することができる。
【0010】
請求項5は、前記ノズルに設ける噴射口の断面形状を、前記圧縮空気の噴射方向へ向けて径が狭くなるテーパ状に形成したことを特徴とする。
圧縮空気はそれが流れる管体の面積が狭くなるほど速度(風速)が速くなる。そこで本発明では、噴射口の断面形状を、圧縮空気の噴射方向へ向けて径が狭くなるテーパ状に形成することにより、強い噴射力により異物を除去するものである。
【0011】
請求項6は、前記ノズルに回転機構を備え、前記圧縮空気が供給されたとき、前記回転機構により前記噴射口を有する前記ノズルの一部を回転させることを特徴とする。
ノズルの噴射口の配置を固定した場合、そのままでは全ての異物に圧縮空気を噴射することができない。異物が視認できればその方向に噴射口を向けることができるが、異物が視認できない場合は、異物を除去しきれない場所も発生する。そこで本発明では、噴射口を有するノズルの一部を回転可能な構成にして、圧縮空気が供給された場合に、その風圧により回転機構部を回転させ、周囲全てに圧縮空気を噴射するものである。これにより、効率よく圧縮空気を清掃対象物に当てることができる。
【0012】
請求項7は、前記ノズルに圧力弁を備え、前記圧縮空気が供給されたとき、所定の圧力以上になると前記圧力弁を開放して前記噴射口から前記圧縮空気を噴射することを特徴とする。
同じ風圧でも除去できる異物と除去できない異物がある。風圧を強めれば除去できない異物を除去することは可能であるが、それにも限界がある。そこで本発明では、できるだけ圧縮空気を圧縮して、ある圧力以上に達したときに、一気に噴射するものである。これにより、連続的な噴射圧力より高い瞬間的な圧力で異物を除去することができる。
【0013】
請求項8は、清掃対象物に堆積した異物を除去する異物除去具であって、所定の圧力を有した圧縮空気を搬送する管体を備え、該管体の先端を閉塞し、該先端を除く適所に少なくとも1つの噴射口を備えたことを特徴とする。
長尺の清掃対象物を清掃する場合、先端のノズルは必要性が低い。そこで本発明では、管体の先端を塞ぎ、管体の適所に噴射口を備えたものである。これにより、1回の挿入で清掃対象物の広い範囲に付着した異物を除去することができる。
【0014】
請求項9は、前記管体が伸縮自在に構成されていることを特徴とする。
清掃対象物の大きさに合わせて管体の長さを固定した場合、それより長い清掃対象物を清掃する場合に対応できない。そこで本発明では、管体が伸縮自在になるように構成するものである。これにより、清掃対象物の大きさに臨機応変に対応することができる。
【0015】
請求項10は、前記管体の適所に設けた噴射口を少なくとも2つ備える場合、各噴射口を結ぶ直線が前記管体の軸に対して直交するように配置することを特徴とする。
清掃対象物が奥行き方向に配列されていて、且つ上下にある場合、その間に管体を挿入して清掃を行なう。このとき管体の噴射口を少なくとも2つ備え、その位置が対向するように配置されることが好ましい。これにより、1回の管体の挿入で上下にある清掃対象物の異物を同時に除去することができる。
【0016】
請求項11は、前記圧縮空気を所定の温度に加熱して前記管体に供給することを特徴とする。
清掃対象物が高温の場合、そこに低温の圧縮空気を噴射すると、温度差により清掃対象物が急激に収縮して金属破断をきたす場合がある。従って、圧縮空気と清掃対象物の温度との間に大きな差が生じないことが重要である。そこで本発明では、圧縮空気を所定の温度に加熱して管体に供給するものである。これにより、清掃対象物の破損を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、清掃対象物に堆積した異物を除去する異物除去具であって、所定の圧力を有した圧縮空気を搬送する管体と、この管体の先端に備えられ圧縮空気を噴射するノズルと、を備え、ノズルに少なくとも1つの噴射口を備え、圧縮空気の噴射方向が管体の軸方向に対して所定の角度ずれるように噴射口を構成したので、清掃対象物が奥行き方向に配列されていて、且つ全体の角度を上下に移動できない場合においても、ノズルをその清掃対象物に沿わせるようにするだけで、圧縮空気が最適な位置に当たって異物を効率よく除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は火力発電所に備えられた排熱回収熱交換器の全体構成図である。この排熱回収熱交換器100は、図示しないガスタービン1より排出された排熱ガスをダクト2から受け入れ、高温排熱回収熱交換器3により最も高温の排熱ガスによりフィンチューブ(水を流すフィンを備えた管)を温める。このとき、排熱ガスに含まれる灰状の異物はフィンチューブに堆積するので、定期的に除去してホッパ4により回収される。高温排熱回収熱交換器3を通過した排熱ガスは熱交換されて温度が低下するが、まだ高温である。また、排熱ガスに含まれる窒素酸化物が大気を汚染するため、脱硝装置5によりこの窒素酸化物を取り除いている。窒素酸化物が取り除かれた排熱ガスは更にダクト6を介して排熱回収熱交換器7に供給される。排熱回収熱交換器7は3つの部分から構成され、高温排熱回収熱交換器7a、中温排熱回収熱交換器7b、低温排熱回収熱交換器7cを備え段階的に熱交換が行なわれる。そして、これらの排熱回収熱交換器にも灰状の異物がフィンチューブに堆積するので、後述するような異物除去具により定期的に取り除いてホッパ8により回収される。
【0019】
図2は排熱回収熱交換器に堆積した異物を除去する様子を模式化した図である。例えば、フィンチューブ18が間隔dで4列に高さ約10mに構成され、そのブロックが2つある場合、各ブロックに足場12をフィンチューブ18と略同じ高さに構成し、マンホール15から作業者11が足場12の中に入って作業できるように構成されている。例えば、作業者11が足場12の最上段に上り、本発明のノズル(異物除去具)14を持って、フィンチューブ18の隙間に差し込んで、堆積した堆積灰(異物)13を清掃エアー(圧縮空気)10をノズル14から噴射して除去するものである。
【0020】
図3(a)は本発明の第1の実施形態に係る異物除去具の構成図である。この異物除去具110は、所定の圧力を有した圧縮空気を搬送する管体21と、管体21の先端に備えられ圧縮空気を噴射するノズル20と、を備え、ノズル20には少なくとも1つの噴射口26を備え、噴射方向28が管体20の軸27に対して所定の角度(β)になるように噴射口26を構成するものである(図3(b)参照)。また、管体21の先端に備えられたノズル20に対して反対側には、圧縮空気を管体21に供給したり、停止するための弁を操作するコック22が取り付けられ、その入口に空気供給ホース23が取り付けられている。
【0021】
即ち、本実施形態の異物除去具110は、管体21と管体21の先端に取り付けたノズル20とを備えて構成されている。そして、ノズル20には少なくとも1つの噴射口26を備え、圧縮空気の噴射方向が管体21の軸方向27に対して所定の角度(β)ずれるように噴射口26を構成したものである。これにより、フィンチューブ(清掃対象物)18が奥行き方向に配列されていて、且つ全体の角度を上下に移動できない場合においても、ノズル20をそのフィンチューブ18に沿わせるようにするだけで、ノズルを隙間内に挿入可能な方向とは異なる方向に付着した異物を効率よく除去することができる。
また、ノズル20に備えた噴射口26が、管体21の軸方向27と同じでは清掃能力は余り高くならない。即ち、フィンチューブ18が奥行き方向に配列されていて、且つ全体の角度を上下に移動できない場合において、ノズル20先端の角度も余り変化させることができないので清掃範囲が限定されてしまう。そこで本実施形態では、管体の軸方向に対して噴射方向が略45度になるように噴射口を構成するものである。これにより、フィンチューブ18に対して広範囲に圧縮空気を噴射することができる。
【0022】
図4は本発明の第2の実施形態に係る異物除去具の構成図である。同じ構成要素には図3(a)と同じ参照番号を付して説明する。この異物除去具120は、図3(a)の管体21の適所に少なくとも1つの噴射口24を備えたものであり、例えば、図4のように2つ以上ある場合は、その間隔dを所定の間隔に設定するものである。例えば、図2の排熱回収熱交換器のフィンチューブ18の間隔dと等しくなるようにしても良い。
即ち、本実施形態は圧縮空気の噴射口が先端26だけでなく、管体21の適所24に備えるものである。これにより、フィンチューブ18が奥行き方向に配列されている場合、ノズル20をフィンチューブ18に挿入しながら異物を除去するばかりでなく、挿入後も管体21の噴射口24から噴射した圧縮空気により、残った異物を更に除去することができる。
【0023】
図5は本発明の第3の実施形態に係る異物除去具の構成図である。同じ構成要素には図3(a)と同じ参照番号を付して説明する。この異物除去具130は、所定の圧力を有した圧縮空気を搬送する管体21を備え、管体21の先端を閉塞部材25により閉塞し、閉塞部材25を除く適所に少なくとも1つの噴射口24を備えたものである。図では4箇所に噴射口を備えているが、これより多くても少なくても構わない。
即ち、奥行き方向が深いフィンチューブ18を清掃する場合、先端のノズル20は必要性が低い。そこで本実施形態では、管体21の先端を閉塞部材25で塞ぎ、管体21の適所に噴射口24を備えたものである。このとき、噴射口24の間隔をフィンチューブ18の間隔dと等しくすることにより、1回の挿入でフィンチューブ18の広い範囲に付着した異物を除去することができる。
【0024】
図6は本発明の第4の実施形態に係る異物除去具の構成図である。図6(a)は管体21を全て延ばした場合であり、図6(b)は管体21を全て縮めた場合である。同じ構成要素には図3(a)と同じ参照番号を付して説明する。この異物除去具140は、管体が伸縮自在に構成されていることである。例えば、図6(a)のように管体21が3つの部分(21a〜21c)により構成され、夫々が互いに挿入可能な径に構成されている場合、矢印Aの方向に伸ばすことにより、フィンチューブ18の奥行きに合わせて管体を設定することができる。また、異物除去が終了して異物除去具140を収納するときは、図6(b)にように3つの部分(21a〜21c)を収納しておくことができる。
即ち、フィンチューブ18の奥行きの大きさに合わせて管体の長さを固定した場合、それより長い場合に対応できない。そこで本実施形態では、管体21が伸縮自在になるように構成することにより、フィンチューブ18の奥行きの大きさに臨機応変に対応することができる。
【0025】
図7は本発明のノズル断面図の一例である。この例では、ノズル20の周囲の4箇所に噴射口26を備えたものである。この場合、各噴射口(26a〜26d)を結ぶ直線が管体21の軸27と直交するように配置するものである。
即ち、フィンチューブ18が奥行き方向に配列されていて、且つ上下にある場合、その間にノズル20を挿入して清掃を行なう。このときノズル20の噴射口26を少なくとも2つ備え、その位置が対向するように配置されることが好ましい。これにより、1回のノズル20の挿入で上下にあるフィンチューブ18の異物を同時に除去することができる。
【0026】
図8は本発明の他の実施形態に係るノズル断面図である。本実施形態では、ノズルの一部30にプロペラ(回転機構)32を備え、圧縮空気が供給されたとき、プロペラ32により噴射口31を有するノズルの一部30を軸33を支点として回転させるものである。尚、プロペラ32は点43、44によりノズルの一部30に固定されている。
即ち、ノズルの一部30の噴射口31の配置を固定した場合、そのままでは全ての異物に圧縮空気を噴射することができない。異物が視認できればその方向に噴射口31を向けることができるが、異物が視認できない場合は、異物を除去しきれない場所も発生する。そこで本実施形態では、噴射口31を有するノズルの一部30を回転可能な構成にして、圧縮空気が供給された場合に、その風圧によりプロペラ32でノズルの一部30を回転させ、周囲全てに圧縮空気を噴射するものである。これにより、効率よく圧縮空気をフィンチューブ18に当てることができる。
【0027】
図9は本発明の他の実施形態に係るノズルの断面図である。本実施形態では、ノズル36に圧力弁38を備え、圧縮空気が供給されたとき、所定の圧力以上になると圧力弁38が開放するようにバネ37を設定しておき、噴射口35から圧縮空気を噴射するものである。
即ち、同じ風圧でも除去できる異物と除去できない異物がある。風圧を強めれば除去できない異物を除去することは可能であるが、それにも限界がある。そこで本実施形態では、できるだけ圧縮空気を圧縮して、ある圧力以上に達したときに、一気に噴射するものである。これにより、連続的な噴射圧力より高い圧力で異物を除去することができる。
【0028】
図10はノズルの噴射口の断面形状を示す図である。ノズル42に設ける噴射口41の断面形状を、圧縮空気の噴射方向43へ向けて径が狭くなるテーパ状に形成したものである。
即ち、圧縮空気はそれが流れる管体の面積が狭くなるほど速度(風速)が速くなる。そこで本実施形態では、噴射口41の断面形状を、圧縮空気の噴射方向43へ向けて径が狭くなるテーパ状に形成することにより、強い噴射力により異物を除去するものである。
【0029】
また、フィンチューブ18が高温の場合、そこに低温の圧縮空気を噴射すると、温度差によりフィンチューブ18が急激に収縮して金属破断をきたす場合がある。従って、圧縮空気とフィンチューブ18の温度との間に大きな差が生じないことが重要である。そこで本実施形態では、圧縮空気を所定の温度に加熱して管体に供給するものである。これにより、フィンチューブ18の破損を未然に防止することができる。尚、圧縮空気を加熱する手段をコック22の手前に設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】火力発電所に備えられた排熱回収熱交換器の全体構成図である。
【図2】排熱回収熱交換器に堆積した異物を除去する様子を模式化した図である。
【図3】(a)は本発明の第1の実施形態に係る異物除去具の構成図、(b)は噴射方向が管体の軸に対して所定の角度(β)になるように噴射口を構成する図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る異物除去具の構成図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る異物除去具の構成図である。
【図6】(a)(b)は本発明の第4の実施形態に係る異物除去具の構成図である。
【図7】本発明のノズル断面図(一例)である。
【図8】本発明の他の実施形態に係るノズルの断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るノズルの断面図である。
【図10】ノズル噴射口の断面形状を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ガスタービン、2 ダクト、3 高温排熱回収熱交換器、4 ホッパ、5 脱硝装置、6 ダクト、7 排熱回収熱交換器、8 ホッパ、20 ノズル、21 管体、22 コック、23 空気供給ホース、24 噴射口、25 閉塞部材、26 噴射口、27 管体の軸、110 異物除去具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃対象物に堆積した異物を除去する異物除去具であって、
所定の圧力を有した圧縮空気を搬送する管体と、該管体の先端に備えられ前記圧縮空気を噴射するノズルと、を備え、
前記ノズルに少なくとも1つの噴射口を備え、前記圧縮空気の噴射方向が前記管体の軸方向に対して所定の角度ずれるように前記噴射口を構成したことを特徴とする異物除去具。
【請求項2】
前記管体の適所に少なくとも1つの噴射口を備えたことを特徴とする請求項1に記載の異物除去具。
【請求項3】
前記所定の角度は、前記管体の軸に対して略45度であることを特徴とする請求項1又は2に記載の異物除去具。
【請求項4】
前記ノズルの噴射口を少なくとも2つ備える場合、各噴射口を結ぶ直線が前記管体の軸と直交するように配置することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の異物除去具。
【請求項5】
前記ノズルに設ける噴射口の断面形状を、前記圧縮空気の噴射方向へ向けて径が狭くなるテーパ状に構成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の異物除去具。
【請求項6】
前記ノズルに回転機構を備え、前記圧縮空気が供給されたとき、前記回転機構により前記噴射口を有する前記ノズルの一部を回転させることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の異物除去具。
【請求項7】
前記ノズルに圧力弁を備え、前記圧縮空気が供給されたとき、所定の圧力以上になると前記圧力弁を開放して前記噴射口から前記圧縮空気を噴射することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の異物除去具。
【請求項8】
清掃対象物に堆積した異物を除去する異物除去具であって、
所定の圧力を有した圧縮空気を搬送する管体を備え、該管体の先端を閉塞し、該先端を除く適所に少なくとも1つの噴射口を備えたことを特徴とする異物除去具。
【請求項9】
前記管体が伸縮自在に構成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の異物除去具。
【請求項10】
前記管体の適所に噴射口を少なくとも2つ備える場合、各噴射口を結ぶ直線が前記管体の軸に対して直交するように配置することを特徴とする請求項2乃至9の何れか一項に記載の異物除去具。
【請求項11】
前記圧縮空気を所定の温度に加熱して前記管体に供給することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の異物除去具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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