説明

異種抗体の生成

【課題】 免疫原に応答し、ヒト抗体又はそのアナログを生成する非霊長類哺乳動物細胞及びその製造方法並びにその製造のために使用されるベクター及び細胞を提供する。
【解決手段】 不活性化ベクターを用い相同組換え事象により非霊長類哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座を不活性化し、かつ、該非霊長類哺乳動物のゲノム中にヒト免疫グロブリン遺伝子を導入することにより、内在性免疫グロブリン遺伝子を産生する能力を欠き、ヒト免疫グロブリンを産生する能力を有するトランスジェニック非霊長類哺乳動物が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は種々の哺乳類宿主における異種移植された特異的結合たんぱく質の生産に関する。
【背景技術】
【0002】
モノクローナル抗体は診断および治療に有用である。それらの特異的エピトープに対する結合を利用してそのエピトープを有する分子を同定したり、またそれら自身または他のものと組合わせて特定の部分に指向させ診断や治療を行うこともできる。
【0003】
モノクロナール抗体には重鎖と軽鎖があり、それらが結合してエピトープに対する結合領域を形成している。これらの鎖の各々は可変部と不変部から成り立っている。不変部のアミノ酸配列はその抗体を生産する宿主およびその抗体の特定のイソタイプに特異的である。
【0004】
不変部の配列およびその抗体を生産する種との関係からその宿主の循環系への異種抗体の導入は免疫応答を起こす。異種抗体を慢性病などの場合に反復して導入するとそれが速やかに破壊されるか、また悪影響をもつためその抗体の投与は実際には行なえない。それゆえ、同系または同種抗体源を提供する努力がはらわれてきた。1つの方法として、その宿主由来の重鎖および軽鎖遺伝子を同定し、不変部をコードする領域を同定する組換えDNA技術がある。これらの領域を特定のエピトープを指向する他の種の免疫グロブリン遺伝子と結合させた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、生成した部分的異種キメラ抗体は全体的異種抗体よりも実質的に有用であるが多くの欠点も有している。その可変および不変部の同定、単離および結合は実質的な研究を必要とする。さらに、ある種の不変部の他の種の可変部への結合はその可変部の特異性やアフィニティーを変化させ、その可変部の望ましい性質を失うこともある。また、その可変部における種特異的な枠組みや超可変配列がある。これらの枠組みや超可変配列は不都合な抗原応答を示すかもしれない。それゆえ、目的の免疫原で宿主を免疫化して宿主に抗体する同種抗体を作ることがより好ましいことである。霊長類特にヒトにはこの方法は実践的ではない。生産されたヒト抗体は目的のエピトープに対して予め免疫化された宿主に由来する脾臓の偶発的な提供に基づいている。ヒトの末梢血液リンパ球をモノクロナール抗体の生産に使用し得るが特に融合はうまく行なわれておらず通常IgMのみに限られる。さらにヒトのたんぱく質、すなわち多くの治療および診断における標的に対するヒトの抗体応答を生成させるのは特に難しい。それゆえヒトの同種抗体生成に対する別の経路を見つけることは興味深い。
【0006】
(関連文献)
トーマス(Thomas)およびカペチ(Capecchi)、Cell、51、503−512、1987。コラー(Koller)およびスミシーズ(Smithies)Proc.Natl.Acad.Sci .USA、86、8932−8935、1989。この文献は胚幹細胞における相同組換えによるB2ミクログロブリン遺伝子座の不活性化を報告している。バーマン(Berman)等、EMBO、J、7、727−738、1988、はヒトIgV部位について報告している。バーク(Burke)等、Science 、236、806−812、1987はイーストの人工的染色体ベクターについて報告している。またガルザ(Garza)等、Science 、246、641−646、1989およびブラウンスタイン(Brown Stein)等、Science 、244、1348−1351、1989参照。サカノ(Sakano) 等は免疫グロブリン重鎖遺伝子の多様性セグメントについて報告している。ターカー(Turcker)等、Proc.Natl.Acad.Sci .USA、78、7684−7688、1981はマウスIgA重鎖遺伝子配列について報告している。ブランケンスタイン(Blanken Stein)およびクルウィンケル(Kruwinkel) 、Eur .J .Immol .、17、1351−1357、1987はマウスの可変重鎖領域について報告している。また、ジョイナー(Joyner)等、Nature、338、153−155、1989、トラバー(Traver)等、Proc.Natl.Acad.Sci .USA、86、5898−59・2、1989およびパンチス(Panchis)等、Proc.Natl.Acad.Sci .USA、87、51・9−5113、1990参照。
【課題を解決するための手段】
【0007】
異種特異的結合たんぱく質を適当な免疫原で哺乳類宿主を免疫化することにより非霊長類の哺乳類宿主中で生産した。
【0008】
この宿主は、(1)内在する免疫グロブリンを生産できない;(2)外来免疫グロブリン遺伝子座が少なくとも1つの免疫グロブリン不変部またはそのたんぱく質、軽鎖および重鎖の少なくとも1つの可変部成分を提供する免疫グロブリン配列、および機能性免疫グロブリンサブユニットの切断および構築を目的とする適当なスプライシング部位をもつ少なくとも1つのイントロンを含む、以上(1)および(2)を特徴とするものである。したがって、哺乳類宿主は内在または外来の免疫グロブリン遺伝子座の機能性J領域をスプライシングによって生成し得る少なくとも1つの異種不変部またはそのたんぱく質を含み、その宿主の全免疫グロブリン遺伝子座は一部または全部の異種免疫グロブリン遺伝子座で置換されていることもあるし、また宿主細胞の染色体および不活性化した内在免疫グロブリン領域に挿入した形で異種免疫グロブリン遺伝子座を有することもある。これらの種々の代替法は少なくとも部分的に重鎖および軽鎖について免疫グロブリン遺伝子座における相同組換えを使用することによって行なわれる。
【発明の効果】
【0009】
以上の通り、本発明は免疫原に応答しヒト抗体またはそのアナログを生成する不活性化した内在性Ig遺伝子座及び機能性ヒトIg遺伝子座を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
霊長類以外、特にヒト以外の新しいトランスジェニック哺乳類宿主で、ある免疫原に対する免疫応答を発現し、その応答が霊長類、特にヒトの不変および、または可変部または目的とするそのような別のエクェクターペプチド配列を有する抗体を生成するものが提供される。この宿主は内在する免疫グロブリンサブユニットをコードする遺伝子座の置換および、または不活性化の結果として異種または修正した抗体を生産し得ることを特徴とする。この修正は機能性ペプチドへC末端で結合した可変部結合部位の構築を提供する不変部の少なくとも1部を維持している。この機能性ペプチドは多くの形や構造をとり得るし、また酵素、成長因子、結合たんぱく質、リガンド、サイトカイン、エフェクターたんぱく質、キレートたんぱく質などとしても働き得る。この抗体はどのイソタイプ、すなわち、IgA、D、E、GまたはM、またはイソタイプのサブタイプもとり得る。目的のトランスジェニック宿主を得るために多くの戦術をとり得る。種々のトランスジェニック宿主を使用し得る。この中には特に、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコなど通常は霊長類以外のものが含まれる。ほとんどの場合、抗体の生産のための不朽化に使用するB−リンパ球の生産にはマウスが使用される。マウスは扱いやすく、大量に増やせ、かつ非常に広い免疫レパートリーを有することが知られているので、通常マウスが選ばれる。それゆえ以下の議論ではマウスに関して述べるが、同様の操作に従い他の動物、特に哺乳類もマウスと容易に置換し得る。1つの方策では各ステップとして、ヒトの重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体をマウスの生殖系列に導入するが、別のステップにおいて、対応するマウス遺伝子は機能を失わせられる。ヒトの重鎖および軽鎖遺伝子を適当な真核または原核性微生物中で再構築し、生成したDSAフラグメントは受精したマウス卵母細胞または胚幹細胞の前核に導入し得る。内在性マウス免疫グロブリン遺伝子座の不活性化はマウス胚幹細胞における相同組換えによる適当な遺伝子の破壊によって行なわれる。各々の場合部分的に修正した胚幹細胞から誘導され、胚系列から遺伝的修正を伝達し得るキメラ動物ができる。ヒトの免疫グロブリン遺伝子座をもつマウスと不活性化したマウスとの生殖で純粋にヒトの抗体のみを作る動物が出来上る。
【0011】
次の戦術では、ヒトの重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子のフラグメントを用いてマウス胚幹細胞における相同組換えを利用し直接対応するマウス遺伝子を置換する。つづいて胚幹細胞由来の細胞が生殖系列に寄与するキメラトランスジェニック動物を作製する。
【0012】
これらの戦術は、多くの動物における免疫グロブリン鎖遺伝子の既知の組織に基づいている。というのは組織、個々のドメインをコードするエクソンの相対的位置、スプライス部位や転写要素の位置などの理解の程度は様々である。ヒトの場合、免疫グロブリン重鎖遺伝子は染色体14の上にある。転写の5´→3´方向で、この遺伝子座は大きな一群の可変部遺伝子(V)、多様性(D)領域遺伝子、つづいて連結(J)領域遺伝子および不変(C)遺伝子群を含む。この遺伝子座の大きさは約2.500キロベース(kb)と見積られる。B−細胞発生の際、生殖系列IgH遺伝子座由来の不連続な遺伝子セグメントはDNAの物理的再配列により並置される。生産すべき機能性重鎖Igポリペプチドを得るため、V、DおよびJ領域由来の3つの不連続なDNAセグメントは特定の配列V−DJで結合しなければならない。この配列は機能性ユニットVDJを生ずる。一度V−DJが生成してしまえば、エクソンとイントロンを含む特異的V−DJをテンプレートとして用いて、Ig遺伝子座の転写につづいて特異的重鎖が生産される。Ig軽鎖にはヒト染色体2上のκ遺伝子座およびヒト染色体22上のλ遺伝子座の2つがある。IgL遺伝子座の構造はD領域がないこと以外IgH遺伝子座の構造と同じである。IgHの転位につづいて、軽鎖遺伝子座の転位も同様にκまたはλ鎖のVおよびJ結合によって行なわれる。λおよびκ遺伝子座のサイズは各々約1000kbである。特定のB−細胞における転位IgHおよびIgκまたはIgλ軽鎖の発現は抗体分子の生成を可能にする。IgHhu遺伝子座を単離、クローン化および転移させるためにイーストの人工的染色体を使用できる。1つまたは数個のイースト人工染色体(YAC)クローンの中に全IgHhu遺伝子座を含ませる。このことはIg軽鎖遺伝子座についても同様である。つづいて適当な重鎖または軽鎖YACクローンをイースト受容細胞に導入し、ホモロジーの重複領域間の相同組換えにより、本来の生殖系列Ig遺伝子座の再構成を行う。このようにしてヒトIg鎖をコードするDNAフラグメントが単離できる。
【0013】
広範囲の高アフィニティー抗体を得るために1つが全V領域を含む必要はない。種々のV領域遺伝子群がV領域クラスター内に散在している。したがって、V領域の全補足物よりもむしろヒト重鎖および軽鎖Ig遺伝子座の既知V領域遺伝子の一部を得ることにより(バーマン(Berman)等、EMBO.J.(1988)7:727−738)、トランスジェニック宿主は免疫化され、強い免疫応答を所持し、高アフィニティー抗体を提供し得る。この様にして、染色体の比較的小さいDNAフラグメント、たとえば第1b図に示したIgHhu遺伝子座の670kbフラグメントが使用できる。このNot I−Not I制限フラグメントは種々のDおよびJ領域の組換えおよび体細胞変異により多様性が増加する非常に多様なV領域を提供する。
【0014】
異種宿主におけるヒト抗体の生産のためにはその宿主が抗体生産に関して必要な酵素や他の因子を提供し、一方では免疫グロブリンの重鎖および軽鎖サブユニットの発現と競合する内在性遺伝子を欠いている必要がある。したがって、生殖系列転位、スプライシング、体細胞変異などに関する酵素や他の因子は異種宿主中で機能的である。欠いているものは内在性免疫グロブリンサブユニットの生産に関する種々のエクソンを含む機能性天然領域である。
【0015】
このヒトDNAを受精した卵母細胞または胚幹細胞の前核に導入する。この組込みは採用する戦術によりランダムまたは相同的に行なわれる。反復ステップまたはブリーディングと組合せたトランスホーメーションを用いて宿主免疫グロブリンの軽鎖または重鎖サブユニットを実質的に含まないヒト抗体を生産し得るトランスジェニック動物が得られる。
【0016】
このヒト免疫グロブリン遺伝子座を不活性化するために、内在性免疫グロブリンサブユニットの生産を阻害する免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子座にDNAを導入する相同組換えを用いる。2つの重鎖対立遺伝子および各2つの対立遺伝子を含む2つの軽鎖遺伝子座があるのでλ遺伝子座を無視することもできるが各々の対立遺伝子の不活性化を起こす多重トランスホーメーションがなければならない。(トランスホーメーションとはたとえば接合、トランスホーメーション、トランスフェクション、トランスダクション、エレクトロポレーション、リポフェクション、バイオリスティクスなど生細胞にDNAを導入する技術を示している)。相同組換えを用いて胚幹細胞へ相同的DNAを導入し、その修正細胞を受容性胚盤胞に導入することによりその遺伝子座の各々を機能的に不活性化させる。つづく育生でその不活性化遺伝子座の生殖系列伝達が可能となる。それゆえ、ヘテロ接合体の子供を育てヘテロ接合体の親からホモ接合体の子供を選択するか、または再び匹敵する遺伝子座の相同組換えおよび不活性化のために胚幹細胞を使用し得る。
【0017】
トランスホーメーションのステップ数は類似する内在性免疫グロブリンとの相同組換えのためのヒト免疫グロブリンサブユニット遺伝子座の少なくともフラグメントを提供することにより減少することができ、その結果ヒトの遺伝子座は宿主の免疫グロブリンサブユニット遺伝子座の不活性化を伴って宿主免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部の置換が起こる。単一の不活性化を起こすトランスホーメーションとホモ接合体の子供を生ずるヘテロ接合体の子供の育生は特に興味深い。ヒト遺伝子座を不活性化のための宿主遺伝子座に対する置換または挿入に使用する場合、トランスホーメーションの数は3回に限られ、またすでに示したようにあまり使用されないλ遺伝子座を無視しトランスホーメーションを2回に限ることもできる。それとは別に各遺伝子座の不活性化に予め1つ以上の不活性化した遺伝子座を有する子孫由来の胚幹細胞を用いた別のステップを行うこともできる。この場合はトランスホーメーションのみを使用し、ヒトの遺伝子座はランダムに宿主ゲノムに組込まれ、合わせて8回のトランスホーメーションを要してもよい。
【0018】
不活性化のためにその遺伝子座の免疫グロブリンサブユニットの発現を阻止する標的遺伝子座におけるいかなる障害も使用し得る。したがって、この障害はV、JまたはC領域中のエンハンサー、たとえば5´側上流またはイントロンを含む領域中および重鎖(この機会はD領域に存在する)またはこれらを組合せた領域で起こる。したがって重要な因子はIg生殖系列遺伝子転位が阻害されるか、または免疫グロブリンサブユニットをコードする機能的メッセージが転写の失敗かまたはそのメッセージのグロセシングの失敗などにより生産されないことである。免疫グロブリンサブユニット遺伝子座の不活性化だけを考える場合、障害は免疫グロブリンサブユニット遺伝子座のJ領域に導入することが望ましい。したがって、機能性J領域を欠き、かつJ領域の上流または下流に隣接してJ領域の配列を含むか、またはJ領域に不活性化を起こす挿入があるその領域の全部または一部を含む構築物を作製する。この挿入は50bp以上であり、このような挿入は機能性mRNAの形成を破壊する。J領域全体または一部、通常この遺伝子座の少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約90%を欠失していることが望ましい。好ましいなら、相同的領域である2つの隣接配列間の障害はJ領域を越えて可変部および、または不変部まで拡張し得る。
【0019】
マーカー遺伝子を用いてこのJ領域を置換することが望ましい。様々なマーカーが使用できるが特にポジティブ選択が可能なものが良い。ネオマイシンホスホトランスフィラーゼ遺伝子を発現するG418耐性が特に興味深い。標的遺伝子構築物の上流および、または下流には2重交叉が起こっているかどうかを同定できる遺伝子を置く。この目的にはヘルペスシンプレックススウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子が使われる。というのはチミジンキナーゼ遺伝子を発現する細胞はアシクロビアまたはガンシクロビアなどのヌクレオシドアナログの使用、つまり機能性HSV−tk遺伝子を含む細胞へのこれらの細胞毒性により死滅するからである。これらヌクレオシドアナログに対する感受性の欠除はHSV−チミジンキナーゼ遺伝子の欠除を示し、つまり、相同組換えにより二重交叉が起こっていることを示している。
【0020】
ゲノム中のマーカー遺伝子の存在は組込みが起こったことを示しているが、相同組込みが起こったかどうかを決定する必要がある。これはいくつかの方法で行うことができるが、ほとんどの場合、組込みの位置を決めるのにDNA分析が行われる。この構築物の隣接領域を越えた標的遺伝子座の存在に関し、挿入物に対するプローブを用い、かつその挿入物に隣接する5´側および3´側領域を配列決定することにより、または欠失が導入された場合その欠失を同定することにより望ましい組込みが起こったことを確認する。
【0021】
相同組換えの検出にポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)を使用できる。その構築物内の配列に相補的であるプローブと構築物の外側や標的遺伝子座の配列に相補的であるプローブが使用される。このようにして、相同組換えが起こった場合、相補鎖中に存在する両方のプライマーを有するDNA鎖のみを得ることができる。期待される大きさの配列を生ずるプローブの存在を示すことにより相同組換えが支持される。さらにこの構築物には哺乳類宿主細胞中で機能的な複製システムが含まれる。ほとんどの場合、これらの複製システムにはシミアンウイルス40、エプスタインーバーウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルスなどのウイルス複製システムが含まれる。SV40、メタラチオネイン−IおよびII遺伝子、β−アクチン遺伝子、アデノウイルス前期および後期遺伝子、ホスホグリセレートキナーゼ遺伝子、RNAポリメラーゼII遺伝子などウイルスまたは哺乳類遺伝子由来の種々の転写開始システムが使用される。プロモーターに加えて、野生型エンハンサーを用いマーカー遺伝子の発現をさらに促進することができる。相同組換えのための構築物を作製する場合、この構築物の調製、各操作後のクローニング、制限地図作成や配列決定などの解析、目的配列の増幅や単離用に原核生物、特に大腸菌の複製システムが含まれる。この構築物が大きい場合、一般に約50kbを越える場合、通常100kbを越える場合で通常約100kbp を越えない場合イーストの人工染色体(YAC)をこの構築物のクローニングを使用する。
【0022】
この構築物を調製し、かつ原核生物の配列など不都合な配列が除去されるとこれを標的細胞に導入する。DNAを標的細胞に導入する簡便な方法が採用される。この方法にはスフェロプラスト融合、リポフェクション、エレクトロポレーション、カルシウム細胞法または直接的なマイクロインジェクションが含まれる。標的細胞のトランスホーメーションまたはトランスフェクション後、先に示したネオマイシン耐性やアシクロビアまたはガンシクロビア耐性などポジィティブおよび、またはネガティブマーカーにより標的細胞を選択する。望ましい発現型を示す細胞はさらに制限分析、電気泳動、サザン分析、PCRなどでさらに解析する。標的遺伝子座の障害を示すフラグメントを同定することにより相同組換えが起こり標的遺伝子座のコピーが不活性化した細胞を同定し得る。
【0023】
上述の方法はまず胚幹細胞中の重鎖遺伝子座を用いて行い、ついでこの細胞を成熟させることにより成熟した増殖性宿主が提供される。ついでヘテロ接合性宿主を育生することにより、ホモ接合性宿主が得られることもあり、また胚幹細胞を単離し、かつトランスホームして第2のIgH遺伝子座を不活性化することもできる。そして望ましい全ての遺伝子座が不活性化するまでこのプロセスを繰り返した。それとは別に、軽鎖遺伝子座で始めることもできる。いずれの段階でもヒトの遺伝子座を導入し得る。すでに示したように標的遺伝子座を類似するヒト遺伝子座と置換できる。このようにして類似する宿主遺伝子座と同じ領域にヒト遺伝子座に置き、その結果その遺伝子座の位置に関するいかなる調節もヒト免疫グロブリン遺伝子座と実質的に同じとなる。たとえば全V遺伝子座(V、DおよびJ配列を含む)またはその一部を単離することおよびマウスの遺伝子座由来の配列とヒト遺伝子座を宿主遺伝子座中好ましくは少なくとも約5kbp 離して、より好ましくは少なくとも約10kbp 離して置くことにより宿主免疫グロブリン遺伝子座の可変部とヒト免疫グロブリン遺伝子座を置換する組換え事象においてこの領域にヒトのフラグメントを挿入できる。このようにして宿主の内在性免疫グロブリンサブユニットを生産する能力を破壊できるが、ヒトの免疫グロブリン遺伝子座のプロモーターは宿主エンハンサーによって活性化されかつ宿主の調節システムで調節される。
【0024】
相同組換えまたはランダム組込みにより宿主ゲノム中にヒト遺伝子座が導入され、かつ種々のトランスジェニックまたは変異動物を適当に育生させることにより内在性免疫グロブリン遺伝子座が不活性化した宿主動物ができれば内在性免疫グロブリンサブユニットを生産する本来の能力を欠くがヒトのレパートリーの少なくとも一部を含むヒト免疫グロブリンを生成する能力を有する宿主が得られる。
【0025】
宿主がヒトのIgHおよびヒトのIgκおよび、またはλ遺伝子座を含む場合、3つの宿主Ig遺伝子座各々の2つのコピーを機能的に不活性化することは宿主または宿主/ヒトキメラ抗体を生産することなしに純粋にヒト抗体を生産し得る。特異的抗原で免疫化することによりこのような宿主株は特異的ヒト抗体を生産するマウスB細胞を生産するであろう。このB細胞はヒトモノクローナル抗体を継続的に生産させるためマウスミエローマ細胞と融合するか、またはいずれかの他の方法で不朽化する。
【0026】
本方法および戦術は完全な免疫グロブリンの生産に限定する必要はなく、たとえばCH1´、CH2´、CH3´またはCH4´またはこれらの組合わせ物など不変部の一部に結合した領域を提供する機会を与える。それとは別に1つ以上のCおよびCκまたはCλ領域のエクソンは;たとえばプラスミノーゲン活性化因子、スーパーオキサイドジスミューターゼなどの酵素;リシン、アブリン、ジフテリア毒などのトキシンA鎖;成長因子;TNFなどの細胞毒のような種々のたんぱく質をコードする配列と置き換わるか、または結合し得る。たとえばWO 89/07142;WO 89/09344およびWO 88/03559参照。目的のたんぱく質を不変領域に挿入して可変部の修正不変部エクソンへのスプライシングを提供することにより、生成する結合たんぱく質は免疫グロブリンとは異なるC末端部分をもつことになる。挿入遺伝子に停止配列を与えることにより、このたんぱく質産物はC末端部分に挿入たんぱく質をもつことになる。望ましいなら、可変部を他のたんぱく質に結合するための適当なスプライス部位を含む構築物を作製することにより不変部を他のたんぱく質とそっくり置換することができる。抗体または抗体アナログを生産するトランスジェニック宿主由来のB細胞はマウスミエローマ細胞と融合しハイブリドーマを作るか、またはたとえばオンコジーンによるトランスフェクションなど他の簡便なプロセスにより不朽化するのに使用される。これらの不朽化細胞は連続培養するか、または腹水生産のために同様の宿主の腹腔に導入する。
【0027】
本発明はポリクローナルヒト抗血清、またはヒトモノクローナル抗体または抗体アナログの生産を提供する。哺乳類宿主を免疫原で免疫化した場合に生成するヒト抗体はプロテインAなどFc結合部を有するアクィニティーカラムなどを用いることにより他のたんぱく質から単離する。
【0028】
胚幹細胞から動物を生産するためトランスホーメーション後にこの細胞をたとえばウシ胎児血清で活性化したDMEMなど適当な培地中の支持細胞層に置く。構築物を含む細胞は選択培地を用いて検出し、コロニー成長のための十分な時間の後このコロニーをピックアップし組込みまたは相同組換えの発生を分析する。先に示したように構築物の内または外にあるが標的遺伝子座にはないプライマーを用いたPCRを使用できる。
【0029】
相同組換えを示すコロニーは胚操作および胚盤胞注入に使用する。胚盤胞は排卵から3〜5日後子宮を洗い出すことにより母体から得られる。胚幹細胞をトリプシン処理した後修正した細胞を胚盤胞を含む液滴に加える。少なくとも1個最高30個の修正・胚幹細胞を胚盤胞の胞胚腔に注入する。注入後、少なくとも1個、せいぜい約15個の胚盤胞を擬似妊娠母体の各子宮に戻す。それからこの母体に子供を産ませ、構築物を含む変異細胞についてその子供をスクリーニングした。
【0030】
哺乳類動物はヒト以外、特に霊長類以外のマウス、ラット、モルモットなどの実験動物、家畜、ペットなどが使用される。以下の例は説明を目的としたもので本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0031】
[実施例1]マウス重鎖J遺伝子の不活性化
(1)不活性化ベクターの構築
マウス重鎖J遺伝子および隣接配列を含む6.4kb EcoRIフラグメントをサカノ(Sakano)等、Nature290、562−565、1981に報告されているプローブを用いてBal b/c マウス胚ゲノムライブラリーからクローン化する。このフラグメント(mDJ)をEcoRI消化したpUC19プラスミド(pmDJ)に挿入する。4J遺伝子を含む2.9kbフラグメントをXhoI−ScaI消化によって欠失させる(pmDSJNeo、図I参照)。ヘルペスシンプレックスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(HSV−tk)プロモーターおよびポリオーマエンハンサーでコントロールされるネオマイシン耐性遺伝子を含む1150bpXhoI−BamHIフラグメントをp MC1Neoから単離する(トーマス(Thomas)およびカペチ(Capecchi)、Cell、51、503−512、1987)。合成アダプターをこのフラグメントに付加しBamHI末端をScaI末端に変換し、生成したフラグメントをXhoI−ScaI pmDδJに結合して、5´から3´方向のネオマイシンおよび重鎖プロモーターの順序が同じである不活性化ベクター(pmDδJ、Neo)を作製する。このプラスミドをES細胞へのトランスフェクション前にNdeI消化で線状化する。相同組換え事象を推進する配列は各々ネオマイシン遺伝子の5´側および3´側に存在する3kbおよび0.5kbフラグメントである。
【0032】
基本的に報告されているマイトマイシン処理初期胚フィブロプラスト支持細胞層上で(ドーチマン(Doetschman)等、J.Embryol.Exp.Morphol.87、27−45、1985)、ES細胞系列E14TG2a(フーパー(Hooper)等、Nature、326、292−295、1987)を培養する。胚フィブロブラストは14〜17日前にネオマイシントランスジーンとホモ接合のオスと交配したメスのC57BL/b由来の胚から調製する(ゴスラー(Gossler)等、PNAS83、9065−6069、1986)。これらの細胞はG418を含む培地で増殖し得る。エレクトロポーション条件はボグス(Boggs)等、Ex.Hematol. (NY)149、988−994、1986に報告されている。ES細胞をトリプシン処理し、4×10/ml濃度となるように培養培地に懸濁してから、最初の実験では12nM濃度のDNA存在下で、また第2の実験では5nM DNAの存在下でエレクトロポレーションする。150〜250μFの容量で300Vの電圧が5mm長および100mm断面積のエレクトロポレーションセルの場合至適条件であることが分った。5×10個のエレクトロポレーションした細胞を15%ウシ胎児血清(FBS)および0.1mM 2−メルカプトエタノールを補ったダルベコ修正イーグル培地(DMEM)を含む100mmプレート中のマイトマイシン処理したフィブロブラスト上にプレーティングする。この培地はエレクトロポレーションから24時間後20μg/mlG418を含む培地と置き換える。
【0033】
エレクトロポレーションから10〜14日後に生ずるESコロニーをキャピラリーピペットで吸いとりPCR分析に使用する。採取コロニーの半分を予めマイトマイシン処理支持細胞を接種した14穴プレートに保存する。3〜4個のプールを合せた他の半分を約0.5ml PBSを含むエッペンドルフチューブに移し、PCRによる相同組換えの分析に使用する。PCR反応の条件は基本的にキム(Kim)およびスミシー(Smithies)、Nucleic Acids Res 、16、8887−8893、1988に報告されている。ペレット化の後、ES細胞を5μlのPBSに懸濁し、各チューブに55μlの水を加えて溶解する。各チューブを95℃で10分間加熱することによりDNase を失活させる。55℃で30分間プロテインナーゼKで処理した後、各溶解物30μlをPCRバッファ(各プライマー1.5μg、3U Taqポリメラーゼ、10%DMSOおよび各0.2mMのdNTP)を含む20μlの反応混合物を含むチューブに移す。PCR増幅は92℃、65秒のメルティング、65℃10分間のアニーリングおよび伸長の条件下サーモサイクラーを用いて55サイクル行う。2つのプライマーオリゴヌクレオチド;TGGCGGACCGCTATCCCCCAGGAC およびTAGCCTGGGTCCCTCCTTACを用いる。これらは各々ネオマイシン遺伝子の開始コドンの3´側650塩基の領域および挿入部位の3´側1100塩基のところにあるマウス重鎖遺伝子に存在する配列に対応している。20μlの反応混合物をアガロースゲルで電気泳動しナイロンメンブレン(ゼータバインド)に移す。このメンブレンはJ−C領域の32Pラベルした991 bp×baIフラグメントで探る。
【0034】
[実施例2]ES細胞中のマウスIg重鎖J遺伝子の不活性化
(1)不活性化ベクターの構築
Balb/cマウス胚ゲノムライブラリーからクローン化しpUC18(pJH)に挿入した、マウス免疫グロブリン重鎖J領域遺伝子および隣接配列を含む6.1kb EcoRIフラグメントをXhoIおよびNaeIで消化し4個のJ遺伝子を含む約2.3kbのフラグメントを欠失させた(図2(A)参照)。BamHI部位を平滑化し、ヘルペスシンプレックスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(HSV−tk)プロモーターおよびポリオーマエンハンサーを含む約1.1kbp×hoI−BamHIフラグメントをpMC1Neoから単離した(トーマス(Thomas) およびカペチ(Capecchi)、Cell、51、503−512、1987)。このフラグメントをXhoI−NaeI欠失化pJHに挿入し不活性化ベクターを生成した(pmHδJ、図2(B)参照)。これはネオマイシンおよび重鎖遺伝子の転写方向が同じである。このプラスミドをES細胞のトランスフェクション前にNdeI消化で線状化した。相同組換え事象を起こす配列は各々ネオマイシン遺伝子の5´および3´側に位置する約2.8kbp および約1.1kbp フラグメントである。
【0035】
(2)ES細胞の培養、エレクトロポレーションおよび選択
ES細胞系列E14TG2a(コラー(Koller)およびスミシーズ(Smithies)1989、PNAS、USA、86、8932−8935)を報告されている方法でマイトマイシンC処理胚フィブロブラスト支持細胞層上で培養した(コラー(Koller)およびスミシーズ(Smithies)1989、PNAS、USA、86、8932−8935)。ES細胞をトリプシン処理し、2×10/mlの濃度でHBSバッファ(pH7.05、137mM NaCl、5mM KCl 、2mM CaCl、0.7mM NaHPO、21mMHEPES pH7.1)に懸濁してから、線状化した不活性化ベクター50μg/ml存在上エレクトロポレーションした。エレクトロポレーションは240V、500μF容量条件下、バイオラッドジーンパルサーを用いて行った。5×10個のエレクトロポレーション細胞を15%ウシ胎児血清および0.1mM2−メルカプトエタノールを補ったダルブコ修正イーグル培地(DMEM)を含む100mmプレート内のマイトマイシンC処理フィブロブラスト上にプレーティングした。エレクトロポレーションから24時間後培地を200μg/ml G418を含む培地と置換した。エレクトロポレーションから12〜14日後生じたG418耐性ESコロニーをキャピラリーピペットで吸い取りポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)を用いて分析した。各採取コロニーの半分をマイトマイシンC処理した支持細胞を含む24穴プレートの各ウェルに移した。4つのプールを合せたもう半分のコロニーは0.3mlのPBSを含むエッペンドルフチューブに移し、ジョイナー(Joyner)等(Nature、338、153−155、1989)によって報告された方法でPCR分析用に細胞溶解物を調製した。このPCR反応物には5〜20μlの細胞溶解物、1μMの各プライマー、1.5u Tag ポリメラーゼおよび200μM dNTPが含まれている。PCR増幅は94℃1分間のメルティング、55℃2分間のアニーリングおよび72℃、3分間の伸長の条件でサーマルサイクラー(パーキンエルマーシータス)を用い45サイクル行った。2つのプライマーオリゴヌクレオチドの配列はACGGTATCGCCGCTCCCGAT およびAGTCACTGTAAAGACTTCGGGTA であり、これらはネオマイシン遺伝子のBamHI部位の5´側約120塩基のところにある配列および挿入部位の3´側約160塩基のところに位置するマウス重鎖遺伝子に存在する配列に対応している。相同組換えが起こると約1.4kbp のフラグメントが生成する。20μlの反応混合物を1%アガロースゲルで電気泳動しエチジウムブロマイドで染色してからナイロンメンブレン(ジーンスクリーン)に移した。このフィルターを挿入部位の3´側マウス重鎖遺伝子中に存在する32Pラベルした約1.4kbp のEcoRI−PstIフラグメントで探った(図2参照)。さらに分析するため、ES細胞からゲノムDNAを調製し、業者の推薦する方法に従って制限酵素で消化した後そのフラグメントを1%アガロースゲルで分離した。このDNAをナイロンメンブレン(ジーンスクリーン)に移し、上述の32Pラベル化フラグメントで探った。
【0036】
(3)G418耐性ESコロニーの分析
最初の実験ではプールしたコロニーのPCR分析で136個のG418は耐性コロニーを代表する34個のプールから期待される大きさの(約1.4kbp)の1つのポジティブPCRシグナルが検出された。このポジティブプールに寄与する4個のコロニーを各々PCRで分析し、ポジティブクローンES33D5を同定した。第2の実験で得られた540個のG418耐性コロニーの分析でさらに4個のポジティブクローンが同定された(ES41−1、ES61−1、ES65−1、ES110−1)。
【0037】
目的とするJ遺伝子の1つのコピーの破壊を確認するため(この遺伝子は常染色体性で2コピー存在する)、PCRポジティブクローンを増幅し、そのゲノムDNAを調製後Hind IIIまたはScaIで消化してEcoRI−PstIプローブを用いたサザン分析で解析した。
【0038】
相同組換えによるネオマイシン遺伝子の挿入によりJ遺伝子の置換が起こり、欠失したJ遺伝子領域に存在する2つのHind III部位の消失により本来の遺伝子座にある等価なフラグメントよりも約1.9kbp 長いEcoRI−PstIプローブで検出し得るHind IIIフラグメントが生成する(図2(C)参照)。Hind III消化による5個のポジティブクローンのサザン分析は重鎖J遺伝子の2つのコピーが破壊されたことを示すパターンを示した。3つのラベル化したフラグメントが検出された。1つは同じ強度で未処理細胞中に存在するものと同じサイズのフラグメント(約760bp)で、もう1つは未処理細胞中に存在するものと同じサイズ(約2.3kbp )であるがPCRポジティブクローンの場合は強度が低いフラグメントであり、また別のフラグメントはPCRポジティブクローンのみに存在し相同組換えによって期待されるサイズ(約4.2kbp)のものである。同様に相同組換えによるJ遺伝子のネオマイシン遺伝子による置換で1つのSacI部位の消失および本来の遺伝子座にある等価なフラグメントよりも約70bp小さいEcoRI−PstIプローブで検出可能なフラグメントの出現が起こる(図2(C)参照)。SacI消化によるクローンのサザン分析は1つは本来の対立遺伝子および1つは目的の対立遺伝子の予想されるパターンを示した。つまり未処理細胞に検出されるものと同じサイズであるが5個のポジティブクローンでは強度が減少している約4.0kbp のフラグメント、および同定されたクローンのみに存在し目的の相同組換えで期待されるサイズの約3.4kbp のフラグメントが出現した。ネオマイシン遺伝子に対するプローブを用いたサザンブロットの再ハイブリダイゼーションはHind IIIおよびSacI消化から生ずる各々4.2kbp および3.4kbp のフラグメントは目的の事象によって期待されるようにそのプローブにハイブリダイズすることを示す。
【0039】
[実施例3] マウスにおけるマウス免疫グロブリン重鎖J遺伝子の不活性化
(1)マウス胚盤胞への目的のES細胞の注入およびキメラ孫の生成
マウスはジャクソンラボラトリーズ(バーハーバー、ME)から購入した。日令3.5才のC57BL/6胚盤胞はコラー(Koller)等、1989(上述)に報告されている方法で週令4〜5才の排卵誘発化したメスから入手した。ES細胞をトリプシン処理し、新鮮なDMEM培地で1度洗浄した後M2培地中約1×10/mlとなるように希釈した。約5μlの細胞をパラフィン油の下の胚盤胞を含むM2培地150μlの液滴に添加した。10〜15個の細胞を各胚盤胞の胞胚腔に注入した。6〜9個のES細胞含有胚盤胞を2.5日前に精管切除したオスと交配し擬似妊娠したC57BL/6×DBA F1の各子宮に戻した。注入した胚盤胞由来の子供は16〜18日後に産まれた。子供に対するES細胞の寄与は子供の色で判定した。胚盤胞は色が黒いC57BL/6マウスから得た。目的の細胞系列が由来する親系列ES細胞系列E14TG2aは129/D/aマウスから単離した。このマウスは3つのカラー遺伝子、アゴーチ遺伝子座の優性A対立遺伝子、p遺伝子座の劣性ピンク眼稀薄対立遺伝子およびC遺伝子座の劣性Cch対立遺伝子の組合せ効果でクリーム色である。動物の形成にES細胞が関与した子供は褐色とクリーム色を示している。不活性化したマウス免疫グロブリン重鎖を有するES細胞系列ES41−1を先に述べたようにC57BL/6マウス胚盤胞に注入した。18の子供のうちの6個は高度の色のキメラ性を有していた(70〜90%)。不活性化ES細胞を注入した胚盤胞を移植したメス由来のキメラ新生児から単離したDNAのPCR分析は変異した免疫グロブリン重鎖遺伝子座が脾臓、胸腺、腎臓、肝臓、脳および皮膚など種々の器官に存在することを示した。
【0040】
(2)ES細胞におけるマウスIgカッパ鎖J遺伝子の不活性化
マウス免疫グロブリンカッパ鎖J領域遺伝子および3´隣接配列を含む5.6kbHind III−BamHIフラグメントをBalb /cマウス胚ゲノムライブラリーからクローン化し、pBlue script SKベクターに挿入してプラスミドpKJを生成した。pKJをHind IIIおよびPstIで消化し5J遺伝子を含む約1.7kbフラグメントを欠失させた(図3参照)。カッパJ領域に隣接するHind III部位の5´側領域を含む570bp平滑末端Hind IIIフラグメントをPCRによりマウスゲノムDNAからクローン化した。このフラグメントをHind III−SmaI消化したpIcクローニングベクターに挿入し(マーシュ(Marsh)等、1984、Gene、32、481−485)、KpnI−XhoIで切断した。BamHI部位を平滑化したヘルペスシンプレックスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(HSV−tk)プロモーターおよびポリオーマエンハンサーで発現されるネオマイシン耐性遺伝子を含む約1.1kb XhoI−BamHIフラグメントをpMC1Neoから単離した(トーマス(Thomas) およびカペチ(Capecchi)、1987、上述)。ネオマイシンフラグメントをHind III−PstI欠失化pKJに挿入し、カッパ配列の5´側にあるPstI部位を平滑化した。このプラスミドをKpnIおよびXhoIで消化し、その570bpKpnI−XhoIカッパフラグメントをKpnI−XhoI切断したベクターのネオマイシン遺伝子の5´側に挿入して不活性化ベクター(pmKδJ、図3参照)を生成した。pmKδJにおいてネオマイシンおよびカッパ鎖遺伝子の転写方向は同じである。ES細胞へのトランスフェクション前にこのプラスミドをApaLIで線状化した。この線状化配列は各々ネオマイシン遺伝子の3´および5´側に存在する細胞性配列と相同的な約3.8kbおよび570bpの配列を有している。
【0041】
(3)G418耐性ESコロニーの分析
カッパ不活性化ベクターのES細胞へのエレクトロポレーションおよび相同組換えに関するスクリーニングは免疫グロブリン重鎖の不活性化について述べた方法で行った。G418耐性ESコロニーを2つのプライミングオリゴヌクレオチド:CGGTTGCTGTTGTATCCATAACTCおよびCATCAGAGCAGCCGATTGTCTGを用いたPCRにより相同組換えについて分析した。これらのオリゴヌクレオチドは挿入部位の5´側約67bpのところにあるマウスカッパ鎖遺伝子に存在する配列およびネオマイシン遺伝子のXhoI部位の3´側370bpのところにある配列に対応している。挿入部位の5´側約10bpの位置から始まる32Pラベル化した80塩基のオリゴヌクレオチドをプローブとして用い目的とするPCR産物を検出した。相同組換えにより約1030bpフラグメントが生ずる。650個のG418耐性コロニーのPCR分析で3個のポジティブコロニー(ES56−1、ES69−4、ES147−1)が検出された。これらのコロニーのサザン分析でJ領域の欠失に継がるカッパ免疫グロブリン遺伝子座への不活性ベクターの組込みが確認された。
【0042】
[実施例4]トランスジェニックマウスにおけるヒトIgの生産
(1)例:トランスジェニックマウスDNAベクターにおけるヒト重鎖の生産
ヒト重鎖V6−D−J−Cμ−Cδ領域を含むSpeI断片(バーマン(Berman)等、EMBO J.(1988)7、727−738、図4参照)をバーマン(Berman)等(EMBO J.(1988)7、727−738)によって報告されているDNAプローブを用いイーストの人工染色体(YAC)ベクター(バルケ(Burke)等、Science 、236、806−812)にクローン化したヒトライブラリーから単離した。約100kbと見積られる1つのクローンが得られた。この単離したYACクローンはヒト重鎖用の放射性ラベルしたプローブ(バーマン(Berman)等、上述)を用いたパルスフィールドゲル電気泳動(バルケ(Burke)等、上述、ブラウンスタイン(Brownstein) 等、Science 、244、1348−1351)で確認した。
【0043】
(2)胚へのYACクローンの導入
目的のYACを含むイースト細胞からアガロース片に含まれる高分子量DNAを調製した(すなわちIgH遺伝子座由来の先に示したSpeIフラグメントを含むYAC)。このDNAをCHEFゲル装置でサイズ分別し、低融点アガロースゲルからYACバンドを切り出した。このゲルフラグメントをポリアミンで平衡化し、融解後アガラーゼで処理してアガロースを消化した。このポリアミンコートしたDNAを受精したマウスの胚のオスの前核に注入し、これを外科的に上述の擬似妊娠したメスの子宮に導入した。この新生児のトランスジェニック性を尾から単離したDNAのスロット・ブロットによって分析し、またヒト重鎖の生産を少量の血清を採取し、ウサギの抗ヒト抗体を用いてIg鎖の存在を検定した。
【0044】
マイクロインジェクションの代替法として、YAC DNAはES細胞:イーストプロトプラスト融合によりマウスのES細胞中に導入する(トレーバー(Traver)等、1989 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86、5898−5902、パクニス(Pachnis)等、1990、ibid 87、5109−5113)。まずpMC1Neo由来のネオマイシン耐性遺伝子およびイースト選択可能マーカーをプラスミド中の本質的でないYACベクター配列に挿入する。この構築物を用いてJgH YACを含むイースト株をトランスホームし、また、pMC1Neoは相同組換えによってIgH YACのベクター配列に組込む。この修正YACをプロトプラスト融合によってES細胞に移す(トレーバー(Traver)等、1989、パクニス(Pachnis)等、1990)。本来のヒトIgH配列を含むG418耐性ES細胞を用いてキメラマウスを作る。
【0045】
[実施例5]キメラマウスによるヒトIgの生産
(1)ヒト重鎖置換ベクターの構築
ヒトの置換配列には先に述べたヒトーYACライブラリーから単離したヒトV6−D−J−Cμ−Cδ重鎖領域を含むゲノムDNAのSpeI100kbp フラグメントが含まれる。相同組換え置換を起こす隣接するマウス重鎖配列としては、マウスCε−Cα重鎖の10kbp BamHIフラグメントおよびマウス重鎖可変部のJ558フラグメントの5´側半分を含む5´J558がヒト配列のそれぞれ3´側と5´側に含まれる(図4)。これらのマウス配列は各々タカー(Tucker)等、PNAS USA、78、7684−7688、1981およびブランケンスタイン(Blankenstein)およびクラウィンケル(Krawinckel)(1987、上述)に報告されているプローブを用いてマウス胚ゲノムライブラリーから単離する。ヘルペスシンプレックスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(HSV−tk)プロモーターおよびポリオーマエンハンサーで発現されるネオマイシン耐性遺伝子を含む1150bpXhoI−BamHIフラグメントはpMC1Neoから単離する(コラー(Koller)およびスミシーズ(Smithies)、1989、上述)。合成アダプターをこのフラグメントに付加してXhoI末端をBamHI末端に変換し、これをプラスミド中のBamHIマウスCε−Cαに連結する。
【0046】
ヒト重鎖遺伝子座を含むYACクローンから挿入物の各末端のDNA配列をインバースPCR(シルバーマン(Silverman) 等、PNAS、86、7485−7489、1989)または大腸菌におけるプラスミドレスキュー(バルケ(Burke)等、1987、ガルザ(Garza)等、Science 、246、641−646、1989;トレーバー(Traver)等1989)により回収する(図4参照)。YACの5´V6末端由来の単離したヒト配列をプラスミド中のマウスJ558配列に連結し、同様に、YACの3´Cδ末端由来のヒト配列を上述のNeoおよびマウスCε−Cαを含むプラスミド中のNeo遺伝子に連結する。次に、ヒトV6−マウスJ558セグメントを本来のIgH YAC中には存在しないイースト選択可能マーカー(HIS3)、セントロメア(CEN)および単一のテロメア(TEL)を含むハーフYACクローニングベクターにサブクローン化する。同様にヒトCδ−Neo−マウスCε−Cαを別のイースト選択可能マーカー(LEU2)および単一のTELを含む別のハーフYACベクターにサブクローニングする。ヒトV6DNAを含むハーフYACベクターを線状化し、これを用いて染色体HIS3およびLEU3遺伝子座を欠失し、かつIgH YACを有するイースト株をトランスホームする。ヒスチジン栄養要求性による選択でヒトV6DNA配列間で相同組換えを起こし組換えYACを含むイーストコロニーを検出する。それからヒトCδDNAを含むハーフYACベクターを線状化し、これを用いて前のステップで生成したイースト株をトランスホームする。ロイシン栄養要求性による選択で完全なIgH置換YACを含むイースト株を得る(図4)。このYACを単離し、胚について先に示したマイクロインジェクション法でES細胞に導入する。
【0047】
上述の操作に従い、免疫化によりある抗原に特異的なヒト抗体またはそのアナログを生成し得る抗原的またはキメラ的非霊長類、特にマウス宿主を作る。この方法ではヒト宿主に使用できない免疫原でマウスを免疫化できるので、ヒトモノクローナル抗体を得るときに発生する問題が避けられる。さらに、ヒト宿主では許容されない二次免疫注射やアジュバントを使用し得る。
【0048】
このB細胞を目的の抗体を連続的に生産するために不朽化する。不朽化した細胞は免疫グロブリンまたはそのアナログをコードし、かつインビトロ突然変異誘発や他の変異技術を用いて変異させ、その抗体の性質を改変するのに用いる遺伝子の単離に使用することができる。これらの変異遺伝子は相同組換えをするために不朽化細胞に戻し、哺乳類細胞の連続的な望ましい抗体原を提供するのに使用される。本発明はヒトの抗体がヒト宿主における抗体生産と同様の方法で生産される場合簡便なヒト抗体原を提供する。マウス細胞はヒト抗体の生産に関するマウス細胞中でのヒトDNAの活性化および転位を簡便に提供する。
【0049】
本明細書で引用する全ての刊行物および特許出願は各刊行物または特許出願が特定して、かつ個々に参考として引用されていることが示されているのと同様に参考として引用されている。
【0050】
これまで示してきた発明は明確に理解されるように図および例を用いて詳細に説明されているが、本発明の精神または範囲を逸脱することなしに特定の変化や修正を行い得ることは当業者にとって明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】マウス重鎖J遺伝子及び不活性化ベクターの各制限酵素地図を示す図である。
【図2】マウス重鎖J遺伝子、不活性化ベクター、野生型ES細胞ゲノム及び目的のES細胞ゲノムの各制限酵素地図を示す図である。
【図3】マウスカッパ鎖遺伝子並びにカッパ鎖不活性化ベクターの各制限酵素地図を示す図である。
【図4】ヒト重鎖遺伝子座、マウス重鎖遺伝子座及びヒト重鎖置換YACベクターの各制限酵素地図を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性化された内在性免疫グロブリン遺伝子座を有する細胞の製造方法であって、内在性免疫グロブリン遺伝子座の一部と相同性を有するDNA配列と該内在性免疫グロブリン遺伝子座との相同組換えにより該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部に障害を導入することを特徴とする製造方法。
【請求項2】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
該細胞が、マウス由来の細胞であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
不活性化された内在性免疫グロブリン遺伝子座を有する細胞の製造方法であって、内在性免疫グロブリン遺伝子座の一部と相同性を有するDNA配列と該内在性免疫グロブリン遺伝子座との相同組換えにより該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部に障害を導入することを特徴とする製造方法。
【請求項7】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
該障害が、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多様性(D)領域の少なくとも一部における障害であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
該細胞が、マウス由来の細胞であることを特徴とする請求項6乃至請求項10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列がゲノム中に導入されている非霊長類哺乳動物細胞の製造方法であって、該DNA配列が、該DNA配列及び非霊長類哺乳動物細胞の選択を可能にするマーカー遺伝子を含むイースト人工染色体(YAC)ベクターを用いることにより導入されることを特徴とする製造方法。
【請求項13】
該DNA配列が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの可変部(V)遺伝子セグメント、少なくとも1つの連結領域(J)遺伝子セグメント及び少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
該DNA配列が、さらにヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの多様性(D)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、多様性(D)領域遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
該ヒト免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれかに記載の製造方法。
【請求項16】
該DNA配列が、V−J−Cの順序であることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項17】
該DNA配列が、V−D−J−Cの順序であることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項18】
該少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントが、Cμ不変領域遺伝子セグメントであることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
非霊長類哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座を不活性化するためのベクターであって、該ベクターは、該哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座の一部と相同性を有するDNA配列を含み、該DNA配列と該哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座との相同組換えにより該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部に障害を導入することにより、不活性化するものであることを特徴とするベクター。
【請求項20】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項19に記載のベクター。
【請求項21】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項19または請求項20に記載のベクター。
【請求項22】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項21に記載のベクター。
【請求項23】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項19乃至請求項22のいずれかに記載のベクター。
【請求項24】
非霊長類哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部に障害を有することにより、該内在性免疫グロブリン遺伝子座が不活性化されていることを特徴とする非霊長類哺乳動物細胞。
【請求項25】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項24に記載の細胞。
【請求項26】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部との置換であることを特徴とする請求項24または請求項25に記載の細胞。
【請求項27】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項26に記載の細胞。
【請求項28】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項24乃至請求項27のいずれかに記載の細胞。
【請求項29】
霊長類哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座を不活性化するためのベクターであって、該ベクターは、該哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座の一部と相同性を有するDNA配列を含み、該DNA配列と該哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座との相同組換えにより該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部に障害を導入することにより、不活性化するものであることを特徴とするベクター。
【請求項30】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項29に記載のベクター。
【請求項31】
該障害が、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多様性(D)領域の少なくとも一部における障害であることを特徴とする請求項30に記載のベクター。
【請求項32】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項29乃至請求項31のいずれかに記載のベクター。
【請求項33】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項32に記載のベクター。
【請求項34】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項29乃至請求項33のいずれかに記載のベクター。
【請求項35】
非霊長類哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部に障害を有することにより、該内在性免疫グロブリン遺伝子座が不活性化されていることを特徴とする非霊長類哺乳動物細胞。
【請求項36】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項35に記載の細胞。
【請求項37】
該障害が、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多様性(D)領域の少なくとも一部における障害であることを特徴とする請求項36に記載の細胞。
【請求項38】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部との置換であることを特徴とする請求項35乃至請求項37のいずれかに記載の細胞。
【請求項39】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項38に記載の細胞。
【請求項40】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項35乃至請求項39のいずれかに記載の細胞。
【請求項41】
ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列及び非霊長類哺乳動物細胞の選択を可能にするマーカー遺伝子を含むことを特徴するイースト人工染色体(YAC)ベクター。
【請求項42】
該DNA配列が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの可変部(V)遺伝子セグメント、少なくとも1つの連結(J)領域遺伝子セグメント及び少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、及び該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項41に記載のベクター。
【請求項43】
該DNA配列が、さらにヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの多様性(D)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、多様性(D)領域遺伝子セグメント、及び該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項42に記載のベクター。
【請求項44】
該ヒト免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項41乃至請求項43のいずれかに記載のベクター。
【請求項45】
該DNA配列が、V−J−Cの順序であることを特徴とする請求項42に記載のベクター。
【請求項46】
該DNA配列が、V−D−J−Cの順序であることを特徴とする請求項43に記載のベクター。
【請求項47】
該不変(C)領域遺伝子セグメントが、Cμ不変領域遺伝子セグメントを含むことを特徴とする請求項46に記載のベクター。
【請求項48】
ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列がゲノム中に導入されている非霊長類哺乳動物細胞であって、該DNA配列が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの可変部(V)遺伝子セグメント、少なくとも1つの連結(J)領域遺伝子セグメント及び少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする非霊長類哺乳動物細胞。
【請求項49】
該DNA配列が、さらにヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの多様性(D)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、多様性(D)領域遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項48に記載の細胞。
【請求項50】
該ヒト免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項48または請求項49に記載の細胞。
【請求項51】
該DNA配列が、V−J−Cの順序であることを特徴とする請求項48に記載の細胞。
【請求項52】
該DNA配列が、V−D−J−Cの順序であることを特徴とする請求項49に記載の細胞。
【請求項53】
該不変(C)領域遺伝子セグメントが、Cμ不変領域遺伝子セグメントを含むことを特徴とする請求項52に記載の細胞。
【請求項54】
内在性免疫グロブリン遺伝子座を不活性化するためのDNAであって、該DNAは、該内在性免疫グロブリン遺伝子座の一部と相同性を有するDNA配列を含み、該DNA配列と該内在性免疫グロブリン遺伝子座との相同組換えにより該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部に障害を導入することにより、不活性化するものであることを特徴とするDNA。
【請求項55】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項54に記載のDNA。
【請求項56】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項54または請求項55に記載のDNA。
【請求項57】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項56に記載のDNA。
【請求項58】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が、マウスの内在性免疫グロブリン遺伝子座であることを特徴とする請求項54乃至請求項57のいずれかに記載のDNA。
【請求項59】
内在性免疫グロブリン遺伝子座を不活性化する方法であって、請求項54に記載のDNAと該内在性免疫グロブリン遺伝子座との相同組換えにより該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部に障害を導入することを特徴とする方法。
【請求項60】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項61】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項59または請求項60に記載の方法。
【請求項62】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項63】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が、マウスの内在性免疫グロブリン遺伝子座であることを特徴とする請求項59乃至請求項62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つのコピー中の不変(C)領域の少なくとも一部に障害を有するトランスジェニック非霊長類哺乳動物であって、該障害の結果、該遺伝子座のコピーが不活性化されていることを特徴とするトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項65】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が、免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項64に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項66】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項64または請求項65に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項67】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項66に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項68】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項64乃至請求項67のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項69】
該トランスジェニック非霊長類哺乳動物が、さらに外来性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列を有することを特徴とする請求項64乃至請求項67のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項70】
該外来性免疫グロブリン遺伝子座が、外来性免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項69記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項71】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項69または請求項70に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項72】
該外来性免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座であることを特徴とする請求項69乃至請求項71のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項73】
該外来性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの可変部(V)遺伝子セグメント、少なくとも1つの連結領域(J)領域遺伝子セグメント及び少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるDNA配列であることを特徴とする請求項69に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項74】
該DNA配列が、さらにヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの多様性(D)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、該多様性(D)領域遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項73に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項75】
該ヒト免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項73または請求項74に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項76】
該DNA配列が、V−J−Cの順序であることを特徴とする請求項73に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項77】
該DNA配列が、V−D−J−Cの順序であることを特徴とする請求項74に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項78】
内在性免疫グロブリン遺伝子座を不活性化するためのDNAであって、該DNAは、該内在性免疫グロブリン遺伝子座の一部と相同性を有するDNA配列を含み、該DNA配列と該内在性免疫グロブリン遺伝子座との相同組換えにより該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部に障害を導入することにより、不活性化するものであることを特徴とするDNA。
【請求項79】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項78に記載のDNA。
【請求項80】
該障害が、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多様性(D)領域の少なくとも一部における障害であることを特徴とする請求項79に記載のDNA。
【請求項81】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項78乃至請求項80のいずれかに記載のDNA。
【請求項82】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項81に記載のDNA。
【請求項83】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が、マウスの内在性免疫グロブリン遺伝子座であることを特徴とする請求項78乃至請求項82のいずれかに記載のDNA。
【請求項84】
ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列及び非霊長類哺乳動物細胞の選択を可能にするマーカー遺伝子を含むことを特徴とするイースト人工染色体(YAC)DNA。
【請求項85】
該DNA配列が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの可変部(V)遺伝子セグメント、少なくとも1つの連結(J)領域遺伝子セグメント及び少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項84に記載のDNA。
【請求項86】
該DNA配列が、さらにヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの多様性(D)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、多様性(D)領域遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項85に記載のDNA。
【請求項87】
該ヒト免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項84乃至請求項86のいずれかに記載のDNA。
【請求項88】
該DNA配列が、V−J−Cの順序であることを特徴とする請求項85に記載のDNA。
【請求項89】
該DNA配列が、V−D−J−Cの順序であることを特徴とする請求項86に記載のDNA。
【請求項90】
該不変(C)領域遺伝子セグメントが、Cμ不変領域遺伝子セグメントであることを特徴とする請求項89に記載のDNA。
【請求項91】
内在性免疫グロブリン遺伝子座を不活性化する方法であって、内在性免疫グロブリン遺伝子座の一部と相同性を有するDNA配列と該内在性免疫グロブリン遺伝子座との相同組換えにより該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部に障害を導入することを特徴とする方法。
【請求項92】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項91記載の方法。
【請求項93】
該障害が、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多様性(D)領域の少なくとも一部における障害であることを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項94】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項91乃至請求項93のいずれかに記載の方法。
【請求項95】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項94に記載の方法。
【請求項96】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が、マウスの内在性免疫グロブリン遺伝子座であることを特徴とする請求項91乃至請求項95のいずれかに記載の方法。
【請求項97】
ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列を非霊長類哺乳動物細胞のゲノムに導入する方法であって、該DNA配列が、該DNA配列及び非霊長類哺乳動物細胞の選択を可能にするマーカー遺伝子を含むイースト人工染色体(YAC)ベクターを用いることにより導入されることを特徴とする方法。
【請求項98】
該DNA配列が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの可変部(V)遺伝子セグメント、少なくとも1つの連結(J)領域遺伝子セグメント及び少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項97に記載の方法。
【請求項99】
該DNA配列が、さらにヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの多様性(D)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、多様性(D)領域遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項98に記載の方法。
【請求項100】
該ヒト免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項97乃至請求項99のいずれかに記載の方法。
【請求項101】
該DNA配列が、V−J−Cの順序であることを特徴とする請求項98に記載の方法。
【請求項102】
該DNA配列が、V−D−J−Cの順序であることを特徴とする請求項99に記載の方法。
【請求項103】
該不変(C)領域遺伝子セグメントが、Cμ不変領域遺伝子セグメントであることを特徴とする請求項102に記載の方法。
【請求項104】
内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つのコピーに障害を有するトランスジェニック非霊長類哺乳動物であって、該障害の結果、該遺伝子座のコピーが不活性化されていることを特徴とするトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項105】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が、免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項104に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項106】
該障害が、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多様性(D)領域における障害であることを特徴とする請求項105に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項107】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項104乃至請求項106のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項108】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項107に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項109】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項104乃至請求項108のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項110】
該トランスジェニック非霊長類哺乳動物が、さらに外来性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列を有することを特徴とする請求項104乃至請求項108のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項111】
該外来性免疫グロブリン遺伝子座が、外来性免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項110に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項112】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項110または請求項111に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項113】
該外来性免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座であることを特徴とする請求項110乃至請求項112のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項114】
該DNA配列が、該外来性免疫グロブリンの不変(C)領域以外のペプチドにペプチド結合で結合した可変部(V)を提供するDNA配列を含むものであることを特徴とする請求項110乃至請求項113のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項115】
ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列がゲノム中に導入されているトランスジェニック非霊長類哺乳動物であって、該DNA配列が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの可変部(V)遺伝子セグメント、少なくとも1つの連結(J)領域遺伝子セグメント及び少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とするトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項116】
該DNA配列が、さらにヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの多様性(D)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、多様性(D)領域遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項115に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項117】
該ヒト免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項115または請求項116に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項118】
該DNA配列が、V−J−Cの順序であることを特徴とする請求項115に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項119】
該DNA配列が、V−D−J−Cの順序であることを特徴とする請求項116に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項120】
該少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントが、Cμ不変領域遺伝子セグメントであることを特徴とする請求項119に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項121】
該トランスジェニック非霊長類哺乳動物が、さらに内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つのコピーに障害を有し、該障害の結果、該遺伝子座のコピーが不活性化されていることを特徴とする請求項115乃至請求項120のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項122】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が、免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項121に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項123】
該障害が、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多様性(D)領域の少なくとも一部における障害であることを特徴とする請求項122に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項124】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項121乃至請求項123のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項125】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項124に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項126】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項115乃至請求項125のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項127】
特定の抗原に免疫反応性を有する異種タンパクの製造方法であって、下記のいずれかの工程を少なくとも含むことを特徴とする製造方法。
1)特定の抗原に対する免疫応答を刺激する条件下で請求項110乃至請求項126のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物を該抗原で免疫し、該トランスジェニック非霊長類哺乳動物の血中から該抗原に免疫反応性を有する異種タンパクを回収する。
2)(i)特定の抗原に対する免疫応答を刺激する条件下で請求項110乃至請求項126のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物を該抗原で免疫し、
(ii)該トランスジェニック非霊長類哺乳動物からB細胞を回収し、
(iii)該B細胞を不朽化し、
(iv)異種タンパクを産生する不朽化B細胞を取得し、
(v)該不朽化B細胞の培養物から該異種タンパクを回収する。
【請求項128】
該異種タンパクが、ヒトタンパクであることを特徴とする請求項127に記載の製造方法。
【請求項129】
該ヒトタンパクが、ヒト抗体またはヒト抗体サブユニットであることを特徴とする請求項128に記載の製造方法。
【請求項130】
請求項110乃至請求項126のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物のB細胞に由来する不朽化B細胞であって、該不朽化B細胞が特定の抗原に免疫反応性を有する異種タンパクを産生するものであることを特徴とする不朽化B細胞。
【請求項131】
該異種タンパクが、ヒトタンパクであることを特徴とする請求項130に記載の不朽化B細胞。
【請求項132】
該ヒトタンパクが、ヒト抗体またはヒト抗体サブユニットであることを特徴とする請求項131に記載の不朽化B細胞。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性化された内在性免疫グロブリン遺伝子座を有する細胞の製造方法であって、内在性免疫グロブリン遺伝子座の一部と相同性を有するDNA配列と該内在性免疫グロブリン遺伝子座との相同組換えにより該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部に障害を導入することを特徴とする製造方法。
【請求項2】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
該細胞が、マウス由来の細胞であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
不活性化された内在性免疫グロブリン遺伝子座を有する細胞の製造方法であって、内在性免疫グロブリン遺伝子座の一部と相同性を有するDNA配列と該内在性免疫グロブリン遺伝子座との相同組換えにより該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部に障害を導入することを特徴とする製造方法。
【請求項7】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
該障害が、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多様性(D)領域の少なくとも一部における障害であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
該細胞が、マウス由来の細胞であることを特徴とする請求項6乃至請求項10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列がゲノム中に導入されている非霊長類哺乳動物細胞の製造方法であって、該DNA配列が、該DNA配列及び非霊長類哺乳動物細胞の選択を可能にするマーカー遺伝子を含むイースト人工染色体(YAC)ベクターを用いることにより導入されることを特徴とする製造方法。
【請求項13】
該DNA配列が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの可変部(V)遺伝子セグメント、少なくとも1つの連結領域(J)遺伝子セグメント及び少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
該DNA配列が、さらにヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの多様性(D)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、多様性(D)領域遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
該ヒト免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれかに記載の製造方法。
【請求項16】
該DNA配列が、V−J−Cの順序であることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項17】
該DNA配列が、V−D−J−Cの順序であることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項18】
該少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントが、Cμ不変領域遺伝子セグメントであることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
非霊長類哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座を不活性化するためのベクターであって、該ベクターは、該哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座の一部と相同性を有するDNA配列を含み、該DNA配列と該哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座との相同組換えにより該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部に障害を導入することにより、不活性化するものであることを特徴とするベクター。
【請求項20】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項19に記載のベクター。
【請求項21】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項19または請求項20に記載のベクター。
【請求項22】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項21に記載のベクター。
【請求項23】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項19乃至請求項22のいずれかに記載のベクター。
【請求項24】
非霊長類哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部に障害を有することにより、該内在性免疫グロブリン遺伝子座が不活性化されていることを特徴とする非霊長類哺乳動物細胞。
【請求項25】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項24に記載の細胞。
【請求項26】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部との置換であることを特徴とする請求項24または請求項25に記載の細胞。
【請求項27】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項26に記載の細胞。
【請求項28】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項24乃至請求項27のいずれかに記載の細胞。
【請求項29】
霊長類哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座を不活性化するためのベクターであって、該ベクターは、該哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座の一部と相同性を有するDNA配列を含み、該DNA配列と該哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座との相同組換えにより該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部に障害を導入することにより、不活性化するものであることを特徴とするベクター。
【請求項30】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項29に記載のベクター。
【請求項31】
該障害が、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多様性(D)領域の少なくとも一部における障害であることを特徴とする請求項30に記載のベクター。
【請求項32】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項29乃至請求項31のいずれかに記載のベクター。
【請求項33】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項32に記載のベクター。
【請求項34】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項29乃至請求項33のいずれかに記載のベクター。
【請求項35】
非霊長類哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部に障害を有することにより、該内在性免疫グロブリン遺伝子座が不活性化されていることを特徴とする非霊長類哺乳動物細胞。
【請求項36】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項35に記載の細胞。
【請求項37】
該障害が、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多様性(D)領域の少なくとも一部における障害であることを特徴とする請求項36に記載の細胞。
【請求項38】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部との置換であることを特徴とする請求項35乃至請求項37のいずれかに記載の細胞。
【請求項39】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項38に記載の細胞。
【請求項40】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項35乃至請求項39のいずれかに記載の細胞。
【請求項41】
ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列及び非霊長類哺乳動物細胞の選択を可能にするマーカー遺伝子を含むことを特徴するイースト人工染色体(YAC)ベクター。
【請求項42】
該DNA配列が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの可変部(V)遺伝子セグメント、少なくとも1つの連結(J)領域遺伝子セグメント及び少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、及び該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項41に記載のベクター。
【請求項43】
該DNA配列が、さらにヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの多様性(D)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、多様性(D)領域遺伝子セグメント、及び該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項42に記載のベクター。
【請求項44】
該ヒト免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項41乃至請求項43のいずれかに記載のベクター。
【請求項45】
該DNA配列が、V−J−Cの順序であることを特徴とする請求項42に記載のベクター。
【請求項46】
該DNA配列が、V−D−J−Cの順序であることを特徴とする請求項43に記載のベクター。
【請求項47】
該不変(C)領域遺伝子セグメントが、Cμ不変領域遺伝子セグメントを含むことを特徴とする請求項46に記載のベクター。
【請求項48】
ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列がゲノム中に導入されている非霊長類哺乳動物細胞であって、該DNA配列が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの可変部(V)遺伝子セグメント、少なくとも1つの連結(J)領域遺伝子セグメント及び少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする非霊長類哺乳動物細胞。
【請求項49】
該DNA配列が、さらにヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの多様性(D)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、多様性(D)領域遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項48に記載の細胞。
【請求項50】
該ヒト免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項48または請求項49に記載の細胞。
【請求項51】
該DNA配列が、V−J−Cの順序であることを特徴とする請求項48に記載の細胞。
【請求項52】
該DNA配列が、V−D−J−Cの順序であることを特徴とする請求項49に記載の細胞。
【請求項53】
該不変(C)領域遺伝子セグメントが、Cμ不変領域遺伝子セグメントを含むことを特徴とする請求項52に記載の細胞。
【請求項54】
内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つのコピー中の不変(C)領域の少なくとも一部に障害を有するトランスジェニック非霊長類哺乳動物であって、該障害の結果、該遺伝子座のコピーが不活性化されていることを特徴とするトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項55】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が、免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項54に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項56】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の不変(C)領域の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項54または請求項55に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項57】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項56に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項58】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項54乃至請求項57のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項59】
該トランスジェニック非霊長類哺乳動物が、さらに外来性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列を有することを特徴とする請求項54乃至請求項57のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項60】
該外来性免疫グロブリン遺伝子座が、外来性免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項59記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項61】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項59または請求項60に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項62】
該外来性免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座であることを特徴とする請求項59乃至請求項61のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項63】
該外来性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの可変部(V)遺伝子セグメント、少なくとも1つの連結領域(J)領域遺伝子セグメント及び少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるDNA配列であることを特徴とする請求項59に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項64】
該DNA配列が、さらにヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの多様性(D)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、該多様性(D)領域遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項63に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項65】
該ヒト免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項63または請求項64に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項66】
該DNA配列が、V−J−Cの順序であることを特徴とする請求項63に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項67】
該DNA配列が、V−D−J−Cの順序であることを特徴とする請求項64に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項68】
ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列及び非霊長類哺乳動物細胞の選択を可能にするマーカー遺伝子を含むことを特徴とするイースト人工染色体(YAC)DNA。
【請求項69】
該DNA配列が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの可変部(V)遺伝子セグメント、少なくとも1つの連結(J)領域遺伝子セグメント及び少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項68に記載のDNA。
【請求項70】
該DNA配列が、さらにヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの多様性(D)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、多様性(D)領域遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項69に記載のDNA。
【請求項71】
該ヒト免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項68乃至請求項70のいずれかに記載のDNA。
【請求項72】
該DNA配列が、V−J−Cの順序であることを特徴とする請求項69に記載のDNA。
【請求項73】
該DNA配列が、V−D−J−Cの順序であることを特徴とする請求項70に記載のDNA。
【請求項74】
該不変(C)領域遺伝子セグメントが、Cμ不変領域遺伝子セグメントであることを特徴とする請求項73に記載のDNA。
【請求項75】
内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つのコピーに障害を有するトランスジェニック非霊長類哺乳動物であって、該障害の結果、該遺伝子座のコピーが不活性化されていることを特徴とするトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項76】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が、免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項75に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項77】
該障害が、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多様性(D)領域における障害であることを特徴とする請求項76に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項78】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項75乃至請求項77のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項79】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項78に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項80】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項75乃至請求項79のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項81】
該トランスジェニック非霊長類哺乳動物が、さらに外来性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列を有することを特徴とする請求項75乃至請求項79のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項82】
該外来性免疫グロブリン遺伝子座が、外来性免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項81に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項83】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項81または請求項82に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項84】
該外来性免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座であることを特徴とする請求項81乃至請求項83のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項85】
該DNA配列が、該外来性免疫グロブリンの不変(C)領域以外のペプチドにペプチド結合で結合した可変部(V)を提供するDNA配列を含むものであることを特徴とする請求項81乃至請求項84のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項86】
ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部を含むDNA配列がゲノム中に導入されているトランスジェニック非霊長類哺乳動物であって、該DNA配列が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの可変部(V)遺伝子セグメント、少なくとも1つの連結(J)領域遺伝子セグメント及び少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とするトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項87】
該DNA配列が、さらにヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの多様性(D)領域遺伝子セグメントを含み、該可変部(V)遺伝子セグメント、多様性(D)領域遺伝子セグメント、該連結(J)領域遺伝子セグメント及び該不変(C)領域遺伝子セグメントが機能的ポリペプチドをコードするように再配列されることができるものであることを特徴とする請求項86に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項88】
該ヒト免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項86または請求項87に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項89】
該DNA配列が、V−J−Cの順序であることを特徴とする請求項86に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項90】
該DNA配列が、V−D−J−Cの順序であることを特徴とする請求項87に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項91】
該少なくとも1つの不変(C)領域遺伝子セグメントが、Cμ不変領域遺伝子セグメントであることを特徴とする請求項90に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項92】
該トランスジェニック非霊長類哺乳動物が、さらに内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つのコピーに障害を有し、該障害の結果、該遺伝子座のコピーが不活性化されていることを特徴とする請求項86乃至請求項91のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項93】
該内在性免疫グロブリン遺伝子座が、免疫グロブリン重鎖遺伝子座であることを特徴とする請求項92に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項94】
該障害が、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多様性(D)領域の少なくとも一部における障害であることを特徴とする請求項93に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項95】
該障害が、マーカー遺伝子と該内在性免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも一部との置換によるものであることを特徴とする請求項92乃至請求項94のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項96】
該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする請求項95に記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項97】
該非霊長類哺乳動物が、マウスであることを特徴とする請求項86乃至請求項96のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物。
【請求項98】
特定の抗原に免疫反応性を有する異種タンパクの製造方法であって、下記のいずれかの工程を少なくとも含むことを特徴とする製造方法。
1)特定の抗原に対する免疫応答を刺激する条件下で請求項81乃至請求項97のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物を該抗原で免疫し、該トランスジェニック非霊長類哺乳動物の血中から該抗原に免疫反応性を有する異種タンパクを回収する。
2)(i)特定の抗原に対する免疫応答を刺激する条件下で請求項81乃至請求項97のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物を該抗原で免疫し、
(ii)該トランスジェニック非霊長類哺乳動物からB細胞を回収し、
(iii)該B細胞を不朽化し、
(iv)異種タンパクを産生する不朽化B細胞を取得し、
(v)該不朽化B細胞の培養物から該異種タンパクを回収する。
【請求項99】
該異種タンパクが、ヒトタンパクであることを特徴とする請求項98に記載の製造方法。
【請求項100】
該ヒトタンパクが、ヒト抗体またはヒト抗体サブユニットであることを特徴とする請求項99に記載の製造方法。
【請求項101】
請求項81乃至請求項97のいずれかに記載のトランスジェニック非霊長類哺乳動物のB細胞に由来する不朽化B細胞であって、該不朽化B細胞が特定の抗原に免疫反応性を有する異種タンパクを産生するものであることを特徴とする不朽化B細胞。
【請求項102】
該異種タンパクが、ヒトタンパクであることを特徴とする請求項101に記載の不朽化B細胞。
【請求項103】
該ヒトタンパクが、ヒト抗体またはヒト抗体サブユニットであることを特徴とする請求項102に記載の不朽化B細胞。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−204301(P2006−204301A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35101(P2006−35101)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【分割の表示】特願平10−352238の分割
【原出願日】平成3年1月11日(1991.1.11)
【出願人】(398005777)アブジェニックス インク. (40)
【Fターム(参考)】