説明

異種管接続用の補助部材およびそれを備えた異種管接続構造

【課題】陶管等と合成樹脂管との接続に際して、作業性を向上させる。また、管内へのモルタルの流入を抑制する。
【解決手段】陶管100と塩化ビニル樹脂製の補修管30とを接続するにあたって、予め陶管100の受口100aに補助部材20を接続する。補助部材20は、塩化ビニル樹脂製の継手管21と、継手管21の一端側の外周面に取り付けられた発泡ポリエチレン製の可撓性リング22とを有している。補助部材20を受口100aに差し込むと、可撓性リング22の弾性力によって、補助部材20と陶管100との芯合わせが行われる。補助部材20を受口100aに差し込んだ後、受口100aの内周面と継手管21の外周面との間の空間にモルタル60を充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陶管またはヒューム管(以下、単に陶管等という)と、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製の管(以下、合成樹脂管という)とを接続する際に用いられる異種管接続用の補助部材、および、それを備えた異種管接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、既設の陶管等が破損した場合に、この陶管等を撤去し、その代わりに合成樹脂管を設置する場合がある。このような場合には、互いに異なった種類の管である陶管等と合成樹脂管とを接続する必要がある。
【0003】
通常、陶管等と合成樹脂管とは、モルタルによって接合される(例えば特許文献1参照)。具体的には、陶管等と合成樹脂管とを接続する際には、一方の管の受口に他方の管の差口を挿入し、それら受口と差口との間の空間内に、砕石をかませたうえでモルタルを充填する。これにより、陶管等と合成樹脂管とは、モルタルを介して接合される。
【特許文献1】実公平3−36629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、管同士を接続する際には、両者の芯合わせを行う必要がある。しかし、陶管等と合成樹脂管との接続は、異種管同士の接続であるため、同種類の管同士を接続する場合に比べて、芯合わせが難しい。従来、陶管等と合成樹脂管とを接続する際には、作業者が目測で芯合わせを行わなければならず、面倒であった。また、芯合わせの精度が不十分になりやすかった。また、砕石を丁寧に配置しないと、充填の際にモルタルが管内に流入するおそれがあった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、陶管等と合成樹脂管との接続に際しての作業性を向上させることにある。また、本発明の他の目的は、陶管等と合成樹脂管との接続に際して、管内へのモルタルの流入を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る異種管接続用の補助部材は、受口を有する陶管またはヒューム管からなる第1配管と合成樹脂製の第2配管とを接続する際に、前記第1配管の受口と前記第2配管との間に配置される異種管接続用の補助部材であって、合成樹脂製の管と、前記管の一端側の外周面に取り付けられた可撓性リングと、を備えたものである。
【0007】
上記補助部材を用いて第1配管と第2配管とを接続する際には、まず、上記補助部材の一端側を第1配管の受口内に嵌め込む。この際、可撓性リングは第1配管の受口の内周面と接触し、弾性変形する。ここで、第1配管と補助部材の管との中心同士にずれが生じている場合には、可撓性リングの弾性力がそのずれをなくす方向に作用する。その結果、第1配管と補助部材の管との芯合わせが良好に行われる。したがって、上記補助部材を用いることにより、第1配管と第2配管との接続の際の作業性を向上させることができる。また、補助部材の一端側を第1配管の受口内に嵌め込んだ後、第1配管の受口の内周面と補助部材の管の外周面との間にモルタルを充填する場合、可撓性リングによって、モルタルの管内への流入が抑制される。
【0008】
本発明に係る他の異種管接続用の補助部材は、差口を有する陶管またはヒューム管からなる第1配管と合成樹脂製の第2配管とを接続する際に、前記第1配管の差口と前記第2配管との間に配置される異種管接続用の補助部材であって、一端側に半径方向外側に広がる受口が形成された合成樹脂製の管と、前記管の受口の内周面に取り付けられた可撓性リングと、を備えたものである。
【0009】
上記補助部材を用いて第1配管と第2配管とを接続する際には、まず、上記補助部材の管の受口を第1配管の差口に嵌め込む。この際、可撓性リングは第1配管の差口の外周面と接触し、弾性変形する。ここで、第1配管と補助部材の管との中心同士にずれが生じている場合には、可撓性リングの弾性力がそのずれをなくす方向に作用する。その結果、第1配管と補助部材の管との芯合わせが良好に行われる。したがって、上記補助部材を用いることにより、第1配管と第2配管との接続の際の作業性を向上させることができる。また、補助部材の管の受口を第1配管の差口に嵌め込んだ後、受口の内周面と差口の外周面との間にモルタルを充填する場合、可撓性リングによって、モルタルの管内への流入が抑制される。
【0010】
前記可撓性リングにおける前記管の軸方向に沿った長さは、前記可撓性リングにおける前記管の半径方向の長さに略等しくてもよい。
【0011】
このように可撓性リングの厚みが大きいと、第1配管と補助部材の管との間に、比較的大きな空間が確保される。そのため、当該空間に十分な量のモルタルを充填することができ、第1配管と補助部材の管との接合を良好に行うことができる。
【0012】
前記可撓性リングの断面形状は、略円形に形成されていてもよい。
【0013】
このことにより、厚みが比較的大きな可撓性リングが得られる。また、第1配管と補助部材の管との間の空間に、十分な量のモルタルを良好に充填することができる。また、上記管および第1配管に対する可撓性リングの接触面積を小さく抑えつつ、可撓性リングの弾性変形量を比較的大きく確保することができる。そのため、第1配管に対して補助部材を円滑に嵌め込むことができ、作業性をさらに向上させることができる。
【0014】
本発明に係る異種管接続構造は、陶管またはヒューム管からなり、一端側に半径方向外側に広がる受口が形成された第1種配管と、一端側が前記第1種配管の受口内に突き当てられた合成樹脂製の第2種配管と、前記第1種配管の受口の先端よりも前記第1種配管の軸方向の内側の位置であって、かつ前記第1種配管の受口の内周面と前記第2種配管の一端側の外周面との間の位置に、前記内周面および前記外周面と接触した状態で介在する可撓性リングと、少なくとも前記第1種配管の受口の内周面と前記第2種配管の一端側の外周面との間における前記可撓性リングと前記受口の先端との間に充填されたモルタルと、を備えたものである。
【0015】
このことにより、接続に際しての作業性に優れた異種管接続構造が得られる。また、モルタルの管内への流入が抑制された異種管接続構造が得られる。
【0016】
本発明に係る他の異種管接続構造は、陶管またはヒューム管からなり、一端側に差口が形成された第1種配管と、合成樹脂製の管からなり、一端側に半径方向外側に広がる受口が形成され、前記受口内に前記第1種配管の前記差口が差し込まれた第2種配管と、前記第2種配管の受口の先端よりも前記第2種配管の軸方向の内側の位置であって、かつ前記第2種配管の受口の内周面と前記第1種配管の一端側の外周面との間の位置に、前記内周面および前記外周面と接触した状態で介在する可撓性リングと、少なくとも前記第2種配管の受口の内周面と前記第1種配管の一端側の外周面との間における前記可撓性リングと前記受口の先端との間に充填されたモルタルと、を備えたものである。
【0017】
このことにより、接続に際しての作業性に優れた異種管接続構造が得られる。また、モルタルの管内への流入が抑制された異種管接続構造が得られる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、陶管等と合成樹脂管との接続に際しての作業性を向上させることができる。また、陶管等と合成樹脂管との接続に際して、管内へのモルタルの流入を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<実施形態1>
《異種管接続構造の構成》
図1に示すように、本実施形態に係る異種管接続構造は、複数の陶管が順次接続されてなる下水道配管の一部の陶管を、合成樹脂製の配管構造10に置き換えたものである。配管構造10は、第1の陶管100と第2の陶管300との間に介在している。
【0020】
配管構造10は、異種管接続用の補助部材20、第1スライド継手40、補修管30、および第2スライド継手70によって構成されている。補修管30は配管構造10の大部分をなす部材であり、実質的に、破損した陶管の代わりに置き換えられるものである。
【0021】
詳細は後述するように、補助部材20は、継手管21と、継手管21の一端部の外周面に取り付けられた可撓性リング22とを備えている(図2参照)。これら継手管21、第1スライド継手40、補修管30、および第2スライド継手70は、いずれも塩化ビニル樹脂製である。ただし、それらの一部または全部の材料は、他の合成樹脂(例えば、ポリプロピレン等)であってもよい。
【0022】
補助部材20は、下水道配管の補修の際に第1陶管100の受口100aに接続されるものである。また、補助部材20は、第1スライド継手40を嵌め込むための差口23(図5参照)を形成するものである。すなわち、補修管30を第1陶管100の受口100aに直接接続することは困難である。そのため、第1陶管100の受口100aに補助部材20を接続することによって、第1スライド継手40を用いて補修管30を接続するための差口23を形成するのである。
【0023】
図2に示すように、補助部材20の継手管21は円管からなっており、比較的短いいわゆる短管である。継手管21の管径(呼び径)は特に限定されないが、例えば、150mm、200mm、250mm、300mm等である。本実施形態では、継手管21の長さL1は、外径D1とほぼ同等である。継手管21の長さL1と外径D1との比率L1/D1は何ら限定されないが、継手管21として、例えば、L1/D1=0.5〜2の短管を好適に用いることができる。継手管21の左側の端面24は、継手管21の外周面と直交しており、継手管21の右側は先細り形状になっている。
【0024】
前述したように、継手管21の一端側(図2の左端側)の外周面には、可撓性リング22が取り付けられている。本実施形態では、可撓性リング22の材料は発泡ポリエチレンである。ただし、可撓性リング22の材料は、他の発泡材料であってもよく、可撓性を有するその他の材料であってもよい。
【0025】
図1に示すように、補助部材20が第1陶管100の受口100aに接続される際に、可撓性リング22の右側にはモルタル60が充填される。そのため、可撓性リング22の右側には、十分な量のモルタル60を充填することのできる空間を形成することが好ましい。そこで、可撓性リング22は、継手管21の半径方向の長さ(図2の上下方向の長さ)、すなわち厚みTがある程度大きいことが好ましい。本実施形態では、可撓性リング22の厚みTは、継手管21の外径D1の1/8〜1/3倍程度である。厚みTは、例えば、35mm〜55mm等である。ただし、可撓性リング22の厚みTは、特に限定される訳ではない。可撓性リング22の断面形状は略円形であり、可撓性リング22の継手管21の長手方向に沿った長さと半径方向の長さとの比率、すなわち縦横比は略1となっている。また、可撓性リング22の断面形状は略円形であるので、矩形状の場合と異なり、モルタル60が充填される側(図2の右側)は先細りの形状となっている。
【0026】
継手管21に対する可撓性リング22の取り付け位置は特に限定されないが、本実施形態では、可撓性リング22は継手管21の左端に取り付けられており、可撓性リング22の左端と継手管21の左端とが揃った位置にある。言い換えると、可撓性リング22は、継手管21の最も左側の端部に配置されるとともに、継手管21からはみ出さない位置に配置されている。
【0027】
可撓性リング22は、継手管21に対して接着されている(ただし、図2等において、接着剤は図示していない)。もっとも、継手管21に対する可撓性リング22の取付態様は、何ら限定される訳ではない。
【0028】
図1に示すように、補助部材20は第1陶管100に対してモルタル60によって固定されている。
【0029】
補修管30の左側には差口31が形成され、右側には差口33が形成されている。差口31,33は共に、先端部が先細り形状になっている。
【0030】
第1スライド継手40は、補助部材20と補修管30とを接続する継手である。第1スライド継手40の左側の受口および右側の受口の近傍には、半径方向外側に突出するゴム輪受容部46,47がそれぞれ形成されている。これらゴム輪受容部46,47は、第1スライド継手40の内周面に沿って環状に形成されている。これらゴム輪受容部46,47には、環状のゴム輪48,49がそれぞれ固定されている。
【0031】
第2スライド継手70は、補修管30と第2陶管300とを接続する継手である。第2スライド継手70は、長手方向の中途部において半径が大きくなる継手であり、第2スライド継手70の右側の受口73は、左側の受口71よりも大きくなっている。第2スライド継手70の左側の受口71の近傍には、半径方向外側に突出するゴム輪受容部76が形成されている。このゴム輪受容部76は、第2スライド継手70の内周面に沿って環状に形成されている。ゴム輪受容部76には、環状のゴム輪78が固定されている。第2スライド継手70の受口73の根元側(図1の左側)には、先端側(図1の右側)に向かうにつれて半径方向外側に連続的に広がるテーパ部75が設けられている。テーパ部75よりも先端側には、ストレート部77が形成されている。
【0032】
《配管構造の施工方法》
次に、配管構造10の施工方法、言い換えると、下水管配管の補修方法について説明する。
【0033】
(i) 破損部分を含む陶管の露出
例えば、図3に示すように、3つの陶管100、200、300が接続されている場合において、中央の陶管200の一部Zが破損している場合を考える。この場合、まず、掘削を行い、破損部分Zを含む陶管200の全体を露出させる。
【0034】
(ii) 破損部分を含む陶管の除去
破損部分を含む陶管200を露出させると、次に、図4に示すように、この陶管200をすべて除去する。この陶管200の除去方法は何ら限定されないが、例えば、陶管200の脆い性質を利用して、陶管200を金槌等で砕く方法などを挙げることができる。このように、陶管200の全体を除去する方法を採用することによって、陶管100の受口100aや陶管300の差口300aなどの施工性の高い部分を、配管構造10に対する接続部分として利用することができる。
【0035】
(iii) 補助部材と第1陶管との接合
次に、図5に示すように、第1陶管100の受口100aに、継手管21の左側の端面24が第1陶管100の接合端面100bに突き当たるまで、補助部材20を差し込む。この際、継手管21の左端部には可撓性リング22が取り付けられているので、継手管21は第1陶管100に芯合わせされた状態で嵌め込まれることになる。すなわち、継手管21と第1陶管100とは、管種が異なり、管径が大きく異なっている。ところが、可撓性リング22の外周側は第1陶管100の受口100aの内周面と一様に接触し、可撓性リング22の内周側は継手管21の外周面と一様に接触する。その結果、継手管21を差し込む際に、継手管21の中心と第1陶管100の中心とがずれると、可撓性リング22におけるずれた側の部分は、他の部分よりも大きく圧縮することになる。そのため、ずれた側の部分の弾性力は他の部分の弾性力よりも大きくなり、可撓性リング22の全体によって生じる弾性力は、そのずれをなくす方向に作用する。
【0036】
例えば、継手管21の中心が第1陶管100の中心よりも下側にずれたとすると、可撓性リング22の下側の部分は、他の部分よりも大きく圧縮する。そのため、可撓性リング22の全体では、継手管21を上側に押し上げようとする弾性力が生じる。その結果、継手管21と第1陶管100とは、芯合わせされる。したがって、作業者が継手管21の右側を持って、継手管21を第1陶管100の受口100aに差し込むだけで、継手管21は芯合わせされた状態で第1陶管100に仮固定されることになる。
【0037】
その後、図5に示すように、急結モルタル60を用いて、第1陶管100と継手管21とを接合させる。具体的には、第1陶管100の受口100aの内周面と継手管21の外周面との間に形成される空間にモルタル60を充填し、モルタル60が固まるまで待機する。なお、継手管21は可撓性リング22を介して第1陶管100に支持されるので、作業者は継手管21の右側を軽く保持するだけで、モルタル60が固まるまで継手管21を正確な位置に容易に保つことができる。また、継手管21が十分に軽い場合には、作業者は、モルタル60が完全に固まる前に継手管21の保持を解除することができる。
【0038】
(iv) 補修管の準備
次に、継手管21と第2陶管300との間の距離Lに応じた長さの補修管30を準備する。補修管30として、予め規格化された長さの管を用いてもよいが、現場において所定長さの管を切断すること、または、複数の管を接着すること等によって、上記長さLの補修管30を製作することも可能である。本実施形態では、補修管30は塩化ビニル樹脂製であるので、そのような切断または接着による長さ調整は極めて容易である。
【0039】
(v) 補修管に対するスライド継手の接続
次に、図6に示すように、補修管30に第1スライド継手40と第2スライド継手70とをそれぞれ取り付けて、これらを一体化させる。具体的には、補修管30の左側の差口31に第1スライド継手40の受口43を嵌め込むとともに、補修管30の右側の差口33を第2スライド継手70の左側の受口71に嵌め込む。
【0040】
(vi) 補修管の位置決め
次に、図7に示すように、第1スライド継手40および第2スライド継手70と一体化された補修管30を、継手管21と第2陶管300との間に位置づける。すなわち、破損した陶管200の代わりに補修管30を配置する。
【0041】
(vii) スライド継手による接続
次に、第1スライド継手40を左方向にスライドさせ、継手管21と補修管30とを接続する。また、第2スライド継手70を右方向にスライドさせる。ここで、第2スライド継手70にはテーパ部75が形成されているので、第2スライド継手70をスライドさせた際に、第2陶管300の差口300aの先端がテーパ部75上を摺動し、差口300aがテーパ部75によって中心側に案内される。その結果、第2スライド継手70と第2陶管300とが芯合わせされる。このように、本実施形態では、テーパ部75の芯合わせ機能により、第2スライド継手70と第2陶管300との芯合わせを容易に行うことができる。なお、第2スライド継手70と第2陶管300とが芯合わせされると、補修管30と第2陶管300も芯合わせされることになる。すなわち、本実施形態によれば、テーパ部75を有する第2スライド継手70を用いることにより、補修管30と第2陶管300とを、両者が芯合わせされた状態で良好に接続することができる。その後、第2スライド継手70の受口73の内周面と第2陶管300の差口300aの外周面との間の隙間に、モルタル60を充填する。これにより、第2スライド継手70と第2陶管300とが接合される(図1参照)。
【0042】
(viii)埋め戻し
最後に、前記(i)の工程にて掘削した箇所を埋め戻す。
【0043】
《実施形態1の効果》
以上のように、本実施形態によれば、異種管同士である第1陶管100と補修管30とを接続する際に、それらの間に補助部材20を介在させることとした。そのため、補修管30を第1陶管100に対して良好に接続することができる。
【0044】
補助部材20の継手管21は合成樹脂製であり、第1陶管100とは種類の異なる管である。しかし、継手管21の一端側の外周面に可撓性リング22が取り付けられているので、継手管21を第1陶管100の受口100aに差し込んだ際に、継手管21の中心と第1陶管100の中心とがずれていたとしても、可撓性リング22の弾性力がそのずれを解消する方向に作用する。そのため、継手管21と第1陶管100との芯合わせを容易に行うことができる。したがって、継手管21と第1陶管100との接続に際して、作業性を向上させることができる。
【0045】
また、可撓性リング22は、第1陶管100の受口100aの内側において、継手管21の外周面および上記受口100aの内周面と接触する。そのため、モルタル60を充填する際に、モルタル60の一部が第1陶管100または継手管21の内部(以下、単に管内という)に流入することを抑制することができる。逆に言うと、モルタルが管内に流入しにくいので、充填作業の負担を軽減させることができる。したがって、この点においても、作業性を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態に係る可撓性リング22は、継手管21の軸方向に沿った長さが半径方向の長さと略等しく、可撓性リング22の厚みTが大きい。そのため、継手管21を第1陶管100の受口100aに挿入したときに、継手管21の外周面と受口100aの内周面との間に、比較的大きな空間を確保することができる。したがって、継手管21の外周面と受口100aの内周面との間に、十分な量のモルタル60を充填することができる。その結果、継手管21と第1陶管100とを良好に接続することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る可撓性リング22の断面形状は、略円形に形成されている。そのため、第1陶管100の受口100aの内周面および継手管21の外周面に対する接触面積を小さく抑えつつ、弾性変形量を比較的大きく確保することができる。したがって、受口100aに対する継手管21の挿入を円滑化することができるとともに、前述の芯合わせの効果を顕著に発揮することができる。また、可撓性リング22の断面形状は、モルタル60側に向かって先細りの形状になっている。そのため、モルタル60の充填時に、可撓性リング22と受口100aとの間の隙間にモルタル60を円滑に流し込むことができる。したがって、第1陶管100と継手管21とを良好に接合させることができる。
【0048】
なお、第1陶管100の受口100aの内周面と継手管21の外周面との間の空間にモルタル60を充填する際に、予め当該空間内に砕石を配置してもよいことは勿論である。ただし、本実施形態では、砕石を配置することなくモルタル60を充填することとしている。そのため、作業性を一層向上させることができる。
【0049】
《変形例》
本実施形態では、予め工場等において補助部材20を製作しておき、その補助部材20を施工現場に運搬することとしていた。しかし、補助部材20を現場で製作することも可能である。例えば、施工現場において、合成樹脂製の管の一部を切断することによって継手管21を製作し、その継手管21に可撓性リング22を巻き付け、継手管21の外周面に接着するようにしてもよい。
【0050】
ところで、上述のように施工現場で継手管21を製作すると、継手管21の端面(切断面)24が斜めになってしまうおそれがある。その結果、継手管21を第1陶管100の受口100aに差し込んだ際に、継手管21の端面24と受口100aの接合端面100b(図5参照)とが一様に接触せず、それらの間に若干の隙間が生じるおそれがある。しかし、継手管21の外周面には可撓性リング22が取り付けられている。そのため、そのような隙間があったとしても、可撓性リング22によって、管内に対するモルタル60の流入は阻止される。
【0051】
なお、本実施形態では、予め継手管21の外周面に可撓性リング22が接着され、可撓性リング22および継手管21が第1陶管100の受口100aに挿入されることによって、異種管接続構造50が形成されていた。しかし、異種管接続構造50の形成方法は、上記のものに限られない。例えば、予め第1陶管100の受口100a内に可撓性リング22を嵌め込んでおり、その後に継手管21を挿入し、モルタル60を充填するようにしてもよい。このような方法であっても、本実施形態と同様の異種管接続構造50を得ることができる。
【0052】
<実施形態2>
図8に示すように、実施形態2は、実施形態1において、第2スライド継手70に変更を加えたものである。以下の説明では、実施形態1と同様の部分には同様の符号を付し、説明を省略する。
【0053】
本実施形態に係る第2スライド継手70の内周面には、可撓性リング22が取り付けられている。具体的には、可撓性リング22は、ストレート部77の内周面におけるテーパ部75側の部分に接着されている。ただし、可撓性リング22の一部がテーパ部75の内周面に接着されていてもよい。これら第2スライド継手70および可撓性リング22は、異種管接続用の補助部材70Aを構成している。
【0054】
図9に示すように、本実施形態においても、可撓性リング22の断面形状は略円形であり、第2スライド継手70の軸方向に沿った長さと半径方向の長さとの比率は、略1となっている。
【0055】
本実施形態によれば、第2スライド継手70を第2陶管300の差口300aに向かってスライドさせる際に、可撓性リング22が差口300aの外周面と接触し、半径方向に圧縮される。この際、前述した実施形態1と同様の理由により、可撓性リング22の弾性力が、第2スライド継手70の中心と第2陶管300の中心とのずれをなくす方向に作用する。したがって、第2スライド継手70と第2陶管300とが芯合わせされる。
【0056】
また、実施形態1と同様、第2スライド継手70にはテーパ部75が形成されている。そのため、第2スライド継手70をスライドさせた際に、第2陶管300の差口300aの先端がテーパ部75上を摺動し、差口300aがテーパ部75によって中心側に案内される。その結果、第2スライド継手70と第2陶管300とが芯合わせされる。
【0057】
このように、本実施形態では、可撓性リング22の芯合わせ機能とテーパ部75の芯合わせ機能とにより、第2スライド継手70と第2陶管300との芯合わせをさらに容易に行うことができる。なお、実施形態1と同様、第2スライド継手70と第2陶管300とが芯合わせされると、補修管30と第2陶管300も芯合わせされることになる。本実施形態によれば、可撓性リング22が取り付けられた第2スライド継手70を用いることにより、補修管30と第2陶管300とを、両者が芯合わせされた状態で良好に接続することができる。
【0058】
可撓性リング22は、第2スライド継手70の受口73の内側において、第2陶管300の差口300aの外周面および第2スライド継手70の受口73の内周面と接触する。そのため、モルタル60を充填する際に、可撓性リング22によって、モルタル60の一部が管内に流入することを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態においても、第2スライド継手70の受口73を第2陶管300の差口300aに嵌め込んだときに、第2スライド継手70の受口73の内周面と第2陶管300の差口300aの外周面との間に、比較的大きな空間を確保することができる。したがって、十分な量のモルタル60を充填することができ、第2スライド継手70と第2陶管300とを良好に接続することができる。
【0060】
《変形例》
上記実施形態に係る異種管接続構造51は、可撓性リング22を介して第2スライド継手70と第2陶管300とをモルタル60で接合した構造である。上記実施形態では、異種管接続構造51は、可撓性リング22が取り付けられた第2スライド継手70を第2陶管300の差口300aに嵌め込むことによって形成されていた。しかし、異種管接続構造51は、他の方法で形成されていてもよい。例えば、第2陶管300の差口300aの外周面に可撓性リング22を取り付け、その後に第2スライド継手70を差口300aに嵌め込み、モルタル60を充填するようにしてもよい。
【0061】
なお、本実施形態においても、予め工場等において可撓性リング22を第2スライド継手70に取り付けておき、可撓性リング22と一体化された第2スライド継手70を施工現場に搬送するようにしてもよい。また、第2スライド継手70と可撓性リング22との接着を施工現場で行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上説明したように、本発明は、陶管またはヒューム管と合成樹脂製の管とを接続する際に用いられる異種管接続用の補助部材、および、それを備えた異種管接続構造について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施形態1に係る配管構造の縦断面図である。
【図2】異種管接続用の補助部材の縦断面図である。
【図3】下水道配管の補修方法を説明するための図である。
【図4】下水道配管の補修方法を説明するための図である。
【図5】下水道配管の補修方法を説明するための図である。
【図6】補修管、第1スライド継手および第2スライド継手の縦断面図である。
【図7】下水道配管の補修方法を説明するための図である。
【図8】実施形態2に係る配管構造の縦断面図である。
【図9】実施形態2に係る第2スライド継手の縦断面図である。
【符号の説明】
【0064】
20 異種管接続用の補助部材
21 継手管(合成樹脂製の管,第2種配管)
22 可撓性リング
30 補修管(第2配管)
60 モルタル
70 第2スライド継手(合成樹脂製の管)
70A 異種管接続用の補助部材
73 受口
100 第1陶管(第1配管,第1種配管)
100a 受口
300 第2陶管
300a 差口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受口を有する陶管またはヒューム管からなる第1配管と合成樹脂製の第2配管とを接続する際に、前記第1配管の受口と前記第2配管との間に配置される異種管接続用の補助部材であって、
合成樹脂製の管と、
前記管の一端側の外周面に取り付けられた可撓性リングと、
を備えた異種管接続用の補助部材。
【請求項2】
差口を有する陶管またはヒューム管からなる第1配管と合成樹脂製の第2配管とを接続する際に、前記第1配管の差口と前記第2配管との間に配置される異種管接続用の補助部材であって、
一端側に半径方向外側に広がる受口が形成された合成樹脂製の管と、
前記管の受口の内周面に取り付けられた可撓性リングと、
を備えた異種管接続用の補助部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の異種管接続用の補助部材において、
前記可撓性リングにおける前記管の軸方向に沿った長さは、前記可撓性リングにおける前記管の半径方向の長さに略等しい異種管接続用の補助部材。
【請求項4】
請求項1または2に記載の異種管接続用の補助部材において、
前記可撓性リングの断面形状は、略円形である異種管接続用の補助部材。
【請求項5】
陶管またはヒューム管からなり、一端側に半径方向外側に広がる受口が形成された第1種配管と、
一端側が前記第1種配管の受口内に突き当てられた合成樹脂製の第2種配管と、
前記第1種配管の受口の先端よりも前記第1種配管の軸方向の内側の位置であって、かつ前記第1種配管の受口の内周面と前記第2種配管の一端側の外周面との間の位置に、前記内周面および前記外周面と接触した状態で介在する可撓性リングと、
少なくとも前記第1種配管の受口の内周面と前記第2種配管の一端側の外周面との間における前記可撓性リングと前記受口の先端との間に充填されたモルタルと、
を備えた異種管接続構造。
【請求項6】
陶管またはヒューム管からなり、一端側に差口が形成された第1種配管と、
合成樹脂製の管からなり、一端側に半径方向外側に広がる受口が形成され、前記受口内に前記第1種配管の前記差口が差し込まれた第2種配管と、
前記第2種配管の受口の先端よりも前記第2種配管の軸方向の内側の位置であって、かつ前記第2種配管の受口の内周面と前記第1種配管の一端側の外周面との間の位置に、前記内周面および前記外周面と接触した状態で介在する可撓性リングと、
少なくとも前記第2種配管の受口の内周面と前記第1種配管の一端側の外周面との間における前記可撓性リングと前記受口の先端との間に充填されたモルタルと、
を備えた異種管接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−223292(P2008−223292A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−61211(P2007−61211)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】