説明

畳表折り曲げ機及びそれを用いた縁無畳の製造方法

【課題】新たに大がかりな装置を購入することなく、簡単、安価、かつ綺麗に畳表を折り曲げることができる装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、畳床を載置するための載せ台9と、載せ台に載置された畳床を押さえ付けるための畳締め付け部17と、畳床に畳表を縫着するための縫着機11とを備える畳框縫着装置8に、取り外し可能に取り付けられる畳表折り曲げ機1であって、載せ台9に載置される本体部5と、本体部5の一端辺に回動可能に取り付けられた折り曲げ部4とを備える。さらに、畳表折り曲げ機1は、第1の凸部7と第2の凸部6とを備え、載せ台9に載置されたときにずれるのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縁無畳を製造するための装置に関し、より特定的には、縁無畳の製造に用いられる畳表を折り曲げるための装置及びそれを用いた縁無畳の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の畳(たとえば、一畳畳)は、畳表の目の向きが短手方向(幅方向)になるように、畳床の上に畳表が載せられ、長手方向(長さ方向)の端辺で畳床に畳表が畳縁によって縫い付けられ、短手方向の端辺で畳床に畳表が直接縫い付けられて、製造される。長手方向の端辺で畳床に畳表を畳縁によって縫い付ける装置を、畳縫着装置という。短手方向の端辺で畳床に畳表を直接縫い付ける装置を、畳框縫着装置という。なお、半畳畳も、同様に製造される。このようにして、畳縁がある通常の畳が製造される。
【0003】
しかし、近年、畳縁が無い縁無畳(坊主畳ともいう)の需要が増加し、縁無畳の生産における作業の機械化、省力化が進められている。縁無畳の製造において、畳表の目の向きと垂直に緯糸であるい草を90度以上に綺麗に折り曲げる必要がある。縁無畳では、い草を折り曲げた部分が表面に現れてくる。したがって、縁無畳の製造において、い草を如何にして綺麗に折り曲げるかという点が製造上非常に問題となる。
【0004】
このような状況の下、畳縫着装置や畳框縫着装置とは別に、畳表を折り曲げる装置(畳表折り曲げ装置)が提案されている。しかし、畳表折り曲げ装置を設置するだけの場所を確保しなければならず、また、折り曲げた畳表を畳縫着装置や畳框縫着装置が設置されている場所まで運搬しなければならず、面倒である。何より、専用の畳折り曲げ装置は、高価である。
【0005】
そのため、特許文献1に示すように、畳表折り曲げ装置と畳縫着装置とを一体化した装置が提案されている。特許文献1には、縫着ミシンと対向する側に、畳表を折り曲げる機構を取り付けた装置が開示されている。特許文献1に係る装置は、畳床を載置する台の端部に、軸(6)を中心に回動可能な回動屈曲版(5)を取り付け、畳表(4)を上下動押さえ定規プレート(2)によって押さえ付けて、回動屈曲版(5)を回動シリンダ(8)によって回動させることによって、畳表を折り曲げる。
【特許文献1】特開2003−293566号公報 図8
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の装置であったとしても、新たに、当該装置を購入しなければならない。当該装置は、多くの機械的機構を備えており、複雑であり、当然、高価である。畳縫着装置と畳表折り曲げ装置とを兼ねることによって、省スペース化を図ることは可能であるが、当該装置の購入によって、結局、縁無畳の単価が上がってしまう。
【0007】
それゆえ、本発明の目的は、新たに大がかりな装置を購入することなく、簡単、安価、かつ綺麗に畳表を折り曲げることができる装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、簡単、安価、かつ綺麗に縁無畳を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、畳床を載置するための載せ台と、載せ台に載置された畳床を押さえ付けるための畳締め付け部と、畳床に畳表を縫着するための縫着機とを備える畳框縫着装置に、取り外し可能に取り付けられる畳表折り曲げ機であって、載せ台に載置される本体部と、本体部の一端辺に回動可能に取り付けられた折り曲げ部とを備える。
【0009】
好ましくは、畳表折り曲げ機は、さらに、本体部が載せ台に載置されたときに、本体部がずれるのを防止するためのずれ防止部を備えるとよい。
【0010】
好ましくは、ずれ防止部は、本体部の載せ台側に設けられた第1の凸部であるとよい。
【0011】
好ましくは、ずれ防止部は、折り曲げ部の載せ台側に設けられた第2の凸部であるとよい。
【0012】
好ましくは、本体部の裏面の少なくとも一部は、CFシートで覆われているとよい。
【0013】
好ましくは、本体部の表面の少なくとも一部は、第1の樹脂板で覆われているとよい。
【0014】
好ましくは、折り曲げ部は、本体部の一端辺に取り付けられた固定部と、一段下がって固定部に回動可能に取り付けられた回動部とを含むとよい。
【0015】
好ましくは、畳表折り曲げ機は、さらに、回動部と固定部との段差に取り外し可能に載置される第2の樹脂板を備えるとよい。
【0016】
好ましくは、折り曲げ部の長手方向の幅が1m以上であるとよい。
【0017】
好ましくは、畳表折り曲げ機は、さらに、一端辺が畳表の折り曲げ部分に当接するように、畳締め付け部の端部に取り外し可能に取り付けられる上部当接部を備えるとよい。
【0018】
本発明の他の局面は、畳床を載置するための載せ台と、載せ台に載置された畳床を押さえ付けるための畳締め付け部と、畳床に畳表を縫着するための縫着機とを備える畳框縫着装置、及び、載せ台に載置される本体部と、本体部の一端辺に回動可能に取り付けられた折り曲げ部とを備える畳表折り曲げ機を用いて、縁無畳を製造するための方法であって、畳表折り曲げ機を、載せ台に載置させる第1の工程と、畳表を畳表折り曲げ機の上に載置させる第2の工程と、折り曲げ部における回動境界線に、曲げたい位置を合わせる第3の工程と、畳締め付け部を下降させて、畳表及び畳表折り曲げ機を押さえ付ける第4の工程と、折り曲げ部を回動させて、畳表に折れ目を入れる第5の工程と、畳締め付け部を上昇させて、畳表の締め付けを緩める第6の工程と、既に折り目が付いている側と対向する側に対しても、第3〜第5の工程を施して、折れ目を付ける第7の工程と、1〜第7の工程で得られた畳表を畳床に敷き、畳表を畳床に縫い付ける第8の工程とを備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、畳表折り曲げ機は、通常、畳み製造業者が使用している畳框縫着装置に簡単に取り付けて、畳表を綺麗に折り曲げることができる。畳表折り曲げ機の構造は、簡易なものであるであるので、簡単かつ安価に、畳表の折曲げを実現することができる。したがって、大がかりな装置を新たに購入しなくても、縁無畳を綺麗に製造することができる。
【0020】
また、ずれ防止部(たとえば、第1の凸部及び第2の凸部)によって、畳表折り曲げ機が載せ台からずれるのが防止され、より綺麗に畳表を折り曲げることが可能となる。
【0021】
本体部の裏面の少なくとも一部にCFシートを貼り付けることによって、本体部の滑りがよくなり、作業効率が向上する。また、畳表折り曲げ機1の耐久性や防水性が向上する。
【0022】
本体部の表面の少なくとも一部に第1の樹脂板を貼り付けることによって、第1の樹脂板の上で、カッターナイフ等を用いて、畳表を切ることができ、作業効率が向上する。また、畳表折り曲げ機の耐久性や防水性が向上する。
【0023】
回動部を固定部よりも一段下げることによって、畳表をより綺麗に折り曲げることができる。また、回動部の上に、第2の樹脂板を載せることができ、畳表をカッターナイフ等で切りやすくなり、作業効率が向上する。
【0024】
折り曲げ部の長手方向の幅を1m以上とすることによって、半畳分の縁無畳の製造に適した畳表折り曲げ機が提供されることとなる。
【0025】
以上、本発明に係る畳表折り曲げ機を用いれば、簡単、安価、かつ綺麗に縁無畳を製造することが可能となる。
【0026】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る畳表折り曲げ機1を示す斜視図である。図2Aは、図1におけるA−A面での断面図である。図1及び図2Aにおいて、畳表折り曲げ機1は、本体部5と、折り曲げ部4と、第1の凸部7と、第2の凸部6とを備える。
【0028】
本体部5は、略矩形状の板部材である。本体部5の裏面には、CF(クッションフロア)シート5aが貼り付けられている。CFシート5aは、通常、台所や風呂場、トイレなどの床に貼り付けられる樹脂製の床材である。本体部5の表面には、第1の樹脂板5bが貼り付けられている。第1の樹脂板5bは、その上で、カッターナイフ等によって畳表を切ったとしても、痛みにくい硬質の樹脂であるとよい。好ましくは、第1の樹脂板5bは、硬質のポリ塩化ビニルなどからなるカッティングマットであるとよい。
【0029】
折り曲げ部4は、固定部2と、回動部3とを含む。折り曲げ部4の長手方向の長さは、1m以上であるとよいが、これに限定されるものではない。固定部2は、本体部5の一端辺に固定的に取り付けられている。回動部3は、固定部2の一端辺に、回動軸2aを中心に可動可能に取り付けられている。回動部3は、一端辺が断面略円状にふくれた持ち手部3aを含む。たとえば、折り曲げ部4は、本体部5の一端辺に回動可能に取り付けられている略矩形の大型の蝶番である。
【0030】
回動部3は、固定部2の上面から一段下がって回動可能に取り付けられている。回動部3の上面に、第2の樹脂板5cを載置することができる。図2Bは、第2の樹脂板5cを載置したときの図1におけるA−A面での断面図である。第2の樹脂板5cは、第2の樹脂板5cの上で、カッターナイフ等によって畳表を切ったとしても、痛みにくい硬質の樹脂であるとよい。好ましくは、第2の樹脂板5cは、硬質のポリ塩化ビニルなどからなるカッティングマットであるとよい。
【0031】
第1の凸部7は、本体部5の裏面側に設けられている。第2の凸部6は、回動部4の裏面側に設けられている。第2の凸部6は、回動部3を支えるために、回動部3の裏面側まで伸びて形成されている。第2の凸部6の裏面には、CFシート6bが貼り付けられている。
【0032】
図3は、従来の一般的な畳框縫着装置8の斜視図である。図3において、畳框縫着装置8は、載せ台9と、畳締め付け部17と、縫着機11とを備える。まず、畳框縫着装置8の通常の使用方法について説明する。畳框縫着装置8は、通常、畳床の上に載せられた畳表に対して、框部分を縫い付けるために使用される。枠15と枠16との間の載せ台9に畳床が載置され、畳床の上に、畳表が載せられる。畳締め付け部17は、畳框縫着装置8の一端で回動可能に固定されている。畳締め付け部17の一端に取り付けられた固定具10は、土台部分の連結具10a(図3では図示を省略)に連結される。畳締め付け部17を回動させて、固定具10と連結具10aとを連結させた後、畳締め付け部17を下降させる動力が畳締め付け部17に加えられる。これによって、畳締め付け部17は、載せ台9に載置された畳床及び畳表を押さえ付ける。畳締め付け部17によって押さえ付けられた畳床と畳表に対して、レール13に沿いながら、縫着機11が移動して、框部分が縫い付けられる。框部分が縫い付けられた後、空隙12内に設けられた昇降部14が上昇して、畳床が昇降部14の回転軸を中心に回転可能になる。畳床を回転させて、他方の框部分を縫着機11側に位置させる。その後、昇降部14を下降させて、再び、畳締め付け部17によって畳床及び畳表を押さえ付けて、他方の框部分が縫い付けられる。以上が、畳框縫着装置8の通常の使用方法である。
【0033】
本発明では、図3に示すような一般的な畳框縫着装置8に対して、畳表折り曲げ機1が取り付けられて、畳表の折り曲げを実現することに特徴がある。
【0034】
図4Aは、畳表折り曲げ機1が畳框縫着装置8に取り付けられたときの様子を示す斜視図である。図4Bは、畳表折り曲げ機1が畳框縫着装置8に取り付けられたときの様子を示す平面図である。図4Bに示すように、第1の凸部7の一端辺7aと第2の凸部6の一端辺6aとの間隔は、載せ台9の幅と略一致する。第1の凸部7の一端辺7aが載せ台9の一端辺9aと当接し、かつ、第2の凸部6の一端辺6aが載せ台9の他端辺9bと当接するようにして、載せ台9の上に、畳表折り曲げ機1が載置される。したがって、第1の凸部7及び第2の凸部6は、載せ台9の上に本体部5が載置された際、本体部5がずれるのを防止するためのずれ防止部として機能する。
【0035】
折り曲げ部4における回動境界線4a(図上、想像線で示す)は、回動部3を回動させたとき、固定部2と回動部3との屈曲部分の境目となる。第1の凸部7及び第2の凸部6は、畳締め付け部17を下降させたとき、回動境界線4aと畳締め付け部17の一端辺17aとが略一致するように、適切な位置に設けられている。
【0036】
図5は、図4AにおけるB−B線での断面図である。畳締め付け部17は、本体板部17dと、調整板部17cとを含む。なお、本体板部17dと調整板部17cとの間に、段差が生じないように、本体板部17dに調整板部17cを嵌め込む凹部が設けられていてもよい。調整板部17cは、本体板部17dに設けられたスライド孔17gに対して、ネジ17e及びナット17fによって、微調整可能に取り付けられている。畳框縫着装置8を用いて框部分を縫い付ける際、使用者は、適宜、調整板部17cの位置を微調整することができる。なお、通常は、一度、微調整を行えば、その後、微調整をすることなく、框部分を縫い付けることができる。なお、図5に示すような調整板部17cによる構成は、一般的な畳框縫着装置8には、通常設けられている。
【0037】
以下、畳表折り曲げ機1を用いて、畳表を折り曲げ、半畳分の縁無畳を製造する方法について説明する。図6は、畳表を折り曲げる工程を説明するための図である。
【0038】
まず、図4Aに示すように、本体部5を載せ台9の上に載置する。その際、第1の凸部7と第2の凸部6とによって、載せ台9が挟まれるように、本体部5を載せ台9の上に載置する。次に、回動部3の上に、第2の樹脂板5cを載置する。
【0039】
次に、半畳分の縁無畳の製造に必要な大きさの畳表Sを畳表折り曲げ機1の上に載置する。次に、折り曲げ部4における回動境界線4aに、畳表Sにおける曲げたい位置を合わせる。次に、畳締め付け部17の固定具10を、連結具10aに連結させる。次に、駆動スイッチ17bを押下して、畳締め付け部17を下降させる。これによって、畳表Sが畳表折り曲げ機1と畳締め付け部17との間に挟まれて、押さえ付けられる。
【0040】
次に、畳表Sに定規を当て、不要な部分をカッターナイフで切断する。この際、当該カッターナイフは、第2の樹脂板5cの上部に少し食い込みながら、畳表Sを切断する。次に、第2の樹脂板5cを取り外す。次に、畳表Sの折り曲げ部分に、温水スチームをかける等のい草の柔軟処理を施す。さらに、畳締め付け部17の一端辺17aに沿って、千枚通しで折れ線を付ける。なお、柔軟処理及び千枚通しによる折れ線処理は必須ではない。
【0041】
次に、回動部3を上方に90度以上、好ましくは、120度位回動させ、しばらくその状態を維持して、畳表Sに折れ目を入れる。
【0042】
次に、畳締め付け部17を上昇させて、畳表Sの締め付けを緩める。次に、畳表Sを180度回転させて、既に折れ目が付いている側と対向する側に対しても、曲げたい部分を境界線4aに合わせる。その後、畳締め付け部17による固定、柔軟処理、折れ線処理を施した後、回動部3を上方に90度以上、好ましくは、120度位回動させて、しばらくその状態を維持して、畳表Sに折れ目を入れる。このようにして、畳表Sの緯糸であるい草と直角になるように、両側に折れ目が入る。
【0043】
次に、畳表の縫着工程に進む。まず、両側を折り曲げた畳表Sを半畳分の畳床の上に載置する。次に、畳表Sが載置された畳床を、框部分(折り曲げられていない側)が縫着されるように、畳框縫着装置8に載置して、畳締め付け部17を下降させて、押さえ付ける。次に、框部分を縫着機11によって縫着する。次に、畳締め付け部17を緩めて、反対側の框部分も縫着する。次に、畳框縫着装置8に、框部分が縫着された畳床を取り付けて、折り曲げられた部分の一方の縁を縫着する。同様に、逆側の縁も縫着する。これによって、縁無畳が完成する。
【0044】
このように、本実施形態に係る畳表折り曲げ機1は、通常、畳み製造業者が使用している畳框縫着装置8に簡単に取り付けて、畳表を綺麗に折り曲げることができる。畳表折り曲げ機1の構造は、簡易なものであるであるので、簡単かつ安価に、畳表の折曲げを実現することができる。したがって、大がかりな装置を新たに購入しなくても、縁無畳を綺麗に製造することができる。
【0045】
また、第1の凸部7及び第2の凸部6によるずれ防止部によって、畳表折り曲げ機1が載せ台9からずれるのが防止され、より綺麗に畳表を折り曲げることが可能となる。
【0046】
本体部5の裏面の少なくとも一部にCFシート5aを貼り付けることによって、本体部5の滑りがよくなり、作業効率が向上する。また、畳表折り曲げ機1の耐久性や防水性が向上する。
【0047】
本体部5の表面の少なくとも一部に第1の樹脂板5bを貼り付けることによって、第1の樹脂板5bの上で、カッターナイフ等を用いて、畳表を切ることができ、作業効率が向上する。また、畳表折り曲げ機1の耐久性や防水性が向上する。
【0048】
回動部3を固定部2よりも一段下げることによって、畳表をより綺麗に折り曲げることができる。また、回動部3の上に、第2の樹脂板5cを載せることができ、畳表をカッターナイフ等で切りやすくなり、作業効率が向上する。
【0049】
折り曲げ部4の長手方向の幅を1m以上とすることによって、半畳分の縁無畳の製造に適した畳表折り曲げ機1が提供されることとなる。
【0050】
(変形例)
上記実施形態は、たとえば、以下のように変形し得る。
【0051】
図7は、上部当接部20を取り付けて畳表Sを折り曲げるときの様子を示す斜視図である。図6に示した畳框縫着装置8は、調整板部17cの長手方向の長さが畳表Sの幅よりも長かった。しかし、市販されている畳框縫着装置8の中には、調整板部17cの長手方向の長さが畳表Sの幅よりも短い場合がある。短い場合、端の部分が綺麗に折れ曲がらない可能性がある。そこで、畳表Sの幅よりも長手方向の長さが長い上部当接部20を、調整板部17cの端部に、取り付けるとよい。図7に示す例において、上部当接部20は、断面がレの字状になっており、調整板部17cの端部に、挿入され、調整板部17cに取り外し可能に取り付けられる。また、上部当接部20は、前端が鋭角になっている。このような上部当接部20を用いれば、畳表Sを綺麗に折り曲げることが可能となる。
【0052】
なお、上部当接部20の構造は、図7に限られるものではない。上部当接部20の長手方向の長さが、畳表Sの幅よりも長ければよい。たとえば、図7に示している調整板部17cを取り外して、図6に示す調整板部17cを本体板部17dに取り付けてもよい。この場合、図6に示す調整板部17cが、上部当接部となる。
【0053】
なお、第1の凸部7と第2の凸部6との内、少なくともどちらか一方が設けられていれば、畳表折り曲げ機1のずれを防止することができる。
【0054】
上記で示した実施形態はあくまでも一例に過ぎず、種々の変更をすることができる。畳表折り曲げ機1の材質は、金属でもよいし、木材でもよいし、プラスチックでもよい。ずれ防止部の構造は、凸部に限らず、ボルトとナットなどを利用して載せ台9に取り外し可能に締め付けるようなものであってもよいし、摩擦係数の大きい素材が本体部5の裏面に貼り付けられていてもよい。畳表折り曲げ機1のサイズは、あくまでも一例であって、市販されている畳框縫着装置8に取り外し可能に取り付けることができるものであればよい。当然、本実施形態で示した畳框縫着装置8も、一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。畳表折り曲げ機1を覆うCFシート5aや第1の樹脂板5bは、本体部5の少なくとも一部を覆っていればよい。折り曲げ部4の回動機構は、図1に示すような蝶番構造に限定されるものではない。折り曲げ部4は、本体部5に回動可能に取り付けられるものであれば、あらゆる周知の構造をとり得る。
【0055】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る畳表折り曲げ機及びそれを用いた縁無畳の製造方法は、縁無畳を好適に製造するために用いることができ、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に係る畳表折り曲げ機1を示す斜視図
【図2A】図1におけるA−A面での断面図
【図2B】第2の樹脂板5cを載置したときの図1におけるA−A面での断面図
【図3】従来の一般的な畳框縫着装置8の斜視図
【図4A】畳表折り曲げ機1が畳框縫着装置8に取り付けられたときの様子を示す斜視図
【図4B】畳表折り曲げ機1が畳框縫着装置8に取り付けられたときの様子を示す平面図
【図5】図4AにおけるB−B線での断面図
【図6】畳表を折り曲げる工程を説明するための図
【図7】上部当接部20を取り付けて畳表Sを折り曲げるときの様子を示す斜視図
【符号の説明】
【0058】
1 畳表折り曲げ機
2 固定部
3 回動部
4 折り曲げ部
4a 回動境界線
5 本体部
5a CFシート
5b 第1の樹脂板
5c 第2の樹脂板
6 第2の凸部
7 第1の凸部
8 畳框縫着装置
9 載せ台
10 固定具
10a 連結具
11 縫着機
12 空隙
13 レール
14 昇降部
15,16 枠
17 畳締め付け部
17a 畳締め付け部17の一端辺
17b 駆動スイッチ
17c 調整板部
17d 本体板部
17e ネジ
17f ナット
17g スライド孔
20 上部当接部
S 畳表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畳床を載置するための載せ台と、前記載せ台に載置された畳床を押さえ付けるための畳締め付け部と、前記畳床に畳表を縫着するための縫着機とを備える畳框縫着装置に、取り外し可能に取り付けられる畳表折り曲げ機であって、
前記載せ台に載置される本体部と、
前記本体部の一端辺に回動可能に取り付けられた折り曲げ部とを備える、畳表折り曲げ機。
【請求項2】
さらに、前記本体部が前記載せ台に載置されたときに、前記本体部がずれるのを防止するためのずれ防止部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の畳表折り曲げ機。
【請求項3】
前記ずれ防止部は、前記本体部の前記載せ台側に設けられた第1の凸部であることを特徴とする、請求項2に記載の畳表折り曲げ機。
【請求項4】
前記ずれ防止部は、前記折り曲げ部の前記載せ台側に設けられた第2の凸部であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の畳表折り曲げ機。
【請求項5】
前記本体部の裏面の少なくとも一部は、CF(クッションフロア)シートで覆われていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の畳表折り曲げ機。
【請求項6】
前記本体部の表面の少なくとも一部は、第1の樹脂板で覆われていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の畳表折り曲げ機。
【請求項7】
前記折り曲げ部は、
前記本体部の一端辺に取り付けられた固定部と、
一段下がって前記固定部に回動可能に取り付けられた回動部とを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の畳表折り曲げ機。
【請求項8】
さらに、前記回動部と前記固定部との段差に取り外し可能に載置される第2の樹脂板を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の畳表折り曲げ機。
【請求項9】
前記折り曲げ部の長手方向の幅が1m以上であることを特徴とする、請求項1〜8に記載の畳表折り曲げ機。
【請求項10】
さらに、一端辺が前記畳表の折り曲げ部分に当接するように、前記畳締め付け部の端部に取り外し可能に取り付けられる上部当接部を備えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の畳表折り曲げ機。
【請求項11】
畳床を載置するための載せ台と、前記載せ台に載置された畳床を押さえ付けるための畳締め付け部と、前記畳床に畳表を縫着するための縫着機とを備える畳框縫着装置、及び、前記載せ台に載置される本体部と、前記本体部の一端辺に回動可能に取り付けられた折り曲げ部とを備える畳表折り曲げ機を用いて、縁無畳を製造するための方法であって、
畳表折り曲げ機を、前記載せ台に載置させる第1の工程と、
前記畳表を前記畳表折り曲げ機の上に載置させる第2の工程と、
前記折り曲げ部における回動境界線に、曲げたい位置を合わせる第3の工程と、
前記畳締め付け部を下降させて、前記畳表及び前記畳表折り曲げ機を押さえ付ける第4の工程と、
前記折り曲げ部を回動させて、前記畳表に折れ目を入れる第5の工程と、
前記畳締め付け部を上昇させて、前記畳表の締め付けを緩める第6の工程と、
既に折り目が付いている側と対向する側に対しても、前記第3〜第5の工程を施して、折れ目を付ける第7の工程と、
前記1〜第7の工程で得られた前記畳表を前記畳床に敷き、前記畳表を前記畳床に縫い付ける第8の工程とを備える、縁無畳の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−287283(P2009−287283A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141192(P2008−141192)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【特許番号】特許第4219397号(P4219397)
【特許公報発行日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(507122593)株式会社ルームアート企画 (3)
【Fターム(参考)】