説明

疎水性金属酸化物粒子

【課題】活性炭の細孔を潰さずに、且つ、活性炭の疎水性を上げる疎水性金属酸化物粒子を提供する。
【解決手段】式(1)で表されるケイ素化合物で表面修飾されたことを特徴とする疎水性金属酸化物粒子。金属酸化物粒子としてはオルガノシリカゾルが好ましい。
R-Si(CH(−X)3−n (1)
ただし、Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜3のアルキニル基又は炭素数6〜8のアリール基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、Cは炭素原子、Hは水素原子、Siはケイ素原子、nは0〜2を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性炭や活性炭素繊維の疎水化剤として有用な疎水性金属酸化物粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、活性炭の表面は、疎水性であるといわれている。しかしながら、活性炭表面には、製造の過程で賦活により生じた水酸基、カルボキシル基などの親水性基が存在する。この様な活性炭では、空気中の水分が存在した場合、使用中に水分子を吸着することにより活性炭表面がより親水化され、目的とする疎水性の有機塩素系化合物等の有機物質の吸着が妨げられるため、性能が短期間で低下するという問題があった。
上記背景から表面改質による有機塩素化合物系の汚染物質を効率よく除去できる新しい技術の開発が望まれている。
上記問題に対して、活性炭或いは活性炭素繊維の表面を疎水性にする方法としては、活性炭材料を不活性雰囲気中で加熱したり、或いは水素気流中で加熱したりする方法などが知られている(例えば、非特許文献1)。しかしながら、この様な方法は、600℃以上の高温で活性炭材料の加熱を行うので、多量のエネルギーを必要とし、その装置にも耐熱性が要求され、その結果、経済性に劣る。また、使用中に再度OH基などが生成し、疎水性が低下するという問題があった。
一方、上記背景を鑑みて、発明者らは、アルキル鎖を有するケイ素系疎水化剤を合成し、これを活性炭へと添着することを試みたが、細孔を潰してしまい、活性炭本来の性能を損なわせてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】荻野圭三、「炭素系吸着剤の表面改質と吸着特性」、表面、Vol.29, No.6, 448(1991)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、活性炭の細孔を潰さずに、且つ、活性炭の疎水性を上げる疎水性金属酸化物粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、本発明に至った。
即ち、本発明は、式(1)で表されるケイ素化合物で表面修飾されたことを特徴とする疎水性金属酸化物粒子である。
R-Si(CH(−X)3−n (1)
ただし、Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜3のアルキニル基又は炭素数6〜8のアリール基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、Cは炭素原子、Hは水素原子、Siはケイ素原子、nは0〜2を表す。
【発明の効果】
【0006】
本発明の疎水性金属酸化物粒子は、活性炭など多孔質体の細孔を潰さずに疎水性を付与できる。これにより、水分の影響による性能の低下を防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明において、疎水性金属酸化物粒子は、式(1)で表されるケイ素化合物で表面修飾される。
R-Si(CH(−X)3−n (1)
ただし、Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜3のアルキニル基又は炭素数6〜8のアリール基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、Cは炭素原子、Hは水素原子、Siはケイ素原子、nは0〜2を表す。
【0008】
式(1)において、Rの炭素数1〜18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n-オクチル基、ドデシル基、n-オクタデシル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロヘキシル基などが挙げられる。
炭素数2〜4のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基が挙げられる。
炭素数2〜3のアルキニル基としては、エチニル基、プロパギル基が挙げられる。
炭素数6〜8のアリール基としては、フェニル基、ベンジル基、エチルフェニル基などが挙げられる。
これらRのうちコストの点を考慮すると、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。
【0009】
式(1)において、Xの炭素数1〜3のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基が挙げられる。
これらのうちコストの点を考慮すると、好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。
【0010】
上記式(1)で表されるケイ素化合物の具体例として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、4−ブチルフェニルトリメトキシシラン、4−ブチルフェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ブテニルトリメトキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、エチニルトリメトキシシラン、エチニルトリエトキシシラン、プロパギルトリメトキシシラン、プロバギルトリエトキシシラン等の3官能シラン類;
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジヘキシルジメトキシシラン、ジヘキシルジエトキシシラン、ジドデシルジメトキシシラン、ジドデシルジエトキシシラン、メチルオクチルジメトキシシラン、メチルオクチルジエトキシシラン、ドデシルメチルジメトキシシラン、メチルオクチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、等の2官能シラン類;
トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシラン等の1官能シラン類が挙げられる。
【0011】
金属酸化物粒子の金属酸化物としては、シリカ、チタニア、アルミナ及びジルコニアが挙げられる。
金属酸化物粒子の大きさは、5〜200nmが好ましく、より好ましくは5〜150nm、さらに好ましくは10〜100nmである。
金属酸化物粒子は、形態として金属酸化物ゾルが好ましく、シリカゾルがさらに好ましく、オルガノシリカゾルが特に好ましい。
なお、オルガノゾルとは、ナノレベルで表面改質をしたコロイダルシリカを有機溶媒に安定的に分散させたコロイド溶液であり、アルコール、ケトン、エーテル、トルエン等の各種有機溶媒に分散可能である。
具体的には日産化学社製のオルガノシリカゾル(メタノールシリカゾル、IPA−ST、IPA−ST、IPA−ST−UP、IPA−ST−ZL、EG−ST、NPC−ST−30、DMAC−ST、MEK−ST、MIBK−ST、PMA−ST及びPGM−ST)や扶桑化学社製の高純度オルガノシリカゾル(PL−1−IPA、PL−2L−PGME及びPL−2L−MEK)等が挙げられる。
これらは単独のみならず、複数で用いても良い。
【0012】
金属酸化物粒子を上記式(1)で表されるケイ素化合物で表面修飾することにより疎水性金属酸化物粒子が得られる。
すなわち、金属酸化物粒子とケイ素化合物を、水を少量含有した有機溶媒又は水中で加熱反応させることにより、金属酸化物粒子の表面にケイ素化合物を化学結合させる方法によって得られる。
【0013】
金属酸化物粒子に上記式(1)で表されるケイ素化合物を反応させる場合の溶媒としては、アルコール系溶媒:メタノール、エタノール、イソプロパンール、n−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,4−ブタンジオール等、エーテル系溶媒:ジエチルエーテル、テトラハイドロフラン及びジオキサン等、ケトン系溶媒:アセトン及びメチルエチルケトン等、非プロトン溶媒:ジメチルスルホキサイド、N,N−ジメチルホルムアミド等及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。また、これらの溶媒と水との混合物も挙げられ、水の体積比率は、30%以下が好ましく、より好ましくは5%以下である。
これらのうち好ましいのは、アルコール系溶媒であり、これらの溶媒は1種又は2種以上で使用できる。
【0014】
溶媒に対する原料の金属酸化物粒子の濃度は1〜50重量%であり、好ましくは1〜30重量%である。
【0015】
金属酸化物粒子に対するケイ素化合物の量は金属酸化物粒子1gに対して0.01〜10.0mmolが好ましく、2.0〜5.0mmolが特に好ましい。
【0016】
ケイ素化合物を添加する際の温度は限定されないが、常温(約20℃)から沸点が好ましい。
反応温度も限定されないが、常温(約20℃)から沸点が好ましい。
反応時間も限定されないが、10分から48時間が好ましく、6時間から24時間が特に好ましい。
【0017】
疎水性金属酸化物粒子は、作業性を向上させる為に希釈溶剤を含有させても良い。希釈溶媒としては、本発明の修飾金属酸化物ゾルと反応せず、これらを溶解及び/又は分散させるものであれば制限がなく、例えば、エーテル系溶剤(テトラハイドロフラン、ジオキサン等)、アルコール系溶剤(メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)及び非プロトン性溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等)及び水等が挙げられる。
【0018】
希釈溶媒を含有する場合、希釈溶媒の含有量は、例えば、全溶媒に対する、本発明の修飾金属酸化物ゾルの重量%が、0,01〜15重量%(好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜7.5重量%)となる量である。
【0019】
本発明の疎水性金属酸化物粒子は、活性炭など多孔質体の細孔を潰さずに疎水性を付与できる。具体的には、疎水性金属酸化物粒子を多孔質体に添着させることにより疎水性を付与できる。
多孔質体は、多数の微細な空孔を備えるものであれば特に限定されるものではないが、好適な例としては、活性炭、ゼオライト、アルミナ及びシリカが挙げられる。
【0020】
活性炭としては、種々の活性炭、例えば、黒鉛、鉱物系材料(褐炭、れき青炭などの石炭、石油又は石炭ピッチなど)、植物系材料(木材、果実殻(やし殻など)など)、動物系材料(動物の骨、皮など)、高分子材料(ポリアクリロニトリル(PAN)、フェノール系樹脂、セルロース、再生セルロースなど)などを原料とする活性炭などが挙げられる。活性炭は、これらの原料を必要に応じて炭化又は不融化した後、賦活処理することにより得ることができる。なお、炭化方法、不融化方法、賦活方法は、特には限定されず、慣用の方法が利用できる。例えば、賦活は、炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を賦活ガス(水蒸気、二酸化炭素など)中、500〜1000℃程度で熱処理するガス賦活法、炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を賦活剤(リン酸、塩化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)と混合し、300〜800℃程度で熱処理する化学的賦活法などにより行うことができる。
【0021】
活性炭のうち、やし殻活性炭などの植物系活性炭、石炭などを原料とする鉱物系活性炭、PAN系活性炭・セルロース系活性炭などの高分子系活性炭などが好ましい。活性炭は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0022】
多孔質体の形状は、特に制限されず、繊維状、ペレット状、粒状、ハニカム状、ペーパー状であってもよい。
なお、粒状多孔質体の平均粒子径は、例えば、1〜1000μm、好ましくは10〜750μm、さらに好ましくは100〜500μm程度であってもよい。また、繊維状多孔質体の平均繊維径は、特に制限されず、1〜200μm、好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜70μm程度であってもよい。
【0023】
多孔質体の比表面積は、例えば、350〜2500m/g、好ましくは700〜2500m/g、さらに好ましくは1000〜1800m/g程度である。
【0024】
疎水性金属酸化物粒子の添着量は、多孔質体に対して、好ましくは0.01〜20重量分率%、特に好ましくは1〜3重量分率%である。
【0025】
疎水性金属酸化物粒子の多孔質体への添着は、例えば、疎水性金属酸化物粒子に水溶性有機溶媒を加えて溶解(分散)させ、多孔質体を浸漬処理して乾燥する方法が挙げられる。
水溶性有機溶媒としては、アルコール類が好適であり、メタノール及びエタノールが特に好ましい。
温度は通常25〜150℃程度、時間は1〜6時間である。
【0026】
本発明の疎水性金属酸化物粒子は、多孔質体へ添着することにより、有機塩素系化合物等の有機溶剤の吸着材として好適に用いられる。
【実施例】
【0027】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。実施例は、本発明を説明するものであり、制限を加えるものではない。
【0028】
実施例1
n−オクタデシルトリエトキシシラン 3.00g(8mmol)、エタノール 156g、水 5g、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液) 12.5g(シリカゾル 3.75g相当)、を混合し、バス温90℃で一晩加熱還流した。
得られた分散液を適量採取し、60℃で2h乾燥して得られた固体のIR測定を行なったところ、オクタデシル基のC−Hの吸収を確認することができた。
【0029】
実施例2
n−オクチルトリエトキシシラン 2.22g(8mmol)、エタノール 156g、水 5g、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液) 12.5g(シリカゾル 3.75g相当)、を混合し、バス温90℃で一晩加熱還流した。
得られた分散液を適量採取し、60℃で2h乾燥して得られた固体のIR測定を行なったところ、オクチル基のC−Hの吸収を確認することができた。
【0030】
実施例3
メチルトリエトキシシラン 1.42g(8mmol)、エタノール 156g、水 5g、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液) 12.5g(シリカゾル 3.75g相当)、を混合し、バス温90℃で一晩加熱還流した。
得られた分散液を適量採取し、60℃で2h乾燥して得られた固体のIR測定を行なったところ、メチル基のC−Hの吸収を確認することができた。
【0031】
実施例4
フェニルトリエトキシシラン 1.92g(8mmol)、エタノール 156g、水 5g、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液) 12.5g(シリカゾル 3.75g相当)、を混合し、バス温90℃で一晩加熱還流した。
得られた分散液を適量採取し、60℃で2h乾燥して得られた固体のIR測定を行なったところ、フェニルC−Hの吸収を確認することができた。
【0032】
実施例5
ノナフルオロヘキシルトリエトキシシラン 3.28g(8mmol)、エタノール 156g、水 5g、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液) 12.5g(シリカゾル 3.75g相当)、を混合し、バス温90℃で一晩加熱還流した。
得られた分散液を適量採取し、60℃で2h乾燥して得られた固体のIR測定を行なったところ、フェニルC−Fの吸収を確認することができた。
【0033】
評価
活性炭素繊維を約6gに対して、実施例1〜5で作成した疎水性シリカゾル分散液を、固形分が活性炭素繊維の1〜3wt%となるように採取し、これをエタノールで希釈し、約50gの疎水化処理液とした。調製した疎水化処理液を活性炭に含ませ、これを150℃で6h通風乾燥を行なった。活性酸素繊維への疎水化剤の添着の有無はIR測定により確認した。
得られた疎水化処理活性炭素繊維について、水共存下おける塩化メチレン吸着性能試験を行った。併せて、疎水化処理していない活性炭素繊維についても同様に試験を行った。その結果を表1に示す。
【0034】
[水共存下おける塩化メチレン吸着性能試験]
2塔ある吸着塔に試料を各々約4gずつ充てんし、温度100℃、約1g/minの水蒸気を導入し、一定時間、一定回数、脱着させ、吸着塔内の温度が安定した後、片方の塔に濃度350ppm(Co)、温度25℃、湿度80%、線速度0.1m/sの塩化メチレンのガスを流入し、一定時間吸着した後は水蒸気を塔内に導入して一定時間脱着するサイクルを10回繰り返し、吸着時の時間の経過とともに出口濃度(C)を測定し、破過率C/Co=0.05時の時間を測定した。
1.破過時間
上記塩化メチレン吸着性能試験において、破過率C/Co=0.05における塩化メチレンが破過し始めた時間
2.性能比
疎水化処理された吸着材と未処理の吸着材の破過時間の比
【0035】
【表1】

【0036】
表1から明らかなように、疎水化処理していない活性炭素繊維に比べ、実施例1〜5の疎水性シリカゾル分散液で疎水化処理された活性炭素繊維は、水分の影響を受けず、効率よく塩化メチレン(有機物質)を吸着する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の疎水性金属酸化物粒子は、活性炭など多孔質体の細孔を潰さずに疎水性を付与できるため、有機塩素系化合物などの有機物質の吸着剤に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるケイ素化合物で表面修飾されたことを特徴とする疎水性金属酸化物粒子。
R-Si(CH(−X)3−n (1)
ただし、Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜3のアルキニル基又は炭素数6〜8のアリール基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、Cは炭素原子、Hは水素原子、Siはケイ素原子、nは0〜2を表す。
【請求項2】
金属酸化物粒子の大きさが5〜200nmである請求項1に記載の疎水性金属酸化物粒子。
【請求項3】
金属酸化物粒子がシリカ、チタニア、アルミナ又はジルコニアである請求項1又は2に記載の疎水性金属酸化物粒子。
【請求項4】
金属酸化物粒子がゾルである請求項1〜3のいずれかに記載の疎水性金属酸化物粒子。
【請求項5】
金属酸化物粒子がオルガノシリカゾルである請求項4に記載の疎水性金属酸化物粒子。
【請求項6】
有機物質の吸着剤用である請求項1〜5のいずれかに記載の疎水性金属酸化物粒子。

【公開番号】特開2013−103856(P2013−103856A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248213(P2011−248213)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(591167430)株式会社KRI (211)
【Fターム(参考)】