説明

疼痛の治療又は予防方法

急性及び慢性疼痛(例えば、侵害性疼痛、神経因性疼痛、頭痛、片頭痛)を含めた疼痛の治療又は予防用の化合物であって、下記一般式(I):
【化1】


(I)
(式中、点線は、単結合又は二重結合を表し;R5及びR5'は、独立に-H、-OH又は-OR6であり、このときR6は、直鎖若しくは分岐鎖C1-C4アルキルであり;Xは、-CH2O-であり;Zは、-CH2CH2O-、-CH(CH3)CH2O-又は-CH2CH(CH3)Oであり;mは、1の整数であり;nは、1〜5の整数である)で表される化合物。本発明の化合物は、炎症を軽減するためにも有効であり、かつ単独で使用するか又は他の鎮痛薬と併用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疼痛の治療又は予防に関し、疼痛の治療又は予防方法並びにヒト及び非ヒト動物における疼痛の治療又は予防用薬物の製造での特定化合物の使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
疼痛は、種々の刺激条件に対する多面的又は多次元的な経験反応である。疼痛は、国際疼痛研究学会(IASP)によって、「実際の組織損傷若しくは潜在的な組織損傷に付随するか、又は該損傷の項目に記載されている不快感覚及び情動経験」と定義されている。
動物の疼痛は、侵害受容、すなわち、侵害受容器の刺激に起因する神経系の活性の結果であることが多い。神経因性疼痛は、痛覚の原因となる神経への損傷を伴う点で侵害受容性疼痛と異なる。中枢性疼痛では、何らかの形の病変から脳内で疼痛が生じる。疼痛が心因性、すなわち精神疾患によって引き起こされることもある。
疼痛は急性又は慢性でありうる。急性疼痛は通常、数ある原因の中で特に軟組織損傷、感染及び/又は炎症によって引き起こされる。急性疼痛は、体の傷害又は機能不全後に警告する働きをする。慢性疼痛は、明白な原因がないか又は進行性の病気又は不均衡によって引き起こされうる。慢性疼痛は、疼痛の疾患として定義され;その起源、持続時間、強度及び特有の症状は変化しうる。
【0003】
生理学的疼痛の経験をその原因及び関連侵害受容器に従って分類することができる。皮膚痛は皮膚又は表面組織への傷害によって引き起こされる。皮膚の侵害受容器は皮膚の真下で終結し、高濃度の神経終末のため、短い持続期間の明確な限局性疼痛を引き起こす。皮膚痛を生じさせる傷害の例として、紙で切った傷、軽度の切り傷、軽度(第1度)熱傷及び裂傷が挙げられる。体性疼痛は、靱帯、腱、骨、血管及び神経から生じる。体性疼痛は体性侵害受容器によって検出される。これらの領域内での痛覚受容器の欠乏が、皮膚痛より長い持続期間の鈍く、あまり限局性でない疼痛を生じさせる。例としては捻挫及び骨折が挙げられる。筋筋膜痛は通常、筋肉、腱及び筋膜内の発痛点によって引き起こされ、局所痛又は関連痛でありうる。内臓痛は体の内臓又は器官から生じる。内臓侵害受容器は体器官及び内腔内にある。これらの領域内の侵害受容器のさらに多くの欠乏が、通常は体性疼痛より痛く、かつ持続時間が長い疼痛を生じさせる。内臓痛は局在するのが極端に難しく、内臓組織へのいくつかの傷害は、感覚が傷害部位と完全に無関係の領域にある「関連」痛を示す。関連痛の一種である幻肢痛は、失っているか又は人がもはや物理的信号を受け取らない肢からの痛覚である。神経因性疼痛は、神経組織自体の傷害又は疾患の結果として起こりうる。これは、感覚神経が正確な情報を視床に伝達する能力を破壊しうるので、その痛みの明白な未知の心理学的原因がないにもかかわらず、脳は有痛性刺激を解釈する。
【0004】
急性疼痛は、一般的にその原因を取り除くための医薬又は適切な手法及び痛覚を制御するための医薬又は適切な手法、一般的には鎮痛薬を用いて同時に治療される。
鎮痛薬は以下の3つのカテゴリーに分類される:オピオイド(麻薬性)鎮痛薬、非オピオイド鎮痛薬及びアジュバント鎮痛薬。オピオイド鎮痛薬は、化学的にモルヒネに関連する強力な鎮痛薬である。しかし、オピオイド鎮痛薬は、一定の障害、すなわち腎不全、肝臓障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、認知症又は別の脳障害のある人で生じる可能性が高い多くの副作用がある。オピオイドを開始すると、眠気、便秘、吐き気、嘔吐及びそう痒がよく見られる。モルヒネとは別に、これを書いている時点で既知のオピオイド鎮痛薬として、コデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン及びプロポキシフェンが挙げられる。
これを書いている時点で種々の非オピオイド鎮痛薬も入手可能である、それらは、軽度〜中程度の疼痛に有効であることが多い。ほとんどの非オピオイド鎮痛薬は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)として分類される。NSAIDでない鎮痛薬の例は、一般的にパラセタモールとして知られるアセトアミノフェンである。アセトアミノフェンは実質的に抗炎症特性を持たない。
NSAIDを用いて軽度〜中程度の疼痛を治療する。またオピオイドと併用して中程度〜重度の疼痛を治療することができる。NSAIDは、疼痛を軽減するのみならず、付随して疼痛を悪化させることが多い炎症をも低減する。NSAIDは広く使用されているが、副作用をもたらすこともあり、消化管の問題、出血問題、体液を保持することに関連する問題並びに心臓障害及び血管障害の高いリスクといった、時には重篤な副作用もある。現在のNSAIDとしては、アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、cox-2インヒビター、例えばセレコキシブ、コリンマグネシウムトリサリチラート、ジフルニサール、サルサラート、ジクロフェナク、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、メクロフェナマート、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク及びトルメチンが挙げられる。
アジュバント鎮痛薬としては、抗うつ薬、例えば、イミプラミン、アミトリプチリン、ブプロピオン、デシプラミン、フルオキセチン及びベンラファキシン;抗けいれん薬(例えばカルバマゼピン、ガバペンチン及びプレガバリン)並びに経口及び局所麻酔薬が挙げられる。
【0005】
慢性疼痛の治療では、多くの場合、世界保健機関が開発した「3段階除痛ラダー(Three-Step Analgesic Ladder)」を利用する。軽度の疼痛では、アセトアミノフェン、アスピリン又は他のNSAIDを利用しうる。軽度〜中程度の疼痛では、コデイン及びジヒドロコデイン等の弱オピオイドをアセトアミノフェン、アスピリン又は他のNSAIDと併用する。中程度〜重度の疼痛の場合、強オピオイド、例えばモルヒネ、ジアモルヒネ、又はフェンタニル、ヒドロモルホン、メタドン、オキシコドン又はフェナゾシン等をアセトアミノフェン、アスピリン又は他のNSAIDと共に投与してよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、疼痛の治療又は予防用の代替化合物を提供することである。特に、疼痛の治療又は予防のため及び炎症を軽減するための代替NSAIDを提供することが本発明の目的である。望ましくは、本発明の化合物は、中枢神経系に対する悪い活性を持つべきでなく又は実質的に持つべきでない。
本発明の別の目的は、疼痛の治療又は予防のための代替方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明の第1態様により、下記一般式Iで表すことができる、疼痛の治療又は予防用の化合物を提供する。
【0008】
【化1】

(I)
【0009】
式中、
点線は、単結合又は二重結合を表し、
R5及びR5'は、独立に-H、-OH又は-OR6であり、このときR6は、直鎖若しくは分岐鎖C1-C4アルキルであり、
Xは、-CH2O-であり、
Zは、-CH2CH2O-、-CH(CH3)CH2O-又は-CH2CH(CH3)Oであり、
mは、1の整数であり、
nは、1〜5の整数であり、好ましくは、1又は2である。
適宜、前記化合物は、上式Iで表される化合物のS-エナンチオマーであってよい。本発明は、式Iの化合物のそれぞれ医薬的に許容しうる塩、プロドラッグ、代謝物、及び水和物の使用をも包含する。
急性若しくは慢性疼痛の治療又は予防のために本発明の化合物を使用できる。例えば、侵害受容性疼痛、例えば、皮膚痛、体性疼痛、筋筋膜疼痛、内臓痛、幻肢痛又は神経因性疼痛などの治療のために本化合物を使用しうる。頭痛又は片頭痛の治療のために本発明の化合物を使用してもよい。本発明の化合物を単独で使用するか、又はアセトアミノフェン若しくは軽度の慢性疼痛の治療用の別のNSAIDと併用するか、又は中程度若しくは重度の疼痛の治療用の弱NSAID若しくは強NSAIDと併用してよい。
本発明の化合物を神経因性疼痛の治療又は予防で使用してもよく、例えば、ガバペンチン又はプレガバリンのような1種以上の抗うつ薬又は抗てんかん薬と併用しうる。
【0010】
従って、本発明の別の態様により、ヒト又は非ヒト動物患者の疼痛を治療又は予防する方法であって、疼痛の治療又は予防が必要な前記患者に、治療的に有効な量の本発明の1種以上の化合物を投与する工程を含む方法を提供する。
ヒト患者では、さらに詳細に後述するように、純粋、実質的に純粋又は部分的に純粋な形態で1日用量1.0mg〜15gの前記1種以上の化合物を適宜投与することができる。開業医の監督の下で有効な疼痛管理を達成するのに十分な量で本化合物を投与しうる。一部の実施形態では、前記1種以上の化合物の1日用量を漸増して該有効量を決定することができる。
前記1日用量は、約5.0mg〜1g、典型的に約5mg〜500mgを含みうる。一部の実施形態では、前記用量は、1日当たり10mg〜100mgの前記1種以上の化合物を含みうる。1日1〜4回の投与計画で本化合物を投与することができる。
前記1種以上の化合物を非経口、経皮、筋肉内、静脈内、皮内、鼻腔内、皮下、腹腔内、脳室内又は直腸投与しうる。好ましくは、前記1種以上の化合物を経口投与する。
任意に、本発明の1種以上の化合物を少なくとも1種のオピオイド鎮痛薬、抗うつ薬又は抗てんかん薬と同時、逐次又は個別投与してよい。或いは、本発明の1種以上の化合物を1種以上の他のNSAID又はアセトアミノフェンと同時、逐次又は個別投与してよい。
【0011】
本発明のさらに別の態様では、疼痛の治療又は予防用の薬物の製造における本発明の1種以上の化合物の使用を提供する。1種以上のアセトアミノフェン、別のNSAID、オピオイド、抗てんかん薬又は抗うつ薬との共投与用に前記薬物を製造することができる。
有利なことに、本発明の化合物は炎症を軽減又は予防するために有効であることが分かった。本発明の化合物は、中枢神経系に有害な作用を及ぼさないか又は実質的に及ぼさない(すなわち、許容限界内)ことも分かった。
上述したように、nは1〜5であり、好ましくは、1又は2であってよい。
本発明の一部の実施形態では、本発明の化合物を下記一般式IIで表すことができる。
【0012】
【化2】

(II)
【0013】
式中、n、Z、R5及びR5'は前記定義どおりである。Zは-CH2CH(CH3)O-であってよい。Zは-CH(CH3)CH2O-であってよい。
従って、本発明の一部の実施形態では、本発明の化合物を下記一般式IIIで表すことができる。
【0014】
【化3】


(III)
【0015】
式中、n、R5及びR5'は前記定義どおりである。
R5はHであってよい。或いは、R5がOHであってよい。
R5'はHであってよい。或いは、R5'がOHであってよい。
適宜、nは1〜5、好ましくは1〜3、より好ましくは、1〜2の整数であってよい。例えば、nが、1、2、3、4又は5であってよい。有利には、nが1〜2、例えば、1であってよい。
或いは、本発明の化合物が下記一般式IV、V、VI及びVIIによって表される化合物のS-エナンチオマーであってよい。
【0016】
【化4】

【0017】
式中、Rは、n個の単位を有するポリアルキレングリコールポリマーであり、このときnは前記定義どおりであり、特にn=l〜5である。
適宜、前記ポリアルキレングリコールポリマーがポリイソプロピレングリコールであってよい。
本発明の好ましい特徴においては、本発明の化合物は、式VIIの化合物であり、更に好ましいのは、以下の式で示される化合物の一つである。
【0018】
【化5】

【0019】
【化6】

上記構造のキラル、ジアステレオマー、ラセミ、幾何異性体の形態の全てが、特定の立体化学又は異性体形態が具体的に示されていない場合以外は、企図される。例えば、化合物2については、以下の異性体形態が企図される。
【0020】
【化7】

【0021】
【化8】

【0022】
化合物1のいくつかの異性体形態が以下に示される。
【0023】
【化9】











【0024】
化合物1の異性体形態は、以下に示されるような幾何異性体を含み、全てのR及びS変態も含まれる。
【0025】
【化10】

例えば、化合物3(NRD175)のいくつかの異性体形態が以下に示される。
【0026】
【化11】

【0027】
本発明の化合物を得て精製するための適切な合成方法を以下に詳細に開示する。しかし、当業者には、いずれの他の実行可能な合成方法を用いても本化合物を調製できることが明白なはずである。
本発明の化合物をポリアルキレングリコール(PAG)結合体(conjugate)として合成することができる。該結合に使用しうるポリマーとして、ポリ(エチレングリコール)(PEG)(又はポリ(エチレンオキシド)(PEO)としても知られる)及びポリプロピレングリコール(ポリイソプロピレングリコールを包含する)が挙げられる。
ポリアルキレングリコール(PAG)、例えばPEGは、各末端がヒドロキシル基で終結している直鎖ポリマーである:
HO-CH2CH2O-(CH2CH2O)P-CH2CH2-OH。
上記ポリマー、α,ω-ジヒドロキシルポリ(エチレングリコール)をHO-PEG-OHと表すこともでき、この場合、当然のことながら、記号-PEG-は、下記構造単位を表す。
-CH2CH2O-(CH2CH2O)P-CH2CH2-
式中、pは、O〜約48の範囲であってよい。PEGは、メトキシ-PEG-OH、又はmPEGとして使用しうる。この場合、一方の末端は相対的に不活性なメトキシ基であるが、他方の末端は、即座の化学修飾を受けやすいヒドロキシル基である。さらに、その化学においてPEGと密接に関連している異なるアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド)のランダム又はブロックコポリマーをPEGの代わりに使用してよい。
PAGポリマーは直鎖若しくは分岐鎖であってよい。
当然のことながら、本発明の化合物は、変動数のモノマー単位を有するポリマーの混合物を包含しうるPAG部分を含む。PAG結合化合物の合成は、該結合体中にポリマー毎にポアソン分布のモノマー単位数を有する分子集団を生成しうる。従って、n=2のモノマー単位のポリマーを有するとして記述される本発明の化合物は、n=2のモノマー単位を有するとして記述されているという点で実際のポリマーのみならず、2又は2に近い分布のピークを有する分子集団を指す。例えば、核磁気共鳴(NMR)又は質量分析(MS)によって所定集団中のモノマー単位の分布を決定することができる。
【0028】
本発明のさらに別の態様では、疼痛の治療又は予防用の医薬組成物であって、医薬的に有効な量の本発明の1種以上の化合物を含む組成物を提供する。前記組成物は、1種以上の医薬的に許容しうる賦形剤をさらに含んでよい。一部の実施形態では、前記組成物は、アセトアミノフェン、1種以上の他のNSAID、1種以上の弱オピオイド若しくは強オピオイド、抗うつ薬又は抗てんかん薬を含んでもよい。
本発明の医薬組成物は、本発明の1種以上の化合物を純粋、実質的に純粋又は部分的に純粋な形態で含みうる。一部の実施形態では、前記実質的に純粋な形態は少なくとも95質量%の前記1種以上の化合物、例えば、96質量%、97質量%、98質量%又は99質量%より多くの前記化合物を含みうる。
前記化合物の前記実質的又は部分的に純粋な形態は、ある割合の、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)又はプロピレングリコール(PPG)のようなフリーのポリアルキレングリコールをさらに含みうる。このようなポリアルキレングリコールは、それ自体生物学的に活性でありうる。フリーのポリアルキレングリコールの鎖長は、1〜50、好ましくは1〜25、更に好ましくは、1〜5、又は1又は2の範囲であってよい。ある実施形態では、前記ポリアルキレングリコールは1、2、3、4又は5個のモノマー単位の鎖長を有しうる。前記フリーのポリアルキレングリコールは、異なる鎖長の混合物を含みうる。従って、実質的に純粋な形態の前記1種以上の化合物では、前記形態は、5質量%.まで、例えば4質量%、3質量%、2質量%まで又は1質量%未満のフリーのポリアルキレングリコールを含みうる。前記形態の前記1種以上の化合物と前記フリーのポリアルキレングリコールとの総量が100質量%である。
前記1種以上の化合物の前記部分的に純粋な形態は、約5〜60質量%の本発明の1種以上の化合物と、約95〜40質量%.のフリーのポリアルキレングリコールとを含み、その総量が100質量%である。典型的に、前記部分的に純粋な形態は、約45〜55質量%の前記1種以上の化合物と、約55〜45質量%の前記1種以上のポリアルキレングリコールとを含みうる。或いは、前記形態が約80〜95質量%の前記1種以上の化合物と、約20〜5質量%の前記ポリアルキレングリコールを含んでよい。
【0029】
適切に、本発明の組成物を単位剤形として処方することができる。各単位剤形は、本発明の1種以上の化合物の1日用量の全て又は所定画分、例えば、1日用量の半分若しくは4分の1を含みうる。
そして、本組成物を錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、無菌非経口溶液若しくは懸濁液、定量エアロゾル若しくは液体スプレー、点滴剤、アンプル剤、自動注入装置、座剤、クリーム剤又はゲル剤として処方することができる。前記組成物を経口、経腸非経口、くも膜下腔内、鼻腔内、舌下、直腸若しくは局所投与、又は吸入若しくは吹送法による投与用に適合させることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤又はウェーハ等の経口組成物が特に好ましい。
錠剤のような固体剤形を調製するため、前記1種以上の化合物を1種以上の医薬賦形剤、例えば、通常の錠剤化成分、例えばトウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム若しくはガム、又は他の医薬希釈剤、例えば、水と混合して、前記1種以上の化合物の実質的に均一な混合物を含む固体の前製剤(pre-formulation)組成物を、該組成物全体に均等に前記1種以上の化合物が分散されるように形成することができ、ひいては錠剤、丸剤及びカプセル剤などの同等に有効な単位剤形に前記組成物を容易に再分割することができる。
次に、前記固体の前製剤組成物をそれぞれ0.1〜約500mgの前記1種以上の化合物を含有しうる前記種類の単位剤形に再分割する。好ましい単位剤形は、1〜500mg、例えば、1、5、10、25、50、100、300又は500mgの化合物を含む。
錠剤又は丸剤として処方する場合、前記錠剤又は丸剤をコーティング又は他の方法でコンパウンドして、長期作用の利点が得られる剤形を提供することができる。例えば、前記錠剤又は丸剤は、内側用量成分と外側用量成分を含み、後者が前者を覆うエンベロープの形態であってよい。これら二成分を、胃内での崩壊に耐えて内側成分を完全なまま十二指腸まで通過さるか又は放出を遅延させる働きをする腸溶層によって隔てることができる。
このような腸溶層又はコーティング用の種々の材料が知られており、該材料として、いくつかのポリマー酸又はポリマー酸とシェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような材料との混合物が挙げられる。
【0030】
これとは別に、経口又は注射による投与用の液体剤形;例えば、水溶液、適宜風味付けされたシロップ、水性若しくは油性懸濁液又は食用油、例えば、綿実油、ゴマ油、ココナツ油若しくはピーナッツ油、及びエリキシル剤若しくは同様の医薬ビヒクルで風味付けされたエマルションとして本発明の医薬組成物を処方することができる。水性懸濁液に適した分散剤又は懸濁剤としては合成及び天然ガム、例えば、トラガカント、アカシア、アルギナート、デキストラン、ナトリウムカルボキメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はゼラチンが挙げられる。
以下、本発明の実施形態の添付図面を参照して、単に例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1a】本発明の化合物2又は3の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(反応時間対処理後の時間)を示すグラフである。
【図1b】本発明の化合物2又は3の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(全時間対配合物)を示すグラフである。
【図1c】本発明の化合物2又は3の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(器官の質量対配合物)を示すグラフである。
【図1d】本発明の化合物2又は3の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(反応時間対配合物)を示すグラフである。
【図2a】本発明の化合物2の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(反応時間対処理後の時間)を示すグラフである。
【図2b】本発明の化合物2の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(全時間対配合物)を示すグラフである。
【図3a−3b】本発明の化合物2の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(反応時間対処理後の時間)を示すグラフである。
【図3c】本発明の化合物2の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(全時間対配合物)を示すグラフである。
【図4a】本発明の化合物2の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(反応時間対処理後の時間)を示すグラフである。
【図4b】本発明の化合物2の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(全時間対配合物)を示すグラフである。
【図5a】本発明の化合物2又は3の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(反応時間対処理後の時間)を示すグラフである。
【図5b】本発明の化合物2又は3の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(全時間対配合物)を示すグラフである。
【図6a−6c】本発明の化合物2又は3の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(反応時間対処理後の時間)を示すグラフである。
【図6d−6e】本発明の化合物2の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(全時間対配合物)を示すグラフである。
【図7a−b】本発明の化合物1の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(反応時間対処理後の時間)を示すグラフである。
【図7c−d】本発明の化合物1の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(全時間対配合物)を示すグラフである。
【図8a】本発明の化合物3の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(反応時間対処理後の時間)を示すグラフである。
【図8b】本発明の化合物3の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(全時間対配合物)を示すグラフである。
【図9a−b】本発明の化合物1又は2の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(反応時間対処理後の時間)を示すグラフである。
【図9c−e】本発明の化合物1又は2の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(全時間対配合物)を示すグラフである。
【図10a−b】本発明の化合物1又は2の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(反応時間対処理後の時間)を示すグラフである。
【図10c】本発明の化合物1又は2の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(反応時間対処理後の時間)を示すグラフである。図10cは、本発明の化合物1又は2の投与後における、Balb/cマウスを用いたホットプレートテストの結果(全時間対配合物)を示すグラフである。
【図11】本発明の化合物2又は3の投与後における、SDラットを用いた浮腫テストの結果(増大体積対配合物)を示すグラフである。
【図12a−12e】本発明の化合物1又は2の投与後における、Balb/cマウスを用いたホルマリンテストの結果(反応対製剤)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(ポリアルキレングリコール化合物の合成)
一般的に、適切なアルコール化合物の調製後アルコールを所望長さのポリアルキレングリコール(PAG)ポリマー(例えば、所望の長さのポリエチレングリコール(PEG)又はポリプロピレングリコール(PPG)と結合させてポリアルキレングリコール化合物を合成した。
【0033】
合成1:化合物1(フェニルアラニノール)
50mlの乾燥エーテル中10mMのフェニルアラニンエチルエステルHCl 2.3gに32mMのLiAlH4を1.2g加えた。室温で2時間撹拌後、水とKOHを加えて反応生成物を酢酸エチルで抽出した。エバポレーション後、0.8gの化合物1、明黄色油を得た。
【0034】
【化12】


C9H13NO
分子量:151,21
【0035】
静置すると化合物1が結晶化した。Mp-70。
NMR CDCl3 7.30(5H,m), 3.64(1H,dd,J=10.5,3.8 Hz) 3.40(1H,dd,J=10.5,7.2 Hz) 3.12(1H,m), 2.81(1H,dd,J=13.2, 5.2 Hz), 2.52(1H, dd, J=13.2, 8.6 Hz)
NMR アセトンd6 7.30(5H, m), 3.76(1H, dt) 3.60(1H, m) 3.30 (1H, t),2.85(2H, m)。
Helv. Chim. Acta, 31, 1617(1948). Biels.E3,Vol. 13,p 1757。
【0036】
合成2:化合物2(チロシノール)
【0037】
【化13】

【0038】
50mlの乾燥エーテル中12mMのL-チロシンエチルエステルHCl 3gに32mMのLiAlH4を1.2g加えた。室温で3時間撹拌後、水とKOHを加えて反応を酢酸エチルで抽出した。エバポレーションにより1.1gの明黄色油、54%収率を得、静置すると結晶化した。mp-85。
NMR CDCl3 7.20(4H,AB q, J=8.6 Hz), 3.50(2H,m) 3.20(1H,m), 2.81(2H,m)。
NMR チロシンエチルエステル遊離塩基CDCl3 7.0,6.56(4H, AB q, J=8.8 Hz), 4.20(2H, q, J=7, 0 Hz), 3.70, 3.0, 2.80(3H, 12ラインABXm), 1.28. (3H, t, J=7.0 Hz)。JACS 71, 305(1949). Biels. E3, Vol. 13, p 2263。
【0039】
合成3:化合物3
【0040】
30mlのシクロヘキサン中で0.66gの4-ヒドロキシヒドロケイ皮酸と4mlの塩化チオニルを2時間還流させた。エバポレーション後、白色固体を得、これに30mlのジクロロメタン中の化合物1の油(4.3mM)を0.65g及び0.4mlのトリエチルアミンを加えた。室温で2時間撹拌後、水とKOHを加えてpHを中和した。反応生成物をジクロロメタンで抽出した。エバポレーションにより0.8gの化合物3、明黄色粘性油を得た。この生成物の部分を摩砕し、エタノールを用いて再結晶させて白色固体を得た。Mp-149。
NMR CDCl3 7.30-6.9(9H, m), 3.50(2H, m) 3.30(2H, t, J=7.2 Hz) 2.90 (3H, m), 2.60(2H, t, J=7.2 Hz)。
【0041】
【化14】

4
C18H21NO3
分子量:299.36
【0042】
合成4:化合物4
【0043】
【化15】

【0044】
30mlのシクロヘキサン中で5mMのヒドロケイ皮酸0.75g及び4mlの塩化チオニルを2時間還流させた。エバポレーションにより白色固体を得、これに30mlのジクロロメタン中5.5mMのフェニルアラニノールを0.83g及び0.5mlのトリエチルアミンを加えた。室温で3時間撹拌後、水とKOHを加えて中性pHにして反応をジクロロメタンで抽出した。エバポレーションにより0.57gの黄色粘性油、40%収率を得た。
NMR CDCl3 7.40-7.10(10H, m), 3.60(2H, m) 3.35(2H, t, J=7.2 Hz) 2.95 (3H, m), 2.50(2H, t, J=7.2 Hz)。
【0045】
合成5:化合物5
【0046】
【化16】

【0047】
30mlのシクロヘキサン中で4mMの4-ヒドロキシヒドロケイ皮酸0.66g及び4mlの塩化チオニルを3時間還流させた。エバポレーションにより明黄色固体を得、これに30mlのジクロロメタン中4.3mMのチロシノール0.72g及び0.5mlのトリエチルアミンを加えた。室温で3時間撹拌後、水とKOHを加えて中性pHにして反応をジクロロメタンで抽出した。エバポレーションにより0.53gの明黄色粘性油、42%収率を得た。
NMR CDCl3 7.30, 7.20 (8H, 2 ABq, J=8.6 Hz), 3.40(2H, m) 3.30(2H, t, J=7.2 Hz) 2.90 (3H, m), 2.60(2H, t, J=7.2 Hz)。
【0048】
合成6:化合物6
【0049】
【化17】

【0050】
30mlのシクロヘキサン中で3mMのヒドロケイ皮酸0.45g及び3mlの塩化チオニルを2時間還流させた。エバポレーションにより明黄色固体を得、これに30mlのジクロロメタン中3.5mMのチロシノール0.58g及び0.4mlのトリエチルアミンを加えた。室温で2.5時間撹拌後、水とKOHを加えて中性pHとして反応をジクロロメタンで抽出した。エバポレーションにより0.57gの明黄色粘性油、63%収率を得た。
NMR CDCl3 7.40-7.10 (9H, m), 3.60(2H, m) 3.35 (2H, t, J=7.2 Hz) 2.95 (3H, m), 2.50 (2H, t, J=7.2 Hz)。
【0051】
フェニルアラニノールから合成された化合物
これらの化合物には、下記式VIIIの構造で表される当該化合物が含まれる。
【0052】
【化18】

(VIII)
【0053】
この化合物を下記式A(式中、Rはポリプロピレングリコールポリマーであり、nは該ポリマー中のポリプロピレンモノマーの総数である)として表すこともできる。
【0054】
【化19】

式A
【0055】
合成7:化合物7:
R=PPG(ポリプロピレングリコール);n=6
0.3gの化合物3(1mM)、3mMのトリフェニルホスフィン0.8g及び3.2mMのエチルジアゾカルボキシラート0.55gを60mlのジクロロメタン中1gのポリ(プロピレングリコール)(平均分子量424、n=7)に加えた。室温で4時間撹拌後、エバポレーション及びクロマトグラフィーにより0.55gの粘性油、73%収率を得た。
NMR CDCl3 7.30-6.9(9H, m), 4.1-3.0(m) ,2.60(2H, t, J=7.2 Hz), 1.2-1.1(m)。
0.33mmolのこの生成物0.1g、炭酸カリウム(0.069g、0.5mmol、薄く粉砕)及びTHF(3mL、KOHペレット上で乾燥)を、マグネチックスターラーとCaCl2乾燥管を備えた丸底フラスコに入れた。混合物を氷塩浴(-10℃)上で冷却し、2mLのTHF(乾燥)中のジ-tert-ブチルジカルボナート(0.066g、0.30mmole)の予冷溶液を一滴ずつ導入した。混合物を氷温度で1時間撹拌してから室温で2日間撹拌した。次に反応混合物をエバポレートし、水(5mL)を導入し、生成物を10mLずつの酢酸エチルで2回抽出した。混ぜ合わせた抽出液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ペーパーろ過し、溶媒を除去した。油性残留物を少量のn-ヘキサンと摩砕し、生じた固体を真空ろ過で回収した。或いは、油性残留物を酢酸エチルとヘキサンの1:1混合物に溶かして生成物を再結晶させることができる。
【0056】
合成8:化合物8
R=PPG;n=1
PPGn=1の代わりに、PPGn=2を置換して、化合物7について上記合成7で述べたとおりに、化合物8を調製した。
【0057】
(化合物4から合成した化合物)
【0058】
【化20】

式B
【0059】
合成9:化合物9
R=PPG;n=2
合成7で上述したように、0.22gの化合物4から化合物7を調製した。
【0060】
合成10:化合物10
R=PPG;n=1
合成7で上述したように、0.2gの化合物4から化合物10を調製した。
【0061】
(化合物5(チロシノール)から合成した化合物)
【0062】
【化21】

式D
【0063】
合成11:化合物11
R=PPG;n=2
合成7で上述したように、化合物5から化合物11を調製した。
【0064】
合成12:化合物12
R=PPG;n=1
合成8で上述したように、化合物5から化合物12を調製した。
【0065】
(化合物6から合成した化合物)
【0066】
【化22】

式E
【0067】
合成13:化合物13
R=PPG;n=2
【0068】
(PPGのメシル化)
106mgのPPG425(0.25mmol)を90モル%のメシルクロリド(26mg、2滴)及び0.4mmolのピリジン(31.6mg、2滴)と反応させてモノメシル化PPG(A)を得た。PPG、メシルクロリド及びピリジンを混ぜ合わせた後、撹拌しなが0℃で30分かけてメシル化反応を行なってから室温でさらに60分間反応を続けた。混合中、反応混合物は無色から乳白色に変わった。次に混合物を5mLの塩化メチルに溶かして有機相を1M HCl溶液で2回、次いで1M NaOHで2回及び水で1回洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を除去した。
【0069】
(ナトリウム活性化)
O.lgの上記生成物(0.25mmol)を5mLの無水エタノールに溶かしてから、無水エタノール中の等モル量のナトリウムエトキシド(0.25mg原子のナトリウムを過剰の無水エタノールと反応させて予め調製した)と反応させた。混ぜ合わせた溶液のエタノールを蒸発乾固させてナトリウム塩(B)を得た。
(AとBの反応)
Aを5mLの水酸化カリウム-乾燥アセトニトリルに溶かし、マグネチックスターラーを含む丸底フラスコに溶液を導入した。Bの乾燥アセトニトリル溶液5mLをフラスコに導入した後、触媒量(ほとんど結晶なし)のヨウ化カリウムを導入した。還流冷却管及びその上端に適合したガスバブラーを反応容器に接続し、窒素雰囲気下で撹拌しながら24時間反応混合物を還流させた。次に反応混合物をペーパーろ過し、溶媒を除去した。残留物を2mLの酢酸エチルに溶かしてから、溶出用に酢酸エチルを用いてシリカゲルカラムに通した。Rf=0.55におけるTLC(酢酸エチルで溶出)UV吸収スポットにより所望生成物3(異なるPPGサブユニット長を含む分子の混合物)を含むが、いくらかの未反応PPGをも含むことが分かった。他のフラクションは、未反応メシル化PPG及び二重メシル化PPGを含有した。
【0070】
合成14:化合物14
R=PPG;n=1
化合物6の合成13で上述したように、PPG、n=1をPPG、n=2と置き換えて、同一手順を用いて化合物14を調製した。
実施例
以下の実験を、以下の化合物を使用して行なって、疼痛の治療における本発明の化合物の有用性を実証した。






実施例1
化合物2及び3の抗侵害性(antinociceptive)効果
この研究の目的は、亜慢性的(sub-chronically)に投与した場合における、マウスのホットプレートテストにおける試験項目の抗侵害性を評価するものである。加熱面(ホットプレート)に置かれた後足(paw)をなめる又は飛び上がる反応時間の経過を測定して、マウスにおける潜在的な抗侵害性を測定した。
全部で42匹のBalb/cマウス(12週令)を使用した。マウスは、試験の開始において、約25gの雄であった。群の最少及び最大重量は、群の平均重量の±10%の範囲内であった。
化合物2及び3を試験し、ジクロフェナク(登録商標)(Perigo)と比較した。DMSO溶液を使用した。6群のマウス(それぞれn=7又はn=8のマウス)を試験し、最後の群は、ジクロフェナク(登録商標)を投与した。



以下の表に従う製剤を調製し、マウスの群に投与した。


【0071】
全ての群は、16日間、毎日経口(po)投与を受けた。ホットプレートテストは、1、8及び15日に行った。
【0072】
以下のパラメーターを評価した。体重(1、8及び15日目);移動距離、速度、不動、立ち上がり、中心時間(time in center)及び他のパラメーターを含む、16日目における解放場(open field)。最後の試験(即ち、16日目の解放場)後、動物の頭を切断して犠牲にし、最後の薬剤投与後24時間に血液を収集した。以下の器官を切開した。毒性試験のため(ホルムアルデヒド4%)、肝臓(胆嚢)、脾臓、肺、脳、心臓及び腎臓。
【0073】
ホットプレートは、52℃に温度自動調節で維持した。薬物の投与前1時間に、マウスをホットプレートで試験した。時間0において、マウスは、試験化合物を投与され、ホットプレートに対する反応は、異なる時間:60、120、180、240、300及び360分で再度測定する。
結果は、以下のものとして表現する。最大応答からのデルタ「ベースライン対最大応答」;経時的な絶対測定;及び積算時間。
図1a及び1bは、1、8及び15日目における、化合物2及び3と、ジクロフェナク(登録商標)との比較を図表的に示す。
図1cは、試験管理後の内部器官の重量データを示す。
追加データによれば、組成物2〜5が、コントロールに比較して反応時間を有意に増大することが分かる。このようなデータは、図1dに示されている。
これらのデータは、化合物2及び3が疼痛緩和剤として有用であることを示す。
【0074】
実施例2
化合物2を使用する侵害性活性
実施例1に記載の手順に従い、40匹の雄マウス(Balb/c、9週令、ナイーブ)を5群に分け(各群8匹)、以下の表に示される配合物(preparation)で、毎日(0分、経口)処置した。


【0075】
動物は、ホットプレート上で、−60、0、60、120、240、360、420及び480分において試験した。ホットプレートの平均温度は、52℃±1であった。
図2a及び2bは、これらのデータを示す。
【0076】
実施例3
化合物2を使用する侵害性活性
実施例1に記載の手順に従い、40匹の雄マウス(Balb/c、9週令、ナイーブ)を5群に分け(各群8匹)、以下の表に示される配合物で、毎日(0分、経口)処置した。


【0077】
動物は、ホットプレート上で、−60、0、60、120、180、240、300、及び360分において試験した。ホットプレートの平均温度は、52℃±1であった。
図3a、3b及び3cは、これらのデータを示す。
【0078】
実施例4
化合物2を使用する侵害性活性
実施例1に記載の手順に従い、40匹の雄マウス(Balb/c、13週令、非ナイーブ)を5群に分け(各群8匹)、以下の表に示される配合物で、毎日(0分、経口)処置した。
【0079】




動物は、ホットプレート上で、−60、0、60、120、180、240、300、及び360分において試験した。ホットプレートの平均温度は、52℃±1であった。
図4a及び4bは、これらのデータを示す。
【0080】
実施例5
化合物2及び3を使用する侵害性活性
実施例1に記載の手順に従い、40匹の雄マウス(Balb/c、15週令、非ナイーブ)を5群に分け(各群8匹)、以下の表に示される配合物で、毎日(0分、経口)処置した。
【0081】


動物は、ホットプレート上で、−60、0、60、120、180、240、300、及び360分において試験した。ホットプレートの平均温度は、52℃±1であった。
図5a及び5bは、これらのデータを示す。
【0082】
実施例6
化合物2を使用する侵害性活性
実施例1に記載の手順に従い、40匹の雄マウス(Balb/c、9週令、非ナイーブ)を5群に分け(各群8匹)、以下の表に示される配合物で、毎日(0分、経口)処置した。
【0083】

【0084】
動物は、ホットプレート上で、−60、0、60、120、180、240、300、及び360分及び24時間後において試験した。ホットプレートの平均温度は、52℃±1であった。
図6a〜eは、これらのデータを示す。
【0085】
実施例7
化合物1を使用する侵害性活性
実施例1に記載の手順に従い、40匹の雄マウス(Balb/c、12週令、非ナイーブ)を5群に分け(各群8匹)、以下の表に示される配合物で、毎日(0分、経口)処置した。
【0086】


【0087】
動物は、ホットプレート上で、−60、0、60、120、180、240、300、及び360分及び24時間後において試験した。ホットプレートの平均温度は、52℃±1であった。
図7a〜dは、これらのデータを示す。
【0088】
実施例8
化合物3を使用する侵害性活性
実施例1に記載の手順に従い、37匹の雄マウス(Balb/c、16週令、非ナイーブ)を5群に分け(各群8匹)、以下の表に示される配合物で、毎日(0分、経口)処置した。
【0089】

【0090】
動物は、ホットプレート上で、−60、0、60、120、180、240、300、及び360分後において試験した。ホットプレートの平均温度は、52℃±1であった。
図8a〜bは、これらのデータを示す。
【0091】
実施例9
化合物1及び2を使用する侵害性活性
実施例1に記載の手順に従い、40匹の雄マウス(Balb/c、13週令、非ナイーブ)を5群に分け(各群8匹)、以下の表に示される配合物で、毎日(0分、経口)処置した。
【0092】

【0093】
動物は、ホットプレート上で、−60、0、60、120、180、240、300、及び360分後において試験した。ホットプレートの平均温度は、52℃±1であった。
図9a〜eは、これらのデータを示す。
【0094】
実施例10
化合物1及び2を使用する侵害性活性
実施例1に記載の手順に従い、40匹の雄マウス(Balb/c、13週令、非ナイーブ)を5群に分け(各群8匹)、以下の表に示される配合物で、毎日(0分、経口)処置した。
【0095】

【0096】
動物は、ホットプレート上で、−60、0、60、120、180、240、300、及び360分後において試験した。ホットプレートの平均温度は、52℃±1であった。
図10a〜cは、これらのデータを示す。
【0097】
実施例11
浮腫テスト
雄SDラット(9週令、ナイーブ)を5群に分け(各群6匹)、以下の表に示される配合物で、処置した(−120分、経口(p.o.))。
【0098】

【0099】
図11このテストのデータを示す。
【0100】
実施例12
ホルマリンテスト
この試験は、Hunscaar及びHole (1987), "The formalin test in mice: Dissociation between Inflammatory and non-Inflammatory Pain", Pain 30:103-104に記載の方法に類似する方法である。
5匹の動物を各群において使用し、コンジュゲートの経口投与後2〜3時間後に、1%ホルマリン(0.9%生理食塩水中)の40又は20μl(ラット又はマウスのそれぞれに対して)を後足背面(dorsal surfase hind paw)に皮下注射を行う。注射した足のホルマリン誘導の典型的な尻込み挙動をカウントする。動物は、ガラス室に戻し、動物が注射した足をなめる、又は噛むことに要した全時間を測定した。ホルマリン誘発痛は二相性である。ホルマリン注射後の足をなめる時間は、以下の2つの期間の間に測定した:0−5分(第1の神経原性相)及び20−30分(第2の炎症相)。
【0101】
パートa:雄マウス(Balb/c、27週令、非ナイーブ)を4つの群(各群につき5匹のマウス)に分け、以下の配合物で処理した(0分、i.p.)。
【0102】

【0103】
パートb:雄マウス(Balb/c、27週令、非ナイーブ)を4つの群(各群につき5匹のマウス)に分け、以下の配合物で処理した(0分、i.p.)。
【0104】

【0105】

【0106】

【0107】
これらのテスト結果は、図12a及び12bにそれぞれプロットされている。図12c、12d及び12eから、測定時間に基づく更なるデータが提供される。これらのデータから化合物2の抗炎症性が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疼痛の治療又は予防用の化合物であって、下記式I:
【化1】

(I)
(式中、
点線は、単結合又は二重結合を表し;R5及びR5'は、独立に-H、-OH又は-OR6であり、
このときR6は、直鎖若しくは分岐鎖C1-C4アルキルであり;
Xは、-CH2O-であり;
Zは、-CH2CH2O-、-CH(CH3)CH2O-又は-CH2CH(CH3)Oであり;
mは、1の整数であり;
nは、1〜5の整数である)
で表される化合物又はその医薬的に許容しうる塩、プロドラッグ、代謝物、若しくは水和物。
【請求項2】
急性又は慢性疼痛の治療のための請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
侵害性疼痛又は神経因性疼痛の治療のための請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が下記式II:
【化2】

(II)
(式中、n、Z、R5及びR5'は、請求項1の定義どおりである)
で表される、請求項5に記載の化合物。
【請求項5】
Zが-CH2CH(CH3)O-である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が下記式III:
【化3】

(III)
(式中、n、R5及びR5'は、請求項1の定義どおりである)
で表される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R5がH又はOHである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
R5'がH又はOHである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
nが1〜5、好ましくは1−2の整数である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が下記式IV、V、VI又はVII:
【化4】

(式中、Rは、n個の単位を有するポリアルキレングリコールポリマーであり、nは1〜5、好ましくは1-2の整数である)
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
必要に応じて1種以上の医薬的に許容しうる賦形剤と共に、医薬的に有効な量の請求項1〜10のずれか1項に記載の1種以上の化合物を含む、疼痛の治療又は予防用の医薬組成物。
【請求項12】
前記組成物が、実質的に純粋な形態で前記1種以上の化合物を含み、前記実質的に純粋な形態は、少なくとも95質量%の前記1種以上の化合物と、5質量%までのフリーのポリアルキレングリコールとから成り、前記形態中の前記1種以上の化合物と前記フリーのポリアルキレングリコールとの総量が100質量%である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記組成物が、部分的に純粋な形態で前記1種以上の化合物を含み、前記部分的に純粋な形態は、約5〜60質量%の前記1種以上の化合物と、約95〜40質量%のフリーのポリアルキレングリコールとから成り、その総量が100質量%である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記組成物が単位剤形として処方されている、請求項11〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
経口投与用に処方されている、請求項11〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記組成物が、0.1〜約500mgの前記1種以上の化合物を含む単位剤形として処方されている、請求項11〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記組成物が請求項1〜10のいずれか1項に記載の複数の化合物を含み、前記化合物がそれぞれ異なるm又はnの値を有する、請求項11〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記複数の化合物のnの平均値が、n=1〜2の範囲である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
疼痛の治療又は予防が必要なヒト又は非ヒト動物患者の疼痛を治療又は予防する方法であって、治療的に有効な量の請求項1〜10のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物又は請求項11〜18のいずれか1項に記載の医薬組成物を前記患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項20】
1.0mg〜15gの1日用量の前記1種以上の化合物を投与する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記1種以上の化合物を経口投与する、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
疼痛の治療又は予防用の医薬の製造における請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項23】
炎症の治療又は予防用の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
実質的に上記本明細書の実施例で述べたように疼痛の治療又は予防で用いる化合物。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a−3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a−6c】
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【図6d−6e】
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【図7a−b】
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【図7c−d】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図9e】
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【図10a−b】
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【図10c】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図12d】
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【図12e】
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【公表番号】特表2013−504555(P2013−504555A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528463(P2012−528463)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002247
【国際公開番号】WO2011/030205
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(510040008)ノヴァレメッド リミテッド (1)
【Fターム(参考)】