説明

疾患を診断するための方法および組成物

本発明は、対象の細胞に診断用の遺伝子スイッチ構築物を導入し、かつレポーター遺伝子の発現をモニタリングすることによる、対象における疾患または障害を診断するための方法および組成物に関する。本発明は、疾患もしくは障害の進行をモニタリングするための、または疾患もしくは障害に対する処置の有効性をモニタリングするための方法および組成物にさらに関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、対象の細胞に診断用の遺伝子スイッチ構築物を導入し、かつレポーター遺伝子の発現をモニタリングすることによる、対象における疾患または障害を診断するための方法および組成物に関する。本発明は、疾患もしくは障害の進行をモニタリングするための、または疾患もしくは障害に対する処置の有効性もしくは毒性をモニタリングするための方法および組成物にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
対象における疾患の存在に関する診断テストは、古くから存在するが、研究者は、感受性(早期の検出を可能にする)および特異性(偽陽性および偽陰性を排除する)の向上を示す、改善されたテストを絶えず探求している。診断テストに関するその他の望ましい特徴には、使用の容易さおよび迅速な結果が含まれ、かつ疾患の進行を絶えずモニタリングする能力または継続中の処置の有効性を絶えずモニタリングする能力が含まれる。
【0003】
したがって、これらの望ましい特徴を提供する新たな診断法および診断用組成物が、当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、診断およびモニタリングの方法を提供するための、リガンド依存性遺伝子スイッチシステムの調節制御と連結された、疾患を検出するための疾患特異的プロモーターの使用により提供される、特異性および感受性の組み合わせに基づく。本発明は、対象における疾患または障害の診断のための方法および組成物に関する。本発明は、対象における疾患もしくは障害の進行をモニタリングするための、または対象における疾患もしくは障害に対して施された処置の有効性もしくは毒性をモニタリングするための方法および組成物にさらに関する。
【0005】
本発明の一つの態様は、対象における疾患または障害を診断する方法を含み、該方法は、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(c)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現によって、前記対象が前記疾患または障害を有することが示される。
【0006】
一つの態様において、診断法は、対象から単離された細胞においてエクスビボで実施される。
【0007】
一つの態様において、診断法は、対象から単離された細胞に本発明の組成物を導入して、改変された細胞を作製し、かつ改変された細胞を前記対象に再導入することにより、実施される。
【0008】
一つの態様において、診断法は、インビボで実施される。
【0009】
さらなる態様において、診断法は、非自己細胞、例えば、対象にとって同種異系または異種の細胞を使用して実施され、改変された非自己細胞が対象に導入される。
【0010】
本発明の一つの局面において、遺伝子スイッチは、エクジソン受容体(EcR)に基づく遺伝子スイッチである。
【0011】
一つの態様において、遺伝子スイッチは、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質は、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する。
【0012】
本発明の別の局面において、該第一の転写因子配列は、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードし、該第二の転写因子配列は、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする。
【0013】
本発明のさらなる態様は、対象における疾患または障害の進行をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(c)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記対象における前記疾患または障害の進行が示される。
【0014】
本発明のさらなる態様は、対象における疾患または障害に対する処置の有効性をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記処置の有効性が示される。
【0015】
本発明の別の態様は、対象における疾患または障害に対して施された処置の潜在的な毒性をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、毒性条件に曝されている細胞に見出される因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記処置の毒性が示される。
【0016】
本発明の別の態様は、疾患または障害に対する処置のために対象に投与されている因子のレベルをモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、処置のために投与されている前記因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルによって、処置のために投与されている因子のレベルが示される。
【0017】
さらなる態様において、各方法は、非自己細胞、例えば、対象にとって同種異系または異種の細胞を使用して実施され、改変された非自己細胞が対象に導入される。
【0018】
本発明の一つの態様は、臓器または組織の移植片を受け取った対象における移植片拒絶を検出する方法を含み、該方法は、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記臓器または組織の移植片の細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(c)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現によって、移植片拒絶が検出されたことが示される。
【0019】
本発明のさらなる態様は、臓器または組織の移植片を受け取った対象における移植片拒絶の進行をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記臓器または組織の移植片の細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(c)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記対象における前記移植片拒絶の進行が示される。
【0020】
さらなる態様において、移植片拒絶を検出またはモニタリングする方法は、非自己細胞、例えば、移植される臓器または組織にとって同種異系または異種の細胞に本発明のポリヌクレオチドを導入することにより実施され、改変された非自己細胞が移植前に臓器または組織に導入される。
【0021】
上記の方法において、一つの態様では、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドおよびプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、一つのより大きなポリヌクレオチド、例えば、ベクターの一部である。別の態様において、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドおよびプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、別々のポリヌクレオチドである。
【0022】
本発明は、開示された方法において有効な診断用の遺伝子スイッチ構築物にさらに関する。
【0023】
本発明は、本発明の診断用の遺伝子スイッチ構築物を含むベクターにさらに関する。
【0024】
本発明は、例えば、遺伝子スイッチ構築物、ベクター、リガンド等を含む、本発明の方法を実施するためのキットにも関する。一つの態様において、キットは、本発明のポリヌクレオチドを含んでいてもよい細胞(例えば、自己細胞または非自己細胞)を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】リガンド依存性転写因子の二つの別々の部分をコードする二つの転写因子配列が、異なるプロモーターの制御下にある、本発明の診断用の遺伝子スイッチの態様を示す。「Dx-スイッチ(Dx-Switch)成分」は遺伝子スイッチを表し;「AD」はトランス活性化ドメインを表し;「DBD」はDNA結合ドメインを表し;「LBD」はリガンド結合ドメインを表し;「標準Dx-レポーター(StandardDx-Reporter)」はレポーター遺伝子を表し;「P1」および「P2」は二つの異なる疾患応答性または障害応答性のプロモーターを表す。図1の別の態様において、「P1」は構成性プロモーターであり;「P2」および「P3」は異なる疾患応答性または障害応答性のプロモーターである。
【図2】リガンド依存性転写因子の二つの別々の部分をコードする二つの転写因子配列が、異なるプロモーターの制御下にある、本発明の診断用の遺伝子スイッチの態様を示す。「Dx-スイッチ成分」は遺伝子スイッチを表し;「AD」はトランス活性化ドメインを表し;「DBD-A」は第一のDNA結合ドメインを表し;「DBD-B」は第二のDNA結合ドメインを表し;「LBD」はリガンド結合ドメインを表し;「標準Dx-レポーターA」は第一のレポーター遺伝子を表し;「標準Dx-レポーターB」は第二のレポーター遺伝子を表し;「P1」、「P2」、および「P3」は三つの異なる疾患応答性または障害応答性のプロモーターを表す。図2の別の態様において、「P1」は構成性プロモーターであり;「P2」および「P3」は異なる疾患応答性または障害応答性のプロモーターである。
【図3】リガンド依存性転写因子の二つの別々の部分をコードする二つの転写因子配列が、異なる診断用スイッチプロモーターの制御下にある、本発明の診断用の遺伝子スイッチの態様を示す。「Dx-スイッチ成分」は遺伝子スイッチを表し;「AD」はトランス活性化ドメインを表し;「DBD」はDNA結合ドメインを表し;「LBD」はリガンド結合ドメインを表し;「標準Dx-レポーター」はレポーター遺伝子を表し;「P1」、「P2」、「P3」、および「P4」は四つの異なる疾患応答性または障害応答性のプロモーターを表す。
【図4】リガンド依存性転写因子の二つの別々の部分をコードする二つの転写因子配列が、異なるプロモーターの制御下にあり、対照レポーター遺伝子が存在する、本発明の診断用の遺伝子スイッチの態様を示す。「Dx-スイッチ成分」は遺伝子スイッチを表し;「AD」はトランス活性化ドメインを表し;「DBD-A」は第一のDNA結合ドメインを表し;「DBD-B」は第二のDNA結合ドメインを表し;「LBD」はリガンド結合ドメインを表し;「標準Dx-レポーターA」は第一のレポーター遺伝子を表し;「対照レポーターB」は第二のレポーター遺伝子を表し;「P1」および「P2」は二つの異なる疾患応答性または障害応答性のプロモーターを表し;「P3」および「P4」は二つの異なる対照プロモーターを表す。図4の別の態様において、「P3」および「P4」は構成性プロモーターである。
【図5】IL-24/mda-7プロモーターを含む単一プロモーターシャトルベクター(SEQ ID NO:5)の態様を示す。このベクターを使用して作製されたアデノウイルスは、リンパ系試料から単離された細胞に形質導入するために使用される。
【図6】TRPM4プロモーターおよびTRGC1/TARPプロモーターを含む、二重プロモーターベクター(SEQ ID NO:6)の態様を示す。このDNAベクターは、非ウイルス形質導入システムを使用して前立腺生検材料に形質導入するために使用される。
【図7】ADAM-17プロモーターおよびCD95-ADAM8二重レポーター(SEQ ID NO:10)を含む、単一プロモーターベクター(SEQ ID NO:7)の態様を示す。
【図8】CXCL9プロモーターおよびSEMA7AプロモーターならびにCD40-CD3二重レポーター(SEQ ID NO:12)を含む、二重プロモーターベクター(SEQ ID NO:8)の態様を示す。
【図9】ADAM-17プロモーターおよびアルカリホスファターゼ-c末端CD40レポーター(SEQ ID NO:14)を含む、単一プロモーターベクター(SEQ ID NO:9)の態様を示す。
【図10】ヒト体内で発現された時、免疫原性プロファイルを示さないように設計された、血清に基づくレポーターの態様を示す。これらのレポーターは、細胞表面上または血清内のいずれかに天然に存在するヒト型アミノ酸配列から構成されている。したがって、これらのレポーターは免疫原性でなく、ヒト体内で発現された時、免疫攻撃を受けない。一つの態様において、血清に基づくレポーターは、ELISAに基づく捕獲および検出を可能にする二重エピトープレポーター、例えば、CD95-ADAM8レポーター(SEQ ID NO:10〜11)、CD40-CD3レポーター(SEQ ID NO:12〜13)、CD28-CD3レポーター(SEQ ID NO:16〜17)、およびCD28-CD40レポーター(SEQ ID NO:18〜19)である。設計は、分泌経路への輸送のためのシグナルペプチド(シグナルP)の後に、リンカー(L)により細胞表面抗原由来のエピトープが続いたものを利用する。別の態様において、リンカーおよびエピトープの異なる組み合わせが各設計のために使用される。別の態様において、血清に基づくレポーターは、免疫捕獲(immunocapture)に続くレポーター活性の酵素的検出を可能にするアルカリホスファターゼレポーター、例えば、アルカリホスファターゼ-c末端CD40レポーター(SEQ ID NO:14〜15)である。アルカリホスファターゼレポーターは、分泌され得る酵素レポーターのために組織非特異的アルカリホスファターゼを利用する。細胞表面抗原由来のエピトープが、アルカリホスファターゼ活性の測定前の免疫捕獲のためにカルボキシ末端に含まれる。図10の付加的な態様において、付加的なアルカリホスファターゼレポーターは、アルカリホスファターゼ-アミノ末端CD40レポーター(SEQ ID NO:20〜21)およびアルカリホスファターゼ-c末端CD28レポーター(SEQ ID NO:22〜23)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
本発明は、対象における疾患または障害の診断のために遺伝子スイッチを使用するための方法および組成物に関する。本発明は、対象における疾患もしくは障害の進行をモニタリングするための、またはそれらの処置をモニタリングするための方法および組成物にさらに関する。本発明の方法は、(対象の単離された細胞へ遺伝子スイッチを導入することにより)エクスビボで、または(対象の単離された細胞へ遺伝子スイッチを導入し、対象に細胞を再導入することにより、または対象の細胞へ直接遺伝子スイッチを導入することにより)インビボで実施され得る。別の態様において、遺伝子スイッチを保持する細胞は、非自己細胞(例えば、同種異系細胞または異種細胞)であってもよい。本発明の方法は、リガンド依存性転写因子の発現が一つまたは複数の診断用スイッチプロモーターの制御下にある遺伝子スイッチの使用を含む。本明細書に記載された方法および組成物は、診断工程のタイミングが、遺伝子スイッチを含む細胞へのリガンドの投与により制御され、疾患または障害の存在の最適な検出のみならず、疾患もしくは障害の進行または処置の有効性もしくは毒性の連続的または間欠的なモニタリングをも許容する、高感度かつ高度に特異的な診断技術を提供する。
【0027】
以下の定義が提供され、本発明の範囲および実施の理解において有益であるはずである。
【0028】
本発明の目的のための「単離された」という用語は、元の環境(それが天然に存在する環境)から取り出された生物学的材料(細胞、核酸、またはタンパク質)を指す。例えば、植物または動物の中に天然の状態で存在するポリヌクレオチドは単離されていないが、天然に存在する隣接核酸から分離された同ポリヌクレオチドは、「単離された」と見なされる。
【0029】
生物学的材料に適用されるような「精製された」という用語は、他の化合物の存在を除外する絶対的な純粋さを示す形態で材料が存在することを必要としない。それは、むしろ相対的な定義である。
【0030】
「核酸」、「核酸分子」、「オリゴヌクレオチド」、および「ポリヌクレオチド」は、交換可能に使用され、一本鎖型または二本鎖ヘリックスのいずれかの、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジン、もしくはシチジン;「RNA分子」)もしくはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、もしくはデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステルポリマー型、またはホスホロチオエートおよびチオエステルのようなそれらのホスホエステルアナログを指す。二本鎖のDNA-DNA、DNA-RNA、およびRNA-RNAのヘリックスが可能である。核酸分子、特に、DNA分子またはRNA分子という用語は、分子の一次構造および二次構造のみを指し、それを特定の三次形態に限定するものではない。したがって、この用語には、とりわけ、直鎖状または環状のDNA分子の中に見出される二本鎖DNA(例えば、制限断片)、プラスミド、スーパーコイルDNA、および染色体が含まれる。特定の二本鎖DNA分子の構造を記述する際、配列は、DNAの転写されない鎖(即ち、mRNAに相同な配列を有する鎖)に沿った5'→3'方向での配列のみを与える通常の慣習に従い、本明細書に記載され得る。「組換えDNA分子」とは、分子生物学的操作を受けたDNA分子である。DNAには、以下に限定はされないが、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNA、および半合成DNAが含まれる。
【0031】
ポリヌクレオチド配列に適用されるような「断片」という用語は、参照核酸に比べて低下した長さを有し、参照核酸と同一のヌクレオチド配列を共通部分に含むヌクレオチド配列を指す。本発明に係るそのような核酸断片は、適宜、それが構成要素であるより大きいポリヌクレオチドに含まれていてもよい。そのような断片は、本発明に係る核酸の少なくとも6、8、9、10、12、15、18、20、21、22、23、24、25、30、39、40、42、45、48、50、51、54、57、60、63、66、70、75、78、80、90、100、105、120、135、150、200、300、500、720、900、1000、1500、2000、3000、4000、5000、またはそれ以上の連続ヌクレオチドの範囲の長さのオリゴヌクレオチドを含むか、またはそれらからなる。
【0032】
本明細書において使用されるように、「単離された核酸断片」とは、合成の、非天然の、または変更されたヌクレオチド塩基を任意で含有していてもよい、一本鎖または二本鎖のRNAまたはDNAのポリマーを指す。DNAのポリマーの形態の単離された核酸断片は、cDNA、ゲノムDNA、または合成DNAの一つまたは複数のセグメントから構成され得る。
【0033】
「遺伝子」とは、転写のみにより(例えば、生理活性RNA種)、または転写および翻訳により(例えば、ポリペプチド)作製される機能性分子を含む、機能性分子をコードするヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを指す。「遺伝子」という用語は、cDNAおよびゲノムDNA核酸を包含する。「遺伝子」とは、コード配列の前(5'非コード配列)および後(3'非コード配列)の調節配列を含む、特定のRNA、タンパク質、またはポリペプチドを発現する核酸断片も指す。「ネイティブ遺伝子」とは、自己の調節配列と共に自然界に見出されるような遺伝子を指す。「キメラ遺伝子」とは、自然界には一緒に見出されない調節配列および/またはコード配列を含む、ネイティブ遺伝子でない遺伝子を指す。したがって、キメラ遺伝子は、異なる起源に由来する調節配列およびコード配列を含んでもよく、または同一起源に由来するが、自然界に見出されるものとは異なる様式で配置された調節配列およびコード配列を含んでもよい。キメラ遺伝子は、異なる起源に由来するコード配列および/または異なる起源に由来する調節配列を含んでもよい。「内因性遺伝子」とは、生物のゲノムの中のその天然の位置にあるネイティブ遺伝子を指す。「外来」遺伝子または「異種」遺伝子とは、宿主生物に通常は見出されず、遺伝子移入により宿主生物へ導入された遺伝子を指す。外来遺伝子は、非ネイティブ生物に挿入されたネイティブ遺伝子、またはキメラ遺伝子を含み得る。「導入遺伝子」とは、形質転換法によりゲノムへ導入された遺伝子である。
【0034】
「異種DNA」とは、細胞、または細胞の染色体部位に天然には位置していないDNAを指す。異種DNAは、細胞にとって外来の遺伝子を含み得る。
【0035】
「ゲノム」という用語は、染色体のDNAまたはRNAのみならず、ミトコンドリア、葉緑体、およびウイルスのDNAまたはRNAも含み得る。
【0036】
一本鎖型の核酸分子が、温度および溶液イオン強度の適切な条件の下で他の核酸分子にアニールすることができる場合、その核酸分子は、cDNA、ゲノムDNA、またはRNAのような別の核酸分子に「ハイブリダイズ可能」である。ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件は、周知であり、(参照により本明細書に完全に組み入れられる)Sambrook et al. in Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor (1989)、特に、その中の11章および表11.1に例示されている。温度およびイオン強度の条件が、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。
【0037】
ストリンジェンシー条件は、遠縁生物由来の相同配列のような中程度に類似した断片から、近縁生物由来の機能性酵素を複製する遺伝子のような高度に類似した断片までをスクリーニングするために調整され得る。相同核酸の予備スクリーニングのためには、55℃のTmに相当する低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、例えば、5×SSC、0.1%SDS、0.25%乳、ホルムアミドなし;または30%ホルムアミド、5×SSC、0.5%SDSが使用され得る。中ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、例えば、40%ホルムアミド、5×または6×SSCは、より高いTmに相当する。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、例えば、50%ホルムアミド、5×または6×SSCは、最も高いTmに相当する。
【0038】
ハイブリダイゼーションは、二つの核酸が相補的な配列を含有していることを必要とするが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに依っては、塩基間のミスマッチが可能である。「相補的な」という用語は、相互にハイブリダイズすることができるヌクレオチド塩基間の関係を記載するために使用される。例えば、DNAに関して、アデノシンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。したがって、本発明は、本明細書において開示または使用されたような完全配列に相補的な単離された核酸断片、およびそれらの実質的に類似した核酸配列も含む。
【0039】
本発明の一つの態様において、ポリヌクレオチドは、55℃のTmにおけるハイブリダイゼーション工程を含み、上に示されたような条件を利用するハイブリダイゼーション条件を利用することにより検出される。その他の態様において、Tmは60℃、63℃、または65℃である。
【0040】
ハイブリダイゼーション後の洗浄もストリンジェンシー条件を決定する。一つの条件セットは、室温で15分間6×SSC、0.5%SDSから開始し、次いで、45℃で30分間2×SSC、0.5%SDSで繰り返し、次いで50℃で30分間0.2×SSC、0.5%SDSで2回繰り返す一連の洗浄である。ストリンジェントな条件の好ましいセットは、より高い温度を使用し、0.2×SSC、0.5%SDSでの最後の2回の30分間の洗浄の温度が60℃に上げられることを除き、洗浄は上記と同一である。高度にストリンジェントな条件の別の好ましいセットは、65℃で0.1×SSC、0.1%SDSでの2回の最終洗浄を使用する。
【0041】
核酸をハイブリダイズさせるための適切なストリンジェンシーは、当技術分野において周知の変数である核酸の長さおよび相補性の程度に依る。二つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が大きいほど、それらの配列を有する核酸のハイブリッドについてのTmの値は大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対的安定性(より高いTmに相当する)は、以下の順に減少する:RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。100ヌクレオチドを越える長さのハイブリッドについては、Tmを計算するための方程式が導き出されている(Sambrook et al. (前記) 9.50-0.51を参照のこと)。より短い核酸、即ち、オリゴヌクレオチドによるハイブリダイゼーションについては、ミスマッチの位置がより重要であり、オリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(Sambrook et al. (前記) 11.7-11.8を参照のこと)。
【0042】
本発明の一つの態様において、ポリヌクレオチドは、500mM未満の塩および少なくとも37℃におけるハイブリダイゼーション工程、ならびに少なくとも63℃の温度での2×SSPEでの洗浄工程を含むハイブリダイゼーション条件を利用することにより検出される。別の態様において、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション工程について、200mM未満の塩および少なくとも37℃を含む。さらなる態様において、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション工程および洗浄工程の両方について、2×SSPEおよび63℃を含む。
【0043】
別の態様において、ハイブリダイズ可能な核酸の長さは、少なくとも約10ヌクレオチドである。好ましくは、ハイブリダイズ可能な核酸の最小の長さは、少なくとも約15ヌクレオチド;例えば、少なくとも約20ヌクレオチド;例えば、少なくとも30ヌクレオチドである。さらに、当業者は、温度および洗浄溶液の塩濃度が、必要に応じて、プローブの長さのような因子によって調整され得ることを認識すると考えられる。
【0044】
「プローブ」という用語は、二本鎖分子が形成されるよう、相補的な一本鎖標的核酸と塩基対形成することができる一本鎖核酸分子を指す。
【0045】
本明細書において使用されるように、「オリゴヌクレオチド」という用語は、ゲノムDNA分子、cDNA分子、プラスミドDNA、またはmRNA分子にハイブリダイズ可能な短い核酸を指す。オリゴヌクレオチドは、例えば、32Pヌクレオチド、またはビオチンのような標識が共有結合によりコンジュゲートされたヌクレオチドにより標識され得る。標識されたオリゴヌクレオチドは、核酸の存在を検出するためのプローブとして使用され得る。オリゴヌクレオチド(その一方または両方が標識され得る)は、全長核酸もしくは核酸断片のクローニングのために、DNA配列決定のために、または核酸の存在を検出するために、PCRプライマーとして使用され得る。オリゴヌクレオチドは、DNA分子との三重ヘリックスを形成するためにも使用され得る。一般に、オリゴヌクレオチドは、合成的に、好ましくは核酸合成装置で調製される。したがって、チオエステル結合等のような天然に存在しないホスホエステルアナログ結合を有するオリゴヌクレオチドが、調製され得る。
【0046】
「プライマー」とは、適当な条件の下でDNA合成のための開始点として役立つことができる二本鎖核酸領域を作出するために標的核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを指す。そのようなプライマーは、ポリメラーゼ連鎖反応において、またはDNA配列決定のために、使用され得る。
【0047】
「ポリメラーゼ連鎖反応」とは、PCRと略記され、特定の核酸配列を酵素的に増幅するためのインビトロの方法を指す。PCRは、反復的な一連の温度サイクルを含み、各サイクルは三つの段階を含む:標的分子の鎖を分離するための鋳型核酸の変性、鋳型核酸への一本鎖PCRオリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング、およびDNAポリメラーゼによるアニールしたプライマーの伸長。PCRは、標的分子の存在を検出し、定量的または半定量的な条件の下で、出発核酸プール内のその標的分子の相対量を決定するための手段を提供する。
【0048】
「逆転写ポリメラーゼ連鎖反応」とは、RT-PCRと略記され、RNA分子から標的cDNA分子を酵素的に作製した後、上記のように標的cDNA分子内の特定の核酸配列を酵素的に増幅するインビトロの方法を指す。RT-PCRも、標的分子の存在を検出し、定量的または半定量的な条件の下で、出発核酸プール内のその標的分子の相対量を決定するための手段を提供する。
【0049】
DNA「コード配列」とは、ポリペプチドをコードし、適当な調節配列の制御下に置かれた時、インビトロまたはインビボの細胞において転写されポリペプチドへと翻訳され得る二本鎖DNA配列を指す。「適当な調節配列」とは、コード配列の上流(5'非コード配列)、内部、または下流(3'非コード配列)に位置し、転写、RNAのプロセシングもしくは安定性、または関連コード配列の翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を指す。調節配列には、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、およびステムループ構造が含まれ得る。コード配列の境界は、5'(アミノ)末端の開始コドンおよび3'(カルボキシル)末端の翻訳終止コドンにより決定される。コード配列には、原核生物配列、mRNA由来のcDNA、ゲノムDNA配列が含まれ、合成DNA配列すら含まれ得るが、これらに限定はされない。コード配列が真核細胞における発現のためのものであれば、ポリアデニル化シグナルおよび転写終結配列が、通常、コード配列の3'に位置していると考えられる。
【0050】
「オープンリーディングフレーム」とは、ORFと略記され、翻訳開始シグナルまたはATGもしくはAUGのような開始コドン、および終結コドンを含み、ポリペプチド配列に翻訳される可能性のある核酸配列、DNA、cDNA、またはRNAのいずれかの長さを指す。
【0051】
「ヘッドトゥーヘッド」という用語は、相互に関係している二つのポリヌクレオチド配列の方向を記載するために本明細書において使用される。一方のポリヌクレオチドのコード鎖の5'末端が、他方のポリヌクレオチドのコード鎖の5'末端に隣接しており、そのため、各ポリヌクレオチドの転写の方向が、他方のポリヌクレオチドの5'末端から遠ざかって進む場合、その二つのポリヌクレオチドはヘッドトゥーヘッド方向に位置している。「ヘッドトゥーヘッド」という用語は、(5')-to-(5')と略記され得、(←→)または(3'←5'5'→3')という記号によっても示され得る。
【0052】
「テールトゥーテール」という用語は、相互に関係している二つのポリヌクレオチド配列の方向を記載するために本明細書において使用される。一方のポリヌクレオチドのコード鎖の3'末端が、他方のポリヌクレオチドのコード鎖の3'末端に隣接しており、そのため、各ポリヌクレオチドの転写の方向が、他方のポリヌクレオチドに向かって進む場合、その二つのポリヌクレオチドはテールトゥーテール方向に位置している。「テールトゥーテール」という用語は、(3')-to-(3')と略記され得、(→←)または(5'→3'3'←5')という記号によっても示され得る。
【0053】
「ヘッドトゥーテール」という用語は、相互に関係している二つのポリヌクレオチド配列の方向を記載するために本明細書において使用される。一方のポリヌクレオチドのコード鎖の5'末端が、他方のポリヌクレオチドのコード鎖の3'末端に隣接しており、そのため、各ポリヌクレオチドの転写の方向が、他方のポリヌクレオチドの転写と同じ方向に進む場合、その二つのポリヌクレオチドはヘッドトゥーテール方向に位置している。「ヘッドトゥーテール」という用語は、(5')-to-(3')と略記され得、(→→)または(5'→3'5'→3')という記号によっても示され得る。
【0054】
「下流」という用語は、参照ヌクレオチド配列の3'に位置するヌクレオチド配列を指す。特に、下流ヌクレオチド配列は、一般に、転写の開始点の後の配列に関する。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは、転写の開始部位の下流に位置する。
【0055】
「上流」という用語は、参照ヌクレオチド配列の5'に位置するヌクレオチド配列を指す。特に、上流ヌクレオチド配列は、一般に、コード配列または転写の開始点の5'側に位置する配列に関する。例えば、大部分のプロモーターが、転写の開始部位の上流に位置する。
【0056】
「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」という用語は、交換可能に使用され、二本鎖DNA内の特異的なヌクレオチド配列に結合し、それを切断する酵素を指す。
【0057】
「相同組換え」とは、別のDNA分子への外来DNA配列の挿入、例えば、染色体へのベクターの挿入を指す。好ましくは、ベクターは、相同組換えのために特異的な染色体部位を標的とする。特異的な相同組換えのために、ベクターは、相補的な結合および染色体へのベクターの取り込みを可能にするための十分に長い染色体の配列と相同的な領域を含有していると考えられる。より長い相同領域およびより高度の配列類似性は、相同組換えの効率を増加させ得る。
【0058】
当技術分野において公知のいくつかの方法が、本発明に係るポリヌクレオチドを増幅するために使用され得る。一旦適当な宿主システムおよび増殖条件が確立されれば、組換え発現ベクターが多量に増幅され調製され得る。本明細書に記載されるように、使用され得る発現ベクターには、ほんの少数を挙げるとすれば、以下のベクターまたはそれらの誘導体が含まれるが、これらに限定はされない:ワクシニアウイルスまたはアデノウイルスのようなヒトまたは動物のウイルス;バキュロウイルスのような昆虫ウイルス;酵母ベクター;バクテリオファージベクター(例えば、ラムダ)、ならびにプラスミドDNAベクターおよびコスミドDNAベクター。
【0059】
「ベクター」とは、宿主細胞への核酸のクローニングおよび/または移入のための媒体を指す。ベクターは、接着したセグメントの複製が起こるよう、別のDNAセグメントを接着させることができるレプリコンであり得る。「レプリコン」とは、インビボでDNA複製の自律単位として機能する、即ち、自己の制御下で複製可能な遺伝エレメント(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)を指す。「ベクター」という用語には、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで細胞へ核酸を導入するためのウイルス性および非ウイルス性両方の媒体が含まれる。当技術分野において公知の多数のベクターが、核酸を操作するため、遺伝子に応答エレメントおよびプロモーターを組み入れるため等に使用され得る。可能なベクターには、例えば、プラスミドまたは改変されたウイルスが含まれ、それらには、例えば、ラムダ誘導体のようなバクテリオファージ、またはpBR322もしくはpUCプラスミド誘導体のようなプラスミド、またはBluescriptベクターが含まれる。本発明において有用なベクターの別の例は、参照により本明細書に組み入れられるWO 2007/038276に記載されたようなUltraVector(商標)Production System(Intrexon Corp., Blacksburg, VA)である。例えば、応答エレメントおよびプロモーターに相当するDNA断片の適当なベクターへの挿入は、相補的な付着末端を有する選ばれたベクターへ適切なDNA断片をライゲーションすることにより達成され得る。または、DNA分子の末端を酵素的に修飾してもよく、またはDNA末端へヌクレオチド配列(リンカー)をライゲーションすることにより部位を作製してもよい。そのようなベクターは、細胞ゲノムにマーカーが組み入れられている細胞の選択を提供する選択マーカー(selectable marker)遺伝子を含有するように操作されてもよい。そのようなマーカーは、マーカーを組み入れ、かつマーカーによりコードされたタンパク質を発現する宿主細胞の同定および/または選択を可能にする。
【0060】
ウイルスベクター、特に、レトロウイルスベクターは、細胞においても、生存している動物対象においても、多様な遺伝子送達適用において使用されている。使用され得るウイルスベクターには、レトロウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ポックスベクター、バキュロウイルスベクター、ワクシニアベクター、単純ヘルペスベクター、エプスタインバーベクター、アデノウイルスベクター、ジェミニウイルスベクター、およびカリモウイルスベクターが含まれるが、これらに限定はされない。非ウイルスベクターには、プラスミド、リポソーム、電荷を有する脂質(サイトフェクチン(cytofectin))、DNA-タンパク質複合体、およびバイオポリマーが含まれる。核酸に加えて、ベクターは、一つまたは複数の調節領域、ならびに/または核酸移入結果(どの組織へ移入されたか、発現の持続時間等)の選択、測定、およびモニタリングにおいて有用な選択マーカーも含み得る。
【0061】
「プラスミド」という用語は、細胞の中心代謝の一部でない遺伝子をしばしば保持し、通常、環状二本鎖DNA分子の形態の、染色体外エレメントを指す。そのようなエレメントは、プロモーター断片および選択された遺伝子産物のためのDNA配列を適切な3'非翻訳配列と共に細胞へ導入することができる特有の構築物へと、多数のヌクレオチド配列が連結または組換えられている、任意の起源に由来する一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAの直鎖状、環状、またはスーパーコイル状の自律複製配列、ゲノム組込み配列、ファージ配列、またはヌクレオチド配列であり得る。
【0062】
「クローニングベクター」とは、接着したセグメントの複製が起こるよう、別の核酸セグメントを接着させることができる、プラスミド、ファージ、またはコスミドのような、連続的に複製し、複製起点を含む核酸、好ましくはDNAの単位長である「レプリコン」を指す。クローニングベクターは、ある細胞型において複製可能であり、別の細胞型において発現可能であり得る(「シャトルベクター」)。クローニングベクターは、ベクター含む細胞の選択のために使用され得る一つまたは複数の配列、および/または関心対象の配列の挿入のための一つまたは複数のマルチプルクローニング部位を含み得る。
【0063】
「発現ベクター」という用語は、宿主への形質転換の後、挿入された核酸配列の発現を可能にするように設計されたベクター、プラスミド、または媒体を指す。クローニングされた遺伝子、即ち、挿入された核酸配列は、通常、プロモーター、ミニマルプロモーター、エンハンサー等のような制御エレメントの制御下に置かれる。所望の宿主細胞における核酸の発現を駆動するのに有用な開始制御領域またはプロモーターは、多数あり、当業者に周知である。以下に限定はされないが、ウイルスプロモーター、細菌プロモーター、動物プロモーター、哺乳動物プロモーター、合成プロモーター、構成性プロモーター、組織特異的プロモーター、病原または疾患と関係のあるプロモーター、発達特異的プロモーター、誘導性プロモーター(inducible promoter)、光により調節されるプロモーター;CYC1、HIS3、GAL1、GAL4、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI、アルカリホスファターゼのプロモーター(サッカロミセスにおける発現のために有用);AOX1プロモーター(ピキア(Pichia)における発現のために有用);β-ラクタマーゼ、lac、ara、tet、trp、IPL、IPR、T7、tac、およびtrcのプロモーター(大腸菌における発現のために有用);光により調節されるプロモーター、種子特異的プロモーター、花粉特異的プロモーター、子房特異的プロモーター、カリフラワーモザイクウイルス35S、CMV 35Sミニマル、キャッサバ葉脈モザイクウイルス(CsVMV)、クロロフィルa/b結合タンパク質、リブロース1,5-二リン酸カルボキシラーゼ、苗条特異的、根特異的、キチナーゼ、ストレス誘導性、イネツングロ桿状ウイルス、植物スーパープロモーター、ジャガイモロイシンアミノペプチダーゼ、硝酸還元酵素、マンノピンシンターゼ、ノパリンシンターゼ、ユビキチン、ゼインタンパク質、およびアントシアニンのプロモーター(植物細胞における発現のために有用);以下に限定はされないが、SV40初期(SV40e)プロモーター領域、ラウス肉腫ウイルス(RSV)の3'末端反復配列(LTR)に含有されているプロモーター、E1Aのプロモーターまたはアデノウイルス(Ad)の主要後期プロモーター(MLP)遺伝子、サイトメガロウイルス(CMV)初期プロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)プロモーター、バキュロウイルスIE1プロモーター、伸長因子1α(EF1)プロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、ユビキチン(Ubc)プロモーター、アルブミンプロモーター、マウスメタロチオネイン-Lプロモーターの調節配列および転写制御領域、遍在性プロモーター(HPRT、ビメンチン、α-アクチン、チューブリン等)、中間径フィラメント(デスミン、神経フィラメント、ケラチン、GFAP等)のプロモーター、治療用遺伝子(MDR、CFTR、またはVIII型因子等)のプロモーター、病原または疾患と関係のあるプロモーター、および膵臓腺房細胞において活性のエラスターゼI遺伝子制御領域のような、組織特異性を示し、トランスジェニック動物において利用されているプロモーターを含む当技術分野において公知の動物および哺乳動物のプロモーター;膵臓β細胞において活性のインスリン遺伝子制御領域、リンパ球系細胞において活性の免疫グロブリン遺伝子制御領域、精巣細胞、乳房細胞、リンパ球系細胞、および肥満細胞において活性のマウス乳癌ウイルス制御領域;アルブミン遺伝子、肝臓において活性のApo AIおよびApo AIIの制御領域、肝臓において活性のα-フェトプロテイン遺伝子制御領域、肝臓において活性のα1-アンチトリプシン遺伝子制御領域、骨髄系細胞において活性のβ-グロビン遺伝子制御領域、脳内のオリゴデンドロサイト細胞において活性のミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域、骨格筋において活性のミオシン軽鎖2遺伝子制御領域、および視床下部において活性の生腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子制御領域、ピルビン酸キナーゼプロモーター、ビリンプロモーター、脂肪酸結合腸タンパク質のプロモーター、平滑筋細胞α-アクチンのプロモーター等を含む、これらの遺伝子の発現を駆動することができる事実上任意のプロモーターが、発現ベクターにおいて使用され得る。さらに、これらの発現配列は、エンハンサーまたは調節配列等の追加により修飾され得る。
【0064】
ベクターは、当技術分野において公知の方法、例えば、トランスフェクション、電気穿孔、微量注入、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソソーム融合)、遺伝子銃の使用、またはDNAベクタートランスポーターにより、所望の宿主細胞へ導入され得る(例えば、Wu et al., J. Biol. Chem. 267:963 (1992);Wu et al., J. Biol. Chem. 263:14621 (1988);およびHartmutら、カナダ特許出願第2,012,311号を参照のこと)。
【0065】
リポフェクションにより、本発明に係るポリヌクレオチドをインビボ導入することもできる。過去十年間に、インビトロの核酸の封入およびトランスフェクションのためのリポソームの使用は増加してきた。リポソームにより媒介されるトランスフェクションにより遭遇する問題および危険を制限するために設計された合成陽イオン性脂質は、マーカーをコードする遺伝子のインビボトランスフェクションのためのリポソームを調製するために使用され得る(Felgner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 84:7413 (1987);Mackey et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:8027 (1988);およびUlmer et al., Science 259:1745 (1993))。陽イオン性脂質の使用は、負の電荷を有する核酸の封入を促進し、負の電荷を有する細胞膜との融合も促進することができる(Felgner et al., Science 337:387 (1989))。核酸の移入のための特に有用な脂質化合物および組成物は、WO95/18863、WO96/17823、および米国特許第5,459,127号に記載されている。インビボの特異的な器官へ外因性遺伝子を導入するためのリポフェクションの使用は、ある種の実際的な利点を有する。特異的な細胞へのリポソームの分子的ターゲティングは、一つの有益な分野となっている。特定の細胞型へトランスフェクションを差し向けることは、膵臓、肝臓、腎臓、および脳のような細胞不均一性を有する組織において、特に好ましいことが明らかである。脂質は、ターゲティングの目的のために他の分子に化学的に結合されてもよい(Mackey et al. 1988(前記))。ターゲティングされたペプチド、例えば、ホルモンもしくは神経伝達物質、および抗体のようなタンパク質、または非ペプチド分子が、リポソームに化学的に結合され得る。
【0066】
陽イオン性オリゴペプチド(例えば、WO95/21931)、DNA結合タンパク質由来のペプチド(例えば、WO96/25508)、または陽イオン性ポリマー(例えば、WO95/21931)のようなその他の分子も、インビボの核酸のトランスフェクションを容易にするために有用である。
【0067】
裸のDNAプラスミドとしてベクターをインビボ導入することも可能である(米国特許第5,693,622号、第5,589,466号、および第5,580,859号を参照のこと)。受容体により媒介されるDNA送達アプローチも使用され得る(Curiel et al., Hum. Gene Ther. 3:147 (1992);およびWu et al., J. Biol Chem. 262:4429 (1987))。
【0068】
「トランスフェクション」という用語は、細胞による外因性または異種のRNAまたはDNAの取り込みを指す。そのようなRNAまたはDNAが細胞内に導入されている場合、細胞は外因性または異種のRNAまたはDNAにより「トランスフェクション」されている。トランスフェクションされたRNAまたはDNAが表現型の変化をもたらす場合、細胞は外因性または異種のRNAまたはDNAにより「形質転換」されている。形質転換RNAまたはDNAは、細胞のゲノムを構成する染色体DNAへ組み込まれ得る(共有結合により連結され得る)。
【0069】
「形質転換」とは、遺伝学的に安定的な遺伝をもたらす、宿主生物のゲノムへの核酸断片の移入を指す。形質転換された核酸断片を含有している宿主生物は、「トランスジェニックの」または「組換えの」または「形質転換された」生物と呼ばれる。
【0070】
さらに、本発明に係るポリヌクレオチドを含む組換えベクターは、増幅または発現が求められる細胞宿主における一つまたは複数の複製起点、マーカー、または選択マーカーを含み得る。
【0071】
「選択マーカー」という用語は、マーカー遺伝子の効果に基づき選択され得る同定因子、通常、抗生物質または化学物質に対する耐性遺伝子、即ち、抗生物質に対する耐性、除草剤に対する耐性、比色定量マーカー、酵素、蛍光マーカー等を指し、その効果は、関心対象の核酸の遺伝を追跡するために、および/または関心対象の核酸を遺伝によって受け継いだ細胞もしくは生物を同定するために使用される。当技術分野において公知であり、使用されている選択マーカー遺伝子の例には、以下のものが含まれる:アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ビアラホス除草剤、スルホンアミド等に対する耐性を提供する遺伝子;および表現型マーカーとして使用される遺伝子、即ち、アントシアニン調節遺伝子、イソペンタニル(isopentanyl)トランスフェラーゼ遺伝子等。
【0072】
「レポーター遺伝子」という用語は、レポーター遺伝子の効果に基づき同定され得る同定因子をコードする核酸を指し、その効果は、関心対象の核酸の遺伝を追跡するために、関心対象の核酸を遺伝によって受け継いだ細胞もしくは生物を同定するために、および/または遺伝子発現誘導もしくは転写を測定するために使用される。当技術分野において公知であり、使用されているレポーター遺伝子の例には、以下のものが含まれる:ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)、β-グルクロニダーゼ(Gus)等。選択マーカー遺伝子も、レポーター遺伝子と見なされ得る。
【0073】
「プロモーター」および「プロモーター配列」とは、交換可能に使用され、核酸の転写を制御することができるDNA配列を指す。プロモーターは、完全にネイティブ遺伝子に由来してもよく、または自然界に見出される異なるプロモーターに由来する異なるエレメントから構成されていてもよく、または合成DNAセグメントを含んでいてもよい。異なるプロモーターが、異なる組織もしくは細胞型において、または異なる発生段階において、または異なる環境条件もしくは生理学的条件に応答して、遺伝子の発現を指図し得ることは、当業者により理解される。ほぼ常に大部分の細胞型において遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「構成性プロモーター」と呼ばれる。特異的な細胞型において遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「細胞特異的プロモーター」または「組織特異的プロモーター」と呼ばれる。発達または細胞分化の特異的な段階において遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「発達特異的プロモーター」または「細胞分化特異的プロモーター」と呼ばれる。プロモーターを誘導する薬剤、生物学的分子、化学物質、リガンド、光等による細胞の曝露または処理の後に、誘導され、遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「誘導性プロモーター」または「調節性プロモーター(regulatable promoter)」と呼ばれる。ほとんどの場合、調節配列の正確な境界が完全には明確でないため、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有することもあることが、さらに認識される。
【0074】
プロモーター配列は、典型的には、3'末端で転写開始部位と接しており、バックグラウンドを超えた検出可能なレベルの転写を開始させるのに必要な最小限の数の塩基またはエレメントを含むよう上流(5'方向)に延びている。プロモーター配列内には、(例えば、ヌクレアーゼS1によるマッピングにより都合よく画定される)転写開始部位のみならず、RNAポリメラーゼにより媒介される転写を動員する転写因子の結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)も見出される。
【0075】
「診断用スイッチプロモーター」とは、本発明において診断技術として使用され得る様式で、ある因子により活性がモジュレートされるプロモーターを指す。その用語には、いずれかの方向へのプロモーター活性の変化が診断に役立つように、疾患または障害の時にコード配列の発現を増加または減少させるプロモーターが包含される。その用語には、非限定的に、疾患特異的プロモーター、特定の生理学的または病理学的な条件に応答性のプロモーター、および特異的な生物学的分子に応答性のプロモーターが含まれる。診断用スイッチプロモーターには、天然に存在するプロモーターの配列、天然に存在するプロモーターに由来する修飾された配列、または合成配列(例えば、プロモーターの応答性を変更するためのプロモーター配列への応答エレメントの挿入)が含まれ得る。
【0076】
「コード配列」とは、ポリペプチドまたはRNA(例えば、機能性RNA)をコードするDNA配列である。
【0077】
RNAポリメラーゼがコード配列をRNAへ転写する場合、そのコード配列は、細胞において転写および翻訳の制御配列の「制御下」にある。次いで、コード配列がタンパク質コード配列である場合、一次RNA転写物がさらにプロセシングされ(例えば、トランスRNAスプライシング(コード配列がイントロンを含有している場合)およびポリアデニル化を受け)、細胞質に搬出され、コード配列によりコードされたタンパク質へと翻訳される。非タンパク質コード生理活性RNA種(RNAiまたはマイクロRNAを含むが、これらに限定はされない)は、一次転写物、スプライシングされた転写物(ポリアデニル化もしくは非ポリアデニル化)、および/もしくは切り出されたイントロンとして核内で機能性であってもよく;または核から搬出されるRNA型として核外細胞領域において生理活性を発揮してもよい。
【0078】
「転写および翻訳の制御配列」とは、宿主細胞におけるコード配列の発現を提供する、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター等のようなDNA調節配列を指す。真核細胞において、ポリアデニル化シグナルは制御配列である。
【0079】
「応答エレメント」という用語は、転写因子のDNA結合ドメインとの相互作用を通して媒介される応答性をプロモーターに付与する一つまたは複数のシス作用性のDNAエレメントを指す。このDNAエレメントは、回文構造(完全もしくは不完全)の配列を有するか、または可変数のヌクレオチドにより分離された配列モチーフもしくはハーフサイト(half site)から構成され得る。ハーフサイトは、類似しているか、または同一であり、直接反復配列もしくは逆方向反復配列のいずれかとして、または単一のハーフサイトもしくはタンデムに隣接したハーフサイトの多量体として配置される。応答エレメントは、応答エレメントが組み入れられる細胞または生物の性質に依り、異なる生物から単離されたミニマルプロモーターを含み得る。転写因子のDNA結合ドメインは、リガンドの存在下または非存在下で、この応答エレメントの調節下にある下流遺伝子の転写を開始させるかまたは抑制するため、応答エレメントのDNA配列に結合する。天然のエクジソン受容体の応答エレメントのDNA配列の例には、以下のものが含まれる:

(Cherbas et. al., Genes Dev. 5:120 (1991)を参照のこと);

[式中、N(n)は一つまたは複数のスペーサーヌクレオチドである](SEQ ID NO:2)(D'Avino et al., Mol. Cell. Endocrinol. 113:1 (1995)を参照のこと);および

(Antoniewski et al., Mol. Cell Biol. 14:4465 (1994)を参照のこと)。
【0080】
「機能的に連結された」という用語は、一方の機能が他方により影響を受けるような、単一核酸断片上の核酸配列の会合を指す。例えば、プロモーターは、コード配列の発現に影響を与えることができる場合、そのコード配列と機能的に連結されている(即ち、コード配列はプロモーターの転写制御下にある)。コード配列は、センス方向またはアンチセンス方向で調節配列に機能的に連結され得る。
【0081】
「発現」という用語は、本明細書において使用されるように、核酸またはポリヌクレオチドの転写によるRNA(例えば、センスRNA、アンチセンスRNA、マイクロRNA、メッセンジャーRNA、異種核RNA、リボソームRNA、低分子干渉RNA、リボザイム等)の産生を指す。発現には、mRNAのタンパク質またはポリペプチドへの翻訳も含まれ得る。
【0082】
「カセット」、「発現カセット」、および「遺伝子発現カセット」という用語は、特異的な制限部位において、または相同組換えにより、核酸またはポリヌクレオチドに挿入され得るDNAのセグメントを指す。DNAのセグメントは、関心対象のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、カセットおよび制限部位は、転写および翻訳のための適正なリーディングフレームでのカセットの挿入を保証するように設計される。「形質転換カセット」とは、関心対象のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、そのポリヌクレオチドに加えて、特定の宿主細胞の形質転換を容易にするエレメントを有する特別なベクターを指す。本発明のカセット、発現カセット、遺伝子発現カセット、および形質転換カセットは、宿主細胞における関心対象のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの増強された発現を可能にするエレメントも含み得る。これらのエレメントには、プロモーター、ミニマルプロモーター、エンハンサー、応答エレメント、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列等が含まれ得るが、これらに限定はされない。
【0083】
本発明の目的のために、「遺伝子スイッチ」という用語は、プロモーターと会合した応答エレメントと、応答エレメントおよびプロモーターが組み入れられているある遺伝子の発現を一つまたは複数のリガンドの存在下でモジュレートするリガンド依存性転写因子に基づくシステムとの組み合わせを指す。
【0084】
遺伝子スイッチに関して、「エクジソンに基づく」という用語は、天然に存在する、または合成のエクジソン受容体リガンド結合ドメインの機能性部分を少なくとも含み、エクジソン受容体リガンド結合ドメインに結合するリガンドに応答して遺伝子発現を調節する遺伝子スイッチを指す。
【0085】
「モジュレートする」という用語は、核酸または遺伝子の発現を誘導するか、低下させるか、または阻害し、それぞれ、タンパク質またはポリペプチドの産生の誘導、低下、または阻害をもたらすことを意味する。
【0086】
本発明に係るポリヌクレオチドまたはベクターは、宿主細胞において遺伝子の発現を駆動するために適している少なくとも一つのプロモーターをさらに含み得る。
【0087】
本発明の態様において使用され得るエンハンサーには、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー、伸長因子1(EF1)エンハンサー、酵母エンハンサー、ウイルス遺伝子エンハンサー等が含まれるが、これらに限定はされない。
【0088】
終結制御領域、即ち、ターミネーターまたはポリアデニル化配列は、好ましい宿主にとってネイティブである様々な遺伝子に由来してもよい。任意で、終結部位は不要であることもあるが、含まれているのであれば、それが最も好ましい。本発明の一つの態様において、終結制御領域は、合成配列、合成ポリアデニル化シグナル、SV40後期ポリアデニル化シグナル、SV40ポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル、ウイルスターミネーター配列等から構成されるか、またはそれらに由来し得る。
【0089】
「3'非コード配列」または「3'非翻訳領域(UTR)」という用語は、コード配列の下流(3')に位置するDNA配列を指し、ポリアデニル化[ポリ(A)]認識配列およびmRNAプロセシングまたは遺伝子発現に影響を与えることができる調節シグナルをコードするその他の配列を含み得る。ポリアデニル化シグナルは、通常、mRNA前駆物質の3'末端へのポリアデニル酸トラクトの付加に影響を与えることにより特徴決定される。
【0090】
「調節領域」とは、第二の核酸配列の発現を調節する核酸配列を指す。調節領域は、特定の核酸の発現を天然に担う配列(相同領域)を含んでもよく、または異なるタンパク質もしくは合成タンパク質の発現を担う異なる起源の配列(異種領域)を含んでもよい。特に、配列は、原核生物、真核生物、もしくはウイルスの遺伝子の配列、または特異的もしくは非特異的な様式で、誘導可能または非誘導可能な様式で、遺伝子の転写を刺激もしくは抑制する派生配列であり得る。調節領域には、複製起点、RNAスプライス部位、プロモーター、エンハンサー、転写終結配列、および標的細胞の分泌経路にポリペプチドを差し向けるシグナル配列が含まれる。
【0091】
「異種起源」由来の調節領域とは、発現される核酸に天然には関連していない調節領域を指す。異種調節領域には、異なる種に由来する調節領域、異なる遺伝子に由来する調節領域、ハイブリッド調節配列、および自然界には存在せず、当業者によって設計された調節配列が含まれる。
【0092】
「RNA転写物」とは、DNA配列のRNAポリメラーゼにより触媒される転写に起因する産物を指す。RNA転写物がDNA配列の完全な相補コピーである場合、それは一次転写物と呼ばれ、または、RNA転写物は、一次転写物の転写後プロセシングに由来するRNA配列であり得、成熟RNAと呼ばれる。「メッセンジャーRNA(mRNA)」とは、イントロンを含まず、細胞によりタンパク質に翻訳され得るRNAを指す。「cDNA」とは、mRNAに相補的であり、mRNAに由来する二本鎖DNAを指す。「センス」RNAとは、mRNAを含み、したがって、細胞によりタンパク質に翻訳され得るRNA転写物を指す。「アンチセンスRNA」とは、標的一次転写物またはmRNAの全部または一部に相補的であり、標的遺伝子の発現を阻止するRNA転写物を指す。アンチセンスRNAの相補性は、特定の遺伝子転写物の任意の部分、即ち、5'非コード配列、3'非コード配列、またはコード配列にあり得る。「機能性RNA」とは、翻訳されていないが、細胞過程に対する効果を有するアンチセンスRNA、リボザイムRNA、またはその他のRNAを指す。
【0093】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」とは、交換可能に使用され、共有結合により連結されたアミノ酸残基から構成されたポリマー化合物を指す。
【0094】
「単離されたポリペプチド」、「単離されたペプチド」、または「単離されたタンパク質」とは、その天然の状態において、それと通常関連している化合物(例えば、他のタンパク質またはポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質)を実質的に含まないポリペプチドまたはタンパク質を指す。「単離された」とは、他の化合物との人工もしくは合成の混合物、または生物学的活性に干渉せず、例えば、不完全な精製、安定剤の添加、もしくは薬学的に許容される調製物への調合のために存在し得る不純物の存在を排除するものではない。
【0095】
「置換変異体ポリペプチド」または「置換変異体」とは、野生型のまたは天然に存在するポリペプチドと比べて、少なくとも一つの野生型のまたは天然に存在するアミノ酸の、異なるアミノ酸との置換を含む変異体ポリペプチドを意味することが理解されると考えられる。置換変異体ポリペプチドは、ただ一つの野生型のまたは天然に存在するアミノ酸の置換を含み得、「点変異体」または「単一点変異体」ポリペプチドと呼ばれ得る。または、置換変異体ポリペプチドは、野生型のまたは天然に存在するポリペプチドと比べて、二つ以上の野生型のまたは天然に存在するアミノ酸の、二つ以上のアミノ酸との置換を含み得る。本発明によると、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインポリペプチドは、野生型のまたは天然に存在するグループH核内受容体リガンド結合ドメインポリペプチドと比べて、少なくとも一つの野生型のまたは天然に存在するアミノ酸の、異なるアミノ酸との置換を含む。
【0096】
置換変異体ポリペプチドが二つ以上の野生型のまたは天然に存在するアミノ酸の置換を含む場合、この置換は、置換のために欠失した等しい数の野生型のもしくは天然に存在するアミノ酸、即ち、二つの非野生型のもしくは天然に存在しないアミノ酸と交換された二つの野生型のもしくは天然に存在するアミノ酸、または置換のために欠失した等しくない数の野生型アミノ酸、即ち、一つの非野生型アミノ酸と交換された二つの野生型アミノ酸(置換+欠失変異)、もしくは三つの非野生型アミノ酸と交換された二つの野生型アミノ酸(置換+挿入変異)のいずれかを含み得る。
【0097】
置換変異体は、参照ポリペプチド配列内の交換されたアミノ酸残基および数、ならびに新たな置換されたアミノ酸残基を示すための省略命名方式を使用して記載され得る。例えば、ポリペプチドの20番目の(第20)アミノ酸残基が置換される置換変異体は、「x20z」[ここで、「x」は交換されるアミノ酸であり、「20」はポリペプチド内のアミノ酸残基の位置または数であり、「z」は新たな置換されたアミノ酸である]と略記され得る。したがって、「E20A」または「Glu20Ala」と交換可能に略記される置換変異体は、変異体がポリペプチドの20位にグルタミン酸(当技術分野において一般的に「E」または「Glu」と略記される)の代わりにアラニン残基(当技術分野において一般的に「A」または「Ala」と略記される)を含むことを示す。
【0098】
置換変異は、インビトロ部位特異的変異誘発(Hutchinson et al., J. Biol. Chem. 253:6551 (1978);Zoller et al., DNA 3:479 (1984);Oliphant et al., Gene 44:177 (1986);Hutchinson et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:710 (1986))、TAB(登録商標)リンカー(Pharmacia)の使用、制限エンドヌクレアーゼ消化/断片の欠失および置換、PCRにより媒介される/オリゴヌクレオチド指定変異誘発等を含むが、これらに限定はされない、当技術分野において公知の変異誘発のための技術により作成され得る。PCRに基づく技術は、部位特異的変異誘発のために好ましい(Higuchi, 1989, "Using PCR to Engineer DNA", in PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification, H. Erlich, ed., Stockton Press, Chapter 6, pp.61-70を参照のこと)。
【0099】
ポリペプチドに適用されるような「断片」という用語は、参照ポリペプチドより短いアミノ酸配列を有し、部分全体にこれらの参照ポリペプチドと同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。そのような断片は、適宜、それらが一部となる、より大きいポリペプチドに含まれている。本発明に係るポリペプチドのそのような断片は、少なくとも2、3、4、5、6、8、10、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、25、26、30、35、40、45、50、100、200、240、または300アミノ酸、またはそれ以上の長さを有し得る。
【0100】
ポリペプチドまたはタンパク質の「バリアント」とは、ポリペプチドまたはタンパク質に由来し、そのポリペプチドまたはタンパク質の少なくとも一つの生物学的特性を保持しているアナログ、断片、誘導体、または変異体を指す。ポリペプチドまたはタンパク質の種々のバリアントが、自然界に存在し得る。これらのバリアントは、タンパク質をコードする構造遺伝子のヌクレオチド配列の違いを特徴とする対立遺伝子変動であってもよく、または差次的(differential)スプライシングまたは翻訳後修飾を含んでもよい。当業者は、単一または複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、または交換を有するバリアントを作製することができる。これらのバリアントには、とりわけ、(a)一つまたは複数のアミノ酸残基が保存的または非保存的なアミノ酸と置換されたバリアント、(b)一つまたは複数のアミノ酸がポリペプチドまたはタンパク質に付加されたバリアント、(c)アミノ酸のうちの一つまたは複数が置換基を含むバリアント、および(d)ポリペプチドまたはタンパク質が血清アルブミンのような別のポリペプチドと融合したバリアントが含まれる。遺伝学的技術(抑制、欠失、変異等)、化学的技術、および酵素的技術を含む、これらのバリアントを入手するための技術は、当業者に公知である。一つの態様において、バリアントポリペプチドは少なくとも約14アミノ酸を含む。
【0101】
「相同性」という用語は、二つのポリヌクレオチドまたは二つのポリペプチド部分(moiety)の間の同一率を指す。ある部分からの配列の、別の部分からの配列との間の一致は、当技術分野において公知の技術により決定され得る。例えば、相同性は、配列情報を整列化し、容易に入手可能なコンピュータプログラムを使用することによる、二つのポリペプチド分子間の配列情報の直接比較により決定され得る。または、相同性は、相同領域間の安定的二重鎖を形成する条件の下でポリヌクレオチドをハイブリダイズさせた後、一本鎖特異的ヌクレアーゼにより消化し、消化された断片のサイズを決定することにより決定され得る。
【0102】
本明細書において使用されるように、全ての文法形および綴り変化の「相同」という用語は、スーパーファミリー(例えば、免疫グロブリンスーパーファミリー)内のタンパク質および異なる種に由来する相同タンパク質(例えば、ミオシン軽鎖等)を含む「共通の進化起源」を保有するタンパク質の間の関係を指す(Reeck et al., Cell 50:667 (1987))。そのようなタンパク質(およびそれらのコード遺伝子)は、高度の配列類似性により反映されるように、配列相同性を有する。しかしながら、一般的慣習および本願において、「相同」という用語は、「高度に」のような副詞により修飾された時、共通の進化起源ではなく配列類似性を指す場合もある。
【0103】
したがって、全ての文法形の「配列類似性」という用語は、共通の進化起源を共有してもよく、または共有しなくてもよいタンパク質の核酸配列またはアミノ酸配列の間の同一性または一致の程度を指す(Reeck et al., Cell 50:667 (1987)を参照のこと)。一つの態様において、ヌクレオチドの少なくとも約50%(例えば、少なくとも約75%、90%、または95%)がDNA配列の明確な長さにわたりマッチする場合、その二つのDNA配列は、「実質的に相同である」か、または「実質的に類似している」。実質的に相同な配列は、配列データバンクにおいて入手可能な標準的なソフトウェアを使用して、または、例えば、特定のシステムについて画定されるようなストリンジェントな条件の下でのサザンハイブリダイゼーション実験において、配列を比較することにより同定され得る。適切なハイブリダイゼーション条件を画定することは、当技術分野の技術の範囲内にある(例えば、Sambrook et al., 1989 (前記)を参照のこと)。
【0104】
本明細書において使用されるように、「実質的に類似した」とは、一つまたは複数のヌクレオチド塩基の変化が、一つまたは複数のアミノ酸の置換をもたらすが、DNA配列によりコードされたタンパク質の機能的特性には影響を与えない核酸断片を指す。「実質的に類似した」とは、一つまたは複数のヌクレオチド塩基の変化が、アンチセンス技術または共抑制技術による遺伝子発現の変更を媒介する核酸断片の能力に影響を与えない核酸断片も指す。「実質的に類似した」とは、得られた転写物の機能的特性に実質的に影響を与えない、一つまたは複数のヌクレオチド塩基の欠失または挿入のような本発明の核酸断片の修飾も指す。したがって、本発明は、具体的な例示的な配列を越えたものを包含することが理解される。提唱される修飾は、各々、十分に当技術分野における通例の技術の範囲内にあり、コードされた産物の生物学的活性の保持の決定も同様である。
【0105】
さらに、当業者は、本発明に包含される実質的に類似した配列が、本明細書に例示された配列と、ストリンジェントな条件(0.1×SSC、0.1%SDS、65℃、および2×SSC、0.1%SDSによる洗浄、続いて0.1×SSC、0.1%SDSによる洗浄)の下でハイブリダイズする能力によっても画定されることを認識する。本発明の実質的に類似した核酸断片は、本明細書に報告された核酸断片のDNA配列と、少なくとも約70%、80%、90%、または95%同一のDNA配列を有する核酸断片である。
【0106】
アミノ酸の約40%超が同一であるか、または60%超が類似している(機能的に同一である)場合、その二つのアミノ酸配列は、「実質的に相同である」か、または「実質的に類似している」。好ましくは、類似しているか、または相同である配列は、例えば、GCG(Genetics Computer Group, Program Manual for the GCG Package, Version 7, Madison, Wisconsin)パイルアッププログラムを使用したアラインメントにより同定される。
【0107】
「に相当する」という用語は、正確な位置が、類似性または相同性が測定される分子と同一であるか、または異なっているかに関わらず、類似しているかまたは相同である配列を指すために本明細書において使用される。核酸配列またはアミノ酸配列のアラインメントはスペースを含むことができる。したがって、「に相当する」という用語は、配列類似性を指し、アミノ酸残基またはヌクレオチド塩基の番号付けを指すものではない。
【0108】
アミノ酸配列またはヌクレオチド配列の「実質的な部分」は、当業者による手動的な配列の評価により、またはBLAST(Basic Local Alignment Search Tool;Altschul et al, J. Mol. Biol. 275:403 (1993);ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/において入手可能)のようなアルゴリズムを使用したコンピューター自動配列比較および同定のいずれかにより、そのポリペプチドまたは遺伝子を推定的に同定するために十分なポリペプチドのアミノ酸配列または遺伝子のヌクレオチド配列を含む。一般に、ポリペプチド配列または核酸配列が、公知のタンパク質または遺伝子に相同であることを推定的に同定するためには、10個以上の連続アミノ酸または30個以上のヌクレオチドの配列が必要である。さらに、ヌクレオチド配列に関して、20〜30個の連続ヌクレオチドを含む遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブが、遺伝子の同定(例えば、サザンハイブリダイゼーション)および単離(例えば、細菌コロニーまたはバクテリオファージプラークのインサイチューハイブリダイゼーション)の配列依存的な方法において使用され得る。さらに、12〜15塩基の短いオリゴヌクレオチドが、プライマーを含む特定の核酸断片を入手するために、PCRにおける増幅プライマーとして使用され得る。したがって、ヌクレオチド配列の「実質的な部分」は、配列を含む核酸断片を特異的に同定し、かつ/または単離するために十分な配列を含む。
【0109】
「同一率」という用語は、当技術分野において公知であるように、配列を比較することにより決定されるような、二つ以上のポリペプチド配列または二つ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係である。当技術分野において、「同一性」とは、状況に応じて、そのような配列のストリングの間のマッチにより決定されるような、ポリペプチド配列間またはポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度も意味する。「同一性」および「類似性」は、Computational Molecular Biology (Lesk, A. M., ed.) Oxford University Press, New York (1988);Biocomputing: Informatics and Genome Projects (Smith, D. W., ed.) Academic Press, New York (1993);Computer Analysis of Sequence Data, Part I (Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds.) Humana Press, New Jersey (1994);Sequence Analysis in Molecular Biology (von Heinje, G., ed.) Academic Press (1987);およびSequence Analysis Primer (Gribskov, M. and Devereux, J., eds.) Stockton Press, New York (1991)に記載されたものを含む(これらに限定はされない)公知の方法によって容易に計算され得る。同一性を決定するための好ましい方法は、試験された配列間の最適のマッチを与えるように設計されている。同一性および類似性を決定する方法は、公に入手可能なコンピュータプログラムにおいて分類される。配列アラインメントおよび同一率計算は、LASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイート(DNASTAR Inc., Madison, WI)のMegalignプログラムのような配列分析ソフトウェアを使用して実施され得る。配列の多重アラインメントは、デフォルトパラメーター(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)を用いて、アラインメントのClustal法(Higgins et al., CABIOS. 5:151 (1989))を使用して実施され得る。Clustal法を使用したペアアラインメントのためのデフォルトパラメーターが選択され得る:KTUPLE 1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5、DIAGONALS SAVED=5。
【0110】
「配列分析ソフトウェア」という用語は、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の分析のために有用なコンピューターアルゴリズムまたはソフトウェアプログラムを指す。「配列分析ソフトウェア」は、市販されているものであってもよく、または独自に開発されてもよい。典型的な配列分析ソフトウェアには、GCGプログラムスイート(Wisconsin Package Version 9.0, Genetics Computer Group (GCG), Madison, WI)、BLASTP、BLASTN、BLASTX (Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403 (1990))、およびDNASTAR (DNASTAR, Inc. 1228 S. Park St. Madison, WI 53715 USA)が含まれるが、これらに限定はされない。本願に関して、配列分析ソフトウェアが分析のために使用される場合、分析の結果は、特記しない限り、参照されたプログラムの「デフォルト値」に基づくであろうことが理解される。本明細書において使用されるように、「デフォルト値」とは、最初に初期化された時、ソフトウェアと共に最初にロードする値またはパラメーターのセットを意味する。
【0111】
DNAの配列に関して「化学合成された」とは、成分ヌクレオチドがインビトロで組み立てられたことを意味する。DNAの手動的な化学合成が、十分に確立された手法を使用して達成されてもよく、または自動化された化学合成が、多数の市販の機械のうちの一つを使用して実施されてもよい。したがって、遺伝子は、宿主細胞のコドンバイアスを反映するヌクレオチド配列の最適化に基づき、最適の遺伝子発現のために調整され得る。コドン使用頻度が宿主が好むコドンに偏っている場合、遺伝子発現の成功の可能性が高いことを当業者は認識する。好ましいコドンの決定は、配列情報が入手可能な場合には、宿主細胞に由来する遺伝子の調査に基づき得る。
【0112】
本明細書において使用されるように、二つ以上の個々に機能性の遺伝子調節システムは、(a)選ばれた濃度のそれぞれのリガンドによる所定のシステムの各々のモジュレーションが、そのシステムの遺伝子の発現の大きさの測定可能な変化をもたらし、かつ(b)その変化が、実際のモジュレーションの同時性または連続性に関わらず、細胞、組織、または生物において同時に機能性の全ての他のシステムの発現の変化とは統計的に有意に異なる場合、「直交(orthogonal)」であると言われる。好ましくは、個々に機能性の遺伝子調節システムの各々のモジュレーションは、細胞、組織、または生物における全ての他の機能性のシステムの少なくとも2倍、例えば、少なくとも5倍、10倍、100倍、または500倍大きな遺伝子発現の変化をもたらす。理想的には、選ばれた濃度のそれぞれのリガンドによる所定のシステムの各々のモジュレーションは、そのシステムの遺伝子の発現の大きさの測定可能な変化をもたらし、細胞、組織、または生物において機能性の全ての他のシステムの発現の測定可能な変化をもたらさない。そのような場合、複数の誘導可能な遺伝子調節システムは、「完全に直交」であると言われる。本発明は、参照により本明細書に完全に組み入れられるUS 2002/0110861 A1に記載されたもののような直交のリガンドおよび直交の受容体に基づく遺伝子発現システムを検索するために有用である。
【0113】
「外因性遺伝子」という用語は、対象にとって外来の遺伝子、即ち、形質転換過程を通して対象へ導入された遺伝子、内因性の変異型遺伝子の非変異型バージョン、または内因性の非変異型遺伝子の変異型バージョンを意味する。形質転換の方法は、本発明にとって重大でなく、当業者に公知の対象のために適している任意の方法であり得る。外因性遺伝子は、天然遺伝子または合成遺伝子のいずれかであり得、DNA、または逆転写酵素等によりDNA中間体を通して機能し得るRNAの形態で対象へ導入される治療用遺伝子であり得る。そのような遺伝子は、標的細胞へ導入されるか、対象へ直接導入されるか、または形質転換細胞の対象への移入により間接的に導入され得る。「治療用遺伝子」という用語は、そのような遺伝子が発現される宿主細胞に有益な機能を付与する遺伝子を意味する。
【0114】
「エクジソン受容体複合体」という用語は、一般に、核内受容体ファミリーの少なくとも二つのメンバー、エクジソン受容体(「EcR」)タンパク質およびウルトラスピラクル(ultraspiracle)(「USP」)タンパク質を有するヘテロ二量体タンパク質複合体を指す(Yao et al., Nature 366:476 (1993));Yao et al., Cell 77:63 (1992)を参照のこと)。機能性のEcR複合体は、イムノフィリンのような付加的なタンパク質も含み得る。(DHR38、βFTZ-1、またはその他の昆虫ホモログのような)転写因子として公知のタンパク質の核内受容体ファミリーの付加的なメンバーも、EcRおよび/またはUSPのためのリガンド依存性またはリガンド非依存性のパートナーであり得る。EcR複合体は、EcRタンパク質と、ウルトラスピラクルタンパク質の脊椎動物ホモログ、レチノイン酸-X受容体(「RXR」)タンパク質とのヘテロ二量体であってもよい。EcR複合体という用語には、EcRタンパク質またはUSPのホモダイマー複合体も包含される。
【0115】
EcR複合体は、EcRを含むが、複合体の他のタンパク質を除外はしない、複合体のタンパク質のうちの一つに結合した活性エクジステロイドまたは非ステロイド性リガンドにより活性化され得る。本明細書において使用されるように、EcRに基づく遺伝子スイッチに適用されるような「リガンド」という用語は、その中にコードされたポリペプチドの発現を刺激するために遺伝子スイッチを活性化する能力を有する可溶性の低分子を記載する。リガンドの例には、非限定的に、エクジソン、20-ヒドロキシエクジソン、ポナステロンA、ムリステロンA等のようなエクジステロイド、9-シス-レチノイン酸、レチノイン酸の合成アナログ、米国特許第6,013,836号;第5,117,057号;第5,530,028号、および第5,378,726号、ならびに米国特許出願公開第2005/0209283号および第2006/0020146号に開示されたもののようなN,N'-ジアシルヒドラジン類;米国特許出願公開第2004/0171651号に記載されたようなオキサジアゾリン類;欧州特許出願第461,809号に開示されたもののようなジベンゾイルアルキルシアノヒドラジン類;米国特許第5,225,443号に開示されたもののようなN-アルキル-N,N'-ジアロイルヒドラジン類;欧州特許出願第234,994号に開示されたもののようなN-アシル-N-アルキルカルボニルヒドラジン類;米国特許第4,985,461号に記載されたもののようなN-アロイル-N-アルキル-N'-アロイルヒドラジン類;米国特許出願公開第2004/0049037号に記載されたもののようなアミドケトン類;(各々、参照により本明細書に組み入れられる)、ならびに3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-N-イソブチル-ベンズアミド、8-O-アセチルハルパギド(acetylharpagide)、オキシステロール類、22(R)ヒドロキシコレステロール、24(S)ヒドロキシコレステロール、25-エポキシコレステロール、T0901317、5-α-6-α-エポキシコレステロール-3-スルフェート(ECHS)、7-ケトコレステロール-3-スルフェート、ファメソール(famesol)、胆汁酸、1,1-ビホスホネートエステル、幼若ホルモンIII等を含むその他の類似した材料が含まれる。本発明において有用なジアシルヒドラジンリガンドの例には、RG-115819(3,5-ジメチル-安息香酸N-(1-エチル-2,2-ジメチル-プロピル)-N'-(2-メチル-3-メトキシ-ベンゾイル)-ヒドラジド)、RG-115830(3,5-ジメチル-安息香酸N-(1-tert-ブチル-ブチル)-N'-(2-エチル-3-メトキシ-ベンゾイル)-ヒドラジド)、およびRG-115932((R)-3,5-ジメチル-安息香酸N-(1-tert-ブチル-ブチル)-N'-(2-エチル-3-メトキシ-ベンゾイル)-ヒドラジド)が含まれる。米国特許出願第12/155,111号を参照のこと。
【0116】
EcR複合体には、核内受容体スーパーファミリーのメンバーであるタンパク質が含まれる。核内受容体スーパーファミリーのメンバーは、全て、アミノ末端トランス活性化ドメイン(「TA」)、DNA結合ドメイン(「DBD」)、およびヒンジ領域により分離されたリガンド結合ドメイン(「LBD」)の存在を特徴とする。ファミリーのいくつかのメンバーは、LBDのカルボキシ末端側に別のトランス活性化ドメインも有し得る。DBDは、エクジソン応答エレメントの特異性を付与する二つのアミノ酸モチーフ、P-ボックスおよびD-ボックスが間にある、二つのシステインジンクフィンガーの存在を特徴とする。これらのドメインは、ネイティブであってもよく、修飾されていてもよく、または異種受容体タンパク質の異なるドメインのキメラであってもよい。
【0117】
外因性遺伝子、応答エレメント、およびEcR複合体を構成するDNA配列は、古細菌、大腸菌、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、もしくはその他の腸内細菌のような原核細胞、または植物細胞もしくは動物細胞のような真核細胞に組み入れられ得る。しかしながら、遺伝子が発現するタンパク質の多くは、細菌において不正確にプロセシングされるため、真核細胞が好ましい。細胞は、単細胞または多細胞生物の形態であり得る。外因性遺伝子、応答エレメント、および受容体複合体のヌクレオチド配列も、RNA分子として、好ましくは、タバコモザイクウイルスのような機能性ウイルスRNAの形態で組み入れられ得る。脊椎動物細胞は、EcRのための本発明のリガンドに対する応答を付与する分子を天然に欠くため、真核細胞の中でも、脊椎動物細胞が好ましい。結果として、それらは本発明のリガンドに「実質的に非感受性」である。したがって、本発明において有用なリガンドは、形質転換細胞または完全生物に対する無視し得る程度の生理学的なまたはその他の効果を有すると考えられる。したがって、リガンド自体の存在に実質的に影響されずに、細胞が増殖し、所望の産物を発現することができる。
【0118】
「対象」という用語は、完全な昆虫、植物、または動物を意味する。対象が真菌または酵母である場合にも、同等に良好にリガンドが作動するであろうことも予想される。対象が、完全な動物である場合、好ましくは、動物は脊椎動物であり、最も好ましくは哺乳動物である。
【0119】
EcRリガンドは、外因性遺伝子(例えば、レポーター遺伝子)に連結された応答エレメントと結合するEcR複合体と共に使用された場合、外因性遺伝子の発現の外的な時間的調節のための手段を提供する。様々な成分が相互に結合する順序、即ち、リガンドと受容体複合体との結合、および受容体複合体と応答エレメントとの結合の順序は、重大でない。典型的には、外因性遺伝子の発現のモジュレーションは、特異的な制御DNAエレメントまたは調節DNAエレメントとのEcR複合体の結合に応答して起こる。EcRタンパク質は、核内受容体ファミリーのその他のメンバーと同様に、少なくとも三つのドメイン、トランス活性化ドメイン、DNA結合ドメイン、およびリガンド結合ドメインを保有している。この受容体は、核内受容体ファミリーのサブセットと同様に、ヘテロ二量体化特性を担う十分に明確ではない領域も保有している。USPタンパク質またはRXRタンパク質とのヘテロ二量体化の後、EcRタンパク質のリガンド結合ドメインへのリガンドの結合によって、ヘテロ二量体タンパク質のDNA結合ドメインが、活性化された型の応答エレメントに結合することが可能となり、したがって、外因性遺伝子の発現または抑制をもたらす。この機序は、EcRまたはUSPのいずれかとのリガンドの結合およびその結果としての活性ホモ二量体複合体(例えば、EcR+EcRまたはUSP+USP)の形成の可能性を排除するものではない。一つの態様において、キメラ遺伝子スイッチを作製する受容体ドメインのうちの一つまたは複数は、変動し得る。典型的には、キメラ受容体が、トランス活性化活性、リガンドの相補的結合、および特異的な応答エレメントの認識のために、選ばれた宿主細胞または生物において最適化されるように、三つのドメインのうちの一つまたは複数が、他のドメインの起源とは異なる起源から選ばれてもよい。さらに、応答エレメント自体が、キメラEcR複合体を提供するために、修飾されてもよく、または酵母由来のGAL-4タンパク質(Sadowski et al., Nature 335:563 (1988)を参照のこと)もしくは大腸菌由来のLexAタンパク質(Brent et al., Cell 43:729 (1985)を参照のこと)のようなその他のDNA結合タンパク質ドメインのための応答エレメントに置換されてもよい。キメラシステムの別の利点は、所望の最終結果に応じて、外因性遺伝子を駆動するために使用されるプロモーターを選択することを可能にするという点である。そのような二重制御は、発現のタイミングと、発現が起こる細胞の両方が制御され得るため、特に遺伝子治療の分野において、特に細胞障害性タンパク質が産生される場合に重要であり得る。適当なプロモーターに機能的に連結された外因性遺伝子が対象の細胞へ導入される場合、外因性遺伝子の発現は、本発明のリガンドの存在により制御される。プロモーターは、構成的にもしくは誘導可能に調節され得、または組織特異的(即ち、特定の型の細胞においてのみ発現される)もしくは生物のある種の発生期に特異的であり得る。
【0120】
転写因子およびレポーター遺伝子のような多様なポリペプチドをコードする多数のゲノム配列およびcDNA核酸配列が、当技術分野において周知である。当業者は、事実上全ての公知の遺伝子に関する核酸配列情報を入手可能であり、公的な寄託機関、配列を公開した機関から核酸分子を直接入手するか、または分子を調製するための通例の方法を利用することができる。
【0121】
インビボ使用のため、本明細書に記載されたリガンドは、例えば、溶液、懸濁物、錠剤、カプセル、軟膏、エリキシル、および注射可能組成物のような薬学的に許容される担体に取り込まれ得る。薬学的組成物は、0.01〜99重量%のリガンドを含有し得る。組成物は、単一用量形態または多重用量形態のいずれかであり得る。特定の薬学的組成物の中のリガンドの量は、有効用量、即ち、所望の遺伝子の発現または抑制を誘発するのに必要とされる用量に依ると考えられる。
【0122】
薬学的調製物を投与する適当な経路には、経口、直腸、局所(皮膚、頬側、および舌下を含む)、膣、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、くも膜下腔内、および硬膜外を含む)、ならびに経鼻胃管によるものが含まれる。好ましい投与経路は、診断されている状態に依り、レシピエントの状態のような因子によって変動し得ることが、当業者には理解されると考えられる。
【0123】
本発明の一つの態様は、対象における疾患または障害を診断する方法を含み、該方法は、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(c)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現によって、前記対象が前記疾患、障害、または状態を有することが示される。
【0124】
一つの態様において、診断法は、対象から単離された細胞においてエクスビボで実施される。
【0125】
一つの態様において、診断法は、対象から単離された細胞に本発明の組成物を導入して、改変された細胞を作製し、かつ改変された細胞を前記対象に再導入することにより、実施される。
【0126】
一つの態様において、診断法は、インビボで実施される。
【0127】
異なる態様において、診断法は、対象由来の自己細胞の代わりに、非自己細胞、例えば、対象にとって同種異系または異種の細胞を使用して実施され得る。ポリヌクレオチドは、改変された細胞を作製するために、エクスビボで非自己細胞に導入され、次いで、改変された細胞が対象に導入される。非自己細胞は、非限定的に、(胚性幹細胞または造血幹細胞のような)幹細胞および線維芽細胞を含む、対象への移植後に生存可能な細胞であり得る。
【0128】
本発明の一つの態様は、対象における疾患または障害を診断する方法に関し、該方法は、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を非自己細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞を前記対象に導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現によって、前記対象が前記疾患または障害を有することが示される。
【0129】
一つの態様において、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチド、およびプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、一つのより大きいポリヌクレオチド、例えば、ベクターの一部である。別の態様において、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチド、およびプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、別々のポリヌクレオチドである。
【0130】
診断法が実施される対象は、診断が望まれる任意の対象であり得る。例えば、対象は、疾患または障害の一つまたは複数の症状を示しているものであり得る。対象は、例えば、遺伝的性質、家族歴、または環境的曝露のため、疾患または障害の素因を有するものであってもよい。対象は、例えば、集団における疾患または障害の有病率のスクリーニングの一部としての、一般大衆のメンバーであってもよい。
【0131】
本発明の方法により診断される疾患または障害は、一つまたは複数の診断用スイッチプロモーターが利用可能な疾患または障害であり得る。本発明の方法により診断され得る疾患または障害の例には、非限定的に、過剰増殖疾患(例えば、癌)、心血管疾患、神経疾患、自己免疫疾患、移植片対宿主病、移植片拒絶、骨疾患、胃腸疾患、血液疾患、代謝病、炎症性疾患、および感染が含まれる。
【0132】
本発明の一つの態様は、対象における疾患または障害を診断するための改変された細胞を調製する方法に関し、該方法は、
改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を対象の細胞に導入する工程
を含む。
【0133】
本発明の別の態様は、対象における疾患または障害を診断する方法に関し、該方法は、
(a)前記対象の改変された細胞にリガンドを投与する工程;および
(b)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現によって、前記対象が前記疾患または障害を有することが示され、かつ前記対象の前記改変された細胞は、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を含む。
【0134】
本発明の診断用スイッチプロモーターは、特異的な疾患もしくは障害を診断するために、疾患の進行をモニタリングするために、または処置の有効性もしくは毒性をモニタリングするために有用なプロモーターであり得る。例には、非限定的に、特異的な疾患または障害の時にのみ増加または減少した発現を示す遺伝子のプロモーター、および特異的な細胞条件(例えば、増殖、アポトーシス、pH変化、酸化状態、酸素レベル)の下で増加または減少した発現を示す遺伝子のプロモーターが含まれる。遺伝子スイッチが複数の転写因子配列を含むいくつかの態様において、診断法の特異性は、疾患特異的または状態特異的なプロモーターと、診断測定が起こる組織を制限するための組織特異的または細胞型特異的なプロモーターとの組み合わせにより増加し得る。したがって、組織特異的または細胞型特異的なプロモーターは、診断用スイッチプロモーターの定義に包含される。
【0135】
疾患特異的プロモーターの一例として、癌を診断するための有用なプロモーターには、癌遺伝子のプロモーターが含まれる。癌遺伝子のクラスの例には、成長因子、成長因子受容体、プロテインキナーゼ、プログラム細胞死調節物質、および転写因子が含まれるが、これらに限定はされない。癌遺伝子の具体例には、sis、erb B、erb B-2、ras、abl、myc、およびbcl-2、およびTERTが含まれるが、これらに限定はされない。その他の癌に関係のある遺伝子の例には、腫瘍関連抗原遺伝子、および腫瘍性細胞において過剰発現されるその他の遺伝子(例えば、MAGE-1、癌胎児性抗原、チロシナーゼ、前立腺特異抗原、前立腺特異膜抗原、p53、MUC-1、MUC-2、MUC-4、HER-2/neu、T/Tn、MART-1、gp100、GM2、Tn、sTn、およびトンプソン・フリーデンライヒ(Thompson-Friedenreich)抗原(TF))が含まれる。
【0136】
当技術分野において公知であり、本発明における診断用スイッチプロモーターとして有用なプロモーター配列およびその他の調節エレメント(例えば、エンハンサー)の例は、各プロモーターに関連した疾患/障害(表1)または組織特異性(表2)と共に表1および2に列挙された参照に開示されている。これらの参照に開示されたプロモーター配列は、参照により本明細書に完全に組み入れられる。
【0137】
【表1】



【0138】
【表2】


【0139】
特異的な疾患または障害の時に発現レベルの変化を示し、したがって、本発明において有用なその他の遺伝子には、非限定的に、表3に(関連する疾患/障害と共に)列挙された遺伝子が含まれる。
【0140】
【表3】









【0141】
疾患または障害の時にモジュレートされる発現パターンを有する遺伝子が同定されたなら、その遺伝子のプロモーターが、本発明の遺伝子スイッチにおいて使用され得る。プロモーター領域を含む多くの遺伝子の配列が、当技術分野において公知であり、公的なデータベース、例えば、GenBankにおいて入手可能である。したがって、適切な遺伝子が同定されたなら、プロモーター配列は容易に同定され入手され得る。本発明の別の局面は、単離され、遺伝子スイッチに置かれ得るプロモーターを有する適当な遺伝子の同定に関する。したがって、プロモーターが単離され、その後の状況または環境において使用され得る限り、遺伝子の同一性は本発明の特異的な態様にとって重大ではないこともある。したがって、本発明は、未だ同定されていない遺伝子に由来するプロモーターの使用を含む。適当な遺伝子が同定された後、プロモーター機能のために必要とされる遺伝子配列を決定することは、通例の技術または実験法の問題であり得る。実際、関心対象の遺伝子のプロモーター領域の決定を支援するためのいくつかの市販のプロトコルが存在する。例として、Dingらは、最近、ヒトSprouty4遺伝子の5'隣接配列を漸進的に欠失させることにより、新規のSprouty4遺伝子のプロモーター配列を解明した(参照により組み入れられるAm. J. Physiol. Lung Cell. Mol. Physiol. 287:L52 (2004))。簡単に説明すると、転写開始部位を決定した後、一方向に5'隣接セグメントのセグメントをクローニングするために一般的なPCRプライマーを使用してPCR断片を作成した。ヒトSprouty4遺伝子のプロモーター領域を決定するために、作成されたセグメントを、ルシフェラーゼレポーターベクターへクローニングし、ルシフェラーゼ活性を測定した。
【0142】
遺伝子プロモーターを取得しバリデートするためのプロトコルの別の例は、以下の工程を含む:(1)類似/同一組織型の疾患細胞/組織試料および非疾患細胞/組織試料を取得する工程;(2)試料から全RNAまたはmRNAを単離する工程;(3)疾患RNAおよび非疾患RNAのディファレンシャルマイクロアレイ分析を実施する工程;(4)候補疾患特異的転写物を同定する工程;(5)疾患特異的転写物に関連したゲノム配列を同定する工程;(6)疾患特異的転写物の予測された転写開始部位の上流および下流のDNA配列を取得または合成する工程;(7)工程6からの種々の長さのDNAを使用して、プロモーターレポーターベクターを設計し作製する工程;ならびに(8)疾患細胞/組織および非疾患細胞/組織のみならず、無関係な細胞/組織においてもプロモーターレポーターベクターを試験する工程。
【0143】
遺伝子スイッチに挿入されるプロモーターの起源は、天然であってもよく、または合成であってもよく、プロモーターの起源は、本明細書に記載された本発明の範囲を限定するべきでない。換言すると、プロモーターは、細胞から直接クローニングされてもよく、またはプロモーターは異なる起源から以前にクローニングされていてもよく、またはプロモーターは合成されてもよい。
【0144】
遺伝子スイッチは、特異的リガンドの添加または除去により遺伝子発現を調節する遺伝子スイッチであり得る。一つの態様において、遺伝子スイッチは、遺伝子発現のレベルが、存在するリガンドのレベルに依存性であるものである。本発明の遺伝子スイッチにおいて使用され得るリガンド依存性転写因子の例には、非限定的に、それぞれのリガンド(例えば、グルココルチコイド、エストロゲン、プロゲスチン、レチノイド、エクジソン、ならびにそれらのアナログおよび模倣体)により活性化される核内受容体スーパーファミリーのメンバー、ならびにテトラサイクリンにより活性化されるrTTAが含まれる。本発明の一つの局面において、遺伝子スイッチは、EcRに基づく遺伝子スイッチである。そのようなシステムの例には、非限定的に、米国特許第6,258,603号、第7,045,315号、米国特許出願公開第2006/0014711号、第2007/0161086号、および国際公開公報番号WO 01/70816に記載されたシステムが含まれる。キメラエクジソン受容体システムの例は、米国特許第7,091,038号、米国特許出願公開第2002/0110861号、第2004/0033600号、第2004/0096942号、第2005/0266457号、および第2006/0100416号、ならびに国際公開公報番号WO 01/70816、WO 02/066612、WO 02/066613、WO 02/066614、WO 02/066615、WO 02/29075、およびWO 2005/108617(これらは、各々、参照により完全に組み入れられる)に記載されている。非ステロイド性エクジソンアゴニストにより調節されるシステムの例は、RheoSwitch(登録商標)Mammalian Inducible Expression System(New England Biolabs, Ipswich, MA)である。
【0145】
一つの態様において、遺伝子スイッチは、診断用スイッチプロモーターの制御下でリガンド依存性転写因子をコードする単一の転写因子配列を含む。転写因子配列は、天然に存在する転写因子または人工転写因子であるリガンド依存性転写因子をコードし得る。人工転写因子は、例えば、配列の変異により、または異なる転写因子に由来するドメインを組み合わせることにより、転写因子の天然の配列が変更されたものである。一つの態様において、転写因子は、グループH核内受容体LBDを含む。一つの態様において、グループH核内受容体LBDは、EcR、遍在性の受容体、オーファン受容体1、NER-1、ステロイドホルモン核内受容体1、レチノイドX受容体相互作用タンパク質-15、肝臓X受容体β、ステロイドホルモン受容体様タンパク質、肝臓X受容体、肝臓X受容体α、ファルネソイドX受容体、受容体相互作用タンパク質14、またはファルネソール受容体に由来する。別の態様において、グループH核内受容体LBDはエクジソン受容体に由来する。
【0146】
EcRおよびその他のグループH核内受容体は、核内受容体スーパーファミリーのメンバーである。核内受容体スーパーファミリーのメンバーは、全て、アミノ末端トランス活性化ドメイン(TD)、DNA結合ドメイン(DBD)、およびヒンジ領域によりDBDから分離されたLBDの存在を一般に特徴とする。本明細書において使用されるように、「DNA結合ドメイン」という用語は、DNA結合ドメインが特定の応答エレメントと会合するように機能する限り、DNA結合タンパク質の最小ポリペプチド配列から、DNA結合タンパク質の全長までを含む。核内受容体スーパーファミリーのメンバーは、四つまたは五つのドメイン、A/B、C、D、Eの存在、およびいくつかのメンバーにおけるFの存在も特徴とする(米国特許第4,981,784号およびEvans, Science 240:889 (1988)を参照のこと)。「A/B」ドメインはトランス活性化ドメインに相当し、「C」はDNA結合ドメインに相当し、「D」はヒンジ領域に相当し、「E」はリガンド結合ドメインに相当する。ファミリーのいくつかのメンバーは、LBDのカルボキシ末端側に「F」に相当する別のトランス活性化ドメインも有し得る。
【0147】
DBDは、応答エレメントの特異性を付与する二つのアミノ酸モチーフ、P-ボックスおよびD-ボックスが間にある、二つのシステインジンクフィンガーの存在を特徴とする。これらのドメインは、ネイティブであってもよく、修飾されていてもよく、または異種の受容体タンパク質の異なるドメインのキメラであってもよい。EcRは、核内受容体ファミリーのサブセットと同様に、ヘテロ二量体化特性を担う、十分には明確でない領域も保有している。核内受容体のドメインはモジュール性であるため、LBD、DBD、およびTDは、交換され得る。
【0148】
別の態様において、転写因子は、TD、発現がモジュレートされるレポーター遺伝子に関連した応答エレメントを認識するDBD;およびグループH核内受容体LBDを含む。ある種の態様において、グループH核内受容体LBDは置換変異を含む。
【0149】
別の態様において、遺伝子スイッチは、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質は、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する(即ち、「二重スイッチ」または「ツーハイブリッド」に基づく遺伝子スイッチ)。第一および第二の診断用スイッチプロモーターは、同一であってもよく、または異なっていてもよい。この態様において、レポーター遺伝子発現のために必要とされる遺伝子スイッチにおける二つの異なる診断用スイッチプロモーターの存在は、診断法の特異性を増強する(図3を参照のこと)。図3は、単に適切な診断用スイッチプロモーターを挿入することにより、疾患または障害を検出する診断用の遺伝子スイッチを修飾することが可能であることも証明している。
【0150】
さらなる態様において、第一の転写因子配列は、診断用スイッチプロモーター(例えば、図1中のP2またはP3)の制御下にあり、第二の転写因子配列は、構成性プロモーター(例えば、図1中のP1)の制御下にある。この態様において、リガンド依存性転写因子の一つの部分は、構成的に存在し、もう一つの部分は、対象が疾患または障害を有する場合にのみ合成されると考えられる。
【0151】
別の態様において、第一の転写因子配列は、第一の診断用スイッチプロモーター(例えば、図2中のP1)の制御下にあり、二つまたはそれ以上の異なる第二の転写因子配列は、異なる診断用スイッチプロモーター(例えば、図2中のP2およびP3)の制御下にある。この態様において、第二の転写因子配列の各々は、異なる誘導性プロモーター配列を認識する異なるDBDを有し得る(例えば、DBD-Aは誘導性プロモーターAに結合し、DBD-Bは誘導性プロモーターBに結合する)。誘導性プロモーターの各々は、独特のシグナルを生じる異なるレポーター遺伝子に機能的に連結され得る。この様式においては、複数の分析を同時に行うことができ、または二つ以上の可能性のある疾患を差次的に診断することができる。
【0152】
一つの態様において、第一の転写因子配列は、TD、発現がモジュレートされるレポーター遺伝子に関連した応答エレメントを認識するDBD;およびグループH核内受容体LBDを含むポリペプチドをコードし、第二の転写因子配列は、脊椎動物RXR LBD、無脊椎動物RXR LBD、ウルトラスピラクルタンパク質LBD、および二つのポリペプチド断片(第一のポリペプチド断片は、脊椎動物RXR LBD、無脊椎動物RXR LBD、またはウルトラスピラクルタンパク質LBDに由来し、第二のポリペプチド断片は、異なる脊椎動物RXR LBD、無脊椎動物RXR LBD、またはウルトラスピラクルタンパク質LBDに由来する)を含むキメラLBDからなる群より選択される核内受容体LBDを含む転写因子をコードする。
【0153】
別の態様において、遺伝子スイッチは、核内受容体LBD、および発現がモジュレートされるレポーター遺伝子に関連した応答エレメントを認識するDBDを含む第一のポリペプチドをコードする第一の転写因子配列、ならびにTDおよび核内受容体LBDを含む第二のポリペプチドをコードする第二の転写因子配列を含み、ここで、核内受容体LBDのうちの一つはグループH核内受容体LBDである。好ましい態様において、第一のポリペプチドは、TDを実質的に含まず、第二のポリペプチドはDBDを実質的に含まない。本発明の目的のための、「実質的に含まない」とは、問題のタンパク質が、活性化または結合活性を提供するために十分な問題のドメインの配列を含有していないことを意味する。
【0154】
本発明の別の局面において、第一の転写因子配列は、ヘテロ二量体パートナーおよびTDを含むタンパク質をコードし、第二の転写因子配列は、DBDおよびLBDを含むタンパク質をコードする。
【0155】
一つの核内受容体LBDのみがグループH LBDである場合、他方の核内受容体LBDは、グループH LBDと二量体を形成する他の任意の核内受容体に由来し得る。例えば、グループH核内受容体LBDがEcR LBDである場合、他方の核内受容体LBD「パートナー」は、EcR、脊椎動物RXR、無脊椎動物RXR、ウルトラスピラクルタンパク質(USP)、または脊椎動物RXR、無脊椎動物RXR、およびUSPからなる群より選択される少なくとも二つの異なる核内受容体LBDポリペプチド断片を含むキメラ核内受容体に由来し得る(参照により本明細書に完全に組み入れられるWO 01/70816A2、国際特許出願番号PCT/US02/05235、およびUS 2004/0096942 A1を参照のこと)。「パートナー」核内受容体リガンド結合ドメインは、さらに、短縮変異、欠失変異、置換変異、または別の修飾を含み得る。
【0156】
一つの態様において、脊椎動物RXR LBDは、ヒト(human)、ヒト(Homo sapiens)、マウス、ハツカネズミ(Mus musculus)、ラット、ドブネズミ(Rattus norvegicus)、ニワトリ(chicken)、ニワトリ(Gallus gallus)、ブタ(pig)、ブタ(Sus scrofa domestica)、カエル、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)、ゼブラフィッシュ(zebrafish)、ゼブラフィッシュ(Danio rerio)、尾索類、ミサキマメイタボヤ(Polyandrocarpa misakiensis)、またはクラゲ、トリペダリア・シソホラ(Tripedalia cysophora)のRXRに由来する。
【0157】
一つの態様において、無脊椎動物RXRリガンド結合ドメインは、バッタ(locust)、トノサマバッタ(Locusta migratoria)のウルトラスピラクルポリペプチド(「LmUSP」)、マダニ、アムブリオンマ・アメリカナム(Amblyomma americanum)のRXRホモログ1(「AmaRXR1」)、マダニ、アムブリオンマ・アメリカナムのRXRホモログ2(「AmaRXR2」)、シオマネキ、セルカ・プギレーター(Celuca pugilator)のRXRホモログ(「CpRXR」)、甲虫、チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)のRXRホモログ(「TmRXR」)、ミツバチ、セイヨウミツバチ(Apis mellifera)のRXRホモログ(「AmRXR」)、アブラムシ、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)のRXRホモログ(「MpRXR」)、または非双翅目/非鱗翅目のRXRホモログに由来する。
【0158】
一つの態様において、キメラRXR LBDは、脊椎動物種RXRポリペプチド断片、無脊椎動物種RXRポリペプチド断片、および非双翅目/非鱗翅目無脊椎動物種RXRホモログポリペプチド断片からなる群より選択される少なくとも二つのポリペプチド断片を含む。本発明において使用するためのキメラRXRリガンド結合ドメインは、少なくとも二つの異なる種のRXRポリペプチド断片を含んでいてもよく、または、種が同一である場合、二つ以上のポリペプチド断片は、その種のRXRポリペプチド断片の二つ以上の異なるアイソフォームに由来してもよい。
【0159】
一つの態様において、キメラRXRリガンド結合ドメインは、一つの脊椎動物種RXRポリペプチド断片および一つの無脊椎動物種RXRポリペプチド断片を少なくとも含む。
【0160】
別の態様において、キメラRXRリガンド結合ドメインは、一つの脊椎動物種RXRポリペプチド断片および一つの非双翅目/非鱗翅目無脊椎動物種RXRホモログポリペプチド断片を少なくとも含む。
【0161】
リガンドは、レポーター遺伝子に連結された応答エレメントに結合している核内受容体のLBDと組み合わせられた場合、レポーター遺伝子の発現の外的な時間的調節を提供する。結合機序、または本発明の様々な成分が相互に結合する順序、即ち、例えば、リガンドのLBDとの結合、DBDの応答エレメントとの結合、TDのプロモーターとの結合等の順序は、重大でない。
【0162】
具体的な例において、リガンドの、グループH核内受容体のLBDおよびその核内受容体LBDパートナーとの結合は、レポーター遺伝子の発現を可能にする。この機序は、リガンドの、グループH核内受容体(GHNR)またはそのパートナーとの結合、およびその結果としての活性ホモダイマー複合体(例えば、GHNR+GHNRまたはパートナー+パートナー)の形成の可能性を排除しない。好ましくは、ハイブリッド遺伝子スイッチを作製する受容体ドメインのうちの一つまたは複数は変動する。典型的には、三つのドメイン、DBD、LBD、およびTDのうちの一つまたは複数は、ハイブリッド遺伝子およびその結果として生じるハイブリッドタンパク質が、トランス活性化活性、リガンドの相補的結合、および特異的応答エレメントの認識について、選ばれた宿主細胞または生物において最適化されるよう、他のドメインの起源とは異なる起源から選ばれ得る。さらに、応答エレメント自体が、ハイブリッド受容体を提供するため、修飾されてもよく、または酵母由来のGAL-4タンパク質(Sadowski et al., Nature 335:563 (1988)を参照のこと)もしくは大腸菌由来のLexAタンパク質(Brent et al., Cell 43:729 (1985)を参照のこと)もしくはそのような特異的な相互作用のため設計、修飾、選択されたタンパク質とのターゲティングされた相互作用に特異的な合成応答エレメント(例えば、Kim et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94:3616 (1997)を参照のこと)のような他のDNA結合タンパク質ドメインのための応答エレメントと置換されてもよい。
【0163】
機能性のEcR複合体は、イムノフィリンのような付加的なタンパク質も含み得る。(DHR38またはβFTZ-1のような)転写因子として公知のタンパク質の核内受容体ファミリーの付加的なメンバーも、EcR、USP、および/またはRXRのリガンド依存性またはリガンド非依存性のパートナーであり得る。さらに、(アダプターまたはメディエーターとも呼ばれる)コアクチベーターとして一般に公知のタンパク質のようなその他の補助因子が、必要とされることもある。これらのタンパク質は、DNAに配列特異的に結合せず、基底の転写に関与しない。それらは、アクチベーターのDNA結合の刺激、クロマチン構造への影響、またはアクチベーター-開始複合体相互作用の媒介を含む様々な機序を通して転写活性化に対する効果を発揮し得る。そのようなコアクチベーターの例には、RIP140、TIF1、RAP46/Bag-1、ARA70、SRC-1/NCoA-1、TIF2/GRIP/NCoA-2、ACTR/AIB1/RAC3/pCIPが含まれ、非選択的(promiscuous)コアクチベーターC応答エレメントB結合タンパク質、CBP/p300も含まれる(概説については、Glass et al., Curr. Opin. Cell Biol. 9:222 (1997)を参照のこと)。また、(リプレッサー、サイレンサー、またはサイレンシングメディエーターとしても公知である)コリプレッサーとして一般に公知のタンパク質補助因子が、リガンドの非存在下で転写活性化を効果的に阻害するために必要とされることもある。これらのコリプレッサーは、応答エレメントにおける活性をサイレンシングするため、リガンドが結合していないEcRと相互作用する可能性がある。現在の証拠は、リガンドの結合が受容体のコンフォメーションを変化させ、それが、コリプレッサーの放出および上記コアクチベーターの動員をもたらし、したがって、サイレンシング活性を排除することを示唆している。コリプレッサーの例には、N-CoRおよびSMRTが含まれる(概説については、Horwitz et al., Mol Endocrinol. 10:1167 (1996)を参照のこと)。これらの補助因子は、細胞もしくは生物にとって内因性のものであってもよく、または調節された様式もしくは無調節の様式で発現される導入遺伝子として外因的に添加されてもよい。
【0164】
レポーター遺伝子は、検出可能なタンパク質をコードする任意の遺伝子であり得る。タンパク質は、分泌されてもよく、または分泌されなくてもよい。一つの態様において、タンパク質は、様々な標準的なアッセイ法、例えば、(免疫蛍光抗体のような)イムノアッセイ、比色定量アッセイ、蛍光アッセイ、または発光アッセイを使用してアッセイされ得るものである。適当なレポーター遺伝子の例には、非限定的に、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、チミジンキナーゼ、およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼが含まれる。
【0165】
レポーター遺伝子は、遺伝子スイッチによりコードされたリガンド依存性転写因子のDBDにより認識される少なくとも一つの応答エレメントを含むプロモーターに機能的に連結される。一つの態様において、プロモーターは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10コピー、またはそれ以上の応答エレメントを含む。所望の応答エレメントを含むプロモーターは、天然に存在するプロモーターであってもよく、または当技術分野おいて周知の技術を使用して作出された人工プロモーター、例えば、ミニマルプロモーターに機能的に連結された一つもしくは複数の応答エレメントであってもよい。
【0166】
細胞へポリヌクレオチドを導入するためには、ベクターが使用され得る。ベクターは、例えば、プラスミドベクター、または一本鎖もしくは二本鎖のRNAウイルスベクターもしくはDNAウイルスベクターであり得る。そのようなベクターは、細胞へDNAおよびRNAを導入するための周知の技術により細胞へ導入され得る。ウイルスベクターは複製可能であってもよく、または複製欠損であってもよい。後者の場合、ウイルスの繁殖は、一般に、補完的な宿主細胞においてのみ起こると考えられる。本明細書において使用されるように、「宿主細胞」または「宿主」という用語は、本発明の一つまたは複数のポリヌクレオチドを保持している本発明の細胞を意味するために使用される。
【0167】
したがって、最低でも、ベクターは、本発明のポリヌクレオチドを含んでいなければならない。ベクターのその他の成分には、選択マーカー、クロマチン修飾ドメイン、ベクター上に存在し得るその他のポリペプチド(例えば、致死ポリペプチド)の発現を駆動する付加的なプロモーター、ゲノム組込み部位、組換え部位、および分子挿入ピボットが含まれるが、これらに限定はされない。ベクターは、ベクターが所望の診断法の特定の目標のため調整され得るよう、任意の数のこれらの付加的エレメントを、ポリヌクレオチドの内部または外部のいずれかに含み得る。
【0168】
本発明の一つの態様において、細胞へ導入されるベクターは、さらに、発現された時、本発明の診断用の遺伝子スイッチ構築物が宿主細胞のゲノムへ組み込まれたことを示す「選択マーカー遺伝子」を含む。このように、選択遺伝子はゲノム組込みについての陽性マーカーであり得る。本発明の方法にとって重大ではないが、選択マーカー遺伝子の存在は、ベクター構築物が細胞のゲノムへ組み込まれている生細胞の集団を、実務者が選択することを可能にする。したがって、本発明のある種の態様は、ベクターが成功裡に組み込まれた細胞を選択することを含む。本明細書において使用されるように、「選択する」という用語またはその活用形は、細胞と共に使用された時、特定の遺伝子構成または表現型を有する細胞を選ぶための標準的な周知の方法を意味するものとする。典型的な方法には、G418、ネオマイシン、およびアンピシリンのような抗生物質の存在下で細胞を培養することが含まれるが、これに限定はされない。選択マーカー遺伝子のその他の例には、ジヒドロ葉酸還元酵素、ハイグロマイシン、またはミコフェノール酸に対する耐性を付与する遺伝子が含まれるが、これらに限定はされない。その他の選択法には、選択剤としてチミジンキナーゼ、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、またはアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼの使用を可能にする選択マーカー遺伝子が含まれるが、これらに限定はされない。次いで、抗生物質耐性遺伝子を含むベクター構築物を含む細胞は、培養物中の抗生物質に耐えることができると考えられる。同様に、抗生物質耐性遺伝子を含むベクター構築物を含まない細胞は、培養物中の抗生物質に耐えることができないと考えられる。
【0169】
本明細書において使用されるように、「クロマチン修飾ドメイン」(CMD)とは、DNAインスレーターのような(これに限定はされない)クロマチン構造の維持および/または変更に関連した多様なタンパク質と相互作用するヌクレオチド配列を指す。参照により本明細書に組み入れられるCiavatta et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. U.S.A., 103:9958 (2006)を参照のこと。CMDの例には、ニワトリβ-グロブリンインスレーターおよびニワトリ高感受性部位4(cHS4)が含まれるが、これらに限定はされない。一つまたは複数の遺伝子プログラム(即ち、プロモーター、コード配列、および3'調節領域)の間の異なるCMD配列の使用は、例えば、様々な微生物と組み合わせられた「ミニ相同性アーム」としての差次的なCMD DNA配列の使用、または既存の多重遺伝子シャトルベクターおよび単遺伝子シャトルベクターの間で遺伝子プログラムを「交換する(swap)」ためのインビトロリコンビニアリング(recombineering)技術を容易にすることができる。クロマチン修飾ドメインのその他の例は、当技術分野において公知であるか、または容易に同定され得る。
【0170】
本発明と共に使用するための特定のベクターは、タンパク質またはその一部をコードする発現ベクターである。一般に、そのようなベクターは、発現されるポリヌクレオチドに機能的に連結された、宿主における発現のために有効なシス作用性の制御領域を含む。適切なトランス作用性因子は、宿主により供給されるか、補完ベクターにより供給されるか、または宿主への導入時にベクター自体により供給される。
【0171】
多様な発現ベクターが、タンパク質を発現させるために使用され得る。そのようなベクターには、染色体ベクター、エピソームベクター、およびウイルス由来ベクター、例えば、細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、酵母染色体エレメント、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、バキュロウイルス、SV40のようなパポーバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、およびレトロウイルスのようなウイルスに由来するベクター、ならびにコスミドおよびファージミドのような、プラスミドおよびバクテリオファージの遺伝エレメントに由来するもののような、それらの組み合わせに由来するベクターが含まれる。全てが、本発明のこの局面により、発現のために使用され得る。一般に、これに関して、宿主においてポリヌクレオチドまたはタンパク質を維持するか、繁殖させるか、または発現させるために適当な任意のベクターが、発現のために使用され得る。
【0172】
発現ベクター内のDNA配列は、例えば、mRNA転写を指図するためのプロモーターを含む適切な発現制御配列に機能的に連結される。付加的なプロモーターの代表例には、構成性プロモーターおよび組織特異的プロモーターまたは誘導性プロモーターが含まれるが、これらに限定はされない。構成性真核生物プロモーターの例には、マウスメタロチオネインI遺伝子のプロモーター(Hamer et al., J. Mol. Appl. Gen. 1:273 (1982));ヘルペスウイルスのTKプロモーター(McKnight, Cell 31:355 (1982));SV40初期プロモーター(Benoist et al., Nature 290:304 (1981));およびワクシニアウイルスプロモーターが含まれるが、これらに限定はされない。上記の参照は、全て、参照により本明細書に組み入れられる。タンパク質の発現を駆動するために使用され得るプロモーターの付加的な例には、アルブミンプロモーター(肝細胞)、プロインシュリンプロモーター(膵臓β細胞)等のような、組織特異的プロモーターおよび特定のタンパク質のためのその他の内因性プロモーターが含まれるが、これらに限定はされない。一般に、発現構築物は、転写、開始、および終結のための部位を含有し、転写される領域に、翻訳のためのリボソーム結合部位を含有していると考えられる。構築物により発現される成熟転写物のコード部分は、翻訳されるポリペプチドの最初に翻訳開始AUGを含み、最後に適切に位置付けられた終結コドン(UAA、UGA、またはUAG)を含み得る。
【0173】
さらに、構築物は、発現を調節し発生させる制御領域を含有し得る。一般に、とりわけ、リプレッサー結合部位およびエンハンサーのような、そのような領域は、転写を制御することにより機能すると考えられる。
【0174】
真核生物ベクターの例には、Stratageneより入手可能なpW-LNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、およびpSG;Amersham Pharmacia Biotechより入手可能なpSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVL;ならびにClontechより入手可能なpCMVDsRed2-express、pIRES2-DsRed2、pDsRed2-Mito、pCMV-EGFPが含まれるが、これらに限定はされない。その他の多くのベクターが、周知であり市販されている。
【0175】
遺伝子プログラムのエレメントの迅速な挿入および除去のための分子挿入ピボットを含む、特に有用なベクターは、米国特許出願公開第2004/0185556号、米国特許出願第11/233,246号、および国際公開公報番号WO 2005/040336およびWO 2005/116231(これらは全て参照により組み入れられる)に記載されている。そのようなベクターの例は、参照により本明細書に組み入れられるWO 2007/038276に記載されたような、UltraVector(商標)Production System(Intrexon Corp., Blacksburg, VA)である。本明細書において使用されるように、「遺伝子プログラム」とは、プロモーター(P)、発現配列(E)、および3'調節配列(3)を含む遺伝エレメントの組み合わせであり、したがって、「PE3」が遺伝子プログラムである。遺伝子プログラム内のエレメントは、遺伝子プログラムのエレメントの各々に隣接する分子ピボットの間で容易に交換され得る。分子ピボットとは、本明細書において使用されるように、直線的に配置された少なくとも二つの非可変性の稀少なまたは珍しい制限部位を含むポリヌクレオチドと定義される。一つの態様において、分子ピボットは、直線的に配置された少なくとも三つの非可変性の稀少なまたは珍しい制限部位を含む。典型的には、分子ピボットは、同一遺伝子プログラム内に、他の分子ピボットの稀少なまたは珍しい制限部位を含まないと考えられる。所定の制限酵素が作用する6ヌクレオチド超の同族配列は、「稀少な」制限部位と呼ばれる。しかしながら、統計的に予測されるより低頻度に存在する6bpの制限部位が存在し、これらの部位およびそれらを切断するエンドヌクレアーゼは「珍しい」制限部位と呼ばれる。稀少なまたは珍しい制限酵素の例には、AsiS I、Pac I、Sbf I、Fse I、Asc I、Mlu I、SnaB I、Not I、 Sal I、Swa I、Rsr II、BSiW I、Sfo I、Sgr AI、AflIII、Pvu I、Ngo MIV、Ase I、Flp I、Pme I、Sda I、Sgf I、Srf I、およびSse8781 Iが含まれるが、これらに限定はされない。
【0176】
ベクターは、ホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)酵素と呼ばれる第二のクラスの制限酵素のための制限部位も含み得る。HE酵素は、大きい非対称の制限部位(12〜40塩基対)を有し、それらの制限部位は自然界において稀である。例えば、I-SceIとして公知のHEは、ランダム配列の7×1010塩基対に一回しか存在しないと予測される18bpの制限部位

を有する。この存在率は、哺乳動物ゲノムのサイズの20倍であるゲノムの中のただ一つの部位に等しい。HE部位の稀少性は、HE部位がクローニングベクタープラスミド内の適切な位置に含まれている場合、遺伝子工学者が、遺伝子プログラムの完全性を破壊することなく、遺伝子プログラムを切断することができる可能性を大幅に増加させる。
【0177】
宿主細胞における発現のための適切なベクターおよびプロモーターの選択は、周知の手法であり、ベクターの構築および宿主への導入のために必要な技術も、宿主における発現のために必要な技術も、当技術分野における通例の技術である。
【0178】
細胞へのポリヌクレオチドの導入は、一過性トランスフェクション、安定的トランスフェクションであってもよく、またはベクターの遺伝子座特異的挿入であってもよい。宿主細胞へのベクターの一過性および安定的なトランスフェクションは、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストランにより媒介されるトランスフェクション、陽イオン性脂質により媒介されるトランスフェクション、電気穿孔、形質導入、感染、またはその他の方法によって達成され得る。そのような方法は、参照により本明細書に組み入れられるDavis et al., Basic Methods in Molecular Biology (1986);Keown et al., 1990, Methods Enzymol. 185:527-37;Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, N.Y.のような多くの標準的な実験手引書に記載されている。これらの安定的トランスフェクション法は、細胞のゲノムへのベクターのランダムな挿入をもたらす。さらに、ベクターのコピー数および方向も、概してランダムである。
【0179】
本発明の一つの態様において、ベクターは、ゲノム内のバイオニュートラル(bio-neutral)部位に挿入される。バイオニュートラル部位とは、ポリヌクレオチドの挿入が細胞の正常な機能に、もし干渉したとしても、ほとんど干渉しないゲノム内の部位である。バイオニュートラル部位は入手可能なバイオインフォマティクスを使用して分析され得る。多くのバイオニュートラル部位、例えば、ROSA等価遺伝子座(ROSA-equivalent locus)が、当技術分野において公知である。その他のバイオニュートラル部位は、当技術分野において周知の通例の技術を使用して同定され得る。ゲノム挿入部位の特徴決定は、当技術分野において公知の方法を使用して実施される。ベクターを細胞へ導入する時、ポリヌクレオチドの位置、コピー数、および/または方向を制御するため、遺伝子座特異的挿入の方法が使用され得る。遺伝子座特異的挿入の方法は、当技術分野において周知であり、相同組換えおよびリコンビナーゼにより媒介されるゲノム挿入を含むが、これらに限定はされない。当然、遺伝子座特異的挿入法を本発明の方法において使用する場合、ベクターは、相同組換えのような(これに限定はされない)この遺伝子座特異的挿入を支援するエレメントを含み得る。例えば、ベクターは、1、2、3、4個、またはそれ以上のゲノム組込み部位(GIS)を含み得る。本明細書において使用されるように、「ゲノム組込み部位」とは、ゲノムへのベクターの挿入を可能にする、ヌクレオチド配列が細胞内のゲノムの部分と同一またはほぼ同一であるベクター配列の部分と定義される。特に、ベクターは、ポリヌクレオチドに少なくとも隣接する二つのゲノム挿入部位を含み得る。当然、GISは、付加的なエレメントに隣接してもよく、またはベクター上に存在する全てのエレメントに隣接してもよい。
【0180】
別の態様において、遺伝子座特異的挿入はリコンビナーゼ部位特異的遺伝子挿入により実施され得る。簡単に説明すると、PhiC31インテグラーゼのような(これに限定はされない)細菌リコンビナーゼ酵素は、ヒトゲノム内の「偽」組換え部位に作用することができる。これらの偽組換え部位は、リコンビナーゼを使用した遺伝子座特異的挿入の標的となり得る。リコンビナーゼ部位特異的遺伝子挿入は、参照により本明細書に組み入れられるThyagarajan et al., Mol. Cell Biol. 21:3926 (2001)に記載されている。リコンビナーゼ部位特異的遺伝子挿入のために使用され得るリコンビナーゼおよびそれぞれの部位のその他の例には、R4およびTP901-1のようなセリンリコンビナーゼ、ならびに参照により本明細書に組み入れられるWO 2006/083253に記載されたリコンビナーゼが含まれる。
【0181】
さらなる態様において、ベクターは、化学物質耐性遺伝子、例えば、多剤耐性遺伝子mdrl、ジヒドロ葉酸還元酵素、O6-アルキルグアニン-DNAアルキルトランスフェラーゼを含むことができる。化学物質耐性遺伝子は、構成性プロモーター(例えば、CMV)または誘導性プロモーター(例えば、RheoSwitch(登録商標))の制御下にあり得る。この態様において、改変された細胞を対象内に維持しながら、対象において診断された疾患を処置することが望まれる場合、医師は、疾患細胞を破壊するために化学療法剤を適用することができ、一方、改変された細胞は、適当な化学物質耐性遺伝子の発現のために薬剤から保護され、疾患の進行または処置の有効性のモニタリングのために使用され続け得る。化学物質耐性遺伝子を誘導性プロモーターの下に置くことにより、化学物質耐性遺伝子の不必要な発現が回避され得るが、継続的な診断が処置の間に望まれた場合にも、それはやはり利用可能であると考えられる。改変された細胞自体が疾患状態になった場合でも、それらは下記のような致死ポリペプチドの発現を誘導することにより破壊され得る。
【0182】
本発明の方法は、対象の細胞へ遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドおよびレポーター遺伝子を導入することにより実施される。上記のもののような、当技術分野において公知の、ポリヌクレオチドを細胞へ導入するための公知の任意の方法が、使用され得る。
【0183】
別の態様において、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドおよびレポーター遺伝子は、非自己細胞、例えば、対象にとって同種異系または異種の細胞へ導入される。
【0184】
ポリヌクレオチドがエクスビボの細胞へ導入される場合、細胞は、生検、擦過、および外科的組織摘出を含む(これらに限定はされない)当技術分野において公知の任意の技術により対象から入手され得る。単離された細胞は、細胞へポリヌクレオチドが導入されることを可能にするのに十分な長さの時間、例えば、2、4、6、8、10、12、18、24、36、48時間、またはそれ以上、培養され得る。短期間、初代細胞を培養する方法は、当技術分野において周知である。例えば、細胞は、付着させるか、または懸濁させて、プレート(例えば、マイクロウェルプレート)において培養され得る。
【0185】
エクスビボ診断法の場合、細胞は、対象から単離され、ポリヌクレオチドを細胞へ導入するために適している条件の下で培養される。ポリヌクレオチドが細胞へ導入された後は、細胞は、リガンド依存性転写因子が発現されることを可能にするのに十分な期間、例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、18、または24時間、またはそれ以上、インキュベートされる。対照レベルと比較して、リガンド依存性転写因子の発現が増加または減少した場合(即ち、対象が疾患または障害を有し、転写因子の発現を制御するプロモーターが活性化または非活性化された場合)、リガンド依存性転写因子の存在および/またはレベルは、リガンドを添加し、リガンド依存性転写因子のレベルに対応するレベルのレポーター遺伝子の発現を引き起こすことにより検出される。リガンドは、細胞へのポリヌクレオチドの導入の前、間、または後の任意の時点で、細胞に添加され得る。リガンド投与の最適のタイミングは、通例の技術のみを使用して、各細胞型および疾患または障害について決定され得る。一つの態様において、リガンドを添加し、レポーター遺伝子発現を決定し、リガンドを除去し、細胞の複数の診断測定を入手するため、一回または複数回、その過程を繰り返すことができる。別の態様において、リガンドは絶えず存在し、レポーター遺伝子発現が定期的に測定される。
【0186】
単離された細胞を使用するエクスビボの方法が不十分である場合、例えば、診断用スイッチプロモーター活性が生じるために循環因子が必要である場合には、本発明の第一のインビボ診断態様(単離された細胞の改変の後の対象への細胞の再導入)が使用され得る。この態様においては、細胞が対象から単離され、ポリヌクレオチドが上記のような培養物中の細胞へ導入される。細胞へのポリヌクレオチドの導入後のある時点において、細胞が、対象へ戻し導入される。再導入は、当技術分野において公知の任意の方法、例えば、静脈内注入または組織もしくは腔への直接注射により実施され得る。一つの態様において、細胞内のポリヌクレオチドの存在が、対象へ細胞を戻し導入する前に決定される。別の態様において、ポリヌクレオチドを含有している細胞が(例えば、ポリヌクレオチド内の選択マーカーの存在に基づき)選択され、ポリヌクレオチドを含有している細胞のみが、対象へ再導入される。細胞が対象に再導入された後、リガンドが対象に投与され、レポーター遺伝子発現がアッセイされる。リガンドは、任意の適当な方法により、全身的に投与(例えば、経口、静脈内)、または局所的に投与(例えば、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、細胞が再導入された組織または器官への直接注射)され得る。リガンド投与の最適なタイミングは、通例の技術のみを使用して、各細胞型および疾患または障害について決定され得る。一つの態様において、リガンドを投与し、レポーター遺伝子発現を決定し、リガンドを除去し、細胞の複数の診断測定を入手するため、一回または複数回、その過程を繰り返すこともできる。別の態様において、リガンドが継続的に投与され、レポーター遺伝子発現が定期的に測定される。リガンドが投与された後のレポーター遺伝子発現の検出は、インビボまたはエクスビボで行われ得る。例えば、レポーター遺伝子が血中を循環する分泌タンパク質をコードする場合、タンパク質の検出は、患者から採取された血液試料において行われ得る。レポーター遺伝子が発光シグナルまたは蛍光シグナルを生じるタンパク質をコードする場合、シグナルはインビボで検出され得る。別の態様において、改変された細胞の試料が取り出され、レポーター遺伝子の発現がエクスビボで検出されてもよい。
【0187】
本発明の第二のインビボ診断態様は、対象の細胞へのポリヌクレオチドの直接インビボ導入を含む。ポリヌクレオチドは、全身的に、または局所的に(例えば、推測される疾患もしくは障害の部位に)、対象へ導入され得る。ポリヌクレオチドが対象に導入された後、リガンドが投与され、レポーター遺伝子発現がアッセイされ得る。リガンドは、任意の適当な方法により、全身的に投与(例えば、経口、静脈内)、または局所的に投与(例えば、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、推測される疾患もしくは障害が生じている組織または器官への直接注射)され得る。リガンド投与の最適なタイミングは、通例の技術のみを使用して、各細胞型および疾患または障害について決定され得る。一つの態様において、リガンドを投与し、レポーター遺伝子発現を決定し、リガンドを除去し、ポリヌクレオチドを含有している細胞の複数の診断測定を入手するため、一回または複数回、その過程を繰り返すこともできる。別の態様において、リガンドが継続的に投与され、レポーター遺伝子発現が定期的に測定される。リガンドが投与された後のレポーター遺伝子発現の検出は、インビボまたはエクスビボで行われ得る。例えば、レポーター遺伝子が血中を循環する分泌タンパク質をコードする場合、タンパク質の検出は、患者から採取された血液試料において行われ得る。レポーター遺伝子が発光シグナルまたは蛍光シグナルを生じるタンパク質をコードする場合、シグナルはインビボで検出され得る。別の態様において、改変された細胞の試料が取り出され、レポーター遺伝子の発現がエクスビボで検出されてもよい。
【0188】
非自己細胞が診断法において使用される場合、細胞は、任意の起源、例えば、他の対象、細胞株、または動物から入手され得る。非自己細胞は、線維芽細胞または幹細胞(例えば、胚性幹細胞、造血幹細胞)のような移植後に生存可能な任意の細胞であり得る。非自己細胞が単離され、ポリヌクレオチドが上記のような培養物中の細胞へ導入される。ポリヌクレオチドの細胞への導入後のある時点において、細胞が対象へ導入される。導入は、当技術分野において公知の任意の方法、例えば、静脈内注入または組織もしくは腔への直接注射により実施され得る。一つの態様において、細胞内のポリヌクレオチドの存在が、対象へ細胞を戻し導入する前に決定される。別の態様において、ポリヌクレオチドを含有している細胞が(例えば、ポリヌクレオチド内の選択マーカーの存在に基づき)選択され、ポリヌクレオチドを含有している細胞のみが、対象へ導入される。細胞が対象に導入された後、リガンドが対象に投与され、レポーター遺伝子発現がアッセイされる。リガンドは、任意の適当な方法により、全身的に投与(例えば、経口、静脈内)、または局所的に投与(例えば、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、細胞が導入された組織もしくは器官への直接注射)され得る。リガンド投与の最適なタイミングは、通例の技術のみを使用して、各細胞型および疾患または障害について決定され得る。一つの態様において、リガンドを投与し、レポーター遺伝子発現を決定し、リガンドを除去し、細胞の複数の診断測定を入手するため、一回または複数回、その過程を繰り返すこともできる。別の態様において、リガンドが継続的に投与され、レポーター遺伝子発現が定期的に測定される。リガンドが投与された後のレポーター遺伝子発現の検出は、インビボまたはエクスビボで行われ得る。例えば、レポーター遺伝子が血中を循環する分泌タンパク質をコードする場合、タンパク質の検出は、患者から採取された血液試料において行われ得る。レポーター遺伝子が発光シグナルまたは蛍光シグナルを生じるタンパク質をコードする場合、シグナルはインビボで検出され得る。別の態様において、改変された細胞の試料が取り出され、レポーター遺伝子の発現がエクスビボで検出されてもよい。
【0189】
全てのインビボ態様において、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含むベクターは、ポリヌクレオチドまたはベクターを含有している細胞を死滅させる産物を発現するようオンにすることができる致死ポリペプチドをコードする配列を含むことができる。診断テストがもはや必要でないために、または改変された細胞による問題(例えば、過剰増殖もしくは毒性)のために、改変された細胞を対象から排除するために、致死ポリペプチド発現を使用することができる。致死ポリペプチドとは、本明細書において使用されるように、ポリペプチド自体が致死性であるか、またはポリペプチドが致死化合物を生じるため、発現された時、そのポリペプチドを発現する細胞にとって致死性であるポリペプチドである。本明細書において使用されるように、致死ポリペプチドには、壊死、アポトーシス、および細胞障害性を含む(これらに限定はされない)任意の様式で細胞死を誘導するポリペプチドが含まれる。致死ポリペプチドの例には、p53、Rb、およびBRCA-1のような(これらに限定はされない)アポトーシス誘導性腫瘍抑制遺伝子、少数を挙げるとすれば、ジフテリア毒素(DTA)、シゲラ神経毒、ボツリヌス中毒毒素、破傷風毒素、コレラ毒素、CSE-V2、およびサソリタンパク質毒素のその他のバリアントのような毒素、シトシンデアミナーゼおよびチミジンキナーゼのような自殺遺伝子、ならびに細胞障害性遺伝子、例えば、腫瘍壊死因子、インターフェロンαが含まれるが、これらに限定はされない。ポリペプチドが、それが発現される細胞にとって致死性であり得る限り、本発明は致死ポリペプチドの同一性によって限定されない。改変された細胞が、短命な細胞、例えば、樹状細胞のような、限られた寿命(例えば、約10日以下)を有する細胞である場合、細胞は短期間で天然に除去されるため、ポリヌクレオチドまたはベクターに致死ポリペプチドを含める必要はないこともある。
【0190】
本発明の別の局面は、疾患または障害の進行をモニタリングするために、対象の細胞に本発明の診断用の遺伝子スイッチを投与し、レポーター遺伝子発現を測定することにより、疾患または障害の進行をモニタリングする方法に関する。一つの態様において、本発明は、対象における疾患または障害の進行をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(c)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記対象における前記疾患または障害の進行が示される。
【0191】
進行は、診断用スイッチプロモーターが、疾患または障害の進行の間に増加または減少する因子に応答性であるか否かに依り、レポーター遺伝子発現の増加または減少により示され得る。これらの方法は、上記の診断法の変化形(即ち、エクスビボ細胞、エクスビボ細胞の改変の後の細胞のインビボ再導入、またはインビボ)のうちのいずれかを使用して実施され得る。疾患または障害は、疾患または障害の状態の指標として少なくとも2回レポーター遺伝子発現を測定し、発現のレベルの変化を認めることによりモニタリングされる。一つの態様において、モニタリングは、細胞をリガンドに絶えず曝し、レポーター遺伝子発現を間欠的に測定することにより実施され得る。別の態様において、モニタリングは、細胞をリガンドに間欠的に曝し、各曝露の時にレポーター遺伝子発現を測定することにより実施され得る。
【0192】
本発明の一つの態様は、対象における疾患または障害の進行をモニタリングするための改変された細胞を調製する方法に関し、該方法は、
改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を対象の細胞に導入する工程
を含む。
【0193】
本発明の別の態様は、対象における疾患または障害の進行をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)前記対象の改変された細胞にリガンドを投与する工程;および
(b)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記対象における前記疾患または障害の進行が示され、かつ対象の前記改変された細胞は、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、遺伝子スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を含む。
【0194】
さらなる態様において、疾患または障害の進行をモニタリングする方法は、非自己細胞、例えば、対象にとって同種異系または異種の細胞を使用して実施され、改変された非自己細胞が対象へ導入される。本発明の一つの態様は、対象における疾患または障害の進行をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を非自己細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞を前記対象に導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記対象における前記疾患または障害の進行が示される。
【0195】
本発明のさらなる局面は、対象に処置を施すこと、およびレポーター遺伝子発現が増加しているか、減少しているか、または同一のままであるかを決定するために本発明の診断法を少なくとも2回実施することを含む、対象における疾患または障害に対する処置の有効性をモニタリングする方法に関する。一つの態様において、本発明は、対象における疾患または障害に対する処置の有効性をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記処置の有効性が示される。
【0196】
処置が施された後のレポーター遺伝子の発現のレベルの変化は、処置の有効性の指標となる。診断用スイッチプロモーターが、疾患または障害において上昇する因子に応答性である場合、レポーター遺伝子発現の減少は、処置が有効であることを示す。診断用スイッチプロモーターが、疾患または障害において低下する因子に応答性である場合、レポーター遺伝子発現の増加は、処置が有効であることを示す。レポーター遺伝子発現が処置の施与後に変化しない場合、それは処置が疾患または障害の進行を停止させたことを示し得る。これらの方法は上記の診断法の変化形(即ち、エクスビボ細胞、エクスビボの細胞の改変の後の細胞のインビボ再導入、インビボ)のうちのいずれかを使用して実施され得る。
【0197】
本発明のエクスビボ態様の場合、レポーター遺伝子発現の基線レベルを決定するために、処置前に対象から細胞が単離され得る。処置が対象に施された後、レポーター遺伝子発現を決定するために、様々な間隔で対象から細胞が単離され得る。
【0198】
本発明のインビボ態様の場合、改変された細胞またはポリヌクレオチドは、処置の施与の前、間、または後に、対象に導入され得る。細胞またはポリヌクレオチドが処置前に投与される場合には、レポーター遺伝子発現の基線レベルが入手され得る。
【0199】
レポーター遺伝子発現の測定は、エクスビボまたはインビボで実施され得る。一つの態様において、モニタリングは、リガンドに細胞を絶えず曝し、レポーター遺伝子発現を間欠的に測定することにより実施され得る。別の態様において、モニタリングは、リガンドに細胞を間欠的に曝し、各曝露の時にレポーター遺伝子発現を測定することにより実施され得る。
【0200】
一つの態様において、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドおよびレポーター遺伝子の一方または両方が、対象に投与される治療用ベクター(例えば、遺伝子治療のための治療用のタンパク質または核酸をコードするベクター)の一部であり得る。この態様において、治療的処置、および処置の有効性をモニタリングするための診断テストは、処置を受ける全ての細胞が診断用の遺伝子スイッチも受け取ることを確実にするために、一単位で一緒に投与される。
【0201】
本発明の一つの態様は、対象における疾患または障害に対する処置の有効性をモニタリングするための改変された細胞を調製する方法に関し、該方法は、
改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程
を含む。
【0202】
本発明の別の態様は、対象における疾患または障害に対する処置の有効性をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)前記対象の改変された細胞にリガンドを投与する工程;および
(c)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記処置の有効性が示され、かつ前記対象の前記改変された細胞は、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を含む。
【0203】
さらなる態様において、疾患または障害に対する処置の有効性をモニタリングする方法は、非自己細胞、例えば、対象にとって同種異系または異種の細胞を使用して実施され、改変された非自己細胞が対象へ導入される。一つの態様において、本発明は、対象における疾患または障害に対する処置の有効性をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を非自己細胞に導入する工程;
(b)前記対象に前記改変された細胞を導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記処置の有効性が示される。
【0204】
本発明の別の局面は、対象における疾患または障害に対して施された処置の潜在的な毒性をモニタリングする方法に関する。一つの態様において、本発明は、対象における疾患または障害に対して施された処置の潜在的な毒性をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、毒性条件に曝されている細胞に見出される因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記処置の毒性が示される。
【0205】
一つの態様において、この局面は、毒性条件に曝されている細胞、例えば、ストレスを受けているか、または瀕死の状態にある細胞に見出される因子により調節されるプロモーターの制御下に転写因子配列があるポリヌクレオチドを含む。例には、非限定的に、アポトーシスシグナル、壊死シグナル、低酸素、活性酸素種、DNAまたはクロマチンの修飾、タンパク質分解、酸化/還元状態、pHの変化等に応答性のプロモーターが含まれる。適当なストレスプロモーターには、米国特許出願公開第2003/0027127号(参照により本明細書において組み入れられる)に開示されたものが含まれ、非限定的に、以下の遺伝子に由来するプロモーターが含まれる:CYP1A1、GST Ya、GADD45、GRP78、JUN、FOS、XHF、HSP70、MT IIA、GADD153、ALDH 1、HMO、CRE、XRE、NFκBRE、RARE、ThRE、PPRE、TRE、ERE、およびp53RE。適当なアポトーシス応答性プロモーターには、非限定的に、Fas/CD95、TRAMP、TNF RI、DR1、DR2、DR3、DR4、DR5、DR6、FADD、RIP、TNFα、Fasリガンド、TRAILR1、TRAILR2、TRAILR3、Bcl-2、p53、BAX、BAD、Akt、CAD、PI3キナーゼ、PP1、およびカスパーゼタンパク質が含まれる。処置施与後のレポーター遺伝子発現の増加の検出は、その処置が細胞にとって有害であることの指標となる。ストレスまたは死シグナルに応答性の遺伝子スイッチを作成することにより、それは、対象が毒性の明白な症状を示すはるか前に、処置の効果をモニタリングし、細胞レベルでの毒性効果を検出するために使用され得る。
【0206】
これらの方法は上記の診断法の変化形(即ち、エクスビボ細胞、エクスビボの細胞の改変の後の細胞のインビボ再導入、インビボ)のうちのいずれかを使用して実施され得る。
【0207】
本発明のエクスビボ態様の場合、レポーター遺伝子発現の基線レベルを決定するために、処置前に対象から細胞が単離され得る。処置が対象に施された後、レポーター遺伝子発現を決定するために、様々な間隔で対象から細胞が単離され得る。
【0208】
本発明のインビボ態様の場合、改変された細胞またはポリヌクレオチドは、処置の施与の前、間、または後に、対象に導入され得る。細胞またはポリヌクレオチドが処置前に投与される場合、レポーター遺伝子発現の基線レベルが入手され得る。
【0209】
レポーター遺伝子発現の測定は、エクスビボまたはインビボで実施され得る。一つの態様において、モニタリングは、リガンドに細胞を絶えず曝し、レポーター遺伝子発現を間欠的に測定することにより実施され得る。別の態様において、モニタリングは、リガンドに細胞を間欠的に曝し、各曝露の時にレポーター遺伝子発現を測定することにより実施され得る。
【0210】
本発明の一つの態様は、対象における疾患または障害に対して施された処置の潜在的な毒性をモニタリングするための改変された細胞を調製する方法に関し、該方法は、
改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、毒性条件に曝されている細胞に見出される因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程
を含む。
【0211】
本発明の別の態様は、対象における疾患または障害に対して施された処置の潜在的な毒性をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)前記対象の改変された細胞にリガンドを投与する工程;および
(c)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記処置の毒性が示され、かつ前記対象の改変された細胞は、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、毒性条件に曝されている細胞に見出される因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を含む。
【0212】
さらなる態様において、疾患または障害に対して施された処置の潜在的な毒性をモニタリングする方法は、非自己細胞、例えば、対象にとって同種異系または異種の細胞を使用して実施され、改変された非自己細胞が対象へ導入される。一つの態様において、本発明は、対象における疾患または障害に対して施された処置の潜在的な毒性をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、毒性条件に曝されている細胞に見出される因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を非自己細胞に導入する工程;
(b)前記対象に前記改変された細胞を導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記処置の毒性が示される。
【0213】
本発明の別の態様において、ポリヌクレオチドは、処置(例えば、治療用のタンパク質または核酸による遺伝子治療処置)として投与される因子により活性化されるプロモーターの制御下にある転写因子配列を含む。施された処置に応答性の遺伝子スイッチを作成することにより、それは、対象が治療用因子の過剰発現または過少発現の明白な症状を示すはるか前に、遺伝子治療処置の発現をモニタリングし、望ましくない程に高いかまたは低い処置のレベルを検出するために使用され得る。一つの態様において、本発明は、疾患または障害に対する処置のために対象に投与されている因子のレベルをモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、処置のために投与されている前記因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルによって、処置のために投与されている因子のレベルが示される。
【0214】
これらの方法は上記の診断法の変化形(即ち、エクスビボ細胞、エクスビボの細胞の改変の後の細胞のインビボ再導入、インビボ)のうちのいずれかを使用して実施され得る。
【0215】
本発明のエクスビボ態様の場合、レポーター遺伝子発現の基線レベルを決定するために、処置前に対象から細胞が単離され得る。処置が対象に施された後、レポーター遺伝子発現を決定するために、様々な間隔で対象から細胞が単離され得る。
【0216】
本発明のインビボ態様の場合、改変された細胞またはポリヌクレオチドは、処置の施与の前、間、または後に、対象に導入され得る。細胞またはポリヌクレオチドが処置前に投与される場合、レポーター遺伝子発現の基線レベルが入手され得る。
【0217】
レポーター遺伝子発現の測定は、エクスビボまたはインビボで実施され得る。一つの態様において、モニタリングは、リガンドに細胞を絶えず曝し、レポーター遺伝子発現を間欠的に測定することにより実施され得る。別の態様において、モニタリングは、リガンドに細胞を間欠的に曝し、各曝露の時にレポーター遺伝子発現を測定することにより実施され得る。
【0218】
本発明の一つの態様は、疾患または障害に対する処置のために対象に投与されている因子のレベルをモニタリングするための改変された細胞を調製する方法に関し、該方法は、
改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、処置のために投与されている前記因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程
を含む。
【0219】
本発明の別の態様は、疾患または障害に対する処置のために対象に投与されている因子のレベルをモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)前記対象の改変された細胞にリガンドを投与する工程;および
(c)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルによって、処置のために投与されている因子のレベルが示され、かつ前記対象の改変された細胞は、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、処置のために投与されている前記因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を含む。
【0220】
さらなる態様において、疾患または障害に対する処置のために対象に投与されている因子のレベルをモニタリングする方法は、非自己細胞、例えば、対象にとって同種異系または異種の細胞を使用して実施され、改変された非自己細胞が対象へ導入される。対象における疾患または障害に対する処置のために対象に投与されている因子のレベルをモニタリングする方法は、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、処置のために投与されている前記因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を非自己細胞に導入する工程;
(b)前記対象に前記改変された細胞を導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルによって、処置のために投与されている因子のレベルが示される。
【0221】
本発明の別の局面は、臓器または組織の移植片を受け取った対象における移植片拒絶を検出する方法に関し、該方法は、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記臓器または組織の移植片の細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(c)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、前記レポーター遺伝子の発現によって、移植片拒絶が検出されたことが示される。
【0222】
本発明のさらなる態様は、臓器または組織の移植片を受け取った対象における移植片拒絶の進行をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記臓器または組織の移植片の細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(c)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記対象における前記移植片拒絶の進行が示される。
【0223】
移植片レシピエントにおける移植片拒絶を検出し、モニタリングする方法は、移植された器官または組織の生存性をモニタリングするために使用され得る。移植片拒絶の開始を検出する能力は、医療実務者が、例えば、免疫抑制治療のレベルを調整することにより、移植患者の処置を相応じて調整することを可能にすると考えられる。本発明の方法の感度は、組織損傷を調査するために定期的に組織生検を行うという現在の方法で可能であるよりも早く拒絶を検出することを可能とし得る。対象における拒絶の発生のより早い検出は、より迅速な対応、および移植された器官または組織に対するさらなる損傷の回避を可能にすると考えられる。方法は、非限定的に、心臓、腎臓、肺、肝臓、膵臓、小腸および大腸、皮膚、角膜、骨髄、骨、靭帯、腱、神経組織、および幹細胞の移植片を含む任意の器官または組織の移植片のために使用され得る。
【0224】
本発明の方法において、遺伝子スイッチは、移植片拒絶の時に活性化される一つまたは複数の診断用スイッチプロモーター、即ち、拒絶プロモーター(rejection promoter)を含む。拒絶プロモーターは、拒絶過程が発生し始めた時に、移植された器官または組織において活性化される任意のプロモーターである。本発明において有用な拒絶プロモーターの例には、非限定的に、拒絶の時に増加した発現が検出される器官と共に表4に記載された遺伝子に由来するプロモーターが含まれる。
【0225】
【表4】




【0226】
本発明の一つの態様において、拒絶プロモーターを含むポリヌクレオチドは、移植過程前に、移植される器官または組織に投与される。移植のために使用される器官および組織は、典型的には、ドナーからの摘出後、24〜48時間以内にレシピエントに移植されなければならない。一つの態様において、本発明のポリヌクレオチドは、ドナーからの摘出の48時間以内、例えば、ドナーからの摘出の36、24、18、12、または6時間以内に、器官または組織に投与される。別の態様において、ポリヌクレオチドはレシピエントへの移植の少なくとも48時間前、例えば、移植の少なくとも36、24、18、12、または6時間前に器官または組織に投与される。ポリヌクレオチドは、器官または組織の内部の一箇所で、または複数箇所(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上の箇所)で、移植される器官または組織に導入され得る。
【0227】
別の態様において、ポリヌクレオチドは、器官または組織が対象へ移植された後、例えば、移植の2、4、6、8、10、12、もしくは18時間後、1、2、3、4、5、もしくは6日後、または1、2、3、もしくは4週後に、器官または組織に投与される。
【0228】
ポリヌクレオチドは、直接注射、電気穿孔、ウイルス送達等を含む、上述のような任意の手段によって、器官または組織に投与され得る。他の態様において、ポリヌクレオチドは、トランスジェニック細胞、例えば、トランスジェニック幹細胞の一部として投与され得る。細胞は、移植ドナーまたは移植レシピエントのいずれかから単離され得る。例えば、幹細胞が、移植の必要のある患者から単離され、本発明のポリヌクレオチドが幹細胞へ導入され得る。次いで、トランスジェニック細胞は、器官または組織が移植のために利用可能となるまで、保存(例えば、凍結)され得る。次いで、トランスジェニック細胞は、移植の前または後に器官または組織に投与され得る。
【0229】
さらなる態様において、移植片拒絶を検出する方法は、非自己細胞、例えば、移植される器官または組織にとって同種異系または異種の細胞へ本発明のポリヌクレオチドを導入することにより実施され得、改変された非自己細胞が移植前に器官または組織に導入される。
【0230】
本発明の一つの態様において、遺伝子スイッチは、転写因子配列に機能的に連結された単一の拒絶プロモーターを含む。別の態様において、遺伝子スイッチは、リガンド依存性転写因子を共にコードする二つの異なる転写因子配列に機能的に連結された二つの拒絶プロモーターを含む。二つの拒絶プロモーターは、同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0231】
別の態様において、遺伝子スイッチは、遺伝子スイッチの機能をモニタリングするために、即ち、遺伝子スイッチがその環境において適正に作用していること、例えば、遺伝子サイレンシングを受けていないことを示すために有用な対照タンパク質の発現を調節するプロモーターをさらに含み得る。対照タンパク質の発現は、診断用スイッチからの偽陰性結果を制限するために使用され得る。一つの態様において、対照タンパク質が常に発現されるよう、対照タンパク質に連結されたプロモーターは構成性プロモーターである。異なる態様において、対照タンパク質に連結されたプロモーターは、遺伝子スイッチ内に存在する拒絶プロモーターとは異なるスイッチプロモーターである。対照タンパク質は、第一のレポーター遺伝子とは異なる第二のレポーター遺伝子に機能的に連結されたプロモーターに結合するリガンド依存性転写因子であり得る。例えば、対照タンパク質は、拒絶プロモーターから発現された転写因子とは異なるDNA結合ドメインを有し、図4に示されるような第二のレポーター遺伝子に機能的に連結されたプロモーターの中の応答エレメントを認識するリガンド依存性転写因子であり得る。
【0232】
移植片拒絶を検出またはモニタリングするための方法の一つの態様において、レポーター遺伝子は、上記の任意のレポーター遺伝子である。別の態様において、レポーター遺伝子は、分泌タンパク質、例えば、移植片レシピエントの血液または尿の試料中に容易に検出され得るものをコードする。別の態様において、レポーター遺伝子は、移植片レシピエントにとって内因性のタンパク質、例えば、拒絶の開始時にレポーター遺伝子発現の増加が検出され得るよう、通常は低レベルに発現しているタンパク質をコードする。
【0233】
本発明のポリヌクレオチドが器官または組織の移植片に投与された後は、移植片拒絶を検出またはモニタリングする方法が、レポーター遺伝子発現を検出することにより実施され得る。一つの態様において、レポーター遺伝子発現のレベルは、1回、測定され得る。別の態様において、レポーター遺伝子発現のレベルは、複数回、例えば、1、2、3、4、5、6日毎、1、2、3、4週毎、または1、2、3、4、5、6ヶ月毎、またはそれより低頻度に、周期的に測定され得る。測定される各時点において、レポーター遺伝子発現の測定は、発現のバックグラウンドレベルを得るためにリガンドの非存在下で、そして拒絶プロモーターの活性化によるレポーター遺伝子発現のレベルを得るためにリガンドの存在下で、行われ得る。一つの態様において、移植片拒絶の発生前にレポーター遺伝子発現のリガンドにより誘導される基線レベルを入手するため、リガンドの存在下でのレポーター遺伝子発現のレベルが、移植の直後(例えば、1、2、3、4、5、6日、または1、2、3、もしくは4週以内)に決定される。最初の時点(またはその後の時点)は、対象に投与されなければならないリガンドの量、および測定可能なレポーター遺伝子発現を入手するためにリガンドが存在しなければならない時間を決定するために使用され得る。用量および時間は、いずれも、各対象について必要に応じて調整され得る。次いで、リガンドにより誘導されるレポーター遺伝子発現の周期的なモニタリングが、移植片拒絶を示すレポーター遺伝子発現の増加を検出するために実施され得る。
【0234】
対照タンパク質(構成性または誘導性のいずれか)をコードするポリヌクレオチドが遺伝子スイッチの中に存在する場合、遺伝子スイッチが適正に機能していることを確認するために、対照タンパク質により誘導された対照タンパク質またはレポーター遺伝子のレベルが同時に測定され得る。遺伝子スイッチが最適に機能していない場合には、遺伝子スイッチからのシグナルを増加させるために、リガンド濃度、またはリガンド投与とレポーター遺伝子検出との間の時間の長さを増加させることが必要であることもある。別の態様において、遺伝子スイッチがもはや機能していない場合、移植片拒絶のモニタリングが継続され得るよう、付加的なポリヌクレオチドが器官または組織の移植片に投与されてもよい。
【0235】
さらなる態様において、移植片拒絶の存在を示すレポーター遺伝子発現の増加が検出されたならば、その診断は、伝統的な手段を使用して、例えば、移植された組織の生検材料を入手することにより、確認され得る。
【0236】
本発明の一つの態様は、対象における移植片拒絶を検出するための臓器または組織の移植片を調製する方法に関し、該方法は、
改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記臓器または組織の移植片の細胞に導入する工程
を含む。
【0237】
本発明の別の態様は、臓器または組織の移植片を受け取った対象における移植片拒絶を検出する方法に関し、該方法は、
(a)前記対象にリガンドを投与する工程;および
(b)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現によって、移植片拒絶が検出されたことが示され、かつ前記臓器または組織の移植片は、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を含む一つまたは複数の細胞を含む。
【0238】
本発明の一つの態様は、対象における移植片拒絶の進行をモニタリングするための臓器または組織の移植片を調製する方法に関し、該方法は、
改変された細胞を作製するために、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記臓器または組織の移植片の細胞に導入する工程
を含む。
【0239】
本発明の別の態様は、臓器または組織の移植片を受け取った対象における移植片拒絶の進行をモニタリングする方法に関し、該方法は、
(a)前記対象にリガンドを投与する工程;および
(b)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、ここで、前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記対象における前記移植片拒絶の進行が示され、かつ前記臓器または組織の移植片は、
(1)遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を含む一つまたは複数の細胞を含む。
【0240】
さらなる態様において、移植片拒絶をモニタリングする方法は、非自己細胞、例えば、移植される器官または組織にとって同種異系または異種の細胞へ本発明のポリヌクレオチドを導入することにより実施され得、改変された非自己細胞が、移植前に器官または組織に導入される。
【0241】
上記方法の一つの態様において、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドおよびレポーター遺伝子の一方または両方は、対象に投与される治療用ベクター(例えば、遺伝子治療のための治療用因子(タンパク質または核酸)をコードするベクター)の一部であり得る。この態様において、因子、および因子のレベルをモニタリングするための診断テストは、処置を受ける全ての細胞が診断用の遺伝子スイッチも受け取ることを確実にするために、一単位で一緒に投与される。
【0242】
上記方法の各々について、一つの態様では、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチド、およびプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、一つのより大きいポリヌクレオチド、例えば、ベクターの一部である。別の態様において、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチド、およびプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、別々のポリヌクレオチドである。
【0243】
一つの局面において、本発明は、本発明の方法において使用され得るポリヌクレオチドに関する。一つの態様において、ポリヌクレオチドは、遺伝子スイッチをコードし、該遺伝子スイッチは、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性は、疾患または障害の時にモジュレートされる。別の態様において、ポリヌクレオチドは、リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに機能的に連結されたレポーター遺伝子をさらにコードする。一つの態様において、遺伝子スイッチは、EcRに基づく遺伝子スイッチである。別の態様において、遺伝子スイッチは、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質は、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する。一つの態様において、第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターは異なる。別の態様において、第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターは同一である。別の態様において、第一の転写因子配列は、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードし、第二の転写因子配列は、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする。さらなる態様において、ポリヌクレオチドは、誘導性プロモーターに機能的に連結された致死ポリペプチドもコードする。
【0244】
一つの局面において、本発明は、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドに関し、該遺伝子スイッチは、診断用スイッチプロモーターに連結されたリガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性は、毒性条件に曝されている細胞に見出される因子によりモジュレートされる。別の態様において、ポリヌクレオチドは、前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をさらにコードする。一つの態様において、遺伝子スイッチは、EcRに基づく遺伝子スイッチである。別の態様において、遺伝子スイッチは、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質は、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する。一つの態様において、第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターは異なる。別の態様において、第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターは同一である。別の態様において、第一の転写因子配列は、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードし、第二の転写因子配列は、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする。さらなる態様において、ポリヌクレオチドは、誘導性プロモーターに機能的に連結された致死ポリペプチドもコードする。
【0245】
一つの局面において、本発明は、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドに関し、該遺伝子スイッチは、診断用スイッチプロモーターに連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性は、処置のために対象に投与されている因子によってモジュレートされる。別の態様において、ポリヌクレオチドは、前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をさらにコードする。一つの態様において、遺伝子スイッチは、EcRに基づく遺伝子スイッチである。別の態様において、遺伝子スイッチは、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質は、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する。一つの態様において、第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターは異なる。別の態様において、第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターは同一である。別の態様において、第一の転写因子配列は、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードし、第二の転写因子配列は、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする。さらなる態様において、ポリヌクレオチドは、誘導性プロモーターに機能的に連結された致死ポリペプチドもコードする。
【0246】
一つの局面において、本発明は、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドに関し、該遺伝子スイッチは、診断用スイッチプロモーターに連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性は、移植片拒絶の時にモジュレートされる。別の態様において、ポリヌクレオチドは、前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をさらにコードする。一つの態様において、遺伝子スイッチは、EcRに基づく遺伝子スイッチである。別の態様において、遺伝子スイッチは、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質は、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する。一つの態様において、第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターは異なる。別の態様において、第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターは同一である。別の態様において、第一の転写因子配列は、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードし、第二の転写因子配列は、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする。さらなる態様において、ポリヌクレオチドは、誘導性プロモーターに機能的に連結された致死ポリペプチドもコードする。
【0247】
本発明の別の局面は、上記ポリヌクレオチドのいずれかを含むベクターに関する。一つの態様において、ベクターは、プラスミドベクターまたはウイルスベクターである。一つの態様において、ポリヌクレオチドは同じベクター上に存在する。さらなる態様において、ポリヌクレオチドは各々異なるベクター上にある。別々のベクターは、同一ベクター(例えば、同一プラスミド)であってもよく、同型のベクターであってもよく(例えば、いずれもプラスミドであるが、同一プラスミドではない)、または異型のベクターであってもよい(例えば、一方のベクターがプラスミドであり、他方がウイルスである)。
【0248】
別の局面において、本発明は、本発明の方法と共に使用され得るキットを提供する。本発明のこの局面に係るキットは、一つまたは複数の核酸分子、制限酵素、およびそのような核酸分子を含む一つまたは複数の細胞からなる群より選択される一つまたは複数の成分を含有していてもよい一つまたは複数の容器を含み得る。本発明のキットは、本発明の細胞を培養するために適している細胞培養培地を含有している一つもしくは複数の容器、本発明の細胞の培養において使用するために適している抗生物質を含有している一つもしくは複数の容器、緩衝剤を含有している一つもしくは複数の容器、トランスフェクション試薬を含有している一つもしくは複数の容器、酵素反応の基質を含有している一つもしくは複数の容器、および/または遺伝子スイッチ活性化のための一つもしくは複数のリガンドをさらに含み得る。
【0249】
本発明のキットは、本発明と共に使用され得る多様な核酸分子を含有し得る。本発明のキットに供給され得る核酸分子の例には、プロモーターを含有しているもの、遺伝子スイッチをコードする配列、エンハンサー、リプレッサー、選択マーカー、転写シグナル、翻訳シグナル、プライマーハイブリダイゼーション部位(例えば、配列決定またはPCRのため)、組換え部位、制限部位およびポリリンカー、サプレッサーtRNAの存在下で翻訳の終結を抑制する部位、サプレッサーtRNAコード配列、ドメインおよび/または領域をコードする配列、複製起点、テロメア、セントロメア等が含まれる。一つの態様において、キットは、関心対象の診断用スイッチプロモーターを挿入するために適している、診断用スイッチプロモーターを含まない遺伝子スイッチを含むポリヌクレオチドを含み得る。本発明の核酸分子は、上記のようなポリヌクレオチドに加え、これらの特質のうちの一つまたは複数を含み得る。
【0250】
本発明のキットは細胞を含み得る。細胞が本発明のポリヌクレオチドを含んでいてもよく、または細胞およびポリヌクレオチドは別々の容器にあってもよい。一つの態様において、細胞は、例えば、特定の対象のため設計されたキットの一部としての、自己細胞であり得る。別の態様において、細胞は、例えば、任意の対象のため設計されたキットの一部としての、非自己細胞であり得る。
【0251】
本発明のキットは、一つまたは複数の組換えタンパク質を含有している容器を含み得る。適当な組換えタンパク質には、Cre、Int、IHF、Xis、Flp、Fis、Hin、Gin、Cin、Tn3リゾルバーゼ、ΦC31、TndX、XerC、およびXerDが含まれるが、これらに限定はされない。その他の適当な組換え部位およびタンパク質は、Invitrogen Corp., Carlsbad, CAより入手可能であり、GATEWAY(商標)Cloning Technology(バージョンE、2003年9月22日)の製品文献(その開示全体が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されたGATEWAY(商標)Cloning Technologyに関連したものである。
【0252】
本発明のキットは、プライマーと共に供給され得る。これらのプライマーは、一般に、特異的なヌクレオチド配列を有する分子にアニールするように設計されると考えられる。例えば、これらのプライマーは、特定の核酸分子を増幅するためにPCRにおいて使用するために設計され得る。配列決定プライマーもキットと共に供給され得る。
【0253】
一つまたは複数の緩衝剤(例えば、1、2、3、4、5、8、10、15)が、本発明のキットに供給され得る。これらの緩衝剤はワーキング濃度で供給されてもよく、または濃縮形態で供給され、次いで、ワーキング濃度に希釈されてもよい。これらの緩衝剤は、しばしば、活性の増強、または緩衝剤自体もしくは緩衝剤中の分子のいずれかの安定化のために、塩、金属イオン、補助因子、金属イオンキレート化剤等を含有していると考えられる。さらに、これらの緩衝剤は、乾燥形態または水性形態で供給され得る。緩衝剤は、乾燥形態で供給される場合、一般に、使用前に水に溶解されると考えられる。
【0254】
本発明のキットは、上に示されたか、または本明細書中の他の場所に記載された成分の事実上任意の組み合わせを含有し得る。当業者が認識するように、本発明のキットと共に供給される成分は、キットの意図された使用によって変動すると考えられる。したがって、キットは、本願で示された様々な機能を果たすために設計され得、したがって、そのようなキットの成分は変動すると考えられる。
【0255】
本発明は、さらに、本発明の一つまたは複数の方法を実施するための指示書に関する。そのような指示書は、本発明の方法を実施するために適している条件を使用者に指示することができる。本発明の指示書は、有形の形態、例えば、説明書(例えば、紙上にタイピングされたもの)であってもよく、または無形の形態、例えば、コンピューターディスクを介して、もしくはインターネット上で入手可能なものであってもよい。
【0256】
本発明の方法を実施するための、または指示書がキットと共に含まれる場合にはキットを使用するための指示書の全文が、提供される必要はないことが認識されると考えられる。本発明のキットが、例えば、そのような完全な長さの指示書を含有していない状況の一例は、提供された指示が、キットが使用され得る方法を実施するための指示書を入手する場所をキットの使用者に通知する場合である。したがって、本発明の方法を実施するための指示書は、インターネットウェブページ、別途販売もしくは配布されるマニュアル、またはその他の製品文献等から入手され得る。したがって、本発明は、キットと共に直接パッケージングおよび/または配布されない指示書が見出され得る一つまたは複数の位置を、キット使用者に指示するキットを含む。そのような指示書は、電子的な形態または印刷された形態を含む(これらに限定はされない)任意の形態をとることができる。
【0257】
本発明を完全に説明したが、本発明の範囲またはその態様に影響を与えることなく、条件、製剤、およびその他のパラメーターの広く等しい範囲の内部で本発明が実施され得ることが、当業者によって理解されると考えられる。本明細書中に引用された全ての特許、特許出願、および公開は、参照により完全に本明細書に組み入れられる。
【0258】
実施例
実施例1
図5に示されるベクターは、IL-24/mda-7プロモーターを含む(SEQ ID NO:5)。アデノウイルスシャトルベクターを使用して作製されたアデノウイルスを、リンパ系試料から単離された細胞に形質導入するために使用する。形質導入された細胞を、二つの群に分け、活性化リガンドの存在下または非存在下のいずれかで培養する。次いで、両方の細胞セットを破砕し、得られた細胞溶解物をルシフェラーゼアッセイにおいて使用する。
【0259】
実施例2
図6に示されるベクターは、TRPM4プロモーターおよびTRGC1/TARPプロモーターを含む(SEQ ID NO:6)。DNAベクターを、非ウイルス形質導入システムを使用して前立腺生検材料に形質導入するために使用する。形質導入された生検材料を、二つの群に分け、活性化リガンドの存在下または非存在下のいずれかで培養する。両方の生検組織のセットをホモジナイズし、得られた溶解物をルシフェラーゼアッセイにおいて使用する。
【0260】
実施例3
図7に示されるベクターは、ADAM-17プロモーター(SEQ ID NO:7)およびCD95-ADAM8レポーター(SEQ ID NO:10〜11)を含む。アデノウイルスシャトルベクターを使用して作製されたアデノウイルスを、移植前のドナー腎臓の一部に形質導入するために使用する。移植の後、血清試料を、医師により画定された期間にわたり、レポーター遺伝子についてアッセイする。アッセイプロトコルは、活性化リガンドに曝されていない試料からのレポーター発現をアッセイすることからなる。非活性化群の採血の直後に、リガンドを24時間投与し、次いで中止する;リガンド処置が完了する前、1時間以内に、別の血液試料を取得する。レポーターアッセイ結果を、リガンド処理試料と未処理試料との間で比較する。60時間が経過しなければ、この手法を再び実施することはできない。
【0261】
実施例4
図8に示されるベクターは、CXCL9プロモーターおよびSEMA7Aプロモーター(SEQ ID NO:8)ならびにCD40-CD3レポーター(SEQ ID NO:12〜13)を含む。このベクターを、直接針注射を介して移植前のドナー心臓の一部に形質導入するために使用する。移植後、血清試料を、医師により画定された期間にわたり、レポーター遺伝子についてアッセイする。アッセイプロトコルは、活性化リガンドに曝されていない試料からのレポーター発現をアッセイすることからなる。「非活性化」群の採血の直後に、リガンドを24時間投与し、次いで中止する;リガンド処置が完了する前、1時間以内に、別の血液試料を取得する。レポーターアッセイ結果を、リガンド処理試料と未処理試料との間で比較する。60時間が経過しなければ、この手法を再び実施することはできない。
【0262】
実施例5
図9に示されるベクターは、ADAM-17プロモーターおよびアルカリホスファターゼ-c末端CD40レポーター(SEQ ID NO:14)を含む。このアデノウイルスシャトルベクターを使用して作製されたアデノウイルスを、初代ブタ腎細胞に形質導入するために使用する。次いで、得られた細胞を、移植前のドナー腎臓に植え込む。移植後、血清試料を、医師により画定された期間にわたり、レポーター遺伝子についてアッセイする。アッセイプロトコルは、活性化リガンドに曝されていない試料からのレポーター発現をアッセイすることからなる。「非活性化」群の採血の直後に、リガンドを24時間投与し、次いで中止する;リガンド処置が完了する前、1時間以内に、別の血液試料を取得する。レポーターアッセイ結果を、リガンド処理試料と未処理試料との間で比較する。60時間が経過しなければ、この手法を再び実施することはできない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における疾患または障害を診断する方法であって、該方法が、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、前記対象の前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(c)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現によって、前記対象が前記疾患または障害を有することが示される、
方法。
【請求項2】
対象から単離された細胞においてエクスビボで実施される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
改変された細胞を作製するために、対象から単離された細胞にポリヌクレオチドが導入され、かつ改変された細胞が、前記対象に再導入される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
インビボで実施される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
遺伝子スイッチが、エクジソン受容体(EcR)に基づく遺伝子スイッチである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
リガンドがEcRリガンド結合ドメインに結合する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
リガンドがジアシルヒドラジンである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
リガンドが、RG-115819、RG-115830、およびRG-115932からなる群より選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
リガンドがアミドケトンまたはオキサジアゾリンである、請求項6記載の方法。
【請求項10】
遺伝子スイッチが、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質が、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが異なる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが同一である、請求項10記載の方法。
【請求項13】
第一の転写因子配列が、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項10記載の方法。
【請求項14】
第二の転写因子配列が、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項10記載の方法。
【請求項15】
ポリヌクレオチドのうちの一つが、誘導性プロモーター(inducible promoter)に機能的に連結された致死ポリペプチドをさらにコードする、請求項1記載の方法。
【請求項16】
対象における疾患または障害を診断するための改変された細胞を調製する方法であって、
改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、前記対象の前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程
を含む方法。
【請求項17】
対象における疾患または障害を診断する方法であって、該方法が、
(a)前記対象の改変された細胞にリガンドを投与する工程;および
(b)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現によって、前記対象が疾患または障害を有することが示され、かつ
前記対象の前記改変された細胞が、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、前記対象の前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を含む、
方法。
【請求項18】
対象における疾患または障害を診断する方法であって、該方法が、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、前記対象の前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を非自己細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞を前記対象に導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現によって、前記対象が前記疾患または障害を有することが示される、
方法。
【請求項19】
対象における疾患または障害の進行をモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、前記対象の前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(c)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記対象における前記疾患または障害の進行が示される、
方法。
【請求項20】
対象から単離された細胞においてエクスビボで実施される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
改変された細胞を作製するために、対象から単離された細胞にポリヌクレオチドが導入され、かつ改変された細胞が、前記対象に再導入される、請求項19記載の方法。
【請求項22】
インビボで実施される、請求項19記載の方法。
【請求項23】
遺伝子スイッチが、EcRに基づく遺伝子スイッチである、請求項19記載の方法。
【請求項24】
リガンドがEcRリガンド結合ドメインに結合する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
リガンドがジアシルヒドラジンである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
リガンドが、RG-115819、RG-115830、およびRG-115932からなる群より選択される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
リガンドがアミドケトンまたはオキサジアゾリンである、請求項24記載の方法。
【請求項28】
遺伝子スイッチが、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質が、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する、請求項19記載の方法。
【請求項29】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが異なる、請求項28記載の方法。
【請求項30】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが同一である、請求項28記載の方法。
【請求項31】
第一の転写因子配列が、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項28記載の方法。
【請求項32】
第二の転写因子配列が、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項28記載の方法。
【請求項33】
ポリヌクレオチドのうちの一つが、誘導性プロモーターに機能的に連結された致死ポリペプチドをさらにコードする、請求項19記載の方法。
【請求項34】
対象における疾患または障害の進行をモニタリングするための改変された細胞を調製する方法であって、
改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、前記対象の前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程
を含む方法。
【請求項35】
対象における疾患または障害の進行をモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)前記対象の改変された細胞にリガンドを投与する工程;および
(b)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記対象における前記疾患または障害の進行が示され、かつ
前記対象の前記改変された細胞が、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、前記対象の前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を含む、
方法。
【請求項36】
対象における疾患または障害の進行をモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、前記対象の前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を非自己細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞を前記対象に導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記対象における前記疾患または障害の進行が示される、
方法。
【請求項37】
対象における疾患または障害に対する処置の有効性をモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、前記対象の前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記処置の有効性が示される、
方法。
【請求項38】
工程(b)が工程(a)の前に実施される、請求項37記載の方法。
【請求項39】
レポーター遺伝子発現の基線レベルが工程(a)の前に決定される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
対象から単離された細胞においてエクスビボで実施される、請求項37記載の方法。
【請求項41】
改変された細胞を作製するために、対象から単離された細胞にポリヌクレオチドが導入され、かつ改変された細胞が、前記対象に再導入される、請求項37記載の方法。
【請求項42】
インビボで実施される、請求項37記載の方法。
【請求項43】
遺伝子スイッチが、EcRに基づく遺伝子スイッチである、請求項37記載の方法。
【請求項44】
リガンドがEcRリガンド結合ドメインに結合する、請求項43記載の方法。
【請求項45】
リガンドがジアシルヒドラジンである、請求項44記載の方法。
【請求項46】
リガンドが、RG-115819、RG-115830、およびRG-115932からなる群より選択される、請求項45記載の方法。
【請求項47】
リガンドがアミドケトンまたはオキサジアゾリンである、請求項44記載の方法。
【請求項48】
遺伝子スイッチが、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質が、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する、請求項37記載の方法。
【請求項49】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが異なる、請求項48記載の方法。
【請求項50】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが同一である、請求項48記載の方法。
【請求項51】
第一の転写因子配列が、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項48記載の方法。
【請求項52】
第二の転写因子配列が、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項48記載の方法。
【請求項53】
ポリヌクレオチドのうちの一つが、誘導性プロモーターに機能的に連結された致死ポリペプチドをさらにコードする、請求項37記載の方法。
【請求項54】
対象における疾患または障害に対する処置の有効性をモニタリングするための改変された細胞を調製する方法であって、
改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、前記対象の前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程
を含む方法。
【請求項55】
対象における疾患または障害に対する処置の有効性をモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)前記対象の改変された細胞にリガンドを投与する工程;および
(c)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記処置の有効性が示され、かつ
前記対象の前記改変された細胞が、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、前記対象の前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を含む、
方法。
【請求項56】
対象における疾患または障害に対する処置の有効性をモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、前記対象の前記疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を非自己細胞に導入する工程;
(b)前記対象に前記改変された細胞を導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記処置の有効性が示される、
方法。
【請求項57】
対象における疾患または障害に対して施された処置の潜在的な毒性をモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、毒性条件に曝されている細胞に見出される因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記処置の毒性が示される、
方法。
【請求項58】
工程(b)が工程(a)の前に実施される、請求項57記載の方法。
【請求項59】
レポーター遺伝子発現の基線レベルが工程(a)の前に決定される、請求項58記載の方法。
【請求項60】
対象から単離された細胞においてエクスビボで実施される、請求項57記載の方法。
【請求項61】
改変された細胞を作製するために、対象から単離された細胞にポリヌクレオチドが導入され、かつ改変された細胞が、前記対象に再導入される、請求項57記載の方法。
【請求項62】
インビボで実施される、請求項57記載の方法。
【請求項63】
遺伝子スイッチが、EcRに基づく遺伝子スイッチである、請求項57記載の方法。
【請求項64】
リガンドがEcRリガンド結合ドメインに結合する、請求項63記載の方法。
【請求項65】
リガンドがジアシルヒドラジンである、請求項64記載の方法。
【請求項66】
リガンドが、RG-115819、RG-115830、およびRG-115932からなる群より選択される、請求項65記載の方法。
【請求項67】
リガンドがアミドケトンまたはオキサジアゾリンである、請求項64記載の方法。
【請求項68】
遺伝子スイッチが、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質が、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する、請求項57記載の方法。
【請求項69】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが異なる、請求項68記載の方法。
【請求項70】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが同一である、請求項68記載の方法。
【請求項71】
第一の転写因子配列が、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項68記載の方法。
【請求項72】
第二の転写因子配列が、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項68記載の方法。
【請求項73】
ポリヌクレオチドのうちの一つが、誘導性プロモーターに機能的に連結された致死ポリペプチドをさらにコードする、請求項57記載の方法。
【請求項74】
対象における疾患または障害に対して施された処置の潜在的な毒性をモニタリングするための改変された細胞を調製する方法であって、
改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、毒性条件に曝されている細胞に見出される因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程
を含む方法。
【請求項75】
対象における疾患または障害に対して施された処置の潜在的な毒性をモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)前記対象の改変された細胞にリガンドを投与する工程;および
(c)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記処置の毒性が示され、かつ
前記対象の前記改変された細胞が、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、毒性条件に曝されている細胞に見出される因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を含む、
方法。
【請求項76】
対象における疾患または障害に対して施された処置の潜在的な毒性をモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、毒性条件に曝されている細胞に見出される因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を非自己細胞に導入する工程;
(b)前記対象に前記改変された細胞を導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記処置の毒性が示される、
方法。
【請求項77】
疾患または障害に対する処置のために対象に投与されている因子のレベルをモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、処置のために投与されている前記因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現のレベルによって、処置のために投与されている因子のレベルが示される、
方法。
【請求項78】
工程(b)が工程(a)の前に実施される、請求項77記載の方法。
【請求項79】
レポーター遺伝子発現の基線レベルが工程(a)の前に決定される、請求項78記載の方法。
【請求項80】
工程(d)において検出されたレポーター遺伝子発現のレベルに基づいて、投与される因子の量を変更する工程をさらに含む、請求項77記載の方法。
【請求項81】
対象から単離された細胞においてエクスビボで実施される、請求項77記載の方法。
【請求項82】
改変された細胞を作製するために、対象から単離された細胞にポリヌクレオチドが導入され、かつ改変された細胞が、前記対象に再導入される、請求項77記載の方法。
【請求項83】
インビボで実施される、請求項77記載の方法。
【請求項84】
遺伝子スイッチが、EcRに基づく遺伝子スイッチである、請求項77記載の方法。
【請求項85】
リガンドがEcRリガンド結合ドメインに結合する、請求項84記載の方法。
【請求項86】
リガンドがジアシルヒドラジンである、請求項85記載の方法。
【請求項87】
リガンドが、RG-115819、RG-115830、およびRG-115932からなる群より選択される、請求項86記載の方法。
【請求項88】
リガンドがアミドケトンまたはオキサジアゾリンである、請求項85記載の方法。
【請求項89】
遺伝子スイッチが、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質が、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する、請求項77記載の方法。
【請求項90】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが異なる、請求項89記載の方法。
【請求項91】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが同一である、請求項89記載の方法。
【請求項92】
第一の転写因子配列が、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項89記載の方法。
【請求項93】
第二の転写因子配列が、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項89記載の方法。
【請求項94】
ポリヌクレオチドのうちの一つが、誘導性プロモーターに機能的に連結された致死ポリペプチドをさらにコードする、請求項89記載の方法。
【請求項95】
疾患または障害に対する処置のために対象に投与されている因子のレベルをモニタリングするための改変された細胞を調製する方法であって、
改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、処置のために投与されている前記因子によってモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記対象の細胞に導入する工程
を含む方法。
【請求項96】
疾患または障害に対する処置のために対象に投与されている因子のレベルをモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)前記処置を前記対象に施す工程;
(b)前記対象の改変された細胞にリガンドを投与する工程;および
(c)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現のレベルによって、処置のために投与されている因子のレベルが示され、かつ
前記対象の前記改変された細胞が、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、処置のために投与されている前記因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を含む、
方法。
【請求項97】
対象における疾患または障害に対して対象に投与されている因子のレベルをモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、処置のために投与されている前記因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を非自己細胞に導入する工程;
(b)前記対象に前記改変された細胞を導入する工程;
(c)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(d)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現のレベルによって、処置のために投与されている因子のレベルが示される、
方法。
【請求項98】
臓器または組織の移植片を受け取った対象における移植片拒絶を検出する方法であって、該方法が、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記臓器または組織の移植片の細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(c)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現によって、移植片拒絶が検出されたことが示される、
方法。
【請求項99】
ポリヌクレオチドが移植前に細胞に導入される、請求項98記載の方法。
【請求項100】
ポリヌクレオチドが移植後に細胞に導入される、請求項98記載の方法。
【請求項101】
遺伝子スイッチが、エクジソン受容体(EcR)に基づく遺伝子スイッチである、請求項98記載の方法。
【請求項102】
リガンドがEcRリガンド結合ドメインに結合する、請求項101記載の方法。
【請求項103】
リガンドがジアシルヒドラジンである、請求項102記載の方法。
【請求項104】
リガンドが、RG-115819、RG-115830、およびRG-115932からなる群より選択される、請求項103記載の方法。
【請求項105】
リガンドがアミドケトンまたはオキサジアゾリンである、請求項102記載の方法。
【請求項106】
遺伝子スイッチが、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質が、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する、請求項98記載の方法。
【請求項107】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが異なる、請求項106記載の方法。
【請求項108】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが同一である、請求項106記載の方法。
【請求項109】
第一の転写因子配列が、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項106記載の方法。
【請求項110】
第二の転写因子配列が、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項106記載の方法。
【請求項111】
ポリヌクレオチドのうちの一つが、誘導性プロモーターに機能的に連結された致死ポリペプチドをさらにコードする、請求項98記載の方法。
【請求項112】
対象における移植片拒絶を検出するための臓器または組織の移植片を調製する方法であって、
改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記臓器または組織の移植片の細胞に導入する工程
を含む方法。
【請求項113】
臓器または組織の移植片を受け取った対象における移植片拒絶を検出する方法であって、該方法が、
(a)前記対象にリガンドを投与する工程;および
(b)レポーター遺伝子発現を検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現によって、移植片拒絶が検出されたことが示され、かつ
前記臓器または組織の移植片が、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を含む一つまたは複数の細胞を含む、
方法。
【請求項114】
臓器または組織の移植片を受け取った対象における移植片拒絶の進行をモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記臓器または組織の移植片の細胞に導入する工程;
(b)前記改変された細胞にリガンドを投与する工程;ならびに
(c)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記対象における前記移植片拒絶の進行が示される、
方法。
【請求項115】
ポリヌクレオチドが移植前に細胞に導入される、請求項114記載の方法。
【請求項116】
ポリヌクレオチドが移植後に細胞に導入される、請求項114記載の方法。
【請求項117】
遺伝子スイッチが、エクジソン受容体(EcR)に基づく遺伝子スイッチである、請求項114記載の方法。
【請求項118】
リガンドがEcRリガンド結合ドメインに結合する、請求項117記載の方法。
【請求項119】
リガンドがジアシルヒドラジンである、請求項118記載の方法。
【請求項120】
リガンドが、RG-115819、RG-115830、およびRG-115932からなる群より選択される、請求項119記載の方法。
【請求項121】
リガンドがアミドケトンまたはオキサジアゾリンである、請求項118記載の方法。
【請求項122】
遺伝子スイッチが、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質が、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する、請求項114記載の方法。
【請求項123】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが異なる、請求項122記載の方法。
【請求項124】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが同一である、請求項122記載の方法。
【請求項125】
第一の転写因子配列が、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項122記載の方法。
【請求項126】
第二の転写因子配列が、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項122記載の方法。
【請求項127】
ポリヌクレオチドのうちの一つが、誘導性プロモーターに機能的に連結された致死ポリペプチドをさらにコードする、請求項114記載の方法。
【請求項128】
対象における移植片拒絶の進行をモニタリングするための臓器または組織の移植片を調製する方法であって、
改変された細胞を作製するために、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を前記臓器または組織の移植片の細胞に導入する工程
を含む方法。
【請求項129】
臓器または組織の移植片を受け取った対象における移植片拒絶の進行をモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)前記対象にリガンドを投与する工程;および
(b)レポーター遺伝子発現を少なくとも2回検出する工程
を含み、
前記レポーター遺伝子の発現のレベルの変化によって、前記対象における前記移植片拒絶の進行が示され、かつ
前記臓器または組織の移植片が、
(1)診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された少なくとも一つの転写因子配列を含む、遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該少なくとも一つの転写因子配列が、リガンド依存性転写因子をコードし、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド、および
(2)前記リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド
を含む一つまたは複数の細胞を含む、
方法。
【請求項130】
遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに機能的に連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、疾患または障害の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド。
【請求項131】
リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をさらにコードする、請求項130記載のポリヌクレオチド。
【請求項132】
遺伝子スイッチが、EcRに基づく遺伝子スイッチである、請求項130記載のポリヌクレオチド。
【請求項133】
遺伝子スイッチが、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質が、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する、請求項130記載のポリヌクレオチド。
【請求項134】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが異なる、請求項133記載のポリヌクレオチド。
【請求項135】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが同一である、請求項133記載のポリヌクレオチド。
【請求項136】
第一の転写因子配列が、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項133記載のポリヌクレオチド。
【請求項137】
第二の転写因子配列が、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項133記載のポリヌクレオチド。
【請求項138】
誘導性プロモーターに機能的に連結された致死ポリペプチドをさらにコードする、請求項130記載のポリヌクレオチド。
【請求項139】
遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、毒性条件に曝されている細胞に見出される因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド。
【請求項140】
リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をさらにコードする、請求項139記載のポリヌクレオチド。
【請求項141】
遺伝子スイッチが、EcRに基づく遺伝子スイッチである、請求項139記載のポリヌクレオチド。
【請求項142】
遺伝子スイッチが、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質が、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する、請求項139記載のポリヌクレオチド。
【請求項143】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが異なる、請求項142記載のポリヌクレオチド。
【請求項144】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが同一である、請求項142記載のポリヌクレオチド。
【請求項145】
第一の転写因子配列が、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項142記載のポリヌクレオチド。
【請求項146】
第二の転写因子配列が、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項142記載のポリヌクレオチド。
【請求項147】
誘導性プロモーターに機能的に連結された致死ポリペプチドをさらにコードする、請求項139記載のポリヌクレオチド。
【請求項148】
遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、処置のために対象に投与される因子によりモジュレートされる、ポリヌクレオチド。
【請求項149】
リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をさらにコードする、請求項148記載のポリヌクレオチド。
【請求項150】
遺伝子スイッチが、EcRに基づく遺伝子スイッチである、請求項148記載のポリヌクレオチド。
【請求項151】
遺伝子スイッチが、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質が、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する、請求項148記載のポリヌクレオチド。
【請求項152】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが異なる、請求項151記載のポリヌクレオチド。
【請求項153】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが同一である、請求項151記載のポリヌクレオチド。
【請求項154】
第一の転写因子配列が、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項151記載のポリヌクレオチド。
【請求項155】
第二の転写因子配列が、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項151記載のポリヌクレオチド。
【請求項156】
誘導性プロモーターに機能的に連結された致死ポリペプチドをさらにコードする、請求項148記載のポリヌクレオチド。
【請求項157】
遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチドであって、該遺伝子スイッチが、診断用スイッチプロモーターに連結された、リガンド依存性転写因子をコードする少なくとも一つの転写因子配列を含み、該プロモーターの活性が、移植片拒絶の時にモジュレートされる、ポリヌクレオチド。
【請求項158】
リガンド依存性転写因子により活性化されるプロモーターに連結されたレポーター遺伝子をさらにコードする、請求項157記載のポリヌクレオチド。
【請求項159】
遺伝子スイッチが、EcRに基づく遺伝子スイッチである、請求項157記載のポリヌクレオチド。
【請求項160】
遺伝子スイッチが、第一の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第一の転写因子配列、および第二の診断用スイッチプロモーターの制御下にある第二の転写因子配列を含み、該第一の転写因子配列および該第二の転写因子配列によりコードされたタンパク質が、リガンド依存性転写因子として機能するタンパク質複合体を形成するように相互作用する、請求項157記載のポリヌクレオチド。
【請求項161】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが異なる、請求項160記載のポリヌクレオチド。
【請求項162】
第一の診断用スイッチプロモーターと第二の診断用スイッチプロモーターが同一である、請求項160記載のポリヌクレオチド。
【請求項163】
第一の転写因子配列が、ヘテロ二量体パートナーおよびトランス活性化ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項160記載のポリヌクレオチド。
【請求項164】
第二の転写因子配列が、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインを含むタンパク質をコードする、請求項160記載のポリヌクレオチド。
【請求項165】
誘導性プロモーターに機能的に連結された致死ポリペプチドをさらにコードする、請求項157記載のポリヌクレオチド。
【請求項166】
請求項130、139、148、または157のいずれか一項記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項167】
プラスミドベクターである、請求項166記載のベクター。
【請求項168】
ウイルスベクターである、請求項166記載のベクター。
【請求項169】
請求項130、139、148、または157のいずれか一項記載のポリヌクレオチドを含むキット。
【請求項170】
請求項166記載のベクターを含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−536373(P2010−536373A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521896(P2010−521896)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/010040
【国際公開番号】WO2009/025866
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(508087044)イントレキソン コーポレーション (12)
【Fターム(参考)】