説明

病状を超音波式で自動式に検出、定量化及び追跡するための方法及びシステム

【課題】使いやすさを増大させ、習得期間を短縮し、検査時間をより迅速にし、かつオペレータ依存性を低減させた病状の検出、定量化及び/または追跡を可能にするシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】疾病状態を検出するための自動式方法を提示している。本方法は、関心対象内の関心領域に対応する1つまたは複数のデータ組内で骨表面を特定するステップを含む。さらに本方法は、対応する特定済み骨表面に基づいて1つまたは複数の画像データ組に対応する関節包領域を切り出すステップを含む。さらに本方法は、疾病状態を特定するために切り出された関節包領域を解析するステップを含む。疾病状態を検出するためのこの自動式方法を実行するように構成させたシステム並びに非一時的コンピュータ読み取り可能な媒体も提示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は超音波撮像に関し、またより具体的には筋骨格的(musculoskeletal)病状に関して長期にわたって自動式で超音波式の検出、定量化及び追跡を行うためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関節炎は、特に高齢層においてよく見られる障害原因の1つであり、また米国内における極めて慢性性の疾病の1つである。目下の筋骨格的施術は一般に、関心対象の解剖構造の撮像の実行及び画像の解析を行う際に高度に熟練した放射線医に大きく依拠している。しかしながら、こうした実施は患者に対する看護提供に関する追加の時間及びコストに繋がる。
【0003】
目下のところ関節炎の診断には、コンピュータ断層(CT)、磁気共鳴(MR)撮像、X線その他といった撮像技法が用いられている。しかし、X線のようなモダリティでは、解剖構造の2D投影の使用に拠っており、基となる解剖構造の3D構造の正確な像を描き出すことができない。さらに、CTやMRなどの別の撮像方法はかなり高価であると共に、ある種の患者群に関しては禁忌である(例えば、ペースメーカを装着した患者はMRスキャンを受けることが不可能である)。
【0004】
超音波撮像は比較的廉価な撮像方法を提供する。超音波撮像の最近の発展によって目下の最新の超音波デバイスは比較的高い画像分解能並びに使いやすさを誇るに至っている。これらの発展は臨床研究並びに日々のポイント・オブ・ケア施術に対する超音波の利用の増大に繋がっている。このため、超音波を利用するリウマチ専門医の数は年々着実に増加しつつある。さらに、改良された超音波テクノロジーは、筋骨格的撮像の場合に一般的であるような比較的浅い解剖学構造の撮像に適したより高周波数の超音波探触子に繋がっている。
【0005】
超音波のこうした様々な利点にも関わらずポイント・オブ・ケアにおける超音波の使用を制限する重大な要因の1つは、超音波走査の実行には臨床医の熟練及び訓練を必要とすることにある。さらに2D超音波の使用では、比較的熟練した超音波施術者の間でさえも診断が主観的となる。さらに、骨びらんのような筋骨格的な病状の検出には3次元(3D)(ボリュメトリック)超音波が利用されることがある。3D撮像はまた、具体的なある筋骨格的病状の進行の定量化を可能にしており、これがあれば疾病ステージ及び対応する処置の決定に非常に有益となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがってより迅速かつより正確な病状の診断並びに筋骨格的病状などの病状に関する処置反応(treatment response)の評価を提供できる専用の方法及びシステムを設計し開発することが望ましい。具体的には、使いやすさを増大させ、習得期間を短縮し、検査時間をより迅速にし、かつオペレータ依存性を低減させた病状の検出、定量化及び/または追跡を可能にするシステム及び方法を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技法の態様において、疾病状態を検出するための自動式方法を提示する。本方法は、関心対象内の関心領域に対応する1つまたは複数のデータ組内で骨表面を特定するステップを含む。さらに本方法は、対応する特定済み骨表面に基づいて1つまたは複数の画像データ組に対応する関節包領域を切り出すステップを含む。さらに本方法は、疾病状態を特定するために切り出された関節包領域を解析するステップを含む。疾病状態を検出するための自動式方法を実行するように適応させたコードを含むような1つまたは複数の有形の媒体を含んだ非一時的でコンピュータ読み取り可能な媒体も提示している。
【0008】
本技法の態様において、疾病状態を検出するための自動式システムを提示する。本システムは、関心対象内の関心領域に対応する1つまたは複数の画像データ組内で骨表面を特定するように構成された骨表面特定モジュールと、対応する特定済み骨表面に基づいて1つまたは複数の画像データ組内で関節包領域を決定するように構成された関節包切り出しモジュールと、切り出された関節包領域内で疾病状態を特定するように構成された解析モジュールと、を含んだ検出プラットフォームを含む。
【0009】
本技法のさらに別の態様において、撮像システムを提示する。本システムは、関心対象内の関心領域に対応する複数の画像データ組を取得するように構成された収集サブシステムを含む。さらに本システムは、収集サブシステムと動作可能に関連付けされると共に検出プラットフォームを含んだ処理サブシステムを含んでおり、該検出プラットフォームは、関心対象内の関心領域に対応する1つまたは複数の画像データ組内で骨表面を特定するように構成された骨表面特定モジュールと、対応する特定済み骨表面に基づいて1つまたは複数の画像データ組内で関節包領域を決定するように構成された関節包切り出しモジュールと、切り出された関節包領域内で疾病状態を特定するように構成された解析モジュールと、を含む。
【0010】
本発明に関するこれらの特徴、態様及び利点、並びにその他の特徴、態様及び利点については、同じ参照符号が図面全体を通じて同じ部分を表している添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによってより理解が深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本技法の態様による超音波画像内における病状の自動式の検出、定量化及び追跡のためのシステムの概要図である。
【図2】図1のシステムで用いられる超音波撮像システムの概要図である。
【図3】本技法の態様による図1のシステムの一実施形態の概要図である。
【図4】本技法の態様による超音波画像内における病状の自動式の検出、定量化及び追跡のための例示的な方法を表した流れ図である。
【図5】正常な骨関節の概要図である。
【図6】本技法の態様による図4の方法で骨表面を特定するステップの概要図である。
【図7】中手指節関節の概要図である。
【図8】本技法の態様による図4の方法で骨表面を用いて関節包領域を切り出すステップの概要図である。
【図9】本技法の態様による図4の方法で骨びらんの体積を決定するステップの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書の以下で詳細に説明することにするが、病状に対する自動式で超音波式の検出、定量化及び追跡のための様々な方法及びシステムを提示する。以下に記載する方法及びシステムを利用することによって、早期診断、定量化(スコア評価)を容易にすると共に病状に関する長軸的な追跡を向上させる一方、病状の評価におけるオペレータ依存性を低減させている。さらに、病状の客観的評価のための方法を提示しており、これによれば病状診断の効率が向上する。
【0013】
図1は、本技法の態様による診断撮像で用いられる例示的なシステム100のブロック図である。システム100は、関心対象内の関心解剖領域に対応する超音波画像を用いて、筋骨格的病状などの病状の自動式の検出、定量化及び追跡を容易にするように構成されている。このためにシステム100は、患者102から画像データを収集するように構成されることがある。一実施形態ではシステム100は、画像収集デバイス104を介して患者102から画像データを収集することがある。さらに一実施形態では、その画像収集デバイス104は探触子を含むこともあり、この探触子には、侵襲的な探触子を含むことや、画像データの収集を支援するように構成された外部の超音波探触子などの非侵襲的または外部探触子を含むことがある。さらにある種の別の実施形態では、画像データは患者102上に配置させ得る1つまたは複数のセンサ(図示せず)を介して収集されることがある。一例としてそのセンサは、心電図(ECG)センサなどの生理学的センサ(図示せず)及び/または電磁気センサや慣性センサなどの位置センサを含むことがある。これらのセンサは、撮像システムなどのデータ収集デバイスと、例えばリード(図示せず)を介して動作可能に結合させることがある。
【0014】
システム100はさらに、画像収集デバイス104と動作関連付けされた医用撮像システム106を含むことがある。本明細書の以下で例証する例示的な実施形態を医用撮像システムのコンテキストで説明しているが、工業用撮像システムなどの別の撮像システムや用途、並びにパイプライン検査システム、液体反応器検査システムなどの非破壊式評定/検査システムも企図されることに留意すべきである。さらに以下に図示し説明する例示的な実施形態は、別の撮像モダリティと連携して超音波撮像を利用しているマルチモダリティ撮像システム、位置追跡システムまたは別のセンサシステムにおいて用途を見出すことができる。さらに、本明細書の以下で例証する例示的な実施形態について超音波撮像システムなどの医用撮像システムのコンテキストで説明しているが、磁気共鳴(MR)撮像システム、X線撮像システム、コンピュータ断層(CT)撮像システムその他の撮像システム(ただし、これらに限らない)などの別の撮像システムの利用も本技法の態様に従って企図されることに留意すべきである。
【0015】
本明細書の上で指摘したように、目下企図される構成では医用撮像システム106は超音波撮像システムを含むことがある。医用撮像システム106は一実施形態において、収集サブシステム108及び処理サブシステム110を含むことがある。さらに、医用撮像システム106の収集サブシステム108は、一実施形態において画像収集デバイス104を介して患者102内の1つまたは複数の関心解剖領域を表す画像データを収集するように構成されている。さらに一実施形態では、収集サブシステム108は関心解剖領域の1枚または複数枚の2次元(2D)画像を収集するように構成されることがある。これらの2D画像は3次元画像ボリュームを形成するために利用されることがある。別法として収集サブシステム108は、患者102内の関心解剖領域を表す3D画像ボリュームの収集を可能とさせることがある。さらにこの関心解剖領域は患者102内の骨関節を含むことがある。したがって収集サブシステム108は、例えば患者102内の骨関節を表した複数の2D、3D及び/または4次元(4D)画像を収集するように構成されている。この収集画像は、異なる時点で収集された画像を表すことがある。さらに、患者102から収集された画像データは次いで、処理サブシステム110によって処理されることがある。
【0016】
医用撮像システム106によって収集及び/または処理された画像データは、疾病状態の特定、処置の必要性の評価、適当な処置方針の決定、疾病の進行追跡及び/または疾病状態に対する処置の効果の監視に関して臨床医を支援するために利用されることがある。処置と治療という用語は区別なく用い得ることに留意されたい。ある種の実施形態ではその処理サブシステム110はさらに、収集した画像データを保存するように構成されたデータリポジトリ114などの記憶システムと結合させることがある。
【0017】
本技法の例示的な態様では処理サブシステム110は、患者102の解剖領域内での病状の検出、定量化及び/または追跡を支援するように構成された検出プラットフォーム112を含むことがある。さらに詳細にはこの検出プラットフォーム112は、医用撮像システム106を介して収集された画像を利用して関心解剖領域内での病状の検出を容易にするように構成されることがある(これについては、図3〜9を参照しながらさらに詳細に説明することにする)。上で指摘したように、関心解剖領域は患者102内の骨関節とすることがある。さらに一実施形態ではその検出プラットフォーム112は、収集した超音波画像を用いて、筋骨格的病状などの病状の自動式の検出、定量化及び/または追跡を支援するように構成されている。さらに一実施形態では、関心解剖領域内の病状には、患者102内のリウマチ性関節炎などの疾病を含むことがある。本技法をリウマチ性関節炎に関して説明しているが、別の骨関連疾患を検出するための本技法の利用も想定されることに留意されたい。
【0018】
さらに図1に示したように、医用撮像システム106はディスプレイ116及びユーザインタフェース118を含むことがある。ある種の実施形態では、タッチ画面内などにおいてディスプレイ116とユーザインタフェース118を重複させることがある。さらに幾つかの実施形態では、そのディスプレイ116とユーザインタフェース118は共通の領域を含むことがある。本技法の態様では、医用撮像システム106のディスプレイ116を、収集した画像データに基づいて医用撮像システム106が作成した画像を表示するように構成させることがある。さらに本技法の別の態様では、検出プラットフォーム110によって検出された病状をディスプレイ116上で視覚化させることがある。
【0019】
さらに、医用撮像システム106のユーザインタフェース118は、ディスプレイ116に表示された画像データの臨床医による操作を支援するように構成されたヒューマンインタフェースデバイス(図示せず)を含むことがある。このヒューマンインタフェースデバイスは、治療を要する1つまたは複数の関心対象領域の臨床医による特定を容易にするように構成されたマウス型のデバイス、トラックボール、ジョイスティック、スタイラスまたはタッチ画面を含むことがある。しかし、タッチ画面(ただし、これに限らない)などの別のヒューマンインタフェースデバイスが利用されることもある。さらに本技法の態様では、ユーザインタフェース118は、医用撮像システム106が収集した画像内の臨床医によるナビゲーションを支援するように構成されることがある。さらにユーザインタフェース118はまた、ディスプレイ116上に表示された検出病状に対する操作及び/または整理を支援するように構成されることがある。
【0020】
図1を参照しながら上で指摘したように、医用撮像システム106は超音波撮像システムを含むことがある。図2は、図1に示した超音波撮像システムの一実施形態200のブロック図である。超音波システム200は、図1の収集サブシステム108などの収集サブシステムと、図1の処理サブシステム110などの処理サブシステムと、を含む。収集サブシステム108はトランスジューサアセンブリ206を含むことがある。さらに収集サブシステム108は、送信/受信切替え回路208、送信器210、受信器212及びビーム形成器214を含む。ある種の実施形態ではそのトランスジューサアセンブリ206を探触子104(図1参照)内に配置させることに留意されたい。さらにある種の実施形態ではそのトランスジューサアセンブリ206は、例えば1次元や2次元のトランスジューサアレイなどのトランスジューサアレイを形成するような空間的関係で配列させた複数のトランスジューサ素子(図示せず)を含むことがある。さらにトランスジューサアセンブリ206は、ケーブルアセンブリや付属の電子回路(ただし、これらに限らない)などの外部のデバイス(図示せず)に対するトランスジューサアレイの動作可能な結合を容易にするように構成された相互接続構造(図示せず)を含むことがある。図示した実施形態ではこの相互接続構造は、トランスジューサアレイをT/R切替え回路208に結合させるように構成されることがある。
【0021】
処理サブシステム110は、制御プロセッサ216、復調器218、撮像モードプロセッサ220、走査変換器222及び表示プロセッサ224を含む。表示プロセッサ224はさらに、画像を表示するためにディスプレイ116(図1参照)などの表示モニタに結合されている。ユーザインタフェース領域118(図1参照)などのユーザインタフェースは、制御プロセッサ216及び表示モニタ116と対話する。制御プロセッサ216はさらに、リモート接続インタフェース228やウェブサーバー230を含むリモート接続サブシステム226に結合させることがある。処理サブシステム110はさらに、超音波画像データの受け取り及び/または保存をするように構成された図1のデータリポジトリ114などのデータリポジトリ232に結合させることがある。データリポジトリ232は撮像ワークステーション234と対話する。
【0022】
上述の構成要素は、ディジタル信号プロセッサを備えた回路基板などの専用のハードウェア素子とすることがあり、あるいは商用で市販のパーソナルコンピュータ(PC)などの汎用のコンピュータまたはプロセッサ上で実行されるソフトウェアとすることがある。これらの様々な構成要素は、本発明の様々な実施形態に従って組み合わせることも分離させることもできる。したがって当業者であれば、本超音波撮像システム200が単に一例として提供されたものであること、並びに本技法はいかなる意味でもこの特定システム構成に限定されるものでないことを理解されよう。
【0023】
収集サブシステム108内において、トランスジューサアセンブリ206は患者102(図1の参照)と接触している。トランスジューサアセンブリ206は、送信/受信(T/R)切替え回路208と結合させている。さらにT/R切替え回路208は、送信器210の出力及び受信器212の入力と動作関連付けさせている。受信器212の出力はビーム形成器214の入力である。さらにビーム形成器214は、送信器210の入力に対してかつ復調器218の入力に対してさらに結合させている。ビーム形成器214はさらに、図2に示したように制御プロセッサ216と動作可能に結合させている。
【0024】
処理サブシステム110内において、復調器218の出力は撮像モードプロセッサ220の入力と動作関連付けされている。さらに制御プロセッサ216は、撮像モードプロセッサ220、走査変換器222及び表示プロセッサ224とインタフェースしている。撮像モードプロセッサ220の出力を走査変換器222の入力に結合させている。さらに走査変換器222の出力は表示プロセッサ224の入力と動作可能に結合させている。表示プロセッサ224の出力はモニタ116に結合させている。
【0025】
超音波システム200は、患者102内に超音波エネルギーを送り込むと共に患者102から後方散乱された超音波信号を受け取りかつ処理して、画像を作成し表示している。送信超音波エネルギービームを作成するために、制御プロセッサ216は、トランスジューサアセンブリ206の表面のある点を起点として所望のステアリング角で所望形状のビームを生成するための送信パラメータを作成させるようなコマンドデータをビーム形成器214に送っている。この送信パラメータはビーム形成器214から送信器210に送られる。送信器210は、この送信パラメータを用いて、T/R切替え回路208を介してトランスジューサアセンブリ206に送ろうとする送信信号を適正にエンコードしている。この送信信号は、互いに対してあるレベル及び位相に設定されると共に、トランスジューサアセンブリ206の個々のトランスジューサ素子に提供される。この送信信号は、位相及びレベルを同じ関係として超音波を放出するようにトランスジューサ素子を励起している。その結果、例えば超音波ジェルを用いてトランスジューサアセンブリ206を患者102に音響的に結合させたときに、走査線に沿って患者102内に送信超音波エネルギービームが形成される。この処理過程のことを電子走査を呼ぶ。
【0026】
一実施形態ではそのトランスジューサアセンブリ206を2元型のトランスジューサとすることがある。患者102内に超音波が送り込まれると、患者102内部の組織や血液サンプルから超音波が後方散乱される。トランスジューサアセンブリ206はこの後方散乱波を、その波を戻している組織までの距離並びに波が戻されるトランスジューサアセンブリ206の表面に対する角度に応じて異なる時点で受信する。トランスジューサ素子は後方散乱波からの超音波エネルギーを電気信号に変換する。
【0027】
次いでこの電気信号はT/R切り替え回路208を通って受信器212まで導かれる。受信器212は、受信信号を増幅しかつディジタル化しており、また利得補償など別の機能を提供している。各トランスジューサ素子によって様々な時点で受信された後方散乱波に対応するディジタル化済み受信信号は、後方散乱波の振幅及び位相情報を保全している。
【0028】
このディジタル化済み信号はビーム形成器214に送られる。制御プロセッサ216は、ビーム形成器214にコマンドデータを送る。ビーム形成器214はこのコマンドデータを用いてトランスジューサアセンブリ206の表面上のある点からあるステアリング角度(典型的には、走査線に沿って送信された直前の超音波ビームに関する点及びステアリング角度に対応する)で出てくる受信ビームを形成させる。ビーム形成器214は適当な受信信号に対して、制御プロセッサ216からのコマンドデータの命令に従って時間遅延及び集束を実行することによって動作し、患者102内部の走査線に沿ったサンプルボリュームに対応する受信ビーム信号が生成される。様々なトランスジューサ素子からの受信信号に関する位相、振幅及びタイミング情報を用いて受信ビーム信号が生成されている。
【0029】
受信したビーム信号は処理サブシステム110に送られる。復調器216は、受信ビーム信号を復調し走査線に沿ったサンプルボリュームに対応するI及びQの復調データ値の対を生成させている。受信ビーム信号の位相及び振幅を基準周波数と比較することによって復調が実現される。I及びQの復調データ値は受信信号の位相及び振幅情報を保全している。
【0030】
復調データは撮像モードプロセッサ220に転送される。撮像モードプロセッサ220はパラメータ推定技法を用い、走査シーケンスフォーマットにおいて復調データから撮像パラメータ値を作成する。この撮像パラメータは、例えばBモード、カラー速度モード、スペクトルドプラモード及び組織速度撮像モードなど可能な様々な撮像モードに対応したパラメータを含むことがある。撮像パラメータ値は走査変換器222に渡る。走査変換器222は、走査シーケンスフォーマットから表示フォーマットへの変換を実施することによってパラメータデータを処理している。この変換は、表示フォーマットで表示画素データを作成するようにパラメータデータに対して補間演算を実行することを含む。
【0031】
走査変換された画素データは表示プロセッサ224に送られ、走査変換画素データに対する最後の任意の空間または時間フィルタ処理を実行し、走査変換画素データに対してグレイスケールまたは色相を付与し、またモニタ116上に表示させるようにディジタル画素データをアナログデータに変換する。ユーザインタフェース118は、モニタ116上に表示されたデータに基づいてユーザが超音波システム200とインタフェースできるようにするために制御プロセッサ216に結合させている。
【0032】
ここで図3を見ると、図1の診断システム100の一実施形態のブロック図300を表している。図1を参照しながら上で指摘したように、収集サブシステム108(図1参照)は、患者102(図1参照)からの画像データの収集を支援するように構成されている。したがって、収集サブシステム108によって患者102を表した1枚または複数枚の画像が収集されることがある。ある種の実施形態ではこの1枚または複数枚の画像は超音波画像302を含むことがある。超音波画像302は患者102内の解剖領域を表すことがあることに留意されたい。例えば図3に示した例では、超音波画像302は患者102の骨関節領域を表した画像データを含むことがある。上で指摘したように超音波画像302は、2D画像、3D画像及び/または4D画像を含むことがある。さらに上で指摘したように、2D、3D及び/または4D画像302は異なる時点で収集された長軸性画像を含むことがある。
【0033】
さらに、収集サブシステム108により収集した画像データをデータリポジトリ114(図1参照)内に保存することがある。ある種の実施形態ではそのデータリポジトリ114は、ローカルのデータベースを含むことがある。次いで検出プラットフォーム112(図1参照)が、このローカルのデータベース114から超音波画像302などこれらの画像にアクセスすることがある。別法としてその超音波画像302は、収集サブシステム108によってアーカイブサイト、データベースまたは光学式データ記憶用品から取得されることがある。例えば収集サブシステム108は、光学式データ記憶用品内に保存された画像を収集するように構成されることがある。この光学式データ記憶用品には、コンパクトディスク(CD)、ディジタル多目的ディスク(DVD)、DVD−5やDVD−9などの多層構造体、DVD−10やDVD−18などの多面構造体、高品位ディジタル多目的ディスク(HD−DVD)、ブルーレイディスク、近接場光記憶ディスク、ホログラフィー記憶媒体、あるいは同様の別のボリュメトリック光学記憶媒体(例えば、2光子や多光子吸収記憶フォーマットなど)の光学的記憶媒体とし得ることに留意されたい。さらに、収集サブシステム108によりこうして収集されたこれらの超音波画像302は医用撮像システム106(図1参照)上にローカルで保存されることがある。超音波画像302は、例えばローカルのデータベース114内に保存されることがある。
【0034】
さらに、図1を参照しながら上で指摘したように、処理サブシステム110(図1参照)は、疾病状態の特定、処置に関する必要性の評価、適当な処置選択肢の決定、疾病状態の進行の追跡及び/または疾病状態に対する処置の効果の監視に関して臨床医を支援するためにこれらの超音波画像302を処理するように構成されている。さらに詳細には、処理サブシステム110は、患者102内の1つまたは複数の解剖領域における病状の検出、定量化及び/または追跡を支援するように構成されることがある。一例ではその処理サブシステム110は、患者102内の1つまたは複数の解剖領域(例えば、患者102の骨関節)を表した超音波画像302を用いて筋骨格的病状に関する検出、定量化及び/または追跡を支援するように構成されることがある。さらに図1〜2に示した実施形態では、処理サブシステム110を検出プラットフォーム112を含むように図示しており、ここで検出プラットフォーム112は、上で説明したように収集した超音波画像302を利用することによって筋骨格的病状に関する検出、定量化及び/または追跡を支援するように構成されている。しかし検出プラットフォーム112はまた、処理サブシステム110や医用撮像システム106から物理的に分離させたスタンドアロンのモジュールとして用いられることもある。一例としてその検出プラットフォーム112は、医用撮像システム106と動作可能に結合させると共に、収集した超音波画像302を用いて患者102内の解剖領域に関連付けされた筋骨格的病状に関する検出、定量化及び/または追跡を支援するように構成させることがある。
【0035】
本技法の態様では、検出プラットフォーム112は、筋骨格的病状(ただし、これに限らない)などの疾病状態に関する特定、定量化及び/または追跡を支援するように構成されている。このために本技法の態様では検出プラットフォーム112は、疾病状態を検出、定量化及び/または追跡するように、複数の画像データ組302内で骨表面を特定すること、対応する特定済み骨表面を用いて複数の画像データ組302内で関節包領域を切り出すこと、特定済み骨表面及び/または切り出し済み関節包領域を解析することにより疾病状態の特定、定量化及び/または追跡を支援するように構成されている。ある種の別の実施形態ではその検出プラットフォーム112はさらに、対応する特定済み骨表面を用いて複数の画像データ組302を位置合わせして位置合わせ済み画像を作成することによって疾病状態に対する検出及び/または追跡を支援するために利用されることがある。
【0036】
さらに一実施形態ではその検出プラットフォーム112は、骨表面特定モジュール304、関節包切り出しモジュール306及び解析モジュール308を含むことがある。検出プラットフォーム112はさらに、ある種の実施形態において位置合わせモジュール310を含むことがある。図3の構成は検出プラットフォーム112を骨表面特定モジュール304、関節包切り出しモジュール306、解析モジュール308及び位置合わせモジュール310を含むものとして図示しているが、用いられるこうしたモジュールの数はこれより少ないことも多いこともあり得ることに留意されたい。
【0037】
図3の参照を続けると目下企図される構成では、骨表面特定モジュール304は複数の画像データ組を用いて骨関節の骨表面を特定するように構成されている。本明細書で用いる場合に、複数の画像データ組という用語は収集サブシステム108によって収集される超音波画像302を示すために用いている。複数の画像データ組と超音波画像という用語は区別なく用いられることに留意されたい。さらに、病状と疾病状態という用語も区別なく用いられることにも留意されたい。さらにある種の実施形態では、その複数の画像302を1回の臨床訪問の間に取得することがある。例えば複数の画像302は、同じ日のうちに異なる時点で収集されることがある。一実施形態ではこの異なる時点は互いから数分以内とすることがあり、またその1日の全体に広げられることもある。さらに複数の画像302はまた、疾病進行の追跡及び/または治療に対する可能な応答を容易にするように、数週間、数か月さらには数年にわたることもあり得る複数の臨床訪問において収集されることもある。
【0038】
骨表面特定モジュール304は、超音波画像302を用いて関節骨表面を自動的に特定しかつ抽出するように構成されている。骨表面特定モジュール304は、超音波画像302の各々に対応する骨表面を特定しかつ抽出するように構成されていることに留意されたい。こうして特定された関節骨表面は、関節表面のびらんなどの筋骨格的病状の視覚的検出の効率を強化するために利用されることがある。さらに、こうして特定された関節骨表面はさらに、骨表面のびらんなど骨関連の病状の自動式の検出及び定量化を可能にするためにも利用されることがある。このために骨表面特定モジュール304はさらに、ある種の実施形態において特定済み関節骨表面の視覚化を支援するように構成されることがある。
【0039】
さらに、検出プラットフォーム112内の関節包切り出しモジュール306は、骨表面特定モジュール304が特定した対応する骨表面を用いて超音波画像302内で関節包領域を切り出すように構成されている。例えば関節包切り出しモジュール306は、対応する特定済み骨表面を用いて中手指節(MCP)関節及び/または中足趾節(MTP)関節を含む骨関節内で関節包領域を自動的に切り出すように構成されている。
【0040】
引き続いてこの切り出し済み関節包領域は、炎症その他など任意の病状の検出及び/または定量化のために解析を受けることがある。さらにこの切り出し済み関節包領域は、例えば骨びらんなどの病状に対する関節包領域内部でのエコー輝度の統計解析並びにドプラカラーフロー計測値による検出、定量化及び/または追跡の支援を可能にするために解析を受けることがある。一実施形態では検出プラットフォーム112内の解析モジュール308は、筋骨格的病状の特定、筋骨格的病状の追跡及び/または筋骨格的病状に対する処置の有効性の検査のために、特定済み骨表面及び/または切り出し済み関節包領域を解析するように構成されている。一例としてその解析モジュール308は、特に関節解剖構造内の何らかの変化を追跡するため並びに対応する定量的及び/または定性的計測値を決定するために、超音波画像302及び切り出し済み関節包領域を処理することがある。
【0041】
さらに解析モジュール308はまた、骨関節レベルにおける炎症性変化に対する客観的ボリュメトリック計測値を決定するために、超音波画像302、抽出済み関節骨表面及び/または切り出し済み関節包領域を処理するように構成されている。一例としてその超音波画像302は、炎症組織に対する直接的で直覚的なボリュメトリック視覚化、ボリュメトリック定量化及び/またはボリュメトリックドプラフロー評価を提供するように処理されることがある。さらに解析モジュール308はまた、その疾病状態に対応するスコアまたはメトリックを生成するように構成されることがあり、このスコアまたはメトリックによればリウマチ専門医のオフィスなどのポイント・オブ・ケアで疾病状態に対する直接の関節レベル評価が提供される。一実施形態ではその解析モジュール308は、疾病状態その他についてスコアまたはメトリックを決定するように構成されており、この決定を正常な対象に対応する計測値との決定したこのスコアまたはメトリックの比較によることがある。この正常な計測値は、例えば正常モデルデータベース314内に保存しておくことがある。
【0042】
ある種の実施形態ではその解析モジュール308はまた、臨床医による疾病状態の決定を支援するように構成し得ることに留意されたい。このために解析モジュール308は、特定済み疾病状態及び/または生成したメトリックを示す画像の視覚化を支援するように構成されることがある。これらの画像及び/またはメトリック(複数のこともある)を臨床医に対して提示することがある。臨床医は次いで、疾病状態の診断または決定、疾病状態の進行の追跡、及び/または疾病状態に対する治療の有効性の検査のためにこれらの画像及び/またはメトリック(複数のこともある)を利用することがある。
【0043】
上で指摘したようにある種の実施形態では、検出プラットフォーム112はさらに、位置合わせモジュール310を含むことがある。位置合わせモジュール310は、特定済み骨表面に基づいて超音波画像302を位置合わせして位置合わせ済み画像を作成するために利用されることがある。この位置合わせ済み画像は例えば骨関節内の病状の追跡のために用いられる。さらにこの位置合わせ済み画像、抽出済み骨表面及び/または切り出し済み関節包領域は、ある種の実施形態においてデータ記憶312内に保存されることがある。さらにこの抽出済み骨表面、切り出し済み関節包領域及び/または位置合わせ済み画像は、例えばディスプレイ116上に表示させるために視覚化されることがある。さらに臨床医は、一実施形態ではユーザインタフェース118を用いて表示させた画像に対してアノテーション付与、整理及び/またはアノテーション解除を行うことがある。
【0044】
検出プラットフォーム112の働き、並びに骨表面特定モジュール304、関節包切り出しモジュール306、解析モジュール308及び位置合わせモジュール310の働きについては特に、図4に示した例示的な論理を参照することによってより理解が深まろう。ここで図4を見ると、患者102(図1参照)内の関心解剖領域内における筋骨格的病状などの病状を追跡するための方法の例示的な論理400の流れ図を示している。図4の方法は図1〜3の様々な構成要素に関連して説明していることに留意されたい。
【0045】
さらに方法400は、コンピュータ実行可能命令の一般的なコンテキストで説明することがある。一般にコンピュータ実行可能命令は、特定の関数の実行あるいは特定の抽象データタイプの実現を行うルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造、手続き、モジュール、関数、その他を含むことがある。さらにある種の実施形態ではそのコンピュータ実行可能命令は、撮像システム100(図1参照)に対するローカルとなっておりかつ処理サブシステム110(図1参照)と動作関連付けされたメモリなどのコンピュータ記憶媒体内に配置されることがある。ある種の別の実施形態ではそのコンピュータ実行可能命令は、撮像システムから取り外されたメモリ記憶デバイスなどのコンピュータ記憶媒体内に配置されることがある。さらに、超音波画像302(図3参照)を用いて病状を自動式に検出するための方法は、ハードウェア、ソフトウェアあるいはこれらの組み合わせの形で実現し得る動作シーケンスを含む。
【0046】
図4に提示した例では、超音波画像データを用いて骨関節内で筋骨格的病状を自動式に検出、定量化及び/または追跡するための方法を提示する。したがって上で指摘したように、患者102内の骨関節領域を表した超音波画像302などの超音波画像は、筋骨格的病状の診断及び/または処置の支援のために利用されることがある。
【0047】
本方法は、ある解剖領域を表した1つまたは複数の画像データ組404が取得されるステップ402で開始される。本例では、病状の検出のための方法について、患者102(図1参照)などの患者の骨関節内における筋骨格的病状の検出に関連して説明している。したがって画像データ組404は、患者102の骨関節領域を表す超音波画像データを含むことがある。画像データ組404は2D、3D及び/または4D超音波画像を含み得ることに留意されたい。上で指摘したように画像データ組404は、患者102から異なる時点でリアルタイムの収集されることがある。しかし画像データ組404はこれに代えて、データリポジトリ114(図1参照)などのデータリポジトリから取得されることもある。
【0048】
さらに複数の画像データ組404は長軸性画像を表すことがある。本明細書で用いる場合に「長軸性画像(longitudinal image)」という用語は、異なる時点で収集された患者102などの関心対象内の関心解剖領域に対応する画像を示すために用いている。したがってステップ402において、1枚または複数枚の長軸性画像404が収集される。本例における超音波画像404は、患者102内の骨関節領域を表すことがある。一例として、患者102内の関節領域を表した2D、3D及び/または4D超音波画像が収集されることがある。これらの長軸性画像404は、診断、治療及び/またはフォローアップ検査で用いられることがある。
【0049】
本技法の態様では、超音波画像404内で病状を自動式に検出するための方法では、ステップ406で示したような骨表面の特定が必要となる。上で指摘したように、骨表面の特定を支援するためには骨表面特定モジュール304(図3参照)が利用される。
【0050】
この骨表面の特定は、超音波画像404内の様々な組織の識別のための関心解剖領域内の異なる組織に特徴的な音響的特性に依拠していることに留意されたい。したがって、骨表面を特定するために骨表面の特徴的な音響的応答が利用される。具体的には、音響波が骨の表面上に当たったときに骨は音響波に対して実質的に不透明であるため、その音響波のほとんどすべてが骨から反射され、また超音波トランスジューサ206(図2参照)に戻されることがある。衝突する音響波のうち骨表面の下側を伝播可能なのは比較的僅かな部分であるため、音響波のこの反射によって骨表面の下側に音響的な「シャドウ」が生じる。例えば衝突する音響波のうちの約5〜10%が骨表面の下側を伝播可能となることがある。こうして形成された音響シャドウのために、骨表面を表すような特徴的な超音波画像が生じる。
【0051】
本技法の別の態様では、骨表面を表したこの特徴的な超音波画像は、骨表面の自動式の特定を容易にするために利用されている。ある種の実施形態では、超音波画像404からの骨表面の自動式特定を可能にするために、骨表面において強力な応答が生成されるように調整した特定の画像処理フィルタを設計し利用することがある。次いで、こうしたフィルタに対する応答を用いて、「骨尤度」L(x)(ここで、xは超音波画像404内の任意の画素の箇所、またL(x)は位置xまたはその近傍に骨組織インタフェースが存在する尤度)が生成される。
【0052】
さらにステップ406において、骨表面を特定した後に、生成された骨表面尤度に基づいて骨表面が抽出または切り出される。骨表面の抽出には多数の高速切り出し法が用いられることがある。ある種の実施形態では、3次元まで拡張したグラフベースの切り出し法を利用して骨表面を3Dで特定することがある。ステップ406の処理の結果として、骨表面408が特定されかつ抽出される。
【0053】
ある種の状況ではその骨表面408は、超音波探触子104が発生させる音響ビームの方向から離れて湾曲していることがある。したがって探触子104からの音響ビームが骨表面408上にある角度をもって衝突しており、これにより反射エネルギーは探触子104から離れるように導かれ、これにより骨「ドロップオフ(drop−off)」効果が生じる。具体的には、エネルギーのうちの比較的僅かな部分だけがトランスジューサ206の方向に反射されるため、骨表面408からのエコーがかなり低い強度になる。このドロップオフ効果は、骨表面408からのエコー強度が低い領域における骨特定の不首尾に繋がるので不利である。
【0054】
本技法の態様ではこのドロップオフ効果は、骨表面の法線が超音波ビームとで見込む角度を推定するために黙示的な骨表面法線計算を用いることによって回避される。この角度は、強度補正済みの超音波画像の作成のために用いられることがある。この角度はまた骨尤度推定及び骨表面当て嵌めを直接変更するために用いられることがある。ある種の実施形態ではその表面当て嵌めには、骨尤度マップの最高値を通過すると同時に骨表面に関する平滑度などの妥当な物理的特徴を維持する骨表面を特定するようなダイナミックプログラムなどの最適化アルゴリズムを必要とすることがある。
【0055】
さらに本技法の別の態様では、骨表面408が特定された後に、ステップ410に示したように関節包領域が切り出される。上で指摘したように関節包切り出しモジュール306は、特定済み骨表面408に基づいて関節包領域を切り出すために利用される。この関節包領域は、抽出済み骨表面408に基づいて超音波画像404から自動的に切り出される。一実施形態ではその抽出済み骨表面408は、関節包領域の箇所に関するコンテキスト的指示を提供するために利用される。さらに、ヒトの大部分の関節はある特定の解剖学構造を有しているため、関節の解剖学構造を用いて関節の解剖学的アトラスが作成される。したがって、特定済み骨表面408に基づいた関節包のアトラスベースの切り出しが実行される。ある種の実施形態では、関節包領域のこうした切り出しは、切り出しの手作業によるシード設定(開始)並びにこれに続く画像ベースの切り出しの実行に関するユーザ入力に基づいて実行されることもある。
【0056】
関節包領域が切り出された後に、ステップ412に示したように関節内の疾病状態の有無を特定するために切り出し済み関節包領域が解析される。この疾病状態は、例えば骨びらんなどの筋骨格的病状を含むことがある。本技法の別の態様では、この切り出し済み関節包領域はまた、特定済み疾病状態の定量化の支援のために解析される。一例として切り出し済み関節包領域の疾病状態は、該疾病の重篤度を示すスコアまたはメトリックを提供することによって定量化されることがある。解析モジュール308は、図3を参照しながら上で指摘したように、任意の疾病状態を特定するために用いられる。
【0057】
疾病状態の特定及び/または定量化のための骨表面の特定、関節包領域の切り出し及び関節包領域の解析からなる自動式ステップは、毎回の患者走査ごとに実行されることがあることに留意されたい。さらにこの自動式ステップはまた、疾病状態の進行の追跡及び/または疾病状態に対する治療の有効性の評定を支援している。したがって、例えば病状の進行の追跡及び/または病状に対する処置の有効性の検査のために、複数の収集超音波画像404が用いられる。
【0058】
ある種の実施形態では、ステップ414に示したように収集超音波画像404が位置合わせされることがある。具体的には、その骨表面が比較的不変に保たれていると仮定すると、超音波画像の位置合わせを支援するために異なる時点で収集された超音波画像404にわたる骨表面が利用される。位置合わせステップ414の結果として、位置合わせ済み画像416が作成されることがある。位置合わせモジュール310は超音波画像404の位置合わせのために利用される。
【0059】
さらに、ステップ418に示したようにディスプレイ116(図1参照)上に、超音波画像404間での解剖構造の任意の変化に関する視覚的オーバーレイを表示させることがある。さらにディスプレイ116上には、特定済み疾病状態、特定済み骨表面408、切り出し済み関節包領域及び/または位置合わせ済み画像416も表示させることがある。この視覚化によって臨床医またはユーザは、具体的なある関節に生じる長期にわたる変化を理解し解釈することが可能となる。ステップ402〜418は図5〜9を参照することでより理解が深まろう。
【0060】
図5はヒトの正常な関節の概要図500である。参照番号502は関節500内の骨を示したおり、また関節包は参照番号504で示している。さらに参照番号506は筋肉を示しており、また軟骨は参照番号508によって示している。さらに、腱を参照番号510によって示しており、また参照番号512は滑膜を示している。さらに滑液を参照番号514で示している。
【0061】
ここで図6を見ると、図4のステップ406の骨表面の抽出の概要図600を示している。一例として図6の方法は骨502(図5参照)の表面の特定及び抽出を表している。図6の方法は図1〜5を参照しながら説明していることに留意されたい。本方法は、患者102(図1参照)内の骨関節500(図5参照)などの関心解剖領域に対応する超音波画像604が取得されるステップ602で開始される。画像604は、例えば正常な骨関節を表すことがある。
【0062】
さらにステップ606では、関心対象の骨関節の反射画像608が取得される。一例として超音波探触子104(図1参照)を用いて骨関節に向かうように音響波が導かれると共に、反射した音響波を用いて反射画像608が作成される。上で指摘したように、骨表面の自動式特定を容易にするために、骨表面の下側の音響「シャドウ」に基づく骨表面を表した特徴的な超音波画像が利用される。したがってステップ610に示したように、骨の表面位置で強い応答を生成するように調整されたシャドウマスク612などの特定の画像処理フィルタが生成される。引き続いてステップ614において、超音波画像608からの骨表面の自動式特定を可能にするためにこのシャドウマスク612が利用される。具体的には超音波画像608は、シャドウマスク612を用いて「骨尤度」を示す画像616が作成されるように処理される。骨尤度が特定された後に、骨表面が特定されかつ抽出される。ステップ614の処理の結果として、骨表面が特定されかつ抽出される。
【0063】
上で指摘したように、骨表面408(図4参照)が特定されかつ抽出された後に、特定済み骨表面に基づいて関節包領域が切り出される。図7は、中手指節(MCP)関節を表した概要図700である。参照番号702は関節包領域を示している。さらに、伸筋腱を参照番号704で示す一方、参照番号706は背側中手滑膜窩を示している。本技法の態様では、関節包領域702を切り出すことが望ましい。具体的には、図4の特定済み骨表面408に基づいて関節包領域702が抽出される。
【0064】
ここで図8を見ると、図4のステップ410の関節包領域切り出しを表した概要図800を示している。一例として、図8の方法は関節包領域702(図7参照)の特定及び切り出しを表している。図8の方法を図1〜7を参照しながら説明することに留意されたい。上で指摘したように本技法の態様では、特定済み骨表面に基づいて関節包領域702(図7参照)などの関節包領域が切り出される。具体的には図8は、関節包領域の箇所に関するコンテキスト的ヒントまたは指示を提供するための抽出済み骨表面を用いた関節包領域の自動式切り出しを表している。一実施形態では、関節包領域の切り出しを支援するために、関節に対応するある種の計測値を用いた関節の解剖学的モデルを用いることがある。
【0065】
しかしある種の別の実施形態では、その骨表面が与えられた場合に関節包領域に関して正規化した代表的形状及び統計事前値(statistical priors)を生成するために、幾つかの対照群(正常)データ組に対する解剖構造の専門家アノテーションを用いて関節包領域が切り出される。したがって、本技法の態様による関節包領域のモデル/アトラスベースの切り出しの一例を図8に提示している。
【0066】
本方法は、特定しかつ抽出し終えた骨表面について考察されるステップ802で開始される。図8の例ではその骨表面を、関節を形成する第1の骨表面804及び第2の骨表面806を含むように表している。さらにステップ802では、特定済み骨表面804、806があった場合に、骨の上で探触子104(図1参照)から最も遠くにある点「A」が特定される。さらに2つの骨表面804及び806が点「A」に向けて湾曲し始める点「B」及び「C」が特定される。
【0067】
引き続いてステップ808では、これらの3つの点「A」、「B」、「C」を接続して1つの三角形810が形成される。この三角形810は、関節包領域の箇所に関する初期または第1推測を提供するために用いられる。さらにステップ812では、三角形810の骨表面804、806より上方にある領域が保持(retain)される。一例として、三角形810のうちの骨表面804及び806より上側にあるが線BCより下側にある領域が保持される。関節に関する周知の解剖学構造が利用されているため、これらの領域は、関節包領域に関するモデル/アトラスベースの事前値の近似を表している。さらに、既に特定済みの骨表面804、806に基づいて関節包領域の事前尤度814が生成される。
【0068】
さらにステップ816に示したように、この事前尤度814を用いて関節包領域が切り出される。関節包領域を切り出すためには、多種多様な切り出し技法が用いられることがある。一例として、関節包領域を切り出すために領域成長技法が利用されることがある。この領域成長は単純な領域ベースの画像切り出し法の1つであることに留意されたい。この領域成長技法では典型的には初期シード点の選択が必要である。引き続いて初期「シード点」の近傍画素が検査され、画素近傍値をその領域に追加すべきか否かが判定される。この処理過程は、コンセンサス(consensus)に達するまで反復式に実行されることがある。参照番号818は切り出された関節包領域を示している。
【0069】
本技法の態様では、関節が疾病状態か否かの判定を可能にする計測を実行するために、切り出された関節包領域818(図8参照)が関心領域として利用される。したがって抽出済み骨表面804、806(図8参照)及び/または切り出し済み関節包領域818が解析され、関節包領域内の疾病状態の有無が特定される。さらに本技法の態様では、特定済み疾病状態の定量値も生成される。
【0070】
上で指摘したように解析モジュール308(図3参照)は疾病状態の特定及び/または定量化に利用される。一実施形態では、関節包体積、関節包領域内部の血流、関節包領域のエコー輝度が、切り出し済み関節包領域の内部で実施可能な計測値に関する幾つかの例である。次いでこれらの計測値が、周知の正常な(対照群)関節画像に対して実施された同様の計測値と比較される。上で指摘したように、周知の正常関節画像に対応する計測値は正常モデルデータベース314(図3参照)から取得されることがある。この比較によって、正常関節と異常関節の間の自動式の識別が容易となる。本技法の別の態様では、疾病状態の関節と正常関節の間の識別以外に、これらの計測値を用いて関節の「健全性」に関する定性的及び/または定量的なスコアも提供される。さらに、疾病状態に対する治療の有効性の判定及び/または関節内での疾病状態の進行の追跡のためにこれらの計測値が用いられる。
【0071】
さらにある種の実施形態ではこの計測値は、多数の対照群(正常)対象に対する専門家アノテーションを用いて正常な計測の統計値を理解することによって取得される。さらにこの計測値は、あらゆるサイズの解剖構造に適用可能となるように解剖構造のサイズによって正規化されている。さらにこれらの計測値は、正常状態のモデル化を支援するために利用される。この正常モデルは疾病状態を特定するために用いられる。例えば、正常モデルと決定した計測値の比較をテストする仮説に基づいて疾病状態が決定される。
【0072】
本技法の別の態様では、疾病進行の状態を定量化することがある。このために、正常な統計値と患者102などのテスト対象から計測した統計値の間の距離メトリックが規定される。例えば、正常モデルが正常計測から取得した平均値の周りのガウス分布によって近似される場合、適当な距離メトリックをマハラノビス距離とすることがある。
【0073】
さらに本技法の態様では、関節包ベースの計測以外に、骨びらんなどの別の病状が特定及び/または定量化されることがある。このために、骨びらんの候補領域を特定するために特定済み骨表面が解析される。骨びらんは、骨表面の平滑度の急激な変化と幾何学的に特徴付けすることが可能である。したがって、骨表面の曲率(K)の変化が骨表面上の任意の点で計算される。一実施形態ではその骨表面の曲率の変化は、当該点における骨表面に対する単位法線の変化率を計算することによって決定される。別法として、骨表面上で骨びらんの幾何学的特徴を模した異常を検出するために、面積不変(area invariants)などの別の幾何学的特徴が用いられることもある。
【0074】
骨びらんの候補箇所が特定された後に、骨びらんのサイズのボリュメトリック計測が自動的に生成される。一実施形態では骨びらんの体積は、自動式の3D穴埋め(3D hole−filling)に続いて埋め合わされた骨の量を計測することによって決定されることがある。骨びらんのボリュメトリック計測の決定に関する代替的な方法も企図される。したがって、骨びらんのボリュメトリック計測を決定するための例示的な一方法を提示する。図9は、骨びらんのボリュメトリック計測を決定するための例示的な一方法の概要図900である。具体的には図9(a)は、骨びらんに沿って骨表面に対して輪郭を当て嵌めるステップの概要図902である。さらに図9(b)は、骨びらんの表面に沿って点をエボリューションさせるステップの概要図910である。
【0075】
一実施形態では、骨びらん906の体積を決定するために、骨表面S(904)の曲率や別の幾何学的特徴が利用される。例えば特定済み骨表面S(904)に対する曲率ベースの処理によって、図9(a)に示したように骨びらん906のエッジの周りの高曲率点を通る輪郭C0(908)の当て嵌めが可能となる。さらに、骨表面S(904)は2D輪郭となっていると共に、3D平面によって骨表面S(904)をスプライシングして該平面が輪郭C0(908)の質量中心を通過するようにすることによって取得されるものと見なすことがある。引き続いて図9(b)に示したように、点p0などこの輪郭C0(908)上の点が、骨表面S(904)に対する点p0の位置での接線
【数1】

912の方向にエボリューションされる。このエボリューションは、その輪郭が例えば単一の点に収れんするまで継続される。
【0076】
さらにこのエボリューション処理過程は、すべての輪郭に対応する体積を決定するために反復させることがある。参照番号914は輪郭C1を示しており、またp1は輪郭C1上の点を示している。さらに一例では、骨びらん906の体積Vはすべての輪郭の体積の総和として次式の様にして計算される。
【0077】
【数2】

(1)
上式において、A(Cn)は第n番目の輪郭の面積である。
【0078】
さらに、骨びらん906の箇所が決定された後に、この箇所情報は、より高分解能で解剖構造の当該部分を再走査するため並びに骨びらん906の内部または近傍における血流の検出のために追加のカラーフロー計測用の関心領域を提供するために超音波探触子104に伝達されることがある。
【0079】
さらに本システムにより実行し得るものなど上の例、実証及び処理過程のステップは、汎用または特殊目的のコンピュータなどプロセッサベースのシステム上の適当なコードによって実現されることがある。さらに、本技法の様々な実現形態では本明細書に記載したステップの一部または全部を、異なる順であるいは実質的に同時に(すなわち、並列に)実行し得ることに留意されたい。さらにその機能はC++やJava(商標)(ただし、これらに限らない)を含め多種多様なプログラミング言語で実現されることがある。こうしたコードは、1つまたは複数の有形でマシン読み取り可能な媒体(データリポジトリチップ、ローカルやリモートのハードディスク、光ディスク(すなわち、CDまたはDVD)、メモリまたは別の媒体など)の上に保存されるあるいはこの上での記憶に適応させることがあり、これらは保存しておいたコードを実行するためにプロセッサベースのシステムによってアクセスを受けることがある。これらの有形媒体は、その上に命令がプリントされた紙や別の適当な媒体を含み得ることに留意されたい。例えばこの命令は、この紙やその他の媒体に対する光学的走査を介して電子的に取り込まれ、次いでコンパイルされ、解釈もしくは必要に応じて適当な方式で処理され、さらにデータリポジトリ114またはメモリ内に保存される。
【0080】
本明細書の上に記載した超音波画像を用いた病状の自動式の検出、定量化及び/または追跡のための例示的な方法及びシステムの様々な実施形態によれば、早期診断が劇的に向上し、連続追跡が改善され、かつリウマチ性関節炎のポイント・オブ・ケアでの評価のオペレータ依存性が低減される。さらに、病状の自動式の検出、定量化及び/または追跡のための方法及びシステムはリウマチ学的な利用に特化されているため、処置の遅延を回避できかつヘルスケアコストを削減することができる。さらにこのリウマチ性関節炎の客観的評価は、リウマチ性関節炎に関連する病状に関する疾病作用に対する直接的な関節レベル計測を設計することによって得られている。これらの客観的スコア評価方法を用いることは、リウマチ性関節炎に対するより十分な情報による診断、処置計画の改善、並びに処置時間及びコストの削減に繋がる。さらに、リウマチ性関節炎の評価のオペレータ依存性が低減されることは、超音波画像からの臨床関連の定量的及び定性的情報の自動式抽出が容易となることによって疾病進行に関する一貫した連続追跡を可能にする。
【0081】
本発明のある種の特徴についてのみ本明細書において図示し説明してきたが、当業者によって多くの修正や変更がなされるであろう。したがって添付の特許請求の範囲が、本発明の真の精神の範囲に属するこうした修正や変更のすべてを包含させるように意図したものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0082】
100 診断撮像システム
102 患者
104 画像収集デバイス
106 医用撮像システム
108 収集サブシステム
110 処理サブシステム
112 検出プラットフォーム
114 データリポジトリ
116 ディスプレイ
118 ユーザインタフェース
200 超音波システム
206 トランスジューサアセンブリ
208 送信/受信切替え回路
210 送信器
212 受信器
214 ビーム形成器
216 制御プロセッサ
218 復調器
220 撮像モードプロセッサ
222 走査変換器
224 表示プロセッサ
226 リモート接続サブシステム
228 リモート接続インタフェース
230 ウェブサーバー
232 データリポジトリ
234 撮像ワークステーション
300 ブロック図
302 超音波画像
304 骨表面特定モジュール
306 関節包切り出しモジュール
308 解析モジュール
310 位置合わせモジュール
312 データ記憶
314 正常モデルデータベース
400 例示的な論理
402 取得ステップ
404 画像データ組
406 骨表面特定ステップ
408 骨表面
410 関節包領域切り出しステップ
412 関節包領域解析ステップ
414 位置合わせステップ
416 位置合わせ済み画像
418 オーバーレイ表示ステップ
500 ヒトの正常関節
502 関節内の骨
504 関節包
506 筋肉
508 軟骨
510 腱
512 滑膜
514 滑液
600 骨表面抽出
602 画像取得ステップ
604 超音波画像
606 反射画像取得ステップ
608 反射画像
610 画像処理フィルタ生成ステップ
612 シャドウマスク
614 骨表面の自動式特定ステップ
616 骨尤度画像
700 中手指節(MCP)関節
702 関節包領域
704 伸筋腱
706 背側中手滑膜窩
800 関節包領域切り出し
802 特定/抽出済み骨表面の考察ステップ
804 第1の骨表面
806 第2の骨表面
808 三角形形成ステップ
810 三角形
812 領域保持ステップ
814 事前尤度
816 関節包領域切り出しステップ
818 切り出し済み関節包領域
900 骨びらんのボリュメトリック計測の決定方法
902 骨表面に対する輪郭当て嵌めステップ
904 骨表面S
906 骨びらんの体積
908 輪郭
910 表面に沿った点のエボリューションステップ
912 接線
914 輪郭

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾病状態を検出するための自動式方法であって、
関心対象内の関心領域に対応する1つまたは複数のデータ組内で骨表面を特定するステップと、
対応する特定済み骨表面に基づいて1つまたは複数の画像データ組に対応する関節包領域を切り出すステップと、
疾病状態を特定するために切り出された関節包領域を解析するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
関心対象内の関心領域に対応する1つまたは複数の画像データ組を取得するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記関心対象内の関心領域が骨関節である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1つまたは複数の画像データ組を取得する前記ステップは関心対象内の関心領域に対応する1つまたは複数の画像データ組を異なる時点で収集するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
骨表面を特定する前記ステップは、
正常対象の関心領域に対応する第1の画像を取得するステップと、
関心対象内の関心領域に対応する第2の画像を取得するステップと、
第2の画像内で音響シャドウを特定するステップと、
特定された音響シャドウに基づいてマスクを作成するステップと、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
骨尤度を特定するために第2の画像を前記マスクを用いて処理するステップをさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記骨尤度に基づいて骨表面を抽出するステップをさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
関節包領域を切り出す前記ステップは、
関心領域のアトラスを生成するステップと、
前記アトラス内で決定した位置から最も遠くの箇所に配置された点を決定するステップと、
前記アトラス内で関心領域を形成する1つまたは複数の骨表面が前記最も遠くの点に向かって湾曲を開始する1つまたは複数の点を特定するステップと、
関節包領域の箇所に関する初期推定を把握するステップと、
特定済み骨表面に基づいて関節包領域に関する事前尤度を生成するステップと、
前記事前尤度に基づいて関節包領域を切り出すステップと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
切り出された関節包領域を解析する前記ステップは、
切り出された関節包領域に対応するパラメータを決定するステップと、
疾病状態を特定するために、切り出された関節包領域に対応する前記パラメータを正常対象に対応するパラメータと比較するステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
切り出された関節包領域を解析する前記ステップはさらに、特定された疾病状態の状況を示すメトリックを計算するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
切り出された関節包領域を解析する前記ステップはさらに、関心領域内で骨びらんの体積を決定するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
骨びらんの体積を決定する前記ステップは、
骨表面の曲率の変化の計測によって骨びらんの1つまたは複数の候補領域を特定するステップと、
骨びらんの領域のエッジを介して1つまたは複数の輪郭を当て嵌めするステップと、
1つまたは複数の輪郭の体積を決定するために骨表面に対する接線に沿って1つまたは複数の輪郭上で1つまたは複数の点をエボリューションさせるステップと、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
骨びらんの体積を推定するために1つまたは複数の輪郭に対応する体積の総和を求めるステップをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
位置合わせ済み画像を作成するために対応する特定済み骨表面に基づいて1つまたは複数の画像データ組を位置合わせするステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ディスプレイ上で、位置合わせ済み画像、抽出済み骨表面、切り出し済み関節包領域、特定済み疾病状態、またはこれらの組み合わせを視覚化するステップをさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
疾病状態を検出するための検出プラットフォームを備えた自動式システムであって、該検出プラットフォームは、
関心対象内の関心領域に対応する1つまたは複数の画像データ組内で骨表面を特定するように構成された骨表面特定モジュールと、
対応する特定済み骨表面に基づいて1つまたは複数の画像データ組内で関節包領域を決定するように構成された関節包切り出しモジュールと、
切り出し済み関節包領域内で疾病状態を特定するように構成された解析モジュールと、
を備えている、自動式システム。
【請求項17】
さらに、位置合わせ済み画像を作成するために1つまたは複数の画像データ組に対応する特定済み骨表面に基づいて1つまたは複数の画像データ組を位置合わせするように構成された位置合わせモジュールを備える請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
関心対象内の関心領域に対応する1つまたは複数のデータ組内で骨表面を特定するステップと、
対応する特定済み骨表面に基づいて1つまたは複数の画像データ組に対応する関節包領域を切り出すステップと、
疾病状態を特定するために切り出し済み関節包領域を解析するステップと、
からなる方法を実行するためのコンピュータ実行可能コードを保存しているコンピュータ読み取り可能な非一時的媒体。
【請求項19】
位置合わせ済み画像を作成するために1つまたは複数のデータ組に対応する特定済み骨表面を用いて1つまたは複数の画像データ組を位置合わせするステップからなる方法を実行するためのコンピュータ実行可能コードを保存している請求項18に記載のコンピュータ読み取り可能な非一時的媒体。
【請求項20】
関心対象内の関心領域に対応する複数の画像データ組を取得するように構成された収集サブシステムと、
収集サブシステムと動作可能に関連付けされると共に検出プラットフォームを備えている処理サブシステムと、を備える撮像システムであって、該検出プラットフォームは、
関心対象内の関心領域に対応する1つまたは複数の画像データ組内で骨表面を特定するように構成された骨表面特定モジュールと、
対応する特定済み骨表面に基づいて1つまたは複数の画像データ組内で関節包領域を決定するように構成された関節包切り出しモジュールと、
切り出し済み関節包領域内で疾病状態を特定するように構成された解析モジュールと、
を備えている、撮像システム。
【請求項21】
さらに、位置合わせ済み画像を作成するために1つまたは複数の画像データ組に対応する特定済み骨表面に基づいて1つまたは複数の画像データ組を位置合わせするように構成された位置合わせモジュールを備える請求項20に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−56156(P2013−56156A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193659(P2012−193659)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】