説明

病理組織検査標本作成用の包埋トレイ

【課題】本体の側面に記録部が設けられたカセットを用いてパラフィンブロック付着体を作成する際に、カセットを包埋トレイに押さえ付ける煩雑かつ危険な作業を必要としない病理組織検査標本作成用の包埋トレイを提供する。
【解決手段】 対向する側壁4の上端からはカセットCをパラフィン収容部2上に嵌着する挟持板6が立設され、側壁4と挟持板6の境界にはカセット支承部5が形成され、前記挟持板5の間隔はカセットCが着脱自在に嵌着される程度であることを特徴とする病理組織検査標本作成用の包埋トレイ1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は病理組織検査標本作成用の包埋トレイに関し、更に詳しくは、カセットを該包埋トレイ上に載置してパラフィンブロックを作成する際に、カセットがパラフィンにより浮き上がるのを防止するためにカセットを指で押さえる必要がなく、該包埋トレイにより自動的にカセットが浮き上がりが防止される程度に嵌着保持される病理組織検査標本作成用の包埋トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の病理組織検査標本作成用の包埋トレイとしては、図28に示したようなものが多用されている。この包埋トレイTはパラフィン収容部T1と、その周縁に水平状に設けられたカセットを載置するためのカセット支承部T2と、その周縁に立設されたカセットの動きを止めるためのカセット係止部T3と、その周縁に水平状に設けられた額縁部T4となり、更に、額縁部T4の長辺側の略中央部に横設された把持部T5とから構成されている。
【0003】
また、近年では、方形の容器からなるパラフィン収容部とその周縁に設けられたパラフィンブロック付着体の載置部とからなり、前記載置部が少なくとも2個設けられており、サイズの異なる2種類以上のカセット等に対応できる病理組織検査標本作成用トレイが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記病理組織検査標本作成用トレイを使用して顕微鏡標本を作製するには、図26,図27に示すように、まず、カセット本体C1内に採取した検体Sを収容して蓋C2を取り付けて、記録部C3には被験者の氏名や番号等を記入しておく。次いで、カセット本体C1の底部や蓋C2に穿設された透孔C4からホルマリン水を流入させて検体Sをアルコールになじませ、次いでアルコールにより検体Sの水分を除去し、キシレンにより後述する液状パラフィンとの親和性を付与する。
【0005】
次に、検体SをトレイTに移してから、図29に示すとおり、検体Sが浸かる程度に上方からパラフィンPを注入する。その後、パラフィンPが冷却固化しないうちに手早く検体Sの位置や方向を修正してから、図30に示すとおり、パラフィン収容部T1が一杯になるまでパラフィンPを注ぎ足す。この場合、表面張力を利用してパラフィンPを盛り上げるように静かに注入する。次に、図31に示すとおり、盛り上がったパラフィンPの上にカセット本体C1を載置し、カセット本体C1の底部に穿設された透孔C4を通してパラフィンPをカセット本体C1内に滲出させる。このとき、カセット本体C1がパラフィンPの上に浮かばないように指でしっかりカセット本体C1を押さえる必要がある。この状態でしばらく放冷し、パラフィンPの表面が固化してカセット本体C1が包埋トレイ1上に仮止めされてから指を離し、その後、図32に示すとおり、カセット本体C1の上からパラフィンPを注ぎ足す。その後、更に放冷し、パラフィンPが完全に固化した後、包埋トレイTを取り除くことにより、図33に示すとおり、検体Sを包埋したパラフィンPがカセット本体C1の底部に付着してなるパラフィンブロックBを得る。その後は前記の方法と同様に顕微鏡標本を得るのである。
【0006】
しかしながら、この方法では、パラフィンPの表面が固化するまでカセットCを押さえ続ける必要があるため面倒であり、また、火傷する恐れもある。また、押さえる力加減を間違えるとこの包埋トレイT及び載置したカセット本体C1が転倒して、パラフィンで机上が汚されてしまうばかりか、貴重な検体が汚染されたり台無しになり検査の信頼性が大きく損なわれてしまう。
【0007】
上記のような、指でカセットCを包埋トレイT上に押し付けることによる問題点を解決するため、例えば図34に示すような、カセットCに係合突起C5を設けるとともに、包埋トレイTに係合窪みT6を設け、これらを係合させることにより、カセットCを包埋トレイTの上に一時的に保持させる方法も考えられる。
しかしながら、この方法は係合突起C5を持たない従来のカセットCを用いて行うことができず、包埋トレイTばかりでなくカセットCも新たに揃え直す必要が生じるため不経済である。また、これらを係合させる際には係合突起C5と係合窪みT6の位置合わせが必要で、更に、これらの係脱の際にはこれら係合突起C5と係合窪みT6の形状に合わせて垂直方向に挿脱する必要が生じるため、必ず両手を使用しなければならず、また作業に手間が掛かり、作業性が大きく低下してしまう。即ち、カセットブロックBから包埋トレイTを取り除く際に、例えば、カセットCの一辺のみを持って蓋をこじ開けるようにして包埋トレイTを外すといったやり方では係合突起C5が係合窪みT6から抜けず、包埋トレイを取り外すことができない。
【特許文献1】特開2006−300745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、かかる実情に鑑み、上記問題点を解消するべく鋭意研究の結果、パラフィン収容部上に挟持板を立設し、該挟持板の間隔をカセットが着脱自在に嵌着される程度に形成することにより、パラフィンブロック作成の際にカセットを指で押さえる必要がなくなり、且つ、容易に包埋トレイをパラフィンブロックから取り外すことができ、上記従来の問題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するためになされたもので、本発明の請求項1は、パラフィン収容部の上端にカセットを載置して使用する病理組織検査標本作成用の包埋トレイであって、前記パラフィン収容部は底部とその周りに立設された側壁とからなり、対向する側壁の上端からはカセットをパラフィン収容部上に嵌着する挟持板が立設され、前記挟持板の間隔はカセットが着脱自在に嵌着される程度に形成されていることを特徴とする病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
【0010】
本発明の請求項2は、挟持板の間隔がカセット幅と同一か僅かに狭いことを特徴とする請求項1記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
【0011】
本発明の請求項3は、挟持板の間隔が、その基部の間隔はカセット幅と同一か僅かに広く、その頂部はカセット幅よりも僅かに狭いことを特徴とする請求項1記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
【0012】
本発明の請求項4は、挟持板が立設されていない側壁の上端からは、カセットの滑動を止める係止板が立設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
【0013】
本発明の請求項5は、全ての側壁の上端に挟持板が立設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
【0014】
本発明の請求項6は、挟持板及び/又は係止板は、少なくともカセットの記録部が配置される辺において、嵌着したカセットの記録部を実質的に覆わないように低く形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
【0015】
本発明の請求項7は、挟持板及び/又は係止板の高さは、嵌着するカセットの高さの4分の1以下であることを特徴とする請求項6記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
【0016】
本発明の請求項8は、挟持板及び/又は係止板は、少なくともカセットの記録部が配置される辺において、パラフィン収容部の角部付近のみに立設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
【0017】
本発明の請求項9は、側壁と挟持板の境界にはカセット支承部が形成され、該カセット支承部の幅が0.5〜2mmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
【0018】
本発明の請求項10は、カセット支承部が斜面状に形成され、該カセット支承部の最小傾斜角度が45°以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
【0019】
本発明の請求項11は、パラフィン収容部の形状が左右非対称であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイを内容とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の病理検査標本作成用の包埋トレイは、対向する側壁の上端からはカセットをパラフィン収容部上に嵌着する挟持板が立設され、前記挟持板の間隔はカセットが着脱自在に嵌着される程度に形成されている。従って、パラフィンブロックを作成する際にカセットは包埋トレイ上に緩く固定されパラフィン注入によって浮き上がることがないため、カセットを指で押さえる必要が無いばかりでなく、また、パラフィンの冷却固化後に容易に包埋トレイを取り外すことができる。即ち、局所的な係合用の突起や窪みを用いずにカセットを挟着しているので、いずれの方向からでもカセットと包埋トレイを係脱できる。例えば、一方の手で包埋トレイを保持し、他方の手でカセットを持ち、包埋トレイにカセットを軽く押し付けることにより両者を係着でき、包埋トレイを取り去る際は、カセットに恰も蓋をこじ開ける様に力を加えるだけで簡単にカセットと包埋トレイとを分離できる。また、嵌着の程度により、片手でしかもワンタッチで操作することも可能である。例えば、机上に置かれた包埋トレイにカセットを載置し片手でカセットを軽く押し付けることによりカセットは包埋トレイ上に係着され、また、包埋トレイの対向する側壁に親指と中指を掛け、人差し指でカセットを上方(斜上方)に持ち上げることにより、包埋トレイを取り去ることができる。
以上のように、パラフィンが指にかかって火傷したり、力加減を誤って包埋トレイを転倒させて机上等を汚したり貴重な資料を台無しにするようなことがなく、また、包埋トレイとカセットの係脱を容易に行うことができるので、より安全かつ衛生的であり、検査の信頼性が向上するとともに、作業性が飛躍的に向上する。
【0021】
挟持板の間隔はカセット幅と同一か僅かに狭い程度とすれば、この挟持板の間にカセットを挿入することにより、挟持板が僅かに弾性変形してその間隔が拡開され、その弾性復元力によりカセットの側面が押圧され、カセットは緩く挟持されるため、包埋トレイとカセットとの係脱が容易であり、片手での操作も容易となる。
【0022】
挟持板基部の間隔をカセット幅と同一か僅かに広くし、挟持板頂部の間隔をカセット幅よりも僅かに狭くすると、挟持板はその頂部付近だけでカセットの側面に接触し、この部分に押圧が集中するため、挟持板の間隔はカセット幅に合わせて拡開しやすくなる。このため、カセットの寸法精度を細かく求める必要がなく、寸法精度が低いカセットであっても使用できる。
【0023】
挟持板が立設されていない側壁の上端に係止板を立設すると、包埋トレイ上でカセットが滑動したとしても、カセットがこの係止板に当接するため、包埋トレイから外れることがなく、作業性が更に向上する。
【0024】
全ての側壁の上端に挟持板を立設すると、包埋トレイに嵌着されたカセットが確実に保持されるため、作業性が更に向上する。
【0025】
挟持板及び/又は係止板を、嵌着したカセットの記録部が実質的に覆われないように低く形成すると、挟持板及び/又は係止板とカセットの記録部の間などに滞留したパラフィンが記録部を隠すようなことがなくなるため、付着したパラフィンを削り取るトリミング作業が不要で、容易且つ確実に記録内容を確認できる。
【0026】
挟持板及び/又は係止板の高さは嵌着するカセットの高さの4分の1以下が好ましく、この程度であると、記録部は挟持板及び/又は係止板に覆われず、挟持板及び/又は係止板と記録部の間に滞留したパラフィンにより記録部に記載された文字等が隠されるような不都合も実質的になくなる。
【0027】
カセットの記録部が配置される辺において、挟持板及び/又は係止板がパラフィン収容部の角部付近のみに立設されると、文字が記載される部分、即ち中央部は挟持板及び/又は係止板で覆われず、記録部に記載された文字等がパラフィンで隠されることがないため、記載内容の確認が更に容易となる。
【0028】
側壁と挟持板の境界にカセット支承部が形成され、そのカセット支承部の幅が0.5〜2mmであると、この部分にはパラフィンが滞留しないため、パラフィンが盛り上がったまま固化して記録部の文字等を隠すような不都合を防止でき、記載内容の確認が容易になるとともにカセットを確実に載置することができる。また、幅が2mmを超えたとしても、カセット支承部が最小傾斜角度45°以上の斜面であれば同様である。
【0029】
さらに、パラフィン収容部の形状を左右非対称とすれば、顕微鏡標本を作製したとき、パラフィンの形状で標本の左右が判別できるため、標本の取り違え等の危険性が減少し、検査の信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の病理検査標本作成用の包埋トレイ(以下、単に包埋トレイと記す)は、パラフィン収容部の上端にカセットを載置して使用される。本発明の包埋トレイは、パラフィン収容部が底部とその周りに立設された側壁とからなり、対向する側壁の上端からはカセットをパラフィン収容部上に嵌着する挟持板が立設され、前記挟持板の間隔はカセットが着脱自在に嵌着される程度に形成されていることを特徴とする。
【0031】
尚、本発明において「カセットが着脱自在に嵌着される程度」とは、カセットを包埋トレイ上に載置し、該カセットの上方から熔融したパラフィンを注入する際に、カセットがパラフィンにより浮き上がらないように保持(固定)されるとともに、少し力を加えることによりカセットと包埋トレイとを分離し、包埋トレイを取り去ることができる程度に緩く嵌着していることを意味する。
【0032】
本発明の包埋トレイは液状(溶融)パラフィンに耐える耐熱性素材から作られ、かかる素材としては、ステンレス等の金属、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール等の樹脂等が挙げられる。
【0033】
パラフィン収容部は底部とその周りに立設された側壁とからなり、パラフィンブロックの脱型を容易にするため、通常、側壁が底部から開口部に向かって末広がりのテーパー状にされている。また、脱型をさらに容易にするため、底部と側壁の境界及び隣接する側壁の境界がアール処理されるのが好ましい。
【0034】
対向する側壁の上端からはカセットをパラフィン収容部上に嵌着する挟持板が立設されるが、本発明においては、この挟持板によりカセットが包埋トレイ上に保持される。
その作用を詳述すると、図21に示すとおり、まず、この挟持板6の間にカセットCをその角部のアールに沿って滑らせながら挿入する(図21左図の鎖線下向き矢印)ことにより挟持板6を弾性変形させて対向する挟持板6の間隔を拡開させる。これにより挟持板6からは弾性反発力(図21右図の鎖線右向き矢印)が発生するため、これを利用して挟持板6,6間にカセットCを挟持することにより、カセットCを包埋トレイ1に嵌着する。
【0035】
本発明において、挟持板の間隔はカセットが着脱自在に嵌着される程度に形成される。この間隔がカセット幅よりも広いと、カセットを挟持板の間に挿入しても挟持板は弾性変形せず、弾性反発力が発生しないためカセットは挟持されない。逆に、狭すぎればカセットを挟持板の間に挿入できず、あるいは無理に挿入すると挟持板の弾性反発力が強すぎ、このカセットを包埋トレイ上から外せなくなる。
【0036】
対向する挟持板の適当な間隔は、包埋トレイやカセットの大きさ、素材の弾力性などにより異なるため一概には云えないが、カセット幅と同一か僅かに狭い程度が好ましい。この程度であれば挟持板の弾性反発力も僅かであり、カセットは弱い力で挟持され、片手でカセットの着脱ができるため、作業性が更に向上する。なお、カセット幅と挟持板の間隔が同一である場合には弾性反発力は発生しないが、この場合は挟持板の内面とカセットの側壁が接触しているため摩擦力が働き、これによりカセットは包埋トレイ上に緩く保持される。
【0037】
また対向する挟持板6,6の間隔は、その基部においてカセット幅と同一か僅かに広くし、頂部においてカセット幅よりも僅かに狭くする、即ち、図22に示すとおり、挟持板6を頂部が内側に向いた斜面状にすることもできる。この場合、挟持板6はその頂部付近のみでカセットCの側面に接触するため、この部分に力が集中して僅かな力で挟持板6が弾性変形し、その間隔はカセット幅に合わせて拡開しやすくなる。このため、カセットの寸法精度は細かくは要求されず、寸法精度の低いカセットであっても、この包埋トレイに嵌着することができる。
なお、挟持板頂部の間隔を狭くする際、対向する挟持板の一方のみを傾斜させてもよいが、双方とも内側に傾斜させるほうが好ましく、傾斜角度を実質的に同一にするほうがより好ましい。
また、挟持板はその全ての部分で上記適当な間隔とされている必要はなく、その一部が適当な間隔とされているだけでもよい。即ち、側壁の頂部にカセット幅よりも広い間隔で板状部材を立設し、その一部分(例えば中央部)だけを内側に曲げて適当な間隔に調整する方法でも挟持板を成形することができる。
【0038】
挟持板は、カセットを着脱自在に嵌着できればよく、従って、断面略矩形のパラフィン収容部の対向する一対の辺のいずれか一辺又は二辺に設けてもよく、また、三辺に設けてもよく、あるいは全ての側壁、即ち二対の辺の全てに設けてもよい。挟持板を全ての側壁に設けた場合、カセットはより確実に包埋トレイに保持されて脱落し難くなるばかりでなく、包埋トレイ上でカセットが殆ど動かないため、作業性が更に向上する。この場合、各挟持板を連続して設ける場合は、カセットの寸法精度の高いものが要求されるので、各挟持板を非連続(独立)とするのが望ましい。
【0039】
挟持板が立設されていない側壁の上端には係止板を立設することもできる。係止板はカセットがカセット支承部の上で滑動した場合に、該カセットに当接してこの動きを止めることにより包埋トレイからの脱落を防止する。
この係止板は、上記した挟持板とは異なり、対向する側壁の上に設ける必要はなく、例えば、対向する一対の側壁に挟持板を設け、残る2枚の側壁の内の一方だけに係止板を設けてもよい。なお、係止板を一方のみに設ける場合、この包埋トレイは係止板が設けられていない側壁の上に記録部が配置されるようにカセットを嵌着して使用するのが好ましい。このようにすると、記録部の前に係止板がないため、カセットが包埋トレイに嵌着されている状態でも記録部に文字等を記載したり、バーコードリーダーなどで記録を読み取るのが容易になるばかりでなく、文字等を書く際の筆圧やバーコードリーダーの記録部への衝突により、カセットが動いた場合でも、このカセットは後ろ側に設けられた係止板に当接して止まるため、包埋トレイからは脱落しない。
【0040】
また、係止板を対向する側壁の上に設ける場合でも、挟持板とは異なり、その間隔は特に制限されない。即ち、カセットCが包埋トレイ1に嵌着されている状態で、係止板7とカセットCの間に多少の隙間があってもよい(図23参照)。
【0041】
上記した通り、挟持板及び係止板はともにパラフィン収容部の側壁の上端から立設される。このため、挟持板と係止板を双方設ける場合や、全ての側壁の上端に挟持板を立設する場合には、これらは結局隣接して設けられることになるが、それぞれ独立に設けてもよいし、連続して設けることもできる。
【0042】
挟持板及び/又は係止板の高さは、記録部の上に被着するパラフィンを減らし、記録部に記載された文字等が隠されないようにするため、実質的に該記録部を覆わないように低く形成するのが好ましい。このとき、記録部が配置される辺の挟持板及び/又は係止板のみを低くしてもよいし、全ての挟持板及び/又は係止板を低くしてもよい。
具体的な挟持板の高さはカセットの大きさに応じて適宜決定すればよく、特に限定されないが、記録部に記載する文字の大きさ等を考慮すると、好ましくは該カセットの高さの4分の1以下、より好ましくは5分の1以下であれば、挟持板及び/又は係止板と記録部の間に滞留したパラフィンにより記録部に記載される文字等が隠される恐れが少なく、記録部は実質的に覆われない。
【0043】
記録部に記載された文字等がパラフィンにより隠されるのを防ぐ方法としては、上記挟持板及び/又は係止板を低くする方法のほか、挟持板及び/又は係止板をパラフィン収容部の角部付近のみに設ける方法が採用できる。このようにすると、パラフィンは挟持板及び/又は係止板と記録部の間に滞留して記録部の隅を覆うが、文字等は通常、記録部の中央部寄りに記載されるため、パラフィンは実質的に記録部に記載された文字等を隠さず、記載内容の読み取りに支障はない。また、記録部が配置される辺の挟持板及び/又は係止板のみを角部付近に立設してもよいし、全ての挟持板及び/又は係止板を角部付近のみに設けてもよい。
【0044】
本発明において、パラフィン収容部の上にカセットを載置するために、側壁と挟持板の境界にはカセット支承部が形成される。このカセット支承部は、パラフィンを滞留させないように、狭く又は斜面状に形成するのが好ましい。このようにすると、滞留したパラフィンがカセット支承部の上で盛り上がって記録部の下部を覆うような事もなく、従って、固化したパラフィンにより記録部に記載された文字等が隠される恐れがなくなる。具体的には、カセット支承部の幅は0.5〜2mm程度が好ましい。0.5mm未満ではカセットや包埋トレイの製造上の寸法誤差によりカセットの底部がカセット支承部より小さくなってしまうことがあり、カセットがパラフィン収容部内に落ち込んでしまうおそれがある。また、2mmを超えるとパラフィンがこのカセット支承部の上に滞留し、盛り上がった状態で固化し、文字等が隠されて記載内容が読み取れなくなる恐れがある。
【0045】
但し、例え2mmを超えたとしてもこのカセット支承部が斜面状に形成されていれば、パラフィンはこの斜面に沿って滑り落ち、滞留しないので、盛り上がって固化したパラフィンにより記録部の文字等が隠される恐れは無い。この場合、カセット支承部の最小傾斜角度が45°以上とするのが好ましい。45°未満であるとカセット支承部の幅によってはパラフィンが滞留してしまう恐れがある。なお、傾斜角度の上限は特に無く、90°よりも小さければカセットを載置することが可能ではあるが、あまり傾斜角度が大きいとパラフィン収容部自体が深くなり過ぎて扱い難くなる。実際的には、側壁の傾斜角度よりも10〜40°程度小さい程度が適当と考えられる。
【0046】
本発明の包埋トレイにおいて、カセット支承部をその全周に連続して設けてもよいが、断続的に設けることもできる。この場合、カセット支承部の間隙からもパラフィンが滑り落ちるため、一段と滞留しにくくなり、パラフィンの盛り上がりが抑制される。更に好ましくは、このカセット支承部を半球状突起とする。この場合、パラフィンは半球状突起の表面を滑り落ちることとなり、パラフィンの盛り上がりが更に抑制される。
【0047】
パラフィン収容部の各上端角部には大き目のカセット支承部を設けてもよい。その形状はカセットを載置できる形状であれば特に制限されないが、パラフィン収容部の角部をやや内側に陥入させ、この三角形状の部分の上端をカセット支承部とする構造が例示できる。
なお、パラフィンはこの大き目のカセット支承部の上で盛り上がってカセットの角部を覆う場合があるが、検体を識別するための被験者番号等は、通常の場合、記録部の中央部寄りに記載されるため、盛り上がったパラフィンにより隠される恐れは殆どない。しかしながら、この恐れを更に小さくするため、少なくとも記録部が配置される側壁に接するカセット支承部はできるだけ小さい方が好ましい。
【0048】
本発明の包埋トレイを扱いやすくするため、側壁又は挟持板等に把持部を横設してもよい。把持部は、包埋トレイの製造工程を考慮すると、包埋トレイの端縁に設けるのが容易であるが、パラフィンはこの把持部の上でも盛り上がるため、カセットの記録部が配置されない辺の端縁から横設するのが好ましい。このようにすると、把持部の上でパラフィンが盛り上がったとしても記録部の文字を隠すことはないので特に不都合はない。
【0049】
パラフィン収容部の形状は、左右非対称とすることにより、ミクロトームでスライスされた薄片の左右が明確に区別されるので、作業性が高められ、また左右誤認により検体を取り違えるといったトラブルが防止されるので、検査の信頼性が向上する。
左右非対称とする方法は特に限定されないが、例えば、角部のアール半径を変える(大きくする)方法や、記録部が配置されない辺の側壁を波形にするなどの方法が採用できる。
【0050】
本発明の包埋トレイでパラフィンブロックを作成するカセットはカセット本体の底面に透孔を有するカセットであれば特に限定はなく、代表的なカセットとして、側面にミクロトームのアダプターを係止するためのアダプター係止部C7を備えたカセット(図24,図26)、斜面状の記録部C3を備えたカセット(図25,図27)が挙げられる。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を図面に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されないことは云うまでもない。
【0052】
実施例1
本実施例の包埋トレイ1は、図1〜3に示すように、底部3とその周りに立設された側壁4とから形成されるパラフィン収容部2と、パラフィン収容部2の短辺側の側壁4の上端に立設された挟持板6と、長辺側の側壁4の上端に立設された係止板7と、係止板7の上端から横設された把持部8からなる。また、図1に示すように、挟持板6と係止板7は連続して設けられている。
図2の部分拡大図に示すように、挟持板6,6は内向きの斜面状に形成され、即ち、挟持板6基部の間隔がカセット幅よりも僅かに広く、挟持板6頂部の間隔がカセット幅よりも僅かに狭くされている。このためカセットCを挟持板6,6の間に挿入すると、図22に示すように、挟持板6は弾性変形してその間隔が拡開し、カセットCは挟持板6の弾性反発力により包埋トレイ1上に保持される。
図3の部分拡大図に示すように、係止板7,7は垂直に立設されており、その間隔はカセット幅と略同じでもよいが、本例ではカセットの挿入を容易にするためにカセット幅よりも若干広く形成されている。このためカセットCを包埋トレイ1に嵌着すると、図23に示すように、カセットCと係止板7の間に僅かな隙間が形成される。
図4の部分拡大図に示すように、側壁4と挟持板6の境界にはカセット支承部5が形成される。本実施例におけるカセット支承部5は側壁4の上端から僅かな幅だけ横設された幅が狭い水平部分であるので、パラフィンはカセット支承部5の上には滞留しにくくなっている。
【0053】
図4は本実施例の包埋トレイ1の断面図を実線で示すと共に、検体SとカセットCを破線で示した図である。なお、図4におけるカセットCは図24及び図26に示したものである。この包埋トレイ1は、破線で示したように、検体Sをパラフィン収容部2に投入するとともに、カセット本体C1をカセット支承部5に載置し、カセット本体C1の側部を挟持板6で挟持することにより、カセットCを嵌着して使用する。
【0054】
本実施例の包埋トレイ1は厚さ0.5mmのステンレス板をプレス加工してなる。パラフィン収容部の大きさは、開口部が40mm×27.5mm、底部が33.5mm×21mm、高さが8mmである。パラフィン収容部2の上端に立設された挟持板6及び係止板7の高さは2mmであり、その上端から横設される把持部8は2mm×22mmであり、カセット支承部5の幅は0.2mmである。なお、使用する予定のカセットCの高さは8mmであるので、挟持板6及び係止板7の高さはカセットCの高さの4分の1以下(2/8)であり、記録部C3は実質的に挟持板6及び係止板7に覆われていない。
【0055】
実施例2
本実施例の包埋トレイ1は、図5に示すように、挟持板6,6の中央部のみが内向きの斜面状に形成されている点を除き、実施例1と同様である。このような包埋トレイ1は、まず全ての側壁4から板状部材を垂直に立設し、長辺側についてはこの板状部材をそのまま係止板7とし、短辺側についてはその中央部を内側に押し曲げて斜面状にして間隔を調整し、挟持板6とすることにより形成される。
【0056】
実施例3
本実施例の包埋トレイ1は、図6〜8に示すように、底部3とその周りに立設された側壁4とから形成されるパラフィン収容部2と、パラフィン収容部2の全ての側壁4の上端に内向きの斜面状に立設された挟持板6と、長辺側の挟持板6の上端から横設された把持部8からなる。本実施例におけるパラフィン収容部2は図6における左下の角部が略三角形状に切り欠かれた形状であり、これによりパラフィン収容部2は左右非対称となり、パラフィンブロックBから顕微鏡標本を作製した後も、その検体Sを含むパラフィンPの形状を見ることによりその検体Sの向きを判断できる。
図7,図8の部分拡大図に示すように、挟持板6,6は全ての側壁4の上端から立設されているので、包埋トレイ1上でカセットCが確実に保持されるため、作業性が非常に高い。
これらの点を除き、本実施例は実施例1と同様である。
【0057】
実施例4
本実施例の包埋トレイ1は、図9〜12に示すように、底部3とその周りに立設された側壁4とから形成されるパラフィン収容部2と、パラフィン収容部2の長辺側の側壁4の上端に立設された挟持板6と、短辺側の側壁4のうちの一方(図9における左辺)の上端に立設された係止板7と、長辺側に横設された把持部8からなる。また、図9に示すように、挟持板6と係止板7は連続して設けられている。
図10の部分拡大図に示すように、左辺の係止板7は垂直に形成されているとともに、右辺側には係止板が設けられていない。また、図11の部分拡大図に示すように、挟持板6,6は内向きの斜面状に設けられており、これでカセットCを挟持するようになっている。さらに、図12の部分拡大図に示すように、側壁4と挟持板6の境界にはカセット支承部5が形成される。本実施例におけるカセット支承部5は傾斜角度約45°の斜面であるので、パラフィンPは斜面に沿って流れ落ち、カセット支承部5の上には滞留しにくくなっている。
【0058】
図12は本実施例の包埋トレイ1の断面図を実線で示すと共に、検体SとカセットCを破線で示した図である。なお、図12におけるカセットCは図25及び図27に示したものである。この包埋トレイ1は、破線で示したように、検体Sをパラフィン収容部2に投入するとともに、記録部C3を係止板7が立設されていない辺(右辺)に配置し、カセット本体C1をカセット支承部5の上に載置するとともに、長辺側に立設された挟持板6,6でカセットCの側面を挟持することにより、カセットCを嵌着して使用する。
【0059】
本実施例の包埋トレイ1は図12における右辺に係止板7がないことを除き、実施例1のものと略同じであるが、使用する予定のカセットCの高さが6mmであり、挟持板6及び係止板7の高さはカセットCの高さの4分の1以上(2/6)である。しかしながら、記録部C3が配置される辺には係止板7等が立設されていないため、他の辺と異なり記録部C3と係止板7の間にパラフィンPが滞留することもなく、記載された文字等が隠されることもない。さらに、カセットCが包埋トレイ1に保持された状態で記録部C3に文字等を記入して、その筆圧によりカセットCが滑動した場合でも、カセットCは左辺に設けられた係止板7に当接して動きを止めるため、カセットCが包埋トレイ1から脱落することがない。
【0060】
実施例5
本実施例の包埋トレイ1は、図13〜16に示すように、底部3とその周りに立設された側壁4とから形成されるパラフィン収容部2と、パラフィン収容部2の長辺側の側壁4の上端に立設された挟持板6と、短辺側の側壁4の上端に立設された係止板7と、長辺側に横設された把持部8からなる。また、図13に示すように、左辺側において挟持板6と係止板7は連続して設けられている。
図14の部分拡大図に示すように、左辺には比較的高い係止板7が垂直に立設されているとともに、右辺側には低い係止板7が垂直に立設されている。また、図15の部分拡大図に示すように、挟持板6,6は内向きの斜面状に設けられており、これでカセットCを挟持するようになっている。なお、前記低い係止板7は図13における右辺(図15における手前の辺)の中央部のみに設けられている。さらに、図16の部分拡大図に示すように、側壁4と挟持板6の境界には傾斜角度45°の斜面状のカセット支承部5が形成される。
【0061】
図16は本実施例の包埋トレイ1の断面図を実線で示すと共に、検体SとカセットCを破線で示した図である。なお、図16におけるカセットCは図25及び図27に示したものである。この包埋トレイ1は、破線で示したように、検体Sをパラフィン収容部2に投入するとともに、記録部C3を低い係止板7が立設されている辺(図16における右辺)に配置し、カセット本体C1をカセット支承部5の上に載置し、長辺側に立設された挟持板6,6で挟持することにより、このカセットCを嵌着して使用する。
【0062】
本実施例の包埋トレイ1の大きさ及び使用する予定のカセットCの高さは実施例4のものと略同じであるが、図16における右辺、即ち、記録部C3が配置される辺にも係止板7が立設されている点でのみ異なる。但し、この右辺に立設された係止板7の高さは1mmであるから、嵌着されるカセットCの高さの4分の1以下(1/6)であり、記録部C3は実質的に係止板7で覆われていない。
【0063】
実施例6
本実施例の包埋トレイ1は、図17〜20に示すように、底部3とその周りに立設された側壁4とから形成されるパラフィン収容部2と、パラフィン収容部2の長辺側の側壁4の上端に立設された挟持板6と、短辺側の側壁4の上端に立設された係止板7と、長辺側に横設された把持部8からなる。また、図17に示すように、挟持板6と係止板7は連続して設けられている。
本実施例は、図17における右辺側(図19における手前側)の低い係止板7が角部付近に設けられている点、及び図17における右辺側においても挟持板6と係止板7が連続して設けられている点を除き、実施例5と同様である。
【0064】
図20は本実施例の包埋トレイ1の断面図を実線で示すと共に、検体SとカセットCを破線で示した図である。なお、図20におけるカセットCは図25及び図27に示したものである。この包埋トレイ1は、破線で示したように、検体Sをパラフィン収容部2に投入するとともに、記録部C3を低い係止板7が立設されている辺(図20における右辺)に配置し、カセット本体C1をカセット支承部5に載置するとともに、長辺側に設けられた挟持板6,6でカセット本体C1を挟持することにより、カセットCを嵌着して使用する。
【0065】
本実施例の包埋トレイ1は、低い係止板7が右辺(記録部C3が配置される辺)の角部付近だけに立設されているから、中央部、即ち文字等が記載される部分はこの係止板7に全く覆われない。このため、パラフィンPが文字等の上に付着することがなく、従って、記録部C3に記載された文字等が隠されることがないため、記載内容を確実に読み取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
叙上のとおり、本発明の病理組織検査標本作成用の包埋トレイは、カセットが包埋トレイのパラフィン収容部の上部に着脱自在に嵌着される程度に保持されるため、パラフィンブロックを作成する際にこのカセットをパラフィンによる浮き上がりを防止するために指で押さえる必要がなく、また、カセットと包埋トレイの係脱が容易で、片手でワンタッチで着脱することも可能である。従って、病理組織検査標本を作成する作業性や検査の信頼性が大幅に高められ、その有用性は頗る大である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の包埋トレイの実施例1を示す平面図である。
【図2】実施例1の正面図である。
【図3】実施例1の側面図である。
【図4】実施例1(図1)のA−A断面図である。
【図5】本発明の包埋トレイの実施例2を示す平面図である。
【図6】本発明の包埋トレイの実施例3を示す平面図である。
【図7】実施例3の正面図である。
【図8】実施例3の側面図である。
【図9】本発明の包埋トレイの実施例4を示す平面図である。
【図10】実施例4の正面図である。
【図11】実施例4の側面図である。
【図12】実施例4(図9)のB−B断面図である。
【図13】本発明の包埋トレイの実施例5を示す平面図である。
【図14】実施例5の正面図である。
【図15】実施例5の側面図である。
【図16】実施例5(図13)のC−C断面図である。
【図17】本発明の包埋トレイの実施例6を示す平面図である。
【図18】実施例6の正面図である。
【図19】実施例6の側面図である。
【図20】実施例6(図17)のD−D断面図である。
【図21】本発明の包埋トレイにカセットを嵌着する際の挟持板の状態を示す説明図である。
【図22】本発明の別の包埋トレイにカセットを嵌着する際の挟持板の状態を示す説明図である。
【図23】本発明の包埋トレイにカセットを嵌着する際の係止板の状態を示す説明図である。
【図24】本発明の包埋トレイと共に使用するカセットの例を示す斜視図である。
【図25】カセットの他の例を示す斜視図である。
【図26】カセット内に検体を入れた状態を示す断面図である。
【図27】カセット内に検体を入れた状態を示す断面図である。
【図28】従来の包埋トレイの例を示す斜視図である。
【図29】従来の包埋トレイを用いて顕微鏡標本の作製方法を示す説明図である。
【図30】従来の包埋トレイを用いて顕微鏡標本の作製方法を示す説明図である。
【図31】従来の包埋トレイを用いて顕微鏡標本の作製方法を示す説明図である。
【図32】従来の包埋トレイを用いて顕微鏡標本の作製方法を示す説明図である。
【図33】従来の包埋トレイを用いて顕微鏡標本の作製方法を示す説明図である。
【図34】包埋トレイとカセットの好ましくない嵌着方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0068】
1 包埋トレイ
2 パラフィン収容部
3 底部
4 側壁
5 カセット支承部
6 挟持板
7 係止板
8 把持部
C カセット
C1 本体
C2 蓋
C3 記録部
C4 透孔
C5 係合突起
P パラフィン
S 検体
T 従来のトレイ
T1 底部
T2 カセット支承部
T3 カセット係止部
T4 額縁部
T5 把持部
T6 係合窪み
B パラフィンブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラフィン収容部の上端にカセットを載置して使用する病理組織検査標本作成用の包埋トレイであって、前記パラフィン収容部は底部とその周りに立設された側壁とからなり、対向する側壁の上端からはカセットをパラフィン収容部上に嵌着する挟持板が立設され、前記挟持板の間隔はカセットが着脱自在に嵌着される程度に形成されていることを特徴とする病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
【請求項2】
挟持板の間隔がカセット幅と同一か僅かに狭いことを特徴とする請求項1記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
【請求項3】
挟持板の間隔が、その基部はカセット幅と同一か僅かに広く、その頂部はカセット幅よりも僅かに狭いことを特徴とする請求項1記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
【請求項4】
挟持板が立設されていない側壁の上端からは、カセットの滑動を止める係止板が立設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
【請求項5】
全ての側壁の上端に挟持板が立設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
【請求項6】
挟持板及び/又は係止板は、少なくともカセットの記録部が配置される辺において、嵌着したカセットの記録部を実質的に覆わないように低く形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
【請求項7】
挟持板及び/又は係止板の高さは、嵌着するカセットの高さの4分の1以下であることを特徴とする請求項6記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
【請求項8】
挟持板及び/又は係止板は、少なくともカセットの記録部が配置される辺において、パラフィン収容部の角部付近のみに立設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
【請求項9】
側壁と挟持板の境界にはカセット支承部が形成され、該カセット支承部の幅が0.5〜2mmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
【請求項10】
カセット支承部が斜面状に形成され、該カセット支承部の最小傾斜角度が45°以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。
【請求項11】
パラフィン収容部の形状が左右非対称であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の病理組織検査標本作成用の包埋トレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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