説明

痴漢防止シール

【課題】痴漢防止シールに設けられた痴漢識別印刷部を痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に接触させて、前記痴漢識別印刷部を構成する不乾燥インキを前記痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に転写させることによって、痴漢犯人を速やかに特定することができる携帯の容易な痴漢防止シールを低コストで提供する。
【解決手段】(イ)前記ベースシール2の表面には、不乾燥インキで印刷された文字、図形及び模様から選ばれる痴漢識別印刷部4が設けられ、(ロ)前記インキ付着防止シール6には、前記痴漢識別印刷部4における不乾燥インキが前記カバーシール8に接触しないように、その上面から下面に貫通する空洞部7が設けられ、そして、(ハ)前記ベースシール2の表面における痴漢識別印刷部4を除く部分に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層(図示せず)が設けられているか、又は、前記インキ付着防止シール6の下面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層5が設けられている、痴漢防止シール10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、痴漢防止シールに関するものであり、さらに、詳しくは、ベースシールと、前記ベースシールの表面に設けられたインキ付着防止シールと、前記インキ付着防止シールの表面に設けられたカバーシールと、を有する痴漢防止シールにおいて、前記ベースシールの表面又は前記カバーシールの表面に不乾燥インキで構成される前記痴漢識別印刷部を設けて、その痴漢識別印刷部を痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に接触させ、前記痴漢識別印刷部を構成する不乾燥インキを前記痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に転写させることによって、痴漢犯人の特定をし易くした痴漢防止シールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無着色でブラックライトにだけに反応する無色蛍光塗料を含有するスプレー溶液を痴漢犯人特定スプレーとしたもの(特許文献1を参照。)(以下、「先行技術1」という。)、スプレー容器と、該スプレー容器中に封入されたマーキング液および噴射剤と、スプレー容器の上部に設けられた噴出ボタンと、該噴出ボタン側面に設けられスプレー容器内と連通するノズルと、噴出ボタンと該ノズルを覆っているキャップとを有する防犯用マーキングスプレーにおいて、前記マーキング液が蛍光性又は蓄光性を有する成分を含むものとしたもの(特許文献2を参照。)(以下、「先行技術2」という。)、布製の下着の表面にさわると指紋が残る塗膜を施した塗膜下着としたもの(特許文献3を参照。)(以下、「先行技術3」という。)、及び、表面に図案、文字等を印し、そして、裏面に接着機能を持つ面を有した痴漢防止用ステッカーにおいて、前記表面に痴漢防止のための標語を印したもの(特許文献4を参照。)(以下、「先行技術4」という。)がそれぞれ提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−307781号公報
【特許文献2】実用新案登録第3071086号公報
【特許文献3】特開平11−350201号公報
【特許文献4】実開平5−47981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記先行技術1によれば、無着色でブラックライトにだけに反応する無色蛍光塗料を含有するスプレー溶液を痴漢犯人特定スプレーとしたので、前記無色蛍光塗料を含有するスプレー溶液を人ごみの中、特に、込み合った電車等の乗り物内で痴漢犯人に対して噴射しても、周囲乗客に迷惑をかけることが無く、そのために、躊躇せずに大胆に使用することを可能にするものとなるが、前記犯人特定スプレーに用いられる無色蛍光塗料が高価であること、噴射によって付着された蛍光塗料をブラックライトの照射によって発光さて痴漢犯人を特定させる操作を必要とするために、結果を出すのに時間がかかると共に煩雑となること、スプレー容器を携帯する必要があること、といった問題があった。
【0005】
また、前記先行技術2によれば、防犯用マーキングスプレーにおいて、マーキング液が蛍光性又は蓄光性を有する成分を含むものとするので、逃走する痴漢犯罪者に対して、特に、技量がない一般市民でも簡単にかつ確実にマーキング液を付着させることができ、そのために、逃走した痴漢犯罪者を特定するのに有用なものとなるが、前記先行技術1と同様に、前記犯人特定スプレーに用いられる蛍光性又は蓄光性を有する成分を含む塗料が高価であること、噴射によって付着された蛍光性又は蓄光性を有する成分を含む塗料を紫外線等の特殊な光源の照射によって発光さて痴漢犯人を特定させるために、結果を出すのに時間がかかると共に煩雑となること、スプレー容器を携帯する必要があること、といった問題があった。
【0006】
また、前記先行技術3によれば、布製の下着の表面にさわると指紋が残る塗膜を施した塗膜下着としたので、塗膜下着に残った指紋から痴漢を行った犯人を特定することができるが、この塗膜下着は、下着にさわらない痴漢行為を行った痴漢犯人に対しては、その特定することができない、といった問題があった。
【0007】
また、前記先行技術4によれば、表面に図案、文字等を印し、そして、裏面に接着機能を持つ面を有した痴漢防止用ステッカーにおいて、前記表面に痴漢防止のための標語を印したものとしたので、この痴漢防止用ステッカーを痴漢者の衣服等に貼ることで痴漢犯人の人体に悪影響を与えることなく、痴漢犯人の特定をすると共に、痴漢犯罪の防止を訴えることができるが、痴漢犯人が痴漢防止用ステッカーに気づいてこれを剥がした場合には、痴漢犯人を特定することが困難になる、という問題があった。
【0008】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0009】
即ち、本発明は、痴漢防止シールに設けられた痴漢識別印刷部を痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に接触させて、前記痴漢識別印刷部を構成する不乾燥インキを前記痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に転写させることによって、痴漢犯人を速やかに特定することができる携帯の容易な痴漢防止シールを低コストで提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、台紙と、前記台紙の表面に設けられたベースシールと、前記ベースシールの表面に設けられたインキ付着防止シールと、前記インキ付着防止シールの表面に設けられたカバーシールと、を有する痴漢防止シールにおいて、
(イ)前記ベースシールの表面には、不乾燥インキで印刷された文字、図形及び模様から選ばれる痴漢識別印刷部が設けられ、
(ロ)前記インキ付着防止シールには、前記痴漢識別印刷部における不乾燥インキが前記カバーシールに接触しないように、その上面から下面に貫通する空洞部が設けられ、そして、
(ハ)前記ベースシールの表面における痴漢識別印刷部を除く部分に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層が設けられているか、又は、前記インキ付着防止シールの下面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層が設けられている
ことを特徴とする痴漢防止シールである。
【0011】
請求項2に記載された発明は、台紙と、前記台紙の表面に設けられたベースシールと、前記ベースシールの表面に設けられたインキ付着防止シールと、前記インキ付着防止シールの表面に設けられたカバーシールと、を有する痴漢防止シールにおいて、
(イ)前記カバーシールの裏面には、不乾燥インキで印刷された文字、図形及び模様から選ばれる痴漢識別印刷部が設けられ、
(ロ)前記インキ付着防止シールには、前記痴漢識別印刷部における不乾燥インキが前記ベースシールに接触しないように、空洞部が設けられ、そして、
(ハ)前記カバーシールの裏面における痴漢識別印刷部を除く部分に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層が設けられているか、又は、前記インキ付着防止シールの上面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層が設けられている
ことを特徴とする痴漢防止シールである。
【0012】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記不乾燥インキが、顔料インキとマシンオイルとで構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記インキ付着防止シールが、不織布、厚紙又は発泡シートで構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記ベースシールが、台紙の表面に設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記ベースシールが、携帯電話、音楽プレーヤー、財布、パスケース、手帳、及び、セカンドバッグから選ばれる携帯品の表面に設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載された発明によれば、台紙と、前記台紙の表面に設けられたベースシールと、前記ベースシールの表面に設けられたインキ付着防止シールと、前記インキ付着防止シールの表面に設けられたカバーシールと、を有する痴漢防止シールにおいて、(イ)前記ベースシールの表面には、不乾燥インキで印刷された文字、図形及び模様から選ばれる痴漢識別印刷部が設けられ、(ロ)前記インキ付着防止シールには、前記痴漢識別印刷部における不乾燥インキが前記カバーシールに接触しないように、その上面から下面に貫通する空洞部が設けられ、そして、(ハ)前記ベースシールの表面における痴漢識別印刷部を除く部分に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層が設けられているか、又は、前記インキ付着防止シールの下面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層が設けられているので、前記ベースシール及び前記インキ付着防止シールを剥がして、前記痴漢防止シールに設けられた痴漢識別印刷部を痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に接触させ、前記痴漢識別印刷部を構成する不乾燥インキを前記痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に転写させることによって、痴漢犯人に最小限のダメージを与えながら犯行の痕跡を残すことができ、そのために、痴漢犯人を速やかに特定することができる携帯の容易な痴漢防止シールを低コストで提供することができる。しかも、請求項1に記載された発明によれば、前記痴漢犯人に残された犯行の痕跡が犯行の証拠となるので、痴漢の抑止力にもなる。
【0017】
請求項2に記載された発明によれば、台紙と、前記台紙の表面に設けられたベースシールと、前記ベースシールの表面に設けられたインキ付着防止シールと、前記インキ付着防止シールの表面に設けられたカバーシールと、を有する痴漢防止シールにおいて、(イ)前記カバーシールの裏面には、不乾燥インキで印刷された文字、図形及び模様から選ばれる痴漢識別印刷部が設けられ、(ロ)前記インキ付着防止シールには、前記痴漢識別印刷部における不乾燥インキが前記ベースシールに接触しないように、空洞部が設けられ、そして、(ハ)前記カバーシールの裏面における痴漢識別印刷部を除く部分に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層が設けられているか、又は、前記インキ付着防止シールの上面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層が設けられているので、前記カバーシールを剥がして、前記カバーシールの裏面に設けられた痴漢識別印刷部を痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に接触させ、前記痴漢識別印刷部を構成する不乾燥インキを前記痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に転写させることによって、痴漢犯人に最小限のダメージを与えながら犯行の痕跡を残すことができ、そのために、痴漢犯人を速やかに特定することができる携帯の容易な痴漢防止シールを低コストで提供することができる。しかも、請求項1に記載された発明によれば、前記痴漢犯人に残された犯行の痕跡が犯行の証拠となるので、痴漢の抑止力にもなる。
【0018】
請求項3に記載された発明によれば、前記不乾燥インキが、顔料インキとマシンオイルとで構成されているので、前記痴漢識別印刷部を痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に接触させるだけで、前記痴漢識別印刷部を構成する不乾燥インキを前記痴漢犯人の手、腕等の身体の一部にいっそう確実にかついっそう容易に付着させることができる。
【0019】
請求項4に記載された発明によれば、前記インキ付着防止シールが不織布、厚紙又は発泡シートで構成されているので、該インキ付着防止シールに設けられたその上面から下面に貫通する空洞部の形状を安定して維持することができ、そのために、(イ)前記痴漢識別印刷部が前記ベースシールに設けられている場合には、前記痴漢識別印刷部を構成する不乾燥インキが前記カバーシールに確実に付着させないようにすることができ、また、(ロ)前記痴漢識別印刷部が前記カバーシールに設けられている場合には、前記痴漢識別印刷部を構成する不乾燥インキが前記ベースシールに確実に付着されないようにすることができる。
【0020】
請求項5に記載された発明によれば、前記ベースシールが台紙の表面に設けられているので、前記痴漢防止シールを、前記ベースシールが台紙の表面に設けられた状態で、移動可能となる。また、前記ベースシールの裏面に感圧性接着剤層が設けられると共に、前記台紙の上面に離型層が設けられていると、前記痴漢防止シールを前記ベースシールから剥がして、携帯品等の他の物品の表面に張ることができる。
【0021】
請求項6に記載された発明によれば、前記ベースシールが携帯電話、音楽プレーヤー、財布、パスケース、手帳、及び、セカンドバッグから選ばれる携帯品の表面に張られているので、前記携帯品の表面に設けられた前記痴漢防止シールにおける痴漢識別印刷部を痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に接触させて、前記痴漢識別印刷部を構成する不乾燥インキを前記痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に転写させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態を示す痴漢防止シールであって、(a)は、平面図であり、(b)は、要部拡大断面図であり、そして、(c)は、分解斜視図である。
【図2】本発明の他の一実施の形態を示す痴漢防止シールであって、(a)は、平面図であり、(b)は、要部拡大断面図であり、そして、(c)は、分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態を説明する。
【0024】
図1に示されているように、本発明の痴漢防止シール10は、ベースシール2と、前記ベースシール2の表面に設けられたインキ付着防止シール6と、前記インキ付着防止シール6の表面に設けられたカバーシール8と、を有している。そして、前記痴漢防止シール10において、(イ)前記ベースシール2の表面には、不乾燥インキで印刷された文字、図形及び模様から選ばれる痴漢識別印刷部4が設けられ、(ロ)前記インキ付着防止シール6には、前記痴漢識別印刷部4における不乾燥インキが前記カバーシール8に接触しないように、その上面から下面に貫通する空洞部7が設けられ、そして、 (ハ)前記ベースシール2の表面における痴漢識別印刷部4を除く部分に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層(図示せず)が設けられているか、又は、前記インキ付着防止シール6の下面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層5が設けられている。
【0025】
本発明においては、前記インキ付着防止シール6と前記カバーシール8とは、接着剤で接着されていても良い。また、前記インキ付着防止シールの表面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層(図示せず)が設けられるか、又は、前記カバーシールの下面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層(図示せず)が設けられて固定されていてもよい。
【0026】
このように、ベースシール2と、前記ベースシール2の表面に設けられたインキ付着防止シール6と、前記インキ付着防止シール6の表面に設けられたカバーシール8と、を有する痴漢防止シール10において、(イ)前記ベースシール2の表面には、不乾燥インキで印刷された文字、図形及び模様から選ばれる痴漢識別印刷部4が設けられ、(ロ)前記インキ付着防止シール6には、前記痴漢識別印刷部4における不乾燥インキが前記カバーシール8に接触しないように、その上面から下面に貫通する空洞部7が設けられ、そして、(ハ)前記ベースシール2の表面における痴漢識別印刷部4を除く部分に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層(図示せず)が設けられているか、又は、前記インキ付着防止シール6の下面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層5が設けられていると、前記前記ベースシール2及び前記インキ付着防止シール6を剥がして、前記痴漢防止シール10に設けられた痴漢識別印刷部4を痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に接触させ、前記痴漢識別印刷部4を構成する不乾燥インキを前記痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に転写させることによって、痴漢犯人に最小限のダメージを与えながら犯行の痕跡を残すことができ、そのために、痴漢犯人を速やかに特定することができる携帯の容易な痴漢防止シール10を低コストで提供することができる。また、前記痴漢犯人に残された犯行の痕跡は、犯行の証拠となるので、痴漢の抑止力にもなる。
【0027】
図2に示されているように、本発明の痴漢防止シール20は、ベースシール2と、前記ベースシール2の表面に設けられたインキ付着防止シール6と、前記インキ付着防止シール6の表面に設けられたカバーシール8と、を有している。そして、前記痴漢防止シール10において、(イ)前記ベースシール2の表面には、不乾燥インキで印刷された文字、図形及び模様から選ばれる痴漢識別印刷部4が設けられ、(ロ)前記インキ付着防止シール6には、前記痴漢識別印刷部4における不乾燥インキが前記カバーシール8に接触しないように、その上面から下面に貫通する空洞部7が設けられ、そして、(ハ)前記カバーシール8の裏面における痴漢識別印刷部4を除く部分に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層(図示せず)が設けられているか、又は、前記インキ付着防止シール6の上面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層5が設けられている。
【0028】
本発明においては、前記ベースシール2と前記インキ付着防止シール6とは、接着剤で接着されていても良い。また、前記ベースシール2の表面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層(図示せず)が設けられるか、又は、前記インキ付着防止シール6の下面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層(図示せず)が設けられて固定されていてもよい。
【0029】
このように、ベースシール2と、前記ベースシール2の表面に設けられたインキ付着防止シール6と、前記インキ付着防止シール6の表面に設けられたカバーシール8と、を有する痴漢防止シール10において、(イ)前記ベースシール2の表面には、不乾燥インキで印刷された文字、図形及び模様から選ばれる痴漢識別印刷部4が設けられ、(ロ)前記インキ付着防止シール6には、前記痴漢識別印刷部4における不乾燥インキが前記カバーシール8に接触しないように、その上面から下面に貫通する空洞部7が設けられ、そして、(ハ)前記カバーシール8の裏面における痴漢識別印刷部4を除く部分に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層(図示せず)が設けられているか、又は、前記インキ付着防止シール6の上面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層5が設けられていると、前記カバーシール2を剥がして、前記カバーシール2の裏面に設けられた痴漢識別印刷部4を痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に接触させ、前記痴漢識別印刷部4を構成する不乾燥インキを前記痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に転写させることによって、痴漢犯人に最小限のダメージを与えながら犯行の痕跡を残すことができ、そのために、痴漢犯人を速やかに特定することができる携帯の容易な痴漢防止シール20を低コストで提供することができる。また、前記痴漢犯人に残された犯行の痕跡は、犯行の証拠となるので、痴漢の抑止力にもなる。
【0030】
前記痴漢防止シール10,20におけるベースシール2及びカバーシール8は、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、セロファン、紙、合成紙、アセテートサテン、又は、アルミニウム箔であるが、本発明の目的に反しない限り、それら以外の材料であってもかまわない。また、前記弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層5は、例えば、天然ゴム、ポリイソブチレン、ブタジエン系形ゴム、アクリル樹脂等の主剤、ロジン、クマロン等の粘着付与材、及び、フタル酸エステル、ヒマシ油等の可塑剤よりなる弱粘着性の感圧性接着剤で構成されるが、本発明の目的に反しない限り、前記主剤、前記感圧性接着剤及び前記可塑剤以外の組み合わせよりなる弱粘着性の感圧性接着剤で構成されていてもかまわない。前記弱粘着性の感圧性接着剤は、前記痴漢防止シール10では、前記粘着付与材剤の含有量を通常の感圧性接着剤より少ない含有量に調整して、ベースシール2からインキ付着防止シール6を容易に剥がせる程度のものとされ、また、前記痴漢防止シール20では、前記粘着付与材剤の含有量を通常の感圧性接着剤より少ない含有量に調整して、インキ付着防止シール6からカバーシール2を容易に剥がせる程度のものとされている。本明細書においては、かかる弱い粘着性を有する感圧性接着剤を「弱粘着性の感圧性接着剤」という。
【0031】
前記痴漢防止シール10,20における前記痴漢識別印刷部4は、例えば、十字型、楕円形、三角形、四角形、互角形、六角形、七角形、八角形、星型、ハート型、ダルマ型、動物の形、キャラクターの形、及び、乗り物から選ばれる形状に印刷されたものであるが、本発明の目的に反しないかぎり、ここに例示した形状以外のものであってもかまわない。
【0032】
前記痴漢防止シール10,20における不乾燥インキは、好ましくは、顔料インキとマシンオイルとで構成される。このように、前記不乾燥インキが、顔料インキとマシンオイルとで構成されていると、前記痴漢識別印刷部4を痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に接触させるだけで、前記痴漢識別印刷部4を構成する不乾燥インキを前記痴漢犯人の手、腕等の身体の一部にいっそう確実にかついっそう容易に付着させることができる。
【0033】
前記痴漢防止シール10,20におけるインキ付着防止シール6は、不織布、厚紙又は発泡シートで構成されている。このように、前記インキ付着防止シール6が、不織布、厚紙又は発泡シートで構成されていると、該インキ付着防止シール6に設けられたその上面から下面に貫通する空洞部7の形状を安定して維持することができ、そのために、(イ)前記痴漢識別印刷部4が前記ベースシール2に設けられている場合には、前記痴漢識別印刷部4を構成する不乾燥インキが前記カバーシール8に確実に付着させないようにすることができ、また、(ロ)前記痴漢識別印刷部4が前記カバーシール8に設けられている場合には、前記痴漢識別印刷部4を構成する不乾燥インキが前記ベースシール2に確実に付着させないようにすることができる。
【0034】
図1,2に示されているように、前記ベースシール2は台紙1の表面に設けられている。このように、前記ベースシール2が台紙1の表面に設けられていると、前記痴漢防止シール10,20を、前記ベースシール2が台紙1の表面に設けられた状態で、移動可能となる。また、前記ベースシール2の裏面に感圧性接着剤層が設けられると共に、前記台紙1の上面に離型層が設けられていると、前記痴漢防止シール10,20を、前記ベースシール2から剥がして、携帯品等の他の物品の表面に張ることができる。前記台紙1は、例えば、クラフト紙、グラシン紙、ポリエステルフィルム、又は、ポリプロピレンフィルムと、それらの表面に被覆されたシリコン層と、で構成されている。
【0035】
本発明においては、前記ベースシール2は、好ましくは、携帯電話、音楽プレーヤー、財布、パスケース、手帳、及び、セカンドバッグから選ばれる携帯品の表面に張られている。前記痴漢防止シール10,20は、前記ベースシール2から剥がされて、携帯電話、音楽プレーヤー、財布、パスケース、手帳、及び、セカンドバッグから選ばれる携帯品の表面に張られる。このように、前記ベースシール2が携帯電話、音楽プレーヤー、財布、パスケース、手帳、及び、セカンドバッグから選ばれる携帯品の表面に張られていると、前記携帯品の表面に張られた前記痴漢防止シール10,20における痴漢識別印刷部4を痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に接触させて、前記痴漢識別印刷部4を構成する不乾燥インキを前記痴漢犯人の手、腕等の身体の一部に転写させることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 台紙
2 ベースシール
4 痴漢識別印刷部
5 弱粘性の感圧性接着剤で構成された感圧性接着剤層
6 インキ付着防止シール
7 空洞部
8 カバーシール
10,20 痴漢防止シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースシールと、前記ベースシールの表面に設けられたインキ付着防止シールと、前記インキ付着防止シールの表面に設けられたカバーシールと、を有する痴漢防止シールにおいて、
(イ)前記ベースシールの表面には、不乾燥インキで印刷された文字、図形及び模様から選ばれる痴漢識別印刷部が設けられ、
(ロ)前記インキ付着防止シールには、前記痴漢識別印刷部における不乾燥インキが前記カバーシールに接触しないように、その上面から下面に貫通する空洞部が設けられ、そして、
(ハ)前記ベースシールの表面における痴漢識別印刷部を除く部分に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層が設けられているか、又は、前記インキ付着防止シールの下面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層が設けられている
ことを特徴とする痴漢防止シール。
【請求項2】
ベースシールと、前記ベースシールの表面に設けられたインキ付着防止シールと、前記インキ付着防止シールの表面に設けられたカバーシールと、を有する痴漢防止シールにおいて、
(イ)前記カバーシールの裏面には、不乾燥インキで印刷された文字、図形及び模様から選ばれる痴漢識別印刷部が設けられ、
(ロ)前記インキ付着防止シールには、前記痴漢識別印刷部における不乾燥インキが前記ベースシールに接触しないように、空洞部が設けられ、そして、
(ハ)前記カバーシールの裏面における痴漢識別印刷部を除く部分に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層が設けられているか、又は、前記インキ付着防止シールの上面に弱粘着性の感圧性接着剤で構成される感圧性接着剤層が設けられている
ことを特徴とする痴漢防止シール。
【請求項3】
前記不乾燥インキが、顔料インキとマシンオイルとで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の痴漢防止シール。
【請求項4】
前記インキ付着防止シールが、不織布、厚紙又は発泡シートで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の痴漢防止シール。
【請求項5】
前記ベースシールが、台紙の表面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の痴漢防止シール。
【請求項6】
前記ベースシールが、携帯電話、音楽プレーヤー、財布、パスケース、手帳、及び、セカンドバッグから選ばれる携帯品の表面に張られていることを特徴とする請求項1又は2に記載の痴漢防止シール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−254786(P2010−254786A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105440(P2009−105440)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(509117702)神奈川県シール印刷協同組合 (1)
【Fターム(参考)】