癌胎児性抗原融合タンパク質及びその使用
癌胎児性抗原(CEA)融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供し、該CEA融合タンパク質は、免疫増強因子の大部分に融合されている、CEAタンパク質又はそれらの機能的変異体を含有する。本発明のポリヌクレオチドは、哺乳動物において免疫反応を誘導することができ、好ましい実施形態において、それは、野生型CEAにより誘導される免疫反応よりも強い。CEAをコードする遺伝子は、一般に、ヒト癌の発生に関連する。本発明は、CEA腫瘍関連抗原により発現されるタンパク質産物に対する、免疫を誘発又は増強する組成物及び方法を提供するが、異常なCEA発現は、癌又はその発生に関連する。本発明は、具体的に、CEA融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを有するアデノウイルスベクター及びプラスミドコンストラクトを提供し、癌を予防し治療するためのワクチン及び医薬組成物におけるそれらの使用を開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に癌の治療に関する。とりわけ、本発明は、少なくとも腫瘍関連ポリペプチド癌胎児性抗原の一部を含有する融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに関する。本発明はまた、組み換えベクター及び該ポリヌクレオチドを含有する宿主、精製融合タンパク質及び、本明細書で開示する組成物及び分子を使用した、CEAに対する免疫反応を促進する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)は、様々な機能を有するタンパク質をコードする多数の遺伝子からなり、その1つは、細胞間接着である。IgSFタンパク質は、適正な細胞間結合相互作用の維持に重要である、少なくとも1つのIg関連ドメインを含有する。このような相互作用はIgSFメンバーの多岐に渡る生物学的機能に必要なので、多くのIgSF接着分子の崩壊又は異常な発現は、多くのヒトの疾患と関連がある。
【0003】
癌胎児性抗原(CEA)は、CEA関連細胞接着分子(CEACAM)として知られている細胞表面糖タンパク質からなるIgスーパーファミリーのサブファミリーに属する。CEACAMは、同型及び異型両方の細胞間接着分子として働くことが示されている(Benchimolら、Cell 57:327−334(1989))。細胞接着に加えて、CEA(CEACAM5としても知られている。)は、細胞外マトリックスからの細胞の脱離の結果として、細胞死を抑制し、ある一定の癌原遺伝子(Bcl2及びC−Mycなど)に関連する細胞形質転換に寄与し得る(Berinstein,J.Clin Oncol.20(8):2197−2207(2002)を参照のこと。)。ヒトCEAをコードする配列がクローニングされ、特性が調べられた(米国特許第5,274,087号;米国特許第5,571,710号;及び米国特許第5,843,761号。Beaucheminら、Mol.Cell.Biol.7:3221−3230(1987);Zimmermanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:920−924(1987);Thompsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84(9):2965−69(1987)も参照のこと。)。
【0004】
CEAの正常発現は、胎児発生中及び成人の結腸粘膜において検出されている。CEA過剰発現は最初に、ヒト結腸腫瘍において30年以上前に検出され(Gold及びFreeman,J.Exp.Med.121:439−462(1965))ほぼ全ての結腸直腸腫瘍において見出されている。さらに、CEA過剰発現は、膵臓、肝臓、乳房、卵巣、子宮頸部及び肺の腺癌で高い割合で検出可能である。これらの腫瘍タイプにおいて検出率が高く、正常組織での発現は限られているので、CEAは、自己腫瘍関連抗原及び能動的及び受動的免疫治療の標的と考えられている。最近の臨床データから、様々なワクチンストラテジーが、CEAに特異的なヒトB及びT細胞を生み出すことができることが分かっており、このことから、CEAが、これらの癌タイプの治療に対して、分子及び免疫的介入の標的である、さらなる証拠が与えられる。
【0005】
CEAを標的とする治療アプローチには、抗CEA抗体の使用(Chesterら、Cancer Chemother.Pharmacol.46(Suppl):S8−S12(2000)を参照のこと。)ならびに、CEAに基づくワクチン(概説として、Berinstein、前出、を参照のこと。)が含まれる。外来遺伝子を高レベルで発現させることにおいて困難な点があることから、多くのワクチンの開発及び市販が阻まれてきた。DNAに基づくワクチンもまた、治療を受ける個体において、十分な大きさの免疫反応を生じさせられないために、成功していない。様々なタンパク質を標的するDNAワクチンもまた開発されてきたが、得られる免疫反応は、従来のワクチンと比較して弱い。
【0006】
DNA操作が簡便であることから、抗原を様々な免疫増強因子に融合させる、遺伝子融合ストラテジーを含むワクチンを開発するチャンスが与えられている。標的抗原に対する免疫反応の促進は、ヒートショックタンパク質(HSP)70(Liuら、J.Virol.74:2888−94(2000);Chengら、J.Immunol.166:6218−26(2001);Chenら、Cancer Res.60:1035−42(2000))、IgG1のFc部分(Youら、J.Immunol.165:4581−92(2000))、リソソーム会合膜タンパク質(LAMP)(Suら、Cancer.Res.62:5041−48(2002))及び破傷風毒素からのユニバーサルThエピトープ(Renardら、J.Immunol.171:1588−95(2003);Kingら、Nature Med.4:1281−86(1998);Lundら、Cancer Gene Ther.10:365−76(2003);Paduaら、Nature Med.9(11):1413−17(2003);Savelyevaら、Nature Biotecnol.19:760−64(2001);Wahrenら、WO2004/092216)に融合させた抗原をコードするベクターにより、動物モデルで行われてきた。標的抗原に対する免疫反応の促進は特に、腫瘍抗原の免疫原性の制限及び効果的な抗腫瘍効果を与えるために寛容性を乗り越える必要性を考えると、癌ワクチンが適切である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、上述のCEAタンパク質をコードする野生型ヌクレオチド配列が同定されたにもかかわらず、哺乳動物に送達させた際に、野生型全長 CEA cDNAと比較して、CEA特異的免疫反応を促進することができるワクチンを開発することが非常に望まれている。また、CEA特異的免疫反応を安全かつ効果的に増強する核酸分子又はタンパク質を利用した、CEA関連癌を治療もしくは予防する方法を開発することも望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、細菌毒素などの免疫増強因子の大部分に融合させられた腫瘍関連ポリペプチド癌胎児性抗原の一部を少なくとも含有する融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。好ましい実施形態において、コードされるCEA融合タンパク質のCEA部分は、そのC末端のアンカードメインに欠失がある。好ましい実施形態において、その免疫増強因子は、E.コリの易熱性エンテロトキシンのAもしくはBサブユニット又はそれらの大部分である。他の好ましい実施形態において、本免疫増強因子は、破傷風毒素断片C(DOM)の最小化ドメイン又はそれらの大部分である。本発明はまた、該ポリヌクレオチドを含有し、宿主細胞が組み換えベクターを含有する、これらに限定されないがアデノウイルス及びプラスミドベクターを含む、組み換えベクターを提供する。本明細書において、本発明ポリヌクレオチによりコードされる精製融合タンパク質もまた提供する。
【0009】
本発明はさらに、本明細書に記載のCEA融合体又はCEA融合タンパク質を含有する、ワクチン又は医薬組成物を投与することによって、CEAタンパク質に対する免疫反応を与えることにより哺乳動物における癌の発現を阻害又は予防するための方法を提供する。本明細書中の方法の好ましい実施形態において、野生型CEAワクチンにより与えられる免疫反応と比較して、免疫反応を促進する。
【0010】
本明細書を通して、及び添付の請求の範囲において使用される場合、単数体「a」、「an」及び「the」は、文脈において明確に示されない限り、複数の意味を含む。
【0011】
本明細書を通して、及び添付の請求の範囲において使用される場合、次の定義及び略語が適用となる:
「プロモーター」という用語は、RNAポリメラーゼが結合する、DNA鎖における認識部位を指す。プロモーターは、RNAポリメラーゼと開始複合体を形成し、転写活性を促進する。その複合体は、「エンハンサー」と呼ばれる配列を活性化することにより、又は「サイレンサー」と呼ばれる配列を抑制することにより、修飾され得る。
【0012】
「カセット」という用語は、例えば、hCEA−LTB融合体をコードする、ヌクレオチド又は遺伝子配列など、ベクターから発現されるべき、ヌクレオチド又は遺伝子配列を指す。一般に、カセットは、ベクターに挿入され得る遺伝子配列を含有し、いくつかの実施形態において、それは、ヌクレオチド又は遺伝子配列の発現に対する調節配列を与える。他の実施形態において、本ヌクレオチド又は遺伝子配列は、その発現のための調節配列を与える。さらなる実施形態において、本ベクターは、いくつかの調節配列を与え、本ヌクレオチド又は遺伝子配列は、その他の調節配列を与える。例えば、本ベクターは、ヌクレオチド又は遺伝子配列を転写するためのプロモーターを与えることができ、本ヌクレオチド又は遺伝子配列は、転写終結配列を与えることができる。本ベクターにより与えら得る調節配列には、これらに限定されないが、エンハンサー、転写終結配列、スプライシング受容及び供与配列、イントロン、リボソーム結合配列及びポリ(A)付加配列が含まれる。
【0013】
「ベクター」という用語は、DNA断片が宿主生物又は宿主組織に導入され得るいくつかの手段を指す。プラスミド、ウイルス(アデノウイルスを含む。)、バクテリオファージ及びコスミドを含む、様々なタイプのベクターがある。
【0014】
「第一世代」という用語は、アデノウイルスベクターに関して使用される場合、複製欠損型のアデノウイルスベクターを説明するものである。第一世代アデノウイルスベクターは、通常、E1遺伝子領域を欠くか、又はE1遺伝子領域が不活性化されており、好ましくは、E3遺伝子領域を欠くか、又は不活性化されている。
【0015】
「DOM」という略語は、通常、破傷風トキソイドの断片CのN末端ドメインを指す。
【0016】
「LT」という略語は、通常、E.コリの易熱性エンテロトキシンを指す。「LT」は、サブユニットA及びB又はサブユニットAの大部分もしくはサブユニットBの大部分を含有する、完全エンテロトキシンを指し得る。「LTA」という略語は、E.コリの易熱性エンテロトキシンのAサブユニット又はその大部分を指し、C末端又はN末端で末端切断されているが生物学的活性を維持するサブユニットならびに、内部アミノ酸挿入、欠失又は置換を含有するが、生物学的活性を維持するサブユニットを含む。「LTB」という略語は、E.コリの易熱性エンテロトキシンのBサブユニット又はその大部分を指し、C末端又はN末端で末端切断されているが生物学的活性を維持するサブユニットならびに、内部アミノ酸挿入、欠失又は置換を含有するが、生物学的活性を維持するサブユニットを含む。
【0017】
「pV1J/hCEAopt」という表示は、イントロンAを有するCMV前初期(IE)プロモーター、全長コドン最適化ヒトCEA遺伝子、ウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化及び転写終結配列、ならびに最小pUC骨格を含む、本明細書中で開示されるプラスミドコンストラクトを指す(実施例2参照。)。「pV1J/hCEA」という表示は、コンストラクトが、コドン最適化されたヒトCEA遺伝子の代わりに野生型ヒトCEA遺伝子を含有することを除き、基本的に上記のようなコンストラクトを指す。
【0018】
「pV1J/hCEA−LTB」という表示は、イントロンAを有するCMV前初期(IE)プロモーター、そのC末端でE.コリの易熱性エンテロトキシンのBサブユニットに融合させられた、そのGPIアンカーコード配列を欠くヒトCEA遺伝子、ウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化及び転写終結配列、ならびに最小pUC骨格を含有する、本明細書中で開示されるプラスミドコンストラクトを指す。
【0019】
「pV1J/hCEAopt−LTB」という表示は、そのコンストラクトが、野生型ヒトCEA遺伝子の対応部分の代わりに、そのGPIアンカーコード配列を欠くコドン最適化されたヒトCEA遺伝子を含有することを除き、基本的にすぐ上で述べたようなコンストラクトを指す。
【0020】
「pV1J/hCEAopt−LTBopt」という表示は、ヒト細胞において高レベルで発現させるためにCEA配列及びLTB配列の両方がコドン最適化されていることを除き、基本的にすぐ上で述べたようなプラスミドコンストラクトを指す。
【0021】
「pV1J/rhCEAopt−LTBopt」という表示は、ヒトコドン最適化CEA遺伝子が、ヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されたアカゲザルCEA遺伝子で置換されていることを除き、基本的に上記のようなコンストラクトを指す。
【0022】
「pV1J/hCEA−LTA」という表示は、イントロンAを有するCMV前初期(IE)プロモーター、そのC末端でE.コリの易熱性エンテロトキシンのAサブユニットに融合させられた、GPIアンカーコード配列を欠くヒトCEA遺伝子、ウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化及び転写終結配列ならびに最小pUC骨格を含有する、本明細書中で開示されるプラスミドコンストラクトを指す。様々なCEA−LT融合体を含有するプラスミドベクターの構築は、実施例2で述べる。
【0023】
「pV1J/hCEA−DOM」という表示は、イントロンAを有するCMV前初期(IE)プロモーター、そのC末端で破傷風トキソイド(DOM)の断片CのN末端ドメインに融合させられた、そのGPIアンカーコード配列を欠くヒトCEA遺伝子、ウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化及び転写終結配列ならびに最小pUC骨格を含有する、本明細書中で開示されるプラスミドコンストラクトを指す(実施例2)。
【0024】
「pV1J/rhCEAopt−DOMopt」という表示は、ヒトコドン−最適化CEA遺伝子が、ヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されたアカゲザルCEA遺伝子で置換されていることを除き、基本的に上記のようなコンストラクトを指す。
【0025】
「pV1J/hCEA−FcIgG」という表示は、イントロンAを有するCMV前初期(IE)プロモーター、そのC末端で免疫グロブリンG1の定常鎖の重鎖断片に融合させられている、GPIアンカーコード配列を欠くヒトCEA遺伝子、ウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化及び転写終結配列ならびに最小pUC骨格を含有する、本明細書中で開示されるプラスミドコンストラクトを指す。(実施例2)。pV1J/hCEAopt−FcIgGoptは、CEA及びFcIgGをコードするヌクレオチド配列が、ヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されていることを除き、基本的に説明したようなコンストラクトを指す。
【0026】
「Ad5/hCEAopt」及び「Ad5/hCEA」という表示は、E1及びE3領域で欠損があるAd5アデノウイルスゲノムを含有する、本明細書中で開示される2つのコンストラクトを指す。「Ad5/hCEAopt」コンストラクトにおいて、E1領域は、ヒトCMVプロモーターの制御下で、イントロンAなしで、E1と平行な向きに、コドン最適化ヒトCEA遺伝子、次いでウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化シグナルにより置き換えられている。「Ad5/hCEA」コンストラクトは、Ad5ゲノムのE1領域が野生型ヒトCEA配列で置き換えられていることを除き、基本的に上記のようなものである。「Ad5/hCEAopt−LTB」という表示は、コドン最適化されたヒトCEA配列がGPIアンカーコード配列を欠いており、そのC末端でE.コリの易熱性エンテロトキシンのBサブユニットに融合させられていることを除き、基本的に上記のようなAd5コンストラクトを指す。様々なCEA−LT融合体を含有するアデノウイルスベクターの構築は実施例3で述べる。
【0027】
「免疫増強因子」とは、本発明のCEA融合タンパク質の、全長野生型CEAと比較して、関連CEAタンパク質に対する免疫反応を刺激又は促進することができる部分を指す。本発明の免疫増強因子は、ヒートショックタンパク質(HSP)70、リソソーム会合膜タンパク質(LAMP)、破傷風トキソイドの断片C(FrC)、FrCのN末端ドメイン(DOM)、免疫グロブリンG1の定常鎖重鎖断片(FcIgG)、水疱性口炎ウイルス(vesicular stomatitis virus)糖タンパク質(VSV−G)、コレラ菌(Vibrio Cholerae)由来のコレラ毒素(CT)及びE.コリの易熱性エンテロトキシン(LT)からなる群から選択される。「免疫増強因子」という用語は、本明細書中で、「アジュバント」という用語と交換可能に使用される。
【0028】
本明細書中で使用される場合、「融合タンパク質」という用語は、一方のポリペプチドが1つのタンパク質配列又はドメイン由来であり、他方のポリペプチドが第二のタンパク質配列又はドメイン由来である、共有結合する少なくとも2個のポリペプチドを有するタンパク質を指す。本発明の融合タンパク質は、CEAポリペプチドもしくは断片又はそれらの変異体及び第二のポリペプチドを含有し、その第二のポリペプチドは、ある場合においては、細菌性毒素である、免疫増強因子の大部分を含有する。CEAポリペプチド、断片又はそれらの変異体は、ヒトCEA又は別の種由来のCEAホモローグであり得る。この融合タンパク質を含有するポリペプチドは、好ましくは、N末端からC末端に連結する。CEAポリペプチド及び毒素サブユニットは、いかなる順番でも融合され得る。本発明のある実施形態において、図1Aで例示されるように、CEAポリペプチドのC末端を毒素サブユニットのN末端に融合させる。しかし、免疫増強因子がCEAポリペプチドのN末端に融合する融合タンパク質もまたもくろまれている。「CEA融合タンパク質」という用語は、上述のような融合体を指す一般用語であるものとし、これには、免疫増強因子を含有するポリペプチドに融合させられた、CEAポリペプチドもしくは断片又はそれらの変異体が含まれる。
【0029】
「CEA−LT融合体」という用語は、CEA遺伝子の少なくとも一部が、E.コリの易熱性エンテロトキシンのLTA又はLTBサブユニットのいずれかの大部分と融合させられている、核酸配列を指す。「CEA−LT融合タンパク質」という用語は、述べられているようなCEA−LT融合体によりコードされているポリペプチドを指す。「CEA−LT融合体」及び「CEA−LT融合タンパク質」という用語はまた、1又は複数のアミノ酸が挿入、欠失又は他のアミノ酸で置換されているものなど、それらの断片、それらのホモローグ及びそれらの機能的同等物(まとめて「変異体」と呼ぶ。)を指すと理解されたい。本発明のCEA−LT融合体は、ヒトなどの哺乳動物に投与する際、ヘルパーT細胞もしくは細胞障害性T細胞による免疫反応を刺激することができるか、又は少なくとも「野生型」CEA配列と同等に抗体産生を刺激することができる。本発明の好ましい実施形態において、CEA−LT融合体は、野生型CEAと比較して、免疫反応を促進することができる。
【0030】
「CEA−DOM融合体」という用語は、該用語がタンパク質配列を指すと文脈により明確に示されない限り、少なくともCEA遺伝子の一部が、破傷風毒素断片Cの最小化ドメインの大部分に融合させられている、核酸配列を指す。「CEA−DOM融合タンパク質」という用語は、述べられているようなCEA−DOM融合体によりコードされるポリペプチドを指す。
【0031】
「CEA−DOM融合体」及び「CEA−DOM融合タンパク質」という用語はまた、1又は複数のアミノ酸が挿入、欠失又は他のアミノ酸で置換されているものなど、それらの断片、それらのホモローグ及びそれらの機能的同等物(まとめて「変異体」と呼ぶ。)を指すと理解されたい。本発明のCEA−DOM融合体は、ヒトなどの哺乳動物に投与する際、ヘルパーT細胞もしくは細胞障害性T細胞による免疫反応を刺激することができるか、又は少なくとも「野生型」CEA配列と同等に抗体産生を刺激することができる。本発明の好ましい実施形態において、CEA−DOM融合体は、野生型CEAと比較して、免疫反応を促進することができる。
【0032】
「AD」という略語は、CEA遺伝子又はタンパク質のアンカードメインを指す。野生型ヒトCEAのアンカードメインは、配列番号20のおよそアミノ酸679からおよそアミノ酸702に位置する。
【0033】
「処置」という用語は、治療的処置及び予防もしくは防御的手段の両方を指す。処置を必要とするものには、既に疾患に罹患しているもの、ならびにその疾患に罹患しやすいもの又はその疾患を防ぐべきものが含まれる。
【0034】
「疾患」とは、本明細書中に記載の核酸分子及び該核酸分子によりコードされる融合タンパク質を含む、本発明の分子を用いた治療により利益を受けるあらゆる状態である。問題の疾患に哺乳動物が罹患しやすくなる病的状態を含む、慢性及び急性疾患もしくは疾病は、「疾患」という用語により包含される。本発明の分子は、乳癌、結腸直腸癌及び肺癌を含むがこれらに限定されない、異常な細胞増殖を特徴とする疾患又は状態の処置としての使用を意図するものである。
【0035】
「有効量」という用語は、免疫反応が起こるように、本ポリペプチドの適切なレベルを得るために十分なワクチン組成物が導入されることを意味する。当業者は、このレベルが変化し得ることを理解するであろう。
【0036】
「保存的アミノ酸置換」とは、あるアミノ酸残基の、別の化学的に類似のアミノ酸残基による置換を指す。そのような保存的置換の例は、ある疎水性残基(イソロイシン、ロイシン、バリン又はメチオニン)の、別のものへの置換;ある極性残基の、同じ電荷の別の極性残基への置換(例えば、リジンに対してアルギニン;アスパラギン酸に対してグルタミン酸)である。
【0037】
「hCEA」及び「hCEAopt」は、ヒト癌胎児性抗原及びヒトコドン最適化癌胎児性抗原をそれぞれ指す。
【0038】
「rhCEA」及び「rhCEAopt」は、アカゲザル癌胎児性抗原及びアカゲザルコドン最適化癌胎児性抗原をそれぞれ指す。
【0039】
「実質的に同等」とは、配列について、ある核酸又はアミノ酸配列が、参照配列と、少なくとも、75%、好ましくは85%、より好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の同一性を有することを意味する。本発明において、参照配列は、その文章の文脈により決定されるとおり、野生型ヒトCEAヌクレオチドもしくはアミノ酸配列の関連部分、又は細菌毒素もしくはそのサブユニットの野生型ヌクレオチドもしくはアミノ酸配列、例えばE.コリの易熱性エンテロトキシンの、LTBもしくはLTAサブユニット、であり得る。この参照配列はまた、例えば、野生型アカゲザルCEA配列でもあり得る。したがって、野生型ヒトCEAタンパク質又はその断片に対して「実質的に同等」であるCEAタンパク質配列は、野生型ヒトCEAの関連断片と、その断片に沿って、少なくとも75%の同一性、好ましくは、85%の同一性、より好ましくは90%の同一性、さらにより好ましくは95%の同一性を有する。あるCEA、LTBもしくはLTAタンパク質又はヌクレオチド配列が、参照配列に対して「実質的に同等」であるか否かは、例えば、GAPコンピュータープログラム、バージョン6.0(University of Wisconsin Genetics Computer Group(UWGCG)から入手可能。)などの、配列解析ソフトウェアを用いて配列情報を比較することにより決定することができる。このGAPプログラムは、Smith及びWaterman(Adv.Appl.Math.2:482,1981)により改訂されたような、Needleman及びWunsch(J.Mol.Biol.48:443,1970)のアラインメント法を利用している。
【0040】
遺伝子、変異体、断片又はそのサブユニットの「大部分」とは、参照配列の、少なくとも50%、好ましくは75%、より好ましくは90%及びさらにより好ましくは95%の部分を意味する。
【0041】
「遺伝子」とは、そのヌクレオチド配列がポリペプチド分子をコードする核酸分子を指す。遺伝子は、ヌクレオチドの連続配列であり得るか、又はそれらは、イントロン、プロモーター領域、スプライシング部位及び反復配列などの中断セグメントを含み得る。遺伝子はRNA又はDNAのいずれかであり得る。好ましい遺伝子は、本発明のペプチドをコードするものである。
【0042】
「核酸」又は「核酸分子」という用語は、リボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)、プローブ、オリゴヌクレオチド、それらの断片もしくは一部及びプライマーであるものとする。DNAは、相補的DNA(cDNA)又はゲノムDNAのいずれか、例えばCEA融合タンパク質をコードする遺伝子、であり得る。
【0043】
「野生型CEA」又は「野生型部分」又は「wtタンパク質」とは、天然に生じるアミノ酸配列もしくはそれらの変異体を含むタンパク質を指す。野生型ヒトCEAのアミノ酸配列は、図7E(配列番号20)に示す。野生型アカゲザルCEAのアミノ酸配列は、既に述べられている(WO2004/072287、図7A−7B参照。)。
【0044】
「野生型CEA遺伝子」とは、ヒト由来のタンパク質又は別の生物(これらに限定されないが、ラット、マウス及びアカゲザルなどの哺乳動物を含む。)から得られたタンパク質を含む、天然に生じるCEAタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する遺伝子を指す。ヒトCEA遺伝子のヌクレオチド配列は、本技術分野(前出)で入手可能である。Beaucheminら、Mol.Cell.Biol.7:3221−3230(1987);Zimmermanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:920−924(1987);及びThompsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84(9):2965−69(1987)も参照のこと。野生型アカゲザル遺伝子のヌクレオチド配列は、図7Cから7Dで示す。
【0045】
「哺乳動物」という用語は、ヒトを含むあらゆる哺乳動物を指す。
【0046】
「Ag」という略語は、抗原を指す。
【0047】
「Ab」及び「mAb」という略語は、抗体及びモノクローナル抗体をそれぞれ指す。
【0048】
「ORF」という略語は、遺伝子のオープンリーディングフレームを指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
癌胎児性抗原(CEA)は、腺癌の発生に共通して関連している。本発明は、CEA腫瘍関連抗原により発現されるタンパク質産物に対する免疫を誘導又は促進するための、組成物及び方法に関する(異常なCEA発現は、癌腫又はその発生に関与する。)。腫瘍発生時に異常なCEA発現が存在し得、腫瘍進行の後期には検出できないか、又はその逆であるので、異常なCEA発現と癌腫との関連には、CEAタンパク質がその発生の全時間点で腫瘍組織において発現されていることは必要ではない。
【0050】
このために、本発明は、癌の治療及び/又は予防に対する、ワクチン及び医薬組成物における使用のための、CEA配列もしくはそれらの変異体を含有する、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞及びコードされるタンパク質を提供する。本発明のポリヌクレオチドは、関連CEAに対する免疫反応を効果的に促進することができる、細菌性エンテロトキシン又はその大部分などの、免疫増強因子の少なくともサブユニットをコードするヌクレオチド配列に融合させられた、CEAタンパク質又はその変異体をコードするヌクレオチド配列を含有する。
【0051】
本発明のCEAヌクレオチド配列は、ヒト由来のものであり得るか、又は別の種由来のCEAホモローグであり得る。野生型ヒトCEAヌクレオチド配列が報告されている(例えば、米国特許第5,274,087号;米国特許第5,571,710号;及び米国特許第5,843,761号を参照のこと。)。アカゲザルCEA配列が最近報告された(WO2004/072287)。CEA融合体のCEA部分は、全長であるか、又は哺乳動物においてCEA特異的免疫反応を誘導するのに十分なあらゆる変異体であり得る。本発明のCEA変異体には、これらに限定されないが、C末端又はN末端切断型配列、保存的置換がある配列及び内部欠失又は挿入がある配列が含まれる。
【0052】
本発明の好ましい実施形態において、CEA融合体のCEA部分は、ヒトCEA又はその機能的同等物である。他の好ましい実施形態において、このCEA部分は、アカゲザルCEA又はその機能的同等物である。
【0053】
したがって、本発明は、CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する合成ポリヌクレオチドに関し、該融合タンパク質は、CEAタンパク質に対する免疫反応を効果的に促進することができる、免疫増強因子又はそのサブユニットに融合させられている、CEAタンパク質もしくは生物学的活性断片もしくはCEAタンパク質の突然変異形態を含有する。CEAタンパク質の該突然変異形態には、これらに限定されないが、保存的アミノ酸置換、アミノ末端切断、カルボキシ末端切断、欠失又は付加が含まれる。あらゆるそのような生物学的活性断片及び/又は突然変異体は、少なくとも実質的に、配列番号20に記載のCEAタンパク質の免疫学的特性を模倣する、タンパク質又はタンパク質断片のいずれかをコードする。本発明の合成ポリヌクレオチドは、治療又は予防的癌ワクチンの開発において有用であるように、機能的CEA融合タンパク質を発現する、mRNA分子をコードする。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、コードされるCEA融合タンパク質のCEA部分は、ヒトCEA(配列番号20)もしくはその機能的同等物、例えば、そのC末端アンカードメイン(AD)が欠失したヒトCEA(配列番号23)であり、それは、ヒト全長CEAの、およそアミノ酸679からおよそアミノ酸702に位置する。理論にとらわれないが、アンカードメインの欠失により、CEA融合タンパク質の分泌が増加し、それにより、CEA−LTB免疫反応のクロスプライミングが促進される。他の好ましい実施形態において、CEA部分は、アカゲザルCEA(配列番号18及び19)又はその機能的同等物である。
【0055】
本発明のCEA融合タンパク質の免疫増強因子部分は、関連CEAタンパク質に対する免疫反応を刺激又は促進することができ、ヒートショックタンパク質(HSP)70、リソソーム会合膜タンパク質(LAMP)、破傷風トキソイドの断片C(FrC)、FrCのN末端ドメイン(DOM)、免疫グロブリンG1の定常鎖の重鎖断片(FcIgG)、水疱性口炎ウイルス(vesicular stomatitis virus)糖タンパク質(VSV−G)、コレラ菌(Vibrio Cholerae)由来のコレラ毒素(CT)及びE.コリの易熱性エンテロトキシン(LT)からなる群から選択される。本発明の好ましい実施形態において、CEA融合体のアジュバント部分は、FrCのN末端ドメイン(DOM)を含有し、ともに送達される抗原の免疫原性を強力に増強することが示されている。さらなる好ましい実施形態において、CEA融合体のアジュバント部分は、LTのサブユニット又はそれらの大部分を含む。またさらに好ましい実施形態において、CEA融合体のアジュバント部分は、FcIgGの大部分である。
【0056】
破傷風毒素の単一エピトープ(Q830−L844)に融合させられた末端切断型ヒトCEAを含むCEA融合体が記載されている(Lundら、Cancer Gene Therapy 10:365−376(2003))。この単一エピトープ融合体とは異なり、本発明のCEA融合体は、上述のように、免疫増強因子の大部分又はそのサブユニットを含み、それは、CEAタンパク質又はその変異体の免疫原性を増強することができる。本明細書中に記載されている、組成物及び方法に対して使用される免疫増強因子の大部分には、全長毒素サブユニットの50%未満のものは含まれない。融合CEA配列に対してより大きい免疫反応を確実にするために、全長アジュバントサブユニット又はその大部分を利用する、本明細書中で使用されるストラテジーを用いた。理論にとらわれないが、アジュバントとして選択される細菌性毒素が1個のヘルパーエピトープより大きいものを含む場合、その融合タンパク質の毒素配列を1個のエピトープに制限することにより、おそらく、標的タンパク質の免疫原性に対する効果が低下することになると考えられている。さらに、免疫反応のアジュバント媒介増強が、特異的細胞受容体とのアジュバントの相互作用に依存し、普遍的なエピトープに基づくものでない場合、受容体相互作用は、アジュバント効果を与えるために免疫増強因子の大部分を必要とする、特異的な構造配置に依存し得ると考えられる。このような場合、1個のエピトープを含有する短いアジュバント配列は、免疫反応の増強を媒介するには不十分である。
【0057】
これらに限定する必要はないが、ヌクレオチド置換、欠失、付加、アミノ末端切断及びカルボキシ末端切断を含む、本明細書中に記載の免疫増強因子の変異体又は突然変異体をコードするヌクレオチド配列もまた、本発明における使用がもくろまれる。ある場合において、コードされるタンパク質の毒性を低下又は排除するために、アジュバント又はそのサブユニットをコードするヌクレオチド配列に対して特異的な点突然変異を付加することは、有利であり得る。本発明のこの態様の典型的実施形態において、LTサブユニットは、CEA融合体のCEA配列に融合させられ、ここでLTサブユニットは、そのシグナル配列が末端切断されている。理論にとらわれないが、毒素シグナル配列、例えばLTBシグナル配列を欠失させることにより、CEA融合体の翻訳後プロセシングがCEAシグナル配列により駆動されることが確実になる。
【0058】
免疫増強因子、サブユニット又はその大部分を、CEA配列の、アミノ末端又はカルボキシ末端に融合させ得る。さらに、免疫増強因子配列及びCEA配列を、N末端からN末端、C末端からC末端、C末端からN末端又はN末端からN末端で融合させることができる。本発明の好ましい実施形態において、CEAポリペプチドのC末端を免疫増強因子のN末端に融合させる。
【0059】
本発明は、新規CEA融合タンパク質を発現するmRNAをコードするヌクレオチド配列;例えば配列番号8、10、13、15、45、46、51及び53に記載のような融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する、合成核酸分子(ポリヌクレオチド)に関する。本発明の核酸分子は、実質的にその他の核酸を含まない。
【0060】
本発明はまた、本願を通して開示される核酸分子を含有する、組み換えベクター及び組み換え宿主細胞(原核及び真核の両方)に関する。本発明の、合成DNA分子、関連ベクター及び宿主は、癌ワクチンの開発に有用である。
【0061】
代表的な本発明の核酸分子は、本発明の代表的なCEA−LTA、CEA−LTB、CEA−DOM、CEA−FcIgG及びCEA−CTB融合タンパク質をコードする、図2から6、26から27、30から32で示すような、配列番号7、9、11、12、14、21、25、49、50及び52からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0062】
本発明はまた、代表的なCEA融合タンパク質を発現するmRNAをコードする、配列番号7、9、11、12、14、21、25、49、50及び52の、生物学的活性断片又は突然変異体も含む。あらゆるそのような生物学的活性断片及び/又は突然変異体は、少なくとも、これに限定されないが配列番号20に記載のhCEAタンパク質を含む、hCEAタンパク質の医薬特性を実質的に模倣する、タンパク質又はタンパク質断片のいずれかをコードする。あらゆるそのようなポリヌクレオチドには、これらに限定する必要はないが、ヌクレオチド置換、欠失、付加、アミノ末端切断及びカルボキシ末端切断が含まれる。本発明の突然変異は、癌ワクチン開発に有用であるように、真核細胞において機能的CEA融合タンパク質を発現するmRNA分子をコードする。
【0063】
発現されるタンパク質の究極的な物理的特性を実質的に変化させないDNA配列における突然変異も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、バリンのロイシンへの置換、アルギニンのリジンへの置換又はアスパラギンのグルタミンへの置換は、そのポリペプチドの機能において変化を生じ得ない。
【0064】
上述のように、本発明はさらに、本願を通して開示する核酸分子を含有する組み換えベクターに関する。これらのベクターは、DNA又はRNAから構成され得る。殆どのクローニング目的に対して、DNAベクターが好ましい。典型的なベクターには、プラスミド、改変ウイルス、バキュロウイルス、バクテリオファージ、コスミド、酵母人工染色体及び、CEA融合タンパク質をコードすることができる、エピソーム性又は統合DNAのその他の形態が含まれる。
【0065】
特定の遺伝子導入又はその他の使用に対して適切なベクターを決定することは、当業者の範囲内である。
【0066】
本願を通して開示する核酸によりコードされる、精製CEA融合タンパク質もまた本発明により提供される。本発明のこの態様の代表的な実施形態において、CEA融合タンパク質は、配列番号8、10、13、15、45、46、51及び53からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0067】
厳格な条件下で配列番号7、9、11、12、14、21、25、49、50又は52にハイブリダイズするDNA配列が、本発明に含まれる。一例として、また限定するものではないが、高ストリンジェンシーの条件を用いる手段は次のとおりである。約65℃にて、約2時間から一晩、6xSSC、5xDenhardt溶液及び100μg/ml変性サケ精子DNAからなる緩衝液中で、DNAを含有するフィルターのプレハイブリダイゼーションを行う。65℃にて、100μg/ml変性サケ精子DNA及び32P標識プローブ 5から20x106cpmを含有するプレハイブリダイゼーション混合液中で、約12時間から48時間、フィルターをハイブリダイズさせる。37℃にて約1時間、2xSSC、0.1% SDSを含有する溶液中でフィルターを洗浄する。この次に、50℃にて45分間、オートラジオグラフィーの前に、0.1xSSC、0.1% SDS中で洗浄する。高ストリンジェンシーの条件を用いるその他の手段には、約42℃にて5xSSC、5xDenhardt溶液、50% ホルムアミド中で約12時間から48時間ハイブリダイゼーション段階を行うか、又は約65℃にて約30分間から60分間、0.2xSSPE、0.2% SDS中で洗浄段階を行うかのいずれかが含まれる。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションを行うための、前述の手段において述べた試薬は、本技術分野で周知である。これらの試薬の組成の詳細は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual 第二版;Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,New York(1989)又はSambrook及びRussell、Molecular Cloning:A Laboratory Manual 第三版;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,New York(2001)で見出すことができる。前述のものに加えて、使用し得る高ストリンジェンシーのその他の条件もまた本技術分野で周知である。
【0068】
組み換え宿主細胞におけるCEA融合タンパク質の高レベル発現のために、CEA融合タンパク質コード核酸分子を含有する発現ベクターを使用し得る。発現ベクターには、これらに限定されないが、クローニングベクター、改変クローニングベクター、特別に設計したプラスミド又はウイルスが含まれ得る。様々な細菌性発現ベクターもまた、所望する場合、組み換えCEA融合体配列を細菌細胞において発現させるために使用し得る。さらに、組み換えCEA融合体配列を真菌細胞において発現させるために様々な真菌細胞発現ベクターを使用し得る。さらに、組み換えタンパク質を昆虫細胞において発現させるために、様々な昆虫細胞発現ベクターを使用し得る。
【0069】
本発明はまた、本発明の核酸分子を含有するベクターを用いて形質転換又はトランスフェクションされた宿主細胞にも関する。組み換え宿主細胞は、原核又は真核であり得、これらに限定されないが、E.コリなどの細菌、酵母などの真菌細胞、これらに限定されないがウシ、ブタ、サル及びげっ歯類由来の細胞株を含む哺乳動物細胞;及びこれらに限定されないがハエ(Drosophila)及びカイコ由来の細胞株を含む昆虫細胞が含まれる。CEA融合タンパク質又は生物学的同等形態を生成させるのに適切な条件下でこのような組み換え宿主細胞を培養することができる。本発明の好ましい実施形態において、宿主細胞はヒトである。本明細書中で定義される場合、「宿主細胞」という用語は、トランスジェニックヒト、ヒト胎児又はヒト胚の身体における宿主細胞を含むものではない。
【0070】
上述のように、組み換え宿主細胞においてCEA融合タンパク質を発現させるために、CEA融合タンパク質をコードするDNAを含有する発現ベクターを使用し得る。したがって、本発明の別の態様は、(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する核酸を含むベクターを、適切なヒト宿主細胞に導入することと(ここで、該CEA融合タンパク質は、免疫増強因子の大部分又はそのサブユニットに融合させられている、CEAタンパク質又はその変異体を含有し、該免疫増強因子又はそのサブユニットは、ヒートショックタンパク質(HSP)70、リソソーム会合膜タンパク質(LAMP)、破傷風トキソイドの断片C(FrC)、FrCのN末端ドメイン(DOM)、免疫グロブリンG1の定常鎖重鎖断片(FcIgG)、水疱性口炎ウイルス(vesicular stomatitis virus)糖タンパク質(VSV−G)、コレラ菌(Vibrio Cholerae)由来のコレラ毒素(CT)及びE.コリの易熱性エンテロトキシン(LT)からなる群から選択され;該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);(b)前記ヒトCEA融合タンパク質の発現が可能となる条件下で該宿主細胞を培養することと、を含む、組み換え宿主細胞においてCEA融合タンパク質を発現させるためのプロセスである。
【0071】
本発明のこの態様での使用のための好ましい免疫増強因子は、LTB、LTA、DOM及びFcIgGからなる群から選択される。
【0072】
本発明のこの態様のさらに好ましい実施形態において、前記融合体のCEA部分のヌクレオチド配列及び/又は前記融合体の免疫増強因子のヌクレオチド配列は、ヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。
【0073】
本発明はまた、(a)CEA−LT融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する核酸を含むベクターを、適切なヒト宿主細胞に導入することと(ここで、該CEA融合タンパク質は、LTサブユニットの大部分に融合させられている、CEAタンパク質又はその変異体を含有し;該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);(b)前記CEA−LT融合タンパク質の発現が可能となる条件下で該宿主細胞を培養することと、を含む、組み換え宿主細胞においてCEA−LT融合タンパク質を発現させるためのプロセスも提供する。
【0074】
上述のCEA−LT融合タンパク質を発現するためのプロセスの好ましい実施形態において、LTサブユニットは、LTBの大部分であり、LTB配列は、そのシグナル配列が欠失している。他の実施形態において、LTサブユニットはLTA又はその大部分である。
【0075】
本発明はまた、(a)CEA−DOM融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する核酸を含むベクターを、適切なヒト宿主細胞に導入することと(ここで、該CEA融合タンパク質は、破傷風毒素の断片C(DOM)のN末端ドメインの大部分に融合させられている、CEAタンパク質又はその変異体を含有し;該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);(b)該CEA−DOM融合タンパク質の発現が可能となる条件下で該宿主細胞を培養することと、を含む、組み換え宿主細胞においてCEA−DOM融合タンパク質を発現させるためのプロセスも提供する。
【0076】
上述のCEA−DOM融合タンパク質を発現させるためのプロセスの好ましい実施形態において、DOM部分は、ヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。他の好ましい実施形態において、CEA融合体のCEA部分は、ヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。またさらに好ましい実施形態において、CEA及びDOM部分の両方が、ヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。
【0077】
宿主細胞におけるCEA融合体の発現の後、活性型でCEA融合タンパク質を提供するために、CEA融合タンパク質を回収し得る。いくつかのタンパク質精製手段を利用することができ、それらは、使用に適切である。塩析による分画、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイト吸着クロマトグラフィー及び疎水性相互作用クロマトグラフィーの、様々な組合せ、又は個別での使用により、細胞溶解液及び抽出物から組み換えタンパク質を精製し得る。さらに、CEAタンパク質又はCEAタンパク質のポリペプチド断片に特異的な、モノクローナル又はポリクローナル抗体でできた免疫アフィニティーカラムを用いることにより、他の細胞性タンパク質から、組み換えCEA融合タンパク質を分離することができる。
【0078】
CEA融合体を含有する核酸分子及びコードされる本発明の融合タンパク質は、ワクチン開発における使用のために、CEAをコードする全長cDNAと比較して、CEA特異的免疫反応を促進するように設計した。本発明のCEA融合体配列の免疫原特性をさらに促進するために、本明細書中に記載のある実施形態において、CEA融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、下記のように、宿主細胞におけるさらなる高レベル発現のための最適化コドンを含有する。これらの実施形態において、少なくともCEA融合体のコドンの一部は、企図される宿主細胞により好まれるコドンを使用するように設計され、好ましい実施形態において、企図される宿主細胞はヒト細胞である。組み換えアデノウイルス又はプラスミドに基づくDNAワクチンの開発のために、最適化CEA融合体を使用し得、それにより、中和抗体及び細胞性免疫を介して、CEA関連癌に対する効果的な免疫学的予防が行われる。免疫原性組成物として合成分子を使用し得る。本発明は、インビボで、霊長類及びヒトなどの哺乳動物を含む脊椎動物に直接導入された際に、動物内でコードタンパク質の発現を誘導する、コドン最適化されたCEA融合体ポリヌクレオチドを与える。
【0079】
上述のように、本発明のある実施形態において、本合成分子は、ヌクレオチド配列を含み、そのヌクレオチドのいくつかは、ヒト細胞により好まれるコドンを使用するように改変されており、したがって、ヒト宿主細胞において融合タンパク質が高レベルに発現されるようになる。例えば、中和抗体及び細胞性免疫を介して、CEA関連癌腫に対する効果的な免疫予防を与えるための癌ワクチンにおいて使用され得る、CEA−LTB融合タンパク質など、CEA融合タンパク質のソースとして、本合成分子を使用し得る。本明細書中で開示される核酸分子も、DNAに基づく癌ワクチンに対する基礎として働き得る。
【0080】
4個の可能なヌクレオチドベースの「トリプレット」コドンは、60種類を超える様々な形態で存在し得る。これらのコドンは20個のみの異なるアミノ酸(ならびに転写開始及び終結)に対するメッセージを与えるので、アミノ酸の中には複数のコドンによりコードされ得るアミノ酸があるが、これは、コドン重複として知られる現象である。完全には理解されていない理由で、代替的コドンは、様々なタイプの細胞の内在性DNAにおいて均一に存在していない。実際に、ある一定のタイプの細胞において、ある一定のコドンに対する可変の自然のヒエラルキー又は「優先性」が存在すると思われる。一例として、アミノ酸ロイシンは、CTA、CTC、CTG、CTT、TTA及びTTGを含む6種類のDNAコドンのいずれかにより特定される。微生物に対するゲノムコドン頻度の網羅的分析により、E.コリの内在性DNAはCTGのロイシン特定コドンを最もよく含有し、一方、酵母及びスライム(slime)のDNAは、TTAロイシン特定コドンを最もよく含有する。このヒエラルキーの観点において、E.コリ宿主によるロイシンリッチなポリペプチドの高レベル発現を得る可能性は、ある程度コドン使用の頻度に依存すると、一般に考えられる。例えば、TTAコドンが豊富な遺伝子は、E.コリにおいてあまり発現されず、一方で、CTG豊富な遺伝子はおそらくこの宿主において高いレベルで発現されると思われる。同様に、酵母宿主細胞において、ロイシンが豊富なポリペプチドの発現に対する好ましいコドンはTTAである。
【0081】
組み換えDNA技術におけるコドン優先現象により起こるであろう結果は明白であり、この現象により、成功裡に形質転換された宿主生物において外来遺伝子の高レベル発現を達成できなかった以前の多くの失敗が説明され得る−つまり、挿入された遺伝子においてあまり「好ましく」ないコドンが繰り返し存在し得、発現のための宿主細胞機構が効率的に機能し得ない。この現象から、企図される宿主細胞の好ましいコドンを含むように設計された合成遺伝子により、組み換えDNA技術を実行するための、外来遺伝物質の最適な形態が与えられることが示唆される。このように、本発明のある態様は、ヒト細胞での発現のためにコドン最適化された、CEA融合遺伝子である。本発明の好ましい実施形態において、同じタンパク質配列をコードする代替的コドンの使用によりヒト細胞における外来CEA融合タンパク質の発現での制約が取り除かれ得ることが見出された。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態によると、CEA融合タンパク質をコードする核酸分子は、Lathe、”Synthetic Oligonucleotide Probes Deduced from Amino Acid Sequence Data:Theoretical and Practical Considerations“J.Molec.Bio.183:1−12(1985)(参照により本明細書中に組込まれる。)により述べられているように、同一の翻訳配列を有するが代替的コドンが使用されるポリヌクレオチド配列に変換される。この方法は、通常、高発現されたヒト遺伝子を伴わない野生型配列においてコドンを同定することと、ヒト細胞での高発現のために、それらを最適のコドンで置換することと、からなる。次に、新規遺伝子配列において、これらのコドン置換により生成した好ましくない配列について調べる(例えば、「ATTTA」配列、イントロンスプライシング認識部位の不用意な生成、無用の制限酵素部位など。)。存在するコドンを、同じアミノ酸に対する異なるコドンを用いて置換することにより、好ましくない配列を削除する。次に、発現の向上性について合成遺伝子セグメントを試験する。
【0083】
CEA融合タンパク質をコードする合成遺伝子配列を作製するために、上述の方法を使用し、結果として遺伝子が高レベル発現のために最適化されたコドンを含むようになった。上記の手段により、癌ワクチンにおける使用のためのコドン最適化された遺伝子を設計するための発明者らの方法の要約が与えられるが、一方で、その手段を少し改変することにより、又はその配列を少し改変することにより、同様のワクチン効率又は遺伝子の発現上昇を為し得ることを当業者は理解するであろう。
【0084】
当業者はまた、ヒト細胞におけるCEA融合体の高レベル発現のために与えられるさらなる核酸分子が構築され得、そのDNA分子のコドンの一部のみがコドン最適化されることを認識するであろう。例えば、本発明のあるいくつかの実施形態において、CEA融合体のCEA部分を構成するコドンは、ヒト細胞での高レベル発現のために最適化され、CEA融合体のアジュバント部分を構成するコドンは、実質的に野生型アジュバントコードヌクレオチド配列と同様である。本発明の他の実施形態において、CEA融合体のアジュバント部分を構成するコドンは、ヒト細胞での高レベル発現のために最適化され、CEA融合体のCEA部分を構成するコドンは、実質的に野生型CEA遺伝子と同様である。本発明のさらに他の実施形態において、CEA融合体のCEA及びアジュバント部分の両方がヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化される。CEA融合体のCEA及び/又はアジュバント部分内でコドンのサブセットのみが最適化されているCEA融合体もまた、本発明によりもくろまれる。
【0085】
本発明の核酸を、ヒト細胞において本タンパク質を効率的に発現するように設計された配列を含む発現カセットにまとめ得る。このカセットは、好ましくは、プロモーター及びターミネーター配列など、操作可能に連結された関連転写及び翻訳調節配列とともに、CEA融合タンパク質コード遺伝子を含有する。好ましい実施形態において、本プロモーターは、イントロンA配列(CMV)のないサイトメガロウイルスプロモーターであるが、強力な免疫グロブリン又はその他の真核遺伝子プロモーターなどの、あらゆる多くのその他の公知のプロモーターを使用し得ることを当業者は認識するであろう。好ましい転写ターミネーターは、ウシ成長ホルモンターミネーターであるが、その他の公知の転写ターミネーターも使用し得る。CMV−BGHターミネーターの組合せが特に好ましい。
【0086】
本発明によると、CEA融合体発現カセットがベクターに挿入される。本ベクターは、好ましくは、アデノウイルス又はプラスミドベクターであるが、プロモーターに連結する線状DNA又はアデノ関連ウイルスもしくは改変ワクシニアウイルス、レトロウイルスもしくはレンチウイルスベクターなどの他のベクターもまた使用し得る。
【0087】
選択されたベクターがアデノウイルスである場合、そのベクターは、いわゆる第一世代アデノウイルスベクターであることが好ましい。これらのアデノウイルスベクターの特徴は、非機能的E1遺伝子領域を有し、好ましくはアデノウイルスE1遺伝子領域が欠失していることである。あるいくつかの実施形態において、本発現カセットが、アデノウイルス遺伝子が正常に位置する位置に挿入される。さらに、これらのベクターは、場合によっては、非機能的E3領域を有するか、又はE3領域が欠失している。使用されるアデノウイルスゲノムにおいてE1及びE3領域両方が欠失している(ΔE1ΔE3)ことが好ましい。このアデノウイルスは、ウイルス性E1遺伝子を発現する、293細胞もしくはPERC.6細胞、又は外来タンパク質を発現するように一時的に、もしくは安定的に形質転換された、293細胞もしくはPERC.6細胞由来の細胞株などの、公知の細胞株において複製させることができる。例えば、テトラサイクリン制御可能プロモーター系など、遺伝子発現が調節されるコンストラクトを使用する場合、細胞株は制御系に関与する成分を発現し得る。そのような細胞株の一例は、T−Rex−293であり;その他のものが本技術分野で公知である。
【0088】
アデノウイルスベクターの操作における便宜のために、本アデノウイルスは、シャトルプラスミド形態であり得る。本発明はまた、プラスミド部分及び、E1が欠失しており場合によってはE3が欠失しており、CEA融合タンパク質コードヌクレオチド配列を含む発現カセットが挿入されているアデノウイルスゲノムを含有するアデノウイルス部分を含む、シャトルプラスミドベクターに関する。好ましい実施形態において、アデノウイルスベクターを容易に除去できるように、本プラスミドのアデノウイルス部分に隣接する制限部位がある。このシャトルプラスミドは、原核細胞又は真核細胞において複製し得る。
【0089】
本発明の好ましい実施形態において、本発現カセットをpMRKAd5−HV0アデノウイルスプラスミド(参照により本明細書に組込まれる、Eminiら、WO02/22080を参照のこと。)に挿入する。このプラスミドは、E1及びE3領域が削除されているAd5アデノウイルスゲノムを含む。最適化ウイルスパッケージングにおいて重要であると分かったエレメントを組み込むために、5’シス−作用パッケージング領域をさらにE1遺伝子に拡張することにより、既存のアデノベクターを凌ぐように、pMRKAd5−HV0プラスミドの設計を改善し、その結果、ウイルス増幅が向上した。有利に、この増強アデノウイルスベクターは、高継代増殖後に遺伝的安定性を維持することができる。
【0090】
DNAコンストラクトを調製し精製するための分子生物学の標準的技術により、本発明の、アデノウイルス、シャトルプラスミド及びDNA免疫原を調製することができる。
【0091】
本発明によると、E.コリの易熱性エンテロトキシンのLTAもしくはLTBサブユニットの大部分を含有する、本明細書中に記載のCEA−LT融合タンパク質コード分子(例えば配列番号12)が、対応する野生型CEA配列と同等の効率で発現されることが分かった(実施例4参照。)。本明細書中で、プラスミド、pV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBがpV1J/hCEAよりも高い抗体反応を誘導することも示されており、このことから、CEA特異的免疫反応において、LTサブユニットにより与えられるアジュバント効果が確認される(実施例11参照のこと。)。したがって、本明細書中に記載のデータから、LTA又はLTB cDNAへのCEAコード配列の融合の結果、CEA特異的免疫反応が向上することが分かる。LTBが、CD+8T細胞の優勢な誘導を伴う免疫反応での効果をより大きく増強する一方、LTAは、顕著なCD4+反応を誘導すると思われる。
【0092】
本発明によると、CEA−LTB融合体の免疫原特性が向上しているので、全長野生型CEA cDNAと比較して、CEA自己抗原に対する寛容性をより効率的に打破することができることも示された。免疫原特性におけるLTBの増強効果はまた、CEA−LTB融合体の完全にコドン最適化されたcDNAを担うプラスミドの注入においても観察された。最後に、CEA−LT融合体を担うアデノウイルスベクターを用いた、本明細書中に記載の結果から、CEA−LT融合体の免疫原性を向上させるのは、プラスミドDNA免疫付与に限定されないことが示される(実施例13を参照のこと。)。
【0093】
本発明によると、プラスミド、pV1J/hCEA−DOM及びpV1J/hCEA−FcIgGが、CEAよりも、CEA特異的な、細胞性及び液性免疫反応を大きく誘導することがさらに示された(実施例15を参照のこと。)。本発明によると、CEA融合体の免疫原特性が向上しているために、全長野生型CEA cDNAと比較して、本明細書中に記載の、DOM及びFcIgG CEA融合体を用いて、CEA自己抗原に対する寛容性をより効率的に打破できることも示された。これらの融合タンパク質の免疫原特性の向上は、DNA又はAdベクターを用いた免疫付与において観察され、このことから、CEA−LT融合体の免疫原性向上が、プラスミドDNA免疫付与に限定されないことが示される(実施例16を参照のこと。)。
【0094】
したがって、異常なCEA発現を伴う腺癌発生の予防及び/又は存在する癌の治療のための免疫原性組成物及びワクチンにおいて、上述のベクターを使用し得る。本発明のベクターによって、成功裡に形質転換された宿主生物において外来CEAの高レベル発現を得ることに関する問題を解決することにより、及びヒトなどの哺乳動物に投与した際に免疫反応を増強させることができるCEA融合タンパク質を提供することにより、ワクチン開発及び市販が実現できるようになる。
【0095】
このために、本発明のある態様は、CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを含むワクチンベクターを哺乳動物に投与することを含む、CEA関連癌を予防又は治療する方法である(ここで、CEA融合タンパク質は、ヒートショックタンパク質(HSP)70、リソソーム会合膜タンパク質(LAMP)、破傷風トキソイドの断片C(FrC)、FrCのN末端ドメイン(DOM)、免疫グロブリンG1の定常鎖重鎖断片(FcIgG)、水疱性口炎ウイルス(vesicular stomatitis virus)糖タンパク質(VSV−G)、コレラ菌(Vibrio Cholerae)由来のコレラ毒素(CT)及びE.コリの易熱性エンテロトキシン(LT)からなる群から選択される、免疫増強因子の大部分と融合させられた、CEAタンパク質又はその変異体を含有するCEA融合タンパク質であり、該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。)。
【0096】
本明細書中に記載の方法の好ましい実施形態において、免疫増強因子は、LTA、LTB、DOM及びFcIgGからなる群から選択される。
【0097】
上述の方法によると、これらに限定されないが、肺癌、乳癌及び結腸直腸癌を含む、あらゆる哺乳動物における癌の治療又は予防のために、本ワクチンベクターを投与し得る。本発明の好ましい実施形態において、該哺乳動物はヒトである。
【0098】
さらに、当業者は、述べられた治療及び予防方法における使用のために何らかのタイプのベクターを選択し得る。好ましくは、このベクターは、アデノウイルスベクター又はプラスミドベクターである。本発明の好ましい実施形態において、このベクターは、アデノウイルスE1領域に欠失がありアデノウイルスE1領域に挿入がある、アデノウイルスゲノムを含有するアデノウイルスベクターであるが、ここで、この挿入は、(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列と(該CEA融合タンパク質は、免疫増強因子又はその大部分と融合させられているCEAタンパク質又はその変異体を含有し、該免疫増強因子は、ヒートショックタンパク質(HSP)70、リソソーム会合膜タンパク質(LAMP)、破傷風トキソイドの断片C(FrC)、FrCのN末端ドメイン(DOM)、免疫グロブリンG1の定常鎖重鎖断片(FcIgG)、水疱性口炎ウイルス(vesicular stomatitis virus)糖タンパク質(VSV−G)、コレラ菌(Vibrio Cholerae)由来のコレラ毒素(CT)及びE.コリの易熱性エンテロトキシン(LT)からなる群から選択され、該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);(b)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、を含有する発現カセットを含有する。
【0099】
本発明はさらに、アデノウイルスE1領域に欠失がありアデノウイルスE1領域に挿入がある、アデノウイルスゲノムを含有するアデノウイルスワクチンベクターに関し、ここで本挿入は、(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列と(該CEA融合タンパク質は、免疫増強因子の大部分と融合させられた、CEAタンパク質又はその変異体を含有し、該免疫増強因子は、HSP70、LAMP、FrC、DOM、FcIgG、VSV−G、CT、LTA及びLTBからなる群から選択され、該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);(b)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、を含有する発現カセットを含有する。
【0100】
本発明の本態様の好ましい実施形態において、アデノウイルスベクターは、Ad5ベクターである。
【0101】
本発明の別の好ましい実施形態において、アデノウイルスベクターは、Ad6ベクターである。
【0102】
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、アデノウイルスベクターは、Ad24ベクターである。
【0103】
これらに限定されないが、チンパンジーアデノウイルスベクターを含む、ヒト以外の種に天然に感染するアデノウイルスゲノムを含有するアデノウイルスワクチンベクターもまた、本発明における使用のためにもくろまれる。本発明のこの態様の好ましい実施形態は、chimp Ad3ワクチンベクターである。
【0104】
別の態様において、本発明は、プラスミド部分と発現カセット部分とを含有するワクチンプラスミドに関し、該発現カセット部分は、(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列と(該CEA融合タンパク質は、HSP70、LAMP、FrC、DOM、FcIgG、VSV−G、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される、免疫増強因子又はその大部分と融合させられている、CEAタンパク質又はその変異体を含有し、該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);(b)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、を含有する。
【0105】
本発明のある実施形態において、免疫反応増強を誘導するために、様々な初回刺激/追加免疫の組合せにおいて、本明細書中で開示される、組み換えアデノウイルス及びプラスミドに基づくポリヌクレオチドワクチンを使用する。この場合、「初回刺激及び追加免疫」法においてこの2種類のベクターを投与する。例えば、第一のタイプのベクターを1又は複数回投与し、次に、所定の時間が経過した後(例えば、2週間、1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月又はその他の適切な間隔)、第二のタイプのベクターを1又は複数回投与する。好ましくは、それらのベクターは、同じポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの組合せをコードする発現カセットを担う。プラスミドDNAもまた使用される実施形態において、本ベクターが、哺乳動物又は昆虫細胞により認識される、1又は複数のプロモーターを含有することが好ましい。好ましい実施形態において、本プラスミドは、これらに限定されないが、CMVプロモーターなど、強力なプロモーターを含有し得る。合成CEA融合遺伝子又は発現されるべきその他の遺伝子をそのようなプロモーターに連結し得る。そのようなプラスミドの例は、述べられているような、哺乳動物発現プラスミド V1Jns(J.Shiverら、DNA Vaccines,M.Liuら編、N.Y.Acad.Sci.,N.Y.,772:198−208(1996)、これを参照により本明細書に組み込む。)である。
【0106】
上述のように、免疫反応を誘導するための、単一の治療計画の一部として、アデノウイルスベクターワクチン及びプラスミドワクチンを脊椎動物に投与し得る。このために、本発明は、(a)i)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列(該CEA融合タンパク質は、HSP70、LAMP、FrC、DOM、FcIgG、VSV−G、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合させられた、CEAタンパク質又はその変異体を含有し;該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。)と;ii)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、を含有する第一のベクターを哺乳動物に導入することと;(b)所定の時間を経過させることと;(c)i)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列(該CEA融合タンパク質は、HSP70、LAMP、FrC、DOM、FcIgG、VSV−G、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合させられた、CEAタンパク質又はその変異体を含有し;該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。)と;ii)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、を含有する第二のベクターを哺乳動物に導入することと、を含む、哺乳動物をCEA関連癌から防御する方法に関する。
【0107】
上述の防御方法のある実施形態において、この第一のベクターはプラスミドであり、第二のベクターはアデノウイルスベクターである。代替的な実施形態において、この第一のベクターはアデノウイルスベクターであり、第二のベクターはプラスミドである。
【0108】
上述の方法において、ベクターの各投与を所定の時間あけて、第一のタイプのベクターを複数回投与し得る。このような第一のタイプのベクターの一連の投与に続き、所定の時間が経過した後、第二のタイプのベクターの投与を複数回、行い得る。第一のタイプのベクターでの処置と同様に、第二のタイプのベクターもまた、1回又は、所定の時間間隔の後、複数回与え得る。
【0109】
本発明はさらに、(a)i)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列(該CEA融合タンパク質は、HSP70、LAMP、FrC、DOM、FcIgG、VSV−G、CT及びLTからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合させられた、CEAタンパク質又はその変異体を含有し;該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。)と;ii)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、を含有する第一のベクターを哺乳動物に導入することと;(b)所定の時間を経過させることと;(c)i)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列(該CEA融合タンパク質は、HSP70、LAMP、FrC、DOM、FcIgG、VSV−G、CT及びLTからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合させられた、CEAタンパク質又はその変異体を含有し;該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。)と;ii)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、を含有する第二のベクターを哺乳動物に導入することと、を含む、CEA関連腺癌に罹患している哺乳動物を治療する方法に関する。
【0110】
上述の治療方法のある実施形態において、この第一のベクターはプラスミドであり、第二のベクターはアデノウイルスベクターである。代替的な実施形態において、この第一のベクターはアデノウイルスベクターであり、第二のベクターはプラスミドである。
【0111】
上述の方法の好ましい実施形態において、本ベクターは、CEA−LT融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有し、このCEA融合タンパク質は、LTサブユニットの大部分に融合させられている、CEAタンパク質又はその変異体を含有する。さらなる好ましい実施形態において、本ベクターは、CEA−LTB融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。上述の方法のさらなる好ましい実施形態において、本ベクターは、CEA−DOM融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有し、このCEA融合タンパク質は、DOMサブユニットの大部分に融合させられている、CEAタンパク質又はその変異体を含有する。またさらに好ましい実施形態において、本ベクターは、CEA−FcIgG融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。
【0112】
ワクチン受容者に導入されるべき、発現可能なDNA又は転写されるRNAの量は、ある程度、使用されるプロモーターの強さ及び発現される遺伝子産物の免疫原性に依存する。一般に、プラスミドワクチンベクター 約1ngから100mg、好ましくは約10μgから300μgという免疫学的もしくは予防的有効用量を直接、筋肉組織に投与する。組み換えアデノウイルスの有効用量は、約106から1012粒子、好ましくは、約107から1011粒子である。皮下注射、皮内導入、皮膚を介した印象(impression)及び、腹腔内、静脈内、筋肉内又は吸入送達などの投与のその他の様式ももくろまれる。
【0113】
本発明の好ましい実施形態において、筋肉内注射を介して受容者にワクチンベクターを導入する。
【0114】
本発明のワクチンベクターは、裸のものであり得る、つまり、何らかのタンパク質又は受容者の免疫系に影響を与えるその他の薬剤と組み合わせられていない。この場合、本ワクチンベクターが、これらに限定されないが、滅菌生理食塩水又は滅菌緩衝生理食塩水などの、生理学的に許容可能な溶液中にあることが望ましい。あるいは、これらに限定されないがカルシウムイオンなど、DNAの細胞取り込みを補助する薬剤を投与することは有利であり得る。これらの薬剤は、一般にトランスフェクション促進剤及び医薬適合性の担体と呼ばれる。当業者は、特定の薬剤又は医薬適合性の担体ならびに適切な投与時間及び投与様式を決定することができる。
【0115】
本明細書中で言及した公表物は全て、本発明に関連して使用され得る方法及び材料を説明し開示する目的のために、参照により組込まれる。明細書のいかなる開示内容も、本発明が先行技術の効力によってこのような開示に対して先行する権利を与えられていないことを認めるものではない。
【0116】
添付の図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、本発明がまさにその実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、様々な変更及び改変が当業者によりなされ得ることを理解されたい。
【0117】
次の実施例は、本発明を説明するが、限定するものではない。
【実施例1】
【0118】
CEA融合タンパク質の構築
CEA融合タンパク質の免疫原性を決定するため、選択されたポリペプチドのパネルに融合されている、ヒトCEAタンパク質の1から679番目のアミノ酸(本明細書中で以下、aa)をコードする一連のベクターを構築した(実施例2参照)。様々な実験系において示された、これらの配列の報告された免疫増強特性を考慮して、これらの配列を選択した。前記GPIアンカー配列を欠失したCEAタンパク質のcDNAを外来ポリペプチドと連結することによって、前記CEA融合体を操作した(典型的なコンストラクトは図18Aに示される)。この腫瘍抗原をHSP70配列、FcIgG配列又はLAMP配列に連結し、抗原の取り込み又はエンドソーム区画への再ターゲティングの増強により免疫反応増強が起こるか否かを調べた。同様に、液性反応及びCD4+T細胞の反応を促進するために、破傷風毒素の断片C(FrC)又は有力に競合するMHCクラスI結合エピトープを欠失する最小ドメイン(DOM、図29参照)(Riceら、J.Immunol.169:3908−13(2002))に対する融合を構築した。ウィルス性糖タンパク質への融合がCEAの免疫原特性に影響を及ぼすか否かを調べるために、CEAをまた、VSV−Gコード配列に連結した。
【0119】
これらのCEA融合体のコード配列を、ベクターpV1Jnsに対して、ヒトCMV/イントロンAプロモーター+ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナルの調節下にクローニングした(実施例2)。プラスミドpV1J/CEA−FRC、pV1J/CEA−DOM、pVIJ/CEA−FcIgG、pV1J/CEA−LAMP、pV1J/CEA−VSV−G、及びpVIJ/CEA−HSP70は、指示される外来ポリペプチドのコード配列に融合された、CEAの野生型cDNAを担う。hCEA−DOM融合体及びhCEA−FcIgG融合体の典型的なヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、図26、図27及び図30で示す。
【0120】
CEA免疫原性に及ぼすE.コリの易熱性エンテロトキシンのLTAサブユニット及びLTBサブユニットの効果を評価するために、LTA(aa18から259)コード配列又はLTB(aa21から125)コード配列のいずれかへ融合されるCEAタンパク質のアミノ酸1から679をコードする一連のさらなる融合コンストラクトを生成させた。この実験のために開発された典型的なCEA−LTA融合体及びCEA−LTB融合体の構造の略図は、図1に示す。CEA−LT融合体の代表的なヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、図2から図6に示す。
【0121】
前記アンカー配列の欠失したCEAタンパク質のcDNAを、シグナルペプチドコード配列が除去されたLTサブユニットに連結することにより、CEA−LT融合体を操作した。ヒトサイトメガロウィルス(CMV)/イントロンAプロモーター+ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナルの調節下で、前記CEA−融合体コード配列をベクターpV1Jnsにクローニングした。プラスミドpV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBは、LTA及びLTBのコード配列にそれぞれ融合されたCEAの野生型cDNAを担う(実施例2参照)。
【0122】
CEA−LTB融合体を担うコンストラクトは全て、nt1から2037のCEAcDNAを、nt64から375を包含するLTB cDNA断片と融合することにより生成される。LTBコード配列は、配列特異的プライマーLTB−S1 5’−TATTCTAGATGCTCCCCAGACTATTACAGAA−3’(配列番号1)及びLTB−A1 5’−TATGCGGCCGCCTAGTTTTCCATACTGATTGCCGC−3’(配列番号2)を使用するE.コリゲノムDNAのPCR増幅により得られた。増幅されたこのDNAを前記CEAコード配列生成プラスミドの3’末端に導入した。
【実施例2】
【0123】
プラスミドコンストラクト
pV1J/CEAopt及びpV1J/CEA:これら2つのコンストラクトは、CEAの、コドン使用の最適化された、及び野生型の、cDNAをそれぞれ担う。CEAコード配列は、サイトメガロウィルスのCMV/イントロンA前初期プロモーターとウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルとの間に置かれる。pV1J/hCEAoptを生成させるために、プラスミドpCR−hCEAoptをEcoRIにより37℃で1時間消化した。得られた2156bpのインサートを精製し、プラスミドpV1JnsBのEcoRI部位へとクローニングした(Montgomeryら、DNA Cell Biol 12(9):777−83(1993))。
【0124】
pV1J/hCEAを生成させるために、プラスミドpCI/hCEA(Songら、Regulation of T−helper−1 versus T−helper−2 activity and enhancement of tumour immunity by combined DNA−based vaccination and nonviral cytokine gene transfer.(DNAベースのワクチン接種及び非ウィルス性サイトカイン遺伝子輸送の組み合わせによるTヘルパー−1活性対Tヘルパー−2活性の調節及び腫瘍免疫付与の増強)Gene Therapy 7:481−492(2000))をEcoRIで消化した。得られた2109bpのインサートをプラスミドpV1JnsAのEcoRI部位へとクローニングした(Montgomeryら、前出)。
【0125】
pV1J/hCEA−LTB及びpV1J/hCEAopt−LTB:LTBのコドン最適化cDNAを、オリゴヌクレオチドのアセンブリーにより合成し(Geneart GmbH,Regensburg,Germany)、pCR−scriptベクターにおいてクローニングした(Stratagene,La Jolla,CA)。pV1J/hCEAopt−LTBoptを生成させるために、以下のPCRプライマーを使用するPCRによりLTBoptを増幅した。すなわち、LTBopt−5’XbaI(5’末端)5’−GCTCTAGAGCCCCCCAGAGCATCACCGAGCTGTGC−3’(配列番号3)、及びLTBopt−3’BglII(3’末端)5’−GCTCTAGAACCCCTCAGAACATCACCGATCTGTGCGCC−3’(配列番号4)である。次に、増幅した産物をプラスミドpV1J/hCEAoptのXbaI/BglII部位へと挿入した。
【0126】
pV1J/hCEA−LTA:aa18から259をコードするnt54から774に対応するLTAコード配列を、配列特異的プライマーLTA−S1 5’−TATTCTAGATAATGGCGACAAATTATACCG−3’(配列番号5)、及びLTA−A1 5’−TATGCGGCCGCTCATAATTCATCCCGAATTCTGTT−3’(配列番号6)を使用して、E.コリのゲノムDNAからPCRにより増幅した。増幅されたDNAを適切な制限酵素で消化し、プラスミドpV1J/hCEAに挿入した。
【0127】
pV1J−rhCEAopt−LTB:ヒト細胞における高レベルの発現のためにコドン最適化されたアカゲザルCEAcDNAの3’断片(nt1641から2026)を、pV1J/rhCEAoptからPCRにより増幅した。増幅したcDNAは前記GPIアンカーコード配列を欠失し、XbaI/BglII制限部位を有していた。この断片をpCR−平滑末端化−rhCEAoptのPstI部位へと挿入し、このように、中間体pCR−平滑末端化−rhCEAopt XbaI/BalIIを得た。rhCEAoptをBglII/SalI断片として抽出し、pV1J−nsBにおける同じ部位においてクローニングして、このように、pV1J−rhCEAoptXbaI/BglIIを得た。5’端及び3’端でXbaI部位及びBglII部位をそれぞれ付加するpCR−script−LTBoptから、LTBoptをPCRにより増幅し、pV1J−rhCEAopt XbaI/BglIIにおいてクローニングし、このようにpV1J−rhCEAopt−LTBoptを得た。
【0128】
pV1J/CEA−FrC、pV1J/CEA−DOM、pV1J/CEA−FcIgG、pV1J/CEA−LAMP、pV1J/CEA−HSP70及びpV1J/CEA−VSV−G:参照CEA融合タンパク質をコードするコンストラクトは全て、aa1から679(配列番号23、図28B)に対応するnt1から2037(配列番号22、図28A)のCEA cDNAを、以下に対応するcDNA断片と融合することにより生成させた。すなわち、破傷風トキソイドの断片C(CEA−FrC、配列番号24)、FrCのN末端ドメイン(CEA−DOM、配列番号21及び49)、免疫グロブリンG1の定常鎖の重鎖断片(CEA−FcIgG、配列番号25)、リソソーム会合膜タンパク質(CEA−LAMP、配列番号26)、ヒートショックタンパク質70(CEA−HSP70、配列番号27)又は水泡性口内炎ウィルス糖タンパク質(CEA−VSV−G、配列番号28)である。
【0129】
FrCコード配列及びDOMコード配列を、Riceら(J.Immunol.169:3908−13(2002))において記述されるように、pRep−TeT.CプラスミドからPCR増幅により得た。ヒトPBMCのトータルRNAからFcIgGを得た。p−FAST−VSV−Gから、及びプラスミドpY3111から、それぞれVSV−G及びHSP70を得た。遺伝子アセンブリーによりLAMP1を得た。以下のプライマーを使用して増幅を行った。すなわち、FrCセンス(5’−TATTCTAGATTCAACACCAATTCCATTTTCTTATTC−3’(配列番号29))、FrCアンチセンス(5’−GCGGCCGCTAGAATCATTTGTCCATCCTTCATC−3’(配列番号30))、DOMセンス(5’−TATTCTAGATTCAACACCAATTCCATTTTCTTATTC−3’(配列番号31))、DOMアンチセンス(5’−TTAGCGGCCGCTAGTTCTGTATCATATCGTAAAGGG−3’(配列番号32))、FcIgGセンス(5’−TCTAGATAAAACTCACACATGCCCA−3’(配列番号33))、FcIgGアンチセンス(5’−GCCGACTCATTTACCCGGAGACAGGGAG−3’(配列番号34))、LAMPセンス(5’−TCTAGATTTGATCCCCATTGCTGTGGGCGGTGCCCTG−3’(配列番号35))、LAMPアンチセンス(5’−GGCGTGACTCCTCTTCCTGCCAATGAGGTAGGCAATGAG−3’(配列番号36))、VSV−Gセンス(5’−ATATCTAGATTTCACCATAGTTTTTCCACACAACC−3’(配列番号37))、VSV−Gアンチセンス(5’−GCGGCCGCCTTCCTTCCAAGTCGGTTCATCTCTATG−3’(配列番号38))、HSP70センス(5’−GCTCTAGATATGGCTCGTGCGGTCGGGATCGACC−3’(配列番号39))及びHSP70アンチセンス(5’−GCCGCGGCCGCTCACTTGGCCTCCCGGCCGTCGTCG−3’(配列番号40))である。増幅されたDNAを、CEAコード配列生成プラスミドpV1J/CEA−FrC、pV1J/CEA−DOM、pV1J/CEA−FcIgG、pV1J/CEA−LAMP、pV1J/CEA−HSP70及びpV1J/CEA−VSV−Gの3’末端に導入した。
【0130】
pV1J/CEA−DOMopt及びpV1J/CEA−FcIgGopt:DOM及びFcIgGのコドン使用最適化されたcDNAをオリゴヌクレオチドアセンブリーにより合成し(Geneart GmbH、Regensburg、Germany)、pCR−scriptベクターにおいてクローニングした(Stratagene、La Jolla、CA)。pV1J/CEA−DOMoptを生成させるために、以下のプライマーを使用して、DOMoptをPCRにより増幅した。すなわち、Domoptセンス(5’−GTTATCTAGAAGCACCCCCATCCC−3’(配列番号41))、及びDomoptリバース(5’−TTAAGATCTCTAAGATCTGGTGTCGTATCTCAGGGG−3’(配列番号42))である。次に増幅産物をプラスミドpV1J/CEAoptのXbaI/BglII部位へと挿入した。pV1J/CEA−FcIgGoptを生成させるため、以下のプライマーを使用してFcIgGoptをPCRにより増幅した。すなわちFcIgGoptセンス(5’−TTATCTAGAAAGACCCACACCTGCCCCCCTTGC−3’(配列番号43))及びFcIgGoptリバース(5’−TATAGATCTTAGGGTACCTTACTTGCCGGGG−3’(配列番号44))であり、増幅産物をプラスミドpV1J/CEAoptのXbaI/BglII部位に挿入した。
【実施例3】
【0131】
アデノウィルスベクター
Ad5/hCEAopt:プラスミドpCR−hCEAoptをEcoRIで消化した。得られた2156bpインサートを精製し、polyMRK−Ad5シャトルプラスミドのEcoRI部位へとクローニングした。
【0132】
Ad5/CEA:プラスミドpDe1ta1sp1B/hCEAをSspI及びEcoRVで消化することにより、Ad5ベクターの生成のためのシャトルプラスミドpMRK−hCEAを得た。次に、プラスミド polyMRKからの、BglII/BamHIで制限酵素処理し、Klenow処理した、1272bpの産物を用いて、この9.52kb断片に対してライゲーションを行った。hCEA及びE1隣接Ad5領域に対する発現カセットを含有する、pMRK−hCEA及びpMRK−hCEAoptからのPacI/StuI断片を、BJ5183E.コリ細胞において、ClaIにより線状にしたプラスミドpAd5へ組み換えた。得られたプラスミドはそれぞれpAd5/hCEA及びpAd5−hCEAoptであった。両プラスミドをPacIで切断してAdITRを放出させ、PerC−6細胞においてトランスフェクションを行った。一連の継代培養によりAd5ベクター増幅を行った。MRKAd5/hCEA及びMRKAd5/hCEAoptを標準的なCsCl勾配精製により精製し、A105緩衝液(5mM Tris−Cl、pH8.0、1mM MgCl2、75mM NaCl、5% スクロース、0.005 Tween20)に対してよく透析した。
【0133】
Ad5/hCEAopt−LTB:polyMRK−Ad5シャトルプラスミドをSwaIで消化し、EcoRI、BglIIで制限酵素処理しKlenow処理したpV1J/hCEAopt−LTBから生じる2300bpDNA断片を用いて、線状化したベクターをライゲーションすることにより、プラスミドpMRK−hCEAopt−LTBを構築した。pMRK−hCEAopt−LTBを線状化し、Adゲノムへと上述のように組み換えた。
【0134】
Ad5/CEA−DOMopt及びAd5/CEA−FcIgGopt:polyMRK−Ad5シャトルプラスミドをSwaIで切断することにより、及び線状化したベクターに対して、pV1J/CEA−DOMoptから生じた2.9kbDNA断片を用いてライゲーションするか、又はEcoRI、BglIIで制限酵素処理し、Klenow処理したpV1J/CEA−FcIgG1optから生じた2700bp DNA断片を用いて、線状化したベクターに対してライゲーションすることにより、プラスミドpMRK−CEA−DOMopt及びpMRK−CEA−FcIgGoptを構築した。pMRK−CEA−FcIgGopt及びpMRK−CEA−DOMoptを線状化し、上述のようにAdゲノムへと組み換えた。
【実施例4】
【0135】
様々なCEA−LT融合体コンストラクトの比較発現効率
ウィルス性疾患に対する遺伝子ワクチン接種のためのコドン最適化cDNAの使用により、標的タンパク質の発現が増加することに少なくとも部分的に依存する、より大きな免疫反応が誘発されることが示された。各アミノ酸残基に対してヒトにおいて選好的な(ヒト化した)コドンを組み込むように設計されたCEA cDNAの免疫原特性をも、LTBコード配列が向上させるか否かを検証するため、プラスミドpV1J/hCEAopt−LTBも構築した。最後に、完全にコドン最適化されたCEA−LTB融合体も、LTBの合成コドン最適化cDNAを使用して、プラスミドpV1J/hCEA−LTBoptを生成させるために構築した。
【0136】
CEA免疫原性に対するLTB効果がプラスミドDNA免疫付与に制限されないかどうかを決定するために、CMV/イントロンAプロモーター及びBGHポリアデニル化シグナルに隣接するCEAopt−LTB融合体をコードするアデノウィルス5型ベクターも構築した。プラスミドベクター及びAdベクターの両者により発現されるCEA融合タンパク質の分子量は、CEAcDNAの全長型をコードする対応するベクター由来のものと差異はなかった(データ非表示。)。
【0137】
CEA−LTA融合体及びCEA−LTB融合体をコードするベクターの発現効率及び全長CEAのcDNAの発現効率を比較するために、HeLa細胞に対して、プラスミドpV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBを用いてトランスフェクションを行った。これらのコンストラクトのCEA発現を、CEAのwt cDNA、pV1J/hCEAを担う、対応するプラスミドのCEA発現と比較した。同様に、プラスミドpV1J/hCEAopt−LTB発現効率を、pV1J/hCEAoptの発現効率と比較した。トランスフェクションから2日後に、細胞抽出物中のCEAタンパク質の量を測定することによって、これらのコンストラクトの発現効率を調べた。
【0138】
プラスミドpV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBのトランスフェクションは、プラスミドpV1J/CEA(91μg/l)と比較した場合に、培養上清中で検出されるCEAタンパク質産生量は約2倍高かった(それぞれ183μg/l及び139μg/l、図8A)。同様に、コンストラクトpV1J/hCEAopt及びpV1J/hCEAopt−LTBの発現効率も同等であった(それぞれ113μg/l及び136μg/l、図8B)。最後に、Ad/hCEAopt及びAd/hCEAopt−LTBの発現効率も、異なるmoiでHeLa細胞に感染させることにより比較した。これら2つのベクターのCEA発現効率は、moi 1000において同等であったが(それぞれ1790μg/l及び1400μg/l、図9)、一方で、moi 100では、ベクターAd/hCEAopt−LTBが産生する量は、Ad/hCEAoptよりも、培養上清中で検出可能なCEAタンパク質量が約1/4と低かった(それぞれ390μg/l及び1500μg/l)。
【0139】
したがって、これらの結果から、前記CEA−LTA融合タンパク質及びCEA−LTB融合タンパク質をコードするcDNAが、全長CEAタンパク質をコードする対応するcDNAの効率と同程度の効率で発現されることが示される。さらに、これらのcDNAの同程度のCEA発現は、それらの送達のために利用される遺伝子送達媒体のタイプにより影響されない。
【実施例5】
【0140】
CEA発現の検出
プラスミドベクター及びAdベクターによるCEA発現をウェスタンブロット分析及びELISAにより調べた。Lipofectamine2000(Life Technologies)を使用して、プラスミドをHeLa細胞へトランスフェクションした。無血清培地において37℃で30分間、HeLa細胞のアデノウィルス感染を行い、次に新鮮な培地を添加した。48時間のインキュベーション後、全細胞溶解液を回収した。細胞溶解液中に存在するCEAタンパク質を、ウサギポリクローナル抗血清を使用するウェスタンブロット分析により検出した。このタンパク質は180から200kDaのバンドとして検出された。Direct Elisa CEA Kit(DBC−Diagnostics Biochem Canada Inc)を使用して、発現されるCEAの量を細胞溶解液中で検出した。
【0141】
トランスフェクションした細胞における融合タンパク質の発現を、CEA、VSV−G、FcIgG、破傷風毒素又はHSP70に特異的な抗体を用いたウェスタンブロット分析により調べた。HeLa細胞を前記示されるプラスミドを用いてトランスフェクションするか、又は選択されるAdベクターを感染させた。48時間のインキュベーション後、全細胞溶解液及び細胞上清を回収した。
【0142】
細胞溶解液又は上清におけるCEA発現も、Direct Elisa CEA Kit(DBC−Diagnostics Biochem Canada Inc)を使用して調べた。トランスフェクションされた細胞の溶解液中で融合ポリペプチドに特異的な抗体によりCEAタンパク質が検出されたが、その一方、標的抗原の発現は擬似トランスフェクションされた対照試料において観察されなかった(図18B)。この融合タンパク質の分子量は、CEAの分子量とは有意差がなかった。様々なCEAポリペプチド間において明らかに分子量の差がないのは、おそらく、腫瘍抗原の高度のグリコシル化によるものである。
【0143】
前記CEA融合体をコードするベクターの発現効率をpV1J/CEAと比較するために、様々なプラスミドをHeLa細胞にトランスフェクションし、トランスフェクション2日後に、これらのコンストラクトのCEA発現をELISAにより調べた。プラスミドpV1J/CEA−FrC、pV1J/CEA−DOM、pV1J/CEA−FcIgG、pV1J/CEA−LAMP、pV1J/CEA−VSV−G及びpV1J/CEA−HSP70は、pV1J/CEAと同程度の効率でCEAを発現した(図19A)。この融合タンパク質のほとんどは、細胞上清において分泌及び検出されたが、CEA−LAMPはトランスフェクション細胞から放出されず、これは、おそらく、リソソーム区画へのその再ルーティングによるものであった(図19B)。したがって、これらの結果から、CEA−FrC、CEA−DOM、CEA−VSV−G、CEA−FcIgG、CEA−HSP70、及びCEA−LAMPの融合タンパク質をコードするcDNAが、全長CEAタンパク質をコードするcDNAの発現効率と等価の効率で発現されることが示される。
【実施例6】
【0144】
ペプチド
凍結乾燥したhCEAペプチドをBio−Synthesisから購入し、DMSO中で40mg/mlになるように再懸濁した。11残基まで重複している15aa長のペプチドのプールを、記述されているように組み合わせた(Facciabeneら、J.Virol.78:8663−72(2004))。最終濃度は以下のとおりであった。すなわち、プールA=1.2mg/ml、プールB=0.89mg/ml、プールC=0.89mg/ml、プールD=0.8mg/mlであった。ペプチドを−80℃で保存した。DOMに対する免疫反応を、破傷風トキソイドペプチドp30(F947NNFTVSFWLRVPKVSASHLE967(配列番号54))を使用して測定した(Riceら、J.Immunol.167:1558−65(2001))。
【実施例7】
【0145】
マウス免疫付与及び腫瘍負荷試験
動物実験は全て、IRBM Institutional animal care and use committee(動物取り扱い及び使用委員会)により承認された。雌のC57BL/6マウス(H−2b)をCharles River(Lecco、Italy)から購入した。HLA−A2.1マウス(HHD)は、F.Lemmonier(Institute Pasteur、Paris、France)の厚意により提供された。C57BL/DR4マウスをTaconic(Germantown、NY)から購入した。CEA.tgマウス(H−2b)は、J.Primus(Vanderbilt University)より提供され、標準的な条件(Clarkeら、Cancer Res.58:1469−77(1988))で維持した。プラスミドDNA 50μgをマウス大腿四頭筋に50μl体積で既に記述されているようにして電気注入した(Rizzutoら、Proc.Natl.Acd.Sci.U.S.A.96(11):6417−22(1999))。マウス大腿四頭筋において50μl体積でAd注入を遂行した。液性及び細胞性免疫反応を指示された時間に分析した。
【0146】
C57BL/6マウスを大腿四頭筋における2回のDNA注入に供した後、既に記述されているような電気刺激を行った(Rizzutoら、前出)。3週間間隔で注射を行った。CEAトランスジェニックマウスを、プラスミドDNA(50μg/注入)の1週ごとに5回の注入、Adベクター(1x109個ウィルス粒子/注入)の2回の注入又は1週ごとに5回の注入とそれに続くAdによる追加免疫のいずれかに供した。最後の注入から2週間後、液性及び細胞性免疫反応を分析した。マウスにたいして、また、5x105個のMC38−CEA細胞の皮下(s.c.)注射により負荷試験を行った(Clarkeら、前出)。1週間間隔でマウスの腫瘍成長を調べた。
【実施例8】
【0147】
抗体検出及びタイター
抗体タイター決定のための血清を後眼窩採血により得た。ELISAプレート(Nunc maxisorp)を、コーティング緩衝液(50mM NaHCO3、pH9.4)で希釈した、高度に精製されたCEAタンパク質(Fitzgerald)100ng/ウェルでコーティングし、4℃で一晩、既に記述されているようにインキュベーションした(Facciabeneら、前出)。次に、5%BSAを含有するPBSを使用して37℃で1時間プレートをブロッキングした。マウス血清を5%BSA含有のPBSで希釈した(抗体陽転率を評価するために、1/50希釈、タイターを評価するために、1:10〜1:31、2150希釈)。免疫前血清をバックグラウンドとして使用した。希釈した血清を4℃で一晩インキュベーションした。1% BSA、0.05% Tween20含有のPBSで洗浄した。二次抗体(ヤギ抗マウス、IgGペルオキシダーゼ、Sigma)を5% BSA含有のPBSで1/2000に希釈し、室温にて2時間から3時間、振盪器上でインキュベーションした。洗浄後、100μl/ウェルのTMB基質(Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL)を用いてプレートの発色を行った。1M H2SO4溶液 25μl/ウェルを用いて反応を停止させ、450nm/620nmでプレートの読み取りを行った。同一希釈での自己免疫前血清の吸光よりも、少なくとも3倍を超える吸光を生じる血清の反復限界希釈(reciprocal limiting dilution)として抗CEA血清タイターを算出した。
【実施例9】
【0148】
IFN−γELISPOTアッセイ
既に記述されているように、マウス脾臓細胞及びCEA特異的ペプチドを使用してアッセイを行った(Facciabeneら、前出)。滅菌済みPBS中で2.5μg/mlに希釈した、精製ラット抗マウスIFN−γ(IgG1、クローンR4−6A2、Pharmingen)100μl/ウェルを使用して、96穴 MAIPプレート(Millipore Corp.,Billerica,MA)をコーティングした。PBSで洗浄後、R10培地 200μl/ウェルを用いて37℃にて2時間、プレートのブロッキングを行った。
【0149】
滅菌状態で、安楽死したマウスから脾臓を摘出し、金属格子上に擦り付けて脾臓を破壊して脾臓細胞を得た。0.1xPBS 1mlを前記細胞ペレットに添加し、約15秒間ボルテックスすることにより浸透圧溶解させ、赤血球細胞を除去した。次に、2xPBS 1mlを添加し、1xPBSでその体積を4mlにした。1200rpm、室温で10分間、細胞を遠心分離することにより、ペレットにして、このペレットをR10培地 1mlで再懸濁した。Turks染色を用いて生細胞を計数した。
【0150】
脾臓細胞をウェルあたり5x105個の細胞及び2.5x105個の細胞で、デュプリケートで播種し、37℃で20時間、各ペプチドの懸濁液 1μg/mlとともにインキュベーションした。コンカナバリンA(ConA)を各マウスについてのポジティブ内部対照として5μg/mlで使用した。0.05% Tween20含有のPBSで洗浄後、アッセイ緩衝液中で1:2500に希釈したビオチン抱合型ラット抗マウスIFNγ(RatIgG1、クローンXMG1.2、PharMingen) 50μl/ウェルとともに、4℃で一晩、プレートをインキュベーションした。よく洗浄した後、スポットの発色がはっきりと見えるまで、50μl/ウェルのNBT/B−CIP(Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL)を添加することによりプレートを発色させた。蒸留水でプレートを完全に洗浄することにより、反応を停止させた。プレートを風乾させ、次にスポットを自動ELISPOT読み取り装置を使用して計数した。
【実施例10】
【0151】
細胞内サイトカイン染色
10% FCS含有RPMI 1ml中の100万から200万個のマウス脾臓細胞又はPBMCを、ペプチドのプール(各ペプチド 5から6μg/mlの最終濃度)及びブレフェルジンA(1μg/ml;BD Pharmingen カタログ番号555028/2300kk)とともに、37℃及び5%CO2にて12時間から16時間、既に記述されているようにインキュベーションした(Facciabeneら、前出)。次に、FACS緩衝液(1% FBS、0.01% NaN3含有PBS)で細胞を洗浄し、精製抗マウスCD16/CD32 Fcブロック(BD Pharmingen カタログ番号553142)とともに4℃で15分間インキュベーションした。次に細胞を洗浄し、表面抗体すなわちCD4−PE抱合型抗マウス抗体(BD Pharmingen、カタログ番号553049)、PercP CD8抱合型抗マウス抗体(BD Pharmingen、カタログ番号553036)及びAPC抱合型抗マウスCD3e抗体(BD Pharmingen、カタログ番号553066)を用いて、暗所にて室温で30分間染色した。洗浄後、細胞を固定し、Cytofix−Cytoperm Solution(BD Pharmingen、カタログ番号555028/2300kk)を用いて、暗所にて4℃で20分間、浸透を行った。Perm Wash Solution(BD Pharmingen、カタログ番号555028/2300kk)で洗浄した後、IFNγ−FITC抗体(BD Pharmingen)とともに細胞をインキュベーションした。次に、細胞を洗浄し、PBS中1%ホルムアルデヒドで固定し、FACS−CaliburフローサイトメーターでCellQuestソフトウェア(Becton Dickson,San Jose,CA)を使用して分析した。
【実施例11】
【0152】
CEA−LT融合体の免疫原性
CEA−LTA融合体及びCEA−LTB融合体をコードするプラスミドにより誘導される免疫反応を検討するために、1群9匹のC57BL/6マウスの群を、プラスミドpV1J/hCEA、pV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTB 各50μgの2回のi.m.注射により免疫付与した。さらに、CEA−LTA融合タンパク質及びCEA−LTB融合タンパク質の共発現が、CEAタンパク質の免疫原性に対して相加効果を有し得るか否かを検討するために、プラスミドpV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTB 各25μgを同時注射することにより、1群のマウスに免疫付与した。3週間の間隔で免疫付与を実施した。この特定の手段と関連する形質導入及び免疫原性の増強を考慮して、前記プラスミドDNAをマウス骨格筋に通常どおり電気注入した(Zucchelliら、J.Virol.74:11598−11607(2000);Wideraら、J.Immunol.164:4635−4640(2000))。
【0153】
最後の注射の2週間後に、異なるプラスミドにより誘発される細胞性免疫をELISPOTアッセイにより測定した。刺激された脾臓細胞からの抗原特異的IFNγ分泌を、11aaまで重複し全CEA糖タンパク質を包含する15マーのペプチドの4つのプールを使用して測定した。プールAはaa1から147を、プールBはaa137から237を、プールCはaa317から507を、プールDはaa497から703をカバーする。ネガティブ対照として、CEAペプチドを可溶化するのに利用されるのと同濃度のDMSOによる脾臓細胞の刺激に対するサイトカイン産生も測定した。
【0154】
前記ペプチドプールAにより検出されるSFC値が全コンストラクトについてバックグラウンドをわずかに上回っていたため、C57BL/6マウスにおけるDNAワクチン接種により誘発される免疫反応は、タンパク質のC末領域に主として偏向していた(図10)。pV1J/hCEA−LTBワクチン接種法は、ペプチドプールB、C及びDで検出されるSFCの幾何学的平均値がより高いことによって示されるように(pV1J/hCEA−LTB:それぞれ482、1436及び2054 SFC/106個の脾臓細胞;pV1J/hCEA:それぞれ45、350及び264 SFC/106個の脾臓細胞)、pV1J/hCEAにより誘発されるものよりも優れていた。同様に、プラスミドpV1J/hCEA−LTAも、pV1J/hCEAと比較した際、前記CEA特異的免疫反応に対する増強効果を有していた。しかし、免疫反応の増強は、ペプチドプールC及びD(それぞれ925及び528 SFC/106個の脾臓細胞)でのみ観察されたのに対し、ペプチドプールBで測定される免疫反応は低かった(15 SFC/106個脾臓細胞)。さらに、プラスミドpV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBの同時注射は、pV1J/hCEA−LTBで処理した群おいて測定される免疫反応と比較すると、CEAに対する免疫反応への有意な相乗効果を有さなかったが、むしろ、その結果、ペプチドプールB及びD(それぞれ210及び528 SFC/106個脾臓細胞)で検出されるSFC値が低下した。
【0155】
異なるCEAコンストラクトによるワクチン接種に際して誘発されるT細胞特異性を定義するために、ペプチドプールDを使用して、注射したマウス由来のプールした脾臓細胞に対して、IFNγ細胞内染色を行った。CD8+特異的反応は、pV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEAで検出されたもの(それぞれ0.14%及び0.8%、図10B)よりも、pV1J/hCEA−LTB(4.5%)を使用して注射されたマウスにおいて優れていることが検出された。対照的に、pV1J/CEA−LTAは、pV1J/hCEA−LTB及びpV1J/hCEAで観察されるもの(それぞれ0.55%及び0.58%)よりも大きい、強いCD4+特異的反応(1.21%)を誘発した。
【0156】
抗原特異的抗体を測定することにより、CEAに対する液性免疫反応の誘導を検討した(図11)。プラスミドpV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBの両者は、pV1J/hCEAよりも大きな抗体反応を誘発し、このことから、CEA特異的免疫反応に対してLTサブユニットにより発揮されるアジュバント効果が確かめられた。したがって、これらのデータから、CEAコード配列のLTAcDNA又はLTBcDNAへの融合の結果、CEA特異的免疫反応が増強されることが示される。しかし、LTBがCD8+T細胞の一般的な誘導による免疫反応に対してより大きな増強効果を有すると思われるのに対し、LTAは有力なCD4+反応を誘発する。
【実施例12】
【0157】
異なるマウス系統におけるCEA−LTB融合体の免疫原性
CEA特異的免疫反応に及ぼすLTサブユニットの増強効果が単一のマウス遺伝的背景に制限されないかどうかを調べるために、BALB/cマウス、C57/DR4マウス及びHLA−A2.1(HHD)マウスにおいてDNAベースの免疫付与を行った。BALB/cマウスはその免疫能力を考慮して選択したが、これは、様々な種類の免疫付与法に非常に反応性のあるマウス系統である。HHDトランスジェニックマウスは、ヒトMHCクラスI遺伝子を発現する。同様に、C57/DR4トランスジェニックマウスはヒトMHCクラスII遺伝子を有する。したがって、これら2種類のトランスジェニックマウス系統は、ヒトMHCクラスI及びIIハプロタイプとの関連で、CEA−LT融合体の免疫反応性に関する情報を提供し得る。
【0158】
最初に、BALB/cマウスにおけるCEA特異的免疫反応をELISPOTアッセイにより評価した。プラスミドpV1J/hCEA−LTBによる免疫付与における抗原特異的免疫反応の増強を、ペプチドプールA、B、C、Dにより検出した(pV1J/hCEA−LTB:それぞれ166、1353、796、899 SFC/106個脾臓細胞;pV1J/hCEA:それぞれ57、312、327、318 SFC/106個脾臓細胞、図12)。C57BL/6マウスで観察されるように、CEAタンパク質のN末領域は、本腫瘍抗原の他のセクションと比較して最小の免疫原性であると思われた。pV1J/hCEA−LTA免疫付与はまた、pV1J/hCEAと比較して、抗原特異的免疫反応を増強させた。この免疫反応の増強は、ペプチドプールB、C及びD(それぞれ936、727及び650 SFC/106個脾臓細胞)で検出された。さらに、2種類のプラスミド pV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBの同時注射により、有意な相加作用が生じたが、これは、ペプチドプールC及びD(それぞれ1783及び2141 SFC/106個脾臓細胞)を使用して主として検出された。
【0159】
C57/DR4マウスにおけるCEA特異的免疫反応は、pV1J/hCEA−LTBによる免疫付与により著しく増強され、これは、ペプチドプールDでのみ検出された(図13)。注射したマウスからプールしたPBMCに対して行ったIFNγ細胞内染色から、CEAに対するCD8+反応が、pV1J/hCEA−LTBにより免疫付与したマウスにおいて最も高く(15.32%)、一方、pV1J/hCEAで処理した群において非常に弱い(0.5%)ことが示された。pV1J/CEA−LTA免疫付与による抗原特異的免疫反応増強は中程度にとどまり(0.43%)、CEA−LTB融合体をコードするコンストラクトと同時注射した場合、CEA免疫原性をさらに増強することはなかった(13.44%)。興味深いことに、有意なCD4+T細胞反応は、この免疫付与マウスにおいて検出されなかった(データ非表示。)。
【0160】
プールしたPBMCに対するIFNγ細胞内染色を行うことにより、様々なCEAコードプラスミドにより誘発される免疫反応をHHDマウスにおいて評価した。免疫反応はペプチドプールB及びDでのみ検出され、図14に示されるように、pV1J/hCEA−LTBによる免疫付与の結果、標的抗原に対するCD8+反応が10倍を超えて増強された。それに対して、pV1J/hCEA−LTAを単独で使用しても、又はpV1J/hCEA−LTBと同時注射しても、免疫反応の増強は検出されなかった。CD4+T細胞反応はこの免疫付与マウスにおいて検出されなかった(データ非表示。)。
【0161】
まとめると、これらのデータから、CEAに対するLTBコード配列の融合の結果、抗原特異的免疫反応が顕著に増強されることが確認される。興味深いことに、この反応は主としてCD8+特異的であり、様々な系統のマウスにおいて観察でき、したがって、LTサブユニットにより発揮される増強効果は遺伝子型により制限されないことが示される。
【実施例13】
【0162】
トランスジェニックマウスにおけるヒトCEAに対する寛容性
hCEA−LTB融合体の免疫原特性の増強がヒトCEAに対する寛容性をより効果的に打破するか否かを調べるために、hCEA又はCEA−LTBのいずれかの、全コドンが最適化されたcDNAを担うベクターを用いてhCEAトランスジェニックマウスに免疫付与した。これらのトランスジェニックマウスは全ヒトCEA遺伝子及び隣接配列を有し、腸において、主として盲腸及び結腸において、hCEAタンパク質を発現する。したがって、このマウス系統は、この腫瘍自己抗原に対して向けられた免疫療法計画の安全性及び効率性を研究するための有用なモデルである(Clarkeら、Cancer Research 58:1469−1477(1998))。
【0163】
pV1J/hCEA−LTBoptによる免疫付与の結果、注射を行ったマウスのPBMCに対するIFNγ細胞内染色により測定されるCEA特異的免疫反応が有意に増強された(図15A)。T細胞反応の増強がペプチドプールDで検出され、これは、顕著にCD8+であった。さらに、pV1J/hCEAopt処理群と比較して、Abタイターの幾何学的平均値が47倍増強することにより示されるように、CEA特異的液性反応もまた、CEA−LTB処理マウスにおいて増強された(図15B)。
【0164】
CEA特異的免疫反応に対するLTBにより発揮される増強効果がまた、プラスミドDNA以外のベクターで免疫付与した際に観察され得るか否かを調べるために、1群12匹のCEAtgマウスの群に、Ad5/hCEAopt−LTB及びAd/hCEAoptを、1x107、1x108及び1x109vpの投与量で免疫付与した。2週間あけてマウスに2回の注射を行い、最後の注射から2週間後に、PBMCにおけるIFNγ細胞内染色により免疫反応を測定した。ペプチドプールDを使用して免疫反応を評価した。CEAに対する有意な免疫反応が1x108vp投与量で検出できた一方で、標的抗原に対する寛容性を打破するために、Ad/hCEAopt 1x109vpが必要であったため、Ad/hCEAopt−LTBはAd/hCEAoptよりも免疫原性が高かった(図16)。CD4+反応は、この免疫付与マウスのいずれにおいても検出できなかった(データ非表示)。
【0165】
これらのデータから、この自己抗原に対する寛容性が、CEA−LTB融合体の免疫原特性の増強により、より効率的に打破され得ることが確認される。さらに、CEAの免疫原特性に対するLTBの増強効果はまた、CEA−LTB融合体の全コドン最適化cDNAを担うプラスミドの注射においても観察される。最後に、これらの結果から、CEA−LTBの免疫原性の増強がプラスミドDNA免疫付与に制限されないことが示される。
【実施例14】
【0166】
CEA−LTB融合体で免疫付与されたCEAトランスジェニックマウスにおける腫瘍成長動態
CEA−LTB融合体の免疫原性の増強によっても、腫瘍進行を抑制できる治療効果増強が起こるか否かを解明することが適切であると考えられた。この目的のため、10匹のCEA−tgマウスの群に、プラスミドpV1J/hCEAopt又はpV1J/CEAopt−LTBを1週ごとに5回注射し、次いで、対応するAdベクター 1x1010vpによる最終追加免疫を行った。プラスミドDNA初回刺激−Ad追加免疫様式を利用することにより、ウィルス抗原及びバクテリア抗原に対して高レベルの細胞免疫を誘導できることを示す最新の報告を考慮して、同じ免疫付与プロトコールを本研究において採用した。最後の免疫付与から2週間後、5x105個のMC38−CEA腫瘍細胞を皮下注射することでCEAtgマウスに負荷試験を行った。この同質遺伝子的細胞株は、化学的に誘導される結腸癌に由来し、CEAを発現する。擬似処理マウスにおける腫瘍の発達を負荷試験の22日後までに検出し、その際全処理マウスにおいて腫瘍が発生していた(図17A)。さらに、負荷試験から34日後までに、かなりの体積に達する腫瘍塊の平均的サイズが同時に増加した。pV1J/hCEAoptをコードするベクターでワクチン接種されたマウスは、負荷試験後34日目で10匹の処理マウスのうち2匹が腫瘍のないままであったため、腫瘍の発達に対してある程度の抵抗性を示した。この群の腫瘍の平均的サイズは、擬似処理されたマウスにおいて観察されるものよりも小さかった。CEAopt−LTB融合体をコードするベクターによる免疫付与の結果、腫瘍発達に対する有意な防御効果が得られた。10匹の処理マウスのうちの5匹が負荷試験後34日目で腫瘍のないままであり、この群における腫瘍塊の平均的サイズは、前記擬似マウス又はpV1J/hCEAopt処理マウスにおいて観察されるものよりも有意に小さかった。したがって、これらの結果から、前記CEA−LTB融合体をコードするベクターに付随するCEA特異的免疫反応の増強は、有意な抗腫瘍効果と相関し、その結果、腫瘍成長がある程度防御され、腫瘍塊の成長動態が低下することが示される。
【実施例15】
【0167】
CEA−DOM融合体及びCEA−FcIgG融合体は、CEAタンパク質の免疫原性を増強する
CEA−FRC、CEA−DOM、CEA−VSV−G、CEA−FcIgG、CEA−HSP70及びCEA−LAMPの融合体をコードするプラスミドにより誘導される免疫反応を検討するために、1群9匹のC57BL/6マウスの群に、各プラスミド 50μg又は5μgの2回のi.m.注射を行い、免疫付与した。この免疫付与は3週間の間隔をあけて行った。エレクトロポレーションを用いて報告される形質導入及び免疫原性の増強を考慮して(Zucchelliら、J.Virology 74:11598(2000)、Wideraら、J.Immunol.164:4635(2000))、プラスミドDNAをマウス骨格筋に対して通常通りエレクトロポレーションした(DNA−EP)。
【0168】
最後の注射から2週間後に、様々なプラスミドにより誘発される免疫反応をIFNγELISPOTアッセイにより測定した。刺激した脾臓細胞からの抗原特異的IFNγ分泌を、11aaまで重複し、CEAのC末端領域を包含する15マーのペプチドのプール(プールD、aa497〜703)を使用して測定した(Zucchelliら、前出)。C57BL/6マウスにおけるCEAに対する細胞性免疫反応がこのタンパク質のC末領域に向けて主に偏向するため(Zucceliら、前出)、ペプチドプールDを使用してCEAに対する免疫反応の分析を行った。ネガティブ対照として、CEAペプチドを可溶化するのに利用されるのと同濃度のDMSOによる脾臓細胞の刺激に対するサイトカイン産生も測定した。
【0169】
pV1J/CEA−DOM又はpV1J/CEA−Fcの注射により、pV1J/CEAと比較して、CEAに対するより大きな免疫反応が誘発された。これら2つの融合タンパク質がより大きな免疫原性を有する結果、106個の脾臓細胞あたりのスポット形成細胞(SFC)の幾何学的平均値がより高くなった(図20A)。プラスミドpV1J/CEA−DOM及びpV1J/CEA−FcIgGは同様の免疫原特性を有し、プラスミドDNA 5μg又は50μgを注射した際に、CEA特異的免疫反応が3倍から4倍増強された(それぞれpV1J/CEA−DOM:590及び1098 SFC/106個脾臓細胞、pV1J/CEA−FcIgG:510及び1160、pV1J/CEA:146及び264 SFC/106個脾臓細胞)。pV1J/CEA−FrC、pV1J/CEA−LAMP、pV1J/CEA−HSP70及びpV1J/CEAにより誘発されるSFC値の間には有意差は示されなかった。CEA特異的免疫反応はネガティブ対照試料において検出されなかった。
【0170】
CEAに対する液性反応に及ぼすCEA融合体の効果を調べるために、精製CEAタンパク質を基質として用いたELISAにおいて、免疫付与マウスからの血清を試験した(図20B)。CEA特異的抗体タイターの向上は、プラスミドpV1J/CEA−DOM、pV1J/CEA−FcIgG、pV1J/CEA−FrC及びpV1J/CEA−HSP70 50μgを注射した際に観察された。対照的に、pV1J/CEA−LAMP及びpV1J/CEA−VSV−Gの注射の結果、pV1J/CEAによる免疫付与に際して観察されるのと同程度のCEA特異的抗体反応が起こった。まとめると、これらのデータから、DOM又はFcIgG cDNAに対するCEAコード配列の融合の結果、CEA特異的細胞性免疫及び液性免疫反応が増強されることが示される。
【実施例16】
【0171】
CEA−DOM融合体及びCEA−FcIgG融合体は、CEAトランスジェニックマウスにおける標的抗原に対する寛容性を打破する。
【0172】
前記標的抗原に対する寛容性は、癌ワクチンが免疫反応を誘発し、効率的な抗腫瘍効果を生じるために克服しなければならないハードルの1つである。したがって、CEA−DOM融合体及びCEA−FcIgG融合体の免疫原特性の増強により、CEAタンパク質よりも効率的にCEAに対する寛容性が打破されるか否かを調べることが適切であると考えられた。この目的のため、CEAトランスジェニックマウスを利用して比較免疫付与実験を行った。これらのトランスジェニックマウスは全長ヒトCEA遺伝子及び隣接配列を有し、CEAタンパク質を腸において、主に盲腸及び結腸において発現する。このマウス系統は、この腫瘍自己抗原に対して向けられる免疫療法計画の安全性及び効率性を研究するための有用なモデルである(Clarkeら、前出)。
【0173】
CEAの、コドン使用最適化されたcDNA(cDNAopt)を担うベクターの免疫原特性の増強を考慮して、CEA−DOM融合体のcDNAopt(CEA−DOMopt)又はCEA−FcIgG融合体のcDNAopt(CEA−FcIgGopt)を担わせるために、プラスミドベクター及びアデノウィルスベクターの両者を操作した。CEAについて観察されるように、CEA−DOMopt cDNA及びCEA−FcIgGopt cDNAは、対応する野生型cDNAよりも高い効率で発現され、これによりCEAに対する免疫反応が増強されることが示された(データ非表示)。
【0174】
単独又は組み合わせのいずれかで投与されるプラスミドDNA及びAdベクターを使用した一連の免疫付与実験により、これら2つの融合タンパク質の免疫原性をCEAの免疫原性と比較した。CEAトランスジェニックマウスのコホートを以下の様々な実験計画で免疫付与した。すなわち(i)プラスミドDNA 50μgを1週間間隔で5回注射(DNA/DNA)、(ii)1x107から1x109個の範囲のウィルス粒子(vp)の投与量で、アデノウィルスを隔週(biweekly)で2回注射(Ad/Ad)、又は(iii)1週ごとに5回のプラスミドDNAの注射後に、アデノウィルス 1x109vpの最後の注射(DNA/Ad)、である。プールDペプチドを用いた各免疫付与マウスのPBMC又は脾臓細胞に対する細胞内IFNγ染色により、免疫反応を分析した。さらに、CEA特異的抗体の誘導をELISAにより測定した。
【0175】
CEAトランスジェニックマウスのDNA/DNA免疫付与により、CEA−DOMoptベクター及びCEA−FcIgGoptベクターが、前記標的抗原に対する測定可能なCD8+T細胞反応を与えることが明らかとなった(図21A)。したがって、両コンストラクトは、これらのマウスにおいてCEAに対する寛容性を打破することができた。CEA−DOM融合タンパク質及びCEA−FcIgG融合タンパク質により誘発される抗原特異的反応は、IFNγ細胞内染色の平均値によって示されるものと同程度だった(それぞれ0.22%及び0.34%)。それにもかかわらず、これら2つのコンストラクトにより誘発される免疫反応は、pV1J/CEAoptによるワクチン接種において観察されるもの(0.07%)よりも大きかった。同様に、抗CEA液性反応も本融合タンパク質によるワクチン接種においてより大きかった。CEA特異的抗体タイターは、pV1J/CEA−DOMopt及びpV1J/CEA−FcIgGoptにより免疫付与したマウス全てにおいて検出され、抗体タイターの平均はそれぞれ56,136及び24,725であった。一方、pV1J/CEAopt免疫付与群は、CEA特異的抗体の少なくとも77倍低い(1/77)平均タイター(318)を示した(図21B)。
【0176】
Ad/Adワクチン接種法により処理したCEAトランスジェニックマウスはまた、Ad−CEAoptによるワクチン接種よりも、CEA−DOMoptAdベクター及びCEA−FcIgGoptAdベクターによるワクチン接種に際して、CEAに対する寛容性を打破する上でより優れた効率を示した。CEA特異的CD8+T細胞反応は、Ad−CEA−DOM又はAd−CEA−FcIgGの107vpという少量の注射においてワクチン接種を受けたマウスで観察することができ、CEA特異的反応は、前記2つの抗原の間で同程度であり、109vpの注射に際して増強された(それぞれ1.55%及び1.15%)。一方、有意なCD8+T細胞前駆体頻度を誘発するためには、Ad−CEAopt 109vpが必要であった(2.1%)(図21C)。CEA特異的抗体は、Ad−CEA−DOMopt及びAd−CEA−FcIgGoptで免疫付与されたマウス全てにおいて検出された。抗体タイターの平均値はそれぞれ19,600及び33,000であった。Ad−CEAoptの注射の結果、処理されたマウスのうちのわずか2匹においてのみ測定可能なCEA特異的反応が生じ、抗体タイターは有意に低かった(Zucchelliら、前出)(図21D)。興味深いことに、DNA/Ad免疫付与により、CEAベクター、CEA−DOMベクター及びCEA−FcIgGベクターにより誘発されるCD8+T細胞前駆体頻度における差が低下することが示された(図22A)。しかし、CEA特異的抗体タイターの平均値は、CEAを発現するベクターよりも、CEA−DOM及びCEA−FcIgGを発現するベクターによるワクチン接種に際して大きかった(それぞれ412、31,200、26,120)(図22B)。
【0177】
興味深いことに、前記抗原にもかかわらず、CEAに対する明らかなCD4+細胞Th1反応は、この3種類のワクチン接種法のいずれにおいても検出されなかった(データ非表示)。しかしながら、DOM配列内に存在するヘルパーエピトープp30(Riceら、J.Immunol.167:1558−65(2001))に対する有意なCD4+細胞Th1反応は、DNA/DNAワクチン接種後に検出された(0.4%)(図23)。
【0178】
したがって、これらのデータから、CEA−DOM融合タンパク質及びCEA−FcIgG融合タンパク質が、CEAタンパク質よりも優れた効率でトランスジェニックマウスにおいてCEAに対する寛容性を打破できることが示される。これらの融合タンパク質の免疫原特性の増強は、DNA又はAdベクターによるワクチン接種に際して観察できる。しかし、CEAに対するCD8+T細胞の誘発におけるこの2つの融合タンパク質のより優れた能力は、DNA/Adワクチン接種療法によって少なくともある程度低下し得る。
【実施例17】
【0179】
T細胞枯渇実験
免疫付与動物において、記述されているように(Perriconeら、J.Immunother.27(4):273−81(2004);Yoonら、J.Ethnopharmacol.93(2−3):247−53(2004))、抗CD4(GK1.5ハイブリドーマ)、抗CD8(Lyt2.2ハイブリドーマ)又は抗AsialoGM1(Wako Chemicals,Richmond,VA)のi.p.注射により、CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞の枯渇処理を行った。抗体(1回当たり100μl(腹水で希釈したもの。))を腫瘍負荷に対して7日目に注射し、次に5x105個のMC38−CEA細胞の注射から3週間にわたり、毎週注射した。枯渇条件は、フィコエリトリン抱合型MAb 抗CD4、抗CD8及び抗NK(PharMingen,San Diego,CA)を使用して末梢血のフローサイトメトリ分析により確認し、関連細胞サブセットの99%が除去されたのに対し、全ての他のサブセットは通常レベル内にとどまった。
【実施例18】
【0180】
CEA−DOM免疫付与は、CEAトランスジェニックマウスにおいて抗腫瘍効果を発揮する
発明者らは、次に、CEA−DOM融合体又はCEA−FcIgG融合体の免疫原性の増強によっても、腫瘍進行を防御できるように治療効果が増強されるか否かを確認した。この目的のために、10匹のCEAトランスジェニックマウスの群に対して、CEA−DOMベクター、CEA−FcIgGベクター又はCEAベクターによる、DNA/DNA、Ad/Ad又はDNA/Adの免疫付与法を行った。最後の免疫付与から2週間後、このCEAトランスジェニックマウスに対して、CEAを発現する同質遺伝子的な腫瘍細胞系である5x105個のMC38−CEA細胞の皮下注射により、負荷試験を行った(Clarkeら、前出)。DNA/DNA又はAd/Adの様式による免疫付与の結果、注射したベクターにより発現されるタンパク質にかかわらず、有意な抗腫瘍効果は全く得られなかった(図24)。一方、CEA−DOM融合タンパク質をコードするベクターによるDNA−EP/Ad免疫付与の結果、処理マウス10匹のうちの7匹で、負荷試験後の34日目まで腫瘍がないという、有意な抗腫瘍効果が得られた。したがって、これらの結果から、CEA−DOMopt cDNAに付随するCEA特異的免疫反応の増強及びDNA/Adワクチン接種法が、CEAトランスジェニックマウスにおける有意な抗腫瘍効果と相関することが示される。
【実施例19】
【0181】
CEA−DOM抗腫瘍効果は、CD4+T細胞、CD8+T細胞及びNK細胞に依存する。
【0182】
CEA−DOM融合体をコードするベクターによるDNA−EP及びAdの免疫付与において観察される抗腫瘍効果に関与するエフェクター細胞の特徴を調べた。DNA/Ad免疫付与後、腫瘍負荷試験前に、マウスに対して、MAbによりCD4+T細胞、CD8+T細胞又はNK細胞の枯渇処理を行った。関連するNK細胞サブセット及びT細胞サブセットが継続して除去されていることを確実にするために、腫瘍負荷試験の経過の間に抗体を与えた。3種類の細胞タイプ全ての除去を、細胞表面マーカーに特異的な抗体を用いたフローサイトメトリ分析により調べた(データ非表示)。CD4+T細胞、CD8+T細胞又はNK細胞の除去は、免疫付与マウスの生存に負の効果があり、結果として、ワクチン接種した群と比較すると、腫瘍のないマウス数が著しく減少した(図25)。したがって、これらのデータから、NK細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞が、CEA−DOMワクチン接種により発揮される抗腫瘍効果において重要な役割を果たすことが示される。
【実施例20】
【0183】
統計分析
示される場合、結果は対数格付け又は両側のStudentのt検定により分析した。0.05未満のp値を有意とした。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】図1は、本発明で開発されたベクターの略図を示す。CEA−LTA及びCEA−LTB融合体をコードする本プラスミド及びAdベクターの基本的な性質が示される。Ad5ゲノムの逆方向末端反復(ITR)も示す。
【図2A−1】図2は、代表的hCEA−LTA融合体の、ヌクレオチド(配列番号7、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号8、パネルB)を示す。LTAヌクレオチド配列は太字で示す。
【図2A−2】図2は、代表的hCEA−LTA融合体の、ヌクレオチド(配列番号7、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号8、パネルB)を示す。LTAヌクレオチド配列は太字で示す。
【図2B】図2は、代表的hCEA−LTA融合体の、ヌクレオチド(配列番号7、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号8、パネルB)を示す。LTAヌクレオチド配列は太字で示す。
【図3A−1】図3は、代表的hCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド(配列番号9、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号10、パネルB)を示す。LTBヌクレオチド配列は太字で示す。
【図3A−2】図3は、代表的hCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド(配列番号9、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号10、パネルB)を示す。LTBヌクレオチド配列は太字で示す。
【図3B】図3は、代表的hCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド(配列番号9、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号10、パネルB)を示す。LTBヌクレオチド配列は太字で示す。
【図4A】図4は、代表的hCEAopt−LTB融合体の、ヌクレオチド配列(配列番号11)を示す。LTBヌクレオチド配列は太字で示す。
【図4B】図4は、代表的hCEAopt−LTB融合体の、ヌクレオチド配列(配列番号11)を示す。LTBヌクレオチド配列は太字で示す。
【図5A−1】図5は、本明細書中でhCEAopt−LTBoptと表示する、代表的な完全最適化hCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド配列(配列番号12、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号13、パネルB)を示す。LTABヌクレオチド及びアミノ酸配列は太字で示す。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部の配列に下線を付す。
【図5A−2】図5は、本明細書中でhCEAopt−LTBoptと表示する、代表的な完全最適化hCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド配列(配列番号12、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号13、パネルB)を示す。LTABヌクレオチド及びアミノ酸配列は太字で示す。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部の配列に下線を付す。
【図5B】図5は、本明細書中でhCEAopt−LTBoptと表示する、代表的な完全最適化hCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド配列(配列番号12、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号13、パネルB)を示す。LTABヌクレオチド及びアミノ酸配列は太字で示す。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部の配列に下線を付す。
【図6A−1】図6は、本明細書中でrhCEAoptLTBoptと表示する、完全最適化アカゲザルCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド(配列番号14、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号15、パネルB)を示す。LTBヌクレオチド及びアミノ酸配列は太字で示す。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部の配列に下線を付す。
【図6A−2】図6は、本明細書中でrhCEAoptLTBoptと表示する、完全最適化アカゲザルCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド(配列番号14、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号15、パネルB)を示す。LTBヌクレオチド及びアミノ酸配列は太字で示す。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部の配列に下線を付す。
【図6B】図6は、本明細書中でrhCEAoptLTBoptと表示する、完全最適化アカゲザルCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド(配列番号14、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号15、パネルB)を示す。LTBヌクレオチド及びアミノ酸配列は太字で示す。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部の配列に下線を付す。
【図7A−1】図7は、既に述べられているように(U.S.S.N.60/447,203)、アカゲザルCEAをコードする、野生型遺伝子のヌクレオチド配列(パネルA及びB、配列番号16及び17)及び対応するタンパク質のアミノ酸配列(パネルC及びD、配列番号18及び19)を示す。パネルEは、既に述べられている(例えば、米国特許第5,274,087号を参照。)、野生型ヒトCEAのアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【図7A−2】図7は、既に述べられているように(U.S.S.N.60/447,203)、アカゲザルCEAをコードする、野生型遺伝子のヌクレオチド配列(パネルA及びB、配列番号16及び17)及び対応するタンパク質のアミノ酸配列(パネルC及びD、配列番号18及び19)を示す。パネルEは、既に述べられている(例えば、米国特許第5,274,087号を参照。)、野生型ヒトCEAのアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【図7B−1】図7は、既に述べられているように(U.S.S.N.60/447,203)、アカゲザルCEAをコードする、野生型遺伝子のヌクレオチド配列(パネルA及びB、配列番号16及び17)及び対応するタンパク質のアミノ酸配列(パネルC及びD、配列番号18及び19)を示す。パネルEは、既に述べられている(例えば、米国特許第5,274,087号を参照。)、野生型ヒトCEAのアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【図7B−2】図7は、既に述べられているように(U.S.S.N.60/447,203)、アカゲザルCEAをコードする、野生型遺伝子のヌクレオチド配列(パネルA及びB、配列番号16及び17)及び対応するタンパク質のアミノ酸配列(パネルC及びD、配列番号18及び19)を示す。パネルEは、既に述べられている(例えば、米国特許第5,274,087号を参照。)、野生型ヒトCEAのアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【図7C】図7は、既に述べられているように(U.S.S.N.60/447,203)、アカゲザルCEAをコードする、野生型遺伝子のヌクレオチド配列(パネルA及びB、配列番号16及び17)及び対応するタンパク質のアミノ酸配列(パネルC及びD、配列番号18及び19)を示す。パネルEは、既に述べられている(例えば、米国特許第5,274,087号を参照。)、野生型ヒトCEAのアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【図7D】図7は、既に述べられているように(U.S.S.N.60/447,203)、アカゲザルCEAをコードする、野生型遺伝子のヌクレオチド配列(パネルA及びB、配列番号16及び17)及び対応するタンパク質のアミノ酸配列(パネルC及びD、配列番号18及び19)を示す。パネルEは、既に述べられている(例えば、米国特許第5,274,087号を参照。)、野生型ヒトCEAのアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【図7E】図7は、既に述べられているように(U.S.S.N.60/447,203)、アカゲザルCEAをコードする、野生型遺伝子のヌクレオチド配列(パネルA及びB、配列番号16及び17)及び対応するタンパク質のアミノ酸配列(パネルC及びD、配列番号18及び19)を示す。パネルEは、既に述べられている(例えば、米国特許第5,274,087号を参照。)、野生型ヒトCEAのアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【図8A】図8は、様々なCEAコンストラクトを用いてトランスフェクションした細胞におけるCEA発現効率の比較を示す。パネルAは、トレーサーとしてプラスミド pV1J/mEPO 0.2μgと組み合わせて、hCEA、hCEA−LTA及びhCEA−LTBの野生型配列を担うプラスミド 3μgを用いてトランスフェクションしたHeLa細胞の発現効率を示す。パネルBは、pV1J/hCEAopt及びpV1J/hCEAopt−LTBを用いた、同様のトランスフェクション実験からの結果を示す。細胞抽出物中に存在するCEAタンパク質量を測定し、EPO発現に対してこの値を正規化することによって、トランスフェクションから3日後に発現効率を調べた。示すデータは、2つの独立したトランスフェクションの平均CEA発現値に関する。
【図8B】図8は、様々なCEAコンストラクトを用いてトランスフェクションした細胞におけるCEA発現効率の比較を示す。パネルAは、トレーサーとしてプラスミド pV1J/mEPO 0.2μgと組み合わせて、hCEA、hCEA−LTA及びhCEA−LTBの野生型配列を担うプラスミド 3μgを用いてトランスフェクションしたHeLa細胞の発現効率を示す。パネルBは、pV1J/hCEAopt及びpV1J/hCEAopt−LTBを用いた、同様のトランスフェクション実験からの結果を示す。細胞抽出物中に存在するCEAタンパク質量を測定し、EPO発現に対してこの値を正規化することによって、トランスフェクションから3日後に発現効率を調べた。示すデータは、2つの独立したトランスフェクションの平均CEA発現値に関する。
【図9】図9は、CEAを発現する様々なアデノウイルス組み換えベクターの発現効率の比較を示す。HeLa細胞に、Ad/hCEAopt及びAd/hCEAopt−LTBを用いて100から1000のmoiで感染処理を行った。トランスフェクションから3日後に細胞抽出物に放出されるCEAタンパク質量を測定することにより、発現効率を調べた。示すデータは、2つの独立したトランスフェクションの平均CEA発現値を反映する。
【図10A】図10は、ヒトCEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘発される細胞性免疫反応の分析を示す。0及び3週に、C57BL/6マウスの3つの群に、指示されたプラスミド(CEA、CEA−LTA融合体又はCEA−LTB融合体)50μgを筋肉内に電気注入した。マウスの4番目の群に、pV1J/hCEA−LTA 25μg及びpV1J/hCEA−LTB 25μgの混合物を用いて免疫付与を行った。パネルA.追加免疫から2週間後、個々のマウス由来の脾臓細胞において、全タンパク質を包含するペプチドプールを用いて、CEAに特異的な、IFNγ−分泌T細胞の数をELISPOTアッセイにより調べた(白丸)。幾何平均値(黒菱形)も示す。パネルBは、免疫マウス由来のプールした脾臓細胞の、ペプチドプールDを用いた、IFNγ細胞内染色の結果を示す。非特異的IFNγ産生(DMSO)を各群に対して示す。
【図10B−1】図10は、ヒトCEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘発される細胞性免疫反応の分析を示す。0及び3週に、C57BL/6マウスの3つの群に、指示されたプラスミド(CEA、CEA−LTA融合体又はCEA−LTB融合体)50μgを筋肉内に電気注入した。マウスの4番目の群に、pV1J/hCEA−LTA 25μg及びpV1J/hCEA−LTB 25μgの混合物を用いて免疫付与を行った。パネルA.追加免疫から2週間後、個々のマウス由来の脾臓細胞において、全タンパク質を包含するペプチドプールを用いて、CEAに特異的な、IFNγ−分泌T細胞の数をELISPOTアッセイにより調べた(白丸)。幾何平均値(黒菱形)も示す。パネルBは、免疫マウス由来のプールした脾臓細胞の、ペプチドプールDを用いた、IFNγ細胞内染色の結果を示す。非特異的IFNγ産生(DMSO)を各群に対して示す。
【図10B−2】図10は、ヒトCEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘発される細胞性免疫反応の分析を示す。0及び3週に、C57BL/6マウスの3つの群に、指示されたプラスミド(CEA、CEA−LTA融合体又はCEA−LTB融合体)50μgを筋肉内に電気注入した。マウスの4番目の群に、pV1J/hCEA−LTA 25μg及びpV1J/hCEA−LTB 25μgの混合物を用いて免疫付与を行った。パネルA.追加免疫から2週間後、個々のマウス由来の脾臓細胞において、全タンパク質を包含するペプチドプールを用いて、CEAに特異的な、IFNγ−分泌T細胞の数をELISPOTアッセイにより調べた(白丸)。幾何平均値(黒菱形)も示す。パネルBは、免疫マウス由来のプールした脾臓細胞の、ペプチドプールDを用いた、IFNγ細胞内染色の結果を示す。非特異的IFNγ産生(DMSO)を各群に対して示す。
【図11】図11は、CEAをコードするプラスミドDNAベクターを用いて免疫したマウスからの抗体タイターを示す。精製ヒトCEAタンパク質に対する個々のタイターは、プラスミド pV1J/hCEA、pV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBを用いて免疫付与した個々のマウス由来の血清でのELISAにより測定した。平均値も示す(黒菱形)。
【図12】図12は、CEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘導される細胞性免疫反応の分析を示す。4匹のBALB/cマウスの群に、前述のとおり、指示されたプラスミドを電気注入した(図4)。最後の注入から2週間後、個々のマウス由来の脾臓細胞において、全タンパク質を包含するペプチドプールを用いて、CEAに特異的な、IFNγ−分泌T細胞の数をELISPOTアッセイにより調べた(白丸)。幾何平均値(黒菱形)も示す。
【図13】図13は、CEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘導されたCEA特異的CD8+T細胞反応の分析を示す。C57/DR4マウスに、前述のとおり、指示されたプラスミドを電気注入した(図4参照)。最後の注入から2週間後、ペプチドプールDを用いて、免疫したマウス由来のプールした脾臓細胞に対してIFNγ細胞内染色を行った。非特異的IFNγ産生(DMSO)を各群に対して示す。
【図14A】図14は、CEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘導されたCEA特異的CD8+T細胞反応の分析を示す。HHDマウスに、前述のとおり、指示されたプラスミドを電気注入した(図4参照)。最後の注入から2週間後、ペプチドプールB及びDを用いて、免疫したマウス由来のプールした脾臓細胞に対してIFNγ細胞内染色を行った。非特異的IFNγ産生(DMSO)を各群に対して示す。
【図14B】図14は、CEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘導されたCEA特異的CD8+T細胞反応の分析を示す。HHDマウスに、前述のとおり、指示されたプラスミドを電気注入した(図4参照)。最後の注入から2週間後、ペプチドプールB及びDを用いて、免疫したマウス由来のプールした脾臓細胞に対してIFNγ細胞内染色を行った。非特異的IFNγ産生(DMSO)を各群に対して示す。
【図14C】図14は、CEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘導されたCEA特異的CD8+T細胞反応の分析を示す。HHDマウスに、前述のとおり、指示されたプラスミドを電気注入した(図4参照)。最後の注入から2週間後、ペプチドプールB及びDを用いて、免疫したマウス由来のプールした脾臓細胞に対してIFNγ細胞内染色を行った。非特異的IFNγ産生(DMSO)を各群に対して示す。
【図15A】図15は、指示されたプラスミドを1週ごとに5回電気注入することにより免疫された、CEAトランスジェニックマウス(N=9)の細胞性及び液性免疫反応を示す。プラスミドDNA 50μg総量をi.m.で各ワクチン接種において注射した。パネルA.最後の注入から2週間後、CEA特異的なIFNγ分泌T細胞の数を、ペプチドプールDを用いて、個々のマウス由来の脾臓細胞における細胞内染色により調べた(白丸)。幾何平均値(三角)も示す。パネルB.プラスミド、pV1J/hCEAopt及びpV1J/hCEA−LTBを用いて免疫したマウスからの各血清におけるELISAにより、精製ヒトCEAタンパク質に対する個々のタイターを測定した。幾何平均値(黒菱形)も示す(黒菱形)。これらのデータから、CEA−LTB融合体がトランスジェニックマウスにおいてCEAに対する寛容性を打破することが示される。
【図15B】図15は、指示されたプラスミドを1週ごとに5回電気注入することにより免疫された、CEAトランスジェニックマウス(N=9)の細胞性及び液性免疫反応を示す。プラスミドDNA 50μg総量をi.m.で各ワクチン接種において注射した。パネルA.最後の注入から2週間後、CEA特異的なIFNγ分泌T細胞の数を、ペプチドプールDを用いて、個々のマウス由来の脾臓細胞における細胞内染色により調べた(白丸)。幾何平均値(三角)も示す。パネルB.プラスミド、pV1J/hCEAopt及びpV1J/hCEA−LTBを用いて免疫したマウスからの各血清におけるELISAにより、精製ヒトCEAタンパク質に対する個々のタイターを測定した。幾何平均値(黒菱形)も示す(黒菱形)。これらのデータから、CEA−LTB融合体がトランスジェニックマウスにおいてCEAに対する寛容性を打破することが示される。
【図16】図16は、CEAをコードする様々なアデノウイルスベクターにより誘導されたCEA特異的CD8+T細胞反応の分析を示す。CEAトランスジェニックマウスに、Ad/hCEAopt及びAd/CEAopt−LTBの様々な用量を用いて、0及び2週に免疫した。最後の注入から2週間後、ペプチドプールDを用いて、免疫した各マウス由来のPBMCのIFNγ細胞内染色を行った(黒丸)。幾何平均値も示す(黒菱形)。各注射群の非特異的IFNγ産生(DMSO)は、0.01%以下であった。
【図17A】図17は、MC38−CEA細胞を用いて負荷試験した、免疫CEAトランスジェニックマウスの腫瘍防御実験の結果を示す。10匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、指示されたプラスミドDNA(50μg/注射)の電気的注入により、1週ごとに5回免疫付与を行った。最後のDNA注入から2週間後、対応するAdベクターの1x1010vpの1回の注射により、マウスに対して追加免疫を行った。アデノウイルス追加免疫から14日後、5x105 MC38−CEA細胞を皮下注射することにより、マウスに負荷試験を行った。パネルAは、所定の時点での腫瘍のないマウスのパーセンテージを示す。パネルBは、各免疫群の平均腫瘍体積を報告する。これらのデータから、CEA−LTBを用いたCEAトランスジェニックマウスの免疫付与によりマウスにおける腫瘍成長が抑えられたことが示される。
【図17B】図17は、MC38−CEA細胞を用いて負荷試験した、免疫CEAトランスジェニックマウスの腫瘍防御実験の結果を示す。10匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、指示されたプラスミドDNA(50μg/注射)の電気的注入により、1週ごとに5回免疫付与を行った。最後のDNA注入から2週間後、対応するAdベクターの1x1010vpの1回の注射により、マウスに対して追加免疫を行った。アデノウイルス追加免疫から14日後、5x105 MC38−CEA細胞を皮下注射することにより、マウスに負荷試験を行った。パネルAは、所定の時点での腫瘍のないマウスのパーセンテージを示す。パネルBは、各免疫群の平均腫瘍体積を報告する。これらのデータから、CEA−LTBを用いたCEAトランスジェニックマウスの免疫付与によりマウスにおける腫瘍成長が抑えられたことが示される。
【図18A】パネルAは、本実験で用いられる代表的なCEA融合タンパク質の略図を示す。CEA融合タンパク質を発現するベクターは、実施例2において示すように、プラスミド pV1Jns由来であった。このコンストラクトは、GPIアンカー配列に対応する64aaの正味の欠失がある、nt1からnt2037までのCEAヌクレオチド配列を含有し、aa1からaa679のCEAを発現する。CEAに融合させられている各タンパク質を統合する配列も示す。パネルBは、トランスフェクション細胞における、pV1J由来のコンストラクトの発現を示す。HeLa細胞に、プラスミド、pV1J/CEA−VSV−G、pV1J/CEA−FcIgG、pV1J/CEA−DOM、pV1J/CEA−HSP70、pV1J/CEA−LAMP又はpV1J/CEAをトランスフェクションし、実施例5で述べるようにして、ウェスタンブロット分析のために処理した。ウェスタンブロットに使用する抗体の特異性を示す。CEAタンパク質を示す(黒矢印)。分子サイズ標準の位置(キロダルトン)も示す。
【図18B】パネルAは、本実験で用いられる代表的なCEA融合タンパク質の略図を示す。CEA融合タンパク質を発現するベクターは、実施例2において示すように、プラスミド pV1Jns由来であった。このコンストラクトは、GPIアンカー配列に対応する64aaの正味の欠失がある、nt1からnt2037までのCEAヌクレオチド配列を含有し、aa1からaa679のCEAを発現する。CEAに融合させられている各タンパク質を統合する配列も示す。パネルBは、トランスフェクション細胞における、pV1J由来のコンストラクトの発現を示す。HeLa細胞に、プラスミド、pV1J/CEA−VSV−G、pV1J/CEA−FcIgG、pV1J/CEA−DOM、pV1J/CEA−HSP70、pV1J/CEA−LAMP又はpV1J/CEAをトランスフェクションし、実施例5で述べるようにして、ウェスタンブロット分析のために処理した。ウェスタンブロットに使用する抗体の特異性を示す。CEAタンパク質を示す(黒矢印)。分子サイズ標準の位置(キロダルトン)も示す。
【図19A】図19は、CEA融合コンストラクトの発現効率の比較を示す。HeLa細胞に、指示されたプラスミドをトランスフェクションし、実施例8で述べるようにして、ELISAにより、細胞溶解液に存在するCEA由来タンパク質(A)及び上清(B)の測定を行った。得られた結果は、2つの独立の実験の代表である。
【図19B】図19は、CEA融合コンストラクトの発現効率の比較を示す。HeLa細胞に、指示されたプラスミドをトランスフェクションし、実施例8で述べるようにして、ELISAにより、細胞溶解液に存在するCEA由来タンパク質(A)及び上清(B)の測定を行った。得られた結果は、2つの独立の実験の代表である。
【図20A】図20は、CEA融合タンパク質をコードする様々なコンストラクトの免疫原性の比較を示す。C57BL/6マウスに、指示されたプラスミド 5又は50μg/投与を用いて筋肉内にエレクトロポレーションを行った。第0日及び14日に注射を行った。パネルA 実施例6及び15で述べるようにして、aa497−703(プールD)をカバーするペプチドのプールを用いて、各個別のマウスにおけるPBMC中のIFNγ分泌T細胞数を調べた。IFNγ分泌T細胞の平均数も示す(黒丸)。pV1J/CEA−DOM及びpV1J/CEA−FcIgGのSFC値は、pV1J/CEAのそれと有意差がある。パネルB.基質として精製CEAを用いたELISAにより、抗体タイターを測定した。指示されたプラスミド 50μg用量で免疫した各コホートの平均値を示す。pV1J/CEAを注射したマウスのタイターと有意差があるタイターに星印を付す。
【図20B】図20は、CEA融合タンパク質をコードする様々なコンストラクトの免疫原性の比較を示す。C57BL/6マウスに、指示されたプラスミド 5又は50μg/投与を用いて筋肉内にエレクトロポレーションを行った。第0日及び14日に注射を行った。パネルA 実施例6及び15で述べるようにして、aa497−703(プールD)をカバーするペプチドのプールを用いて、各個別のマウスにおけるPBMC中のIFNγ分泌T細胞数を調べた。IFNγ分泌T細胞の平均数も示す(黒丸)。pV1J/CEA−DOM及びpV1J/CEA−FcIgGのSFC値は、pV1J/CEAのそれと有意差がある。パネルB.基質として精製CEAを用いたELISAにより、抗体タイターを測定した。指示されたプラスミド 50μg用量で免疫した各コホートの平均値を示す。pV1J/CEAを注射したマウスのタイターと有意差があるタイターに星印を付す。
【図21A】図21は、CEAトランスジェニックマウスにおけるCEA特異的免疫反応の誘導を示す。12匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのコドン使用最適化cDNAを担う、プラスミドDNA(50μg/投与 大腿四頭筋に電気的注入)又はアデノウイルスベクター(109vp/投与)を用いて免疫付与した。各免疫マウスのPBMCにおいて、細胞内IFNγ染色により、DNA/DNA(A)及びAd/Ad(C)免疫法により誘導されたCEA特異的CD8+T細胞を測定した。各コホートの平均値も示す(黒丸)。DNA/DNA及びAd/Ad法により免疫された、CEA−DOM及びCEA−FcIgGコホートは、CEAワクチン接種群と有意差があった。DNA/DNA(B)又はAd/Ad(D)免疫付与法でワクチン接種された各個別マウスのCEA特異的抗体タイターをELISAにより測定した。CEA−DOM及びCEA−FcIgGベクターにより誘導されるタイターは、CEAにより誘導されるものと有意差があった。
【図21B】図21は、CEAトランスジェニックマウスにおけるCEA特異的免疫反応の誘導を示す。12匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのコドン使用最適化cDNAを担う、プラスミドDNA(50μg/投与 大腿四頭筋に電気的注入)又はアデノウイルスベクター(109vp/投与)を用いて免疫付与した。各免疫マウスのPBMCにおいて、細胞内IFNγ染色により、DNA/DNA(A)及びAd/Ad(C)免疫法により誘導されたCEA特異的CD8+T細胞を測定した。各コホートの平均値も示す(黒丸)。DNA/DNA及びAd/Ad法により免疫された、CEA−DOM及びCEA−FcIgGコホートは、CEAワクチン接種群と有意差があった。DNA/DNA(B)又はAd/Ad(D)免疫付与法でワクチン接種された各個別マウスのCEA特異的抗体タイターをELISAにより測定した。CEA−DOM及びCEA−FcIgGベクターにより誘導されるタイターは、CEAにより誘導されるものと有意差があった。
【図21C】図21は、CEAトランスジェニックマウスにおけるCEA特異的免疫反応の誘導を示す。12匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのコドン使用最適化cDNAを担う、プラスミドDNA(50μg/投与 大腿四頭筋に電気的注入)又はアデノウイルスベクター(109vp/投与)を用いて免疫付与した。各免疫マウスのPBMCにおいて、細胞内IFNγ染色により、DNA/DNA(A)及びAd/Ad(C)免疫法により誘導されたCEA特異的CD8+T細胞を測定した。各コホートの平均値も示す(黒丸)。DNA/DNA及びAd/Ad法により免疫された、CEA−DOM及びCEA−FcIgGコホートは、CEAワクチン接種群と有意差があった。DNA/DNA(B)又はAd/Ad(D)免疫付与法でワクチン接種された各個別マウスのCEA特異的抗体タイターをELISAにより測定した。CEA−DOM及びCEA−FcIgGベクターにより誘導されるタイターは、CEAにより誘導されるものと有意差があった。
【図21D】図21は、CEAトランスジェニックマウスにおけるCEA特異的免疫反応の誘導を示す。12匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのコドン使用最適化cDNAを担う、プラスミドDNA(50μg/投与 大腿四頭筋に電気的注入)又はアデノウイルスベクター(109vp/投与)を用いて免疫付与した。各免疫マウスのPBMCにおいて、細胞内IFNγ染色により、DNA/DNA(A)及びAd/Ad(C)免疫法により誘導されたCEA特異的CD8+T細胞を測定した。各コホートの平均値も示す(黒丸)。DNA/DNA及びAd/Ad法により免疫された、CEA−DOM及びCEA−FcIgGコホートは、CEAワクチン接種群と有意差があった。DNA/DNA(B)又はAd/Ad(D)免疫付与法でワクチン接種された各個別マウスのCEA特異的抗体タイターをELISAにより測定した。CEA−DOM及びCEA−FcIgGベクターにより誘導されるタイターは、CEAにより誘導されるものと有意差があった。
【図22A】図22は、DNA/Ad法の免疫原性を示す。12のCEAトランスジェニックマウスの群に、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのコドン使用最適化cDNAを担う、プラスミドDNA(50μg/投与)及びアデノウイルスベクター(109vp/投与)で免疫付与した。各免疫マウスのPBMCにおいて、細胞内IFNγ染色により、CEA特異的CD8+T細胞を測定した(A)。各コホートの平均値も示す(黒丸)。CEA−DOM及びCEA−FcIgGコホートは、CEAワクチン接種群と有意差があった。各個別マウスのCEA特異的抗体タイターをELISAにより測定した(B)。CEA−DOM及びCEA−FcIgGベクターにより誘導されるタイターは、CEAにより誘導されるものと有意差があった。平均値を示す(黒丸)。
【図22B】図22は、DNA/Ad法の免疫原性を示す。12のCEAトランスジェニックマウスの群に、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのコドン使用最適化cDNAを担う、プラスミドDNA(50μg/投与)及びアデノウイルスベクター(109vp/投与)で免疫付与した。各免疫マウスのPBMCにおいて、細胞内IFNγ染色により、CEA特異的CD8+T細胞を測定した(A)。各コホートの平均値も示す(黒丸)。CEA−DOM及びCEA−FcIgGコホートは、CEAワクチン接種群と有意差があった。各個別マウスのCEA特異的抗体タイターをELISAにより測定した(B)。CEA−DOM及びCEA−FcIgGベクターにより誘導されるタイターは、CEAにより誘導されるものと有意差があった。平均値を示す(黒丸)。
【図23】図23は、破傷風トキソイドタンパク質に対するCD4+T細胞反応の検出を示す。実施例16で述べるようにして、CEAトランスジェニックマウスに、pV1J/CEA−DOMoptで免疫付与した。ペプチドp30を用いて、免疫マウス由来のプールしたPBMCにおいて、IFNγ細胞内染色を行った。全リンパ球のゲーティング及びCD8+(R3)及びCD4+T細胞(R4)に対するゲーティングを示す。
【図24A】図24は、コドン最適化された、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのcDNAを担うベクターを用いたワクチン接種の抗腫瘍効果を示す。実施例18で述べるようにして、10匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、DNA/DNA(A)、Ad/Ad(B)及びDNA/Ad(C)のワクチン接種法により、コドン使用最適化された、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのcDNAを担うプラスミドDNA及びAdベクターを用いて免疫付与した。最後の注射から2週間後、5x105個のMC38−CEA腫瘍細胞のsc接種により、マウスに負荷試験を行った。ワクチン接種群における腫瘍のないマウスのパーセンテージを週に1回の間隔で調べ、非処置対照と比較した。CEA−DOMベクター(DNA/Ad様式)でワクチン接種したマウスは、対照マウスと有意差があった(log順位検定 p<0.05)。
【図24B】図24は、コドン最適化された、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのcDNAを担うベクターを用いたワクチン接種の抗腫瘍効果を示す。実施例18で述べるようにして、10匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、DNA/DNA(A)、Ad/Ad(B)及びDNA/Ad(C)のワクチン接種法により、コドン使用最適化された、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのcDNAを担うプラスミドDNA及びAdベクターを用いて免疫付与した。最後の注射から2週間後、5x105個のMC38−CEA腫瘍細胞のsc接種により、マウスに負荷試験を行った。ワクチン接種群における腫瘍のないマウスのパーセンテージを週に1回の間隔で調べ、非処置対照と比較した。CEA−DOMベクター(DNA/Ad様式)でワクチン接種したマウスは、対照マウスと有意差があった(log順位検定 p<0.05)。
【図24C】図24は、コドン最適化された、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのcDNAを担うベクターを用いたワクチン接種の抗腫瘍効果を示す。実施例18で述べるようにして、10匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、DNA/DNA(A)、Ad/Ad(B)及びDNA/Ad(C)のワクチン接種法により、コドン使用最適化された、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのcDNAを担うプラスミドDNA及びAdベクターを用いて免疫付与した。最後の注射から2週間後、5x105個のMC38−CEA腫瘍細胞のsc接種により、マウスに負荷試験を行った。ワクチン接種群における腫瘍のないマウスのパーセンテージを週に1回の間隔で調べ、非処置対照と比較した。CEA−DOMベクター(DNA/Ad様式)でワクチン接種したマウスは、対照マウスと有意差があった(log順位検定 p<0.05)。
【図25】図25は、CEA−DOM DNA/Ad免疫付与により誘導される抗腫瘍効果の誘導における、CD4、CD8又はNK枯渇の影響を示す。CEAトランスジェニックマウスに対して、pV1J/CEA−DOMopt 50μgを毎週繰り返し注射して免疫付与し、次いで、Ad−CEA−DOMopt 1x109vpを用いて追加免疫を行った(実施例19)。最後の注射から1週間後、マウスに対して、CD4+T細胞、CD8+T細胞又はNK細胞を枯渇させないか、又は枯渇させた。最後の免疫から2週間後、マウスに対して、5x105個のMC39−CEA腫瘍細胞のsc接種により負荷試験を行った。ワクチン接種群における、腫瘍のないマウスのパーセンテージを週に1回の間隔で調べ、非処置対照と比較した。このデータから、ワクチン接種群における腫瘍のないマウスのパーセンテージは、非処置対照及び枯渇コホートと有意差があったことが示される。
【図26A−1】図26は、本明細書中でhCEAoptDOMoptと表示される、代表的な、完全最適化hCEA−DOM融合体のヌクレオチド配列(配列番号21)を示す。コードされるタンパク質のアミノ酸配列も示す(配列番号45)。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド1から2037からなり、これは、ヒト宿主細胞での高レベル発現のために、コドン最適化されている。このヌクレオチド配列のDOM部分は太字で示すが、これもヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部配列に下線を付す。
【図26A−2】図26は、本明細書中でhCEAoptDOMoptと表示される、代表的な、完全最適化hCEA−DOM融合体のヌクレオチド配列(配列番号21)を示す。コードされるタンパク質のアミノ酸配列も示す(配列番号45)。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド1から2037からなり、これは、ヒト宿主細胞での高レベル発現のために、コドン最適化されている。このヌクレオチド配列のDOM部分は太字で示すが、これもヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部配列に下線を付す。
【図26A−3】図26は、本明細書中でhCEAoptDOMoptと表示される、代表的な、完全最適化hCEA−DOM融合体のヌクレオチド配列(配列番号21)を示す。コードされるタンパク質のアミノ酸配列も示す(配列番号45)。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド1から2037からなり、これは、ヒト宿主細胞での高レベル発現のために、コドン最適化されている。このヌクレオチド配列のDOM部分は太字で示すが、これもヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部配列に下線を付す。
【図27A−1】図27は、本明細書中でhCEAoptFcIgGoptと表示される、代表的な、hCEA−FcIgGopt融合体のヌクレオチド配列(配列番号25)を示す。コードされるタンパク質の配列も示す(配列番号46)。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド1から2037からなり、これは、ヒト宿主細胞での高レベル発現のために、コドン最適化されている。このヌクレオチド配列のFcIgG部分は太字で示すが、これもヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部配列に下線を付す。
【図27A−2】図27は、本明細書中でhCEAoptFcIgGoptと表示される、代表的な、hCEA−FcIgGopt融合体のヌクレオチド配列(配列番号25)を示す。コードされるタンパク質の配列も示す(配列番号46)。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド1から2037からなり、これは、ヒト宿主細胞での高レベル発現のために、コドン最適化されている。このヌクレオチド配列のFcIgG部分は太字で示すが、これもヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部配列に下線を付す。
【図27A−3】図27は、本明細書中でhCEAoptFcIgGoptと表示される、代表的な、hCEA−FcIgGopt融合体のヌクレオチド配列(配列番号25)を示す。コードされるタンパク質の配列も示す(配列番号46)。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド1から2037からなり、これは、ヒト宿主細胞での高レベル発現のために、コドン最適化されている。このヌクレオチド配列のFcIgG部分は太字で示すが、これもヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部配列に下線を付す。
【図28A】図28は、aa1からaa679(配列番号23、パネルB)のhCEAタンパク質の一部をコードする、nt1から2037nt(配列番号22、パネルA)の野生型ヒトCEA cDNAの一部のヌクレオチド配列を示す。
【図28B】図28は、aa1からaa679(配列番号23、パネルB)のhCEAタンパク質の一部をコードする、nt1から2037nt(配列番号22、パネルA)の野生型ヒトCEA cDNAの一部のヌクレオチド配列を示す。
【図29】図29は、(配列番号48)でも示される、DOMタンパク質をコードする、nt1からnt825(配列番号47)の破傷風毒素断片C(DOM)cDNAの最小化ドメインの非最適化ヌクレオチド配列を示す。
【図30A−1】図30は、代表的なヒトCEA−DOM融合体(配列番号49)の非最適化ヌクレオチド配列を示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなる。ヌクレオチド配列のDOM部分は太字で示す。
【図30A−2】図30は、代表的なヒトCEA−DOM融合体(配列番号49)の非最適化ヌクレオチド配列を示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなる。ヌクレオチド配列のDOM部分は太字で示す。
【図31A−1】図31は、本明細書中でrhCEA−DOMoptと表示されるアカゲザルCEA−DOM融合体の代表的なヌクレオチド配列(配列番号50)を示す。コードされる融合タンパク質の配列(配列番号51)も示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなり、ヒト宿主細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。ヌクレオチド配列のDOM部分は、またヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されており、太字で示す。
【図31A−2】図31は、本明細書中でrhCEA−DOMoptと表示されるアカゲザルCEA−DOM融合体の代表的なヌクレオチド配列(配列番号50)を示す。コードされる融合タンパク質の配列(配列番号51)も示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなり、ヒト宿主細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。ヌクレオチド配列のDOM部分は、またヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されており、太字で示す。
【図31B】図31は、本明細書中でrhCEA−DOMoptと表示されるアカゲザルCEA−DOM融合体の代表的なヌクレオチド配列(配列番号50)を示す。コードされる融合タンパク質の配列(配列番号51)も示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなり、ヒト宿主細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。ヌクレオチド配列のDOM部分は、またヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されており、太字で示す。
【図32A−1】図32は、本明細書中でrhCEA−CTBoptと表示される、アカゲザルCEA−CTB融合体の代表的ヌクレオチド配列(配列番号52)を示す。コードされる融合タンパク質(配列番号53)の配列も示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなり、ヒト宿主細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。ヌクレオチド配列のCTB部分は、またヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されており、太字で示す。
【図32A−2】図32は、本明細書中でrhCEA−CTBoptと表示される、アカゲザルCEA−CTB融合体の代表的ヌクレオチド配列(配列番号52)を示す。コードされる融合タンパク質(配列番号53)の配列も示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなり、ヒト宿主細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。ヌクレオチド配列のCTB部分は、またヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されており、太字で示す。
【図32B】図32は、本明細書中でrhCEA−CTBoptと表示される、アカゲザルCEA−CTB融合体の代表的ヌクレオチド配列(配列番号52)を示す。コードされる融合タンパク質(配列番号53)の配列も示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなり、ヒト宿主細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。ヌクレオチド配列のCTB部分は、またヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されており、太字で示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に癌の治療に関する。とりわけ、本発明は、少なくとも腫瘍関連ポリペプチド癌胎児性抗原の一部を含有する融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに関する。本発明はまた、組み換えベクター及び該ポリヌクレオチドを含有する宿主、精製融合タンパク質及び、本明細書で開示する組成物及び分子を使用した、CEAに対する免疫反応を促進する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)は、様々な機能を有するタンパク質をコードする多数の遺伝子からなり、その1つは、細胞間接着である。IgSFタンパク質は、適正な細胞間結合相互作用の維持に重要である、少なくとも1つのIg関連ドメインを含有する。このような相互作用はIgSFメンバーの多岐に渡る生物学的機能に必要なので、多くのIgSF接着分子の崩壊又は異常な発現は、多くのヒトの疾患と関連がある。
【0003】
癌胎児性抗原(CEA)は、CEA関連細胞接着分子(CEACAM)として知られている細胞表面糖タンパク質からなるIgスーパーファミリーのサブファミリーに属する。CEACAMは、同型及び異型両方の細胞間接着分子として働くことが示されている(Benchimolら、Cell 57:327−334(1989))。細胞接着に加えて、CEA(CEACAM5としても知られている。)は、細胞外マトリックスからの細胞の脱離の結果として、細胞死を抑制し、ある一定の癌原遺伝子(Bcl2及びC−Mycなど)に関連する細胞形質転換に寄与し得る(Berinstein,J.Clin Oncol.20(8):2197−2207(2002)を参照のこと。)。ヒトCEAをコードする配列がクローニングされ、特性が調べられた(米国特許第5,274,087号;米国特許第5,571,710号;及び米国特許第5,843,761号。Beaucheminら、Mol.Cell.Biol.7:3221−3230(1987);Zimmermanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:920−924(1987);Thompsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84(9):2965−69(1987)も参照のこと。)。
【0004】
CEAの正常発現は、胎児発生中及び成人の結腸粘膜において検出されている。CEA過剰発現は最初に、ヒト結腸腫瘍において30年以上前に検出され(Gold及びFreeman,J.Exp.Med.121:439−462(1965))ほぼ全ての結腸直腸腫瘍において見出されている。さらに、CEA過剰発現は、膵臓、肝臓、乳房、卵巣、子宮頸部及び肺の腺癌で高い割合で検出可能である。これらの腫瘍タイプにおいて検出率が高く、正常組織での発現は限られているので、CEAは、自己腫瘍関連抗原及び能動的及び受動的免疫治療の標的と考えられている。最近の臨床データから、様々なワクチンストラテジーが、CEAに特異的なヒトB及びT細胞を生み出すことができることが分かっており、このことから、CEAが、これらの癌タイプの治療に対して、分子及び免疫的介入の標的である、さらなる証拠が与えられる。
【0005】
CEAを標的とする治療アプローチには、抗CEA抗体の使用(Chesterら、Cancer Chemother.Pharmacol.46(Suppl):S8−S12(2000)を参照のこと。)ならびに、CEAに基づくワクチン(概説として、Berinstein、前出、を参照のこと。)が含まれる。外来遺伝子を高レベルで発現させることにおいて困難な点があることから、多くのワクチンの開発及び市販が阻まれてきた。DNAに基づくワクチンもまた、治療を受ける個体において、十分な大きさの免疫反応を生じさせられないために、成功していない。様々なタンパク質を標的するDNAワクチンもまた開発されてきたが、得られる免疫反応は、従来のワクチンと比較して弱い。
【0006】
DNA操作が簡便であることから、抗原を様々な免疫増強因子に融合させる、遺伝子融合ストラテジーを含むワクチンを開発するチャンスが与えられている。標的抗原に対する免疫反応の促進は、ヒートショックタンパク質(HSP)70(Liuら、J.Virol.74:2888−94(2000);Chengら、J.Immunol.166:6218−26(2001);Chenら、Cancer Res.60:1035−42(2000))、IgG1のFc部分(Youら、J.Immunol.165:4581−92(2000))、リソソーム会合膜タンパク質(LAMP)(Suら、Cancer.Res.62:5041−48(2002))及び破傷風毒素からのユニバーサルThエピトープ(Renardら、J.Immunol.171:1588−95(2003);Kingら、Nature Med.4:1281−86(1998);Lundら、Cancer Gene Ther.10:365−76(2003);Paduaら、Nature Med.9(11):1413−17(2003);Savelyevaら、Nature Biotecnol.19:760−64(2001);Wahrenら、WO2004/092216)に融合させた抗原をコードするベクターにより、動物モデルで行われてきた。標的抗原に対する免疫反応の促進は特に、腫瘍抗原の免疫原性の制限及び効果的な抗腫瘍効果を与えるために寛容性を乗り越える必要性を考えると、癌ワクチンが適切である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、上述のCEAタンパク質をコードする野生型ヌクレオチド配列が同定されたにもかかわらず、哺乳動物に送達させた際に、野生型全長 CEA cDNAと比較して、CEA特異的免疫反応を促進することができるワクチンを開発することが非常に望まれている。また、CEA特異的免疫反応を安全かつ効果的に増強する核酸分子又はタンパク質を利用した、CEA関連癌を治療もしくは予防する方法を開発することも望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、細菌毒素などの免疫増強因子の大部分に融合させられた腫瘍関連ポリペプチド癌胎児性抗原の一部を少なくとも含有する融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。好ましい実施形態において、コードされるCEA融合タンパク質のCEA部分は、そのC末端のアンカードメインに欠失がある。好ましい実施形態において、その免疫増強因子は、E.コリの易熱性エンテロトキシンのAもしくはBサブユニット又はそれらの大部分である。他の好ましい実施形態において、本免疫増強因子は、破傷風毒素断片C(DOM)の最小化ドメイン又はそれらの大部分である。本発明はまた、該ポリヌクレオチドを含有し、宿主細胞が組み換えベクターを含有する、これらに限定されないがアデノウイルス及びプラスミドベクターを含む、組み換えベクターを提供する。本明細書において、本発明ポリヌクレオチによりコードされる精製融合タンパク質もまた提供する。
【0009】
本発明はさらに、本明細書に記載のCEA融合体又はCEA融合タンパク質を含有する、ワクチン又は医薬組成物を投与することによって、CEAタンパク質に対する免疫反応を与えることにより哺乳動物における癌の発現を阻害又は予防するための方法を提供する。本明細書中の方法の好ましい実施形態において、野生型CEAワクチンにより与えられる免疫反応と比較して、免疫反応を促進する。
【0010】
本明細書を通して、及び添付の請求の範囲において使用される場合、単数体「a」、「an」及び「the」は、文脈において明確に示されない限り、複数の意味を含む。
【0011】
本明細書を通して、及び添付の請求の範囲において使用される場合、次の定義及び略語が適用となる:
「プロモーター」という用語は、RNAポリメラーゼが結合する、DNA鎖における認識部位を指す。プロモーターは、RNAポリメラーゼと開始複合体を形成し、転写活性を促進する。その複合体は、「エンハンサー」と呼ばれる配列を活性化することにより、又は「サイレンサー」と呼ばれる配列を抑制することにより、修飾され得る。
【0012】
「カセット」という用語は、例えば、hCEA−LTB融合体をコードする、ヌクレオチド又は遺伝子配列など、ベクターから発現されるべき、ヌクレオチド又は遺伝子配列を指す。一般に、カセットは、ベクターに挿入され得る遺伝子配列を含有し、いくつかの実施形態において、それは、ヌクレオチド又は遺伝子配列の発現に対する調節配列を与える。他の実施形態において、本ヌクレオチド又は遺伝子配列は、その発現のための調節配列を与える。さらなる実施形態において、本ベクターは、いくつかの調節配列を与え、本ヌクレオチド又は遺伝子配列は、その他の調節配列を与える。例えば、本ベクターは、ヌクレオチド又は遺伝子配列を転写するためのプロモーターを与えることができ、本ヌクレオチド又は遺伝子配列は、転写終結配列を与えることができる。本ベクターにより与えら得る調節配列には、これらに限定されないが、エンハンサー、転写終結配列、スプライシング受容及び供与配列、イントロン、リボソーム結合配列及びポリ(A)付加配列が含まれる。
【0013】
「ベクター」という用語は、DNA断片が宿主生物又は宿主組織に導入され得るいくつかの手段を指す。プラスミド、ウイルス(アデノウイルスを含む。)、バクテリオファージ及びコスミドを含む、様々なタイプのベクターがある。
【0014】
「第一世代」という用語は、アデノウイルスベクターに関して使用される場合、複製欠損型のアデノウイルスベクターを説明するものである。第一世代アデノウイルスベクターは、通常、E1遺伝子領域を欠くか、又はE1遺伝子領域が不活性化されており、好ましくは、E3遺伝子領域を欠くか、又は不活性化されている。
【0015】
「DOM」という略語は、通常、破傷風トキソイドの断片CのN末端ドメインを指す。
【0016】
「LT」という略語は、通常、E.コリの易熱性エンテロトキシンを指す。「LT」は、サブユニットA及びB又はサブユニットAの大部分もしくはサブユニットBの大部分を含有する、完全エンテロトキシンを指し得る。「LTA」という略語は、E.コリの易熱性エンテロトキシンのAサブユニット又はその大部分を指し、C末端又はN末端で末端切断されているが生物学的活性を維持するサブユニットならびに、内部アミノ酸挿入、欠失又は置換を含有するが、生物学的活性を維持するサブユニットを含む。「LTB」という略語は、E.コリの易熱性エンテロトキシンのBサブユニット又はその大部分を指し、C末端又はN末端で末端切断されているが生物学的活性を維持するサブユニットならびに、内部アミノ酸挿入、欠失又は置換を含有するが、生物学的活性を維持するサブユニットを含む。
【0017】
「pV1J/hCEAopt」という表示は、イントロンAを有するCMV前初期(IE)プロモーター、全長コドン最適化ヒトCEA遺伝子、ウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化及び転写終結配列、ならびに最小pUC骨格を含む、本明細書中で開示されるプラスミドコンストラクトを指す(実施例2参照。)。「pV1J/hCEA」という表示は、コンストラクトが、コドン最適化されたヒトCEA遺伝子の代わりに野生型ヒトCEA遺伝子を含有することを除き、基本的に上記のようなコンストラクトを指す。
【0018】
「pV1J/hCEA−LTB」という表示は、イントロンAを有するCMV前初期(IE)プロモーター、そのC末端でE.コリの易熱性エンテロトキシンのBサブユニットに融合させられた、そのGPIアンカーコード配列を欠くヒトCEA遺伝子、ウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化及び転写終結配列、ならびに最小pUC骨格を含有する、本明細書中で開示されるプラスミドコンストラクトを指す。
【0019】
「pV1J/hCEAopt−LTB」という表示は、そのコンストラクトが、野生型ヒトCEA遺伝子の対応部分の代わりに、そのGPIアンカーコード配列を欠くコドン最適化されたヒトCEA遺伝子を含有することを除き、基本的にすぐ上で述べたようなコンストラクトを指す。
【0020】
「pV1J/hCEAopt−LTBopt」という表示は、ヒト細胞において高レベルで発現させるためにCEA配列及びLTB配列の両方がコドン最適化されていることを除き、基本的にすぐ上で述べたようなプラスミドコンストラクトを指す。
【0021】
「pV1J/rhCEAopt−LTBopt」という表示は、ヒトコドン最適化CEA遺伝子が、ヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されたアカゲザルCEA遺伝子で置換されていることを除き、基本的に上記のようなコンストラクトを指す。
【0022】
「pV1J/hCEA−LTA」という表示は、イントロンAを有するCMV前初期(IE)プロモーター、そのC末端でE.コリの易熱性エンテロトキシンのAサブユニットに融合させられた、GPIアンカーコード配列を欠くヒトCEA遺伝子、ウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化及び転写終結配列ならびに最小pUC骨格を含有する、本明細書中で開示されるプラスミドコンストラクトを指す。様々なCEA−LT融合体を含有するプラスミドベクターの構築は、実施例2で述べる。
【0023】
「pV1J/hCEA−DOM」という表示は、イントロンAを有するCMV前初期(IE)プロモーター、そのC末端で破傷風トキソイド(DOM)の断片CのN末端ドメインに融合させられた、そのGPIアンカーコード配列を欠くヒトCEA遺伝子、ウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化及び転写終結配列ならびに最小pUC骨格を含有する、本明細書中で開示されるプラスミドコンストラクトを指す(実施例2)。
【0024】
「pV1J/rhCEAopt−DOMopt」という表示は、ヒトコドン−最適化CEA遺伝子が、ヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されたアカゲザルCEA遺伝子で置換されていることを除き、基本的に上記のようなコンストラクトを指す。
【0025】
「pV1J/hCEA−FcIgG」という表示は、イントロンAを有するCMV前初期(IE)プロモーター、そのC末端で免疫グロブリンG1の定常鎖の重鎖断片に融合させられている、GPIアンカーコード配列を欠くヒトCEA遺伝子、ウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化及び転写終結配列ならびに最小pUC骨格を含有する、本明細書中で開示されるプラスミドコンストラクトを指す。(実施例2)。pV1J/hCEAopt−FcIgGoptは、CEA及びFcIgGをコードするヌクレオチド配列が、ヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されていることを除き、基本的に説明したようなコンストラクトを指す。
【0026】
「Ad5/hCEAopt」及び「Ad5/hCEA」という表示は、E1及びE3領域で欠損があるAd5アデノウイルスゲノムを含有する、本明細書中で開示される2つのコンストラクトを指す。「Ad5/hCEAopt」コンストラクトにおいて、E1領域は、ヒトCMVプロモーターの制御下で、イントロンAなしで、E1と平行な向きに、コドン最適化ヒトCEA遺伝子、次いでウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化シグナルにより置き換えられている。「Ad5/hCEA」コンストラクトは、Ad5ゲノムのE1領域が野生型ヒトCEA配列で置き換えられていることを除き、基本的に上記のようなものである。「Ad5/hCEAopt−LTB」という表示は、コドン最適化されたヒトCEA配列がGPIアンカーコード配列を欠いており、そのC末端でE.コリの易熱性エンテロトキシンのBサブユニットに融合させられていることを除き、基本的に上記のようなAd5コンストラクトを指す。様々なCEA−LT融合体を含有するアデノウイルスベクターの構築は実施例3で述べる。
【0027】
「免疫増強因子」とは、本発明のCEA融合タンパク質の、全長野生型CEAと比較して、関連CEAタンパク質に対する免疫反応を刺激又は促進することができる部分を指す。本発明の免疫増強因子は、ヒートショックタンパク質(HSP)70、リソソーム会合膜タンパク質(LAMP)、破傷風トキソイドの断片C(FrC)、FrCのN末端ドメイン(DOM)、免疫グロブリンG1の定常鎖重鎖断片(FcIgG)、水疱性口炎ウイルス(vesicular stomatitis virus)糖タンパク質(VSV−G)、コレラ菌(Vibrio Cholerae)由来のコレラ毒素(CT)及びE.コリの易熱性エンテロトキシン(LT)からなる群から選択される。「免疫増強因子」という用語は、本明細書中で、「アジュバント」という用語と交換可能に使用される。
【0028】
本明細書中で使用される場合、「融合タンパク質」という用語は、一方のポリペプチドが1つのタンパク質配列又はドメイン由来であり、他方のポリペプチドが第二のタンパク質配列又はドメイン由来である、共有結合する少なくとも2個のポリペプチドを有するタンパク質を指す。本発明の融合タンパク質は、CEAポリペプチドもしくは断片又はそれらの変異体及び第二のポリペプチドを含有し、その第二のポリペプチドは、ある場合においては、細菌性毒素である、免疫増強因子の大部分を含有する。CEAポリペプチド、断片又はそれらの変異体は、ヒトCEA又は別の種由来のCEAホモローグであり得る。この融合タンパク質を含有するポリペプチドは、好ましくは、N末端からC末端に連結する。CEAポリペプチド及び毒素サブユニットは、いかなる順番でも融合され得る。本発明のある実施形態において、図1Aで例示されるように、CEAポリペプチドのC末端を毒素サブユニットのN末端に融合させる。しかし、免疫増強因子がCEAポリペプチドのN末端に融合する融合タンパク質もまたもくろまれている。「CEA融合タンパク質」という用語は、上述のような融合体を指す一般用語であるものとし、これには、免疫増強因子を含有するポリペプチドに融合させられた、CEAポリペプチドもしくは断片又はそれらの変異体が含まれる。
【0029】
「CEA−LT融合体」という用語は、CEA遺伝子の少なくとも一部が、E.コリの易熱性エンテロトキシンのLTA又はLTBサブユニットのいずれかの大部分と融合させられている、核酸配列を指す。「CEA−LT融合タンパク質」という用語は、述べられているようなCEA−LT融合体によりコードされているポリペプチドを指す。「CEA−LT融合体」及び「CEA−LT融合タンパク質」という用語はまた、1又は複数のアミノ酸が挿入、欠失又は他のアミノ酸で置換されているものなど、それらの断片、それらのホモローグ及びそれらの機能的同等物(まとめて「変異体」と呼ぶ。)を指すと理解されたい。本発明のCEA−LT融合体は、ヒトなどの哺乳動物に投与する際、ヘルパーT細胞もしくは細胞障害性T細胞による免疫反応を刺激することができるか、又は少なくとも「野生型」CEA配列と同等に抗体産生を刺激することができる。本発明の好ましい実施形態において、CEA−LT融合体は、野生型CEAと比較して、免疫反応を促進することができる。
【0030】
「CEA−DOM融合体」という用語は、該用語がタンパク質配列を指すと文脈により明確に示されない限り、少なくともCEA遺伝子の一部が、破傷風毒素断片Cの最小化ドメインの大部分に融合させられている、核酸配列を指す。「CEA−DOM融合タンパク質」という用語は、述べられているようなCEA−DOM融合体によりコードされるポリペプチドを指す。
【0031】
「CEA−DOM融合体」及び「CEA−DOM融合タンパク質」という用語はまた、1又は複数のアミノ酸が挿入、欠失又は他のアミノ酸で置換されているものなど、それらの断片、それらのホモローグ及びそれらの機能的同等物(まとめて「変異体」と呼ぶ。)を指すと理解されたい。本発明のCEA−DOM融合体は、ヒトなどの哺乳動物に投与する際、ヘルパーT細胞もしくは細胞障害性T細胞による免疫反応を刺激することができるか、又は少なくとも「野生型」CEA配列と同等に抗体産生を刺激することができる。本発明の好ましい実施形態において、CEA−DOM融合体は、野生型CEAと比較して、免疫反応を促進することができる。
【0032】
「AD」という略語は、CEA遺伝子又はタンパク質のアンカードメインを指す。野生型ヒトCEAのアンカードメインは、配列番号20のおよそアミノ酸679からおよそアミノ酸702に位置する。
【0033】
「処置」という用語は、治療的処置及び予防もしくは防御的手段の両方を指す。処置を必要とするものには、既に疾患に罹患しているもの、ならびにその疾患に罹患しやすいもの又はその疾患を防ぐべきものが含まれる。
【0034】
「疾患」とは、本明細書中に記載の核酸分子及び該核酸分子によりコードされる融合タンパク質を含む、本発明の分子を用いた治療により利益を受けるあらゆる状態である。問題の疾患に哺乳動物が罹患しやすくなる病的状態を含む、慢性及び急性疾患もしくは疾病は、「疾患」という用語により包含される。本発明の分子は、乳癌、結腸直腸癌及び肺癌を含むがこれらに限定されない、異常な細胞増殖を特徴とする疾患又は状態の処置としての使用を意図するものである。
【0035】
「有効量」という用語は、免疫反応が起こるように、本ポリペプチドの適切なレベルを得るために十分なワクチン組成物が導入されることを意味する。当業者は、このレベルが変化し得ることを理解するであろう。
【0036】
「保存的アミノ酸置換」とは、あるアミノ酸残基の、別の化学的に類似のアミノ酸残基による置換を指す。そのような保存的置換の例は、ある疎水性残基(イソロイシン、ロイシン、バリン又はメチオニン)の、別のものへの置換;ある極性残基の、同じ電荷の別の極性残基への置換(例えば、リジンに対してアルギニン;アスパラギン酸に対してグルタミン酸)である。
【0037】
「hCEA」及び「hCEAopt」は、ヒト癌胎児性抗原及びヒトコドン最適化癌胎児性抗原をそれぞれ指す。
【0038】
「rhCEA」及び「rhCEAopt」は、アカゲザル癌胎児性抗原及びアカゲザルコドン最適化癌胎児性抗原をそれぞれ指す。
【0039】
「実質的に同等」とは、配列について、ある核酸又はアミノ酸配列が、参照配列と、少なくとも、75%、好ましくは85%、より好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の同一性を有することを意味する。本発明において、参照配列は、その文章の文脈により決定されるとおり、野生型ヒトCEAヌクレオチドもしくはアミノ酸配列の関連部分、又は細菌毒素もしくはそのサブユニットの野生型ヌクレオチドもしくはアミノ酸配列、例えばE.コリの易熱性エンテロトキシンの、LTBもしくはLTAサブユニット、であり得る。この参照配列はまた、例えば、野生型アカゲザルCEA配列でもあり得る。したがって、野生型ヒトCEAタンパク質又はその断片に対して「実質的に同等」であるCEAタンパク質配列は、野生型ヒトCEAの関連断片と、その断片に沿って、少なくとも75%の同一性、好ましくは、85%の同一性、より好ましくは90%の同一性、さらにより好ましくは95%の同一性を有する。あるCEA、LTBもしくはLTAタンパク質又はヌクレオチド配列が、参照配列に対して「実質的に同等」であるか否かは、例えば、GAPコンピュータープログラム、バージョン6.0(University of Wisconsin Genetics Computer Group(UWGCG)から入手可能。)などの、配列解析ソフトウェアを用いて配列情報を比較することにより決定することができる。このGAPプログラムは、Smith及びWaterman(Adv.Appl.Math.2:482,1981)により改訂されたような、Needleman及びWunsch(J.Mol.Biol.48:443,1970)のアラインメント法を利用している。
【0040】
遺伝子、変異体、断片又はそのサブユニットの「大部分」とは、参照配列の、少なくとも50%、好ましくは75%、より好ましくは90%及びさらにより好ましくは95%の部分を意味する。
【0041】
「遺伝子」とは、そのヌクレオチド配列がポリペプチド分子をコードする核酸分子を指す。遺伝子は、ヌクレオチドの連続配列であり得るか、又はそれらは、イントロン、プロモーター領域、スプライシング部位及び反復配列などの中断セグメントを含み得る。遺伝子はRNA又はDNAのいずれかであり得る。好ましい遺伝子は、本発明のペプチドをコードするものである。
【0042】
「核酸」又は「核酸分子」という用語は、リボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)、プローブ、オリゴヌクレオチド、それらの断片もしくは一部及びプライマーであるものとする。DNAは、相補的DNA(cDNA)又はゲノムDNAのいずれか、例えばCEA融合タンパク質をコードする遺伝子、であり得る。
【0043】
「野生型CEA」又は「野生型部分」又は「wtタンパク質」とは、天然に生じるアミノ酸配列もしくはそれらの変異体を含むタンパク質を指す。野生型ヒトCEAのアミノ酸配列は、図7E(配列番号20)に示す。野生型アカゲザルCEAのアミノ酸配列は、既に述べられている(WO2004/072287、図7A−7B参照。)。
【0044】
「野生型CEA遺伝子」とは、ヒト由来のタンパク質又は別の生物(これらに限定されないが、ラット、マウス及びアカゲザルなどの哺乳動物を含む。)から得られたタンパク質を含む、天然に生じるCEAタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する遺伝子を指す。ヒトCEA遺伝子のヌクレオチド配列は、本技術分野(前出)で入手可能である。Beaucheminら、Mol.Cell.Biol.7:3221−3230(1987);Zimmermanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:920−924(1987);及びThompsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84(9):2965−69(1987)も参照のこと。野生型アカゲザル遺伝子のヌクレオチド配列は、図7Cから7Dで示す。
【0045】
「哺乳動物」という用語は、ヒトを含むあらゆる哺乳動物を指す。
【0046】
「Ag」という略語は、抗原を指す。
【0047】
「Ab」及び「mAb」という略語は、抗体及びモノクローナル抗体をそれぞれ指す。
【0048】
「ORF」という略語は、遺伝子のオープンリーディングフレームを指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
癌胎児性抗原(CEA)は、腺癌の発生に共通して関連している。本発明は、CEA腫瘍関連抗原により発現されるタンパク質産物に対する免疫を誘導又は促進するための、組成物及び方法に関する(異常なCEA発現は、癌腫又はその発生に関与する。)。腫瘍発生時に異常なCEA発現が存在し得、腫瘍進行の後期には検出できないか、又はその逆であるので、異常なCEA発現と癌腫との関連には、CEAタンパク質がその発生の全時間点で腫瘍組織において発現されていることは必要ではない。
【0050】
このために、本発明は、癌の治療及び/又は予防に対する、ワクチン及び医薬組成物における使用のための、CEA配列もしくはそれらの変異体を含有する、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞及びコードされるタンパク質を提供する。本発明のポリヌクレオチドは、関連CEAに対する免疫反応を効果的に促進することができる、細菌性エンテロトキシン又はその大部分などの、免疫増強因子の少なくともサブユニットをコードするヌクレオチド配列に融合させられた、CEAタンパク質又はその変異体をコードするヌクレオチド配列を含有する。
【0051】
本発明のCEAヌクレオチド配列は、ヒト由来のものであり得るか、又は別の種由来のCEAホモローグであり得る。野生型ヒトCEAヌクレオチド配列が報告されている(例えば、米国特許第5,274,087号;米国特許第5,571,710号;及び米国特許第5,843,761号を参照のこと。)。アカゲザルCEA配列が最近報告された(WO2004/072287)。CEA融合体のCEA部分は、全長であるか、又は哺乳動物においてCEA特異的免疫反応を誘導するのに十分なあらゆる変異体であり得る。本発明のCEA変異体には、これらに限定されないが、C末端又はN末端切断型配列、保存的置換がある配列及び内部欠失又は挿入がある配列が含まれる。
【0052】
本発明の好ましい実施形態において、CEA融合体のCEA部分は、ヒトCEA又はその機能的同等物である。他の好ましい実施形態において、このCEA部分は、アカゲザルCEA又はその機能的同等物である。
【0053】
したがって、本発明は、CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する合成ポリヌクレオチドに関し、該融合タンパク質は、CEAタンパク質に対する免疫反応を効果的に促進することができる、免疫増強因子又はそのサブユニットに融合させられている、CEAタンパク質もしくは生物学的活性断片もしくはCEAタンパク質の突然変異形態を含有する。CEAタンパク質の該突然変異形態には、これらに限定されないが、保存的アミノ酸置換、アミノ末端切断、カルボキシ末端切断、欠失又は付加が含まれる。あらゆるそのような生物学的活性断片及び/又は突然変異体は、少なくとも実質的に、配列番号20に記載のCEAタンパク質の免疫学的特性を模倣する、タンパク質又はタンパク質断片のいずれかをコードする。本発明の合成ポリヌクレオチドは、治療又は予防的癌ワクチンの開発において有用であるように、機能的CEA融合タンパク質を発現する、mRNA分子をコードする。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、コードされるCEA融合タンパク質のCEA部分は、ヒトCEA(配列番号20)もしくはその機能的同等物、例えば、そのC末端アンカードメイン(AD)が欠失したヒトCEA(配列番号23)であり、それは、ヒト全長CEAの、およそアミノ酸679からおよそアミノ酸702に位置する。理論にとらわれないが、アンカードメインの欠失により、CEA融合タンパク質の分泌が増加し、それにより、CEA−LTB免疫反応のクロスプライミングが促進される。他の好ましい実施形態において、CEA部分は、アカゲザルCEA(配列番号18及び19)又はその機能的同等物である。
【0055】
本発明のCEA融合タンパク質の免疫増強因子部分は、関連CEAタンパク質に対する免疫反応を刺激又は促進することができ、ヒートショックタンパク質(HSP)70、リソソーム会合膜タンパク質(LAMP)、破傷風トキソイドの断片C(FrC)、FrCのN末端ドメイン(DOM)、免疫グロブリンG1の定常鎖の重鎖断片(FcIgG)、水疱性口炎ウイルス(vesicular stomatitis virus)糖タンパク質(VSV−G)、コレラ菌(Vibrio Cholerae)由来のコレラ毒素(CT)及びE.コリの易熱性エンテロトキシン(LT)からなる群から選択される。本発明の好ましい実施形態において、CEA融合体のアジュバント部分は、FrCのN末端ドメイン(DOM)を含有し、ともに送達される抗原の免疫原性を強力に増強することが示されている。さらなる好ましい実施形態において、CEA融合体のアジュバント部分は、LTのサブユニット又はそれらの大部分を含む。またさらに好ましい実施形態において、CEA融合体のアジュバント部分は、FcIgGの大部分である。
【0056】
破傷風毒素の単一エピトープ(Q830−L844)に融合させられた末端切断型ヒトCEAを含むCEA融合体が記載されている(Lundら、Cancer Gene Therapy 10:365−376(2003))。この単一エピトープ融合体とは異なり、本発明のCEA融合体は、上述のように、免疫増強因子の大部分又はそのサブユニットを含み、それは、CEAタンパク質又はその変異体の免疫原性を増強することができる。本明細書中に記載されている、組成物及び方法に対して使用される免疫増強因子の大部分には、全長毒素サブユニットの50%未満のものは含まれない。融合CEA配列に対してより大きい免疫反応を確実にするために、全長アジュバントサブユニット又はその大部分を利用する、本明細書中で使用されるストラテジーを用いた。理論にとらわれないが、アジュバントとして選択される細菌性毒素が1個のヘルパーエピトープより大きいものを含む場合、その融合タンパク質の毒素配列を1個のエピトープに制限することにより、おそらく、標的タンパク質の免疫原性に対する効果が低下することになると考えられている。さらに、免疫反応のアジュバント媒介増強が、特異的細胞受容体とのアジュバントの相互作用に依存し、普遍的なエピトープに基づくものでない場合、受容体相互作用は、アジュバント効果を与えるために免疫増強因子の大部分を必要とする、特異的な構造配置に依存し得ると考えられる。このような場合、1個のエピトープを含有する短いアジュバント配列は、免疫反応の増強を媒介するには不十分である。
【0057】
これらに限定する必要はないが、ヌクレオチド置換、欠失、付加、アミノ末端切断及びカルボキシ末端切断を含む、本明細書中に記載の免疫増強因子の変異体又は突然変異体をコードするヌクレオチド配列もまた、本発明における使用がもくろまれる。ある場合において、コードされるタンパク質の毒性を低下又は排除するために、アジュバント又はそのサブユニットをコードするヌクレオチド配列に対して特異的な点突然変異を付加することは、有利であり得る。本発明のこの態様の典型的実施形態において、LTサブユニットは、CEA融合体のCEA配列に融合させられ、ここでLTサブユニットは、そのシグナル配列が末端切断されている。理論にとらわれないが、毒素シグナル配列、例えばLTBシグナル配列を欠失させることにより、CEA融合体の翻訳後プロセシングがCEAシグナル配列により駆動されることが確実になる。
【0058】
免疫増強因子、サブユニット又はその大部分を、CEA配列の、アミノ末端又はカルボキシ末端に融合させ得る。さらに、免疫増強因子配列及びCEA配列を、N末端からN末端、C末端からC末端、C末端からN末端又はN末端からN末端で融合させることができる。本発明の好ましい実施形態において、CEAポリペプチドのC末端を免疫増強因子のN末端に融合させる。
【0059】
本発明は、新規CEA融合タンパク質を発現するmRNAをコードするヌクレオチド配列;例えば配列番号8、10、13、15、45、46、51及び53に記載のような融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する、合成核酸分子(ポリヌクレオチド)に関する。本発明の核酸分子は、実質的にその他の核酸を含まない。
【0060】
本発明はまた、本願を通して開示される核酸分子を含有する、組み換えベクター及び組み換え宿主細胞(原核及び真核の両方)に関する。本発明の、合成DNA分子、関連ベクター及び宿主は、癌ワクチンの開発に有用である。
【0061】
代表的な本発明の核酸分子は、本発明の代表的なCEA−LTA、CEA−LTB、CEA−DOM、CEA−FcIgG及びCEA−CTB融合タンパク質をコードする、図2から6、26から27、30から32で示すような、配列番号7、9、11、12、14、21、25、49、50及び52からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0062】
本発明はまた、代表的なCEA融合タンパク質を発現するmRNAをコードする、配列番号7、9、11、12、14、21、25、49、50及び52の、生物学的活性断片又は突然変異体も含む。あらゆるそのような生物学的活性断片及び/又は突然変異体は、少なくとも、これに限定されないが配列番号20に記載のhCEAタンパク質を含む、hCEAタンパク質の医薬特性を実質的に模倣する、タンパク質又はタンパク質断片のいずれかをコードする。あらゆるそのようなポリヌクレオチドには、これらに限定する必要はないが、ヌクレオチド置換、欠失、付加、アミノ末端切断及びカルボキシ末端切断が含まれる。本発明の突然変異は、癌ワクチン開発に有用であるように、真核細胞において機能的CEA融合タンパク質を発現するmRNA分子をコードする。
【0063】
発現されるタンパク質の究極的な物理的特性を実質的に変化させないDNA配列における突然変異も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、バリンのロイシンへの置換、アルギニンのリジンへの置換又はアスパラギンのグルタミンへの置換は、そのポリペプチドの機能において変化を生じ得ない。
【0064】
上述のように、本発明はさらに、本願を通して開示する核酸分子を含有する組み換えベクターに関する。これらのベクターは、DNA又はRNAから構成され得る。殆どのクローニング目的に対して、DNAベクターが好ましい。典型的なベクターには、プラスミド、改変ウイルス、バキュロウイルス、バクテリオファージ、コスミド、酵母人工染色体及び、CEA融合タンパク質をコードすることができる、エピソーム性又は統合DNAのその他の形態が含まれる。
【0065】
特定の遺伝子導入又はその他の使用に対して適切なベクターを決定することは、当業者の範囲内である。
【0066】
本願を通して開示する核酸によりコードされる、精製CEA融合タンパク質もまた本発明により提供される。本発明のこの態様の代表的な実施形態において、CEA融合タンパク質は、配列番号8、10、13、15、45、46、51及び53からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0067】
厳格な条件下で配列番号7、9、11、12、14、21、25、49、50又は52にハイブリダイズするDNA配列が、本発明に含まれる。一例として、また限定するものではないが、高ストリンジェンシーの条件を用いる手段は次のとおりである。約65℃にて、約2時間から一晩、6xSSC、5xDenhardt溶液及び100μg/ml変性サケ精子DNAからなる緩衝液中で、DNAを含有するフィルターのプレハイブリダイゼーションを行う。65℃にて、100μg/ml変性サケ精子DNA及び32P標識プローブ 5から20x106cpmを含有するプレハイブリダイゼーション混合液中で、約12時間から48時間、フィルターをハイブリダイズさせる。37℃にて約1時間、2xSSC、0.1% SDSを含有する溶液中でフィルターを洗浄する。この次に、50℃にて45分間、オートラジオグラフィーの前に、0.1xSSC、0.1% SDS中で洗浄する。高ストリンジェンシーの条件を用いるその他の手段には、約42℃にて5xSSC、5xDenhardt溶液、50% ホルムアミド中で約12時間から48時間ハイブリダイゼーション段階を行うか、又は約65℃にて約30分間から60分間、0.2xSSPE、0.2% SDS中で洗浄段階を行うかのいずれかが含まれる。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションを行うための、前述の手段において述べた試薬は、本技術分野で周知である。これらの試薬の組成の詳細は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual 第二版;Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,New York(1989)又はSambrook及びRussell、Molecular Cloning:A Laboratory Manual 第三版;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,New York(2001)で見出すことができる。前述のものに加えて、使用し得る高ストリンジェンシーのその他の条件もまた本技術分野で周知である。
【0068】
組み換え宿主細胞におけるCEA融合タンパク質の高レベル発現のために、CEA融合タンパク質コード核酸分子を含有する発現ベクターを使用し得る。発現ベクターには、これらに限定されないが、クローニングベクター、改変クローニングベクター、特別に設計したプラスミド又はウイルスが含まれ得る。様々な細菌性発現ベクターもまた、所望する場合、組み換えCEA融合体配列を細菌細胞において発現させるために使用し得る。さらに、組み換えCEA融合体配列を真菌細胞において発現させるために様々な真菌細胞発現ベクターを使用し得る。さらに、組み換えタンパク質を昆虫細胞において発現させるために、様々な昆虫細胞発現ベクターを使用し得る。
【0069】
本発明はまた、本発明の核酸分子を含有するベクターを用いて形質転換又はトランスフェクションされた宿主細胞にも関する。組み換え宿主細胞は、原核又は真核であり得、これらに限定されないが、E.コリなどの細菌、酵母などの真菌細胞、これらに限定されないがウシ、ブタ、サル及びげっ歯類由来の細胞株を含む哺乳動物細胞;及びこれらに限定されないがハエ(Drosophila)及びカイコ由来の細胞株を含む昆虫細胞が含まれる。CEA融合タンパク質又は生物学的同等形態を生成させるのに適切な条件下でこのような組み換え宿主細胞を培養することができる。本発明の好ましい実施形態において、宿主細胞はヒトである。本明細書中で定義される場合、「宿主細胞」という用語は、トランスジェニックヒト、ヒト胎児又はヒト胚の身体における宿主細胞を含むものではない。
【0070】
上述のように、組み換え宿主細胞においてCEA融合タンパク質を発現させるために、CEA融合タンパク質をコードするDNAを含有する発現ベクターを使用し得る。したがって、本発明の別の態様は、(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する核酸を含むベクターを、適切なヒト宿主細胞に導入することと(ここで、該CEA融合タンパク質は、免疫増強因子の大部分又はそのサブユニットに融合させられている、CEAタンパク質又はその変異体を含有し、該免疫増強因子又はそのサブユニットは、ヒートショックタンパク質(HSP)70、リソソーム会合膜タンパク質(LAMP)、破傷風トキソイドの断片C(FrC)、FrCのN末端ドメイン(DOM)、免疫グロブリンG1の定常鎖重鎖断片(FcIgG)、水疱性口炎ウイルス(vesicular stomatitis virus)糖タンパク質(VSV−G)、コレラ菌(Vibrio Cholerae)由来のコレラ毒素(CT)及びE.コリの易熱性エンテロトキシン(LT)からなる群から選択され;該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);(b)前記ヒトCEA融合タンパク質の発現が可能となる条件下で該宿主細胞を培養することと、を含む、組み換え宿主細胞においてCEA融合タンパク質を発現させるためのプロセスである。
【0071】
本発明のこの態様での使用のための好ましい免疫増強因子は、LTB、LTA、DOM及びFcIgGからなる群から選択される。
【0072】
本発明のこの態様のさらに好ましい実施形態において、前記融合体のCEA部分のヌクレオチド配列及び/又は前記融合体の免疫増強因子のヌクレオチド配列は、ヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。
【0073】
本発明はまた、(a)CEA−LT融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する核酸を含むベクターを、適切なヒト宿主細胞に導入することと(ここで、該CEA融合タンパク質は、LTサブユニットの大部分に融合させられている、CEAタンパク質又はその変異体を含有し;該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);(b)前記CEA−LT融合タンパク質の発現が可能となる条件下で該宿主細胞を培養することと、を含む、組み換え宿主細胞においてCEA−LT融合タンパク質を発現させるためのプロセスも提供する。
【0074】
上述のCEA−LT融合タンパク質を発現するためのプロセスの好ましい実施形態において、LTサブユニットは、LTBの大部分であり、LTB配列は、そのシグナル配列が欠失している。他の実施形態において、LTサブユニットはLTA又はその大部分である。
【0075】
本発明はまた、(a)CEA−DOM融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する核酸を含むベクターを、適切なヒト宿主細胞に導入することと(ここで、該CEA融合タンパク質は、破傷風毒素の断片C(DOM)のN末端ドメインの大部分に融合させられている、CEAタンパク質又はその変異体を含有し;該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);(b)該CEA−DOM融合タンパク質の発現が可能となる条件下で該宿主細胞を培養することと、を含む、組み換え宿主細胞においてCEA−DOM融合タンパク質を発現させるためのプロセスも提供する。
【0076】
上述のCEA−DOM融合タンパク質を発現させるためのプロセスの好ましい実施形態において、DOM部分は、ヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。他の好ましい実施形態において、CEA融合体のCEA部分は、ヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。またさらに好ましい実施形態において、CEA及びDOM部分の両方が、ヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。
【0077】
宿主細胞におけるCEA融合体の発現の後、活性型でCEA融合タンパク質を提供するために、CEA融合タンパク質を回収し得る。いくつかのタンパク質精製手段を利用することができ、それらは、使用に適切である。塩析による分画、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイト吸着クロマトグラフィー及び疎水性相互作用クロマトグラフィーの、様々な組合せ、又は個別での使用により、細胞溶解液及び抽出物から組み換えタンパク質を精製し得る。さらに、CEAタンパク質又はCEAタンパク質のポリペプチド断片に特異的な、モノクローナル又はポリクローナル抗体でできた免疫アフィニティーカラムを用いることにより、他の細胞性タンパク質から、組み換えCEA融合タンパク質を分離することができる。
【0078】
CEA融合体を含有する核酸分子及びコードされる本発明の融合タンパク質は、ワクチン開発における使用のために、CEAをコードする全長cDNAと比較して、CEA特異的免疫反応を促進するように設計した。本発明のCEA融合体配列の免疫原特性をさらに促進するために、本明細書中に記載のある実施形態において、CEA融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、下記のように、宿主細胞におけるさらなる高レベル発現のための最適化コドンを含有する。これらの実施形態において、少なくともCEA融合体のコドンの一部は、企図される宿主細胞により好まれるコドンを使用するように設計され、好ましい実施形態において、企図される宿主細胞はヒト細胞である。組み換えアデノウイルス又はプラスミドに基づくDNAワクチンの開発のために、最適化CEA融合体を使用し得、それにより、中和抗体及び細胞性免疫を介して、CEA関連癌に対する効果的な免疫学的予防が行われる。免疫原性組成物として合成分子を使用し得る。本発明は、インビボで、霊長類及びヒトなどの哺乳動物を含む脊椎動物に直接導入された際に、動物内でコードタンパク質の発現を誘導する、コドン最適化されたCEA融合体ポリヌクレオチドを与える。
【0079】
上述のように、本発明のある実施形態において、本合成分子は、ヌクレオチド配列を含み、そのヌクレオチドのいくつかは、ヒト細胞により好まれるコドンを使用するように改変されており、したがって、ヒト宿主細胞において融合タンパク質が高レベルに発現されるようになる。例えば、中和抗体及び細胞性免疫を介して、CEA関連癌腫に対する効果的な免疫予防を与えるための癌ワクチンにおいて使用され得る、CEA−LTB融合タンパク質など、CEA融合タンパク質のソースとして、本合成分子を使用し得る。本明細書中で開示される核酸分子も、DNAに基づく癌ワクチンに対する基礎として働き得る。
【0080】
4個の可能なヌクレオチドベースの「トリプレット」コドンは、60種類を超える様々な形態で存在し得る。これらのコドンは20個のみの異なるアミノ酸(ならびに転写開始及び終結)に対するメッセージを与えるので、アミノ酸の中には複数のコドンによりコードされ得るアミノ酸があるが、これは、コドン重複として知られる現象である。完全には理解されていない理由で、代替的コドンは、様々なタイプの細胞の内在性DNAにおいて均一に存在していない。実際に、ある一定のタイプの細胞において、ある一定のコドンに対する可変の自然のヒエラルキー又は「優先性」が存在すると思われる。一例として、アミノ酸ロイシンは、CTA、CTC、CTG、CTT、TTA及びTTGを含む6種類のDNAコドンのいずれかにより特定される。微生物に対するゲノムコドン頻度の網羅的分析により、E.コリの内在性DNAはCTGのロイシン特定コドンを最もよく含有し、一方、酵母及びスライム(slime)のDNAは、TTAロイシン特定コドンを最もよく含有する。このヒエラルキーの観点において、E.コリ宿主によるロイシンリッチなポリペプチドの高レベル発現を得る可能性は、ある程度コドン使用の頻度に依存すると、一般に考えられる。例えば、TTAコドンが豊富な遺伝子は、E.コリにおいてあまり発現されず、一方で、CTG豊富な遺伝子はおそらくこの宿主において高いレベルで発現されると思われる。同様に、酵母宿主細胞において、ロイシンが豊富なポリペプチドの発現に対する好ましいコドンはTTAである。
【0081】
組み換えDNA技術におけるコドン優先現象により起こるであろう結果は明白であり、この現象により、成功裡に形質転換された宿主生物において外来遺伝子の高レベル発現を達成できなかった以前の多くの失敗が説明され得る−つまり、挿入された遺伝子においてあまり「好ましく」ないコドンが繰り返し存在し得、発現のための宿主細胞機構が効率的に機能し得ない。この現象から、企図される宿主細胞の好ましいコドンを含むように設計された合成遺伝子により、組み換えDNA技術を実行するための、外来遺伝物質の最適な形態が与えられることが示唆される。このように、本発明のある態様は、ヒト細胞での発現のためにコドン最適化された、CEA融合遺伝子である。本発明の好ましい実施形態において、同じタンパク質配列をコードする代替的コドンの使用によりヒト細胞における外来CEA融合タンパク質の発現での制約が取り除かれ得ることが見出された。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態によると、CEA融合タンパク質をコードする核酸分子は、Lathe、”Synthetic Oligonucleotide Probes Deduced from Amino Acid Sequence Data:Theoretical and Practical Considerations“J.Molec.Bio.183:1−12(1985)(参照により本明細書中に組込まれる。)により述べられているように、同一の翻訳配列を有するが代替的コドンが使用されるポリヌクレオチド配列に変換される。この方法は、通常、高発現されたヒト遺伝子を伴わない野生型配列においてコドンを同定することと、ヒト細胞での高発現のために、それらを最適のコドンで置換することと、からなる。次に、新規遺伝子配列において、これらのコドン置換により生成した好ましくない配列について調べる(例えば、「ATTTA」配列、イントロンスプライシング認識部位の不用意な生成、無用の制限酵素部位など。)。存在するコドンを、同じアミノ酸に対する異なるコドンを用いて置換することにより、好ましくない配列を削除する。次に、発現の向上性について合成遺伝子セグメントを試験する。
【0083】
CEA融合タンパク質をコードする合成遺伝子配列を作製するために、上述の方法を使用し、結果として遺伝子が高レベル発現のために最適化されたコドンを含むようになった。上記の手段により、癌ワクチンにおける使用のためのコドン最適化された遺伝子を設計するための発明者らの方法の要約が与えられるが、一方で、その手段を少し改変することにより、又はその配列を少し改変することにより、同様のワクチン効率又は遺伝子の発現上昇を為し得ることを当業者は理解するであろう。
【0084】
当業者はまた、ヒト細胞におけるCEA融合体の高レベル発現のために与えられるさらなる核酸分子が構築され得、そのDNA分子のコドンの一部のみがコドン最適化されることを認識するであろう。例えば、本発明のあるいくつかの実施形態において、CEA融合体のCEA部分を構成するコドンは、ヒト細胞での高レベル発現のために最適化され、CEA融合体のアジュバント部分を構成するコドンは、実質的に野生型アジュバントコードヌクレオチド配列と同様である。本発明の他の実施形態において、CEA融合体のアジュバント部分を構成するコドンは、ヒト細胞での高レベル発現のために最適化され、CEA融合体のCEA部分を構成するコドンは、実質的に野生型CEA遺伝子と同様である。本発明のさらに他の実施形態において、CEA融合体のCEA及びアジュバント部分の両方がヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化される。CEA融合体のCEA及び/又はアジュバント部分内でコドンのサブセットのみが最適化されているCEA融合体もまた、本発明によりもくろまれる。
【0085】
本発明の核酸を、ヒト細胞において本タンパク質を効率的に発現するように設計された配列を含む発現カセットにまとめ得る。このカセットは、好ましくは、プロモーター及びターミネーター配列など、操作可能に連結された関連転写及び翻訳調節配列とともに、CEA融合タンパク質コード遺伝子を含有する。好ましい実施形態において、本プロモーターは、イントロンA配列(CMV)のないサイトメガロウイルスプロモーターであるが、強力な免疫グロブリン又はその他の真核遺伝子プロモーターなどの、あらゆる多くのその他の公知のプロモーターを使用し得ることを当業者は認識するであろう。好ましい転写ターミネーターは、ウシ成長ホルモンターミネーターであるが、その他の公知の転写ターミネーターも使用し得る。CMV−BGHターミネーターの組合せが特に好ましい。
【0086】
本発明によると、CEA融合体発現カセットがベクターに挿入される。本ベクターは、好ましくは、アデノウイルス又はプラスミドベクターであるが、プロモーターに連結する線状DNA又はアデノ関連ウイルスもしくは改変ワクシニアウイルス、レトロウイルスもしくはレンチウイルスベクターなどの他のベクターもまた使用し得る。
【0087】
選択されたベクターがアデノウイルスである場合、そのベクターは、いわゆる第一世代アデノウイルスベクターであることが好ましい。これらのアデノウイルスベクターの特徴は、非機能的E1遺伝子領域を有し、好ましくはアデノウイルスE1遺伝子領域が欠失していることである。あるいくつかの実施形態において、本発現カセットが、アデノウイルス遺伝子が正常に位置する位置に挿入される。さらに、これらのベクターは、場合によっては、非機能的E3領域を有するか、又はE3領域が欠失している。使用されるアデノウイルスゲノムにおいてE1及びE3領域両方が欠失している(ΔE1ΔE3)ことが好ましい。このアデノウイルスは、ウイルス性E1遺伝子を発現する、293細胞もしくはPERC.6細胞、又は外来タンパク質を発現するように一時的に、もしくは安定的に形質転換された、293細胞もしくはPERC.6細胞由来の細胞株などの、公知の細胞株において複製させることができる。例えば、テトラサイクリン制御可能プロモーター系など、遺伝子発現が調節されるコンストラクトを使用する場合、細胞株は制御系に関与する成分を発現し得る。そのような細胞株の一例は、T−Rex−293であり;その他のものが本技術分野で公知である。
【0088】
アデノウイルスベクターの操作における便宜のために、本アデノウイルスは、シャトルプラスミド形態であり得る。本発明はまた、プラスミド部分及び、E1が欠失しており場合によってはE3が欠失しており、CEA融合タンパク質コードヌクレオチド配列を含む発現カセットが挿入されているアデノウイルスゲノムを含有するアデノウイルス部分を含む、シャトルプラスミドベクターに関する。好ましい実施形態において、アデノウイルスベクターを容易に除去できるように、本プラスミドのアデノウイルス部分に隣接する制限部位がある。このシャトルプラスミドは、原核細胞又は真核細胞において複製し得る。
【0089】
本発明の好ましい実施形態において、本発現カセットをpMRKAd5−HV0アデノウイルスプラスミド(参照により本明細書に組込まれる、Eminiら、WO02/22080を参照のこと。)に挿入する。このプラスミドは、E1及びE3領域が削除されているAd5アデノウイルスゲノムを含む。最適化ウイルスパッケージングにおいて重要であると分かったエレメントを組み込むために、5’シス−作用パッケージング領域をさらにE1遺伝子に拡張することにより、既存のアデノベクターを凌ぐように、pMRKAd5−HV0プラスミドの設計を改善し、その結果、ウイルス増幅が向上した。有利に、この増強アデノウイルスベクターは、高継代増殖後に遺伝的安定性を維持することができる。
【0090】
DNAコンストラクトを調製し精製するための分子生物学の標準的技術により、本発明の、アデノウイルス、シャトルプラスミド及びDNA免疫原を調製することができる。
【0091】
本発明によると、E.コリの易熱性エンテロトキシンのLTAもしくはLTBサブユニットの大部分を含有する、本明細書中に記載のCEA−LT融合タンパク質コード分子(例えば配列番号12)が、対応する野生型CEA配列と同等の効率で発現されることが分かった(実施例4参照。)。本明細書中で、プラスミド、pV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBがpV1J/hCEAよりも高い抗体反応を誘導することも示されており、このことから、CEA特異的免疫反応において、LTサブユニットにより与えられるアジュバント効果が確認される(実施例11参照のこと。)。したがって、本明細書中に記載のデータから、LTA又はLTB cDNAへのCEAコード配列の融合の結果、CEA特異的免疫反応が向上することが分かる。LTBが、CD+8T細胞の優勢な誘導を伴う免疫反応での効果をより大きく増強する一方、LTAは、顕著なCD4+反応を誘導すると思われる。
【0092】
本発明によると、CEA−LTB融合体の免疫原特性が向上しているので、全長野生型CEA cDNAと比較して、CEA自己抗原に対する寛容性をより効率的に打破することができることも示された。免疫原特性におけるLTBの増強効果はまた、CEA−LTB融合体の完全にコドン最適化されたcDNAを担うプラスミドの注入においても観察された。最後に、CEA−LT融合体を担うアデノウイルスベクターを用いた、本明細書中に記載の結果から、CEA−LT融合体の免疫原性を向上させるのは、プラスミドDNA免疫付与に限定されないことが示される(実施例13を参照のこと。)。
【0093】
本発明によると、プラスミド、pV1J/hCEA−DOM及びpV1J/hCEA−FcIgGが、CEAよりも、CEA特異的な、細胞性及び液性免疫反応を大きく誘導することがさらに示された(実施例15を参照のこと。)。本発明によると、CEA融合体の免疫原特性が向上しているために、全長野生型CEA cDNAと比較して、本明細書中に記載の、DOM及びFcIgG CEA融合体を用いて、CEA自己抗原に対する寛容性をより効率的に打破できることも示された。これらの融合タンパク質の免疫原特性の向上は、DNA又はAdベクターを用いた免疫付与において観察され、このことから、CEA−LT融合体の免疫原性向上が、プラスミドDNA免疫付与に限定されないことが示される(実施例16を参照のこと。)。
【0094】
したがって、異常なCEA発現を伴う腺癌発生の予防及び/又は存在する癌の治療のための免疫原性組成物及びワクチンにおいて、上述のベクターを使用し得る。本発明のベクターによって、成功裡に形質転換された宿主生物において外来CEAの高レベル発現を得ることに関する問題を解決することにより、及びヒトなどの哺乳動物に投与した際に免疫反応を増強させることができるCEA融合タンパク質を提供することにより、ワクチン開発及び市販が実現できるようになる。
【0095】
このために、本発明のある態様は、CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを含むワクチンベクターを哺乳動物に投与することを含む、CEA関連癌を予防又は治療する方法である(ここで、CEA融合タンパク質は、ヒートショックタンパク質(HSP)70、リソソーム会合膜タンパク質(LAMP)、破傷風トキソイドの断片C(FrC)、FrCのN末端ドメイン(DOM)、免疫グロブリンG1の定常鎖重鎖断片(FcIgG)、水疱性口炎ウイルス(vesicular stomatitis virus)糖タンパク質(VSV−G)、コレラ菌(Vibrio Cholerae)由来のコレラ毒素(CT)及びE.コリの易熱性エンテロトキシン(LT)からなる群から選択される、免疫増強因子の大部分と融合させられた、CEAタンパク質又はその変異体を含有するCEA融合タンパク質であり、該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。)。
【0096】
本明細書中に記載の方法の好ましい実施形態において、免疫増強因子は、LTA、LTB、DOM及びFcIgGからなる群から選択される。
【0097】
上述の方法によると、これらに限定されないが、肺癌、乳癌及び結腸直腸癌を含む、あらゆる哺乳動物における癌の治療又は予防のために、本ワクチンベクターを投与し得る。本発明の好ましい実施形態において、該哺乳動物はヒトである。
【0098】
さらに、当業者は、述べられた治療及び予防方法における使用のために何らかのタイプのベクターを選択し得る。好ましくは、このベクターは、アデノウイルスベクター又はプラスミドベクターである。本発明の好ましい実施形態において、このベクターは、アデノウイルスE1領域に欠失がありアデノウイルスE1領域に挿入がある、アデノウイルスゲノムを含有するアデノウイルスベクターであるが、ここで、この挿入は、(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列と(該CEA融合タンパク質は、免疫増強因子又はその大部分と融合させられているCEAタンパク質又はその変異体を含有し、該免疫増強因子は、ヒートショックタンパク質(HSP)70、リソソーム会合膜タンパク質(LAMP)、破傷風トキソイドの断片C(FrC)、FrCのN末端ドメイン(DOM)、免疫グロブリンG1の定常鎖重鎖断片(FcIgG)、水疱性口炎ウイルス(vesicular stomatitis virus)糖タンパク質(VSV−G)、コレラ菌(Vibrio Cholerae)由来のコレラ毒素(CT)及びE.コリの易熱性エンテロトキシン(LT)からなる群から選択され、該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);(b)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、を含有する発現カセットを含有する。
【0099】
本発明はさらに、アデノウイルスE1領域に欠失がありアデノウイルスE1領域に挿入がある、アデノウイルスゲノムを含有するアデノウイルスワクチンベクターに関し、ここで本挿入は、(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列と(該CEA融合タンパク質は、免疫増強因子の大部分と融合させられた、CEAタンパク質又はその変異体を含有し、該免疫増強因子は、HSP70、LAMP、FrC、DOM、FcIgG、VSV−G、CT、LTA及びLTBからなる群から選択され、該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);(b)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、を含有する発現カセットを含有する。
【0100】
本発明の本態様の好ましい実施形態において、アデノウイルスベクターは、Ad5ベクターである。
【0101】
本発明の別の好ましい実施形態において、アデノウイルスベクターは、Ad6ベクターである。
【0102】
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、アデノウイルスベクターは、Ad24ベクターである。
【0103】
これらに限定されないが、チンパンジーアデノウイルスベクターを含む、ヒト以外の種に天然に感染するアデノウイルスゲノムを含有するアデノウイルスワクチンベクターもまた、本発明における使用のためにもくろまれる。本発明のこの態様の好ましい実施形態は、chimp Ad3ワクチンベクターである。
【0104】
別の態様において、本発明は、プラスミド部分と発現カセット部分とを含有するワクチンプラスミドに関し、該発現カセット部分は、(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列と(該CEA融合タンパク質は、HSP70、LAMP、FrC、DOM、FcIgG、VSV−G、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される、免疫増強因子又はその大部分と融合させられている、CEAタンパク質又はその変異体を含有し、該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);(b)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、を含有する。
【0105】
本発明のある実施形態において、免疫反応増強を誘導するために、様々な初回刺激/追加免疫の組合せにおいて、本明細書中で開示される、組み換えアデノウイルス及びプラスミドに基づくポリヌクレオチドワクチンを使用する。この場合、「初回刺激及び追加免疫」法においてこの2種類のベクターを投与する。例えば、第一のタイプのベクターを1又は複数回投与し、次に、所定の時間が経過した後(例えば、2週間、1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月又はその他の適切な間隔)、第二のタイプのベクターを1又は複数回投与する。好ましくは、それらのベクターは、同じポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの組合せをコードする発現カセットを担う。プラスミドDNAもまた使用される実施形態において、本ベクターが、哺乳動物又は昆虫細胞により認識される、1又は複数のプロモーターを含有することが好ましい。好ましい実施形態において、本プラスミドは、これらに限定されないが、CMVプロモーターなど、強力なプロモーターを含有し得る。合成CEA融合遺伝子又は発現されるべきその他の遺伝子をそのようなプロモーターに連結し得る。そのようなプラスミドの例は、述べられているような、哺乳動物発現プラスミド V1Jns(J.Shiverら、DNA Vaccines,M.Liuら編、N.Y.Acad.Sci.,N.Y.,772:198−208(1996)、これを参照により本明細書に組み込む。)である。
【0106】
上述のように、免疫反応を誘導するための、単一の治療計画の一部として、アデノウイルスベクターワクチン及びプラスミドワクチンを脊椎動物に投与し得る。このために、本発明は、(a)i)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列(該CEA融合タンパク質は、HSP70、LAMP、FrC、DOM、FcIgG、VSV−G、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合させられた、CEAタンパク質又はその変異体を含有し;該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。)と;ii)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、を含有する第一のベクターを哺乳動物に導入することと;(b)所定の時間を経過させることと;(c)i)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列(該CEA融合タンパク質は、HSP70、LAMP、FrC、DOM、FcIgG、VSV−G、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合させられた、CEAタンパク質又はその変異体を含有し;該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。)と;ii)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、を含有する第二のベクターを哺乳動物に導入することと、を含む、哺乳動物をCEA関連癌から防御する方法に関する。
【0107】
上述の防御方法のある実施形態において、この第一のベクターはプラスミドであり、第二のベクターはアデノウイルスベクターである。代替的な実施形態において、この第一のベクターはアデノウイルスベクターであり、第二のベクターはプラスミドである。
【0108】
上述の方法において、ベクターの各投与を所定の時間あけて、第一のタイプのベクターを複数回投与し得る。このような第一のタイプのベクターの一連の投与に続き、所定の時間が経過した後、第二のタイプのベクターの投与を複数回、行い得る。第一のタイプのベクターでの処置と同様に、第二のタイプのベクターもまた、1回又は、所定の時間間隔の後、複数回与え得る。
【0109】
本発明はさらに、(a)i)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列(該CEA融合タンパク質は、HSP70、LAMP、FrC、DOM、FcIgG、VSV−G、CT及びLTからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合させられた、CEAタンパク質又はその変異体を含有し;該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。)と;ii)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、を含有する第一のベクターを哺乳動物に導入することと;(b)所定の時間を経過させることと;(c)i)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列(該CEA融合タンパク質は、HSP70、LAMP、FrC、DOM、FcIgG、VSV−G、CT及びLTからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合させられた、CEAタンパク質又はその変異体を含有し;該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。)と;ii)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、を含有する第二のベクターを哺乳動物に導入することと、を含む、CEA関連腺癌に罹患している哺乳動物を治療する方法に関する。
【0110】
上述の治療方法のある実施形態において、この第一のベクターはプラスミドであり、第二のベクターはアデノウイルスベクターである。代替的な実施形態において、この第一のベクターはアデノウイルスベクターであり、第二のベクターはプラスミドである。
【0111】
上述の方法の好ましい実施形態において、本ベクターは、CEA−LT融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有し、このCEA融合タンパク質は、LTサブユニットの大部分に融合させられている、CEAタンパク質又はその変異体を含有する。さらなる好ましい実施形態において、本ベクターは、CEA−LTB融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。上述の方法のさらなる好ましい実施形態において、本ベクターは、CEA−DOM融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有し、このCEA融合タンパク質は、DOMサブユニットの大部分に融合させられている、CEAタンパク質又はその変異体を含有する。またさらに好ましい実施形態において、本ベクターは、CEA−FcIgG融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。
【0112】
ワクチン受容者に導入されるべき、発現可能なDNA又は転写されるRNAの量は、ある程度、使用されるプロモーターの強さ及び発現される遺伝子産物の免疫原性に依存する。一般に、プラスミドワクチンベクター 約1ngから100mg、好ましくは約10μgから300μgという免疫学的もしくは予防的有効用量を直接、筋肉組織に投与する。組み換えアデノウイルスの有効用量は、約106から1012粒子、好ましくは、約107から1011粒子である。皮下注射、皮内導入、皮膚を介した印象(impression)及び、腹腔内、静脈内、筋肉内又は吸入送達などの投与のその他の様式ももくろまれる。
【0113】
本発明の好ましい実施形態において、筋肉内注射を介して受容者にワクチンベクターを導入する。
【0114】
本発明のワクチンベクターは、裸のものであり得る、つまり、何らかのタンパク質又は受容者の免疫系に影響を与えるその他の薬剤と組み合わせられていない。この場合、本ワクチンベクターが、これらに限定されないが、滅菌生理食塩水又は滅菌緩衝生理食塩水などの、生理学的に許容可能な溶液中にあることが望ましい。あるいは、これらに限定されないがカルシウムイオンなど、DNAの細胞取り込みを補助する薬剤を投与することは有利であり得る。これらの薬剤は、一般にトランスフェクション促進剤及び医薬適合性の担体と呼ばれる。当業者は、特定の薬剤又は医薬適合性の担体ならびに適切な投与時間及び投与様式を決定することができる。
【0115】
本明細書中で言及した公表物は全て、本発明に関連して使用され得る方法及び材料を説明し開示する目的のために、参照により組込まれる。明細書のいかなる開示内容も、本発明が先行技術の効力によってこのような開示に対して先行する権利を与えられていないことを認めるものではない。
【0116】
添付の図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、本発明がまさにその実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、様々な変更及び改変が当業者によりなされ得ることを理解されたい。
【0117】
次の実施例は、本発明を説明するが、限定するものではない。
【実施例1】
【0118】
CEA融合タンパク質の構築
CEA融合タンパク質の免疫原性を決定するため、選択されたポリペプチドのパネルに融合されている、ヒトCEAタンパク質の1から679番目のアミノ酸(本明細書中で以下、aa)をコードする一連のベクターを構築した(実施例2参照)。様々な実験系において示された、これらの配列の報告された免疫増強特性を考慮して、これらの配列を選択した。前記GPIアンカー配列を欠失したCEAタンパク質のcDNAを外来ポリペプチドと連結することによって、前記CEA融合体を操作した(典型的なコンストラクトは図18Aに示される)。この腫瘍抗原をHSP70配列、FcIgG配列又はLAMP配列に連結し、抗原の取り込み又はエンドソーム区画への再ターゲティングの増強により免疫反応増強が起こるか否かを調べた。同様に、液性反応及びCD4+T細胞の反応を促進するために、破傷風毒素の断片C(FrC)又は有力に競合するMHCクラスI結合エピトープを欠失する最小ドメイン(DOM、図29参照)(Riceら、J.Immunol.169:3908−13(2002))に対する融合を構築した。ウィルス性糖タンパク質への融合がCEAの免疫原特性に影響を及ぼすか否かを調べるために、CEAをまた、VSV−Gコード配列に連結した。
【0119】
これらのCEA融合体のコード配列を、ベクターpV1Jnsに対して、ヒトCMV/イントロンAプロモーター+ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナルの調節下にクローニングした(実施例2)。プラスミドpV1J/CEA−FRC、pV1J/CEA−DOM、pVIJ/CEA−FcIgG、pV1J/CEA−LAMP、pV1J/CEA−VSV−G、及びpVIJ/CEA−HSP70は、指示される外来ポリペプチドのコード配列に融合された、CEAの野生型cDNAを担う。hCEA−DOM融合体及びhCEA−FcIgG融合体の典型的なヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、図26、図27及び図30で示す。
【0120】
CEA免疫原性に及ぼすE.コリの易熱性エンテロトキシンのLTAサブユニット及びLTBサブユニットの効果を評価するために、LTA(aa18から259)コード配列又はLTB(aa21から125)コード配列のいずれかへ融合されるCEAタンパク質のアミノ酸1から679をコードする一連のさらなる融合コンストラクトを生成させた。この実験のために開発された典型的なCEA−LTA融合体及びCEA−LTB融合体の構造の略図は、図1に示す。CEA−LT融合体の代表的なヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、図2から図6に示す。
【0121】
前記アンカー配列の欠失したCEAタンパク質のcDNAを、シグナルペプチドコード配列が除去されたLTサブユニットに連結することにより、CEA−LT融合体を操作した。ヒトサイトメガロウィルス(CMV)/イントロンAプロモーター+ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナルの調節下で、前記CEA−融合体コード配列をベクターpV1Jnsにクローニングした。プラスミドpV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBは、LTA及びLTBのコード配列にそれぞれ融合されたCEAの野生型cDNAを担う(実施例2参照)。
【0122】
CEA−LTB融合体を担うコンストラクトは全て、nt1から2037のCEAcDNAを、nt64から375を包含するLTB cDNA断片と融合することにより生成される。LTBコード配列は、配列特異的プライマーLTB−S1 5’−TATTCTAGATGCTCCCCAGACTATTACAGAA−3’(配列番号1)及びLTB−A1 5’−TATGCGGCCGCCTAGTTTTCCATACTGATTGCCGC−3’(配列番号2)を使用するE.コリゲノムDNAのPCR増幅により得られた。増幅されたこのDNAを前記CEAコード配列生成プラスミドの3’末端に導入した。
【実施例2】
【0123】
プラスミドコンストラクト
pV1J/CEAopt及びpV1J/CEA:これら2つのコンストラクトは、CEAの、コドン使用の最適化された、及び野生型の、cDNAをそれぞれ担う。CEAコード配列は、サイトメガロウィルスのCMV/イントロンA前初期プロモーターとウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルとの間に置かれる。pV1J/hCEAoptを生成させるために、プラスミドpCR−hCEAoptをEcoRIにより37℃で1時間消化した。得られた2156bpのインサートを精製し、プラスミドpV1JnsBのEcoRI部位へとクローニングした(Montgomeryら、DNA Cell Biol 12(9):777−83(1993))。
【0124】
pV1J/hCEAを生成させるために、プラスミドpCI/hCEA(Songら、Regulation of T−helper−1 versus T−helper−2 activity and enhancement of tumour immunity by combined DNA−based vaccination and nonviral cytokine gene transfer.(DNAベースのワクチン接種及び非ウィルス性サイトカイン遺伝子輸送の組み合わせによるTヘルパー−1活性対Tヘルパー−2活性の調節及び腫瘍免疫付与の増強)Gene Therapy 7:481−492(2000))をEcoRIで消化した。得られた2109bpのインサートをプラスミドpV1JnsAのEcoRI部位へとクローニングした(Montgomeryら、前出)。
【0125】
pV1J/hCEA−LTB及びpV1J/hCEAopt−LTB:LTBのコドン最適化cDNAを、オリゴヌクレオチドのアセンブリーにより合成し(Geneart GmbH,Regensburg,Germany)、pCR−scriptベクターにおいてクローニングした(Stratagene,La Jolla,CA)。pV1J/hCEAopt−LTBoptを生成させるために、以下のPCRプライマーを使用するPCRによりLTBoptを増幅した。すなわち、LTBopt−5’XbaI(5’末端)5’−GCTCTAGAGCCCCCCAGAGCATCACCGAGCTGTGC−3’(配列番号3)、及びLTBopt−3’BglII(3’末端)5’−GCTCTAGAACCCCTCAGAACATCACCGATCTGTGCGCC−3’(配列番号4)である。次に、増幅した産物をプラスミドpV1J/hCEAoptのXbaI/BglII部位へと挿入した。
【0126】
pV1J/hCEA−LTA:aa18から259をコードするnt54から774に対応するLTAコード配列を、配列特異的プライマーLTA−S1 5’−TATTCTAGATAATGGCGACAAATTATACCG−3’(配列番号5)、及びLTA−A1 5’−TATGCGGCCGCTCATAATTCATCCCGAATTCTGTT−3’(配列番号6)を使用して、E.コリのゲノムDNAからPCRにより増幅した。増幅されたDNAを適切な制限酵素で消化し、プラスミドpV1J/hCEAに挿入した。
【0127】
pV1J−rhCEAopt−LTB:ヒト細胞における高レベルの発現のためにコドン最適化されたアカゲザルCEAcDNAの3’断片(nt1641から2026)を、pV1J/rhCEAoptからPCRにより増幅した。増幅したcDNAは前記GPIアンカーコード配列を欠失し、XbaI/BglII制限部位を有していた。この断片をpCR−平滑末端化−rhCEAoptのPstI部位へと挿入し、このように、中間体pCR−平滑末端化−rhCEAopt XbaI/BalIIを得た。rhCEAoptをBglII/SalI断片として抽出し、pV1J−nsBにおける同じ部位においてクローニングして、このように、pV1J−rhCEAoptXbaI/BglIIを得た。5’端及び3’端でXbaI部位及びBglII部位をそれぞれ付加するpCR−script−LTBoptから、LTBoptをPCRにより増幅し、pV1J−rhCEAopt XbaI/BglIIにおいてクローニングし、このようにpV1J−rhCEAopt−LTBoptを得た。
【0128】
pV1J/CEA−FrC、pV1J/CEA−DOM、pV1J/CEA−FcIgG、pV1J/CEA−LAMP、pV1J/CEA−HSP70及びpV1J/CEA−VSV−G:参照CEA融合タンパク質をコードするコンストラクトは全て、aa1から679(配列番号23、図28B)に対応するnt1から2037(配列番号22、図28A)のCEA cDNAを、以下に対応するcDNA断片と融合することにより生成させた。すなわち、破傷風トキソイドの断片C(CEA−FrC、配列番号24)、FrCのN末端ドメイン(CEA−DOM、配列番号21及び49)、免疫グロブリンG1の定常鎖の重鎖断片(CEA−FcIgG、配列番号25)、リソソーム会合膜タンパク質(CEA−LAMP、配列番号26)、ヒートショックタンパク質70(CEA−HSP70、配列番号27)又は水泡性口内炎ウィルス糖タンパク質(CEA−VSV−G、配列番号28)である。
【0129】
FrCコード配列及びDOMコード配列を、Riceら(J.Immunol.169:3908−13(2002))において記述されるように、pRep−TeT.CプラスミドからPCR増幅により得た。ヒトPBMCのトータルRNAからFcIgGを得た。p−FAST−VSV−Gから、及びプラスミドpY3111から、それぞれVSV−G及びHSP70を得た。遺伝子アセンブリーによりLAMP1を得た。以下のプライマーを使用して増幅を行った。すなわち、FrCセンス(5’−TATTCTAGATTCAACACCAATTCCATTTTCTTATTC−3’(配列番号29))、FrCアンチセンス(5’−GCGGCCGCTAGAATCATTTGTCCATCCTTCATC−3’(配列番号30))、DOMセンス(5’−TATTCTAGATTCAACACCAATTCCATTTTCTTATTC−3’(配列番号31))、DOMアンチセンス(5’−TTAGCGGCCGCTAGTTCTGTATCATATCGTAAAGGG−3’(配列番号32))、FcIgGセンス(5’−TCTAGATAAAACTCACACATGCCCA−3’(配列番号33))、FcIgGアンチセンス(5’−GCCGACTCATTTACCCGGAGACAGGGAG−3’(配列番号34))、LAMPセンス(5’−TCTAGATTTGATCCCCATTGCTGTGGGCGGTGCCCTG−3’(配列番号35))、LAMPアンチセンス(5’−GGCGTGACTCCTCTTCCTGCCAATGAGGTAGGCAATGAG−3’(配列番号36))、VSV−Gセンス(5’−ATATCTAGATTTCACCATAGTTTTTCCACACAACC−3’(配列番号37))、VSV−Gアンチセンス(5’−GCGGCCGCCTTCCTTCCAAGTCGGTTCATCTCTATG−3’(配列番号38))、HSP70センス(5’−GCTCTAGATATGGCTCGTGCGGTCGGGATCGACC−3’(配列番号39))及びHSP70アンチセンス(5’−GCCGCGGCCGCTCACTTGGCCTCCCGGCCGTCGTCG−3’(配列番号40))である。増幅されたDNAを、CEAコード配列生成プラスミドpV1J/CEA−FrC、pV1J/CEA−DOM、pV1J/CEA−FcIgG、pV1J/CEA−LAMP、pV1J/CEA−HSP70及びpV1J/CEA−VSV−Gの3’末端に導入した。
【0130】
pV1J/CEA−DOMopt及びpV1J/CEA−FcIgGopt:DOM及びFcIgGのコドン使用最適化されたcDNAをオリゴヌクレオチドアセンブリーにより合成し(Geneart GmbH、Regensburg、Germany)、pCR−scriptベクターにおいてクローニングした(Stratagene、La Jolla、CA)。pV1J/CEA−DOMoptを生成させるために、以下のプライマーを使用して、DOMoptをPCRにより増幅した。すなわち、Domoptセンス(5’−GTTATCTAGAAGCACCCCCATCCC−3’(配列番号41))、及びDomoptリバース(5’−TTAAGATCTCTAAGATCTGGTGTCGTATCTCAGGGG−3’(配列番号42))である。次に増幅産物をプラスミドpV1J/CEAoptのXbaI/BglII部位へと挿入した。pV1J/CEA−FcIgGoptを生成させるため、以下のプライマーを使用してFcIgGoptをPCRにより増幅した。すなわちFcIgGoptセンス(5’−TTATCTAGAAAGACCCACACCTGCCCCCCTTGC−3’(配列番号43))及びFcIgGoptリバース(5’−TATAGATCTTAGGGTACCTTACTTGCCGGGG−3’(配列番号44))であり、増幅産物をプラスミドpV1J/CEAoptのXbaI/BglII部位に挿入した。
【実施例3】
【0131】
アデノウィルスベクター
Ad5/hCEAopt:プラスミドpCR−hCEAoptをEcoRIで消化した。得られた2156bpインサートを精製し、polyMRK−Ad5シャトルプラスミドのEcoRI部位へとクローニングした。
【0132】
Ad5/CEA:プラスミドpDe1ta1sp1B/hCEAをSspI及びEcoRVで消化することにより、Ad5ベクターの生成のためのシャトルプラスミドpMRK−hCEAを得た。次に、プラスミド polyMRKからの、BglII/BamHIで制限酵素処理し、Klenow処理した、1272bpの産物を用いて、この9.52kb断片に対してライゲーションを行った。hCEA及びE1隣接Ad5領域に対する発現カセットを含有する、pMRK−hCEA及びpMRK−hCEAoptからのPacI/StuI断片を、BJ5183E.コリ細胞において、ClaIにより線状にしたプラスミドpAd5へ組み換えた。得られたプラスミドはそれぞれpAd5/hCEA及びpAd5−hCEAoptであった。両プラスミドをPacIで切断してAdITRを放出させ、PerC−6細胞においてトランスフェクションを行った。一連の継代培養によりAd5ベクター増幅を行った。MRKAd5/hCEA及びMRKAd5/hCEAoptを標準的なCsCl勾配精製により精製し、A105緩衝液(5mM Tris−Cl、pH8.0、1mM MgCl2、75mM NaCl、5% スクロース、0.005 Tween20)に対してよく透析した。
【0133】
Ad5/hCEAopt−LTB:polyMRK−Ad5シャトルプラスミドをSwaIで消化し、EcoRI、BglIIで制限酵素処理しKlenow処理したpV1J/hCEAopt−LTBから生じる2300bpDNA断片を用いて、線状化したベクターをライゲーションすることにより、プラスミドpMRK−hCEAopt−LTBを構築した。pMRK−hCEAopt−LTBを線状化し、Adゲノムへと上述のように組み換えた。
【0134】
Ad5/CEA−DOMopt及びAd5/CEA−FcIgGopt:polyMRK−Ad5シャトルプラスミドをSwaIで切断することにより、及び線状化したベクターに対して、pV1J/CEA−DOMoptから生じた2.9kbDNA断片を用いてライゲーションするか、又はEcoRI、BglIIで制限酵素処理し、Klenow処理したpV1J/CEA−FcIgG1optから生じた2700bp DNA断片を用いて、線状化したベクターに対してライゲーションすることにより、プラスミドpMRK−CEA−DOMopt及びpMRK−CEA−FcIgGoptを構築した。pMRK−CEA−FcIgGopt及びpMRK−CEA−DOMoptを線状化し、上述のようにAdゲノムへと組み換えた。
【実施例4】
【0135】
様々なCEA−LT融合体コンストラクトの比較発現効率
ウィルス性疾患に対する遺伝子ワクチン接種のためのコドン最適化cDNAの使用により、標的タンパク質の発現が増加することに少なくとも部分的に依存する、より大きな免疫反応が誘発されることが示された。各アミノ酸残基に対してヒトにおいて選好的な(ヒト化した)コドンを組み込むように設計されたCEA cDNAの免疫原特性をも、LTBコード配列が向上させるか否かを検証するため、プラスミドpV1J/hCEAopt−LTBも構築した。最後に、完全にコドン最適化されたCEA−LTB融合体も、LTBの合成コドン最適化cDNAを使用して、プラスミドpV1J/hCEA−LTBoptを生成させるために構築した。
【0136】
CEA免疫原性に対するLTB効果がプラスミドDNA免疫付与に制限されないかどうかを決定するために、CMV/イントロンAプロモーター及びBGHポリアデニル化シグナルに隣接するCEAopt−LTB融合体をコードするアデノウィルス5型ベクターも構築した。プラスミドベクター及びAdベクターの両者により発現されるCEA融合タンパク質の分子量は、CEAcDNAの全長型をコードする対応するベクター由来のものと差異はなかった(データ非表示。)。
【0137】
CEA−LTA融合体及びCEA−LTB融合体をコードするベクターの発現効率及び全長CEAのcDNAの発現効率を比較するために、HeLa細胞に対して、プラスミドpV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBを用いてトランスフェクションを行った。これらのコンストラクトのCEA発現を、CEAのwt cDNA、pV1J/hCEAを担う、対応するプラスミドのCEA発現と比較した。同様に、プラスミドpV1J/hCEAopt−LTB発現効率を、pV1J/hCEAoptの発現効率と比較した。トランスフェクションから2日後に、細胞抽出物中のCEAタンパク質の量を測定することによって、これらのコンストラクトの発現効率を調べた。
【0138】
プラスミドpV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBのトランスフェクションは、プラスミドpV1J/CEA(91μg/l)と比較した場合に、培養上清中で検出されるCEAタンパク質産生量は約2倍高かった(それぞれ183μg/l及び139μg/l、図8A)。同様に、コンストラクトpV1J/hCEAopt及びpV1J/hCEAopt−LTBの発現効率も同等であった(それぞれ113μg/l及び136μg/l、図8B)。最後に、Ad/hCEAopt及びAd/hCEAopt−LTBの発現効率も、異なるmoiでHeLa細胞に感染させることにより比較した。これら2つのベクターのCEA発現効率は、moi 1000において同等であったが(それぞれ1790μg/l及び1400μg/l、図9)、一方で、moi 100では、ベクターAd/hCEAopt−LTBが産生する量は、Ad/hCEAoptよりも、培養上清中で検出可能なCEAタンパク質量が約1/4と低かった(それぞれ390μg/l及び1500μg/l)。
【0139】
したがって、これらの結果から、前記CEA−LTA融合タンパク質及びCEA−LTB融合タンパク質をコードするcDNAが、全長CEAタンパク質をコードする対応するcDNAの効率と同程度の効率で発現されることが示される。さらに、これらのcDNAの同程度のCEA発現は、それらの送達のために利用される遺伝子送達媒体のタイプにより影響されない。
【実施例5】
【0140】
CEA発現の検出
プラスミドベクター及びAdベクターによるCEA発現をウェスタンブロット分析及びELISAにより調べた。Lipofectamine2000(Life Technologies)を使用して、プラスミドをHeLa細胞へトランスフェクションした。無血清培地において37℃で30分間、HeLa細胞のアデノウィルス感染を行い、次に新鮮な培地を添加した。48時間のインキュベーション後、全細胞溶解液を回収した。細胞溶解液中に存在するCEAタンパク質を、ウサギポリクローナル抗血清を使用するウェスタンブロット分析により検出した。このタンパク質は180から200kDaのバンドとして検出された。Direct Elisa CEA Kit(DBC−Diagnostics Biochem Canada Inc)を使用して、発現されるCEAの量を細胞溶解液中で検出した。
【0141】
トランスフェクションした細胞における融合タンパク質の発現を、CEA、VSV−G、FcIgG、破傷風毒素又はHSP70に特異的な抗体を用いたウェスタンブロット分析により調べた。HeLa細胞を前記示されるプラスミドを用いてトランスフェクションするか、又は選択されるAdベクターを感染させた。48時間のインキュベーション後、全細胞溶解液及び細胞上清を回収した。
【0142】
細胞溶解液又は上清におけるCEA発現も、Direct Elisa CEA Kit(DBC−Diagnostics Biochem Canada Inc)を使用して調べた。トランスフェクションされた細胞の溶解液中で融合ポリペプチドに特異的な抗体によりCEAタンパク質が検出されたが、その一方、標的抗原の発現は擬似トランスフェクションされた対照試料において観察されなかった(図18B)。この融合タンパク質の分子量は、CEAの分子量とは有意差がなかった。様々なCEAポリペプチド間において明らかに分子量の差がないのは、おそらく、腫瘍抗原の高度のグリコシル化によるものである。
【0143】
前記CEA融合体をコードするベクターの発現効率をpV1J/CEAと比較するために、様々なプラスミドをHeLa細胞にトランスフェクションし、トランスフェクション2日後に、これらのコンストラクトのCEA発現をELISAにより調べた。プラスミドpV1J/CEA−FrC、pV1J/CEA−DOM、pV1J/CEA−FcIgG、pV1J/CEA−LAMP、pV1J/CEA−VSV−G及びpV1J/CEA−HSP70は、pV1J/CEAと同程度の効率でCEAを発現した(図19A)。この融合タンパク質のほとんどは、細胞上清において分泌及び検出されたが、CEA−LAMPはトランスフェクション細胞から放出されず、これは、おそらく、リソソーム区画へのその再ルーティングによるものであった(図19B)。したがって、これらの結果から、CEA−FrC、CEA−DOM、CEA−VSV−G、CEA−FcIgG、CEA−HSP70、及びCEA−LAMPの融合タンパク質をコードするcDNAが、全長CEAタンパク質をコードするcDNAの発現効率と等価の効率で発現されることが示される。
【実施例6】
【0144】
ペプチド
凍結乾燥したhCEAペプチドをBio−Synthesisから購入し、DMSO中で40mg/mlになるように再懸濁した。11残基まで重複している15aa長のペプチドのプールを、記述されているように組み合わせた(Facciabeneら、J.Virol.78:8663−72(2004))。最終濃度は以下のとおりであった。すなわち、プールA=1.2mg/ml、プールB=0.89mg/ml、プールC=0.89mg/ml、プールD=0.8mg/mlであった。ペプチドを−80℃で保存した。DOMに対する免疫反応を、破傷風トキソイドペプチドp30(F947NNFTVSFWLRVPKVSASHLE967(配列番号54))を使用して測定した(Riceら、J.Immunol.167:1558−65(2001))。
【実施例7】
【0145】
マウス免疫付与及び腫瘍負荷試験
動物実験は全て、IRBM Institutional animal care and use committee(動物取り扱い及び使用委員会)により承認された。雌のC57BL/6マウス(H−2b)をCharles River(Lecco、Italy)から購入した。HLA−A2.1マウス(HHD)は、F.Lemmonier(Institute Pasteur、Paris、France)の厚意により提供された。C57BL/DR4マウスをTaconic(Germantown、NY)から購入した。CEA.tgマウス(H−2b)は、J.Primus(Vanderbilt University)より提供され、標準的な条件(Clarkeら、Cancer Res.58:1469−77(1988))で維持した。プラスミドDNA 50μgをマウス大腿四頭筋に50μl体積で既に記述されているようにして電気注入した(Rizzutoら、Proc.Natl.Acd.Sci.U.S.A.96(11):6417−22(1999))。マウス大腿四頭筋において50μl体積でAd注入を遂行した。液性及び細胞性免疫反応を指示された時間に分析した。
【0146】
C57BL/6マウスを大腿四頭筋における2回のDNA注入に供した後、既に記述されているような電気刺激を行った(Rizzutoら、前出)。3週間間隔で注射を行った。CEAトランスジェニックマウスを、プラスミドDNA(50μg/注入)の1週ごとに5回の注入、Adベクター(1x109個ウィルス粒子/注入)の2回の注入又は1週ごとに5回の注入とそれに続くAdによる追加免疫のいずれかに供した。最後の注入から2週間後、液性及び細胞性免疫反応を分析した。マウスにたいして、また、5x105個のMC38−CEA細胞の皮下(s.c.)注射により負荷試験を行った(Clarkeら、前出)。1週間間隔でマウスの腫瘍成長を調べた。
【実施例8】
【0147】
抗体検出及びタイター
抗体タイター決定のための血清を後眼窩採血により得た。ELISAプレート(Nunc maxisorp)を、コーティング緩衝液(50mM NaHCO3、pH9.4)で希釈した、高度に精製されたCEAタンパク質(Fitzgerald)100ng/ウェルでコーティングし、4℃で一晩、既に記述されているようにインキュベーションした(Facciabeneら、前出)。次に、5%BSAを含有するPBSを使用して37℃で1時間プレートをブロッキングした。マウス血清を5%BSA含有のPBSで希釈した(抗体陽転率を評価するために、1/50希釈、タイターを評価するために、1:10〜1:31、2150希釈)。免疫前血清をバックグラウンドとして使用した。希釈した血清を4℃で一晩インキュベーションした。1% BSA、0.05% Tween20含有のPBSで洗浄した。二次抗体(ヤギ抗マウス、IgGペルオキシダーゼ、Sigma)を5% BSA含有のPBSで1/2000に希釈し、室温にて2時間から3時間、振盪器上でインキュベーションした。洗浄後、100μl/ウェルのTMB基質(Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL)を用いてプレートの発色を行った。1M H2SO4溶液 25μl/ウェルを用いて反応を停止させ、450nm/620nmでプレートの読み取りを行った。同一希釈での自己免疫前血清の吸光よりも、少なくとも3倍を超える吸光を生じる血清の反復限界希釈(reciprocal limiting dilution)として抗CEA血清タイターを算出した。
【実施例9】
【0148】
IFN−γELISPOTアッセイ
既に記述されているように、マウス脾臓細胞及びCEA特異的ペプチドを使用してアッセイを行った(Facciabeneら、前出)。滅菌済みPBS中で2.5μg/mlに希釈した、精製ラット抗マウスIFN−γ(IgG1、クローンR4−6A2、Pharmingen)100μl/ウェルを使用して、96穴 MAIPプレート(Millipore Corp.,Billerica,MA)をコーティングした。PBSで洗浄後、R10培地 200μl/ウェルを用いて37℃にて2時間、プレートのブロッキングを行った。
【0149】
滅菌状態で、安楽死したマウスから脾臓を摘出し、金属格子上に擦り付けて脾臓を破壊して脾臓細胞を得た。0.1xPBS 1mlを前記細胞ペレットに添加し、約15秒間ボルテックスすることにより浸透圧溶解させ、赤血球細胞を除去した。次に、2xPBS 1mlを添加し、1xPBSでその体積を4mlにした。1200rpm、室温で10分間、細胞を遠心分離することにより、ペレットにして、このペレットをR10培地 1mlで再懸濁した。Turks染色を用いて生細胞を計数した。
【0150】
脾臓細胞をウェルあたり5x105個の細胞及び2.5x105個の細胞で、デュプリケートで播種し、37℃で20時間、各ペプチドの懸濁液 1μg/mlとともにインキュベーションした。コンカナバリンA(ConA)を各マウスについてのポジティブ内部対照として5μg/mlで使用した。0.05% Tween20含有のPBSで洗浄後、アッセイ緩衝液中で1:2500に希釈したビオチン抱合型ラット抗マウスIFNγ(RatIgG1、クローンXMG1.2、PharMingen) 50μl/ウェルとともに、4℃で一晩、プレートをインキュベーションした。よく洗浄した後、スポットの発色がはっきりと見えるまで、50μl/ウェルのNBT/B−CIP(Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL)を添加することによりプレートを発色させた。蒸留水でプレートを完全に洗浄することにより、反応を停止させた。プレートを風乾させ、次にスポットを自動ELISPOT読み取り装置を使用して計数した。
【実施例10】
【0151】
細胞内サイトカイン染色
10% FCS含有RPMI 1ml中の100万から200万個のマウス脾臓細胞又はPBMCを、ペプチドのプール(各ペプチド 5から6μg/mlの最終濃度)及びブレフェルジンA(1μg/ml;BD Pharmingen カタログ番号555028/2300kk)とともに、37℃及び5%CO2にて12時間から16時間、既に記述されているようにインキュベーションした(Facciabeneら、前出)。次に、FACS緩衝液(1% FBS、0.01% NaN3含有PBS)で細胞を洗浄し、精製抗マウスCD16/CD32 Fcブロック(BD Pharmingen カタログ番号553142)とともに4℃で15分間インキュベーションした。次に細胞を洗浄し、表面抗体すなわちCD4−PE抱合型抗マウス抗体(BD Pharmingen、カタログ番号553049)、PercP CD8抱合型抗マウス抗体(BD Pharmingen、カタログ番号553036)及びAPC抱合型抗マウスCD3e抗体(BD Pharmingen、カタログ番号553066)を用いて、暗所にて室温で30分間染色した。洗浄後、細胞を固定し、Cytofix−Cytoperm Solution(BD Pharmingen、カタログ番号555028/2300kk)を用いて、暗所にて4℃で20分間、浸透を行った。Perm Wash Solution(BD Pharmingen、カタログ番号555028/2300kk)で洗浄した後、IFNγ−FITC抗体(BD Pharmingen)とともに細胞をインキュベーションした。次に、細胞を洗浄し、PBS中1%ホルムアルデヒドで固定し、FACS−CaliburフローサイトメーターでCellQuestソフトウェア(Becton Dickson,San Jose,CA)を使用して分析した。
【実施例11】
【0152】
CEA−LT融合体の免疫原性
CEA−LTA融合体及びCEA−LTB融合体をコードするプラスミドにより誘導される免疫反応を検討するために、1群9匹のC57BL/6マウスの群を、プラスミドpV1J/hCEA、pV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTB 各50μgの2回のi.m.注射により免疫付与した。さらに、CEA−LTA融合タンパク質及びCEA−LTB融合タンパク質の共発現が、CEAタンパク質の免疫原性に対して相加効果を有し得るか否かを検討するために、プラスミドpV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTB 各25μgを同時注射することにより、1群のマウスに免疫付与した。3週間の間隔で免疫付与を実施した。この特定の手段と関連する形質導入及び免疫原性の増強を考慮して、前記プラスミドDNAをマウス骨格筋に通常どおり電気注入した(Zucchelliら、J.Virol.74:11598−11607(2000);Wideraら、J.Immunol.164:4635−4640(2000))。
【0153】
最後の注射の2週間後に、異なるプラスミドにより誘発される細胞性免疫をELISPOTアッセイにより測定した。刺激された脾臓細胞からの抗原特異的IFNγ分泌を、11aaまで重複し全CEA糖タンパク質を包含する15マーのペプチドの4つのプールを使用して測定した。プールAはaa1から147を、プールBはaa137から237を、プールCはaa317から507を、プールDはaa497から703をカバーする。ネガティブ対照として、CEAペプチドを可溶化するのに利用されるのと同濃度のDMSOによる脾臓細胞の刺激に対するサイトカイン産生も測定した。
【0154】
前記ペプチドプールAにより検出されるSFC値が全コンストラクトについてバックグラウンドをわずかに上回っていたため、C57BL/6マウスにおけるDNAワクチン接種により誘発される免疫反応は、タンパク質のC末領域に主として偏向していた(図10)。pV1J/hCEA−LTBワクチン接種法は、ペプチドプールB、C及びDで検出されるSFCの幾何学的平均値がより高いことによって示されるように(pV1J/hCEA−LTB:それぞれ482、1436及び2054 SFC/106個の脾臓細胞;pV1J/hCEA:それぞれ45、350及び264 SFC/106個の脾臓細胞)、pV1J/hCEAにより誘発されるものよりも優れていた。同様に、プラスミドpV1J/hCEA−LTAも、pV1J/hCEAと比較した際、前記CEA特異的免疫反応に対する増強効果を有していた。しかし、免疫反応の増強は、ペプチドプールC及びD(それぞれ925及び528 SFC/106個の脾臓細胞)でのみ観察されたのに対し、ペプチドプールBで測定される免疫反応は低かった(15 SFC/106個脾臓細胞)。さらに、プラスミドpV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBの同時注射は、pV1J/hCEA−LTBで処理した群おいて測定される免疫反応と比較すると、CEAに対する免疫反応への有意な相乗効果を有さなかったが、むしろ、その結果、ペプチドプールB及びD(それぞれ210及び528 SFC/106個脾臓細胞)で検出されるSFC値が低下した。
【0155】
異なるCEAコンストラクトによるワクチン接種に際して誘発されるT細胞特異性を定義するために、ペプチドプールDを使用して、注射したマウス由来のプールした脾臓細胞に対して、IFNγ細胞内染色を行った。CD8+特異的反応は、pV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEAで検出されたもの(それぞれ0.14%及び0.8%、図10B)よりも、pV1J/hCEA−LTB(4.5%)を使用して注射されたマウスにおいて優れていることが検出された。対照的に、pV1J/CEA−LTAは、pV1J/hCEA−LTB及びpV1J/hCEAで観察されるもの(それぞれ0.55%及び0.58%)よりも大きい、強いCD4+特異的反応(1.21%)を誘発した。
【0156】
抗原特異的抗体を測定することにより、CEAに対する液性免疫反応の誘導を検討した(図11)。プラスミドpV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBの両者は、pV1J/hCEAよりも大きな抗体反応を誘発し、このことから、CEA特異的免疫反応に対してLTサブユニットにより発揮されるアジュバント効果が確かめられた。したがって、これらのデータから、CEAコード配列のLTAcDNA又はLTBcDNAへの融合の結果、CEA特異的免疫反応が増強されることが示される。しかし、LTBがCD8+T細胞の一般的な誘導による免疫反応に対してより大きな増強効果を有すると思われるのに対し、LTAは有力なCD4+反応を誘発する。
【実施例12】
【0157】
異なるマウス系統におけるCEA−LTB融合体の免疫原性
CEA特異的免疫反応に及ぼすLTサブユニットの増強効果が単一のマウス遺伝的背景に制限されないかどうかを調べるために、BALB/cマウス、C57/DR4マウス及びHLA−A2.1(HHD)マウスにおいてDNAベースの免疫付与を行った。BALB/cマウスはその免疫能力を考慮して選択したが、これは、様々な種類の免疫付与法に非常に反応性のあるマウス系統である。HHDトランスジェニックマウスは、ヒトMHCクラスI遺伝子を発現する。同様に、C57/DR4トランスジェニックマウスはヒトMHCクラスII遺伝子を有する。したがって、これら2種類のトランスジェニックマウス系統は、ヒトMHCクラスI及びIIハプロタイプとの関連で、CEA−LT融合体の免疫反応性に関する情報を提供し得る。
【0158】
最初に、BALB/cマウスにおけるCEA特異的免疫反応をELISPOTアッセイにより評価した。プラスミドpV1J/hCEA−LTBによる免疫付与における抗原特異的免疫反応の増強を、ペプチドプールA、B、C、Dにより検出した(pV1J/hCEA−LTB:それぞれ166、1353、796、899 SFC/106個脾臓細胞;pV1J/hCEA:それぞれ57、312、327、318 SFC/106個脾臓細胞、図12)。C57BL/6マウスで観察されるように、CEAタンパク質のN末領域は、本腫瘍抗原の他のセクションと比較して最小の免疫原性であると思われた。pV1J/hCEA−LTA免疫付与はまた、pV1J/hCEAと比較して、抗原特異的免疫反応を増強させた。この免疫反応の増強は、ペプチドプールB、C及びD(それぞれ936、727及び650 SFC/106個脾臓細胞)で検出された。さらに、2種類のプラスミド pV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBの同時注射により、有意な相加作用が生じたが、これは、ペプチドプールC及びD(それぞれ1783及び2141 SFC/106個脾臓細胞)を使用して主として検出された。
【0159】
C57/DR4マウスにおけるCEA特異的免疫反応は、pV1J/hCEA−LTBによる免疫付与により著しく増強され、これは、ペプチドプールDでのみ検出された(図13)。注射したマウスからプールしたPBMCに対して行ったIFNγ細胞内染色から、CEAに対するCD8+反応が、pV1J/hCEA−LTBにより免疫付与したマウスにおいて最も高く(15.32%)、一方、pV1J/hCEAで処理した群において非常に弱い(0.5%)ことが示された。pV1J/CEA−LTA免疫付与による抗原特異的免疫反応増強は中程度にとどまり(0.43%)、CEA−LTB融合体をコードするコンストラクトと同時注射した場合、CEA免疫原性をさらに増強することはなかった(13.44%)。興味深いことに、有意なCD4+T細胞反応は、この免疫付与マウスにおいて検出されなかった(データ非表示。)。
【0160】
プールしたPBMCに対するIFNγ細胞内染色を行うことにより、様々なCEAコードプラスミドにより誘発される免疫反応をHHDマウスにおいて評価した。免疫反応はペプチドプールB及びDでのみ検出され、図14に示されるように、pV1J/hCEA−LTBによる免疫付与の結果、標的抗原に対するCD8+反応が10倍を超えて増強された。それに対して、pV1J/hCEA−LTAを単独で使用しても、又はpV1J/hCEA−LTBと同時注射しても、免疫反応の増強は検出されなかった。CD4+T細胞反応はこの免疫付与マウスにおいて検出されなかった(データ非表示。)。
【0161】
まとめると、これらのデータから、CEAに対するLTBコード配列の融合の結果、抗原特異的免疫反応が顕著に増強されることが確認される。興味深いことに、この反応は主としてCD8+特異的であり、様々な系統のマウスにおいて観察でき、したがって、LTサブユニットにより発揮される増強効果は遺伝子型により制限されないことが示される。
【実施例13】
【0162】
トランスジェニックマウスにおけるヒトCEAに対する寛容性
hCEA−LTB融合体の免疫原特性の増強がヒトCEAに対する寛容性をより効果的に打破するか否かを調べるために、hCEA又はCEA−LTBのいずれかの、全コドンが最適化されたcDNAを担うベクターを用いてhCEAトランスジェニックマウスに免疫付与した。これらのトランスジェニックマウスは全ヒトCEA遺伝子及び隣接配列を有し、腸において、主として盲腸及び結腸において、hCEAタンパク質を発現する。したがって、このマウス系統は、この腫瘍自己抗原に対して向けられた免疫療法計画の安全性及び効率性を研究するための有用なモデルである(Clarkeら、Cancer Research 58:1469−1477(1998))。
【0163】
pV1J/hCEA−LTBoptによる免疫付与の結果、注射を行ったマウスのPBMCに対するIFNγ細胞内染色により測定されるCEA特異的免疫反応が有意に増強された(図15A)。T細胞反応の増強がペプチドプールDで検出され、これは、顕著にCD8+であった。さらに、pV1J/hCEAopt処理群と比較して、Abタイターの幾何学的平均値が47倍増強することにより示されるように、CEA特異的液性反応もまた、CEA−LTB処理マウスにおいて増強された(図15B)。
【0164】
CEA特異的免疫反応に対するLTBにより発揮される増強効果がまた、プラスミドDNA以外のベクターで免疫付与した際に観察され得るか否かを調べるために、1群12匹のCEAtgマウスの群に、Ad5/hCEAopt−LTB及びAd/hCEAoptを、1x107、1x108及び1x109vpの投与量で免疫付与した。2週間あけてマウスに2回の注射を行い、最後の注射から2週間後に、PBMCにおけるIFNγ細胞内染色により免疫反応を測定した。ペプチドプールDを使用して免疫反応を評価した。CEAに対する有意な免疫反応が1x108vp投与量で検出できた一方で、標的抗原に対する寛容性を打破するために、Ad/hCEAopt 1x109vpが必要であったため、Ad/hCEAopt−LTBはAd/hCEAoptよりも免疫原性が高かった(図16)。CD4+反応は、この免疫付与マウスのいずれにおいても検出できなかった(データ非表示)。
【0165】
これらのデータから、この自己抗原に対する寛容性が、CEA−LTB融合体の免疫原特性の増強により、より効率的に打破され得ることが確認される。さらに、CEAの免疫原特性に対するLTBの増強効果はまた、CEA−LTB融合体の全コドン最適化cDNAを担うプラスミドの注射においても観察される。最後に、これらの結果から、CEA−LTBの免疫原性の増強がプラスミドDNA免疫付与に制限されないことが示される。
【実施例14】
【0166】
CEA−LTB融合体で免疫付与されたCEAトランスジェニックマウスにおける腫瘍成長動態
CEA−LTB融合体の免疫原性の増強によっても、腫瘍進行を抑制できる治療効果増強が起こるか否かを解明することが適切であると考えられた。この目的のため、10匹のCEA−tgマウスの群に、プラスミドpV1J/hCEAopt又はpV1J/CEAopt−LTBを1週ごとに5回注射し、次いで、対応するAdベクター 1x1010vpによる最終追加免疫を行った。プラスミドDNA初回刺激−Ad追加免疫様式を利用することにより、ウィルス抗原及びバクテリア抗原に対して高レベルの細胞免疫を誘導できることを示す最新の報告を考慮して、同じ免疫付与プロトコールを本研究において採用した。最後の免疫付与から2週間後、5x105個のMC38−CEA腫瘍細胞を皮下注射することでCEAtgマウスに負荷試験を行った。この同質遺伝子的細胞株は、化学的に誘導される結腸癌に由来し、CEAを発現する。擬似処理マウスにおける腫瘍の発達を負荷試験の22日後までに検出し、その際全処理マウスにおいて腫瘍が発生していた(図17A)。さらに、負荷試験から34日後までに、かなりの体積に達する腫瘍塊の平均的サイズが同時に増加した。pV1J/hCEAoptをコードするベクターでワクチン接種されたマウスは、負荷試験後34日目で10匹の処理マウスのうち2匹が腫瘍のないままであったため、腫瘍の発達に対してある程度の抵抗性を示した。この群の腫瘍の平均的サイズは、擬似処理されたマウスにおいて観察されるものよりも小さかった。CEAopt−LTB融合体をコードするベクターによる免疫付与の結果、腫瘍発達に対する有意な防御効果が得られた。10匹の処理マウスのうちの5匹が負荷試験後34日目で腫瘍のないままであり、この群における腫瘍塊の平均的サイズは、前記擬似マウス又はpV1J/hCEAopt処理マウスにおいて観察されるものよりも有意に小さかった。したがって、これらの結果から、前記CEA−LTB融合体をコードするベクターに付随するCEA特異的免疫反応の増強は、有意な抗腫瘍効果と相関し、その結果、腫瘍成長がある程度防御され、腫瘍塊の成長動態が低下することが示される。
【実施例15】
【0167】
CEA−DOM融合体及びCEA−FcIgG融合体は、CEAタンパク質の免疫原性を増強する
CEA−FRC、CEA−DOM、CEA−VSV−G、CEA−FcIgG、CEA−HSP70及びCEA−LAMPの融合体をコードするプラスミドにより誘導される免疫反応を検討するために、1群9匹のC57BL/6マウスの群に、各プラスミド 50μg又は5μgの2回のi.m.注射を行い、免疫付与した。この免疫付与は3週間の間隔をあけて行った。エレクトロポレーションを用いて報告される形質導入及び免疫原性の増強を考慮して(Zucchelliら、J.Virology 74:11598(2000)、Wideraら、J.Immunol.164:4635(2000))、プラスミドDNAをマウス骨格筋に対して通常通りエレクトロポレーションした(DNA−EP)。
【0168】
最後の注射から2週間後に、様々なプラスミドにより誘発される免疫反応をIFNγELISPOTアッセイにより測定した。刺激した脾臓細胞からの抗原特異的IFNγ分泌を、11aaまで重複し、CEAのC末端領域を包含する15マーのペプチドのプール(プールD、aa497〜703)を使用して測定した(Zucchelliら、前出)。C57BL/6マウスにおけるCEAに対する細胞性免疫反応がこのタンパク質のC末領域に向けて主に偏向するため(Zucceliら、前出)、ペプチドプールDを使用してCEAに対する免疫反応の分析を行った。ネガティブ対照として、CEAペプチドを可溶化するのに利用されるのと同濃度のDMSOによる脾臓細胞の刺激に対するサイトカイン産生も測定した。
【0169】
pV1J/CEA−DOM又はpV1J/CEA−Fcの注射により、pV1J/CEAと比較して、CEAに対するより大きな免疫反応が誘発された。これら2つの融合タンパク質がより大きな免疫原性を有する結果、106個の脾臓細胞あたりのスポット形成細胞(SFC)の幾何学的平均値がより高くなった(図20A)。プラスミドpV1J/CEA−DOM及びpV1J/CEA−FcIgGは同様の免疫原特性を有し、プラスミドDNA 5μg又は50μgを注射した際に、CEA特異的免疫反応が3倍から4倍増強された(それぞれpV1J/CEA−DOM:590及び1098 SFC/106個脾臓細胞、pV1J/CEA−FcIgG:510及び1160、pV1J/CEA:146及び264 SFC/106個脾臓細胞)。pV1J/CEA−FrC、pV1J/CEA−LAMP、pV1J/CEA−HSP70及びpV1J/CEAにより誘発されるSFC値の間には有意差は示されなかった。CEA特異的免疫反応はネガティブ対照試料において検出されなかった。
【0170】
CEAに対する液性反応に及ぼすCEA融合体の効果を調べるために、精製CEAタンパク質を基質として用いたELISAにおいて、免疫付与マウスからの血清を試験した(図20B)。CEA特異的抗体タイターの向上は、プラスミドpV1J/CEA−DOM、pV1J/CEA−FcIgG、pV1J/CEA−FrC及びpV1J/CEA−HSP70 50μgを注射した際に観察された。対照的に、pV1J/CEA−LAMP及びpV1J/CEA−VSV−Gの注射の結果、pV1J/CEAによる免疫付与に際して観察されるのと同程度のCEA特異的抗体反応が起こった。まとめると、これらのデータから、DOM又はFcIgG cDNAに対するCEAコード配列の融合の結果、CEA特異的細胞性免疫及び液性免疫反応が増強されることが示される。
【実施例16】
【0171】
CEA−DOM融合体及びCEA−FcIgG融合体は、CEAトランスジェニックマウスにおける標的抗原に対する寛容性を打破する。
【0172】
前記標的抗原に対する寛容性は、癌ワクチンが免疫反応を誘発し、効率的な抗腫瘍効果を生じるために克服しなければならないハードルの1つである。したがって、CEA−DOM融合体及びCEA−FcIgG融合体の免疫原特性の増強により、CEAタンパク質よりも効率的にCEAに対する寛容性が打破されるか否かを調べることが適切であると考えられた。この目的のため、CEAトランスジェニックマウスを利用して比較免疫付与実験を行った。これらのトランスジェニックマウスは全長ヒトCEA遺伝子及び隣接配列を有し、CEAタンパク質を腸において、主に盲腸及び結腸において発現する。このマウス系統は、この腫瘍自己抗原に対して向けられる免疫療法計画の安全性及び効率性を研究するための有用なモデルである(Clarkeら、前出)。
【0173】
CEAの、コドン使用最適化されたcDNA(cDNAopt)を担うベクターの免疫原特性の増強を考慮して、CEA−DOM融合体のcDNAopt(CEA−DOMopt)又はCEA−FcIgG融合体のcDNAopt(CEA−FcIgGopt)を担わせるために、プラスミドベクター及びアデノウィルスベクターの両者を操作した。CEAについて観察されるように、CEA−DOMopt cDNA及びCEA−FcIgGopt cDNAは、対応する野生型cDNAよりも高い効率で発現され、これによりCEAに対する免疫反応が増強されることが示された(データ非表示)。
【0174】
単独又は組み合わせのいずれかで投与されるプラスミドDNA及びAdベクターを使用した一連の免疫付与実験により、これら2つの融合タンパク質の免疫原性をCEAの免疫原性と比較した。CEAトランスジェニックマウスのコホートを以下の様々な実験計画で免疫付与した。すなわち(i)プラスミドDNA 50μgを1週間間隔で5回注射(DNA/DNA)、(ii)1x107から1x109個の範囲のウィルス粒子(vp)の投与量で、アデノウィルスを隔週(biweekly)で2回注射(Ad/Ad)、又は(iii)1週ごとに5回のプラスミドDNAの注射後に、アデノウィルス 1x109vpの最後の注射(DNA/Ad)、である。プールDペプチドを用いた各免疫付与マウスのPBMC又は脾臓細胞に対する細胞内IFNγ染色により、免疫反応を分析した。さらに、CEA特異的抗体の誘導をELISAにより測定した。
【0175】
CEAトランスジェニックマウスのDNA/DNA免疫付与により、CEA−DOMoptベクター及びCEA−FcIgGoptベクターが、前記標的抗原に対する測定可能なCD8+T細胞反応を与えることが明らかとなった(図21A)。したがって、両コンストラクトは、これらのマウスにおいてCEAに対する寛容性を打破することができた。CEA−DOM融合タンパク質及びCEA−FcIgG融合タンパク質により誘発される抗原特異的反応は、IFNγ細胞内染色の平均値によって示されるものと同程度だった(それぞれ0.22%及び0.34%)。それにもかかわらず、これら2つのコンストラクトにより誘発される免疫反応は、pV1J/CEAoptによるワクチン接種において観察されるもの(0.07%)よりも大きかった。同様に、抗CEA液性反応も本融合タンパク質によるワクチン接種においてより大きかった。CEA特異的抗体タイターは、pV1J/CEA−DOMopt及びpV1J/CEA−FcIgGoptにより免疫付与したマウス全てにおいて検出され、抗体タイターの平均はそれぞれ56,136及び24,725であった。一方、pV1J/CEAopt免疫付与群は、CEA特異的抗体の少なくとも77倍低い(1/77)平均タイター(318)を示した(図21B)。
【0176】
Ad/Adワクチン接種法により処理したCEAトランスジェニックマウスはまた、Ad−CEAoptによるワクチン接種よりも、CEA−DOMoptAdベクター及びCEA−FcIgGoptAdベクターによるワクチン接種に際して、CEAに対する寛容性を打破する上でより優れた効率を示した。CEA特異的CD8+T細胞反応は、Ad−CEA−DOM又はAd−CEA−FcIgGの107vpという少量の注射においてワクチン接種を受けたマウスで観察することができ、CEA特異的反応は、前記2つの抗原の間で同程度であり、109vpの注射に際して増強された(それぞれ1.55%及び1.15%)。一方、有意なCD8+T細胞前駆体頻度を誘発するためには、Ad−CEAopt 109vpが必要であった(2.1%)(図21C)。CEA特異的抗体は、Ad−CEA−DOMopt及びAd−CEA−FcIgGoptで免疫付与されたマウス全てにおいて検出された。抗体タイターの平均値はそれぞれ19,600及び33,000であった。Ad−CEAoptの注射の結果、処理されたマウスのうちのわずか2匹においてのみ測定可能なCEA特異的反応が生じ、抗体タイターは有意に低かった(Zucchelliら、前出)(図21D)。興味深いことに、DNA/Ad免疫付与により、CEAベクター、CEA−DOMベクター及びCEA−FcIgGベクターにより誘発されるCD8+T細胞前駆体頻度における差が低下することが示された(図22A)。しかし、CEA特異的抗体タイターの平均値は、CEAを発現するベクターよりも、CEA−DOM及びCEA−FcIgGを発現するベクターによるワクチン接種に際して大きかった(それぞれ412、31,200、26,120)(図22B)。
【0177】
興味深いことに、前記抗原にもかかわらず、CEAに対する明らかなCD4+細胞Th1反応は、この3種類のワクチン接種法のいずれにおいても検出されなかった(データ非表示)。しかしながら、DOM配列内に存在するヘルパーエピトープp30(Riceら、J.Immunol.167:1558−65(2001))に対する有意なCD4+細胞Th1反応は、DNA/DNAワクチン接種後に検出された(0.4%)(図23)。
【0178】
したがって、これらのデータから、CEA−DOM融合タンパク質及びCEA−FcIgG融合タンパク質が、CEAタンパク質よりも優れた効率でトランスジェニックマウスにおいてCEAに対する寛容性を打破できることが示される。これらの融合タンパク質の免疫原特性の増強は、DNA又はAdベクターによるワクチン接種に際して観察できる。しかし、CEAに対するCD8+T細胞の誘発におけるこの2つの融合タンパク質のより優れた能力は、DNA/Adワクチン接種療法によって少なくともある程度低下し得る。
【実施例17】
【0179】
T細胞枯渇実験
免疫付与動物において、記述されているように(Perriconeら、J.Immunother.27(4):273−81(2004);Yoonら、J.Ethnopharmacol.93(2−3):247−53(2004))、抗CD4(GK1.5ハイブリドーマ)、抗CD8(Lyt2.2ハイブリドーマ)又は抗AsialoGM1(Wako Chemicals,Richmond,VA)のi.p.注射により、CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞の枯渇処理を行った。抗体(1回当たり100μl(腹水で希釈したもの。))を腫瘍負荷に対して7日目に注射し、次に5x105個のMC38−CEA細胞の注射から3週間にわたり、毎週注射した。枯渇条件は、フィコエリトリン抱合型MAb 抗CD4、抗CD8及び抗NK(PharMingen,San Diego,CA)を使用して末梢血のフローサイトメトリ分析により確認し、関連細胞サブセットの99%が除去されたのに対し、全ての他のサブセットは通常レベル内にとどまった。
【実施例18】
【0180】
CEA−DOM免疫付与は、CEAトランスジェニックマウスにおいて抗腫瘍効果を発揮する
発明者らは、次に、CEA−DOM融合体又はCEA−FcIgG融合体の免疫原性の増強によっても、腫瘍進行を防御できるように治療効果が増強されるか否かを確認した。この目的のために、10匹のCEAトランスジェニックマウスの群に対して、CEA−DOMベクター、CEA−FcIgGベクター又はCEAベクターによる、DNA/DNA、Ad/Ad又はDNA/Adの免疫付与法を行った。最後の免疫付与から2週間後、このCEAトランスジェニックマウスに対して、CEAを発現する同質遺伝子的な腫瘍細胞系である5x105個のMC38−CEA細胞の皮下注射により、負荷試験を行った(Clarkeら、前出)。DNA/DNA又はAd/Adの様式による免疫付与の結果、注射したベクターにより発現されるタンパク質にかかわらず、有意な抗腫瘍効果は全く得られなかった(図24)。一方、CEA−DOM融合タンパク質をコードするベクターによるDNA−EP/Ad免疫付与の結果、処理マウス10匹のうちの7匹で、負荷試験後の34日目まで腫瘍がないという、有意な抗腫瘍効果が得られた。したがって、これらの結果から、CEA−DOMopt cDNAに付随するCEA特異的免疫反応の増強及びDNA/Adワクチン接種法が、CEAトランスジェニックマウスにおける有意な抗腫瘍効果と相関することが示される。
【実施例19】
【0181】
CEA−DOM抗腫瘍効果は、CD4+T細胞、CD8+T細胞及びNK細胞に依存する。
【0182】
CEA−DOM融合体をコードするベクターによるDNA−EP及びAdの免疫付与において観察される抗腫瘍効果に関与するエフェクター細胞の特徴を調べた。DNA/Ad免疫付与後、腫瘍負荷試験前に、マウスに対して、MAbによりCD4+T細胞、CD8+T細胞又はNK細胞の枯渇処理を行った。関連するNK細胞サブセット及びT細胞サブセットが継続して除去されていることを確実にするために、腫瘍負荷試験の経過の間に抗体を与えた。3種類の細胞タイプ全ての除去を、細胞表面マーカーに特異的な抗体を用いたフローサイトメトリ分析により調べた(データ非表示)。CD4+T細胞、CD8+T細胞又はNK細胞の除去は、免疫付与マウスの生存に負の効果があり、結果として、ワクチン接種した群と比較すると、腫瘍のないマウス数が著しく減少した(図25)。したがって、これらのデータから、NK細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞が、CEA−DOMワクチン接種により発揮される抗腫瘍効果において重要な役割を果たすことが示される。
【実施例20】
【0183】
統計分析
示される場合、結果は対数格付け又は両側のStudentのt検定により分析した。0.05未満のp値を有意とした。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】図1は、本発明で開発されたベクターの略図を示す。CEA−LTA及びCEA−LTB融合体をコードする本プラスミド及びAdベクターの基本的な性質が示される。Ad5ゲノムの逆方向末端反復(ITR)も示す。
【図2A−1】図2は、代表的hCEA−LTA融合体の、ヌクレオチド(配列番号7、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号8、パネルB)を示す。LTAヌクレオチド配列は太字で示す。
【図2A−2】図2は、代表的hCEA−LTA融合体の、ヌクレオチド(配列番号7、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号8、パネルB)を示す。LTAヌクレオチド配列は太字で示す。
【図2B】図2は、代表的hCEA−LTA融合体の、ヌクレオチド(配列番号7、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号8、パネルB)を示す。LTAヌクレオチド配列は太字で示す。
【図3A−1】図3は、代表的hCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド(配列番号9、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号10、パネルB)を示す。LTBヌクレオチド配列は太字で示す。
【図3A−2】図3は、代表的hCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド(配列番号9、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号10、パネルB)を示す。LTBヌクレオチド配列は太字で示す。
【図3B】図3は、代表的hCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド(配列番号9、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号10、パネルB)を示す。LTBヌクレオチド配列は太字で示す。
【図4A】図4は、代表的hCEAopt−LTB融合体の、ヌクレオチド配列(配列番号11)を示す。LTBヌクレオチド配列は太字で示す。
【図4B】図4は、代表的hCEAopt−LTB融合体の、ヌクレオチド配列(配列番号11)を示す。LTBヌクレオチド配列は太字で示す。
【図5A−1】図5は、本明細書中でhCEAopt−LTBoptと表示する、代表的な完全最適化hCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド配列(配列番号12、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号13、パネルB)を示す。LTABヌクレオチド及びアミノ酸配列は太字で示す。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部の配列に下線を付す。
【図5A−2】図5は、本明細書中でhCEAopt−LTBoptと表示する、代表的な完全最適化hCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド配列(配列番号12、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号13、パネルB)を示す。LTABヌクレオチド及びアミノ酸配列は太字で示す。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部の配列に下線を付す。
【図5B】図5は、本明細書中でhCEAopt−LTBoptと表示する、代表的な完全最適化hCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド配列(配列番号12、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号13、パネルB)を示す。LTABヌクレオチド及びアミノ酸配列は太字で示す。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部の配列に下線を付す。
【図6A−1】図6は、本明細書中でrhCEAoptLTBoptと表示する、完全最適化アカゲザルCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド(配列番号14、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号15、パネルB)を示す。LTBヌクレオチド及びアミノ酸配列は太字で示す。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部の配列に下線を付す。
【図6A−2】図6は、本明細書中でrhCEAoptLTBoptと表示する、完全最適化アカゲザルCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド(配列番号14、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号15、パネルB)を示す。LTBヌクレオチド及びアミノ酸配列は太字で示す。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部の配列に下線を付す。
【図6B】図6は、本明細書中でrhCEAoptLTBoptと表示する、完全最適化アカゲザルCEA−LTB融合体の、ヌクレオチド(配列番号14、パネルA)及びアミノ酸配列(配列番号15、パネルB)を示す。LTBヌクレオチド及びアミノ酸配列は太字で示す。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部の配列に下線を付す。
【図7A−1】図7は、既に述べられているように(U.S.S.N.60/447,203)、アカゲザルCEAをコードする、野生型遺伝子のヌクレオチド配列(パネルA及びB、配列番号16及び17)及び対応するタンパク質のアミノ酸配列(パネルC及びD、配列番号18及び19)を示す。パネルEは、既に述べられている(例えば、米国特許第5,274,087号を参照。)、野生型ヒトCEAのアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【図7A−2】図7は、既に述べられているように(U.S.S.N.60/447,203)、アカゲザルCEAをコードする、野生型遺伝子のヌクレオチド配列(パネルA及びB、配列番号16及び17)及び対応するタンパク質のアミノ酸配列(パネルC及びD、配列番号18及び19)を示す。パネルEは、既に述べられている(例えば、米国特許第5,274,087号を参照。)、野生型ヒトCEAのアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【図7B−1】図7は、既に述べられているように(U.S.S.N.60/447,203)、アカゲザルCEAをコードする、野生型遺伝子のヌクレオチド配列(パネルA及びB、配列番号16及び17)及び対応するタンパク質のアミノ酸配列(パネルC及びD、配列番号18及び19)を示す。パネルEは、既に述べられている(例えば、米国特許第5,274,087号を参照。)、野生型ヒトCEAのアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【図7B−2】図7は、既に述べられているように(U.S.S.N.60/447,203)、アカゲザルCEAをコードする、野生型遺伝子のヌクレオチド配列(パネルA及びB、配列番号16及び17)及び対応するタンパク質のアミノ酸配列(パネルC及びD、配列番号18及び19)を示す。パネルEは、既に述べられている(例えば、米国特許第5,274,087号を参照。)、野生型ヒトCEAのアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【図7C】図7は、既に述べられているように(U.S.S.N.60/447,203)、アカゲザルCEAをコードする、野生型遺伝子のヌクレオチド配列(パネルA及びB、配列番号16及び17)及び対応するタンパク質のアミノ酸配列(パネルC及びD、配列番号18及び19)を示す。パネルEは、既に述べられている(例えば、米国特許第5,274,087号を参照。)、野生型ヒトCEAのアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【図7D】図7は、既に述べられているように(U.S.S.N.60/447,203)、アカゲザルCEAをコードする、野生型遺伝子のヌクレオチド配列(パネルA及びB、配列番号16及び17)及び対応するタンパク質のアミノ酸配列(パネルC及びD、配列番号18及び19)を示す。パネルEは、既に述べられている(例えば、米国特許第5,274,087号を参照。)、野生型ヒトCEAのアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【図7E】図7は、既に述べられているように(U.S.S.N.60/447,203)、アカゲザルCEAをコードする、野生型遺伝子のヌクレオチド配列(パネルA及びB、配列番号16及び17)及び対応するタンパク質のアミノ酸配列(パネルC及びD、配列番号18及び19)を示す。パネルEは、既に述べられている(例えば、米国特許第5,274,087号を参照。)、野生型ヒトCEAのアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【図8A】図8は、様々なCEAコンストラクトを用いてトランスフェクションした細胞におけるCEA発現効率の比較を示す。パネルAは、トレーサーとしてプラスミド pV1J/mEPO 0.2μgと組み合わせて、hCEA、hCEA−LTA及びhCEA−LTBの野生型配列を担うプラスミド 3μgを用いてトランスフェクションしたHeLa細胞の発現効率を示す。パネルBは、pV1J/hCEAopt及びpV1J/hCEAopt−LTBを用いた、同様のトランスフェクション実験からの結果を示す。細胞抽出物中に存在するCEAタンパク質量を測定し、EPO発現に対してこの値を正規化することによって、トランスフェクションから3日後に発現効率を調べた。示すデータは、2つの独立したトランスフェクションの平均CEA発現値に関する。
【図8B】図8は、様々なCEAコンストラクトを用いてトランスフェクションした細胞におけるCEA発現効率の比較を示す。パネルAは、トレーサーとしてプラスミド pV1J/mEPO 0.2μgと組み合わせて、hCEA、hCEA−LTA及びhCEA−LTBの野生型配列を担うプラスミド 3μgを用いてトランスフェクションしたHeLa細胞の発現効率を示す。パネルBは、pV1J/hCEAopt及びpV1J/hCEAopt−LTBを用いた、同様のトランスフェクション実験からの結果を示す。細胞抽出物中に存在するCEAタンパク質量を測定し、EPO発現に対してこの値を正規化することによって、トランスフェクションから3日後に発現効率を調べた。示すデータは、2つの独立したトランスフェクションの平均CEA発現値に関する。
【図9】図9は、CEAを発現する様々なアデノウイルス組み換えベクターの発現効率の比較を示す。HeLa細胞に、Ad/hCEAopt及びAd/hCEAopt−LTBを用いて100から1000のmoiで感染処理を行った。トランスフェクションから3日後に細胞抽出物に放出されるCEAタンパク質量を測定することにより、発現効率を調べた。示すデータは、2つの独立したトランスフェクションの平均CEA発現値を反映する。
【図10A】図10は、ヒトCEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘発される細胞性免疫反応の分析を示す。0及び3週に、C57BL/6マウスの3つの群に、指示されたプラスミド(CEA、CEA−LTA融合体又はCEA−LTB融合体)50μgを筋肉内に電気注入した。マウスの4番目の群に、pV1J/hCEA−LTA 25μg及びpV1J/hCEA−LTB 25μgの混合物を用いて免疫付与を行った。パネルA.追加免疫から2週間後、個々のマウス由来の脾臓細胞において、全タンパク質を包含するペプチドプールを用いて、CEAに特異的な、IFNγ−分泌T細胞の数をELISPOTアッセイにより調べた(白丸)。幾何平均値(黒菱形)も示す。パネルBは、免疫マウス由来のプールした脾臓細胞の、ペプチドプールDを用いた、IFNγ細胞内染色の結果を示す。非特異的IFNγ産生(DMSO)を各群に対して示す。
【図10B−1】図10は、ヒトCEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘発される細胞性免疫反応の分析を示す。0及び3週に、C57BL/6マウスの3つの群に、指示されたプラスミド(CEA、CEA−LTA融合体又はCEA−LTB融合体)50μgを筋肉内に電気注入した。マウスの4番目の群に、pV1J/hCEA−LTA 25μg及びpV1J/hCEA−LTB 25μgの混合物を用いて免疫付与を行った。パネルA.追加免疫から2週間後、個々のマウス由来の脾臓細胞において、全タンパク質を包含するペプチドプールを用いて、CEAに特異的な、IFNγ−分泌T細胞の数をELISPOTアッセイにより調べた(白丸)。幾何平均値(黒菱形)も示す。パネルBは、免疫マウス由来のプールした脾臓細胞の、ペプチドプールDを用いた、IFNγ細胞内染色の結果を示す。非特異的IFNγ産生(DMSO)を各群に対して示す。
【図10B−2】図10は、ヒトCEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘発される細胞性免疫反応の分析を示す。0及び3週に、C57BL/6マウスの3つの群に、指示されたプラスミド(CEA、CEA−LTA融合体又はCEA−LTB融合体)50μgを筋肉内に電気注入した。マウスの4番目の群に、pV1J/hCEA−LTA 25μg及びpV1J/hCEA−LTB 25μgの混合物を用いて免疫付与を行った。パネルA.追加免疫から2週間後、個々のマウス由来の脾臓細胞において、全タンパク質を包含するペプチドプールを用いて、CEAに特異的な、IFNγ−分泌T細胞の数をELISPOTアッセイにより調べた(白丸)。幾何平均値(黒菱形)も示す。パネルBは、免疫マウス由来のプールした脾臓細胞の、ペプチドプールDを用いた、IFNγ細胞内染色の結果を示す。非特異的IFNγ産生(DMSO)を各群に対して示す。
【図11】図11は、CEAをコードするプラスミドDNAベクターを用いて免疫したマウスからの抗体タイターを示す。精製ヒトCEAタンパク質に対する個々のタイターは、プラスミド pV1J/hCEA、pV1J/hCEA−LTA及びpV1J/hCEA−LTBを用いて免疫付与した個々のマウス由来の血清でのELISAにより測定した。平均値も示す(黒菱形)。
【図12】図12は、CEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘導される細胞性免疫反応の分析を示す。4匹のBALB/cマウスの群に、前述のとおり、指示されたプラスミドを電気注入した(図4)。最後の注入から2週間後、個々のマウス由来の脾臓細胞において、全タンパク質を包含するペプチドプールを用いて、CEAに特異的な、IFNγ−分泌T細胞の数をELISPOTアッセイにより調べた(白丸)。幾何平均値(黒菱形)も示す。
【図13】図13は、CEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘導されたCEA特異的CD8+T細胞反応の分析を示す。C57/DR4マウスに、前述のとおり、指示されたプラスミドを電気注入した(図4参照)。最後の注入から2週間後、ペプチドプールDを用いて、免疫したマウス由来のプールした脾臓細胞に対してIFNγ細胞内染色を行った。非特異的IFNγ産生(DMSO)を各群に対して示す。
【図14A】図14は、CEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘導されたCEA特異的CD8+T細胞反応の分析を示す。HHDマウスに、前述のとおり、指示されたプラスミドを電気注入した(図4参照)。最後の注入から2週間後、ペプチドプールB及びDを用いて、免疫したマウス由来のプールした脾臓細胞に対してIFNγ細胞内染色を行った。非特異的IFNγ産生(DMSO)を各群に対して示す。
【図14B】図14は、CEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘導されたCEA特異的CD8+T細胞反応の分析を示す。HHDマウスに、前述のとおり、指示されたプラスミドを電気注入した(図4参照)。最後の注入から2週間後、ペプチドプールB及びDを用いて、免疫したマウス由来のプールした脾臓細胞に対してIFNγ細胞内染色を行った。非特異的IFNγ産生(DMSO)を各群に対して示す。
【図14C】図14は、CEAをコードする様々なプラスミドベクターにより誘導されたCEA特異的CD8+T細胞反応の分析を示す。HHDマウスに、前述のとおり、指示されたプラスミドを電気注入した(図4参照)。最後の注入から2週間後、ペプチドプールB及びDを用いて、免疫したマウス由来のプールした脾臓細胞に対してIFNγ細胞内染色を行った。非特異的IFNγ産生(DMSO)を各群に対して示す。
【図15A】図15は、指示されたプラスミドを1週ごとに5回電気注入することにより免疫された、CEAトランスジェニックマウス(N=9)の細胞性及び液性免疫反応を示す。プラスミドDNA 50μg総量をi.m.で各ワクチン接種において注射した。パネルA.最後の注入から2週間後、CEA特異的なIFNγ分泌T細胞の数を、ペプチドプールDを用いて、個々のマウス由来の脾臓細胞における細胞内染色により調べた(白丸)。幾何平均値(三角)も示す。パネルB.プラスミド、pV1J/hCEAopt及びpV1J/hCEA−LTBを用いて免疫したマウスからの各血清におけるELISAにより、精製ヒトCEAタンパク質に対する個々のタイターを測定した。幾何平均値(黒菱形)も示す(黒菱形)。これらのデータから、CEA−LTB融合体がトランスジェニックマウスにおいてCEAに対する寛容性を打破することが示される。
【図15B】図15は、指示されたプラスミドを1週ごとに5回電気注入することにより免疫された、CEAトランスジェニックマウス(N=9)の細胞性及び液性免疫反応を示す。プラスミドDNA 50μg総量をi.m.で各ワクチン接種において注射した。パネルA.最後の注入から2週間後、CEA特異的なIFNγ分泌T細胞の数を、ペプチドプールDを用いて、個々のマウス由来の脾臓細胞における細胞内染色により調べた(白丸)。幾何平均値(三角)も示す。パネルB.プラスミド、pV1J/hCEAopt及びpV1J/hCEA−LTBを用いて免疫したマウスからの各血清におけるELISAにより、精製ヒトCEAタンパク質に対する個々のタイターを測定した。幾何平均値(黒菱形)も示す(黒菱形)。これらのデータから、CEA−LTB融合体がトランスジェニックマウスにおいてCEAに対する寛容性を打破することが示される。
【図16】図16は、CEAをコードする様々なアデノウイルスベクターにより誘導されたCEA特異的CD8+T細胞反応の分析を示す。CEAトランスジェニックマウスに、Ad/hCEAopt及びAd/CEAopt−LTBの様々な用量を用いて、0及び2週に免疫した。最後の注入から2週間後、ペプチドプールDを用いて、免疫した各マウス由来のPBMCのIFNγ細胞内染色を行った(黒丸)。幾何平均値も示す(黒菱形)。各注射群の非特異的IFNγ産生(DMSO)は、0.01%以下であった。
【図17A】図17は、MC38−CEA細胞を用いて負荷試験した、免疫CEAトランスジェニックマウスの腫瘍防御実験の結果を示す。10匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、指示されたプラスミドDNA(50μg/注射)の電気的注入により、1週ごとに5回免疫付与を行った。最後のDNA注入から2週間後、対応するAdベクターの1x1010vpの1回の注射により、マウスに対して追加免疫を行った。アデノウイルス追加免疫から14日後、5x105 MC38−CEA細胞を皮下注射することにより、マウスに負荷試験を行った。パネルAは、所定の時点での腫瘍のないマウスのパーセンテージを示す。パネルBは、各免疫群の平均腫瘍体積を報告する。これらのデータから、CEA−LTBを用いたCEAトランスジェニックマウスの免疫付与によりマウスにおける腫瘍成長が抑えられたことが示される。
【図17B】図17は、MC38−CEA細胞を用いて負荷試験した、免疫CEAトランスジェニックマウスの腫瘍防御実験の結果を示す。10匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、指示されたプラスミドDNA(50μg/注射)の電気的注入により、1週ごとに5回免疫付与を行った。最後のDNA注入から2週間後、対応するAdベクターの1x1010vpの1回の注射により、マウスに対して追加免疫を行った。アデノウイルス追加免疫から14日後、5x105 MC38−CEA細胞を皮下注射することにより、マウスに負荷試験を行った。パネルAは、所定の時点での腫瘍のないマウスのパーセンテージを示す。パネルBは、各免疫群の平均腫瘍体積を報告する。これらのデータから、CEA−LTBを用いたCEAトランスジェニックマウスの免疫付与によりマウスにおける腫瘍成長が抑えられたことが示される。
【図18A】パネルAは、本実験で用いられる代表的なCEA融合タンパク質の略図を示す。CEA融合タンパク質を発現するベクターは、実施例2において示すように、プラスミド pV1Jns由来であった。このコンストラクトは、GPIアンカー配列に対応する64aaの正味の欠失がある、nt1からnt2037までのCEAヌクレオチド配列を含有し、aa1からaa679のCEAを発現する。CEAに融合させられている各タンパク質を統合する配列も示す。パネルBは、トランスフェクション細胞における、pV1J由来のコンストラクトの発現を示す。HeLa細胞に、プラスミド、pV1J/CEA−VSV−G、pV1J/CEA−FcIgG、pV1J/CEA−DOM、pV1J/CEA−HSP70、pV1J/CEA−LAMP又はpV1J/CEAをトランスフェクションし、実施例5で述べるようにして、ウェスタンブロット分析のために処理した。ウェスタンブロットに使用する抗体の特異性を示す。CEAタンパク質を示す(黒矢印)。分子サイズ標準の位置(キロダルトン)も示す。
【図18B】パネルAは、本実験で用いられる代表的なCEA融合タンパク質の略図を示す。CEA融合タンパク質を発現するベクターは、実施例2において示すように、プラスミド pV1Jns由来であった。このコンストラクトは、GPIアンカー配列に対応する64aaの正味の欠失がある、nt1からnt2037までのCEAヌクレオチド配列を含有し、aa1からaa679のCEAを発現する。CEAに融合させられている各タンパク質を統合する配列も示す。パネルBは、トランスフェクション細胞における、pV1J由来のコンストラクトの発現を示す。HeLa細胞に、プラスミド、pV1J/CEA−VSV−G、pV1J/CEA−FcIgG、pV1J/CEA−DOM、pV1J/CEA−HSP70、pV1J/CEA−LAMP又はpV1J/CEAをトランスフェクションし、実施例5で述べるようにして、ウェスタンブロット分析のために処理した。ウェスタンブロットに使用する抗体の特異性を示す。CEAタンパク質を示す(黒矢印)。分子サイズ標準の位置(キロダルトン)も示す。
【図19A】図19は、CEA融合コンストラクトの発現効率の比較を示す。HeLa細胞に、指示されたプラスミドをトランスフェクションし、実施例8で述べるようにして、ELISAにより、細胞溶解液に存在するCEA由来タンパク質(A)及び上清(B)の測定を行った。得られた結果は、2つの独立の実験の代表である。
【図19B】図19は、CEA融合コンストラクトの発現効率の比較を示す。HeLa細胞に、指示されたプラスミドをトランスフェクションし、実施例8で述べるようにして、ELISAにより、細胞溶解液に存在するCEA由来タンパク質(A)及び上清(B)の測定を行った。得られた結果は、2つの独立の実験の代表である。
【図20A】図20は、CEA融合タンパク質をコードする様々なコンストラクトの免疫原性の比較を示す。C57BL/6マウスに、指示されたプラスミド 5又は50μg/投与を用いて筋肉内にエレクトロポレーションを行った。第0日及び14日に注射を行った。パネルA 実施例6及び15で述べるようにして、aa497−703(プールD)をカバーするペプチドのプールを用いて、各個別のマウスにおけるPBMC中のIFNγ分泌T細胞数を調べた。IFNγ分泌T細胞の平均数も示す(黒丸)。pV1J/CEA−DOM及びpV1J/CEA−FcIgGのSFC値は、pV1J/CEAのそれと有意差がある。パネルB.基質として精製CEAを用いたELISAにより、抗体タイターを測定した。指示されたプラスミド 50μg用量で免疫した各コホートの平均値を示す。pV1J/CEAを注射したマウスのタイターと有意差があるタイターに星印を付す。
【図20B】図20は、CEA融合タンパク質をコードする様々なコンストラクトの免疫原性の比較を示す。C57BL/6マウスに、指示されたプラスミド 5又は50μg/投与を用いて筋肉内にエレクトロポレーションを行った。第0日及び14日に注射を行った。パネルA 実施例6及び15で述べるようにして、aa497−703(プールD)をカバーするペプチドのプールを用いて、各個別のマウスにおけるPBMC中のIFNγ分泌T細胞数を調べた。IFNγ分泌T細胞の平均数も示す(黒丸)。pV1J/CEA−DOM及びpV1J/CEA−FcIgGのSFC値は、pV1J/CEAのそれと有意差がある。パネルB.基質として精製CEAを用いたELISAにより、抗体タイターを測定した。指示されたプラスミド 50μg用量で免疫した各コホートの平均値を示す。pV1J/CEAを注射したマウスのタイターと有意差があるタイターに星印を付す。
【図21A】図21は、CEAトランスジェニックマウスにおけるCEA特異的免疫反応の誘導を示す。12匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのコドン使用最適化cDNAを担う、プラスミドDNA(50μg/投与 大腿四頭筋に電気的注入)又はアデノウイルスベクター(109vp/投与)を用いて免疫付与した。各免疫マウスのPBMCにおいて、細胞内IFNγ染色により、DNA/DNA(A)及びAd/Ad(C)免疫法により誘導されたCEA特異的CD8+T細胞を測定した。各コホートの平均値も示す(黒丸)。DNA/DNA及びAd/Ad法により免疫された、CEA−DOM及びCEA−FcIgGコホートは、CEAワクチン接種群と有意差があった。DNA/DNA(B)又はAd/Ad(D)免疫付与法でワクチン接種された各個別マウスのCEA特異的抗体タイターをELISAにより測定した。CEA−DOM及びCEA−FcIgGベクターにより誘導されるタイターは、CEAにより誘導されるものと有意差があった。
【図21B】図21は、CEAトランスジェニックマウスにおけるCEA特異的免疫反応の誘導を示す。12匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのコドン使用最適化cDNAを担う、プラスミドDNA(50μg/投与 大腿四頭筋に電気的注入)又はアデノウイルスベクター(109vp/投与)を用いて免疫付与した。各免疫マウスのPBMCにおいて、細胞内IFNγ染色により、DNA/DNA(A)及びAd/Ad(C)免疫法により誘導されたCEA特異的CD8+T細胞を測定した。各コホートの平均値も示す(黒丸)。DNA/DNA及びAd/Ad法により免疫された、CEA−DOM及びCEA−FcIgGコホートは、CEAワクチン接種群と有意差があった。DNA/DNA(B)又はAd/Ad(D)免疫付与法でワクチン接種された各個別マウスのCEA特異的抗体タイターをELISAにより測定した。CEA−DOM及びCEA−FcIgGベクターにより誘導されるタイターは、CEAにより誘導されるものと有意差があった。
【図21C】図21は、CEAトランスジェニックマウスにおけるCEA特異的免疫反応の誘導を示す。12匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのコドン使用最適化cDNAを担う、プラスミドDNA(50μg/投与 大腿四頭筋に電気的注入)又はアデノウイルスベクター(109vp/投与)を用いて免疫付与した。各免疫マウスのPBMCにおいて、細胞内IFNγ染色により、DNA/DNA(A)及びAd/Ad(C)免疫法により誘導されたCEA特異的CD8+T細胞を測定した。各コホートの平均値も示す(黒丸)。DNA/DNA及びAd/Ad法により免疫された、CEA−DOM及びCEA−FcIgGコホートは、CEAワクチン接種群と有意差があった。DNA/DNA(B)又はAd/Ad(D)免疫付与法でワクチン接種された各個別マウスのCEA特異的抗体タイターをELISAにより測定した。CEA−DOM及びCEA−FcIgGベクターにより誘導されるタイターは、CEAにより誘導されるものと有意差があった。
【図21D】図21は、CEAトランスジェニックマウスにおけるCEA特異的免疫反応の誘導を示す。12匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのコドン使用最適化cDNAを担う、プラスミドDNA(50μg/投与 大腿四頭筋に電気的注入)又はアデノウイルスベクター(109vp/投与)を用いて免疫付与した。各免疫マウスのPBMCにおいて、細胞内IFNγ染色により、DNA/DNA(A)及びAd/Ad(C)免疫法により誘導されたCEA特異的CD8+T細胞を測定した。各コホートの平均値も示す(黒丸)。DNA/DNA及びAd/Ad法により免疫された、CEA−DOM及びCEA−FcIgGコホートは、CEAワクチン接種群と有意差があった。DNA/DNA(B)又はAd/Ad(D)免疫付与法でワクチン接種された各個別マウスのCEA特異的抗体タイターをELISAにより測定した。CEA−DOM及びCEA−FcIgGベクターにより誘導されるタイターは、CEAにより誘導されるものと有意差があった。
【図22A】図22は、DNA/Ad法の免疫原性を示す。12のCEAトランスジェニックマウスの群に、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのコドン使用最適化cDNAを担う、プラスミドDNA(50μg/投与)及びアデノウイルスベクター(109vp/投与)で免疫付与した。各免疫マウスのPBMCにおいて、細胞内IFNγ染色により、CEA特異的CD8+T細胞を測定した(A)。各コホートの平均値も示す(黒丸)。CEA−DOM及びCEA−FcIgGコホートは、CEAワクチン接種群と有意差があった。各個別マウスのCEA特異的抗体タイターをELISAにより測定した(B)。CEA−DOM及びCEA−FcIgGベクターにより誘導されるタイターは、CEAにより誘導されるものと有意差があった。平均値を示す(黒丸)。
【図22B】図22は、DNA/Ad法の免疫原性を示す。12のCEAトランスジェニックマウスの群に、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのコドン使用最適化cDNAを担う、プラスミドDNA(50μg/投与)及びアデノウイルスベクター(109vp/投与)で免疫付与した。各免疫マウスのPBMCにおいて、細胞内IFNγ染色により、CEA特異的CD8+T細胞を測定した(A)。各コホートの平均値も示す(黒丸)。CEA−DOM及びCEA−FcIgGコホートは、CEAワクチン接種群と有意差があった。各個別マウスのCEA特異的抗体タイターをELISAにより測定した(B)。CEA−DOM及びCEA−FcIgGベクターにより誘導されるタイターは、CEAにより誘導されるものと有意差があった。平均値を示す(黒丸)。
【図23】図23は、破傷風トキソイドタンパク質に対するCD4+T細胞反応の検出を示す。実施例16で述べるようにして、CEAトランスジェニックマウスに、pV1J/CEA−DOMoptで免疫付与した。ペプチドp30を用いて、免疫マウス由来のプールしたPBMCにおいて、IFNγ細胞内染色を行った。全リンパ球のゲーティング及びCD8+(R3)及びCD4+T細胞(R4)に対するゲーティングを示す。
【図24A】図24は、コドン最適化された、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのcDNAを担うベクターを用いたワクチン接種の抗腫瘍効果を示す。実施例18で述べるようにして、10匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、DNA/DNA(A)、Ad/Ad(B)及びDNA/Ad(C)のワクチン接種法により、コドン使用最適化された、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのcDNAを担うプラスミドDNA及びAdベクターを用いて免疫付与した。最後の注射から2週間後、5x105個のMC38−CEA腫瘍細胞のsc接種により、マウスに負荷試験を行った。ワクチン接種群における腫瘍のないマウスのパーセンテージを週に1回の間隔で調べ、非処置対照と比較した。CEA−DOMベクター(DNA/Ad様式)でワクチン接種したマウスは、対照マウスと有意差があった(log順位検定 p<0.05)。
【図24B】図24は、コドン最適化された、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのcDNAを担うベクターを用いたワクチン接種の抗腫瘍効果を示す。実施例18で述べるようにして、10匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、DNA/DNA(A)、Ad/Ad(B)及びDNA/Ad(C)のワクチン接種法により、コドン使用最適化された、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのcDNAを担うプラスミドDNA及びAdベクターを用いて免疫付与した。最後の注射から2週間後、5x105個のMC38−CEA腫瘍細胞のsc接種により、マウスに負荷試験を行った。ワクチン接種群における腫瘍のないマウスのパーセンテージを週に1回の間隔で調べ、非処置対照と比較した。CEA−DOMベクター(DNA/Ad様式)でワクチン接種したマウスは、対照マウスと有意差があった(log順位検定 p<0.05)。
【図24C】図24は、コドン最適化された、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのcDNAを担うベクターを用いたワクチン接種の抗腫瘍効果を示す。実施例18で述べるようにして、10匹のCEAトランスジェニックマウスの群に、DNA/DNA(A)、Ad/Ad(B)及びDNA/Ad(C)のワクチン接種法により、コドン使用最適化された、CEA、CEA−DOM又はCEA−FcIgGのcDNAを担うプラスミドDNA及びAdベクターを用いて免疫付与した。最後の注射から2週間後、5x105個のMC38−CEA腫瘍細胞のsc接種により、マウスに負荷試験を行った。ワクチン接種群における腫瘍のないマウスのパーセンテージを週に1回の間隔で調べ、非処置対照と比較した。CEA−DOMベクター(DNA/Ad様式)でワクチン接種したマウスは、対照マウスと有意差があった(log順位検定 p<0.05)。
【図25】図25は、CEA−DOM DNA/Ad免疫付与により誘導される抗腫瘍効果の誘導における、CD4、CD8又はNK枯渇の影響を示す。CEAトランスジェニックマウスに対して、pV1J/CEA−DOMopt 50μgを毎週繰り返し注射して免疫付与し、次いで、Ad−CEA−DOMopt 1x109vpを用いて追加免疫を行った(実施例19)。最後の注射から1週間後、マウスに対して、CD4+T細胞、CD8+T細胞又はNK細胞を枯渇させないか、又は枯渇させた。最後の免疫から2週間後、マウスに対して、5x105個のMC39−CEA腫瘍細胞のsc接種により負荷試験を行った。ワクチン接種群における、腫瘍のないマウスのパーセンテージを週に1回の間隔で調べ、非処置対照と比較した。このデータから、ワクチン接種群における腫瘍のないマウスのパーセンテージは、非処置対照及び枯渇コホートと有意差があったことが示される。
【図26A−1】図26は、本明細書中でhCEAoptDOMoptと表示される、代表的な、完全最適化hCEA−DOM融合体のヌクレオチド配列(配列番号21)を示す。コードされるタンパク質のアミノ酸配列も示す(配列番号45)。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド1から2037からなり、これは、ヒト宿主細胞での高レベル発現のために、コドン最適化されている。このヌクレオチド配列のDOM部分は太字で示すが、これもヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部配列に下線を付す。
【図26A−2】図26は、本明細書中でhCEAoptDOMoptと表示される、代表的な、完全最適化hCEA−DOM融合体のヌクレオチド配列(配列番号21)を示す。コードされるタンパク質のアミノ酸配列も示す(配列番号45)。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド1から2037からなり、これは、ヒト宿主細胞での高レベル発現のために、コドン最適化されている。このヌクレオチド配列のDOM部分は太字で示すが、これもヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部配列に下線を付す。
【図26A−3】図26は、本明細書中でhCEAoptDOMoptと表示される、代表的な、完全最適化hCEA−DOM融合体のヌクレオチド配列(配列番号21)を示す。コードされるタンパク質のアミノ酸配列も示す(配列番号45)。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド1から2037からなり、これは、ヒト宿主細胞での高レベル発現のために、コドン最適化されている。このヌクレオチド配列のDOM部分は太字で示すが、これもヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部配列に下線を付す。
【図27A−1】図27は、本明細書中でhCEAoptFcIgGoptと表示される、代表的な、hCEA−FcIgGopt融合体のヌクレオチド配列(配列番号25)を示す。コードされるタンパク質の配列も示す(配列番号46)。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド1から2037からなり、これは、ヒト宿主細胞での高レベル発現のために、コドン最適化されている。このヌクレオチド配列のFcIgG部分は太字で示すが、これもヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部配列に下線を付す。
【図27A−2】図27は、本明細書中でhCEAoptFcIgGoptと表示される、代表的な、hCEA−FcIgGopt融合体のヌクレオチド配列(配列番号25)を示す。コードされるタンパク質の配列も示す(配列番号46)。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド1から2037からなり、これは、ヒト宿主細胞での高レベル発現のために、コドン最適化されている。このヌクレオチド配列のFcIgG部分は太字で示すが、これもヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部配列に下線を付す。
【図27A−3】図27は、本明細書中でhCEAoptFcIgGoptと表示される、代表的な、hCEA−FcIgGopt融合体のヌクレオチド配列(配列番号25)を示す。コードされるタンパク質の配列も示す(配列番号46)。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド1から2037からなり、これは、ヒト宿主細胞での高レベル発現のために、コドン最適化されている。このヌクレオチド配列のFcIgG部分は太字で示すが、これもヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。CEA及びLTB配列を融合させるために用いたクローニングストラテジーにより生成された連結部配列に下線を付す。
【図28A】図28は、aa1からaa679(配列番号23、パネルB)のhCEAタンパク質の一部をコードする、nt1から2037nt(配列番号22、パネルA)の野生型ヒトCEA cDNAの一部のヌクレオチド配列を示す。
【図28B】図28は、aa1からaa679(配列番号23、パネルB)のhCEAタンパク質の一部をコードする、nt1から2037nt(配列番号22、パネルA)の野生型ヒトCEA cDNAの一部のヌクレオチド配列を示す。
【図29】図29は、(配列番号48)でも示される、DOMタンパク質をコードする、nt1からnt825(配列番号47)の破傷風毒素断片C(DOM)cDNAの最小化ドメインの非最適化ヌクレオチド配列を示す。
【図30A−1】図30は、代表的なヒトCEA−DOM融合体(配列番号49)の非最適化ヌクレオチド配列を示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなる。ヌクレオチド配列のDOM部分は太字で示す。
【図30A−2】図30は、代表的なヒトCEA−DOM融合体(配列番号49)の非最適化ヌクレオチド配列を示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなる。ヌクレオチド配列のDOM部分は太字で示す。
【図31A−1】図31は、本明細書中でrhCEA−DOMoptと表示されるアカゲザルCEA−DOM融合体の代表的なヌクレオチド配列(配列番号50)を示す。コードされる融合タンパク質の配列(配列番号51)も示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなり、ヒト宿主細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。ヌクレオチド配列のDOM部分は、またヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されており、太字で示す。
【図31A−2】図31は、本明細書中でrhCEA−DOMoptと表示されるアカゲザルCEA−DOM融合体の代表的なヌクレオチド配列(配列番号50)を示す。コードされる融合タンパク質の配列(配列番号51)も示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなり、ヒト宿主細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。ヌクレオチド配列のDOM部分は、またヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されており、太字で示す。
【図31B】図31は、本明細書中でrhCEA−DOMoptと表示されるアカゲザルCEA−DOM融合体の代表的なヌクレオチド配列(配列番号50)を示す。コードされる融合タンパク質の配列(配列番号51)も示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなり、ヒト宿主細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。ヌクレオチド配列のDOM部分は、またヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されており、太字で示す。
【図32A−1】図32は、本明細書中でrhCEA−CTBoptと表示される、アカゲザルCEA−CTB融合体の代表的ヌクレオチド配列(配列番号52)を示す。コードされる融合タンパク質(配列番号53)の配列も示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなり、ヒト宿主細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。ヌクレオチド配列のCTB部分は、またヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されており、太字で示す。
【図32A−2】図32は、本明細書中でrhCEA−CTBoptと表示される、アカゲザルCEA−CTB融合体の代表的ヌクレオチド配列(配列番号52)を示す。コードされる融合タンパク質(配列番号53)の配列も示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなり、ヒト宿主細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。ヌクレオチド配列のCTB部分は、またヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されており、太字で示す。
【図32B】図32は、本明細書中でrhCEA−CTBoptと表示される、アカゲザルCEA−CTB融合体の代表的ヌクレオチド配列(配列番号52)を示す。コードされる融合タンパク質(配列番号53)の配列も示す。この特定のCEA融合体のヌクレオチド配列のCEA部分は、ヌクレオチド 1から2037からなり、ヒト宿主細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されている。ヌクレオチド配列のCTB部分は、またヒト細胞での高レベル発現のためにコドン最適化されており、太字で示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含み、該CEA融合タンパク質は、DOM、FcIgG、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合させられているCEAタンパク質又はその変異体を含み、ならびに該融合タンパク質は哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる、核酸分子。
【請求項2】
CEAタンパク質が、ヒトCEAタンパク質又はその変異体である、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
CEAタンパク質が、アカゲザルCEAタンパク質又はその変異体である、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項4】
CEAタンパク質が、C末端で末端切断されている、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項5】
C末端切断が配列番号20のアミノ酸 679から702を含む、請求項4に記載の核酸分子。
【請求項6】
免疫増強因子が、E.コリの易熱性エンテロトキシン(LT)のサブユニットAの大部分を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項7】
免疫増強因子が、E.コリの易熱性エンテロトキシン(LT)のサブユニットBの大部分を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項8】
LTサブユニットBはそのシグナル配列が末端切断されている、請求項7に記載の核酸分子。
【請求項9】
免疫増強因子がDOM又はFcIgGの大部分を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項10】
前記ヌクレオチドの配列が、配列番号7、9、11、12、14、21、25、49、50及び52からなる群から選択されるヌクレオチドの配列を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項11】
ヌクレオチドの配列が、配列番号9、配列番号11又は配列番号12に記載のヌクレオチドの配列を含む、請求項11に記載の核酸分子。
【請求項12】
CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含み、該ヌクレオチドの配列が、配列番号12に記載されている、核酸分子。
【請求項13】
CEAタンパク質のC末端が、LTサブユニットBのN末端に融合されている、請求項8に記載の核酸分子。
【請求項14】
請求項1に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項15】
ベクターがアデノウイルスベクター又はプラスミドベクターである、請求項14に記載のベクター。
【請求項16】
ベクターが、Ad5ベクターである、請求項15に記載のベクター。
【請求項17】
ベクターがAd 6ベクター又はAd 24ベクターである、請求項15に記載のベクター。
【請求項18】
ベクターが、chimp Adベクターである、請求項15に記載のベクター。
【請求項19】
ベクターが、pV1JnsBである、請求項15に記載のベクター。
【請求項20】
請求項15に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項21】
(a)請求項1に記載の核酸分子を含むベクターを適切な宿主細胞に導入することと;
(b)前記ヒトCEA融合タンパク質の発現が可能となる条件下で該宿主細胞を培養することと、
を含む、組み換え宿主細胞においてCEA融合タンパク質を発現させるためのプロセス。
【請求項22】
請求項1に記載の核酸分子によりコードされる、精製されたCEA融合タンパク質。
【請求項23】
融合タンパク質が、配列番号8、10、13、15、45、46、51及び53からなる群から選択されるアミノ酸の配列を含む、請求項22に記載の精製されたCEA融合タンパク質。
【請求項24】
請求項1に記載の核酸分子を含むワクチンベクターを哺乳動物に投与することを含む、癌を予防又は治療する方法。
【請求項25】
哺乳動物がヒトである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ベクターが、アデノウイルスベクター又はプラスミドベクターである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ベクターが、アデノウイルスE1領域に欠失があり、及びアデノウイルスE1領域に挿入があるアデノウイルスゲノムを含むアデノウイルスベクターであり、該挿入が、
(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチド(ここで、該CEA融合タンパク質は、DOM、FcIgG、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合されているCEAタンパク質又はその変異体を含み、;ならびに該融合タンパク質は哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);及び、
(b)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーター
を含む発現カセットを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ベクターが、プラスミド部分と、
(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチド(ここで、該CEA融合タンパク質は、DOM、FcIgG、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分と融合されているCEAタンパク質又はその変異体を含み;ならびに該融合タンパク質は哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);及び、
(b)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーター
を含む発現可能なカセットとを含むプラスミドワクチンベクターである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
E1領域での欠失及びE1領域での挿入を有するアデノウイルスゲノムを含み、該挿入が、
(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチド(ここで、該CEA融合タンパク質は、DOM、FcIgG、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合されているCEAタンパク質又はその変異体を含み;ならびに該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);及び
(b)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーター
を含む発現カセットを含む、アデノウイルスワクチンベクター。
【請求項30】
Ad5ベクターである、請求項29に記載のアデノウイルスベクター。
【請求項31】
Ad6ベクター又はAd24ベクターである、請求項29に記載のアデノウイルスベクター。
【請求項32】
プラスミド部分及び発現カセット部分を含み、該発現カセット部分が、
(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチド(ここで、該CEA融合タンパク質は、DOM、FcIgG、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合されているCEAタンパク質又はその変異体を含み;ならびに該融合タンパク質は哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);及び、
(b)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、
を含む、ワクチンプラスミド。
【請求項33】
(a)(i)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチド(ここで、該CEA融合タンパク質は、DOM、FcIgG、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合されているCEAタンパク質又はその変異体を含み;ならびに該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);及び
(ii)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーター
を含む第一のベクターを哺乳動物に導入すること;
(b)所定の時間を経過させることと;及び
(c)(i)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチドと(ここで、該CEA融合タンパク質は、DOM、FcIgG、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合されているCEAタンパク質又はその変異体を含み;ならびに該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);
(ii)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーター、
を含む第二のベクターを該哺乳動物に導入すること
を含む、CEA関連癌に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物を処置する方法。
【請求項34】
第一のベクターがプラスミドであり、第二のベクターがアデノウイルスベクターである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
第一のベクターがアデノウイルスベクターであり、第二のベクターがプラスミドである、請求項33に記載の方法。
【請求項1】
CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含み、該CEA融合タンパク質は、DOM、FcIgG、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合させられているCEAタンパク質又はその変異体を含み、ならびに該融合タンパク質は哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる、核酸分子。
【請求項2】
CEAタンパク質が、ヒトCEAタンパク質又はその変異体である、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
CEAタンパク質が、アカゲザルCEAタンパク質又はその変異体である、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項4】
CEAタンパク質が、C末端で末端切断されている、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項5】
C末端切断が配列番号20のアミノ酸 679から702を含む、請求項4に記載の核酸分子。
【請求項6】
免疫増強因子が、E.コリの易熱性エンテロトキシン(LT)のサブユニットAの大部分を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項7】
免疫増強因子が、E.コリの易熱性エンテロトキシン(LT)のサブユニットBの大部分を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項8】
LTサブユニットBはそのシグナル配列が末端切断されている、請求項7に記載の核酸分子。
【請求項9】
免疫増強因子がDOM又はFcIgGの大部分を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項10】
前記ヌクレオチドの配列が、配列番号7、9、11、12、14、21、25、49、50及び52からなる群から選択されるヌクレオチドの配列を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項11】
ヌクレオチドの配列が、配列番号9、配列番号11又は配列番号12に記載のヌクレオチドの配列を含む、請求項11に記載の核酸分子。
【請求項12】
CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含み、該ヌクレオチドの配列が、配列番号12に記載されている、核酸分子。
【請求項13】
CEAタンパク質のC末端が、LTサブユニットBのN末端に融合されている、請求項8に記載の核酸分子。
【請求項14】
請求項1に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項15】
ベクターがアデノウイルスベクター又はプラスミドベクターである、請求項14に記載のベクター。
【請求項16】
ベクターが、Ad5ベクターである、請求項15に記載のベクター。
【請求項17】
ベクターがAd 6ベクター又はAd 24ベクターである、請求項15に記載のベクター。
【請求項18】
ベクターが、chimp Adベクターである、請求項15に記載のベクター。
【請求項19】
ベクターが、pV1JnsBである、請求項15に記載のベクター。
【請求項20】
請求項15に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項21】
(a)請求項1に記載の核酸分子を含むベクターを適切な宿主細胞に導入することと;
(b)前記ヒトCEA融合タンパク質の発現が可能となる条件下で該宿主細胞を培養することと、
を含む、組み換え宿主細胞においてCEA融合タンパク質を発現させるためのプロセス。
【請求項22】
請求項1に記載の核酸分子によりコードされる、精製されたCEA融合タンパク質。
【請求項23】
融合タンパク質が、配列番号8、10、13、15、45、46、51及び53からなる群から選択されるアミノ酸の配列を含む、請求項22に記載の精製されたCEA融合タンパク質。
【請求項24】
請求項1に記載の核酸分子を含むワクチンベクターを哺乳動物に投与することを含む、癌を予防又は治療する方法。
【請求項25】
哺乳動物がヒトである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ベクターが、アデノウイルスベクター又はプラスミドベクターである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ベクターが、アデノウイルスE1領域に欠失があり、及びアデノウイルスE1領域に挿入があるアデノウイルスゲノムを含むアデノウイルスベクターであり、該挿入が、
(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチド(ここで、該CEA融合タンパク質は、DOM、FcIgG、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合されているCEAタンパク質又はその変異体を含み、;ならびに該融合タンパク質は哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);及び、
(b)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーター
を含む発現カセットを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ベクターが、プラスミド部分と、
(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチド(ここで、該CEA融合タンパク質は、DOM、FcIgG、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分と融合されているCEAタンパク質又はその変異体を含み;ならびに該融合タンパク質は哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);及び、
(b)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーター
を含む発現可能なカセットとを含むプラスミドワクチンベクターである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
E1領域での欠失及びE1領域での挿入を有するアデノウイルスゲノムを含み、該挿入が、
(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチド(ここで、該CEA融合タンパク質は、DOM、FcIgG、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合されているCEAタンパク質又はその変異体を含み;ならびに該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);及び
(b)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーター
を含む発現カセットを含む、アデノウイルスワクチンベクター。
【請求項30】
Ad5ベクターである、請求項29に記載のアデノウイルスベクター。
【請求項31】
Ad6ベクター又はAd24ベクターである、請求項29に記載のアデノウイルスベクター。
【請求項32】
プラスミド部分及び発現カセット部分を含み、該発現カセット部分が、
(a)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチド(ここで、該CEA融合タンパク質は、DOM、FcIgG、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合されているCEAタンパク質又はその変異体を含み;ならびに該融合タンパク質は哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);及び、
(b)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーターと、
を含む、ワクチンプラスミド。
【請求項33】
(a)(i)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチド(ここで、該CEA融合タンパク質は、DOM、FcIgG、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合されているCEAタンパク質又はその変異体を含み;ならびに該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);及び
(ii)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーター
を含む第一のベクターを哺乳動物に導入すること;
(b)所定の時間を経過させることと;及び
(c)(i)CEA融合タンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチドと(ここで、該CEA融合タンパク質は、DOM、FcIgG、CT、LTA及びLTBからなる群から選択される免疫増強因子の大部分に融合されているCEAタンパク質又はその変異体を含み;ならびに該融合タンパク質は、哺乳動物において免疫反応を生じさせることができる。);
(ii)該ポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモーター、
を含む第二のベクターを該哺乳動物に導入すること
を含む、CEA関連癌に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物を処置する方法。
【請求項34】
第一のベクターがプラスミドであり、第二のベクターがアデノウイルスベクターである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
第一のベクターがアデノウイルスベクターであり、第二のベクターがプラスミドである、請求項33に記載の方法。
【図1】
【図2A−1】
【図2A−2】
【図2B】
【図3A−1】
【図3A−2】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A−1】
【図5A−2】
【図5B】
【図6A−1】
【図6A−2】
【図6B】
【図7A−1】
【図7A−2】
【図7B−1】
【図7B−2】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B−1】
【図10B−2】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図21D】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25】
【図26A−1】
【図26A−2】
【図26A−3】
【図27A−1】
【図27A−2】
【図27A−3】
【図28A】
【図28B】
【図29】
【図30A−1】
【図30A−2】
【図31A−1】
【図31A−2】
【図31B】
【図32A−1】
【図32A−2】
【図32B】
【図2A−1】
【図2A−2】
【図2B】
【図3A−1】
【図3A−2】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A−1】
【図5A−2】
【図5B】
【図6A−1】
【図6A−2】
【図6B】
【図7A−1】
【図7A−2】
【図7B−1】
【図7B−2】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B−1】
【図10B−2】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図21D】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25】
【図26A−1】
【図26A−2】
【図26A−3】
【図27A−1】
【図27A−2】
【図27A−3】
【図28A】
【図28B】
【図29】
【図30A−1】
【図30A−2】
【図31A−1】
【図31A−2】
【図31B】
【図32A−1】
【図32A−2】
【図32B】
【公表番号】特表2007−537722(P2007−537722A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552512(P2006−552512)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001114
【国際公開番号】WO2005/077977
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001114
【国際公開番号】WO2005/077977
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【Fターム(参考)】
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