説明

発光タグ装置

【課題】無線タグ本体と発光体とを別体構造とすることにより、ユーザの利便性を向上する。
【解決手段】無線タグ本体1と貼付発光体2とを備えた発光タグ装置100において、無線タグ本体1は、貼付発光体2へ電源を供給する電源供給部11と、IC回路部3とループアンテナ4を備えた無線タグ回路部5と、電源供給部11に接続された本体側陽極端子6及び本体側陰極端子7を備え、貼付発光体2を取り付けるための発光体取付部1aとを有し、貼付発光体2は、貼付基材8と、貼付基材8に設けた発光部21と、発光部21に接続された発光体側陽極9及び発光体側陰極10と、発光体側陽極9及び発光体側陰極10を本体側陽極端子6及び本体側陰極端子7にそれぞれ導通するようにしつつ、発光体取付部1aの任意の位置に粘着可能な貼付部2aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部と情報の無線通信が可能である無線タグとともに有機EL等の発光素子を備えた発光タグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線タグを物品に貼り付け、これをリーダライタにて読み取ることにより、物品の流通管理が行われている。例えば、特許文献1には、無線タグに発光素子等などの報知手段を設け、リーダライタにて特定の無線タグの報知手段を反応させることにより、所望の無線タグを容易に見つけ出せるようにした物品検索システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−24018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、上記従来技術の無線タグには、記憶部を備えた無線タグ本体と、発光素子等とが備えられる。一般に、記憶部には、物品に関する情報や無線タグの識別情報が記憶される。記憶部は電子的に情報の読み書きを行うだけであるため、通常の使用態様であれば、比較的寿命は長い。一方、発光素子は、上記のような記憶部等と比べれば、寿命が短い場合が多い。しかしながら、上記従来技術では、無線タグ本体と発光素子とが一体不可分に構成されているため、短期間で寿命となる発光素子を交換するために、無線タグ全体を頻繁に交換する必要があり、不便であった。
【0005】
また、一般に、タグアンテナの送受信可能な周波数帯域は、アンテナ素子の電気長に依存する。上記従来技術のように無線タグ本体と発光素子とが一体不可分の構造では、発光素子を配置するスペースの制約により無線タグ本体側で使用可能なスペースが限られるため、周波数帯域によっては十分なアンテナ素子の電気長を確保できないおそれがある。このため、周波数帯域が比較的狭い範囲となって無線タグとしての汎用性を十分に確保できず、不便であった。
【0006】
本発明の目的は、無線タグ本体と発光体とを別体構造とすることにより、ユーザの利便性を向上できる発光タグ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、無線タグ本体と、前記無線タグ本体に取り付け可能な発光体とを備えた、発光タグ装置において、前記無線タグ本体は、情報を送受信するタグアンテナと、前記タグアンテナにより受信された情報に基づき前記給電部から前記発光体への給電を制御する制御部を設けたIC回路部と、を備えた、無線タグ回路部と、前記発光体及び前記IC回路部への電源供給を行うための給電部と、前記給電部に接続された本体側陽極端子及び本体側陰極端子を備え、前記発光体を取り付けるための発光体取付部とを有し、前記発光体は、基材と、前記基材に設けた発光部と、前記発光部に接続されるとともに、前記本体側陽極端子及び前記本体側陰極端子と互いに接触可能な形状に配設された発光体側陽極及び発光体側陰極と、前記発光体取付部に粘着可能な粘着部とを有することを特徴とする。
【0008】
本願第1発明の発光タグ装置は、無線タグ回路部を備えた無線タグ本体と、発光部を備えた発光体とを有している。ユーザの使用時は、発光体を無線タグ本体に取り付けて用いる。発光体の無線タグへの取り付けは、発光体に備えられた粘着部が無線タグ本体の発光体取付部に粘着することにより、行われる。その取り付けの際には、発光部に接続された発光体側陽極及び発光体側陰極が、給電部に接続された本体側陽極端子及び本体側陰極端子にそれぞれ接触し、導通する。これにより、無線タグ回路部の動作に応じて、無線タグ本体の給電部からの電流が、本体側陽極端子及び本体側陰極端子と、発光体側陽極及び発光体側陰極とを介し、発光体の発光部に供給され、発光部が発光を行う。特に、無線タグ回路部への問いかけ信号に無線タグ回路部が応答するときに発光可能となり、ユーザが容易に視認可能となる。この結果、無線タグを用いた物品管理におけるユーザの利便性を向上することができる。
【0009】
以上のように、無線タグ本体と発光体とを互いに粘着して結合させる、別体構造とすることにより、発光体側の制限を受けることなく無線タグ本体の大きさを大きくすることができる。一般に、タグアンテナの送受信可能な周波数帯域は、アンテナ素子の電気長に依存するが、無線タグ本体を大型化することで、タグアンテナの電気長を小さくしたり大きくしたり比較的自由に設定可能となる。これにより、タグアンテナの送受信可能な電波の周波数帯域を、比較的広範囲とすることができ、無線タグとしての汎用性が向上し、ユーザの利便性が向上する。また、金属物である無線タグ本体が大型化することにより、無線タグ本体を設置する設置対象物の剛性が向上する効果もある。
【0010】
さらに、無線タグ本体と発光体とを別体構造とすることにより、発光体が寿命により消耗破損した場合には、発光体のみ交換すれば足り、発光タグ装置全体を交換する必要はない。また、無線タグ本体を設置対象物に取り付け、発光体は無線タグ本体に取り付ける構造とすることで、上記発光体の寿命到来の場合には、設置対象物に無線タグ本体を設置したままで発光体の交換作業を容易に行うことができる。これによっても、ユーザの利便性を向上することができる。
【0011】
第2発明は、上記第1発明において、前記無線タグ本体に備えられた前記発光体取付部の、前記本体側陽極端子及び前記本体側陰極端子の延設方向における寸法を、前記発光体の前記延設方向に沿った寸法よりも長くしたことを特徴とする。
【0012】
発光体取付部における所定の方向に沿って本体側陽極端子及び本体側陰極端子が延設されているとき、その延設方向に沿って長い寸法を備えた発光体取付部の任意の位置に、比較的短い寸法の発光体を自在に取り付けて発光させることができる。また、発光体取付部の長手方向のうちユーザが視認しやすい部位を適宜選択し、その選択した部位に発光体を取り付けることができる。特に、複数の設置対象物のそれぞれに無線タグ本体を取り付け、それら複数の設置対象物を配列して収納する場合には、各設置対象物ごとに発光体を取り付ける発光体取付部の部位を互いに変えることで、視認しやすいインデックスとして活用することができる。
【0013】
第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記無線タグ本体に備えられた前記無線タグ回路部の前記IC回路部は、情報を記憶する記憶部と、前記タグアンテナにより受信された情報を復調する復調部と、前記タグアンテナより送信するための情報を変調する変調部と、前記タグアンテナにより受信された電波のエネルギを蓄積し、前記記憶部、前記復調部、及び前記変調部を含むIC回路部全体に駆動電源を供給するとともに、前記発光部に給電可能な前記給電部とを備えていることを特徴とする。
【0014】
これにより、無線タグ回路部内に自己電源を持たなくても、受信された電波のエネルギを用いて発光部に給電を行い、発光させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無線タグ本体と発光体とを別体構造とすることにより、ユーザの利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る発光タグ装置を取り付けたクリアファイルの全体外観を表す上面図である。
【図2】貼付発光体を取り外して無線タグ本体の本体部を透視した透視図である。
【図3】貼付発光体の詳細構造を表す拡大上面図、図3(a)に示した構造を裏側から見た下面図、及び、貼付発光体の電気配線を説明する図である。
【図4】IC回路部とその周辺回路の機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図5】発光タグ装置の使用例を示す説明図である。
【図6】発光体側陽極と発光体側陰極をそれぞれ円形に形成した変形例における、貼付発光体の外観を表す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本実施形態の発光タグ装置を取り付けたクリアファイルの全体外観を表す上面図である。
【0019】
図1において、本実施形態の発光タグ装置100は、例えば複数枚の紙から成る書類などを収納するクリアファイルFに設けられている。この発光タグ装置100は、無線タグ本体1と、発光体としての貼付発光体2とを有している。
【0020】
図示する例では、無線タグ本体1はクリアファイルFの長手方向のほぼ全域に渡って設けられており、そのうちクリアファイルFの側方の開口縁部Faに近い側の半分が発光体取付部1aを構成し、他の半分が本体部1bを構成している。
【0021】
貼付発光体2は、この例では全体が略矩形形状に形成されており、粘着部としての貼付部2aと発光部21とを有している。この貼付発光体2の貼付部2aが、図示するように上記無線タグ本体1の発光体取付部1a上に適切に貼付した状態では、貼付発光体2の発光部21だけがクリアファイルFの側方の開口縁部Faから突出する配置となる。
【0022】
図2に、貼付発光体2を取り外して無線タグ本体1の本体部1bを透視した状態を示す。無線タグ本体1の本体部1bの内部には、IC回路部3と、タグアンテナとしてのループアンテナ4とが設けられており、これら2つが接続して無線タグ回路部5を構成している。
【0023】
発光体取付部1aには、本体側陽極端子6と本体側陰極端子7(以下適宜、単に「端子6,7」と総称する)とが設けられている。これら2本の端子6,7は、それぞれ適切な幅を有する導体金属線で構成されており、所定の間隔Dで離間した平行な配置で、クリアファイルFの長手方向に沿いつつ長手方向全長に渡って発光体取付部1aの表面に露出するよう設けられている。図示する例では、クリアファイルFの側方の開口縁部Faに近い方に本体側陰極端子7が配置し、本体部1bに近い方に本体側陽極端子6が配置しており、それぞれIC回路部3に電気的に接続されている。
【0024】
IC回路部3は、ループアンテナ4を介して後述するリーダと無線通信を行い、自己が記憶しているタグ識別情報(以下適宜、タグIDという)を含む信号を受信した際に、上記貼付発光体2の発光部21を発光させる。
【0025】
図3は上記図1中に示した貼付発光体2をそのままの姿勢で拡大した拡大上面図であり、図3(b)は図3(a)に示した構造を裏側から見た下面図であり、図3(c)は貼付発光体2の電気配線を示す図である。
【0026】
図3(a)及び図3(b)に示すように、本実施形態の貼付発光体2は、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)からなる貼付基材8を備えている。この例では、貼付基材8のうち図中右側部分の表裏両面それぞれに発光部21,21が設けられている。そしてこれら2つの発光部21,21が設けられていない図示左側部分の貼付基材8が、貼付部2aを構成している。
【0027】
貼付部2aの裏面には、図3(b)に示すように、図中の上下方向の全域に渡って、2本の発光体側陽極9及び発光体側陰極10(以下適宜、単に「電極9,10」と総称する)が設けられている。これら2本の発光体側電極9,10は、上記無線タグ本体1に設けられた端子6,7に電極9,10がそれぞれ接触できるように、端子6,7間の間隔と同じ間隔Dで離間した平行な配置で基材8に配設されている。また、貼付部2aの裏面のうち、上記電極9,10が配設されている部分以外の領域には、図示しない適宜の粘着剤からなる粘着層が設けられている。
【0028】
上記構成により、貼付部2aの上記粘着層によって、貼付発光体2を図1に示すように無線タグ本体1の発光体取付部1a上に貼付することができ、また容易に取り外すこともできる。そして貼付発光体2を貼付した際、適切な姿勢及び配置で貼付されていれば、貼付発光体2に設けられた2つの電極9,10が、無線タグ本体1に設けられた2つの端子6,7と、それぞれ対応する同じ極性どうしで接触し電気的に導通する状態となる。
【0029】
ここで上記2つの発光部21は、例えば公知の有機エレクトロルミネッセンス発光素子(以下、有機EL素子という)を用いることができる。図3(c)に示すように、有機EL素子で構成される発光部21は、発光層21aと、発光層21aの一方側に設けられる陰極層21bと、発光層21aの他方側に設けられる陽極層21cとを含む。
【0030】
発光層21aは、有機ELを含む層であり、陰極層21bと陽極層21cとの間に電圧が印加されることで発光する。有機ELとしては、例えばポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリチオフェン誘導体等の高分子発光材料、及び、テトラフェニルブタジエン(TPB)、ペリレン、クマリン、ルブレン、ナイルレッド、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−ジメチルアミノスチリル−4−ピラン(DCM)、4−ジシアノメチレン−6−シーピージュロリジノスチリル−2−ターシャルブチル−4H−ピラン(DCJTB)、スクアリリウム、アルミニウム錯体(例えばAlQ3)等の低分子系材料を用いることができる。
【0031】
なお、発光層21aの陰極層21bに接する面には、図示されない電子注入層が設けられる。電子注入層は、オキサジゾール誘導体、トリアゾール系、及びアルミニウム錯体のいずれかを用いることができる。
【0032】
陰極層21bは、例えばアルミニウム(Al),フッ化リチウム(LiF),AlとCaとの積層,AlとLiFとの積層及びAlとBaとの積層等で構成することができる。陰極層21bは、陰極層21bと陽極層21cとの間に電圧が印加されることで、上記電子注入層を介して発光層21aに電子を注入する。
【0033】
陽極層21cは、例えば透明電極用の材料であるインジウムチタンオキサイド(ITO)又はポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)で構成することができる。陽極層21cは、陰極層21bと陽極層21cとの間に電圧が印加されることで、発光層21aに正孔を注入する。
【0034】
このように有機EL素子で構成される2つの発光部21,21は、貼付発光体2において、それぞれの陰極層21bを貼付基材8に貼り付け、それぞれ陽極層21cを表面側に配置して外部に露出させている。また2つの発光部21,21は、それぞれの陽極層21cが貼付発光体2の発光体側陽極9に電気的に接続され、それぞれの陰極層21bが貼付発光体2の発光体側陰極10に電気的に接続されている。
【0035】
このように構成された貼付発光体2が、図1に示すように適切な姿勢及び配置で無線タグ本体1の発光体取付部1a上に貼付した状態では、2つの発光部21のそれぞれの陰極層21bと陽極層21cが、各電極9,10及び各端子6,7を介して上記IC回路部3に正しい極性で電気的に接続される。このとき、無線タグ本体1の発光体取付部1aのファイル長手方向、言い換えれば上記端子6,7の延設方向における2つの端子6,7の寸法A(図2参照)は、貼付発光体2の貼付部2aにおける上記ファイル長手方向における2つの電極9,10の寸法B(図3(b)参照)と比較して長くなっている。この結果、貼付発光体2は、図1中の上下方向におけるどの位置でも同じ電気接続状態で発光体取付部1aに貼付することができる。つまり、貼付発光体2は、クリアファイルFの長手方向に対して高い自由度で貼付配置することができるのである。
【0036】
図4は、IC回路部3とその周辺回路の機能的構成を表す機能ブロック図である。
【0037】
IC回路部3は、給電部としての電源供給部11と、復調部12と、変調部13と、制御部14とを備えている。またこのIC回路部3は、特に上記図1〜図3に示していないコンデンサ16と、上記ループアンテナ4とを並列に接続している。なお、図中においてはループアンテナ4をコイルのシンボルで表している。また、図中では発光部21を一つだけを示しており、2つの電極9,10及び2つの端子6,7を介して制御部14と電気的に接続し、制御部14からの制御信号に基づいて発光及び消光を切り替え可能としている。
【0038】
電源供給部11は、この例ではループアンテナ4を介して受信した質問波のエネルギを蓄積し、そのエネルギをIC回路部3及び発光部21の駆動電源とする無線給電を行う。
【0039】
制御部14は、上記復調部12及び変調部13等を介し、上記IC回路部3の作動を制御するとともに、当該IC回路部3の外部に設けた発光部21の発光及び消光の切り替えを制御する。
【0040】
復調部12は、ループアンテナ4により受信された、後述のリーダのリーダアンテナからの質問波を復調する(後述の図5参照)。
【0041】
変調部13は、上記制御部14からの返信信号を変調し、ループアンテナ4より応答波、すなわちタグIDを含む信号として、送信する。
【0042】
制御部14は、その内部に所定の情報信号を記憶する記憶部15を備えており、この記憶部15には当該IC回路部3の個体を特定するためのタグIDを記憶するID記憶領域15aが設けられている。この制御部14は、上記復調部12により復調された受信信号を解釈し、上記記憶部15において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成する。そして、上記変調部13が、当該返信信号を、上記ループアンテナ4を介し送信する。また、制御部14は、自己のタグIDが含まれている質問波の受信信号を上記復調部12から受け取った際には、発光部21が発光するように、電源供給部11から発光部21への給電を制御する。
【0043】
また、IC回路部3の外部に接続しているコンデンサ16は、ループアンテナ4が電波を受信した際に発生するノイズを除去するためのバイパスコンデンサとして機能する。
【0044】
ユーザは、上記のように構成した本実施形態の発光タグ装置100をクリアファイルFに設け、クリアファイルに収納させた紙書類などに対しIC回路部3のタグIDを対応付けることで、物品管理を行うことができる。
【0045】
図5は、上記構成の本実施形態の発光タグ装置100の使用例を示す説明図である。図5に示す例では、上記のように紙書類を収納した複数のクリアファイルFが、立った状態で配列されている。またこの例では、各貼付発光体2は、互いに重ならないように、それぞれ上下方向の配置位置が互いに異ならせて貼付されている。この状態では、通常の場合、図示の最も手前側のクリアファイルF以外は、どのクリアファイルFにどの書類が収納されているか見分けることが困難である。
【0046】
しかしながら、本実施形態においては、上記無線タグ回路部5と無線通信が可能なリーダ200を用い、目的の書類に対応するタグIDを含む質問波を発光指示信号としてリーダアンテナ201から送信することにより、当該タグIDに対応する発光タグ装置100の発光部21だけを発光させることができ、ユーザが容易に視覚的に識別することができる。特に、照明がなく周囲が暗い場合には、有効である。これにより、物品管理におけるユーザの利便性を向上することができる。
【0047】
そして、本実施形態の発光タグ装置100では、無線タグ本体1と貼付発光体2とを互いに粘着して結合させる、別体構造としている。これにより、貼付発光体2側の制限を受けることなく無線タグ本体1の大きさを大きくすることができるので、下記のような効果がある。すなわち、一般に、ループアンテナ4の送受信可能な周波数帯域は、アンテナ素子の電気長に依存するが、無線タグ本体1を大型化することで、ループアンテナ4の電気長を小さくしたり大きくしたり比較的自由に設定可能となる。これにより、ループアンテナ4の送受信可能な電波の周波数帯域を、比較的広範囲とすることができ、無線タグとしての汎用性が向上し、ユーザの利便性が向上する。また、金属物である無線タグ本体1が大型化することにより、無線タグ本体1を設置する設置対象物であるクリアファイルFの剛性が向上する効果もある。
【0048】
さらに、無線タグ本体1と貼付発光体2とを別体構造とすることにより、貼付発光体2が寿命により消耗破損した場合には、貼付発光体2のみ交換すれば足り、発光タグ装置100全体を交換する必要はない。また、無線タグ本体1をクリアファイルFに取り付け、貼付発光体2は無線タグ本体1に取り付ける構造とすることで、上記貼付発光体2の寿命が到来した場合には、クリアファイルFに無線タグ本体1を設置したままで貼付発光体2の交換作業を容易に行うことができる。これによっても、ユーザの利便性を向上することができる。
【0049】
また、本実施形態では特に、無線タグ本体1の発光体取付部1aの上記寸法Aを、貼付発光体2の上記寸法Bよりも長く設定している。これにより、比較的長い長手方向寸法Aを備えた発光体取付部1aの任意の位置に、比較的短い寸法Bの貼付発光体2を自在に取り付けて発光させることができる。また、発光体取付部1aの長手方向のうちユーザが視認しやすい部位を適宜選択し、その選択した部位に貼付発光体2を取り付けることができる。特に、図5に示したように、複数のクリアファイルFのそれぞれに無線タグ本体1を取り付け、それら複数のクリアファイルFを配列して収納する場合には、各クリアファイルFごとに貼付発光体2を取り付ける発光体取付部1aの部位を互いに変えて、視認しやすいインデックスとして活用することができる。
【0050】
また、本実施形態では特に、電源供給部11は、ループアンテナ4により受信された電波のエネルギを蓄積してIC回路部3全体及び発光部21に駆動電源を供給する無線給電を行う。これにより、無線タグ回路部5内に自己電源を持たなくても、受信された電波のエネルギを用いて発光部21に給電を行い、発光させることができる。
【0051】
なお、上記図3(b)に対応する図6に示すように、貼付発光体2Aの貼付部2aにおける発光体側陽極9A及び発光体側陰極10Aを、それぞれ円形に形成してもよい。この場合、貼付発光体2Aの発光体取付部1aへの貼付方向が多少傾いても、各電極9,10と各端子6,7とを正しい極性で電気的に接続することができる。その際、特に、各電極9A,10Aの直径D′を、上記図2に示した端子6,7間の離間距離Dより小さい寸法に設定すれば、貼付発光体2Aをどのような姿勢・配置で発光体取付部1aに貼付しても、端子6,7間における短絡を確実に防ぐことができる。
【0052】
なお、以上において、図4に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0053】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0054】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0055】
1 無線タグ本体
1a 発光体取付部
1b 本体部
2,2A 貼付発光体(発光体)
2a 貼付部
3 IC回路部
4 ループアンテナ(タグアンテナ)
5 無線タグ回路部
6 本体側陽極端子
7 本体側陰極端子
8 貼付基材(基材)
9,9A 発光体側陽極
10,10A 発光体側陰極
21 発光部
100 発光タグ装置
F クリアファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグ本体と、前記無線タグ本体に取り付け可能な発光体と
を備えた、発光タグ装置において、
前記無線タグ本体は、
情報を送受信するタグアンテナと、前記タグアンテナにより受信された情報に基づき前記給電部から前記発光体への給電を制御する制御部を設けたIC回路部と、を備えた、無線タグ回路部と、
前記発光体及び前記IC回路部への電源供給を行うための給電部と、
前記給電部に接続された本体側陽極端子及び本体側陰極端子を備え、前記発光体を取り付けるための発光体取付部と
を有し、
前記発光体は、
基材と、
前記基材に設けた発光部と、
前記発光部に接続されるとともに、前記本体側陽極端子及び前記本体側陰極端子と互いに接触可能な形状に配設された発光体側陽極及び発光体側陰極と、
前記発光体取付部に粘着可能な粘着部と
を有する
ことを特徴とする発光タグ装置。
【請求項2】
請求項1記載の発光タグ装置において、
前記無線タグ本体に備えられた前記発光体取付部の、前記本体側陽極端子及び前記本体側陰極端子の延設方向における寸法を、前記発光体の前記延設方向に沿った寸法よりも長くした
ことを特徴とする発光タグ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の発光タグ装置において、
前記無線タグ本体に備えられた前記無線タグ回路部の前記IC回路部は、
情報を記憶する記憶部と、
前記タグアンテナにより受信された情報を復調する復調部と、
前記タグアンテナより送信するための情報を変調する変調部と、
前記タグアンテナにより受信された電波のエネルギを蓄積し、前記記憶部、前記復調部、及び前記変調部を含むIC回路部全体に駆動電源を供給するとともに、前記発光部に給電可能な前記給電部と
を備えている
ことを特徴とする発光タグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−76137(P2011−76137A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223706(P2009−223706)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】