発光タフテッドカーペット
本発明はとりわけ、光透過性を有する1次バッキング層、任意の接合層、結合した光を放出するサイトを有する導波路、及び任意の1次バッキング層を備える発光タフテッドカーペットを供する。前記1次バッキング層にはタフトが供される。前記導波路は、光源からの光源光を導波路光として結合し、かつ導波路光を放出するサイトで前記導波路光を結合して、カーペット光を供するように備えられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光機能をも有する織物材料に関する。本発明は特に、1次バッキング層、該1次バッキング層のカーペット面上にタフトを形成する毛糸、2次バッキング層、及び、前記1次バッキング層と2次バッキング層の間に備えられた接合層を有するカーペットに関する。本発明はまた当該カーペットの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
カーペットは一般的に、タフトを形成する毛糸が供された1次バッキング層(その毛糸は、その1次バッキング層がカーペットとして使用されている間、その1次バッキング層の面のうち使用者に対向している面の上に供される)、2次バッキング層、及び一般的に、前記1次バッキング層と2次バッキング層の間に供される接合層を有する。毛糸は1次バッキング層を突き抜けて、人が歩くことなどのできるパイル織物の表面から突出したタフトを形成する。毛糸はまとまりがなく、(接合層)からの接着剤で接合される必要がある。1次バッキングの背面上に存在することが可能な接合層は、タフトを1次バッキング層へ接合し、前記タフトを定位置に保持するだけでなく前記1次及び2次バッキング層とも接合する。後者は、第1接合層の上部に存在する第2接合層によって実現されても良い。
【0003】
光ファイバを有する織物材料は当技術分野において既知である。たとえば特許文献1は、機能性光ファイバを有する分布型光ファイバスクリム、つまりは機能性光ファイバスクリムを製造する方法、及び光ファイバスクリムが含まれる組成物について記載している。特許文献1は、様々な織物スクリム-特に結合した不織スクリム材料-について記載している。特許文献1では、各織物スクリムは少なくとも1つの光ファイバを有し、その光ファイバは少なくとも繊維の長さ又は幅にわたって連続的な経路を備える。係る光ファイバは、センサ部品(たとえば破壊、歪み、圧力、又はトルクの検出器として)、発光部品(たとえば様々な光を供給する用途に用いられるもの)、若しくはデータ分配部品として有用となり得る。また係る光ファイバは、単体で用いられても良いし、又は他の材料-たとえば繊維、膜、泡状物質等-と併用されても良い。
【0004】
さらにたとえば特許文献2は発光繊維について記載している。その発光繊維では、光ファイバが織物の一部であり、編まれた繊維の一部を置き換えられる。それによって、当該発光繊維は均一に発光するので装飾品として用いられる。個々の光ファイバは、繊維の一端で束にまとめられ、かつ光源によって照射される。光ファイバを進行する光は、外側のコーティングを貫通する小さな傷を介するので、ファイバの全長にわたってわずかな量しか放出されない。光の均一性及び強度は、光ファイバの非照射端に反射コーティングを供することによって改善される。この繊維は衣類-たとえば、衣装、高視認性安全服、日焼け対策用スーツ、敷物、掛け布、劇場用カーテン、建築パネル、繊維ガラス製のボート船体等に利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0037462号明細書
【特許文献2】米国特許第4234907号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「CRCハンドブック化学及び物理学(第69版)」、pp.1088-1989(E-208、E-406)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術に係るシステムの欠点は、その製造が比較的困難になることである。さらにカーペットであれば、係る繊維光学カーペットは手縫いする必要があるため高価になってしまうという問題が起こりうる。それに加えて光ファイバは比較的使用者によって損傷を受けやすい。その理由は、光ファイバがタフトに沿ってカーペットに突き刺さっているからである。他の問題は、繊維光学カーペット内での光スポットの数が、そのカーペットに接続可能な光ファイバの最大数によって制限される恐れがあることである。カーペット内のLEDに関係するさらなる問題は、如何にして高出力LEDからの光を大面積全体にわたって分配するのかである。
【0008】
従って本発明の態様は代替カーペットを供することである。さらに当該代替カーペットは、上述した問題の1つ以上を(部分的に)解消することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って本発明は、実施例において、カーペット上部層及びカーペット底部層を有する発光タフテッドカーペットを供する。当該発光タフテッドカーペットは、光を透過させる1次バッキング層、任意の接着層、結合光が放出される位置を有する導波路、及び任意の2次バッキング層を有する。前記1次バッキング層は、前記カーペットの上部層であるカーペット面、及び底面を有する。前記1次バッキング層には前記カーペット面にタフトが供される。前記任意の2次バッキング層は上面及び底面を有する。前記結合光が放出される位置は、前記1次バッキング層の底面と前記カーペット面との間に備えられる。前記導波路は、光源からの光を導波路光として結合するように備えられている。前記導波路は、前記導波路光を、前記結合光が放出される位置で放出することで、カーペット光を供するように備えられている。
【0010】
特に当該カーペットは比較的容易に製造することが可能である。当該カーペットは比較的均一なカーペット発光を行うことが可能である。つまり当該カーペット中の離散的な光スポットの存在は、必要であれば、光ファイバ織布カーペットと比較して、実質的に減少させることが可能である。さらに本発明のカーペットは、発光部-たとえば(当該カーペット内部に集積される場合の)任意の光源及び(複数の)導波路-を損傷することなく、比較的容易に曲げること及び搬送することが可能である。それに加えて、発光部を実質的に損傷することなく、使用者は当該カーペット上を歩いたり座ったりすることが可能である。なぜなら前記発光部は、少なくとも前記1次バッキング層によって実質的に保護することが可能であるためであり、実施例によっては前記2次バッキング層全体又は一部によって保護することも可能であるためである。さらに本発明の実施例によるカーペットは、空気、湿気、及び水を実質的に通すことが可能である。そのため衛生などの観点を改善することが可能である。このように空気、湿気、及び水などを通すことは処理中でも有利となる。なぜなら任意の接着層の接合が容易に乾燥可能となるからである。有利となるように、前記カーペット光は当該カーペット面の下-より厳密には前記1次バッキング層の下-で発生し、前記導波路からの導波路光は「(複数の)結合した光を放出する位置」(結合光放出位置)で結合して放出されることで、導波路の保護が可能となり、かつ実質的に均一な発光が可能となる。
【0011】
本発明のさらなる態様によると、本発明は、1次バッキング層、接着層、複数の導波路、及び2次バッキング層を有する発光タフテッドカーペットの製造方法を供する。当該方法は、前記1次バッキング層の底面又は前記2次バッキング層の上面に接着剤及び前記複数の導波路を供する工程、並びに、前記1次バッキング層と前記2次バッキング層を互いに積層する工程を有する。
【0012】
本明細書においてカーペットという語はタフテッドカーペットを指称するが、実施例によっては、タフテッド絨毯とも指称されるし、タフテッドゴブラン織とも指称される。さらに他の実施例では、カーペットという語は、タフテッドカーマットを指称する。例にはまた、壁若しくは屋根のカバーとして用いられるタフテッドカーペット、又はタフテッドバスマットもある。本明細書において、発光タフテッドカーペットはさらに、「カーペット」又は「タフテッドカーペット」をも表す。
【0013】
「発光タフテッドカーペット」という語は、任意の光源の光が導波路で結合するときに光の放出を可能にする、本発明によるカーペットを指称する。つまり光が前記導波路から1次バッキング層を介して外部へ飛び出す。しかし請求項の記載は、発光体として使用されているカーペットにしか関していないわけではなく、カーペットそれ自体、又は、備えられた光源がオフになっているカーペット、又は光源が取り外されたカーペットにも関する。
[積層体]
1次バッキング層及び2次バッキング層は、当技術分野において知られている手段によって互いに積層されて良い。従ってカーペットは積層体であって良く、本明細書においては、「カーペット積層体」又は単純に「積層体」とも表されて良い。
【0014】
接着層が第1層と第2層を互いに付着させるように塗布されることが好ましい。従って本発明の実施例では、発光タフテッドカーペットは上部層と底部層を有する接着層をさらに有し、該接着層は1次バッキング層と2次バッキング層の間に設けられていて、かつ前記接着層の少なくとも一部はカーペット光を通すことが好ましい。従って本発明は、1次バッキング層、接着層、導波路、及び2次バッキング層を有する積層体を有する発光タフテッドカーペットの実施例を供する。
【0015】
従って本実施例では、1次バッキング層の底面の少なくとも一部が接着層の上面の少なくとも一部と接し、かつ、接着層の底面(上面に対向している面)の少なくとも一部は2次バッキング層の上面の少なくとも一部と接する。このようにして積層体が供される。ここでは、1次バッキング層、接着層、及び2次バッキング層を「積層」したものである。
【0016】
積層体は、1次バッキング層のカーペット面である上部層(「カーペット上部層」)を有する。この層はタフトを有する。さらに積層体はカーペット底部層を有する。本発明の実施例では、このカーペット底面は2次バッキング層の底部層であって良い。
【0017】
一の実施例では、カーペットは2次バッキングを有しておらず、1次バッキング層が供されているだけである。前記1次バッキング層の背後には導波路が供されている(任意で前記1次バッキング層と前記導波路との間が接合される)。導波路は上部層及び底部層を有し、前記上部層は1次バッキング層の底部層に対向する。従って特定実施例では、導波路の底部層はカーペットの底部層である。従って特定実施例では、発光タフテッドカーペットの積層体は、1次バッキング層、接着層、及び導波路を有する。係る実施例では、積層体の面積は1次バッキング層(及びカーペット自体)の面積と実質的に等しくて良い。従って本発明は、1次バッキング層、接着層、及び導波路を有する積層体を有する発光タフテッドカーペットの実施例を供する。
【0018】
任意で接着層が塗布されなくても、1次バッキング層と導波路は、当技術分野において知られている手段によって互いに付着する。本発明は、1次バッキング層、導波路、及び任意で2次バッキング層をも有する積層体を有する発光タフテッドカーペットの実施例をも供する。
【0019】
しかし積層体は任意で、上述した1次バッキング層、導波路、及び任意の2次バッキング層以外の層もさらに有して良い。係る(複数の)任意の層は、1次バッキング層と接着層の間、1次バッキング層と2次バッキング層の間(接着層が存在しない実施例において)、接着層と2次バッキング層の間若しくは2次バッキング層の下、導波路と2次バッキング層(存在する場合)の間、及び導波路とカーペット底部層の間などに備えられて良い。そのような追加の層の例には後述する散乱層及び反射層が考えられ得る。カーペット積層体中にさらに2層以上の任意の層が存在しても良い。
[1次バッキング層及び2次バッキング層]
「1次バッキング層」という語は複数の層を有する1次バッキング層を含んで良い。同様に「2次バッキング層」という語も複数の層を有する2次バッキング層を含んで良い。
【0020】
特にカーペットのタフトを形成する毛糸は光を通すのに十分な開口部を有する構造を形成するが、カーペットは人間の目には不透明に見える。外観上の理由により、タフトは、1次バッキング層が実質的に見えないが、光はそのタフト構造を入り込むことができるように供さることが好ましい。光を通すことのできる1次バッキング層の下に光源を設ける結果、その光源からの光がタフテッド構造から放出される。
【0021】
係るタフテッドカーペットは、発光部のサイズ制限が厳しくないという利点を有する。たとえば発光位置で1次バッキングを除去する必要はない。
【0022】
本発明の他の実施例によると、1次バッキング層は光を通すことができる。本明細書で用いられているように、「光を通す」という語は、可視光の一部又は全部が、拡散の有無に関わらず、材料を通り抜けることが可能であることを意味する。このことは、1次バッキング層による(複数の)光源から放出される光強度の減少が緩和されるという利点を有する。たとえば結合して導波路の外へ放出される光強度の5%より大きな割合、10%より大きな割合、又は30%より大きな割合が、1次バッキング層を通り抜けることができる(以降参照のこと)。
【0023】
「通り抜けることのできる可視光の一部」という語は、全ての可視光を部分的に透過する(つまり100%は透過されない)ことを意味しても良いが、あるいはその代わりに又はそれに加えて、可視光スペクトルの一の部分が(部分的に)透過して、かつ可視光スペクトルの他の部分が実質的に透過しないことを意味しても良い。当業者にとって既知であるように、層-特に接着層(光を通す場合)-は、可視スペクトルのある部分よりも他の部分をよく通して良い。
【0024】
本発明の他の実施例によると、1次バッキング層はタフトで覆われた開口部を有する。開口部は放出(「透過」)光強度を増大させることが可能である。1次バッキング層用の材料選択の自由はここでは高い。なぜなら1次バッキング層材料が光を通さなければならないという制約がないからである。たとえば織布は1次バッキング層として用いられて良い。1次バッキング層として用いられる織布は織物構造中の毛糸間に開口部を有する。
【0025】
本明細書で用いられているように、「2次バッキング層」という語はバッキング層を含み、該バッキング層は積層構造とは反対側を向いているカーペット面を形成する。係る層は通常「2次バッキング層」と呼ばれ、かつ市販されている。
【0026】
これらの「2次バッキング層」は、カーペットのバッキングによく適していて、かつカーペット工場で用いられているカーペット製造方法に良く適合するという利点を有する。2次バッキング層を用いることの利点は、(複数の)導波路及び任意の(複数の)光源の保護、並びにカーペットに強度を与えることが可能なことである。従って本発明によるタフテッドカーペットは2次バッキング層を有することが好ましい。しかし本発明は、2次バッキング層の存在に限定されず、他の層が、接着層とは反対を向く2次バッキング層の面上(つまり2次バッキング層の底部とカーペットの底部層の間)のみならず、他の場所(後述)に存在しても良い。
【0027】
本発明の他の実施例によると、1次バッキング層と2次バッキング層のうちの少なくとも1つは、ポリプロピレン、ナイロン、又は黄麻を有する。これらの材料は、比較的低コストであるという利点を有する。ポリプロピレン又はナイロンによって光を通す構造を作成することは容易である。また、これらの材料は既存のタフテッドカーペットに広く用いられているので、本発明によるカーペットの製造は容易である。これらのバッキング材料は実質的には上記材料から構成されて良いことに留意して欲しい。
【0028】
本発明の他の実施例によると、2次バッキング層は少なくとも約10m3/min/m2の通気率を有する。2次バッキング層の通気率は、0.5インチ(1.27cm)の水に等しい差圧で、ASTM D-737に従って決定することができる。許容値は250ft3/min/ft2(76.2m3/min/m2)だが、より好適な値は350-800 ft3/min/ft2(106.7-243.8m3/min/m2)の範囲である。通気率が約70ft3/min/ft2(24.4m3/min/m2)の2次バッキング層は結合剤の硬化率が高い場合には不適切であると考えられる。
【0029】
本発明の他の実施例によると、2次バッキング層は通気のための開口部を有する。接着層に用いられる気化結合剤はカーペットの硬化中に開口部を通過することが可能である。この実施例では、2次バッキング層の通気率が十分高いことを保証することができる。
【0030】
本発明の他の実施例によると、カーペットは、1次バッキング層と2次バッキング層の間に少なくとも44.6kg/mの層間剥離の強度を有する。この要件はときに「剥離強度」とも呼ばれ、通常はASTM D-3936に従って試験される。
【0031】
本発明の他の実施例によると、(複数の)光源-たとえばLED-は、2次バッキング層に集積される。ここで、光源からの光を接着層へ透過させることを可能にするため2次バッキング層は光を通すことが可能であるか、又は光源が2次バッキング層の上面に供される。(複数の)光源及び2次バッキング層のこれら2つの配置は、光源からの光が接着層へ到達して、さらにカーペットの1次バッキング層の上面へ透過されることを保証することが可能である。この方法の利点は、(複数の)光源がカーペットの積層構造内部で保護されることである。(複数の)光源-たとえばLED-だけではなく(複数の)導波路も、電子機器若しくは該電子機器の周囲の防水シールを損傷させる恐れのある摩耗又は衝撃から保護されうる。積層構造の側では、(複数の)光源はタフトを備えた1次バッキング層によって保護され、反対側では、LEDが2次バッキング層によって保護される。背面の保護はカーペットの設置中特に重要となる。従ってカーペットの光を通す2次バッキングにおいて本発明を用いることもまた有利である。この理由は、高品質のカーペットでは、高剥離強度を実現するために2次バッキングの通気率がある特定の値であることが求められるからである。特に、0.5インチの水に等しい差圧で、ASTM基準D-737に従って決定される2次バッキングの通気率は少なくとも約250ft3/min/ft2であることが好ましい。
【0032】
1次バッキング層は、カーペット上部層であるカーペット面(ときに「積層面」とも呼ばれる)と底面を有する。任意の2次バッキング層は上面と底面を有する。
【0033】
1次バッキング層は1次バッキング領域を有し、(任意の)2次バッキング層は2次バッキング領域を有する。これらの領域は一般にはカーペット領域に等しい。
[導波路]
上述したように、結合光が放出される位置は、1次バッキング層の底面とカーペットの底部層との間に備えられる。さらに上述したように、導波路は上部層及び底部層を有し、前記上部層は1次バッキング層の底部層に対向する。
【0034】
このことは、本発明の実施例では、導波路が1次バッキング層と2次バッキング層の間に備えられていることを示唆する。他の実施例では、導波路は接着層(の一部)と1次バッキング層の間に備えられる。さらに他の実施例では、導波路は接着層によって実質的に封止されている。他の実施例では、導波路は接着層と2次バッキング層(の一部)の間に備えられている。さらに他の実施例では、導波路は2次バッキング層中に設けられる。さらに他の実施例では、導波路は2次バッキング層とカーペットの底部層の間に設けられる。複数の実施例を組み合わせたものが適用されても良い。繰り返しになるが他の実施例では、導波路は接着層とカーペットの底部層の間に設けられる。さらに他の実施例では、積層体は1次バッキング層及び導波路を有し、かつ導波路の底部層(上記参照)はカーペットの底部層である。
【0035】
本発明の実施例では、導波路は、1次バッキング層と2次バッキング層の間に設けられて、1次及び2次バッキング層の面積と実質的に同一の面積を有する層である。しかし導波路は小さくて、かつ複数の導波路を有することが好ましい。
【0036】
よって本発明の実施例では、導波路という語は複数の導波路をも含んで良い。従って本発明の実施例では、発光タフテッドカーペットは複数の導波路-たとえば複数の光ファイバ-を有する。導波路という語は当業者には既知である。導波路を表す他の語は光ガイドである。
【0037】
導波路は光を通す材料を有する。光を通す材料とはたとえば、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、P(M)MA(ポリ(メチル)メタクリラート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、及びCOC(シクロオレフィンコポリマー)からなる群から選ばれる材料(のシート又は細片)である。しかし導波路は光を通す材料としてシリコンゴムを有しても良い。さらに導波路は1つ以上の光ファイバを有して良い。係る光ファイバはコア及びクラッドを有して良い。
【0038】
導波路は1次バッキング層に対して(及び2次バッキング層が存在する実施例では、2次バッキング層に対しても)実質的に平行な面内に最大断面積を有する。導波路の最大断面積は、1次バッキング層(又は任意の2次バッキング層)の約50%以下であることが好ましい。
【0039】
しかし特定の実施例-たとえば積層体に2次バッキング層が存在しない実施例-では、導波路は1次バッキング層の50%よりも大きな-たとえば約50%〜100%の範囲の-断面積を有して良い。特定の実施例(上述したように、接着層が1次バッキング層と導波路の間に存在する実施例)では、導波路は「バッキング」とみなされ、かつ1次バッキング層の全面積を覆う。2次バッキング層が存在して、かつ導波路が1次バッキング層(及び2次バッキング層)の50%よりも大きな-たとえば約50%〜100%の範囲の-断面積を有する実施例では、導波路と2次バッキング層の間に接着層が存在することもまた好ましい。よって係る実施例は、1次バッキング層、任意の接着層、導波路、別な任意の接着層、及び2次バッキング層を有する積層体を有して良い。
【0040】
上述したように複数の導波路が実質的に長方形のパターンで配置されることが好ましい。「複数の導波路」という語は2つ以上の導波路-特に少なくとも6つの導波路、又はそれ以上の(たとえば50の)導波路-を指称する。50〜150の導波路を有する実施例も考えられる。
【0041】
各導波路は、1次バッキング層及び(任意の)2次バッキング層に対して実質的に平行な面内に最大断面積を有して良い。導波路の最大断面積の合計は1次バッキングの面積の約50%以下-たとえば約1〜50%(たとえば2〜40%)の範囲-である。具体的にはこのようにして、実質的に均一な発光が一方に供され、かつ他方には空気及び湿気を通すことができる。
【0042】
さらに他の特定実施例では、接着層が導波路である。つまり接着層は導波路の機能をも有する。具体的には係る実施例では、接着層は光を通し、かつ(複数の)光源を有することが好ましい。
【0043】
上述したように、導波路は、導波路の光を結合させて、その結合した光を放出する位置で放出させることでカーペット光を供するように備えられている。従って(複数の)導波路及び(複数の)結合光を放出する位置は具体的には、導波路の光を結合して、カーペット光として、カーペット上部層(又は1次バッキングの上部層)の方向へ放出するように備えられている。
【0044】
どのようにして光を結合して導波路の外へ放出するのかは、当業者には既知である。導波路は一般的に全内部反射の原理に基づいている。導波路へ戻るような反射が起こらないこれらの場所では、光を結合して外へ放出することが可能である。光が導波路から飛び出す位置は本明細書では、導波路の「結合光が外へ放出される位置」と呼ばれる。そのような結合光が外へ放出される位置は、導波路中にファセットを導入することによって生成することが可能である。これにより全内部反射限界を超えた反射が起こるので、光が結合して外へ放出される。さらに導波路の終端部は、結合光を外に放出する位置として用いられて良い。また窪み(ひっかき傷のような)が導波路中に生成されることで、導波路の光が係る窪み(結合光が外へ放出される位置)にて飛び出すことが可能となる。
【0045】
よって本明細書では、導波路の光を結合して外へ放出する位置は1次バッキング層の底面とカーペットの底部層との間に設けられることも好ましい。これにより、他の解決法に代わる光ファイバを最大限に保護する方法となりうる。光ファイバは織物であって、かつカーペット光の均一な発生を可能にする。
【0046】
本明細書において、「ある方向を向いている」という語は必ずしも「物理的に接触する」ことを意味するわけではない。本発明のある実施例では、「ある方向を向いている」は「物理的に接触する」だが、別な実施例では、「ある方向を向いている」は「対向する」を意味する。たとえば本発明のある実施例では、積層体は、2次バッキング層、導波路、(たとえば導波路を封止する)接着層、及び1次バッキング層を有する。係る実施例では、2次バッキング層の上部層は導波路の方向を向き、かつ1次バッキング層の方向を向くが、導波路とは接触して良いが、1次バッキング層とは接触しない(間に接着層が存在するため)。
[光ファイバ]
光ファイバは一般にコア及びクラッドを有する。光ファイバには、クラッド中に1つ以上の切り欠き(たとえばひっかき傷)を供することによって1つ以上の結合光を外へ放出する位置が供されて良い。
【0047】
あるいはその代わりに、又はそれに加えて、発光材料の粒子は光ファイバ内の各位置で集積されて良く(粒径は数μm〜数百μmのオーダーである)、導波路の光は吸収され、変換され、そして放出され、かつ、放出光の少なくとも一部は光ファイバから飛び出すことが可能である。たとえば発光材料は、青色光を吸収して黄色光を放出する材料-たとえばYAG:Ce又はその類似物質-を有して良い。導波路の光は青色光であって良い。
【0048】
あるいはその代わりに、又はそれに加えて、発光材料の粒子の代わりに、反射粒子が用いられても良い。反射粒子とはたとえば、TiO2粒子、炭酸カルシウム粒子等である。
【0049】
あるいはその代わりに、又はそれに加えて、所謂「損失の多いファイバ(lossy fibers)」が用いられても良い。損失の多いファイバはたとえば光ファイバを有し、該光ファイバは光を結合して、その光ファイバ全面にわたって実質的に外へ放出する。従って本発明の実施例では、導波路-特に光ファイバ-は複数の結合光を外へ放出する位置を有する。
[接着層]
接着層は、1次バッキング層の方向を向く上面及び、2次バッキング層の方向を向く底面を有する。
【0050】
繰り返しになるが、「接着層」という語は、本発明のある実施例では、複数の接着層(たとえばプレコーティング層及び接着層)を有する接着層を含んで良く、かつ本発明の他の実施例では、複数(たとえば混合物)の接着剤を有する接着層を含んで良い。たとえば接着層は、1次バッキングの背面上に存在して良く、タフトを前記1次バッキング層に付着させ、前記タフトを定位置に保持し、かつ1次バッキング層と2次バッキング層を互いに接合させて良い(たとえば接着層内部の(複数の)導波路によって)。あるいは第1接着層は1次バッキングの背面に存在して良く、タフトを前記1次バッキング層に付着させ、前記タフトを定位置に保持し、かつ(たとえば接着層内部の(複数の)導波路によって)1次バッキング層と2次バッキング層を互いに接合させるため、前記第1接着層上に第2接着層を保持する。係る接着層-任意で各異なる接着剤に基づく-は本明細書では接着層と表記される。
【0051】
特に導波路の少なくとも一部が接着層内に備えられている実施例では、より特に導波路が1次バッキング層と物理的に接触していないが少なくとも一部が接着層によって覆われている実施例では、接着層はカーペと光を通すこと、つまり光が光ファイバからカーペット外部へ飛び出すこと、が好ましい。従って本発明の実施例では、接着層50はカーペット光を通す。
【0052】
従ってタフトを定位置に保持する接着層は、本発明の実施例では、1次バッキング層の下で光源を定位置に保持するのに用いられて良い。光源は、1次バッキング層の底面と接着層の上面の間に設けられて良い。1次バッキング層の方向を向く接着層の上面には(複数の)開口部が供されて良い。前記開口部内には光源が設けられて良い。
【0053】
本発明の好適実施例によると、光源からの光を1次バッキング層へ透過させることを可能にするため、接着層は少なくとも部分的に光を通す。このため、光源を接着層の底面に備えることが可能である。この場合、光源は任意で別な接着手段によって定位置に固定されて良い。光源はまた接着層内で完全に封入されても良い。あるいはその代わりに光源は、該光源と接着層との間の空間内部であって前記接着層の下に設けられて良い。
【0054】
他の実施例では、接着層は散乱粒子-たとえばTiO2粒子、又は炭酸カルシウム粒子-をさらに有する。係る粒子は、結合光の外への放出及び/又はカーペット全体にわたって均一な光の分布/結合光の放出を改善することが可能である。従って係る粒子は、接着層中のカーペット光の一部を散乱するように備えられている。
【0055】
本発明の他の実施例によると、接着層は電気伝導性粒子を有する。電気伝導性粒子はカーペットに静電防止特性を与えることが可能である。電気伝導性粒子はたとえばカーボンブラック、ギ酸カリウム(HCOOK)、酸化スズ、インジウム-スズ-酸化物、又は銀であって良い。
【0056】
本発明の他の実施例によると、接着層は酸化防止剤を有する。酸化防止剤によって、接着層は、熱に対してより高い耐性を有するようになる。このことは、(複数の)光源-たとえばLED-が相当量の熱を発生させる恐れがあるので、利点である。また酸化防止剤を含まないラテックスは早く経年劣化し、導波路の光を吸収し始めるため、一定時間経過後に黄色くなってしまう。
【0057】
本発明の他の実施例によると、接着層はラテックスを有する。ラテックスは光を通すラテックスであって良い。接着層は実質的にラテックスで構成されて良いことに留意して欲しい。ラテックスは、スチレン、ブタジエン、及び酸性のビニールモノマーからなる三元重合体に基づいて良い。接着層が実質的に光を通すラテックスで構成され、かつ光を散乱する粒子を有していないとき、(複数の)光源からの光は効率的にカーペットから飛び出すことが可能である。よって接着剤中に光を散乱する充填物が用いられず、かつ接着層が光を通すことが好ましい。従って本発明の実施例では、接着層は光を散乱する粒子を含まない。「含まない」という語句及びこれと同様の語句は、「実質的に含まない」ことを意味する。
【0058】
本発明の他の実施例によると、接着層はアクリル系を有する。アクリル系は光を通すアクリル系であって良い。接着層は実質的にアクリル系で構成されて良いことに留意して欲しい。アクリル系の例にはポリアクリレートエステルがある。アクリル系の利点は、硬度、柔軟性、及びUVに対する耐性である。アクリル系はまた熱に対する耐性が高く、そのためアクリル系は、比較的多量の熱を発生させる(複数の)光源との併用に特に適した材料である。ラテックス及びアクリル系もまた併用されて良い。
【0059】
本発明の好適実施例では、ポリオレフィン分散体が、(たとえば続いて接着層を供するために1次バッキング層上に供される)プレコーティング及び/又は接着層それ自体として用いられる。適したポリオレフィン分散体はたとえばダウケミカルのHYPOD(商標)である。これらは、高分子量の熱可塑性プラスチック及びエラストマーの性能と、純粋な水性分散体を塗布する利点とを併せ持ったプロピレン及びエチレンベースの分散体である。ポリオレフィン分散体は、従来のコーティング装置を用いた熱可塑性バッキングの利用を可能にすることによって、カーペット製造者に利便性を供する。たとえばPVB(ポリビニルアルコール)又はポリプロピレンのカーペットのバッキングを用いることで、UV感受性の問題は解決されると同時に、UV光の透過率が増大する。従って他の適切なポリオレフィン分散体はPVBベースの分散体であって良い。しかし他の熱可塑性プラスチックの中にはさらに高いUV光透過率を有するものがある。
【0060】
上述したように、さらに他の特定の実施例では、接着層は導波路となるように備えられる。つまり接着層は導波路の機能をさらに有する。特に係る実施例では、接着層は光を通し、かつ(複数の)光源を有することが好ましい。他全ての実施例では、導波路は別個の部分で、(任意の)接着層とは異なる材料である。
[光源]
光源は、発光タフテッドカーペットの外部及び/又は内部に備えられて良い。小さな光源-たとえばLED-がカーペット内部に(だけではなくカーペットの外部にも)備えられる一方で、相対的に大きな光源-たとえばハロゲンランプなど-はカーペットの外部に備えられて良い。外部光源の光は、直接導波路へ入り込んで結合して良いし、又は、カーペットの光源と導波路の間に備えられた中間導波路によって結合しても良い。従って本発明の実施例では、光源は1次バッキング層の底面とカーペットの底部層の間に備えられる。
【0061】
光源という語はまた複数(たとえば2つ)の光源に関して良い。特定の実施例において、カーペットは、ある実施例ではカーペット内部に集積された複数の光源を有して良く、かつ/又は別な実施例では前記カーペットの外側に設けられた複数の光源を有して良い。一般的には、複数の光源には複数の導波路が与えられて良い。従って、複数の光源と複数の導波路を有する特定の実施例では、複数の導波路と複数の光源は、各光源の光を各対応する導波路へ結合して導波路光とするように備えられている。しかし複数の光源が、その光源の光を、同一の導波路の実質的に同一の場所又は複数の異なる場所へ供することも可能である。
【0062】
複数の光源は、実質的に同一のスペクトルを有する光を発生させて良いが、それぞれ実質的に異なるスペクトルの光を発生させても良い。従って複数の光源は、実質的に同一色の光を発生させて良いし、又は複数の色を発生させても良い。
【0063】
好適実施例では、光源は1つ以上のLEDを有する。光源として複数のLEDが用いられている実施例では、LEDは赤-緑-青(RGB)LEDである。たとえばLEDの一の部分は赤色LEDで、LEDの他の部分は緑色LEDで、そしてLEDのさらに他の部分は青色LEDである。RGB LEDはカーペットの色を変化させることができるので有利である。たとえば白色タフトがRGB LEDと併用されるとき、カーペットの色を任意の所望の色に変化させることが可能である。たとえばRGB LEDを緑色に設定することによって、カーペットのタフトは緑色に見える。
【0064】
ここでは光源は任意の光源として表されている。「任意の」という語が用いられている理由は、カーペットには必ずしも光源が備えられている必要がないからである。本発明はまた、任意の外部光源とは独立して、カーペットそれ自体にも関する。さらに本発明は、カーペットと光源が組合せられた実施例に関し、かつ光源がカーペットに集積される実施例にも関する。
[他]
本発明の他の実施例によると、1次バッキング層、2次バッキング層、及び接着層のうちの少なくとも1つは光を散乱する粒子を有する。このような光を散乱する粒子は充填物とも呼ばれる。充填物は、接合を維持すると同時にカーペットのコストを下げる利点を有する。充填物が光を散乱する結果、カーペットからの光は、元の発光スポットよりも大きな面積から発光するように見える。このことは均一な発光が望ましいときに有利である。光を散乱する粒子は炭酸カルシウム又は他の材料-たとえばTiO2-であって良い。炭酸カルシウムの利点は比較的低コストであることである。炭酸カルシウムは方解石又はチョークの状態であって良い。光を散乱する粒子はまた陶土充填物のようなカオリナイトであっても良い。典型的にはたとえば量にして600g/lの充填物が用いられるが、本発明の多くの実施例では、光の透過性を増大させるため、はるかに少量の充填物が用いられる。
【0065】
本発明の他の実施例によると、タフテッドカーペットは反射層をさらに有する。前記反射層は1次バッキング層の反対を向く導波路の面に設けられる。反射層は、導波路から積層構造へ光を案内し、かつタフテッドカーペットから放出される光の強度を増大させることが可能である。たとえば導波路とカーペット底部層の間に反射層が備えられて良い。あるいはその代わりに2次バッキング層底面とカーペットの底部層の間に反射層が備えられても良い。導波路が実質的に接着層の内部に備えられているものとすると、接着層と2次バッキング層の間に反射層が備えられて良い。係る反射層は、必ずしも完全な層でなくて良く、たとえば接合特性の観点から、部分により構成されていても良い。カーペットの底部層はまた反射層それ自体であっても良い。反射は鏡面反射であって良いし、又は拡散反射であっても良い。従って反射層はまた散乱層であっても良い。
【0066】
従って、任意の接着層、任意の反射層、又は任意の散乱層は完全な層であって良く、1次バッキング層と実質的に同一の長さ及び幅を有するが、部分で構成されていても良い。たとえば、「層のドメイン」が存在する場合、つまり1次及び1次バッキング層の部分が接着層によって互いに接合して、かつ部分が間に接着層を間に挟まない状態で積層される場合、1次バッキング層と2次バッキング層の間での良好な接合が実現されても良い。当業者は、所望の結果を得るため、任意の接着層、任意の反射層、又は任意の散乱層の寸法を最適化することが可能である。
【0067】
「光を通す」という語は、たとえば層のような材料が透過する光に関する。本明細書においては「通す」又は「透過(する)」という語は、分配されていない透過(実質的には材料中での散乱が生じない)及び/又は(たとえば半透明材料内での散乱後に)分配された透過に関する。従って「光を通す」という語は「透過」をも意味し得る。
【0068】
透過は、特定波長で第1強度を有する光を材料に供し、かつ、前記材料を透過した後に測定された前記波長の光を集積したものの強度を、前記材料に供された前記の特定波長の光の第1強度に関連づけることによって決定されて良い(非特許文献1を参照のこと)。「光を通す」という語は、光の少なくとも1%-より好適には少なくとも10%で、さらにより好適には少なくとも30%-が材料すなわち層によって透過することを意味する。本願については、特に高出力LEDを用いるときには、さらに低い透過率でも許容されることに留意して欲しい。一般的には、たとえば1次バッキング層、2次バッキング層、及び接着層の光の透過性は、特にカーペットの上部層へ向かう方向に進行する可視光との関係で決定される。
【0069】
本明細書では導波路は一般的に高い光透過率を有する。一般的には、可視領域での導波路の光透過率は、少なくとも約80%で、より好適には少なくとも約90%で、さらにより好適には少なくとも約95%である。具体的には導波路については、透過率はさらに、可視光が厚さ1cmの導波路材料へ垂直入射した際の透過率で定義されて良い。導波路材料は上述した材料のうちの1つであって良いし、又は別な実施例では、上述した接着層材料であっても良い。
【0070】
1次バッキング層は、可視光について、好適には少なくとも約1%の光透過率を有し、より好適には少なくとも約10%の光透過率を有し、さらにより好適には少なくとも約30%の光透過率を有する。導波路の下流に(つまり導波路と1次バッキング層の底面の間に)備えられた他の任意の下流材料又は層は、好適には少なくとも約1%の光透過率を有し、より好適には少なくとも約10%の光透過率を有し、さらにより好適には少なくとも約30%の光透過率を有する。
【0071】
「青色光」又は「青色発光」という語は具体的には約410-490nmの範囲の波長を有する光に関する。「緑色光」という語は具体的には約500-570nmの範囲の波長を有する光に関する。「赤色光」という語は具体的には約590-650nmの範囲の波長を有する光に関する。「黄色光」という語は具体的には約560-590nmの範囲の波長を有する光に関する。
【0072】
本明細書において「光」という語-たとえば「カーペット光」又は「光源の光」-は可視光に関することが好ましい。「可視光」という語は具体的には約400-700nmの範囲の波長を有する光に関する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1a】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の断面を概略的に図示している。
【図1b】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の断面を概略的に図示している。
【図1c】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の断面を概略的に図示している。
【図1d】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の斜視図を概略的に図示している。
【図1e】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の断面を概略的に図示している。
【図1f】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の断面を概略的に図示している。
【図1g】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の断面を概略的に図示している。
【図1h】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の斜視図を概略的に図示している。
【図2】a-cは、本発明による(複数の)光源及び(複数の)導波路の配置に係る実施例の上面を概略的に図示している。理解の便宜上、(複数の)光源及び(複数の)導波路を示すため、1次バッキング層10は「除去」されている。
【図3】導波路内の結合光が外へ放出される位置の実施例を概略的に図示している。本発明は図中の位置数に限定されるわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0074】
ここで本発明の実施例を、例示でしかない添付の概略図を参照しながら説明する。図中、対応する参照番号は対応する部品を表す。
【0075】
本願の図は概略図であり、一般的には最も重要な部分しか表しておらず、当業者にとって明らかと思われる部分は省略されている。たとえば電源、電気ワイヤ等は、簡明を期すためにほとんどの図には含まれていない。さらに図は正しい縮尺ではない。
【0076】
図1aは、本発明による発光タフテッドカーペット100の実施例を概略的に図示している。当該発光タフテッドカーペット100は、1次バッキング層10と2次バッキング層20の積層体、さらには導波路30と光源40を有する。光源40は任意であって良い。
【0077】
ここで1次バッキング層10はカーペット面131と底面132を有する。1次バッキング層10には、カーペット面131でタフト12-ここでは弊ループのタフト-を形成する毛糸11が供されている。本明細書においては1次バッキング層のカーペット面は「カーペット面」又は「カーペットとして使用されている間使用者に対向する面」とも表される。1次バッキング層10は光を通す。すなわち導波路からの光(以降を参照のこと)は1次バッキング層を介してカーペット100の外部へ飛び出す。
【0078】
2次バッキング層20は上面135と底面136を有する。
【0079】
1次バッキング層10と2次バッキング層20は積層体130を形成する。積層体130は任意で、他の層-たとえば接着層(後述)、反射層など-をも有して良い。積層体130は、カーペット上部層141として1次バッキング層のカーペット面131を有し、かつカーペット底部層142を有する。本実施例では、カーペット底部層142は2次バッキング層の底面136である。
【0080】
上述したように、「底部」及び「上部」という語は、対象物-たとえば1次バッキング層10、接着層(後述)、2次バッキング層20、及び積層体130-の各異なる面を明確にするためだけに用いられている。「底部」及び「上部」という語を使用しても請求項に記載された本発明のカーペットは、添付図面に概略的に図示された構成に限定されない。またロール上のカーペット100も請求項に係る発明である。
【0081】
導波路30は1次バッキング層の底面132とカーペットの底部層142の間に備えられている。本実施例では、導波路30は1次バッキング層の底面132と2次バッキング層の上面135の間に備えられている。
【0082】
さらにこの側面では、導波路30の面積は1次バッキング層10と2次バッキング層20の面積と実質的に等しい。しかし導波路のこの面積(又は合計した導波路の最大断面積)は、1次バッキング層10(と2次バッキング層20)の面積よりも小さい(後述)。面積という語は「断面積」又は「最大断面積」を指称する。つまり、図1a(1b、1c、及び1e)の図面に対して垂直であって層に対して平行な面内、又は換言すると、カーペットを平坦な状態で敷いている間でのカーペット100に対して平行な面内における導波路30、1次バッキング層10、及び2次バッキング層20の面積である。
【0083】
導波路30は、導波路の光(参照番号32)を結合して、導波路の光が結合して外へ放出される(1つ以上の)位置31で、カーペット光102として外へ放出するように備えられている。導波路は光源40からの光を受ける。従って光源40は光源の光42を発生させるように備えられている。導波路30と光源40は、光源40の光42を導波路30で結合させて、導波路の光32(つまり光源の光42が導波路30へ入り込む結果、導波路を進行する光)とする。(複数の)結合光が外へ放出される位置31は1次バッキング層の底面132とカーペット底部層142の間に備えられ、(複数の)位置31で、光は導波路30から飛び出す。本明細書においてこの光は「カーペット光102」と呼ばれ、かつこの光はカーペットの上部層141の方向に向かって進行する。この光の少なくとも一部は1次バッキング層10を透過することで、このカーペット光102が供される。(複数の)導波路30-具体的には結合光が外へ放出される位置31-は、導波路の光32を結合させて、導波路から1次バッキング層の上面131へ向かう方向へ放出させるように備えられていることが好ましい。
【0084】
1次バッキング層10は結合光が外へ放出される位置31の下流に位置する。換言すると、導波路の結合光が外へ放出される位置31は1次バッキング層10の下に位置する。
【0085】
本実施例では、1つの外部光源40及び1つの導波路30が概略的に図示されている。
【0086】
1次バッキング層10及び2次バッキング層20は、当業者には既知の手段-たとえば接着層-によって互いに付着して良い。図1aを参照すると、接着層が1次バッキング層10と導波路30の間に備えられて良い。任意で接着層は、導波路30と2次バッキング層20と導波路30の間に備えられても良い(いずれも図1aには図示されていない)。2次バッキング層20が存在し、かつ導波路30が1次バッキング層10(及び2次バッキング層20)の断面積の50%よりも大きな-たとえば50%〜100%の範囲の-断面積を有する実施例では、接着層は導波路30と2次バッキング層20の間に存在することが好ましい。よって係る実施例は、1次バッキング層10、任意の接着層(参照番号50、後述)、導波路30、他の任意の接着層、及び2次バッキング層20を有する積層体130を有して良い。
【0087】
図1bは、図1aで概略的に図示された実施例と実質的に同一のものを概略的に図示している。しかし本実施例では、カーペット100は上面133と底面134を有する接着層50をさらに有する。接着層50は1次バッキング層10と2次バッキング層20の間に備えられている。ここで接着層50は1次バッキング層の底面132及び2次バッキング層の上面135と実質的に接触している。接着層50は1次バッキング層10及び2次バッキング層20の実質的に全面に存在して良いが、1次バッキング層10及び2次バッキング層20上の別々な領域に備えられても良い。
【0088】
本実施例では、導波路30は接着層50(の一部)と1次バッキング層10の間に備えられている。この概略的に図示された実施例では、発光タフテッドカーペット100は複数の導波路30-たとえば複数の光ファイバ-を有する。
【0089】
上述したように、導波路30-具体的には結合光が外へ放出される位置31(図示されていない。図1a及び3を参照のこと)-は、導波路の光32を結合して、導波路から1次バッキング層の上面131へ向かう方向へ放出するように備えられて良い。しかしそれに加えて又はその代わりに、導波路の光32の一部は接着層50の方向へ飛び出すことも起こりうる。従って好適実施例では、接着層50は少なくとも部分的にカーペット光102を透過することが好ましい。
【0090】
図1bの接着層50は光を通す接着層50であって、任意で粒子60をさらに有する。光を通す接着層50は、散乱粒子、電気伝導性粒子、及び酸化防止剤からなる群から選ばれる粒子60を1種類以上有して良い。特にそれらの粒子60は散乱粒子を有して良い。接着層50は粒子60としての光散乱粒子を含まないことが好ましい。ここで散乱粒子又は光散乱粒子は、電気伝導性粒子又は酸化防止剤粒子の機能を実質的に有していない粒子である。
【0091】
図1bでは、導波路30-たとえば光ファイバ-の概略的前面図が表されている。概略的に図示されたカーペット100の背面(図中)であって導波路30の上面にて光源からの光が入り込んで結合する。
【0092】
図1cは先の図1bにて概略的に図示された実施例と実質的に同一のものを概略的に図示している。ただし導波路30は接着層50と2次バッキング層20の一部の間に備えられている。この実施例では、導波路30は2次バッキング層の上面135と接触して良い。特に係る実施例では、接着層50もカーペット光102を通すことが望ましい。従って導波路30から飛び出す光は、接着層50の少なくとも一部を通り抜けてカーペットの上部層141の方向へ向かって進行し、その後1次バッキング層10を通り抜けて(カーペット上部層141の方向に)進行して、カーペット光102としてカーペット100から外部へ飛び出す。
【0093】
図1dは本発明の実施例の概略的斜視図を図示している。図1dに図示された実施例は図1b及び図1cで概略的に図示された実施例と実質的に同一である。主な違いは、タフト12が閉ループではないこと、及び導波路30が実質的に接着層50によって封止されていることである(つまり(複数の)導波路は実質的には接着層50の接着剤として接触しておらず、1次バッキング層10又は2次バッキング層20とは実質的に接触していない)。光源からの光42を(複数の)導波路30で結合するための手法は、以降の図2a-2cでさらに示される。
【0094】
当業者にとって明らかなように、閉ループ又は開ループのいずれが図示されているかは本発明を限定するものではない。
【0095】
図1eは、図1dと共に、導波路の面積と1次バッキング層10又は2次バッキング層20の面積との関係を特に図示している。図1dの概略図は、参照番号19と29によって、1次バッキング層10と2次バッキング層20の面積を相対的に表している。一般的には、そして少なくとも本実施例では、これらの面積19と29は実質的に同一であり、かつカーペット100の面積と実質的に同一である。これらの面積19と29はまたそれぞれ、1次バッキング層10と2次バッキング層20の断面積としても表されて良い。ここで繰り返しになるが、「断面積」という語は、カーペット100を平坦な状態で使用している間(つまり特に実質的に水平な面上で平坦面を使用している間)でのカーペット100の面に対して平行な断面積を指称する。図1eは複数の導波路30を概略的に図示している。図1eでは、各導波路30は、1次バッキング層10及び2次バッキング層20に対して実質的に平行な面内に最大断面積33を有する。「最大断面積」という語が用いられる理由は、導波路30はたとえば実質的に、(たとえば光ファイバのような導波路30に対して垂直な面内に)環状の断面積を有することもあり得るからである。よって断面積は変化する。
【0096】
従って図1eを参照すると、1次バッキング層10及び2次バッキング層20に対して平行な面内に位置する導波路の面積が、導波路30の最大幅でとられる。導波路30の最大断面積の合計は1次バッキング層の面積19(及び2次バッキング層の面積29)の50%以下であることが好ましい。
【0097】
図1fは図1aと同一の実施例を概略的に図示している。ただしタフテッドカーペット100が2次バッキング層20を有していない点は異なる。任意で1次バッキング層10と導波路30の積層体130がバッキング層230をさらに有して良い。バッキング層230はたとえば反射ホイル(反射層)であって良い。この概略図では、導波路30の最大断面積の合計は1次バッキング層の面積と実質的に等しいが、この実施例はそのような構成に限定されるわけではない。任意で接着層50は(複数の)導波路30と1次バッキング層10の間に存在して良く、又は、(複数の)導波路30は任意の接着層50の内部に集積されても良いことに留意して欲しい(図1b及び1cを参照のこと)。
【0098】
図1gで概略的に図示されたさらに他の実施例では、(複数の)導波路が2次バッキング層20内に集積される。図1gに図示された実施例では、接着層50は実質的に散乱粒子を有していないことが好ましい。本実施例では、導波路30から飛び出す光は、2次バッキング層20の一部、(任意の)接着層50、及び1次バッキング層10を通り抜けて、カーペットの上部層141の方向へ進行し、カーペット光102としてカーペット100を飛び出す。
【0099】
図1dで概略的に図示されている実施例の変化型として、カーペット100の実施例が図1hに図示されている。図1hでは、導波路30は複数の導波路30を有し、かつ2次バッキング層20は存在しない。係る実施例では、導波路30はカーペットの底部層142を供して良い。
【0100】
図2a-2cは、本発明の実施例による(複数の)光源40と(複数の)導波路30の配置に係る実施例を概略的に図示している。図2a、図2b、及び図2cは「上から見た」図である。理解の便宜上、(複数の)光源40及び(複数の)導波路30を示すため、1次バッキング層10は「除去」されている。
【0101】
図2aは、導波路30が複数の導波路を有する実施例を概略的に図示している(ここでは、複数の導波路は2次バッキング層の上面135上に備えられている)。導波路30は複数の結合光が外へ放出される位置31を有する。導波路30は光結合ユニット160を介して光源40からの光42を受ける。光結合ユニット160は中間導波路及び/又は補助光学系を有して良い。光結合ユニット160は、光源40からの光42を導波路30-ここでは複数の導波路30-で結合させるように備えられている。「中間導波路」という語は、この導波路が、光源40からカーペット100が有する導波路30へ光を案内するように備えられていることを示すように用いられる。
【0102】
光結合ユニット160は他の概略図には図示されていないが、当業者にとって明らかであるように、本発明によるカーペット100は1つ以上の光結合ユニット160を有して良い。
【0103】
有利となるように、導波路の光を結合して外へ放出する位置31は1次バッキング層の底面132とカーペットの底部層142の間に存在することに留意して欲しい。
【0104】
図1a-1h及び図2aは、光源40がカーペット100の外部に備えられた実施例を概略的に図示している。図2b及び図2cは、(複数の)光源40が1次バッキング層の底面132とカーペットの底部層142の間に備えられている実施例を概略的に図示している。ここでこれらの概略的に図示された実施例では、(複数の)光源40は1次バッキング層の底面132と2次バッキング層の上面135の間に備えられている。たとえば(複数の)光源は少なくとも部分的に接着層50内に集積されて良い。概略図2b及び2cでは、理解の便宜上、(複数の)光源40及び(複数の)導波路30をより良く示すため、任意の接着層50及び1次バッキング層10は図示されていない。
【0105】
図2bでは、カーペット100は複数の導波路30を有する。光源の光42(図示されていない)は導波路30-たとえば光ファイバ-で結合する。繰り返しになるが本発明の実施例では、導波路内での光源からの光の結合は、光学系-たとえばコリメータ等-によって可能となる。光ファイバ30の配置は長方形配置である。複数の導波路30はそれぞれ、導波路の光が結合して外へ放出される位置31を複数有するので、カーペット光102をかなり均一に発生させることが可能となる(図示されていない)。
【0106】
(この図及び他の図では)単一光源として図示されているが、光源40はたとえば複数の光源-たとえばLED-を有しても良いことに留意して欲しい。たとえば光源40は、上述したようにRGB LEDを有しても良い。
【0107】
図2cは、図2bで概略的に図示されたカーペット100の実施例と実質的に同一のものを概略的に図示している。ただし図2cに図示された実施例は複数の光源を有し、各光源40は光源からの光42(図示されていない)を複数の導波路30で結合するように備えられている。例として、(複数の)電気ワイヤ81を介して(複数の)光源へ電力を供給するように備えられた電源80が図示されている。
【0108】
他の実施例では、1つの光源40につき1つの導波路が存在して良い。従って本発明の実施例では、導波路30は複数の導波路を有し、かつ光源40は複数の光源を有する。ここで各導波路及び各光源はそれぞれ、光源からの光を導波路で結合するように備えられている。
【0109】
図1a-1c及び図1f-1hは光源を外部に有するものとして概略的に図示され、かつ図1d及び図1eは光源を有していないものとして概略的に図示されているとはいえ、これらの概略的に図示された実施例は内部の光源40-つまり1次バッキング層10の底面132とカーペットの底部層142の間に備えられた光源40-を有して良いことに留意して欲しい。
【0110】
最後に図3は、複数の結合光を外へ放出する位置31-たとえば凹部及び反射(端)面-を有する導波路30-たとえば光ファイバ-の実施例を概略的に図示している。
【0111】
さらに2次バッキング層20に関し、本発明の実施例では、この2次バッキング層20は2次バッキング層用の既存製品-たとえば「アクションバック(ActionBac)」(登録商標)の名前で知られたもの-に基づいて良い。これは、スリット膜と紡いだオレフィン糸の絡み織りで作られている。これは、平均として1インチあたり16のワープと5つの横糸(pick)を有する絡み織りの中に、ポリプロピレン製のワープテープとポリプロピレン製のマルチフィラメント横糸を有する1平方ヤード当たり2.1オンス(0.71g/m2)の繊維を有する。係るバッキング層は、カーペットに良好な剥離強度と共に寸法の安定性を与える。このバッキング層はまた、製造中での確かな硬化率に適した開口部をも有する。0.5インチの水に等しい差圧で、ASTM D-737に従って決定されたこのバッキング層の通気率は750ft3/min/ft2(229m3/min/m2)を超える。この値は確かな結合剤硬化率にとって十分である。高いカウント数である18×13の絡み織りで構成された別の製品は、平均通気率が約720ft3/min/ft2(219m3/min/m2)を超えるという利点を有する。これはまた効率的な硬化率にも適している。2次バッキング層20は、接着層50に用いられる材料に対する接合の相性が非常に良い。そのためカーペット100はASTM D-3936で記載されているような剥離試験を通過する。剥離耐性が与えられるという特性は、記載された参考用カーペットで積層されるときのバッキングが少なくとも2.5ポンド/インチ(44.6kg/m)の剥離強度を有するようなものであることが好ましい。しかし好適な値は、3-4ポンド/インチ(53.6-71.4kg/m)よりも大きく、少なくとも5.5ポンド/インチ(98.2kg/m)であることがより好ましく、そして少なくとも6ポンド/インチ(107.1kg/m)であることがさらに好ましい。
【0112】
剥離を防止するため、良好な結合が必要である。結合は、硬化中にカーペットから揮発した結合剤液体が通り抜けるのを妨害しない十分な開口部を有することによって改善可能である。
【0113】
2次バッキング層の通気率は、0.5インチの水に等しい差圧で、ASTM D-737に従って決定することができる。許容値は250ft3/min/ft2(76.2m3/min/m2)だが、より好適な値は350-800 ft3/min/ft2(106.7-243.8m3/min/m2)の範囲である。通気率が約70ft3/min/ft2(24.4m3/min/m2)の2次バッキング層は結合剤の硬化率が高い場合には不適切であると考えられる。例として「アクションバック(ActionBac)」(登録商標)は非常に適した2次バッキングで、750ft3/min/ft2を超える。
【0114】
図から分かるように、2次バッキングの一部は(複数の)導波路及び任意の(複数の)光源によって覆われて良い。底部である2次バッキングが十分高い通気率を有する場合、これは許容される。たとえば表面の50%が覆われる場合、最悪の場合で通気率は通常の
50%にまで減少する。従って許容可能な値である250ft3/min/ft2の通気率を実現するためには、500ft3/min/ft2よりも大きな通気率を有する2次バッキングを用いなければならない。一例として、「アクションバック(ActionBac)」(登録商標)700ft3/min/ft2を超える通気率を有するので、本発明に用いることが可能である。
【0115】
他の既存の2次バッキング材料も、本発明に用いられる2次バッキング層20の基礎として用いられて良いことに留意して欲しい。他の例は、ニードルフェルトバッキング、ゴムバッキング、PVCバッキング、ポリウレタンバッキング、ビニールバッキング、クッションバッキング、ナイロンバッキングである。ニードルフェルトバッキング中の繊維は結合用に針状となっている。クッション又はパッドが2次バッキング内に集積されても良いことに留意して欲しい。2次バッキングの別な例はビチューメンである。この材料はさらにしっかりとしたカーペット-たとえばカーペットタイル又はカーマット-が求められるときに用いられる。上述したように、係る2次バッキング層20は、本発明によるタフテッドカーペット100内に含まれる。
【実施例】
【0116】
一例では、カーペット100はアクションバック(ActionBac)(登録商標)2次バッキング20及び開ループのタフテッド1次バッキング10を有する。純粋なラテックスが接着層50としてのフィルタのない状態で用いられる。1次バッキング10と2次バッキング20の間には、導波路30としての光ファイバ30が不規則なパターンで備えられている。しかし光ファイバの端点は1つの位置で結合している。その位置では、光ファイバがカーペットを飛び出し、光源40としての1つのハロゲンランプへ向かう。そこには複数の色の光を供するための吸収カラーホイールが設けられている。ハロゲンの光源40からの光42は全ての光ファイバで同時に結合する。光102は、1次バッキングと2次バッキングの間に備えられた光ファイバの端点で外へ放出される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光機能をも有する織物材料に関する。本発明は特に、1次バッキング層、該1次バッキング層のカーペット面上にタフトを形成する毛糸、2次バッキング層、及び、前記1次バッキング層と2次バッキング層の間に備えられた接合層を有するカーペットに関する。本発明はまた当該カーペットの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
カーペットは一般的に、タフトを形成する毛糸が供された1次バッキング層(その毛糸は、その1次バッキング層がカーペットとして使用されている間、その1次バッキング層の面のうち使用者に対向している面の上に供される)、2次バッキング層、及び一般的に、前記1次バッキング層と2次バッキング層の間に供される接合層を有する。毛糸は1次バッキング層を突き抜けて、人が歩くことなどのできるパイル織物の表面から突出したタフトを形成する。毛糸はまとまりがなく、(接合層)からの接着剤で接合される必要がある。1次バッキングの背面上に存在することが可能な接合層は、タフトを1次バッキング層へ接合し、前記タフトを定位置に保持するだけでなく前記1次及び2次バッキング層とも接合する。後者は、第1接合層の上部に存在する第2接合層によって実現されても良い。
【0003】
光ファイバを有する織物材料は当技術分野において既知である。たとえば特許文献1は、機能性光ファイバを有する分布型光ファイバスクリム、つまりは機能性光ファイバスクリムを製造する方法、及び光ファイバスクリムが含まれる組成物について記載している。特許文献1は、様々な織物スクリム-特に結合した不織スクリム材料-について記載している。特許文献1では、各織物スクリムは少なくとも1つの光ファイバを有し、その光ファイバは少なくとも繊維の長さ又は幅にわたって連続的な経路を備える。係る光ファイバは、センサ部品(たとえば破壊、歪み、圧力、又はトルクの検出器として)、発光部品(たとえば様々な光を供給する用途に用いられるもの)、若しくはデータ分配部品として有用となり得る。また係る光ファイバは、単体で用いられても良いし、又は他の材料-たとえば繊維、膜、泡状物質等-と併用されても良い。
【0004】
さらにたとえば特許文献2は発光繊維について記載している。その発光繊維では、光ファイバが織物の一部であり、編まれた繊維の一部を置き換えられる。それによって、当該発光繊維は均一に発光するので装飾品として用いられる。個々の光ファイバは、繊維の一端で束にまとめられ、かつ光源によって照射される。光ファイバを進行する光は、外側のコーティングを貫通する小さな傷を介するので、ファイバの全長にわたってわずかな量しか放出されない。光の均一性及び強度は、光ファイバの非照射端に反射コーティングを供することによって改善される。この繊維は衣類-たとえば、衣装、高視認性安全服、日焼け対策用スーツ、敷物、掛け布、劇場用カーテン、建築パネル、繊維ガラス製のボート船体等に利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0037462号明細書
【特許文献2】米国特許第4234907号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「CRCハンドブック化学及び物理学(第69版)」、pp.1088-1989(E-208、E-406)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術に係るシステムの欠点は、その製造が比較的困難になることである。さらにカーペットであれば、係る繊維光学カーペットは手縫いする必要があるため高価になってしまうという問題が起こりうる。それに加えて光ファイバは比較的使用者によって損傷を受けやすい。その理由は、光ファイバがタフトに沿ってカーペットに突き刺さっているからである。他の問題は、繊維光学カーペット内での光スポットの数が、そのカーペットに接続可能な光ファイバの最大数によって制限される恐れがあることである。カーペット内のLEDに関係するさらなる問題は、如何にして高出力LEDからの光を大面積全体にわたって分配するのかである。
【0008】
従って本発明の態様は代替カーペットを供することである。さらに当該代替カーペットは、上述した問題の1つ以上を(部分的に)解消することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って本発明は、実施例において、カーペット上部層及びカーペット底部層を有する発光タフテッドカーペットを供する。当該発光タフテッドカーペットは、光を透過させる1次バッキング層、任意の接着層、結合光が放出される位置を有する導波路、及び任意の2次バッキング層を有する。前記1次バッキング層は、前記カーペットの上部層であるカーペット面、及び底面を有する。前記1次バッキング層には前記カーペット面にタフトが供される。前記任意の2次バッキング層は上面及び底面を有する。前記結合光が放出される位置は、前記1次バッキング層の底面と前記カーペット面との間に備えられる。前記導波路は、光源からの光を導波路光として結合するように備えられている。前記導波路は、前記導波路光を、前記結合光が放出される位置で放出することで、カーペット光を供するように備えられている。
【0010】
特に当該カーペットは比較的容易に製造することが可能である。当該カーペットは比較的均一なカーペット発光を行うことが可能である。つまり当該カーペット中の離散的な光スポットの存在は、必要であれば、光ファイバ織布カーペットと比較して、実質的に減少させることが可能である。さらに本発明のカーペットは、発光部-たとえば(当該カーペット内部に集積される場合の)任意の光源及び(複数の)導波路-を損傷することなく、比較的容易に曲げること及び搬送することが可能である。それに加えて、発光部を実質的に損傷することなく、使用者は当該カーペット上を歩いたり座ったりすることが可能である。なぜなら前記発光部は、少なくとも前記1次バッキング層によって実質的に保護することが可能であるためであり、実施例によっては前記2次バッキング層全体又は一部によって保護することも可能であるためである。さらに本発明の実施例によるカーペットは、空気、湿気、及び水を実質的に通すことが可能である。そのため衛生などの観点を改善することが可能である。このように空気、湿気、及び水などを通すことは処理中でも有利となる。なぜなら任意の接着層の接合が容易に乾燥可能となるからである。有利となるように、前記カーペット光は当該カーペット面の下-より厳密には前記1次バッキング層の下-で発生し、前記導波路からの導波路光は「(複数の)結合した光を放出する位置」(結合光放出位置)で結合して放出されることで、導波路の保護が可能となり、かつ実質的に均一な発光が可能となる。
【0011】
本発明のさらなる態様によると、本発明は、1次バッキング層、接着層、複数の導波路、及び2次バッキング層を有する発光タフテッドカーペットの製造方法を供する。当該方法は、前記1次バッキング層の底面又は前記2次バッキング層の上面に接着剤及び前記複数の導波路を供する工程、並びに、前記1次バッキング層と前記2次バッキング層を互いに積層する工程を有する。
【0012】
本明細書においてカーペットという語はタフテッドカーペットを指称するが、実施例によっては、タフテッド絨毯とも指称されるし、タフテッドゴブラン織とも指称される。さらに他の実施例では、カーペットという語は、タフテッドカーマットを指称する。例にはまた、壁若しくは屋根のカバーとして用いられるタフテッドカーペット、又はタフテッドバスマットもある。本明細書において、発光タフテッドカーペットはさらに、「カーペット」又は「タフテッドカーペット」をも表す。
【0013】
「発光タフテッドカーペット」という語は、任意の光源の光が導波路で結合するときに光の放出を可能にする、本発明によるカーペットを指称する。つまり光が前記導波路から1次バッキング層を介して外部へ飛び出す。しかし請求項の記載は、発光体として使用されているカーペットにしか関していないわけではなく、カーペットそれ自体、又は、備えられた光源がオフになっているカーペット、又は光源が取り外されたカーペットにも関する。
[積層体]
1次バッキング層及び2次バッキング層は、当技術分野において知られている手段によって互いに積層されて良い。従ってカーペットは積層体であって良く、本明細書においては、「カーペット積層体」又は単純に「積層体」とも表されて良い。
【0014】
接着層が第1層と第2層を互いに付着させるように塗布されることが好ましい。従って本発明の実施例では、発光タフテッドカーペットは上部層と底部層を有する接着層をさらに有し、該接着層は1次バッキング層と2次バッキング層の間に設けられていて、かつ前記接着層の少なくとも一部はカーペット光を通すことが好ましい。従って本発明は、1次バッキング層、接着層、導波路、及び2次バッキング層を有する積層体を有する発光タフテッドカーペットの実施例を供する。
【0015】
従って本実施例では、1次バッキング層の底面の少なくとも一部が接着層の上面の少なくとも一部と接し、かつ、接着層の底面(上面に対向している面)の少なくとも一部は2次バッキング層の上面の少なくとも一部と接する。このようにして積層体が供される。ここでは、1次バッキング層、接着層、及び2次バッキング層を「積層」したものである。
【0016】
積層体は、1次バッキング層のカーペット面である上部層(「カーペット上部層」)を有する。この層はタフトを有する。さらに積層体はカーペット底部層を有する。本発明の実施例では、このカーペット底面は2次バッキング層の底部層であって良い。
【0017】
一の実施例では、カーペットは2次バッキングを有しておらず、1次バッキング層が供されているだけである。前記1次バッキング層の背後には導波路が供されている(任意で前記1次バッキング層と前記導波路との間が接合される)。導波路は上部層及び底部層を有し、前記上部層は1次バッキング層の底部層に対向する。従って特定実施例では、導波路の底部層はカーペットの底部層である。従って特定実施例では、発光タフテッドカーペットの積層体は、1次バッキング層、接着層、及び導波路を有する。係る実施例では、積層体の面積は1次バッキング層(及びカーペット自体)の面積と実質的に等しくて良い。従って本発明は、1次バッキング層、接着層、及び導波路を有する積層体を有する発光タフテッドカーペットの実施例を供する。
【0018】
任意で接着層が塗布されなくても、1次バッキング層と導波路は、当技術分野において知られている手段によって互いに付着する。本発明は、1次バッキング層、導波路、及び任意で2次バッキング層をも有する積層体を有する発光タフテッドカーペットの実施例をも供する。
【0019】
しかし積層体は任意で、上述した1次バッキング層、導波路、及び任意の2次バッキング層以外の層もさらに有して良い。係る(複数の)任意の層は、1次バッキング層と接着層の間、1次バッキング層と2次バッキング層の間(接着層が存在しない実施例において)、接着層と2次バッキング層の間若しくは2次バッキング層の下、導波路と2次バッキング層(存在する場合)の間、及び導波路とカーペット底部層の間などに備えられて良い。そのような追加の層の例には後述する散乱層及び反射層が考えられ得る。カーペット積層体中にさらに2層以上の任意の層が存在しても良い。
[1次バッキング層及び2次バッキング層]
「1次バッキング層」という語は複数の層を有する1次バッキング層を含んで良い。同様に「2次バッキング層」という語も複数の層を有する2次バッキング層を含んで良い。
【0020】
特にカーペットのタフトを形成する毛糸は光を通すのに十分な開口部を有する構造を形成するが、カーペットは人間の目には不透明に見える。外観上の理由により、タフトは、1次バッキング層が実質的に見えないが、光はそのタフト構造を入り込むことができるように供さることが好ましい。光を通すことのできる1次バッキング層の下に光源を設ける結果、その光源からの光がタフテッド構造から放出される。
【0021】
係るタフテッドカーペットは、発光部のサイズ制限が厳しくないという利点を有する。たとえば発光位置で1次バッキングを除去する必要はない。
【0022】
本発明の他の実施例によると、1次バッキング層は光を通すことができる。本明細書で用いられているように、「光を通す」という語は、可視光の一部又は全部が、拡散の有無に関わらず、材料を通り抜けることが可能であることを意味する。このことは、1次バッキング層による(複数の)光源から放出される光強度の減少が緩和されるという利点を有する。たとえば結合して導波路の外へ放出される光強度の5%より大きな割合、10%より大きな割合、又は30%より大きな割合が、1次バッキング層を通り抜けることができる(以降参照のこと)。
【0023】
「通り抜けることのできる可視光の一部」という語は、全ての可視光を部分的に透過する(つまり100%は透過されない)ことを意味しても良いが、あるいはその代わりに又はそれに加えて、可視光スペクトルの一の部分が(部分的に)透過して、かつ可視光スペクトルの他の部分が実質的に透過しないことを意味しても良い。当業者にとって既知であるように、層-特に接着層(光を通す場合)-は、可視スペクトルのある部分よりも他の部分をよく通して良い。
【0024】
本発明の他の実施例によると、1次バッキング層はタフトで覆われた開口部を有する。開口部は放出(「透過」)光強度を増大させることが可能である。1次バッキング層用の材料選択の自由はここでは高い。なぜなら1次バッキング層材料が光を通さなければならないという制約がないからである。たとえば織布は1次バッキング層として用いられて良い。1次バッキング層として用いられる織布は織物構造中の毛糸間に開口部を有する。
【0025】
本明細書で用いられているように、「2次バッキング層」という語はバッキング層を含み、該バッキング層は積層構造とは反対側を向いているカーペット面を形成する。係る層は通常「2次バッキング層」と呼ばれ、かつ市販されている。
【0026】
これらの「2次バッキング層」は、カーペットのバッキングによく適していて、かつカーペット工場で用いられているカーペット製造方法に良く適合するという利点を有する。2次バッキング層を用いることの利点は、(複数の)導波路及び任意の(複数の)光源の保護、並びにカーペットに強度を与えることが可能なことである。従って本発明によるタフテッドカーペットは2次バッキング層を有することが好ましい。しかし本発明は、2次バッキング層の存在に限定されず、他の層が、接着層とは反対を向く2次バッキング層の面上(つまり2次バッキング層の底部とカーペットの底部層の間)のみならず、他の場所(後述)に存在しても良い。
【0027】
本発明の他の実施例によると、1次バッキング層と2次バッキング層のうちの少なくとも1つは、ポリプロピレン、ナイロン、又は黄麻を有する。これらの材料は、比較的低コストであるという利点を有する。ポリプロピレン又はナイロンによって光を通す構造を作成することは容易である。また、これらの材料は既存のタフテッドカーペットに広く用いられているので、本発明によるカーペットの製造は容易である。これらのバッキング材料は実質的には上記材料から構成されて良いことに留意して欲しい。
【0028】
本発明の他の実施例によると、2次バッキング層は少なくとも約10m3/min/m2の通気率を有する。2次バッキング層の通気率は、0.5インチ(1.27cm)の水に等しい差圧で、ASTM D-737に従って決定することができる。許容値は250ft3/min/ft2(76.2m3/min/m2)だが、より好適な値は350-800 ft3/min/ft2(106.7-243.8m3/min/m2)の範囲である。通気率が約70ft3/min/ft2(24.4m3/min/m2)の2次バッキング層は結合剤の硬化率が高い場合には不適切であると考えられる。
【0029】
本発明の他の実施例によると、2次バッキング層は通気のための開口部を有する。接着層に用いられる気化結合剤はカーペットの硬化中に開口部を通過することが可能である。この実施例では、2次バッキング層の通気率が十分高いことを保証することができる。
【0030】
本発明の他の実施例によると、カーペットは、1次バッキング層と2次バッキング層の間に少なくとも44.6kg/mの層間剥離の強度を有する。この要件はときに「剥離強度」とも呼ばれ、通常はASTM D-3936に従って試験される。
【0031】
本発明の他の実施例によると、(複数の)光源-たとえばLED-は、2次バッキング層に集積される。ここで、光源からの光を接着層へ透過させることを可能にするため2次バッキング層は光を通すことが可能であるか、又は光源が2次バッキング層の上面に供される。(複数の)光源及び2次バッキング層のこれら2つの配置は、光源からの光が接着層へ到達して、さらにカーペットの1次バッキング層の上面へ透過されることを保証することが可能である。この方法の利点は、(複数の)光源がカーペットの積層構造内部で保護されることである。(複数の)光源-たとえばLED-だけではなく(複数の)導波路も、電子機器若しくは該電子機器の周囲の防水シールを損傷させる恐れのある摩耗又は衝撃から保護されうる。積層構造の側では、(複数の)光源はタフトを備えた1次バッキング層によって保護され、反対側では、LEDが2次バッキング層によって保護される。背面の保護はカーペットの設置中特に重要となる。従ってカーペットの光を通す2次バッキングにおいて本発明を用いることもまた有利である。この理由は、高品質のカーペットでは、高剥離強度を実現するために2次バッキングの通気率がある特定の値であることが求められるからである。特に、0.5インチの水に等しい差圧で、ASTM基準D-737に従って決定される2次バッキングの通気率は少なくとも約250ft3/min/ft2であることが好ましい。
【0032】
1次バッキング層は、カーペット上部層であるカーペット面(ときに「積層面」とも呼ばれる)と底面を有する。任意の2次バッキング層は上面と底面を有する。
【0033】
1次バッキング層は1次バッキング領域を有し、(任意の)2次バッキング層は2次バッキング領域を有する。これらの領域は一般にはカーペット領域に等しい。
[導波路]
上述したように、結合光が放出される位置は、1次バッキング層の底面とカーペットの底部層との間に備えられる。さらに上述したように、導波路は上部層及び底部層を有し、前記上部層は1次バッキング層の底部層に対向する。
【0034】
このことは、本発明の実施例では、導波路が1次バッキング層と2次バッキング層の間に備えられていることを示唆する。他の実施例では、導波路は接着層(の一部)と1次バッキング層の間に備えられる。さらに他の実施例では、導波路は接着層によって実質的に封止されている。他の実施例では、導波路は接着層と2次バッキング層(の一部)の間に備えられている。さらに他の実施例では、導波路は2次バッキング層中に設けられる。さらに他の実施例では、導波路は2次バッキング層とカーペットの底部層の間に設けられる。複数の実施例を組み合わせたものが適用されても良い。繰り返しになるが他の実施例では、導波路は接着層とカーペットの底部層の間に設けられる。さらに他の実施例では、積層体は1次バッキング層及び導波路を有し、かつ導波路の底部層(上記参照)はカーペットの底部層である。
【0035】
本発明の実施例では、導波路は、1次バッキング層と2次バッキング層の間に設けられて、1次及び2次バッキング層の面積と実質的に同一の面積を有する層である。しかし導波路は小さくて、かつ複数の導波路を有することが好ましい。
【0036】
よって本発明の実施例では、導波路という語は複数の導波路をも含んで良い。従って本発明の実施例では、発光タフテッドカーペットは複数の導波路-たとえば複数の光ファイバ-を有する。導波路という語は当業者には既知である。導波路を表す他の語は光ガイドである。
【0037】
導波路は光を通す材料を有する。光を通す材料とはたとえば、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、P(M)MA(ポリ(メチル)メタクリラート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、及びCOC(シクロオレフィンコポリマー)からなる群から選ばれる材料(のシート又は細片)である。しかし導波路は光を通す材料としてシリコンゴムを有しても良い。さらに導波路は1つ以上の光ファイバを有して良い。係る光ファイバはコア及びクラッドを有して良い。
【0038】
導波路は1次バッキング層に対して(及び2次バッキング層が存在する実施例では、2次バッキング層に対しても)実質的に平行な面内に最大断面積を有する。導波路の最大断面積は、1次バッキング層(又は任意の2次バッキング層)の約50%以下であることが好ましい。
【0039】
しかし特定の実施例-たとえば積層体に2次バッキング層が存在しない実施例-では、導波路は1次バッキング層の50%よりも大きな-たとえば約50%〜100%の範囲の-断面積を有して良い。特定の実施例(上述したように、接着層が1次バッキング層と導波路の間に存在する実施例)では、導波路は「バッキング」とみなされ、かつ1次バッキング層の全面積を覆う。2次バッキング層が存在して、かつ導波路が1次バッキング層(及び2次バッキング層)の50%よりも大きな-たとえば約50%〜100%の範囲の-断面積を有する実施例では、導波路と2次バッキング層の間に接着層が存在することもまた好ましい。よって係る実施例は、1次バッキング層、任意の接着層、導波路、別な任意の接着層、及び2次バッキング層を有する積層体を有して良い。
【0040】
上述したように複数の導波路が実質的に長方形のパターンで配置されることが好ましい。「複数の導波路」という語は2つ以上の導波路-特に少なくとも6つの導波路、又はそれ以上の(たとえば50の)導波路-を指称する。50〜150の導波路を有する実施例も考えられる。
【0041】
各導波路は、1次バッキング層及び(任意の)2次バッキング層に対して実質的に平行な面内に最大断面積を有して良い。導波路の最大断面積の合計は1次バッキングの面積の約50%以下-たとえば約1〜50%(たとえば2〜40%)の範囲-である。具体的にはこのようにして、実質的に均一な発光が一方に供され、かつ他方には空気及び湿気を通すことができる。
【0042】
さらに他の特定実施例では、接着層が導波路である。つまり接着層は導波路の機能をも有する。具体的には係る実施例では、接着層は光を通し、かつ(複数の)光源を有することが好ましい。
【0043】
上述したように、導波路は、導波路の光を結合させて、その結合した光を放出する位置で放出させることでカーペット光を供するように備えられている。従って(複数の)導波路及び(複数の)結合光を放出する位置は具体的には、導波路の光を結合して、カーペット光として、カーペット上部層(又は1次バッキングの上部層)の方向へ放出するように備えられている。
【0044】
どのようにして光を結合して導波路の外へ放出するのかは、当業者には既知である。導波路は一般的に全内部反射の原理に基づいている。導波路へ戻るような反射が起こらないこれらの場所では、光を結合して外へ放出することが可能である。光が導波路から飛び出す位置は本明細書では、導波路の「結合光が外へ放出される位置」と呼ばれる。そのような結合光が外へ放出される位置は、導波路中にファセットを導入することによって生成することが可能である。これにより全内部反射限界を超えた反射が起こるので、光が結合して外へ放出される。さらに導波路の終端部は、結合光を外に放出する位置として用いられて良い。また窪み(ひっかき傷のような)が導波路中に生成されることで、導波路の光が係る窪み(結合光が外へ放出される位置)にて飛び出すことが可能となる。
【0045】
よって本明細書では、導波路の光を結合して外へ放出する位置は1次バッキング層の底面とカーペットの底部層との間に設けられることも好ましい。これにより、他の解決法に代わる光ファイバを最大限に保護する方法となりうる。光ファイバは織物であって、かつカーペット光の均一な発生を可能にする。
【0046】
本明細書において、「ある方向を向いている」という語は必ずしも「物理的に接触する」ことを意味するわけではない。本発明のある実施例では、「ある方向を向いている」は「物理的に接触する」だが、別な実施例では、「ある方向を向いている」は「対向する」を意味する。たとえば本発明のある実施例では、積層体は、2次バッキング層、導波路、(たとえば導波路を封止する)接着層、及び1次バッキング層を有する。係る実施例では、2次バッキング層の上部層は導波路の方向を向き、かつ1次バッキング層の方向を向くが、導波路とは接触して良いが、1次バッキング層とは接触しない(間に接着層が存在するため)。
[光ファイバ]
光ファイバは一般にコア及びクラッドを有する。光ファイバには、クラッド中に1つ以上の切り欠き(たとえばひっかき傷)を供することによって1つ以上の結合光を外へ放出する位置が供されて良い。
【0047】
あるいはその代わりに、又はそれに加えて、発光材料の粒子は光ファイバ内の各位置で集積されて良く(粒径は数μm〜数百μmのオーダーである)、導波路の光は吸収され、変換され、そして放出され、かつ、放出光の少なくとも一部は光ファイバから飛び出すことが可能である。たとえば発光材料は、青色光を吸収して黄色光を放出する材料-たとえばYAG:Ce又はその類似物質-を有して良い。導波路の光は青色光であって良い。
【0048】
あるいはその代わりに、又はそれに加えて、発光材料の粒子の代わりに、反射粒子が用いられても良い。反射粒子とはたとえば、TiO2粒子、炭酸カルシウム粒子等である。
【0049】
あるいはその代わりに、又はそれに加えて、所謂「損失の多いファイバ(lossy fibers)」が用いられても良い。損失の多いファイバはたとえば光ファイバを有し、該光ファイバは光を結合して、その光ファイバ全面にわたって実質的に外へ放出する。従って本発明の実施例では、導波路-特に光ファイバ-は複数の結合光を外へ放出する位置を有する。
[接着層]
接着層は、1次バッキング層の方向を向く上面及び、2次バッキング層の方向を向く底面を有する。
【0050】
繰り返しになるが、「接着層」という語は、本発明のある実施例では、複数の接着層(たとえばプレコーティング層及び接着層)を有する接着層を含んで良く、かつ本発明の他の実施例では、複数(たとえば混合物)の接着剤を有する接着層を含んで良い。たとえば接着層は、1次バッキングの背面上に存在して良く、タフトを前記1次バッキング層に付着させ、前記タフトを定位置に保持し、かつ1次バッキング層と2次バッキング層を互いに接合させて良い(たとえば接着層内部の(複数の)導波路によって)。あるいは第1接着層は1次バッキングの背面に存在して良く、タフトを前記1次バッキング層に付着させ、前記タフトを定位置に保持し、かつ(たとえば接着層内部の(複数の)導波路によって)1次バッキング層と2次バッキング層を互いに接合させるため、前記第1接着層上に第2接着層を保持する。係る接着層-任意で各異なる接着剤に基づく-は本明細書では接着層と表記される。
【0051】
特に導波路の少なくとも一部が接着層内に備えられている実施例では、より特に導波路が1次バッキング層と物理的に接触していないが少なくとも一部が接着層によって覆われている実施例では、接着層はカーペと光を通すこと、つまり光が光ファイバからカーペット外部へ飛び出すこと、が好ましい。従って本発明の実施例では、接着層50はカーペット光を通す。
【0052】
従ってタフトを定位置に保持する接着層は、本発明の実施例では、1次バッキング層の下で光源を定位置に保持するのに用いられて良い。光源は、1次バッキング層の底面と接着層の上面の間に設けられて良い。1次バッキング層の方向を向く接着層の上面には(複数の)開口部が供されて良い。前記開口部内には光源が設けられて良い。
【0053】
本発明の好適実施例によると、光源からの光を1次バッキング層へ透過させることを可能にするため、接着層は少なくとも部分的に光を通す。このため、光源を接着層の底面に備えることが可能である。この場合、光源は任意で別な接着手段によって定位置に固定されて良い。光源はまた接着層内で完全に封入されても良い。あるいはその代わりに光源は、該光源と接着層との間の空間内部であって前記接着層の下に設けられて良い。
【0054】
他の実施例では、接着層は散乱粒子-たとえばTiO2粒子、又は炭酸カルシウム粒子-をさらに有する。係る粒子は、結合光の外への放出及び/又はカーペット全体にわたって均一な光の分布/結合光の放出を改善することが可能である。従って係る粒子は、接着層中のカーペット光の一部を散乱するように備えられている。
【0055】
本発明の他の実施例によると、接着層は電気伝導性粒子を有する。電気伝導性粒子はカーペットに静電防止特性を与えることが可能である。電気伝導性粒子はたとえばカーボンブラック、ギ酸カリウム(HCOOK)、酸化スズ、インジウム-スズ-酸化物、又は銀であって良い。
【0056】
本発明の他の実施例によると、接着層は酸化防止剤を有する。酸化防止剤によって、接着層は、熱に対してより高い耐性を有するようになる。このことは、(複数の)光源-たとえばLED-が相当量の熱を発生させる恐れがあるので、利点である。また酸化防止剤を含まないラテックスは早く経年劣化し、導波路の光を吸収し始めるため、一定時間経過後に黄色くなってしまう。
【0057】
本発明の他の実施例によると、接着層はラテックスを有する。ラテックスは光を通すラテックスであって良い。接着層は実質的にラテックスで構成されて良いことに留意して欲しい。ラテックスは、スチレン、ブタジエン、及び酸性のビニールモノマーからなる三元重合体に基づいて良い。接着層が実質的に光を通すラテックスで構成され、かつ光を散乱する粒子を有していないとき、(複数の)光源からの光は効率的にカーペットから飛び出すことが可能である。よって接着剤中に光を散乱する充填物が用いられず、かつ接着層が光を通すことが好ましい。従って本発明の実施例では、接着層は光を散乱する粒子を含まない。「含まない」という語句及びこれと同様の語句は、「実質的に含まない」ことを意味する。
【0058】
本発明の他の実施例によると、接着層はアクリル系を有する。アクリル系は光を通すアクリル系であって良い。接着層は実質的にアクリル系で構成されて良いことに留意して欲しい。アクリル系の例にはポリアクリレートエステルがある。アクリル系の利点は、硬度、柔軟性、及びUVに対する耐性である。アクリル系はまた熱に対する耐性が高く、そのためアクリル系は、比較的多量の熱を発生させる(複数の)光源との併用に特に適した材料である。ラテックス及びアクリル系もまた併用されて良い。
【0059】
本発明の好適実施例では、ポリオレフィン分散体が、(たとえば続いて接着層を供するために1次バッキング層上に供される)プレコーティング及び/又は接着層それ自体として用いられる。適したポリオレフィン分散体はたとえばダウケミカルのHYPOD(商標)である。これらは、高分子量の熱可塑性プラスチック及びエラストマーの性能と、純粋な水性分散体を塗布する利点とを併せ持ったプロピレン及びエチレンベースの分散体である。ポリオレフィン分散体は、従来のコーティング装置を用いた熱可塑性バッキングの利用を可能にすることによって、カーペット製造者に利便性を供する。たとえばPVB(ポリビニルアルコール)又はポリプロピレンのカーペットのバッキングを用いることで、UV感受性の問題は解決されると同時に、UV光の透過率が増大する。従って他の適切なポリオレフィン分散体はPVBベースの分散体であって良い。しかし他の熱可塑性プラスチックの中にはさらに高いUV光透過率を有するものがある。
【0060】
上述したように、さらに他の特定の実施例では、接着層は導波路となるように備えられる。つまり接着層は導波路の機能をさらに有する。特に係る実施例では、接着層は光を通し、かつ(複数の)光源を有することが好ましい。他全ての実施例では、導波路は別個の部分で、(任意の)接着層とは異なる材料である。
[光源]
光源は、発光タフテッドカーペットの外部及び/又は内部に備えられて良い。小さな光源-たとえばLED-がカーペット内部に(だけではなくカーペットの外部にも)備えられる一方で、相対的に大きな光源-たとえばハロゲンランプなど-はカーペットの外部に備えられて良い。外部光源の光は、直接導波路へ入り込んで結合して良いし、又は、カーペットの光源と導波路の間に備えられた中間導波路によって結合しても良い。従って本発明の実施例では、光源は1次バッキング層の底面とカーペットの底部層の間に備えられる。
【0061】
光源という語はまた複数(たとえば2つ)の光源に関して良い。特定の実施例において、カーペットは、ある実施例ではカーペット内部に集積された複数の光源を有して良く、かつ/又は別な実施例では前記カーペットの外側に設けられた複数の光源を有して良い。一般的には、複数の光源には複数の導波路が与えられて良い。従って、複数の光源と複数の導波路を有する特定の実施例では、複数の導波路と複数の光源は、各光源の光を各対応する導波路へ結合して導波路光とするように備えられている。しかし複数の光源が、その光源の光を、同一の導波路の実質的に同一の場所又は複数の異なる場所へ供することも可能である。
【0062】
複数の光源は、実質的に同一のスペクトルを有する光を発生させて良いが、それぞれ実質的に異なるスペクトルの光を発生させても良い。従って複数の光源は、実質的に同一色の光を発生させて良いし、又は複数の色を発生させても良い。
【0063】
好適実施例では、光源は1つ以上のLEDを有する。光源として複数のLEDが用いられている実施例では、LEDは赤-緑-青(RGB)LEDである。たとえばLEDの一の部分は赤色LEDで、LEDの他の部分は緑色LEDで、そしてLEDのさらに他の部分は青色LEDである。RGB LEDはカーペットの色を変化させることができるので有利である。たとえば白色タフトがRGB LEDと併用されるとき、カーペットの色を任意の所望の色に変化させることが可能である。たとえばRGB LEDを緑色に設定することによって、カーペットのタフトは緑色に見える。
【0064】
ここでは光源は任意の光源として表されている。「任意の」という語が用いられている理由は、カーペットには必ずしも光源が備えられている必要がないからである。本発明はまた、任意の外部光源とは独立して、カーペットそれ自体にも関する。さらに本発明は、カーペットと光源が組合せられた実施例に関し、かつ光源がカーペットに集積される実施例にも関する。
[他]
本発明の他の実施例によると、1次バッキング層、2次バッキング層、及び接着層のうちの少なくとも1つは光を散乱する粒子を有する。このような光を散乱する粒子は充填物とも呼ばれる。充填物は、接合を維持すると同時にカーペットのコストを下げる利点を有する。充填物が光を散乱する結果、カーペットからの光は、元の発光スポットよりも大きな面積から発光するように見える。このことは均一な発光が望ましいときに有利である。光を散乱する粒子は炭酸カルシウム又は他の材料-たとえばTiO2-であって良い。炭酸カルシウムの利点は比較的低コストであることである。炭酸カルシウムは方解石又はチョークの状態であって良い。光を散乱する粒子はまた陶土充填物のようなカオリナイトであっても良い。典型的にはたとえば量にして600g/lの充填物が用いられるが、本発明の多くの実施例では、光の透過性を増大させるため、はるかに少量の充填物が用いられる。
【0065】
本発明の他の実施例によると、タフテッドカーペットは反射層をさらに有する。前記反射層は1次バッキング層の反対を向く導波路の面に設けられる。反射層は、導波路から積層構造へ光を案内し、かつタフテッドカーペットから放出される光の強度を増大させることが可能である。たとえば導波路とカーペット底部層の間に反射層が備えられて良い。あるいはその代わりに2次バッキング層底面とカーペットの底部層の間に反射層が備えられても良い。導波路が実質的に接着層の内部に備えられているものとすると、接着層と2次バッキング層の間に反射層が備えられて良い。係る反射層は、必ずしも完全な層でなくて良く、たとえば接合特性の観点から、部分により構成されていても良い。カーペットの底部層はまた反射層それ自体であっても良い。反射は鏡面反射であって良いし、又は拡散反射であっても良い。従って反射層はまた散乱層であっても良い。
【0066】
従って、任意の接着層、任意の反射層、又は任意の散乱層は完全な層であって良く、1次バッキング層と実質的に同一の長さ及び幅を有するが、部分で構成されていても良い。たとえば、「層のドメイン」が存在する場合、つまり1次及び1次バッキング層の部分が接着層によって互いに接合して、かつ部分が間に接着層を間に挟まない状態で積層される場合、1次バッキング層と2次バッキング層の間での良好な接合が実現されても良い。当業者は、所望の結果を得るため、任意の接着層、任意の反射層、又は任意の散乱層の寸法を最適化することが可能である。
【0067】
「光を通す」という語は、たとえば層のような材料が透過する光に関する。本明細書においては「通す」又は「透過(する)」という語は、分配されていない透過(実質的には材料中での散乱が生じない)及び/又は(たとえば半透明材料内での散乱後に)分配された透過に関する。従って「光を通す」という語は「透過」をも意味し得る。
【0068】
透過は、特定波長で第1強度を有する光を材料に供し、かつ、前記材料を透過した後に測定された前記波長の光を集積したものの強度を、前記材料に供された前記の特定波長の光の第1強度に関連づけることによって決定されて良い(非特許文献1を参照のこと)。「光を通す」という語は、光の少なくとも1%-より好適には少なくとも10%で、さらにより好適には少なくとも30%-が材料すなわち層によって透過することを意味する。本願については、特に高出力LEDを用いるときには、さらに低い透過率でも許容されることに留意して欲しい。一般的には、たとえば1次バッキング層、2次バッキング層、及び接着層の光の透過性は、特にカーペットの上部層へ向かう方向に進行する可視光との関係で決定される。
【0069】
本明細書では導波路は一般的に高い光透過率を有する。一般的には、可視領域での導波路の光透過率は、少なくとも約80%で、より好適には少なくとも約90%で、さらにより好適には少なくとも約95%である。具体的には導波路については、透過率はさらに、可視光が厚さ1cmの導波路材料へ垂直入射した際の透過率で定義されて良い。導波路材料は上述した材料のうちの1つであって良いし、又は別な実施例では、上述した接着層材料であっても良い。
【0070】
1次バッキング層は、可視光について、好適には少なくとも約1%の光透過率を有し、より好適には少なくとも約10%の光透過率を有し、さらにより好適には少なくとも約30%の光透過率を有する。導波路の下流に(つまり導波路と1次バッキング層の底面の間に)備えられた他の任意の下流材料又は層は、好適には少なくとも約1%の光透過率を有し、より好適には少なくとも約10%の光透過率を有し、さらにより好適には少なくとも約30%の光透過率を有する。
【0071】
「青色光」又は「青色発光」という語は具体的には約410-490nmの範囲の波長を有する光に関する。「緑色光」という語は具体的には約500-570nmの範囲の波長を有する光に関する。「赤色光」という語は具体的には約590-650nmの範囲の波長を有する光に関する。「黄色光」という語は具体的には約560-590nmの範囲の波長を有する光に関する。
【0072】
本明細書において「光」という語-たとえば「カーペット光」又は「光源の光」-は可視光に関することが好ましい。「可視光」という語は具体的には約400-700nmの範囲の波長を有する光に関する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1a】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の断面を概略的に図示している。
【図1b】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の断面を概略的に図示している。
【図1c】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の断面を概略的に図示している。
【図1d】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の斜視図を概略的に図示している。
【図1e】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の断面を概略的に図示している。
【図1f】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の断面を概略的に図示している。
【図1g】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の断面を概略的に図示している。
【図1h】本発明の発光タフテッドカーペットの実施例の斜視図を概略的に図示している。
【図2】a-cは、本発明による(複数の)光源及び(複数の)導波路の配置に係る実施例の上面を概略的に図示している。理解の便宜上、(複数の)光源及び(複数の)導波路を示すため、1次バッキング層10は「除去」されている。
【図3】導波路内の結合光が外へ放出される位置の実施例を概略的に図示している。本発明は図中の位置数に限定されるわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0074】
ここで本発明の実施例を、例示でしかない添付の概略図を参照しながら説明する。図中、対応する参照番号は対応する部品を表す。
【0075】
本願の図は概略図であり、一般的には最も重要な部分しか表しておらず、当業者にとって明らかと思われる部分は省略されている。たとえば電源、電気ワイヤ等は、簡明を期すためにほとんどの図には含まれていない。さらに図は正しい縮尺ではない。
【0076】
図1aは、本発明による発光タフテッドカーペット100の実施例を概略的に図示している。当該発光タフテッドカーペット100は、1次バッキング層10と2次バッキング層20の積層体、さらには導波路30と光源40を有する。光源40は任意であって良い。
【0077】
ここで1次バッキング層10はカーペット面131と底面132を有する。1次バッキング層10には、カーペット面131でタフト12-ここでは弊ループのタフト-を形成する毛糸11が供されている。本明細書においては1次バッキング層のカーペット面は「カーペット面」又は「カーペットとして使用されている間使用者に対向する面」とも表される。1次バッキング層10は光を通す。すなわち導波路からの光(以降を参照のこと)は1次バッキング層を介してカーペット100の外部へ飛び出す。
【0078】
2次バッキング層20は上面135と底面136を有する。
【0079】
1次バッキング層10と2次バッキング層20は積層体130を形成する。積層体130は任意で、他の層-たとえば接着層(後述)、反射層など-をも有して良い。積層体130は、カーペット上部層141として1次バッキング層のカーペット面131を有し、かつカーペット底部層142を有する。本実施例では、カーペット底部層142は2次バッキング層の底面136である。
【0080】
上述したように、「底部」及び「上部」という語は、対象物-たとえば1次バッキング層10、接着層(後述)、2次バッキング層20、及び積層体130-の各異なる面を明確にするためだけに用いられている。「底部」及び「上部」という語を使用しても請求項に記載された本発明のカーペットは、添付図面に概略的に図示された構成に限定されない。またロール上のカーペット100も請求項に係る発明である。
【0081】
導波路30は1次バッキング層の底面132とカーペットの底部層142の間に備えられている。本実施例では、導波路30は1次バッキング層の底面132と2次バッキング層の上面135の間に備えられている。
【0082】
さらにこの側面では、導波路30の面積は1次バッキング層10と2次バッキング層20の面積と実質的に等しい。しかし導波路のこの面積(又は合計した導波路の最大断面積)は、1次バッキング層10(と2次バッキング層20)の面積よりも小さい(後述)。面積という語は「断面積」又は「最大断面積」を指称する。つまり、図1a(1b、1c、及び1e)の図面に対して垂直であって層に対して平行な面内、又は換言すると、カーペットを平坦な状態で敷いている間でのカーペット100に対して平行な面内における導波路30、1次バッキング層10、及び2次バッキング層20の面積である。
【0083】
導波路30は、導波路の光(参照番号32)を結合して、導波路の光が結合して外へ放出される(1つ以上の)位置31で、カーペット光102として外へ放出するように備えられている。導波路は光源40からの光を受ける。従って光源40は光源の光42を発生させるように備えられている。導波路30と光源40は、光源40の光42を導波路30で結合させて、導波路の光32(つまり光源の光42が導波路30へ入り込む結果、導波路を進行する光)とする。(複数の)結合光が外へ放出される位置31は1次バッキング層の底面132とカーペット底部層142の間に備えられ、(複数の)位置31で、光は導波路30から飛び出す。本明細書においてこの光は「カーペット光102」と呼ばれ、かつこの光はカーペットの上部層141の方向に向かって進行する。この光の少なくとも一部は1次バッキング層10を透過することで、このカーペット光102が供される。(複数の)導波路30-具体的には結合光が外へ放出される位置31-は、導波路の光32を結合させて、導波路から1次バッキング層の上面131へ向かう方向へ放出させるように備えられていることが好ましい。
【0084】
1次バッキング層10は結合光が外へ放出される位置31の下流に位置する。換言すると、導波路の結合光が外へ放出される位置31は1次バッキング層10の下に位置する。
【0085】
本実施例では、1つの外部光源40及び1つの導波路30が概略的に図示されている。
【0086】
1次バッキング層10及び2次バッキング層20は、当業者には既知の手段-たとえば接着層-によって互いに付着して良い。図1aを参照すると、接着層が1次バッキング層10と導波路30の間に備えられて良い。任意で接着層は、導波路30と2次バッキング層20と導波路30の間に備えられても良い(いずれも図1aには図示されていない)。2次バッキング層20が存在し、かつ導波路30が1次バッキング層10(及び2次バッキング層20)の断面積の50%よりも大きな-たとえば50%〜100%の範囲の-断面積を有する実施例では、接着層は導波路30と2次バッキング層20の間に存在することが好ましい。よって係る実施例は、1次バッキング層10、任意の接着層(参照番号50、後述)、導波路30、他の任意の接着層、及び2次バッキング層20を有する積層体130を有して良い。
【0087】
図1bは、図1aで概略的に図示された実施例と実質的に同一のものを概略的に図示している。しかし本実施例では、カーペット100は上面133と底面134を有する接着層50をさらに有する。接着層50は1次バッキング層10と2次バッキング層20の間に備えられている。ここで接着層50は1次バッキング層の底面132及び2次バッキング層の上面135と実質的に接触している。接着層50は1次バッキング層10及び2次バッキング層20の実質的に全面に存在して良いが、1次バッキング層10及び2次バッキング層20上の別々な領域に備えられても良い。
【0088】
本実施例では、導波路30は接着層50(の一部)と1次バッキング層10の間に備えられている。この概略的に図示された実施例では、発光タフテッドカーペット100は複数の導波路30-たとえば複数の光ファイバ-を有する。
【0089】
上述したように、導波路30-具体的には結合光が外へ放出される位置31(図示されていない。図1a及び3を参照のこと)-は、導波路の光32を結合して、導波路から1次バッキング層の上面131へ向かう方向へ放出するように備えられて良い。しかしそれに加えて又はその代わりに、導波路の光32の一部は接着層50の方向へ飛び出すことも起こりうる。従って好適実施例では、接着層50は少なくとも部分的にカーペット光102を透過することが好ましい。
【0090】
図1bの接着層50は光を通す接着層50であって、任意で粒子60をさらに有する。光を通す接着層50は、散乱粒子、電気伝導性粒子、及び酸化防止剤からなる群から選ばれる粒子60を1種類以上有して良い。特にそれらの粒子60は散乱粒子を有して良い。接着層50は粒子60としての光散乱粒子を含まないことが好ましい。ここで散乱粒子又は光散乱粒子は、電気伝導性粒子又は酸化防止剤粒子の機能を実質的に有していない粒子である。
【0091】
図1bでは、導波路30-たとえば光ファイバ-の概略的前面図が表されている。概略的に図示されたカーペット100の背面(図中)であって導波路30の上面にて光源からの光が入り込んで結合する。
【0092】
図1cは先の図1bにて概略的に図示された実施例と実質的に同一のものを概略的に図示している。ただし導波路30は接着層50と2次バッキング層20の一部の間に備えられている。この実施例では、導波路30は2次バッキング層の上面135と接触して良い。特に係る実施例では、接着層50もカーペット光102を通すことが望ましい。従って導波路30から飛び出す光は、接着層50の少なくとも一部を通り抜けてカーペットの上部層141の方向へ向かって進行し、その後1次バッキング層10を通り抜けて(カーペット上部層141の方向に)進行して、カーペット光102としてカーペット100から外部へ飛び出す。
【0093】
図1dは本発明の実施例の概略的斜視図を図示している。図1dに図示された実施例は図1b及び図1cで概略的に図示された実施例と実質的に同一である。主な違いは、タフト12が閉ループではないこと、及び導波路30が実質的に接着層50によって封止されていることである(つまり(複数の)導波路は実質的には接着層50の接着剤として接触しておらず、1次バッキング層10又は2次バッキング層20とは実質的に接触していない)。光源からの光42を(複数の)導波路30で結合するための手法は、以降の図2a-2cでさらに示される。
【0094】
当業者にとって明らかなように、閉ループ又は開ループのいずれが図示されているかは本発明を限定するものではない。
【0095】
図1eは、図1dと共に、導波路の面積と1次バッキング層10又は2次バッキング層20の面積との関係を特に図示している。図1dの概略図は、参照番号19と29によって、1次バッキング層10と2次バッキング層20の面積を相対的に表している。一般的には、そして少なくとも本実施例では、これらの面積19と29は実質的に同一であり、かつカーペット100の面積と実質的に同一である。これらの面積19と29はまたそれぞれ、1次バッキング層10と2次バッキング層20の断面積としても表されて良い。ここで繰り返しになるが、「断面積」という語は、カーペット100を平坦な状態で使用している間(つまり特に実質的に水平な面上で平坦面を使用している間)でのカーペット100の面に対して平行な断面積を指称する。図1eは複数の導波路30を概略的に図示している。図1eでは、各導波路30は、1次バッキング層10及び2次バッキング層20に対して実質的に平行な面内に最大断面積33を有する。「最大断面積」という語が用いられる理由は、導波路30はたとえば実質的に、(たとえば光ファイバのような導波路30に対して垂直な面内に)環状の断面積を有することもあり得るからである。よって断面積は変化する。
【0096】
従って図1eを参照すると、1次バッキング層10及び2次バッキング層20に対して平行な面内に位置する導波路の面積が、導波路30の最大幅でとられる。導波路30の最大断面積の合計は1次バッキング層の面積19(及び2次バッキング層の面積29)の50%以下であることが好ましい。
【0097】
図1fは図1aと同一の実施例を概略的に図示している。ただしタフテッドカーペット100が2次バッキング層20を有していない点は異なる。任意で1次バッキング層10と導波路30の積層体130がバッキング層230をさらに有して良い。バッキング層230はたとえば反射ホイル(反射層)であって良い。この概略図では、導波路30の最大断面積の合計は1次バッキング層の面積と実質的に等しいが、この実施例はそのような構成に限定されるわけではない。任意で接着層50は(複数の)導波路30と1次バッキング層10の間に存在して良く、又は、(複数の)導波路30は任意の接着層50の内部に集積されても良いことに留意して欲しい(図1b及び1cを参照のこと)。
【0098】
図1gで概略的に図示されたさらに他の実施例では、(複数の)導波路が2次バッキング層20内に集積される。図1gに図示された実施例では、接着層50は実質的に散乱粒子を有していないことが好ましい。本実施例では、導波路30から飛び出す光は、2次バッキング層20の一部、(任意の)接着層50、及び1次バッキング層10を通り抜けて、カーペットの上部層141の方向へ進行し、カーペット光102としてカーペット100を飛び出す。
【0099】
図1dで概略的に図示されている実施例の変化型として、カーペット100の実施例が図1hに図示されている。図1hでは、導波路30は複数の導波路30を有し、かつ2次バッキング層20は存在しない。係る実施例では、導波路30はカーペットの底部層142を供して良い。
【0100】
図2a-2cは、本発明の実施例による(複数の)光源40と(複数の)導波路30の配置に係る実施例を概略的に図示している。図2a、図2b、及び図2cは「上から見た」図である。理解の便宜上、(複数の)光源40及び(複数の)導波路30を示すため、1次バッキング層10は「除去」されている。
【0101】
図2aは、導波路30が複数の導波路を有する実施例を概略的に図示している(ここでは、複数の導波路は2次バッキング層の上面135上に備えられている)。導波路30は複数の結合光が外へ放出される位置31を有する。導波路30は光結合ユニット160を介して光源40からの光42を受ける。光結合ユニット160は中間導波路及び/又は補助光学系を有して良い。光結合ユニット160は、光源40からの光42を導波路30-ここでは複数の導波路30-で結合させるように備えられている。「中間導波路」という語は、この導波路が、光源40からカーペット100が有する導波路30へ光を案内するように備えられていることを示すように用いられる。
【0102】
光結合ユニット160は他の概略図には図示されていないが、当業者にとって明らかであるように、本発明によるカーペット100は1つ以上の光結合ユニット160を有して良い。
【0103】
有利となるように、導波路の光を結合して外へ放出する位置31は1次バッキング層の底面132とカーペットの底部層142の間に存在することに留意して欲しい。
【0104】
図1a-1h及び図2aは、光源40がカーペット100の外部に備えられた実施例を概略的に図示している。図2b及び図2cは、(複数の)光源40が1次バッキング層の底面132とカーペットの底部層142の間に備えられている実施例を概略的に図示している。ここでこれらの概略的に図示された実施例では、(複数の)光源40は1次バッキング層の底面132と2次バッキング層の上面135の間に備えられている。たとえば(複数の)光源は少なくとも部分的に接着層50内に集積されて良い。概略図2b及び2cでは、理解の便宜上、(複数の)光源40及び(複数の)導波路30をより良く示すため、任意の接着層50及び1次バッキング層10は図示されていない。
【0105】
図2bでは、カーペット100は複数の導波路30を有する。光源の光42(図示されていない)は導波路30-たとえば光ファイバ-で結合する。繰り返しになるが本発明の実施例では、導波路内での光源からの光の結合は、光学系-たとえばコリメータ等-によって可能となる。光ファイバ30の配置は長方形配置である。複数の導波路30はそれぞれ、導波路の光が結合して外へ放出される位置31を複数有するので、カーペット光102をかなり均一に発生させることが可能となる(図示されていない)。
【0106】
(この図及び他の図では)単一光源として図示されているが、光源40はたとえば複数の光源-たとえばLED-を有しても良いことに留意して欲しい。たとえば光源40は、上述したようにRGB LEDを有しても良い。
【0107】
図2cは、図2bで概略的に図示されたカーペット100の実施例と実質的に同一のものを概略的に図示している。ただし図2cに図示された実施例は複数の光源を有し、各光源40は光源からの光42(図示されていない)を複数の導波路30で結合するように備えられている。例として、(複数の)電気ワイヤ81を介して(複数の)光源へ電力を供給するように備えられた電源80が図示されている。
【0108】
他の実施例では、1つの光源40につき1つの導波路が存在して良い。従って本発明の実施例では、導波路30は複数の導波路を有し、かつ光源40は複数の光源を有する。ここで各導波路及び各光源はそれぞれ、光源からの光を導波路で結合するように備えられている。
【0109】
図1a-1c及び図1f-1hは光源を外部に有するものとして概略的に図示され、かつ図1d及び図1eは光源を有していないものとして概略的に図示されているとはいえ、これらの概略的に図示された実施例は内部の光源40-つまり1次バッキング層10の底面132とカーペットの底部層142の間に備えられた光源40-を有して良いことに留意して欲しい。
【0110】
最後に図3は、複数の結合光を外へ放出する位置31-たとえば凹部及び反射(端)面-を有する導波路30-たとえば光ファイバ-の実施例を概略的に図示している。
【0111】
さらに2次バッキング層20に関し、本発明の実施例では、この2次バッキング層20は2次バッキング層用の既存製品-たとえば「アクションバック(ActionBac)」(登録商標)の名前で知られたもの-に基づいて良い。これは、スリット膜と紡いだオレフィン糸の絡み織りで作られている。これは、平均として1インチあたり16のワープと5つの横糸(pick)を有する絡み織りの中に、ポリプロピレン製のワープテープとポリプロピレン製のマルチフィラメント横糸を有する1平方ヤード当たり2.1オンス(0.71g/m2)の繊維を有する。係るバッキング層は、カーペットに良好な剥離強度と共に寸法の安定性を与える。このバッキング層はまた、製造中での確かな硬化率に適した開口部をも有する。0.5インチの水に等しい差圧で、ASTM D-737に従って決定されたこのバッキング層の通気率は750ft3/min/ft2(229m3/min/m2)を超える。この値は確かな結合剤硬化率にとって十分である。高いカウント数である18×13の絡み織りで構成された別の製品は、平均通気率が約720ft3/min/ft2(219m3/min/m2)を超えるという利点を有する。これはまた効率的な硬化率にも適している。2次バッキング層20は、接着層50に用いられる材料に対する接合の相性が非常に良い。そのためカーペット100はASTM D-3936で記載されているような剥離試験を通過する。剥離耐性が与えられるという特性は、記載された参考用カーペットで積層されるときのバッキングが少なくとも2.5ポンド/インチ(44.6kg/m)の剥離強度を有するようなものであることが好ましい。しかし好適な値は、3-4ポンド/インチ(53.6-71.4kg/m)よりも大きく、少なくとも5.5ポンド/インチ(98.2kg/m)であることがより好ましく、そして少なくとも6ポンド/インチ(107.1kg/m)であることがさらに好ましい。
【0112】
剥離を防止するため、良好な結合が必要である。結合は、硬化中にカーペットから揮発した結合剤液体が通り抜けるのを妨害しない十分な開口部を有することによって改善可能である。
【0113】
2次バッキング層の通気率は、0.5インチの水に等しい差圧で、ASTM D-737に従って決定することができる。許容値は250ft3/min/ft2(76.2m3/min/m2)だが、より好適な値は350-800 ft3/min/ft2(106.7-243.8m3/min/m2)の範囲である。通気率が約70ft3/min/ft2(24.4m3/min/m2)の2次バッキング層は結合剤の硬化率が高い場合には不適切であると考えられる。例として「アクションバック(ActionBac)」(登録商標)は非常に適した2次バッキングで、750ft3/min/ft2を超える。
【0114】
図から分かるように、2次バッキングの一部は(複数の)導波路及び任意の(複数の)光源によって覆われて良い。底部である2次バッキングが十分高い通気率を有する場合、これは許容される。たとえば表面の50%が覆われる場合、最悪の場合で通気率は通常の
50%にまで減少する。従って許容可能な値である250ft3/min/ft2の通気率を実現するためには、500ft3/min/ft2よりも大きな通気率を有する2次バッキングを用いなければならない。一例として、「アクションバック(ActionBac)」(登録商標)700ft3/min/ft2を超える通気率を有するので、本発明に用いることが可能である。
【0115】
他の既存の2次バッキング材料も、本発明に用いられる2次バッキング層20の基礎として用いられて良いことに留意して欲しい。他の例は、ニードルフェルトバッキング、ゴムバッキング、PVCバッキング、ポリウレタンバッキング、ビニールバッキング、クッションバッキング、ナイロンバッキングである。ニードルフェルトバッキング中の繊維は結合用に針状となっている。クッション又はパッドが2次バッキング内に集積されても良いことに留意して欲しい。2次バッキングの別な例はビチューメンである。この材料はさらにしっかりとしたカーペット-たとえばカーペットタイル又はカーマット-が求められるときに用いられる。上述したように、係る2次バッキング層20は、本発明によるタフテッドカーペット100内に含まれる。
【実施例】
【0116】
一例では、カーペット100はアクションバック(ActionBac)(登録商標)2次バッキング20及び開ループのタフテッド1次バッキング10を有する。純粋なラテックスが接着層50としてのフィルタのない状態で用いられる。1次バッキング10と2次バッキング20の間には、導波路30としての光ファイバ30が不規則なパターンで備えられている。しかし光ファイバの端点は1つの位置で結合している。その位置では、光ファイバがカーペットを飛び出し、光源40としての1つのハロゲンランプへ向かう。そこには複数の色の光を供するための吸収カラーホイールが設けられている。ハロゲンの光源40からの光42は全ての光ファイバで同時に結合する。光102は、1次バッキングと2次バッキングの間に備えられた光ファイバの端点で外へ放出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーペット上部層及びカーペット底部層を有する発光タフテッドカーペットであって、
当該発光タフテッドカーペットは、光を透過させる1次バッキング層、任意の接着層、結合光が放出される位置を有する導波路、及び任意の2次バッキング層を有し、
前記1次バッキング層は、前記カーペットの上部層であるカーペット面、及び底面を有し、
前記1次バッキング層には前記カーペット面にタフトが供され、
前記任意の2次バッキング層は上面及び底面を有し、
前記結合光が放出される位置は、前記1次バッキング層の底面と前記カーペット面との間に備えられ、
前記導波路は、光源からの光を導波路光として結合するように備えられ、
前記導波路は、前記導波路光を、前記結合光が放出される位置で放出することで、カーペット光を供するように備えられている、
発光タフテッドカーペット。
【請求項2】
前記1次バッキング層、前記接着層、及び前記導波路を有する積層体をさらに有する、請求項1に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項3】
前記1次バッキング層、前記接着層、前記導波路、及び前記2次バッキング層を有する積層体をさらに有する、請求項1に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項4】
前記接着層は光を散乱する粒子を含まない、請求項2-3のいずれか1項に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項5】
前記光源をさらに有する発光タフテッドカーペットであって、前記光源は前記の1次バッキング層の底面と前記のカーペットの底部層との間に備えられている、上記請求項のいずれか1項に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項6】
前記光源をさらに有する発光タフテッドカーペットであって、前記光源は当該発光タフテッドカーペットの外部に備えられている、請求項1-4のいずれか1項に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項7】
複数の導波路を有する、上記請求項のいずれか1項に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項8】
複数の光源をさらに有する発光タフテッドカーペットであって、
前記導波路及び前記光源は、該光源からの光を前記導波路で結合して導波路の光とするように備えられている、
請求項7に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項9】
前記導波路が、結合した導波路の光を外へ放出する位置を複数有する、上記請求項のいずれか1項に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項10】
前記導波路が前記1次バッキング層に対して実質的に平行な面内に最大断面積を有し、
前記1次バッキング層は1次バッキング面積を有し、かつ
前記導波路の最大断面積は、前記1次バッキング層面積の50%以下である、
上記請求項のいずれか1項に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項11】
前記1次バッキング層、前記接着層、複数の導波路、及び前記2次バッキング層を有する、上記請求項のいずれか1項に記載の発光タフテッドカーペットの製造方法であって:
接着剤及び前記複数の導波路を、前記1次バッキング層の底面又は前記2次バッキング層の上面に供する工程;及び、
前記1次バッキング層と前記2次バッキング層を互いに積層する工程;
を有する方法。
【請求項1】
カーペット上部層及びカーペット底部層を有する発光タフテッドカーペットであって、
当該発光タフテッドカーペットは、光を透過させる1次バッキング層、任意の接着層、結合光が放出される位置を有する導波路、及び任意の2次バッキング層を有し、
前記1次バッキング層は、前記カーペットの上部層であるカーペット面、及び底面を有し、
前記1次バッキング層には前記カーペット面にタフトが供され、
前記任意の2次バッキング層は上面及び底面を有し、
前記結合光が放出される位置は、前記1次バッキング層の底面と前記カーペット面との間に備えられ、
前記導波路は、光源からの光を導波路光として結合するように備えられ、
前記導波路は、前記導波路光を、前記結合光が放出される位置で放出することで、カーペット光を供するように備えられている、
発光タフテッドカーペット。
【請求項2】
前記1次バッキング層、前記接着層、及び前記導波路を有する積層体をさらに有する、請求項1に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項3】
前記1次バッキング層、前記接着層、前記導波路、及び前記2次バッキング層を有する積層体をさらに有する、請求項1に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項4】
前記接着層は光を散乱する粒子を含まない、請求項2-3のいずれか1項に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項5】
前記光源をさらに有する発光タフテッドカーペットであって、前記光源は前記の1次バッキング層の底面と前記のカーペットの底部層との間に備えられている、上記請求項のいずれか1項に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項6】
前記光源をさらに有する発光タフテッドカーペットであって、前記光源は当該発光タフテッドカーペットの外部に備えられている、請求項1-4のいずれか1項に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項7】
複数の導波路を有する、上記請求項のいずれか1項に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項8】
複数の光源をさらに有する発光タフテッドカーペットであって、
前記導波路及び前記光源は、該光源からの光を前記導波路で結合して導波路の光とするように備えられている、
請求項7に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項9】
前記導波路が、結合した導波路の光を外へ放出する位置を複数有する、上記請求項のいずれか1項に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項10】
前記導波路が前記1次バッキング層に対して実質的に平行な面内に最大断面積を有し、
前記1次バッキング層は1次バッキング面積を有し、かつ
前記導波路の最大断面積は、前記1次バッキング層面積の50%以下である、
上記請求項のいずれか1項に記載の発光タフテッドカーペット。
【請求項11】
前記1次バッキング層、前記接着層、複数の導波路、及び前記2次バッキング層を有する、上記請求項のいずれか1項に記載の発光タフテッドカーペットの製造方法であって:
接着剤及び前記複数の導波路を、前記1次バッキング層の底面又は前記2次バッキング層の上面に供する工程;及び、
前記1次バッキング層と前記2次バッキング層を互いに積層する工程;
を有する方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図1g】
【図1h】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図1g】
【図1h】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【公表番号】特表2011−505181(P2011−505181A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534574(P2010−534574)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054780
【国際公開番号】WO2009/066216
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054780
【国際公開番号】WO2009/066216
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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