説明

発光ダイオード照明装置

【課題】光源の交換がほぼ不要な発光ダイオードを用いるとともに、環境照度と人の動きの検出を一つのセンサで行うことができる発光ダイオード照明装置を提供する。
【解決手段】発光ダイオード照明装置は、発光ダイオード13と、発光ダイオード13の照射を受けた物体からの反射光と環境光とを検出してそれら各光の強弱に応じた照度検出信号を出力する照度センサ2と、照度センサ2からの環境光に基づく照度検出信号のレベルが所定の閾値を超えたときは発光ダイオード13の消灯を維持する一方、閾値以下のときは発光ダイオード13を所定の周期で点滅させるとともに、点滅時の、照度センサ2からの反射光に基づく照度検出信号のレベルに変動が生じたとき、発光ダイオード13の点滅周期を、該発光ダイオード13の照射範囲で一定の照度が得られる程度にまで点滅周期を遷移させる一方、変動が消失したとき、その遷移させる前の点滅状態に戻す制御部6とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間等、暗環境において、人やその他の移動物体を検出して自動点灯する機能をもった発光ダイオード照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、夜間に人が近づくとそれを検知して自動的に点灯する機能を有する照明装置が種々提供されている。この種の照明装置は、光の照射を行う光源と、周囲の環境照度を検出する照度センサと、人の通過など移動物体の検出を行う移動物体検出装置と、これら各部を制御する制御部とを備えており、夜間など周囲の環境照度が暗い時に人が通過する際、これを移動物体検出装置で検出し、光源を自動点灯するように構成されている。
【0003】
上記従来の照明装置にあっては、光源として白熱電球、照度センサとしてCdSなどの光導電素子を有するもの、移動物体検出装置として人から放射される赤外線を検出する焦電素子などを有するものが多かった。
【0004】
近年、白熱電球よりも長寿命である発光ダイオードを光源として使用し、光源の交換をほぼ不要とした技術が報告されている(例えば、特許文献1参照)。この発光ダイオードを用いた照明装置は、夜間など周囲の環境照度が暗いときに人の動きを検知すると発光ダイオードを点灯し、その後、人が検知されなくなると消灯する。
【特許文献1】特開平11−45609号公報(第6頁−第8頁、図1−図14)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1に記載の発光ダイオード照明装置では、環境照度の検出と人の動きの検出にはそれぞれ別個のセンサが必要であり、製造コストの増大を招いていた。また、発光ダイオードからの間接光の影響を照度センサが受けることがないようにする遮光対策が必要であるので、構造が複雑となり、製造コストが増大するという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するもので、光源の交換がほぼ不要な発光ダイオードを用いるとともに、環境照度と移動物体の検出を1つのセンサで行うことができる発光ダイオード照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の発光ダイオード照明装置は、発光ダイオードと、この発光ダイオードの照射を受けた物体からの反射光と環境光とを検出してそれら各光の強弱に応じた照度検出信号を出力する照度センサと、この照度センサからの前記環境光に基づく照度検出信号のレベルが所定の閾値を超えたときは前記発光ダイオードの消灯を維持する一方、該閾値以下のときは前記発光ダイオードを所定の周期で点滅させるとともに、該点滅時の、前記照度センサからの前記反射光に基づく照度検出信号のレベルに変動が生じたとき、前記発光ダイオードの点滅周期を、該発光ダイオードの照射範囲で一定の照度が得られる程度にまで点滅周期を遷移させる一方、該変動が消失したとき、その遷移させる前の点滅状態に戻す制御部とを備えている。
【0008】
本発明によれば、照度センサで環境光を検出し、それに応じた照度検出信号を所定の閾値と比較して、環境照度の明暗を判断する。夜間などの暗環境であると判断したときには、暗環境下での物体の移動状態を検出するために、発光ダイオードを所定の周期で点滅させる。この点滅時において、発光ダイオードが点灯したときの照度検出信号のレベルを記憶しておき、そのレベルに変動が生じたとき、具体的には発光ダイオードの照射を受けた物体からの反射光を照度センサが受けて当該レベルが上昇したときに、発光ダイオードの照射範囲内に物体が存在するとして、発光ダイオードの点滅周期を、照射範囲において十分な照度が得られる程度の周期に遷移させる。この結果、照射範囲が発光ダイオードによって明るく照らされる。そして、この間も、発光ダイオードは点滅を続けているため、物体からの反射光に基づく照度検出信号のレベルの変動を検知し続けることになる。その後、当該レベルが元のレベルに戻ったことを検知したときは、物体が発光ダイオードの照射範囲を脱し、発光ダイオードを照明灯として機能させる必要はなくなったものと判断し、発光ダイオードの点滅周期を、上記遷移させる前の点滅状態に戻す。このように、本発明においては、1つの照度センサで環境照度と物体の移動状態の両方を検出することができる。
【0009】
また、本発明の発光ダイオード照明装置は、可視光を発光する第1の発光ダイオードと、紫外光を発光する第2の発光ダイオードと、これらの発光ダイオードの照射を受けた物体からの反射光と環境光を検出してそれら各光の強弱に応じた照度検出信号を出力する照度センサと、この照度センサからの前記環境光に基づく照度検出信号のレベルが所定の閾値を超えたときは前記第1の発光ダイオードの消灯を維持する一方、該閾値以下のときは前記第2の発光ダイオードを所定の周期で点滅させるとともに、該点滅時の、前記照度センサからの前記反射光に基づく照度検出信号のレベルに変動が生じたとき、前記第1の発光ダイオードを点灯若しくは一定の照度が得られる周期で点滅させる一方、該変動が消失したとき、前記第1の発光ダイオードを消灯する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、照度センサで環境光を検出し、それに応じた照度検出信号を所定の閾値と比較して、環境照度の明暗を判断する。夜間などの暗環境であると判断したときには、暗環境下での物体の移動状態を検出するために、紫外光を発光する第2の発光ダイオードを所定の周期で点滅させる。この点滅時において、第2の発光ダイオードが点灯したときの照度検出信号のレベルを記憶しておき、そのレベルに変動が生じたとき、具体的には第2の発光ダイオードの照射を受けた物体からの反射光を照度センサが受けて当該レベルが上昇したときに、第1の発光ダイオードの照射範囲内に物体が存在するとして、第1の発光ダイオードを点灯させるか若しくは照射範囲において十分な照度が得られる程度の周期で点滅させる。この結果、照射範囲が第1の発光ダイオードによって明るく照らされる。そして、この間も、第2の発光ダイオードは点滅を続けているため、物体からの反射光に基づく照度検出信号のレベルの変動を検知し続けることになる。その後、当該レベルが元のレベルに戻ったことを検知したときは、物体が発光ダイオードの照射範囲を脱し、第1の発光ダイオードによる照明は必要なくなったものと判断し、第1の発光ダイオードを消灯する。このように、本発明においては、1つの照度センサで環境照度と物体の移動状態の両方を検出することができる。また、暗環境下での物体の検出には、人間の目に検知されない紫外光を発光するダイオードを用いているため、該発光ダイオードの点滅が目障りになることがない。
【0011】
また、前記発光ダイオードは砲弾型発光ダイオードランプであってもよい。
【0012】
この構成によると、遠距離への照射が可能となり、物体からの反射光が増大し、安定した検出が可能となる。
【0013】
また、前記発光ダイオードは表面実装型チップ発光ダイオードであってもよい。
【0014】
この構成によると、発光ダイオード照明装置を小型化でき、また、広範囲に照明をすることが可能になる。
【0015】
また、すべての前記発光ダイオードが同一基板上に配置され、この基板と並行して光源用レンズが配置されるとともに、この光源用レンズは前記基板と並行してスライド可能とされていてもよい。
【0016】
この構成によると、光源用レンズを前記基板と並行してスライドさせることによって発光ダイオードからの照射方向を容易に調節することができる。
【0017】
また、前記光源用レンズと同一平面上に且つ一体的に検出用レンズが設けられていてもよい。
【0018】
この構成によると、発光ダイオードからの照射方向と、照度センサへの受光方向を同時に同じ方向に調節することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の発光ダイオード照明装置は、発光ダイオードを用いているので、光源の交換がほぼ不要となるとともに、1つの照度センサで環境照度と移動物体の検出を行っているので、構成する部品数が少なくてすみ、その分低コストで生産できる。
【0020】
また、発光ダイオードから照度センサへの間接光の影響を受けないようにするための遮光対策が不要であるので、構造が簡単である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0022】
本発明の実施例1について図1乃至図4を参照して説明する。
【0023】
図1は、発光ダイオード照明装置の構成を示す概略斜視図である。
【0024】
この発光ダイオード照明装置は、1個の発光ダイオード13を基板に配置した光源部1と、この光源部1の下方に設けられた照度を検出する照度センサ2と、これら光源部1と照度センサ2と並行して設けられた、光源用レンズ4と検出用レンズ5を搭載したレンズ基板3と、照度センサ2及びレンズ基板3の下方に設けられた制御部6とを備えたものである。光源用レンズ4と検出用レンズ5はともに集光性のフレネルレンズである。
【0025】
このようになる発光ダイオード照明装置は、廊下の壁面などに埋め込み設置されるもので、夜間に人の通過などの移動物体を検出すると自動的に点灯し、廊下の床面を明るく照らす機能を有する。なお、図示していないが、発光ダイオード照明装置は商用電源から所定の直流電圧を得るための電源部を有している。
【0026】
図2は、その発光ダイオード照明装置の光源部1の拡大図である。
【0027】
この光源部1は、基板14と、基板14の上に可視光を発光する1個の砲弾型発光ダイオードランプ(以下単に「発光ダイオード」とも略する)13とから構成されている。なお、砲弾型発光ダイオードランプとは、合成樹脂内に発光ダイオード素子を封入し、その合成樹脂から2本のワイヤが延びている構成の発光ダイオードをいう。
【0028】
図3は、発光ダイオード照明装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0029】
照度センサ2は、ホトダイオード又はホトトランジスタを備え、環境光と、上記発光部1の発光ダイオード13の反射光の両方を検出するものであり、環境照度及び反射光の強弱に対応した照度検出信号を制御部6に出力する。
【0030】
制御部6は、上記照度センサ2からの照度検出信号を受けて光源部1を制御するものである。すなわち、制御部6においては、環境光に基づく照度検出信号に対して所定の閾値が設定されており、この所定の閾値と照度センサ2からの照度検出信号のレベルとを比較して、該レベルが閾値より大きい場合は環境照度が明環境であると判断し、小さい場合は暗環境であると判断する。明環境下では、制御部6は、発光ダイオード13を消灯させる。一方、暗環境下では、制御部6は、物体の移動を検出するために、発光ダイオード13を、後に詳述する所定の周期で点滅させるとともに、発光ダイオード13が点灯しているときの照度検出信号のレベルを記憶する。また、制御部6は、その記憶した照度検出信号のレベルに比して大きなレベルの信号を照度センサ2から受けたとき、照度センサ2により発光ダイオード13の照射を受けた物体からの反射光が受光されたことになるため、発光ダイオード13の照射範囲内に物体が存在すると判断して、発光ダイオード13の点滅周期を、発光ダイオード13の照射範囲で一定の照度が得られる程度の点滅周期にまで遷移させる。具体的には、例えば、発光ダイオード13を60Hz以上の周波数で点滅させる。発光ダイオード13が60Hz以上の周波数で点滅すると、人の目には連続的な点灯として認識される。なお、上記の閾値の設定値は任意である。
【0031】
次に、上記発光ダイオード照明装置の動作について図4を参照して説明する。
【0032】
明環境であるとき、照度センサ2からの照度検出信号のレベルが所定の閾値を超えることになるため、制御部6は環境照度が明環境であると判断し、照明は不要として発光ダイオード13を消灯状態とする。
【0033】
環境照度が低下し、やがて照度センサ2からの照度検出信号のレベルが所定の閾値以下となったとき、制御部6は環境照度が暗環境であると判断し、物体の検出を行うべく、図4(a)に示すような周期で光源部1の発光ダイオード13を点滅させる。すなわち、発光ダイオード13は制御部6により制御され、点灯時間が消灯時間よりもきわめて短くなるような点滅周期で点灯と消灯を繰り返し、制御部6は、発光ダイオード13が点灯しているときの照度検出信号のレベルを記憶する。このとき、発光ダイオード13は、人の目には暗く点灯しているように見える。
【0034】
ここで、人などの物体が発光ダイオード13の照射範囲に侵入すると、発光ダイオード13から発された光が物体に反射され、この反射光が照度センサ2により検出される。照度センサ2からは、その検出された反射光の強さに応じた照度検出信号が制御部6に送られる。
【0035】
制御部6では、上記反射光に基づく照度センサ2からの照度検出信号のレベルは、前記記憶した照度検出信号のレベルに比して大きいことから、発光ダイオード13の照射範囲内に物体が存在すると判断して、発光ダイオード13の点滅周期を、図4(b)に示すように、発光ダイオード13の照射範囲で一定の照度が得られる程度の点滅周期にまで遷移させる。これにより、発光ダイオード13は、点灯時間と消灯時間とがともに短くなり、且つ、点灯時間と消灯時間とが等しくなるような点滅周期で点灯と消灯を繰り返すため、人の目には明るく点灯しているように見える。すなわち、発光ダイオード13の照射範囲で一定の照度が得られることとなる。
【0036】
なお、一定の照度を得るにあたって、発光ダイオード13の点滅制御は上記の例に限るものではなく、例えば、図4(c)に示すように、発光ダイオード13を、点灯時間が消灯時間よりも十分長くなるような点滅周期で点灯と消灯を繰り返させてもよい。
【0037】
以上説明した動作を一覧表にまとめて示すと、表1のようになる。
【0038】
【表1】

なお、上記の実施例では、暗環境下でのみ発光ダイオード13を点滅させていたが、明環境下でも物体の検出を行うべく点滅させてもよく、その場合、照明装置を警報装置としても利用することができる。
【0039】
以上説明したように、発光ダイオード照明装置は、夜間など環境照度が暗い時に人の通過などの移動物体を検出したときに、自動的に発光ダイオード13を明るく点滅させ、それ以外では、暗く点滅させるか消灯させているので、消費電力が小さくなっている。また、発光ダイオード照明装置は長寿命である発光ダイオード13を光源部1に用いているので、光源の交換がほぼ不要である。さらには、照度センサ2で環境照度の検出と移動物体の検出の両方を行っているので、部品数が減りその分低コストで製造することができる。また、光源部1と照度センサ2が近くに配置される構成でありながら、遮光対策が不要な構成であるため、その分製造コストを削減することができる。
【実施例2】
【0040】
本発明の実施例2について図5乃至図7を参照して説明する。
【0041】
図5は、発光ダイオード照明装置の構成を示す概略斜視図である。
【0042】
この発光ダイオード照明装置は、9個の発光ダイオードを同一基板に配置した光源部1と、この光源部1の下方に設けられた照度を検出する照度センサ2と、これら光源部1と照度センサ2とに並行して設けられた、光源用レンズ4と検出用レンズ5を搭載したレンズ基板3と、照度センサ2及びレンズ基板3の下方に設けられた制御部6とを備えたものである。
【0043】
このようになる発光ダイオード照明装置は、廊下の壁面などに埋め込み設置されるもので、夜間に人の通過などの移動物体を検出すると自動的に点灯し、廊下の床面を明るく照らす機能を有する。なお、図示していないが、発光ダイオード照明装置は商用電源から所定の直流電圧を得るための電源部を有している。
【0044】
図6はその発光ダイオード照明装置の光源部1の拡大図である。
【0045】
この光源部1は、基板9と、この基板9上面の中央部に設けられた紫外光を発光する第2の発光ダイオード8と、この第2の発光ダイオード8を周囲から取り囲むように基板9上面に配された可視光を発光する8個の第1の発光ダイオード7とから構成されている。これら第1及び第2の発光ダイオード7,8は、ともに、実施例1と同様、砲弾型発光ダイオードランプである。
【0046】
なお、光源部1の構成は、上記した例に限るものではなく、例えば図9に示すような構成であってもよい。すなわち、光源部1は、基板10と、第2の発光ダイオードとして、基板10の上面中央に設けられた1個の紫外光を発光する表面実装型チップ発光ダイオード11と、第1の発光ダイオードとして、発光ダイオード11を周囲から取り囲むように基板10上に設けられた、可視光を発光する8個の照明用の表面実装型チップ発光ダイオード12とから構成されていてもよい。ここで、表面実装型チップ発光ダイオードとは、ワイヤの代わりに表面実装用の端子が背面や側面に設けられている発光ダイオードをいう。このように、第1及び第2の発光ダイオードに表面実装型チップ発光ダイオード11、12を用いた場合、表面実装型チップ発光ダイオードは形状が小さいことから、光源部1の小型化を図ることができるとともに、上記砲弾型発光ダイオードランプに比べて照射角が広いことから、広範囲で物体の検出を行うことができるとともに照明範囲が広範囲となる。
【0047】
この発光ダイオード照明装置の電気的構成は、実施例1と同じであり、図3に示したブロック図の通りである。以下、各部について、図3を参照して説明する。
【0048】
照度センサ2は、ホトダイオード又はホトトランジスタを備え、環境光と、上記発光部1における第2の発光ダイオード8の反射光の両方を検出するものであり、照度及び反射光の強弱に対応した照度検出信号を制御部6に出力する。
【0049】
制御部6は、上記照度センサ2からの照度検出信号を受けて光源部1を制御するものである。すなわち、制御部6においては、環境光に基づく照度検出信号に対して所定の閾値が設定されており、この所定の閾値と照度センサ2からの照度検出信号のレベルとを比較して、該レベルが閾値より大きい場合は環境照度が明環境であると判断し、小さい場合は暗環境であると判断する。明環境下では、制御部6は、第1及び第2の発光ダイオード7、8とも消灯させる。一方、暗環境下では、制御部6は、物体の移動を検出するために、第2の発光ダイオード8を、後に詳述する所定の周期で点滅させるとともに、第2の発光ダイオード8が点灯しているときの照度検出信号のレベルを記憶する。また、制御部6は、その記憶した照度検出信号のレベルに比して大きなレベルの信号を照度センサ2から受けたとき、照度センサ2により第2の発光ダイオード8の照射を受けた物体からの反射光が受光されたことになるため、第1の発光ダイオード7の照射範囲内に物体が存在すると判断して、第1の発光ダイオード7を点灯させるかあるいは点滅させる。第1の発光ダイオード7を点滅させる場合は、例えば、60Hz以上の周波数で点滅させる。このように第1の発光ダイオード7を60Hz以上の周波数で点滅させると、人の目には連続的な点灯として認識される。
【0050】
次に、上記発光ダイオード照明装置の動作について図7を参照して説明する。
【0051】
明環境であるとき、照度センサ2からの照度検出信号のレベルが所定の閾値を超えることになるため、制御部6は環境照度が明環境であると判断し、照明は不要として第1及びだい2の発光ダイオード7、8をともに消灯状態とする。
【0052】
環境照度が低下し、やがて照度センサ2からの照度検出信号のレベルが所定の閾値以下となったとき、制御部6は環境照度が暗環境であると判断し、物体の検出を行うべく、図7(a)に示すような周期で光源部1の第2の発光ダイオード8を点滅させる。すなわち、第2の発光ダイオード8は制御部6により制御され、一定の周期、例えば1/60秒以下の点滅周期で点灯と消灯を繰り返し、制御部6は、図7(b)に示すように、第2の発光ダイオード8が点灯しているときの照度検出信号のレベルを記憶する。このとき、第2の発光ダイオード8は紫外光を発光するので、人の目には点滅状態は見えない。
【0053】
ここで、人などの物体が第2の発光ダイオード8の照射範囲に侵入すると、第2の発光ダイオード8から発された光が物体に反射され、この反射光が照度センサ2により検出される。照度センサ2からは、その検出された反射光の強さに応じた照度検出信号が制御部6に送られる。
【0054】
制御部6では、上記反射光に基づく照度センサ2からの照度検出信号のレベルは、図7(c)に示すように、前記記憶した照度検出信号のレベルに比して大きいことから、第1の発光ダイオード7を点灯させるかあるいは点滅させる。点滅させる場合は、図7(d)に示すように、一定の周期、例えば60Hz以上の周波数で点灯と消灯を繰り返させる。このように、第1の発光ダイオード7を60Hz以上の周波数で点滅させると、人の目には点灯しているように見える。すなわち、発光ダイオード7の照射範囲で一定の照度が得られることとなる。
【0055】
以上説明した動作を一覧表にまとめて示すと、表2のようになる。
【0056】
【表2】

なお、上記の実施例では、暗環境下でのみ第2の発光ダイオード8を点滅させていたが、明環境下でも物体の検出を行うべく点滅させてもよく、その場合、照明装置を警報装置としても利用することができる。また、暗環境下で第1の発光ダイオード7を点滅させているときに第2の発光ダイオード8を消灯させ、第1の発光ダイオード7の反射光のレベルの変動に基づいて物体の検知を行うようにしてもよい。
【0057】
以上説明したように、発光ダイオード照明装置は、夜間など環境照度が暗い時に人の通過など移動物体を検出したときに、自動的に第1の発光ダイオード7を点灯あるいは点滅させ、それ以外では、消灯させているので、消費電力が小さくなっている。また、発光ダイオード照明装置は長寿命である発光ダイオードを光源部1に用いているので、光源の交換がほぼ不要である。さらには、1つの照度センサ2で環境照度の検出と移動物体の検出の両方を行っているので、部品数が少なくてすみその分低コストで製造することができる。また、光源部1と照度センサ2が近くに配置される構成でありながら、遮光対策が不要な構成であるため、その分製造コストを削減することができる。
【0058】
次に、上記発光ダイオード照明装置の光源部1の照射方向と照度センサ2の受光方向の調節について図8を参照して説明する。
【0059】
光源用レンズ4と検出用レンズ5はともに集光性のフレネルレンズである。光源用レンズ4と検出用レンズ5を搭載した基板3は、光源部1の基板9と照度センサ2に並行して配置され、基板9と並行にスライドさせることができるように構成されている。
【0060】
図8(a)は、光源部1の照射方向及び照度センサ2の受光方向を水平にした場合を示す。この場合、発光ダイオード照明装置は、自身の前方正面を物体の検出範囲及び照明の照射範囲とすることとなる。
【0061】
図8(b)は、基板3を基板9に対して上方にスライドさせることにより、光源部1の照射方向と照度センサ2の受光方向を同時に斜め上向きにした場合を示す。この場合、発光ダイオード照明装置は、自身の前方斜め上方を物体の検出範囲及び照明の照射範囲とすることとなる。
【0062】
図8(c)は、上記図8(b)の場合とは逆に、基板3を基板9に対して下方にスライドさせることにより、光源部1の照射方向と照度センサ2の受光方向を同時に斜め下向きにした場合を示す。この場合、発光ダイオード照明装置は、自身の前方斜め下方を物体の検出範囲及び照明の照射範囲とすることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る発光ダイオード照明装置の実施例1を示す概略斜視図である。
【図2】その発光ダイオード照明装置の光源部の斜視図である。
【図3】その発光ダイオード照明装置の制御ブロック図である。
【図4】その発光ダイオード照明装置の発光ダイオードの点滅動作を示す波形図である。
【図5】本発明に係る発光ダイオード照明装置の実施例2を示す概略斜視図である。
【図6】その発光ダイオード照明装置の制御ブロック図である。
【図7】その発光ダイオード照明装置の発光ダイオードの点滅動作を示す波形図である。
【図8】本発明に係る発光ダイオード照明装置の照射方向及び受光方向を説明する概略側面図である。
【図9】本発明に係る発光ダイオード照明装置の実施例2における光源部の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
1 光源部
2 照度センサ
3 レンズ基板
4 光源用レンズ
5 検出用レンズ
6 制御部
7 第1の発光ダイオード
8 第2の発光ダイオード
9 基板
11 表面実装型チップ発光ダイオード
12 表面実装型チップ発光ダイオード
13 発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードと、
この発光ダイオードの照射を受けた物体からの反射光と環境光とを検出してそれら各光の強弱に応じた照度検出信号を出力する照度センサと、
この照度センサからの前記環境光に基づく照度検出信号のレベルが所定の閾値を超えたときは前記発光ダイオードの消灯を維持する一方、該閾値以下のときは前記発光ダイオードを所定の周期で点滅させるとともに、該点滅時の、前記照度センサからの前記反射光に基づく照度検出信号のレベルに変動が生じたとき、前記発光ダイオードの点滅周期を、該発光ダイオードの照射範囲で一定の照度が得られる程度にまで点滅周期を遷移させる一方、該変動が消失したとき、その遷移させる前の点滅状態に戻す制御部と
を備えた発光ダイオード照明装置。
【請求項2】
可視光を発光する第1の発光ダイオードと、
紫外光を発光する第2の発光ダイオードと、
これらの発光ダイオードの照射を受けた物体からの反射光と環境光を検出してそれら各光の強弱に応じた照度検出信号を出力する照度センサと、
この照度センサからの前記環境光に基づく照度検出信号のレベルが所定の閾値を超えたときは前記第1の発光ダイオードの消灯を維持する一方、該閾値以下のときは前記第2の発光ダイオードを所定の周期で点滅させるとともに、該点滅時の、前記照度センサからの前記反射光に基づく照度検出信号のレベルに変動が生じたとき、前記第1の発光ダイオードを点灯若しくは一定の照度が得られる周期で点滅させる一方、該変動が消失したとき、前記第1の発光ダイオードを消灯する制御部と
を備えたことを特徴とする発光ダイオード照明装置。
【請求項3】
前記発光ダイオードは砲弾型発光ダイオードランプであることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の発光ダイオード照明装置。
【請求項4】
前記発光ダイオードは表面実装型チップ発光ダイオードであることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の発光ダイオード照明装置。
【請求項5】
すべての前記発光ダイオードが同一基板上に配置され、この基板と並行して光源用レンズが配置されるとともに、この光源用レンズは前記基板と並行してスライド可能とされたことを特徴とする請求項1から4までのいずれか一に記載の発光ダイオード照明装置。
【請求項6】
前記光源用レンズと同一平面上に且つ一体的に検出用レンズが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の発光ダイオード照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−127897(P2006−127897A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314216(P2004−314216)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】