説明

発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器

【課題】押圧力や歪みによる不良の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができるとともに、良好な画質を実現することができる発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器を提供する。
【解決手段】画素アレイ111に配列された隣接する画素PIX間の隔壁25上の互いに離間した位置に、素子基板11側(隔壁25)と対向基板12側の双方に接着されて素子基板11と対向基板12とを接着する複数の接着層31が設けられている。各接着層31は、例えば光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂材料により形成される。これにより、素子基板11の一面側と対向基板12の接着面側との間隙は、表示パネル110の素子基板11と対向基板12が対向する略全域において、素子基板11の一面側に形成された画素アレイ111の上面に対向基板12が接触しないように、所定の値で、かつ、略均一に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器に関し、特に、発光素子が形成された素子基板に対向して封止基板を接合した封止構造を有する発光パネル及びその製造方法、該発光パネルを備えた発光装置、並びに、該発光装置を実装した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機や携帯音楽プレーヤ等の電子機器の表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)等の発光素子を二次元配列した表示パネル(発光素子型表示パネル)を適用したものが知られている。特に、アクティブマトリクス駆動方式を適用した発光素子型表示パネルにおいては、広く普及している液晶表示装置に比較して、表示応答速度が速く、視野角依存性も小さく、また、高輝度・高コントラスト化、表示画質の高精細化等が可能であるという特長を有している。加えて、発光素子型表示パネルは、液晶表示装置のようにバックライトや導光板を必要としないので、一層の薄型軽量化が可能であるという特長を有している。
【0003】
ここで、発光素子型表示パネルに適用される発光素子の代表例である有機EL素子は、概略、対向して配置された陽極(アノード電極)と陰極(カソード電極)との間に、正孔輸送層、有機発光層及び電子輸送層が積層された素子構造を有している。そして、有機EL素子は、一般に、絶縁性の素子基板の一面側に形成され、外気(水分や酸素等)による素子特性の劣化や物理的衝撃等の外的環境から保護するために、素子基板の一面側に対向するように封止基板を接合した(貼り合わせた)構成や、素子基板の一面側を封止樹脂で封止した構成が採用されている。有機EL素子の素子構造や封止構造については、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−080307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような封止構造のうち、素子基板の一面側に封止基板を接合した封止構造においては、特許文献1にも記載されているように、通常、封止基板の周縁部において封止材を介して素子基板に接合されている。ここで、封止基板の内面と、素子基板に形成される有機EL素子、及び、当該有機EL素子を発光駆動させるための能動素子(薄膜トランジスタ等)や配線の上面との間には、ある程度の間隙が設けられている。
【0006】
しかしながら、素子基板に封止基板を貼り合わせる製造工程において、封止基板を素子基板側に押圧したときや、封止基板が貼り合わせられた表示パネルを搭載した電子機器において、使用時に外部から表示パネルに押圧力が加えられたとき、また、表示パネル自体に熱等に起因する歪みが生じたとき等に、封止基板の内面が素子基板側に接触して、例えば素子基板側に形成された薄膜トランジスタの素子破損やトランジスタ特性の変動、有機層や配線層、層間絶縁膜の剥離、配線間ショート、封止破損等の不良を招いて、製造歩留まりや品質の低下を招くという問題を有していた。
【0007】
また、表示パネルが、素子基板側に形成された有機EL素子から放射された光を、封止基板を介して発光面側(視野側)に出射して画像を表示するトップエミッション型の発光構造を有している場合には、上述したような押圧力により、素子基板と封止基板間の距離(基板間ギャップ)が不均一になるため、出射光の光軸がずれて画像ににじみやぼけが生じて、画質の劣化を招くという問題を有していた。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、押圧力や歪みによる不良の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができるとともに、良好な画質を実現することができる発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明に係る発光パネルは、発光素子を有する少なくとも一つの画素と、前記画素の前記発光素子の形成領域を区画する隔壁と、が一面側に設けられた第1の基板と、一面側が前記第1の基板の前記一面側に対向して設けられ、前記第1の基板の前記一面側を封止する第2の基板と、前記第1の基板の前記隔壁上に互いに離間して設けられて、前記第1の基板の前記一面側と前記第2の基板の前記一面側とに接着される、絶縁性を有する複数の接着層と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発光パネルにおいて、前記発光素子は、発光層と、該発光層を介して互いに対向する一対の電極とを有し、該一対の電極のいずれか一方をなす電極層が前記隔壁上に延在して設けられ、前記各接着層は、少なくとも前記隔壁上に延在する前記電極層の一部が除去された開口部に対応する領域に設けられていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の発光パネルにおいて、前記画素は、前記発光素子を発光駆動させるためのスイッチング素子と、前記発光素子を発光駆動させるための各種信号が印加される複数の配線と、を具備し、前記スイッチング素子及び前記複数の配線の少なくとも一部は、前記隔壁の下層に設けられ、前記各接着層は、前記隔壁上の、少なくとも前記スイッチング素子の形成領域、及び、前記複数の配線の交差領域に対応する領域以外の予め設定された領域に設けられていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発光パネルにおいて、前記各接着層は、接着性を有して前記第1の基板の前記一面側と前記第2の基板の前記一面側とに接着される樹脂材料を所定の条件により硬化して形成されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発光パネルにおいて、前記樹脂材料は遮光性を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明に係る発光パネルの製造方法は、第1の基板の一面側に、発光素子を有する少なくとも一つの画素と、該画素の前記発光素子の形成領域を区画する隔壁と、を形成する工程と、前記第1の基板の前記一面側を封止するための第2基板を準備する工程と、前記第1の基板の前記隔壁上の互いに離間した複数の領域又は前記隔壁上の複数の領域に対応する前記第2基板の一面側の複数の領域の何れか一方に、接着性を有する樹脂材料による接着材層を形成する工程と、前記第1の基板の前記一面側に前記第2基板の前記一面側を対向させ、押圧力を印加して、前記各接着材層を介して、前記第1の基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせた状態で、前記各接着材層を所定の条件により硬化させて複数の接着層を形成し、該接着層を介して前記第1の基板の前記一面側と前記第2の基板の前記一面側とを接着する工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発光パネルの製造方法において、前記発光素子は、発光層と、該発光層を介して互いに対向する一対の電極と、を備え、前記第1の基板の前記一面側に前記画素を形成する工程は、前記発光素子の前記一対の電極のいずれか一方をなす電極層を前記隔壁上に延在させて形成する工程と、前記隔壁上に延在する前記電極層の一部を除去した開口部を形成する工程と、を含み、前記接着材層を形成する工程は、少なくとも前記開口部に対応する領域に前記接着材層を形成する工程を含むことを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項6又は7に記載の発光パネルの製造方法において、前記複数の接着材層を形成する工程は、前記樹脂材料として不透明な色素が添加された遮光性を有する第2の樹脂材料を準備し、該第2の樹脂材料により前記接着材層を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明に係る発光装置は、発光素子を有する少なくとも一つの画素と、該画素に接続された選択ライン及びデータラインと、前記画素の前記発光素子の形成領域を区画する隔壁と、が一面側に設けられた第1の基板と、一面側が前記第1の基板の前記一面側に対向して設けられ、前記第1の基板の前記一面側を封止する第2の基板と、前記第1の基板の前記隔壁上に互いに離間して設けられて、前記第1の基板の前記一面側と前記第2の基板の前記一面側とに接着される、絶縁性を有する複数の接着層と、を具備する発光パネルと、前記各選択ラインを介して、前記画素を選択状態に設定するための選択信号を印加する選択駆動回路と、前記各データラインを介して、前記選択状態に設定された前記画素に画像データに応じた階調信号を書き込む信号駆動回路と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の発光装置において、前記発光素子は、発光層と、該発光層を介して互いに対向する一対の電極とを有し、該一対の電極のいずれか一方をなす電極層が前記隔壁上に延在して設けられ、前記各接着層は、前記隔壁上に延在する前記電極層の一部が除去された開口部内に対応する領域に設けられていることを特徴とする。
請求項11記載の発明に係る電子機器は、請求項9又は10に記載の発光装置が実装されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器によれば、押圧力や歪みによる不良の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができるとともに、良好な画質を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る発光装置を適用した表示装置に適用される表示パネルの第1の実施形態を示す概略平面図である。
【図2】第1の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成の一例を示す概略断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る表示パネルの製造方法の他の例を示す工程断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成を示す概略断面図である。
【図6】第2の実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図7】第2の実施形態に係る表示パネルの製造方法の他の例を示す工程断面図である。
【図8】第3の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成を示す概略断面図である。
【図9】第3の実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図10】第3の実施形態に係る表示パネルの製造方法の他の例を示す工程断面図である。
【図11】第4の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成を示す概略断面図である。
【図12】本発明に係る表示パネル(発光パネル)を適用した表示装置の第1の具体例を示す概略構成図である。
【図13】第1の適用例に係る画素の一例を示す平面レイアウト図である。
【図14】第1の適用例に係る画素の要部断面図である。
【図15】本発明に係る表示パネルを適用した表示装置の第2の具体例を示す概略構成図である。
【図16】第2の適用例に係る画素の一例を示す平面レイアウト図である。
【図17】第2の適用例に係る画素の要部断面図である。
【図18】本発明に係る発光装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図である。
【図19】本発明に係る発光装置を適用した薄型テレビジョンの構成例を示す斜視図である。
【図20】本発明に係る発光装置を適用したパーソナルコンピュータの構成例を示す斜視図である。
【図21】本発明に係る発光装置を適用した携帯電話機の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る発光パネル及びその製造方法、発光装置並びに電子機器について、実施形態を示して詳しく説明する。
<第1の実施形態>
まず、本発明に係る発光装置について説明する。ここでは、本発明に係る発光装置を表示装置として適用し、また、発光素子として有機EL素子を適用した場合について説明する。
【0018】
(表示装置)
図1は、本発明に係る発光装置を適用した表示装置に適用される表示パネルの第1の実施形態を示す概略平面図である。図2は、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成の一例を示す概略断面図である。図2(a)は、図1に示した表示パネルにおけるIIA−IIA線(本明細書においては図1中に示したローマ数字の「2」に対応する記号として便宜的に「II」を用いる。)に沿った断面を示す図である。また、図2(b)は、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成の他の例を示す概略断面図である。なお、図示の都合上、図2においてのみ対向基板を表示し、図1においては省略した。
【0019】
本発明の第1の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネル(発光パネル)110は、例えば図1、図2(a)に示すように、平板ガラス等の絶縁性の素子基板(第1の基板)11と対向基板(第2の基板)12とが対向して接合(接着)された構成を有している。素子基板11の一面側(図1の紙面手前側、及び、図2(a)の上面側)には、発光素子である有機EL素子OELを有する複数の画素PIXが二次元配列された画素アレイ111が設けられている。各画素PIXに設けられる有機EL素子OELは、例えば図2(a)に示すように、アノード電極となる画素電極21と、有機EL層(発光機能層)22と、カソード電極となる対向電極23とが順次積層された素子構造を有している。また、隣接して配列された画素PIX間には、画素電極21に接続されて有機EL素子OELを駆動するための薄膜トランジスタ等を有する発光駆動回路DCと、発光駆動回路DCを覆う絶縁膜24及び隔壁(バンク)25が形成され、少なくとも各有機EL素子OELを構成する画素電極21及び有機EL層22が、隣接する画素PIX間で相互に隔離されている。
【0020】
対向して配置された素子基板11と対向基板12は、図1、図2(a)に示すように、画素アレイ111の外周領域に設けられたシール部(封止部)40を介して接合され、画素アレイ111が封止空間50内に封止されて外的環境の影響を受けないように保護されている。シール部40は、例えば図2(a)に示すように、フィラー41入りの粘着材(シール材)42からなり、当該シール部40が画素アレイ111の外周領域に連続的に設けられることにより、素子基板11と平板ガラスからなる対向基板12が接合されて封止される。シール部40は、具体的には、所定の粒径を有する非導電性(絶縁性)の樹脂ビーズからなるフィラー41を、非導電性の光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂材料を有する粘着材42に拡散したものが適用される。
【0021】
また、シール部40の他の構造としては、例えば図2(b)に示すように、平板ガラスの縁辺部(上述した画素アレイ111の外周領域に対応する領域)を連続的に残すようにザグリ加工したザグリガラスを対向基板12として用いて、当該ザグリ部12zにおいて粘着材(シール材)42を介して、素子基板11と対向基板12を接合して封止したものであってもよい。なお、以下に示す各実施形態においては、表示パネル110の構造として、説明の都合上、図2(a)に示したフィラー41入り粘着材42を介して、素子基板11と平板ガラスからなる対向基板12を接合したパネル構造を用いた場合について説明する。なお、封止空間50内の例えば対向基板12の接合面(後述する接着面に対応、図2(a)下面側)側に、図示を省略した乾燥剤や乾燥シートを設けるようにしてもよい。この場合、封止空間50内の水分(湿気)や腐食性の気体が乾燥剤や乾燥シートにより除去又は低減されて、画素アレイ111(特に、有機EL素子OEL)の素子特性の劣化や接続不良の発生を抑制することができる。
【0022】
そして、本実施形態に係る表示パネル110においては、特に、図2(a)に示すように、対向基板12とシール部40により形成される封止空間50内に封止された画素アレイ111(隣接する画素PIX間)の隔壁25と対向基板12との間に、接着層(スペーサ)31からなる接着部30が設けられている。接着層31は、隔壁25上と対向基板12との間に設けられて、素子基板11側(隔壁25)と対向基板12側の双方に接着されている。接着層31は、後述する図13や図16に示すように、隔壁25上と対向基板12との間の互いに離間した位置に複数設けられている。ここで、接着層31は、素子基板11と対向基板12との間のギャップ(間隙)を設定することができるとともに、接着性を有して素子基板11と対向基板12とを強固に接着することができる材料を適用する。具体的には、接着層31は、例えば光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂材料を有して形成される。また、接着層31は、少なくとも素子基板11及び対向基板12との接着面となる当該接着層31の表面が、光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂材料からなるものであってもよい。これにより、素子基板11の一面側(図面上面側)と対向基板12の接着面側との間隙は、シール部40及び接着部30が設けられていない領域における表示パネル110の素子基板11と対向基板12が対向する領域において、素子基板11の一面側に形成された画素アレイ111の上面に対向基板12が接触しないように、所定の値で、かつ、略均一に設定される。
【0023】
なお、図1に示すように、素子基板11上の画素アレイ111の周辺領域には、上記各画素PIXを駆動するための信号や電源を供給するための引き出し配線Lrが設けられている。引き出し配線Lrは一端側が画素アレイ111(各画素PIX)に接続され、他端側が例えば素子基板11の端部に設けられた接続端子TMに接続されている。接続端子TMは、例えばフィルム基板(フレキシブルプリント基板)FPC等を介して、素子基板11の外部に設けられた各種のドライバ(例えば選択ドライバ120やデータドライバ130;詳しくは後述する)、あるいは、これらの各ドライバ機能を備えたドライバチップに接続されている。
【0024】
また、図2(a)、(b)においては、素子基板11上に、有機EL素子OELの画素電極21が直接形成された素子構造を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。有機EL素子OELは、例えば、素子基板11上に図示を省略した絶縁膜(ゲート絶縁膜や層間絶縁膜等)を介して画素電極21が形成された素子構造を有するものであってもよい。また、図2(a)、(b)においては、素子基板11上の有機EL素子OELの対向電極23が露出した状態で、対向基板12により封止されたパネル構造を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。表示パネル110は、有機EL素子OELを含む画素アレイ111を、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等を有する保護層(保護絶縁膜)により被覆した状態で、素子基板11に対向基板12を対向するように接合及び接着した構造を有するものであってもよい。
【0025】
さらに、図2(a)、(b)においては、図示の都合上、画素アレイ111として、素子基板11の一面側に、有機EL素子OELと、絶縁膜24及び隔壁25のみが設けられた構成を示したが、有機EL素子OELを発光駆動するための配線や能動素子(薄膜トランジスタ等)が適宜設けられているものであってもよい。なお、表示パネルの具体例については後述する。
【0026】
(表示パネルの製造方法)
次に、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの製造方法について説明する。ここで、本実施形態においては、各画素PIXに設けられる有機EL素子OELから放射された光が対向基板12を透過して発光面側(図2の上面側)に出射されるトップエミッション型の表示パネル110について説明するが、有機EL素子OELから放射された光が素子基板11を透過して発光面側(図2の下面側)に出射されるボトムエミッション型の表示パネルであってもよい。
【0027】
図3は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。ここでは、図2(a)に示した断面構造を有する表示パネルについて製造方法を説明する。
上述した表示パネル110の製造方法は、まず、図3(a)に示すように、素子基板11の一面側(図面上面側)に、画素アレイ111の各画素PIXに含まれる有機EL素子OELを形成する。有機EL素子OELは、素子基板11上に、画素電極21と、例えば正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を有する有機EL層(発光機能層)22と、対向電極23を順次積層することにより形成される。
【0028】
具体的には、素子基板11の一面側に、画素PIXの形成領域ごとに有機EL素子OELのアノード電極となる画素電極21と画素電極21に接続されて有機EL素子OELを駆動するための薄膜トランジスタ等を有する発光駆動回路DCを形成する。次いで、発光駆動回路DCを覆い、隣接する画素PIXの有機EL素子OEL相互を電気的に絶縁するとともに、個別の発光特性を設定するために、画素PIXの境界領域に絶縁膜24及び隔壁25を形成する。ここで、隔壁25は、素子基板11表面から対向基板12方向に突出するように、例えば感光性の絶縁材料であるポリイミド系の樹脂材料により形成される。これにより、隔壁25は、後述する有機EL層22の形成工程において、隣接する画素PIX間で、有機化合物含有液の漏出や乗り越えを抑制して、隣接画素相互の混色を防止する。
【0029】
次いで、各画素PIXの形成領域において、絶縁膜24及び隔壁25に被覆されず、露出する画素電極21上に、インクジェット法やノズルプリンティング法等を用いて、有機高分子系の正孔輸送性材料を含む溶液(有機化合物含有液)を塗布し、加熱乾燥して正孔輸送層を形成する。次いで、正孔輸送層が形成された画素電極21上に、上記と同様の手法を用いて、有機高分子系の発光材料を含む溶液(有機化合物含有液)を塗布し、加熱乾燥して発光層を形成する。さらに、発光層が形成された画素電極21上に、上記と同様の手法を用いて、有機高分子系の電子輸送性材料を含む溶液(有機化合物含有液)を塗布し、加熱乾燥して電子輸送層を形成する。この一連の工程により、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層が積層された有機EL層22が形成される。次いで、画素アレイ111に配列された各画素PIXに共通するように、単一の電極層(べた電極)からなる対向電極23を形成する。ここで、対向電極23は、図3(a)に示すように、各画素PIXの有機EL素子OELの形成領域だけでなく、画素PIX間の境界領域に形成された隔壁25上にも延在するように設けられている。
【0030】
有機EL素子OELがトップエミッション型の発光構造を有している場合には、画素電極21は、例えばアルミニウム等の光反射率が高い金属膜により形成され、対向電極23は、例えば錫ドープ酸化インジウム(ITO)等からなる透明電極膜により形成される。また、有機EL素子OELがボトムエミッション型の発光構造を有する場合には、画素電極21は、例えば錫ドープ酸化インジウム(ITO)等からなる透明電極膜により形成され、対向電極23は、例えばアルミニウム等の光反射率が高い金属膜により形成される。
【0031】
次いで、図1、図3(b)に示すように、素子基板11の画素アレイ111の外周領域に、所定の粒径を有するフィラー41が拡散された、光硬化性あるいは熱硬化性の粘着材を塗布して粘着材層42xを塗布して形成する。また、素子基板11の画素アレイ111内の隔壁25上面に(厳密には、隔壁25の上面に形成された対向電極23上に)、印刷法や転写法等を用いて、所定の厚みの光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂層(接着性を有する接着材層)31xを形成する。ここで、隔壁25上に形成される樹脂層31xの厚みは、素子基板11表面から当該樹脂層31xの上面までの寸法が、画素アレイ111の外周領域に形成される粘着材層42xに拡散されるフィラー41の粒径(直径)と同等、もしくは、フィラー41の粒径よりも僅かに大きくなるように、隔壁25の突出高さに応じて適切に設定される。
【0032】
次いで、図3(b)に示すように、素子基板11の一面側に対向基板12を対向するように貼り合わせる。このとき、素子基板11に対して対向基板12が所定の力で押圧されることにより、画素アレイ111の外周領域に形成された粘着材層42x中のフィラー41、及び、画素アレイ111内の隔壁25上に形成された樹脂層31xが撓む。これにより、画素アレイ111の外周領域においては、粘着材層42xが素子基板11の一面側及び対向基板12の接着面側の双方の表面に接着される。また、同時に、画素アレイ111内の隔壁25及び対向基板12の接着面側の双方の表面に、樹脂層31xが接着される。
【0033】
次いで、画素アレイ111の外周領域に形成された粘着材層42x中のフィラー41の撓みをなくした状態(あるいは、当該撓みがなくなる程度の力で対向基板12を押圧した状態)で、図3(c)に示すように、対向基板12が貼り合わせられた素子基板11に対して、所定の波長の光(例えば紫外線)UVを照射、あるいは、所定の温度で熱処理することにより、粘着材層42x及び樹脂層31xを硬化させる。これにより、粘着材層42x及び樹脂層31xは、各々、素子基板11と対向基板12の双方に接着して硬化する。すなわち、図2(a)に示したように、画素アレイ111の外周領域においては、硬化した粘着材層42xによる粘着材42を介して、また、画素アレイ111内の隔壁25上においては、硬化した樹脂層31xによる接着層31を介して、素子基板11及び対向基板12が固着され、素子基板11上の画素アレイ111が対向基板12及びフィラー41入り粘着材42により形成される封止空間50内に封止される。このとき、素子基板11と対向基板12間のギャップ(間隙)は、画素アレイ111の外周領域においては、フィラー41の粒径に基づいて設定され、また、画素アレイ111内においては、接着層31の厚みに基づいて設定される。ここで、上述した樹脂層31xの形成工程において説明したように、接着層31となる樹脂層31xの厚みは、画素アレイ111の外周領域に塗布されるフィラー41の粒径に基づいて設定される。したがって、接着層31も、画素アレイ111内における素子基板11と対向基板12間のギャップが、外周領域におけるギャップ(フィラー41の粒径)と同等になるように、その厚みが調整されて硬化する。なお、図3(c)に示した封止工程は、例えば、所定の気圧の不活性ガス雰囲気中で行われる。
【0034】
このように、本実施形態においては、素子基板11の画素アレイ111の外周領域においてはフィラー41が拡散された粘着材42を介して、また、画素アレイ111内においては隔壁25上の接着層31を介して、素子基板11に対向基板12が接着される。これにより、本実施形態においては、素子基板11と対向基板12との間のギャップ(間隙)が画素アレイ111の略全域で均一化されるとともに、素子基板11と対向基板12とが強固に接着される。
【0035】
したがって、本実施形態によれば、素子基板11に対向基板12を貼り合わせる工程において、対向基板12を素子基板11側に押圧したときや、本実施形態に係る表示パネル110を搭載した電子機器において、使用時に外部から表示パネル110に押圧力が加えられたとき、また、表示パネル自体に熱等に起因する歪みが生じたときであっても、対向基板12が素子基板11の画素アレイ111に直接接触することを回避することができる。また、外部から表示パネル110に押圧力が加えられたような場合であっても、樹脂材料等の比較的弾性の高い隔壁25及び接着層31を介して、素子基板11と対向基板12が接着されているので、素子基板11上の画素アレイ111(各画素PIX)内に生じる歪みを抑制することができる。それ故、本実施形態によれば、有機EL素子OELや他の能動素子、配線等の破損や特性劣化、封止破損の発生を防止又は抑制することができ、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、特に、表示パネル110(有機EL素子OEL)がトップエミッション型の発光構造を有している場合、上述したような押圧力により素子基板11と対向基板12間のギャップ(間隙)が不均一になる現象を抑制することができるので、有機EL素子OELからの出射光の経路(角度及び距離)が均一化されて画像のにじみやぼけの発生を抑制して、良好な画質を実現することができる。このような本実施形態における作用効果は、素子基板11に対向基板12を接合するパネル構造を有する表示パネル全般において有効であるが、基板の変形が生じやすく、強度が重要視される大型の表示パネルにおいて特に有効である。
【0037】
なお、上述した製造方法(図3参照)においては、画素アレイ111内に設けられる接着層31となる樹脂層31xを、素子基板11側の隔壁25上に形成した後、対向基板12を貼り合わせて、樹脂層31xを光硬化又は熱硬化させる工程について説明した。本実施形態は、この製造方法に限定されるものではなく、以下に示すように、例えば対向基板12の接着面側に樹脂層31xを形成した後、当該対向基板12を画素アレイ111が形成された素子基板11に貼り合わせて、樹脂層31xを光硬化又は熱硬化させる工程を適用するものであってもよい。
【0038】
図4は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の他の例を示す工程断面図である。ここで、上述した製造方法(図3参照)と同等の工程については、説明を簡略化する。
本実施形態に係る表示パネルの製造方法の他の例は、図4(b)に示すように、素子基板11の画素アレイ111の外周領域に、所定の粒径を有するフィラー41が拡散された粘着材層42xを塗布して形成する。また、対向基板12の接着面側であって、かつ、画素アレイ111内の隔壁25の形成領域(すなわち、画素PIX間の境界領域)に対応する領域に、印刷法や転写法等を用いて、所定の厚みの樹脂層31xを形成する。次いで、当該対向基板12を、素子基板11の一面側に対向するように貼り合わせ、図4(c)に示すように、紫外線UVを照射、あるいは、熱処理することにより、画素アレイ111の外周領域の粘着材層42x、及び、画素アレイ111内の樹脂層31xを硬化させる。これにより、素子基板11と対向基板12が接着層31を介して、略均一なギャップ(間隙)で接着されるとともに、画素アレイ111の外周領域及び内部において強固に接着される。
【0039】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る表示装置に適用される表示パネルの第2の実施形態について説明する。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成については説明を簡略化する。
図5は、第2の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成を示す概略断面図である。図5は、図2(a)、(b)と同様に、図1に示した表示パネルにおけるIIA−IIA線に沿った断面を示す図である。なお、上述した第1及び第2の実施形態と同等の構成については同一の符号を付して示す。
【0040】
上述した第1の実施形態においては、表示パネル110を構成する素子基板11と対向基板12とのギャップを均一化するとともに、素子基板11と対向基板12を強固に接着するための接着層31を、素子基板11側に形成される隔壁25上の対向電極23上面に直接接着、又は、直接形成したパネル構造について説明した。第2の実施形態に係る表示パネル110においては、図5に示すように、上記の接着層31を、素子基板11側に形成される隔壁25上の対向電極23を部分的に除去して、露出した隔壁25上面に直接形成、又は、直接接着したパネル構造を有している。
【0041】
すなわち、本実施形態においては、図5(a)に示すように、素子基板11と対向基板12は、画素アレイ111の外周領域のシール部40においては、上述した第1及び第2の実施形態と同様に、フィラー41入り粘着材42を介して接合される。一方、画素アレイ111内の接着部30においては、素子基板11と対向基板12は、図5に示すように、対向電極23を部分的に除去して形成された開口部23c内に露出する隔壁25の上面に直接接着された接着層31を介して接着されている。ここで、接着層31は、上述した第1の実施形態と同様に、光硬化性あるいは熱硬化性の接着性を有する樹脂材料を硬化させることにより形成される。これにより、素子基板11と対向基板12との間のギャップ(間隙)が画素アレイ111の略全域で均一化されるとともに、素子基板11と対向基板12とが強固に接着される。特に、本実施形態においては、隔壁25として、例えば感光性の絶縁材料であるポリイミド系の樹脂材料を適用することにより、光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂材料を有する接着層31との接着性を向上させることができるので、素子基板11と対向基板12とをより強固に接着することができる。なお、上記図5(a)に示した構成においては、接着層31が開口部23c内に設けられるものとしたが、これに限るものではなく、図5(b)に示すように、接着層31が開口部23cより広い領域に設けられ、接着層31の一部の開口部23cに対応する領域で、接着層31が隔壁25の上面に直接接着されるようにしたものであってもよい。
【0042】
次に、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの製造方法について説明する。
図6は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。図7は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の他の例を示す工程断面図である。
図5に示した断面構造を有する表示パネル110の製造方法は、まず、図6(a)に示すように、一面側に有機EL素子OELを含む画素アレイ111が形成された素子基板11において、画素アレイ111内の隔壁25上の対向電極23を、レーザアブレーション法やリフトオフ法等を用いて部分的に除去して、隔壁25の上面が露出する開口部23cを形成する。ここで、レーザアブレーション法においては、高強度、短パルス、短波長のレーザを無機、有機物あるいは金属等からなる対向電極23の表面に照射することにより、吸収熱による蒸発やプラズマを伴って表面相が剥離される。また、リフトオフ法においては、光剥離材を積層形成した隔壁25上に対向電極23を形成した後、所定の波長の光を照射することにより、光剥離材からガスが発生して、光剥離材が形成された領域の対向電極23が除去される。次いで、図6(b)に示すように、素子基板11の画素アレイ111の外周領域に、フィラー41入り粘着材層42xを塗布して形成する。また、上記開口部23c内に露出する隔壁25の上面に直接接着するように、印刷法や転写法等を用いて、所定の厚みの樹脂層31xを形成する。ここで、隔壁25上に直接形成される樹脂層31xの厚みは、素子基板11表面から当該樹脂層31xの上面までの寸法が、画素アレイ111の外周領域に形成される粘着材層42xに拡散されるフィラー41の粒径(直径)と同等、もしくは、フィラー41の粒径よりも僅かに大きくなるように、隔壁25の突出高さに応じて適切に設定される。次いで、素子基板11の一面側に対向基板12を、対向するように貼り合わせ、図6(c)に示すように、紫外線UVを照射、あるいは、熱処理することにより、画素アレイ111の外周領域の粘着材層42x、及び、画素アレイ111内の樹脂層31xを硬化させる。
【0043】
これにより、素子基板11と対向基板12がフィラー41入り粘着材42及び接着層31を介して、略均一なギャップ(間隙)で接着されるとともに、画素アレイ111の外周領域及び内部において強固に接合される。したがって、本実施形態においても、表示パネル110に押圧力が印加された場合や、歪みが生じた場合であっても、素子や配線の破損、特性劣化の発生を防止して、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0044】
また、図5に示した断面構造を有する表示パネル110の製造方法の他の例は、まず、図7(a)に示すように、上記図6(a)と同様に、素子基板11における画素アレイ111内の隔壁25上の対向電極23を、レーザアブレーション法やリフトオフ法等を用いて部分的に除去して、隔壁25の上面が露出する開口部23cを形成する。また、図7(b)に示すように、素子基板11の画素アレイ111の外周領域に、フィラー41入り粘着材層42xを塗布して形成する。次いで、対向基板12の接着面側であって、かつ、画素アレイ111内の対向電極23に形成された開口部23cに対応する領域に、印刷法や転写法等を用いて、所定の厚みの樹脂層31xを形成する。次いで、当該対向基板12を、素子基板11の一面側に対向するように貼り合わせ、図7(c)に示すように、紫外線UVを照射、あるいは、熱処理することにより、画素アレイ111の外周領域の粘着材層42x、及び、画素アレイ111内の樹脂層31xを硬化させる。これにより、素子基板11と対向基板12がフィラー41入り粘着材42及び接着層31を介して、略均一なギャップ(間隙)で接着されるとともに、画素アレイ111の外周領域及び内部において強固に接合される。
【0045】
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る表示装置に適用される表示パネルの第3の実施形態について説明する。ここで、上述した第1乃至第2の実施形態と同等の構成については説明を簡略化する。
図8は、第3の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成を示す概略断面図である。図8(a)、(b)は、図2(a)、(b)と同様に、図1に示した表示パネルにおけるIIA−IIA線に沿った断面を示す図である。なお、上述した第1乃至第3の実施形態と同等の構成については同一の符号を付して示す。
【0046】
上述した第1及び第2の実施形態においては、表示パネル110を構成する素子基板11と対向基板12とのギャップを均一化するとともに、素子基板11と対向基板12を強固に接着するための手段として、光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂材料のみを有する接着層31を適用した場合について説明した。第3の実施形態に係る表示パネル110においては、図8(a)、(b)に示すように、上記と同様の樹脂材料にフィラー34を入れたものからなる、フィラー34入りの接着層35を適用したパネル構造を有している。
【0047】
すなわち、本実施形態においては、図8(a)に示すように、素子基板11と対向基板12は、画素アレイ111の外周領域のシール部40においては、上述した第1乃至第3の実施形態と同様に、フィラー41入り粘着材42を介して接着される。一方、画素アレイ111内の接着部30においては、素子基板11と対向基板12は、図8(a)に示すように、所定の粒径(直径)を有するフィラー34が拡散され、光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂材料を有する接着層35(フィラー34入り接着層35)を介して接着されている。これにより、素子基板11と対向基板12との間のギャップ(間隙)が画素アレイ111の略全域で均一化されるとともに、素子基板11と対向基板12とが強固に接着される。特に、本実施形態においては、画素アレイ111内の隔壁25上面に形成されるフィラー34入り接着層35のフィラー34の粒径(直径)を予め設定することにより、素子基板11の表面からの高さ(すなわち、素子基板11表面からフィラー34入り接着層35の上面までの寸法)を比較的精度良く設定することができるので、素子基板11と対向基板12との間のギャップをより均一化することができる。
【0048】
なお、本実施形態に係る表示パネル110は、図8(a)に示したようなパネル構造に限らず、図8(b)に示すように、フィラー34入り接着層35が、素子基板11側に形成される隔壁25上の対向電極23を部分的に除去して形成された開口部23c内に露出する隔壁25の上面に直接接着されたパネル構造を有するものであってもよい。
【0049】
この場合においても、素子基板11と対向基板12との間のギャップ(間隙)を、接着層35に拡散されるフィラー34の粒径(直径)に基づいて比較的精度良く設定することができるので、当該ギャップをより均一化することができる。また、隔壁25として、例えば感光性の絶縁材料であるポリイミド系の樹脂材料を適用することにより、光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂材料を有する接着層35との接着性を向上させることができるので、素子基板11と対向基板12とをより強固に接着することができる。
【0050】
次に、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの製造方法について説明する。
図9は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。図10は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の他の例を示す工程断面図である。図9、図10においては、図8(a)に示した断面構造を有する表示パネルの製造方法を示すが、図8(b)に示した断面構造を有する表示パネルにおいても、上述した第2の実施形態を参照して、同様の製造方法を適用することができる。
【0051】
図8(a)に示した断面構造を有する表示パネル110の製造方法は、まず、図9(a)に示すように、一面側に有機EL素子OELを含む画素アレイ111が形成された素子基板11において、図9(b)に示すように、素子基板11の画素アレイ111の外周領域に、フィラー41入り粘着材層42xを塗布して形成する。また、画素アレイ111内の隔壁25上に、印刷法や転写法、塗布法等を用いて、所定の粒径を有するフィラー34が拡散された接着材層35xを形成する。ここで、隔壁25上に形成される接着材層35xに拡散されるフィラー34の粒径(直径)は、素子基板11表面から当該フィラー34入り接着材層35xの上面までの寸法が、画素アレイ111の外周領域に形成される粘着材層42xに拡散されるフィラー41の粒径(直径)と同等、もしくは、フィラー41の粒径よりも僅かに大きくなるように、隔壁25の突出高さに応じて適切に設定される。次いで、素子基板11の一面側に対向基板12を、対向するように貼り合わせ、図9(c)に示すように、紫外線UVを照射、あるいは、熱処理することにより、画素アレイ111の外周領域の粘着材層42x、及び、画素アレイ111内の接着材層35xを硬化させる。
【0052】
これにより、素子基板11と対向基板12がフィラー41入り粘着材42及びフィラー34入り接着層35を介して、略均一なギャップ(間隙)で接着されるとともに、画素アレイ111の外周領域及び内部において強固に接着される。したがって、本実施形態においても、表示パネル110に押圧力が印加された場合や、歪みが生じた場合であっても、素子や配線の破損、特性劣化の発生を防止して、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0053】
また、図8(a)に示した断面構造を有する表示パネル110の製造方法の他の例は、図10(b)に示すように、素子基板11の画素アレイ111の外周領域に、フィラー41入り粘着材層42xを塗布して形成する。また、対向基板12の接着面側であって、かつ、画素アレイ111内の対向電極23に形成された開口部23cに対応する領域に、印刷法や転写法、塗布法等を用いて、所定の粒径を有するフィラー34が拡散された接着材層35xを形成する。次いで、当該対向基板12を、素子基板11の一面側に対向するように貼り合わせ、図10(c)に示すように、紫外線UVを照射、あるいは、熱処理することにより、画素アレイ111の外周領域の粘着材層42x、及び、画素アレイ111内の接着材層35xを硬化させる。これにより、素子基板11と対向基板12がフィラー41入り粘着材42及びフィラー34入り接着層35を介して、略均一なギャップ(間隙)で接着されるとともに、画素アレイ111の外周領域及び内部において強固に接着される。
【0054】
<第4の実施形態>
次に、本発明に係る表示装置に適用される表示パネルの第4の実施形態について説明する。ここで、上述した第1乃至第3の実施形態と同等の構成については説明を簡略化する。
図11は、第4の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成を示す概略断面図である。図11は、図2(a)と同様に、図1に示した表示パネルにおけるIIA−IIA線に沿った断面を示す図である。なお、上述した第1乃至第3の実施形態と同等の構成については同一の符号を付して示す。
【0055】
上述した第1乃至第3の実施形態においては、表示パネル110を構成する素子基板11と対向基板12とのギャップを均一化するとともに、素子基板11と対向基板12を強固に接着するため手段として、光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂材料を有する接着層31、又は、接着層35を適用したパネル構造について説明した。第4の実施形態においては、トップエミッション型の発光構造を有する表示パネル110の接着部30が遮光性を有していることを特徴とする。
【0056】
本実施形態に係る表示パネル110は、例えば図11に示すように、接着部30において素子基板11と対向基板12を接着するための手段として、接着層31、又は、接着層35に替えて、光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂材料からなり、接着性を有し、かつ、遮光性を有する接着層36を適用したパネル構造を有する。ここで、接着層36は、例えば、上述した第1の実施形態に示したような接着層31の樹脂材料に不透明な色素を添加することにより形成することができる。本実施形態においては、接着部30の接着層36が遮光性を有していることにより、トップエミッション型の発光構造を有する表示パネルにおいて、外光の反射に起因する表示画像の視認性の劣化を抑制して、良好な画質の表示装置を実現することができる。
【0057】
次に、上述した各実施形態に示した表示パネルが適用される表示装置と画素の具体例について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す表示装置は、アクティブマトリクス駆動方式に対応した構成を有する場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えばパッシブマトリクス駆動方式等、他の駆動方式に対応した表示装置に適用されるものであってもよい。
【0058】
<表示装置への適用例と画素の具体例>
次に、上述した各実施形態に示した表示パネル(発光パネル)が適用される表示装置(発光装置)と画素の具体例について、図面を参照して説明する。
(第1の適用例)
図12は、本発明に係る表示パネル(発光パネル)を適用した表示装置の第1の具体例を示す概略構成図である。図12(a)は、本適用例に係る表示装置を示す概略ブロック図であり、図12(b)は、本適用例に係る表示装置に適用される画素の等価回路図である。なお、ここでは、上述した各実施形態に示した各図(図1〜図11)を適宜参照しながら説明する。
【0059】
図12(a)に示すように、第1の適用例に係る表示装置(発光装置)100は、概略、上述した各実施形態に示した表示パネル(発光パネル)110と、表示パネル110に配列された各画素PIXを選択状態に設定するための選択ドライバ(選択駆動回路)120と、各画素PIXに画像データに応じた階調信号を供給するためのデータドライバ(信号駆動回路)130と、システムコントローラ140と、を備えている。
【0060】
本適用例に係る表示パネル110に配列される画素PIXは、例えば図12(b)に示すように、発光駆動回路DCと、電流駆動型の発光素子である有機EL素子OELと、を備えている。発光駆動回路DCは、画像データに応じた電流値の発光駆動電流を生成して、有機EL素子OELに供給する。有機EL素子OELは、発光駆動回路DCから供給される発光駆動電流に基づいて、画像データに応じた輝度階調で発光する。
【0061】
発光駆動回路DCは、例えば図12(b)に示すように、トランジスタ(スイッチング素子)Tr11、Tr12とキャパシタCsとを備えている。トランジスタTr11は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ドレイン端子がデータラインLdに接続され、ソース端子が接点N11に接続されている。トランジスタTr12は、ゲート端子が接点N11に接続され、ドレイン端子が高電位の電源電圧Vsaに接続され、ソース端子が接点N12に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート端子(接点N11)及びソース端子(接点N12)間に接続されている。
【0062】
また、有機EL素子(表示素子)OELは、アノード(アノード電極;上述した画素電極21)が上記発光駆動回路DCの接点N12に接続され、カソード(カソード電極;上述した対向電極23)が所定の低電位電源(基準電圧Vsc;例えば接地電位Vgnd)に接続されている。
【0063】
ここでは、トランジスタTr11、Tr12はいずれも、nチャネル型の薄膜トランジスタを適用することができる。なお、トランジスタTr11、Tr12がpチャネル型であれば、ソース端子及びドレイン端子が互いに逆になる。また、キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート、ソース間に形成される寄生容量、又は、該ゲート、ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくは、これらの寄生容量と補助容量からなる容量成分である。
【0064】
画素PIXに接続される選択ラインLsは、例えば表示パネル110の行方向(図12(a)の左右方向)に配設されて、選択ドライバ120に接続されている。そして、選択ラインLsには、選択ドライバ120から選択レベル又は非選択レベルの選択電圧(選択信号)Vselが印加される。また、画素PIXに接続されるデータラインLdは、例えば表示パネル110の列方向(図12(a)の上下方向)に配設されて、データドライバ130に接続されている。データラインLdには、データドライバ130から画像データに応じた階調電圧(階調信号)Vdataが印加される。
【0065】
システムコントローラ140は、表示装置100の外部から供給される画像データに基づいて、輝度階調データを含むデジタルデータからなる表示データを生成してデータドライバ130に供給する。また、コントローラ140は、画像データに基づいて生成又は抽出されるタイミング信号に基づいて、選択ドライバ120及びデータドライバ130の動作状態を制御して、表示パネル110における所定の画像表示動作を実行するための選択制御信号及びデータ制御信号を生成して出力する。
【0066】
これにより、選択ドライバ120は、選択制御信号に基づいて、各行の選択ラインLsに所定のタイミングで選択レベルの選択電圧Vselを印加することにより、各行の画素PIXを選択状態に設定する。データドライバ130は、データ制御信号に基づいて、画像データに応じた階調電圧Vdataを生成して、各データラインLdを介して、選択状態に設定された画素PIXに供給する。
【0067】
そして、このような回路構成を有する画素PIXを備えた表示装置における表示駆動動作を簡単に説明すると、まず、所定の選択期間に、選択ドライバ120から選択ラインLsに対して、選択レベル(ハイレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、トランジスタTr11をオン動作させて、画素PIXを選択状態に設定する。このタイミングに同期して、データドライバ130から画像データに応じた電圧値の階調電圧VdataをデータラインLdに印加することにより、トランジスタTr11を介して接点N11に、階調電圧Vdataに応じた電位が印加される。
【0068】
これにより、トランジスタTr12が階調電圧Vdataに応じた導通状態でオン動作して、ドレイン、ソース間に所定の電流値の発光駆動電流が流れ、有機EL素子OELは、階調電圧Vdata(すなわち画像データ)に応じた輝度階調で発光する。このとき、トランジスタTr12のゲート、ソース間に接続されたキャパシタCsには、接点N11に印加された階調電圧Vdataに基づいて電荷が蓄積(充電)される。
【0069】
次いで、上記選択期間終了後の非選択期間において、選択ドライバ120から選択ラインLsに対して、非選択レベル(ローレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、トランジスタTr11をオフ動作させて、画素PIXを非選択状態に設定する。このとき、上記キャパシタCsに蓄積された電荷(すなわち、ゲート、ソース間の電位差)が保持されて、トランジスタTr12のゲート端子に階調電圧Vdataに相当する電圧が印加される。したがって、トランジスタTr12のドレイン、ソース間に上記の発光動作状態(選択期間)と同等の電流値の発光駆動電流が流れて、有機EL素子OELは発光状態を継続する。そして、このような表示駆動動作を、表示パネル110に二次元配列された全ての画素PIXについて、例えば各行ごとに順次実行することにより、所望の画像情報が表示される。
【0070】
次に、上述したような回路構成を有する画素(発光駆動回路及び有機EL素子)の具体的なデバイス構造(平面レイアウト及び断面構造)について説明する。ここでは、上述した実施形態と同様に、表示パネル110がトップエミッション型の発光構造を有する場合について示すが、ボトムエミッション型の発光構造を有するものであってもよい。
【0071】
図13は、本適用例に係る画素の一例を示す平面レイアウト図である。ここでは、図12(b)に示した発光駆動回路DCの各トランジスタ及び配線等が形成された層を主に示し、各トランジスタの電極及び各配線層を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。ここで、同じハッチングを施した電極及び配線層は同層に設けられている。また、図14は、本適用例に係る画素の要部断面図である。ここでは、図14は、図13に示した平面レイアウトを有する画素におけるXIVB−XIVB線(本明細書においては図13中に示したローマ数字の「14」に対応する記号として便宜的に「XIV」を用いる。)に沿った断面を示す。
【0072】
図12(b)に示した画素PIXは、具体的には、図13、図14に示すように、ガラス等の絶縁性の素子基板11の一面側(図14の上面側)に設定された画素形成領域Rpxごとに設けられている。この画素形成領域Rpxには、少なくとも、有機EL素子OELの形成領域(EL素子形成領域)Relと、隣接する画素PIXとの間の境界領域と、が設定されている。
【0073】
図13に示した画素PIXにおいて、画素形成領域Rpxの図面上方及び下方の縁辺領域には、各々、行方向(図面左右方向)に延在するように選択ラインLs及び電源ラインLaが配設されている。一方、画素形成領域Rpxの図面右方側の領域には、選択ラインLs及び電源ラインLaに直交して、列方向(図面上下方向)に延在するようにデータラインLdが配設されている。
【0074】
また、図13に示した表示パネル110においては、画素形成領域Rpx内のEL素子形成領域Relに開口部が設けられた隔壁25が設けられている。すなわち、素子基板11上に、行方向(図面左右方向)及び列方向(図面上下方向)に隣接して配列される各画素PIX間の境界領域には、図13、図14に示すように、素子基板11表面から突出する格子状の隔壁25が設けられている。そして、この隔壁25により囲まれ、かつ、画素電極21が露出した領域(すなわち、上記開口部)がEL素子形成領域Relとして画定されている。
【0075】
選択ラインLsは、例えば図13、図14に示すように、データラインLd及び電源ラインLaよりも下層側(素子基板11側)に設けられている。選択ラインLsは、トランジスタTr11、トランジスタTr12のゲート電極Tr11g、Tr12gと同層に設けられている。ここで、選択ラインLsは、図13に示すように、トランジスタTr11のゲート電極Tr11gと一体的に形成されている。
【0076】
また、データラインLdは、例えば図13、図14に示すように、電源ラインLaよりも下層側(素子基板11側)に設けられている。データラインLdは、トランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと同層に設けられている。ここで、データラインLdは、図13に示すように、トランジスタTr11のドレイン電極Tr11dと一体的に形成されている。
【0077】
また、電源ラインLaは、例えば図13、図14に示すように、後述するトランジスタTr11、Tr12及び選択ラインLs、データラインLdを被覆する絶縁膜24上に設けられている。電源ラインLaは、図13に示すように、下層の絶縁膜24に設けられたコンタクトホールHL12を介して、トランジスタTr12のドレイン電極Tr11dに直接接続されている。
【0078】
また、図13に示した画素PIXにおいては、発光駆動回路DCに設けられるトランジスタTr11、Tr12が、例えば、データラインLdに沿って列方向(図面上下方向)に延在するように配置されている。具体的には、トランジスタTr11、Tr12のチャネルの幅方向が、データラインLdに平行に延在するように設定されている。また、トランジスタTr11、Tr12は、いずれも図14に示すような電界効果型の薄膜トランジスタ構造を有している。なお、以下のトランジスタTr11についての説明では、図示の都合上、図14に示したトランジスタTr12の断面構造を参照しながら説明するものとする。
【0079】
トランジスタTr11、Tr12は、図13、図14に示すように、素子基板11上に形成されたゲート電極Tr11g、Tr12gを被覆するようにゲート絶縁膜13が設けられ、該ゲート絶縁膜13上の、ゲート電極Tr11g、Tr12gに対応する領域に半導体層SMC(図13では省略)が設けられている。また、半導体層SMCに形成されるチャネル領域上にはチャネル保護層BLが設けられ、当該チャネル保護層BLを挟んで対向するようにソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dが設けられている。ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと半導体層SMCとの間には不純物層OHMが設けられ、これにより、半導体層SMCとソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dが各々オーミック接続している。
【0080】
そして、図12(b)に示した発光駆動回路DCの回路構成に対応するように、トランジスタTr11は、図13に示すように、ゲート電極Tr11gが選択ラインLsと一体的に形成されている。また、ドレイン電極Tr11dは、図13に示すように、データラインLdと一体的に形成されている。また、ソース電極Tr11sは、図13に示すように、ゲート絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL11を介して、トランジスタTr12のゲート電極Tr12gに接続されている。ここで、コンタクトホールHL11は、図12(b)に示した発光駆動回路DCの接点N11に対応する。
【0081】
また、トランジスタTr12は、図13に示すように、ゲート電極Tr12gがゲート絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL11を介して、トランジスタTr11のソース電極Tr11sに接続されている。また、ドレイン電極Tr12dは、図13に示すように、絶縁膜24に設けられたコンタクトホールHL12を介して、電源ラインLaに接続されている。また、ソース電極Tr12sは、図13、図14に示すように、有機EL素子OELの画素電極21と一体的に形成されている。
【0082】
有機EL素子OELは、図13、図14に示すように、上記画素電極(アノード電極)21と、有機EL層(発光機能層)22と、対向電極(カソード電極)23と、を順次積層した素子構造を有している。ここで、有機EL素子OELがトップエミッション型の発光構造を有している場合には、例えば画素電極21は、アルミニウム単体やアルミニウム合金等の光反射率の高い電極材料を含んで形成されている。また、対向電極23は、錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の透光性(高い光透過率)を有する透明な電極材料により形成されている。
【0083】
画素電極21は、図13、図14に示すように、トランジスタTr12のソース電極Tr12sと一体的に形成されている。有機EL層22は、図13、図14に示すように、素子基板11上に突出して形成された隔壁25に設けられた開口部により画定されるEL素子形成領域Relに露出する画素電極21上に形成される。
【0084】
対向電極23は、素子基板11上に二次元配列された各画素PIXの画素電極21に対して、共通に対向するように、単一の電極層(べた電極)により形成されている。また、対向電極23は、図13、図14に示すように、各画素PIXのEL素子形成領域Relだけでなく、当該EL素子形成領域Relを画定する隔壁25上にも延在するように設けられている。さらに、対向電極23は、図示を省略したコンタクト部や引き出し配線を介して、低電位電源(基準電圧Vsc)に接続されている。
【0085】
隔壁25は、例えば図13、図14に示すように、素子基板11上に配列された画素PIX相互の境界領域に形成された絶縁膜24、及び、当該絶縁膜24上の電源ラインLaを被覆する保護絶縁膜(図示を省略)を被覆するように、素子基板11の表面から突出するように設けられている。隔壁25には、上記有機EL素子OELの画素電極21が露出する開口部が設けられている。ここで、隔壁25は、上述した各実施形態に示したように、例えば感光性の絶縁材料であるポリイミド系の樹脂材料により形成される。
【0086】
そして、上述した発光駆動回路DC、有機EL素子OEL及び隔壁25が形成された素子基板11の一面側には、ガラス等からなる透明な対向基板12が素子基板11と所定の間隙を有するように貼り合わされて封止されている。
【0087】
このようなデバイス構造を有する画素PIXにおいて、本適用例においては、図13、図14に示すように、各画素PIX間に設けられる隔壁25上の任意の位置Psetに、画素アレイ111内の素子基板11側と対向基板12側を接着するための接着部30が設けられている。ここで、接着部30は、上述した各実施形態に示した、接着層31や、フィラー34入り接着層35又は遮光性を有する接着層36の何れかにより構成されている。また、接着部30が配置される位置Psetは、隔壁25上であれば特に限定するものではないが、上述した各実施形態に示したように、表示パネル110に外部から印加される押圧力等による薄膜トランジスタの素子破損や素子特性の変動、有機層や配線層、層間絶縁膜の剥離、配線間ショート、封止破損等を防止、抑制する観点を加味すると、極力、下層にトランジスタや、配線相互の交差、電極の重なり等がない領域(例えば図13、図14の位置Pset)の隔壁25上に1乃至数カ所配置することが望ましい。また、本適用例においては、図13に示す位置Psetに配置される接着部30の平面パターンについても特に限定するものではないが、例えば方形や円形を有するものであってもよいし、隔壁25の平面パターンに沿って、図面上下方向や左右方向に延在する直線状の平面パターンを有するものであってもよい。
【0088】
なお、本適用例においては、図13、図14に示したように、表示パネル110の画素アレイ111内の1画素のみに注目して説明したが、画素アレイ111内の全ての画素PIXの画素形成領域Rpxごとに、接着部30を1乃至数カ所設けるものであってもよいし、数画素PIXからなる領域ごとに1乃至数カ所設けるものであってもよいし、表示パネル110のパネルサイズによっては、画素アレイ111全体に1乃至数カ所のみ設けるものであってもよい。
【0089】
これにより、上述した各実施形態に示したように、表示パネル110に押圧力が加えられたり、歪みが生じたりした場合等であっても、対向基板12が素子基板11の画素アレイ111に直接接触することを回避することができる。また、表示パネル110に押圧力が加えられたり、歪みが生じたりした場合であっても、素子基板11と対向基板12が樹脂材料等からなる隔壁25及び接着部30を介して接着されているので、素子基板11上の画素アレイ111(各画素PIX)内における歪みを抑制することができる。したがって、有機EL素子OELやトランジスタTr11、Tr12、キャパシタCs、各配線等における破損や特性劣化、封止破損の発生を防止又は抑制することができ、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0090】
また、本適用例によれば、トップエミッション型の発光構造を有する表示パネル110(有機EL素子OEL)において、上述したような押圧力や歪みにより素子基板11と対向基板12間の距離(基板間ギャップ)が不均一になる現象を抑制することができるので、有機EL素子OELからの出射光の経路が均一化されて画像のにじみやぼけの発生を抑制して、良好な画質を実現することができる。
【0091】
また、トップエミッション型の発光構造を有する表示パネル110(有機EL素子OEL)において、遮光性を有する接着層36による接着部30を、画素アレイ111の各画素PIX間の境界領域に設けられる隔壁25の平面パターンに対応して、格子状やストライプ状の平面パターンを有するように設けることにより、当該接着部30を、隔壁25の下層に設けられるトランジスタTr11、Tr12や各配線による外光の反射を抑制するためのブラックマトリクスとして機能させることができる。したがって、外光の反射に起因する表示画像の視認性の劣化を抑制して、良好な画質の表示装置を実現することができる。
【0092】
(第2の適用例)
図15は、本発明に係る表示パネルを適用した表示装置の第2の具体例を示す概略構成図である。図15(a)は、本適用例に係る表示装置を示す概略ブロック図であり、図15(b)は、本適用例に係る表示装置に適用される画素の等価回路図である。ここで、上述した第1の適用例と同等の構成については、同一又は同等の符号を付してその説明を簡略化する。
【0093】
図15(a)に示すように、第2の適用例に係る表示装置100は、概略、上述した各実施形態に示した表示パネル(発光パネル)110と、選択ドライバ120と、データドライバ130と、システムコントローラ140と、電源ドライバ150と、を備えている。すなわち、本適用例に示す表示装置100は、第1の適用例に示した表示装置100に、電源ドライバ150を付加した構成を有している。
【0094】
本適用例に係る表示パネル110に配列される画素PIXは、例えば図15(b)に示すように、上述した第1の適用例と同様に、発光駆動回路DCと、有機EL素子OELと、を備えている。発光駆動回路DCは、例えば図15(b)に示すように、トランジスタTr21〜Tr23とキャパシタCsとを備えている。トランジスタTr21は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ドレイン端子が電源ラインLaに接続され、ソース端子が接点N21に接続されている。トランジスタTr22は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ソース端子がデータラインLdに接続され、ドレイン端子が接点N22に接続されている。トランジスタTr23は、ゲート端子が接点N21に接続され、ドレイン端子が電源ラインLaに接続され、ソース端子が接点N22に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr23のゲート端子(接点N21)及びソース端子(接点N22)に接続されている。
【0095】
また、有機EL素子OELは、アノード(アノード電極;画素電極21)が上記発光駆動回路DCの接点N22に接続され、カソード(カソード電極;対向電極23)が所定の低電位電源(基準電圧Vsc;例えば接地電位Vgnd)に接続されている。
【0096】
ここで、本適用例においても、トランジスタTr21〜Tr23はいずれも、nチャネル型の薄膜トランジスタを適用することができる。また、キャパシタCsは、トランジスタTr23のゲート、ソース間に形成される寄生容量、又は、該ゲート、ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくは、これらの寄生容量と補助容量からなる容量成分である。
【0097】
画素PIXに接続される電源ラインLaは、例えば表示パネル110の行方向(図15(a)の左右方向)に配設されて、電源ドライバ150に接続されている。電源ドライバ150は、コントローラ140から供給される電源制御信号に基づいて、所定のタイミングで電源ラインLaに発光レベル又は非発光レベルの電源電圧Vsaを印加する。
【0098】
そして、このような回路構成を有する画素PIXを備えた表示装置における表示駆動動作を簡単に説明すると、まず、選択期間に、選択ドライバ120から選択ラインLsに対して、選択レベル(ハイレベル)の選択電圧Vselを印加するとともに、電源ドライバ150から電源ラインLaに非発光レベル(基準電圧Vsc以下の電圧レベル;例えば負電圧)の電源電圧Vsaを印加することにより、トランジスタTr21、Tr22をオン動作させて、画素PIXを選択状態に設定する。このタイミングに同期して、データドライバ130から画像データに応じた負の電圧値の階調電圧VdataをデータラインLdに印加することにより、トランジスタTr22を介して接点N22に、階調電圧Vdataに応じた電位が印加される。
【0099】
これにより、トランジスタTr23がオン動作して、トランジスタTr23のゲート、ソース間に生じた電位差に応じた書込電流が、電源ラインLaからトランジスタTr23、接点N22、トランジスタTr22を介してデータラインLd方向に流れる。このとき、トランジスタTr23のゲート、ソース間に接続されたキャパシタCsには、接点N21及びN22間に生じた電位差に応じた電荷が蓄積される。
【0100】
ここで、電源ラインLaには、基準電圧Vsc以下の電源電圧Vsaが印加され、さらに、書込電流が画素PIXからデータラインLd方向に引き抜くように設定されている。これにより、有機EL素子OELのアノード(接点N22)に印加される電位は、カソードの電位(基準電圧Vsc)よりも低くなるため、有機EL素子OELには電流が流れず、有機EL素子OELは発光しない(非発光動作)。そして、このような書込動作を、表示パネル110に二次元配列された全ての画素PIXについて、各行ごとに順次実行する。
【0101】
次いで、上記選択期間終了後の非選択期間において、選択ドライバ120から選択ラインLsに対して、非選択レベル(ローレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、トランジスタTr21、Tr22をオフ動作させて、画素PIXを非選択状態に設定する。このとき、上記キャパシタCsに蓄積された電荷(すなわち、ゲート、ソース間の電位差)が保持されるので、トランジスタTr23はオン状態を維持する。そして、電源ドライバ150から電源ラインLaに発光レベル(基準電圧Vscよりも高い電圧レベル)の電源電圧Vsaを印加することにより、電源ラインLaからトランジスタTr23、接点N22を介して、有機EL素子OELに所定の発光駆動電流が流れる。
【0102】
ここで、キャパシタCsに蓄積される電荷(電圧成分)は、トランジスタTr23において階調電圧Vdataに対応する書込電流を流す場合の電位差に相当するので、有機EL素子OELに流れる発光駆動電流は、当該書込電流と略同等の電流値となる。これにより、各画素PIXの有機EL素子OELは、書込動作時に書き込まれた画像データ(階調電圧Vdata)に応じた輝度階調で発光し、表示パネル110に所望の画像情報が表示される。
【0103】
次に、上述したような回路構成を有する画素(発光駆動回路及び有機EL素子)の具体的なデバイス構造(平面レイアウト及び断面構造)について説明する。ここでも、上述した実施形態と同様に、表示パネル110がトップエミッション型の発光構造を有する場合について示すが、ボトムエミッション型の発光構造を有するものであってもよい。
【0104】
図16は、本適用例に係る画素の一例を示す平面レイアウト図である。ここでは、図15(b)に示した発光駆動回路DCの各トランジスタ及び配線等が形成された層を主に示し、各トランジスタの電極及び各配線層を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。ここで、同じハッチングを施した電極及び配線層は同層に設けられている。また、図17は、本適用例に係る画素の要部断面図である。ここでは、図17は、図16に示した平面レイアウトを有する画素におけるXVIIC−XVIIC線(本明細書においては図16中に示したローマ数字の「17」に対応する記号として便宜的に「XVII」を用いる。)に沿った断面を示す。なお、図16、図17において、上述した第1の適用例と同等の構成については、同一又は同等の符号を付してその説明を簡略化する。
【0105】
図16に示した画素PIXにおいて、画素形成領域Rpxの図面上方及び下方の縁辺領域には、各々、行方向(図面左右方向)に延在するように選択ラインLs及び電源ラインLaが配設されている。一方、画素形成領域Rpxの図面左方及び図面右方の領域には、各々、上記電源ラインLa及び選択ラインLsに直交して、列方向(図面上下方向)に延在するようにデータラインLd及び補助電源ラインLayが配設されている。
【0106】
また、図16に示した表示パネル110においては、例えば図17に示すように、画素形成領域Rpx内のEL素子形成領域Relに開口部が設けられた隔壁25が設けられている。すなわち、本適用例においても、素子基板11上の画素アレイ111に隣接して配列される各画素PIX間の境界領域には、図16、図17に示すように、素子基板11表面から突出する格子状の隔壁25が設けられている。そして、この隔壁25により囲まれ、かつ、画素電極21が露出した領域(すなわち、上記開口部)がEL素子形成領域Relとして画定されている。
【0107】
データラインLdは、例えば図16、図17に示すように、選択ラインLs及び電源ラインLa、補助電源ラインLayよりも下層側(素子基板11側)に設けられている。データラインLdは、トランジスタTr21〜Tr23のゲート電極Tr21g〜Tr23gと同層に設けられている。また、データラインLdは、図16に示すように、上層のゲート絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL24を介して、トランジスタTr22のソース電極Tr22sに直接接続されている。
【0108】
また、選択ラインLs及び電源ラインLaは、例えば図16、図17に示すように、相互に同層に設けられ、かつ、トランジスタTr21〜Tr23及びデータラインLd、補助電源ラインLayを被覆する絶縁膜24上に設けられている。選択ラインLsは、図16に示すように、下層の絶縁膜24及びゲート絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL22を介して、トランジスタTr21、Tr22のゲート電極Tr21g、Tr22gに直接接続されている。また、電源ラインLaは、例えば図16、図17に示すように、下層の絶縁膜24に設けられたコンタクトホールHL23を介して、補助電源ラインLayに直接接続されている。
【0109】
補助電源ラインLayは、例えば図16、図17に示すように、トランジスタTr21〜Tr23のソース電極Tr21s〜Tr23s及びドレイン電極Tr21d〜Tr23dと同層に設けられている。ここで、補助電源ラインLayは、図16に示すように、トランジスタTr21、Tr23のドレイン電極Tr21d、Tr23dと一体的に形成されている。
【0110】
また、図16に示した画素PIXにおいては、発光駆動回路DCに設けられるトランジスタTr22が、例えば、データラインLdに沿って列方向(図面上下方向)に延在するように配置されている。また、トランジスタTr21、Tr23が、例えば、補助電源ラインLayに沿って列方向に延在するように配置されている。
【0111】
トランジスタTr21〜Tr23は、図16、図17に示すように、素子基板11上に形成されたゲート電極Tr21g〜Tr23gを被覆するようにゲート絶縁膜13が設けられ、該ゲート絶縁膜13上の、ゲート電極Tr21g〜Tr23gに対応する領域に半導体層SMC(図16では省略)が設けられている。また、半導体層SMCに形成されるチャネル領域上にはチャネル保護層BLが設けられ、当該チャネル保護層BLを挟んで対向するようにソース電極Tr21s〜Tr23s及びドレイン電極Tr21d〜Tr23dが設けられている。ソース電極Tr21s〜Tr23s及びドレイン電極Tr21d〜Tr23dと半導体層SMCとの間には不純物層OHM(図示を省略)が設けられている。
【0112】
そして、図15(b)に示した発光駆動回路DCの回路構成に対応するように、トランジスタTr21は、図16に示すように、ゲート電極Tr21gがトランジスタTr22のゲート電極Tr22gと一体的に形成されている。また、ゲート電極Tr21gは、ゲート絶縁膜13及び絶縁膜24に設けられたコンタクトホールHL22を介して、選択ラインLsに接続されている。また、ドレイン電極Tr21dは、図16に示すように、補助電源ラインLayと一体的に形成されている。また、ソース電極Tr21sは、図16に示すように、ゲート絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL21を介して、トランジスタTr23のゲート電極Tr23g及びキャパシタCsの下部電極Ecaに接続されている。ここで、コンタクトホールHL21は、図15(b)に示した発光駆動回路DCの接点N21に対応する。
【0113】
また、トランジスタTr22は、図16に示すように、ゲート電極Tr22gがトランジスタTr21のゲート電極Tr21gと一体的に形成されている。また、ゲート電極Tr22gは、ゲート絶縁膜13及び絶縁膜24に設けられたコンタクトホールHL22を介して、選択ラインLsに接続されている。また、ドレイン電極Tr22dは、図16に示すように、キャパシタCsの上部電極Ecbを兼ねる画素電極21に接続されている。また、ソース電極Tr22sは、図16に示すように、ゲート絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL24を介して、データラインLdに接続されている。
【0114】
また、トランジスタTr23は、図16、図17に示すように、ゲート電極Tr23gがゲート絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL22を介して、トランジスタTr21のソース電極Tr21sに接続されている。また、ゲート電極Tr23gは、キャパシタCsの下部電極Ecaに接続されている。また、ドレイン電極Tr23dは、図16、図17に示すように、補助電源ラインLayと一体的に形成されている。また、ソース電極Tr23sは、図16、図17に示すように、キャパシタCsの上部電極Ecbを兼ねる画素電極21に接続されている。
【0115】
キャパシタCsは、図16、図17に示すように、素子基板11上に設けられた下部電極Ecaと、該下部電極Ecaに対向し、アルミニウム等の光反射率が高い金属膜からなる上部電極Ecbと、下部電極Eca及び上部電極Ecb間に介在するゲート絶縁膜13と、を有している。ここで、ゲート絶縁膜13は、キャパシタCsの誘電体層として兼用されている。また、上部電極Ecbは、有機EL素子OELの画素電極21として兼用されている。すなわち、キャパシタCsは、有機EL素子OELの下層側(素子基板11側)に設けられている。そして、下部電極Ecaは、図16、図17に示すように、トランジスタTr21のソース電極Tr21s及びトランジスタTr23のゲート電極Tr23gに接続されている。また、上部電極Ecbとして兼用される画素電極21は、図16、図17に示すように、トランジスタTr22のドレイン電極Tr22d及びトランジスタTr23のソース電極Tr23sと一体的に形成されている。ここで、画素電極21とドレイン電極Tr22d及びソース電極Tr23sとの接続部は、図15(b)に示した発光駆動回路DCの接点N22に対応する。
【0116】
有機EL素子OELは、上述した第1の適用例と同様に、図16、図17に示すように、トランジスタTr22のドレイン電極Tr22d及びトランジスタTr23のソース電極Tr12sに接続された画素電極(アノード電極)21と、有機EL層(発光機能層)22と、対向電極(カソード電極)23と、を順次積層した素子構造を有している。
【0117】
また、隔壁25は、上述した第1の適用例と同様に、図16、図17に示すように、素子基板11上に配列された画素PIX相互の境界領域に形成された絶縁膜24及び保護絶縁膜(図示を省略)を被覆するように、素子基板11表面から突出するように設けられている。隔壁25は、上記有機EL素子OELの画素電極21が露出する開口部を有するように格子状の平面パターンを有している。ここで、隔壁25は、上述した各実施形態に示したように、例えば感光性の絶縁材料であるポリイミド系の樹脂材料により形成される。
【0118】
そして、上述した発光駆動回路DC、有機EL素子OEL及び隔壁25が形成された素子基板11の一面側には、対向基板12が素子基板11と所定の間隙を有するように貼り合わされて封止されている。
【0119】
このようなデバイス構造を有する画素PIXにおいて、上述した第1の適用例と同様に、図16、図17に示すように、各画素PIX間に設けられる隔壁25上の任意の位置Psetに、画素アレイ111内の素子基板11側と対向基板12側を接着するための、1乃至複数の接着部30が設けられている。ここで、接着部30は、上述した各実施形態に示した、接着層31や、フィラー34入り接着層35又は遮光性を有する接着層36の何れかにより構成されている。また、接着部30が配置される位置Psetは、隔壁25上であれば特に限定するものではないが、下層にトランジスタや、配線相互の交差、電極の重なり等がない領域(例えば図16、図17の位置Pset)の隔壁25上に配置することが望ましい。また、本適用例においては、図16に示す位置Psetに配置される接着部30の平面パターンについても特に限定するものではないが、例えば方形や円形を有するものであってもよいし、隔壁25の平面パターンに沿って、図面上下方向や左右方向に延在する直線上の平面パターンを有するものであってもよい。
【0120】
これにより、上述した各実施形態に示したように、表示パネル110に押圧力が加えられたり、歪みが生じたりした場合等であっても、対向基板12が素子基板11の画素アレイ111に直接接触することを回避することができるとともに、画素アレイ111(各画素PIX)内における歪みを抑制することができる。したがって、有機EL素子OELやトランジスタTr11、Tr12、Tr21〜Tr23、キャパシタCs、各配線等における破損や特性劣化、封止破損の発生を防止又は抑制することができ、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0121】
また、本適用例によれば、上述したような押圧力が加えられたり、歪みが生じたりした場合であっても、素子基板11と対向基板12間の距離(基板間ギャップ)を均一化することができるので、トップエミッション型の発光構造を有する表示パネル110において、有機EL素子OELからの出射光の経路が均一化されて画像のにじみやぼけの発生を抑制して、良好な画質を実現することができる。
【0122】
また、各画素PIX間の境界領域に設けられる隔壁25の平面パターンに対応して、格子状やストライプ状の平面パターンを有するように、遮光性を有する接着部30をブラックマトリクスとして設けることにより、隔壁25の下層に設けられるトランジスタTr11、Tr12、Tr21〜Tr23や各配線による外光の反射を抑制することができるので、トップエミッション型の発光構造を有する表示パネル110(有機EL素子OEL)において、外光の反射に起因する表示画像の視認性の劣化を抑制して、良好な画質の表示装置を実現することができる。また、トランジスタTr11、Tr12、Tr21〜Tr23の薄膜トランジスタがボトムゲート構造を有し、表示パネル110がトップエミッション型の発光構造を有している場合に、各薄膜トランジスタの半導体層への外光の入射を抑制して、薄膜トランジスタの特性を安定させ誤動作が発生しないようにすることができる。
【0123】
<電子機器の適用例>
次に、上述した各実施形態に係る表示装置を適用した電子機器について図面を参照して説明する。
【0124】
上述した各実施形態に示したパネル構造を有する表示パネル110を備える表示装置100は、例えばデジタルカメラや薄型テレビジョン、パーソナルコンピュータ、携帯電話機等、種々の電子機器の表示デバイスとして良好に適用できるものである。
【0125】
図18は、本発明に係る発光装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図であり、図19は、本発明に係る発光装置を適用した薄型テレビジョンの構成例を示す斜視図であり、図20は、本発明に係る発光装置を適用したパーソナルコンピュータの構成例を示す斜視図であり、図21は、本発明に係る発光装置を適用した携帯電話機の構成例を示す図である。
【0126】
図18において、デジタルカメラ210は、大別して、本体部211と、レンズ部212と、操作部213と、上述した各実施形態に示した表示パネル110を備える表示装置100を適用した表示部214と、シャッターボタン215とを備えている。これによれば、表示部214における画素アレイ(発光素子)や駆動回路等の破損や特性劣化を防止又は抑制することができ、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。また、表示部214を構成する基板間のギャップ(間隙)を均一化することができ、表示画質を向上させることができる。
【0127】
また、図19において、薄型テレビジョン220は、大別して、本体部221と、上述した各実施形態に示した表示パネル110を備える表示装置100を適用した表示部222と、操作用コントローラ(リモコン)223と、を備えている。これによれば、表示部222における画素アレイ(発光素子)や駆動回路等の破損や特性劣化を防止又は抑制することができ、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。また、表示部222を構成する基板間のギャップ(間隙)を均一化することができ、表示画質を向上させることができる。
【0128】
また、図20において、パーソナルコンピュータ230は、大別して、本体部231と、キーボード232と、上述した各実施形態に示した表示パネル110を備える表示装置100を適用した表示部233とを備えている。この場合においても、表示部233における画素アレイ(発光素子)や駆動回路等の破損や特性劣化を防止又は抑制することができ、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。また、表示部233を構成する基板間のギャップ(間隙)を均一化することができ、表示画質を向上させることができる。
【0129】
また、図21において、携帯電話機240は、大別して、操作部241と、受話口242と、送話口243と、上述した各実施形態に示した表示パネル110を備える表示装置100を適用した表示部244とを備えている。この場合においても、表示部244における画素アレイ(発光素子)や駆動回路等の破損や特性劣化を防止又は抑制することができ、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。また、表示部244を構成する基板間のギャップ(間隙)を均一化することができ、表示画質を向上させることができる。
【0130】
なお、上述した各電子機器においては、本発明に係る発光パネルを、複数の画素が2次元配列された表示パネルとして適用した場合について詳しく説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る発光装置は、例えば発光素子を有する複数の画素が一方向に配列された発光素子アレイを備え、感光体ドラムに画像データに応じて発光素子アレイから出射した光を照射して露光する露光装置に適用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0131】
11 素子基板
12 対向基板
13 ゲート絶縁膜
21 画素電極
22 有機EL層
23 対向電極
24 絶縁膜
25 隔壁
30 接着部
31 接着層
34 フィラー
35 接着層
36 接着層
40 シール部
41 フィラー
42 粘着材
50 封止空間
100 表示装置
110 表示パネル
111 画素アレイ
PIX 画素
OEL 有機EL素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を有する少なくとも一つの画素と、前記画素の前記発光素子の形成領域を区画する隔壁と、が一面側に設けられた第1の基板と、
一面側が前記第1の基板の前記一面側に対向して設けられ、前記第1の基板の前記一面側を封止する第2の基板と、
前記第1の基板の前記隔壁上に互いに離間して設けられて、前記第1の基板の前記一面側と前記第2の基板の前記一面側とに接着される、絶縁性を有する複数の接着層と、
を備えていることを特徴とする発光パネル。
【請求項2】
前記発光素子は、発光層と、該発光層を介して互いに対向する一対の電極とを有し、該一対の電極のいずれか一方をなす電極層が前記隔壁上に延在して設けられ、
前記各接着層は、少なくとも前記隔壁上に延在する前記電極層の一部が除去された開口部に対応する領域に設けられていることを特徴とする請求項1記載の発光パネル。
【請求項3】
前記画素は、前記発光素子を発光駆動させるためのスイッチング素子と、前記発光素子を発光駆動させるための各種信号が印加される複数の配線と、を具備し、
前記スイッチング素子及び前記複数の配線の少なくとも一部は、前記隔壁の下層に設けられ、
前記各接着層は、前記隔壁上の、少なくとも前記スイッチング素子の形成領域、及び、前記複数の配線の交差領域に対応する領域以外の予め設定された領域に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光パネル。
【請求項4】
前記各接着層は、接着性を有して前記第1の基板の前記一面側と前記第2の基板の前記一面側とに接着される樹脂材料を所定の条件により硬化して形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発光パネル。
【請求項5】
前記樹脂材料は遮光性を有していることを特徴とする請求項4記載の発光パネル。
【請求項6】
第1の基板の一面側に、発光素子を有する少なくとも一つの画素と、該画素の前記発光素子の形成領域を区画する隔壁と、を形成する工程と、
前記第1の基板の前記一面側を封止するための第2基板を準備する工程と、
前記第1の基板の前記隔壁上の互いに離間した複数の領域又は前記隔壁上の複数の領域に対応する前記第2基板の一面側の複数の領域の何れか一方に、接着性を有する樹脂材料による接着材層を形成する工程と、
前記第1の基板の前記一面側に前記第2基板の前記一面側を対向させ、押圧力を印加して、前記各接着材層を介して、前記第1の基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせた状態で、前記各接着材層を所定の条件により硬化させて複数の接着層を形成し、該接着層を介して前記第1の基板の前記一面側と前記第2の基板の前記一面側とを接着する工程と、
を含むことを特徴とする発光パネルの製造方法。
【請求項7】
前記発光素子は、発光層と、該発光層を介して互いに対向する一対の電極と、を備え、
前記第1の基板の前記一面側に前記画素を形成する工程は、前記発光素子の前記一対の電極のいずれか一方をなす電極層を前記隔壁上に延在させて形成する工程と、前記隔壁上に延在する前記電極層の一部を除去した開口部を形成する工程と、を含み、
前記接着材層を形成する工程は、少なくとも前記開口部に対応する領域に前記接着材層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項6記載の発光パネルの製造方法。
【請求項8】
前記複数の接着材層を形成する工程は、
前記樹脂材料として不透明な色素が添加された遮光性を有する第2の樹脂材料を準備し、該第2の樹脂材料により前記接着材層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の発光パネルの製造方法。
【請求項9】
発光素子を有する少なくとも一つの画素と、該画素に接続された選択ライン及びデータラインと、前記画素の前記発光素子の形成領域を区画する隔壁と、が一面側に設けられた第1の基板と、一面側が前記第1の基板の前記一面側に対向して設けられ、前記第1の基板の前記一面側を封止する第2の基板と、前記第1の基板の前記隔壁上に互いに離間して設けられて、前記第1の基板の前記一面側と前記第2の基板の前記一面側とに接着される、絶縁性を有する複数の接着層と、を具備する発光パネルと、
前記各選択ラインを介して、前記画素を選択状態に設定するための選択信号を印加する選択駆動回路と、
前記各データラインを介して、前記選択状態に設定された前記画素に画像データに応じた階調信号を書き込む信号駆動回路と、
を備えていることを特徴とする発光装置。
【請求項10】
前記発光素子は、発光層と、該発光層を介して互いに対向する一対の電極とを有し、該一対の電極のいずれか一方をなす電極層が前記隔壁上に延在して設けられ、
前記各接着層は、前記隔壁上に延在する前記電極層の一部が除去された開口部内に対応する領域に設けられていることを特徴とする請求項9記載の発光装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の発光装置が実装されてなることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−59638(P2012−59638A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203678(P2010−203678)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】