発光パネル装置
【課題】 色ずれや二重映り等の画質の劣化を生じることなく、発光素子からの取り出し光量を増加させることができ、消費電力を低減でき、高輝度化を図ることができる発光パネル装置を得る。
【解決手段】 発光素子1と、発光素子1の上に配置され、発光素子1に向かって互いに近づき合う少なくとも2つの傾斜面2a及び2bまたは曲面を有する構造体2と、発光素子1と構造体2との間の隙間に充填される充填材層3とを備えることを特徴としている。
【解決手段】 発光素子1と、発光素子1の上に配置され、発光素子1に向かって互いに近づき合う少なくとも2つの傾斜面2a及び2bまたは曲面を有する構造体2と、発光素子1と構造体2との間の隙間に充填される充填材層3とを備えることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの発光素子からの取り出し光量を増加させることができる発光パネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光体の輝度を向上させる技術としては、発光材料自体の高輝度化や、光伝播経路でのロスの低減構造等が報告されている。例えば、非特許文献1及び非特許文献2においては、発光材料そのものの発光効率を制御することが報告されている。また、特許文献1及び特許文献2においては、発光体から出射された光が、大気中に伝播する経路における損失を最小限に抑えることに関する報告がなされている。
【0003】
しかしながら、例えば発光効率を向上させるためには、材料の基礎的な研究から量産に至るまでの費用と長い研究時間、さらには環境・人体に対する安全性等を明らかにする必要がある。また、伝播経路における光の損失を低減するには、材料の選択や作製技術の複雑化に伴う生産費用の上昇等の問題があり、簡便な技術による効果的な輝度の向上が求められている。
【0004】
特許文献3においては、発光体の表面に構造体を配置することにより、輝度を高めることが報告されている。この報告の具体例としては、代表的な平面表示装置である液晶表示装置(LCD)に用いられる輝度向上フィルムが挙げられる。この輝度向上フィルムの原理は、発光体の表面から任意の方向に出射された光を、特定の構造体を用いることにより、一定の方向に集光させるものである。しかしながら、この方法における問題として、輝度の向上とともに、色ずれや二重映り等の画質の劣化が生じることが挙げられる。この問題を解決するため、このフィルムを発光体であるバックライトとLCDとの間に配置することにより、LCDを透過する際にこれらの劣化の原因が排除され、結果としてLCDを透過した際の輝度が向上するとされている。
【0005】
特許文献4においては、発光体の正面に構造体を配置して輝度を向上させる方法が報告されている。しかしながら、この方法においても画質に同様の劣化が生じることが容易に推測される。
【0006】
また、特許文献5及び特許文献6においても、構造体を配置することにより輝度を向上させることが提案されているが、いずれも同様の画質の劣化を生じるものである。
【特許文献1】特開2004−146200号公報
【特許文献2】特開2000−148032号公報
【特許文献3】特表2003−518263号公報
【特許文献4】特開2001−76521号公報
【特許文献5】特開2001−148032号公報
【特許文献6】特開平9−101405号公報
【非特許文献1】Applied Physics letters,Vol.51,pp913-915,1987
【非特許文献2】Applied Physics letters,Vol.75,pp4-6,1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、色ずれや二重映り等の画質の劣化を生じることなく、発光素子からの取り出し光量を増加させることができ、低消費電力または高輝度化を図ることができる発光パネル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、発光素子と、該発光素子の上に配置され、発光素子に向かって互いに近づき合う少なくとも2つの傾斜面または曲面を有する構造体と、発光素子と構造体との間の隙間に充填される充填材層とを備える発光パネル装置である。
【0009】
本発明の発光パネル装置においては、発光素子に向かって互いに近づき合う少なくとも2つの傾斜面または曲面を有する構造体が、発光素子の上に配置されており、発光素子と構造体との間の隙間に充填材が充填され充填材層が形成されている。発光素子の上にこのような充填材層を介して上記構造体を設けることにより、色ずれや二重映り等の画質の劣化を生じることなく、発光素子からの光を正面に出射することができ、取り出し光量を増加させることができる。従って、消費電力を低減させることができ、輝度を高めることができる。
【0010】
本発明の構造体における少なくとも2つの傾斜面または曲面により形成される形状は、例えば、断面三角形の柱状、断面台形の柱状、断面半円形の柱状、または三角錐や四角錐などの角錘状が挙げられる。
【0011】
また、本発明の構造体において、発光素子側の先端部は曲率を有していることが好ましい。発光素子側の先端部が曲率を有することにより、正面に出射される発光素子からの光量を増加させることができ、輝度を高めることができる。
【0012】
また、本発明における充填材層の屈折率は、1.43〜1.56の範囲内であることが好ましい。このような範囲内にすることにより、発光素子からの取り出し光量を増加させることができ、輝度をさらに高めることができる。
【0013】
本発明の発光パネル装置において、発光素子は、特に限定されるものではないが、本発明は発光素子として有機エレクトロルミネッセンス素子を用いる場合に特に有用である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、色ずれや二重映り等の画質の劣化を生じることなく、発光素子からの取り出し光量を増加させることができ、消費電力を低減することができ、高輝度化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明に従う一実施例の発光パネル装置を示す断面図である。
【0017】
本実施例の発光パネル装置10においては、発光素子1の上に構造体2を配置し、発光素子1と構造体2の間の隙間に、充填材層3が設けられている。構造体2は、発光素子1に向かって互いに近づき合う2つの傾斜面2a及び2bを有している。発光素子1は、例えば有機EL素子などである。
【0018】
図2は、図1に示す点線で囲む領域の拡大図である。図2に示すように、構造体2の先端部2cは曲率を有している。
【0019】
図3及び図4は、本発明における構造体の形状の例を示す斜視図である。図3(a)に示すように、本発明の構造体における少なくとも2つの傾斜面または曲面により形成される形状は、断面三角形の柱状、すなわち三角柱状であってもよいし、図3(b)に示すように、断面台形の柱状であってもよいし、図3(c)に示す断面半円形の柱状であってもよい。なお、図1に示す構造体2は、図3(a)の最も左側に示す断面三角形の柱状の形状を有している。
【0020】
また、図4に示すように、四角錐状、いわゆるピラミッド状の形状であってもよい。なお、図4に示す四角錐状の先端部は丸みを帯びており曲率を有している。また、このような四角錐部分の配置は、図4(a)〜(d)に示すように種々の配置で設けることができる。
【0021】
図5は、画素を有する発光素子と構造体との位置関係を示す斜視図である。図5に示すように、発光素子1には複数の画素1aが設けられており、このような複数の画素1aをまたがるように構造体2を配置することができる。
【0022】
以下、本発明の発光パネル装置の作用効果について説明する。
【0023】
まず、発光素子から出射する一般的な光の透過経路について説明する。
【0024】
図6(a)は、点光源11から発光した光が大気中に出射される状態を示す模式図である。点光源11から発光された光は、発光側に設けられた基板11aを通り大気中に出射される。図6(b)に示すように、大気の屈折率をn1とし、基板11aの屈折率をn2とすると、出射光が基板11aの法線に対してなす角度をθ2とし、基板11aから出射される出射光が基板11aの法線に対してなす角度をθ1とすると、大気の屈折率n1及び基板の屈折率n2と、以下のような関係を満たす。
【0025】
n1・sin(θ1)=n2・sin(θ2) …(1)
ここで、θ2が90°の場合のθ1を、臨界角θcという。θ1がθcの場合、図6(a)に示すように、光は大気と基板11aとの界面で反射され、大気中に出ない。大気の屈折率n1は一般に1であり、基板11aがガラスである場合n2は1.54であり、このときの臨界角θcは約40.5度である。
【0026】
臨界角θcよりも小さい角度で基板と大気の界面に入射した光が、大気中に放射され視覚化される。従って、大気中に出射される光が多いほど輝度が高くなる。
【0027】
図7は、特許文献5及び特許文献6などに開示された従来の構造を示す断面図である。図7(a)においては、基板11aの上に、構造体12が設けられており、基板11aと構造体12の間の隙間には一般に大気が存在している。図7(b)は、構造体12の上下関係を逆にして基板11a上に配置した状態である。
【0028】
図7(a)に示すように、点光源11から出射された光は基板11aを出て、構造体12との間の隙間に存在する大気を通り、構造体12に入射する。図7(a)に示すように、構造体12の傾斜面12a及び12bに入射した光は屈折して、基板11aに対し法線方向に出射される。このため、輝度が上昇する。しかしながら、点光源11から出射された光は、あたかも2つの点光源から出射された光として視認されることとなる。従って、輝度が増加したとしても、画像が距離L離れて二重に見えることになり、画質が低下することとなる。
【0029】
図7(b)で示す状態で構造体12を配置した場合も、同様に構造体12の傾斜面12c及び12dを出射する光は屈折して基板11aに対し法線方向に出射され輝度が上昇するが、画像が距離L離れて二重に見えることになり、画質が低下する。
【0030】
次に、距離Lがどの程度の距離になれば二重映りになるかについて検討した。以下の検討においては、視力1.2の人が30cm離れた所から判別できるか否かを基準とした。
【0031】
<視力1.2の人が30cm離れた所から判別できる間隙の距離>
文献(http://www.nidek.co.jp/landolt.html)における視力の定義では、5m離れた所から1.5mmの間隙を認識できる能力を視力1.0としており、この1.5mmの間隙を距離の1.2倍(6m)離れた場所で認識できる能力が視力1.2、距離の1/2(2.5m)離れた場所で認識できる能力が視力0.5としている。
【0032】
視力1.2の人が30cm離れた場所で認識できる間隙は、以下の式から計算上75μmと導出されるが、概略100μmとして検討した。
【0033】
30(cm)×1.5(mm)/6(m)=0.075(mm)=75(μm)
以上の結果から、視力1.2の人が30cm離れた所から判別できる間隙の距離はおよそ100μmであることがわかった。従って、距離Lが100μm以下の場合、視力1.2の人が30cm離れた所から見て二重映りには見えないことになる。
【0034】
図8は、図9に示す発光パネル装置10において、充填材層3の屈折率を変化させたときの分解能Δの計算結果を示す図である。図8において実線Aは計算結果を示している。図9に示す発光パネル装置10においては、発光素子の出射側基板11aの上に、構造体2が配置されており、構造体2と基板11aとの間の隙間に充填材層3が設けられている。
【0035】
図9に示す構造体2において、傾斜面2aと傾斜面2bからなるプリズム部の周期aは50μmとしており、プリズム部の高さbは30μmとしており、透明基板11aの厚さcは1000μmとしている。また、透明基板11aの屈折率をn1、構造体2の屈折率をn2、充填材層3の屈折率をn3としている。また、点光源11から出射した光の角度をθ1、構造体2のプリズム部の傾斜面2a及び2cが基板11aの表面となす角度をθ4としている。この角度θ4は、プリズム部の周期a及びプリズム部の高さbと、以下のような関係を有している。
【0036】
tan(θ4)=b/(a/2)
点光源11から発した光は、透明基板11aと充填材層3との界面及び充填材層3と構造体2との界面で、スネルの法則(式(1):図10におけるni・sin(θi)=nj・sin(θj)の関係)に従って屈折し、構造体2aの表面から垂直に出光する。ここでは簡略のため、充填材層3と構造体2の界面での屈折位置は、構造体の傾斜面2a及び2bの中央部とした。この簡略化による横方向の誤差は、構造体周期が50μmの場合、約10μm程度であり、視力1.2の人が視認する間隙と比較すると無視できる値である。点光源11から光が屈折する透明基板/充填材層の界面までの距離をL1、透明基板/充填材層の界面から充填材層/構造体までの距離をL2とすると、点光源11から出射された光が二重に見える距離Δは、2×(L1+L2)で表わされる。ちなみにL1は以下の式で表される。
【0037】
L1=c・tan(θ1)
図11に、各界面近傍での光の屈折状態を詳細に示す。透明基板/充填材層の界面における入射角をθ1、出射角をθ3′とし、充填材層/構造体での入射角をθ3、出射角をθ2とすると、以下の式が導出される。
【0038】
θ2=θ4
θ3′+θ3=θ4
n1・sin(θ1)=n3・sin(θ3′)
n3・sin(θ3)=n2・sin(θ2)
これらの式を整理して、屈折率(n1,n2,n3)とθ4を用いて、θ1,θ2,θ3,θ3′,L2を書き換えると以下の式となる。
【0039】
sin(θ3)=(n2/n3)・sin(θ4)
sin(θ1)=(n3/n1)・sin(θ3′)
=(n3/n1)・sin(θ4−θ3)
=(n3/n1)・sin〔θ4−sin-1{(n2/n3)・si
n(θ4)}〕
L2=(b/2)・tan{θ4−θ3}
=(b/2)・tan〔θ4−sin-1{(n2/n3)・sin(θ4)}〕
これらをまとめて、点光源から出た光が二重に見える距離Δを整理すると、以下のようになる。
【0040】
Δ=2(L1+L2)
=2(C・tan(θ1)+(b/2)・tan〔θ4−sin-1{(n2/n3
)・sin(θ4)}〕)
ここでθ1、θ4は以下の通りである。
【0041】
θ1=sin-1{(n3/n1)・sin〔θ4−sin-1{(n2/n3)・si
n(θ4)}〕}
θ4=tan-1{b/(a/2)}
以上のようにして計算した結果が図8に示す実線Aである。上述のように、パラメータであるa、b、c、n1、及びn2については、a=50μm、b=30μm、c=1000μm、n1=1.54、n2=1.49とし、充填材層の屈折率n3を変化させて計算している。なお、n1=1.54は、透明ガラス基板の屈折率である。また、n2=1.49は、アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル、文献値)の値である。
【0042】
図8に示すように、充填材層の屈折率1.49までは、充填材層の屈折率が高くなるにつれて分解能Δは小さくなっている。分解能Δは、充填材層の屈折率1.49で最小となった後、充填材層の屈折率の増加とともに大きくなっている。充填材層の屈折率が1.49のときに、分解能Δが最小となっているのは、充填材層の屈折率と構造体の屈折率が同一となり、光学的に区別がつかなくなったためであり、屈折率1.49の平行平板が透明基板上に配置されたことに相当するようになったためであると思われる。このような状態で、点光源が2つに分かれる要因がなくなり、分解能Δが極小になったと考えられる。
【0043】
また、図8には、〇で実測結果を示している。この実測結果は、図12に示す発光パネル装置を用いて測定した。図12に示す発光パネル装置20は、有機EL素子である発光素子21のガラス基板21aの上に、構造体2を配置し、基板21aと構造体2の間の隙間に充填材層3を形成している。
【0044】
発光素子21においては、ガラス基板21aの上に、ITO(インジウム錫酸化物)からなる厚さ100nmの透明導電膜21bが形成されている。透明導電膜21bの上の画素以外の領域には、アクリル系樹脂からなる厚さ約1000nmの絶縁膜21eが設けられている。画素領域の幅eは約100μmとなるように設定されている。絶縁膜21e及び画素領域の透明導電膜21bの上には、厚さ200nmの有機発光層21cが設けられている。有機発光層21cの上には、Alからなる厚さ300nmの反射電極21dが設けられている。
【0045】
基板21aの上には、上述のように、構造体2が設けられている。構造体2のプリズム部の周期aは50μmであり、プリズム部の高さbは30μmである。また、構造体2の高さdは155μmである。また、基板21aの厚みcは1000μmである。
【0046】
構造体2と基板21aの間の隙間には、充填材層3が設けられており、充填材層3は、市販の感光性カップリング剤を用いて形成されており、充填後紫外線を照射することにより硬化されている。
【0047】
構造体2は、アクリル系樹脂から形成されており、その屈折率は1.49である。基板21aは無アルカリガラスから形成されており、その屈折率は1.54である。
【0048】
充填材層3の屈折率は、使用するカップリング剤の種類及び配合を変化させることによって変化させた。
【0049】
以上のような発光パネル素子20を光学顕微鏡の下で発光させ、二重に映った距離を測定した。距離の測定には、光学顕微鏡に備え付けられたマイクロメーターを用いた。測定結果は、図8に〇で示す通りである。図8から明らかなように、計算結果と測定結果はほぼ一致していることがわかる。従って、充填材層の屈折率を1.43〜1.56の範囲内とすることにより、二重映り等の画質の劣化を抑制できることがわかる。
【0050】
<基板、構造体及び充填材層の屈折率についての検討>
基板、構造体及び充填材層の屈折率の関係について検討した。図9に示す発光パネル装置10において、aを50μm、bを30μm、cを1000μmとし、透明基板11aの屈折率をn1、構造体2の屈折率をn2、充填材層3の屈折率をn3として、n1、n2及びn3の関係について検討した。n1については、1.1(LiFの屈折率)、1.54(ガラスの屈折率)、2.0(ZnOの屈折率)、2.6(TiO2の屈折率)とし、n2については、1.1(LiFの屈折率)、1.49(メタクリル酸メチル樹脂の屈折率)、2.1(AgClの屈折率)、2.6(TiO2の屈折率)とし、n3については1.1〜2.6の範囲で変化させた。屈折率の範囲としては、日本化学会編 改訂3版 化学便覧 基礎編IIの表14・7に記載されている「固体の屈折率(1)」と「固体の屈折率(2)」における最大値と最小値を参考にして定めた。
【0051】
n1、n2及びn3の値として上記の値を用い、n1/n3とn2/n3を表1に示す値とした時に、上記の「<視力1.2の人が30cm離れたところから判別できる感覚の距離>」において説明した距離Lの値を、上記の計算式(図8に示す実線Aの結果を求めるのに使用した計算式)から算出した。計算結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1は、n1/n3(あるいはn3/n1)及びn2/n3が所定の値である時の点光源11から出射された光が二重に見える距離Δの値を示している。距離Δが100μm未満となる部分を表1においては網かけで示している。距離Δが100μmより小さくなる時のn1/n3とn2/n3との関係をフィッティング法により求めた。
【0054】
図19は、0.9≦(n2/n3)≦1の場合におけるn1/n3とn2/n3との関係を示している。また、図20は、1<(n2/n3)≦1.08の場合におけるn1/n3とn2/n3との関係を示している。
【0055】
図19に示す領域におけるn1/n3とn2/n3との関係を式で示すと以下のようになる。
【0056】
6.90×104・(n2/n3)4−2.60×105・(n2/n3)3+3.66×105・(n2/n3)2−2.29×105・(n2/n3)+5.34×104≦(n1/n3)≦2.38
図20に示す領域におけるn1/n3とn2/n3との関係を式で示すと以下のようになる。
【0057】
−7.04×103・(n2/n3)3+2.22×104・(n2/n3)2−2.32×104・(n2/n3)+8.08×103≦(n1/n3)≦2.38
以上のことから、基板の屈折率n1、構造体の屈折率n2、及び充填材層の屈折率n3が、
0.9≦(n2/n3)≦1の場合
6.90×104・(n2/n3)4−2.60×105・(n2/n3)3+3.66×105・(n2/n3)2−2.29×105・(n2/n3)+5.34×104≦(n1/n3)≦2.38
の関係を満足し、
1<(n2/n3)≦1.08の場合
−7.04×103・(n2/n3)3+2.22×104・(n2/n3)2−2.32×104・(n2/n3)+8.08×103≦(n1/n3)≦2.38
の関係を満足する時、点光源から出た光が二重に見える距離Δが100μmよりも小さくなり、二重写りが見えなくなることがわかる。
【0058】
本発明において用いる充填材の具体的な材料としては、光に対して透明であり、構造体の表面と発光素子の表面に気泡を発生しにくい材料であることが好ましい。このような材料としては、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、またはフッ素系樹脂を主体とする熱硬化型または光硬化型の光学カップリング剤が好ましく用いられる。
【0059】
<構造体先端部の曲率についての検討>
図13(a)に示す発光パネル装置においては、基板21aの上に構造体2を設け、構造体2と基板21aの間に充填材層3を形成している。構造体2の先端部2cはその角度が90度となっており、曲率を有しない先端部となっている。
【0060】
ここで、基板21aの屈折率n1は1.54としており、構造体2の屈折率は1.49としている。また、構造体2のプリズム部の周期は20μm、プリズム部の高さは13μmとしている。
【0061】
図13(a)に示す発光パネル装置においては、図に矢印で示すように、基板21aから出射された光は、構造体2の先端部2cで外方向に散乱される。従って、測定位置での光の密度が減少し、輝度が低下することになる。
【0062】
図13(b)は、構造体2の先端部2cに曲率を付与した場合を示す図である。曲率半径として2μmとしている。この場合、図13(b)に示すように、基板21aから出射される構造体2の先端部2cに入射した光は、内部に集光され、光の密度が上昇する。このため、輝度が向上する。
【0063】
次に、先端部の曲率と輝度向上率との関係について計算した。図14はこの結果を示している。ここで、先端部の曲率は、以下の式で定義されるものである。
【0064】
先端部の曲率=〔(先端部の曲率半径)/(構造体の高さ)〕×10
従って、先端部の曲率が10の場合、構造体は断面半円の柱状の形状となる。
【0065】
図14に示すように、先端部の曲率が5となるまでは、先端部の曲率が増加するに従って輝度向上率が高くなっており、先端部の曲率が5のとき最大値の1.116に達し、先端部の曲率が5を超えると、輝度向上率が低下し始め、先端部の曲率が10になると輝度向上率は1.005程度になる。このように先端部の曲率が高くなりすぎると低下する原因は、以下の通りであると考えられる。
【0066】
すなわち、図15に示すように、(a)及び(b)のように先端部の曲率が小さい場合には曲率半径が大きくなるに従って、集光される光量は大きくなるが、(c)に示すように、先端部の曲率が大きくなりすぎると、光の焦点が次第に基板側に近づくため、結果として測定位置における光の密度が低減するためであると考えられる。従って、先端部の曲率は、2〜8の範囲内とすることが好ましく、さらに好ましくは4〜6の範囲内であることがわかる。
【0067】
次に、図12に示すのと同様の発光パネル装置において、構造体2の先端部2cに曲率を付与し、その曲率を変化させて実際の輝度向上率を測定した。測定結果を図17に示す。
【0068】
なお、輝度の測定は、図16に示す装置を用いて測定した。図16に示すように、試料台31の上に、試料サンプルとなる発光パネル装置32を置き、その上に輝度計33(ミノルタ社製CS−100A)を配置し、輝度計33と、発光パネル装置32との間の距離Dを30cmとした。なお、測定した発光パネル装置における有機EL素子の発光層の平面サイズは100μm×40μmの大きさであり、発光層は約30μmの間隔を空けて平面的に配置されているものを用いた。
【0069】
図17において、実測値は■で示している。図17に示すように、輝度向上率の計算値と実測値はほぼ一致している。
【0070】
なお、先端部に曲率を持たせた構造体は以下のようにして作製した。
【0071】
<先端部に曲率を有する構造体の作製方法>
先端部に曲率を有する構造体は、シリコン製の金型を用いて作製した。
【0072】
金型の作製は、単結晶シリコン基板へのエッチング加工技術を利用して作製した。単結晶シリコン基板(111)面に熱酸化膜を形成し、所望の周期の窓をフォトリソグラフィー法とフッ酸系水溶液を用いて形成した。窓の部分には、シリコン(111)面が現れており、他の領域は熱酸化膜で覆われている。この基板を、選択性エッチング液(TMAH(テトラメチルアンモニウム水溶液)22%)に浸漬することにより、窓部を逆台形の形状にエッチングすることができる。窓の周期とエッチング時間を適宜選択することにより、任意の逆台形形状を形成することができる。このようにしてエッチングした後、等方性エッチング液に浸漬することにより、さらに逆台形形状の角部が取れ、曲率の付いた逆三角形の先端部を形成することができる。等方性エッチング液としては、CP・4A液(フッ酸:硫酸:酢酸を体積比3:5:3で混合した溶液)を用いることができる。最後に、フッ酸系水溶液を用いて残りの熱酸化膜を剥離し、シリコン製の金型を形成することができる。
【0073】
このようにして溝が形成されたシリコン製の金型に、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を塗布し、硬化させた後、剥離することにより所定の曲率を有した構造体を形成することができる。なお、ここではシリコン(111)面を用いているが、他の結晶面とエッチング液の組み合わせによっても、逆三角形形状の作製は可能である。
【0074】
<構造体先端部の頂角についての検討>
次に、構造体先端部の頂角、すなわち傾斜面2aと傾斜面2bがなす角について検討した。図18は、先端部曲率の場合と同様にして計算した結果と測定結果を示す図である。図18において◆は計算結果を示しており、■は測定結果を示している。具体的には、図12に示す発光パネル装置について、図16に示す輝度測定装置を用いて測定した。基板の屈折率は1.59、構造体の屈折率は1.41、充填材層の屈折率は1.53である。例えば、頂角の角度が70度の構造体の場合、a=100μm、b=70μm程度であり、厚さdは200μm程度である。頂角の角度が120度の構造体の場合、a=131μm、b=38μm程度であり、厚さdは230μm程度である。また、基板の厚みcは100μm程度である。
【0075】
図18に示すように、頂角が90度より低い場合、角度が低くなるに従って輝度が向上していることがわかる。これは、三角形のプリズム部の傾斜面で反射された光が、充填材層を通り対向する三角形の傾斜面でさらに反射することを繰り返して、最終的に大気中に取り出されるためであると考えられる。なお、角度が0度の場合は、光ファイバーのコア部に相当し、光の減衰が計算上0となることが推測される。
【0076】
また、頂角が90度よりも高い場合には、角度の増加とともに一旦輝度は上昇し、角度180度で輝度の増加は0となっている。これは、三角形のプリズム部の内部に侵入した光が、同じ三角形のプリズム部の他方の傾斜面で再度反射を受けて大気中に出されるためであり、この際反射光の最適値が角度に依存するため輝度に極大値が現れていると考えられる。頂角180度は、平板を配した構造に相当し、光吸収がないと仮定しているため、得られる値は誤差の範囲で頂角90度の場合と同じである。
【0077】
上記の計算結果と、実測の値を比較すると、実測結果はほぼ計算結果と同様の傾向を示していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に従う一実施例の発光パネル装置を示す断面図。
【図2】図1に示す点線の領域を拡大して示す断面図。
【図3】本発明における発光パネル装置の構造体の例を示す斜視図。
【図4】本発明における発光パネル装置の構造体の例を示す斜視図。
【図5】本発明に従う他の実施例における発光パネル装置の構造体と画素の配置状態を示す斜視図。
【図6】点光源から出射した光が透光性基板を通り出射するときの光の経路を示す図。
【図7】従来の構造体の配置関係を示す断面図。
【図8】充填材層の屈折率と分解能との関係を示す図。
【図9】図8に示す分解能の計算方法を説明するための図。
【図10】図8に示す分解能の計算方法を説明するための図。
【図11】図8に示す分解能の計算方法を説明するための図。
【図12】図8に示す実測結果の測定に用いた発光パネル装置を示す断面図。
【図13】構造体先端部に曲率を形成した場合と形成しない場合についての光の透過経路の計算結果を示す図。
【図14】先端部の曲率と輝度向上率との関係を示す図。
【図15】先端部の曲率と輝度向上率との関係を示す図。
【図16】輝度測定装置を示す模式図。
【図17】先端部の曲率と輝度向上率の計算結果及び実測結果を示す図。
【図18】構造体先端部の頂角と輝度向上率の計算結果と測定結果を示す図。
【図19】0.9≦(n2/n3)≦1の場合におけるn1/n3とn2/n3との関係を示す図。
【図20】1<(n2/n3)≦1.08の場合におけるn1/n3とn2/n3との関係を示す図。
【符号の説明】
【0079】
1…発光素子
1a…発光素子の画素
2…構造体
2a,2b…傾斜面
2c…構造体の先端部
3…充填材層
10…発光パネル装置
11…点光源
11a…基板
20…発光パネル装置
21…有機EL素子
21a…基板
21b…透明導電膜
21c…有機発光層
21d…反射電極
21e…絶縁膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの発光素子からの取り出し光量を増加させることができる発光パネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光体の輝度を向上させる技術としては、発光材料自体の高輝度化や、光伝播経路でのロスの低減構造等が報告されている。例えば、非特許文献1及び非特許文献2においては、発光材料そのものの発光効率を制御することが報告されている。また、特許文献1及び特許文献2においては、発光体から出射された光が、大気中に伝播する経路における損失を最小限に抑えることに関する報告がなされている。
【0003】
しかしながら、例えば発光効率を向上させるためには、材料の基礎的な研究から量産に至るまでの費用と長い研究時間、さらには環境・人体に対する安全性等を明らかにする必要がある。また、伝播経路における光の損失を低減するには、材料の選択や作製技術の複雑化に伴う生産費用の上昇等の問題があり、簡便な技術による効果的な輝度の向上が求められている。
【0004】
特許文献3においては、発光体の表面に構造体を配置することにより、輝度を高めることが報告されている。この報告の具体例としては、代表的な平面表示装置である液晶表示装置(LCD)に用いられる輝度向上フィルムが挙げられる。この輝度向上フィルムの原理は、発光体の表面から任意の方向に出射された光を、特定の構造体を用いることにより、一定の方向に集光させるものである。しかしながら、この方法における問題として、輝度の向上とともに、色ずれや二重映り等の画質の劣化が生じることが挙げられる。この問題を解決するため、このフィルムを発光体であるバックライトとLCDとの間に配置することにより、LCDを透過する際にこれらの劣化の原因が排除され、結果としてLCDを透過した際の輝度が向上するとされている。
【0005】
特許文献4においては、発光体の正面に構造体を配置して輝度を向上させる方法が報告されている。しかしながら、この方法においても画質に同様の劣化が生じることが容易に推測される。
【0006】
また、特許文献5及び特許文献6においても、構造体を配置することにより輝度を向上させることが提案されているが、いずれも同様の画質の劣化を生じるものである。
【特許文献1】特開2004−146200号公報
【特許文献2】特開2000−148032号公報
【特許文献3】特表2003−518263号公報
【特許文献4】特開2001−76521号公報
【特許文献5】特開2001−148032号公報
【特許文献6】特開平9−101405号公報
【非特許文献1】Applied Physics letters,Vol.51,pp913-915,1987
【非特許文献2】Applied Physics letters,Vol.75,pp4-6,1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、色ずれや二重映り等の画質の劣化を生じることなく、発光素子からの取り出し光量を増加させることができ、低消費電力または高輝度化を図ることができる発光パネル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、発光素子と、該発光素子の上に配置され、発光素子に向かって互いに近づき合う少なくとも2つの傾斜面または曲面を有する構造体と、発光素子と構造体との間の隙間に充填される充填材層とを備える発光パネル装置である。
【0009】
本発明の発光パネル装置においては、発光素子に向かって互いに近づき合う少なくとも2つの傾斜面または曲面を有する構造体が、発光素子の上に配置されており、発光素子と構造体との間の隙間に充填材が充填され充填材層が形成されている。発光素子の上にこのような充填材層を介して上記構造体を設けることにより、色ずれや二重映り等の画質の劣化を生じることなく、発光素子からの光を正面に出射することができ、取り出し光量を増加させることができる。従って、消費電力を低減させることができ、輝度を高めることができる。
【0010】
本発明の構造体における少なくとも2つの傾斜面または曲面により形成される形状は、例えば、断面三角形の柱状、断面台形の柱状、断面半円形の柱状、または三角錐や四角錐などの角錘状が挙げられる。
【0011】
また、本発明の構造体において、発光素子側の先端部は曲率を有していることが好ましい。発光素子側の先端部が曲率を有することにより、正面に出射される発光素子からの光量を増加させることができ、輝度を高めることができる。
【0012】
また、本発明における充填材層の屈折率は、1.43〜1.56の範囲内であることが好ましい。このような範囲内にすることにより、発光素子からの取り出し光量を増加させることができ、輝度をさらに高めることができる。
【0013】
本発明の発光パネル装置において、発光素子は、特に限定されるものではないが、本発明は発光素子として有機エレクトロルミネッセンス素子を用いる場合に特に有用である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、色ずれや二重映り等の画質の劣化を生じることなく、発光素子からの取り出し光量を増加させることができ、消費電力を低減することができ、高輝度化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明に従う一実施例の発光パネル装置を示す断面図である。
【0017】
本実施例の発光パネル装置10においては、発光素子1の上に構造体2を配置し、発光素子1と構造体2の間の隙間に、充填材層3が設けられている。構造体2は、発光素子1に向かって互いに近づき合う2つの傾斜面2a及び2bを有している。発光素子1は、例えば有機EL素子などである。
【0018】
図2は、図1に示す点線で囲む領域の拡大図である。図2に示すように、構造体2の先端部2cは曲率を有している。
【0019】
図3及び図4は、本発明における構造体の形状の例を示す斜視図である。図3(a)に示すように、本発明の構造体における少なくとも2つの傾斜面または曲面により形成される形状は、断面三角形の柱状、すなわち三角柱状であってもよいし、図3(b)に示すように、断面台形の柱状であってもよいし、図3(c)に示す断面半円形の柱状であってもよい。なお、図1に示す構造体2は、図3(a)の最も左側に示す断面三角形の柱状の形状を有している。
【0020】
また、図4に示すように、四角錐状、いわゆるピラミッド状の形状であってもよい。なお、図4に示す四角錐状の先端部は丸みを帯びており曲率を有している。また、このような四角錐部分の配置は、図4(a)〜(d)に示すように種々の配置で設けることができる。
【0021】
図5は、画素を有する発光素子と構造体との位置関係を示す斜視図である。図5に示すように、発光素子1には複数の画素1aが設けられており、このような複数の画素1aをまたがるように構造体2を配置することができる。
【0022】
以下、本発明の発光パネル装置の作用効果について説明する。
【0023】
まず、発光素子から出射する一般的な光の透過経路について説明する。
【0024】
図6(a)は、点光源11から発光した光が大気中に出射される状態を示す模式図である。点光源11から発光された光は、発光側に設けられた基板11aを通り大気中に出射される。図6(b)に示すように、大気の屈折率をn1とし、基板11aの屈折率をn2とすると、出射光が基板11aの法線に対してなす角度をθ2とし、基板11aから出射される出射光が基板11aの法線に対してなす角度をθ1とすると、大気の屈折率n1及び基板の屈折率n2と、以下のような関係を満たす。
【0025】
n1・sin(θ1)=n2・sin(θ2) …(1)
ここで、θ2が90°の場合のθ1を、臨界角θcという。θ1がθcの場合、図6(a)に示すように、光は大気と基板11aとの界面で反射され、大気中に出ない。大気の屈折率n1は一般に1であり、基板11aがガラスである場合n2は1.54であり、このときの臨界角θcは約40.5度である。
【0026】
臨界角θcよりも小さい角度で基板と大気の界面に入射した光が、大気中に放射され視覚化される。従って、大気中に出射される光が多いほど輝度が高くなる。
【0027】
図7は、特許文献5及び特許文献6などに開示された従来の構造を示す断面図である。図7(a)においては、基板11aの上に、構造体12が設けられており、基板11aと構造体12の間の隙間には一般に大気が存在している。図7(b)は、構造体12の上下関係を逆にして基板11a上に配置した状態である。
【0028】
図7(a)に示すように、点光源11から出射された光は基板11aを出て、構造体12との間の隙間に存在する大気を通り、構造体12に入射する。図7(a)に示すように、構造体12の傾斜面12a及び12bに入射した光は屈折して、基板11aに対し法線方向に出射される。このため、輝度が上昇する。しかしながら、点光源11から出射された光は、あたかも2つの点光源から出射された光として視認されることとなる。従って、輝度が増加したとしても、画像が距離L離れて二重に見えることになり、画質が低下することとなる。
【0029】
図7(b)で示す状態で構造体12を配置した場合も、同様に構造体12の傾斜面12c及び12dを出射する光は屈折して基板11aに対し法線方向に出射され輝度が上昇するが、画像が距離L離れて二重に見えることになり、画質が低下する。
【0030】
次に、距離Lがどの程度の距離になれば二重映りになるかについて検討した。以下の検討においては、視力1.2の人が30cm離れた所から判別できるか否かを基準とした。
【0031】
<視力1.2の人が30cm離れた所から判別できる間隙の距離>
文献(http://www.nidek.co.jp/landolt.html)における視力の定義では、5m離れた所から1.5mmの間隙を認識できる能力を視力1.0としており、この1.5mmの間隙を距離の1.2倍(6m)離れた場所で認識できる能力が視力1.2、距離の1/2(2.5m)離れた場所で認識できる能力が視力0.5としている。
【0032】
視力1.2の人が30cm離れた場所で認識できる間隙は、以下の式から計算上75μmと導出されるが、概略100μmとして検討した。
【0033】
30(cm)×1.5(mm)/6(m)=0.075(mm)=75(μm)
以上の結果から、視力1.2の人が30cm離れた所から判別できる間隙の距離はおよそ100μmであることがわかった。従って、距離Lが100μm以下の場合、視力1.2の人が30cm離れた所から見て二重映りには見えないことになる。
【0034】
図8は、図9に示す発光パネル装置10において、充填材層3の屈折率を変化させたときの分解能Δの計算結果を示す図である。図8において実線Aは計算結果を示している。図9に示す発光パネル装置10においては、発光素子の出射側基板11aの上に、構造体2が配置されており、構造体2と基板11aとの間の隙間に充填材層3が設けられている。
【0035】
図9に示す構造体2において、傾斜面2aと傾斜面2bからなるプリズム部の周期aは50μmとしており、プリズム部の高さbは30μmとしており、透明基板11aの厚さcは1000μmとしている。また、透明基板11aの屈折率をn1、構造体2の屈折率をn2、充填材層3の屈折率をn3としている。また、点光源11から出射した光の角度をθ1、構造体2のプリズム部の傾斜面2a及び2cが基板11aの表面となす角度をθ4としている。この角度θ4は、プリズム部の周期a及びプリズム部の高さbと、以下のような関係を有している。
【0036】
tan(θ4)=b/(a/2)
点光源11から発した光は、透明基板11aと充填材層3との界面及び充填材層3と構造体2との界面で、スネルの法則(式(1):図10におけるni・sin(θi)=nj・sin(θj)の関係)に従って屈折し、構造体2aの表面から垂直に出光する。ここでは簡略のため、充填材層3と構造体2の界面での屈折位置は、構造体の傾斜面2a及び2bの中央部とした。この簡略化による横方向の誤差は、構造体周期が50μmの場合、約10μm程度であり、視力1.2の人が視認する間隙と比較すると無視できる値である。点光源11から光が屈折する透明基板/充填材層の界面までの距離をL1、透明基板/充填材層の界面から充填材層/構造体までの距離をL2とすると、点光源11から出射された光が二重に見える距離Δは、2×(L1+L2)で表わされる。ちなみにL1は以下の式で表される。
【0037】
L1=c・tan(θ1)
図11に、各界面近傍での光の屈折状態を詳細に示す。透明基板/充填材層の界面における入射角をθ1、出射角をθ3′とし、充填材層/構造体での入射角をθ3、出射角をθ2とすると、以下の式が導出される。
【0038】
θ2=θ4
θ3′+θ3=θ4
n1・sin(θ1)=n3・sin(θ3′)
n3・sin(θ3)=n2・sin(θ2)
これらの式を整理して、屈折率(n1,n2,n3)とθ4を用いて、θ1,θ2,θ3,θ3′,L2を書き換えると以下の式となる。
【0039】
sin(θ3)=(n2/n3)・sin(θ4)
sin(θ1)=(n3/n1)・sin(θ3′)
=(n3/n1)・sin(θ4−θ3)
=(n3/n1)・sin〔θ4−sin-1{(n2/n3)・si
n(θ4)}〕
L2=(b/2)・tan{θ4−θ3}
=(b/2)・tan〔θ4−sin-1{(n2/n3)・sin(θ4)}〕
これらをまとめて、点光源から出た光が二重に見える距離Δを整理すると、以下のようになる。
【0040】
Δ=2(L1+L2)
=2(C・tan(θ1)+(b/2)・tan〔θ4−sin-1{(n2/n3
)・sin(θ4)}〕)
ここでθ1、θ4は以下の通りである。
【0041】
θ1=sin-1{(n3/n1)・sin〔θ4−sin-1{(n2/n3)・si
n(θ4)}〕}
θ4=tan-1{b/(a/2)}
以上のようにして計算した結果が図8に示す実線Aである。上述のように、パラメータであるa、b、c、n1、及びn2については、a=50μm、b=30μm、c=1000μm、n1=1.54、n2=1.49とし、充填材層の屈折率n3を変化させて計算している。なお、n1=1.54は、透明ガラス基板の屈折率である。また、n2=1.49は、アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル、文献値)の値である。
【0042】
図8に示すように、充填材層の屈折率1.49までは、充填材層の屈折率が高くなるにつれて分解能Δは小さくなっている。分解能Δは、充填材層の屈折率1.49で最小となった後、充填材層の屈折率の増加とともに大きくなっている。充填材層の屈折率が1.49のときに、分解能Δが最小となっているのは、充填材層の屈折率と構造体の屈折率が同一となり、光学的に区別がつかなくなったためであり、屈折率1.49の平行平板が透明基板上に配置されたことに相当するようになったためであると思われる。このような状態で、点光源が2つに分かれる要因がなくなり、分解能Δが極小になったと考えられる。
【0043】
また、図8には、〇で実測結果を示している。この実測結果は、図12に示す発光パネル装置を用いて測定した。図12に示す発光パネル装置20は、有機EL素子である発光素子21のガラス基板21aの上に、構造体2を配置し、基板21aと構造体2の間の隙間に充填材層3を形成している。
【0044】
発光素子21においては、ガラス基板21aの上に、ITO(インジウム錫酸化物)からなる厚さ100nmの透明導電膜21bが形成されている。透明導電膜21bの上の画素以外の領域には、アクリル系樹脂からなる厚さ約1000nmの絶縁膜21eが設けられている。画素領域の幅eは約100μmとなるように設定されている。絶縁膜21e及び画素領域の透明導電膜21bの上には、厚さ200nmの有機発光層21cが設けられている。有機発光層21cの上には、Alからなる厚さ300nmの反射電極21dが設けられている。
【0045】
基板21aの上には、上述のように、構造体2が設けられている。構造体2のプリズム部の周期aは50μmであり、プリズム部の高さbは30μmである。また、構造体2の高さdは155μmである。また、基板21aの厚みcは1000μmである。
【0046】
構造体2と基板21aの間の隙間には、充填材層3が設けられており、充填材層3は、市販の感光性カップリング剤を用いて形成されており、充填後紫外線を照射することにより硬化されている。
【0047】
構造体2は、アクリル系樹脂から形成されており、その屈折率は1.49である。基板21aは無アルカリガラスから形成されており、その屈折率は1.54である。
【0048】
充填材層3の屈折率は、使用するカップリング剤の種類及び配合を変化させることによって変化させた。
【0049】
以上のような発光パネル素子20を光学顕微鏡の下で発光させ、二重に映った距離を測定した。距離の測定には、光学顕微鏡に備え付けられたマイクロメーターを用いた。測定結果は、図8に〇で示す通りである。図8から明らかなように、計算結果と測定結果はほぼ一致していることがわかる。従って、充填材層の屈折率を1.43〜1.56の範囲内とすることにより、二重映り等の画質の劣化を抑制できることがわかる。
【0050】
<基板、構造体及び充填材層の屈折率についての検討>
基板、構造体及び充填材層の屈折率の関係について検討した。図9に示す発光パネル装置10において、aを50μm、bを30μm、cを1000μmとし、透明基板11aの屈折率をn1、構造体2の屈折率をn2、充填材層3の屈折率をn3として、n1、n2及びn3の関係について検討した。n1については、1.1(LiFの屈折率)、1.54(ガラスの屈折率)、2.0(ZnOの屈折率)、2.6(TiO2の屈折率)とし、n2については、1.1(LiFの屈折率)、1.49(メタクリル酸メチル樹脂の屈折率)、2.1(AgClの屈折率)、2.6(TiO2の屈折率)とし、n3については1.1〜2.6の範囲で変化させた。屈折率の範囲としては、日本化学会編 改訂3版 化学便覧 基礎編IIの表14・7に記載されている「固体の屈折率(1)」と「固体の屈折率(2)」における最大値と最小値を参考にして定めた。
【0051】
n1、n2及びn3の値として上記の値を用い、n1/n3とn2/n3を表1に示す値とした時に、上記の「<視力1.2の人が30cm離れたところから判別できる感覚の距離>」において説明した距離Lの値を、上記の計算式(図8に示す実線Aの結果を求めるのに使用した計算式)から算出した。計算結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1は、n1/n3(あるいはn3/n1)及びn2/n3が所定の値である時の点光源11から出射された光が二重に見える距離Δの値を示している。距離Δが100μm未満となる部分を表1においては網かけで示している。距離Δが100μmより小さくなる時のn1/n3とn2/n3との関係をフィッティング法により求めた。
【0054】
図19は、0.9≦(n2/n3)≦1の場合におけるn1/n3とn2/n3との関係を示している。また、図20は、1<(n2/n3)≦1.08の場合におけるn1/n3とn2/n3との関係を示している。
【0055】
図19に示す領域におけるn1/n3とn2/n3との関係を式で示すと以下のようになる。
【0056】
6.90×104・(n2/n3)4−2.60×105・(n2/n3)3+3.66×105・(n2/n3)2−2.29×105・(n2/n3)+5.34×104≦(n1/n3)≦2.38
図20に示す領域におけるn1/n3とn2/n3との関係を式で示すと以下のようになる。
【0057】
−7.04×103・(n2/n3)3+2.22×104・(n2/n3)2−2.32×104・(n2/n3)+8.08×103≦(n1/n3)≦2.38
以上のことから、基板の屈折率n1、構造体の屈折率n2、及び充填材層の屈折率n3が、
0.9≦(n2/n3)≦1の場合
6.90×104・(n2/n3)4−2.60×105・(n2/n3)3+3.66×105・(n2/n3)2−2.29×105・(n2/n3)+5.34×104≦(n1/n3)≦2.38
の関係を満足し、
1<(n2/n3)≦1.08の場合
−7.04×103・(n2/n3)3+2.22×104・(n2/n3)2−2.32×104・(n2/n3)+8.08×103≦(n1/n3)≦2.38
の関係を満足する時、点光源から出た光が二重に見える距離Δが100μmよりも小さくなり、二重写りが見えなくなることがわかる。
【0058】
本発明において用いる充填材の具体的な材料としては、光に対して透明であり、構造体の表面と発光素子の表面に気泡を発生しにくい材料であることが好ましい。このような材料としては、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、またはフッ素系樹脂を主体とする熱硬化型または光硬化型の光学カップリング剤が好ましく用いられる。
【0059】
<構造体先端部の曲率についての検討>
図13(a)に示す発光パネル装置においては、基板21aの上に構造体2を設け、構造体2と基板21aの間に充填材層3を形成している。構造体2の先端部2cはその角度が90度となっており、曲率を有しない先端部となっている。
【0060】
ここで、基板21aの屈折率n1は1.54としており、構造体2の屈折率は1.49としている。また、構造体2のプリズム部の周期は20μm、プリズム部の高さは13μmとしている。
【0061】
図13(a)に示す発光パネル装置においては、図に矢印で示すように、基板21aから出射された光は、構造体2の先端部2cで外方向に散乱される。従って、測定位置での光の密度が減少し、輝度が低下することになる。
【0062】
図13(b)は、構造体2の先端部2cに曲率を付与した場合を示す図である。曲率半径として2μmとしている。この場合、図13(b)に示すように、基板21aから出射される構造体2の先端部2cに入射した光は、内部に集光され、光の密度が上昇する。このため、輝度が向上する。
【0063】
次に、先端部の曲率と輝度向上率との関係について計算した。図14はこの結果を示している。ここで、先端部の曲率は、以下の式で定義されるものである。
【0064】
先端部の曲率=〔(先端部の曲率半径)/(構造体の高さ)〕×10
従って、先端部の曲率が10の場合、構造体は断面半円の柱状の形状となる。
【0065】
図14に示すように、先端部の曲率が5となるまでは、先端部の曲率が増加するに従って輝度向上率が高くなっており、先端部の曲率が5のとき最大値の1.116に達し、先端部の曲率が5を超えると、輝度向上率が低下し始め、先端部の曲率が10になると輝度向上率は1.005程度になる。このように先端部の曲率が高くなりすぎると低下する原因は、以下の通りであると考えられる。
【0066】
すなわち、図15に示すように、(a)及び(b)のように先端部の曲率が小さい場合には曲率半径が大きくなるに従って、集光される光量は大きくなるが、(c)に示すように、先端部の曲率が大きくなりすぎると、光の焦点が次第に基板側に近づくため、結果として測定位置における光の密度が低減するためであると考えられる。従って、先端部の曲率は、2〜8の範囲内とすることが好ましく、さらに好ましくは4〜6の範囲内であることがわかる。
【0067】
次に、図12に示すのと同様の発光パネル装置において、構造体2の先端部2cに曲率を付与し、その曲率を変化させて実際の輝度向上率を測定した。測定結果を図17に示す。
【0068】
なお、輝度の測定は、図16に示す装置を用いて測定した。図16に示すように、試料台31の上に、試料サンプルとなる発光パネル装置32を置き、その上に輝度計33(ミノルタ社製CS−100A)を配置し、輝度計33と、発光パネル装置32との間の距離Dを30cmとした。なお、測定した発光パネル装置における有機EL素子の発光層の平面サイズは100μm×40μmの大きさであり、発光層は約30μmの間隔を空けて平面的に配置されているものを用いた。
【0069】
図17において、実測値は■で示している。図17に示すように、輝度向上率の計算値と実測値はほぼ一致している。
【0070】
なお、先端部に曲率を持たせた構造体は以下のようにして作製した。
【0071】
<先端部に曲率を有する構造体の作製方法>
先端部に曲率を有する構造体は、シリコン製の金型を用いて作製した。
【0072】
金型の作製は、単結晶シリコン基板へのエッチング加工技術を利用して作製した。単結晶シリコン基板(111)面に熱酸化膜を形成し、所望の周期の窓をフォトリソグラフィー法とフッ酸系水溶液を用いて形成した。窓の部分には、シリコン(111)面が現れており、他の領域は熱酸化膜で覆われている。この基板を、選択性エッチング液(TMAH(テトラメチルアンモニウム水溶液)22%)に浸漬することにより、窓部を逆台形の形状にエッチングすることができる。窓の周期とエッチング時間を適宜選択することにより、任意の逆台形形状を形成することができる。このようにしてエッチングした後、等方性エッチング液に浸漬することにより、さらに逆台形形状の角部が取れ、曲率の付いた逆三角形の先端部を形成することができる。等方性エッチング液としては、CP・4A液(フッ酸:硫酸:酢酸を体積比3:5:3で混合した溶液)を用いることができる。最後に、フッ酸系水溶液を用いて残りの熱酸化膜を剥離し、シリコン製の金型を形成することができる。
【0073】
このようにして溝が形成されたシリコン製の金型に、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を塗布し、硬化させた後、剥離することにより所定の曲率を有した構造体を形成することができる。なお、ここではシリコン(111)面を用いているが、他の結晶面とエッチング液の組み合わせによっても、逆三角形形状の作製は可能である。
【0074】
<構造体先端部の頂角についての検討>
次に、構造体先端部の頂角、すなわち傾斜面2aと傾斜面2bがなす角について検討した。図18は、先端部曲率の場合と同様にして計算した結果と測定結果を示す図である。図18において◆は計算結果を示しており、■は測定結果を示している。具体的には、図12に示す発光パネル装置について、図16に示す輝度測定装置を用いて測定した。基板の屈折率は1.59、構造体の屈折率は1.41、充填材層の屈折率は1.53である。例えば、頂角の角度が70度の構造体の場合、a=100μm、b=70μm程度であり、厚さdは200μm程度である。頂角の角度が120度の構造体の場合、a=131μm、b=38μm程度であり、厚さdは230μm程度である。また、基板の厚みcは100μm程度である。
【0075】
図18に示すように、頂角が90度より低い場合、角度が低くなるに従って輝度が向上していることがわかる。これは、三角形のプリズム部の傾斜面で反射された光が、充填材層を通り対向する三角形の傾斜面でさらに反射することを繰り返して、最終的に大気中に取り出されるためであると考えられる。なお、角度が0度の場合は、光ファイバーのコア部に相当し、光の減衰が計算上0となることが推測される。
【0076】
また、頂角が90度よりも高い場合には、角度の増加とともに一旦輝度は上昇し、角度180度で輝度の増加は0となっている。これは、三角形のプリズム部の内部に侵入した光が、同じ三角形のプリズム部の他方の傾斜面で再度反射を受けて大気中に出されるためであり、この際反射光の最適値が角度に依存するため輝度に極大値が現れていると考えられる。頂角180度は、平板を配した構造に相当し、光吸収がないと仮定しているため、得られる値は誤差の範囲で頂角90度の場合と同じである。
【0077】
上記の計算結果と、実測の値を比較すると、実測結果はほぼ計算結果と同様の傾向を示していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に従う一実施例の発光パネル装置を示す断面図。
【図2】図1に示す点線の領域を拡大して示す断面図。
【図3】本発明における発光パネル装置の構造体の例を示す斜視図。
【図4】本発明における発光パネル装置の構造体の例を示す斜視図。
【図5】本発明に従う他の実施例における発光パネル装置の構造体と画素の配置状態を示す斜視図。
【図6】点光源から出射した光が透光性基板を通り出射するときの光の経路を示す図。
【図7】従来の構造体の配置関係を示す断面図。
【図8】充填材層の屈折率と分解能との関係を示す図。
【図9】図8に示す分解能の計算方法を説明するための図。
【図10】図8に示す分解能の計算方法を説明するための図。
【図11】図8に示す分解能の計算方法を説明するための図。
【図12】図8に示す実測結果の測定に用いた発光パネル装置を示す断面図。
【図13】構造体先端部に曲率を形成した場合と形成しない場合についての光の透過経路の計算結果を示す図。
【図14】先端部の曲率と輝度向上率との関係を示す図。
【図15】先端部の曲率と輝度向上率との関係を示す図。
【図16】輝度測定装置を示す模式図。
【図17】先端部の曲率と輝度向上率の計算結果及び実測結果を示す図。
【図18】構造体先端部の頂角と輝度向上率の計算結果と測定結果を示す図。
【図19】0.9≦(n2/n3)≦1の場合におけるn1/n3とn2/n3との関係を示す図。
【図20】1<(n2/n3)≦1.08の場合におけるn1/n3とn2/n3との関係を示す図。
【符号の説明】
【0079】
1…発光素子
1a…発光素子の画素
2…構造体
2a,2b…傾斜面
2c…構造体の先端部
3…充填材層
10…発光パネル装置
11…点光源
11a…基板
20…発光パネル装置
21…有機EL素子
21a…基板
21b…透明導電膜
21c…有機発光層
21d…反射電極
21e…絶縁膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子の上に配置され、前記発光素子に向かって互いに近づき合う少なくとも2つの傾斜面または曲面を有する構造体と、
前記発光素子と前記構造体との間の隙間に充填される充填材層とを備える発光パネル装置。
【請求項2】
前記構造体における前記少なくとも2つの傾斜面または曲面により形成される形状が、断面三角形の柱状、断面台形の柱状、断面半円形の柱状、または角錘状であることを特徴とする請求項1に記載の発光パネル装置。
【請求項3】
前記構造体の前記発光素子側の先端部が曲率を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の発光パネル装置。
【請求項4】
前記発光素子が基板を有する発光素子であり、該基板の上に前記構造体が配置されており、前記基板の屈折率をn1、前記構造体の屈折率をn2、前記充填材層の屈折率をn3とすると、n1、n2及びn3が、
0.9≦(n2/n3)≦1の場合
6.90×104・(n2/n3)4−2.60×105・(n2/n3)3+3.66×105・(n2/n3)2−2.29×105・(n2/n3)+5.34×104
≦(n1/n3)≦2.38
の関係を満足し、
1<(n2/n3)≦1.08の場合
−7.04×103・(n2/n3)3+2.22×104・(n2/n3)2−2.32×104・(n2/n3)+8.08×103
≦(n1/n3)≦2.38
の関係を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光パネル装置。
【請求項5】
前記充填材層の屈折率が、1.43〜1.56の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光パネル装置。
【請求項6】
前記発光素子が有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光パネル装置。
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子の上に配置され、前記発光素子に向かって互いに近づき合う少なくとも2つの傾斜面または曲面を有する構造体と、
前記発光素子と前記構造体との間の隙間に充填される充填材層とを備える発光パネル装置。
【請求項2】
前記構造体における前記少なくとも2つの傾斜面または曲面により形成される形状が、断面三角形の柱状、断面台形の柱状、断面半円形の柱状、または角錘状であることを特徴とする請求項1に記載の発光パネル装置。
【請求項3】
前記構造体の前記発光素子側の先端部が曲率を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の発光パネル装置。
【請求項4】
前記発光素子が基板を有する発光素子であり、該基板の上に前記構造体が配置されており、前記基板の屈折率をn1、前記構造体の屈折率をn2、前記充填材層の屈折率をn3とすると、n1、n2及びn3が、
0.9≦(n2/n3)≦1の場合
6.90×104・(n2/n3)4−2.60×105・(n2/n3)3+3.66×105・(n2/n3)2−2.29×105・(n2/n3)+5.34×104
≦(n1/n3)≦2.38
の関係を満足し、
1<(n2/n3)≦1.08の場合
−7.04×103・(n2/n3)3+2.22×104・(n2/n3)2−2.32×104・(n2/n3)+8.08×103
≦(n1/n3)≦2.38
の関係を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光パネル装置。
【請求項5】
前記充填材層の屈折率が、1.43〜1.56の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光パネル装置。
【請求項6】
前記発光素子が有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光パネル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−338909(P2006−338909A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159403(P2005−159403)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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