説明

発光ラベル

【課題】移動車などの被貼付物に容易に貼り付けることができ、かつ、発電機により発光素子を点灯または点滅させることによりこれを貼り付けた移動車を第三者に視認させることが可能な発光ラベルを提供する。
【解決手段】矩形状の基材2と、基材2上に配した、偏芯モータ11にて作製された発電機6、コンデンサ8、および発光素子7より成る発光回路と、発光素子6を突出させる孔が形成されるとともに、発光回路の表面を被覆するカバー体4と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、発電機により発光素子を点灯または点滅させることによりこれを貼り付けた移動車を第三者に認識させることが可能な発光ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特に、夜間における移動車両の事故や故障等おいて、緊急の連絡先を明確に表示でき、また、夜間における当該車両の発見が容易となるようにした発光ステッカーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この発光ステッカーによれば、混合することで化学発光反応を生ずる二液を袋状体に有し、緊急時、故障車両等の移動物に取り付け袋状体を変形させて二液を混合することにより発光し、緊急連絡先などを明るく表示するとともに、救援者に故障車両である旨を明確に知らせるようになっている。
しかしながら、上記発光ステッカーは、二液の混合により発光させるため、発光が一定時間かしか持続しないという問題があった。
また、前述のような故障車両ではなく、特に、夜間において移動車(乳母車)の存在を際立たせるため、カバーに発光手段を設けた乳母車が知られている(例えば、特許文献2参照)。
この特許文献2の乳母車用カバーに使用する発光手段は、蓄光発光手段、すなわち、日光や照明光などの外部から入射する光のエネルギーを蓄積するとともに、その蓄積したエネルギーを光として少しずつ外部に放射する蓄光性物質を使用したもの、または、蓄光性物質が配合された顔料を樹脂に塗付したものや樹脂中に封入したもの、あるいは、反射発光手段、すなわち、外側からの入射光を反射する手段であり、いずれも、「光」を必要とするばかりか、蓄光発光手段にあっては移動中、場合によっては追加の「光エネルギー」の照射・蓄積を必要とし、また、反射発光手段にあっては、入射光の角度によって反射光が相手から見えにくく、視認性に欠けるという問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開2003−5678号公報
【特許文献2】特開2006−1526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、移動車などの被貼付物に容易に貼り付けることができ、かつ、発電機により発光素子を点灯または点滅させることによりこれを貼り付けた移動車を第三者に認識させることが可能な発光ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る発光ラベルは、矩形状の基材と、前記基材上に配した、偏芯モータにて作製された発電機、コンデンサ、および発光素子より成る発光回路と、前記発光素子を突出させる孔が形成されるとともに、発光回路の表面を被覆するカバー体と、
を備えたことを特徴とする。
また、発光素子を、単数又は複数の発光ダイオードとし、点灯または点滅するようにできる。
またカバー体の表面に、さらに、光反射性の層を設けるようにできる。
また、基材の裏面に粘着剤層を形成するようにできる。
【発明の効果】
【0006】
発明に係る発光ラベルは、偏芯モータにて作製された発電機、コンデンサ、および発光素子より成る発光回路を備えるので、これを移動車などに貼り付けるだけで、移動の振動により偏芯モータが回動して発電し、発光素子に電力を供給するため、発光素子の点灯または点滅が実現できるという効果がある。
また、発光素子を発光ダイオードとすれば、少ない電力で点灯または点滅が実現できる。
また、カバー体の表面に、光反射性の層を設けるようにすれば、発光素子の点灯または点滅を反射するので、他者よりの視認性が向上する。
また、基材の裏面に粘着剤層を形成すれば、粘着剤層を介して移動車の正面、あるいは裏面のどこにでも貼り付けることが可能となる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施の形態による発光ラベルを図1ないし図4に基づき説明する。
図1は、電子ラベルの平面図、図2は、図1中、矢示II−II線に沿う概略断面図、図3は、概略回路図である。
発光ラベル1は、基材2と、この基材2上に設けられた発光回路3と、前記発光回路3を被覆するカバー体4とを備える。
【0008】
基材2の裏面(図2における下部)には、粘着剤層5が形成されており、この粘着剤層5を介して図示省略の移動車などに貼着できるようになっている。
発光回路5は、主に、図3に示すように、発電機6、複数個の発光体7、コンデンサ8、抵抗体9、およびこれらの各部を接続する導線10などを備えている。
発電機6は、偏芯カム11を備えており、軸12を中心に前記偏芯カム11が回動することにより発電できるようになっている。
発光体7は、小さい電気容量で発光できる発光ダイオードの採用が可能であり、導線10を介して複数個接続されている。
コンデンサ8は、前記発電機6により発電された電力を一時的に蓄える役目を果たす。
そして、発電機6の偏芯カム11が回動することにより発電され、ある程度の電力(発光体7を点灯させられるだけの電力)がコンデンサ8に蓄えられると発光体7は点灯するようになっている。
カバー体4は、例えば、樹脂などで成形されており、前記発光体7の突出する孔16が設けられるとともに、発光回路5が収納可能なよう凹部13が形成されている。
そして、前記基材2上に設けた発光回路5をカバー体4の凹部13に収納した状態で覆い、かつ、発光体7をカバー体4の孔16より突出させた上、基材2とカバー体4を貼り合せて発光ラベル1を作製するものであり、カバー体4にて前記発光回路5を保護するとともに、「電池」を持たず発電機6の発電により電力を供給して発光体4を点灯または点滅する発光ラベル1が作製される。
【0009】
次に、主に、図4に基づき、発光ラベル1の使用状態につき説明する。
図4は、移動車(移動車両)としての自動車の概略正面説明図であり、ヘッドライト14a、14b間のラジエーター15の前面に、基材2裏面の粘着剤層5を介して発光ラベル1を貼り付けた状態を示している。
この状態で自動車を走行すると、振動により発光ラベル1の発光体7が点灯する。すなわち、走行の振動により発光回路3の偏芯カム11が回動して発電機6によって発電され、発電された電力がコンデンサ8に蓄積され、「発光体」である発光ダイオード7が発光するに足りる電力が蓄積されると点灯する。
なお、コンデンサ8は、容量を大きくすると発光ダイオード7を点灯し続けるが、容量を小さくすると、蓄積された電力が発光ダイオード7の点灯により消費されるため発光ダイオード7は消灯し、再度コンデンサ8に電力が蓄積されると点灯するため点滅する。
上述したように、移動車(移動車両)である自動車のラジエーター15の前面に発光ラベル1を貼り付けるだけで、発電機6による発電が実行され、発光ダイオード7の点灯、または点滅を繰り返すため、他の移動車(移動車両)に車の存在を認識させることができる。
また、「電池」の代わりに発電機6を内蔵しているため、昼夜の点灯または点滅に際しスイッチをオンにしなくとも電力の供給ができる上、電力消費による電池の交換が必要ない分、手間が掛からないものである。
【0010】
次に、図5ないし図6に基づき、第2の実施の形態につき説明する。
なお、以下において、先の実施の形態と同様の部分は同一符号を付すに止め、詳細を省略する。
図5は、本実施の形態の発光ラベル21を示す図2相当の概略断面図、図6は、移動車としての乳母車23に発光ラベル21を使用した例を示す概略側面説明図である。
本実施の形態の発光ラベル21は、先の実施の形態の発光ラベル1のカバー体4の表面に、さらに、光反射性の層22を設けたものである。すなわち、カバー体4、およびその表面の光反射性の層22を挿通して発光ダイオード7が突出するように発光回路6をカバー体4にて覆って発光ラベル21を作製するものである。
次に、図6に基づき使用状態を説明すると、乳母車23は、シート部24と、シート部24の下部に回動自在に取り付けられた車輪25a、25bと、シート部24に設けられた取っ手部26と、支持部材27とを備えている。
支持部材27は、前記発光ラベル21を貼り付ける役目を果たすものであり、シート部24の正面(図6における左側)にあっては、バネなどの弾性部材28を介して揺動自在、かつ、突出した状態に設けられており、また、側面にあっては、回転する車輪25a、25bに固定されて設けられている。
そして、前記支持部材27に基材2裏面の粘着剤層5を介して発光ラベル21を貼り付け、乳母車23を押すと、シート部24の正面(進行方向の前面)に弾性部材28を介して設けられた支持部材27に貼り付けられた発光ラベル21は、移動中の振動が弾性部材28および支持部材27を介して伝わり揺動するため、発光回路3の偏芯カム11が回動して発電機6によって発電された電力がコンデンサ8に蓄積され、発光ダイオード7が発光(点灯)または点滅する。
また、車輪25a、25bに固定された支持部材27に貼り付けられた発光ラベル21は、車輪25a、25bの回転に追従して回転し、この回転に伴い発光回路3の偏芯カム11が回動して発電が行われ、発光ダイオード7を点灯または点滅する。
また、発光ダイオード7が点灯または点滅するとカバー体4の表面に設けられた光反射性の層22に反射し、発光ダイオード7単体での点灯あるいは点滅よりも反射との相乗効果で明るくなり、他の移動車(移動車両)に存在をより強く認識させることができるものである。
また、シート部24の正面において、弾性部材28を介して揺動する支持部材27に発光ラベル21を貼り付けたので、対向車などの他の移動車(移動車両)に対し揺動により角度が変わるため、発光ダイオード7の点灯または点滅が他の移動車(移動車両)に認識し易く、かつ、カバー体4の表面に設けた光反射性の層22も角度が変わり、消灯(消灯から点灯するまでの間)時であっても対向車や街頭の明かりなどにより「きらきら」と反射するため、他の移動車(移動車両)に存在をより強く認識させることができる。
さらに、車輪25a、25bの支持部材27に貼り付けた発光ラベル21にあっては、車輪25a、25bの回転に伴い回動する偏芯カム11の回動に従って供給される電力により発光ダイオード7が発光するため、先の発光ラベル1が移動車としての自動車のラジエーター15に貼り付けられて、走行中のタイヤ(図示省略)の振動だけで偏芯カム11を回動していたのに比し確実な回動が期待でき、もって電力の供給が円滑となって発光ダイオード7の発光時間が長くなり、さらに、発光ダイオード7はシート部24の側面から見える車輪25a、25bに貼り付けられた状態で点灯または点滅するため、例えば、道路横断中などにおいて他の移動車(移動車両)に存在をより強く認識させることができる。
その他の構成、作用、効果については、先の実施の形態とほぼ同様につき詳説を省略する。
【0011】
次に、図7および図8に基づき、発光ラベル21の他の使用状態につき説明する。
なお、以下において、先の実施の形態と同様の部分は同一符号を付すに止め、詳細を省略する。
図7は、移動車(移動車両)としての自転車29に発光ラベル21を使用した例を示す図7相当の概略側面説明図、図8は、図7中、矢示VIII方向より見た正面図である。
自転車29は、ハンドル30、サドル31などの「基幹部」や、車輪32a、32bなどが備えられ、さらに、車輪32a、32bには、支持部材33が備えられている(図示の例では、前後の車輪32a、32bに各々2個ずつの支持部材33を備えている)。
支持部材33は、自転車29の進行方向(矢示F方向)に交差する方向に突出して設けられるとともに、根元側(車輪側)にヒンジ部34が形成されており、このヒンジ部34により支持部材33は起倒自在、すなわち、折り曲げると車輪32a、32bの側面に倒れ、また、起こすと側面側に突出するようになっている。
前記支持部材33に発光ラベル21を貼り付けヒンジ部34を起こし車輪32a、32bより側面に突出させた状態で自転車29を漕ぐと、車輪32a、32bの回転に伴い支持部材33に貼り付けた発光ラベル21が回転し、この回転に伴い発光回路3の偏芯カム11が回動して発電が行われ、発光ダイオード7を点灯または点滅する。この発光ダイオード7の点灯あるいは点滅は、自転車29の正面からでも後方からでも確認できる。また、支持部材33のうちのいくつかを、ヒンジ部34より折り曲げて車輪32a、32b側に倒せば、車輪32a、32bの側面からでも発光ダイオード7の点灯または点滅が第三者に認識可能となる。
その他の構成、作用、効果については、先の実施の形態とほぼ同様につき詳説を省略する。
【0012】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0013】
例えば、説明の都合上、発電機6により発電された電力を一時的に蓄える部材としてコンデンサ8を用いて説明したがこれに限定されないことは勿論であり、充電型電池の採用も可能である。
また、発光ダイオード7は直列に接続した例(図3参照)で説明したが、並列接続であってもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る電子ラベルの第1の実施の形態を示す平面図である。
【図2】同、図1中、矢示II−II線に沿う概略断面図である。
【図3】同、発光回路の概略回路図である。
【図4】同、発光ラベルを自動車のラジエーターに貼り付けた状態を示す概略説明図である。
【図5】同、第2の実施の形態を示す図2相当の概略断面図である。
【図6】同、発光ラベルを乳母車に貼り付けた状態を示す概略説明図である。
【図7】同、発光ラベルを自転車に貼り付けた状態を示す概略説明図である。
【図8】同、図7中、矢示VIII方向より見た正面説明図である。
【符号の説明】
【0015】
1 発光ラベル(第1の実施の形態)
2 基材
3 発光回路
4 カバー体
5 粘着剤層
6 発電機
7 発光体
8 コンデンサ
9 抵抗体
10 導線
11 偏芯カム
12 軸
13 凹部
14a、14b ヘッドライト
15 ラジエーター
16 孔
21 発光ラベル(祭2の実施の形態)
22 光反射性の層
23 乳母車(移動車)
24 シート部
25a、25b 車輪
26 取っ手部
27 支持部材
28 弾性部材
29 移動車(移動車両、自動車)
30 ハンドル
31 サドル
32a、32b 車輪
33 支持部材
34 ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の基材と、
前記基材上に配した、偏芯モータにて作製された発電機、コンデンサ、および発光素子より成る発光回路と、
前記発光素子を突出させる孔が形成されるとともに、発光回路の表面を被覆するカバー体と、
を備えたことを特徴とする発光ラベル。
【請求項2】
前記発光素子は、単数又は複数の発光ダイオードであり、点灯または点滅することを特徴とする請求項1に記載の発光ラベル。
【請求項3】
前記カバー体の表面に、さらに、光反射性の層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の発光ラベル。
【請求項4】
前記基材の裏面に粘着剤層が形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光ラベル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−261988(P2008−261988A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103923(P2007−103923)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】